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乳がん術後化学療法後の骨髄新生物リスク

 早期乳がんに対する第1世代の術後補助化学療法による試験では、骨髄異形成症候群または急性骨髄性白血病の8年累積発症率は0.27%であった。しかし、フォローアップが十分になされていなかったため、その後の治療関連骨髄新生物のリスクを過小評価している可能性がある。今回、米国ジョンズ・ホプキンス大学シドニー・キメル総合がんセンターのAntonio C. Wolff氏らが、全米総合がん情報ネットワーク(NCCN)乳がんデータベースを用いた早期乳がんの大規模コホートで、骨髄新生物の発症頻度を調査した結果をJournal of clinical oncology誌オンライン版2014年12月22日号に報告した。 対象は、1998~2007年に米国の大学病院で治療を受けたステージI~IIIの乳がん患者2万63例。本研究の結果、放射線療法と術後補助化学療法の両方もしくはどちらかの治療における骨髄新生物発症リスクは低かったものの、以前の結果より高く、5年を過ぎても増加し続けた。著者らは「個人における骨髄新生物リスクと術後補助化学療法による絶対的生存ベネフィットとのバランスを考える必要がある」と指摘している。 主な結果は以下のとおり。・50例が乳がん治療後に骨髄新生物(骨髄性42例、リンパ球性8例)を発症した(追跡期間中央値:5.1年)。・骨髄新生物を発症した患者は、発症しなかった患者と比べて、がんのステージ分布、人種、化学療法は同様であったが、年齢が高かった(年齢中央値:59.1歳対53.9歳、p=0.03)。・骨髄新生物の発症リスクは、化学療法未実施と比べて、手術+化学療法(HR:6.8、95%CI:1.3~36.1)および手術+化学療法+放射線療法(HR:7.6、95%CI:1.6~35.8)で有意に増加した。・1,000人年あたりの骨髄新生物の割合は、0.16(手術)、0.43(手術+放射線療法)、0.46(手術+化学療法)、および0.54(3療法すべて)であった。・骨髄新生物の累積発生率は、5年目から10年目までに倍増(0.24%→0.48%)し、10年時点で患者の9%が生存していた。

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サン・アントニオ乳癌シンポジウム2014〔会員聴講レポート〕

米国テキサス州サン・アントニオにて第36回サン・アントニオ乳癌シンポジウム2014が開催された。ケアネットでは、幅広く、実用的な情報をニュートラルに提供するため、ケアネット会員の現役ドクターによるシンポジウム聴講レポートを企画した。乳がん診療に携わる医療者の先生方に、現在そして今後の乳がん診療トレンドを紹介する。レポーター本年は、12月9日から13日までの間に開催された。昨年と違って、気候はとても暖かく、とても過ごしやすかったが、会場内は相変わらず冷えていた。今回目立ったのは、がん免疫、intratumoral heterogeneityと治療効果、胚細胞変異に関するものであった。普段基礎的な勉強をしていない私には癌免疫はとても難しく、とりあえず耳学問として慣れておく程度が関の山であった。intratumoral heterogeneityに関するものも口演やポスターディスカッションで取り上げられ、治療効果との関連についても報告があったが、今後さらに検討を要するように思えた。胚細胞変異はBRCA のみならず、複数の遺伝子を検索し、戦略を考える試みが海外ではすでに実臨床で応用されており、本邦は臨床的に完全に取り残されたようである。さらに、化学療法の効果との関連も注目されるようになってきており、きわめて基本的な遺伝カウンセリングとBRCA検査を、とりあえずは一刻も早く本邦で標準化させる必要性をあらためて感じた。いずれも次世代シークエンサーなどの技術が、研究と実臨床を加速させている。レポート一覧

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S3-08. Randomized comparison of adjuvant tamoxifen (T) plus ovarian function suppression (OFS) versus tamoxifen in premenopausal women with hormone receptor-positive (HR+) early breast cancer (BC): Analysis of the SOFT trial(Francis PA, Switzerland)

ホルモン受容体陽性早期乳がんをもつ閉経前女性におけるタモキシフェン+卵巣機能抑制対タモキシフェンの無作為化比較:SOFT試験の分析本試験の副次的評価項目であるT+OFS(卵巣機能抑制)対EXE+OFSの中間解析結果についてはASCO2014の際に報告した(ASCO2014レポート:ホルモン受容体陽性早期乳がんをもつ閉経前女性におけるエキセメスタン+卵巣機能抑制対タモキシフェン+卵巣機能抑制の無作為化比較:IBCSG TEXTとSOFT試験の結合解析。今回はTAM+OFS対TAMの比較(図1)であり、われわれが長年知りたかった部分である。TにLHRHaを加えることの有用性は術後補助療法としてはいまだ証明されておらず、16試験、1万1,906例の患者を解析したメタアナリシス(Lancet. 2007; 369: 1711-1723.)をみても、40歳以下の若年性乳がんで他の化学療法を行った場合にのみ、上乗せ効果が認められていた。しかし、レトロスペクティブな解析(Eur J Cancer. 1998; 34: 632-640,Eur J Cancer. 2000; 36: 43-48.)で示されたごとく、化学療法で無月経となったほうがそうでない場合より予後がよいというデータから、TAMにLHRHaを上乗せする医師も本邦では多かったと思われる。【図1】図1を拡大する本解析の内容は発表とほぼ同時に論文化されている(Francis PA, et al. N Engl J Med. 2014 Dec 11)が、学会発表内容とほぼ同じである。主要評価項目はDFS、対側浸潤性乳がん、他のがん、がん以外での死亡である。化学療法の有無と、リンパ節転移の有無で層別化し、intention-to-treat解析を行っている。オリジナルプランは783イベント後の解析でHR=0.75(α≡0.0167)を検出するための3群比較であったが、登録されたのはより高齢、低リスクであり、予想されたよりDFSが良かった。そのため、2011年にプロトコールが改訂され、プライマリー解析はT+OFS vs Tであり、少なくとも中央値5年のフォローアップの後に行った。HR=0.665で80%の検出力(両側α=0.05)で186のDFSイベントが予測された。化学療法はより若く、リンパ節転移あり、腫瘍径2cm以上、グレード2以上で多かった。中央値5.6年のフォローアップでDFSイベントは299、死亡は106(5%)であった。DFSは有意差がなかったが(p=0.10)、Coxの多変量解析ではHR=0.78(95%CI:0.62~0.98)、p=0.03と、死亡に関して有意差がみられた。サブ解析では化学療法のあるなしでみても、DFSはまったく有意差がなかったが、化学療法のある群で生存率曲線にわずかな開きが見られた(図2)。さらに35歳未満(350例)では、5年DFSがT群67.7%(95%CI:57.3~76.0)、T+OFS群78.9%(95%CI:69.8~85.5)であった(図3)。この年齢では94%が化学療法を受けていた。【図2】図2を拡大する【図3】図3を拡大する全体で19%がTAMを早期に中止しており、81%の患者がGnRHアゴニストであるtriptorelinで卵巣機能抑制が認められた。OFSのアドヒアランスは1年で91%、2年で85%、4年で78%であった。有害事象は、全グレードでみた場合、ホットフラッシュ、汗、性欲障害、膣乾燥、うつ、不眠、筋骨格系症状、骨粗鬆症、高血圧、耐糖能異常、高血糖のいずれもT+OFS群で高く、グレード3,4の割合は、全体としてT+OFS群で31%、T群で24%と重篤なものもT+OFS群で高かった。今後さらに経過をみていくと、予後の差はもう少し広がる可能性はあるが、現時点では全体としてOSおよびDFSのベネフィットも明らかではない。ただし、サブ解析の結果は、若年性で化学療法を行っても卵巣機能が抑制されなかったグループにはOFSを加えることの意義がありそうであり、これは上述したメタアナリシスの結果と一致する。現状での個人的なOFSの使い方は、40歳未満の高リスク群に対してOFSを上乗せする、あるいは40代前半でも化学療法の適応がありながら希望しなかった方たちにOFSの上乗せを提案するというスタンスをとっており、今回の結果からは今の実施臨床に変更はない。ただし、OFS+EXEについては今年のASCOの報告で述べたとおりであり、保険適用となれば、高リスク群に対して標準治療の1つとなっていくであろう。少なくとも治療効果もはっきりしないまま、レトロスペクティブデータや治療理論だけに基づいてOFSを行うことは避けなければならない。早期閉経は長期的には心血管疾患、認知障害、認知症精神疾患、骨粗鬆症に伴う骨折などのリスクを上昇させ、全生存率にも関わりうることを念頭に置いておく必要がある(Menopause Int. 2008; 14: 111-116.)。TAM対TAM+OFSに関してもう1つRCTの結果が今年論文化された(J Clin Oncol 32:3948-58, 2014)。E-3193試験(INT-0142)であり、リンパ節転移陰性、ホルモン受容体陽性、腫瘍径3cm以下の乳がんに対して比較したものであり、中央値9.9年のDFSとOSが示されている。症例数が計337例とかなり少ないことは確かであるが、生存率曲線をみてもほぼ重なっており、まったく差がないことは知っておいてほしい。

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S3-09. Patient-reported endocrine symptoms, sexual functioning and quality of life (QoL) in the IBCSG SOFT trial

IBCSG SOFT試験における患者報告による内分泌症状、性機能およびQOLSOFT試験におけるQOL評価はT 861例、T+OFS 861例、E+OFS 854例に行われた。評価法としては症状、Global QOL(身体の健康、気分、コーピングの努力、治療の負担)を0~100までのアナログスケールで表し、高い数値がよりよい状況であることを反映した。8ポイント以上の差を持って臨床的に有意とした。評価は短期(6ヵ月)、中期(24ヵ月)、長期(60ヵ月)に行った。ホットフラッシュは化学療法の有無にかかわらず、短期にはT+OFSで低く、徐々に差が縮まり、長期的にはほぼ同等であった(図1)。化学療法なしのグループでは短期で睡眠障害と治療の負担に差がみられた。膣分泌、膣乾燥、膣掻痒感、性的魅力の喪失、性的興奮のしにくさはどの時期においてもほとんど差がなかった。Global QOLはいずれの項目も、どの時期においてもほとんど差がなかった(図2)。【図1】図1を拡大する【図2】図2を拡大するこの結果は、長期的にはどちらの群も大きな差がないことを示しているが、QOL評価は常にその限界を知っておく必要がある。短期で症状の強かった人が治療中断をしている可能性、症状がある人も徐々にその状態を許容し生活の一部として受け入れるようになってくる(レスポンスシフト)、そもそもどれくらい差があったら本当にQOLに差があるのかを判断することは難しい(最小重要差)、選択した項目がこれらの患者のQOLを真に反映しているか、を考えなければならない。S3-08で紹介したもう1つの臨床試験(J Clin Oncol. 2014; 32: 3948-3958.)でもQOL評価がなされており、FACT-Bや閉経期症状、性機能評価を示している。いずれも長期的にみてT単独と比較しT+OFSでQOLが低下している。こちらのデータも参考にしながら、OFSの活用を慎重に考えてほしい。

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乳がん温存術後の寡分割全乳房照射施行が増加/JAMA

 乳房温存手術後の放射線照射について、分割照射回数を少なくし1回照射線量を大きくする寡分割全乳房照射(WBI)の施行が増えていることが、米国・ペンシルベニア大学のJustin E. Bekelman氏らによる調査の結果、明らかにされた。2008~2013年の14の民間ヘルスケアプランに加入する女性患者の動向を調べた結果、診療ガイドラインに適合しタスクフォースが同照射を支持する患者群では10.6%から34.5%に施行が増え、適合基準に達していなかったが同照射を認可された患者群でも8.1%から21.2%に増えていた。またコストも従来照射法に比べて有意に低く抑えられていたという。JAMA誌2014年12月17日号掲載の報告より。米国女性を対象に2008年から2013年の施行動向を分析 2011年に米国放射線腫瘍学会では、無作為化試験のエビデンスに基づき、早期乳がんの乳房温存手術後の放射線療法について、寡分割WBIを行うことを支持し診療ガイドラインに明記した。施行を推奨する基準は、50歳以上、温存術後の病理学的ステージT1またはT2N0、全身化学療法未施行、中心軸平面での線量均一性が±7%以内の4つであった。しかし、基準に達していなくても推奨を支持するとして、とくに50歳未満でも行えることが示されていた。 研究グループは、後ろ向き観察コホート研究にて、2013年の米国成人女性の7.4%をカバーする14の民間ヘルスケアプラン加入者のデータを入手し、診療支払データから、早期ステージ乳がん患者で乳腺腫瘤摘出を受け、WBIを施行した患者について分析した。 患者は2コホートに層別化して検討した。(1)寡分割支持コホート(8,924例):50歳以上、化学療法未施行または腋窩リンパ節転移なし、(2)寡分割認可コホート(6,719例):50歳未満または化学療法施行または腋窩リンパ節転移あり。 寡分割WBIの治療期間は3~5週間、従来WBIは5~7週間であった。 主要評価項目は、寡分割WBIと従来WBIの総医療コスト、放射線関連コスト、患者の持ち出しコスト。患者および臨床的特性(治療年、年齢、併存疾患、化学療法歴、腋窩リンパ節転移、強化放射線治療、臨床設定、その他変数)も調べた。寡分割支持コホートで10.6%から34.5%に、コストは有意に低下 寡分割WBIの施行は、寡分割支持コホートにおいて、2008年の10.6%(95%信頼区間[CI]:8.8~12.5%)から2013年は34.5%(同:32.2~36.8%)に増えた。寡分割認可コホートでは、8.1%(同6.0~10.2%)から21.2%(同:18.9~23.6%)へ増えた。 補正後平均総医療コストは、診断後1年間で、寡分割支持コホートでは、寡分割WBI群は2万8,747ドル、従来WBI群は3万1,641ドルで、有意な差が認められた(両群差:2,894ドル、95%CI:1,610~4,234ドル、p<0.001)。寡分割認可コホートでは、WBI群は6万4,273ドル、従来WBI群は7万2,860ドルで、有意な差が認められた(両群差:8,587ドル、95%CI:5,316~1万2,017ドル、p<0.001)。 1年間の患者持ち出しコストの補正後平均額については、いずれのコホートにおいても両群間で有意な差はなかった。 今回の結果について著者は、「寡分割WBIは、早期乳がんの女性患者において施行が増えていたが、2013年時点では施行が支持される群でも34.5%、認可される群では21.2%であった」とまとめている。

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がん生存にみる40年間の対策効果は?/Lancet

 英国のロンドン大学公衆衛生学・熱帯医学大学院のManuela Quaresma氏らは、イングランドとウェールズ住民を対象に40年間(1971~2011年)の、全がん生存指標と年齢・性別で補正した個別がん生存指標の傾向を調べた。その結果、1971-72年当時は、全がんネット生存指標は、診断後1年で50%であったが、40年後の2010-11年には診断後10年でも50%を達成していると予測され大きく改善していること、一方で性別や年齢による生存指標の格差が続いていることなどを明らかにした。Lancet誌オンライン版2014年12月2日号掲載の報告より。英国がん患者、過去40年間720万人のデータを解析 本検討は、がん対策の進展を集団レベルで評価することの重要性を踏まえて、住民ベース生存率の傾向を調べて、がん生存について特色ある対策を提示することが目的であった。住民ベース生存率の傾向は、医療システム全体の効果、および罹患率や死亡率の傾向について鍵となる洞察を与える。 研究グループは観察研究にて、イングランドおよびウェールズ住民で1971~2011年に、原発性、侵襲性の悪性腫瘍と初発診断された720万人のデータを、2012年まで追跡して住民ベース生存率の傾向を分析した。 National Cancer Registry(イングランド)とWelsh Cancer Intelligence and Surveillance Unit(ウェールズ)を用いて全がん生存指標を作成。指標は、がん患者の年齢群別変化と男女別にがん死亡の変化を読み取れるようにデザインされていた。 1971-72年、1980-81年、1990-91年、2000-01年、2005-06年、2010-11年の期間のデータを選び、診断後1、5、10年後のがん生存指標の傾向を分析した。また、最高年世代(75~99歳)患者と最若年世代(15~44歳)患者間のネット生存率の差を、世代間生存格差と定義し、1971年以降の絶対変化(%)を評価した。全体的には上昇、性別、がん種別、年代別の次のターゲットが明らかに 両国の40年間の全がんネット生存指標は、大きく上昇していた。1971-72年当時、診断後1年生存指標が50%を示していたが、2005-06年には、診断後5年生存指標が50%を示すようになっており、2010-11年には診断後10年生存指標が50%を示すことが予測された。 2010-11年の全がん複合生存指標は、診断後1年が69~70%、診断後5年が54%であることが予測された。40年間で、5年生存指標は24%(30%から54%に)、10年生存指標は26%(24%から50%に)上昇しており、1990~2011年の間に大きく伸びたことがみられた。 男女別にみると、全がん生存指標は調査対象期間中一貫して、男性よりも女性が平均10%高かった。 年齢および性別で補正後の10年ネット生存指標の予測値は、がんの種類によって大きく異なり、2010-11年の予測値は、膵臓がんの1.1%から精巣がんの98.2%までにわたっていた。同値について高・中・低値の3群に分けてみると、高値群に分類されたのは、乳がん、前立腺がん、精巣がん、子宮がん、メラノーマ、ホジキンス疾患で、1971-72年の生存指標からの上昇が総じて大きかった。一方で、低値群に分類されたのは、脳、胃、肺、食道、膵臓のがんで、40年間でほとんどまたはまったく改善がみられなかった。 また、最高年世代が最若年世代と比べて、がん以外の高率の死因で補正後も一貫して生存指標が低かった。男性において世代間生存格差が最も大きかったのは、大量化学療法が治療の鍵となるがん(リンパ腫、多発性骨髄腫、白血病)で、女性では脳腫瘍、卵巣・子宮頸部がん、多発性骨髄腫で世代間生存格差が大きかった。また女性では、メラノーマと子宮がんの世代間格差は狭まっていたが、卵巣がんの長期生存の差は拡大していた。 これらの結果を踏まえて著者は、「がん種別によりまた世代間により生存に大きな差があることが示された。このことは、がんアウトカムの新たな対策の必要性を示唆するものである」と述べる一方で、「がん生存指標のさらなるモニタリングは、昨今の個人情報保護に対する懸念が払拭されない限り困難となる可能性もある」と指摘している。

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クリゾチニブ、ALK陽性NSCLCの1次治療薬へ/NEJM

 治療歴のないALK遺伝子陽性非小細胞肺がん(以下、ALK陽性NSCLC)に対し、ALKチロシンキナーゼ阻害薬クリゾチニブ(商品名:ザーコリ)は、標準的な化学療法よりも優れた有用性を持つことが、オーストラリア・メルボルンのPeter MacCallum Cancer CentreのBenjamin J Solomon氏らの研究で示された。 ALK陽性(ALK遺伝子の再配列)は、NSCLCの3~5%にみられ、若年者、非(軽度)喫煙者、腺がんに多くみられることが特徴である。一方、クリゾチニブはALK、ROS1、METを標的とするチロシンキナーゼ阻害薬である。すでにALK陽性NSCLCの2次治療に対する第III相試験(PROFILE 1007)では、単剤の化学療法に比べたクリゾチニブの有意な効果が示されている。しかしながら、同疾患の1次治療における標準化学療法(プラチナダブレット)との比較はなかった。NEJM誌2014年12月4日号掲載の報告より。オープンラベル無作為化試験で標準化学療法と比較 著者らは、進行性ALK陽性NSCLCの1次治療におけるクリゾチニブの有用性を標準化学療法と比較する、多施設国際オープンラベル無作為化比較第III相試験「PROFILE 1014」を開始した。対象は、全身療法治療歴のない進行性ALK陽性NSCLCであった。これらの患者は無作為にクリゾチニブ群(250mgx2/日投与)と標準的化学療法群(ペメトレキセド500mg/m2+シスプラチン75mg/m2またはカルボプラチンAUC5~6)に割り付けられ、3週毎6サイクルの治療を受けた。病勢進行(PD)した化学療法群患者については、クリゾチニブへのクロスオーバーが許容された。主要評価項目は、放射線学的評価によるPFS(無増悪生存期間)であった。PFS中央値は10ヵ月以上に延長、肺がん症状、QOLも改善 2011年1月~2013年7月に343例が登録され、クリゾチニブ群172例、化学療法群171例に割り付けられた。両群間の患者背景に差はなく、被験者にはアジア人も含まれた(クリゾチニブ群45%、化学療法群47%)。PFS中央値は、クリゾチニブ群で10.9ヵ月と化学療法群の7.0ヵ月に比べ有意に延長した(HR:0.45、95%CI:0.35~0.60、p<0.001)。この傾向は、プラチナ製剤の種類、患者のPS、人種、脳転移の有無といったすべてのサブグループで同様であった。奏効率は、クリゾチニブ群で74%(95%CI:67~81)と化学療法群の45%(95%CI:37~53)に比べ有意に良好であった(p<0.001)。生存期間中央値は被験者の約7割がPFS評価時に追跡中であったことから、両群とも到達していない。1年生存率はクリゾチニブ群で84%(95%CI:77~89)、化学療法群では79%(95%CI:71~84)である。また、化学療法群の被験者の70%がクリゾチニブにクロスオーバーしている。 有害事象は、クリゾチニブへのクロスオーバーの影響で、両群の投与期間中央値に差がある状態で集計している(クリゾチニブ群10.9ヵ月、化学療法群4.1ヵ月)。両群の有害事象の大部分は、グレード1~2であった。クリゾチニブ群で多く報告された有害事象は、視覚障害(71%)、下痢(61%)、浮腫(49%)など。化学療法群で多く報告された有害事象は、疲労感(38%)、貧血(32%)、好中球減少(30%)などであった。2群間で同程度の発現率を示した事象は、嘔気(クリゾチニブ56%、化学療法59%)、食欲減退(クリゾチニブ30%、化学療法34%)などであった。グレード3~4のアミノトランスフェラーゼ上昇がクリゾチニブ群の14%(化学療法群では2%)に認められたものの、投薬中断または減量によって管理可能であった。グレード3~4の好中球減少症は、クリゾチニブ群11%、化学療法群15%で認められた。研究者の評価による治療関連死は認められていない。 患者のQOLは、クリゾチニブ群で有意に改善し(p<0.001)、患者の自己申告による肺がん症状(咳嗽、呼吸困難、胸痛など)もクリゾチニブ群で有意に減少している(p<0.001)。 著者は、「クリゾチニブの1次治療は、NSCLCの標準化学療法(ペメトレキセド+プラチナレジメン)に比べ、ALK陽性NSCLCのPFSを有意に改善した。この1次治療の成績は、既報の2次治療の成績よりも優れている。1次治療としてクリゾチニブを投与することでALK陽性NSCLC患者の治療ベネフィットを最大にできる可能性がある」と指摘している。

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ALK陽性肺がんに対する標準治療を確立した重要な試験(解説:倉原 優 氏)-285

 このPROFILE 1014試験は、未治療のALK陽性進行非扁平上皮非小細胞肺がんの患者343例を、クリゾチニブ(商品名:ザーコリ)250mg1日2回(3週間1サイクル)投与する群(172例)と標準化学療法を行う群(171例)にランダムに割り付けたものである。標準化学療法群は、3週間おきにペメトレキセド500mg/m2、シスプラチン75mg/m2あるいはカルボプラチンAUC5~6を最長6サイクルまで投与している。重要な点は、両群とも増悪後にクロスオーバーが認められている点である。プライマリエンドポイントは無増悪生存期間(PFS)、セカンダリエンドポイントは奏効率、全生存期間(OS)などである。 試験の結果、PFSはクリゾチニブ群が有意に優れており、PFS中央値はクリゾチニブ群が10.9ヵ月、標準化学療法群が7.0ヵ月、ハザード比は0.45(95%信頼区間:0.35~0.60、p<0.0001)だった。クロスオーバーが認められているため、OSには差はみられなかった。奏効率もクリゾチニブ群が74%(95%信頼区間:67~81)、化学療法群が45%(95%信頼区間:37~53)で、群間差29%(95%信頼区間:20~39、p<0.0001)とクリゾチニブ群が有意に良好であった。 この試験は、ALK陽性非小細胞肺がんのファーストラインにクリゾチニブを用いることが標準治療と位置付けた歴史的な研究である。クロスオーバーが可能であるためOSには差は出なかったものの、PFSに大きな差が出たことは臨床医にとってインパクトが大きかった。過去のレトロスペクティブ解析によれば、ALK陽性例ではクリゾチニブ単剤投与の有無によってOSが大きく異なるのではないかと考えられており1)、本研究と併せて考えると、ALK陽性例に対してクリゾチニブを投与しないという選択肢は現時点ではないだろう。 ただし、現行の日本のガイドラインではパフォーマンスステータス(PS)不良例に対するクリゾチニブの使用は推奨されていない。今後、PS不良例に対するエビデンスが蓄積されれば、クリゾチニブを現場で使用する頻度が増えてくるかもしれない。 クリゾチニブはMET阻害薬として開発された経緯があるため、ALKのみを阻害するわけではない。これまでの肺がんに対する抗がん剤の歴史においてマルチターゲット阻害薬は結果が芳しくないが、ALK阻害薬に関しては期待ができそうな報告が多い。とりわけROS1阻害作用がホットトピックであり2)、最近取り沙汰されるアレクチニブ(商品名:アレセンサ)とクリゾチニブの位置付けが今後どうなるのか注目である。

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ニボルマブ、未治療の悪性黒色腫に有効/NEJM

 BRAF遺伝子変異のない悪性黒色腫患者の1次治療において、免疫チェックポイント阻害薬ニボルマブ(商品名:オプジーボ)は、標準的化学療法薬ダカルバジン(同:ダカルバジン)に比べ1年生存率(OS)および無増悪生存期間(PFS)を有意に延長することが、フランス・Gustave Roussy研究所のCaroline Robert氏らの検討で示された。ニボルマブは、プログラム死1(PD-1)受容体と2つのリガンド(PD-L1、PD-L2)との相互作用を選択的に遮断する完全ヒト型抗PD-1モノクローナルIgG4抗体である。イピリムマブ抵抗性の悪性黒色腫を対象とした第III相試験において、ニボルマブは化学療法に比べ高い奏効率(32 vs. 11%)が確認されていた。NEJM誌オンライン版2014年11月16日号掲載の報告。1次治療での有用性を無作為化試験で評価 本研究は、BRAF遺伝子変異のない悪性黒色腫患者に対する1次治療におけるニボルマブの有用性を評価する二重盲検無作為化第III相試験。対象は、年齢18歳以上、全身状態(ECOG PS)が0~1で、BRAF遺伝子変異がなく、未治療のStage III/IVの悪性黒色腫患者であった。 被験者は、ニボルマブ(3mg/kg、2週ごと)+プラセボ(3週ごと)を投与する群またはダカルバジン(1,000mg/m2、3週ごと)+プラセボ(2週ごと)を投与する群に無作為に割り付けられた。治療は病勢進行または許容されない毒性が発現するまで継続された。 主要評価項目はOSとし、副次評価項目は治験担当医判定によるPFS、客観的奏効率(ORR)などであった。主要評価項目については99.79%信頼区間(CI)を算出し、p値(log-rank検定)が<0.0021の場合に統計学的有意差ありと判定した。 2013年1月~2014年2月までに、欧州、イスラエル、オーストラリア、カナダ、南アフリカの80施設に418例が登録され、ニボルマブ群に210例、ダカルバジン群には208例が割り付けられた。全体の年齢中央値は65歳、男性が58.9%、欧州・カナダの患者が69.4%で、PS 0が64.4%、遠隔転移Stage M1cが61.0%、PD-L1陽性は35.4%であった。1年OS:72.9 vs. 42.1%、PFS中央値:5.1 vs. 2.2ヵ月 OS中央値は、ニボルマブ群は未到達、ダカルバジン群は10.8ヵ月であった。1年OSはニボルマブ群が72.9%と、ダカルバジン群の42.1%に比べ有意に良好であった(死亡に関するハザード比[HR]:0.42、99.79%CI:0.25~0.73、p<0.001)。 PFS中央値はニボルマブ群が5.1ヵ月であり、ダカルバジン群の2.2ヵ月に比し有意に延長した(HR:0.43、95%CI:0.34~0.56、p<0.001)。また、ORRもニボルマブ群が40.0%(完全奏効率:7.6%、部分奏効率:32.4%)、ダカルバジン群は13.9%(同:1.0%、13.0%)であり、有意な差が認められた(オッズ比[OR]:4.06、p<0.001)。 ニボルマブのダカルバジンに対する生存ベネフィットは、事前に規定されたすべてのサブグループ(年齢、性別、遠隔転移Stage、PS、脳転移の既往、乳酸脱水素酵素[LDH]値、PD-L1など)に一貫して認められた。 ニボルマブ関連の頻度の高い有害事象として、疲労(19.9%)、そう痒(17.0%)、悪心(16.5%)などが認められた。Grade 3/4の治療関連有害事象の発現率はニボルマブ群が11.7%、ダカルバジン群は17.6%であった。治療中止の原因となった有害事象はそれぞれ6.8%、11.7%にみられた。 著者は、「ニボルマブは、ダカルバジンに比べ死亡のリスクを58%低減した。1年OSやORR、安全性プロファイルなどは既報の結果と一貫性が認められた」とまとめている。現在、未治療の患者を対象に、ニボルマブ単剤、ニボルマブ+イピリムマブ併用、イピリムマブ単剤を比較する第III相試験(CheckMate 067試験)が進行中だという。

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アファチニブ LUX-Lung 3 試験の日本人サブグループ解析

 日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:青野吉晃)は 11 月 17 日、ジオトリフ(一般名:アファチニブマイレン酸塩)の国際共同第 3 相臨床試験LUX-Lung 3 試験の日本人のサブグループ解析結果を発表した。 この結果は第 55 回日本肺癌学会学術集会にて、本年(2014年)11月 16 日に発表されたもの。LUX-Lung3試験では、EGFR 遺伝子変異陽性を有する非小細胞肺がんの未治療の患者 345 人を、ジオトリフ群と、ペメトレキセド+シスプラチン群に 2:1 の割合で無作為割り付けし、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として OS などが検討された。 日本人患者83 人を対象として検討されたこのサブグループ解析の結果、全体のOSは、ジオトリフ群で 46.9ヵ月、ペメトレキセド+シスプラチン群で35.8ヵ月。一般的EGFR 遺伝子変異(Del19 および L858R)患者のOS は、それぞれ46.9ヵ月と35.0ヵ月。Del19 遺伝子変異患者のOS は、それぞれ46.9ヵ月と31.5ヵ月であった。 主なグレード 3 以上の有害事象(10%以上)の発現率は、ジオトリフ群で爪の異常 26%、下痢 22%、発疹/ざ瘡 20%、標準的化学療法群で好中球数減少 50%、白血球減少 25%であった。日本ベーリンガーインゲルハイムのプレスリリースはこちら

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肺がんの組織型の説明に

肺がんは、小細胞がんと非小細胞がんの2つに大きく分けられます肺がんの分類(組織型)組織分類多く発生する場所はいや腺癌非小細胞肺がん肺野部扁平上皮癌大細胞癌小細胞肺がん小細胞癌はいもん特徴女性の肺がんで多い、症状が出にくい肺門部喫煙との関連が大きい肺野部増殖が速い肺門部喫煙との関連が大きい、転移しやすい独立行政法人国立がん研究センター がん情報サービスCopyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.非小細胞肺がん小細胞がんではない肺がんの総称で、肺がんの約80~85%を占めています。腺がん、扁平上皮がん、大細胞がんなど、多くの異なる組織型があり、発生しやすい部位、進行形式と速度、症状などはそれぞれ異なります。いずれの場合も化学療法や放射線治療で効果が得られにくく、手術を中心とした治療が行われます。小細胞肺がん肺がんの約15~20%を占め、増殖が速く、脳・リンパ節・肝臓・副腎・骨などに転移しやすく悪性度の高いがんです。しかし、非小細胞肺がんよりも抗がん剤や放射線治療の効果が得られやすいと言われています。Copyright SCICUS K.K. All rights Reserved. @2003独立行政法人国立がん研究センターがん情報サービスCopyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.

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転移性前立腺がんに対する新規ホルモン療法の威力は?(解説:勝俣 範之 氏)-274

転移性前立腺がんに対する第一選択は、去勢療法(男性ホルモンであるアンドロゲンをブロックする方法:除睾術やホルモン療法などが行われる)である。転移性がんでは、当初は去勢療法が奏効するが、ほとんどが治療抵抗性となる。治療抵抗性となった場合には、これまでは化学療法しか選択肢がなかった。 エンザルタミドは、アンドロゲン受容体を阻害する作用を持つ新規ホルモン療法の1つと考えてよい。化学療法のような強い副作用がないため、患者さんにとっては福音であるといえる。 NEJMに報告されたこの臨床試験は、去勢抵抗性になり、化学療法を受けていない1,717例の患者さんを対象として行われた。エンドポイントは、無増悪生存期間と全生存期間の2つを設定し、αは無増悪生存期間で有意水準を0.001、全生存期間で0.049と分割し、合わせてα=0.05とすることによって、検定の多重性を調整している。あらかじめ計画された中間解析は、516例の死亡イベントが起きた際に行われ、有意水準を0.0147と定められた。 今回の結果は、中間解析でエンザルタミド群がプラセボ群に対して、生存期間中央値が32.4ヵ月vs.30.2ヵ月(HR 0.71、95% CI:0.60~0.84、p<0.001)であり、あらかじめ設定したαを下回ったため、試験は有効中止となり、中間解析で試験結果が公表されることとなり、マスキングは解除され、プラセボ群の患者さんにはエンザルタミドの処方が勧められることとなった。副作用は、疲労と高血圧、背部痛、便秘、ほてりなどがややエンザルタミド群に多いものの、重篤な副作用は見られなかった。 同様の結果は、化学療法後の前立腺がん患者さんを対象としたプラセボ対照ランダム化比較試験でも、エンザルタミド群の全生存期間での有用性が証明されている1)ため、エンザルタミドの効果は再現性があると認められる。 エンザルタミドは、新規ホルモン療法として、標準治療の位置付けを獲得したといえるが、残された問題としては、わが国で同時期に承認されたアビラテロンとの位置付けである。エンザルタミドが、アンドロゲン受容体に結合し、アンドロゲンの作用を抑制することにより効果を発揮するのに対して、アビラテロンは、アンドロゲンの合成に関わるCYP17阻害薬を阻害して、抗アンドロゲン効果を発する。アビラテロンもエンザルタミドと同様に、去勢抵抗性前立腺がんに対して、プラセボ群と比較して、全生存期間を延長させている2)3)。アビラテロンの弱点としては、アンドロゲンのみならず副腎皮質ホルモンの合成も抑制してしまうため、投与する際には、副腎皮質ホルモン(プレドニン)を併用しなければならないことである。 今年になり、わが国で前立腺がんに対して、抗アンドロゲン薬として2剤、アビラテロン、エンザルタミドが相次いで承認された。今後の課題としては、アビラテロンとエンザルタミドの使用順序をどうしていくか? 併用はどうなのか? 去勢感受性前立腺がんに対してはどうなのか? などの疑問を解決すべく、臨床試験が現在進行中である。■「前立腺がんホルモン療法」関連記事ホルモン療法未治療の前立腺がん、ADTにアビラテロンの併用は?/NEJM

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切除不能大腸がんの1次治療、FOLFOXIRI+BVが有効/NEJM

 切除不能大腸がんの1次治療において、フルオロウラシル(5-FU)/ロイコボリン(LV)+オキサリプラチン+イリノテカン(FOLFOXIRI)とベバシズマブ(BV)の併用療法は、標準治療である5-FU/LV+イリノテカン(FOLFIRI)とBVの併用療法よりも良好な予後をもたらすことが、イタリア・ピサ大学のFotios Loupakis氏らが行ったTRIBE試験で示された。切除不能大腸がんの1次治療では、従来、FOLFIRIまたは5-FU/LV+オキサリプラチン(FOLFOX)と血管内皮細胞増殖因子(VEGF)のモノクローナル抗体であるBVの併用療法が標準治療とされる。しかしBVの臨床導入以前にFOLFOXIRIのほうがFOLFIRIやFOLFOXよりも有効性が優れることが示されており、またFOLFOXIRI+BVの第II相試験において、有望な抗腫瘍効果と良好な安全性が確認されていた。NEJM誌2014年10月23日号掲載の報告より。FOLFOXIRI+BVの予後改善効果を無作為化試験で評価 TRIBE試験は、切除不能大腸がんの1次治療におけるFOLFOXIRI+BV療法とFOLFIRI+BV療法の有用性を評価する非盲検無作為化第III相試験。対象は、年齢18~75歳、全身状態(ECOG PS)が0~2(70歳以上は0)で、組織学的に腺がんが確証され、治癒切除が不能と判定された患者であった。 被験者は、FOLFOXIRI+BV群またはFOLFIRI+BV群(対照群)に無作為に割り付けられ、1サイクル2週の治療が最大12サイクル施行されたのち、維持療法として5-FU+BV療法が病態進行となるまで継続された。 主要評価項目は無増悪生存期間(PFS、割り付け時から病態進行または死亡までの期間)であり、評価は中央判定で行われた。FOLFOXIRI+BVのPFSが有意に2.4ヵ月延長、OSに有意差なし 2008年7月~2011年5月までにイタリアの34施設から508例が登録され、FOLFOXIRI+BV群に252例(年齢中央値60.5歳、男性59.5%、PS 0は90.1%)が、FOLFIRI+BV群には256例(60.0歳、60.9%、89.5%)が割り付けられた。原発巣が右結腸の患者がそれぞれ34.9%、23.8%(p=0.02)と有意な差がみられたが、これ以外の背景因子に差はなかった。 PFS中央値は、FOLFOXIRI+BV群が12.1ヵ月と、FOLFIRI+BV群の9.7ヵ月に比べ有意に良好であった(ハザード比[HR]:0.75、95%信頼区間[CI]:0.62~0.90、p=0.003)。術後補助療法歴のある患者を除く全サブグループにおいて、PFSに関するFOLFOXIRI+BV群のベネフィットが認められた。 客観的奏効率(ORR)は、FOLFOXIRI+BV群が65.1%(完全奏効:4.8%、部分奏効:60.3%)、FOLFIRI+BV群は53.1%(3.1%、50.0%)であり、有意差が認められた(HR:1.64、95%CI:1.15~2.35、p=0.006)。また、全生存期間(OS)中央値はFOLFOXIRI+BV群が31.0ヵ月と、FOLFIRI+BV群の25.8ヵ月よりも延長する傾向がみられたが、有意な差はなかった(HR:0.79、95%CI:0.63~1.00、p=0.054)。 FOLFOXIRI+BV群はFOLFIRI+BV群に比べ、Grade 3~4の末梢神経障害(5.2 vs. 0%、p<0.001)、口内炎(8.8 vs. 4.3%、p=0.048)、下痢(18.8 vs. 10.6%、p=0.01)、好中球減少症(50.0 vs. 20.5%、p<0.001)の頻度が有意に高かった。BV関連の有害事象の頻度は両群で同等であった。重篤な有害事象(20.4 vs. 19.7%、p=0.91)および有害事象による死亡(2.4 vs. 1.6%)にも両群間に差はなかった。 著者は、「FOLFOXIRI+BV療法による6ヵ月の導入療法と5-FU+BVによる維持療法は標準治療よりも高い効果を示した。医療費は有害事象の発症に応じて増加した」とまとめ、「1次治療で3剤併用化学療法を行った場合の2次治療以降のレジメンや、RAS野生型例への適応などの課題が残る」としている。

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大腸がんの予後、血中循環腫瘍細胞と関連

 大腸がん患者において、血中循環腫瘍細胞(CTC)数で全生存期間(OS)を予測できるかどうか、関心が持たれている。イタリアのラ・サピエンツァ大学のAdriana Romiti氏らは、限局型および切除不能な大腸がん患者において、予後予測におけるCTC数の役割を検討した。その結果、大腸がん患者におけるCTCの存在は予後不良に関連することが認められた。Journal of gastrointestinal and liver diseases誌2014年9月号の掲載報告。 著者らは、組織学的に大腸がんと診断された患者を登録した。CTC数は、ベースライン時と化学療法開始1ヵ月後に、定量的免疫蛍光法を用いて測定し、末梢血7.5mLあたり2単位以上を陽性とした。 主な結果は以下のとおり。・合計75例の大腸がん患者が登録され、stage I~IIIが54例、stage IVが21例であった。・21例(28%)がベースライン時のCTCが陽性であり、陰性であった患者に比べ有意に予後不良と関連していた(OS:36.2ヵ月vs 61.6ヵ月、p=0.002)。・患者の22.4%は化学療法後もCTCが陽性のままであり、OSの独立した予後因子であった(p=0.03、ハザード比:3.55、95%CI:1.1~11.5)。

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どうなる?今後の日本の小細胞肺がんの治療(解説:倉原 優 氏)-259

本論文は進展型小細胞肺がんのことをES-SCLCと記載してあるが、日本の慣習的な使用に合わせて、以下ED-SCLCと記載させていただく。 化学療法に奏効したED-SCLCに対する予防的全脳照射(PCI)については、2007年にEORTCの研究によって、1年以内の脳転移発症のリスクを減少させ、1年生存率を有意に改善させることが証明された1)。 ただ、日本において、プラチナ併用初回化学療法後に奏効した脳転移のないED-SCLCに対するPCIの効果が検証されている2)。1年後の転移性脳腫瘍の出現頻度は、有意に減少したものの、全生存期間に対して効果はみられず早期無効中止となったことは記憶に新しい。 そのため、脳転移がないED-SCLCへのPCIは現時点では日本において推奨されていない。日本の小細胞肺がんの治療は、化学療法のレジメンだけでなくPCIについても海外と差があるのかと思うと、臨床医としてはいささか動揺を隠せない。 さて、今回の論文は、PCIだけでなく胸部放射線療法を追加するというものである。化学療法が奏効した後、肺に残存する腫瘍に対して放射線治療が追加的な効果をもたらすのではないかと考えられたためだ。 筆頭著者は文献1)同様Slotman氏である。この報告によれば、PCIだけでなく胸部放射線療法の照射も効果的であるという、日本の肺がん治療と再び離れた方向に議論が一歩展開された。 将来的に、日本でこの治療法が有効かどうか追試を行うかもしれないが、小細胞がんは腺がんのように人種差が大きいがん種ではなく、分子標的薬の発展もないことから、願わくは各国で治療内容に大きな差が出ないほうがよいのではと感じている。

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化療奏効の進展型SCLCへの胸部RTは有用/Lancet

 化学療法奏効の進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)患者に対し、胸部放射線療法を行うと、1年生存率は変わらないものの、2年生存率は有意に増大することが判明した。また6ヵ月の無増悪生存を達成した割合も、胸部放射線療法を行った群で高率だった。オランダ・VU大学医療センターのBen J. Slotman氏らが、498例の患者について行った第III相無作為化比較試験の結果、明らかにした。結果を踏まえて著者は、「化学療法が奏効したすべてのES-SCLC患者について、予防的全脳照射に加えて胸部放射線療法を考慮すべきである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2014年9月14日号掲載の報告より。オランダなど4ヵ国、42ヵ所の医療機関を通じ498例を無作為化 試験は2009年2月18日~2012年12月21日にかけて、オランダ16ヵ所、英国22ヵ所、ノルウェー3ヵ所、ベルギー1ヵ所の4ヵ国42ヵ所の医療機関を通じ、WHO全身状態スコアで0~2のES-SCLC患者498例を対象に行われた。 被験者を無作為に2群に分け、一方には胸部放射線療法(分割照射30Gy/10回)を実施し、もう一方には実施しなかった(対照群)。なお被験者全員に対して、予防的全脳照射を行った。 主要エンドポイントは、1年生存率だった。副次エンドポイントは、無増悪生存などだった。追跡期間の中央値は、24ヵ月だった。2年生存率、胸部放射線療法群は13%に対し対照群は3% intention-to-treat解析に含まれたのは、インフォームド・コンセントの段階で除外した3例を除外した、胸部放射線療法群247例、対照群248例であった。 その結果、1年生存率は、胸部放射線療法群が33%(95%信頼区間[CI]:27~39%)、対照群が28%(同:22~34%)と、両群で有意差はなかった(ハザード比[HR]:0.84、同:0.69~1.01、p=0.066)。 しかし、2年生存率は、それぞれ13%(同:9~19%)と3%(同:2~8%)と、胸部放射線療法群で有意に高率だった(p=0.004)。また進行リスクも、対照群より胸部放射線療法群で有意に低下した(HR:0.73、95%CI:0.61~0.87、p=0.001)。6ヵ月の無増悪生存の達成割合も、胸部放射線療法群が24%(同:19~30%)に対し、対照群は7%(同:4~11%)だった(p=0.001)。 安全性では、重度の毒性は認められず、グレード3以上の有害事象で共通してみられたのは、疲労感(11vs. 9例)、呼吸困難(3 vs. 4例)だった。

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ASCOの妊孕性温存ガイドライン改訂

 妊孕性温存は、がんサバイバーのQOLにとって重要であり、がん治療に影響を及ぼす。この重要性を鑑み、2006年にASCOは委員会を招集しガイドラインを発行。その後の妊孕性温存の進歩に伴い、2013年に改訂が加えられた。2014年8月、横浜市で開催された日本癌治療学会学術集会にて、米国・ニューヨーク医科大学のKutluk H Oktay氏は「ASCO Guidelines for Fertility Preservation:2013 Updates」と題し、ASCOガイドラインの概要を紹介した。 妊孕性保護については、ほとんどの患者は紹介すらされておらず、実際に妊孕性保護の対策を受けている患者はほんの一握りしかいないという。この問題の原因の主たるものは、患者と臨床医のコミュニケーション不足にある。ASCO妊孕性保護委員会は、がん専門医が関与して、治療が不妊や早期閉経の問題を起こすことを早期に患者に知らせ、がんのタイプや年齢、治療法による個々人のリスクを議論しなければならないと強調している。 Oktay氏は例として、抗がん剤の卵胞毒性について触れた。卵胞は原始卵胞期から胞状卵胞期へと成長し排卵されるが、抗がん剤がどの段階に障害を与えるかは、その種類によって異なる。代謝拮抗剤は胞状卵胞期にのみ影響を与える。このグループの薬剤ではダメージで月経が停止しても、卵巣内で次の卵胞は成長しているため、新しい排卵が起こり月経も再開する。一方、アルキル化剤やトポイソメラーゼ阻害薬などは、原始卵胞期にも障害を与える。つまり、予備の卵にまでダメージを与えてしまい、卵胞形成に対する障害は非常に大きい。どちらのグループも無月経をもたらすが、ダメージは異なるのである。そのため、抗がん剤は卵巣毒性の程度で4段階に分類されている。 また、化学療法施行患者の卵巣における卵の予備量を非施行者と比較した試験では、化学療法施行により卵の予備数が約10歳分減少することが明らかになっている。乳がん患者で出産を望む場合などでは、たとえ治療開始時には若年でも妊孕性保護を考慮しなければならないこともある。 ASCO妊孕性保護委員会は、不妊の危険性がある場合、生殖年齢のすべての患者には妊孕性保護の紹介をすべきであり、たとえ明確な意見を持っていなくても、できるだけ早期に触れるべきである、としている。 成人男性に対する精子凍結保存、成人女性に対する胚凍結保存および卵母細胞凍結保存や保存的婦人科手術、小児に対する精液、卵母細胞低温保存などを確立された妊孕性保存方法として推奨している。さらに、BRCA変異陽性がん患者についても触れている。BRCA変異陽性患者は原始卵胞が少なく、卵胞刺激による採取卵も少ないこと、また閉経が早く40歳未満の早期閉経が数倍みられることが明らかとなっている。そのため、変異陰性者以上に化学療法後の妊孕性低下が大きいと考えられる。

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「腰痛」に潜む多発性骨髄腫

 多発性骨髄腫(MM)は血液悪性腫瘍(形質細胞性腫瘍)の1つであり、悪性リンパ腫や白血病に次いで患者数の多い疾患である。MMは高齢者に多くみられる疾患で代表的な症状の1つに「腰痛」がある。しかし、腰痛を患っている高齢者は多いため、見逃されていることもあるという。 2014年8月27日(水)、JPタワーホール&カンファレンス(東京都千代田区)にてセルジーン株式会社主催「第4回ヘマトロジー勉強会」が開催され、「腰痛から始まる血液悪性腫瘍~多発性骨髄腫を知っていますか?~」と題し、国立国際医療研究センター 血液内科診療科長の萩原 將太郎氏が講演を行った。 MMは、B細胞の最終分化形態である形質細胞ががん化することによって発症する。がん化した形質細胞は、造血を抑制することで貧血を引き起こし、骨芽細胞に対して造骨を抑制し破骨細胞に対して溶骨を促進することで、骨病変(病的骨折・高度の骨粗鬆症など)を引き起こす。また、がん化した形質細胞が産生するM蛋白が心臓、腎、神経などにアミロイド蛋白として沈着することで、アミロイドーシスを引き起こす。このように、MMは多彩な臓器障害を来す複雑な疾患である。 MMのうち治療対象となる症候性MMは、形質細胞とM蛋白の存在だけではなく、臓器障害(腎機能障害、貧血、骨病変など)を呈する状態を指す。治療方針としては、それぞれの患者さんの年齢や合併症などを考慮の上、化学療法あるいは分子標的薬を含む寛解導入療法に引き続く造血幹細胞移植、もしくは移植は行わず、化学療法/分子標的薬のみを選択する。近年、治療法の進歩により、MMの予後は改善傾向にある。治療の方向性は、非特異的な化学療法剤から特異的な分子標的薬へと変化し、現在もさまざまな薬剤の開発が進んでいる。MMの骨病変により圧迫骨折している場合には、椎体形成術が奏効する場合も多く、疼痛の軽減などQOLの改善に有用な方法である。 2025年には、高齢者が最も多くなるといわれており、MMの患者数は今後も増えることが予想されている。日常診療の中で、慢性的で原因のわからない「腰痛」を訴える高齢患者さんを診た場合には、MMの可能性も考慮し、血液検査を行うことが勧められる。

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PIK3CA変異乳がんは抗HER2療法の効果低い

 乳がんではホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3K) / AKT経路の異常はよくみられ、PIK3CAの変異が最も多い。ドイツ乳がんグループのSibylle Loibl氏らは、術前補助化学療法に加えてdualもしくはsingle 抗HER2療法を行ったHER2陽性乳がんにおいて、PIK3CA遺伝子型と病理学的完全寛解(pCR)率との関連を調査した。その結果、PIK3CA変異のあるHER2陽性乳がんでは、アントラサイクリン・タキサンの化学療法と抗HER2療法(dual抗HER2療法であっても)による術前補助化学療法後に、pCRを達成する可能性は低いことが示唆された。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2014年9月8日号に掲載。 著者らは、術前補助化学療法の研究(GeparQuattro、GeparQuinto、GeparSixto)の参加者から得られた504の腫瘍サンプルのPIK3CA変異を評価した。すべてのHER2陽性患者はトラスツズマブかラパチニブもしくはその併用のいずれかと、アントラサイクリン・タキサンの化学療法の治療を受けた。PIK3CA変異は、20%以上の腫瘍細胞含有量のコア生検によるホルマリン固定パラフィン包埋組織で、エクソン9とエクソン20のサンガー法による配列決定を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・患者の21.4%にPIK3CA変異がみられた。・PIK3CA変異型では有意にpCR率が低かった(変異型19.4% vs 野生型32.8%、オッズ比[OR]:0.49、95%CI:0.29~0.83、p=0.008)。・ホルモン感受性(HR)陽性の291例において、pCR率はPIK3CA変異型で11.3%、野生型で27.5%であった(OR:0.34、95%CI:0.15~0.78、p=0.011)。・HR陰性の213例では、pCR率はPIK3CA変異型で30.4%、野生型で40.1%であった(OR:0.65、95%CI:0.32~1.32、p=0.233、相互作用検定p=0.292)。・多変量解析では、HR状況とPIK3CA状況は独立した予測因子であった。・PIK3CA変異のある患者において、ラパチニブ、トラスツズマブ、その併用によるpCR率はそれぞれ16.0%、24.3%、17.4%であった(p=0.654)。野生型の患者では、それぞれ、18.2%、33.0%、37.1%であった(p=0.017)。・無病生存期間および全生存期間は、PIK3CA変異型と野生型との間に統計学的有意差は認められなかった。

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新薬2剤が発売、去勢抵抗性前立腺がん治療の今後

 去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)に対する新たな選択肢として、5月発売のエンザルタミド(商品名:イクスタンジ)に続き、今月、アビラテロン(同:ザイティガ)とカバジタキセル(同:ジェブタナ)が発売された。これら2剤の発売を機に、先日、それぞれのメディアセミナー(ザイティガ:ヤンセンファーマ株式会社・アストラゼネカ株式会社、ジェブタナ:サノフィ株式会社)が開催された。両セミナーで、近畿大学医学部泌尿器科教授 植村 天受氏が講演し、CRPCにおける治療の変化について解説した。CRPC治療におけるアビラテロンとカバジタキセルの位置付け 前立腺がんは男性ホルモン(アンドロゲン)により増殖するため、外科的去勢や薬物により男性ホルモンを抑制するホルモン療法が施行される。従来のホルモン療法によりアンドロゲン分泌が抑制されているにもかかわらず、病勢が進行する状態をCRPCと呼ぶ。 早期のCRPCでは、副腎由来のアンドロゲンや前立腺がん細胞自身で産生されるアンドロゲンにより腫瘍が増悪するため、さらにアンドロゲンを低下させることが重要となる。アビラテロンは、早期のCRPCに対して、精巣・副腎・前立腺がん組織のすべてでアンドロゲン合成を抑制することにより、予後の改善が期待される。 その一方で、CRPCにおける細胞増殖には、アンドロゲン依存性だけでなく、アンドロゲン非依存性の経路が存在するため、いずれホルモン療法によるアンドロゲン除去に抵抗性が生じてくる。そのような場合、化学療法であるドセタキセルが標準治療であるが、ドセタキセル後の治療選択肢として、カバジタキセルが承認された。患者さんによってアンドロゲン標的薬に抵抗性を示す場合もあるため、化学療法は重要な役割を持つ。各薬剤の副作用 アビラテロンについては、現在のところ、特異的な副作用はみられていない。 一方、カバジタキセルは、好中球減少や発熱性好中球減少が日本人で多く、骨髄抑制の対策が重要となる。植村氏は、自身の投与経験から、「G-CSF製剤を適切な時期に投与し、患者さんに生ものなどを食べないように指導するなど、マネジメントをしっかりすればこわい薬剤ではない」との見解を示した。今後のCRPC治療の流れ 現在、アビラテロンだけが化学療法未治療のCRPCにも使用できるが、エンザルタミドも同様に使えるようになる見通しである。植村氏は、それを前提としたうえで、今後のCRPC治療について、「まず、アビラテロンもしくはエンザルタミドを投与し、進行後にもう1つの薬剤を投与、さらに進行した場合にドセタキセル、次にカバジタキセルを投与という流れになるだろう」と述べた。なお、アビラテロンとエンザルタミドの使い分けについては、「現状ではどちらも同じ。副作用による使い分けもない」との見方を示した。 ドセタキセルからカバジタキセルにスイッチするタイミングについては、植村氏は「議論されている問題で、日本で治療経験を重ねることにより解明していく課題」と述べ、「もし、ドセタキセルによるしびれでADLが低下するような場合は、早めに切り替えてもいいのではないか」との考えを示した。

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