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卵がうつ病リスクと関連~日本人労働者568人を調査

 山形県立米沢栄養大学の北林 蒔子氏らは、日本人労働者における食品群別の摂取量とうつ病との関連を調査するため、アンケート調査を実施した。その結果、男性では卵、女性では卵と野菜(緑黄色野菜以外)の摂取がうつ病と関連している可能性が示唆された。BMC Nutrition誌2024年1月30日号の報告。卵の摂取量が少ない男性はうつ病のORが有意に高い 2020年、日本人労働者568人を対象にアンケート調査を実施した。回答した503人中423人を研究対象に含めた。性別、年齢、BMI、残業時間、睡眠時間、婚姻状況、職位、運動習慣、喫煙状況、うつ病の発症および、エネルギー、タンパク質、脂質、炭水化物、アルコール、食品群別の摂取に関する情報を収集した。うつ病の有無および重症度の評価には、うつ病自己評価尺度(CES-D)を用いた。食品群別の摂取量は、残差法を用いてエネルギー摂取量を調整し、性別ごとに、低、中、高に分類した。うつ病の有無を従属変数、食品群別の摂取量を独立変数とし、ロジスティック回帰分析により性別に応じたオッズ比(OR)と傾向を分析した。 卵や野菜など食品群別の摂取量とうつ病との関連を調査した主な結果は以下のとおり。・うつ病の調整ORが有意に高かったのは、以下のとおりであった。●卵の摂取量が少ない男性●他の野菜(緑黄色野菜以外)の摂取量が低~中程度の女性●卵の摂取量が中程度の女性・用量反応関係が確認され、男性では卵の摂取量が少ない場合(p for trend=0.024)にうつ病のORが有意に高く、女性では他の野菜(緑黄色野菜以外)の摂取量が少ない場合(p for trend=0.011)、卵の摂取量が少ない場合(p for trend=0.032)にうつ病のORが有意に高かった。

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電子タバコは禁煙継続に有効?/NEJM

 標準的な禁煙カウンセリングに電子ニコチン送達システム(電子タバコ[e-cigarettes]とも呼ばれる)の無料提供を追加すると、禁煙カウンセリングのみより6ヵ月間の禁煙継続率が高まったことが、スイス・ベルン大学のReto Auer氏らが、スイス国内5施設で実施した非盲検比較試験「Efficacy, Safety and Toxicology of Electronic Nicotine Delivery Systems as an Aid for Smoking Cessation:ESTxENDS試験」の結果で示された。電子ニコチン送達システムは、禁煙を補助するため禁煙者に使用されることがあるが、このシステムの有効性と安全性に関するエビデンスが必要とされていた。NEJM誌2024年2月15日号掲載の報告。禁煙に対する電子タバコの有効性と安全性を、禁煙カウンセリングのみと比較 研究グループは2018年7月~2021年6月に、一般紙やソーシャルメディア、ならびに医療施設や公共交通機関での広告により、1日5本以上の喫煙を12ヵ月以上継続し、登録後3ヵ月以内に禁煙を希望する18歳以上の成人を募集し、適格者を介入群と対照群に1対1の割合で無作為に割り付けた。 介入群では、標準的な禁煙カウンセリングに加え電子タバコおよび電子タバコ用リキッド(e-liquid)の無料提供、ならびにオプション(有料)でニコチン代替療法を実施した。対照群では、標準的な禁煙カウンセリングを行い、ニコチン代替療法を含むあらゆる目的に使用できるクーポン券を配布した。 主要アウトカムは生化学的に確認された6ヵ月間の禁煙継続、副次アウトカムは自己報告による6ヵ月時点での禁煙(タバコ、電子タバコ、ニコチン代替療法を含む)、呼吸器症状、重篤な有害事象とした。生化学的に確認された6ヵ月間の禁煙継続率は介入群28.9% vs.対照群16.3% 2,027例がスクリーニングを受け、計1,246例が無作為化された(介入群622例、対照群624例)。 生化学的に確認された6ヵ月間の禁煙継続率は、介入群で28.9%、対照群で16.3%に認められた。両群の絶対差は12.6%(95%信頼区間[CI]:8.0~17.2)、粗相対リスクは1.77(95%CI:1.43~2.20)であった。 6ヵ月後の受診前7日間にタバコを使用しなかったと報告した参加者の割合は、介入群59.6%、対照群38.5%であった。一方、ニコチン(タバコ、ニコチン入り電子タバコ、ニコチン代替療法)の使用を一切やめた参加者の割合は、介入群20.1%、対照群で33.7%であった。 重篤な有害事象は介入群で25例(4.0%)、対照群で31例(5.0%)が、有害事象はそれぞれ272例(43.7%)および229例(36.7%)に発現した。

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キムチでスリムに?

 キムチは古くから韓国の食卓の定番メニューであり、近年では米国でも人気が高まってきている。そのキムチを日常的に摂取することが、体重増加の抑制につながるのではないかとする研究結果が、「BMJ Open」に1月30日掲載された。論文の上席著者である中央大学校(韓国)のSangah Shin氏によると、「男性では、1日当たり1~3人前分のキムチを摂取していることが、肥満リスクの低下と関連がある」という。ただし同氏は、「キムチには塩分が多く含まれていることに注意が必要であり、またキムチ摂取量がより多い場合には、肥満リスクが上昇する可能性も示唆された」と付け加え、「キムチを多く食べるほど良い」と単純化した解釈をしないよう注意を呼び掛けている。 これまでの動物実験から、キムチ由来のプロバイオティクスには抗肥満作用があることが示されている。ただし、ヒトを対象とする疫学研究でのエビデンスはわずかしかない。Shin氏らは、2004~2013年の韓国国民健康栄養調査(KNHANES)のデータを用いた横断的解析により、この点を検討した。解析対象は、40~69歳の成人11万5,726人(平均年齢51歳、男性31.8%)。肥満(BMI25以上)の有病率は、男性36.1%、女性24.7%。 キムチの総摂取量が1日当たり1食分未満の群を基準として、年齢や飲酒・喫煙・運動習慣、摂取エネルギー量、食物繊維・ナトリウム・カリウム摂取量、婚姻状況、教育歴、所得などを調整後、男性ではキムチ総摂取量が1日当たり1~2食分の群の肥満オッズ比(OR)は、0.875(95%信頼区間0.808~0.947)、1日当たり2~3食分の群ではOR0.893(同0.817~0.978)であり、オッズ比の有意な低下が示された。一方、女性ではキムチ総摂取量と肥満との関連が非有意だった。 キムチの素材によって、体重との関連が異なることも考えられる。例えば、1食分の重量も水分含有量によって50~95gの範囲で異なる。そこで、素材別の解析を施行した。すると女性でも、白菜を用いるキムチ(ペチュキムチ)の摂取量が1日当たり2~3食分の群でOR0.921(95%信頼区間0.865~0.981)、大根を用いるキムチ(カクトゥギ)の摂取量が1日当たり1~2食分の群でOR0.895(同0.855~0.938)という有意な関連が示された。なお、ペチュキムチ、カクトゥギの1食分の重量はともに50g。 男性では、ペチュキムチ、カクトゥギのいずれについても、キムチ総摂取量での解析結果とほぼ同様の結果が示されたが、カクトゥギについては1日当たり2~3食分の場合に肥満リスクとの関連が非有意だった。また、男性・女性ともに、その他の素材のキムチの摂取量は、肥満リスクとの関連が乏しかった。 研究者らによると、キムチに含まれているLactobacillus brevisやL. plantarumという植物性乳酸菌には、抗肥満作用があることが知られているという。ただし、「本研究からは因果関係は証明されず、ほかの因子によってこの関連が生じているのかもしれない」と、研究の限界点を述べている。また、示された関連はJカーブのようであり、1日当たりのキムチ総摂取量が5食分以上の場合、肥満のオッズ比が性別を問わず、非有意ながら1を上回っていることも、留意すべき点として挙げている。 そのほかの留意点として、キムチには塩分が多く含まれているため、心臓には良くない可能性があることを指摘。一方で、野菜を発酵させて作るキムチにはカリウムが多く含まれているため、塩分による健康リスクが軽減される可能性もあるとのことだ。研究グループでは結論として、「キムチに含まれる塩分やそのほかの成分の健康への影響を考慮した上で、適量を摂取することが推奨されるのではないか」と述べている。

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歯と口の健康は「オーラルフレイル」を知ることから

 食事の能力は、歯と口の機能に関連するさまざまな要因に支えられており、「オーラルフレイル」(口の機能が衰えること)が注目されてきている。今回、5,000人以上の成人を対象に行われた研究により、高リスクの人ほど、オーラルフレイルについて知らないことが明らかとなった。また、オーラルフレイルを認知していることと、性別や年齢、居住地域、生活習慣などとの関連も示された。神奈川歯科大学歯学部の入江浩一郎氏、山本龍生氏らによるこの研究結果は、「Scientific Reports」に1月3日掲載された。 歯と口の健康には予防が重要だ。これまでにも例えば、80歳になっても自分の歯を20本以上保とうという「8020運動」を認知していることは、定期的な歯科受診と有意に関連することが報告されている。しかし、オーラルフレイルの認知がどのような影響を持つかについては明らかになっていない。そこで著者らは、オーラルフレイルを認知しているかどうかが、そのリスクに及ぼす影響を検討した。 対象は、神奈川県の歯科クリニックを受診または訪問歯科を利用した20歳以上の人で、2020年6月から2021年3月に研究に参加した。オーラルフレイルのリスクを評価し、自記式の質問紙により年齢・性別、居住地域(神奈川県を8つの地域に区分)、運動・喫煙の習慣などを調査。さらに、オーラルフレイルの認知(その意味または言葉を知っているか)、バランスの良い食事を心掛けているか、口の健康を意識しているかどうかを調査した。 オーラルフレイルのリスク評価には、OFI-8(Oral Frailty Index-8)と呼ばれる質問紙が用いられた。OFI-8は、「半年前と比べて硬いものが食べにくくなったか」「お茶や汁物でむせることがあるか」「義歯を使用しているか」などの8項目に、「はい」「いいえ」で回答してもらい、スコア化するもの。合計スコアが4点以上で高リスクと判定される。 その結果、解析対象となった5,051人(平均年齢59.9±18.7歳、女性3,144人)のうち、オーラルフレイルの高リスクと判定されたのは1,418人(28.1%)だった。 また、オーラルフレイルを認知していたのは1,495人(29.6%)にとどまった。高リスク者の割合は、オーラルフレイルを認知していた人では18.7%だったのに対し、認知していなかった人では32.0%に上り、有意な差が認められた。 さらに、オーラルフレイルの認知度が低いのは、男性、高齢の人、川崎市・相模原市の居住者、運動習慣がない人、バランスの良い食事を心掛けていない人、口の健康を意識していない人、オーラルフレイルのリスクが高い人、そして訪問診療の患者だった。 以上から著者らは、「オーラルフレイルのリスクは、オーラルフレイルの認知と有意に関連していた」と結論。認知度が29.6%だったことに関しては、日本歯科医師会が2025年までの目標として設定した「50%」に届いていないと指摘している。また、「驚くべきことに、高リスクの人が若い年齢層にも存在した」と述べ、「今回の研究対象を65歳以上に限定しなかった理由は、若年期からのオーラルフレイル予防対策が重要であることを伝えることだった」と付言している。

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第199回 「想定外を想定せよ」が活きた恵寿総合病院の凄すぎる災害対策

同じテーマが続いて恐縮だが、今回も能登半島地震のことについて触れたいと思う。敢えてこうして連続で触れるのは、ある考えがあってのことだからだ。一言で言うと、「とかく人は熱しやすくて冷めやすいもの」と思っている。これはメディアの世界に身を置いていると痛切に感じることである。ある種の大きな災害が起きると、人は一瞬その情報に釘付けになる。ところが早ければ1ヵ月、長くとも3ヵ月も経つと、たとえどんなに大きな災害であっても当事者以外にとっては他人事になってしまう。もっとも私は大上段から「常に能登半島のことを思え」などと言うつもりは毛頭ない。被災地以外の人が常に被災地のことを考え、心理的に落ち込んでしまえば、世の中は回らない。実はこの事は被災地の人も同じである。それに関連して思い出すのが、東日本大震災の取材中、ある避難所で出会った高齢男性のことだ。ちなみに私にとって災害取材で一番苦手な取材現場が避難所である。あの場所にズケズケ入って「お話聞かせてください」はかなり気が引ける。よく「メディアは無神経に…」と言われることが多いが、被災地で出会うメディア関係者同士の雑談でも「実は自分も苦手で」という人は少なくない。ただ、やはり時間に迫られながらインタビューを取る必要がある時はそうせざるを得ない。しかし、自分にとってはいつまで経っても慣れることはない。避難所取材の時、私が屋内に入る代わりに赴く場所がある。避難所屋外に設置された喫煙所である。そこにはたいてい数人がたむろしている。報道腕章を付けていくと、結構な確率で「あんたらもご苦労さんだね」とそこにいる被災者から声がかかる。それを糸口に会話を始めると、実質的に取材となることが多いのだ。私が時折、思い出す前述の高齢男性もそのような形で出会った。その時の喫煙所には彼しかいなかった。彼は私を見るなり、独り言のように語り始めた。「俺さ、母ちゃん(妻)が津波で流されてしまってさ。んでも、避難所で若い綺麗なボランティアの女の子を見ると、ついそっち見るしな、時間が経てば腹も減るんだよな。兄ちゃん、俺は頭おかしいのかね?」一瞬戸惑ったが、避難所が地元の宮城県だったこともあり、私は地元訛りで次のように返した。「ほだごとねえんでねえの(そんなことないんじゃないの)? 津波のことばっか考えていられねえべさ」男性は一瞬目を丸くした。経験上、地方での災害取材時に被災者は「報道記者=東京の人」のような思い込みがあり、記者が訛りのある言葉を話すとは思っていないのだ。男性は丸くした目を普通に戻して、タバコをもう一度口にして煙を吐きながらこう言った。「んだがもな(そうかもしれない)」発災時ですらその場にいる人は、今起きていることが異常ではないと考えようとする「正常性バイアス」が働くもの。まして発災から時間が経てば、個人差はあっても常に災害の事だけを考えているわけにはいかない。というか、過度に気落ちしないために意図的に考えようとしないことも多い。そして被災地から離れた場所では半ば“忘れてしまう”のも無理はないと思っている。それでも私が再び能登半島地震について触れようとするのは、被災地外の人に防災対策を伝えるためには、まだ記憶が生々しい時期のほうが頭に入りやすいと思うからだ。神野 正博氏が伝える災害に負けない病院経営さて前置きが長くなってしまったが、先日、私が所属する日本医学ジャーナリスト協会で「能登半島地震~災害でも医療を止めない!病院のBCPと地域のBCP」と題して、現地の七尾市にある恵寿総合病院理事長の神野 正博氏にオンライン講演をお願いした。神野氏と言えば、全日本病院協会の副会長でもあり、医療業界では著名人である。あの大地震で426床を有する能登半島唯一の地域医療支援病院である恵寿総合病院も無傷でいられるわけもなく、本館以外に2つある鉄筋コンクリート造の病棟は物品が散乱し、本館と各病棟をつなぐ連絡通路も各所で破損した。断水は講演時点の2月13日時点でも継続中だった。しかし、発災翌日の1月2日には産科での分娩を行い、4日に通常外来、6日に血液浄化センターを再開している。マグニチュード7クラスの地震の被災地で、これが可能だったことは極めて驚くべきことである。そしてその理由は「事業継続マネジメント(BCM)」「事業継続計画(BCP)」を策定し、事前に入念な対策をしていたからだった。神野氏の口から語られた事前対策の肝は「基本は二重化」。具体例を以下に列挙する。本館で免震建築+液状化対策水道と井戸水による上水の二重化2ヵ所の変電所より受電夜間離発着設備も有した屋上ヘリポートも含めて避難経路二重化全国の病院との非常時相互協力協定全国の医療物資物流センター31ヵ所とバックアップ協定免震棟上層階にサーバー室設置震度5以上で自動発信するALSOKの職員安否確認・非常招集システム採用ゼネコン系設備管理会社24時間365日常駐神野氏によると「井戸水は平時に保健所に定期的な水質検査を実施してもらい、水道停止後ただちに井戸水に切り替え、医療用水・生活用水にいつでも利用できるようにしておいた」という念の入れようだ。もっとも120人の透析を行う別棟は、井戸水を上水利用する設備がなく、陸上自衛隊による1日15トンの給水支援を受けて再開にこぎつけている。変電所も北陸電力に依頼し2回線受電をしており、今回、実際に1つの変電所が瞬停して非常用自家発電に切り替わったものの、すぐにもう1つの正常だった変電所からの受電に切り替えて事なきを得ている。また、ゼネコン系設備管理会社24時間365日常駐は一瞬何のことかわからない人もいるかと思うが、この点について神野氏は次のように語った。「常駐者がいることで水道管の破裂などはすぐに復旧した。また、大手ゼネコンなので1月2日にはゼネコンの関係者が駆付け、復旧には大きな役割を果たした。よく病院の経営コンサルタントは、医業収益改善のためにまず清掃会社と設備管理会社をより安価なところに変更することを提案するが、私たちはそういうことは聞かずにやってきて本当に良かったと思っている」このような対策を聞くと、「いったいそのお金はどこから?」との疑問が浮かんでくるだろう。神野氏は「あくまで平時の診療報酬による収益の範囲内で準備をしてきた。災害対策を予算化したのではなく、都度都度、非常時対策を考えてのメンテナンスの一環として行ってきた」という趣旨の発言をした。これについてはかなり頷いてしまった。こうした大規模災害が起こると「いざ災害対策を!」のような掛け声があちこちから挙がる。しかし、人という生き物は概して納得尽くでないとお金は投じられない生き物でもある。災害・防災関連もテーマとする私はこうした大災害発生時に週刊誌などからコメントを求められることが多いのだが、その際にいつも言うことは「どんな小さなことでも良いから思いついたときに思いついたことに手を染め、必ずその点については完遂し、可能ならば日常化する」と伝えている。これだけだと、よくわからない人もいるかもしれないので、具体例を挙げると、自分の場合、災害現場の取材も少なくないので、がれきなどを踏んで負傷することを防止するため、平時から履いている靴には踏み抜き防止インソールを入れっぱなしにしている。たまにそのことを忘れ、空港の金属探知機でブザーが鳴ってしまうこともあるが、これは忘れるほど日常化している証でもある。また、国内の大災害ニュースに接した際、過去2年間を振り返り、破傷風ワクチンを追加接種していない場合は、現場取材に赴くか否かにかかわらず、医療機関に追加接種に行く。これ以外にも行っている対策はいくつかあるがここでは省略しておく。いずれにせよ災害対策とは、それが効果的だったかの答え合わせは、被災時にしかできない無慈悲な世界である。やはり「思い立ったが吉日」なのだと、今回再認識させられている。

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喫煙で男性型脱毛症リスク1.8倍、重症化も

 喫煙は、多くの場合、ニコチンを含むタバコを娯楽として摂取することを指し、男性型脱毛症(AGA)の発症および悪化の危険因子であると考えられている。その関連の程度を調べたメタアナリシスの結果が発表された。カナダ・Mediprobe ResearchのAditya K. Gupta氏らによる本研究の結果はJournal of cosmetic dermatology誌オンライン版2024 年1月4日号に掲載された。 研究者らは2023年8月4日、PubMedで「hair loss(脱毛)、alopecia(脱毛症)、bald(頭髪のない)、androgenetic alopecia(男性型脱毛症)」「tobacco(タバコ)、nicotine(ニコチン)、tobacco smoking(喫煙)」の用語で当てはまる研究を検索、その結果2003~21年に発表された8件の研究が同定された。全研究が観察研究で、症例対照または横断研究であり、対象は男性の現在喫煙者と過去に喫煙経験がある人だった。得られたデータから、男性AGAの発症と重症化(軽度:ステージI-IIIから重度:ステージIV-VII)における喫煙状態(喫煙vs.非喫煙)と喫煙強度(喫煙減少vs.喫煙増加)の影響についてメタ解析を行い、オッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・喫煙経験のある男性は喫煙経験のない男性に比べ、AGAを発症する率が有意に高かった(OR:1.82、95%CI:1.55~2.14)。・1日10本以上喫煙する男性は、1日10本未満の喫煙する男性に比べ、AGA発症する率が有意に高かった(OR:1.96、95%CI:1.17~3.29)。・AGA男性では、喫煙経験のある男性は喫煙経験のない男性に比べ、疾患進行のオッズが有意に高かった(OR:1.27、95%CI:1.01~1.60)。喫煙強度と疾患進行の間には有意な関連は認められなかった。 著者らは、「男性型脱毛症の患者には、喫煙が及ぼす悪影響について教育する必要があるだろう」としている。

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中年期のタンパク質摂取が多いほど、健康寿命が延びる

 世界中で高齢化が進む中、健康寿命を延ばすことが求められており、栄養はその中の重要な要素である。中でもタンパク質は身体の健康維持に大きな役割を果たしているが、中年期にタンパク質を多く摂取した人ほど、疾病なく健康的に加齢する可能性があることが新たな研究でわかった。米国・タフツ大学のAndres V. Ardisson Korat氏らによる本研究の結果はThe American Journal of Clinical Nutrition誌オンライン版2024年1月17日号に掲載された。 研究者らは、Nurses' Health Study(NHS)コホートの女性参加者を対象とし、登録時の年齢が30~55歳の12万1,700人に対し、ベースライン時およびその後2年ごとに追跡調査を実施した。初回調査の回答に不備がなく、ベースライン時に該当疾患のない4万8,762人が対象となった。 調査票から総タンパク質、動物性タンパク質、乳製品タンパク質(動物性タンパク質のサブセット)、植物性タンパク質の摂取量を調べた。「健康的な加齢」は、11の主要な慢性疾患がなく、精神状態が良好で、認知機能または身体機能のいずれにも障害がないことと定義した。ライフスタイル、人口統計学、健康状態を調整した多変量ロジスティック回帰を用いて、健康的な加齢に関連するタンパク質摂取量のオッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を推定した。 主な結果は以下のとおり。・ベースライン時の平均(SD)年齢は48.6(6.3)歳、38.6%がBMI値25以上、22.9%が現在喫煙者、88.2%が既婚者であった。・総タンパク質摂取量の平均値(エネルギー百分率)は18.3%であり、内訳は動物性タンパク質13.3%(うち乳製品タンパク質3.6%)、植物性タンパク質4.9%であった。・3,721/4万8,762人(7.6%)が健康的な加齢の定義に合致した。タンパク質の摂取は、健康的な加齢のORと有意に関連していた。エネルギー3%増加あたりの健康的な加齢のORは、総タンパク質1.05(95%CI:1.01~1.10)、動物性タンパク質1.07(95%CI:1.02~1.11)、乳製品タンパク質1.14(95%CI:1.06~1.23)、植物性タンパク質1.38(95%CI:1.24~1.54)であった。・植物性タンパク質の摂取は、身体機能の制限がないことや精神状態が良好であることのOR上昇とも関連していた。動物性または乳製品タンパク質、炭水化物、または脂肪を植物性タンパク質に同等のカロリーで置き換えた場合、健康的な加齢との有意な正の関連が観察された(3%のエネルギーを植物性タンパク質に置き換えた場合のOR:1.22~1.58)。・主な植物性タンパク源は、パン、野菜、果物、ピザ、シリアル、焼き菓子、マッシュポテト、ナッツ類、豆類、ピーナッツバター、パスタであった。 著者らは、女性看護師の大規模コホートにおいて、中年期の食事からのタンパク質摂取、とくに植物性タンパク質摂取は、健康的な加齢の高いORおよび健康状態のいくつかの領域と関連しているようだ、と結論付けている。

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膵がん患者に合併する静脈血栓塞栓症への対応法【見落とさない!がんの心毒性】第28回

※本症例は、患者さんのプライバシーに配慮し一部改変を加えております。あくまで臨床医学教育の普及を目的とした情報提供であり、すべての症例が類似の症状経過を示すわけではありません。《今回の症例》年齢・性別60代・女性既往歴虫垂炎術後服用歴テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム(ティーエスワン配合OD錠T20)(2錠分2 朝夕食後)、クエン酸第一鉄Na錠50mg(1錠分1 朝食後)、ランソプラゾールOD錠15(1錠分1 朝食後)喫煙歴なし現病歴X年10月に食欲不振と食後嘔吐を主訴に消化器内科を受診した。腹部骨盤部造影CTで十二指腸水平脚の圧排を伴う膵鈎部がんおよび多発肝転移を認め、上部消化管内視鏡で十二指腸水平脚に腫瘍の直接浸潤に伴う潰瘍性病変を認めた(写真1、2)。画像を拡大する進行膵鈎部がん(T4,N1,M1 StageIVb)と診断し、十二指腸ステントを挿入し、同年11月に化学療法(ゲムシタビン[GEM]単剤)を開始した。その後、食欲は改善し、同年12月に退院した。外来で同化学療法計4クールを施行したが、X+1年3月にはPD判定となり、同月よりTS-1単剤での化学療法に変更となった(Performance Status[PS]3)。同年5月に、突然の呼吸困難を主訴に救急外来を受診し、バイタルは体温36.5℃、脈拍数111/分、血圧93/56mmHg、SpO2 94%(室内気)で、左下腿浮腫を認めた。血液検査でDダイマー46μg/mL、BNP 217pg/mLと上昇し、心エコー図検査で右室拡大によるD-shapeを認めた。造影CTで両側肺塞栓症(pulmonary embolism:PE)、両下肢深部静脈血栓症(deep vein thrombosis:DVT)と診断し、入院となった(写真3)。画像を拡大する循環器内科と連携し、入院時Hb 8.3mg/dLと貧血を認めたことから、出血リスクを考慮し、未分画ヘパリン10,000単位/日の低用量で抗凝固療法を開始した。入院2日目に明らかな吐下血は認めなかったものの、Hb 6.7mg/dLと貧血の悪化を認めた。【問題】下記のうち、この患者の静脈血栓塞栓症(venous thromboembolism:VTE)管理の方針や膵がん患者に合併するVTEに関する文章として正しいものはどれか。a.日本において膵がん患者におけるVTE予防目的に、低分子ヘパリン(LMWH)皮下注や直接経口抗凝固薬(DOAC)の予防投与が保険承認されている。b.本症例におけるVTEの初期治療として、DOAC単剤による抗凝固療法がより適切である。c.本症例では抗凝固療法の開始後、貧血の悪化を認めたが、明らかな出血事象が確認されない限り、抗凝固療法は継続すべきである。d.進行膵がんは診断後、3ヵ月以内のVTE発症が多く、定期的なDダイマー測定がVTEの診断に有用である。まとめ膵がん患者では予防的抗凝固療法による生存期間延長の利益について、一定の見解は得られていない。自施設の日本人の膵がん患者432名を対象とした検討では、膵がん診断後の生存期間は、VTE群と非VTE群で有意差はなかった。膵がん自体の予後が不良で、VTEの発症は予後悪化に寄与しない可能性がある5)。しかし、VTEはひとたび発症すると致命的な病態となり得ることや、他臓器のがんではVTE発症により生存期間が短縮するという研究が多いため、今後、膵がん治療・患者管理の進歩により、VTE発症の生命予後への影響が明確化する可能性ある。1)Khorana AA, et al. Cancer. 2013;119:648-655.2)Schunemann HJ, et al. Lancet Haematol. 2020;7:e746-755.3)Wang Y, et al. Hematology. 2020;25:63-70.4)Maraveyas A, et al. Eur J Cancer. 2012;48:1283-1292.5)Suzuki T, et al. Clin Appl Thromb Hemost. 2021;27:1-6.講師紹介

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北海道を舞台にマイクロRNA検査を用いた肺がん前向き観察研究を開始/Craif

 遺伝子調整機能を有し、がんの診断マーカーとして期待されるマイクロRNA(miRNA)1)を活用した肺がんのスクリーニング検査が北海道を舞台に始まる。がんの早期発見に対する次世代検査などを開発する名古屋大学発のベンチャー企業Craifが、北海道大学病院と共同研究契約を締結した。 北海道は広大な土地という条件に加え、過疎と高齢化が進むことで、検診率が全国で最も低い2)。とくに寒さの厳しい冬期は検診受診率が下がる。前向き観察研究を行う地域の1つである岩内地区は、北海道の中で、最も肺がん死亡率の高い地域である。死亡率の高さの理由として、同地区における、高い喫煙率と極端に低い検診受診率が考えられている。 このような背景の中、Craifは2023年2月に、北海道の最先端医療機関等と連携して、がん早期発見に向けたコンソーシアム「CRUSH-Cancer(クラッシュキャンサー)」を設立した。コンソーシアム活動の一環として、医療技術協力を受けている北海道大学と地域医療を担う岩内病院と共に新たなプロジェクトを行う。 プロジェクトの主要な取り組みとして、尿中miRNAをAIで分析するがんリスク検査「マイシグナル・スキャン」を用いた、今回の肺がんスクリーニングの前向き観察研究が行われる。研究では、岩内町、余市町の肺がん高リスク住民(喫煙者など)を対象に、肺がんの診断率を評価する。さらに、追跡調査を行い、肺がんの罹患率や予後に関連する因子を特定する予定。 Craifは「マイシグナル・スキャン」を100セット無償提供する。 研究責任医師である北海道大学病院呼吸器外科の加藤 達哉氏は、「尿中miRNAによる検診法は、自宅でも施行できる尿検査であることから、高齢化・過疎化がさらに進む北海道や日本全体においても、検診活動に革命を起こす可能性があると期待している」と述べる。

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黒砂糖、がん発症を抑制か~J-MICC研究

 黒砂糖にはミネラル、ポリフェノール、ポリコサノールが多く含まれているが、黒砂糖が健康に役立つと評価した疫学研究はほとんどない。今回、鹿児島大学の宮本 楓氏らが、長寿者の割合が比較的高く黒砂糖をおやつにしている奄美群島の住民を対象としたコホート研究を実施したところ、黒砂糖摂取ががん全体、胃がん、乳がんの発症リスク低下と関連することが示された。Asia Pacific Journal of Clinical Nutrition誌2023月12月号に掲載。 本研究は日本多施設共同コホート研究(J-MICC研究)の一環で、黒砂糖摂取と死亡リスクおよびがん発症率の関連を明らかにするために実施された。奄美の一般住民から参加者を募集し、5,004人(男性2,057人、女性2,947人)が参加した。追跡期間中央値13.4年の間に274例が死亡、338例でがんが発症した。糖関連およびその他の変数を調整後、Cox比例ハザードモデルを用いてハザード比(HR)と95%信頼区間を推定した。黒砂糖の摂取頻度により低摂取群(週1回未満)、中摂取群(週1~6回)、高摂取群(1日1回以上)に分け、低摂取群を基準とした中摂取群、高摂取群の各HRとその傾向を評価した。 主な結果は以下のとおり。・交絡因子調整後、男女におけるがん全体と胃がん、女性における乳がんについて、黒砂糖の中摂取群と高摂取群のHRが低く、HRの低下傾向(がん全体:傾向のp=0.001、胃がん:傾向のp=0.017、乳がん:傾向のp=0.035)が認められた。・肺がんは非喫煙者および元喫煙者のみHRの低下傾向がみられた(傾向のp=0.039)。・全死亡、がん死亡、心血管疾患死亡におけるHRの低下は明らかではなかった。

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第69回 傾向スコアマッチング法とは【統計のそこが知りたい!】

第69回 傾向スコアマッチング法とは傾向スコアマッチング法(propensity score matching methods)は、1983年に、ポール・ローゼンバウム(Paul Rosenbaum)とドナルド・ルービン(Donald Rubin)の2人が発表した解析方法です。臨床研究を行う際、目的変数と目的変数に関わる因子についての関係を調査・解析する方法として、単変量解析(1変量解析)と多変量解析(2~3つ以上の変数)があります。変数が2つの場合は2変量解析(相関分析)です。単変量解析とは、目的変数に関わる因子(説明変数または共変量)が1つの場合の解析です。基本統計量(平均値/標準偏差)、t検定、カイ2乗検定、ログランク検定(カプランマイヤー曲線)などがあります。多変量解析とは、説明変数や目的変数が2つ以上ある場合の解析です。たとえば、目的変数が「ある重篤な疾患で手術治療をした患者の生存・死亡」、説明変数が「年齢・性別・BMI・発症から手術までの時間・手術中輸血量」の5因子のような場合です。このように、多変量解析に用いるいくつかの説明変数は目的変数に直接関わるだけではなく、説明変数間同士でも影響し合っている場合が多くあります。これを「交絡因子」と言い、交絡した因子は、しばしば解析の妨げになります。この交絡因子の影響を効果的に取り除くための手法の1つに「傾向スコアマッチング法」があり、近年多く使用される解析法となっています。交絡因子は、調べようとする因子以外の因子で、結果(目的変数)に影響を与えるものであり、交絡因子であるための3つの条件としては、(1)交絡因子は問題となっている目的変数に影響を与える可能性のある因子(2)問題となっている要因(原因)と関係がある(3)問題となっている要因と結果の因果連鎖の中間変数ではないがあります。■事例で探る交絡因子簡単な事例で解説します。健康診断で肝臓機能の検査値の1つにγ-GTPがあります。γ-GTPは肝臓や胆管の細胞がどれくらい壊れたかを示す指標で、検査値が成人男性の場合100(基準は50)を超えると、肝硬変、肝がん、脂肪肝、胆道疾患の可能性があるといわれています。表1のデータは100人の成人男性について、γ-GTP、飲酒量(1ヵ月に飲酒する日数)、喫煙有無、ギャンブル嗜好(7件法)を調べたものです。表1 成人男性100人のγ-GTP、飲酒量、喫煙、ギャンブルの調査データ画像を拡大するそれでは、表1のデータを用いて以下の3つを検証してみましょう。(1)飲酒量はγ-GTPに関係があるかを検証する。(2)喫煙有無はγ-GTPに関係があるかを検証する。(3)ギャンブル嗜好はγ-GTPに無関係であることを検証する。■γ-GTPの2群間の有意差検定γ-GTPの「50以上」を群1=高群、「49以下」を群2=低群として、γ-GTP(2群)のデータを作成しました。1)飲酒量の平均は、高群16.2(日)、低群11.0(日)で高群が低群を5.2ポイント上回った。p値0.0037<0.05より高群は低群に比べ有意に高いといえます。このことから、飲酒量はγ-GTPに関係があることが検証できました。2)喫煙有無において「有り」の割合は、高群45.0%、低群18.3%で高群が低群を26.7ポイント上回った。p値0.0037<0.05より高群は低群に比べ有意に高いといえます。このことから、喫煙有無はγ-GTPに関係があることが検証できました。3)ギャンブル嗜好程度の平均は、高群4.03(点)、低群3.17(点)で高群が低群を0.86ポイント上回った。p値0.0252<0.05より高群は低群に比べ有意に高いといえます。ギャンブル嗜好程度はγ-GTPに無関係と思われていたが関係性があるという結論になりました。■相関分析(表2)(1)飲酒量とγ-GTPとの相関係数は0.6658(p値<0.05)で、飲酒量はγ-GTPへの影響要因といえます。(2)喫煙有無はγ-GTPとの相関係数0.3076(p値<0.05)で、喫煙有無はγ-GTPへの影響要因といえます。※喫煙有無は距離尺度ではないですが、「喫煙しない」を0点、「喫煙する」を1点として距離尺度に変換して相関係数を算出しました。(3)ギャンブル嗜好とγ-GTPとの相関係数は0.3580(p値<0.05)で、ギャンブル嗜好はγ-GTPへの影響要因といえます。表2 表1データの相関分析表相関関係を図1に示します。図1 変数の相関関係「γ-GTPとギャンブル嗜好」の相関は0.36、「γ-GTPと喫煙有無」は0.31で前者の方が高い。ギャンブル嗜好の方が喫煙有無より、γ-GTPに影響度が高いといえるでしょうか?「喫煙有無とギャンブル嗜好」の相関は0.37、「飲酒量とギャンブル嗜好」の相関は0.30でどちらも相関関係がみられ、喫煙する人、飲酒量が多い人ほどギャンブル嗜好程度が高いといえます。ギャンブル好きだからγ-GTPが高いのではなく、ギャンブル好きは喫煙し、飲酒量が多いからγ-GTPが高いと推察できます。「γ-GTPとギャンブル嗜好」の相関0.36は見かけの相関といい、「γ-GTPとギャンブル嗜好」の真の関係は喫煙有無や飲酒量の影響を除去したものでなければなりません。このような真の関係を把握する方法の1つに、傾向スコアマッチング分析があります。■傾向スコアマッチング分析とは高群は多量飲酒者や喫煙者が多く、低群は少量飲酒者や非喫煙者が多い。このような状況でギャンブル嗜好程度の平均について高群と低群を比較すれば「ギャンブル嗜好と飲酒量や喫煙は相関関係がある」ので、ギャンブル嗜好の程度は高群の方が低群より高くなるのは当然の結果となってしまいます(表3)。表3 高群と低群の比較と平均のまとめギャンブル嗜好程度の平均を高群と低群で比較する際、両群の飲酒量や喫煙有無が同等であれば真の比較ができるようになります。すなわち、高群と低群で飲酒量や喫煙有無が似ているサンプルだけを取り出して比較すればよいわけです。具体的には両群から似ている要素を持つデータをみつけてペアにすることです。※統計学において異なるサンプルで,似ている要素(交絡因子)をもつデータをみつけてペアにすることを「マッチング」と言います。14人について、飲酒量・喫煙有無から各サンプルがγ-GTP高群となる確率を求めてみましょう(表4)。両群から確率が似ている(同じ)サンプルをみつけてペアにします。高群6人、低群8人においてペアは3人である。選ばれた3人は、「飲酒量・喫煙有無」の状況(傾向)が似ている人であるということになります。確率を「傾向スコア」と言います。同じような傾向を持つ人をペアにする方法を「傾向スコアマッチング」と言います。表4 事例の傾向スコアマッチングの結果傾向スコアは,目的変数を高群=1,低群=0、説明変数を交絡因子である飲酒量、喫煙有無にしてロジスティック回帰を行うことで求められます。ロジスティック回帰で導かれる各サンプルの判別スコアを傾向スコアとします。マッチングされたペアデータについて、検証したい原因項目(具体例はギャンブル嗜好程度)と目的変数(γ-GTP)について相関検定や有意差検定を行います。交絡因子の傾向スコアでマッチングしペアを見つけ、ペアデータについて目的変数と原因変数の関係を検証する方法を「傾向スコアマッチング分析」と言います(図2)。図2 傾向スコアマッチング分析の整理■さらに学習を進めたい人にお薦めのコンテンツ「わかる統計教室」第4回 ギモンを解決! 一問一答質問9 多変量解析を学ぶ前に知っておくべき統計の基礎を教えてください(その1)質問9(続き) 多変量解析を学ぶ前に知っておくべき統計の基礎を教えてください(その2)質問11 多変量解析とは何か?(その1)質問11 多変量解析とは何か?(その2)

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アンドロゲン遮断療法後に狭心症を発症した症例【見落とさない!がんの心毒性】第27回

※本症例は、実臨床のエピソードに基づく架空のモデル症例です。あくまで臨床医学教育の普及を目的とした情報提供であり、すべての症例が類似の症状経過を示すわけではありません。《今回の症例》年齢・性別70代・男性主訴ECG異常、NT-proBNP高値既往歴高血圧症、糖尿病、脂質異常症、喫煙歴(+)、飲酒歴(-)家族歴父親:大腸がん、母親:狭心症現病歴X-9年の人間ドック受診時にPSA上昇を指摘されたため精査目的で泌尿器科を受診、前立腺生検を施行した。初回ならびに2回目(X-7年)の生検では陰性であったが、X-5年のドック検査でPSAがさらに上昇したことからMRI検査ならびに3回目の生検を施行し、前立腺がんと診断された。がん治療はアンドロゲン遮断療法(androgen deprivation therapy:ADT)と放射線の併用療法が選択された。X-5年3月から同年12月まで第一世代抗アンドロゲン薬が投与され、X-5年4月からX-4年6月までGnRHアゴニストが併用された。さらに、放射線療法(78Gy)をX-5年10~12月まで施行された。その結果、PSAは正常化した。がん治療終了後に心臓CT検査を施行したが、冠動脈に有意な狭窄は認めなかった。その後、泌尿器科の定期的な受診とかかりつけ医で生活習慣病の治療を受けており、引き続き年1回の人間ドックは当院を受診していた。X年に受診した人間ドックで運動負荷試験陽性(図1)、NT-pro BNP高値を指摘された。胸痛などの自覚症状は認めなかったが糖尿病などのリスク因子を有しており、虚血性心疾患の合併を疑い、精査加療目的で循環器内科を紹介し受診された。(図1)X年の人間ドックでの運動負荷心電図試験(マスターダブル負荷)画像を拡大するX年に受診した人間ドック時運動負荷心電図ではV4-V6でST低下を認め、NT-proBNP 152pg/mLの上昇を認めた。本例は、前立腺がん治療終了後に心臓CT検査が施行されるも、冠動脈に有意狭窄は認められず、前年までの運動負荷心電図所見の異常はなかった。心電図変化は比較的軽く、自覚症状も認めなかったが、高齢かつ複数の動脈硬化危険因子を有していたこと、ADTを施行されていたことから心血管疾患の合併を疑い精査を行った。循環器専門病院で施行した冠動脈造影検査では左冠動脈#7に75~90%狭窄を認めたため、同部位に冠動脈形成術(ステント留置術)を施行した。【問題】本症例の治療に際して注意する点として、適切な答えを選択せよ。a.前立腺がん症例の多くは、治療前より高齢、高血圧症、糖尿病、脂質異常症、喫煙などの心血管リスクを複数有している事が多く、がん治療を施行する際には心血管毒性に対する注意が必要である。b.ADTの施行後は肥満症、糖尿病、脂質異常症を来すことがあり、その後の動脈硬化症や冠動脈疾患の発症に注意が必要である。c.症候性冠動脈疾患の既往を有する症例に対し、ADTを施行する際には、心血管リスクの有無を考慮したがん治療薬の選択が重要である。d.ADTにおける筋肉系合併症としてはサルコペニア・運動耐容能の低下、骨関連合併症としては骨粗鬆症・骨折などを認めることがあるので注意を要する。e.すべて正しい1)Studer UE, et al. J Clin Oncol. 2006;24:1868–1876.2)Calais da Silva FE, et al. Eur Urol. 2009;55:1269–1277.3)Weiner AB, et al. Cancer. 2021;127:2895-2904.4)Klimis H, et al. J Am Coll Cardiol CardioOnc. 2023;5:70-81.5)Narayan V, et al. J Am Coll Cardiol CardioOnc. 2021;3:737-741.6)Chen DY, et al. Prostate. 2021;81:902-912.7)Okwuosa TM, et al. Circulation. 2021;14:e000082.8)Lyon AR, et al. Eur Heart J. 2022;432:4229-4361.講師紹介

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フレイルを考える【Dr. 中島の 新・徒然草】(508)

五百八の段 フレイルを考える急に風が冷たくなりました。外は人が歩いていないし、道路の脇の木は坊主だし。すっかり年末年始の風景になってしまいました。さて、先日に当院であったのが「おおさか健康セミナー」という市民講座です。テーマはフレイルで、その最初に私がしゃべることになっていました。担当の師長さんに言われて仰天したのですが、実は半年前に依頼されていたのです。でも、そんな昔のことは忘れていますよね、普通は。「フレイルのことなんて何も知らないのに、よくも安請け合いしたもんだ」と半年前の自分に呆れてしまいます。が、引き受けた以上、市民の皆さんに有難いお話をするしかありません。というわけでまずは勉強です。その結果、自分なりの結論に達しました。フレイルというのは、いわゆる「生老病死」という四苦のうちの「老」ではないかということです。これまで、われわれ医師はもっぱら「病」を相手にしてきました。でも、いつのまにか「病」だけでなく「老」も相手にすることになったのではないでしょうか。「病」と「老」は似ているので、なかなか区別が付きません。でも、例を挙げるとわかりやすい気がします。つまり、病脳梗塞、心筋梗塞、透析、喘息、がん、リウマチ、肺炎など老腰が痛い、目が見えにくい、おしっこが近い、眠れない、耳が遠い、ふらつく、物忘れするといったところでしょうか。「老」で挙げた症状はすべて「年のせいだよ!」で片付けられそうですね。でも、われわれ医師も、これらの症状に真面目に取り組む時代になったといえましょう。おおさか健康セミナーでは、管理栄養士さんや理学療法士さんの講演もありました。フレイル予防のための栄養や運動は彼らに任せるとなると、私の話は物忘れ対策が中心になります。私自身も物忘れが気になる年齢なので、自分自身の工夫を伝授しました。カメラ機能や録音機能を利用して、忘れそうなことはスマホに記憶させておく。なるべく物を捨てて、シンプル・ライフを心掛ける。年を取っても新しいことを勉強する。などですね。講演後の質疑応答では「認知症を予防する生活習慣はどうすればいいですか」という直球が来ました。中島「まずは喫煙をやめ、飲酒をほどほどにしましょう」聴衆「そんなことは当たり前やないか!」さすが、大阪の高齢者は元気ですね。中島「わかっておられるのであれば、あとは実行あるのみですよ」さらに付け加えました。認知症というは、多かれ少なかれ、血管性の要素があるのではないかと私は思っているからです。中島「血圧や血糖、コレステロールに注意して、動脈硬化を予防しましょう」当たり前のことの羅列なのですが、皆さん感心して聴いておられます。中島「歩くというのは血圧にも血糖にも効果があります」そして私が最も言いたいこと。中島「薬の副作用で物忘れが出ることがありますからね。ご自分の服用している薬の効果と副作用を必ずチェックしておきましょう」これができている人が少ないですね。後発品全盛の昨今、コロコロ変わる薬品名を覚えるのすら至難の業なのかもしれません。ということで、盛況だったおおさか健康セミナー。管理栄養士さんや理学療法士さんの話を聴くことによって、自らも勉強になった1日でした。最後に1句フレイルに 歩いて打ち勝つ 冬日向

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潰瘍性大腸炎リスクがコーヒーや炭酸飲料の摂取で減少/日本人での研究

 食事は潰瘍性大腸炎リスクに影響する可能性があるが、日本人でのエビデンスは乏しい。今回、日本潰瘍性大腸炎研究グループが、コーヒーやその他のカフェインを含む飲料・食品の摂取、カフェインの総摂取量と潰瘍性大腸炎リスクとの関連を症例対照研究で検討した。その結果、欧米よりコーヒーの摂取量が少ない日本においても、コーヒーやカフェインの摂取が潰瘍性大腸炎リスクの低下と関連することが示された。愛媛大学の田中 景子氏らがJournal of Gastroenterology and Hepatology誌オンライン版2023年12月10日号で報告。潰瘍性大腸炎リスクはカフェインの総摂取量と逆相関 本研究では、潰瘍性大腸炎の症例群として384人、対照群として665人が参加した。コーヒー、カフェインレスコーヒー、紅茶、緑茶、ウーロン茶、炭酸飲料、チョコレート菓子の摂取量について半定量的食物摂取頻度調査票を用いて調査し、性別、年齢、喫煙、飲酒量、虫垂炎既往、潰瘍性大腸炎の家族歴、学歴、BMI、ビタミンC、レチノール、総エネルギー摂取量で調整した。なお、本研究は厚生労働科学研究費補助金の「潰瘍性大腸炎の発症関連及び予防要因解明を目的とした症例対照研究」班として実施された。 コーヒーやその他のカフェインを含む飲料・食品の摂取、カフェインの総摂取量と潰瘍性大腸炎リスクとの関連を検討した主な結果は以下のとおり。・コーヒーと炭酸飲料の摂取量が多いほど潰瘍性大腸炎リスクが減少し、有意な用量反応関係が認められた。一方、チョコレート菓子の摂取量が多いほど潰瘍性大腸炎リスクが有意に高かった。・カフェインレスコーヒー、紅茶、緑茶、ウーロン茶の摂取量と潰瘍性大腸炎リスクとの関連は認められなかった。・カフェインの総摂取量は潰瘍性大腸炎リスクと逆相関し、両極の四分位間の調整オッズ比は0.44(95%信頼区間:0.29~0.67)であった。

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統合失調症患者に対する心血管リスク最適化プログラム

 心血管疾患は、統合失調症患者の早期死亡の主な原因の1つである。関連する修正可能なリスク因子には、不健全なライフスタイル、薬剤性副作用、身体的併存疾患などが含まれる。スペイン・ビック大学のNuria Riera-Molist氏らは、統合失調症患者の心血管リスク(CVR)低下のための6ヵ月間にわたる多因子CVR介入の有効性を評価する目的で本研究を実施した。その結果、患者中心の多因子CVR介入は統合失調症患者の6ヵ月後のCVRを改善し、それは主に脂質プロファイルの改善によりもたらされていたという。Journal of Psychiatric Practice誌2023年11月1日号の報告。 地域の精神保健センターにおいて、2群間並行ランダム化臨床試験を実施した。1つ以上のCVR因子(高血圧、糖尿病、高コレステロール血症、喫煙)のマネジメントが不十分な統合失調症患者46例を、介入群または対照群にランダムに割り付けた。介入群では、健康的なライフスタイルの促進、CVR因子の薬理学的管理、向精神薬の最適化、動機付けフォローアップなどの患者中心のアプローチ(心血管リスク最適化プログラム[Programa d'optimitzacio del RISc CArdiovascular:PRISCA])を行った。主要アウトカムは、両群のベースライン時と比較した6ヵ月後のCVRの変化とし、Framingham-REGICOR関数を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・対象患者は、介入群23例、対照群23例にランダムに割り付けられた。・ベースライン時に最も高頻度で認められたCVR因子は、高コレステロール血症(84.8%)であり、次いで喫煙(39.1%)であった。・介入群では、6ヵ月後のREGICORスコアの有意な低下が認められたが(相対リスクの低減率:20.9%)、対照群では有意な変化が認められなかった。 【介入群】REGICORスコア:-0.96%、95%信頼区間(CI):-1.60~-0.32、p=0.011 【対象群】REGICORスコア:0.21%、95%CI:-0.47~0.89、p=0.706・介入群では、LDLコレステロールの有意な低下も確認された(-27.14mg/dL、95%CI:-46.28~-8.00、p=0.008)。

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ソーシャルメディアの使用、健康に及ぼす影響とは/BMJ

 ソーシャルメディアの利用は、若年層において、好ましくない健康リスク行動と関連しており、なかでも健康リスク行動を表示する情報内容は、不健康な食生活やアルコール摂取と強く関連することが、英国・グラスゴー大学のAmrit Kaur Purba氏らの調査で明らかとなった。研究の成果は、BMJ誌2023年11月29日号で報告された。10~19歳を対象としたメタ解析 研究グループは、年齢10~19歳の青少年におけるソーシャルメディアの利用と健康リスク行動との関連を評価する目的で、系統的レビューとメタ解析を行った(英国医学研究審議会[MRC]などの助成を受けた)。 1997年1月1日~2022年6月6日に医学関連データベースに登録された文献を検索した。健康リスク行動は、アルコール・薬物・タバコ・電子式ニコチン供給システム(いわゆる電子タバコ)の使用、不健康な食生活、不十分な身体活動、ギャンブル、反社会的行動、性的リスクのある行動、複数のリスク行動と定義した。 解析の対象とした論文は、ソーシャルメディア変数(利用時間[1日当たりの時間など]、使用頻度[日/週当たり、日常的に使用など]、健康リスク行動の内容を含む情報[例:Facebook上のアルコールの広告など]への曝露、その他のソーシャルメディア活動[オンラインプレゼンスの管理や方策など])および1つ以上の関連アウトカムを報告している研究とした。 126編の論文についてレビューし、73編をメタ解析に含めた。最終的に143万1,534人(平均年齢15.0歳)の青少年を解析の対象とした。使用頻度が高いと、多くの健康リスク行動と関連 メタ解析を含まない統合解析では、63.6%の研究がソーシャルメディアと不十分な身体活動には有益な関連を認めたと報告していたが、これを除いた場合、ほとんどの研究でソーシャルメディアと健康リスク行動には有害な関連があることが示された。 ソーシャルメディアの使用頻度が低い場合と比較して、高い場合に増加していた有害な健康リスク行動として、アルコール摂取(オッズ比[OR]:1.48、95%信頼区間[CI]:1.35~1.62、解析対象者数38万3,068人)、薬物使用(1.28、1.05~1.56、11万7,646人)、喫煙(1.85、1.49~2.30、42万4,326人)、性的リスク行動(1.77、1.48~2.12、4万7,280人)、反社会的行動(1.73、1.44~2.06、5万4,993人)、複数のリスク行動(1.75、1.30~2.35、4万3,571人)、ギャンブル(2.84、2.04~3.97、2万6,537人)が挙げられた。 ソーシャルメディア上で健康リスク行動を見せる情報内容への曝露がない場合と比較して、このような曝露がある場合にオッズが上昇していた有害な健康リスク行動として、電子式ニコチン供給システムの使用(OR:1.73、95%CI:1.34~2.23、解析対象者数72万1,322人)、不健康な食生活(2.48、2.08~2.97、9,892人)、アルコール摂取(2.43、1.25~4.71、1万4,731人)を認めた。利用者作成の情報、2時間以上の利用で、アルコール摂取が増加 アルコール摂取については、マーケティング担当者が作成したソーシャルメディアの情報内容(OR:2.12、95%CI:1.06~4.24)と比較して、利用者が作成した情報内容(3.21、2.37~4.33)に曝露した場合に、より強力な関連が確認された。 また、ソーシャルメディアの利用時間については、1日2時間未満の場合と比較して、2時間以上ではアルコール摂取のオッズが高かった(OR:2.12、95%CI:1.53~2.95、解析対象者数1万2,390人)。 GRADEによるエビデンスの確実性の解析では、不健康な食生活は「中」、アルコール摂取は「低」、その他のアウトカムは「非常に低」であった。 著者は、「今後は、因果関係を立証し、健康格差への影響を解明し、ソーシャルメディアのどの側面が最も有害かを明らかにするために、さらに質の高い研究を進める必要がある」とし、「本研究の知見は、主に横断研究に基づくもので、ソーシャルメディアの利用に関する自己報告による測定値を使用しており、未調整の多くの交絡因子による交絡が残存している可能性がある」と指摘している。

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若~中年での高血圧、大腸がん死亡リスクが増加~NIPPON DATA80

 高血圧とがんリスクとの関連についての報告は一貫していない。今回、岡山大学の久松 隆史氏らが、日本人の前向きコホートNIPPON DATA80において、高血圧と胃がん、肺がん、大腸がん、肝がん、膵がんによる死亡リスクとの関連を調査したところ、30~49歳における高血圧は、後年における大腸がん死亡リスクと独立して関連していることがわかった。Hypertension Research誌オンライン版2023年11月22日号に掲載。高血圧は大腸がん死亡リスクと正の関連 研究グループは、NIPPON DATA80(厚生労働省の循環器疾患基礎調査)において、ベースライン時に心血管系疾患や降圧薬服用のなかった8,088人(平均年齢48.2歳、女性56.0%)を2009年まで追跡。喫煙、飲酒、肥満、糖尿病などの交絡因子で調整したFine-Gray競合リスク回帰を用いて、血圧が10mmHg上昇した場合のハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を推定した。逆の因果関係を考慮し、追跡開始後5年以内の死亡を除外して解析した。 高血圧と胃がん、肺がん、大腸がん、肝がん、膵がんによる死亡リスクとの関連を調査した主な結果は以下のとおり。・29年の追跡期間中に、胃がんで159人(2.0%)、肺がんで159人(2.0%)、大腸がんで89人(1.1%)、肝臓がんで86人(1.1%)、膵臓がんで68人(0.8%)が死亡した。・高血圧は大腸がん死亡リスクと正の関連を認めたが、他のがんによる死亡リスクとは関連を認めなかった。・収縮期および拡張期血圧と大腸がん死亡率の関連は30~49歳で明らかだった(収縮期血圧におけるHR:1.43、95%CI:1.22~1.67、拡張期血圧におけるHR:1.86、95%CI:1.32~2.62)が、50~59歳および60歳以上では認められなかった(収縮期および拡張期血圧における年齢交互作用のp<0.01)。・これらの関連は、喫煙、飲酒、肥満、糖尿病の有無で層別化した解析でも同様にみられた。

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医師数が少なく検査機器数が多い日本の医療/OECD

 経済協力開発機構(OECD/本部:フランス・パリ)から加盟38ヵ国に関する医療レポートが、11月7日に公表された。レポートでは、新型コロナ感染症(COVID-19)が与えた各国への影響のほか、医療費、医療の質などに関する内容が記載されている。わが国は、平均寿命はOECDの中で84.5歳と1番長いが、受診率の多さ、医師数、電子化の遅れなど他の国との差もあり、今後の課題も提示されている。 以下に概要を示す。【COVID-19禍での国民の健康状態について】・2020~22年のCOVID-19での10万人当たり死亡率は、ノルウェー、インドが同順で38人、ニュージーランドが45人、わが国が46人と4番目に低かった。・2020年は平均余命が伸びた半面、21年は0.1歳短くなった。・COVID-19初期(2020年)には17%の人がうつの症状を訴えていた。・自殺者は2020年に10万人当たり15.4人だった(参考:2019年14.6人)。【医療支出の現状と今後について】・2022年または直近年のGDPに占める医療支出の割合は、アメリカの16.6%、ドイツの12.7%、フランスの12.1%に次いで、わが国は11.5%と4番目に多かった。・2021年の政府支出に占める公的医療費支出の割合は、わが国が22%と1番高く、アメリカ、イギリス、アイルランドが21%と続いた。・2021年の受診回数は、韓国15.7回が1番多く、わが国は11.1回と2番目に多く、スロバキアが11.0回と続いた。OECDの平均受診回数は6.0回だった。・2021年の高齢化率は、65歳以上の人口割合で、わが国は28.9%と1番高く、次いでイタリアの23.6%、ギリシャの22.8%と続いた。OECDの高齢者割合の平均は18.0%だった。【医療資源の活用について】・2021年の1,000人当たりの病床数は、韓国の12.8床が1番多く、次いでわが国の12.6床、ブルガリアの7.9床と続いた。OECDの平均病床数は4.3床だった。・2021年の病院支出における内訳では、OECDの平均では入院が64%、日帰りが6%、外来が24%、介護が3%、その他が3%だった。これに対しわが国は、入院が63%、日帰りが1%、外来が23%、介護が10%、その他が3%と介護の割合が高かった。・2021年の平均在院日数は、韓国が18.5日と1番多く、次いでわが国が16.0日、ハンガリーが9.7日と続いた。OECDの平均在院日数は7.7日だった。・2019年または直近年の人口100万人当たりのCT、MRIなどの医療機器数は、わが国が1番多く178台、次いでオーストラリアが88台、アメリカが86台と続いた。OECDの平均医療機器台数は48台だった。・2021年の医師数は、1,000人当たりでギリシャが1番多く6.3人、次いでポルトガルの5.6人、オーストリアが5.4人と続いた。わが国は5番目に少なく2.6人だった。また、OECDの平均医師数は3.7人だった。【予防医療について】・2021年または直近年の喫煙率を男女合わせた数字でみると、インドネシアが1番多く33%、次いでブルガリアが29%、トルコが28%と続いた。わが国は男性27%、女性8%で、OECDの平均喫煙率は、男性20%、女性12%だった。・2021年または直近年の乳がん検診率(50~69歳女性)は、デンマークが1番多く83%、次いでフィンランドとポルトガルが82%と続き、わが国は45%だった。OECDの平均受診率は54%だった。【医療へのアクセスとデジタル化について】・2021年または直近年の医療での自己負担額割合は、トルコとクロアチアが1番低く1.4%、次いでコロンビアが1.7%と続き、わが国は2.4%だった。OECDの平均の医療での自己負担額割合は3.3%だった。・2021年の開業クリニックにおける電子カルテ利用率は、クロアチアが1番低く3%、次いでポーランドとスイスが30%と続き、わが国は42%と5番目に低かった。OECDの平均開業クリニックにおける電子カルテ利用率は93%で、欧米、とくに北欧の利用率はほぼ100%だった。

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アルコール依存症やニコチン依存症と死亡リスク

 一般集団を対象とした、アルコール依存症とニコチン依存症の併発とその後の死亡リスクとの関連についての知見は、不十分である。ドイツ・グライフスヴァルト大学のUlrich John氏らは、死亡率の予測における、過剰な飲酒、喫煙、アルコール依存症、ニコチン依存症、起床してから最初に喫煙するまでの時間との潜在的な関連性を分析した。その結果から、過剰な飲酒、喫煙、アルコール依存症、ニコチン依存症、起床してから最初に喫煙するまでの時間は、死亡するまでの期間に累積的な影響を及ぼす可能性が示唆された。European Addiction Research誌オンライン版2023年10月26日号の報告。 対象サンプルは、18~64歳のドイツ北部在住の一般集団よりランダムに抽出した。1996~97年における過剰な飲酒、喫煙、アルコール依存症、ニコチン依存症、起床してから最初に喫煙するまでの時間を、Munich-Composite International Diagnostic Interviewを用いて評価した。すべての原因による死亡率に関するデータは、2017~18年に収集し、分析には、Cox比例ハザードモデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・過剰な飲酒、喫煙、アルコール依存症、ニコチン依存症、起床してから最初に喫煙するまでの時間は相互に関連しており、死亡までの期間の予測因子であることが示唆された。・アルコール依存症歴のある人の29.59%は、現在ニコチン依存症であった。・アルコール依存症歴があり、現在起床してから30分以内に最初の喫煙を行う人は、アルコール消費量の少ない非喫煙者と比較し、早期死亡のハザード比が5.28(95%信頼区間[CI]:3.33~8.38)であった。 結果を踏まえ、著者らは「死亡リスクを低減させるためには、依存症からの寛解支援に加え、非依存者に対しても高リスクの飲酒や喫煙をやめるように支援することが、有益である」としている。

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大腸がんの新しい非侵襲的検査、便潜血より良好な検出感度/JAMA

 マルチターゲット便中RNA(mt-sRNA)検査(ColoSense)は、大腸がんおよび進行腺腫の検出感度が高く、従来の免疫便潜血検査(FIT)と比較し感度を有意に改善することが認められた。また、大腸内視鏡検査で病変が認められない特異度は、既存の非侵襲的な分子スクリーニング検査と同等であった。米国・ワシントン大学のErica K. Barnell氏らが、医療機器クラスIIIとしての承認申請を行うために、平均的リスクの45歳以上を対象に実施された盲検化第III相試験「CRC-PREVENT試験」の結果を報告した。JAMA誌2023年11月14日号掲載の報告。分散型臨床試験により約1.4万人を登録、8,920例を解析 研究グループは、オンラインのソーシャルメディアを用いて参加者の募集活動を行い、2021年6月~2022年6月の間に、米国の49州において分散型ナースコールセンターを介し、平均的な大腸がんのリスクがある45歳以上の計1万4,263例を登録した。 登録された参加者には便検体採取キットを提供し、便検体採取後72時間以内に採取キットを中央検査施設に送付してもらい、その後、地域の内視鏡センターで大腸内視鏡検査を受けてもらった(内視鏡医は盲検下で検査を実施)。 便検体は、従来FIT、便中の8種類のRNA転写物濃度、および自己報告の喫煙状況を組み込んだmt-sRNA検査を行い、結果(陽性または陰性)を判定した。 主要アウトカムは、大腸がんおよび進行腺腫の検出に対するmt-sRNA検査の感度、および大腸内視鏡検査で病変が認められない場合の特異度とした。 登録された1万4,263例のうち、mt-sRNA検査および大腸内視鏡検査をいずれも完遂し、適格であった8,920例が解析対象となった。mt-sRNA検査の大腸がん検出感度は94.4%、特異度は87.9% 8,920例(平均年齢55歳[年齢範囲:45~90]、女性60%、アジア系4%、黒人11%、ヒスパニック系7%)のうち、36例(0.40%)に大腸がん、606例(6.8%)に進行腺腫が認められた。 mt-sRNA検査の大腸がん検出感度は94.4%(95%信頼区間[CI]:81~99)、進行腺腫検出感度は45.9%(95%CI:42~50)、大腸内視鏡検査で病変が認められない場合の特異度は87.9%(95%CI:87~89)であった。 mt-sRNA検査はFITと比較し、大腸がん(94.4% vs.77.8%、McNemarのp=0.01)および進行腺腫(45.9% vs.28.9%、McNemarのp<0.001)の感度が有意に高かった。

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