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太り過ぎの期間が10年増えるとがんリスクが1.4倍

 欧米の8つのコホート研究の約33万人について、高齢者のがん発症リスクにおける過体重の期間・程度の影響について検討したところ、長期間の過体重が有意にがん発症と関連することを、国際がん研究機関(IARC、本部:フランス・リヨン)のMelina Arnold氏らが報告した。European journal of epidemiology誌オンライン版2016年6月14日号に掲載。 最近の研究において、過体重や肥満に関連するがんのリスクは時間的影響を受け、体重が過剰であった年数を用いることでより正確に近似される可能性が示唆されている。本研究では、高齢者のがん発症リスクにおける過体重の期間と程度の影響を検討した。 著者らは、追跡期間中に2回以上の体重測定を実施した欧米のコホート研究(欧州7件、米国1件)の32万9,576人について調査した。BMIの経年変化は二次成長モデルを用いて推定し、過体重(BMI:25以上)の期間と累積加重過体重年数を計算した。 主な結果は以下のとおり。・多変量Coxモデルとランダム効果分析によると、長期間の過体重が肥満関連のがんの発症と有意に関連し(10年増加当たりの全ハザード比:1.36、95%CI:1.12~1.60)、閉経後乳がんおよび大腸がんのリスクも増加させた。さらに過体重の程度により、肥満関連のがんリスクは一層増加した。・長期間の過体重に関連するがんリスクは女性よりも男性で高く、喫煙によって減衰した。閉経後乳がんでは、リスク増加がみられたのは、ホルモン療法を受けたことのない女性のみであった。・全体として、肥満関連のすべてのがんのうち8.4%が、どの年齢においても過体重に起因する可能性があった。

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過去10年で米国女性の肥満率が上昇/JAMA

 米国成人の年齢補正後肥満の有病率は、2013~14年男性35.0%、女性40.4%であり、女性の全肥満(BMI≧30)と3度肥満(BMI≧40)の有病率は2005~2014年の間に有意な右肩上がりの上昇が認められたことを、米国疾病予防管理センター(CDC)のKatherine M. Flegal氏らが報告した。同期間中、男性については有意な傾向はみられなかったという。これまでの調査研究では、1980~2000年の米国成人の肥満の有病率は男女ともに有意な上昇が認められ、その後2003~04年まで、男性については有意な上昇がみられたが女性ではみられなかった。著者は、「さらなる研究を行い、今回の調査で認められた傾向の要因を調べる必要がある」とまとめている。JAMA誌2016年6月7日号掲載の報告。2013~14年および2005~14年の成人男女の肥満の有病率動向を調査 研究グループは、性別、年齢、人種/ヒスパニック系、喫煙状態、教育レベルで補正した肥満の有病率について、2013~14年、および2005~14年の直近10年の傾向を調べた。全米の代表的市民を抽出して体重と身長などを測定して行われた断面調査の米国民健康・栄養調査(NHANES)のデータを用いて分析した。 主要評価項目は、肥満(BMI≧30)と3度肥満(BMI≧40)の有病率であった。直近10年、女性のみ有意に有病率が上昇 分析は、NHANESの直近2年(2013~14年)の男性2,638人(平均年齢46.8歳)と女性2,817人(同48.4歳)のデータと、2005~12年の2万1,013人のデータを基に行われた。 2013~14年の年齢補正後肥満有病率は、全体では37.7%(95%信頼区間[CI]:35.8~39.7)であり、男性では35.0%(同:32.8~37.3)、女性では40.4%(同:37.6~43.3)であった。 3度肥満相当の有病率は、全体で7.7%(95%CI:6.2~9.3)であり、男性では5.5%(同:4.0~7.2)、女性では9.9%(同:7.5~12.3)であった。 2005~14年の直近10年の変化の傾向を分析した結果、年齢・人種/ヒスパニック系・喫煙状態・教育で補正後、女性の全肥満(p=0.004)、3度肥満(p=0.01)で有意な直線的な増大の傾向がみられたが、男性では全肥満(p=0.30)、3度肥満(p=0.14)ともにそのような傾向はみられなかった。

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乾癬とうつ病はどう関連する?

 乾癬は、うつ病のリスク因子である。うつ病もまた、乾癬のトリガーや悪化要因となる可能性があるが、乾癬とうつ病との関係は、いまだ完全には明らかにされていない。そこで米国・ニューヨーク大学のCohen BE氏らでは、米国民における乾癬と大うつ病の関係性を調査した。JAMA Dermatology誌2016年1月号に掲載の報告。 本研究は2009~12年の米国国民健康栄養調査(NHANES)への参加者を対象とした集団ベース研究である。大うつ病の診断はPatient Health Questionnaire-9(PHQ-9)を用いた。  主な結果は以下のとおり。・研究対象となった米国市民1万2,382人のうち、351例(2.8%)が乾癬、968例(7.8%)が大うつ病と診断された。・351例の乾癬患者のうち58例(16.5%)が大うつ病の診断基準を満たした。・乾癬の既往患者は、乾癬の既往がない患者と比較して平均PHQ-9スコアが有意に高かった(4.54 [5.7] vs.3.22 [4.3]、p<0.001)。・性別、年齢、人種、BMI、身体活動、喫煙歴、アルコール摂取、心筋梗塞(MI)の既往、脳梗塞の既往、糖尿病の既往の調整後においても、乾癬と大うつ病との間に有意な関連性があることが認められた(オッズ比[OR] 2.09 [95%CI:1.41~3.11]、p<0.001)。・乾癬の既往と心血管イベントの既往(とくにMIまたは脳梗塞)を有する患者との相互作用項を含む解析においては、相乗的な大うつ病のリスク上昇は示されなかった(乾癬とMI: OR 1.09 [95 % CI:0.28~3.60]、p=0.91;乾癬と脳卒中:OR 0.67 [95%CI:0.12~3.66]、p=0.63)。・多変量調整モデルにおける大うつ病のリスクは、限局型の乾癬と汎発型の乾癬の患者間で有意差は認められなかった(OR 0.66 [95%CI:0.18~2.44]、p=0.53)。 以上の結果より、自己申告に基づく乾癬の既往は、併存疾患による差の調整後においても、評価ツール(PHQ-9)による大うつ病の診断との間に独立した相関関係が認められた。ただし、心血管イベントの既往は乾癬患者の大うつ病リスクを増加させなかった。また、乾癬の重症度は、大うつ病のリスクとは無関係であった。したがって重症度に関係なく、乾癬を有するすべての患者は、大うつ病のリスクを有する可能性があると考えられる。

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喫煙者は被害者!?

喫煙者は被害者?! 禁煙化が進む欧米では、喫煙者をタバコの被害者と見なし、その救済に社会全体で取り組む姿勢を見せています。 ニコチン依存症は、社会が責任を持って治療支援すべき疾患であるという考えの下、政府が無料の電話相談窓口、クイットライン(Quitline)を設け、禁煙の支援を受けるよう促しています。タバコ販売店舗ではクイットラインの案内板表示が義務付けられている(オーストラリア)禁煙は治療です。積極的に支援を受け、禁煙に取り組みましょう!社会医療法人敬愛会 ちばなクリニック 清水 隆裕氏Copyright © 2016 CareNet, Inc. All rights reserved.

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心血管疾患1次予防のためのスクリーニング、効果が高いのは/BMJ

 心血管疾患の1次予防を目的としたスクリーニング・プログラムとしては、喫煙者や不健康な食事摂取をしている集団に絞ると同時に、最も心血管疾患リスクの高いことで知られる貧困層にのみ実施することで、心血管疾患の発症や心血管死の予防効果が最も高くなる。英国・リバプール大学のChris Kypridemos氏らが、英国の実態を基に行ったミクロシミュレーション試験の結果、明らかにした。検討したプログラムは、英国の「National Health Service Health Checks」で、普遍的スクリーニングと代替実行可能な戦略について比較した。BMJ誌オンライン版2016年6月8日号掲載の報告。5つのシナリオについてシミュレーション 研究グループは、現状に近い5種の異なる合成集団について、心血管疾患スクリーニングのミクロシミュレーションを行い、その予防効果と、社会経済学的な不公平性を検証した。 具体的には、(1)ベースライン:年齢、性別、社会経済学的ステータスに伴う現状の心血管疾患リスクの傾向が、当面継続すると仮定した。(2)普遍的スクリーニング:普遍的スクリーニングにより心血管疾患リスクが高い人を特定するモデル。エビデンスに基づき検診受診率は50%、受診者のうち10年心血管疾患リスクが10%未満は70%、10~20%は25%、20%超は5%と仮定し、さらに、年齢分布は60歳超が30%を占めると仮定した。また、脂質低下薬などの服用率についても、エビデンスに基づき設定した。(3)集中的スクリーニング:心血管疾患リスクが最も高いと考えられる最も貧困な地域に対してのみスクリーニングを実施。ハイリスク集団に絞り実施することで、費用削減が期待できる。(4)構造的母集団全体スクリーニング:不健康な食事摂取をしている人や喫煙者などに絞ってスクリーニングを実施。(5)母集団全体・集中的スクリーニング:構造的母集団全体スクリーニングで規定した集団のうち、集中的スクリーニングで規定したハイリスク集団に絞ってスクリーニングを実施する。 主要評価項目は、2030年までに予防可能な心血管疾患患者数と、心血管死数だった。母集団全体・集中的スクリーニングで予防効果が最大 その結果、「ベースライン」群と比較して、予防可能な心血管疾患患者や心血管死の数が最も多かったのは、「母集団全体・集中的スクリーニング」群で、予防可能な心血管疾患は8万2,000例(四分位範囲:7万3,000~9万3,000)、予防可能な心血管死は9,000例(同:6,000~1万3,000)だった。2番目に同予防数が多かったのは「構造的母集団全体スクリーニング」群で、予防可能な心血管疾患は6万7,000例(同:5万7,000~7万7,000)だった。予防可能な心血管死は8,000例(同:4,000~1万1,000)だった。 次いで同予防数が多かったのは「普遍的スクリーニング」で、予防可能数はそれぞれ1万9,000件(同:1万1,000~2万8,000)と3,000件(同:-1,000~6,000)、同予防数が最も少なかったのは「集中的スクリーニング」で、1万7,000件(同:9,000~2万6,000)、2,000件(同:-1,000~5,000)だった。 同研究グループは、最も費用効果の高い、「母集団全体と集中的スクリーニングの組み合わせ」を探るには、さらなる試験が必要だ、とまとめている。

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“テレヘルス”は第4の医療になりうるか/BMJ

 心血管疾患高リスクの患者に対しデジタル医療技術を駆使した“テレヘルス(telehealth)”による介入は効果があるのか。英国・ブリストル大学のChris Salisbury氏らが、プラグマティックな多施設共同無作為化試験を行った結果、エビデンスベースに基づくテレヘルスでも臨床的効果は小さく、平均リスクの全体的改善には結び付かなかったことが示された。ただし、一部の心血管リスク因子や健康行動、またケアサポート・アクセスの患者認識について改善が認められたという。慢性疾患の増大で、低コストでケア提供を拡大するための新たな医療供給や自己管理サポートの方法が必要とされている。政策立案者の間では、テレヘルスの利用拡大が有効な策になると楽観視されているが、テレヘルス介入効果のエビデンスはあいまいで、リアルワールドでの効果のエビデンスはほとんど示されていないのが現状だという。BMJ誌オンライン版2016年6月1日号掲載の報告。非医療スタッフでもテレヘルスで患者管理が可能かを検証 研究グループは、非医療スタッフがテレヘルスを活用することで、心血管疾患高リスク患者の管理を効果的に行うことができるかを調べる試験を行った。 英国内3地域、42人の一般医(GP)の協力を得て、2012年12月3日~2013年7月23日に、40~74歳で10年心血管疾患リスクが20%以上、心血管イベントの既往歴はなく、1つ以上の修正可能なリスク因子(収縮期血圧140mmHg以上、BMI 30以上、現在喫煙)を有し、電話・インターネット・電子メールにアクセス可能な641例を集めた。被験者を自動無作為化法にて、介入群(325例)または対照群(316例)に割り付けた。その際、試験地による層別化、実地医療およびベースラインリスクスコアによる最小化も行われた。 介入群には、「Healthlines」(alongside usual care)サービスが提供された。これは、専門家ではない訓練を受けた健康アドバイザーからの定期的な電話連絡が、インタラクティブなソフトウェアによって生成されたスクリプトに従って行われるというもの。アドバイザーは、リスク因子を減らすオンラインリソース使用をサポートしたり、薬物使用の最適化や治療アドヒアランスの改善を図り、より健康的なライフスタイルを奨励するなどして患者の自己管理の促進を図った。一方、対照群には通常ケアのみが行われた。 主要アウトカムは、治療効果(12ヵ月後の心血管リスクの保持または減少で定義)が認められた患者の割合とした。アウトカムは、盲検下で無作為化後6ヵ月、12ヵ月時点で集められ解析が行われた。治療効果の有意差は認められず、ただし一部の臨床値改善や行動変容に効果 治療効果が認められた患者の割合は、介入群50%(148/295例)、対照群43%(124/291例)で、実質的な差は認められなかった(補正後オッズ比[OR]:1.3、95%信頼区間[CI]:1.0~1.9、治療必要数[NNT]:13、p=0.08)。 介入により、血圧の低下(平均差;収縮期血圧-2.7mmHg[95%CI:-4.7~-0.6]、拡張期血圧-2.8mmHg[同:-4.0~-1.6])、体重減(-1.0kg、95%CI:-1.8~-0.3)、BMI低下(-0.4、同:-0.6~-0.1)がみられたが、コレステロール値(-0.1、-0.2~1.0)、喫煙状態(補正後OR:0.4、0.2~1.0)の改善はみられなかった。また、全体的な心血管リスクも保持されたままであった(-0.4、-1.2~0.3)。 ただし、介入により、食事、運動、服薬アドヒアランスが改善し、ケアアクセス、受療、ケアコーディネーションに関する満足感は認められた。 重篤な有害事象の発生は、血圧低下による入院の1件が報告された。

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父母両方の喫煙で出生時の低身長リスクが増大

 両親の喫煙が出生アウトカムに及ぼす影響を調査した結果、母親の喫煙は出生時の体重および身長と有意に関連し、両親とも喫煙していた場合、低身長のリスクが増加することが、岡山県立大学の井上 幸子氏らの研究で明らかになった。Journal of public health誌オンライン版2016年5月24日号に掲載。 子どもの健康に対する両親の喫煙の有害作用はこれまで研究されてきたが、両親の喫煙それぞれの交互作用を示す研究はほとんどなく、また、出生時の体重以外のアウトカムは評価されていない。そこで著者らは、出生アウトカムにおける両親それぞれの喫煙ならびにその交互作用の影響を調査した。 著者らは、1997~2010年に浜松市内の大規模な病院で出産した両親と新生児について、妊娠から出産まで、病院ベースのフォローアップ研究を実施した。喫煙と成長の関係は、ロジスティック回帰を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・母親の喫煙は、出生時の低体重、低身長、小さい頭囲に関連していた。・父親の喫煙は、出生時の低身長と小さい頭囲に関連していた。・調整モデルにおいて、両親の喫煙は出生時の低体重(オッズ比[OR]:1.64、95%信頼区間[CI]:1.18~2.27)と低身長(-1標準偏差[SD] OR:1.38、95%CI:1.07~1.79、-2 SD OR:2.75、95%CI:1.84~4.10)と明確な関連性を示した。

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海外で進む厳格なタバコ規制

海外で進む厳格なタバコ規制…プレーン・パッケージ法 海外では、ブランドごとの独自デザインを禁止し、タバコ包装を画一化するプレーン・パッケージ法の導入が広がりをみせています。 ほぼ全面を写真付きの有害警告表示とし、商品名は決められた位置と書体でのみ記載することが可能。これは、広告効果を防ぎ、タバコ消費量を削減することを目的としています。世界で最初にプレーン・パッケージ法を導入したオーストラリアの市販のタバコ包装。この過激な警告表示が功を奏したか、導入後、政府の禁煙電話相談窓口への相談件数が大幅に増加したという。タバコのパッケージにこんな警告…それでも買いますか?タバコによる健康被害、他人事ではありません!社会医療法人敬愛会 ちばなクリニック 清水 隆裕氏Copyright © 2016 CareNet, Inc. All rights reserved.

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女性の片頭痛は心血管疾患のリスク因子/BMJ

 女性においては、片頭痛は心血管疾患の重要なリスク因子と考えるべきであるという。ドイツ・ベルリン大学附属シャリテ病院のTobias Kurth氏らが、20年以上追跡した前向きコホート研究の米国看護師健康調査II(Nurses' Health Study II:NHS II)のデータを解析し、片頭痛と心血管イベントとの間に一貫した関連が認められたことを踏まえて報告した。片頭痛は虚血性脳卒中のリスク増加と関連していることは知られていたが、冠動脈イベントや心血管死との関連はほとんど示されていなかった。著者は、「今後、片頭痛患者の将来の心血管疾患リスクを低下させる予防的戦略を明らかにするため、さらなる研究が必要である」とまとめている。BMJ誌オンライン版2016年5月31日号掲載の報告。NHS IIの女性約12万例を、20年にわたって追跡 研究グループは、NHS IIに参加した、ベースライン時に狭心症および心血管疾患のない25~42歳の女性看護師11万5,541例を対象に、1989年~2011年6月まで追跡調査を行った(累積追跡率90%以上)。 主要評価項目は、主要心血管疾患(心筋梗塞・脳卒中・致死的心血管疾患の複合エンドポイント)、副次評価項目は心筋梗塞、脳卒中、狭心症/冠動脈血行再建術および心血管死の個々のイベントとした。片頭痛のある女性、主要心血管疾患のリスクは1.5倍 11万5,541例のうち、片頭痛と診断されたと報告した女性は1万7,531例(15.2%)で、20年間の追跡期間中の主要心血管疾患の発生は1,329件であり、223例が心血管疾患で死亡した。 潜在的交絡因子の補正後、片頭痛を有する女性では片頭痛のない女性と比較し、主要心血管疾患(ハザード比[HR]:1.50、95%信頼区間[CI]:1.33~1.69)、心筋梗塞(同:1.39、1.18~1.64)、脳卒中(1.62、1.37~1.92)、狭心症/冠動脈再建術(1.73、1.29~2.32)のリスクが増加していた。さらに、片頭痛と心血管疾患死リスク増大との有意な関連が認められた(HR:1.37、95%CI:1.02~1.83)。 サブグループ解析(年齢[<50歳/≧50歳]、喫煙歴[現在喫煙中/過去に喫煙歴あり/まったくなし]、高血圧[あり/なし]、閉経後ホルモン療法[現在治療中/現在治療を行っていない]、経口避妊薬使用[現在使用/現在使用していない])でも、類似の結果であった。 なお、著者は今回の結果について、医師による片頭痛の診断は自己報告に基づくものであること、前駆症状が不明であり、試験対象がすべて看護師であるなど、限定的なものであることを付け加えている。

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BMIと全病因死亡率関係の正しい理解のために! (大規模システマティックレビューとメタ解析からのメッセージ)(解説:島田 俊夫 氏)-544

 BMI(Body Mass Index)と全病因死亡率(全死亡率)の関係は、世界的に大きな注目を集めている1)。また、メタボ症候群との絡みからも、BMIと全死亡率との関係の重要性は増加している2)。2016年5月5日にBMJ誌に掲載されたDagfinn Aune氏らの論文は、BMIと全死亡率の関係に関する大規模システマティックレビューとメタアナリシス(SR-MA)である。 肥満は、病気発症のリスクファクターであるとの考えはおおむね受け入れられているが、一部では逆説的に肥満はリスクの軽減につながるとの考えもある(obesity paradox3))。本論文は、BMIと全死亡率の関係について、出版済みの信頼に足るコホート研究論文を厳選・収集のうえ検討した大規模SR-MA論文であり、私見を交え論評する。目的:BMIと全死亡率リスクのコホート研究に関するSR-MAの実施、ならびに用量反応曲線の形と最下点および喫煙、病気に関係した体重減少、臨床前疾患による交絡が結果に及ぼす影響を明らかにすることである。データソース:PubMedおよびEmbaseのデータを2015年9月23日まで追跡検索した収集コホート論文を系統的にレビューし、メタ解析のソースとした。対象とした研究選択について:全死亡率に関係する少なくともBMIの3つのカテゴリーに対して、全死亡率の調整済みリスク推定値(ハザード比[HR]またはリスク比[RR])を報告しているコホート研究。データ合成:要約相対リスクをランダム効果モデルを用いて計算し、非線形関係はfractional polynomial modelを使用して解析した。結果:230件のコホート研究(207出版済み)が分析対象となった。 非喫煙者の分析は、73万8,144人を超える死亡と997万6,077人を超える参加者から成る53コホート研究(44リスク予測値)を含んでいた。全参加者の分析は、3,023万3,329参加者中374万4,722人を超える死亡を含む228コホート研究(198リスク予測値)を使用した。 非喫煙者では、BMIの5単位の増加で要約相対リスクは1.18(95%信頼区間1.15~1.21:I2=95%、n=44)、非喫煙健康者では1.21(1.18~1.25:I2=93%、n=25)、短期フォローアップ研究を除外した非喫煙健康者では1.27(1.21~1.33:I2=89%、n=11)、ならびに全参加者では1.05(1.04~1.07:I2=97%、n=198)であった。非喫煙者(Pnon-linearity<0.001)においては、J字型の用量反応関係を認め、リスク最少の非喫煙者ではBMI 23~24、非喫煙者ではBMI 22~23、そして、20年以上フォローアップ中の非喫煙者研究ではBMI 20~22であった。対照的に、現喫煙者、喫煙経験者(元喫煙者)ではバイアスの可能性が高い分析や、フォローアップ期間(5年または10年未満)が短い研究、質が中等度の研究ではBMIと死亡率の間にU字型関係がみられた。コメント:過体重と肥満は全死亡率のリスク増加に明らかに関係があり、用量反応曲線の最下点が全非喫煙者ではBMI 20~25の範囲で観察された。可能性のある交絡因子を除去することで超健康者のBMIは23~24に近づくことが示された。また、体重減少者で観察された死亡率の増加は、少なくとも部分的には診断前疾患との残留交絡によって引き起こされた可能性が高い。喫煙、有病率の高い臨床前疾患、フォローアップ期間の短い集団を除外しきれていないことが残留交絡を招き、BMI-全死亡率関係(用量反応曲線)をJ字型からU字型に変形させる傾向を増強した。 この論文で指摘された、J-U字変形パターンの変化は、交絡因子の関与が増えればBMI-全死亡率関係をJ-U字変形させ、BMIが増えても減っても全死亡率を増加させる可能性を示唆しているのかもしれない。喫煙を含む背景因子の正確な把握が、BMIの正しい評価にとって必要不可欠であることを強調した研究でもある。体重減少に関しては、交絡因子の徹底追究と行き過ぎた体重減量を自戒することが何よりも大切である。

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日本人の死因の約6割を占めるNCD関連疾患、改善のカギは…

 不健康な食事や運動不足、喫煙、過度の飲酒…。これらは、さまざまな疾患の入り口になりうる悪しき生活習慣だが、その改善により予防可能な疾患の総称であるNCD(non-communicable diseases、WHOの定義では「非感染性疾患」)への関心が世界的に高まっている。5月31日、NCD関連疾患の啓発や情報提供を行っている塩野義製薬株式会社が、国内のNCD関連疾患患者を対象にした実態調査の結果をまとめた。同日のセミナーに登壇した寺本 民生氏(帝京大学臨床研究センター)は、患者自身の疾患や治療に関するリテラシーの低さを指摘し、「前向きな治療意識と生活満足度が疾患コントロール意識と密接につながっている。医療従事者や家族、地域コミュニティの関わりなども含めたトータルケアが重要」と述べた。 NCDとは、高血圧や脂質異常症、糖尿病など、いわゆる生活習慣病を中心とした継続的な治療が必要な慢性疾患の総称である。厚生労働省の調査によれば、近年このNCDに関連した疾患は、日本人の死因の約6割、国民医療費の約3割を占めている。 塩野義製薬は今年3月、国内の20~60代のNCD関連疾患患者を対象にインターネット調査「T-CARE NCD Survey」を実施(n=3,031)。そこから、NCD関連疾患特有の患者像が浮かび上がってきた。現在抱えている病気の治療について尋ねた項目では、「治療を継続しなければならない」(77.2%)「前向きに治療に取り組んでいる」(58.1%)など、半数以上が高い意識で治療に臨んでいることをうかがわせたが、「自分なりの治療目標がきちんとある」と答えた人は27.8%にとどまっていた。さらに、「定期的に通院する」(87.1%)、「定期的に薬を服用する」(71.6%)など、治療への取り組みはきわめて真面目な人が多い一方、「自分の治療方法については、医師の判断に任せる」(66.1%)、「自分の治療方法は、自分で決めたい」(38.6%)など、受け身の姿勢で臨んでいる人が多いこともわかった。 では、こうしたNCD関連疾患患者に対して必要な施策とは一体何か。寺本氏は3つの意識を高めることが重要であると述べる。すなわち、「前向きな治療意識」「疾患コントロール意識」「生活満足度」、である。これらは、「前向きな治療意識」と「生活満足度」の高さが、相乗効果的に「疾患コントロール意識」を高めるという関係性にある。「前向きな治療意識」に影響を与えるのは、(1)薬への信頼・期待、(2)病状理解、(3)治療効果の理解、(4)医療従事者の患者視点に立った診療、(5)内科・専門内科の個人病院やクリニックにおける患者視点の診療および親しみやすさ、(6)内科・専門内科の総合病院や大学病院などの大規模病院における患者視点の診療および治療解説、の6項目である。一方、「生活満足度」には(1)治療の見通し、(2)心配事の解消、(3)家族との関係、自己開示および尊重、(4)職場や学校でのコミュニケーション、の4項目が影響するという。こうした意識をバランスよく、高く維持するには、患者の頑張りだけ、あるいは医師の一方的な働きかけだけでは不十分である。 寺本氏は、「NCDの治療は、他の疾患以上に患者自身が主体的に病気と向き合わなければならない。診療の場面で医師は、患者との“共同作業”において治療方針を考え、時には患者自身による決定を促すことが重要だ」と述べた。

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近隣の歩行環境が良いと肥満・糖尿病のリスクが低下/JAMA

 歩行環境に恵まれている都市近郊住民ほど過体重や肥満になる割合が低く、糖尿病の発症率も低いことが明らかにされた。カナダ・St Michael's HospitalのMaria I. Creatore氏らが2001~12年のオンタリオ州南部の都市住民データを分析した結果で、JAMA誌2016年5月24・31日号で発表した。肥満および糖尿病の罹患率はここ10年で大きく上昇しているが、その傾向に歯止めをかける環境的要因の役割については明らかにされていない。著者らは、都市近郊の歩行環境が良好な住区では不良な住区と比べて、過体重、肥満、糖尿病の増大が緩やかであるかどうかを調べた。歩行環境指標で住区を5分類、過体重・肥満・糖尿病の有病率を比較 検討は、オンタリオ州南部の都市成人(30~64歳)に関する地方都市ヘルスケア年報(300万人/年)と、隔年Canadian Community Health Survey(5,500人/サーベイ)のデータ(2001~12年)を時系列分析して行われた。 範囲0~100の標準化スコアで、スコア高値ほど近隣歩行環境が良好であることを示す指標を用いて、都市近隣住区を最低位(第1五分位)群~最高位(第5五分位)群に分類して評価した。 主要評価項目は、過体重、肥満、糖尿病の年間有病率で、年齢、性別、住区の所得状況、民族性で補正した。 分析には、8,777例の都市近隣住区が含まれた。歩行環境指標の中央値は16.8で、第1五分位群は10.1、第5五分位群は35.2であった。住民特性は類似していたが、貧困度は、歩行環境指標が高値群のほうが低値群と比べて高かった。歩行環境指標が高い住区の有病率は有意に低い 2001年において、過体重/肥満の補正後有病率は、第5五分位群が第1五分位群と比べて有意に低く(43.3% vs.53.5%、p<0.001)、また2001年から2012年の間に、有病率は歩行環境不良住区では有意な上昇がみられた(絶対変化:第1五分位群5.4%、第2五分位群6.7%、第3五分位群9.2%)。一方、歩行環境指標が高い住区では過体重/肥満の有病率の有意な変化はみられなかった(同:第4五分位群2.8%、第5五分位群2.1%)。 2001年において、糖尿病の補正後有病率は、第5五分位群がその他の群と比べて有意に低かった。また、同有病率は、第5五分位群では1,000人当たり2001年7.7から2012年に6.2へと低下し(絶対変化:-1.5、95%信頼区間[CI]:-2.6~-0.4)、第4五分位群でも同8.7から7.6へ低下していた(同:-1.1、-2.2~-0.05)。対照的に、歩行環境不良住区では有意な変化がみられなかった(同:第1五分位群-0.65、第2五分位群-0.5、第3五分位群-0.9)。 いずれの評価時点でも、第1五分位群と比べて第5五分位群のほうが、徒歩、自転車利用、公共交通機関の利用率が有意に高く、車の利用率は有意に低かった。ただし、歩行環境が良好な住区でも、2001年と比べて2011年における日々の歩行や自転車利用の頻度は、わずかな増大にとどまっている。余暇の身体活動度、食事、喫煙パターンについては、歩行環境による違いはみられず(各アウトカムの第1五分位vs.第5五分位のp>0.05)、安定的に推移していた。 なお今回の結果について著者は、生態学的要因や、より歩行環境に優れた都市住区デザインと身体活動度増大との関連についてのエビデンスは不足しており、さらなる研究を行い、観察された関連が普遍的なものかを評価する必要があると指摘している。

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その灰皿、使用禁止です!

その灰皿、使用禁止です! いまや全席禁煙が当たり前の飛行機。しかし、航空法などの法令で、現在でもトイレなどに灰皿を設置することが義務付けられています。 その理由は、機内のトイレで隠れて喫煙した乗客が、火が消えていない吸い殻をトイレ内のゴミ箱に捨てたことが原因とみられる機内火災により多数の死者が出た事故※があったからです。※1973年に発生したヴァリグ・ブラジル航空820便墜落事故あっても使ってはいけません!!航空機の灰皿設置は、火災を避けるための苦肉の策。喫煙許可を意味するものではありません!社会医療法人敬愛会 ちばなクリニック 清水 隆裕氏Copyright © 2016 CareNet, Inc. All rights reserved.

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COPDの基準を満たさない喫煙者は健康なのか?(解説:倉原 優 氏)-536

 COPDを診断する際、誰もが知っているように1秒率70%未満という呼吸機能検査上の診断基準がある1)。ただし、この診断は絶対ではない。COPDの診断基準を満たさない一般人でも、COPDと同じような臨床経過をたどる一群が存在する。たとえば、胸部CTで明らかに気腫肺があっても、10人に1人はGOLD基準あるいはATS/ERS基準(LLN)のいずれのCOPDの診断基準も満たさないという報告すらある2)。 つまり、未診断のCOPDだけでなく、診断基準という枠組みから漏れたCOPDのような患者(本当はCOPDと同じ病理学的変化が起こっているのに病的でないと判断されたCOPD予備軍)がいるのは間違いない※。 今回のWoodruff氏らの報告は、喫煙歴のある人と喫煙歴のない人に対してCATスコアおよびスパイロメトリーを実施した観察研究で、「COPDの診断基準を満たさないものの呼吸器症状がある人(CATスコア10点以上)は健康なのかどうか」を調べたものである。COPDの診断基準を満たさない、というのは具体的には1秒率が70%以上で努力性肺活量が正常下限値を上回るということである。GOLD I期の軽症例であっても呼吸器症状を呈さない患者がいる中で、非COPD例でも呼吸器症状を呈する人がいるという不可解な現状に一石を投じてくれる臨床試験だ。 その結果、喫煙歴を有する有症状の非COPDの人は、呼吸機能悪化率が無症状者や非喫煙者と比べて有意に高いことがわかった。また、有症状の喫煙者では活動制限が大きいことも明らかになった。つまり、間違いなく一般人の中にCOPD予備軍が存在するということである。 実臨床でもこうした患者をよく診る。COPDにマッチした強い呼吸器症状があるにもかかわらず、何度測定しても1秒率が70%を下回らないのだ。この研究でも多くの患者が気管支拡張薬を処方されていたが、日本のプライマリケアでも同様の結果になるかもしれない。こうした安易な吸入薬の処方が、「現場は至極柔軟に対応している」と評価されるべきなのか、「不適切な治療をしている」と非難されるものなのか、答えはまだない。 ※この研究に照らし合わせると、「smokers with preserved pulmonary function」という呼び方が妥当なのだろう。「COPD with preserved pulmonary function」のほうがわかりやすいかと思ったが、これだと用語自体が定義上矛盾してしまう。

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携帯灰皿では煙まで回収できない!

携帯灰皿では煙まで回収できない! 禁煙エリアで、携帯灰皿を利用して喫煙する人がいます。 携帯灰皿で吸い殻は回収できても、煙までは回収できません。 禁煙エリアは、受動喫煙を防止するための場所です。吸い殻だけの問題ではありません。携帯灰皿を使っても、禁煙エリアでは喫煙禁止!社会医療法人敬愛会 ちばなクリニック 清水 隆裕氏Copyright © 2016 CareNet, Inc. All rights reserved.

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喫煙歴+呼吸器症状は呼吸機能悪化のリスク/NEJM

 呼吸機能保持が認められる現在・元喫煙者で、慢性閉塞性肺疾患(COPD)診断基準を満たさなくとも呼吸器症状がある人は、ない人に比べ、呼吸機能が悪化する割合が高く、活動制限や気道疾患の所見がみられるという。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のPrescott G. Woodruff氏らが行った、2,736例を対象とした観察試験の結果、示された。COPDの診断は、気管支拡張薬投与後のスパイロメトリーによる検査で1秒量(FEV1)/努力肺活量(FVC)が0.70未満の場合とされている。しかし、この定義を満たさなくとも多くの喫煙者で呼吸器症状が認められており、研究グループはその臨床的意味について検討を行った。NEJM誌2016年5月12日号掲載の報告より。CATスコア10以上を呼吸器症状ありと定義 研究グループは、現在喫煙者および喫煙歴のある人(元喫煙者)と、喫煙歴のない人(非喫煙者;対照群)、合わせて2,736例を対象に観察試験を行った。COPD評価テスト(CAT、スコア0~40で評価)を実施して、スパイロメトリーによる検査で呼吸機能が保持されている人について、呼吸器症状がある人(CATスコアが10以上:有症状群)はない人(CATスコアが10未満;無症状群)と比べ、呼吸増悪のリスクが高いかどうかを検証した。 呼吸機能保持の定義は、気管支拡張薬投与後のFEV1/FVCが0.70以上で、FVCが正常下限値を上回る場合とした。また、有症状群と無症状群の、6分間歩行距離、肺機能、胸部の高分解能CT画像所見の違いの有無を調べた。呼吸機能保持の現在・元喫煙者の半数が呼吸器症状あり 追跡期間の中央値は、829日だった。その結果、呼吸機能が保持されている現在・元喫煙者の50%で、呼吸器症状が認められた。 平均年間呼吸機能悪化率は、有症状の現在・元喫煙者0.27(SD:0.67)、無症状の現在・過去喫煙者は0.08(同:0.31)であり、対照群の非喫煙者の0.03(同:0.21)と比べ、いずれも有意に高率だった(両比較においてp<0.001)。 また、有症状の現在・元喫煙者は、喘息既往の有無を問わず、無症状の現在・過去喫煙者に比べ、活動制限が大きく、FEV1、FVCや最大吸気量の値がわずかだが低く、高分解能CTで肺気腫は認めなかったが、気道壁肥厚がより大きかった。 有症状の現在・元喫煙者の42%が気管支拡張薬を、また23%が吸入ステロイド薬を使用していた。著者は「有症状の現在・元喫煙者はCOPD基準を満たしていなくとも、呼吸機能の悪化、活動制限、気道疾患の所見が認められた。また、エビデンスがないままに多様な呼吸器疾患薬物治療をすでに受けていた」とまとめている。

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心筋梗塞・脳梗塞の発症確率予測モデルを開発~JPHC研究

 わが国の多目的コホート(JPHC)研究から、研究開始時の健診成績・生活習慣からその後10年間の心筋梗塞および脳梗塞の発症確率予測モデルを開発した研究結果が発表された。健診結果から自分で心筋梗塞や脳梗塞の発症リスクを計算できるため、禁煙などの行動変化や生活習慣の変容を通した心血管疾患予防に役立つことが期待される。Circulation journal誌2016年5月25日号に掲載。 この研究では、JPHC研究コホートII(1993~94年のベースライン時に40~69歳であった1万5,672人)のデータを用いた。平均約16年の追跡期間中に観察された192例の心筋梗塞と552例の脳梗塞発症について、研究開始時の健診成績や生活習慣の組み合わせから、統計学的な方法でリスク予測に有用な変数を選択した。 その結果、性別、年齢、現在喫煙、降圧薬の有無、収縮期血圧、糖尿病の有無、HDLコレステロール値、non-HDLコレステロール値の8つの変数が、心筋梗塞発症予測に必要十分な変数として選択された。また、これらの変数のうちnon-HDLコレステロール以外は、脳梗塞の発症予測に関係する変数として選択された。作成した予測モデルの性能は十分高く、日本人の一般集団に対して適用することも可能であることが確認された。詳細はこちらへ国立研究開発法人国立がん研究センター 多目的コホート研究(JPHC study)

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閉経後の飲酒増による乳がんと心疾患リスク

 閉経後5年間で飲酒量が増加した女性は、変化のない女性と比べて、乳がんリスクが増加し冠動脈疾患リスクは減少する、という結果が前向きコホート研究で示された。BMJ誌2016年5月11日号に掲載。 南デンマーク大学のMarie K Dam氏らは、デンマークの2つの連続した試験(1993~98年、1999~2003年)におけるDiet, Cancer, and Health Studyに参加した閉経後女性2万1,523人を対象に、1993~2012年に前向きコホート試験を実施した。アルコール摂取量は参加者が記入したアンケートで調べた。主な評価項目は、11年の追跡期間における乳がんおよび冠動脈疾患の発症率、ならびに全死因死亡率。デンマークにおけるがん登録、退院登録、死亡原因登録、国民共通番号登録より情報を得た。また、Cox比例ハザードモデルを使用して、5年間のアルコール摂取量の変化に応じたハザード比を推定した。 主な結果は以下のとおり。・研究期間中、乳がんが1,054例、冠動脈疾患が1,750例に発症し、2,080例が死亡した。・3次スプラインを用いた5年間のアルコール摂取量変化の分析モデルにより、5年間にアルコール摂取量が増えた女性は摂取量が一定であった女性より、乳がんリスクは高く、冠動脈疾患リスクは低いことが示された。・エタノール12gを1杯とすると、たとえば、アルコール摂取量が週に7杯または14杯(1日当たり1杯または2杯に相当)増加した女性の場合、一定の摂取量だった女性に比べた乳がんのハザード比は、年齢・教育・BMI・喫煙・地中海式ダイエットのスコア・出産歴の有無・出生児数・ホルモン補充療法の調整後、それぞれ1.13(95%信頼区間:1.03~1.23)と1.29(同:1.07~1.55)であった。冠動脈疾患における上記のハザード比は、年齢・教育・BMI・地中海式ダイエットのスコア・喫煙・身体活動・高血圧・高コレステロール・糖尿病の調整後、それぞれ0.89(同:0.81~0.97)と0.78(同:0.64〜0.95)であった。・5年間でアルコール摂取量が減少した女性においては、乳がんや冠動脈疾患リスクとの有意な関連はみられなかった。・アルコール摂取量が「高摂取量」(週14杯以上)から増加した女性は、「高摂取量」で一定していた女性より死亡リスクが高かったことが、全死因死亡率の分析で示された。

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飲酒量と高血圧の関連、フラッシングと関係なし~NIPPON DATA2010

 高血圧における飲酒の影響はフラッシング反応の有無により異なる可能性があるが、確認されていない。今回、大規模コホートNIPPON DATA2010のデータを用いた研究で、日本人男性ではフラッシング反応に関係なく飲酒量と高血圧が正相関することを、東北大学の小暮 真奈氏らが報告した。Hypertension research誌オンライン版2016年5月12日号に掲載。 著者らは、日本人集団の代表的なサンプルにおいて飲酒量と高血圧との関係を、フラッシング反応に応じて調査した。NIPPON DATA2010のベースライン調査への参加を依頼された、2010年国民健康・栄養調査の参加者のデータを用いて、フラッシング反応に応じた飲酒量と高血圧との関係を検討した。年齢、BMI、喫煙状態、糖尿病の有無、脂質異常症の有無の調整後、多重ロジスティック回帰モデルを用いて横断的に統計解析を行った。 主な結果は以下のとおり。・男性1,139人、女性1,263人のうち、それぞれ659人、463人が高血圧であった。・男性では、フラッシング反応に関係なく飲酒量と高血圧に正の相関がみられた(線形傾向のp<0.05)。この相関は、降圧薬使用の有無にかかわらず認められた。フラッシング反応による交互作用は認められなかった(交互作用のp=0.360)。・女性では、フラッシング反応が見られる人と見られない人で傾向が異なるが、フラッシング反応に関係なく飲酒量と高血圧との相関は有意ではなかった。

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BMIと死亡リスクの関係はJ字型:3,000万人以上のメタ解析/BMJ

 死亡リスクは肥満だけでなく過体重でも増大し、さらに痩せの場合も増加することが、ノルウェー・科学技術大学のDagfinn Aune氏らの検討で示された。痩せのリスク増加には、部分的に診断前疾患による交絡が影響している可能性があることもわかった。研究の成果は、BMJ誌オンライン版2016年5月4日号に掲載された。高BMIは死亡リスクを増大させるが、最近のメタ解析(Flegal KM, et al. JAMA 2013; 309: 71-82)は、過体重では死亡リスクが低下し、リスクが増大するのはGrade 2(BMI≧35)の肥満に限られるとしている。しかし、この結果は、交絡因子としての喫煙や有病率の高い疾患、診断前疾患の影響を受け、多くの大規模コホート試験を除外したことによるバイアスの可能性があるという。230試験、3,023万人、死亡数374万人のメタ解析 研究グループは、BMIと全死因死亡リスクに関するコホート研究を系統的にレビューし、メタ解析を行った(Central Norway Regional Health Authority(RHA)などの助成による)。用量反応曲線の形状と最低値を明らかにし、交絡因子としての喫煙、疾患による体重減少、発症前疾患が結果に及ぼす影響について検討した。 2015年9月23日現在、PubMedおよびEmbaseのデータベースに登録された文献を検索した。BMIを3つ以上のカテゴリーに分類し、全死因死亡との関連のリスクの補正推定値(ハザード比[HR]またはリスク比[RR])を報告しているコホート研究を選出した。 ランダム効果モデルを用いてBMIが5単位増加した場合の死亡のサマリー相対リスクと95%信頼区間(CI)を算出し、fractional polynomialモデルで非線形関係の評価を行った。 230件のコホート研究に関する207編の公表論文が解析の対象となった。 非喫煙者の解析には53件のコホート研究(リスク推定値の報告は44件)の43編の公表論文(参加者:>997万6,077人、総死亡者数:>73万8,144人)が、全参加者の解析には228件のコホート研究(リスク推定値の報告は198件)の191編の公表論文(参加者:>3,023万3,329人、総死亡者数:>374万4,722人)が含まれた(アジアの試験はそれぞれ11、49件)。痩せの死亡リスク増加には診断前疾患による交絡が影響か フォローアップ期間は、非喫煙者が平均14.2年、中央値12年、範囲3.9~35年、全参加者はそれぞれ13.8年、12年、2~42年であった。 BMI 5単位増分の死亡のサマリー相対リスクは、非喫煙者が1.18(95%CI:1.15~1.21、I2=95%、44試験)、非喫煙健康成人(ベースライン時に健康であった非喫煙者)が1.21(1.18~1.25、93%、25試験)、フォローアップ期間が短い参加者を除外した非喫煙健康成人が1.27(1.21~1.33、89%、11試験)であり、全参加者は1.05(1.04~1.07、97%、198試験)であった。 非喫煙者ではJ字型曲線の用量反応関係が認められた(非線形性検定:p<0.001)。リスクが最も低かったのは、非喫煙者がBMI 23~24、非喫煙健康成人がBMI 22~23、フォローアップ期間が20年以上の非喫煙者はBMI 20~22だった。 これに対し、バイアスの可能性が高い解析や、フォローアップ期間が短い研究(5年未満、10年未満)、試験の質が中等度の研究では、BMIと死亡率の間にU字型の関係がみられた。 著者は、「過体重と肥満はいずれも全死因死亡のリスクを増大させる」と結論し、「痩せの死亡リスクの増加は、少なくとも部分的には、診断前の疾患による未処理の交絡に起因する可能性がある。元喫煙者、有病率の高い疾患や発症前疾患を有する集団、フォローアップ期間が短い集団を除外しないと、バイアスのため、結果がよりU字型曲線の関係に近づく可能性が示唆される」と指摘している。

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