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血清尿酸値上昇は高LDL-C/高TG血症リスク~日本人コホート研究

 高い血清尿酸(SUA)値は脂質異常症と関連するが、高尿酸血症がLDLコレステロールを増加させるかどうかは不明である。今回、コロラド大学の桑原 政成氏らが行った日本人のコホート研究により、SUA値の上昇が高LDLコレステロールおよび高トリグリセライド血症の発症リスクを増加させたことが初めて報告された。著者らは「この結果は心血管疾患におけるSUAの役割を解明するかもしれない」としている。International Journal of Cardiology誌オンライン版2018年3月13日号に掲載。 本研究は、2004年に聖路加国際病院(東京)で健康診断を受診し、2009年に再評価された健康な日本人成人6,476人(年齢:45.7±10.1歳、男性:2.243人)の後ろ向き5年コホート研究である。被験者には、ベースラインの検査で高血圧、糖尿病、脂質異常症、慢性腎臓病ではなかった人、高尿酸血症/痛風の治療薬を投与されていた人が含まれた。年齢、BMI、喫煙・飲酒習慣、ベースラインの推定糸球体濾過率(eGFR)、ベースラインのSUA、5年間のSUAの変化について調整し分析した。 主な結果は以下のとおり。・ベースラインの高SUAは、男性(OR:1mg/dL増加当たり1.159、95%CI:1.009~1.331)、女性(OR:同1.215、95%CI:1.061~1.390)とも、高LDLコレステロール発症の独立したリスクであった。・その他の危険因子として、ベースラインの高LDLコレステロール、高BMI、ベースラインの高eGFRが認められた(女性では後者の2因子)。・5年間のSUAの増加は、高LDLコレステロールおよび高トリグリセライド血症発症の独立したリスクであったが、低HDLコレステロールについてはそうではなかった。■関連記事LDL-Cが高い人ほど心筋梗塞の予後良好!?

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ビタミンDのがん予防効果、日本人で確認/BMJ

 血中ビタミンD濃度が高い集団は男女とも、がん全体の罹患リスクが低いことが、日本人を対象に国立がん研究センターのSanjeev Budhathoki氏らが実施したJapan Public Health Center-based Prospective(JPHC)研究で示された。研究の成果は、BMJ誌2018年3月7日号に掲載された。ビタミンDは、さまざまな抗腫瘍性の特性を持つ強力な生物活性化合物の前駆物質として、がんの予防効果をもたらすとの説がある。血中ビタミンD濃度が上昇すると、大腸がんや肺がんの罹患リスクが低下する傾向がみられることが報告されているが、他の部位のがんやがん全体のエビデンスには一貫性がなく、アジア人のデータは十分でないという。血中濃度別の罹患リスクを評価するネステッドケースコホート研究 研究グループは、JPHC研究のデータを用いて、診断前の血中ビタミンD濃度と、がん全体および部位別のがん罹患リスクの関連を評価するネステッドケースコホート研究を行った(国立がん研究センターなどの助成による)。 JPHC研究の参加者(40~69歳)のうち、ベースラインの質問票に回答し、血液サンプルが得られた3万3,736人をベースコホートとした。このうち、3,301人が2009年12月31日までにがんに罹患した。また、ベースコホートからランダムに選択した4,044人をサブコホートとした。サブコホートには、がん患者が450人含まれた。 血漿25-ヒドロキシビタミンD(25-OHビタミンD)濃度の季節による変動を考慮して、サブコホートを男女別に4分位に分けた(罹患数が130未満のがんは3分位)。重み付きCox比例ハザードモデルを用い、血漿25-OHビタミンD濃度が最も低い集団を基準として、血漿濃度別のがん全体および部位別のがんに関して、多変量で補正したハザード比(HR)を算出した。ほぼすべての部位の罹患リスクが低下傾向 がん患者はサブコホートに比べ、平均年齢が高く(56.2[SD 7.5] vs.53.7[7.9]歳)、男性が多く(52.4 vs.34.2%)、重度喫煙者や重度飲酒者が多く、糖尿病既往歴やがん家族歴の頻度が高かった。また、サブコホートでは、血漿サンプルの採取時期が夏/秋の集団のほうが冬/春に比べ、25-OHビタミンD濃度中央値が高く、濃度が高い集団のほうが低い集団に比べ高齢で、余暇身体活動量が多く、がん家族歴の頻度が低いなどの傾向がみられた。 血漿25-OHビタミンD濃度とがん全体の罹患リスクには逆相関の関係が認められ、血漿濃度が最も低い集団と比較した2番目に低い集団、3番目に低い集団、最も高い集団の多変量補正HRは、それぞれ0.81(95%信頼区間[CI]:0.70~0.94)、0.75(0.65~0.87)、0.78(0.67~0.91)であった(傾向検定:p=0.001)。 部位別のがんのうち、肝がんで血漿濃度と罹患リスクに逆相関の関係がみられ、血漿濃度が最も低い集団と比較した多変量補正HRは0.70(95%CI:0.44~1.13)、0.65(0.40~1.06)、0.45(0.26~0.79)と、濃度が高くなるほど低下した(傾向検定:p=0.006)。ほぼすべての部位のがんで、罹患リスクが低下する傾向がみられた。 サブグループ解析では、男女の間に、25-OHビタミンDの効果の差はなかった。また、感度分析では、がん患者全体から部位別のがん患者を1部位ずつ交互に除外して再解析を行ったところ、いずれの解析でも、HRはがん全体と比較してほとんど変化せず、25-OHビタミンDによるがん全体の罹患リスク低減効果は、個々の部位のがんに対する小さな効果の積み重ねの結果である可能性が示唆された。 著者は、「これらの知見は、ビタミンDがさまざまな部位のがんの予防効果を有するとの仮説を支持するものである」としている。

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男女における握力とうつ病との関連

 筋力は、高齢者のメンタルヘルスにおける、修正可能な保護的要因である。性差のエビデンスにおいて、メンタルヘルスとその関連は限られている。アイルランド・リムリック大学のCillian P. McDowell氏らは、握力とうつ症状やうつ状態との横断的および将来的な関連について、性差の評価を行った。Experimental gerontology誌オンライン版2018年2月14日号の報告。 対象は、50歳以上の一般成人4,505例(女性:56.5%)。筋力の尺度として、ベースライン時に、手持ち式の握力計を用いて利き手の握力(kg)を測定した。対象者は、握力別に三分位に振り分けられた。ベースライン時と2年後のうつ症状は、疫学研究用うつ病尺度(CES-D:Center for Epidemiological Studies Depression Scale)で評価し、16点以上をうつ病例とした。 主な結果は以下のとおり。・うつ症状は、ベースライン時では女性において有意に高かった(p<0.001)。・将来モデルは、年齢、性別、腹囲、社会階級、喫煙、健康状態で調整した。・男性におけるうつ病発症オッズは、三分位の中位で32.9%減少し(p=0.21)、上位で9.9%減少したが(p=0.74)、それぞれ有意な関連ではなかった。・女性におけるうつ病発症オッズは、三分位の中位で28.5%減少し(p=0.13)、有意な差は認められなかったが、上位では43.4%の有意な減少が認められた(p=0.01)。・全サンプルにおけるうつ病発症オッズは、三分位の中位で31.5%減少し(p=0.04)、上位で34.1%減少しており(p=0.02)、それぞれ有意な関連が認められた。・性別と握力の相互の影響は、統計学的に有意ではなかった(p=0.25)。 著者らは「高齢者において、握力とうつ病との逆相関が認められた。この関連は、男性よりも女性において強かった」としている。■関連記事少し歩くだけでもうつ病は予防できるうつ病患者への運動介入、脱落させないコツは高齢者うつ病患者への運動療法は有効

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健康状態に関係なく余暇身体活動で死亡率低下~アジア50万人調査

 余暇身体活動(LTPA)と死亡リスクの関連を評価する研究は、ほとんど欧州系の健康人で実施されている。今回、米国・Vanderbilt-Ingram Cancer CenterのYing Liu氏らが東アジアの健康人および慢性疾患患者のコホートで調査を実施し、アジアの中高齢者において、定期的なLTPAが健康状態にかかわらず死亡率低下と関連していることが示唆された。International journal of epidemiology誌オンライン版2018年2月27日号に掲載。 本研究では、アジアコホートコンソーシアムに含まれる9件の前向きコホートに参加した東アジアの46万7,729人でプール解析を行い、LTPAと全死因および原因別死亡率の関連を調べた。年齢、性別、教育、婚姻状況、喫煙状況の調整後、Cox比例ハザード回帰を用いてLTPAに関連するハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・平均追跡期間の13.6年に、6万5,858人の死亡が確認された。・LTPAが1時間/週未満の人と比較したところ、LTPA量と全死因および原因別死亡率との間に逆相関が認められた(傾向のp<0.001)。・逆相関は、心血管疾患による死亡、がん以外による死亡で強かった。・LTPAと全死因死亡率との逆相関については、重度でしばしば生命を脅かす疾患である、がん、脳卒中、冠動脈疾患の患者(低LTPAに対する高LTPAのHR:0.81、95%CI:0.73~0.89)と、糖尿病や高血圧などのその他慢性疾患患者(低LTPAに対する高LTPAのHR:0.86、95%CI:0.80~0.93)で認められた。・性別、BMI、喫煙状況による明らかな修飾効果は確認されなかった。

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肥満と肺がんの関連~プール解析

 肥満は肺がんにおける潜在的な防御因子とされている。今回、パリ第11大学のHarinakshi Sanikini氏らによる、4件のコホート研究におけるコホート内ケースコントロール研究のプール解析により、過体重・肥満が肺がんリスク低下に関連するというエビデンスが追加された。BMC cancer誌2018年2月23日号に掲載。 著者らは、ケースコントロール研究を米国、欧州、中国、シンガポールの4コホート(ケース4,172例、コントロール8,471例)の中に組み込んだ。ベースライン時のBMIにより、低体重(18.5未満)、正常体重(18.5以上25未満)、過体重(25以上30未満)、肥満(30以上)の4カテゴリーに分類した。BMIと肺がんの関連については、潜在的な交絡因子を調整し、無条件ロジスティック回帰を用いてオッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を推定した。 主な結果は以下のとおり。・参加者全体において、標準体重群を基準とすると、過体重群(OR:0.77、95%CI:0.68~0.86)と肥満群(OR:0.69、95%CI:0.59~0.82)で肺がんリスクの低下が認められた。・喫煙状況による層別解析において、現喫煙者・元喫煙者・非喫煙者の各群で、過体重群と肥満群での肺がんリスクの低下が認められた(相互作用のp=0.002)。・過体重群と肥満群の調整ORはそれぞれ、現喫煙者では0.79(95%CI:0.68~0.92)、0.75(95%CI:0.60~0.93)、元喫煙者では0.70(95%CI:0.53~0.93)、0.55(95%CI:0.37~0.80)、非喫煙者では0.77(95%CI:0.59~0.99)、0.71(95%CI:0.44~1.14)であった。・低体重群では、統計学的に有意な関連は認められなかった(現喫煙者におけるOR:1.24、95%CI:0.98~1.58、元喫煙者におけるOR:0.27、95%CI:0.12~0.61、非喫煙者におけるOR:0.83、95%CI:0.53~1.28)。

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日本人医師の飲酒量に関連する因子

 日本医師会会員の男女7,500人に飲酒習慣に関するアンケートを実施したところ、喫煙、運動、睡眠障害が、飲酒もしくは大量飲酒習慣と相関していることが示された。日本大学医学部公衆衛生学の大井田 隆教授らの研究グループが報告した。Asia-Pacific Journal of Public Health誌オンライン版2018年2月1日号に掲載。 本研究では、日本医師会会員の中から、男性医師6,000人および女性医師1,500人に自記式アンケートを送付し、年齢、診療科、喫煙状況、運動状況、職場環境、睡眠障害、メンタルヘルスと飲酒習慣との相関を調べた。 主な結果は以下のとおり。・回答率は79.4%であった。・大量飲酒の習慣がある医師は、60代男性および20~50代女性で最も多かった。・飲酒もしくは大量飲酒の傾向は、年齢が上がると減少した。・喫煙は大量飲酒と相関していた。・運動は男性の飲酒、女性の飲酒/大量飲酒と相関していた。・メンタルヘルスは飲酒習慣と相関していなかった。・睡眠障害は大量飲酒習慣と相関していた。 著者らは、これらの結果は医師の飲酒率を低下させるための対策を講ずる必要があることを示唆する、としている。

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コーヒーと大腸がんの関連、日本の8研究をプール解析

 コーヒーは、がん発症を抑制する可能性のある生物活性化合物が豊富な供給源だが、大腸がんとの関連は不明であり、がんの部位別に調べた研究はほとんどない。今回、わが国の「科学的根拠に基づく発がん性・がん予防効果の評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究」の研究班が、日本の8つのコホート研究のプール解析により、コーヒーと大腸がんの関連を検討した。その結果、女性において1日3杯以上のコーヒー摂取が結腸がんリスクを低下させる可能性が示唆された。International Journal of Cancer誌オンライン版2018年2月15日号に掲載。 本研究では、32万322人の参加者における450万3,276人年の追跡調査の結果、6,711件の大腸がんが確認された。Cox比例ハザードモデルを用いて、研究ごとのハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)を推定し、ランダム効果モデルを用いて統合した。 主な結果は以下のとおり。・男女とも、コーヒー摂取は大腸がんリスクに実質的に関連していなかった(男性における統合HR:0.92、95%CI:0.82~1.03、女性における統合HR:0.90、95%CI:0.76~1.07)。・部位別の解析においては、1日3杯以上コーヒーを飲む女性で結腸がんリスクが低下した(統合HR:0.80、95%CI:0.64~0.99)が、男性ではこのような関連はなかった。・男女ともコーヒー摂取は直腸がんリスクに関連していなかった。・非喫煙者でも、頻回のコーヒー摂取で直腸がんリスクが高いことを除き、結果は事実上同様であった。

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タバコ企業がらみの資金援助にNo! 北米の17公衆衛生大学院

 2017年9月、フィリップ モリス インターナショナルは、Smoke-Free World財団に資金を提供するため、10億ドル近く寄付する予定であると発表した。この資金は、タバコによる死と疾病の減少を目指したものである。 一方、ジョンズ・ホプキンス・ブルームバーグ公衆衛生大学院のほか16校の米国とカナダの公衆衛生大学院は、2018年1月、このSmoke-Free World財団からの研究資金援助を拒絶する、17校の学長名が入った声明を出した。 ジョンズ・ホプキンス・ブルームバーグ公衆衛生大学院学長のEllen J. MacKenzie氏はHarvard T.H. Chan School of Public Healthのホームページの中で、「公衆衛生大学院の学長として、数多くの要素や科学的なベストプラクティスを考慮したうえで、われわれはこの基金からの資金援助を受け入れないことを発表する。この結果をもたらしたのは、何百万もの世界中の人々に死をもたらす製品を持つ企業と財団との密接な関係である」と述べている。 また、Smoke-Free World財団について声明では、「財団の最高経営責任者(CEO)は、財団の細則および構成は企業基金の使用基準を満たしていると表明しているが、この主張は真実ではない。研究アジェンダの透明性の欠如、フィリップ モリス インターナショナルの広報による利点、製品のマーケティングの増加という点が大きな違いである」としている。 声明では最後に、1)研究アジェンダがどのように確立されているか、2)フィリップ モリス インターナショナルと財団の間に完全なファイアウォールがあるのか、3)フィリップ モリス インターナショナルがこの資金援助をどのように活用するのか、4)フィリップ モリスがタバコ製品やその広告を段階的に廃止する具体的なタイムラインとマイルストーンなど企業としての取り組みをどう示すのか、といったことの詳細が明らかになれば、今の姿勢を再検討するための回答を探るとしている。■参考Statement on the Foundation for a Smoke-Free World

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慢性疾患でがん罹患・死亡リスクが大幅増/BMJ

 糖尿病などの慢性疾患への既往や、血圧・コレステロールといった心血管疾患などのマーカーの異常は、がん罹患リスク、がん死亡リスクの増大と関連することが明らかにされた。慢性疾患は、がん罹患の5分の1以上を、がん死亡の3分の1以上を占めることも示された。一方でこうした慢性疾患に関連したがんリスクは、適度な運動により、40%近く低下することも示されたという。米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのHuakang Tu氏らが、40万例超を対象に行った前向きコホート試験の結果で、BMJ誌2018年1月31日号で発表された。40万例超を8.7年間追跡 研究グループは1996~2007年に、米国で総合的な健康診断を受けた18歳以上の40万5,878例を対象にコホート試験を行い、平均8.7年間追跡した。健診では、心血管疾患マーカー(血圧、総コレステロール、心拍数)、糖尿病、慢性腎臓病(CKD)マーカー(蛋白尿、糸球体濾過量)、肺疾患、痛風性関節炎マーカー(尿酸)について、標準的な方法による測定または診断が行われた。 主要評価項目は、がん罹患率とがん死亡率だった。慢性疾患・マーカーによるがん罹患・死亡リスク、運動で約3~5割低減 8種の疾患・マーカーのうち、血圧値の異常と肺疾患既往以外は、がん罹患のリスクを有意に増大した(補正後ハザード比[HR]の範囲:1.07~1.44)。 がん死亡リスクについては、8種の疾患・マーカーすべてで有意な増加が認められた(HRの範囲:1.12~1.70)。 8種の疾患・マーカーを要約した慢性疾患リスクスコアは、その増大に伴いがん罹患リスクも上昇することが示された。同リスクの最高スコアは、がん罹患リスクを2.21倍(95%信頼区間[CI]:1.77~2.75)に、がん死亡リスクを4.00倍(95%CI:2.84~5.63)に、それぞれ増大した。 慢性疾患リスクの高スコアは、生存年数をかなり損失することと関連しており、同最高スコアによる損失生存年数は、男性は13.3年、女性は15.9年だった。 8種の疾患・マーカーすべてを合わせた、がん罹患率やがん死亡率の人口寄与割合は、それぞれ20.5%、38.9%であり、5つの主要生活習慣要因(喫煙、運動不足、果物や野菜の摂取不足、飲酒、肥満)を複合した場合の24.8%、39.7%に匹敵するものだった。 一方で、運動をすることで、8種の疾患・マーカーによるがん罹患・がん死亡リスクの上昇を減じることができた。身体的に活発な被験者は、運動不足の被験者と比べて、8種の疾患・マーカーによるがん罹患リスクは48%、がん死亡リスクは27%低かった。

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完全禁煙のすすめ(解説:有馬 久富 氏)-812

 昨年Lancetに世界の喫煙率が報告され、日本における喫煙率が高所得国の中で2番目に高いという不名誉な結果が得られたことは記憶に新しい1)(世界および日本において喫煙対策は急務である)。日本においても分煙あるいは禁煙する場所が増えてきたため、飲酒時などの限られた機会にのみ喫煙する機会喫煙者や、減煙を実施している少量喫煙者も増えているのではないかと推測される。しかし、少量の喫煙が、どの程度健康に悪影響を与えるかについては明らかにされていなかった。 今回、喫煙の循環器疾患に及ぼす影響を検討した141の前向きコホート研究を対象とした、システマティックレビューおよびメタ解析の結果がBMJに報告された。その結果、1日1本のタバコでも、非喫煙者に比べて冠動脈疾患のリスクが1.65倍、脳卒中のリスクが1.52倍有意に上昇していた。一方、1日20本の喫煙者では、冠動脈疾患のリスクが2.34倍、脳卒中のリスクが1.90倍であった。つまり、1日20本の喫煙者が、1日1本まで減煙しても、喫煙によって引き起こされる循環器疾患は半分程度までしか減らないことが示唆される。したがって、喫煙者における循環器疾患を最大限に予防するためには、減煙ではなく完全禁煙が必要と考えられる。 本研究には限界もある。1日1本のタバコの影響を報告しているコホート研究は少ないため、本研究では、各コホート研究から報告された成績を統計モデルに当てはめることにより、少量喫煙の影響を推定している。したがって、本メタ解析で得られた結果が少量喫煙(とくに1日1本のタバコ)の影響を正確に反映しているかどうかについては、さらなる検討が必要であろう。 今回のシステマティックレビューは、1日1本のタバコでも重大な影響を与えることを初めて明らかにし、循環器疾患を予防するためには減煙でなく完全禁煙が必要であることを示した。喫煙者を対象とした禁煙支援・禁煙しやすい環境の整備などを通して禁煙を推進することにより、喫煙による健康被害を減らすことが急務である。

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片頭痛は脳出血や心房細動とも関連/BMJ

 片頭痛は、虚血性脳卒中や心筋梗塞との関連が知られている。デンマーク・オーフス大学病院のKasper Adelborg氏らは、一般集団ベースのコホート研究を行い、片頭痛は出血性脳卒中や静脈血栓塞栓症、心房細動/粗動とも関連することを示した。BMJ誌2018年1月31日号掲載の報告。片頭痛患者と一般集団で心血管疾患リスクを比較 研究グループは、片頭痛患者と一般集団において、7つの心血管疾患のリスクを比較する全国的な一般集団ベースのコホート研究を実施した(オーフス大学などの助成による)。 1995~2013年に、デンマーク全国患者登録(DNPR)に記録された片頭痛患者5万1,032例と、年齢、性別、暦年をマッチさせた一般集団51万320例が解析の対象となった。主要評価項目は、Cox回帰分析に基づく、併存疾患としての心血管アウトカムの補正後ハザード比(HR)とした。 片頭痛群の診断時の年齢中央値は35歳(IQR:22~47)であり、全体の71%が女性であった。片頭痛群は、わずかに心血管疾患リスク因子や併存疾患が多かった。 解析の結果、ほとんどのアウトカムの絶対リスクは、フォローアップ期間を通じて、片頭痛群が一般集団に比べて高かった。脳卒中は片頭痛診断後早期のリスクが高い フォローアップ期間19年時における心筋梗塞の累積発生件数(1,000人当たり)は、片頭痛群が25件、一般集団は17件であり、虚血性脳卒中はそれぞれ45件、25件、出血性脳卒中は11件、6件、末梢動脈疾患は13件、11件、静脈血栓塞栓症は27件、18件、心房細動/粗動は47件、34件、心不全は19件、18件であった。 これらの発生率に対応して、片頭痛群は一般集団に比べ、心筋梗塞(補正後HR:1.49、95%信頼区間[CI]:1.36~1.64)、虚血性脳卒中(2.26、2.11~2.41)のリスクが有意に高く、さらに出血性脳卒中(1.94、1.68~2.23)、静脈血栓塞栓症(1.59、1.45~1.74)、心房細動/粗動(1.25、1.16~1.36)とも有意な関連を示した。一方、末梢動脈疾患(補正後HR:1.12、95%CI:0.96~1.30)と心不全(1.04、0.93~1.16)には、片頭痛との意味のある関連を認めなかった。 心不全を除く6つの心血管疾患は、いずれも片頭痛診断後1年以内の補正後HRが高い傾向がみられ、とくに脳卒中は、診断後1年以内の補正後HRが、全フォローアップ期間(0~19年)に比べて高く(虚血性脳卒中の補正後HR:8.37 vs.2.26、出血性脳卒中の補正後HR:7.89 vs.1.94)、診断後早期の発症に注意を要することが示唆された。 静脈血栓塞栓症と心不全を除く5つの心血管疾患については、前兆のある片頭痛群は前兆のない群に比べ補正後HRが高かった。また、前兆のある片頭痛群は、心筋梗塞、虚血性脳卒中、出血性脳卒中、静脈血栓塞栓症の長期リスクとの関連が認められた。 片頭痛と心血管疾患の関連は、女性が男性よりもやや強かったが、男女とも長期に持続しており、全般に加齢に伴って減弱した。また、予想どおり、若年層ではすべての心血管疾患の絶対リスクが低かった。さらに、喫煙とBMIを加えて補正しても、片頭痛と心血管疾患の関連は保持されていた。 著者は、「これらの知見は、男女ともに、片頭痛はほとんどの心血管疾患の強力かつ持続的なリスク因子であることを示唆する」と結論している。

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HbA1cと認知機能低下との関連~縦断研究

 HbA1c値および糖尿病の状況と、その後の10年間の認知機能低下について縦断的に調査したところ、これらの間に有意な関連が認められたことを中国科学院のFanfan Zheng氏らが報告した。Diabetologia誌オンライン版2018年1月25日号に掲載。 本研究では、English Longitudinal Study of Ageing(ELSA)のwave 2(2004~05年)からwave 7(2014~15年)のデータを分析した。認知機能をベースライン(wave 2)で評価し、wave 3~7で2年ごとに再評価した。線形混合モデルを使用して縦断的な関連を評価した。 主な結果は以下のとおり。・参加者は、ベースライン時のHbA1c値が15.9~126.3mmol/mol(3.6~13.7%)であった5,189人(女性55.1%、平均年齢65.6±9.4歳)。・平均追跡期間は8.1±2.8年、認知機能評価の平均回数は4.9±1.5回であった。・ベースライン時の年齢、性別、総コレステロール、HDLコレステロール、トリグリセライド、高感度CRP、BMI、教育、婚姻状況、うつ症状、現在の喫煙状況、飲酒、高血圧、CHD、脳卒中、慢性肺疾患、がんに関する調整後、HbA1cが1mmol/mol増加すると、認知機能全般のzスコア(-0.0009 SD/年、95%CI:-0.0014~-0.0003)、記憶のzスコア(-0.0005 SD/年、95%CI:-0.0009~-0.0001)、実行機能のzスコア(-0.0008 SD/年、95%CI:-0.0013~-0.0004)の低下速度が有意に増加した。・多変量調整された認知機能全般の低下速度は前糖尿病および糖尿病に関連して増加し、正常血糖の参加者と比べ、それぞれ-0.012 SD/年(95%CI:-0.022~-0.002)および-0.031 SD/年(95%CI:-0.046~-0.015)増加した(傾向のp<0.001)。・同様に、記憶、実行機能、見当識のzスコアから、糖尿病による認知機能低下速度の増加が示された。

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1日1本のタバコでも心血管疾患リスク増大/BMJ

 1日1本であっても、喫煙は冠動脈疾患および脳卒中の発症リスクを予想以上に増大させ、心血管疾患の発症に害のない安全な喫煙レベルは存在せず、リスク低減には減煙では不十分であることが、英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのAllan Hackshaw氏らが実施した141件のコホート試験のメタ解析で示された。研究の成果は、BMJ誌2018年1月24日号に掲載された。喫煙者の多くはタバコの本数を減らすことで関連疾患の発症リスクを低減できると考えているが、これまでにも冠動脈疾患のリスクは軽度の喫煙(1日5本未満)でも予想以上に高いことが報告されている。コホート試験141件を含む55論文のメタ解析 研究グループは、軽度の喫煙(1~5本/日)による冠動脈疾患および脳卒中のリスクを評価するために、系統的レビューとメタ解析を行った(Cancer Research UKの助成による)。 医学データベース(Medline)を用いて、1946~2015年に発表された論文を検索した。冠動脈疾患および脳卒中のリスクに関して、非喫煙者と比較したハザード比または相対リスクの記述があり、心血管疾患のイベント数が50件以上の前向きコホート試験を対象とした。 回帰モデルを用いて、非喫煙者と比較した、1日の喫煙本数が1本、5本、20本の場合の相対リスクを推算した。主要評価項目は、喫煙本数1日20本と比較した1日1本の相対リスクの変化率(過剰相対リスク)とした。たとえば、相対リスクが1日1本で1.4、20本で1.9の場合の過剰相対リスクは44%[(1.4-1)/(1.9-1)]となる。 141件のコホート研究を含む55件の論文がメタ解析の対象となった。リスク低減には、減煙でなく禁煙を 男性の冠動脈疾患の相対リスクは、すべての試験では喫煙本数1日1本が1.48、1日20本は2.04であったが、複数の交絡因子で調整した試験に限定すると、それぞれ1.74、2.27といずれも増加した。女性の相対リスクは、全試験では1日1本が1.57、20本は2.84であったのに対し、交絡因子調整済み試験ではそれぞれ2.19、3.95であった。 冠動脈疾患の、喫煙本数1日20本に対する1日1本の過剰相対リスクは、男性が46%(調整済み相対リスクを用いた場合は53%)、女性は31%(同:38%)であった。これは、男性における1日1本の冠動脈疾患リスクは、1日20本の約半分、女性は約3分の1であることを意味する。 脳卒中については、男性の相対リスクは1日1本が1.25、20本は1.64であり、調整済み相対リスクはそれぞれ1.30、1.56であった。また、女性の相対リスクはそれぞれ1.31、2.16で、調整済み相対リスクは1.46、2.42であった。 脳卒中の、喫煙本数1日20本に対する1日1本の過剰相対リスクは、男性が41%(調整済み相対リスクを用いた場合は64%)、女性は34%(同:36%)だった。 相対リスクは、全般的に男性に比べ女性のほうが高かった。 著者は、「男性では、1日1本の喫煙により、非喫煙者に比べ冠動脈疾患のリスクが48%(調整済み:74%)、脳卒中のリスクは25%(同:30%)増加し、女性ではそれぞれ57%(同:119%)、31%(同:46%)増加した」とまとめ、「喫煙者は、これら2つの一般的な主要疾患のリスクを統計学的に有意に低減させるには、喫煙本数を減らすのではなく、喫煙を止めるべきである」と指摘している。

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喫煙による日本人の肺がんリスクモデルとその性能

 喫煙量、喫煙期間、禁煙期間などの喫煙習慣、年齢、性別をスコア化し、肺がん発症の10年間の累積確率を評価する予測モデルが開発され、喫煙量による用量依存的な影響が確認された。国立がん研究センターのHadrien Charvat氏らは、日本の多目的コホート研究のデータを用いて、喫煙者における肺がん発症リスクの予測モデルを構築した。著者は、「このモデルを活用することで、リスクの高い人に禁煙を促し、監視を強化することができる」とまとめている。Cancer science誌オンライン版2018年1月18日掲載の報告。 著者らは、JPHC研究コホートII(5万9,161例)のデータを用いて、パラメトリック生存モデルにより、年齢、性別、喫煙関連因子(pack-years、喫煙開始年齢、禁煙期間から計算した累積喫煙強度)の影響を評価。他の原因による死亡の競合リスクを考慮したうえで、肺がん発症の10年間の累積確率を計算した。なお、JPHC研究コホートIの4万7,501例のデータを用いて、モデルの妥当性を外部データにより検証した。 主な結果は以下の通り。・98万6,408人年のフォローアップ期間中、全体で1,210例が肺がんを発症した。・肺がん発症の10年間の累積確率は、男性で0.04~11.14%、女性で0.07~6.55%の範囲であった。・現在も喫煙している場合、累積タバコ喫煙量が15pack-years未満(pack-years=1日の喫煙箱数[1箱20本として計算]×喫煙年数。15pack-yearsの例:1日1箱×15年)の場合はハザード比3.78(2.00~7.16)、75pack-years以上では15.80(9.67~25.79)に及んだ。・肺がん発症リスクは禁煙期間の長さとともに減少した。・本モデルは、識別能(交差検証されたC-index=0.793)および較正(交差検証されたχ2=6.60、p=0.58)において、良好な予測性能を示した。・また、外部集団(C-index=0.772)との検証においても、識別能は良好であった。

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正常組織で正確に発がんリスク診断。国がんが測定法開発

 国立研究開発法人国立がん研究センター(理事長:中釜斉、東京都中央区)は2018年1月23日、これまで測定困難であった正常組織に蓄積された微量の点突然変異の測定法の開発に成功したと発表。この新たな測定法を用いて正常な胃と食道での点突然変異とDNAメチル化異常両者の蓄積量を測定し、発がんリスクとの関連を調べた。 研究の結果、発がんリスクに応じて点突然変異とDNAメチル化異常の両者または一方の蓄積が増加すること、胃と食道ではその重要性が異なることを発見した。さらに、この両者測定により、正確な発がんリスクの予測が可能であることがわかった。 本研究は、国立がん研究センター研究所エピゲノム解析分野(牛島俊和分野長)の研究グループによるもので、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の革新的がん医療実用化研究事業および次世代がん医療創生研究事業の支援を受け行った。また、研究成果は米国科学アカデミーの機関誌Proceeding of National Academy of Science誌オンライン版201年11月22日号に掲載された。 対象は、発がんリスクほぼなし:食道30人(男20人、女10人)、胃32人(男18人、女14人)。リスクややあり:食道32人(男32人、女0人)、胃32人(男22人、女10人)。リスク高:食道31人(がん罹患 男31人、女0人)、胃32人(がん罹患 男25人、女7人)であった。発がんリスクの上昇に応じて点突然変異とDNAメチル化異常の両者または一方の蓄積が増加 食道では発がんリスクが高いほど、点突然変異とDNAメチル化異常の両者とも蓄積量が増加することを確認した。一方、胃では発がんリスクが高いほどDNAメチル化異常の蓄積量は増加したが、点突然変異の増加と発がんの関連は確認できなかった。点突然変異やDNAメチル化異常の上昇はライフスタイルを反映 食道がんの場合、喫煙、飲酒、ビンロウ(噛みタバコ)使用が、誘発要因として知られているが、これらは突然変異とDNAメチル化異常の両者を誘発する。今回の食道がんにおける点突然変異とDNAメチル化異常が同程度に重要という結果と合致する。胃がんの場合、その誘発要因としてピロリ菌感染歴が知られているが、ピロリ菌感染は胃粘膜に強い慢性炎症を誘発して、DNAメチル化異常を強力に誘発する。今回の胃がんにおけるDNAメチル化異常が重要という結果と合致する。点突然変異とDNAメチル化異常の蓄積を組み合わせることで正確なリスク診断へ これまでは、正常な組織に蓄積したDNAメチル化異常のみが測定可能であったが、点突然変異と組み合わせることにより発がんリスク予測精度がより向上することが考えられる。食道がんの場合、点突然変異とDNAメチル化異常を組み合わせると、発がんリスク予測の感度・特異度が非常に高くなった。胃がんの場合、DNAメチル化異常のみの場合でも相当に高く、点突然変異追加の効果は不明確であった。 本研究成果により、正常組織に蓄積した点突然変異とDNAメチル化異常の両者を測定し、検討することで、より正確に発がんリスクの診断が可能となることが示された。今後さまざまながんでライフスタイルに応じた両者の異常の蓄積を検討することで、さらに多くのがんリスク診断の発展が期待される。■参考国立がん研究センタープレスリリースYamashita S, et al. Proc Natl Acad Sci U S A. 2018 Jan 22. [Epub ahead of print]

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ADHDと電子タバコ、水タバコ、可燃性タバコの使用との関連は?

 最近、電子タバコや水タバコなどの代替タバコ製品の使用が、若者の間で増加している。代替タバコ製品の使用開始が、ADHD症状と関連しているかは、よくわかっていない。米国・南カリフォルニア大学のNicholas I. Goldenson氏らは、青年期の喫煙や電子タバコなどの使用開始とADHD症状との関連について、調査を行った。Journal of pediatric psychology誌オンライン版2018年1月2日号の報告。ADHD症状と電子タバコの使用開始に関連が認められた ベースライン時に、いずれのタバコ製品を一度も使用していなかった9年生(Ninth grade high school students[日本では中学3年生に当たる])1,921人を対象として、2014~15年に縦断調査を行った。ADHDの全体的な症状および不注意や多動性・衝動性などのサブタイプについて、ベースライン時に評価を行った。過去6ヵ月間の電子タバコ、水タバコ、可燃性タバコの使用について、半年ごとに3回のフォローアップにより調査を行った。ベースライン時のADHD症状とフォローアップ期間中のタバコ製品の使用開始との関連を、反復測定ロジスティック回帰モデルを用いて評価を行った。 ADHD症状とタバコ製品の使用開始との関連について調査した主な結果は以下のとおり。・ADHDの主要影響評価において、フォローアップ期間中のタバコ製品の使用に関する未調整のオッズは、電子タバコで45%、水タバコで33%、可燃性タバコで37%増加しており、ベースライン時のADHD症状が1SDユニット増加するたびにタバコ製品の使用も増加した。・他のリスク因子を調整した後、ADHDと、水タバコまたは可燃性タバコの使用に関連は認められなかった。・調整後、電子タバコの使用開始は、全体的なADHD症状(オッズ比[OR]:1.22、95%信頼区間[CI]:1.04~1.42)および多動性・衝動性症状(OR:1.26、95%CI:1.09~1.47)と関連が認められたが、不注意症状(OR:1.13、95%CI:0.97~1.32)では認められなかった。・ADHDと時間との相互関係は有意ではなく、ADHDは電子タバコの使用開始のオッズを高めたが、使用開始者のフォローアップ期間中、使用軌道の形に変化は認められなかった。 著者らは「若者に電子タバコが普及している現代において、ADHD症状と電子タバコ使用の心理社会的メカニズムを理解することは、タバコ製品の病因論や予防促進を行ううえで重要である」としている。■関連記事メチルフェニデート使用で“喫煙”が加速ADHD発症しやすい家庭の傾向ADHDの小児および青年における意図しない怪我のリスクとADHD薬の影響

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高齢者のスタチン非順守に関連する因子~メタ分析

 高齢者のスタチン服用における非順守や中断には、非白人、喫煙、低収入、高い患者負担金、1次予防などが関連することを、オーストラリア・Monash大学のRichard Ofori-Asensoらが報告した。著者らは「金銭的・社会的バリア、疾患リスクに関する患者の認識、ポリファーマシーなど、潜在的に修正可能な因子を対象とした介入によって、高齢者のスタチン服用を改善する可能性がある」としている。The Journals of Gerontology誌Series Aオンライン版2018年1月19日号に掲載。 本研究では、2016年12月12日までに公表された、高齢者(65歳以上)のスタチンの非順守や中断に関連する因子を報告した英語論文について系統的レビューを行った。データはランダム効果メタ分析を用いて統合した。 主な結果は以下のとおり。・45論文、13ヵ国180万人以上の高齢スタチン服用者のデータを分析した。・スタチン服用非順守の増加に関連する因子のオッズ比(95%信頼区間)  黒人もしくは非白人:1.66(1.39~1.98)  女性:1.08(1.03~1.13)  現在喫煙:1.12(1.03~1.21)  高い患者負担金:1.38(1.25~1.52)  新規の服用者:1.58(1.21~2.07)  併用する心血管用薬が少ない:1.08(1.06~1.09)  1次予防:1.49(1.40~1.59)  呼吸器疾患の存在:1.17(1.12~1.23)  うつ病の存在:1.11(1.06~1.16)  腎疾患なし:1.09(1.04~1.14)・スタチン服用中断の増加に関連する因子のオッズ比(95%信頼区間)  低収入:1.20(1.06~1.36)  現在喫煙:1.14(1.06~1.23)  高い患者負担金:1.61(1.53~1.70)  薬剤数が多い:1.04(1.01~1.06)  認知症の存在:1.18(1.02~1.36)  がんの存在:1.22(1.11~1.33)  呼吸器疾患の存在:1.19(1.05~1.34)  1次予防:1.66(1.24~2.22)  高血圧なし:1.13(1.07~1.20)  糖尿病なし:1.09(1.04~1.15)

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糖尿病になりやすい民族…(解説:吉岡成人 氏)-806

オリジナルニュース糖尿病リスクに人種間格差はあるか?/JAMA(2018/1/11掲載)糖尿病発症リスクと人種 糖尿病の発症リスクには人種間格差があり、コホート研究では、白人に比べアジア人やヒスパニック、黒人で糖尿病の発症率が高いことが知られている。また、中年女性を対象とした米国におけるNurses’ Health Study(NHS)では、18歳以降の5kgの体重増加に伴う糖尿病の発症リスク(相対リスク)について、白人が1.37であるのに対し、黒人1.38、ヒスパニック1.44、アジア人では1.84と、アジア人はわずかな体重増加でも糖尿病を発症しやすいことが報告されている(Shai I, et al. Diabetes Care. 2006;29:1585-1590.)。CARDIA研究 生活習慣などと冠動脈疾患発症のリスクなどとの関連を検討した結果について、いくつもの報告がある観察試験であるCARDIA(Coronary Artery Risk Development in Young Adults Study)では、1985年から1986年の登録時に18歳から30歳の糖尿病を持たない青年男女を20年間にわたって追跡した結果、ベースラインと7年後の比較で、トレッドミル負荷試験における運動耐容能の低下が少ないものほど糖尿病の発症リスクが低く、20年後に糖尿病を発症したものでは運動耐容能が低下していることがすでに報告されている (Carnethon MR , et al. Diabetes Care. 2009;32:1284-1288.)。人種間格差と環境の格差 今回の報告はCARDIA試験のデータを2015年から2016年まで追跡し、2型糖尿病発症のリスクといわれている人種間の差異と青年期における修正可能なリスク因子についての関連について検証したものである。修正可能なリスク因子として、空腹時血糖値、BMIなどの生物学的要因、人種差別や貧困といった地域的要因のほか、うつ症状などの心理的要因、本人や親の教育レベル、職業などの社会経済学的な側面、アルコール摂取や喫煙などの行動学的要因について検討が加えられている。その結果、平均年齢25歳、黒人49%、女性54%の4,251人のなかで、平均追跡期間24.5年の間に糖尿病を発症したのは504例(11.9%)であった。黒人では男性、女性ともに白人に比較して糖尿病の発症率が高かった(ハザード比:男性1.67、女性2.86)。しかし、空腹時血糖値、BMI、人種差別や貧困などの地域的要因、心理的要因、社会経済学的要因、行動学的要因で補正した場合は、中年期における糖尿病の発症リスクには人種間格差が認められなかった(ハザード比:男性0.92、女性0.79)と報告されている。 今回の検討からは、人種間格差といわれるものの本質は環境因子であり、環境因子は人種の差を十分に埋めるものであることが示されたと受け止めることもできる。現在の米国第一主義が、「修正可能なリスク因子(modifiable risk factors)」として選択された要因を修正できるような社会として成り立っているのかどうかについても考えさせる論文である。

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