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ホルモン補充療法のVTEリスク、製剤で異なる/BMJ

 ホルモン補充療法(HRT)による静脈血栓塞栓症(VTE)のリスクは、製剤のタイプによって異なり、経口薬は全般にリスクが高く、経皮吸収薬はリスクと関連がないことが、英国・ノッティンガム大学のYana Vinogradova氏らの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2019年1月9日号に掲載された。更年期症状がみられる女性の無作為化対照比較試験では、HRTを受けている女性は受けていない女性に比べVTEリスクが高いと報告されているが、ほとんどの試験は結合型エストロゲン製剤または結合型エストロゲンと酢酸メドロキシプロゲステロン配合薬が使用されている。また、観察研究では、HRTは全般にリスクの上昇と関連するとされるが、異なるタイプの製剤の詳細な比較に関して、これらの研究には十分な検出力はなかったという。製剤別のVTEリスクをコホート内症例対照研究で評価 研究グループは、VTEのリスクとHRTの製剤のタイプとの関連を評価するコホート内症例対照研究を行った(研究助成は受けていない)。解析には、英国の2つのプライマリケア研究データベース(QResearch、Clinical Practice Research Datalink[CPRD])のデータを用いた。 HRTには、経口薬としてエストロゲン単剤(結合型エストロゲン、エストラジオール)およびエストロゲンと各種黄体ホルモンの配合薬が用いられ、経皮吸収薬(貼付薬、皮下投与、ゲル)としてエストロゲン単剤およびエストラジオール配合薬が使用された。 1998~2017年の期間に、VTEの初回診断を受けた40~79歳の女性8万396例(症例群)と、この集団と年齢、受療中の一般診療、index dateをマッチさせた女性39万1,494例(対照群)を比較した。 主要評価項目は、一般診療記録や入院、死亡記録に基づくVTEであった。人口統計学的データ、喫煙状況、アルコール摂取、併存疾患、直近の医学的イベント、他の処方薬で補正したオッズ比(OR)を算出した。約8割が経口薬を使用、リスクは1.5倍以上 症例群の5,795例(7.2%)および対照群の2万1,670例(5.5%)が、index date前の90日間にHRTを受けていた。 このうち症例群の4,915例(85%)および対照群の1万6,938例(78%)が経口薬を使用していた。HRT非使用例に比べ、これら経口薬使用例はVTEのリスクが有意に高く(補正後OR:1.58、95%信頼区間[CI]:1.52~1.64、p<0.001)、エストロゲン単剤(1.40、1.32~1.48、p<0.001)およびエストロゲン・黄体ホルモン配合薬(1.73、1.65~1.81、p<0.001)の双方で有意差が認められた。 経口薬のうち、エストロゲン単剤のエストラジオールは結合型エストロゲンよりもVTEリスクが低く(補正後OR:0.85、95%CI:0.76~0.95、p=0.005)、エストラジオール配合薬は結合型エストロゲン配合薬に比べ低リスクであった(0.83、0.76~0.91、p<0.001)。 HRT非使用例と比較して、経口薬の結合型エストロゲン・酢酸メドロキシプロゲステロン配合薬は最もVTEリスクが高く(補正後OR:2.10、1.92~2.31、p<0.001)、エストラジオール・ジドロゲステロン配合薬(1.18、0.98~1.42、p=0.09)が最も低リスクであった。 高用量エストロゲンは、低用量に比べVTEリスクが高かった。経皮吸収薬使用例の多くがエストロゲン単剤の製剤を使用していた(症例群:80%、対照群:76%)。経皮吸収薬はどの製剤も、VTEリスクと関連がなかった(全体の補正後OR:0.93、95%CI:0.87~1.01、p=0.07)。 著者は、「VTEリスクの高い経口薬が好まれ、リスクと関連のない経皮吸収薬は十分に利用されていない現状が明らかとなった」としている。

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認知症による死亡、中年期からの体重減少と関連

 肥満が認知症に対して防御的であるという仮説を検証するために、英国London School of Hygiene and Tropical MedicineのAlexander N. Allen氏らは、中年および高年者の両方で、認知症による死亡と体重およびBMIとの関連を比較した。その結果、認知症による死亡が中年期より高年期のBMIと強い逆相関を示し、また中年期から高年期までのBMIや体重の減少と強い相関を示した。Age and Ageing誌オンライン版2019年1月9日号に掲載。 著者らは、1967~70年のWhitehall研究における英国ロンドンの中央政府職員の中年男性1万9,019人と1997年の再調査で生存していた6,158人の参加者における前向き研究において、身長と体重を測定した。40年間で320人の参加者が認知症により死亡し、Cox回帰を用いて、体重・BMIと40年間の認知症死亡との関連を調べた。なお、体重とBMIは医療者が測定し、年齢、喫煙習慣、職業階層、婚姻状況で調整した。 主な結果は以下のとおり。・中年期に測定された体重は認知症による死亡と弱い逆相関を示した(1kg当たりのハザード比[HR]:0.98、95%CI:0.97~0.99)が、身長とBMIは関連していなかった。・一方、高年期の体重は認知症による死亡と強い逆相関を示し(1kg当たりのHR:0.96、95%CI:0.95~0.98)、BMIも同様(1kg/m2当たりのHR:0.92、95%CI:0.86~0.97)であった。・ベースラインから再調査までの30年間における体重減少は、認知症による死亡リスクの増加と関連し、30年間で1kg減少当たりの調整HRは1.04(95%CI:1.02~1.08)であった。BMI減少との関連はより強く、1kg/m2減少当たりの調整HRは1.10(95%CI:1.03~1.19)であった。

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第15回 低用量ピルのよくある質問に答えるエビデンス【論文で探る服薬指導のエビデンス】

 低用量ピルは、避妊目的だけでなく、月経の周期、痛みや倦怠感などの月経困難症をコントロールすることで女性のさまざまな悩みを改善し、かつ安全性も高いという有用な薬剤です。しかし、副作用の懸念から抵抗を示される方も少なからずいらっしゃいます。副作用リスクを正しく認識していただいたうえでメリットを享受していただけるように、服薬指導でのよくある質問と参考となる研究を紹介します。低用量ピルは避妊のためのものではないのか低用量ピルには、避妊を目的とする経口避妊薬(Oral Contraceptive:OC)と月経困難症などの治療を目的とする低用量エストロゲン-プロゲスチン(Low dose estrogen-progestin:LEP)があり、どちらも服用すると、実際は妊娠していなくても下垂体は妊娠したと認識をするので排卵が起こらないようになります。低用量ピルの中止後は通常の月経に戻るのか月経をコントロールするという性質からか、低用量ピルの中止時に通常の月経に戻るのか、再び妊娠できる状態になるのか心配される方もいらっしゃいます。そういう場合には可逆性があることを説明できると安心材料になります。たとえば、レボノルゲストレル90μg/エチニルエストラジオール20μgを約1年服用した18〜49歳(平均年齢30.4歳)の女性で、通常の月経または妊娠に至るまでの期間を検討した観察研究では、最後の服用から90日以内に187例中185例(98.9%)で自然月経が再開または妊娠したという結果が出ています(自発月経181例、妊娠4例)。月経が再開するまでの期間の中央値は32日でした。これを踏まえると、中止後、妊娠していない状態で90日以上月経が再開しない場合は無月経の可能性が高いため、受診を勧める目安になります1)。低用量ピルを服用すると体重は増加するのかこれも比較的よくある質問ですが、服薬拒否にもつながりやすい事由なので丁寧な説明が求められます。体重増加について検討したコクランのシステマティックレビューがあり2)、試験の背景として体重増加がピル服用に関連していると考える女性が多く、服用の開始が遅れたり中止になったりすることが多いという問題が提示されています。しかしながら、実際にはプラセボ投与群または介入なし群を含む4試験では、低用量ピル(または避妊薬パッチ)の使用と体重増加の因果関係を支持する結果は見いだされませんでした。また、さまざまな種類のピルと投与量(エチニルエストラジオール20〜50μg)を比較した試験の大多数でも、グループ間で体重に関して有意差がないことが示されています。少なくとも大きな体重増加との関連はほぼないと説明してよさそうです。低用量ピルによる血栓症リスクはどれくらいあるのか血栓症ひいては静脈血栓塞栓症(VTE)は、ドロスピレノン・エチニルエストラジオール錠(商品目:ヤーズ配合錠)でブルーレターが発出されています。頻度としては低いのですが、低用量ピルに共通の副作用ですので、どの製剤であっても早期に兆候を察知して対処できるよう説明が必要です。VTEリスクの上昇は、エストロゲン含有ピルの摂取により、凝固因子II、VII、X、XII、VIIIおよびフィブリノゲンの血漿濃度が上がることが機序として考えられています3,4)。このリスクの感覚値をお伝えするうえで、参考になる症例対照研究があります5)。2015年にBMJ誌に掲載された研究で、2001~13年の間に英国においてVTEと診断された15~49歳の女性を対象としています。年齢、慣習、時期などをマッチさせた対照群を設定し、前年度の経口避妊薬摂取によってVTEの発生率が上がるかを検討したものです。オッズ比は、喫煙の有無、アルコール摂取、人種、BMI、合併疾患、他の経口避妊薬摂取などの因子で調整し、解析しています。その結果、年間10,000人当たりでVTEを発症する追加人数は、プロゲスチンの世代分類の観点からみると、第1世代(オーソ、シンフェーズ、ルナベルLD)と第2世代(トリキュラー、アンジュ)は6~7例の発生に対して、第3世代(マーベロン)は14例、第4世代(ヤーズ)は13例です。新しい世代のものほど、やや血栓症が出やすいという結果が出ています。一方で、エチニルエストラジオール含有量が高いほど脳卒中や心筋梗塞のイベントリスクが高い傾向にあり、表にあるようなプロゲスチンの種類による差は微々たるものであることを示唆するNEJM誌の論文もありますから6)、それも参考としてしっておくとよいかもしれません。VTEは早期の診断・治療が重要ですので、VTEの特徴的な兆候(英語の頭文字をとってACHES)を覚えておくと有用です。A:abdominal pain(激しい腹痛)C:chest pain(激しい胸痛、息苦しい、押しつぶされるような痛み)H:headache(激しい頭痛)E:eye/speech problems(見えにくい所がある、視野が狭い、舌のもつれ、失神、痙攣、意識障害)S:severe leg pain(ふくらはぎの痛み・むくみ、握ると痛い、赤くなっている)これらの兆候に気付いたら、重症化を防ぐため、すぐに中止のうえ受診を促す必要があるので、服薬指導時にお伝えしましょう。1)Davis AR, et al. Fertil Steril. 2008;89:1059-1063.2)Gallo MF, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2014 Jan 29:CD003987.3)Middeldorp S, et al. Thromb Haemost. 2000;84:4-8.4)Kemmeren JM, et al. Thromb Haemost. 2002;87:199-205.5)Vinogradova Y, et al. BMJ. 2015;350:h2135.6)Lidegaard O, et al. N Engl J Med. 2012;366:2257-2266.

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血中hsCRP高値の現・元喫煙者、肺がんリスク高い/BMJ

 血中高感度C反応性蛋白(hsCRP)が高値の元喫煙者および現喫煙者は、肺がんリスクが高いことが示された。一方で、hsCRP値と肺腺がんリスクの関連は認められず、hsCRP値は、原因となるリスク因子ではなく肺がんの診断前マーカーとなりうる可能性が示されたという。国際がん研究機関(IARC、本部:フランス)のDavid C. Muller氏らが、20のコホート試験を基に行った、コホート内ケースコントロール試験の結果で、BMJ誌2019年1月3日号で発表した。先行研究では、CRPは全身性炎症のマーカーで、肺がんリスクと関連することが示されていた。しかし、喫煙状態別(喫煙歴なし、元喫煙、現喫煙)の関連について正確な推定値を示すことが可能な規模の試験はなかった。喫煙歴や組織学的亜型に分けて関連を検証 研究グループは、アジア、欧州、オーストラリア、米国で行われた20の住民ベースコホート試験を基にケースコントロール試験を行い、診断前の血清またはプラズマhsCRP値と肺がんとの関連を検証した。喫煙歴や組織学的亜型に分けて分析した。 被験者は、新たに肺がんの診断を受けた5,299例と、個別に罹患密度でマッチングした同数の対照群だった。血中hsCRP値2倍の元・現喫煙者、肺がんリスクは1.09倍 元喫煙者と現喫煙者で、血中hsCRP値が高いほど肺がんリスクも上がり、血中hsCRP値が2倍に上昇した場合のそれぞれのオッズ比は、現喫煙者1.09(95%信頼区間[CI]:1.05~1.13)、元喫煙者1.09(同:1.04~1.14)だった(相互作用p<0.01)。この関連は、とくにフォローアップの当初2年間でがんと診断された場合に強くみられた。一方、喫煙歴のない人では、こうした関連は認められなかった。 血中hsCRP値と肺がんリスクとの強い関連は、腺がんを除くすべての組織学的亜型で一貫して認められた。腺がんの関連オッズ比は0.97(同:0.94~1.01)で、喫煙歴にかかわらず関連はみられなかった。 リスクモデルで、喫煙ベースの変数に血中hsCRP値を加味しても、全体的なリスク判別能は改善しなかった。しかし、わずかだが、フォローアップの当初2年間のがん診断については改善がみられた。

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慢性蕁麻疹は、骨粗鬆症のリスク因子

 慢性蕁麻疹(CU)は骨粗鬆症に対して多くのリスク因子となるが、CUと骨粗鬆症における関連についてはデータが不足している。イスラエル・Clalit Health ServicesのGuy Shalom氏らは大規模な観察研究を行い、CUが骨粗鬆症のリスクとなる可能性があることを明らかにした。著者は、「ターゲットを適切にするためのスクリーニングを検討する必要がある」とまとめている。British Journal of Dermatology誌オンライン版2018年12月18日号掲載の報告。 研究グループは、地域住民を対象にCUと骨粗鬆症との関連性を評価する目的で、全国的な長期観察コホート研究を行った。 CUは、蕁麻疹と診断された4つの組み合わせで定義。それぞれのCUは、診断から6週間以内に記録され、プライマリケアの内科医が研究に登録した。CU患者と、その患者の年齢と性別が一致する者を対照群として割り付け、2002~17年における骨粗鬆症の発生頻度とその他の検査データを追跡した。 ステロイドの全身投与および骨粗鬆症に関連するほかのリスク因子についてのデータを得た。 年齢、性別、ステロイドの全身投与、肥満、喫煙、甲状腺機能亢進症および甲状腺機能低下症に関して補正したCox回帰モデルにて、骨粗鬆症のリスク分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・解析対象はCU患者群1万1,944例で、対照群は5万9,829例であった。・観察期間中、CU患者群のうち1,035例(8.7%)、対照群のうち4,046例(6.8%)が骨粗鬆症と診断された。・多変量解析の結果、CUは骨粗鬆症に対し、高リスクとして有意に関連していた(ハザード比:1.23、95%信頼区間[CI]:1.10~1.37、p<0.001)。

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加齢黄斑変性、酸化LDLと関連なし

 血清中の酸化低密度リポタンパク質(酸化LDL)は、加齢黄斑変性(AMD)の発症または悪化において統計学的に有意な関連は認められないことが示された。米国・ウィスコンシン大学マディソン校のRonald Klein氏らが、ビーバーダム眼研究(BDES:Beaver Dam Eye Study)のデータを解析、報告した。Ophthalmology誌オンライン版2018年12月17日号掲載の報告。 BDESは、1988年にウィスコンシン州ビーバーダム市在住の43~84歳の住民を対象とする前向き観察研究として開始された。研究グループは、血清中の酸化LDLとAMDとの関連を調べる目的で、BDESにおいて1988~2016年に約5年間隔で行われた6回の調査期のうち1回以上の調査期に診察を受けた4,972例から、50%(2,468例)を無作為に抽出し、各調査期に保管された凍結検体についてELISA法を用いて酸化LDLを測定した。1人が複数回の調査期に診察を受けているため、合計6,586件の結果が含まれている。 AMDはWisconsin Age-related Maculopathy Grading Systemにより評価し、重症度を5段階に分類して調査した。あらゆるAMDや後期AMDの発生率、および25年にわたるAMDの悪化・改善など、AMDの推移と酸化LDLとの関連を、Multi-State Markov(MSM)modelを用いて同時解析した。 主な結果は以下のとおり。・ベースラインにおける酸化LDL値(平均±SD)は、75.3±23.1U/Lであった。・年齢、性別、ARMS2と補体H因子(CFH)の対立遺伝子、および調査期で補正すると、調査期間初期の酸化LDLは、あらゆるAMDの発生率において統計学的に有意な関連は認められなかった(酸化LDL 10U/L当たりのハザード比[HR]:1.03、95%信頼区間[CI]:0.98~1.09)。・酸化LDLは単独で、AMD重症度の悪化や、後期AMDの発生率とも関連を認めなかった。・スタチン使用歴、喫煙状況、BMIおよび心血管疾患既往歴に関して補正後も、酸化LDLは、あらゆるAMDの発生率あるいはAMDの悪化と関連を認めないままだった。

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オランザピンの治療反応に対する喫煙やコーヒーの影響

 統合失調症患者におけるオランザピン治療の有効性および安全性に対して、喫煙や大量のコーヒー摂取が及ぼす影響を、セルビア・クラグイェヴァツ大学のNatasa Djordjevic氏らが、遺伝子多型との関連で評価した。The World Journal of Biological Psychiatry誌オンライン版2018年12月4日号の報告。 対象は、30日間オランザピン投与を行った統合失調症患者120例。治療の有効性は、3つの異なる精神医学的尺度を用いて評価し、安全性については、代謝性副作用および錐体外路症状の評価を行った。遺伝子型の判定には、CYP1A2*1C、CYP1A2*1F、CYP1A1/1A2の遺伝子多型、CYP2D6*3、CYP2D6*4、CYP2D6*6を含んだ。 主な結果は以下のとおり。・喫煙や大量のコーヒー摂取は、オランザピン治療の有効性を低下させ、安全性を向上させた(p<0.001)。・この影響は、CYP1A2*1F対立遺伝子のキャリアのみで認められたが、共変量解析により、CYP1A2遺伝子型とは独立していることが明らかとなった。・オランザピンの用量は、薬剤効果(p≦0.002)およびLDLレベル(p=0.004)と逆相関が認められた。・女性および高齢者に対する治療反応は良好であったが(p<0.026)、有害事象がより多かった(p≦0.049)。・他の関連因子をコントロールしたとき、CYP2D6代謝物の状態がオランザピン治療の有効性に影響を及ぼしていた(p=0.032)。 著者らは「喫煙や大量のコーヒー摂取が、オランザピンの有効性および安全性に影響を及ぼすことが確認された。CYP1A2遺伝子型との関連性は、さらなる調査が必要である。また、オランザピンの治療反応は、用量、性別、年齢、CYP2D6代謝物の状態により影響を受ける」としている。■関連記事統合失調症のカフェイン依存、喫煙との関連に注意日本人統合失調症患者の喫煙率に関する大規模コホートメタ解析オランザピンの代謝異常、原因が明らかに:京都大学

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第8回 冬の救急編:心筋梗塞はいつ疑う!?【救急診療の基礎知識】

12月も終盤。最近では都内も一気に冷え込んできました。毎朝布団から出るのが億劫になってきた今日この頃です。救急外来では急性冠症候群や脳卒中の患者数が上昇しているのではないでしょうか?ということで、今回は冬に多い疾患にフォーカスを当てようと思います。脳卒中は第5回までの症例で述べたため、今回は急性冠症候群(acute coronary syndrome:ACS)に関して、初療の時点でいかにして疑うかを中心に考えていきましょう。●今回のPoint1)胸痛を認めないからといって、安易に否定してはいけない!?2)急性冠症候群?と思ったら、常に大動脈解離の可能性も意識して対応を!?3)帯状疱疹を見逃すな! 必ず病変部を目視し、背部の観察も忘れるな!?はじめに急性冠症候群は、冠動脈粥腫の破綻、血栓形成を基盤として心筋虚血を呈する症候群であり、典型例は胸痛で発症し、心電図においてST上昇を認めます(ST-elevation myocardial infarction:STEMI)。典型例であれば誰もが疑い、診断は容易ですが、そればかりではないのが現実です。高感度トロポニンなどのバイオマーカーの上昇を認めるものの、ST変化が認められない非ST上昇型心筋梗塞(non-ST elevation myocardial infarction:NSTEMI)、バイオマーカーの上昇も伴わない不安定狭心症(unstable angina pectoris:UAP)の診断を限られた時間内で行うことは難しいものです。さらに、胸痛が主訴であれば誰もがACSを疑うとは思いますが、そうではない主訴であった場合には、みなさんは疑うことができるでしょうか。STEMI患者であれば、発症から再灌流までの時間を可能な限り短くする必要があります。そのためには、より早期に疑い対応できるか、具体的にはいかにして疑い心電図をとることができるかがポイントとなります。今回はその辺を中心に一緒に考えていきましょう。急性冠症候群はいつ疑うべきなのか?胸痛を認める場合「胸痛を認めていれば10分以内に心電図を確認する」。これは救急外来など初療に携わる人にとって今や常識ですね。痛みの程度がたいしたことがなくても、「ACSっぽくないなぁ」と思っても、まずは1枚心電図検査を施行することをお勧めします。何でもかんでもというのは、かっこ悪いかもしれませんが、非侵襲的かつ短時間で終わる検査でもあり、行うことのメリットが大きいと考えます。胸痛を認めACSを疑う患者においては、やはり大動脈解離か否かの鑑別は非常に重要となります。頻度は圧倒的にACSの方が多いですが、忘れた頃に解離はやってきます。まずはシンプルに理解しておきましょう。突然発症(sudden onset)であった場合には、大動脈解離をまず考えておいたほうがよいでしょう。ACSも急性の胸痛を自覚することが多いですが、大動脈解離はそれ以上に瞬間的に痛みがピークに達するのが一般的です。数秒内か数分内かといった感じです。「なんだか痛いな、いよいよ痛いな」というのがACS、「うわぁ!痛い!」というのが解離、そんな感じでしょうか。皮膚所見は必ず確認ACSを数時間の診療内にカテーテル検査を行わずに否定することは意外と難しく、HEART score(表1)1)などリスクを見積もるスコアリングシステムは存在しますが、低リスクであってもどうしても数%の患者を拾いあげることは難しいのが現状です。しかし、胸痛の原因となる疾患がACS以外に確定できれば、過度にACSを心配する必要はありません。画像を拡大する画像を拡大する高齢者の胸痛の原因として比較的頻度が高く、発症時に見逃されやすい疾患が帯状疱疹です。帯状疱疹は年齢と共に増加し、高齢者では非常に頻度の高い疾患です。痛みと皮疹のタイムラグが数日存在(長ければ1週間程度)するため、発症時には皮疹を認めないことも多く診断では悩まされます。胸痛患者では心電図は必須であるため、胸部誘導のV6あたりまでは皮膚所見が勝手に目に入ってくるとは思いますが、背部の観察もきちんと行っているでしょうか。観察を怠り、ACSの可能性を考えカテーテル検査が行われた症例を実際に耳にします。皮疹がまったくない状態でリスクが高い症例であれば、カテーテル検査を行う状況もあるかもしれませんが、明らかな皮疹が支配領域に認められれば、帯状疱疹を積極的に疑い、無駄な検査や患者の不安は回避できますよね。疼痛部位に加えて、神経支配領域(胸痛であれば背部、腹痛であれば背部に加え臀部)は必ず確認する癖をもっておくとよいでしょう。胸痛を認めない場合ACSを疑うことができなければ、心電図をオーダーしないでしょう。いくら高感度トロポニンなど有効なバイオマーカーが存在していても、フットワークが軽い循環器医がいても、残念ながら目の前の患者さんを適切にマネジメントできないのです。胸痛を認めない患者とは(1)高齢、(2)女性、(3)糖尿病、これが胸痛を認めない心筋梗塞患者の3つの代表的な要素です。2型糖尿病治療中の80歳女性の約半数は痛みを認めないのです2,3)。これがわずか数%であれば、胸痛がないことを理由にACSを否定することが可能かもしれませんが、2人に1人となればそうはいきません。3大要素以外には、心不全や脳卒中の既往症がある場合には、痛みを認めないことが多いですが、これらは普段のADLの低下や訴えが乏しいことが理由でしょう。既往症から心血管系イベントのリスクが高い患者ということが認識できれば、虚血性病変を疑い対応することが必要になります。胸痛以外の症状無痛性心筋梗塞患者の入口はどのようなものでしょうか。言い換えれば、胸痛以外のどのような症状を患者が訴えていたら疑うべきなのでしょうか。代表的な症状は表2のとおりです。これらの症状を訴えて来院した患者において、症状を説明しうる原因が同定できない場合には、ACSを考え対応する必要があります。65歳以上の高齢者では後述するcoronary risk factorが存在しなくても心筋梗塞は起こりえます。年齢が最大のリスクであり、高齢者ではとくに注意するようにしましょう。画像を拡大するたとえば、80歳の女性が嘔気・嘔吐を主訴に来院したとしましょう。バイタルサインは意識も清明でおおむね安定しています。高血圧、2型糖尿病、脂質異常症、骨粗鬆症の指摘を受け内服加療中です。さぁどのように対応するべきでしょうか。そうです、病歴や身体所見はもちろんとりますが、それと同時に心電図は一度確認しておきましょう。症状が数日持続している、食欲は通常どおりあるなど、ACSらしくないなと思ってもまずは1枚心電図を確認しておくのです。入口を広げると、胸痛ではなく失神や脱力、冷や汗などを認める患者においても「ACSかも!?」と思えるようになり、「胸痛はありませんか?」とこちらから問診できるようになります。患者は最もつらい症状を訴えるのです。胸痛よりも嘔気・嘔吐、脱力や倦怠感が強ければ、聞かなければ胸痛を訴えないものなのです。Coronary risk factorACSを疑った際にリスクを見積もる必要があります。冠動脈疾患の家族歴、高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙者、慢性腎臓病などはリスクであり、必ず確認すると思いますが、これらをすべて満たさない場合にはACSは否定してよいのでしょうか。答えは「No」です。 年齢が最大のリスクであり、65歳以上の高齢者では、前述したリスクファクターのどれも該当しなくても否定してはいけません。逆に40~50代で該当しなければ、可能性はきわめて低くなります。ちなみに家族歴はどのように確認していますか? 「ご家族の中で心筋梗塞や狭心症などを患った方はいますか?」と聞いてはいませんか。この問いに対して、「私の父が80歳で心筋梗塞にかかった」という返答があった場合に、それは意味があるでしょうか。わが国における心筋梗塞の平均発症年齢は、男性65歳、女性75歳程度です。ですから年齢を考慮すると心筋梗塞にかかってもおかしくはないなという、少なくともそれによって診療の方針が変わるような答えは得られませんね。ポイントは「若くして」です。先ほどの問いに対して「私の父は50歳で心臓の病気で亡くなりました」や、「私の兄弟が43歳で数年前に突然死して、不整脈が原因と言われました」といった返答があれば、今目の前にいる患者さんがたとえ若くても、家族歴ありと判断し、慎重に対応する必要があるのです。さいごに胸痛を認めればACSを疑い、対応することは誰もができるでしょう。しかし、そもそも疑うことができず、診断が遅れてしまうことも一定数存在するはずです。高齢者では(とくに女性、糖尿病あり)、入口を広げること、そして帯状疱疹に代表される心筋梗塞以外の胸痛疾患もきちんと鑑別に挙げ、対応することを意識してください。次回は、意識障害のピットフォールに戻り、アルコールによる典型的な意識障害のケースを学びましょう。1)Poldervaart JM, et al. Ann Intern Med. 2017;166:689-697.2)Canto JG, et al. JAMA. 2000;283:3223-3229.3)Bayer AJ, et al. J Am Geriatr Soc.1986;34:263-266.

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ダパグリフロジンと心疾患予防の関係は

 11月26日、アストラゼネカ株式会社と小野薬品工業株式会社は、アメリカ心臓協会(AHA)でDECLARE‐TIMI 58 試験(以下「本試験」と略す)の発表が行われたのを期し、都内でメディアセミナーを開催した。セミナーでは、糖尿病領域と循環器領域の2つの視点から試験結果に対し説明が行われた。DECLARE‐TIMI 58 試験概要 複数の心血管リスク因子、心血管疾患の既往歴を有する患者を含む、CVイベントリスクが高い成人2型糖尿病患者を対象に、ダパグリフロジン(商品名:フォシーガ)の治療が及ぼす影響をプラセボとの比較で評価した試験。患者登録では、日本を含む世界33ヵ国882施設から1万7千例超の患者が参加。無作為化二重盲検プラセボ対照多施設共同試験。実施はアストラゼネカ株式会社。高血糖の人は心不全リスクが高い 糖尿病領域では、門脇 孝氏(一般社団法人 日本糖尿病学会 理事長、東京大学大学院医学系研究科 特任教授、帝京大学医学部附属溝口病院 常勤客員教授)を講師に迎え、本試験の意義を確認した。 最近の調査から糖尿病患者と一般の健康な人との間では、平均寿命の差に約8~11年の隔たりがあること(2001~10年)、心不全合併症の糖尿病患者は心不全の既往がない糖尿病患者と比較して生存率が低いこと1)などを指摘、糖尿病患者の心血管イベントリスクへ警鐘を鳴らした。 本試験では、対象に2型糖尿病で「40歳以上および虚血性心疾患、脳血管疾患、末梢動脈疾患のいずれか1つ以上を有するもの」(2次予防)または「男性55歳以上、女性60歳以上で脂質異常、高血圧、喫煙のいずれか1つ以上のリスク因子を有するもの」(1次予防)を組み入れ、最長6年、平均追跡期間4.2年と長いスパンでみたものであると解説。なかでも「対象者に複数のリスク因子保有者が組み入れられている点は、臨床での実患者像に近い」と同氏は試験の意義を強調した。 本試験の結果につき、48ヵ月経過後プラセボ群のHbA1cが8.3%→8.1%だったのに対し、ダパグリフロジン群は8.3%→7.7%(最小二乗平均の差における95%CI 0.40~0.45)と有意に低下し、体重も同期間でプラセボ群が91kg→89kgだったのに対し、ダパグリフロジン群は91kg→87kg(最小二乗平均の差における95%CI 1.7~2.0)と有意に減少していた。 有効性に関し、主要心血管イベント(MACE)のイベント発生率ではプラセボ群が9.4%だったのに対し、ダパグリフロジン群は8.8%で有意差は認められなかった(HR 0.93[信頼区間0.84~1.03])一方で、心不全による入院と心血管死では、プラセボ群が5.8%だったのに対し、ダパグリフロジン群は4.9%と有意な減少(HR 0.83[信頼区間0.73~0.95])を認め、腎複合評価項目ではプラセボ群が5.6%だったのに対し、ダパグリフロジン群は4.3%と同じく有意な減少(HR 0.76[信頼区間0.67~0.87])を認めた2)。 安全性では、重篤な有害事象、重症低血糖、急性腎障害、膀胱がんでプラセボに非劣性だったのに対し、投与中止の有害事象、糖尿病性ケトアシドーシス、性器感染症はプラセボよりも高い数値だった。 以上の本試験の結果から同氏は「高血糖とリスクファクターを持つ人は症状こそ見えないが、心不全、腎不全の病態が進行していることが示唆された。また、心血管イベントの既往がない患者さんに対して、心不全・腎イベントの発症を抑制できることが初めて示唆され、今後は、健康な人と変わらないQOLの確保と寿命の維持のためにも、患者個々の背景と合ったエビデンスを持つ薬剤を使用していくべきと考える」と展望を語り、レクチャーを終えた。糖尿病患者は心不全の際に立っている 続いて小室 一成氏(一般社団法人日本循環器学会 代表理事、東京大学大学院医学系研究科 循環器内科学 教授)を講師に迎え、循環器領域から本試験結果への考察を説明した。 循環器疾患では、「心不全」が増加傾向にあり、重要な疾患と位置づけられている。心不全は、徐々に悪化するので早期から急性イベントや入院を防止することが大切だが、糖尿病患者では主要な合併症であることが知られている。糖尿病患者の生存率は、前述の講演の内容通りだが、「糖尿病患者は、心不全を起こす際に立っているようなものであり、いかに進行の傾斜を緩やかにするのかが重要だ」と指摘する。そのため、糖尿病患者では心不全を発症させないことが大事であり、予防では、糖尿病発症、左室リモデリング、左室機能障害、心不全の診断の4つの予防機会があるという。 その他、本試験のほかEMPA-REG OUTCOME、CANVAS Programの3試験の解析から本試験の対象者のハザード比が低いことも報告された。 実際、これらの試験成績を受けて小室氏は、「SGLT2阻害薬には、心血管既往歴のある2型糖尿病患者の心不全予防に有効だとしながらも、一次予防症例や後期高齢者などへの有効性についてはこれからの課題」である。「今後、治療に関するガイドラインなども議論が活発になると考えている」と述べ、講演を終えた。※ダパグリフロジンは2型糖尿病のみ承認取得した薬剤であり、心不全や心血管死などへ効能効果はない。また、わが国での開始使用量は5mg/日で、効果不十分などの場合は最大10mg/日まで増量可能。■関連記事CV高リスク2型DMへのSGLT2iのCV死・MI・脳卒中はプラセボに非劣性:DECLARE-TIMI58/AHA

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1年で心筋梗塞のリスクが最も高い日/BMJ

 スウェーデンでは、クリスマスや夏至の祝日(夏至祭[夏至とその前日]と呼ばれ、クリスマスを除くとスウェーデンで最も盛況な休日、St John's Dayとしても知られる)は心筋梗塞のリスクが高く、とくにクリスマスイブが高リスク(37%増)であり、高齢患者や糖尿病を合併する患者など脆弱な状態にある集団では、これらの期間が心筋梗塞の外的な引き金の役割を担う可能性があることが、スウェーデン・スコーネ大学病院のMoman A. Mohammad氏らが行ったSWEDEHEART試験で示された。西欧諸国では、心筋梗塞による心臓死や入院は、クリスマスや新年の休日にピークに達することが観察されている。また、心筋梗塞のリスクは、フットボールの優勝決定戦やハリケーン、株式市場の暴落とも関連する。そのため、感情的なストレスや身体活動、生活様式の変化に関連する因子が、短期的な引き金として作用することで、心筋梗塞の発症に影響を及ぼす可能性があると推測されている。BMJ誌2018年12月12日号(クリスマス特集号)掲載の報告。休日やスポーツイベントとの関連を後ろ向きに解析 研究グループは、心筋梗塞の引き金としての国民の休日、主要なスポーツイベントについて検討する後ろ向き観察研究を実施した(スウェーデン心肺財団などの助成による)。 解析には、スウェーデンの全国冠動脈ケアユニットレジストリー(SWEDEHEART)のデータを用いた。1998~2013年の16年間に、28万3,014例が心筋梗塞で入院した。 クリスマス/新年、復活祭、夏至の祝日の期間中に発症した心筋梗塞を同定した。同様に、国際サッカー連盟(FIFA)世界選手権、欧州サッカー連盟(UEFA)優勝決定戦、夏期および冬期オリンピック大会中に発症した心筋梗塞を同定した。 休日は、その前後2週間をコントロール期間とし、スポーツイベントのコントロール期間は、競技会前後の1年の同じ時期とした。休日およびスポーツイベント期間中の発生率をコントロール期間と比較し、発生率比を算出した。午前8時、月曜日が最も高リスク、イブは午後10時がピーク 28万3,014例のうち9万5,176例がST上昇型心筋梗塞(STEMI)、18万7,838例は非ST上昇型MI(NSTEMI)であった。STEMI患者は非STEMI患者に比べ、平均年齢が4歳若く(69.1 vs.73.0歳)、男性が多く(66 vs.62%)、現喫煙者が多かった(26 vs.17%)。 クリスマス/新年(発生率比:1.15、95%信頼区間[CI]:1.12~1.19、p<0.001)および夏至の祝日(1.12、1.07~1.18、p<0.001)の期間中は、心筋梗塞のリスクが有意に高かった。最もリスクが高い日は、クリスマスイブだった(1.37、1.29~1.46、p<0.001)。 復活祭やスポーツイベントの期間中は、リスクの増加は認めなかった。夏期オリンピック期間中は、男性でリスクが増加する傾向がみられたが、多変量で補正すると有意な差はなかった。 日内変動の解析では早朝のリスクが高く、午前8時が心筋梗塞発症のピークであり、とくにNSTEMI患者で高かった。なお、クリスマスイブのピークは、午後10時だった。また、週内変動の解析では、STEMI、NSTEMI患者とも、月曜日のリスクが顕著に高かった。 クリスマス休暇および月曜日は、喫煙者を除くすべてのサブグループで心筋梗塞のリスクが高かった。また、糖尿病や冠動脈疾患の既往歴を有する75歳上の患者は、顕著にリスクが高かった。復活祭や夏至の祝日に、とくにリスクの高いサブグループは認めなかった。 著者は、「この研究は、われわれの知る限り、よく知られたレジストリーに登録された、心電図やバイオマーカーで確認された心筋梗塞患者のデータを活用した最大規模の調査であり、今回の結果は管理データを用いて行われた既報と一致する」としている。

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日本と世界の平均寿命は2040年にどうなるか?(解説:有馬久富氏)-979

 日本人の平均寿命は、戦後右肩上がりで延び続け、世界でもトップクラスの長寿国となった。2017年の平均寿命は、男性で81年、女性で87年と報告されている1)。先日、Global Burden of Diseases, Injuries, and Risk Factors Study(GBD)研究2016のデータを用いて、2040年の世界平均寿命を予測した成績がLancetに掲載された2)。その結果、世界の平均寿命は、男女ともに平均4.4年延び、日本の平均寿命も85年を超えて世界のトップクラスにあり続けると予測された。 同時に、各国の保健政策が有効に機能しなかった場合には平均寿命がほとんど変化しないとも予測されている2)ので、日本においても油断することはできない。論文のsupplementalファイルには国別にリスク要因を検討した結果が示されているが、日本においてとくに改善が必要なのは、喫煙、肥満、高血圧、飲酒および高血糖であった。これらのリスク要因に関して、国民全体の生活習慣を改善するポピュレーション予防戦略と高血圧・糖尿病・高度肥満者などに適切な医療を提供するハイリスク戦略を組み合わせて、さらなる健康長寿につなげてゆきたいところである。 一方、サハラ以南のアフリカでは平均寿命が短く、一部の国々では2040年になっても平均寿命が65年に到達しないと予測されている2)。日本などの長寿国に比べると、20年以上のギャップが存在することになる。これらの国々においては、保健・医療システムを含めた社会基盤の整備および貧困の解消に向けたサポートを継続してゆく必要があろう。

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日本人の血圧は意外とコントロールできていない

 生活習慣病のなかで最も罹患率の高い高血圧。これを治療するための有用な薬剤が普及し、世界的に治療率は改善している。ところが、日本人の高血圧のコントロール率はアジア諸国と比較してもまだまだ低く、高血圧パラドックスに陥っている。 2018年11月14日に日本心臓財団が主催する「高血圧パラドックスの解消に向けて‐脳卒中や認知症、心不全パンデミックを防ぐために必要なこととは?‐」が開催され、楽木 宏実氏(大阪大学大学院 医学系研究科老年・総合内科学 教授)が登壇した。日本の現状とAHA130/80のなぜ 命に直結するがん治療は常に注目の的である。しかし、高血圧もまた、高齢化に伴う心不全での死亡者が増加傾向にあり注目に値する。 「血圧値にはカットオフポイントが存在しない」と語る同氏は、EPOCH-JAPAN試験の血圧レベル別の心血管病死亡ハザード比と集団寄与危険割合(PAF)を示し、高血圧患者の心不全などによる死亡リスクの上昇について解説。このデータからも、どこからが血圧異常であるのかを区別することができず、治療対象の観点から「恣意的に高血圧の定義をしている」現状を指摘した。 日本と世界の血圧値の基準は、心血管病のリスクと治療介入の成績などを基に定義し、140/90と決められている。ところが、米国心臓病協会は昨年、基準変更を実施。世界基準から各値を10mmHgも下げ、“130/80mmHg以上を高血圧”と定義を改めた。これには、まだ分類を変えるほどの根拠の所在がそれほど明確ではないため、世界に衝撃を与えた。同氏は、「米国では降圧目標を原則130/80mmHg未満に改変した。一般にもわかりやすいように定義変更をしたと理解している」とコメント。「130~139/80~89mmHgの血圧カテゴリーを明確に“高血圧ステージ1”という表現にし、従来の高血圧基準である140/90mmHg以上は“高血圧ステージ2”という名称になった」ことも付け加えた。高血圧パラドックスへの対策 高血圧であることは、種々の疾患原因となり死亡リスクに結びつく。“日本での2007年の非感染性疾患および外因による死亡数への各種リスク因子の寄与(男女計)”のデータによると、喫煙に次いで高血圧の寄与は非常に高く、その数は11万人にも上るなど、心血管病への関連は圧倒的であった。また、心血管病が増加するとそれに伴い、脳血管疾患、認知症、骨折転倒など介護が必要となりうる状況に陥る。つまり、血圧管理を怠り続けると自覚症状がなかった状況から要介護状態へ転じてしまうのである。 そこで、高血圧抑制のために取り組むべき課題として、国民全体での血圧レベルの低下などが求められる。その成功事例には、食品表示においてNaから食塩相当量へ変更されたことがある。今ではお弁当などを購入してもひと目で塩分量がわかるようになったが、これは減塩委員会が企業に動きかけた結果である。食塩摂取量の低下もあって日本の高血圧有病率は女性では低下傾向を示し、男女ともに収縮期血圧の平均値が低下している。  今年9月には、伊藤 裕氏(慶應義塾大学腎臓・内分泌・代謝内科教授)を主導とする“高血圧学会みらい医療計画~JSH Future Plan~”が発表され、今後10年間で高血圧患者を500万人減らし、健康寿命を延伸させることが目標として示された。その実現に向け、医療システム、学術研究、社会啓発を3本の柱とし、活動が展開される予定だ。海外と日本では国民への啓発に差 米国では、国や米国心臓協会が主導となり国民向けの啓発ツールを多数排出している。これは、医療機関への受診とは別に、自身の血圧値やリスクを意識してチェックできる仕組みになっている。 日本の場合、意識付けができるのは医療機関受診者のみである。受診者には血圧手帳に血圧を記録することが勧められているが、同氏は、「一部には成績表の一種と勘違いして、良い血圧値だけを記録しているような場合もある」と述べ、「これを防ぐためにデジタル記録計の普及を目指す」とコメントした。 高齢化が進行する中、高齢者の高血圧に関する統合的レビュー論文が最近になって3編発表された。現在、同氏は高齢者の認知機能低下に配慮した最適な降圧療法の解明に取り組んでおり、「この分野に関する研究が不足するなか、リスクベネフィットに加えてコストベネフィットにも言及できる研究成果を期待したい」と締めくくった。■参考日本心臓財団■関連記事減塩したい患者さん向け、単身者でもできる作り置きレシピ発表

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受動喫煙と高血圧症との関連~日本人3万人の横断研究

 受動喫煙の直後に血圧は一時的に上昇するが、受動喫煙と慢性的な高血圧症との関連については明らかではない。今回、日本多施設共同コーホート研究(J-MICC研究)の横断研究で、多くの潜在的交絡因子を制御し、その関連について評価を行った。その結果から、高血圧予防においてタバコ煙を制御する重要性が示唆された。Medicine(Baltimore)誌オンライン版で2018年11月に掲載。 本研究の対象者は、J-MICC研究に参加した生涯非喫煙者3万2,098人(男性7,216人、女性2万4,882人)である。受動喫煙は自記式調査票を用いて評価した。受動喫煙への曝露時間は、「時々またはほとんどなし」、「ほぼ毎日、1日2時間以内」、「ほぼ毎日、1日2~4時間」、「ほぼ毎日、1日4~6時間」、「ほぼ毎日、1日6時間以上」の5つの選択肢で把握した。高血圧症有病は、収縮期血圧140mmHg以上または拡張期血圧90mmHg以上、あるいは降圧薬の服用のいずれかを満たす者とした。高血圧症の多変量調整オッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)について、ロジスティック回帰モデルを用いて、受動喫煙の曝露レベルごとに推定した。 その結果、受動喫煙にほぼ毎日曝露された人の高血圧症の多変量調整ORは「時々またはほとんどなし」の人(基準群:OR=1.00)に比べて、1.11(95%CI:1.03~1.20)であった。また、受動喫煙の曝露時間が1日1時間増加することによる高血圧症の多変量調整ORは、1.03(95%CI:1.01~1.06、傾向性のp=0.006)であった。この関連は男性においてより強く観察された。男性における受動喫煙への曝露1日1時間当たりの高血圧症の多変量調整ORは1.08(95%CI:1.01~1.15、傾向性のp=0.036)、女性では1.03(95%CI:1.00~1.05、傾向性のp=0.055)であった。

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HPV陽性中咽頭がんへのセツキシマブ、5年生存率と毒性は/Lancet

 HPV陽性中咽頭がんについて、放射線療法+EGFR阻害薬セツキシマブは放射線療法+シスプラチンに対し、全生存(OS)および無増悪生存(PFS)ともに劣性であることが示された。米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのMaura L. Gillison氏らによる多施設共同無作為化非劣性試験「RTOG 1016試験」の結果で、Lancet誌オンライン版2018年11月15日号で発表された。放射線療法+高用量(100mg/m2)シスプラチンによるHPV陽性中咽頭がん治療の生存率は高いが(3年生存率はHPV陽性82.4%、HPV陰性57.1%)、若年患者における生存率の高さが、治療関連の後発性毒性への懸念を増している。シスプラチンの代わりにセツキシマブを併用したレジメンが、高い生存率を維持し治療関連の毒性を低下するかは不明であった。米国とカナダ182施設で、無作為化非劣性試験 セツキシマブが相当の患者生存率を維持し、急性および遅発性の毒性を低下するかを検討したRTOG 1016試験は、米国およびカナダのヘルスケアセンター182ヵ所で行われた。組織学的に確認されたHPV陽性中咽頭がんで、米国がん合同委員会(AJCC)第7版臨床基準のTNM分類でT1~T2・N2a~N3・M0またはT3~T4・N0~N3・M0、Zubrodパフォーマンスステータス0または1、18歳以上であり、適切な骨髄・肝・腎機能の患者を適格とした。 患者を無作為に1対1の割合で、放射線療法+セツキシマブ(放射線療法前に5~7日間400mg/m2を負荷投与し放射線療法後は週1回250mg/m2を7回投与:合計2,150mg/m2)、または放射線療法+シスプラチン(放射線照射1日目と22日目に100mg/m2を投与:合計200mg/m2)を受けるように割り付けた。放射線療法はいずれも、週に6回(1日に2回、6時間以上間隔で)を6週間、35回で計70Gyを照射した。 無作為化はランダム置換ブロック法を用いて均等に行った。また、T分類(T1~T2 vs.T3~T4)、N分類(N0~N2a vs.N2b~N3)、Zubrodパフォーマンスステータス(0 vs.1)および喫煙歴(10 pack-years以下vs.10 pack-years超)による層別化もした。 主要評価項目は、OS(無作為化からあらゆる死亡までの期間と定義)。非劣性のマージンは1.45とした。主要解析は、適格基準を満たした全患者を包含した修正intention-to-treat(ITT)に基づき行った。セツキシマブのシスプラチンに対する非劣性示されず 2011年6月9日~2014年7月31日に987例が試験に登録され、849例が無作為化を受けた(放射線療法+セツキシマブ群:425例、放射線療法+シスプラチン群:424例)。修正ITT集団には、セツキシマブ群399例、シスプラチン群406例が包含された。 追跡期間中央値4.5年後、セツキシマブ群はシスプラチン群に対しOSに関する非劣性基準を満たさなかった(ハザード比[HR]:1.45、95%片側信頼区間[CI]上限値:1.94、非劣性のp=0.5056、片側log検定のp=0.0163)。 約5年のOS率は、セツキシマブ群77.9%(95%CI:73.4~82.5)、シスプラチン群84.6%(80.6~88.6)であった。同じくPFS率は、セツキシマブ群(67.3%、95%CI:62.4~72.2)がシスプラチン群(78.4%、73.8~83.0)と比較して有意に低かった(HR:1.72、95%CI:1.29~2.29、p=0.0002)。また、5年間についてみた局所再発率は、セツキシマブ群(17.3%、95%CI:13.7~21.4)がシスプラチン群(9.9%、6.9~13.6)と比較して有意に高かった(HR:2.05、95%CI:1.35~3.10)。 急性の中等度~重度毒性の発現率(77.4%[95%CI:73.0~81.5]vs.81.7%[77.5~85.3]、p=0.1586)、遅発性の中等度~重度毒性(16.5%[12.9~20.7]vs.20.4%[16.4~24.8]、p=0.1904)は、セツキシマブ群とシスプラチン群で変わらなかった。 結果を踏まえて著者は、「HPV陽性中咽頭がんの適格患者の標準治療は、放射線療法+シスプラチンである」とまとめている。

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不健康な生活様式が重なると女性の糖尿病リスク5倍以上に/BMJ

 交替制の夜勤労働と不健康な生活様式はいずれも2型糖尿病のリスクと関連し、これらが併存すると、個々の要因を単独に有する場合に比べリスクが相加的に高くなることが、米国の女性看護師を対象とする調査の解析で示された。中国・華中科技大学のZhilei Shan氏らが、BMJ誌2018年11月21日号で報告した。交替制の夜勤労働者は不健康な生活様式の頻度が高いとする報告は多い。また、交替制夜勤労働と不健康な生活様式は、いずれも2型糖尿病のリスクを増大させることが知られている。NHSとNHS IIのデータを用いた前向きコホート研究 研究グループは、交替制夜勤労働の期間および生活様式の因子と、2型糖尿病リスクの複合的な関連を評価し、夜勤労働単独、生活様式単独、およびこれらの交互作用を定量的に検討する前向きコホート研究を行った(米国国立衛生研究所[NIH]などの助成による)。 米国の「看護師健康調査(Nurses' Health Study[NHS]:1988~2012年)」および「看護師健康調査II(NHS II:1991~2013年)」に参加した女性看護師のうち、ベースライン時に2型糖尿病、心血管疾患、がんに罹患していない14万3,410例を対象とした。 交替制夜勤労働は、日勤および準夜勤に加えて、当該月に3回以上の夜勤に就いた場合と定義した。不健康な生活様式の因子は、現喫煙、中~高強度の身体活動が1日に30分未満、代替健康食指数(Alternate Healthy Eating Index[AHEI]:0~10点、10点は1日の推奨サービング数の順守を示す)のスコアが低値(下位の5分の3まで)の食事、BMI≧25であった。 主要アウトカムは2型糖尿病の発症とした。2型糖尿病は、参加者の自己報告により同定し、補足的な質問票で確定した。夜勤期間は1~5年、5~9年、10年以上、なしに分け、不健康な生活様式は0~1項目、2項目、3項目以上に分けて解析を行った。リスクの約7割が不健康な生活様式に起因 夜勤の経験のない女性と比較して、夜勤の年数が増えるに従って、現喫煙が多くなり、BMIが増加した。また、夜勤期間が長くなるに伴い、NHSの参加者は年齢が高くなり、NHS IIの参加者は非婚者および単身者が多くなった。22~24年のフォローアップ期間に、1万915人が2型糖尿病を発症した。 夜勤経験のない女性に比べ、夜勤期間が長期になるに従って、2型糖尿病の多変量補正ハザード比(HR)は上昇することが認められた(傾向のp<0.001)。また、不健康な生活様式が0~1項目の場合に比し、3項目以上の参加者は、2型糖尿病のリスクが5倍以上であった(補正後HR:5.39、3.65~7.95)。さらに、夜勤経験がなく、かつ不健康な生活様式が0~1の群に比べ、夜勤が10年以上かつ不健康な生活様式が3項目以上の群における2型糖尿病の多変量補正後HRは7.04(5.29~9.37)だった。 夜勤期間が5年長くなるごとの2型糖尿病の多変量補正後HRは1.31(95%CI:1.19~1.44)、不健康な生活様式の因子が1つ増えるごとの補正後HRは2.30(1.88~2.83)であった。これら2つの複合作用による2型糖尿病の補正後HRは2.83(2.15~3.73)であり、相加的な交互作用が認められ(交互作用のp<0.001)、交互作用に起因する過剰なリスクは0.20(0.09~0.48)であった。 2型糖尿病の発症に影響を及ぼす複合的関連のリスクの割合は、夜勤単独が17.1%(14.0~20.8%)、不健康な生活様式単独は71.2%(66.9~75.8%)であり、これらの相加的な交互作用に起因するリスクの割合は11.3%(7.3~17.3%)だった。 著者は、「2型糖尿病の多くは、健康的な生活様式を順守することで予防可能であり、交替制夜勤労働者では、より大きな便益が得られる可能性が示唆される」としている。

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HPV陽性中咽頭がん、セツキシマブvs.標準レジメン/Lancet

 低リスクHPV陽性中咽頭がんに対して、放射線療法+EGFR阻害薬セツキシマブは、標準レジメンの放射線療法+シスプラチンと比較して毒性低下のベネフィットは示されず、腫瘍コントロールに関しては重大な損失をもたらすことが示された。英国・バーミンガム大学のHisham Mehanna氏らによる第III相の多施設共同非盲検無作為化試験「De-ESCALaTE HPV試験」の結果で、Lancet誌オンライン版2018年11月15日号で発表された。HPV陽性中咽頭がんの発生は急速に増大しており、とくに若年成人を急襲している。セツキシマブは、標準治療のシスプラチンの毒性を低下しde-escalationな放射線併用療法を可能にするものとして提案されたが、この戦略の有効性に関して無作為化試験に基づくエビデンスはなかった。3ヵ国32治療センターで被験者を集めて無作為化試験 De-ESCALaTE HPV試験は、アイルランド、オランダ、英国の頭頸部治療センター32ヵ所で行われた。対象者は、18歳以上で低リスクHPV陽性中咽頭がん(非喫煙者もしくは生涯喫煙が10 pack-year未満)の患者。 適格患者は臨床担当医によって集められ、放射線療法(35回照射で計70Gy)に加えて、シスプラチン静脈内投与(100mg/m2を放射線照射日1、22、43日に投与)、またはセツキシマブ静脈内投与(初回400mg/m2投与後、7週ごとに250mg/m2投与)を受けるよう1対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要評価項目は、治療終了後24ヵ月時点で評価したすべて(急性および遅発性)の重篤(Grade3~5)毒性イベントで、intention-to-treat集団およびper-protocol集団で解析・評価した。標準レジメンを用いるべき 2012年11月12日~2016年10月1日に、334例の患者が集められた(シスプラチン群166例、セツキシマブ群168例)。 主要評価項目の発生について、群間で有意な差はなかった。患者当たりの平均イベント件数は、シスプラチン群4.8件(95%信頼区間[CI]:4.2~5.4)、セツキシマブ群4.8件(4.2~5.4)であった(p=0.98)。24ヵ月時点で、全グレードの毒性イベントについても群間で有意な差はなかった。患者当たりの平均イベント件数は、シスプラチン群29.2件(27.3~31.0)、セツキシマブ群30.1件(28.3~31.9)であった(p=0.49)。 一方で、2年時点の全生存率(OS)については有意差が認められ、シスプラチン群97.5 vs.セツキシマブ群89.4%であった(ハザード比[HR]:5.0[95%CI:1.7~14.7]、p=0.001)。また、2年再発率にも有意な差があった(6.0 vs.16.1%、HR:3.4[1.6~7.2]、p=0.0007)。 結果を踏まえて著者は、「シスプラチンに忍容性がある低リスクHPV陽性中咽頭がん患者に対しては、標準レジメンの放射線療法+シスプラチンを用いるべきである」とまとめている。

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第16回 内科からのレボフロキサシンの処方(前編)【適正使用に貢献したい  抗菌薬の処方解析】

Q1 予想される原因菌は?肺炎球菌・・・11名全員診療報酬明細書を確認 清水直明さん(病院)その場で肺炎球菌と言い切るということは、グラム染色で確認できたのでしょう。肺炎球菌尿中抗原・呼吸器検体中抗原迅速検査を行っている可能性もありますが、感度・特異度が決して高くなく、既感染の場合でも陽性になる場合があります。行った検査についての記載が診療報酬明細書にあると思うので、可能であれば確認します。HIV感染の可能性も 荒川隆之さん(病院)気管支炎なら連鎖球菌、肺炎ならインフルエンザ菌など他の原因菌も考えられますが、肺炎球菌と医師が断定しているということなので、尿中抗原もしくはグラム染色にて確定診断しているものと考えます。肺炎球菌感染ありきで考えますと、この感染の原因としてさらにHIV感染(初期の感冒様症状)が隠れている可能性もあるかもしれません。肺炎球菌以外の可能性も JITHURYOUさん(病院)恐らく迅速診断キットを使用し、医師から肺炎球菌と言われたと考えられます。肺炎球菌以外で考えると、グラム陽性菌では黄色ブドウ球菌など、モラクセラ・カタラーリス、インフルエンザ菌なども可能性があります。また喘息でステロイド使用例では、肺炎桿菌やエンテロバクターなどのグラム陰性桿菌も検出されることがあるようです。ライノウイルスなどのウイルスやマイコプラズマ、クラミジア・ニューモニエなどの非定型菌も無視できないと思います。これらのウイルスなどの2次感染の可能性はないでしょうか。季節によってはインフルエンザウイルスなども考慮すべきではないかと考えます。そもそも細菌性肺炎? 児玉暁人さん(病院)成人の市中肺炎の可能性を考えれば、予想される原因菌は肺炎球菌、インフルエンザ菌、クレブシエラ、モラクセラ、マイコプラズマなどが考えられます。どのような説明で肺炎球菌と言われたのか不明なのと、レボフロキサシンの処方から肺炎球菌による肺炎なのか、そもそも細菌性肺炎なのかは不明です。点滴内容も不明ですが、喘息があり、点滴で改善していることから、ステロイドの点滴だった可能性もあります(または抗菌薬との併用)。喘息悪化を契機に肺炎を併発した可能性もあるかと思います。Q2 患者さんに確認することは?医師からどのような説明をされているか 荒川隆之さん(病院)なぜレボフロキサシンを3 日後から始めるのかわからないので、まず患者さんに医師からどのように聞いているのか確認します。患者さんの説明で要領を得ない場合は、疑義照会することになると思います。発熱や次回受診日について ふな3さん(薬局)点滴治療開始前の発熱の有無血液検査の結果(あれば)合併症「肺炎球菌」と言われたのは、今回か?「以前」か?次回通院予定日併用歴、副作用歴、既往歴など 中堅薬剤師さん(薬局)併用薬、副作用歴、既往歴と腎機能も確認したいところです。あとはA-DROPに従って考えると、年齢は若く、脱水も意識低下もなさそうですし、入院が必要になるぐらい重篤な感染症の可能性は低い気がします。発熱の情報もないですし。この受診の前にOTCのかぜ薬を服用しているのであれば、アスピリン喘息も疑う必要がありますね。過去に鎮痛薬や感冒薬で咳嗽が悪化したことはないかも確認してみたいです。A-DROPシステムA(age):男性70 歳以上、女性75 歳以上D(dehydration):BUN 21mg/dL以上または脱水ありR(respiration):SpO2 90%以下(PaO2 60Torr以下)O(orientation):意識障害ありP(pressure):血圧(収縮期)90mmHg以下軽 症:上記5 つの項目のいずれも満足しないもの。中等度:上記項目の1つまたは2つを有するもの。重 症:上記項目の3つを有するもの。超重症:上記項目の4つまたは5つを有するもの。ただし、ショックがあれば1項目のみでも超重症とする。どのような検査をしたか 奥村雪男さん(薬局)肺炎球菌と仮定した場合、definitive therapyで第一選択はペニシリンであり、仮にエンピリックに広域抗菌薬で開始したとしても、狭域抗菌薬にde-escalationしていない点が気になります。レスピラトリーキノロンのレボフロキサシンが選択されているのは疑問ですが、患者は βラクタムアレルギーがあるのかもしれません。また、喀痰の培養はしたのか。感受性まで分かるので、ペニシリン感受性肺炎球菌(PSSP)か、ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)かが分かれば、確認したいです。MIC>4.0μg/mLの高度耐性でレボフロキサシンを選択肢に挙げている書籍もあります1)。次に、点滴は何を使用したのか知りたいです。点滴から内服に切り替える場合、通常はクラスを変えないので1)、レボフロキサシン点滴静注の可能性が高いかと思います。いつから薬を飲むように言われているか?喘息治療は? わらび餅さん(病院)患者に、「○月○日から飲むように言われているか?」を確認します。1回/日投与のセフトリアキソン、もしくはレボフロキサシンを点滴したと予想しますが、切り替えに3日空けることが不思議です。また3日開けてしまうと、治療期間の考え方でも違和感があります。点滴2日+内服5日=計7日で効果判定、がしっくりきます。喘息治療はどうしているか?コントローラーは使用しているのか、リリーバーだけかを確認します。肺炎だったとしても、コントローラーは必要なので、アドヒアランスや肺炎治療中に発作が出たときにどう指示が出ているかを確認します。吸入薬の残量や使用期限を確認します。点滴の中身 中西剛明さん(薬局)点滴の中身が知りたいので、診療報酬明細書を確認させてもらいます。そして、次回の通院を確認し、点滴をいつまでするのか聞きます。その回答次第で、レボフロキサシンの開始日が特定できると思います。担当した薬剤師が聞き取った内容身長は175cm、体重53kg。1人暮らしの会社員。食欲がなく、朝から何も食べていなかった体温:37.8℃今回の受診のきっかけとなった咳の状況:夜、寝苦しい、横になると苦しくなって咳き込む、痰がよく出る診療報酬明細書の内容:点滴はセフトリアキソン1g+生理食塩液100mL(キット製剤)血液検査の結果はもらっておらず、詳細は不明今後の受診予定:明日、明後日の2日間は通院して点滴を受けるよう指示があった服用中の内服薬、吸入薬:なし日ごろの食事:朝は牛乳と食パン1枚、昼は会社の食堂で定食を、夜は外食して帰宅飲酒、喫煙習慣:なし副作用歴、アレルギー歴:医薬品ではなし。ハウスダストのアレルギーあり以上を踏まえて・・・後編では、本症例の疑義照会をする/しない、抗菌薬について、患者さんに説明することは?その他気付いたことを聞きます。1)青木眞. レジデントのための感染症診療マニュアル. 第2 版. 東京、医学書院、2008.

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心血管健康の変化と、その後のCVD発生の関連/JAMA

 心血管の健康状態が理想的であることと心血管疾患(CVD)発生の低さの関連には、首尾一貫したエビデンスがある。しかし大部分の試験は、心血管健康の単回評価指標を用いたものであったことから、フランス・パリ第5大学のThomas T. van Sloten氏らは、心血管健康が時間とともにどれくらい変化したかを調べ、それらの変化とCVD発生の関連を複合的に調べた。その結果、整合性がとれた関連は認められなかったという。JAMA誌2018年11月6日号掲載の報告。心血管健康「低」「中」「高」分類の変化を調べ、その後のCVD発生を評価 検討は、英国の公務員が参加する前向きコホート試験「Whitehall II試験」の参加者データを分析して行われた。同試験は、1985/88年(ベースライン)に開始され、以後2015/16年まで5年ごとに心血管健康の評価が行われている。CVD発生については2017年3月までフォローアップされていた。 研究グループは参加者を、米国心臓協会の7つの測定基準(非喫煙、理想的なBMI値、身体活動度、食事、血圧値、血糖値、総コレステロール値)を用いて、理想的な測定基準の該当項目数で「0~2」「3~4」「5~7」に分類。それぞれを心血管健康の程度が「低い群」「中程度群」「高い群」とした。 1985/88年(ベースライン)から1997/99年の10年間に心血管健康がどのように変化したかを再評価・再分類し、1997/99年からCVDおよび死亡のフォローアップを開始した。 主要評価項目は、CVD(冠動脈疾患[CHD]と脳卒中)発生であった。心血管健康「高い→高い」維持がベストではない? 試験には、CVD非既往の9,256例(ベースライン時の平均[SD]年齢44.8歳[6.0]、女性2,941例[32%])が包含された。このうち6,326例から心血管健康の変化に関するデータを入手できた。 1997/99年後のフォローアップ中央値18.9年間で発生したCVDイベントは、1,114件であった。 多変量解析および心血管健康が一貫して低かった参加者(全体の13.5%、CVD発生率:1,000人年当たり9.6、95%信頼区間[CI]:8.4~10.9)との比較において、CVDリスクとの関連に有意性は認められなかった。心血管健康が低い→中程度に変化した被験者群(全体の6.8%)は絶対発生率差:1,000人年当たり-1.9(95%CI:-3.9~0.1)でハザード比(HR)0.84(95%CI:0.66~1.08)、低い→高いに変化群(全体の0.3%)は-7.7(-11.5~-3.9)で0.19(0.03~1.35)、中程度→低いに変化群(全体の18.0%)は-1.3(-3.0~0.3)で0.96(0.80~1.15)だった。 また、次の群では、CVDリスクが低いことが観察された。一貫して中程度の参加者群(全体の38.9%)は絶対発生率差:1,000人年当たり-4.2(95%CI:-5.5~-2.8)でHRが0.62(95%CI:0.53~0.74)、中程度→高いに変化群(全体の5.8%)は-6.4(-8.0~-4.7)で0.39(0.27~0.56)、高い→低いに変化群(全体の1.9%)は-5.3(-7.8~-2.8)で0.49(0.29~0.83)、高い→中程度に変化群(全体の9.3%)は-4.5(-6.2~-2.9)で0.66(0.51~0.85)、そして一貫して高かった群(全体の5.5%)は-5.6(-7.4~-3.9)で0.57(0.40~0.80)であった。

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乾癬のようにみえて違う難治性皮膚疾患の掌蹠膿疱症

 2018年11月2日、ヤンセンファーマ株式会社は、都内において難治性皮膚疾患である「掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)」に関するプレスセミナーを開催した。セミナーでは、国内に患者が13万人ともいわれる本症の概要、疫学、治療法について説明が行われた。なお、同社では、既存の乾癬治療薬グセルクマブ(商品名:トレムフィア)の掌蹠膿疱症への適応追加につき、厚生労働省薬事・食品衛生審議会に11月8日に報告を行っている。掌蹠膿疱症は乾癬とは区別される慢性皮膚疾患 「掌蹠膿疱症」をテーマに村上 正基氏(愛媛大学大学院医学系研究科分子機能領域 皮膚科学 准教授)を講師に迎え、本症の概要についてレクチャーが行われた。 掌蹠膿疱症は、手掌や足底に生じる無菌性の膿胞を主徴とする慢性皮膚疾患であり、乾癬とは区別され、わが国では1958年よりこの疾患概念で診療が行われている(海外では膿疱性乾癬の限局型と捉えられ、世界的なコンセンサスは現在も得られていない)。 疫学情報として、男性よりもやや女性に多く、男女ともに30~50歳代で好発し、地域差はなく、特徴として女性患者の約9割、患者全体では約8割が喫煙者であるという。全国で約13万人の患者がいると推定されている。 掌蹠膿疱症の原因としては、病巣感染(歯周病、扁桃炎、中耳炎など)、喫煙、TNF-α阻害薬などの誘因が挙げられているが、明確な機序はわかっていない。患者の訴えでは、身体が疲労し、免疫力が落ちている状態のときに発症または悪化するという声も多い。 皮膚病変では、手掌や足底に最初に小水疱が生じ、膿疱に変化する。その後、周囲の皮膚にも紅斑、鱗屑がみられるようになり、紅斑落屑局面が混じった状態になる。周期的に良悪を繰り返し、痒み、ひび割れ、痛みを生じさせる。夏季に悪化することが多く、患者では落屑などから外見への精神的負担が大きいため、社会生活が阻害される例もある。また、足底などに症状が出た場合、歩行が困難となりQOLにも多大な影響を及ぼすケースもある。経過中に肘や膝、足背などに乾癬様皮疹を生じる掌蹠外病変も散見され、爪病変を伴うこともある。そのほか合併症では、胸鎖肋関節痛や甲状腺疾患、糖尿病、IgA腎症を伴うこともある。乾癬と間違いやすい掌蹠膿疱症の診断の手掛かりは多数 掌蹠膿疱症の診断では、視診による手掌や足底の水疱・膿疱の所見確認を行う。ダーモスコープによる診断では、水疱と膿疱が混在し、水疱の中央に小膿疱のあるpseudo-vesicleがみられる。掌蹠膿疱症は一見、乾癬とよく似ているが、皮疹を拡大すると、肉眼的に観察されにくい小膿疱も確認でき、この点で区別できるという。また、臨床検査所見では、特異的な指標となるものはないが、そのため除外診断で役立つ。鑑別疾患では、足白癬、汗疱、膿疱性乾癬などの疾患との鑑別が必要とされる。 掌蹠膿疱症の治療では、発症や悪化因子が明確な場合、根治を目指して病巣感染の治療などを行う。皮疹に対しては、外用薬が基本となる。 外用薬による治療では、手掌や足底の水疱・膿疱へステロイド外用薬と活性型ビタミンD3外用薬を併用する(軽症では活性型ビタミンD3外用薬単独)。治療中は2~4週に1回はフォローアップし、もし皮膚への刺激感が認容できない場合は中止する。内服薬ではレチノイドが処方されるが、催奇形性があるので処方では注意が必要。また、中波長紫外線療法では、外用薬の効果が限られる場合に行われ、ナローバンドUVBやエキシマを使用し、週1~3回行われる。以上が現在保険適用とされている治療となる。 これら以外にも抗アレルギー薬、抗菌薬、コルヒチン、生物学的製剤などの処方による掌蹠膿疱症の治療もあるが、いずれも保険適用外の治療となる。そのほか、ビオチン療法が提唱されているが、エビデンスがなく推奨はされていない。 入院適応はまれではあるが、合併症の関節症状がQOLに影響している場合、感染病巣として慢性扁桃炎が疑われ、この摘出手術を受ける場合などは入院となる。 最後に同氏は掌蹠膿疱症治療のアルゴリズムを示し、「悪化因子として扁桃炎や歯性病巣は重要。同じく骨・関節症状の有無もきちんと診断し、ケースによってはCTやMRI検査によりVASスコアによる痛みの評価も患者にとっては必要となる。治療ではこの20年近く新しい治療薬が開発されていないこともあり、患者の容態によっては保険適用外と断ったうえで、別の治療薬で苦痛を除くことも必要だ」と語り、レクチャーを終えた。

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高血圧・喫煙・糖尿病は、男性以上に女性の心筋梗塞リスクを増加/BMJ

 心筋梗塞の発生率は、男性が女性の約3倍だが、心筋梗塞とそのリスク因子である高血圧、喫煙、糖尿病との関連は女性のほうが強いことが、英国・オックスフォード大学のElizabeth R C Millett氏らの調査で明らかとなった。さらに、心筋梗塞とリスク因子の関連の強さは、男女とも加齢とともに減弱するものの、女性における過剰なリスクは相対的に低下しないことも示された。研究の成果は、BMJ誌2018年11月7日号に掲載された。心筋梗塞の発生率は、若年時には女性が男性よりも低いが、加齢に伴いその差は小さくなる。以前のメタ解析において、心筋梗塞といくつかのリスク因子の関連に性差があることが示されているが、解析に含まれた試験には交絡因子調整の水準にばらつきがあり、年齢層別の性差の検討を行っていない試験も含まれたという。英国の心血管疾患の既往のない47万人の前向きコホート研究 研究グループは、心筋梗塞のリスク因子の性差について調査し、年齢別の変動を評価する目的で、人口ベースの前向きコホート研究を行った(英国医学研究審議会[MRC]などの助成による)。 UK Biobank(2006~10年に、英国の22施設から40~69歳の50万2,628例を前向きに登録)の参加者から、心血管疾患の病歴のない47万1,998例(平均年齢:56.2歳、女性:56%)のデータを収集した。 主要評価項目は、致死的または非致死的心筋梗塞の発症とし、心筋梗塞の6つのリスク因子(血圧、喫煙状況、糖尿病、BMI、心房細動、社会経済的地位)の評価を行った。同じ20本の喫煙でもリスクは2倍、治療・予防策へのアクセスは男女同じに 平均フォローアップ期間7年の間に、5,081例(女性は1,463例[28.8%])が心筋梗塞を発症した。1万人年当たりの発生率は、女性が7.76(95%信頼区間[CI]:7.37~8.16)と、男性の24.35(23.57~25.16)に比べて低かった。心筋梗塞の発生率は、1型糖尿病を除くその他すべての因子について、女性よりも男性のほうが高かった。 男女ともに、血圧、喫煙強度、BMIの上昇および糖尿病の存在が、心筋梗塞のリスク増加と関連したが、これらの関連の強さは加齢に伴い減弱した。 女性は男性に比べ、収縮期血圧の20mmHg上昇(男女のハザード比[HR]の比:1.09、95%CI:1.02~1.16)、血圧120~129/<80mmHg(1.83、1.33~2.52)、現喫煙(1.55、1.32~1.83)、20本以上/日の喫煙(2.01、1.57~2.57)、1型糖尿病(2.91、1.56~5.45)、2型糖尿病(1.47、1.16~1.87)が、心筋梗塞の発症と、より強く関連した。これらのHRの比はいずれも、年齢の上昇とともに低下するとのエビデンスは認められなかった(p>0.2)。 著者は、「人口の高齢化が進み、生活様式に関連するリスク因子の有病率が上昇するにしたがって、女性の心筋梗塞の発生率は、男性の発生率に近づく可能性が高いだろう」と指摘し、「糖尿病および高血圧のガイドラインに基づく治療と、減量および禁煙を支援するリソースには、中高年の男女とも同じようにアクセスできるようにすべきである」としている。

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