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双極症に対する抗精神病薬と気分安定薬の投与量が再発リスクに及ぼす影響

 双極症患者は、症状や治療に苦しんでいるにもかかわらず、効果的な治療レジメンを見出すことは困難である。東フィンランド大学のJonne Lintunen氏らは、双極性障害患者における、さまざまな用量の抗精神病薬および気分安定薬に関連する再発リスク、治療の安全性を調査した。Acta Psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2024年10月2日号の報告。 1996〜2018年のフィンランド全国レジストリより、15〜65歳の双極症患者を特定した。対象となる抗精神病薬には、オランザピン、リスペリドン、クエチアピン、アリピプラゾール、気分安定薬には、リチウム、バルプロ酸、ラモトリギン、カルバマゼピンを含めた。各薬剤の時間変動用量カテゴリーは、使用量に応じて低用量、標準用量、高用量に分類した。アウトカムは、再発リスク(精神科入院)、治療の安全性(非精神科入院)のリスクとした。分析には、個人内の層別Cox回帰を用いた。 主な結果は以下のとおり。・対象患者は6万45例(平均年齢:41.7±15.8歳、女性の割合:56.4%)。・平均フォローアップ期間は8.3±5.8年。・再発リスク低下と関連していた抗精神病薬は、オランザピンの低用量および標準用量、アリピプラゾールの低用量および標準用量、リスペリドンの低用量であった。・調整ハザード比(aHR)が最も低かった薬剤は、アリピプラゾールの標準用量であった(aHR:0.68、95%信頼区間[CI]:0.57〜0.82)。・クエチアピンは、いずれの用量においても再発リスク低下との関連が認められなかった。・低用量および標準用量の気分安定薬は、再発リスク低下と関連が認められ、最も低いaHRは、リチウムの標準用量で観察された(aHR:0.61、95%CI:0.56〜0.65)。・高用量の抗精神病薬および気分安定薬は、リチウムを除き、非精神科入院リスクの増加との関連が認められた。・リチウムは、低用量(aHR:0.88、95%CI:0.84〜0.93)および標準用量(aHR:0.81、95%CI:0.74〜0.88)において、非精神科入院リスク低下と関連していた。 著者らは「双極症患者に対するリチウムおよびアリピプラゾールの標準用量は、再発リスクが最も低く、リチウムの標準用量は、非精神科入院リスクが最も低かった」と結論付けている。

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「永遠の化学物質」PFASが睡眠障害を引き起こす可能性も

 血液中の「永遠の化学物質」とも呼ばれる有機フッ素化合物の「PFAS」が、若年成人の睡眠障害と関連していることが、米南カリフォルニア大学(USC)のグループによる研究で示された。PFASは有機フッ素化合物のペルフルオロアルキル化合物とポリフルオロアルキル化合物の総称で、この研究からはPFASのうち4種類の物質の血中濃度が睡眠障害と関連していることが明らかになった。詳細は、「Environmental Advances」10月号に掲載された。 PFASは、テフロン加工された調理器具やシャンプーなど、さまざまな製品に使用されているが、何十年もの間、環境中に残留する可能性がある。また、食品や水と一緒に体内に摂取される可能性も考えられる。研究グループによると、米国人の大多数において、血中のPFAS濃度は検出可能レベルであるという。 この研究は、USCの別の研究で数年前に血液採取を受けた19~24歳の男女136人(試験開始時の平均年齢19.45歳)を対象に実施された。研究参加者は睡眠時間と睡眠の質に関する情報も提供しており、136人中76人は追跡調査も受けていた。対象者の7種類のPFASの血中濃度を測定し、「低」から「高」までの3つのカテゴリーに分けた。 その結果、7種類のPFASのうち、4種類(PFDA、PFHxS、PFOA、PFOS)が睡眠障害に関連していることが明らかになった。具体的には、ベースラインからPFDA濃度のカテゴリーが1段階上がることは、毎晩の睡眠時間の平均0.39時間の短縮と関連していた。また、追跡調査の結果からは、PFHxSとPFOAの濃度のカテゴリーが1段階上がることは、平均で0.39時間と0.32時間の睡眠時間の短縮と関連していた。一方、PFOS濃度のカテゴリーが1段階上がることは、睡眠障害スコアの2.99点の増加、睡眠関連障害スコアの3.35点の増加と関連していた。 論文の筆頭著者で、USCケック医学校のShiwen Li氏は、「われわれが検出した血液中のPFASは、おそらく出生後の曝露によるものだが、出生前の胎児期の曝露に起因している可能性もある」と述べている。 研究グループは、これら4種類のPFASについて分析するため、化学物質と疾患、遺伝子発現の変化の関連についての研究をまとめたデータベースを使用し、PFASの影響を受ける遺伝子と睡眠障害に関与する遺伝子の重複を調べた。 その結果、600を超える遺伝子候補のうち、PFASによって活性化される7つの遺伝子候補が睡眠に影響を与えると推定された。その一つは、コルチゾールというホルモンの産生を助ける免疫系のタンパク質(HSD11B1)をコードする遺伝子だった。コルチゾールは睡眠覚醒リズムの調節で重要な役割を果たしている。また、カテプシンBをコードする遺伝子もPFASの睡眠への影響に関与していることが示された。カテプシンBは、記憶力や思考能力に関係し、アルツハイマー病患者の脳に存在するアミロイドβの生成に関与することが示唆されている。一方で、アルツハイマー病自体も睡眠障害に関連している。 Li氏は、「睡眠の質はほとんど全ての人に関わる問題だ。そのため、今回の研究で示された睡眠に対するPFASの影響には政策的な対応を考慮する必要がある」と話す。また、同氏は、「長期的に見ると、質の悪い睡眠は神経学的な問題や行動面の問題、2型糖尿病、アルツハイマー病などに関連していることが指摘されている」と同大学のニュースリリースで付け加えている。

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映画「路上のソリスト」(その2)【「不幸」になる権利はあるの?私たちはどうすればいいの?(ホームレスの自由権)】Part 1

今回のキーワード浮浪の罪医療保護入院アイデンティティ幸せの押し付け保護法益友情前回(その1)に、映画「路上のソリスト」を通して、ホームレスが保護を拒む原因は、認知機能の低下によって、自由がなくなること、清潔にしなければならないこと、そして先々のことを考えなければならないことがすべてストレスになるからであることがわかりました。今回(その2)は、このホームレスの心理を踏まえて、法的、そして人道的な観点から、ホームレスが保護を拒む権利、つまりホームレスの自由権について掘り下げます。そして、精神医療はどこまでその「自由」に介入すべきか、私たちはどうすればいいかという難題に挑戦してみましょう。ホームレスを強制的に保護できないわけは?なかなか話が通じないナサニエルを見て、ロペスは支援センターのスタッフに「統合失調症だろ?」「彼を救うには、拘束して強制的に薬を飲ませるべきだ」と訴えます。薬を飲めばナサニエルは話が通じるようになるとロペスは考えていたのでした。実際のところ、どうなんでしょうか?ここから、ホームレスを強制的に保護できない理由を、法的な観点と人道的な観点の2つに分けて考えてみましょう。(1)法的な観点ー違法であるから支援センターのスタッフは、ロペスに「身に差し迫った危険がないと、薬の服用を強制することはできない」と毅然として答えます。まず法的な観点として、自傷他害のおそれがなければ、強制的な治療や入院は違法であるからです。もちろん日本では、ホームレスとして路上で生活すること自体、軽犯罪法の浮浪の罪に当たる可能性があります。しかし、精神障害による認知機能の低下が疑われる場合、「働く能力がありながら」というこの罪の要件を満たしていないことになり、罪には問えません。また、日本には家族等の同意による医療保護入院という制度はありますが、ホームレスのように家族と疎遠である場合は同意は得られないでしょう。そもそも、ナサニエルは、未治療の期間が長いため、薬物治療によって認知機能が劇的に改善する可能性は極めて低いです。前回(その1)に、ナサニエルは自由を得るためにホームレス生活の不自由さに納得していると説明しましたが、これはもはや彼の生き方、アイデンティティであると言えます。つまり、彼は「ホームレスとしてのアイデンティティ」が固まっているため、ロペスの目論見通りにはならないということです。つまり、ホームレスは、精神障害であると同時に、生き方の問題になっていることがわかります。これは、彼らの自由権です。本来人間は、他人に害を与えない限り自由に生きていく権利があります。だからこそ、ホームレスを強制的に保護することが違法なのです。なお、薬物治療には鎮静効果があり、認知機能は劇的に改善しなくても、大人しくはなります。よって、本人が望んでいなくても自傷他害のおそれがある場合に限っては、強制的な治療が合法になるのです。もちろん、冒頭でも触れたように、衛生上や臭いの問題、さらには治安の問題もあるため、彼らの存在が社会にとって迷惑だという厳しい意見はあるでしょう。しかし、騒乱罪や風俗犯罪ほど社会秩序が乱れるという具体的で明らかな不利益が起きているわけではないです。よって、保護法益(法によって守られる利益)としても弱いため、強制的な保護、言い換えれば排除することはやはり違法です。ただし、映画では、「町を一掃する」という名目で、ロサンゼルスのホームレスたちが、彼らの持ち物から「窃盗」の罪で次々と逮捕されるシーンがありました。これは、ホームレスのたまり場が、違法薬物の売買などを蔓延させ、殺人を頻繁に招いている深刻な場合です。これは、非人道的ではありますが、明らかな不利益が起きているため、違法とまでは言えなくなります。次のページへ >>

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映画「路上のソリスト」(その2)【「不幸」になる権利はあるの?私たちはどうすればいいの?(ホームレスの自由権)】Part 2

(2)人道的な観点―逆に非人道的になるから支援センターのスタッフは、ロペスに「診断は役に立たない」「必要ないのは、彼を病人扱いする人間だ」とも答えます。そして、「友情を裏切るのは、彼の唯一のものを壊す」とやんわり忠告します。もう1つの人道的な観点として、本人が望んでいないので、保護することは逆に非人道的になるからです。もちろん、炊き出しなどの食料の支給はホームレスたちが望んでいることなので、人道的で望ましいです。そして、施設に入所させるなど決まった場所に住まわせることや、定期的に入浴させて清潔にさせることなどは、粘り強く説得して、彼らが納得するのであれば、人道的で望ましいです。しかし、それでも彼らが望まないのであれば、非人道的になってしまい、望ましくないことになります。よくよく考えると、日本国憲法でも定められている「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」とは、本人が選ぶ権利であって、社会が押し付ける義務ではないです。つまり、人道的かどうかは、私たちが望ましいと思うかどうかではなく、彼らが望んでいるかどうかであるということです。これは、医療関係者としても、非常に悩ましい問題です。ロペスは「ナサニエルは精神障害によってホームレスとなり不幸だ」と考えました。しかし、これはあくまでロペスのような社会適応をしている多数派の解釈にすぎません。ここから、幸せか不幸かは、社会(多数派)で受け入れられているか、常に多数決で決められてしまう危うさがあることがわかります。つまり、精神障害者が何を幸せと思うかは、最終的には本人が決めることであり、その自由に精神医療が介入することは、「幸せの押し付け」であり、逆に非人道的になってしまうということです。そもそも、ナサニエルは、ホームレスとして日々一生懸命に生きています。一方、ロペスは、社会的には成功していますが、いつも記事の締め切りに追われて疲れきっていました。よくよく考えると、どちらが幸せか、何を持って幸せか、わからなくなってきます。なお、健康か病気かという線引きも多数決で決められてしまう危うさについては、身体完全性違和という特殊な状態を解説した関連記事1をご覧ください。<< 前のページへ | 次のページへ >>

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映画「路上のソリスト」(その2)【「不幸」になる権利はあるの?私たちはどうすればいいの?(ホームレスの自由権)】Part 3

ホームレスにどうしたらいいの?ロペスは、「助けてるつもりだった」「でも、助けようとしていた本人に敵意を持たれてる」と悩み、元妻に打ち明けます。すると、彼女は「必要な時にそばにいる友達でいて」と助言するのです。このセリフはまさに、ロペスとナサニエルの関係だけでなく、ロペスと元妻の関係もほのめかしているようです。ラストシーンでは、ロペスは仲直りの印として、ナサニエルと握手します。この握手は、ナサニエルが「自分の手は汚いから」と握手を拒んだ最初のシーンとは対照的で感動的です。ナサニエルは、いろいろあったけどロペスなら自分を受け入れてくると思えるようになったのでした。つまり、ホームレスへの最善の対応は、本人が困っていると決めつけて干渉するのではなく、困っていても関係ないと無関心になるのでもなく、本人が困っていると言ってきたらできることを支援することでしょう。これは、家族でもなく、他人でもなく、友達の関係です。そんな社会になることを願うという、この映画のメッセージのように思えてきます。このように自由権の視点で考えると、もちろんホームレスが増えていく社会は危ういわけですが、逆にホームレスがまったくいない社会も危ういように思えてきます。「路上のソリスト」とは?ロペスは、離婚して一人寂しく暮らしていました。そして、インターネットの普及によって、彼が勤務する新聞社にはリストラの波が押し寄せていました。「ソリスト」とは独奏者という意味で、もちろんナサニエルを指しています。同時に実は、もう1人の「路上のソリスト」として、人生の路頭に迷う孤独なロペスでもあることを暗示しているようです。そんななか、2人は出会うのです。ラストシーンでは、ベートーベンのコンサートを、ナサニエルの姉、ナサニエル、ロペス、そしてロペスの元妻が横並びで一緒に聴いています。ナサニエルが路上からアパート暮らしをするようになり、疎遠だった姉に助けを求めるようになったのと同じように、ロペスが元妻とよりを戻すことをほのめかしているように見えます。ロペスがナサニエルの人生に影響を与えたのと同じように、ナサニエルもまたロペスの人生に影響を与えたのでした。この映画は、ナサニエルの物語であると同時に、ナサニエルと深くかかわることで変わっていったロペスの物語でもあります。テーマは、ホームレス問題であると同時に友情でもあります。最後のロペスによるナレーションで、「統合失調症は友達ができると社会性が増すという論文がある」と紹介され、締めくくられます。これは、統合失調症であるナサニエルだけでなく、そうではないロペスにも当てはまるという、この映画のもう1つのメッセージでしょう。1)「ホームレス消滅」p.60、p.219、p.240、p.250、p.256:村田らむ、幻冬舎新書、20202)「ルポ路上生活」pp152-154、pp160-162:國友公司、彩図社、20233)「ホームレス収容所で暮らしてみた~台東寮218日貧困共同生活~」p.10、p.45:川上武志、彩図社、2021<< 前のページへ■関連記事映画「路上のソリスト」(その1)【それが幸せ?なんで保護されたくないの?(ホームレスの心理)】Part 1ドキュメンタリー「WHOLE」(前編)【なんで自分の足を切り落としたいの!?(身体完全性違和)】Part 1

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統合失調症患者の10年間にわたる心血管リスク

 統合失調症患者は、平均寿命が短く、その主な死因は心血管疾患となっている。精神症状、認知機能、心血管疾患との関連は十分に明らかになっておらず、性差に関する研究も不十分である。中国・天津医科大学のXiaoying Jin氏らは、統合失調症の男性および女性患者の特徴と10年間の心血管リスクとの関連を調査した。Journal of Neural Transmission誌オンライン版2024年10月10日号の報告。 対象は、慢性期統合失調症患者802例。すべての患者より空腹時の静脈血を採取し、関連する糖脂質代謝指標を測定した。精神症状の評価には、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)、認知機能の評価には、神経心理検査アーバンズ(RBANS)、10年間の心血管リスクの推定には、フラミンガムリスクスコア(FRS)を用いた。 主な結果は以下のとおり。・すべての患者における10年間の平均心血管リスクは、11.76±8.99%であった。・10年間の心血管リスクが中程度以上の患者の割合は、52.8%であった。・多変量線形回帰分析では、FRSは、BMI、血圧、血糖、総コレステロール、トリグリセライドの上昇とともに増加し、HDLレベルとの逆相関が示唆された。・一般的な精神病理学的スコアとFRSとの負の相関が認められた(男性:B=−0.086、p=0.013、女性:B=−0.056、p=0.039)。・男性において、陰性症状(B=−0.088、p=0.024)とPANSS合計スコア(B=−0.042、p=0.013)は、FRSとの負の相関が認められた。・60歳以上の患者では、一般的な精神病理(B=−0.168、p=0.001)とPANSS合計スコア(B=−0.057、p=0.041)は、FRS低下と関連し、即時記憶(B=0.073、p=0.025)は、FRS上昇と関連していた。 著者らは「統合失調症患者は、心血管疾患の発症リスクが高く、10年間の心血管リスクは、女性よりも男性で高くなることが確認された。FRSと精神症状との関連は、性差が大きく、陰性症状は男性のみでFRSとの負の相関が認められた」と結論付けている。

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難聴は認知機能の低下につながる?

 フランスの大規模研究において、成人の聴覚障害(難聴)は認知症と関連することが明らかにされた。論文の筆頭著者であるパリシテ大学(フランス)のBaptiste Grenier氏は、「認知機能低下がもたらす大きな負担と、認知機能低下を治癒する治療法がないことを考え合わせると、修正可能なリスク因子を特定することが重要だ」との考えを示している。この研究結果は、「JAMA Network Open」に10月1日掲載された。 この研究でGrenier氏らは、2012年1月1日から2020年12月31日の間に募集されたCONSTANCESコホート研究参加者6万2,072人(45〜69歳、平均年齢57.4歳、女性52%)のデータの縦断的解析を行い、客観的に測定された難聴と認知機能との関連を評価した。これらの研究参加者の認知機能は、試験登録時に5種類の検査から成る認知機能評価バッテリーにより評価されていた。主成分分析により算出された認知機能スコアが分布の25パーセンタイル以下である場合を認知機能障害があると判断された。 参加者の49%は正常な聴力であったが、38%(2万3,768人)は軽度難聴、10%(6,012人)は日常生活に支障を来たす難聴(以下、重度難聴)があるが補聴器は未使用、3%(1,668人)は補聴器を使用していた。認知機能障害が認められた参加者の割合は、正常な聴力で16%、軽度難聴で27%、重度難聴で37%であり、難聴の重症度が上がるほど高かった。多変量解析からは、軽度難聴と重度難聴は認知機能障害のリスク増加と関連することが示され、オッズ比は、それぞれ1.10(95%信頼区間1.05〜1.15)と1.24(同1.16〜1.33)であった。重度難聴の人の間では、補聴器の使用の有無により、認知機能障害のリスクに有意差は認められなかった。 感度分析では、うつ病の有無に関わりなく難聴と認知機能障害との間に関連が認められたものの、うつ病がある場合での関連はより強いことが示された。また、補聴器の使用と認知機能障害の関連はうつ病のある参加者においてのみ見られた(オッズ比0.62、95%信頼区間0.44〜0.88)。このことから研究グループは、補聴器はうつ病のある重度難聴患者の認知機能障害リスクを軽減する可能性があるとの考えを示している。 Grenier氏らは、「難聴の人は社会的に孤立するだけでなく、聴覚入力のない期間が長いために思考力が低下する可能性がある」との考えを示している。それでも同氏らは、補聴器の使用と認知機能低下との関連については統一見解が得られておらず、さらなる研究が必要だとして、「重度難聴患者に対する補聴器は、認知機能の低下を緩和するためではなく、生活の質(QOL)に対する潜在的な利益に基づいて処方されるべきだ」と主張している。

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高齢者の睡眠時間の目安は?

65歳以上の睡眠時間の目安⚫ 必要な睡眠時間は年齢とともに少なくなり、高齢世代では睡眠時間の長短よりも、長い床上時間(寝床で過ごす時間)が健康リスクとなることが示されています⚫ 床上時間が8時間以上にならないことを目安に※必要な睡眠時間を確保しましょう※さまざまな健康上の理由から、寝床で過ごす時間を減らすことが難しい場合を除きます床上時間と睡眠時間•まずはご自身の睡眠状態を1週間記録してみましょう。ポイントは、床上時間(寝床に入っている時間)と睡眠時間(実際に眠っている時間)を区別することです•床上時間の目安は、1週間の平均睡眠時間+30分程度で、8時間以上にならないことを目安に、必要な睡眠時間※を確保するようにしましょう※必要な睡眠時間には個人差があります。6時間以上を目安に、睡眠休養感(睡眠で休養がとれている感覚)が得られる、ご自身にとって必要な睡眠時間を見つけましょう“休養感”のある睡眠のために・日中は活動的に過ごし、昼と夜(活動と休息)のメリハリをつけましょう・日中の長時間の昼寝は避けるようにしましょう出典:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド 2023」Copyright © 2024 CareNet,Inc. All rights reserved.

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日本人アルツハイマー病のアジテーションに対するブレクスピプラゾール治療

 香川大学の中村 祐氏らは、日本人アルツハイマー病患者におけるアジテーション(攻撃的行動および発言、非攻撃的行動の亢進、焦燥を伴う言動等)の治療に対するブレクスピプラゾールの有効性および安全性を評価した。Alzheimer's & Dementia誌オンライン版2024年10月6日号の報告。 本研究は、第II/III相多施設ランダム化二重盲検プラセボ対照並行群間試験として実施された。アルツハイマー病に伴うアジテーションを有する患者は、ブレクスピプラゾール1mg/日群または2mg/日群、プラセボ群に3:4:4でランダムに割り付けられ、10週間投与を行った。主要エンドポイントは、ベースラインから10週目までのCohen-Mansfield Agitation Inventory(CMAI)合計スコアの変化とした。 主な結果は以下のとおり。・CMAI合計スコアの変化は、ブレクスピプラゾール1mg/日群および2mg/日群において、プラセボ群と比較し、統計学的に有意な改善が認められた。【ブレクスピプラゾール2mg/日群】最小二乗平均差:−7.2、95%信頼区間[CI]:−10.0〜−4.3、p<0.0001【ブレクスピプラゾール1mg/日群】最小二乗平均差:−3.7、95%CI:−6.8〜−0.7、p=0.0175・治療関連有害事象の発生率は、ブレクスピプラゾール1mg/日群で76.8%、2mg/日群で84.6%、プラセボ群で73.8%であり、ブレクスピプラゾールの忍容性は、おおむね良好であった。 著者らは「アルツハイマー病に伴うアジテーションを有する日本人患者に対するブレクスピプラゾール1mg/日および2mg/日による10日間治療は、有効性および忍容性が良好であることが確認された」と結論付けている。

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長いスクリーンタイムは子どものメンタルヘルス症状と関連

 9歳と10歳の子ども約1万人を2年間追跡した研究で、テレビやその他のスクリーンの視聴時間(以下、スクリーンタイム)の長さは抑うつなどのメンタルヘルス症状のリスク上昇と関連することが明らかにされた。米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)のJason Nagata氏らによるこの研究の詳細は、「BMC Public Health」に10月7日掲載された。Nagata氏は、「スクリーンタイムにより、身体活動、睡眠、対面での交流、抑うつや不安を軽減するその他の行動に費やされる時間が失われている可能性がある」と述べている。 Nagata氏らは、ティーンの間でメンタルヘルスに問題を抱える者が増えていると話す。同氏らによると、2000年代初期に比べると現代のティーンはうつ病になる可能性が50%高く、2000年から2018年にかけて自殺リスクは30%も上昇したという。一方、スクリーンタイムも増加傾向にあり、トゥイーン(8~12歳の子ども)の1日当たりのスクリーンタイムは平均5.5時間であるが、ティーンになるとそれが8.5時間に増えるという。 研究グループは、メンタルヘルスに問題を抱える若年者の増加とスクリーンタイムの増加が関係しているのではないかと考えた。それを調べるために、米国の大規模研究であるABCD(Adolescent Brain Cognitive Development)研究に2016年から2018年の間に参加した9歳と10歳の子ども9,538人(平均年齢9.9±0.6歳、男児51.2%、白人52.4%)の2年間のデータを用いて、ベースライン時のスクリーンタイムと、親が子どもの行動チェックリストを用いて評価した過去6カ月間のメンタルヘルス症状との関連を検討した。 その結果、長いスクリーンタイムはあらゆるメンタルヘルス症状と関連していることが明らかになった。特に関連が強かったのは抑うつで、そのほか、行動障害、身体的症状、注意欠如・多動症(ADHD)との関連も強かった。抑うつ症状とスクリーンタイムとの関連を、スクリーンタイムのタイプ別に検討すると、ビデオ通話、テキストメッセージのやりとり、YouTubeなどの動画視聴、ビデオゲームとの間に有意な関連が認められた。スクリーンタイムと抑うつ症状、ADHD、反抗挑発症(反抗挑戦性障害)の症状との関連は、黒人よりも白人において、また、スクリーンタイムと抑うつ症状との関連は、アジア系よりも白人において、より強かった。 Nagata氏は、「人種/民族的マイノリティに属する子どもにとって、スクリーンやソーシャルメディアは、同じような背景や経験を持つ仲間とつながるための重要なプラットフォームとして、白人の子どもとは異なる役割を果たしている可能性がある」と話す。そして、「テクノロジーは、対面での人間関係に取って代わるのではなく、子どもが身近な環境を超えてサポートネットワークを拡大するのに役立つかもしれない」との考えを示している。 一方でNagata氏は、「もちろん、親が子どもをスクリーンから遠ざけ、より健康的な活動に向かわせる方法もある」とし、「米国小児科学会(AAP)は、それぞれの子どものニーズを考慮した家族メディア利用計画を作成することを推奨している」と述べている。

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子供の睡眠時間の目安は?

子供の睡眠時間の目安⚫ 睡眠時間の不足によって、肥満のリスクが高くなること、抑うつ傾向が強くなること、学業成績が低下すること、幸福感や生活の質(QOL)が低下することが報告されています⚫ 朝は太陽の光を浴びて、朝食をしっかり摂り、日中は運動をして、夜ふかしの習慣化を避けるようにしましょう年齢別の推奨睡眠時間1~2歳児3~5歳児小学生中学生高校生11~14時間10~13時間9~12時間8~10時間夜ふかしを習慣化させないために…日中はからだを動かし、スクリーンタイムはほどほどに朝起きたら日光浴を••乳幼児期は朝起きる時間を決め、カーテンを開けて部屋を明るくしましょう小学生以降は登校時や学校で日光を十分に浴び、休日もできるだけ普段と同じ時間に起床しましょう•小・中・高校生は1日当たり60分以上からだを動かし、スクリーンタイムは2時間以下にすることが推奨されています出典:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド 2023」Paruthi S, et al.J Clin Sleep Med. 2016;12:785-786.Copyright © 2024 CareNet,Inc. All rights reserved.

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日本人の産後うつ病、10年間にわたる男女の軌跡

 周産期うつ病は、妊娠中および産後において、女性だけでなく男性にも影響を及ぼす重大な懸念事項である。母親の産後うつ病は、広く研究されている。しかし、父親のうつ病は、有病率も高く、家族のウェルビーイングへの影響があるにもかかわらず、十分に研究が行われてこなかった。横浜国立大学の久保 尊洋氏らは、10年間にわたる日本の周産期および産後うつ病の軌跡を推定し、母親および父親におけるうつ病の相互影響を考慮したうえで、各軌跡での産後うつ病の症状を特定するため、本研究を実施した。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2024年9月30日号の報告。 対象は、789組のカップル。出産前、産後5週目、産後3ヵ月目、6ヵ月目、1年後および以降毎年の抑うつ症状を評価するため、エジンバラ産後うつ病質問票を用いた。並行プロセス潜在クラス成長分析を用いて、対象者の抑うつ症状のパターンに従ってグループ化を行った。 主な結果は以下のとおり。・母親と父親の抑うつ症状の軌跡により、データに最も適合し、有益であった4つの軌跡が特定された。母親と父親の抑うつ症状悪化:6.5%母親は軽度、父親は中程度の抑うつ症状:17.2%母親は重度、父親は軽度の抑うつ症状:17.9%母親、父親共に軽度の抑うつ症状:58.4%・分散分析では、無快楽症、不安、うつ病のサブスケール全体で、クラスと親の相互作用が顕著であることが示唆され、抑うつ症状の明確なパターンが示唆された。・周産期うつ病は、重症度にかかわらず、妊娠中から認められることが多かった。・男性は、援助を求めにくいため、出産後にストレスを受けやすくなる可能性が示唆された。・母親の不安および抑うつ症状は、出産後10年間において高レベルであった。 著者らは「各カップルのニーズに対応するには、カスタマイズされたメンタルヘルスプログラムやエジンバラ産後うつ病質問票を用いたユニバーサルスクリーニングが推奨される。親の長期的な抑うつ症状の軌跡を理解し、家族のウェルビーイングやレジリエンスを向上させるための包括的なサポートが求められる」としている。

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高齢者の転倒は認知症リスクを高める

 高齢者での転倒は、転倒後1年以内に認知症の診断を受けるリスクの上昇と関連することが、高齢の外傷患者200万人以上を対象にした後ろ向きコホート研究により明らかになった。米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院外科・公衆衛生センター副所長のMolly Jarman氏らによるこの研究結果は、「JAMA Network Open」に9月30日掲載された。 研究グループは、転倒は高齢者が外傷センターに入院する最も一般的な理由の一つであり、高齢者での主な外傷の原因だと指摘する。近年の研究により、アルツハイマー病および関連認知症(ADRD)の前段階とされる軽度認知障害の高齢者において転倒リスクが増加しているとするエビデンスが増えつつある。しかし、転倒を経験した高齢者において認知症リスクが高まるのかどうかについては明らかになっていない。 この点を調べるために、Jarman氏らは、2014年から2015年の間に外傷を負った66歳以上の高齢者245万3,655人(女性62.1%、平均年齢78.1歳)のメディケア請求データと、1年以上経過した後の追跡データの調査を行った。 外傷の原因としては、50.1%を転倒が占めていた。解析の結果、転倒が原因で外傷を負った高齢者では、それ以外の原因により外傷を負った高齢者と比べて、転倒から1年以内にADRDの診断を受ける者が有意に多いことが明らかになった(10.6%対6.1%、P<0.001)。死亡の競合リスクを考慮したCox比例ハザードモデルによる分析では、患者の人口統計学的属性や併存疾患、外傷の重症度などの調整後も、転倒を経験した高齢者では認知症の診断を受けるリスクが21%有意に増加することが示された(ハザード比1.21、95%信頼区間1.20〜1.21、P<0 .001)。 このような結果を受けてJarman氏は、「転倒の有無を認知機能低下の前兆としてとらえ、さらなる認知機能検査が必要な人を特定できる可能性がある」との見方を示す。また研究グループは、転倒後に治療のために病院に行く高齢者に対し、救急外来や病院で認知機能検査を受けることを推奨している。この点について研究グループは、「検査を受けることで認知機能低下が早期に発見され、必要な治療をより早期に受けられるようになる可能性がある」と補足している。 論文の筆頭著者であり、自身も転倒による入院患者を頻繁に診察しているというブリガム・アンド・ウイメンズ病院のAlexander Ordoobadi氏は、「われわれは、患者の外傷を治療し、リハビリテーションを提供するが、転倒と認知機能低下の関連を示唆するエビデンスが増えているにもかかわらず、転倒につながる根本的なリスク因子を見落としがちだ」と語る。 Ordoobadi氏は、「理想的には、転倒を経験した高齢者は、思考力や長期的な回復を監視できる主治医または老年病専門医によるフォローアップを受けるべきだ。しかし、多くの高齢者は主治医を持たず、老年病専門医へのアクセスもないのが現実だ」と指摘。その上で、「われわれの研究は、高齢者に早期に介入する機会と、総合的なケアを提供できる臨床医を増やす必要性を浮き彫りにしている」と述べている。

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migraine(片頭痛)【病名のルーツはどこから?英語で学ぶ医学用語】第14回

言葉の由来「片頭痛」の英名は“migraine”(マイグレイン)です。元々はギリシャ語の“hemikrania”(半頭痛)から派生した言葉だといいます。この言葉は、“hemi”(半分)と“kranion”(頭蓋)という言葉に由来しており、片側の頭部に強い痛みが集中することを意味します。これが後にフランス語に翻訳されて“migraine”と記述され、現代まで残っているとされます。片頭痛は、古代からさまざまな形で記録されてきましたが、その原因は長らく謎に包まれていました。古代ギリシャの時代には、頭痛は「ケレス」と呼ばれる悪霊によって引き起こされると信じられていたそうです。また、アリストテレスは、「頭が痛みにさらされるのは、胃から発生する悪しき液体が脳を乱すためだ」と述べていたといいます。現代でこそ、より科学的にそのメカニズムが解明されてきていますが、そのような時代から言葉が引き継がれていると思うと、感慨深いものがあります。併せて覚えよう! 周辺単語鎮痛薬analgesic閃輝暗点auraトリプタン療法triptan therapy光過敏photophobia音過敏phonophobiaこの病気、英語で説明できますか?Migraine is a neurological condition characterized by recurrent episodes of moderate to severe headaches often accompanied by nausea, sensitivity to light, and sound. The headache typically affects one side of the head and can last from hours to days.講師紹介

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血管性認知症に対する薬物療法〜ネットワークメタ解析

 血管性認知症は、代表的な認知症の1つであり、負担やコストが大きい。臨床医にとって、薬物療法が第1選択治療となることが多いが、利用可能な複数の治療オプションを比較した情報は、十分ではない。中国・四川大学のChun Dang氏らは、血管性認知症に対する各種薬物療法の有用性を比較するため、システマティックレビューおよびネットワークメタ解析を実施した。Frontiers in Pharmacology誌2024年8月22日号の報告。 血管性認知症成人患者を対象としたランダム化比較試験(RCT)を、PubMed、Cochrane Library、EMBASE、Web of Science、OPENGREY、ClinicalTrials.gov、Wanfang Data、CNKIよりシステマティックに検索し、ネットワークメタ解析を実施した。主要アウトカムには、ミニメンタルステート検査(MMSE)スコア、ADLスコア、副作用発生率の変化を含めた。介入戦略の有効性および安全性は、すべてRソフトウェアで生成されたフォレストプロット、累積順位曲線下面積(SUCRA)、ファンネルプロットを使用して包括的に分析した。 主な結果は以下のとおり。・21種類の抗血管性認知症治療薬とプラセボまたは未治療を比較した194件のRCTを分析に含めた。・MMSEスコアにおいて最も効果的な5つの薬剤は、butylphthalide、huperzine A、エダラボン、リバスチグミン、メマンチンであった。・ADLスコアにおいて有効であった上位5つの薬剤は、huperzine A、butylphthalide、tianzhi granule、ニセルゴリン、idebenoneであった。・薬物有害反応の発生率に関して、良好な安全性プロファイルを示した薬剤は、co-dergocrine mesylate、tongxinluo capsule、butylphthalide、ピラセタム、oxiracetamであった。 著者らは「本結果は、血管性認知症治療に関連する相対的なベネフィットとリスクに対する理解を深め、臨床上の意思決定において参考になるであろう」と結論付けている。

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社員の生活習慣とメンタルヘルス関連の欠勤率や離職率に有意な関連

 運動習慣のある社員や良好な睡眠を取れている社員の割合が高い企業ほど、メンタルヘルス関連での欠勤者や離職者が少ないという有意な関連のあることが明らかになった。順天堂大学医学部総合診療科学講座の矢野裕一朗氏らの研究結果であり、詳細は「Epidemiology and Health」に8月2日掲載された。 メンタルヘルスは世界各国で主要な健康課題となっており、日本人のメンタルヘルス不調の生涯有病率は20%を超えるというデータも報告されている。メンタルヘルス不調者の増加はその治療のための医療費を増大させるだけでなく、欠勤やプレゼンティズム(無理して出勤するものの生産性が上がらない状態)を介して間接的な経済負担増大につながる。このような社会課題を背景に経済産業省では、企業の健康経営を推進するため、健康経営優良法人の認定や健康経営銘柄の選定などを行っており、それらの基礎資料とするため「健康経営度調査」を行っている。 健康経営度調査では、喫煙者率、習慣的飲酒者率のほかに、普通体重(BMI18.5~25)の社員や運動習慣(1回30分、週2回以上)のある社員の割合、よく眠れている社員の割合、および、メンタルヘルス関連の欠勤率や離職率などが調査されている。矢野氏らは、2020年度の同調査のデータを用いた横断的検討を行った。この年の回答者数は1,748社で、社員数は合計419万9,021人、女性が26.8%、勤続年数は平均14.4±4.6年であり、メンタルヘルス関連の欠勤率は1.1±1.0%、離職率は5.0±5.0%だった。 交絡因子未調整の粗モデルの解析では、メンタルヘルス関連の欠勤率に関しては普通体重者の割合を除いて、前記の因子の全てが有意に関連していた。交絡因子(業種、上場企業か否か、勤続年数、および全ての生活習慣関連指標)を調整すると、習慣的飲酒者率との関連は有意性が消失したが、その他の因子は以下のように引き続き有意だった。まず、運動習慣のある社員が1パーセントポイント(PP)多いと、メンタルヘルス関連の欠勤率が0.005%低く(P=0.021)、よく眠れている社員が1PP多いことも同様に欠勤率が0.005%低いという関連があった(P=0.016)。また、喫煙者率が1PP高いことも、メンタルヘルス関連の欠勤率が0.013%低いことと関連していた(P<0.001)。 次に、離職率について見ると、粗モデルでの段階で、普通体重者の割合と運動習慣のある社員の割合は関連が非有意だった。前記同様の交絡因子を調整後、喫煙者率と習慣的飲酒者率については有意性が消失し、よく眠れている社員の割合のみが有意な因子として残り、その割合が1PP多いと離職率が0.020%低かった(P=0.034)。 著者らは、本研究が横断研究であるため因果関係の解釈は制限されるとした上で、「運動の奨励や睡眠習慣の指導は、社員のメンタルヘルス関連の欠勤や離職を防ぐ介入として有用といえるのではないか」と述べている。なお、喫煙者率が高いほどメンタルヘルス関連の欠勤が少ないという結果について、「今回のような一時点での横断解析では、先行研究においても、喫煙がストレスを軽減するというデータがある。しかし、経時的に評価した縦断研究では喫煙がメンタルヘルスに悪影響を及ぼすことや、禁煙介入によりメンタルヘルスが改善されることがシステマティックレビューからも報告されている。本研究は観察的および横断的なデザインであり、因果関係を立証することはできず、この点は限界点として認識すべき」と考察を述べている。

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降圧薬を減らすと認知機能の低下が抑制される!?

 中年期の高血圧は認知機能低下のリスクであるという報告があるが1)、日常生活動作(ADL)が低下している高齢者では血圧が高いほうが認知機能の低下が小さいという報告もある2)。このように、高齢者における降圧薬と認知機能の関係は複雑である。そこで、米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のBocheng Jing氏らの研究グループは、長期介護施設に入居する65歳以上を対象として、target trial emulationの手法を用いた後ろ向きコホート研究を実施した。その結果、降圧薬の減薬により認知機能の低下が抑制されることが示唆された。本研究結果は、JAMA Internal Medicine誌オンライン版2024年9月23日号で報告された。 研究グループは、2006~19年に長期介護施設へ入所した米国の退役軍人1万2,644例を対象に、target trial emulationの手法を用いた後ろ向きコホート研究を実施した。本研究の適格基準は65歳以上、12週間以上の入所などとし、血圧160/90mmHg超、心不全の既往、入所時に降圧薬の服用なしのいずれかに該当する患者は除外した。対象を降圧薬の使用状況に基づき、減薬群(前週と比較して使用薬剤数の減少または30%以上の用量減少が認められ、その状態が2週以上持続)、継続群に分類して最長2年間追跡した。主要評価項目は、Cognitive Function Scale(CFS、スコア範囲:1[正常]~4[重度障害])に基づく認知機能とした。 主な結果は以下のとおり。・対象1万2,644例(減薬群:1,290例、継続群1万1,354例)の平均年齢は77.7歳、男性の割合は97.4%(1万2,053例)であった。・追跡終了時に認知機能が低下(ベースライン時と比較してCFSスコアが悪化)していた割合は、継続群が12.1%であったのに対し、減薬群は10.8%であり、減薬群で有意な認知機能の低下抑制がみられた(調整オッズ比[aOR]:0.88、95%信頼区間[CI]:0.78~0.99、p=0.04、per protocol解析)。・減薬群における認知機能の低下抑制は、認知症を有する集団でも認められた(aOR:0.84、95%CI:0.77~0.98、per protocol解析)。 本研究結果について、著者らは「長期介護施設に入所する高齢者における降圧薬の減薬は、認知機能の低下を抑制することが示唆された。高齢者の薬物療法を最適化することにより、認知機能を維持し、有害事象を最小限に抑えるためには、患者中心のアプローチが重要であることが強調された」とまとめた。

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統合失調症と2型糖尿病リスクとの関連〜最新メタ解析

 統合失調症患者におけるメタボリックシンドロームは、臨床医にとって常に重要な課題の1つとなっている。これまでの研究では、統合失調症患者は2型糖尿病発症リスクが非常に高いと報告されている。近年、新たな観察研究が次々と報告されており、臨床医が統合失調症と2型糖尿病との関係をより正確に理解する必要性が高まっている。中国・済寧医学院のKai Dong氏らは、新たな観察研究を統合し、統合失調症と2型糖尿病リスクとの潜在的な関連性を評価するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Frontiers in Endocrinology誌2024年9月11日号の報告。統合失調症と糖尿病発症リスク増加との間に強い相関 MeSH(Medical Subject Headings)と関連キーワードを用いて、PubMed、Cochrane Library、Embase、Web of Scienceより包括的に検索した。コホート研究およびケースコントロール研究におけるバイアスリスクの評価にはニューカッスル・オタワ尺度(NOS)、横断研究にはAHRQ(Agency for Healthcare Research and Quality scale)を用い、スコアは元の研究の内容に基づいた。p>0.1かつI2が50%以下の場合、異質性が低いことを示す固定効果モデルを採用した。I2が50%超の場合、異質性が大きいことを示すランダム効果モデルを用いた。出版バイアスは、ファンネルプロットとEgger検定を用いて評価した。統計分析には、Stata統計ソフトウェアバージョン14.0を用いた。 統合失調症と2型糖尿病リスクとの潜在的な関連性を評価した主な結果は以下のとおり。・2004〜23年に公表された32件の観察研究(統合失調症患者:200万7,168例、非統合失調症患者:3,588万3,980例)をメタ解析に含めた。・統合分析では、統合失調症歴と2型糖尿病リスク増加との間に有意な関連が認められた(オッズ比[OR]:2.15、95%信頼区間[CI]:1.83〜2.52、I2=98.9%、p<0.001)。・女性の統合失調症患者(OR:2.12、95%CI:1.70〜2.64、I2=90.7%、p<0.001)は、男性患者(OR:1.68、95%CI:1.39〜2.04、I2=91.3%、p<0.001)と比較し、2型糖尿病リスクが有意に高かった。・WHO地域別では、EURO(欧州)の統合失調症患者は、WPRO(西太平洋)およびAMRO(米国)と比較し、2型糖尿病リスクが有意に高かった。【EURO】OR:2.73、95%CI:2.23〜3.35、I2=97.5%、p<0.001【WPRO】OR:1.72、95%CI:1.32〜2.23、I2=95.2%、p<0.001【AMRO】OR:1.82、95%CI:1.40〜2.37、I2=99.1%、p<0.001・フォローアップ期間では、20年超の統合失調症患者群は、10〜20年の群および10年未満の群と比較し、2型糖尿病リスクが有意に高かった。【20年超】OR:3.17、95%CI:1.24〜8.11、I2=99.4%、p<0.001【10〜20年】OR:2.26、95%CI:1.76〜2.90、I2=98.6%、p<0.001【10年未満】OR:1.68、95%CI:1.30〜2.19、I2=95.4%、p<0.001 著者らは「統合失調症と糖尿病発症リスク増加との間に強い相関が示されており、統合失調症が2型糖尿病の独立したリスク因子である可能性が示唆された」と結論付けている。

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「お元気そうですね」に患者さんの顔が曇るワケ【もったいない患者対応】第16回

「お元気そうですね」に患者さんの顔が曇るワケ病院に定期通院されている患者さんや、入院中の患者さんに「お元気そうですね」という言葉を使い、不快な思いをさせてしまう人がいます。患者さんが実際に元気で、ご本人が「調子が良い」と思っている状況であれば、「お元気そうですね」という言葉でスムーズに会話を始めることはできるでしょう。しかし、見た目は元気そうでも、実際にはそうではないケースは多々あります。注意すべきシチュエーションとくに、痛みやつらさをあまり表に出さない患者さんに対して「お元気そうですね」と言ってしまうと、「実際には苦痛を感じているのに、わかってもらえていない」と感じさせてしまうおそれがあります。患者さんの性格にかかわらず、そもそも外観に現れにくい病状は多くあります。一見すると元気なようでも、実はそうではなく、本人は自分の健康状態に問題を感じている、といったケースがあることに注意が必要です。また、「お元気そうですね」という言葉は、相手の健康状態をこちらの主観で判断し、「ね」という語尾で、その感想を相手に押しつけるようなニュアンスのあるセリフです。あるいは、「元気であってほしい」というような、医療者の利己的な期待感が表出したセリフだともいえます。医療者が患者さんに対して発するのであれば、やはり、「調子はいかがですか?」というオープンクエスチョンであるべきでしょう。「少し具合が悪そうですね」はOK明らかに調子が悪そうに見えたときに、「少し具合が悪そうですね。どうなさいましたか?」と聞くことは問題ないだろうと考えます。「自分の不調をきちんと見抜いてくれた」とポジティブな捉え方をしてもらえるからです。お互い何度も会ったことのある関係であっても、医療者と患者さんとの間柄では、会話を始めるときの最初の一言は大切です。不用意な一言で、のっけから嫌な気分にさせてしまわないよう注意しましょう。

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高用量ベンゾジアゼピン使用の特徴とは

 フィンランド・トゥルク大学のHanna Sarkila氏らは、新たにベンゾジアゼピン(BZD)を使用した患者におけるBZDの高用量使用と関連する社会人口学的および臨床的要因を調査した。BJPsych Open誌2024年9月23日号の報告。 対象は、2004〜05年にBZD未使用で、2006年に使用を開始した18〜65歳の新規BZD使用患者。フォローアップ期間は、5年または死亡までとした。BZDの用量は、PR E2DUP法に基づき、開始後6ヵ月ごとに1日当たりの定義済み1日用量(DDD)とし、ポイント推定値を算出した。用量カテゴリーに関連する社会人口学的および臨床的要因は、多項ロジスティック回帰を用いて調査した。 主な結果は以下のとおり。・5年間のフォローアップ期間中、BZDの超高用量使用(ジアゼパム換算量30mg以上)率は7.4%(3,557例)、中程度の高用量使用(ジアゼパム換算量10〜29mg)率は25.5%(1万2,266例)であった。・超高用量使用は、女性(4.6%)よりも男性(10.9%)で多く認められた。・超高用量使用パターンは、とくに若年層(18〜25歳)で多かった。・クロナゼパム(調整オッズ比[aOR]:3.86、95%信頼区間[CI]:3.24〜4.60)、ジアゼパム(aOR:2.05、95%CI:1.78〜2.36)、アルプラゾラム(aOR:1.76、95%CI:1.52〜2.03)で治療を開始すると、oxazepamで開始した場合と比較し、超高用量使用のオッズ比が上昇した。・中程度の高用量および超高用量によるBZD使用は、教育レベルの低さと関連が認められた。・全体として、超高用量使用の58%は、一般開業医で最初に処方されたBZD使用患者でみられた。 著者らは「クロナゼパム、ジアゼパム、アルプラゾラムを処方する場合には、用量増加リスクに注意する必要がある」と結論付けている。

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