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ESMO2022 レポート 肺がん

レポーター紹介ESMO2022は2022年9月9日~13日まで現地(フランス、パリ)とオンラインのハイブリッドで開催されました。胸部疾患に関して注目をされていた重要な演題について取り上げてみたいと思います。Osimertinib as adjuvant therapy in patients (pts) with resected EGFR-mutated (EGFRm) stage IB-IIIA non-small cell lung cancer (NSCLC): Updated results from ADAURA(LBA47)国立がんセンター東病院坪井先生のご発表でした。日本でも、2022年8月に本試験の結果に基づいてオシメルチニブ(タグリッソ)はII~III期のEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)術後補助化学療法の適応を受けました。しかし、DFSに関して公表されたデータは2020年の論文(N Engl J Med 2020;383:1711-1723.)公表後初とのことで注目を集めました。イベントにおいて50%の成熟度に到達したことに伴う結果公表です。フォローアップ期間の中央値はオシメルチニブ群で44.2ヵ月(range 0~67、n=233)、プラセボ群で19.6ヵ月 (range 0~70、n=237)でした。主要評価項目であった、II期/IIIA期を対象としたDFS(Disease free survival, 無病生存期間)中央値はオシメルチニブ群65.8ヵ月(95%CI:54.4~算出不能) vs.プラセボ群21.9ヵ月(95%CI:16.6~27.5),(hazard ratio[HR]:0.23、95% CI:0.18~0.30)でした。DFS、OSのデータを見ると、フォローアップ期間が延びても術後補助化学療法としてのオシメルチニブの有用性はより手堅いデータになっていると感じます。「再発してからオシメルチニブ」では何故追いつかないのか?一つの仮説として、再発時にオシメルチニブ群では「遠隔」転移が少なく、その後の治療も組み立てやすかったのではないかと予想します。さらにイベントが集積されてからOSベネフィットについても議論されるでしょうが、再発予防としては十分に魅力的なデータと感じました。今後、より早期の症例におけるデータ創出などが予定されています。PD-L1 expression and outcomes of pembrolizumab and placebo in completely resected stage IB-IIIA NSCLC: Subgroup analysis of PEARLS/KEYNOTE-091(930MO)周術期のデータをもう一つ。WCLC2022でも取り上げられていましたが、ペムブロリズマブ(キイトルーダ)を用いた術後補助化学療法の有用性を検討する試験です。PD-L1の発現ごとに詳細なデータが公表されました。既に承認を得ているアテゾリズマブ(テセントリク)ではIMpower010の中でPDL1発現によって治療効果が異なる傾向が示されていましたが、ペムブロリズマブは少し様子が異なるようです。以下の表を見てみましょう。すでに報告されている通り、KEYNOTE-091試験の全体の結果として、ペムブロリズマブはプラセボに比較して無病生存期間を有意に延長しています。主要評価項目の一つである(co-primary end point)TPS>0におけるDFSにおいてはプラセボと比較し統計学的には有用性が証明されませんでした。殺細胞性抗がん剤使用の有無など背景の違いに応じて、化学療法の今後、術後補助化学療法においてもPD-L1の発現をどの抗体で調べるのか、そしてその結果に応じてどう使い分けるのか議論がしばらく続きそうです。今のデータでは、PDL1高発現であれば○○、という使い分けではなく、ドライバーなしの症例では“化学療法使用にフィットするかどうか”が鍵になるような気がします。Sotorasib versus docetaxel for previously treated non-small cell lung cancer with KRAS G12C mutation: CodeBreaK 200 phase III study(LBA10)KRAS G12C阻害剤のソトラシブ(ルマケラス)は、治療歴のあるNSCLC患者に対するドセタキセル治療と比較して、12ヵ月時点での無増悪生存率を2倍にし、進行または死亡のリスクを34%低減しました。追跡期間の中央値は17.7ヵ月で、12ヵ月のPFS率は、ドセタキセル10.1%に対して、ソトラシブは24.8%でした。無増悪生存期間(PFS)の中央値は、ソトラシブで 5.6ヵ月(95%CI:4.3~7.8)、ドセタキセルで4.5ヵ月(95%CI:3.0~5.7) でした (HR:0.66、95%CI:0.51~0.86、p=0.002)。化学療法と比較して、KRAS G12C 阻害薬によるグレード3以上の治療関連有害作用(TRAE)はソトラシブ群で少ない傾向にありました(33.1% vs.40.4%)。クロスオーバーもあり、OSデータは参考ながらソトラシブ群10.6ヵ月(95%CI,:8.9~14.0)ドセタセル群11.3ヵ月(95% CI:9.0~14.9)(HR:1.01、95%CI:0.77~1.33、p=0.53)でした。日本でもKRAS G12C変異をもつ既治療NSCLに対して承認を得ています。今後ソトラシブの高い忍容性から単剤での使用だけでなく、さまざまな薬剤との併用試験が行われており、結果が待たれます。Mechanism of Action and an Actionable Inflammatory Axis for Air Pollution Induced Non-Small Cell Lung Cancer: Towards Molecular Cancer Prevention.(LBA1)薬剤開発ではなく、予防の話題がLBAで取り上げられておりました。本発表は、TRACERx(NCT01888601)、The PEACE(NCT03004755)、Biomarkers and Dysplastic Respiratory Epithelium (NCT00900419)の3つの研究を統合したもので、40万人以上の症例が解析の対象となりました。大気汚染と肺がんの発症にはいくつかのエビデンスがあると報告されていますが、非喫煙者における肺がんの発症と大気汚染の関連について分子生物学的な解析は十分ではありませんでした。まず研究者らは2.5μmの粒子状物質 (PM2.5 )への暴露が増加すると、肺がんの発症が増加することを突き止めました。次に、247例の肺組織のディープシークエンスを行うことにより、正常肺にもそれぞれ15%と53%の頻度でEGFRとKRASドライバーの突然変異を発見しました。しかし、これらの変異は加齢などに伴って存在するものであり、がん化への影響は少ないようでした。しかし、PM2.5への暴露を受けた細胞はその後がん化が促進され、その機序としてインターロイキン(IL)-1βの関与が予想されました。今回得られた知見は、非喫煙者において正常細胞のEGFR変異などを検知し、IL-1βなどを標的とする治療で予防が可能になるかもしれない、という期待を持たせてくれる内容ですが、まだまだ未知のことも多く、検討の余地があります。低線量CTを用いた早期発見の取り組みと並行し、大気汚染による非喫煙者のがんを予防、治療が出来る時代が来るのかもしれません。Durvalumab (D) ± tremelimumab (T) + chemotherapy (CT) in 1L metastatic (m) NSCLC: Overall survival (OS) update from POSEIDON after median follow-up (mFU) of approximately 4 years (y).(LBA59)POSEIDON試験からのOSの最新の探索的解析によると、1次治療におけるtremelimumabとデュルバルマブおよび化学療法の併用療法は、転移を伴うNSCLC患者にOS延長のベネフィットがあったことが報告されました。長期フォローアップ(中央値46.5ヵ月[範囲0.0~56.5])の結果に基づく報告です。3剤併用療法では、OS中央値が14.0ヵ月(95%CI:11.7~16.1)、化学療法単独では11.7カ月(95%CI:10.5~13.1)となり、死亡リスクを25%低減しました(HR:0.75、95%CI:0.63~0.88)。36ヵ月OS率は、それぞれ25%対13.6%でした。併存する変異状態別のOS は、トレメリムマブとデュルバルマブおよび化学療法による治療が継続的に有利でした。STK11変異を有する患者では、3剤併用により死亡リスクが 38% (HR:0.62、95% CI:0.34~1.12) 減少し、OSの中央値は15.0ヵ月(95%CI:8.2~23.8)でした。化学療法単独で10.7ヵ月(95%CI:6.0~14.9)。3年後のOS率は、それぞれ25.8%対4.5%でした。同様に、KEAP1変異を有する患者では、トリプレット療法により死亡リスクが57%減少し (HR:0.43、95%CI:0.16~1.25)、OS中央値が 13.7ヵ月(95% CI:7.2~26.5)、化学療法単独では8.7ヵ月(95%CI:5.1~評価不能)でした。最後に、KRAS変異を有する患者は、トレメリムマブ+デュルバルマブおよび化学療法により、死亡リスクが45% 減少し(HR:0.55、95%CI:0.36~0.85)、OS中央値は25.7ヵ月(95%CI:9.9~36.7)に対し、化学療法単独では10.4ヵ月(95%CI:7.5~13.6)でした。WCLCでも、3剤併用療法は特に遺伝子変異を有す症例においてベネフィットが大きい可能性を指摘されていました。checkmate9LAやCheckmate227など、抗PDL1抗体+化学療法に抗CTLA4抗体を上乗せすべき対象をどのように目の前で選択するのか?遺伝子検査の結果がその一つの答えになるように思います。問題は、現在の日本では1次治療の前に保険診療でこれらの遺伝子を測定出来ないことでしょう。エビデンスの積み重ねで、免疫チェックポイント阻害薬の使い分けにも遺伝子検査が有用、となる時期が遠くないと感じています。

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妊娠高血圧症候群、出生児は全死因死亡リスクが26%高い/BMJ

 妊娠高血圧症候群(HDP)、とくに子癇および重症妊娠高血圧腎症の母親から生まれた児は、最長41年間(中央値19.4年)の追跡期間における全死亡、ならびに消化器疾患、周産期に起因する疾患、内分泌・栄養・代謝疾患および心血管疾患による原因別死亡のリスクが高いことが、中国・復旦大学のChen Huang氏らによるデンマークの国民健康登録を用いたコホート研究の結果、示された。HDPは、母体および胎児の発病や死亡の主な原因の1つであるが、母親のHDPが児の出生から青年期以降の長期にわたる死亡に及ぼす影響については明らかになっていなかった。BMJ誌2022年10月19日号掲載の報告。1978~2018年の出生児を対象に解析 研究グループは、デンマークの出生登録(Danish Medical Birth Register)、患者登録(Danish National Patient Register)、死亡登録(Danish Register of Causes of Death)のデータを用い、コホート研究を実施した。 対象は1978~2018年にデンマークで出生した児で、出生日から死亡日、移住日、または2018年12月31日のいずれか早い日まで追跡した。 主要評価項目は死亡登録で確認された全死因死亡、副次評価項目は特定の死因による死亡である。Cox回帰分析を用い、児の性別、単胎出産、経産回数、児の誕生年、母親の年齢、妊娠中の喫煙、居住地、出身国、妊娠前の教育、出産時の所得、妊娠前のBMI、糖尿病歴(有、無)、児の出生前の親の心血管疾患歴などの共変量で調整し、母親のHDPへの曝露と死亡との関連について解析するとともに、その関連が妊娠高血圧腎症の診断時期や重症度、母親の糖尿病歴、母親の教育によって異なるかどうかについても検討した。HDPの母親から生まれた児は全死因死亡リスクが26%高い 解析対象児は243万7,718例で、このうち母親がHDPであったのは10万2,095例(4.2%)で、内訳は6万7,683例が妊娠高血圧腎症、679例が子癇、3万3,733例が高血圧であった。 最長41年間(中央値19.4年、四分位範囲:9.7~28.7)の追跡期間において、母親が妊娠高血圧腎症であった児781例(10万人年当たり58.94)、子癇であった児17例(133.73)、高血圧であった児223例(44.38)、HDPではなかった児1万9,119例(41.99)が死亡した。 全死因死亡の累積発生率は、母親がHDPであった児(2.06%、95%信頼区間[CI]:1.82~2.34)がHDPではなかった児(1.69%、1.65~1.73)より高く、群間差は0.37%(95%CI:0.11~0.64)で、母親のHDPの人口寄与割合は1.09%(95%CI:0.77~1.41)と推定された。全死因死亡リスクは母親がHDPであった児で26%高く(ハザード比[HR]:1.26、95%CI:1.18~1.34)、母親が妊娠高血圧腎症、子癇、高血圧でHRはそれぞれ1.29(95%CI:1.20~1.38)、2.88(1.79~4.63)、および1.12(0.98~1.28)であった。 母親がHDPであった児の原因別死亡のリスクは、消化器疾患(HR:2.09、95%CI:1.27~3.43)および周産期に起因する疾患(2.04、1.81~2.30)で2倍以上に達し、次いで内分泌・栄養・代謝疾患(1.56、1.08~2.27)、心疾患(1.52、1.08~2.13)でそれぞれ56%、52%増加した。 また、全死因死亡のリスク増加は、早期発症かつ重症の妊娠高血圧腎症(HR:6.06、95%CI:5.35~6.86)、HDPと糖尿病歴(1.57、1.16~2.14)、HDPと教育レベルの低さ(1.49、1.34~1.66)を有する母親の児でより顕著であった。

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コロナ治療薬モルヌピラビル、早期投与で回復までの期間短縮に期待/MSD

 MSDは10月19日、一般流通を9月16日に開始した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の経口治療薬モルヌピラビル(商品名:ラゲブリオ)について、承認後の最新情報として特定使用成績調査の中間報告などをメディアセミナーにて発表した。調査の結果、添付文書の改訂が必要になるような大きな安全性事象は認められなかったことや、外来患者に使用した際の転帰として死亡はなく、人工呼吸器の使用も低く抑えることができたとして、本剤の有効性が提示された。 同社代表取締役社長のKyle Tattle氏によると、本剤は国内にて2021年12月24日に特例承認を取得し、これまでに60万人以上に使用されたという。本剤は、承認当初は供給量が限られていたため、厚生労働省が所有したうえで、重症化リスクのある患者に、決められた流通網を通して医療機関や薬局に配分が行われていたが、供給量が増加したことで、2022年8月18日に薬価基準収載となり、9月16日には一般流通を開始した。 白沢 博満氏(同社代表取締役上級副社長兼グローバル研究開発本部長)は、リアルワールドデータを中心に、承認後の最新情報について解説した。2021年12月24日~2022年6月23日に、同剤の販売開始から6ヵ月間行った市販直後調査では、約20万1,710例に本剤が使用され、症例から安全性情報を収集した結果、添付文書の改訂が必要になるような大きな安全性事象は認められなかった。また、調査予定症例数を3,000例として、より詳細な安全性と有効性を評価する特定使用成績調査(2021年12月27日~2024年12月末日予定)において、2022年6月15日までの中間解析結果も公開された。 主な結果は以下のとおり。・安全性解析対象となった1,061例は、年齢中央値68歳、投与開始時点で外来患者696例(65.60%)、入院患者317例(29.88%)、その他(介護保健施設など)4.52%。本剤投与開始前のCOVID-19重症度では、軽症が931例(87.75%)、中等症Iは104例(9.80%)、中等症IIは23例(2.17%)であった。・主な重症化リスク因子は、65歳以上の高齢者が603例(56.83%)で最も多く、次いで高血圧が459例(43.26%)、喫煙が262例(24.69%)であった。・新型コロナワクチンの接種歴がある人は883例(83.22%)で、2回接種は668例(62.96%)であった。・安全性集計の結果、副作用が発現したのは72例(6.79%)であり、4例以上発現した副作用として、下痢(26例)、発疹(6例)、浮動性めまい(5例)、軟便(4例)が報告された。重篤な副作用の発現は4例で、発疹、肝機能異常、COVID-19増悪、間質性肺炎増悪であった。・有効性解析対象となった1,021例は、外来患者658例(うち最終アウトカム不明29例)、入院患者315例、その他(介護保健施設など)48例。・外来患者における本剤投与開始日から29日までの入院(隔離入院・検査入院などの投与前から予定していた入院を除く)は17例(2.70%)、死亡は0例であった。・入院患者における本剤投与開始日から29日までの死亡は2/254例(0.79%)、酸素投与開始あり13/247例(5.26%)、酸素投与または機械的人工換気(ECMO含む)開始あり13/247例(5.26%)であった。複合エンドポイントでは発現率は5.49%であった。 本結果に加え、白沢氏はモルヌピラビルについて海外で実施された臨床試験についても言及した。査読前論文ではあるが、英国・オックスフォード大学で実施されたPANORMIC試験の結果によると、約2万6,000例(平均年齢56.6歳、ワクチン接種済約99%)において、最初の完全回復までの期間(中央値)が、モヌルピラビル群は9日間、非モヌルピラビル群が15日となり、本剤投与によって6日間短縮されたことが認められた。 続いて登壇した相良 博典氏(昭和大学医学部内科学講座 呼吸器・アレルギー内科学部門 主任教授)は、COVID-19の治療の現状と経口治療薬への期待について講演した。昭和大学病院における新型コロナ治療薬の使用状況について、モルヌピラビルは、軽症患者75例に対して重症化予防のために使用された結果、人工呼吸器の使用症例が0%となり、本剤は効果のある薬剤として位置付けていると述べた。また、新型コロナ感染による後遺症についても、今後はより早期に治療介入することで後遺症の症状も抑えられる可能性があるという。本剤の一般流通開始への期待として、発症早期(5日以内など)に使用できるようになるため重症化防止を促進することや、入院リスクの高い高齢者へ早期に使用することで、負担する医療費や、入院による合併症、ADLの低下といった入院に伴うリスクを低減できることを挙げた。若年者でもサイトカインストームで重症肺炎の死亡率が高くなるため、抗インフルエンザウイルス薬のように軽症者から早期に使える薬剤としても期待できると述べた。

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統合失調症患者におけるMetS発症の3年リスクと予測因子~FACE-SZコホート研究

 メタボリックシンドローム(MetS)は欧米諸国において主要な健康問題であり、なかでも統合失調症患者は、ライフスタイル、精神疾患、治療因子の観点から、とくに脆弱な集団であると考えられる。しかし、予防の指針となるプロスペクティブデータは不十分である。フランス・Universite Paris-Est CreteilのO. Godin氏らは、統合失調症におけるMetSの発症率およびその予測因子を特定するため検討を行い、統合失調症患者におけるMetSの予防および研究をより優先する必要があると報告している。Progress in Neuro-psychopharmacology & Biological Psychiatry誌2022年9月17日号の報告。 フランス全国レベルの専門センター10施設より対象を募集し、3年間のフォローアップ調査を行った。MetSの定義は、国際糖尿病連合の基準に従った。消耗バイアスの補正には、逆確率重み付け法を用いた。 主な結果は以下のとおり。・3年間のフォローアップ調査を実施した統合失調症患者512例のうち、代謝障害が認められた患者は77.9%であった。・ベースライン時にMetSであった27.5%の患者は、分析から除外した。・分析対象患者371例(平均年齢:31.2±9.1歳、平均罹病期間:10.0±7.6年、男性の割合:73.6%[273例])における3年間のMetS発症率は20.8%であった。・3年間のMetS発症率は、喫煙者で23.6%、ベースライン時に抗うつ薬を処方されていた患者で29.4%、ベースライン時に2つの代謝障害が認められた患者で42.0%であり、分析対象者全体より上昇した。・多変量解析では、MetS発症の独立した予測因子は、喫煙(調整オッズ比[aOR]:3.82、95%信頼区間[CI]:1.27~11.45、p=0.016)および抗うつ薬服用(aOR:3.50、95%CI:1.26~9.70、p=0.0158)であることが確認された。・抗うつ薬処方は、とくに脂質障害の増加を予測した。また、パロキセチンは、MetS発症リスクとの最も強い関連が認められた。

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妊娠糖尿病、リスク因子の適切な修正で2型DM発症回避か/BMJ

 妊娠糖尿病の既往女性では、2型糖尿病の5つの修正可能なリスク因子のうち、最適レベルに達した因子が1つ増えるごとに、2型糖尿病のリスクが徐々に低下し、このような関連性は過体重や肥満のある集団のほか、遺伝的感受性が高い集団でも認められることが、シンガポール国立大学のJiaxi Yang氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2022年9月21日号に掲載された。NHS II参加者の前向きコホート研究 研究グループは、妊娠糖尿病の既往がある女性において、5つの修正可能なリスク因子と2型糖尿病リスクとの個別および複合的な関連の評価を目的に、前向きコホート研究を実施した(米国・ユーニス・ケネディ・シュライバー国立小児保健・人間発達研究所の助成を受けた)。 対象は、米国のNurses’ Health Study II(NHS II)の参加者のうち、妊娠糖尿病の既往歴があり、体重と生活様式関連因子の反復的な評価が行われ、1991~2009年の期間にフォローアップを受けた女性であった。 2型糖尿病の修正可能な5つのリスク因子について評価が行われた。(1)過体重・肥満でない(BMI<25.0)、(2)質の高い食事(修正代替健康食指数の上位5分の2)、(3)定期的な運動(150分/週以上の中強度の運動または75分/週以上の高強度の運動)、(4)適度なアルコール摂取(5.0~14.9g/日)、(5)非喫煙。 2型糖尿病の遺伝的感受性は、2型糖尿病と関連する59の一塩基多型に基づく遺伝的リスクスコアで評価された。全因子の適切な修正でリスクが90%以上低下 妊娠糖尿病の既往がある女性4,275例が解析に含まれた。フォローアップ期間中央値27.9年(8万9,340人年)の時点で、924例が2型糖尿病を発症した。 2型糖尿病のリスク因子がすべて最適レベルに達していない参加者と比較して、5つの因子がすべて最適レベルに達していた参加者は、疾患のリスクが90%以上低かった。 すなわち、最適レベルに達した修正可能な因子の数が1、2、3、4、5の参加者における、最適な因子の数が0の参加者と比較した2型糖尿病のハザード比は、それぞれ0.94(95%信頼区間[CI]:0.59~1.49)、0.61(0.38~0.96)、0.32(0.20~0.51)、0.15(0.09~0.26)、0.08(0.03~0.23)であった(傾向のp<0.001)。 この最適な修正可能因子の数と2型糖尿病リスクの逆相関の関係は、過体重/肥満の集団や遺伝的感受性の高い集団でも認められた。 BMI≧25の女性(2,227例)では、どの因子も最適レベルに達していない参加者と比較して、最適レベルに達した因子の数が1、2、3、4の参加者の2型糖尿病のハザード比は、それぞれ1.05(95%CI:0.62~1.78)、0.82(0.48~1.38)、0.60(0.34~1.05)、0.40(0.18~0.91)であった(傾向のp<0.001)。 また、遺伝的感受性の高い女性のうち、4つの因子が最適レベルにある集団における2型糖尿病のハザード比は0.11(95%CI:0.04~0.29)であり、5つの因子がすべて最適レベルを達成した集団では、2型糖尿病は観察されなかった。 著者は、「この結果は、妊娠糖尿病の既往歴という高リスクの集団における2型糖尿病の予防のための、公衆衛生上の重要な機会を強調するものである」としている。

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妊娠糖尿病歴あり、心血管・脳血管疾患リスクが45%増/BMJ

 妊娠糖尿病歴は、心血管・脳血管疾患全体および個々の疾患のリスク増加と関連しており、その関連は従来の心血管リスク因子やその後の糖尿病発症に起因しないことが、中国・北京大学第一医院のWenhui Xie氏らによるシステマティックレビューおよびメタ解析の結果、明らかとなった。妊娠糖尿病歴がある女性では、心血管疾患全体のリスクが高いことが認識されてきているが、特定の心血管・脳血管疾患や静脈血栓塞栓症に対する妊娠糖尿病の影響は不明な点が多かった。BMJ誌2022年9月21日号掲載の報告。15件の観察研究、合計約900万例について解析 研究グループは、PubMed、Embase、Cochrane Libraryを用い、2021年11月1日までに発表された妊娠糖尿病と心血管・脳血管疾患発症との関連を報告した観察研究について検索した(2022年5月26日に更新)。 2人の研究者が独立してデータを抽出し、試験のバイアスについてはROBINS-I(Risk of Bias in Nonrandomised Studies of Interventions)を、エビデンスの質(確実性)についてはGRADEを用いて評価した。 主要評価項目は、妊娠糖尿病と、心血管・脳血管疾患全体および各種心血管・脳血管疾患との関連、副次評価項目は各種心血管・脳血管疾患および静脈血栓塞栓症との関連とした。ランダム効果モデルによりデータを統合し、リスク比とその95%信頼区間(CI)を算出し評価した。 適格基準を満たし解析に組み込まれた研究は15件であった。このうち7件はバイアスリスクが「中」、8件は「深刻」であった。妊娠糖尿病歴ありで、心血管・脳血管疾患全体のリスクが45%増加 妊娠糖尿病歴のある女性51万3,324例のうち、9,507例で心血管・脳血管疾患が確認された。一方、妊娠糖尿病歴のない女性800万人以上の対照のうち、7万8,895例に心血管・脳血管疾患が確認された。 対照と比較して妊娠糖尿病歴のある女性では、心血管・脳血管疾患全体のリスクが45%(リスク比:1.45、95%CI:1.36~1.53)、心血管疾患リスクが72%(1.72、1.40~2.11)、脳血管疾患リスクが40%(1.40、1.29~1.51)上昇した。 同様に妊娠糖尿病歴のある女性は、冠動脈疾患(1.40、1.18~1.65)、心筋梗塞(1.74、1.37~2.20)、心不全(1.62、1.29~2.05)、狭心症(2.27、1.79~2.87)、心血管手術(1.87、1.34~2.62)、脳卒中(1.45、1.29~1.63)、および虚血性脳卒中(1.49、1.29~1.71)の発症リスクが上昇した。また、静脈血栓塞栓症リスクも、妊娠糖尿病歴のある女性で28%増加することが観察された(1.28、1.13~1.46)。 心血管・脳血管疾患の転帰に関して、研究の特性および補正因子の有無で層別化したサブグループ解析では、地域(北米vs.欧州vs.アジア)(p=0.078)、試験デザイン(後ろ向きvs.前向き)(p=0.02)、データ源(全国vs.地方データベース)(p=0.005)、ROBINS-I(中vs.深刻)(p=0.04)、喫煙(p=0.03)、BMI(p=0.01)、社会経済的状態(p=0.006)、併存疾患(p=0.05)で有意差が示された。 その後糖尿病を発症しなかった女性に限ると、心血管・脳血管疾患リスクは低下したものの依然として有意なままであった(妊娠糖尿病歴のある女性全体のRR:1.45[95%CI:1.33~1.59]、その後糖尿病を発症しなかった女性のRR:1.09[1.06~1.13])。 なお、エビデンスの確実性は、「低い」または「非常に低い」と判定された。 著者は今回の結果について、「妊娠糖尿病のリスクが高い女性に対する早期介入と、妊娠糖尿病女性に対する継続的なモニタリングの必要性を強調するものである」とまとめている。

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男女別、心血管イベントのリスク因子は/Lancet

 脂質マーカーとうつ病は、女性より男性で心血管リスクとの関連が強く、食事は男性よりも女性で心血管リスクとの関連が強いことが、カナダ・マックマスター大学のMarjan Walli-Attaei氏らによる大規模前向きコホート研究「Prospective Urban Rural Epidemiological:PURE研究」の解析の結果、示された。ただし、他のリスク因子と心血管リスクとの関連は女性と男性で類似していたことから、著者は、「男性と女性で同様の心血管疾患予防戦略をとることが重要である」とまとめている。Lancet誌2022年9月10日号掲載の報告。35~70歳の約15万6,000例で、各種リスク因子と主要心血管イベントの関連を解析 研究グループは、現在進行中のPURE研究における、高所得国(11%)および低・中所得国(89%)を含む21ヵ国のデータを用いて解析した。 解析対象は、2005年1日5日~2021年9月13日に登録され、ベースラインで35~70歳の心血管疾患既往がなく、少なくとも1回の追跡調査(3年時)を受けた参加者15万5,724例であった。 主要評価項目は、主要心血管イベント(心血管死、心筋梗塞、脳卒中、心不全の複合)とした。代謝リスク因子(収縮期血圧、空腹時血糖値、ウエスト対ヒップ率、非HDLコレステロール)、血中脂質(総コレステロール、中性脂肪、LDLコレステロール、HDLコレステロール、総コレステロール/HDLコレステロール比、ApoA1、ApoB、ApoB/ApoA1比)、行動的リスク因子(喫煙、飲酒、身体活動、食事[PURE食事スコア])および心理社会的リスク因子(うつ症状、教育)と主要心血管イベントとの関連を男女別に解析し、ハザード比(HR)ならびに人口寄与割合(PAF)を算出した。脂質マーカーとうつ症状は、女性より男性で心血管リスク上昇 解析対象15万5,724例の内訳は、女性9万934例(58.4%)、男性6万4,790例(41.6%)、ベースラインの平均(±SD)年齢はそれぞれ49.8±9.7歳、男性50.8±9.8歳で、追跡期間中央値は10.1年(四分位範囲[IQR]:8.5~12.0)であった。 データカットオフ(2021年9月13日)時点で、主要心血管イベントは女性で4,280件(年齢調整罹患率は1,000人年当たり5.0件[95%信頼区間[CI]:4.9~5.2])、男性で4,911件(8.2件[8.0~8.4])発生した。男性と比較して、女性はとくに若年で心血管リスクプロファイルがより良好であった。 代謝リスク因子と主要心血管イベントとの関連は、非HDLコレステロールを除き、女性と男性で同様であった。非HDLコレステロール高値のHRは、女性で1.11(95%CI:1.01~1.21)、男性で1.28(1.19~1.39)であった。また、他の脂質マーカーも女性よりも男性のほうが一貫してHR値が高かった。 うつ症状と主要心血管イベントとの関連を示すHRは、女性で1.09(95%CI:0.98~1.21)、男性で1.42(1.25~1.60)であった。一方、PUREスコア(スコア範囲:0~8)が4以下の食事の摂取は、男性(HR:1.07[95%CI:0.99~1.15])よりも女性(1.17[1.08~1.26])で主要心血管イベントと関連していた。 主要心血管イベントに対する行動的および心理社会的リスク因子(合計)のPAFは、女性(8.4%)よりも男性(15.7%)で大きく、これは主に現在喫煙のPAFが男性で大きいためであった(女性1.3%[95%CI:0.5~2.1]、男性10.7%[95%CI:8.8~12.6])。

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心血管疾患2次予防、ポリピルvs.通常ケア/NEJM

 心筋梗塞後6ヵ月以内の、アスピリン、ramipril、アトルバスタチンを含むポリピル治療は通常ケアと比べて、主要有害心血管イベント(MACE)リスクの有意な低下に結び付いたことが、スペイン・Centro Nacional de Investigaciones Cardiovasculares(CNIC)のJose M. Castellano氏らによる第III相無作為化試験「SECURE試験」で示された。転帰を改善する主要な薬剤(アスピリン、ACE阻害薬およびスタチン)を含むポリピルは、心筋梗塞後の2次予防(心血管死や合併症の予防)のための、簡易な手法として提案されている。結果を踏まえて著者は、「ポリピルは、治療を簡素化し入手可能性を改善するもので、治療のアクセシビリティとアドヒアランスを改善するために広く適用可能な戦略であり、結果として心血管疾患の再発および死亡リスクを低下するものである」とまとめている。NEJM誌2022年9月15日号掲載の報告。アスピリン、ramipril、アトルバスタチンを含むポリピル治療について検討 SECURE試験は、スペイン、イタリア、フランス、ドイツ、ポーランド、チェコ、ハンガリーの113施設で行われ、直近6ヵ月以内に心筋梗塞を有した75歳以上(リスク因子を1つ以上有する65歳以上)の患者を、ポリピルベースの治療戦略群または通常ケア群に無作為に割り付け追跡評価した。 ポリピル治療は、アスピリン(100mg)、ramipril(2.5mg、5mgまたは10mg)、アトルバスタチン(20mgまたは40mg)で構成された。 主要アウトカムは、心血管死、非致死的1型心筋梗塞、非致死的虚血性脳卒中、血行再建術施行の複合。主な副次エンドポイントは、心血管死、非致死的1型心筋梗塞、非致死的虚血性脳卒中の複合であった。追跡期間中央値36ヵ月のMACE発生ハザード比は0.76で有意差 2016年8月~2019年12月に、計4,003例がスクリーニングを受け、適格患者と認められた2,499例が無作為化を受けた。指標となる心筋梗塞から無作為化までの期間中央値は8日(IQR:3~37)であった。ポリピル群21例、通常ケア群12例のフォローアップデータが得られず、intention-to-treat(ITT)集団は2,466例(ポリピル群1,237例、通常ケア群1,229例)で構成された。平均年齢は76.0±6.6歳、女性の割合は31.0%、77.9%が高血圧症を、57.4%が糖尿病を有し、51.3%に喫煙歴があった。平均収縮期血圧は129.1±17.7mmHg、平均LDLコレステロール値は89.2±37.2mg/dLであった。 追跡期間中央値36ヵ月時点で、主要アウトカムのイベント発生は、ポリピル群118/1,237例(9.5%)、通常ケア群156/1,229例(12.7%)が報告された(ハザード比[HR]:0.76、95%信頼区間[CI]:0.60~0.96、p=0.02)。 主な副次アウトカムの発生は、ポリピル群101例(8.2%)、通常ケア群144例(11.7%)が報告された(HR:0.70、95%CI:0.54~0.90、p=0.005)。 これらの結果は、事前規定のサブグループで一貫していた。 患者の自己報告による服薬アドヒアランスは、通常ケア群よりもポリピル群で高かった。有害事象の発現頻度は両群で同程度であった。

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低BMIの蛋白尿リスクに“朝食抜き”が影響

 蛋白尿は心血管疾患と死亡率の重要な予測因子であり、いくつかの研究では、朝食を抜くことと蛋白尿の有病率との関連性が報告1)されている。また、朝食を抜くと肥満のリスクが高まることも明らかになっている。そこで、村津 淳氏(りんくう総合医療センター腎臓内科)らは蛋白尿が肥満の人でよく見られることに着目し、朝食を抜くことによる蛋白尿の有病率とBMIとの関連について調査を行った。その結果、蛋白尿は低BMIと関連性が見られ、低BMIの人の場合には、朝食を抜くことに注意する必要があることが示唆された。本研究結果はFront Endocrinol誌8月19日号に掲載された。. 本研究者らは、正常な腎機能者における朝食抜きと蛋白尿の有病率との関連に対するBMIの臨床的影響を評価することを目的に、2008年4月~2018年12月までの期間に市中病院で健康診断を受け、腎疾患の既往がなく、推定糸球体濾過量(eGFR)が60mL/min/1.73m2 以上であった2万6,888例 (男性:1万5,875例、女性:1万1,013例) を対象に横断研究を実施した。 本研究では、週3日以上朝食を食べていない者を「朝食抜き」と定義。そのほか、対象者には喫煙、アルコール多飲、運動不足、睡眠不足、間食の有無、深夜/夕食時の生活行動、既往歴(高血圧・糖尿病・脂質異常症・脳卒中・高尿酸血症・冠動脈疾患)についてアンケートを行った。また、朝食抜きと蛋白尿の有病率との関連性はBMI(kg/m2)を3つのサブグループ(男性:

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エバシェルドの追加など、コロナ薬物治療の考え方14版/日本感染症学会

 日本感染症学会(理事長:四柳 宏氏)は、8月30日に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療薬について指針として「COVID-19に対する薬物治療の考え方第14版」をまとめ、同会のホームページで公開した。 今回の改訂では、チキサゲビマブ/シルガビマブ(商品名:エバシェルド)の追加、治療薬の削除など整理も行われたほか、最新の知見への内容更新が行われた。 以下に主な改訂点について内容を抜粋して示す。全体の考え方について【2 使用にあたっての手続き】・チキサゲビマブ/シルガビマブとバリシチニブを追加【3 抗ウイルス薬等の対象と開始のタイミング】・「図 COVID-19の重症度と治療の考え方」の注釈を改訂。・「2 主な重症化リスク因子」で65歳以上の高齢者、悪性腫瘍、COPDなどの慢性呼吸器疾患、慢性腎臓病、糖尿病、高血圧、脂質異常症、心血管疾患、脳血管疾患、肥満(BMI 30kg/m2以上)、喫煙、固形臓器移植後の免疫不全、妊娠後期など内容を改訂。・「3」で「一般に、重症化リスク因子のない軽症例では薬物治療は推奨しない」と改訂。・「表1 軽症~中等症I」で治療薬の使用を優先させるべきリスク集団を追加。・「4 抗ウイルス薬等の選択」で知見より「高齢者、複数の重症化リスク因子がある患者、ワクチンの未接種者などでは症状が進行しやすいことを踏まえ、患者ごとの評価において、中等症への急速な病状の進行など、非典型的な臨床経過の症例や免疫抑制状態などの重症化リスクが特に高い症例などでは、併用投与または逐次投与の適応を考慮する」と表現を改訂。個々の治療薬について【抗ウイルス薬】・レムデシビル(商品名:ベクルリー)の「投与時の注意点」で「7)2022年1月21日の中央社会保険医療協議会(中医協)において、保険医の指示の下で看護師による在宅・療養施設等の患者へのレムデシビル投与が可能となった」を追加。・モルヌピラビル(同:ラゲブリオ)の「入手方法」で「2022年8月18日に薬価収載されたことから、今後、一般流通の開始およびそれに伴う国購入品と一般流通品の切替えが行われる見込みである」を追加。・ニルマトレルビル/リトナビル(同:パキロビッドパック )の「国内外での臨床報告」で「10万9,254例の後方視コホート研究(65歳以上の高齢者ではニルマトレルビルの治療介入により入院の有意なリスク減少を認めた(HR:0.27、95%CI:0.15~0.49)。一方で40~64歳では、有意なリスク減少を認めなかった (HR:0.74、95%CI:0.35~1.58)を追加。また、投与時の注意点に「5)新型コロナウイルスワクチンの被接種者は薬剤開発のための臨床試験で除外されているが、市販後の評価では、高齢者での重症化予防などの有効性が示唆されている」を追加。そのほか、投与時の腎機能の評価の詳細についても追加。・ファビピラビルの項目は削除。【中和抗体薬】・「チキサゲビマブ/シルガビマブ(同:エバシェルド)」を新しく追加。〔国内外での臨床報告〕重症化リスク因子の有無を問わない、軽症~中等症IのCOVID-19外来患者822人を対象としたランダム化比較試験では、発症から7日以内のチキサゲビマブ/シルガビマブの単回筋肉内投与により、プラセボと比較して、COVID-19の重症化または全死亡が50.5%(4.4%対8.9%、p=0.010)有意に減少したなどを記載。〔投与方法〕・発症後通常、成人および12歳以上かつ体重40kg以上の小児には、チキサゲビマブおよびシルガビマブとしてそれぞれ300mgを併用により筋肉内注射。・曝露前の発症抑制通常、成人および12歳以上かつ体重40kg以上の小児には、チキサゲビマブおよびシルガビマブとしてそれぞれ150mgを併用により筋肉内注射する。なお、SARS-CoV-2変異株の流行状況などに応じて、それぞれ300mgを併用により筋肉内注射することもできる。〔投与時の注意点〕オミクロン株(BA.4系統及びBA.5系統) については、本剤の有効性が減弱するおそれがあることから、他の治療薬が使用できない場合に本剤の投与を検討することなど。〔発症後での投与時の注意点〕1)臨床試験における主な投与経験を踏まえ、COVID-19の重症化リスク因子を有し、酸素投与を要しない患者を対象に投与を行うこと。2)他の抗SARS-CoV-2モノクローナル抗体が投与された高流量酸素または人工呼吸管理を要する患者において症状が悪化したとの報告がある。3)COVID-19の症状が発現してから速やかに投与すること。4)重症化リスク因子については、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き」などにおいて例示されている重症化リスク因子が想定。〔発症抑制での投与時の注意点〕1)COVID-19の予防の基本はワクチンによる予防であり、本剤はワクチンに置き換わるものではない。2)COVID-19患者の同居家族または共同生活者などの濃厚接触者ではない者に投与すること。COVID-19患者の同居家族または共同生活者などの濃厚接触者における有効性は示されていない。3)本剤の発症抑制における投与対象は、添付文書においては、COVID-19に対するワクチン接種が推奨されない者または免疫機能低下などによりCOVID-19に対するワクチン接種で十分な免疫応答が得られない可能性がある者とされているが、原発性免疫不全症、B細胞枯渇療法を受けてから1年以内の患者など免疫抑制状態にある者が中和抗体薬を投与する意義が大きいと考えられる。4)3)の投与対象者については、チキサゲビマブ/シルガビマブを用いた発症抑制を行うことが望ましいと考えらえる。〔入手方法〕本剤は、安定的な入手が可能になるまでは、一般流通は行われず、厚生労働省が所有した上で、発症抑制としての投与について、対象となる免疫抑制状態にある者が希望した場合には、医療機関からの依頼に基づき、無償で譲渡される。・カシリビマブ/イムデビマブ(同:ロナプリーブ)とソトロビマブ(同:ゼビュディ)の「投与時の注意点」として「1)オミクロン株(B1.1.529系統/BA.2系統、BA.4系統およびBA.5系統) では本剤の有効性が減弱するおそれがあることから、他の治療薬が使用できない場合に投与を検討する」を追記。【免疫調整薬・免疫抑制薬】・シクレソニド(国内未承認薬)の項目を削除。【その他】・その他の抗体治療薬(回復者血漿、高度免疫グロブリン製剤)の項目を削除。・附表1と2の「重症化リスクを有する軽症~中等症IのCOVID-19患者への治療薬の特徴」の内容を更新。・参考文献を52本に整理。 なお、本手引きの詳細は、同学会のサイトなどで入手の上、確認いただきたい。■関連記事ゾコーバ緊急承認を反映、コロナ薬物治療の考え方第15版/日本感染症学会

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がん負担の世界最大のリスク因子は喫煙/Lancet

 2019年の世界におけるがん負担に寄与した最大のリスク因子は喫煙であり、また、2010年から2019年にかけて最も増大したのは代謝関連のリスク因子(高BMI、空腹時高血糖)であることが、米国・ワシントン大学のChristopher J. L. Murray氏ら世界疾病負荷研究(Global Burden of Diseases, Injuries, and Risk Factors Study:GBD)2019 Cancer Risk Factors Collaboratorsの解析で明らかとなった。Lancet誌2022年8月20日号掲載の報告。GBD 2019を用いリスク因子に起因するがん負担について解析 研究グループは、GBD 2019の比較リスク評価フレームワークを用い、行動、環境・職業および代謝に関連したリスク因子に起因するがん負担について、2019年のがん死亡および障害調整生存年(DALY)を推定するとともに、これらの2010年から2019年までの変化を検討した。 比較リスク評価フレームワークには、23のがん種と世界がん研究基金の基準を用いて特定した34のリスク因子から成る82のがんリスクと転帰の組み合わせが含まれている。リスク因子起因がん死亡数は10年で約20%増加、主なリスク因子は喫煙、飲酒、高BMI 2019年の推定されたすべてのリスク因子に起因する世界のがん死亡数は、男女合わせて445万人(95%不確定区間[UI]:401万~494万)で、全がん死亡の44.4%(95%UI:41.3~48.4)を占めた。男女別では、男性288万人(95%UI:260万~318万)、女性158万人(95%UI:136万~184万)であり、それぞれ男性の全がん死亡の50.6%(95%UI:47.8~54.1)、女性の全がん死亡の36.3%(95%UI:32.5~41.3)であった。 また、推定されたすべてのリスク因子に起因する世界のがんDALYは、男女合わせて1億500万(95%UI:9,500万~1億1,600万)で、全がんDALYの42.0%(95%UI:39.1~45.6)を占めた。 2019年のリスク因子に起因するがん死亡とがんDALYに関して、世界全体でこれらに寄与する主なリスク因子は、男女合わせると、喫煙、飲酒、高BMIの順であった。リスク因子によるがん負担は、地域および社会人口統計学的指標(SDI)によって異なり、低SDI地域では2019年のリスク因子によるがんDALYの3大リスクは喫煙、危険な性行為、飲酒の順であったが、高SDI地域では世界のリスク因子の上位3つと同じであった。 2010~19年に、リスク因子に起因する世界のがん死亡数は20.4%(95%UI:12.6~28.4)、DALYは16.8%(95%UI:8.8~25.0)増加した。これらの増加率が最も高かったリスク因子は、代謝関連リスク(高BMI、空腹時血糖高値)であり、これらに起因する死亡数は34.7%(95%UI:27.9~42.8)、DALYは33.3%(95%UI:25.8~42.0)増加した。 著者は、「世界的にがん負担が増加していることを踏まえると、今回の解析結果は、世界、地域および国レベルでがん負担を減らす努力目標となる重要で修正可能なリスク因子を、政策立案者や研究者が特定するのに役立つと考えられる」とまとめている。

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脳卒中、55歳未満の発症増大/JAMA

 脳卒中罹患者が、55歳未満で有意に増大している一方、55歳以上では減少している。英国・オックスフォード大学のLinxin Li氏らが、イングランド・オックスフォードシャー州の住民について2002~10年vs.2010~18年の脳卒中罹患率を比較した検討の結果を報告した。他の主要血管イベントには同様の違いはみられず、著者は「脳卒中について示されたこの差の原因を明らかにする、さらなる検討が必要である」と述べている。先行研究で55歳未満の脳卒中罹患率が上昇していることが報告されていたが、多くが対象を限定した試験で、住民ベースのより多くの試験によるエビデンスが求められていた。JAMA誌2022年8月9日号掲載の報告。英国住民9万4,567人の罹患率、2002~10年vs.2010~18年を比較 研究グループは、若年者vs.高齢者の脳卒中およびその他の主要血管イベント罹患率の、経時的変化を明らかにする前向き住民ベース試験を、2002年4月~2018年3月にイングランド・オックスフォードシャー州の平均流域住民9万4,567人を対象に行った。 暦時間、発症前の血管リスク因子、職業を調べ、脳卒中、一過性脳虚血発作(TIA)、その他の主要血管イベント(心筋梗塞、心臓突然死、末梢血管イベント)の罹患率の変化を、年齢、性別、精密検査による診断、病因、重症度で層別化し評価した。IRRは55歳未満1.67、55歳以上0.85 合計2,429例(平均年齢73.6[SD 14.4]歳、女性51.3%)の脳卒中が確認された。 2002~10年から2010~18年に、脳卒中罹患率は、55歳未満の被験者では有意に上昇していた(罹患率比[IRR]:1.67、95%信頼区間[CI]:1.31~2.14)一方、55歳以上の被験者では有意に低下していた(IRR:0.85、95%CI:0.78~0.92、群間差のp<0.001)。 55歳未満群の罹患率の有意な上昇は、年齢、脳卒中重症度、病理学的サブタイプ、調査の変更とは関係していなかった。同様の発生の傾向はTIAについても認められたが(IRR:1.87、95%CI:1.36~2.57)、心筋梗塞やその他の主要血管イベントでは認められなかった(IRR:0.73、95%CI:0.58~0.93)。 55歳未満群のTIAおよび脳卒中の罹患には、糖尿病(リスク比[RR]:3.47、95%CI:2.54~4.74)、高血圧症(2.52、2.04~3.12)、現在喫煙(2.38、1.92~2.94)、肥満(1.36、1.07~1.72)と有意に関連していた。2002~10年から2010~18年にかけての罹患率の有意な上昇は、これらリスク因子のない被験者にも認められた。 上昇が最も大きかったのは、専門職/管理職(IRR:2.52、95%CI:1.75~3.62)であり、最も小さかったのは、部分的に熟練を要する/熟練を要しない職種(1.17、0.79~1.74)であった。 既知の血管リスク因子を有していない55歳未満群のTIAおよび脳卒中罹患率は、時間の経過とともに顕著に上昇していた(45例[30.4%]vs.115例[42.4%]、絶対群間差:12.0%、95%CI:2.6~21.5)。とくに、潜在性イベント(cryptogenic events)を有する患者で有意に増大していた(10例[18.5%]vs.63例[49.2%]、絶対群間差:30.7%、95%CI:17.2~44.2、p<0.001、異質性のp=0.002)。

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COPDの疾病負担、世界的には低下傾向に/BMJ

 近年、慢性閉塞性肺疾患(COPD)による世界的な疾病負担は減少傾向にあるものの、この疾患はとくに社会人口統計学的指標(0[開発が最も遅れている]~1[開発が最も進んでいる])が低い国々ではいまだに主要な公衆衛生上の課題であることが、イラン・タブリーズ医科大学のSaeid Safiri氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2022年7月27日号で報告された。GBD 2019のCOPDデータを用いた系統的解析 研究グループは、1990~2019年におけるCOPDの世界、地域別、国別の疾病負担および寄与リスク因子を、年齢、性別、社会人口統計学的指標に基づいて検討する目的で、系統的な解析を行った(イラン・Shahid Beheshti University of Medical Sciencesの助成を受けた)。 解析には、「2019年度世界疾病負担研究(GBD 2019)」のCOPDのデータが用いられた。GBDは、ビル&メリンダ・ゲイツ財団の助成で進められている研究で、GBD 2019では、1990~2019年における世界の204の国と領域における369種の疾患と負傷、および87件のリスク因子について評価が行われている。COPDについてはGOLDの定義が使用された。 主要アウトカムは、COPDの有病者、COPDによる死亡、COPDによる障害調整生存年(DALY)と、寄与リスク因子とされ、その数と10万人当たりの発生割合が、95%不確実性区間(UI)とともに算出された。禁煙、大気の質の改善、職業的曝露の低減が重要 2019年における世界のCOPDの有病者数は2億1,230万人で、年齢標準化点有病率は10万人当たり2,638.2人(95%不確実性区間[UI]:2,492.2~2,796.1)であり、1990年から8.7%低下した。また、同年のCOPDによる死亡者数は328万600人で、年齢標準化死亡率は10万人当たり42.5人(95%UI:37.6~46.3)であり、1990年以降41.7%減少した。同年のDALYは7,443万2,400年で、年齢標準化DALYの割合は10万人当たり926.1年(95%UI:848.8~997.7)であり、1990年に比べ39.8%低くなった。 2019年に、COPDの年齢標準化点有病率が最も高かった国はデンマーク(4,299.5人/10万人)で、次いでミャンマー(3,963.7人/10万人)、ベルギー(3,927.7人/10万人)の順であった。また、調査期間中に年齢標準化点有病率が最も増加した国はエジプト(62.0%)で、ジョージア(54.9%)、ニカラグア(51.6%)がこれに続いた。 2019年に、COPDによる10万人当たりの年齢標準化死亡率が最も高かったのはネパール(182.5人)で、最も低かったのは日本(7.4人)だった。10万人当たりの年齢標準化DALYもネパール(3,318.4年)で最も高く、バルバドス(177.7年)が最も低かった。 一方、男性では、世界のCOPDによるDALYの割合は85~89歳まで上昇が続き、その後は加齢とともに低下したのに対し、女性は最も高い年齢層(95歳以上)まで上昇が続いた。この割合は、全年齢層で男性のほうが高かった。 地域別の解析では、社会人口統計学的指標とCOPDの年齢標準化DALYの割合には、1990~2019年にかけて全体的に逆V字型の関係が認められた。すなわち、年齢標準化DALYの割合は、社会人口統計学的指標の上昇に伴い指数関数的に増加したが、同指標が約0.4に達した後、減少に転じた。 COPDによるDALYの割合の増加に最も寄与している因子は喫煙(46.0%)であり、次いで環境中の粒子状物質による汚染(20.7%)、職業的な粒子状物質、ガス、煙/蒸気への曝露(15.6%)の寄与が大きかった。 著者は、「COPDの疾病負担をさらに減少させるために、予防プログラムでは、禁煙、大気の質の改善、職業的曝露の低減に焦点を当てるべきと考えられる」としている。

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コロナ禍で医療資源確保のために国民へのお願い/4学会

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の第7波の流行拡大が深刻な様相を呈している。発熱外来には連日長蛇の受診者がならび診療予約の電話が鳴りやまない。また、救急搬送は大都市圏で稼働率9割を超え、受け入れ先医療機関の不足や長い待機時間などが大きな問題となっている。 こうした事態を鑑み、日本感染症学会(理事長:四柳 宏)、日本救急医学会(代表理事:坂本 哲也)、日本プライマリ・ケア連合学会(理事長:草場 鉄周)、日本臨床救急医学会(代表理事:溝端 康光)の4学会は連名で「限りある医療資源を有効活用するための医療機関受診及び救急車利用に関する4学会声明」を8月2日に急遽発表した。 声明では、COVID-19に罹患したと思われる際の個々人の行動について、軽症で重篤化リスクのない人については、自宅療養を勧めるとともに、救急車を利用する際の指針について示している。COVID-19かなと思ったら?【声明の4つのポイント】1)症状が軽い*場合は、65歳未満で基礎疾患や妊娠がなければ、あわてて検査や受診をする必要はありません。自宅療養を続けられます。この場合、新型コロナウイルス専用の特別な治療は行いません。医療機関での治療は、つらい発熱や痛みを和らげる薬が中心になり、こうした薬は薬局などで購入できます。限りある医療資源を有効活用するためにも、検査や薬のためにあわてて医療機関を受診することは避けてください。 *症状が軽いとは「飲んだり食べたりできる、呼吸が苦しくない、乳幼児で顔色が良い」2)症状が重い**場合や、37.5℃以上の発熱が4日以上続く場合、65歳以上の方や65歳未満でも基礎疾患がある方、妊娠中、ワクチン未接種の方などは、重症になる可能性があります。早めにかかりつけ医に相談してください。高熱が続くなど症状が長引いたり、重くなるようでしたら、かかりつけ医や近隣の医療機関へ必ず相談、受診(オンライン診療を含む)してください。 **症状が重いとは「水分が飲めない、ぐったりして動けない、呼吸が苦しい、呼吸が速い、乳幼児で顔色が悪い、乳幼児で機嫌が悪くあやしてもおさまらない」3)救急車を呼ぶ必要がある症状は、顔色が明らかに悪い、唇が紫色になっている、(表情や外見などが)いつもと違う、様子がおかしい、息が荒くなった、急に息苦しくなった、日常生活で少し動いただけで息苦しい、胸の痛みがある、横になれない、座らないと息ができない、肩で息をしている、意識がおかしい(意識がない)などがあります。このようなときには救急車を呼ぶことをためらわないでください。4)救急車の利用の目安については「救急車利用リーフレット(高齢者版、成人版、子供版)」をご活用ください。 判断に迷う場合には、普段からの体調を把握しているかかりつけ医への相談、各種相談窓口(行政などが設置している発熱相談窓口や♯7119などの救急安心センター・救急相談センター、♯8000)などの活用をしてください。7項目で診療集中の弊害を説明 上記の診療を受ける、救急車を利用する前のポイントを踏まえ、解説として7項目のCOVID-19のとくにオミクロン株に関する疾患情報やリスクの高い場合の対応を記している。以下に抜粋して示す。【オミクロン株にかかったときの自然経過】・オミクロン株への曝露があってから平均3日で急性期症状(発熱・喉の痛み・鼻水・咳・全身のだるさ)が出現するが、そのほとんどが2~4日で軽くなること。・COVID-19の検査を受けることは大切だが、検査を受けることができなくてもあわてないで療養(自宅での静養)することが大切。・重症化する人の割合は数千人に1人程度と推定(厚生労働省資料より)。【COVID-19を疑う症状が出た場合】・COVID-19の症状(発熱・のどの痛み・鼻水・咳・全身のだるさなど)が出た場合は、まず仕事や学校を休んで外出を避け、自宅療養を始める。【症状が軽く65歳未満で基礎疾患がない場合、妊娠中でない場合】・症状が軽く(飲んだり食べたりできて、呼吸が苦しくない、乳幼児で顔色が良い)、基礎疾患がない場合や妊娠がない場合は、検査や薬のためにあわてて医療機関を受診をする必要はない。・COVID-19専用の特別な治療は行わない。つらい発熱や痛みを和らげる薬(アセトアミノフェンなどの解熱鎮痛薬)が治療の中心で、このような薬は薬局など(ドラッグストアやインターネット販売も含む)で購入できる。・限りある医療資源を有効活用するためにも、検査を目的とした医療機関の受診は避ける。・市販の医療用抗原検査キットを使い、症状が出た翌日以降に自分で検査することもできるが、症状が出た当日に検査をすると新型コロナウイルスに感染しているのに陰性になる可能性が高いため、翌日以降の検査をお勧めする。【症状が重い、発熱が4日以上、65歳以上、基礎疾患がある場合、妊娠中の場合】・症状が重い(水分が飲めない、ぐったりして動けない、呼吸が苦しい、呼吸が速い、乳幼児で顔色が悪い、乳幼児で機嫌が悪くあやしても治まらない)場合や、37.5℃以上の発熱が4日以上続いている場合は、医療機関への受診(オンライン診療を含む)が必要。・たとえ症状が軽くても、65歳以上の方、基礎疾患がある方や妊娠中の方、ワクチン未接種の方などは、重症になる可能性があるので、早めにかかりつけ医に相談。・熱が続くなど症状が長引いたり、重くなるようだったら、かかりつけ医や近隣の医療機関に必ず相談、受診(オンライン診療を含む)。・次の主な重症化のリスク因子がある方は受診が必要。〔主な重症化のリスク因子〕65歳以上の高齢者/悪性腫瘍(がん)/慢性呼吸器疾患(COPDなど)/慢性腎臓病/糖尿病/高血圧/脂質異常症/心臓や血管の病気/脳梗塞や脳出血など脳血管の病気/高度肥満(BMIが30以上)/喫煙(ヘビースモーカーの場合)/固形臓器移植後の免疫不全/妊娠後期/免疫抑制・調整薬の使用/HIV感染症(参考:厚生労働省 新型コロナウイルス感染症COVID-19診療の手引き 第8.0版を改変)【医療機関への受診について】・医療機関に受診が必要な場合は、通常診療中の時間帯(平日の日中など)に、かかりつけ医や近所の医療機関に電話相談してから受診。【救急車の利用の目安について】・COVID-19により救急車を呼ぶ必要がある症状としては、顔色が明らかに悪い、唇が紫色になっている、(表情や外見などが)いつもと違う、様子がおかしい、息が荒くなった、急に息苦しくなった、日常生活で少し動いただけで息苦しい、胸の痛みがある、横になれない、座らないと息ができない、肩で息をしている、意識がおかしい(意識がない)などがある。このようなときには救急車を呼ぶことをためらわない。 以上、国民向けの内容であるが、外来診療などの際に患者さんにお伝えすることで、現在の診療への集中化の緩和につながればと期待する。

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「味覚が変です」今、こんな患者に遭遇したらどうする?【Dr.山中の攻める!問診3step】第16回

第16回 「味覚が変です」今、こんな患者に遭遇したらどうする?―Key Point―食事は人生最大の楽しみの一つである。味覚障害があると食欲が低下する複雑な風味を味わうには味覚と嗅覚が正常でなければならない味覚は年齢、食事、喫煙、薬剤によって影響を受ける症例:83歳 男性主訴)味覚障害現病歴)3ヵ月前から倦怠感と手足のしびれを自覚している。2ヵ月前から徐々に食べ物の味がわかりにくくなり、食欲が低下してきた。最近2週間は体動時の息切れを感じている。既往歴)10年前に胃がんのため胃全摘術、高血圧症内服薬)アムロジピン身体所見)意識清明、体温 36.8℃、血圧 132/68mmHg、脈拍 96回/分、呼吸回数 18回/分、SpO2 95%(室内気)眼瞼結膜:軽度の蒼白あり、舌:発赤あり、舌乳頭萎縮あり胸部:収縮期雑音(Levine 3/6)を心尖部で聴取する、腹部:正中に手術痕あり下肢:両側に軽度の浮腫と末梢優位の感覚障害あり経過)血液検査でWBC 3300/μL、Hb 8.3g/dL、MCV 110fL、血小板 15万/μL、Cr 0.7mg/dL、血糖 102mg/dL、CRP 0.25mg/dLであった10年前の胃全摘術の既往、下肢末梢優位の感覚障害、ハンター舌炎を示唆する舌所見、汎血球減少からビタミンB12欠乏を疑った1)血清ビタミンB12は75pg/mL(基準値:180~914)であったビタミンB12欠乏症による味覚障害と診断し、ビタミンB12の補充を行うと味覚障害は徐々に改善した◆今回おさえておくべき臨床背景はコチラ!COVID-19感染症の流行初期には、味覚障害と嗅覚障害がよくみられた味覚障害の多くは嗅覚障害が原因である薬剤は味覚障害を起こすことが多い【STEP1】患者の症状に関する理解不足を解消させよう【STEP2-1】味覚のメカニズムを理解する2)舌表面には約8,000個の味蕾(みらい)と呼ばれる味覚受容器官があり、甘味、塩味、酸味、苦味、うま味を感じる甘味は舌の先端、塩味は舌前方の側面、酸味は舌後方の側面、苦味は舌後方で感じる嚥下時に後鼻腔にある嗅覚レセプターが刺激され、味覚と一緒に複雑な風味を感じる症状を訴える多くの患者は味覚ではなく嗅覚が障害されている<参考文献・資料>1)Stabler SP, et al. N Engl J Med. 2013;368:149-160.2)Harrison’s Principles of Internal Medicine. 21th edition. 2022. p232-238.3)UpToDate:Taste and olfactory disorders in adults: anatomy and etiology

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アルコール依存症リスクに対する喫煙の影響

 喫煙と飲酒には強い相関があるといわれている。英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのClaire Garnett氏らは、イングランドにおける飲酒者の喫煙率および喫煙の特性について、アルコール依存症リスクの有無による比較を行った。その結果、アルコール消費量増加と喫煙率上昇との関連が認められたことから、著者らは、アルコール依存症リスクを有する喫煙者では、英国国民保健サービス長期計画(NHS Long Term Plan)の一環として喫煙率を低下させることが重要であると報告した。The Lancet Regional Health. Europe誌2022年6月9日号の報告。 イングランドの成人(weighted n:14万4,583人)を対象に毎月実施された断面調査のデータ(2014~21年)を用いて、分析を行った。喫煙および禁煙チャレンジの特徴は、調査年で調整した後、アルコール依存症(飲酒者のアルコール依存症リスクの有無別)で回帰した。 主な結果は以下のとおり。・過去1年間の喫煙率は、アルコール依存症リスクを有する飲酒者で63.3%(95%CI:59.7~66.8)、アルコール依存症リスクのない飲酒者で18.7%(95%CI:18.4~18.9)、非飲酒者で19.2%(95%CI:18.8~19.7)であった。・過去1年間の喫煙者のうち、アルコール依存症リスクを有する飲酒者は、1日当たりの喫煙本数が多く(vs.リスクのない飲酒者、B=3.0、95%CI:2.3~3.8)、起床後最初の喫煙が5分以内である可能性が高かった(vs. 60分未満内、OR=2.81、95%CI:2.25~3.51)。

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動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版、主な改訂点5つ/日本動脈硬化学会

 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版が5年ぶりに改訂、7月4日に発刊された。本ガイドライン委員長の岡村 智教氏(慶應義塾大学医学部衛生学公衆衛生学 教授)が5日に開催されたプレスセミナーにおいて動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版の変更点を紹介した(主催:日本動脈硬化学会)。 今回の動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版の改訂でキーワードとなるのが、「トリグリセライド」「アテローム血栓性脳梗塞」「糖尿病」である。これを踏まえて2017年版からの変更点がまとめられている動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版の序章(p.11)に目を通すと、改訂点が一目瞭然である。なお、動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版のPDFは動脈硬化学会のホームページより誰でもダウンロードできる。<動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版の主な改訂点>1)随時(非空腹時)のトリグリセライド(TG)の基準値を設定した。2)脂質管理目標値設定のための動脈硬化性疾患の絶対リスク評価手法として、冠動脈疾患とアテローム血栓性脳梗塞を合わせた動脈硬化性疾患をエンドポイントとした久山町研究のスコアが採用された。3)糖尿病がある場合のLDLコレステロール(LDL-C)の管理目標値について、末梢動脈疾患、細小血管症(網膜症、腎症、神経障害)合併時、または喫煙ありの場合は100mg/dL未満とし、これらを伴わない場合は従前どおり120mg/dL未満とした。4)二次予防の対象として冠動脈疾患に加えてアテローム血栓症脳梗塞も追加し、LDL-Cの目標値は100mg/dL未満とした。さらに二次予防の中で、「急性冠症候群」「家族性高コレステロール血症」「糖尿病」「冠動脈疾患とアテローム血栓性脳梗塞の合併」の場合は、LDL-Cの管理目標値は70mg/dL未満とした。5)近年の研究成果や臨床現場からの要望を踏まえて、新たに下記の項目を掲載した。 (1)脂質異常症の検査 (2)潜在性動脈硬化(頸動脈超音波検査の内膜中膜複合体や脈波伝播速度、CAVI:Cardio Ankle Vascular Indexなどの現状での意義付) (3)非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪肝炎(NASH) (4)生活習慣の改善に飲酒の項を追加 (5)健康行動倫理に基づく保健指導 (6)慢性腎臓病(CKD)のリスク管理 (7)続発性脂質異常症動脈硬化性疾患予防ガイドライン改訂に至った主な理由 1)について、「TGは食事の摂取後は値が上昇するなど変動が大きい。また空腹時でも非空腹時でも値が高いと将来の冠動脈疾患や脳梗塞の発症や死亡を予測することが国内の疫学調査で示されている。国内の疫学研究の結果およびESC/EASガイドラインとの整合性も考慮して、空腹時採血:150mg/dL以上または随時採血:175mg/dL以上を高TG血症と診断する」とコメントした(参照:BQ5)。 2)については、吹田スコアに代わり今回の動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版では久山町研究のスコアを採用している。その理由として、同氏は「吹田スコアの場合、研究アウトカムが心筋梗塞を含む冠動脈疾患発症で脳卒中が含まれていなかった。久山町研究のスコアは、虚血性心疾患と、脳梗塞の中でとくにLDL-Cとの関連が強いアテローム血栓性脳梗塞の発症にフォーカスされていた点が大きい」と説明(参照:BQ16)。 3)については、ESC/EASガイドラインでの目標値、国内のEMPATHY試験やJ-DOIT3試験の報告を踏まえ、心血管イベントリスクを有する糖尿病患者の一次予防において、十分な根拠が整っている(参照:FQ24)。 4)については、国内でのアテローム血栓性脳梗塞が増加傾向であり、再発予防が重要になるためである。また二次予防の場合、糖尿病の合併がプラーク退縮の阻害要因となることなどから「これまで厳格なコントロールは合併症などがあるハイリスクの糖尿病のみが対象だったが、今回の動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版より糖尿病全般においてLDL-C 70mg/dL未満となった」と解説した。 5)の(7)続発性脂質異常症は新たに追加され(第6章)、他疾患などが原因で起こる続発性なものへの注意喚起として「続発性(二次性)脂質異常症に対しては、原疾患の治療を十分に行う」とし、甲状腺機能低下症など、続発性脂質異常症の鑑別を行わずに、安易にスタチンなどによる脂質異常症の治療を開始すると横紋筋融解症などの重大な有害事象につながることもあるので注意が必要、と記載されている。<続発性脂質異常症の原因>1.甲状腺機能低下症 2.ネフローゼ症候群 3慢性腎臓病(CKD)4.原発性胆汁性胆嚢炎(PBC) 5.閉塞性黄疸 6.糖尿病 7.肥満8.クッシング症候群 9.褐色細胞腫 10.薬剤 11.アルコール多飲 12.喫煙――― このほか同氏は、「LDL-Cのコントロールにおいて飽和脂肪酸の割合を減らすことが重要(参照:FQ3)」「薬物開始後のフォローアップのエビデンスレベルはコンセンサスレベルだが、患者さんの状態を丁寧に見ていくことは重要(参照:BQ21)」などの点を補足した。 2007年版よりタイトルを“診療”から“予防”に変更したように、動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版は動脈硬化性疾患の予防に焦点を当てて作成されている。同氏は「すぐに薬物治療を実行するのではなく、高リスク病態や他疾患の有無を見極めることが重要。治療開始基準と診断基準は異なるので、あくまでスクリーニング基準であることは忘れないでほしい」と締めくくった。

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ASCO2022 レポート 血液腫瘍

レポーター紹介今年のASCO 2022の年次総会も、COVID-19の影響で、昨年のASCO 2021に引き続き、ハイブリッド開催となりました。その恩恵を受けて、昨年と同様に、米国・シカゴまで行かずに、通常の病院業務をしながら、業務の合間に、時差も気にせず、オンデマンドで注目演題を聴講したり、発表スライドを閲覧したりすることができました。それらの演題の中から、今年も10の演題を選んで、発表内容をレポートしたいと思います。以下に、悪性リンパ腫(慢性リンパ性白血病含む)関連5演題、多発性骨髄腫関連3演題、白血病関連2演題を紹介します。悪性リンパ腫(慢性リンパ性白血病含む)関連First-line brentuximab vedotin plus chemotherapy to improve overall survival in patients with stage III/IV classical Hodgkin lymphoma: An updated analysis of ECHELON-1.  (Abstract #7503)ECHELON-1試験は、初発の進行期ホジキンリンパ腫患者を対象に、これまでの標準治療のABVD療法と、ブレンツキシマブベドチンとブレオマイシンを入れ替えたA-AVD療法を比較した第III相比較試験で、これまでの発表にて、A-AVD療法がABVD療法と比較し、PFSの延長効果が示されていた。今回の発表では、追跡期間の中央値が73ヵ月(約6年)の時点で、A-AVD療法の、OSについての優位性も示された(6年時点のOS:[A-AVD療法:93.9%、ABVD療法:89.4%]) (HR:0.590、95%信頼区間[CI]:0.396~0.879、p=0.009)。サブグループ解析では、IPSが4~7の患者、Stage IVの患者、節外病変が2以上の患者など、予後不良と思われる患者において、有意にA-AVD療法がABVD療法よりもOSを延長した。2次がんの発症率も、23例と32例で、A-AVD療法で少なかった。ホジキンリンパ腫については、これまで、ABVD療法に対し、OSでの優位性を示した治療法はなかったが、A-AVD療法が初めてABVD療法にOSで優ったことが示された歴史的試験結果となった。Glofitamab in patients with relapsed/refractory (R/R) diffuse large B-cell lymphoma (DLBCL) and >2 prior therapies: Pivotal phase II expansion results. (Abstract #7500)R/R DLBCL患者に対し、近年、CD19-CAR-T細胞治療やポラツズマブベドチン(ADC)などの新薬が登場し、治療成績は良くなったが、それらの治療にても再発・難治となる場合もあり、さらなる新薬の開発が望まれている。本発表では、CD20とCD3(2対1の比率)に対する二重抗体薬のglofitamabの第II相試験(21日サイクルにて、最大12サイクルまでの固定期間治療であり、サイクル1のDay1には、CRS軽減のため、オビヌツズマブを投与し、Day8に2.5mg、Day15に10mgを投与、サイクル2以降はDay1に30mgを投与する)の結果が報告された。154例の2ライン以上の前治療歴(リツキシマブの治療歴を含む)のあるR/R DLBCL患者が対象となった(59.7%が3ライン以上、33.1%がCAR-T治療を受けていた)。主要評価項目のCR率は39.4%であり、副次評価項目のORRは51.6%であった。また、CAR-T治療歴のある、なしでのCR率は、それぞれ35%と42%であった。CR維持率は12ヵ月時点で77.6%であった。CRSは63%に認めたが、うち59%はG1~2であり、ほとんどがサイクル2までに認められた。glofitamabは、CAR-T既治療例を含むR/R DLBCLに対する新たな治療薬として期待できる。Influence of racial and ethnic identity on overall survival in patients with chronic lymphocytic lymphoma. (Abstract #7508)CLLは、西欧諸国では頻度の多い疾患であるが、アフリカやアジアでは少なく、発症率や予後に、人種差が影響するかどうかは、明らかではなかった。本発表では、National Cancer Databaseに2004~18年に登録されたアメリカのCLL患者を解析している。9万7,804例のうち、8万8,680例(90.7%)が白人、7,391例(7.6%)が黒人、2,478例(2.6%)がヒスパニック、613例(0.6%)がアジア人であった。今回は、この中で、白人と黒人を比較している。黒人の方が、診断時の年齢が66歳(vs.70歳)と若く、合併症を有する割合も27.9%(vs.21.3%)と多かった。さらに、次の項目(女性患者、非保険加入者、低所得者)の割合が黒人で多かった。また、CLLの治療を、診断時すぐに開始された割合も35.9%(vs.23.6%)と多く、OSは短い(中央値:7.00年vs.9.14年)ことがわかった。CLLの病態に人種差がどのように影響しているかは不明だが、経済力の差などが、診断時期や治療法の選択にも影響している可能性もあり、それがOSの差に反映していると思われる。GEMSTONE-201: Preplanned primary analysis of a multicenter, single-arm, phase 2 study of sugemalimab (suge) in patients (pts) with relapsed or refractory extranodal natural killer/T cell lymphoma (R/R ENKTL). (Abstract #7501)R/R ENKTLの予後はきわめて不良である(OS中央値は7ヵ月未満、1年OSは20%未満)。本試験では、R/R ENKTLに対する抗PDL1抗体薬(sugemalimab)の第II相試験(GEMSTONE-201試験)の最初の解析結果が報告された(追跡期間の中央値が13.4ヵ月時点)。対象となった患者は、80例(年齢中央値:48歳、男性:64%、前治療が2ライン以上:49%、前治療に抵抗性:46%)であり、Suge 1,200mgを3週に1回投与し、最長24ヵ月投与した。主要評価項目のORRは、46.2%であった。また、副次評価項目のCR率は、37.2%であり、12ヵ月時点のDORは、86%であった。探索的評価項目の全生存率は、12ヵ月時点で68.6%であった。G3以上の有害事象は39%(治療薬関連は16%、そのうち重篤な有害事象は6.3%)でみられ、最も高頻度にみられたirAEは、甲状腺機能低下症が16%にみられた。R/R ENKTLに対する抗PDL1抗体薬は、その有効性と安全性のバランスから期待できる治療薬と考える。Primary results from the double-blind, placebo-controlled, phase III SHINE study of ibrutinib in combination with bendamustine-rituximab (BR) and R maintenance as a first-line treatment for older patients with mantle cell lymphoma (MCL). Abstract #LBA7502初発の自家移植非適応の高齢MCL患者(65歳以上)に対するBRX6サイクル+R維持療法(2ヵ月ごと2年間)と、その治療に最初からイブルチニブ560mg(or プラセボ)を上乗せし、イブルチニブ(or プラセボ)は、PDあるいは毒性中止となるまで継続する治療を比較した第III相比較試験のSHINE試験の結果がLate break abstractとして報告され、同日のNEJM誌にPublishされた。イブルチニブ群259例とプラセボ群260例が治療を受けた。主要評価項目のPFSの中央値は、80.6と52.9ヵ月であり、HR:0.75(0.59~0.96)と有意にイブルチニブを併用した治療で約2年のPFSの延長がみられた。ハイリスク症例(BlastoidタイプあるいはTP53変異あり)でも、イブルチニブ群でPFSが良い傾向にあったが、症例数が少なく、有意差は認めなかった。TTNTもHR:0.48(0.34~0.66)でイブルチニブ群で延長がみられた。イブルチニブ群では、G3/4の有害事象として、出血(3.5%)、心房細動(3.9%)、高血圧(8.5%)、関節痛(1.2%)を認めた。ただし、OSについては、HR:1.07(0.81~1.40)で差を認めていない。SHINE試験で、初めて、初発の高齢MCL患者に対するイブルチニブの有用性(併用効果)が示され、今後、標準治療の変更が見込まれる結果となった。多発性骨髄腫関連Major risk factors associated with severe COVID-19 outcomes in patients with multiple myeloma: Report from the National COVID-19 Cohort Collaborative (N3C). (Abstract #8008)NCATS’ National COVID Cohort Collaborative (N3C)のデータベースを用い、MM患者におけるCOVID-19の重症化のリスクを解析している。本データベースには、2万6,064例のMM患者が登録(うちCOVID-19 陽性は8,588例)されていた。多変量解析によって、肺疾患、腎疾患の既往は重症化のリスクであったが、糖尿病、高血圧は有意なリスクとはならなかった。喫煙は、むしろリスクが低い傾向があった。造血幹細胞移植、COVID-19ワクチン接種は有意に重症化リスクを下げた。一方、IMiDs、PI、デキサメサゾン治療は死亡リスクを上昇させたが、ダラツムマブ治療はリスクとはならなかった。1.93%のMM患者がCOVID-19感染10日以内に、4.47%のMM患者が30日以内に死亡した。本発表は、世界での最大級のデータベースを解析したものであり、COVID-19流行下のMM診療に役立つと思われる。Teclistamab, a B-cell maturation antigen (BCMA) x CD3 bispecific antibody, in patients with relapsed/refractory multiple myeloma (RRMM): Updated efficacy and safety results from MajesTEC-1. (Abstract #8007)BCMAとCD3に対する二重抗体薬 teclistamabの第I/II相MajesTEC-1試験の最新のデータが発表された。対象となった患者165例(第I相:40例、第II相:125例)は、前治療のライン数が5(2~14)で74%が4ライン以上であった。また、78%がトリプルクラス抵抗性、30%がペンタドラッグ抵抗性であり、90%が最後の治療に抵抗性の状態であった。Tecは、1.5mg/kgを週1回、皮下注で投与する方法が推奨用量であった。有効性の評価では、ORRは63%で、VGPR以上は58.8%、CR以上は39.4%であった。DORの中央値は18.4ヵ月、12ヵ月時点のDORは68.5%であり、CR以上が得られた患者では80.1%であった。PFSの中央値は11.3ヵ月、OSの中央値は18.3ヵ月であった。有害事象については、CRSは、72.1%でみられたが、G3は1例(0.6%)でG4/5はなかった。CRS発現は2日目(1~6)にみられ、2日間(1~9)続いた。治療関連死は5例(COVID-19 2例、肺炎1例、肝不全1例、PML1例)、AEによる減量は1例だけであった(21サイクル目)。BCMAを標的とするCAR-T療法よりは効果が落ちるものの、Off the shelfの薬剤であり、大いに期待される。Daratumumab carfilzomib lenalidomide and dexamethasone as induction therapy in high-risk, transplant-eligible patients with newly diagnosed myeloma: Results of the phase 2 study IFM 2018-04. (Abstract #8002)フランスのグループ(IFM)で実施されたHigh riskの染色体異常(CA)(t[4;14]、 del[17p]、 t[14;16]のいずれか)を有する移植適応のある初発MM患者を対象としたDara-KRD(6サイクル)+Auto(MEL200)+Dara-KRD(4サイクル)+2回目Auto(MEL200)+Dara-Len維持療法(2年)の第II相試験(IFN 2018-04試験)の寛解導入Dara-KRD治療の結果が報告された。50例の患者がエントリーされた。Del(17p)が20例、t(4;14)が26例、t(14;16)が10例、Gain(1q)は25例、前記の2以上のCAを有しているのは34例であった。46例が6サイクル完遂でき、2例はAE(COVID-19感染と腫瘍崩壊症候群)で中止、2例はPD中止となった。6例が2回Auto分のPBSCHに失敗したため、Dara-KRD(3サイクル)後にPBSCHを実施したところ、全例、PBSCHに成功した。ORRは96%、VGPR以上は91%、MRD測定(NGS)を行った37例中、MRD陰性であったのは、62%であった。今後、この治療法は続きがあるが、寛解導入部分の有効性、安全性は評価できると考える。白血病関連Overall survival by IDH2 mutant allele (R140 or R172) in patients with late-stage mutant-IDH2 relapsed or refractory acute myeloid leukemia treated with enasidenib or conventional care regimens in the phase 3 IDHENTIFY trial. (Abstract #7005)AMLにおいて、8~19%の症例で、IDH2遺伝子変異がみられ、IDH2遺伝子変異には、R140Q変異(75%)とR172K変異(25%)がある。変異IDH2阻害剤のenasidenibは、IDH2遺伝子変異を有する高齢R/R AML患者に対し、通常の治療(AZA、CA少量、BSC)と比較しOSの延長は認められなかった(IDHENTIFY試験)。今回の解析では、R140変異とR172変異に分けて解析している。R140と比較し、R172では併存する変異遺伝子の数が、少なかった。また、R140ではSRSF2、FLT3、NPM1、RUNX1遺伝子の変異を伴うのが多かったが、R172では、DNMT3A、TP53の変異が多かった。このことが影響したためか、R140では、OSに差を認めなかったが、R172においては、有意に、enasidenibが、通常治療よりもOSを延長した(14.6ヵ月 vs.7.8ヵ月)。遺伝子変異に基づいた治療法の選択は今後、ますます重要になると思われ、興味深い発表と考える。Efficacy and safety results from ASCEMBL, a phase 3 study of asciminib versus bosutinib (BOS) in patients (pts) with chronic myeloid leukemia in chronic phase (CML-CP) after >2 prior tyrosine kinase inhibitors (TKIs): Week 96 update.  (Abstract #7004)2ライン以上のTKIによる前治療歴があり、それらのTKI治療に抵抗性・不耐容のCML患者に対し、従来のTKIが結合するATP結合サイトとは異なるミリストイルポケットを標的とするasciminibとボスチニブを比較した第III相試験のASCEMBL試験のフォローアップデータが発表された。最初の解析時点から16.5ヵ月経過した2.3年時点での結果である。157例がasciminib、76例がボスチニブに割り付けられ、84例(53.5%)と15例(19.7%)が治療継続しており、治療効果不十分のため中止となった症例は、38例(24.2%)と27例(35.5%)であった。96週時点のMMR率(副次評価項目)は、37.6%と15.8%であり、有意にasciminibが優れていた(主要評価項目の24週時点のMMR率は25.5%と13.2%であった)。内服期間の中央値も23.7ヵ月と7.0ヵ月で、asciminibが長かった。asciminibでボスチニブよりも多くみられたAEは、血小板減少であり、ボスチニブでみられる下痢、嘔気・嘔吐、皮疹、肝障害は、明らかに少なかった。今回の結果から、asciminibは、既存のTKIに抵抗性・不耐容のCML患者の長く継続できる新たな治療薬として、再認識され、現在、日本でも保険適用で使用可能となった。おわりに以上、ASCO 2022で発表された血液腫瘍領域の演題の中から10演題を紹介しました。昨年のASCO 2021でも10演題を紹介いたしましたが、今年も昨年と同様に、どの演題も今後の治療を変えていくような結果であるように思いました。来年以降も現地開催に加えてWEB開催を継続してもらえるならば、ASCO 2023にオンライン参加をしたいと考えています。(でも、もう少し参加費を安くしてほしい、特に、円安の今日この頃(笑))

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多発性骨髄腫患者におけるCOVID-19重症化のリスク因子の検討/ASCO2022

 米国立衛生研究所(NIH)のNational COVID Cohort Collaborative(N3C)データベースを用いた解析により、肺疾患および腎疾患の既往、がん治療などが多発性骨髄腫患者のCOVID-19重症化リスクを高めることが示された。米国・Auburn大学のAmit Kumar Mitra氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2022)で報告した。 高齢者に発症頻度が高い形質細胞腫瘍である多発性骨髄腫は、しばしば免疫不全を呈することから、COVID-19の重症化リスクを高める可能性がある。同研究では、NIHのNational Center for Advancing Translational Sciences(NCATS)が主導する全国一元公開データベースであるN3Cのデータセットを使用し、多発性骨髄腫患者のCOVID-19の重要化や死亡に関連するリスク因子について解析を行った。・対象:N3Cデータセットに登録された多発性骨髄腫患者26,064例の中で、COVID-19陽性が確認された8,588例・方法:多変量解析により多発性骨髄腫患者のCOVID-19重症化および死亡のリスク因子を検討・評価項目:COVID-19重症化、死亡に関するリスク因子 主な結果は以下のとおり。・対象患者の年齢(中央値)は65.9歳、46.8%が女性であり、喫煙歴は25.0%にみられ、腎疾患、肺疾患、糖尿病の既往歴はそれぞれ26.7%、19.8%、27.0%であった。・対象患者の55.8%は入院または救急搬送を要し、12.2%は入院中に急性腎障害を発症、3.2%は人工呼吸器を装着した。また、COVID-19の重症度については、17.8%が軽症(うち3.7%が救急搬送)、18.3%が中等度、0.9%が重症であり、6.7%がCOVID-19により死亡した。・ロジスティック回帰分析からは、肺疾患や腎疾患の既往、多発性骨髄腫のStage(中等度~重度)などがCOVID-19の重症化リスクを高め、ワクチン接種が重症化リスクを低下させていた。また、糖尿病の既往や多発性骨髄腫のStage(中等度~重度)などが死亡リスクを高め、ワクチン接種は死亡リスクも減少させていた。なお、喫煙歴はいずれのリスクとも相関していなかった。・多発性骨髄腫の治療との関連については、免疫調節薬、プロテアソーム阻害薬、デキサメタゾンがCOVID-19の重症化リスクを高め、プロテアソーム阻害薬は死亡のリスクも高めていた。一方で、骨髄移植はCOVID-19の重症化および死亡のリスクを低下させていた。

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