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腰痛と脂質異常との関連、BMIが交絡

 これまでに横断研究によって腰痛の有病率と脂質異常との関連が示唆されているが、その因果関係は明らかになっていない。ノルウェー・オスロ大学病院のIngrid Heuch氏らは、地域住民を対象とした前向きコホート研究HUNT2およびHUNT3のデータを解析し、現時点で腰痛を有していない人が腰痛を発症するリスクと脂質異常との関係にはBMIが交絡していることを明らかにした。また、すでに腰痛を有している男性では、「HDLコレステロールの低値が痛みの強さに影響する可能性がある」と指摘している。PLoS One誌オンライン版2014年9月18日号の掲載報告。 研究グループは、総コレステロール、HDLコレステロールおよびトリグリセライド値と、腰痛との関連を検討することを目的に、HUNT2研究(1995~1997年)およびHUNT3研究(2006~2008年)のデータを用いて、試験開始時の腰痛の有無別に11年後の慢性腰痛の有無について解析した。 解析対象は30~69歳の成人で、試験開始時に腰痛を有していなかった女性1万151例/男性8,731例、腰痛を有していた女性3,902例/男性2,666例であった。 主な内容は以下のとおり。・試験開始時に腰痛のなかった女性は、年齢のみで補正した解析において、調査終了時の慢性腰痛のリスクとHDLコレステロール値が負の相関を、トリグリセライド値は正の相関を示した。・同関連性は、試験開始時の他の因子(学歴、就労状況、身体活動、喫煙、血圧、BMI)で補正後は、ほとんど認められなかった。相対リスク(RR)は、HDLコレステロール値1mmol/L当たり0.96(95%CI:0.85~1.07)、トリグリセライド値1単位当たり1.16(同:0.94~1.42)。・総コレステロール値は、腰痛と関連していなかった。・試験開始時に腰痛を有した女性と腰痛のない男性では、弱い関連性が観察された。・試験開始時に腰痛を有した男性は、すべての因子で補正した解析において、HDLコレステロール値と負の相関が認められた(RR:0.83、95%CI:0.72~0.95)。

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残業時間と高血圧は逆相関~日本の横断研究

 長時間労働は、心血管疾患リスクの増加と関連しているが高血圧との関係は不明である。J-ECOH(Japan Epidemiology Collaboration on Occupational Health)スタディグループの今井 鉄平氏らは、日本の大規模企業研究データを使用して、残業と高血圧の関係を横断研究により検討した。その結果、残業時間と高血圧は逆相関することが示唆された。Chronobiology International誌オンライン版2014年9月17日号に掲載。 参加者は、健康診断データと自己報告の残業データがある4社の労働者5万2,365人。収縮期血圧140mmHg以上、拡張期血圧90mmHg以上、または降圧薬服用者(もしくはその両方)を高血圧と定義した。ロジスティック回帰分析を用いて、残業時間によるカテゴリ(月間45時間未満、45~79時間、80~99時間、100時間以上)別に高血圧のオッズ比(年齢・性別・会社・喫煙状態・BMIを調整)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・高血圧の有病率は残業時間の増加に伴って減少する傾向があった(残業時間の少ないカテゴリから順に17.5%、12.0%、11.1%、9.1%)。・年齢、性別、会社の調整オッズ比(95%信頼区間)は、それぞれ1.00(基準)、0.81(0.75~0.86)、0.73(0.62~0.86)、0.58(0.44~0.76)であった(線形傾向のp<0.001)。・サブコホートにおいて、この逆相関は、他の潜在的な交絡因子を追加調整後も統計的に有意であった。

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56)禁煙しても体重を増やさない方法【糖尿病患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話 医師禁煙の準備の方は、いかがですか? 患者禁煙すると、体重が増えるのが心配で・・・ 医師確かに、そうですね。一般的に禁煙すると2~3㎏、体重が増えますからね。 患者やっぱりそうですか? 体重が増えると、糖尿病になるんじゃないかと思って・・・ 医師禁煙してから5年間くらいは、糖尿病リスクが高まります。10年くらい経つと、そのリスクはなくなります。 患者5年間ですか。体重が増えない方法や糖尿病にならないための注意点を教えてください。 医師わかりました。禁煙と食事制限を同時に行うと、禁煙に失敗する人が多いですから、運動療法を併用しましょう。 患者はい。わかりました。●ポイント禁煙指導とともに、体重増加予防のための運動療法を推奨します●資料喫煙自体は糖尿病発症リスクを高める(1.44倍)。禁煙後、男性では1.42倍、女性では 2.84倍と高まる(5年間、日本の報告)。英国での報告では10年ほど経つと、その差がなくなる。25本以上の喫煙(OR = 2.15)、糖尿病の家族歴(OR=1.51)がある人が禁煙後に糖尿病になりやすい。 1) 坂根直樹. Q&Aでわかる肥満と糖尿病. 2010; 9: 711-712. 2) Oba S, et al. PLoS One. 2012; 7: e17061.

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高血圧治療は個々のリスク因子合併を考慮した“トータルバスキュラーマネージメント”が重要(解説:桑島 巌 氏)-237

日本動脈硬化学会によるガイドラインでは、高脂血症の薬物治療開始基準を一律に決定するのではなく、性、年齢、血圧、糖尿病の有無など血管系リスク層別化を考慮した治療目標を設定すべきことが示されている。これは、これまでのメタ解析で、血管合併症のリスクの高い症例ほど薬物治療による絶対的リスク減少が大きいことが明らかになっているからである。 同じような考えが高血圧治療においてもいえることを実証したのが、このメタ解析である。 BPLTTCは、高血圧・高脂血症治療に関して、世界で最も信頼性の高いメタ解析を発表しているグループである。メタ解析で採用された臨床試験は、いずれも試験開始前に一次エンドポイント、二次エンドポイント、試験方法、症例数、解析方法など詳細に登録を行ったもののみを対象としており、そのエビデンスレベルは非常に高いことで知られている。 今回の報告は、高血圧治療効果についても、心血管合併症予防効果を絶対的リスク減少でみた場合、リスク因子を多く有している症例ほど有効性が大きいことを示している。 治療による有用性は相対的リスク減少で表される場合があるが、これはしばしば効果を誇大に表現することになる。たとえば、リスクの少ない症例100を対象とした場合、治療群の発症は1例、プラセボ群では2例とすると相対的リスク減少は50%(なんと半減!)になるが、絶対的リスク減少は100人中1例に過ぎない。NNT100、つまり100人治療してやっと1例の発症を予防できることになる。治療効果は絶対的リスク減少、あるいはNNT(Number Needed to Treat)で表すのが本当である。 本研究は11の臨床研究に参加した約5万2千例の対象症例を、プラセボ群のデータから予測された数式を用いて、11%未満の低リスク群、11~15%の軽度リスク群、15~21%の中等度リスク群、21%以上の高リスク群の4群に層別した。高リスク群は当然、喫煙率、心血管疾患既往、糖尿病、収縮期血圧のいずれもが他の群より高い。 その結果、5年間の心血管合併症発症は、相対的リスク減少でみた場合には4群間で差はなく、治療の有効性はどの群でも同じようにみえる。しかし、絶対的リスク減少でみると、高リスク群が最も高血圧治療薬による効果が大きく、ついで中等度、軽度、低リスクの順になっている。 この結果は、高血圧治療の開始基準あるいは降圧目標値の設定においても、血圧以外のリスク因子にも配慮した“トータルバスキュラーマネージメント”の考え方が重要であることを示している。当然ながら、高齢者はさまざまなリスク因子を併せもつ症例が多いことから、高リスク症例が多い。したがって、高齢者ほど厳格な高血圧治療が必要であることを意味しているのである。

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職場高血圧とは

Dr.桑島の高血圧をわかりやすく説明できるスライドサラリーマンの3人に1人 が、「職場高血圧」!メモ「職場高血圧」は仮面高血圧の1種です。以下をすべて満たせば、その疑いが濃厚です。①検診時の血圧が正常値 ②BMIが25以上 ③喫煙する④両親や兄弟が高血圧 ⑤45歳以上監修:東京都健康長寿医療センター顧問 桑島 巌 氏Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.

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喫煙は高血圧・血管疾患のリスク

Dr.桑島の高血圧をわかりやすく説明できるスライド喫煙に伴う血圧の変化喫煙者 は喫煙収縮期血圧(mmHg)偽喫煙140130高血圧予備軍!1201101001本目メモ2本目3本目4本目喫煙習慣を有する健常者10例が一晩禁煙後、翌朝15分間隔で4本のタバコを吸った際の血圧の変化Groppelli A, et al. J Hypertens. 1992; 10: 495-499.喫煙時間が長いほど、血圧が高い時間帯が長くなります。それだけ血管への負担は大きくなり、動脈硬化などの血管病になるリスクが増します。タバコは、肺がんや食道がんだけでなく、血管病にも悪影響を及ぼします。監修:東京都健康長寿医療センター顧問 桑島 巌 氏Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.

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【GET!ザ・トレンド】糖尿病とがんに関する総説

はじめに糖尿病により発がんおよびがん死のリスクが増加する可能性が、近年注目されている1)。また、糖尿病を有する患者ががんになると、生命予後、術後予後が不良であることが報告されている。本稿では両者の関連についてレビューする。糖尿病とがんの関連性糖尿病とがんは、食事、運動不足、喫煙、飲酒など、さまざまな生活要因を介して相互関連している(図1)が、さらに治療薬の関与も示唆されてきている。図1を拡大する糖尿病患者が世界的に急増していることから、糖尿病の予防だけでなく、がん予防対策、がん検診の有効性、さらには糖尿病治療薬に関する研究と診療での認識が重要となってきた。糖尿病では、心血管疾患による死亡が増加するが、がん死の多いわが国では、糖尿病においてもがんは死亡の主因である。そこで、日本でも、日本糖尿病学会と日本癌学会が合同で国民および医療者に対するステートメントを発表している2)(表)。表を拡大する参考を拡大する疫学的エビデンス筆者らが行ったメタアナリシスによると、糖尿病患者は非糖尿病患者に比べて、がんを発症するリスクが約1.2倍と有意に高値であった3)(図2)。図2を拡大するまた、この数値はがんによる死亡リスクについてもほぼ同様3)で、国内外で認められている。さらに、人種間、男女間の比較においても、いずれも糖尿病患者でよりがんのリスクが上昇する傾向を認め、さらにアジア人は非アジア人よりも上昇率が高いことが判明した4)。日本人においては、臓器別でみると、大腸がん、肝臓がん、膵臓がんの有意なリスク上昇と関連していた2)。糖尿病による発がん機序糖尿病とがんの関連性には、高インスリン血症、高血糖、肥満、炎症、糖尿病治療薬などさまざまな因子が複雑に関与している2)(図3)。図3を拡大する1)高インスリン血症2型糖尿病は、インスリン抵抗性と代償性高インスリン血症を特徴とする。さらに2型糖尿病患者では、肥満や運動不足が多く、高インスリン血症がさらに進行する。インスリンは、insulin-like growth factor-1(IGF-1)受容体を介してがんを誘発することが想定されおり、動物実験で証明されている。一方ヒトでは、1型糖尿病のがんリスクは2型糖尿病より低いものの、一般人との比較では結論に達していない。 なお、糖尿病患者での前立腺がんのリスクが低値であることには、以下の機序が想定されている。糖尿病患者では、性ホルモン結合グロブリンが低値であり、さらにインスリン抵抗性によりテストステロン産生が低下するためにテストステロン低下症が少なくない。 前立腺がんは、テストステロン依存性であるため、糖尿病患者では前立腺がんのリスクが低下する。ただし人種差があるため、日本人を含むアジア人ではこの傾向を認めていない(図2)。2)高血糖2型糖尿病のがん細胞増殖や転移は、高血糖で促進されることが報告されている。また、血糖値とがんリスクには正の相関があることも報告されている。さらに高血糖は、酸化ストレスを高め、それが発がんの第1段階であるDNA損傷を引き起こすことも提唱されている。インスリン分泌不全が2型糖尿病の特徴とされる日本人・韓国人でも私たちの分析でがんリスクの増加を認めたことは、この仮説に合致し、近年発表された前向き研究統合解析でも血糖値とがん死リスクの正の相関傾向が示されている5)。疫学データの限界疫学データではバイアスが少なからず伴い、計算で完全に調整することはできない。とくに、糖尿病の診断は自己申告であることが多いこと、糖尿病患者は通院しているためにがんを発見しやすいなどにより妥当性が低下する。糖尿病に伴うがんリスクは、過大評価されている可能性があり、若干割り引いて解釈することも重要である。参考文献1)Noto H, et al. J Diabetes Investig. 2013; 4: 225-232.2)糖尿病と癌に関する委員会. 糖尿病. 2013; 56: 374-390.3)Noto H, et al. Endocr Pract. 2011; 17: 616-628.4)Noto H, et al. J Diabetes Investig. 2012; 3: 24-33.5)Seshasai SR, et al. N Engl J Med.2011; 364: 829-841.

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野菜摂取増で肝細胞がんリスク低下

 野菜の摂取量を1日当たり100g増やすことで肝細胞がん(HCC)の発症リスクが8%低下することが、中国・浙江がん病院のYang Yang氏らのメタ解析によって明らかとなった。果物では同様の結果は認められなかった。著者らは、今回の知見について、検証アンケートや交絡因子を厳密にコントロールしたさらなる研究によって確認されるべきとしている。Gastroenterology誌オンライン版8月12日号掲載の報告。 これまで、野菜や果物の抗がん作用については広く調査されてきたが、野菜や果物の摂取量とHCC発症との関係については、定量化されていない。この関連性を明らかにするために、観察研究のメタ解析を行った。 1956年から2014年5月31日までに投稿された論文をPubMed、Web of Science、EMBASEを用いて検索し、適格な研究を同定した。ランダム効果モデルを用いて要約相対リスク(RRs)を算出し、用量反応解析により関連性を定量的に評価した。各研究間のばらつきは、コクランのQとI2統計量を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・本メタ解析には、19件の研究に129万45例の参加者と3,912例のHCC患者が含まれていた。・野菜の低摂取群と比較した、野菜高摂取群のHCC要約RRは0.72(95%信頼区間[CI]:0.63~0.83)であった。また、1日当たりの野菜摂取量が100g増えるとリスクは8%低下した(要約RR 0.92、95%CI:0.88~0.95)。・サブグループ解析では、この逆相関の関連性が、肝炎の既往歴、飲酒、喫煙、エネルギー摂取量にかかわらず変化しないことが示された。・果物の低摂取群と比較し、果物高摂取群におけるHCCの要約RRは0.93(95%CI:0.80~1.09)であり、1日当たりの果物摂取量が100g増えることによる要約RRは0.99(95%CI:0.94~1.05)であった。

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肥満で10がん腫の発症増加/Lancet

 過体重や肥満は、子宮体がんや胆嚢がんなど10のがん種の発症増加に寄与していることが、英国・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のKrishnan Bhaskaran氏らの検討で示された。前立腺がんと閉経前乳がんは肥満者では少ないこともわかった。BMIが高いと特定のがんに罹患しやすくなることが、いくつかのコホート試験やメタ解析で示されている。しかし、がんのリスクパターンの特性を、可能性のある交絡因子を補正したうえで、大規模かつ詳細に検討した試験はこれまでなかったという。Lancet誌オンライン版2014年8月14日号掲載の報告。約524万人のプライマリ・ケア患者データを解析 研究グループは、BMIと頻度の高い22のがん種の関連を評価する地域住民ベースの前向きコホート試験を実施した。解析には、英国のプライマリ・ケアの診療記録が登録されたClinical Practice Research Datalink(CPRD)のデータを使用した。線形および非線形モデルを用い、がんの発症に及ぼす性別、閉経状態、喫煙、年齢の影響を考慮した検討を行った。 524万3,978人が解析の対象となった。このうちBMI<18.5が16万5,530人、18.5~25が257万1,573人、≧25が250万6,875人だった。全体の年齢中央値は37.9歳、女性が54.6%であり、喫煙者は35.5%、軽度飲酒者は57.2%、中等度飲酒者は10.2%、重度飲酒者は2.6%で、糖尿病既往歴ありは3.6%であった。 16万6,955人が、対象となったがんを発症した。BMIは22種のがんのうち17種と有意な関連を示したが、影響の程度はがん種によってばらつきがみられた。BMI 1上昇でがん患者が年間3,790人増加 BMIが5増加するごとに発症率が有意に上昇したがん種は、子宮体がん(ハザード比[HR]:1.62、99%信頼区間[CI]:1.56~1.69、p<0.0001)、胆嚢がん(1.31、1.12~1.52、p<0.0001)、腎がん(1.25、1.17~1.33、p<0.0001)、子宮頸がん(1.10、1.03~1.17、p=0.00035)、甲状腺がん(1.09、1.00~1.19、p=0.0088)、白血病(1.09、1.05~1.13、p≦0.0001)であった。 BMIは、全体として肝がん(HR:1.19、99%CI:1.12~1.27)、結腸がん(1.10、1.07~1.13)、卵巣がん(1.09、1.04~1.14)、閉経後乳がん(1.05、1.03~1.07)の発症と正の相関を示した(p<0.0001)が、これらの関連にはBMIや他の背景因子の程度でばらつきが認められた。 BMIと前立腺がん、閉経前乳がんのリスクは全体(それぞれ、HR:0.98、99%CI:0.95~1.00、0.89、0.86~0.92)および生涯非喫煙者(それぞれ、0.96、0.93~0.99、0.89、0.85~0.94)の双方で逆相関を示した。これに対し、BMIと肺がん、口腔がんのリスクには生涯非喫煙者では関連はなかったものの(それぞれ、0.99、0.93~1.05、1.07、0.91~1.26)、いずれのがんも喫煙者と元喫煙者では逆相関の関係が認められ、交絡因子としての喫煙の影響が推察された。 一方、BMIと正相関する10のがん種に占める過体重や肥満に起因するがんの割合は、子宮体がんが40.8%、胆嚢がんが20.3%、腎がんが16.6%、肝がんが15.6%、結腸がんが11.1%、子宮頸がんが7.5%、卵巣がんが7.3%、白血病が6.3%、閉経後乳がんが5.1%、甲状腺がんは1.9%であった。 また、英国の一般人口では、BMIの1の上昇により、上記のBMIと正相関する10のがん種のうち1つを発症する患者が年間3,790人増加すると推定された。 著者は、「一般人口レベルでBMIは実質的にがんのリスクと関連することがわかった」とし、「BMIが正常範囲内であっても、高めであればリスクが増大するがんもある。また、英国ではこの12年間にBMIがほぼ1上昇しており、この傾向に歯止めをかける戦略を検討すべき」と指摘している。

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手湿疹リスクが高いのはどんな人?

 小児期に手湿疹やアトピー性皮膚炎との関連が高く、水仕事に就いており、乳幼児の子育てをしている28~30歳の人で、手湿疹の発生率および有病率が高いことが明らかにされた。南デンマーク大学のC.G. Mortz氏らによるコホート研究の結果で、検討では、喫煙、教育レベル、小児期のニッケルアレルギーは無関係であったことも報告されている。British Journal of Dermatology誌オンライン版2014年8月7日号の掲載報告。 任意抽出した成人の手湿疹の発生率や有病率の評価は、いくつかの試験で行われている。しかし、任意抽出の小学生を成人まで追跡し、手湿疹発生やそのリスク因子について評価する検討は行われていなかった。 本試験では、青少年期から成人期までの手湿疹の発生率と、若年成人の手湿疹の有病率、および両者のリスク因子を推定した。 1995年に8年生(平均年齢14歳)を任意に抽出しコホートを作成、2010年に同コホートの登録者に、アンケートの記入と臨床検査(パッチテストなど)を受けるよう求め、結果について分析した。 主な結果は以下のとおり。・1,501例が1995年に任意抽出され、2010年に同コホートから1,206例が追跡を受けた。・結果、手湿疹の発生率は1,000人年当たり8.8であった。・若年成人の1年間の有病率(1-year-period prevalence)は14.3%(127/891例)、時点有病率は7.1%(63/891例)で、女性で有意に高率であった。・臨床試験では、6.4%(30/469例)で手湿疹が確認された。・成人の手湿疹について小児期の重大因子は、アトピー性皮膚炎と手湿疹であった。・成人になり水仕事に就いていること、また家庭で乳幼児の子育て中であることがリスク因子であった。・任意抽出の若者における手湿疹は、病気休暇/手当受給/リハビリテーションと関連しており、重大な社会的影響がある可能性が示された。・喫煙、教育レベル、小児期のニッケルアレルギーは無関係であった。

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6分間歩行で統合失調症患者の身体評価

 フランス・モンペリエ第1大学のP. Bernard氏らは、統合失調症患者を対象とした研究での6分間歩行試験(6MWT)の意義について、システマティックレビューにて評価を行った。その結果、統合失調症患者が6分間に早歩きできる距離(6MWD)は健常成人と比べ概して短いこと、BMIが高値、喫煙量が多い、高用量の抗精神病薬服用、身体的な自己認識が低いことと負の関係にあることなどを報告した。そのうえで著者は、統合失調症患者の身体的健康モニタリングに6MWTが使用可能であるとし、「今後の研究において、その予測因子としての役割を検討するとともに、その測定特性の評価を継続すべきである」と述べている。Disability and Rehabilitation誌オンライン版2014年8月7日号の掲載報告。 6MWTは、6MWDを測定する亜最大運動負荷試験である。研究グループは、介入効果を測定する際の6MWTの適合性を評価し、統合失調症患者の6MWDを一般集団およびマッチさせたコホートと比較、また6MWD決定要因の特定、6MWTの測定特性や品質手順などを調査した。5つのデータベースを用いて、2013年8月に公表されたフルテキスト文献をシステマティックレビューした。 主な結果は以下のとおり。・16件の研究が選択された。・6MWDの有意な増加を報告した介入研究がなかったため、介入の影響を測定する際の6MWTの適合性については評価を行わなかった。・成人統合失調症患者の歩行距離は、健常成人と比較して全般的に短いようであった。・レビュー対象となった研究の平均6MWDは、421~648mの範囲にあった。・統合失調症患者において、通常、6MWDはBMI高値、喫煙量が多い、高用量の抗精神病薬、低い身体的自己認識と負の関係にあった。・6MWTの信頼性は高かったが、これまで、その基準の妥当性について検討されていなかった。・ガイドラインが存在するにもかかわらず、レビュー対象の研究で用いられていた6MWTの方法には大きなばらつきがあった。・将来、統合失調症患者に対して推奨される身体的健康モニタリングに6MWT を含めるべきであることが示唆された。・6MWTはリハビリテーションに影響を及ぼし、統合失調症患者における機能的運動能力を評価するものであった。・治療介入の影響を6MWTで測定した患者は確認できなかった。・以上の結果を踏まえて著者は、「臨床医は、統合失調症における機能的運動能力を考える際、過体重、抗精神病薬の使用、身体に関する自己認識などを考慮に入れるべきである。また、重篤な精神疾患患者に6MWTを施行する際には、米国胸部学会などによる国際標準に従うべきである」とまとめている。関連医療ニュース 統合失調症に対し抗精神病薬を中止することは可能か 統合失調症患者は、なぜ過度に喫煙するのか 統合失調症患者の突然死、その主な原因は  担当者へのご意見箱はこちら

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睡眠障害対処 12の指針

睡眠障害対処12の指針睡眠時間は人それぞれ、日中の眠気で困らなければ十分1刺激物を避け、眠る前には自分なりのリラックス法眠たくなってから床に就く、就床時刻にこだわりすぎない同じ時刻に毎日起床光の利用でよい睡眠5規則正しい3度の食事、規則的な運動習慣昼寝をするなら、15時前の20~30分7眠りが浅いときは、むしろ積極的に遅寝・早起きに8睡眠中の激しいイビキ・呼吸停止や足のぴくつき・むずむず感は要注意十分眠っても日中の眠気が強いときは専門医に睡眠薬代わりの寝酒は不眠のもと睡眠薬は医師の指示で正しく使えば安全41021136912厚生労働省 精神・神経疾患研究委託費 睡眠障害の診断・治療ガイドライン作成とその実証的研究班. 平成13年度研究報告書Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.睡眠障害対処12の指針(説明編)1. 睡眠時間は人それぞれ、日中の眠気で困らなければ十分睡眠の長い人短い人、季節でも変化、8時間にこだわらない。歳をとると必要な睡眠時間は短くなる。2. 刺激物を避け、眠る前には自分なりのリラックス法就寝前4時間のカフェイン摂取、就寝前1時間の喫煙は避ける。軽い読書、音楽、ぬるめの入浴、香り、筋弛緩トレーニング。3. 眠たくなってから床に就く、就床時刻にこだわりすぎない眠ろうとする意気込みが頭をさえさせ寝つきを悪くする。4. 同じ時刻に毎日起床早寝早起きでなく、早起きが早寝に通じる。日曜に遅くまで床で過ごすと、月曜の朝がつらくなる。5. 光の利用でよい睡眠目が覚めたら日光を取り入れ、体内時計をスイッチオン。夜は明るすぎない照明を。6. 規則正しい3度の食事、規則的な運動習慣朝食は心と体の目覚めに重要、夜食はごく軽く。運動習慣は熟睡を促進7. 昼寝をするなら、15時前の20~30分長い昼寝はかえってぼんやりのもと。夕方以降の昼寝は夜の睡眠に悪影響8. 眠りが浅いときは、むしろ積極的に遅寝・早起きに寝床で長く過ごしすぎると熟睡感が減る9. 睡眠中の激しいイビキ・呼吸停止や足のぴくつき・むずむず感は要注意背景に睡眠の病気、専門治療が必要10.十分眠っても日中の眠気が強いときは専門医に長時間眠っても日中の眠気で仕事・学業に支障がある場合は専門医に相談。車の運転に注意。11.睡眠薬代わりの寝酒は不眠のもと睡眠薬代わりの寝酒は、深い睡眠を減らし、夜中に目覚める原因となる12.睡眠薬は医師の指示で正しく使えば安全一定時刻に服用し就床。アルコールとの併用をしない。厚生労働省 精神・神経疾患研究委託費 睡眠障害の診断・治療ガイドライン作成とその実証的研究班. 平成13年度研究報告書Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.

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違法薬物使用への簡易介入は効果なし/JAMA

 プライマリ・ケアのスクリーニングで特定した不健全な薬物使用について、簡易介入(brief intervention)では効果がないことが明らかにされた。米国・ボストン大学公衆衛生大学院のRichard Saitz氏らが無作為化試験の結果、報告した。米国では、不健康なアルコール摂取への介入効果をエビデンスの1つとして、違法薬物使用および処方薬誤用についての大がかりなスクリーニングと簡易介入が行われているという。しかし有効性のエビデンスはなく、プライマリ・ケアでは一般的な予防サービスとしてそうした介入を推奨していなかった。JAMA誌2014年8月6日号掲載の報告。専門性に基づく簡易介入群vs. 簡易介入なし群で効果を比較 研究グループは、不健康な薬物使用(違法薬物使用または処方薬誤用)への効果的な介入とされる2つのカウンセリング方法、すなわち簡易ネゴシエート面接(brief negotiated interview:BNI)と動機付け面接(motivational interviewing:MOTIV)と、それら簡易介入を行わない対照群の3群を比較し、有効性について検討した。 試験は、ボストン都市部の病院をベースとしたプライマリ・ケアの内科で行われた。2009年6月~2012年1月にスクリーニングにより特定された(飲酒、喫煙、薬物関与のスクリーニング検査[ASSIST]で薬物特異的スコアが4以上)528例の薬物使用患者を対象とした。 BNI群では構造化面接法を用いた健康教育が10~15分行われ、MOTIV群では動機付け面接に基づく30~45分の介入と20~30分のブースター介入が、修士号取得者レベルのカウンセラーによって行われた。また試験参加者全員に、薬物依存症の治療および互助リソースが示されたリストが渡された。 主要アウトカムは、各被験者が特定した過去30日間に使用した主な薬物について、追跡6ヵ月時点で使用していた日数であった。副次アウトカムには、自己申告の使用薬物量、毛髪検査による薬物使用、ASSISTスコア(重症度)、薬物使用の影響、安全でない性交、互助ミーティングへの出席、ヘルスケアサービスの利用などを含んだ。介入3群間に有意差なし 試験開始時に、被験者が報告した主な使用薬物は、マリファナ63%、コカイン19%、オピオイド17%であった。 6ヵ月時点で98%が追跡調査を完了した。同時点での主な薬物使用の平均補正後日数は、簡易介入なし群で12日に対し、BNI介入群は11日(発生率比[IRR]:0.97、95%信頼区間[CI]:0.77~1.22)、MOTIV群は12日(同:1.05、0.84~1.32)であった(両比較群vs. 簡易介入群のp=0.81)。 また、その他アウトカムへの効果に関してもBNIまたはMOTIVの有意差はみられず、さらに薬物別や薬物使用重症度で分析した場合も有意な効果はみられなかった。 これらの結果を踏まえて著者は、「簡易介入は、スクリーニングで特定したプライマリ・ケア患者の、不健全な薬物使用を減らす効果はなかった。これらの結果は、違法薬物使用および処方薬誤用のスクリーニングと簡易介入の大がかりな実施を支持しないものであった」とまとめている。

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腰椎椎間板ヘルニア、手術 vs 非手術は同程度?

 米国・The Dartmouth Institute for Health Policy and Clinical PracticeのDana Kerr氏らは、多施設前向き無作為化研究のSpine Patient Outcomes Research Trial(SPORT)から、腰椎椎間板ヘルニアに対する手術的治療と保存的治療を比較した解析結果を報告した。追跡期間8年において、intent-to-treat解析ではすべての主要評価項目で差がみられなかったという。ただし、坐骨神経痛症状、患者の自己評価による改善などの副次評価項目については手術的治療の有効性が示唆された。Clinical Orthopaedics and Related Research誌オンライン版2014年7月24日号の掲載報告。 6週以上続く症候性腰椎神経根障害があり、画像診断で椎間板ヘルニアと確認された患者を、米国の13施設にて無作為化コホート(501例)と観察コホート(743例)のいずれかに登録した。 無作為化コホートの患者は手術群か非手術群に無作為に割り付け、椎間板切除術または通常の保存的治療を行った。 主要評価項目は、6週、3ヵ月、6ヵ月、1年、以後1年ごとのSF-36身体的疼痛スコアおよび身体機能スコア、ならびにオスウェストリー障害指数(ODI)であった。 主な結果は以下のとおり。・8年間で、手術群245例中148例(60%)、非手術群256例中122例(48%)が実際に手術を受けていた。・無作為化コホートの intent-to-treat解析では、手術群と非手術群とで主要評価項目に差はなかった。・副次評価項目(坐骨神経痛症状、下肢痛、症状についての満足感、自己評価による改善)は、クロスオーバーが多かったにもかかわらず手術群のほうが改善を認めた。・無作為化コホートと観察コホートを合わせたas-treated解析(実際行われた治療に基づいた解析)では、潜在的交絡因子で補正後、すべての主要評価項目について手術的治療群のほうが優れていることが示された。・喫煙者および、うつ病または関節症を合併している患者は、手術的治療でも保存的治療でも、機能に関する評価項目がすべて悪化していた。・遊離型ヘルニアの患者、ベースラインの腰痛が高度で症状が6ヵ月以上持続していた患者、およびベースラインにおいて障害もなく仕事もしていない患者では、手術的治療の効果が大きかった。

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フリーラジカル脳損傷 増加要因は?

 フリーラジカルによる脳損傷と、ライフスタイル要因との関連性を調査したところ、人の脳におけるフリーラジカル損傷は年齢やBMI、喫煙に大きく関連していることが示唆された。ワシントン大学Elaine R Peskind氏らの報告。脳の健康のためのロードマップHealthy Brain Initiative(2013-2018)では、より良い脳の健康が模索されている。本研究では、どのようなライフスタイルがフリーラジカルによる脳損傷と関連するか調査した。JAMA neurology誌オンライン版2014年7月21日号掲載の報告。 本研究は多施設断面調査。被験者は、医学的に健康かつ認知的に正常であった21~100歳、320人(うち172人が女性)であった。脳へのフリーラジカル損傷は、年齢、人種、性別、喫煙、BMI、アポリポ蛋白E(APOE)遺伝子のε4対立遺伝子の存在、アルツハイマー病の脳脊髄液バイオマーカーを関連因子として、脳脊髄液中のF2-イソプロスタン※(CSF F2-IsoP)濃度を基に評価した。※F2-イソプロスタン:プロスタグランジンF2α誘導体であり酸化ストレスマーカーとなる。 主な結果は以下のとおり。・CSF F2-IsoPの濃度は、45~71歳の年齢層において年齢が上がるごとに約3pg/mL(約10%)増加した(p<0.001)。・CSF F2-IsoP濃度は、BMIが5上昇するごとに約10%以上増加した(p<0.001)。・CSF F2-IsoP濃度と相関する因子を比較したところ、現在の喫煙は年齢に比べ約3倍の強い相関が認められた(p<0.001)。・他の因子で調整後、女性はすべての年齢層で男性よりも平均CSF F2-IsoP濃度が高かった(p=0.02)。・アポリポ蛋白E遺伝子のε4対立遺伝子、およびアルツハイマー病バイオマーカーは、共にCSF F2-IsoP濃度との関連性が示されなかった(p>0.05)。・CSF F2-IsoP濃度と人種について、喫煙状況の影響を調整したところ有意な関連性は認められなかった(p=0.45)。 今回の結果より、人の脳におけるフリーラジカル損傷は年齢依存的に増加し、損傷の程度は男性より女性で大きいことが明らかとなった。また、BMI・喫煙といった2つのライフスタイルがフリーラジカル損傷に与える影響力は、加齢よりも強いことがわかった。これらライフスタイル要因の改善は、老化プロセスの抑制よりも脳のフリーラジカル損傷を抑制するうえで、より大きな効果があると研究グループは報告した。

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消化管・頭蓋内出血リスクの新たな予測法/BMJ

 英国・ノッティンガム大学パーク大学キャンパスのJulia Hippisley-Cox氏らが開発した出血リスク予測のアルゴリズム「QBleed」は、抗凝固薬の使用・非使用患者の上部消化管出血および頭蓋内出血の絶対リスク予測に有用であることが報告された。著者は、「このアルゴリズムをプライマリ・ケアで用いるため、臨床アウトカムと費用対効果についてさらなる検討を行う必要がある」とまとめている。BMJ誌オンライン版2014年7月28日号掲載の報告より。オープンコホート研究にて、アルゴリズムを開発・検証 研究グループは、プライマリ・ケアの成人患者(21~99歳)で抗凝固薬の使用・非使用患者について、上部消化管出血および頭蓋内出血の絶対リスクを予測するアルゴリズム「QBleed」の開発、検証作業を行った。 オープンコホート研究にて、2008年1月1日~2013年10月1日の5年間の試験期間中、一般開業医(GP)からルーチンに収集したデータを、入院エピソード統計データおよび死亡率データと結び付けて検討した。具体的に、アルゴリズム開発には、全英QResearchデータベースに関与している565人のGPから、同検証には、さらに別の188人のGPからのデータを用いて分析。試験に協力した全753人のGPは、病院エピソード統計と死亡率データを患者個人レベルで結び付けるデータを有していた。 エンドポイントは、死亡率データまたは入院データの両方とリンクした消化管出血と頭蓋内出血の記録であった。開発には1,640万人年、検証には490万人年が参加 開発コホートには、患者440万人、総計1,640万人年が参加した。追跡期間中に、上部消化管出血を呈した患者は2万1,641例、頭蓋内出血を呈した患者は9,040例だった。 検証コホートには、140万人、総計490万人年が参加した。追跡期間中に、上部消化管出血を呈した患者は6,600例、頭蓋内出血を呈した患者は2,820例だった。 検討では、Townsend階層スコアが不明な患者、試験エントリー前180日間に抗凝固薬処方を受けていた患者は除外した。 リスク因子の候補変数は、コホートへのエントリー前にGPのコンピュータシステムに記録した。因子は、パーソナル変数(年齢、性別、Townsend階層スコア、人種)、ライフスタイル変数(喫煙、飲酒)、慢性疾患、処方薬、臨床変数(BMI、収縮期血圧)、ラボ検査結果(ヘモグロビン、血小板)などだった。試験エントリー前には出血既往についても記録した。女性上位10%の高リスク群の予測の感度は上部消化管出血38%、頭蓋内出血51% QBleedアルゴリズムには最終的に21の変数が組み込まれた。これを検証コホートへ適用した結果、女性において、上部消化管出血のバラツキの40%を、また頭蓋内出血のバラツキの58%を、識別することができた。これはD統計値ではそれぞれ1.67、2.42に相当するもので、ROC曲線の統計的価値は0.77、0.86を示した。 女性の上位10%の高リスク群における感度は、上部消化管出血については38%、頭蓋内出血については51%だった。男性についても同程度であった。

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コーヒーを多く飲む人は顔のシミが少ない

 日本人中年女性131名を対象とした検討の結果、コーヒーおよびポリフェノール摂取量が多い人ほど顔のシミが少ないことが明らかにされた。ネスレ日本の福島 洋一氏らが報告したもので、「コーヒーは、日焼けによる皮膚の老化の予防に役立ち、クロロゲン酸を含むポリフェノールにはシミにみられる色素過剰を減じる可能性があると思われる」とまとめている。International Journal of Dermatology誌オンライン版2014年7月11日号の掲載報告。 日焼けによる皮膚の老化には活性酸素が関与しており、シミやしわの形成に結び付いていることは知られている。コーヒーは最大のポリフェノール摂取ソースであり、日常生活において最も多量の抗酸化物質を供給する。しかし、どれほど摂取すれば皮膚の健康に影響があるかについてはほとんど検討されていなかった。 研究グループは、健康な日本人中年女性のコーヒーおよびポリフェノール摂取の皮膚への影響を調べるため、食事、環境要因、皮膚の状態について断面調査を行った。 各被験者の頬で、皮膚の含水量、経表皮水分蒸散量および弾力性を非侵襲的方法(それぞれCorneometer、Tewameter、Cutometer)で測定し、デジタル写真を用いてしわとシミの評価を行った。 主な結果は以下のとおり。・試験には、健康な非喫煙で、日常生活における日光への曝露は中程度の30~60歳女性131名が参加した。アンケートにより食事、飲料摂取、生活状況を調べた。・コーヒーと総ポリフェノール(全ソースおよびコーヒーから)の摂取量は、シミの評価スコアの低下傾向と統計的に有意な相関を示した(p<0.05)。・コーヒーまたはクロロゲン酸からの総ポリフェノール摂取量が高値である被験者(三分位最高位群)は、紫外線によるシミの評価スコアが最も低かった(p<0.05)。・以上のように日本人中年女性において、コーヒーおよびポリフェノール摂取は顔のシミと関連していた。

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公害病認定患者が喫煙すると…

 長崎大学の上瀧 健二氏らは、公害病認定患者における喫煙と呼吸器症状や肺機能との長期的な関連性を後ろ向き横断研究により検討した。その結果、大気汚染の曝露を受けた患者において、喫煙はさらなる肺機能の低下と呼吸器症状の増悪を引き起こすことが示唆された。BMJ Open誌2014年7月31日号に掲載。 著者らは、過去に倉敷で公害関連呼吸器疾患と診断された65歳以上の730人について、30年間、毎年同じ季節にスパイロメトリーおよび呼吸器の健康に関するアンケートを実施した。喫煙状況と閉塞性肺疾患の有無により分類した4グループの間で、呼吸器症状の有病率や肺機能を長期にわたり比較した。 主な結果は以下のとおり。・被験者における喫煙率と呼吸器疾患罹患率は高かった。・非喫煙者では、呼吸機能が完全には回復しなかったが、肺機能の変化率は正常範囲内であった(p<0.01)。・喫煙者では、肺機能がより悪く、より重症の呼吸器症状が報告される可能性が高かった(p<0.01)。

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なぜコーヒーでがんリスクが低下?

 習慣的なコーヒー摂取はいくつかのがんのリスク低下に関連付けられている。その機序として、コーヒー摂取により発がんの重要な経路である酸化的DNA損傷が減少する可能性がある。国立国際医療研究センター 客員研究員の堀 愛氏らは、コーヒー摂取と、体内の酸化的DNA損傷・修復のバイオマーカーである尿中8-ヒドロキシデオキシグアノシン(8-OHdG)濃度の関連を調査した。その結果、女性ではコーヒー摂取により体内貯蔵鉄が減少し、このことが体内の酸化的DNA損傷の減少に関連している可能性が示唆された。Nutrition and Cancer誌オンライン版2014年7月25日号に掲載。 著者らは、健常人507人(21~67歳、男性298人・女性209人)において、多変数回帰モデルで、年齢、性別、喫煙状況、BMI、仕事のタイプ、空腹時血糖を調整し、コーヒー摂取量と尿中8-OHdG濃度の関連性を調べた。また、緑茶の摂取量との関連も評価した。 主な結果は以下のとおり。・女性では、尿中8-OHdG濃度がコーヒー摂取により減少する傾向が認められ(傾向のp=0.046)、1日2~3杯を摂取する女性で尿中8-OHdG濃度平均値が最も低かった。・この関連は、体内の貯蔵鉄のマーカーである血清フェリチン濃度による調整後に、大きく減弱した(傾向のp=0.96)。・緑茶の摂取量は尿中8-OHdG濃度と関連していなかった。

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慢性呼吸器疾患増悪の入院症例に対する、入院中早期リハビリテーション導入についてのランダム化比較試験(解説:小林 英夫 氏)-228

本論文は、慢性呼吸器疾患による入院症例において、入院早期の呼吸リハビリテーション開始が1年間の観察期間にどのような影響を及ぼすかを検討したランダム化比較試験である。結果を概括すると、早期リハビリテーション導入は再入院リスクを低下させず(主アウトカム)、機能回復増進にも結び付かず、1年間の死亡率が高いという結果であり、早期リハビリテーション導入は推奨されない、としている。 プロトコールは良質な臨床試験で、本邦でこの臨床試験を実施することの困難さを思うと羨望せざるを得ない面がある。軽微な数字の取り間違えが4ページに数ヵ所あるが、ネガティブな結果にもかかわらず試験そのものは適切に解析されている。ただ、試験の出発点自体が妥当であろうかという疑問もあり、本論文を単純に受け入れることは難しい。種々の前提条件を踏まえたうえで読むべきであろう。冠動脈や脳血管といった急性動脈閉塞、手術後など急性疾患における早期リハビリテーション介入が機能回復に寄与することが明らかになってきているが、慢性(呼吸器)疾患において急性疾患と同様の結果が得られるかどうか、設定そのものの困難性が潜在するのではないだろうか。 また、対象群は慢性呼吸器疾患群389例で、その82%、320例がCOPDである。COPDに限定したsubgroup解析でも全例解析と差異がなかったとしているが、であるならば他疾患を混在させずCOPDのみを対象とした設定にすることで、よりすっきりした試験となったであろうことが惜しまれる。さらに、対象症例の3割は入院治療として酸素吸入が実施されていない点、平均BMI (body mass index) 26という点、副腎皮質ホルモン薬が入院前から87%の症例に全身投与されている点、現喫煙者が20%以上存在する点、これらの点は本邦での入院症例との差異が大きく、患者像が把握しにくい。次に、平均入院期間5日間(英国では平均的な日数とされる)の対象群を、入院後2日以内に早期リハビリテーションを導入する群と退院後に導入する群に分け比較しているが、数日間の導入差が慢性呼吸器疾患にどの程度の差異をもたらすものだろうか。リハビリテーションの効果は継続性によって発揮されるものであり、数日間の差異が仮に統計学的有意性を示したとしても、その理由付けが難しいように思われる。 さらに、著者らが予想していなかった結果(早期リハビリテーショが有害である)となった理由を論理的に説明できない。著者らもby chanceの可能性も記載しているが、数日程度の導入差が1年後の生存に有害な影響をもたらす解釈が困難である。1年間の追跡において、リハビリテーションによる機能改善効果が徐々に減少していくというデータも残念な成績であった。リハビリテーションの継続性、アドヒアランスの難しさが結果に影響していることが推測される。 本論ではないが、死亡原因の内訳に他臓器がんや消化器疾患が含まれている。臨床試験の取り扱いとして正しいとはいえ、リハビリテーション効果と他臓器がん死が結び付くとは評価できないので、付加的に非呼吸器疾患死亡を除外した検討も知りたいところである。また薬物治療内容も一切の記述がなかった。 筆者が初めて呼吸リハビリテーションの概念に接した1980年代初頭には、経験を積んだ理学療法士も存在せず保険点数も算定できない状況だった。2006年、独立した診療報酬項目として呼吸リハビリテーションが収載され、日本呼吸器学会COPDガイドライン第4版でもエビデンスA、Bの位置に呼吸リハビリテーションが記載されている。いまだ本邦での呼吸リハビリテーションは十分に普及しているとはいえないが、その意義が本論文によって否定されたわけではないことは、十分に留意されなければならない。呼吸リハビリテーションそのものを否定している報告ではなく、あくまで、入院後2日以内の早期開始の有効性がなかったということで、退院後の外来リハビリテーション効果は否定されていない。また本試験で用いられたリハビリテーションは2013年のBTS/ATSガイドライン以前の内容であることも、今後の検討において変更すべき点と思われる。

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