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第2世代抗精神病薬治療104週間の最終治療結果〜国内JUMPs試験

 CNS薬理研究所の石郷岡 純氏らは、アリピプラゾール、ブロナンセリン、パリペリドンの104週間自然主義的研究である統合失調症に対する有用な薬物治療プログラム(JUMPs)試験の最終結果を報告した。BMC Psychiatry誌2024年9月5日号の報告。 本研究は、日本のリアルワールドにおける、第2世代抗精神病薬(SGA )3剤(アリピプラゾール、ブロナンセリン、パリペリドン)の長期的な有用性を検討するためのオープンラベル多施設共同ランダム化平行群間比較試験として実施された。対象は、抗精神病薬による治療または切り替えによる治療を必要とした20歳以上の統合失調症患者。主要エンドポイントは、104週にわたる治療中止率とした。副次的エンドポイントには、寛解率、個人的・社会的機能遂行度尺度(PSP)、安全性、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)、QOL(EuroQol-5 dimension[(EQ-5D])を含めた。 主な結果は以下のとおり。・対象患者数は、合計251例(アリピプラゾール:82例、ブロナンセリン:85例、パリペリドン:84例)。・104週時点での治療中止率に、有意な差は認められなかった(p=0.2385)。【アリピプラゾール】80.5%【ブロナンセリン】81.2%【パリペリドン】71.4%・寛解率(アリピプラゾール:42.9%、ブロナンセリン:46.7%、パリペリドン:45.8%)、PANSS、安全性などのエンドポイントも、同等であった。・全体コホートでは、104週目のPSP合計スコアの改善は、ベースラインと有意な違いが認められなかったが、104週目のQOLおよびPANSS合計スコア(すべてのサブスケールを含む)は、ベースラインと比較し、有意な改善が認められた(p<0.05)。・多変量解析では、治療中止の予測因子として、単剤療法切り替え前の罹病期間の短さおよびクロルプロマジン換算量1,000mg以上が確認された。 著者らは「104週の治療中止率は、アリピプラゾール、ブロナンセリン、パリペリドンで同等であった。寛解率、安全性、QOLなどの全体的な改善傾向は、治療継続において重要なポイントであることが示唆された」と結論付けている。

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手術後の音楽療法は患者の回復を早める

 手術後には音楽を聞くことで回復が早まるかもしれない。米カリフォルニア州北部医科大学外科分野教授のEldo Frezza氏らによるシステマティックレビューとメタアナリシスで、手術後の音楽療法により患者の不安や痛みが軽減し、心拍数の増加が抑制され、鎮痛薬の使用量も少なく済むことが示唆された。この研究結果は、米国外科学会臨床会議(ACS Clinical Congress 2024、10月19〜22日、米サンフランシスコ)で発表された。 Frezza氏は、「手術後に目を覚ました患者の中には、ひどくおびえていて、自分がどこにいるのか分からない人がいる」と話す。そして、「音楽は、覚醒してから平常の状態に戻るまでの移行を円滑に進め、移行に伴うストレスを軽減するのに役立つ可能性がある」と述べている。 この研究でFrezza氏らは、3つの論文データベースを用いて、「音楽」「騒音」「手術後」「手術」「転帰」「回復」のキーワードで検索を行い、該当論文のシステマティックレビューを実施した。その後、基準を満たした35件の研究の結果を基にメタアナリシスを行い、手術後の音楽療法が患者の転帰に及ぼす影響を検討した。 痛みに対する音楽療法の効果について報告していた研究は27件で、そのうちの19件で有意な軽減が確認されていた。患者が感じる痛みを数字で評価する指標であるヌーメリックレイティングスケール(numeric rating scale;NRS)による評価では約19%の減少、視覚的アナログスケール(VAS)による評価では約7%の減少が認められた。 不安に対する音楽療法の効果については7件の研究で検討されており、そのうちの4件で有意な減少が確認されていた。不安レベルは、状態-特性不安尺度(STAI)で評価されており、音楽療法を受けることで患者の自己報告による不安レベルは2.508点、つまり約3%減少したことが示されていた。 鎮痛薬の使用量に対する音楽療法の効果については5件の研究で検討されており、そのうちの2件で使用量が有意に少ないことが示されていた。それらの結果によると、音楽療法を受けた患者のモルヒネの使用量は、音楽療法を受けなかった患者の半分以下であったという。 心拍数に対する音楽療法の効果については10件の研究で検討されており、そのうちの6件で低下が示されていた。それらの結果によると、音楽療法を受けた患者では受けなかった患者に比べて、心拍数が4.565回/分少なかった。研究グループは、この心拍数の低下は重要だと指摘する。なぜなら、健康的な心拍数を維持することで、酸素や栄養素が体全体を効率よく循環し、特に手術を受けた部位の回復が促されるからだ。一方、心拍数が100を超える頻脈は、心房細動などの異常な心拍リズムを引き起こす可能性があり、命が危機にさらされることがあると指摘している。 研究グループの一員である、カリフォルニア州北部医科大学のShehzaib Raees氏は、「この研究により、手術後の音楽療法により痛みがどの程度減ったのかを具体的に示すことはできないが、患者自身が痛みの軽減を感じていることは明らかになった。これは、実際に痛みが減るのと同じくらい重要なことだとわれわれは考えている」と話す。Frezza氏は、「あるジャンルの音楽が他のジャンルの音楽より優れているということはない。音楽は一般に心を慰め、慣れ親しんだ場所にいるような気分にさせてくれる。それが、手術後の患者にさまざまな形で役立つ可能性があるとわれわれは考えている」と話している。 なお、学会発表された研究結果は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは一般に予備的なものと見なされる。

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日本人治療抵抗性うつ病患者に対するブレクスピプラゾール2mg補助療法の長期有用性

 うつ病患者では、抗うつ薬単独療法で治療反応が不十分な場合が少なくない。治療抵抗性うつ病に対するブレクスピプラゾール補助療法の有効性および安全性は、プラセボ対照ランダム化多施設共同並行群間第II/III相試験であるBLESS試験において確認されている。BLESS試験は、抗うつ薬単独療法で効果不十分であった日本人治療抵抗性うつ病患者740例を対象に、補助療法として6週間のブレクスピプラゾール1mg/日または2mg/日をプラセボと比較した試験である。関西医科大学の加藤 正樹氏らは、日本人治療抵抗性うつ病患者に対するブレクスピプラゾール2mg補助療法の52週間にわたる長期安全性および有効性を評価するため、本検討を行った。CNS Drugs誌オンライン版2024年10月18日号の報告。 52週間のオープンラベル試験では、6週間のBLESS試験を完了した患者および65歳以上の新規患者を対象とした。対象患者には、第1週目から固定用量としてブレクスピプラゾール2mg/日の漸増投与を行った。安全性評価には、治療中に発生した有害事象(TEAE、主要アウトカム)、臨床評価、検査値を含めた。有効性の評価には、Montgomery Asbergうつ病評価尺度(MADRS)、臨床全般印象度の改善度(CGI-I)、ハミルトンうつ病評価尺度17項目(HAMD-17)合計スコア、シーハン障害尺度(SDS)を用いた。 主な結果は以下のとおり。・安全性/有効性対象には247例(ロールオーバー患者:216例、新規患者:31例)を含め、そのうち138例(55.9%、ロールオーバー患者:132例、新規患者:6例)が試験を完了した。・発生率が10%以上のTEAEは、体重増加(33.2%、82例)、アカシジア(23.5%、58例)、鼻咽頭炎(21.1%、52例)、傾眠(10.5%、26例)であった。・治療中止に至るTEAE発生率は、すべての患者で26.7%、新規患者で58.1%。・ベースラインから52週目までの平均体重増加は、4.2±6.5kg(138例)であり、ベースライン後の診察で7%以上の体重増加が認められた患者の割合は、44.5%(110例)であった。・遅発性ジスキネジア、自殺/自殺企図に関連する有害事象は認められなかった。・原因不明の死亡例が1例報告されたが、治療とは無関係であると判断された。・52週間の試験期間中、ブレクスピプラゾールを投与されたすべての患者においてベースラインからのMADRS合計スコアの改善が認められた(平均変化:−7.3±8.7)。・すべての患者における52週目でのMADRSの治療反応率は41.3%(57例)、寛解率は34.8%(48例)であった。・52週間の試験期間中、CGI-S(平均変化:−0.8±1.0)、HAM-D17合計スコア(同:−5.9±6.3)、SDS平均スコア(同:−1.0±2.2)のベースラインからの改善が認められ、長期ブレクスピプラゾール治療による症状の持続的な改善が示唆された。 著者らは「本試験は、高齢者を含む日本人うつ病患者に対するブレクスピプラゾール2mg/日の安全性プロファイルを評価した初めての研究であり、これまでの報告と同様に、新たな安全性リスクは認められず、52週間にわたる持続的な有効性が確認された」と結論付けている。

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日本人の認知機能にはEPA/DHAに加えARAも重要―脳トレとの組合せでの縦断的検討

 パズルやクイズなどの“脳トレ”を行う頻度の高さと、アラキドン酸(ARA)やドコサヘキサエン酸(DHA)という長鎖多価不飽和脂肪酸(LCPUFA)の摂取量の多さが、加齢に伴う認知機能低下抑制という点で、相加的に働く可能性を示唆するデータが報告された。また3種類のLCPUFAの中で最も強い関連が見られたのは、DHAやエイコサペンタエン酸(EPA)ではなくARAだという。サントリーウエルネス(株)生命科学研究所の得田久敬氏、国立長寿医療研究センター研究所の大塚礼氏らの研究結果であり、詳細は「Frontiers in Aging Neuroscience」に8月7日掲載された。 認知機能の維持には、食習慣や運動習慣、脳を使うトレーニング“脳トレ”などを組み合わせた、多面的なアプローチが効果的であると考えられている。ただ、それらを並行して行った場合の認知機能に対する影響を、縦断的に追跡した研究報告は少ない。得田氏らは、栄養関連で比較的エビデンスの多いLCPUFAと脳トレの組み合わせが、加齢に伴う認知機能低下を抑制するのではないかとの仮説の下、以下の検討を行った。 この研究は、国立長寿医療研究センターが行っている「老化に関する長期縦断疫学研究(NILS-LSA)」のデータを用いて行われた。2006~2008年に登録された認知症のない60歳以上の地域住民から、EPA製剤が処方されておらずデータ欠落のない906人を解析対象とした。対象者の主な特徴は、平均年齢70.2±6.7歳、男性50.8%で、認知機能を表すMMSEは30点満点中28.1±1.6点であり、3日間の食事記録(サプリメント摂取も含む)から推計したLCPUFAの1日当たり摂取量の中央値は、ARAが152mg、EPAが280mg、DHAが514mgだった。また、クロスワードパズルや数字パズルなどの脳トレを、週1回以上行っている割合は、35.8%だった。 2年間の追跡で、MMSEが2点以上低下した場合を「認知機能の低下」と定義すると、180人(19.9%)がこれに該当。認知機能が低下した群はそうでない群に比べて、高齢で教育歴が短く、ベースライン時点のMMSEが高いことのほかに、ARA摂取量が少ない(140対154mg/日、P=0.005)という有意差が認められた。EPAとDHAの摂取量は認知機能低下と有意な関連を認めなかった。また、性別の分布、喫煙、アルコール摂取量、身体活動量、BMI、基礎疾患有病率、および脳トレの頻度も有意差がなかった。 脳トレの頻度および3種類のLCPUFAの摂取量について、それぞれの三分位で3群に分け、交絡因子(年齢、性別、BMI、喫煙、アルコール摂取量、身体活動量、教育歴、収入、基礎疾患、抑うつ傾向、MMSEなど)を調整して、認知機能の低下との関連を検討すると、脳トレの頻度の高さ(傾向性P=0.025)と、ARA摂取量の多さ(傾向性P=0.006)が有意に関連していた。EPAやDHAの摂取量との関連は非有意だった。有意な関連の認められた脳トレ頻度の高低(週1回以上/未満)、および、ARA摂取量の多寡(中央値以上/未満)とで全体を4群に分けて、双方が少ない群を基準として認知機能の低下のオッズ比(OR)を算出した結果、他の3群は全てオッズ比が有意に低く、双方が多い群で最も低いオッズ比(OR0.415)が観察された(傾向性P=0.001)。 ところで、本研究ではEPAやDHAと認知機能低下との関連が非有意だったが、海外からはEPAやDHAも認知機能に対して保護的に働くことを示唆するデータが複数報告されている。この違いの理由として、日本人は魚の摂取量が多いため、EPAやDHAの平均摂取量が海外の報告より約3倍以上高いことの影響が考えられる。そこで、本研究の対象者のうち、EPA、DHAの摂取量が下位3分の1の人に絞り込んで、上記と同様のサブグループ解析を施行した。その結果、DHAについては摂取量が多いほど認知機能低下のオッズ比が低いという有意な関連が認められ(傾向性P=0.023)、かつ、脳トレ頻度と組み合わせた4群での比較でも、双方が多いことによる相加的な影響が認められた(傾向性P=0.025)。一方、EPAに関してはこの対象の解析でも、有意性が見られなかった。 著者らは、「脳トレ頻度の高さとARA摂取量が多いことの組み合わせは、高齢日本人の認知機能低下リスクを相加的に抑制する可能性がある。また、魚介類の摂取量が少ない高齢者では、DHAも同様に作用すると考えられる」と結論付けている。

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絵本「ねないこだれだ」【なんでお化けは怖いの?なんで親は子どもにお化けが来るぞと言うの?(お化けの起源)】Part 1

今回のキーワード象徴機能被害念慮心の理論空想上の友達(イマジナリーフレンド)三項関係サイン言語伝承の心理神の起源皆さん、お化けは怖いですか? 小さい子供は怖がりますよね。それにしても、なぜお化けは怖いのでしょうか? そして、なぜ親は小さな子供にお化けが来るぞと脅すのでしょうか?これらの答えを探るために、今回は、絵本「ねないこだれだ」を取り上げます。「シネマセラピー」のスピンオフバージョン、「絵本セラピー」としてお送りします。この絵本を通して、お化けを怖がる心理とその起源を、発達心理学と進化心理学の視点から掘り下げます。これらを踏まえて、より良いお化けの怖がり方を一緒に探ってみましょう。お化けを怖がる心理とは?絵本「ねないこだれだ」は、子供が夜になかなか寝ないでいると、お化けがその子供をさらい、一緒に夜空の闇に消えていくというシンプルかつ恐ろしいストーリーです。まず、お化けを怖がる心理を大きく2つ挙げて、発達心理学の視点から整理してみましょう。(1)姿がよくわからない絵本の表紙を見てのとおり、お化けのフォルムは、いわゆる魂のイメージのようにぼうっとしていて、全体的に白く、足がなくて宙に浮いています。まさに何かが「化け」て出てきているような、得体の知れない存在です。ちなみに、お化けに足がないのは日本独特で、世界的にはお化けに足はあります1)。1つ目の特徴は、姿がよくわからないことです。つまり、本来は見えないものです。とくに、夜はものが見えにくいので、お化けは夜に現れるという設定も納得がいきます。また、夜は眠気から意識レベル(認知機能)が下がって見間違い(錯視)が起きやすいので、同じくお化けは夜に現れるという設定は理に適っています。それでは、本来は見えないものなのに、小さな子供はどうやってお化けを認識するようになるのでしょうか? 言い換えれば、子供はいつからお化けを怖がるようになるのでしょうか?1歳までは、見知らぬ人や大きな音など、その瞬間に目の前で見えたり聞こえたものだけを怖がります。もちろん、一人ぼっちになることへの不安(分離不安)や真っ暗闇であることへの不安(暗闇恐怖)は、もともとあります。しかし、お化けと言われても怖がりません2,3)。まだ目の前にいないものを認識できず、お化けの意味がわからないからです。2歳後半からようやく、目の前にいないものを認識できるようになり、それがお化けと呼ばれることを知ります3)。このように、言葉によって目の前にない(いない)ものを含めて何かを認識する心理機能は、象徴機能と呼ばれています。この機能の始まりは、生後9ヵ月目に親が指を差した方向や視線を向けた方向と同じ方向を見ることです。この時に、自分が見えていなくて相手が意図している何かをイメージするようになります。それは最初、「ママ」「パパ」や「ご飯」「お花」など実際に存在する具体的な人や物であるわけですが、やがて目に見えない抽象的なものにも広がっていきます。その最初が、お化けでしょう。つまり、生まれて最初に想像した目に見えないものはお化けということになります。ちなみに、2歳半という年齢は、目がない顔の絵に目を描き入れることができるようになる時期と一致しています。つまり、ざっくりとした形を言葉と紐付けてイメージすること(概念化)ができるようになり、「ない」ものや「いない」ものも言葉によって認識できるようになる時期であると言えます。なお、象徴機能の詳細については、関連記事1をご覧ください。次のページへ >>

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絵本「ねないこだれだ」【なんでお化けは怖いの?なんで親は子どもにお化けが来るぞと言うの?(お化けの起源)】Part 2

(2)何かされそうであるこの絵本の最後の2ページは、「おばけの せかいへ とんでいけ」「おばけに なって とんでいけ」と語られ、締めくくられます。その1ページ目の絵には、子供がお化けに引っ張られて、宙に浮いており、子供の足はすでにお化けと同じく足がなくなっています。その2ページ目は、夜空に2つのお化けのシルエットが浮かび、すでにその子供は完全にお化けにされてしまったことがほのめかされています。これは正直、大人が見てもギョッとします。2つ目の特徴は、何かされそうであることです。正体がわからないからこその怖さに加えて、親から教えられたり、まさにこのような絵本から知ることで、特殊能力の使い手であるお化けは、想像上の怖いものとして刷り込まれ、実際に子供を怖がらせる存在になるわけです。幼児における恐怖の対象の研究では、お化けという存在は、一人ぼっちでいること(分離不安)や真っ暗闇の中にいること(暗闇恐怖)と並んで最上位に位置します2)。これらの恐怖には、やはり何かされるのではないかという不安(被害念慮)が結びついています。ちなみに、ある3歳児がお化けのふりをして大人たちを怖がらせているうちに、だんだん自分自身が恐くなって泣き出すという報告があります3)。この現象は、4歳以降では起こりません。そのわけは、4歳に、相手には相手の心があるとわかる心理機能(心の理論)が発達し、自分とお化け(相手)の心を分けることができるようになるからです。この心の理論の発達とあいまって、3歳から6歳にかけて、姿がわからなくて何かされそうな存在は、お化けのほかに、幽霊(ゴースト)、化け物(モンスター)、鬼(悪魔)などとより具体的となり、細分化されていきます3)。そして、良いこともしてくれる妖精や天使、さらには万物の精霊(アニミズム)、恩恵と同時に罰も与える神に発展していきます。ちなみに、話しかけてくるなど実際にいるかのような空想上の友達(イマジナリーフレンド)として現れる心理現象を引き起こす場合もあります。子供にお化けを怖がらせる効果とは?以上より、ただでさえ子供はお化けを怖がるのに、なぜ親は子供にお化けが来るぞと脅すのでしょうか?この絵本でお化けは、夜中にぬいぐるみを持って立ち歩いている子供を発見し、「あれ あれ あれれ…」と言います。そして、「よなかに あそぶこは おばけに おなり」と言い渡します。つまり、お化けはやみくもに何かしてくるわけではなく、とくに言いつけを守らなかった時にやってくることがわかります。まさに、「ねないこだれだ」というタイトルがそれを示しています。つまり、子供にお化けを怖がらせるのは、子供がお化けを怖がることを利用して、しつけをするためであることがわかります。しつけとは、生活習慣から人間関係のマナーなど、社会のルールを教えることです。これは万国共通で、英語圏だと「いい子にしないと、ブギーマン(化け物)がさらいに来るよ」と言います。<< 前のページへ | 次のページへ >>

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絵本「ねないこだれだ」【なんでお化けは怖いの?なんで親は子どもにお化けが来るぞと言うの?(お化けの起源)】Part 3

お化けを怖がる起源とは?お化けを怖がる心理は、姿がよくわからず、何かされそうであることがわかりました。そして、親が子供にお化けを怖がらせるのは、しつけに利用できるからであることもわかりました。それでは、そもそもお化けはどうやって生まれたのでしょうか?ここで、「個体発生は系統発生を繰り返す」という考え方を体だけでなく心にも応用して、心の発達(個体発生)の順番から心の進化(系統発生)の順番を推測し、人類がお化けを怖がる起源を3つの段階に分けて迫ってみましょう。(1)目の前にいないものを認識する人類は、約700万年前に誕生してから、二足歩行をすることで手が自由になり、手に入れた獲物を余分に持ち歩けるようになりました。その余分な獲物をとくにオスがメスにプレゼントして、メスはそのお礼にセックスをして、そのオスとの間にできた子供を育てていました。これは、プレゼント仮説と呼ばれています。この時、オスとメスとの間にはプレゼントを介した関係(三項関係)が成り立ちます。たとえば、指差しや視線の向きで、「それちょうだい」「それあげる」というプレゼントのやり取りをするようになったでしょう。これが、指差し(意図共有)の起源です。人類に最も近いチンパンジーでも指差しはしないことから、これは、最初の人間らしさの1つでしょう。心の発達に置き換えると、指差しがわかるのは生後9ヵ月です。やがて、指差しや視線のやり取りは、「あのプレゼントちょうだい」「あのプレゼントあげる」のように、自分が見えていなくて相手が意図している何かをイメージするようになるでしょう。1つ目の段階は、相手のしぐさや表情によって目の前にない(いない)ものを認識することです。当時はまだ言葉を話すことができなかったため、コミュニケーションはもっぱらしぐさ(ジェスチャー)や表情などのサイン言語でした。これが、象徴機能の起源です。心の発達に置き換えると、象徴機能によって、目の前にいないもの(お化け)を認識するようになる2歳半です。つまり、人類がお化けを認識していたのは、人類の心の進化のかなり早い段階である可能性が推定できます。もちろん、当時は「お化け」という言葉はないわけですが、目に見えなくて得体の知れない何かの存在を認識はしていたでしょう。なお、プレゼント仮説の詳細については、関連記事2をご覧ください。(2)目の前にいないものの意図を考える約300万年前、人類は家族そして部族をつくり、助け合うようになりました。この時、相手と意図を共有するだけでなく、その意図は自分の意図とは別々である、つまり相手には相手の心(意図)があることがわかるようになりました。これが、心の理論の起源です。その後、長い時間をかけて、目の前にいない存在(お化け)の意図も気にするようになったのでしょう。2つ目の段階は、目の前にいないものの意図を考えることです。そして、その存在に何かされそうと不安に思ったことでしょう(被害念慮)。心の発達に置き換えると、お化けにはお化けの心(意図)があると思うようになるのは、4歳です。当時に、お化けを表すジェスチャーが用いられていたかもしれません。(3)目の前にいないものを怖がり怖がらせる約20万年前に、人類が言葉(音声言語)を話すようになりました。当時から、部族で起きた出来事を語り継ぐようになったでしょう。約10万年前、人類は貝の首飾りを信頼の証(シンボル)としてプレゼントするようになり、抽象的な思考ができるようになりました。当時から、語り継ぎの中で説明ができない現象は、お化けの仕業と説明され、その物語はどんどん抽象化されていったでしょう。そして、部族が団結して秩序を安定させるため、お化けを脅威として利用もしたでしょう。これは、民間伝承という文化であり、伝承の心理です。実際に、その中の多くには教訓(モラル)が盛り込まれています。そして、その罰として登場するのは、お化けのほかに、幽霊(ゴースト)、化け物(モンスター)、鬼(悪魔)、万物の精霊(アニミズム)、そして神へと発展していったでしょう。逆に言えば、神の起源はお化けと言えるでしょう。3つ目の段階は、社会のために目の前にいないものを怖がり、周りを怖がらせることです。心の発達に置き換えると、お化けが細分化されるのは3歳から6歳です。そして、この時期にお化けと教訓を含む多くのファンタジーの絵本が親から読み聞かされるわけです。人類史において、最初の抽象的思考は、貝の首飾りを信頼の証(シンボル)とする約10万年前とされています。しかし、心の発達の視点では、お化けを怖がるのは2歳半であるのに対して、首飾りなどのシンボルがわかるのは早くても4歳ぐらいです。このことから、もしかしたらお化けを怖がる方が、抽象的思考としては貝の首飾りよりも先だったと考えることもできるでしょう。むしろ、お化けを怖がり怖がらせるという伝承の心理を通してこそ、人類の抽象的思考(概念化)が発達したと考えることもできるでしょう。なお、伝承の心理の詳細については、関連記事3をご覧ください。<< 前のページへ | 次のページへ >>

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絵本「ねないこだれだ」【なんでお化けは怖いの?なんで親は子どもにお化けが来るぞと言うの?(お化けの起源)】Part 4

どう子供にお化けを怖がらせる?お化けを怖がる起源とは、目の前にいないものを認識する→目の前にいないものの意図を考える→目の前にいないものを怖がり怖がらせることであることがわかりました。そして、心の進化において、お化けを怖がることと抽象的思考(概念化)には密接な関係があることもわかりました。これを踏まえて、どう子供にお化けを怖がらせればいいでしょうか?それは、やはり子供に読み聞かせをするたびに、怖がることを一緒に楽しむことでしょう。そうすることで、人類の心が進化していったのと同じように、子供の心がより豊かに発達していきます。これは、サンタクロースを信じることにも通じます。「ねないこだれだ」のお化け本のシリーズには、怖そうでありながら、同時に友達になれそうな親近感のあるかわいらしいお化けがたくさん出てきます。よくよく見ると、実は子供と同じ身長と体型です。これこそこの本が、子供に「怖いけど、好き」と言わせ、永遠に愛され続けている最大の理由でしょう。1)「オバケ?」p.29、p.68:オバケ研究所編、ブルーシープ、20242)「幼児期における恐怖対象の発達的変化」p.131:富田昌平ほか、三重大学教育学部研究紀要(第68巻)教育科学、20173)「幼児はお化けをどのように認識しているのか?」p.316:富田昌平ほか、三重大学教育学部研究紀要(第71巻)教育科学、2020<< 前のページへ■関連記事伝記「ヘレン・ケラー」(前編)【何が奇跡なの? だから子供は言葉を覚えていく!(象徴機能)】Part 2映画「アバター」【私たちの心はどうやって生まれたの?(進化心理学)】Part 2昔話「うらしまたろう」(その2)【隠された陰謀とは?そして精神医学的に解釈するなら?(シン浦島太郎)】Part 2

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早期初潮がうつ病と関連〜メタ解析

 早期初潮とうつ病との関連におけるエビデンスには、一貫性がない。中国・北京師範大学のLing Jiang氏らは、早期初潮とうつ病との関連性を明らかにするため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2024年10月9日号の報告。 2024年6月17日までに公表された研究を複数のデータベースより検索した。プールされたエフェクトサイズを算出するため、ランダム効果モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・22研究、8万7,798例をメタ解析に含めた。・22研究のNewcastle-Ottawa Scale(NOS)スコアの範囲は4〜8、中央値は6。・早期初潮群は、非早期初潮群と比較し、うつ病スコア(標準平均差:0.13、95%信頼区間[CI]:0.04〜0.21)、うつ病発症率(オッズ比:1.37、95%CI:1.23〜1.52)が有意に高かった。・ただし、中程度の異質性が認められた(うつ病スコア:I2=54%、p=0.03、うつ病発症率:I2=61%、p=0.001)・サブグループ解析では、うつ病スコアと研究の種類(コホート研究:I2=57%、p=0.071、ケースコントロール研究:I2=61%、p=0.051)および研究の質(6以上:I2=58%、p=0.065、6未満:I2=62%、p=0.052)との有意な関連が認められた。 著者らは「早期初潮とうつ病との関連が明らかとなった。両親、学校、医療者は、より早期に初潮を迎えた女児のメンタルヘルスを注意深くモニタリングする必要がある」と結論付けている。

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大半の米国人が睡眠不足で日中の眠気に悩まされている

 米国成人の大半が睡眠不足であるという実態を示すデータが報告された。日中の眠気のために、仕事や人間関係に悪影響が生じたり、自動車運転時の反応速度にも負の影響が起きたりしている懸念があるという。米国睡眠医学会(AASM)が行った大規模な調査の結果であり、10月1日に同学会からプレスリリースが発行された。 この調査は、米国中の成人2,006人を対象に、2024年5月16~24日にオンラインで実施された。結果を解析したところ、米国成人の54%が「睡眠が足りない」と考えていることが明らかになった。さらに、10人中8人(82%)が日中に眠気を感じていて、そのことによって仕事、気分、人間関係などのうちの少なくとも一つに支障が生じていると回答した。 これらの結果を受けてAASMの広報担当者で睡眠専門医のAlexandre Abreu氏は、「日中の眠気を、単に厄介な症状と考えるべきではない。その影響は、仕事の生産性から個人的な人間関係まで、あらゆることに波及して、自分のベストを尽くしてパフォーマンスを発揮しようとしても、その努力を阻害してしまう可能性がある」との解説を加えている。実際、今回の調査でも、回答者のほぼ半数(47%)が、「眠気によって生産性が妨げられ、集中力を持続できず、効率的な仕事の遂行に困難を感じている」と答えた。また回答者の3分の1(31%)は、「眠気が仕事の質に影響する」と答えた。この点は女性に比べて男性において、「不満」として挙げられることがより多かった。 このほかにも、やはり3分の1ほど(34%)の回答者が、「眠気が記憶力や想起力に影響する」と考えていて、「運転中の反応時間に影響が出る」との回答も16%に上った。さらに注目すべきこととして、約4分の1(24%)の人が、「日中の眠気が家族や友人との関係に悪影響を与えている」と答えた。 Abreu氏は、「これらの調査結果は、日中の眠気の悪影響が広範囲に及ぶという事実を明確に示している。健康的な睡眠を取ることの重要性を認識して、睡眠に問題がある場合は、周囲に助けを求めることが非常に重要だ」と語っている。なお、AASMは、成人の場合、一晩に7時間以上の睡眠が必要だとしている。また、就寝時間を一定に保つこと、安眠できる環境を作ること、そして睡眠の問題がある場合には医師に相談することなども推奨している。

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早期アルツハイマー病治療薬ケサンラの臨床的意義とは/リリー

 日本イーライリリーは2024年10月29日、「ケサンラ承認メディアセミナー ~早期アルツハイマー病の当事者の方々が、自分らしく生活できる時間を伸ばす~」と題したメディアセミナーを開催した。早期アルツハイマー病(AD)治療薬「ケサンラ点滴静注液350mg」(一般名:ドナネマブ)は、同年9月24日に「アルツハイマー病による軽度認知障害及び軽度の認知症の進行抑制」を効能または効果として日本における製造販売承認を取得している。本セミナーの冒頭では、日本イーライリリーの片桐 秀晃氏(研究開発・メディカルアフェアーズ統括本部)が同社の取り組みとして、「世界中の人々のより豊かな人生のため、革新的医薬品に思いやりを込めて」という使命をもとに、認知症への理解促進と治療アクセスの向上に努め、共生社会の実現に向けて尽力していく意向を示した。認知症は診断前から病態が進行している ケサンラの投与対象となるのは軽度認知障害(MCI)および軽度の認知症の患者であるが、こういった患者の病態について古和 久朋氏(神戸大学大学院 保健学研究科)が解説した。ADの進行プロセスにおいては、アミロイドβが脳内に蓄積してアミロイドβプラーク(老人斑)が形成される現象が、MCIの発症前のプレクリニカル期から起こるとされている。その後はタウと呼ばれるタンパク質が蓄積し、神経細胞死、脳萎縮が続けて起こり、最終的に認知症になるということが明らかとなってきているという。ケサンラは、このアミロイドβプラークをターゲットとした抗体で、プラークに結合することで貪食細胞が脳内に蓄積したプラークを除去し、症状の進行を遅らせる薬剤とされる。認知機能低下の進行を抑制する治療薬 続いて、ケサンラの臨床試験結果について小森 美華氏(日本イーライリリー 研究開発・メディカルアフェアーズ統括本部)が解説した。国際共同第III相臨床試験であるAACI試験(TRAILBLAZER-ALZ 2試験)は、60~85歳の早期AD患者1,736例が参加した多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験で、ケサンラの有効性と安全性を評価した試験である。試験においては被験者を無作為にケサンラ群(860例)とプラセボ群(876例)に分け、4週ごとに72週間静脈内投与した。ケサンラ群においてアミロイドPETでアミロイドβプラークの除去が確認された患者は、盲検下のままプラセボ投与に切り替えられた。患者背景は、平均年齢が約73歳、ADのリスク因子とされるAPOEε4キャリアが約7割、MMSEの平均は約22点であった。主要評価項目は、ベースラインから76週までの統合アルツハイマー病評価尺度(iADRS)スコア(範囲:0~144、スコアが低いほど障害の程度が大きい)の変化量とされ、副次評価項目には臨床的認知症重症度判定尺度(CDR-SB)スコアの各項目スコアの合計(範囲:0~18、スコアが高いほど認知障害の程度が大きい)の変化量が含まれた。 76週時点のiADRSスコアの変化量は、全体集団ではケサンラ群で-10.19、プラセボ群で-13.11であり、進行抑制率は22.3%であった。そのうち、軽度/中等度タウ蓄積集団においては、ケサンラ群で-6.02、プラセボ群で-9.27であり、進行抑制率は35.1%であった。また、CDR-SBスコアの変化量は、全体集団ではケサンラ群で1.72、プラセボ群で2.42であり、進行抑制率は28.9%、軽度/中等度タウ蓄積集団では、ケサンラ群で1.20、プラセボ群で1.88であり、進行抑制率は36.0%であった。この結果は、全体集団においては76週の間で5.44ヵ月の症状進行の遅延に相当し、軽度/中等度タウ蓄積集団においては76週の間で7.53ヵ月の症状進行の遅延に相当するという。探索的評価項目であるアミロイドβプラーク除去(アミロイドPETで陰性の基準となる24.1センチロイド未満)を達成した患者の割合は、全体集団では52週で66.1%、76週で76.4%であり、軽度/中等度タウ蓄積集団では52週で71.3%、76週で80.1%であった。さらに、途中でケサンラからプラセボに投与を切り替えた集団においても、背景調整をしていない全体集団のプラセボ群との比較であるものの、76週にかけて継続してCDR-SBスコアの悪化の抑制が認められたという。 安全性については、有害事象の発現割合はケサンラ群で89.0%(759/853例)、プラセボ群で82.2%(718/874例)であった。アミロイド関連画像異常(ARIA)の発現に関して、ARIA関連事象の発現がケサンラ群で36.8%(314例)、プラセボ群で14.9%(130例)に認められた。その中でも、ARIA-E関連事象はケサンラ群で24.0%(205例)、プラセボ群で2.1%(18例)に、ARIA-H関連事象はケサンラ群で31.4%(268例)、プラセボ群で13.6%(119例)に認められた。ARIAの症状としては、頭痛や悪心、錯乱が多く報告されているという。 投与における注意点として、小森氏は「定期的なMRIの撮影や、点滴中や点滴後30分間の経過観察といった安全管理を行うこと」と語った。患者が自分らしく生きていけるための治療を目指して 最後に、古和氏は臨床試験結果からみたケサンラの臨床上の価値について語った。ケサンラの投与により1年で約66%の患者のアミロイドβプラークが除去されたことから、治療を早めに終えることで患者の負担を減らすことができ、さらに「アミロイドβプラークを除去すること」を医師と患者の共通の目標とできることは大きなメリットであるという。また、認知機能低下の進行を抑制できるということは、患者が現在の生活を少しでも長く続け、自分らしく過ごすことが可能になるという希望を与えることにつながるとされる。さらに同氏は、医療現場ではケサンラ投与患者のフォローアップ体制の整備が進んでいるとし、本薬剤について「現在の日本の医療体制であれば、十分に効果と安全性に考慮しながら投与できる薬だろう」と締めくくった。

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ベンゾジアゼピン中止戦略、マスクした漸減+行動介入の効果

 ベンゾジアゼピン(BZD)受容体作動性催眠薬(BZD睡眠薬)の臨床試験では、プラセボ効果が観察される。臨床ガイドラインでは、とくに高齢者においてBZD睡眠薬を中止し、不眠症の第1選択治療として不眠症の認知行動療法(CBT-I)が推奨されている。BZD睡眠薬の減量中に1日投与量をマスクし、プラセボ効果のメカニズムを活用してCBT-Iを強化する新たな介入方法が、BZD睡眠薬中止を促進するかは、不明である。米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のConstance H. Fung氏らは、BZD睡眠薬のマスクした減量と増強CBT-Iを併用した介入は、BZD睡眠薬の長期中止に寄与するかを検討するため、ランダム化臨床試験を実施した。JAMA Internal Medicine誌オンライン版2024年10月7日号の報告。 対象は、大学および退役軍人省医療センターで現在または過去に不眠症に対しジアゼパム換算量8mg未満の用量でロラゼパム、アルプラゾラム、クロナゼパム、temazepam、ゾルピデムを3ヵ月以上、2回/週以上使用した55歳以上の患者。2018年12月〜2023年11月のデータを収集した。データ分析は、2023年11月〜2024年7月に実施した。BZD睡眠薬のマスクした減量と増強CBT-Iを併用した介入(MTcap群)と標準CBT-IとマスクしないBZD睡眠薬漸減による介入(SGT群)との比較を行った。主要有効性アウトカムは、治療終了後6ヵ月(6ヵ月ITT)でのBZD睡眠薬の中止率とし、7日間の自己申告による服薬記録を行い、サブセットについては尿検査測定を行った。副次的アウトカムは、治療後1週間および6ヵ月後の不眠症重症度質問票(ISI)スコア、治療1週間後にBZD睡眠薬の中止率、治療後1週間および6ヵ月後のBZD睡眠薬の投与量とDysfunctional Beliefs About Sleep-Medication subscaleとした。 主な結果は以下のとおり。・詳細なスクリーニングを行った338例のうち対象患者188例(平均年齢:69.8±8.3歳、男性:123例[65.4%]、女性:65例[35.6%])は、MTcap群92例、SGT群96例にランダムに割り付けられた。・MTcap群は、SGT群と比較し、6ヵ月後のBZD睡眠薬の中止率向上、1週間後のBZD睡眠薬の中止率向上、1週間後のBZD睡眠薬の1週間当たりの使用頻度の減少が認められた。【6ヵ月後のBZD睡眠薬の中止率】MTcap群:64例(73.4%)、SGT群:52例(58.6%)、オッズ比(OR):1.19、95%信頼区間[CI]:1.03〜3.70、p=0.04【1週間後のBZD睡眠薬の中止率】MTcap群:76例(88.4%)、SGT群:62例(67.4%)、OR:3.68、95%CI:1.67〜8.12、p=0.001【1週間後のBZD睡眠薬の1週間当たりの使用頻度】−1.31、95%CI:−2.05〜−0.57、p<0.001・フォローアップ時のISIスコアは、両群間で有意な差がなく改善が認められた(ベースラインから1週間後:1.38、p=0.16、6ヵ月後:0.16、p=0.88)。 著者らは「プラセボ効果のメカニズムをターゲットとしたBZD睡眠薬の減量とCBT-Iとの新たな併用療法により、BZD睡眠薬の長期中止率を改善することが示唆された」と結論付けている。

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成人ADHDに対するメチルフェニデート+SSRI併用療法

 うつ病は、成人の注意欠如多動症(ADHD)の一般的な併存疾患であるため、このような患者には、メチルフェニデート(MPH)と選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の併用療法が行われる。しかし、成人ADHDにおけるMPHとSSRI併用療法の安全性に関する臨床的エビデンスは、限られている。韓国・亜洲大学のDong Yun Lee氏らは、うつ病を併発した成人ADHD患者に対するMPHとSSRI併用療法の安全性を評価した。JAMA Network Open誌2024年10月1日号の報告。 2016年1月〜2021年2月の韓国請求データベースよりデータを収集した。対象は、ADHDおよびうつ病と診断され、MPHを処方された18歳以上の成人患者。処方内容により4群に分類し、比較を行った。より好ましい治療オプションを検討するため、SSRI+MPH(SSRI群)、MPH単剤(MPH群)、MPH+fluoxetine(fluoxetine群)、MPH+エスシタロプラム(エスシタロプラム群)の比較を行った。データ分析は、2023年7〜12月に実施した。神経精神医学的およびその他のイベントを含む17の主要および副次的アウトカムを評価した。対照アウトカムとして、呼吸器感染症を用いた。交絡因子を調整するため傾向スコアを用い、各群1:1でマッチングした。ハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)を算出するため、Cox比例ハザード回帰モデルを用いた。性別によるサブグループ解析およびさまざまな疫学的設定での感度分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・対象は、成人ADHD患者1万7,234例(研究参加時の平均年齢:29.4±10.8歳、女性:9,079例[52.7%])。・MPH群とSSRI群におけるアウトカムのリスクに差は認められなかったが、SSRI群では、頭痛リスクが低かった(HR:0.50、95%CI:0.24〜0.99)。・fluoxetine群とエスシタロプラム群における感度分析では、fluoxetine群はエスシタロプラム群よりも、高血圧(HR[1:nマッチング]:0.26、95%CI:0.08〜0.67)、脂質異常症(HR[1:nマッチング]:0.23、95%CI:0.04〜0.81)のリスクが低かった。 著者らは「うつ病を併発した成人ADHD患者に対するSSRI+MPH併用療法は、MPH単独と比較し、有害事象の有意な増加は確認されなかった。SSRI併用は、頭痛リスクの低下と関連している可能性が示唆された」と結論付けている。

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精神科病床数はどのくらい必要なのか〜メタ解析

 チリ・ディエゴポルタレス大学のAdrian P. Mundt氏らは、精神科病床の必要数を推定し、これが時間経過とともにどのように変化したかを調査したうえで、実際の病床数との比較を行った。Psychological Medicine誌オンライン版2024年9月26日号の報告。 2022年9月13日までに公表された研究を、PubMed、Embase classic、Embase、PsycINFO、PsycIndex、Open Grey、Google Scholar、Global Health EBSCO、Proquest Dissertationsより検索した。対象研究には、精神科入院病床の必要数の推定を検討した研究を含めた。必要推定値、入院期間、推定年を抽出した。必要推定値は、中央値および四分位範囲(IQR)を用いて統合した。また、同じ時間と場所における必要推定値と実際の病床普及率を算出した。 主な結果は以下のとおり。・98件の推定値を含む65件の研究が特定された。・病床の需要推定値は、2000年まで低下傾向であったが、その後安定していた。・2000年以降の最新研究26件(入院期間未指定病床:15件、短期入院病床:7件、長期入院病床:4件)の推定値データを統合した。・人口10万人当たりの必要推定中央値は、入院期間未指定病床47(IQR:39〜50)、短期入院病床28(IQR:23〜31)、長期入院病床10(IQR:8〜11)であった。・2000年以降の必要推定値と実際の病床普及率の中央値は1.8(IQR:1.3〜2.3)であった。 著者らは「歴史的に、精神科病床の必要推定値は、2000年ごろまで減少していたが、それ以降は安定しており、実際の病床数よりも低値から高値に変化していた。病床数のさらなる削減を推奨している場合、この政策を見直す必要性が示唆された」とまとめている。

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オピオイド使用障害、治療中止リスクが低い薬剤は?/JAMA

 オピオイド使用障害(OUD)に対するオピオイド作動薬治療(OAT)のレジメンに関する国際的なガイドラインでは、競合する治療選択肢の有効性の比較に関するエビデンスが限られているため、依然として意見が分かれているという。カナダ・サイモンフレーザー大学のBohdan Nosyk氏らは、メサドンと比較してブプレノルフィン/ナロキソンは、治療中止のリスクが高く、死亡率は両群で同程度であることを示した。研究の詳細は、JAMA誌オンライン版2024年10月17日号で報告された。ブリティッシュコロンビア州の後ろ向きコホート研究 研究グループは、OUDの治療におけるブプレノルフィン/ナロキソンとメサドンの有用性を比較評価する目的で、住民ベースの後ろ向きコホート研究を行った(米国国立薬物乱用研究所[NIDA]などの助成を受けた)。 カナダ・ブリティッシュコロンビア州の9つの健康管理データベースを用いて患者のデータを収集した。年齢18歳以上、オピオイド依存と診断され、2010年1月1日~2020年3月17日にブプレノルフィン/ナロキソンまたはメサドンの新規処方を受けた全患者を対象とした。治療開始時に収監中、妊娠中、がん緩和療法中の患者は除外した。 主要アウトカムは、24ヵ月以内の治療中止(投薬中断日数が、ブプレノルフィン/ナロキソンは6日以上、メサドンは5日以上継続した場合と定義)および全死因死亡とした。initiator解析で24ヵ月治療中止率が高かった 研究期間中にOATの初回投与を受けた新規処方者3万891例(ブプレノルフィン/ナロキソン群39%、男性66%、年齢中央値33歳)をinitiator解析(ベースラインの交絡因子を調整するために傾向スコアと操作変数を用いた)の対象とし、このうち1週目の投与量が最適でなかった患者を除いた2万5,614例をper-protocol解析(ガイドライン推奨用量でのアウトカムを比較するために打ち切り法を用いた)の対象とした。 新規処方者のinitiator解析では、メサドン群に比べ、ブプレノルフィン/ナロキソン群で24ヵ月時の治療中止率が高かった(88.8% vs.81.5%、補正後ハザード比[HR]:1.58[95%信頼区間[CI]:1.53~1.63]、補正後リスク差:10%[95%CI:9~10])。また、per-protocol解析において至適用量で評価した治療中止率の推定値の変化は限定的なものであった(42.1% vs.30.7%、1.67[1.58~1.76]、22%[16~28])。死亡リスクは両群とも低い 投与期間中の24ヵ月時の死亡率に関するper-protocol解析では、新規処方者(ブプレノルフィン/ナロキソン群0.08%[10件]vs.メサドン群0.13%[20件]、補正後HR:0.57[95%CI:0.24~1.35])、および新規・既存処方者(prevalent new user)(0.08%[20件]vs.0.09%[45件]、0.97[0.54~1.73])のいずれにおいても両群とも値が低く、曖昧な結果が示された。 これらの結果は、フェンタニル導入後やさまざまな患者サブグループを通じて、また感度分析でも一貫していた。 著者は、「北米などの地域では、より強力な合成オピオイドの使用が増加し続けていることから、治療中止のリスクを軽減するために、OUD患者の治療のあらゆる側面に関する診療ガイドラインはその再考が求められる」としている。

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不十分な情報でも「自分は正しい」と思い込むのはなぜか

 人は、実際には全体像の一部しか把握していないにもかかわらず、決断を下すのに十分な情報を持っていると思い込みがちであることが、新たな研究で明らかになった。米オハイオ州立大学英語学教授のAngus Fletcher氏らによるこの研究結果は、「PLOS ONE」に10月9日掲載された。Fletcher氏は、「本研究により、人は概して、情報に基づいた意思決定をするために、他にも役立つ情報があるかどうかを検討してみようとはしないことが分かった」と述べている。 把握している情報量が実際には不十分であるにもかかわらず十分だと信じてしまう現象を、「情報の十分性の錯覚(illusion of information adequacy)」という。Fletcher氏らは、この概念は、限定的で偏った情報源から情報を得ているに過ぎない場合でも、人がいかに確固とした強い意見を持ち得るのかを説明するのに役立つと述べている。Fletcher氏は、「人に、一見矛盾しないと思われる情報をいくつか与えれば、ほとんどの人は『それは正しいようだ』と言って、それに従うだろう」と述べている。 この研究でFletcher氏らは、1,261人の米国人(男性59%、平均年齢39.8歳)を対象にオンラインで実験を行った。試験参加者は3群に分けられ、それぞれの群が、水不足の問題が生じている架空の学校についての記事を読んだ。ただし、1つ目の群が読んだ記事には、十分な水がある別の学校と合併すべき理由のみが、2つ目の群が読んだ記事には、十分な水がある別の学校とは合併せずに他の解決策を期待すべき理由のみが述べられていた。3つ目の群(対照群)が読んだ記事は、学校の合併に関する議論と、別々にとどまるための議論の両方が述べられた完全な内容の記事だった。 その結果、半分の内容の記事しか読んでいない1つ目と2つ目の群の参加者は、それでも「自分は確固たる決断を下すのに十分な情報を持っている」と信じ、読んだ記事の推奨に従うと答えたことが示された。Fletcher氏は、「本来の情報量の半分しか持っていなかった参加者の方が、全ての情報を持っていた参加者よりも、合併するべきか、別々にとどまるべきかの決断に対する自信が大きかった。彼らは、全ての情報を持っていなかったにもかかわらず、自分たちの決断は正しいと確信していた」と述べている。さらに、半分の情報しか持っていなかった人は、「他のほとんどの人も、自分と同じ決断を下すだろう」と考えていたことも判明した。 しかし、この実験では、一筋の希望の光も見えた。研究グループによると、記事の半分だけを読んでいた人の中には、その後、残りの半分の情報を読んだ人もいた。そうした人の多くが、自分の意見を変えることに抵抗を示さなかったという。ただしFletcher氏は、特に、固定化したイデオロギー的立場に関連する問題に関しては、全ての情報が提供されたとしても、それによってその人が考えを変えるとは限らないと指摘する。なぜなら、このような場合、人は新たな情報を信頼できないものとして切り捨てたり、既存の見解に合致するよう再解釈したりするからだ。 Fletcher氏は、「とはいえ、人間関係での衝突のほとんどはイデオロギーによるものではない。日常生活の中で生じる、ちょっとした誤解が原因だ」と話す。そして、「自分の立場を表明したり決断を下したりする前に、自分がその状況について十分に理解しているかどうかを確認する必要がある」と述べている。同氏はさらに、「この研究で明らかになったように、人には、関連する事実を全て知っていると思い込む思考パターンが備わっている。よって、誰かと意見が合わないときには、まず、相手の視点や立場をもっとよく理解するのに役立つ何かを見落としていないかを考えてみるべきだ。それが『情報の十分性の錯覚』と戦う方法だ」と助言している。

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せん妄で認知症リスク5倍~日本の入院患者26万例のデータ

 せん妄は、高齢者、とくに高齢入院患者の意識障害に影響を及ぼすことが多い。近年、せん妄歴と認知症リスク上昇との関連を報告したエビデンスが増加している。しかし、多くの研究は、主に患者数の少ない術後およびICU患者に焦点が当てられており、範囲が限定されているため、適応範囲が広いとはいえない。大阪医科薬科大学の南 博也氏らは、入院患者全体を対象に、せん妄の発生率およびその後の認知症発症リスクを調査した。さらに、入院中のせん妄発現とその後の認知症発症との相関も調査した。Frontiers in Psychiatry誌2024年9月13日号の報告。 大阪医科薬科大学病院の患者26万1,123例を含む10年間の電子カルテデータセットを用いて、レトロスペクティブコホート分析を実施した。主な分析は、2022年10月〜2023年1月に行った。主要アウトカムは、抗認知症薬(ドネペジル、ガランタミン、メマンチン、リバスチグミン)の処方により定義した認知症の発症とした。 主な結果は以下のとおり。・1万781例が適格基準を満たした。・認知症発症までの中央値は、せん妄歴のない患者で972.5日、せん妄歴を有する患者で592.5日であり、明らかに短かった。・せん妄発生後の認知症発症のハザード比は5.29(95%信頼区間:1.35〜20.75)であった。 著者らは「本結果は、入院中のせん妄予防の重要性とせん妄発生患者の認知機能低下に対するモニタリングおよび介入の重要性を強調している」としている。

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お茶やベリー類など、フラボノイド摂取が認知症リスクを低下

 ベリー類、お茶(紅茶・緑茶)、赤ワイン、ダークチョコレートなどの食品や飲料に含まれるフラボノイドの摂取量と、認知症リスクの関連について、英国・クイーンズ大学ベルファスト校のAmy Jennings氏らが調査を実施した。本研究は英国の約12万人を対象に実施され、フラボノイドが豊富な食品を日常的に摂取することで、認知症リスクを大幅に低減することが示唆された。JAMA Network Open誌2024年9月18日号掲載の報告。 本研究は、2006~10年のUKバイオバンクのデータを使用し、40~70歳の12万1,986例が対象となった。追跡期間は平均9.2年(標準偏差[SD] 1.5)で、2023年9月にデータ解析が行われた。参加者の食事データについて、206種類の食品と32種類の飲料の消費頻度が、食事評価アンケートを用いて記録され、合計5回の評価が行われた。食事評価データを2回以上有し、食事評価期間に認知症と診断されていない参加者が選出された。 食事評価データから、フラボノイド摂取量が算出された。主なフラボノイド供給源は、お茶、赤ワイン、ベリー類、リンゴ、ブドウ、柑橘類、ピーマン、タマネギ、ダークチョコレートだった。フラボダイエットスコアは、フラボノイドを豊富に含む食品の1日当たりの摂取量(サービング数)とした。認知症リスクとフラボノイド摂取の関連を評価するため、Cox比例ハザード回帰モデルが使用された。 主な結果は以下のとおり。・参加者12万1,986例の平均年齢は56.1(SD 7.8)歳、女性55.6%。中央値9.4年(IQR 9.3~9.8)の追跡期間中に、882例の新たな認知症発症が確認された。・1日当たりのフラボダイエットスコアの中央値は4.3(IQR 2.8~5.9)で、そのうち中央値2.7(IQR 1.0~4.0)はお茶からだった。・参加者をフラボダイエットスコアで5段階に分け、最も高い群(中央値7.3[IQR 0.0~8.1])と、最も低い群(中央値1.4[IQR 0.8~1.9])を比較した。最も高い群のほうが認知症リスクの低下が認められた。調整ハザード比(aHR):0.72、95%信頼区間[CI]:0.57~0.89、傾向のp=0.03。・最も高い群において、お茶、赤ワイン、ベリー類の中央値摂取量は、それぞれ1日当たりお茶5(IQR 4.0~5.6)、赤ワイン0(0.0~1.0)、ベリー類0.5(0.0~1.0)で、これらの摂取量を満たしていない群と比較して、認知症リスクの低下が認められた。aHR:0.62、95%CI:0.46~0.84。・以下のサブグループ解析でも、フラボダイエットスコアが最も高い群は、最も低い群と比較して、いずれも認知症リスクの低下が認められた。 遺伝的に認知症リスクが高い参加者において、aHR:0.57、95%CI:0.42~0.78。 うつ症状がある参加者において、aHR:0.52、95%CI:0.33~0.81。 高血圧のある参加者において、aHR:0.70、95%CI:0.52~0.94。 本結果により、フラボノイドを豊富に含む食事スコアが高いほど認知症リスクが低くなり、とくに、遺伝的リスクが高い人、うつ症状、高血圧症のある人でリスクの低下が顕著に認められた。お茶やベリー類などを日常の食事に取り入れることで、高リスク者でも認知症リスクが低下する可能性が示唆された。

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薬物乱用頭痛に対する薬物療法の比較〜ネットワークメタ解析

 薬物乱用頭痛の治療に対する予防薬の必要性については、議論の余地が残っている。中国・雲南大学のFanyi Kong氏らは、薬物乱用の改善を含む、薬物乱用頭痛の治療に利用可能な薬剤の相対的なベネフィットおよび安全性を評価するため、本研究を実施した。The Journal of Headache and Pain誌2024年10月7日号の報告。 薬物乱用頭痛に対するさまざまな薬剤の効果を比較するため、文献検索を通じて、ランダム化比較試験のシステマティックレビューを実施した。介入効果の比較をランク付けするため、ランダム効果ネットワークメタ解析を行った。アウトカムのベースラインからの改善には、治療反応率(頭痛頻度50%以上の減少)、急性薬物乱用の改善率、1ヵ月当たりの頭痛および急性期治療薬の減少を含めた。エビデンスの信頼性の評価には、Grading of Recommendations, Assessment, Development & Evaluation(GRADE)を用いた。 主な結果は以下のとおり。・スクリーニングした8,248件のうち、28件を分析対象に含めた。・トピラマートは、プラセボと比較し、治療反応率(オッズ比[OR]:4.93)、頭痛頻度(加重平均差[WMD]:−5.53)、急性期治療薬使用(WMD:−6.95)に有益であり、忍容性、有害事象の増加などの安全性(OR:0.20)も良好であった。・フレマネズマブ(OR:3.46〜3.07)、ガルカネズマブ(OR:2.95)、A型ボツリヌス毒素(OR:2.57)は、治療反応率が高かった。・急性薬物乱用の改善は、eptinezumab(OR:2.75 〜2.64)、フレマネズマブ(OR:1.87〜1.57)、A型ボツリヌス毒素(OR:1.55)がプラセボよりも優れていた。・eptinezumab(OR:3.84〜3.70)、フレマネズマブ(OR:2.60〜2.49)、エレヌマブ140mg(OR:2.44)、A型ボツリヌス毒素(OR:2.16)は、エレヌマブ70mgよりも有効性が高く、安全性および忍容性に差は認められなかった。 著者らは「薬物乱用頭痛の治療反応率向上には、フレマネズマブ、ガルカネズマブ、eptinezumabが有望であった。急性薬物乱用の改善には、eptinezumabが最も有効で、次いでフレマネズマブであった。A型ボツリヌス毒素は、治療反応率を中程度で改善し、急性薬物乱用の改善に小さな効果が認められた」と結論付けている。

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幸福感が脳卒中や心筋梗塞からあなたを守る

 幸福感が高い人ほど、脳卒中や心筋梗塞のリスクが低いことを示唆するデータが報告された。中国科学技術大学脳卒中センターのWen Sun氏らの研究によるもので、詳細は「Journal of the American Heart Association」に9月18日掲載された。 論文の上席著者であるSun氏は、「われわれの研究結果は、人々の精神的な健康を高めることが心臓や脳の病気の予防に不可欠な要素であることを意味しており、健康管理への総合的なアプローチの重要性を支持するものと言える」と述べている。さらに同氏は、「医療専門家は、患者の幸福を高める効果的な方法として、習慣的な身体活動、社会活動、ストレス管理テクニックを推奨するなど、生活満足度と幸福感を向上させる戦略を、日常のケアの一部として含めることを検討する必要があるのではないか」とも付け加えている。 この研究は、英国の一般住民を対象に行われている大規模疫学研究「UKバイオバンク」の参加者、12万1,317人(平均年齢56.56±8.15歳、男性45.03%)のデータを用いて行われた。参加者の幸福感は、UKバイオバンク研究登録時に行われていた調査票の回答を基に把握した。具体的には、家族、友人関係、健康、仕事、暮らし向きに関する幸福感や満足感などを、6段階のリッカートスコアで判定して定量的に評価した。 中央値11.77年の追跡期間中に、脳卒中5,990件、慢性虚血性心疾患9,177件、心筋梗塞6,462件、心不全3,323件が発生。結果に影響を及ぼし得る因子(年齢、性別、BMI、喫煙・飲酒習慣、民族、腎機能、基礎疾患、血圧・脂質・血糖管理のための薬剤処方など)を調整後、幸福感のスコアが1標準偏差高いごとに、脳卒中(ハザード比〔HR〕0.89〔95%信頼区間0.87~0.91〕)、慢性虚血性心疾患(HR0.90〔同0.88~0.92〕)、心筋梗塞(HR0.83〔0.81~0.85〕)、心不全(HR0.90〔0.87~0.93〕)のリスクが有意に低下することが示された。 また、幸福感のスコアに基づき4群に分け、スコアが最も低い群を基準として比較すると、最もスコアの高い群は、脳卒中は45%、慢性虚血性心疾患は44%、心筋梗塞は56%、心不全は51%、それぞれ低リスクであることが分かった。さらなる分析の結果、幸福感の高い人は、より健康的なライフスタイルを維持していて、慢性炎症のレベルが低いことが明らかになった。Sun氏は、「これらの結果は、感情や心理的な健康が身体的な健康に及ぼす影響力の強さを強調しており、これまで十分に理解されていなかった複雑な生物学的メカニズムに光を当てるものだ」と総括している。 本研究には関与していない米国心臓協会(AHA)のGlenn Levine氏は、「報告された研究結果は、精神的健康と心血管のリスクとの関連性を具体的に示している。精神的健康に関してはこれまで当然のことながら、うつ病やストレスなどのネガティブな事象が研究テーマとなっていた。しかしこの研究は、人々の幸福感というポジティブな面の重要性を明示した」と述べている。

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