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ブルーリボンキャラバン ~もっと知ってほしい大腸がんのこと2017 in東京~【ご案内】

 東京医科歯科大学医学部附属病院 腫瘍化学療法外科、同院 大腸・肛門外科、同院 腫瘍センター、同大学院 応用腫瘍学講座は、認定NPO法人キャンサーネットジャパンと共催で、2017年3月5日(日)に大腸がん啓発イベント「ブルーリボンキャラバン」を開催する。同イベントは、大腸がんの診断・検査から外科的治療・薬物療法について広く知ってもらうことを目的に、国際的な大腸がん啓発月間でもある3月に毎年開催されている。会場は、東京医科歯科大学M&Dタワー 2階 鈴木章夫記念講堂。総合司会は、フリーアナウンサーの中井 美穂氏が務める。当日は来場者全員にオリジナル冊子「もっと知ってほしい大腸がんのこと」のプレゼントがあり、ブルーを身に着けて来場した方には粗品も用意されている。 開催概要は以下のとおり。【日時】 2017年3月5日(日)《セミナー》 13:00~16:50《ブース展示》12:00~17:00【場所】 東京医科歯科大学 M&Dタワー 2階 鈴木章夫記念講堂 〒113-8519 東京都文京区湯島1-5-45【参加費】 無料【予定内容】《セミナー》 総合司会 中井 美穂氏(フリーアナウンサー) 13:00~13:05 開会挨拶   小西 敏郎氏(NPO法人キャンサーネットジャパン 理事) 13:05~13:25 講演(1) 「大腸がんってどんな病気?~大腸がんの基礎知識~」  石黒 めぐみ氏(東京医科歯科大学大学院 応用腫瘍学講座 准教授) 13:25~13:55 講演(2) 「大腸がんの手術と手術後の生活」  安野 正道氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 大腸・肛門外科 科長) 13:55~14:15 講演(3) 「顕微鏡で見た大腸がん~いろんなことがわかります~」  上野 秀樹氏(防衛医科大学校 外科学講座 教授) 14:15~14:30 休憩(15分) 14:30~14:50 体験談 「医学部教授が進行大腸癌から生還~走る医療者オストメイトとして活動~」  山本 悦秀氏(金沢大学 名誉教授/城南歯科医院 理事長) 14:50~15:20 講演(4) 「転移・再発した大腸がんの治療方針の基本」  植竹 宏之氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 腫瘍化学療法外科 科長) 15:20~15:50 講演(5) 「大腸がんの抗がん剤治療~いまとこれから~」  山口 研成氏(がん研有明病院 消化器化学療法科 部長) 15:50~16:00 情報提供 「RAS遺伝子検査とは?」  石川 敏昭氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 腫瘍化学療法外科) 16:00~16:15 休憩(15分) 16:15~16:45 Q&A  Q&Aトークセッション 質問票にお答えします!  パネリスト:上記登壇者 16:45~16:50 閉会挨拶  杉原 健一氏(東京医科歯科大学 特任教授)《ブース展示》 会場では大腸がんの検査・治療に使用する機器などのブース展示を開催します。 展示スペースはどなたでもご自由にご観覧いただけますのでお気軽にお越しください。[出展協力] ・東京医科歯科大学医学部附属病院 がん支援相談センター ・東京医科歯科大学医学部附属病院 臨床栄養部 ・東京医科歯科大学 歯学部口腔保健学会 ・公益社団法人日本オストミー協会 ・ブーケ(若い女性オストメイトの会) ・株式会社メディコン ・アミン株式会社 ・ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社 ・オリンパスメディカルサイエンス販売株式会社 ・メルクセローノ株式会社【問い合わせ先】 ブルーリボンキャンペーン事務局 認定NPO法人キャンサーネットジャパン 〒113-0034 東京都文京区湯島1-10-2 御茶ノ水K&Kビル 2階 TEL:03-5840-6072(平日10時~17時) FAX:03-5840-6073 MAIL:info@cancernet.jp【共催】 東京医科歯科大学医学部附属病院 腫瘍化学療法外科 東京医科歯科大学医学部附属病院 大腸・肛門外科 東京医科歯科大学医学部附属病院 腫瘍センター 東京医科歯科大学大学院 応用腫瘍学講座 認定NPO法人キャンサーネットジャパン【協力】 メルクセローノ株式会社(冊子提供)【後援】 東京都/東京医科歯科大学医師会/東京都医師会/ 日本癌治療学会/日本臨床腫瘍学会/大腸癌研究会/ 公益社団法人日本オストミー協会/NPO法人ブレイブサークル運営委員会/ 認定NPO法人西日本がん研究機構詳細はこちら

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ALK陽性NSCLCの1次治療、セリチニブでPFS延長/Lancet

 未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)遺伝子転座を有する非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療において、セリチニブ(商品名:ジカディア)は従来の化学療法に比べ予後を改善することが、フランス・パリ第11大学のJean-Charles Soria氏らが行ったASCEND-4試験で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2017年1月23日号に掲載された。ALK遺伝子転座は、NSCLC患者の3~7%にみられるドライバー遺伝子変異で、比較的若年、非喫煙/軽度喫煙歴、肺腺がんの患者に多い。セリチニブは、次世代の選択的経口ALK阻害薬で、血液脳関門を通過するため脳転移への効果も期待できるという。プラチナ製剤ベース化学療法と無作為化試験で比較 ASCEND-4は、ALK遺伝子転座陽性NSCLC患者におけるセリチニブとプラチナ製剤ベースの化学療法の有効性と安全性を比較する非盲検無作為化第III相試験(Novartis Pharmaceuticals社の助成による)。 対象は、年齢18歳以上、ALK遺伝子転座を有する未治療の局所進行または転移性のNSCLC(Stage IIIB/IV)で、で、全身状態(WHO PS)が0~2、無症候性または神経学的に安定した脳転移を有する患者とし、術前または術後の全身療法の終了から12ヵ月以上経過後の再発例も可とした。 被験者は、セリチニブ(750mg/日)を経口投与する群またはプラチナ製剤ベースの化学療法を施行する群に無作為に割り付けられた。化学療法は、シスプラチン(75mg/m2)またはカルボプラチン(AUC 5~6)+ペメトレキセド(500mg/m2)を3週ごとに4サイクル施行後に、ペメトレキセドによる維持療法(500mg/m2、3週ごと)を行った。 主要評価項目は無増悪生存(PFS)とし、判定は、無作為割り付けされたすべての患者(最大の解析対象集団[FAS])を対象に、独立の評価委員会が盲検下に行った。有効性解析はFASで、安全性解析は1回以上の薬剤の投与を受けた全患者で実施した。 2013年8月19日~2015年5月11日に、日本を含む28ヵ国134施設に376例(FAS)が登録され、セリチニブ群に189例、化学療法群には187例が割り付けられた。セリチニブ群は全例が、化学療法群は175例(シスプラチン:87例、カルボプラチン:88例)が治療を受け、化学療法群の127例(73%)が維持療法を受けた。PFS期間中央値が2倍以上に延長 ベースラインの年齢中央値はセリチニブ群が55.0歳、化学療法群は54.0歳で、女性がそれぞれ54%、61%、アジア人が40%、44%含まれた。また、非喫煙者はそれぞれ57%、65%、腺がんが95%、98%、転移性(Stage IV)が95%、97%、で、脳転移は31%、33%に認められた。 PFS期間中央値は、セリチニブ群が16.6ヵ月(95%信頼区間[CI]:12.6~27.2)と、化学療法群の8.1ヵ月(95%CI:5.8~11.1)に比べ有意に延長した(ハザード比[HR]:0.55、95%CI:0.42~0.73、p<0.00001)。担当医判定のPFS期間中央値も、セリチニブ群が有意に優れた(16.8ヵ月 vs.7.2ヵ月、HR:0.49、95%CI:0.37~0.64、p<0.00001)。 ベースライン時に脳転移のない患者のPFS期間中央値はセリチニブ群が26.3ヵ月、化学療法群は8.3ヵ月(HR:0.48、95%CI:0.33~0.69)であり、脳転移がみられた患者はそれぞれ10.7ヵ月、6.7ヵ月(HR:0.70、95%CI:0.44~1.12)であった。 全生存(OS)のデータは解析時にはまだ不十分で、OS期間中央値はセリチニブ群が未到達(95%CI:29.3~推定不能)、化学療法群は26.2ヵ月(95%CI:22.8~推定不能)であった(HR:0.73、95%CI:0.50~1.08、p=0.056)。 全奏効率(72.5% vs.26.7%)、奏効までの期間中央値(6.1週 vs.13.4週)、奏効期間中央値(23.9ヵ月 vs.11.1ヵ月)、測定可能な頭蓋内病変の奏効率(72.7% vs.27.3%)、患者報告アウトカム(EORTC QLQ-C30、QLQ-LC13、LCSS、EQ-5D-5L)は、全般にセリチニブ群が良好だった。 最も頻度の高い有害事象は、セリチニブ群が下痢(85%)、悪心(69%)、嘔吐(66%)、ALT上昇(60%)、化学療法群は悪心(55%)、嘔吐(36%)、貧血(35%)であった。Grade 3/4の有害事象は、セリチニブ群ではALT上昇(31%)、γ-GT上昇(29%)、AST上昇(17%)の頻度が高く、化学療法群では好中球減少(11%)、貧血(7%)、嘔吐(6%)、呼吸困難(6%)の順だった。 著者は、「セリチニブは、ALK遺伝子転座陽性NSCLCの1次治療における新たな治療選択肢とみなすことが可能である」と指摘している。

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レンバチニブ 切除不能肝細胞がんでソラフェニブに非劣性示す

 エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫)は、自社創製の抗がん剤レンバチニブ(商品名: レンビマ)が、全身化学療法歴のない切除不能な肝細胞がんにおけるソラフェニブを対照とした臨床第III相試験(304試験)において、主要評価項目を達成したと発表。 304試験は、全身化学療法歴のない切除不能な肝細胞がん患者を対象に、レンバチニブについて、標準治療薬ソラフェニブとの有効性および安全性を比較する多施設共同、非盲検、無作為化グローバル臨床第III相試験。当試験では、954例の患者を各群に1:1の割合で無作為に割り付け、レンバチニブ投与群(n=478)には体重によって12mgまたは8mg/日、ソラフェニブ投与群(n=476)には400mg×2/日を投与した。投与は病勢進行あるいは忍容できない有害事象の発現まで継続された。主要評価項目は全生存期間(OS)とし、非劣性の検証を目的に実施した。副次評価項目として、無増悪生存期間(PFS)、無増悪期間(TTP)、奏効率(ORR)などを評価した。 結果、レンバチニブ投与群は、ソラフェニブ投与群に比較して、OSにおける非劣性が統計学的に証明され、PFS、TTP、ORRにおいて、統計学的に有意かつ臨床的意義のある改善を示した。本試験のレンバチニブ投与群で確認された有害事象(上位5つ)は、高血圧、下痢、食欲減退、体重減少、疲労であり、これまでにレンバチニブの投与で認められた安全性プロファイルと同様であった。その他の副次評価項目(QOL、血漿中薬物動態)や安全性の解析は継続中である。 エーザイは、本試験結果に基づき、日本、米国、欧州、中国を含むアジアの各当局と申請に向けた協議を行う予定。また、本試験結果の詳細について、今後の学会等で発表する予定である。エーザイ株式会社のニュースリースはこちら

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アテゾリズマブ 尿路上皮がんの1次治療に申請:シスプラチン不適患者に

 スイスRoche社は2017年1月9日、FDA(米国食品医薬品局)がアテゾリズマブの生物学的製剤承認一部変更申請(sBLA)と優先審査を受理したことを発表した。対象はシスプラチンによる化学療法の適用がない局所進行または転移性尿路上皮がんで、前治療歴なし(1次治療)、あるいは術前・術後補助化学療法12ヵ月以降で病勢進行した患者。 このアテゾリズマブに関するsBLAの提出はIMvigor210試験を基にしており、FDAは2017年4月30日までに結論を出す予定。 IMvigor210試験は単群の第II相試験で、局所進行または転移性尿路上皮がん患者に対するアテゾリズマブの安全性と効果をBD-L1発現にかかわらず評価している。対象患者はコホート1と2の2つのコホートに登録された。今回の申請の基となったのは、シスプラチン適用のない未治療(1次治療)または術前術後補助化学療法12ヵ月以降で病勢進行した患者を対象としたコホート1。 アテゾリズマブは2016年5月、FDAにより、既治療の進行膀胱がんに対して30年ぶりに認められた。尿路上皮がんは、腎盂、尿管、尿路にみられ、膀胱がんの90%を占めている。■参考Roche社:プレスリリースIMvigor210試験 コホート1(ClinicalTrials.gov)■「アテゾリズマブ」関連記事アテゾリズマブ、小細胞肺がんのOS、PFS改善(IMpower133)/NEJM

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ニボルマブ 標準治療不応の胃がんに良好な効果(ONO-4538-12 試験):ASCO-GI 2017

 小野薬品工業株式会社とブリストル・マイヤーズ スクイブ社は2017年1月20日、標準治療が不応または不耐の切除不能な進行または再発胃がん患者を対象に実施したニボルマブ(商品名:オプジーボ)の無作為化二重盲検第III相臨床試験(ONO-4538-12試験)の結果が、2017 Gastrointestinal Cancer Symposium(ASCO-GI 2017)で発表されたことを明らかにした。 ONO-4538-12 試験は、日本、韓国、台湾において、標準治療が不応または不耐の切除不能な進行または再発胃がん(食道胃接合部がんを含む)患者を対象にONO-4538(ニボルマブ)の有効性および安全性について、プラセボ群を対照として実施された多施設共同第III相臨床試験である。主要評価項目は全生存期間(OS)。副次的評価項目は、無増悪生存期間(PFS)、奏効率(ORR)、安全性等が含まれた。本試験では、過去に2回以上の化学療法後に不応であり、ECOG PS 0~1で20歳以上の上記患者493例を3mg/kgのニボルマブ(n=330)とプラセボ(n=163)に2:1 の比率で無作為に割り付け、病勢進行、もしくは高度な有害事象などの発現が認められるまで2週間ごとに投与された。 本臨床試験の最終解析において、ニボルマブ群がプラセボ群に対して主要評価項目である全生存期間(OS)の有意な延長を示した(HR:0.63、95%CI:0.50~0.78、p<0.0001)。最後に患者が無作為化されてから5.6ヵ月後のOS中央値はニボルマブ群で5.32ヵ月、プラセボ群で4.14ヵ月であった。12ヵ月全生存率は、ニボルマブ群で26.6%、プラセボ群で10.9%、6ヵ月全生存率は、ニボルマブ群で46.4%、プラセボ群で34.7%であった。副次的評価項目であるORRは、ニボルマブ群で11.2%(95%CI:7.7~15.6)、プラセボ群で 0%(95%CI:0.0~2.8)(p<0.0001)であった。PFS中央値は、ニボルマブ群で1.61ヵ月、プラセボ群で1.45ヵ月であった(HR:0.60、95%CI:0.49~0.75、p<0.0001)。Grade3 以上の薬剤関連有害事象(AE)は、ニボルマブ群の11.5%、プラセボ群の5.5%で発現した。薬剤関連AE(Gradeを問わず)による投与中止は、ニボルマブ群で2.7%、プラセボ群の2.5%であった。本臨床試験のデータは、米国サンフランシスコで開催された 2017 GastrointestinalCancer Symposium(ASCO-GI 2017)にて発表された。(ケアネット 細田 雅之)参考ブリストルマイヤーズスクイブ社・小野薬品工業:ニューススリリース(PDF)ASCO-GI 2017の発表ONO-4538-12試験(ClinicalTrials.gov)

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ペムブロリズマブ 肺がん1次治療の適応さらなる拡大へ:化学療法との併用で

 Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A. は2017年1月10日、FDA(米国食品医薬品局)がペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)の生物学的製剤承認一部変更申請(sBLA)を受理したことを発表した。この申請は、同社の抗PD-1 抗体ペムブロリズマブと化学療法(ペメトレキセド+カルボプラチン)の併用を、PDーL1発現の有無にかかわらず(EGFRおよびALK変異のない)転移性・進行の非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療とするというもの。 これはペムブロリズマブが他の治療法との併用で承認を目指す初めての申請となる。この申請では、ペムブロリズマブ200mg(固定容量)と、ペメトレキセド500mg/m2+カルボプラチンAUC5 の3週ごと4サイクルの併用についての迅速承認を求めている。申請の基礎となったKEYNOTE-021 part2 コホートGは、123例のEGFRおよびALK変異のない未治療の非扁平上皮NSCLCで、PDL1発現にかかわらない患者に対して行われた。 ペムブロリズマブは、PD-L1高発現(50%以上)で、EGFRおよびALK変異陰性のNSCLCの1次治療に承認されている。また、PD-L1発現1パーセント以下の場合、EGFRおよびALK変異陰性例では、プラチナを含む化学療法で病勢進行した患者に、EGFRおよびALK変異陽性例では、承認された各治療で病勢進行した患者での適応を有している。(ケアネット 細田 雅之)MERCK(米国)のニュースリリースはこちら関連情報ペムブロリズマブの追加が非小細胞肺がん1次治療の結果を改善:ESMOKEYNOTE-021試験(ClinicalTrials.gov)

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サン・アントニオ2016 レポート-3

レポーター紹介オランダから乳房温存手術(BCS:breast conserving surgery)後の放射線治療(以下、RT)のタイミングがおよぼす10年生存率への影響に関する報告があった。グループ1:BCS→RT→+/-CT(2,759例)<42日、 42~55 日、 >55 日、グループ2:BCS→CT→RT(1,120例)<112日、 112~140日、 >140日、に分けて検討している。グループ1(-CT)では>55 日が<42日と比較して無病生存率、無遠隔再発率共に有意に良好であり、+CTでは>55 日と42~55 日が<42日と比較して無病生存率が有意に良好であった。グループ2では再発率は>140日で有意に高かった。しかし交絡因子(年齢、グレード、転移リンパ節個数、ホルモン受容体の状況、内分泌療法の使用、他院RT施設への紹介)で調整すると、グループ1(-CT)でのみ>55 日が<42日と比較して無遠隔再発率が良好であった。結論としてRTをBCSの後にすぐに行う必要はないと述べている。過去の報告では、BCSからRTまでの期間と生存率との関連についてはcontroversialであり、早い方が良いというものもあれば、むしろ遅らせた方が生存率は高いという報告もある。現状では期間にあまりこだわりすぎず、がんの性質や術後の状況に応じて柔軟に対応するのがよいだろう。きわめて増殖率の高い一部の乳がんではどの治療も遅らせないのが賢明であろうと考える。KAMILLA研究という、すでにHER2標的薬と化学療法をしっかり受けた患者に対するT-DM1の安全性と有効性をみる第III b相試験から、脳神経系(CNS)転移の有無でのT-DM1の安全性と有効性を確認し、またCNS転移への効果を評価した結果が報告されていた。安全性と有効性に関してはあまり参考にならないが、CNS転移への効果は大変興味のあるところである。測定可能なCNS転移を持つ患者26例のうち、CRが3例、PRが24例、6ヵ月以上のSDが27例であった(CBR43%)。またCNS病変において最大径が30%以上減少したのは54例(43%)であった( CNS以外がSDまたはPDであった症例も含む)。全身の転移状況にかかわらずCNS転移の減少が4割程度にみられるというのは非常に大きな効果である。しかし、CNS転移以外がPDでCNS転移がPRであった場合の治療方針が難しいところである。通常T-DM1とペルツズマブの併用による生存率向上効果は認められていないが、このような症例には試す価値があるかもしれない。乳がんの既往を持つ女性患者におけるサーベイランスとしてのマンモグラフィと乳房MRIの効果について評価した報告があったので紹介する。米国5地域の乳がんサーベイランスコンソーシアムレジストリーからのデータで、マンモグラフィのみ33,938件、乳房MRI 2,506件であった。データはプロペンシティスコアマッチングで調整されており、無作為化比較試験に近似させたものとなっている。欠損値は5件と非常に少ないうえに補正も行われている。第2がんのリスクが最も高い女性は含まれていないようである。マンモグラフィと乳房MRIとで乳がん発見率は変わらなかったが、MRI施行例では乳房生検率が有意に高かった。このことから乳がん術後の女性に乳房MRIをルーチンに行ってもよい効果は及ぼさないようである。このデータは非常に重要だと考えている。BRCA1/2遺伝子変異保有者には年1回の乳房MRIが推奨されているが、そのような乳がん発症の大きなリスクを持っていない方には、サーベイランスとしての乳房MRIは有用性が確認されないということである。遺伝子検査をしなくても乳房MRIを希望する方を時々みかけるが、やはりリスクに基づいてサーベイランス法を決定することが大切であり、重要な個別化医療の1つである。

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サン・アントニオ2016 レポート-2

レポーター紹介DBCG 07-READは、6サイクルのDC(ドセタキセル+エンドキサン)と3サイクルのEC→3サイクルのDを比較する第III相試験である。アントラサイクリンはトポイソメラーゼⅡ阻害剤であるため、トポイソメラーゼⅡA(TOP2A)の変化により治療効果に差がある可能性がある。過去のDBCG89D試験(CMF vs CEF)の結果からTOP2A正常例ではアントラサイクリンの有益性がなかったことから、TOP2Aの遺伝子が正常である症例(TOP2A/Cen17 ratio 0.8~1.9)に絞って比較を行った。初回解析として5年の経過観察を行ったが、DFS、OS共にまったく差がなかった。各群約1,000例と大規模であり、生存曲線もほぼ完全に重なっていることから、さらに経過観察しても有意差は出ないであろう。有害事象の頻度も、末梢性浮腫、筋肉痛/関節痛、末梢神経障害などの割合は両群でまったく変わらないことから、TOP2A遺伝子が正常な症例ではアントラサイクリンのベネフィットはなく、DCのみで良いであろうということになる。さて、TOP2A遺伝子をアントラサイクリン使用の指標とすべきかどうかであるが、TOP2Aに関するメタアナリシスでは、TOP2A増幅/欠失例ではわずかにCMFよりアントラサイクリンでベネフィットがありそうではある(Di Leo A, et al. Lancet Oncol. 2011; 12: 1134-1142.)。別の報告では、CEP17重複またはTOP2A異常例でやはりCMFよりアントラサイクリンでベネフィットがあるとのことである(Bartlett JM, et al. J Clin Oncol. 2015; 33: 1680-1687.)。しかしその差はわずかであるようであり、また、ASCO2016レポートのABC試験のところでも述べたが、TC6サイクルが行われているものの、アントラサイクリンにしてもタキサンにしても4サイクルを超えて有効性を示している報告はないので、DCを行うとしても現時点では4サイクルで十分と考えられる。術前化学療法の効果を予測するためのバイオマーカーとしての腫瘍リンパ球浸潤(TILs)の意義について、ドイツの6つの術前化学療法試験(3,771名)のメタ分析が報告された。TILsは推奨に従って評価された(Salgado R, et al. Ann Oncol. 2014)。pCR率はトリプルネガティブ、HER2+、Lum/HER2-ともTILsが多いほど高かった。一方、無病再発はトリプルネガティブとHER2+で有意差があるものの、Lum/HER2-ではなかった。しかし、OSはトリプルネガティブとLum/HER2-で有意差があり、HER2+ではなかった。HER2+とTNBCでは高いTILsで予後良好の傾向があり、Lum/HER2-では内分泌療法抵抗性に関係している可能性が示唆されている。ただ、いずれにしても予後の差はわずかであり、TILsを指標に治療方針を決める段階にはなく、もっと多くの研究結果が統合されたり、単なるTILsの評価だけでなくさらなる指標が組み合わされたりすることで、初めて臨床的に有用なものとなるであろう。また、TILsの状況によってどの種類の化学療法(+分子標的薬)が効果をもたらすかということも合わせて考えていく必要があろう。Poster(およびPoster Discussion)より乳がん腋窩治療後の患側上肢からの点滴は、従来までは一般に禁忌とされてきたが、2014年のサン・アントニオ乳癌シンポジウムで大規模な前向き試験の結果が報告され、乳がん術後患側上肢からの静脈注射は浮腫の増加につながらないとの結果であった。この結果は論文化され(Ferguson CM, et al. J Clin Oncol, 2016;34:691-698.)、当院でも乳がん術後患側上肢に対するマネージメントを変更した。しかし、静脈注射とはいってもさまざまであり、血管刺激性がある薬剤には不安もあり、抗がん剤点滴に関して従来の考え方を守っていた。今回は抗がん剤静脈注射とリンパ浮腫の関連を前向きに検討したものが報告された。630名の乳がん術後患者に対してリンパ浮腫の発症率をみた。化学療法は術前(16%)または術後に受けていた。2年間のリンパ腫発生は全体として12.32%であり、末梢点滴群9.13%、中心静脈ポート群16.16%、 末梢点滴+中心静脈ポート群15.99%であった。多変量解析にてBMI≧30、リンパ節転移の個数のみがリンパ浮腫のリスク因子であり、点滴経路や化学療法のサイクル数、薬剤の種類(タキサン、非タキサン)は関連していなかった。これらのことから、患側上肢からの穿刺はリンパ浮腫のリスクを増加させないだろうと結論している。しかし、末梢点滴において患側からどれくらい穿刺されたのかが、方法にも結果にも記載されていないため、この結論を素直に受け取ることができない。論文化されるのを待ち、内容をよく吟味してから改めて検討したいところである。ここからOncotype DXの報告をいくつか紹介する。SEERレジストリを用いた研究である。n0またはn1でHR+、HER2-、Grade3の腫瘍を持つ患者の5年乳がん特異的生存率を評価することが目的である。9,201名の患者が対象となっており、n+でも50歳未満の方が20%以上含まれている。n+での化学療法施行の割合は低リスクで27%(腫瘍径≦2cm)、22%(>2cm)、中間リスクで56%(腫瘍径≦2cm)、63%(>2cm)、高リスクでは72%(腫瘍径≦2cm)、76%(>2cm)であった。低リスク(<18)と中間リスク(18~30)の生存率は、Grade3腫瘍でも、n0、n+に関わらず同程度にきわめて予後良好であった。しかしGrade3、高リスクでは、n+や腫瘍径によらず有意に予後不良であった。ここで学ぶべきことは、単に腫瘍のGradeが3、n+というだけでは、治療選択には不十分であり、やはりこのような多遺伝子アッセイを利用したほうが、予後と化学療法の選択をするのにより適しているということ、中間リスクはほぼ低リスクと同等であること、米国ですでに閉経の有無にかかわらずn+でもOncotype DXが用いられているということだろう。Oncotype DXをn+にも行ったこれまでの臨床試験が総括されていた(9,833名)。transATAC/SWOG S8814/ECOG E2197/NSABP P-28/PACS-01/SEER/WSG Plan Bの7試験を要約している。2014年までのエビデンスに基づくASCOガイドラインでは、n+においてこのようなエビデンスの多くを考慮に入れていないが、最近のNCCNガイドラインでは素早くn1~3に対してOncotype DXのオプションを取り入れている、という違いをサマリーで述べていた。しかし、NCCNガイドライン(Version 2. 2016)をみると変わっておらず、次期改訂で修正されるということだろうか。次は聖路加国際病院からの報告である。目的は低リスクのER陽性浸潤性乳がんを予測するための臨床病理学的因子を明らかにすることである。症例はすべてn0であり、99.1%がAllred7以上であった。多変量解析からはPRとKi67が重要な予測因子であり、PR強陽性(Allred7以上)、Ki67<24%であれば92.4%の確率で低リスクであった。このようなデータからいえることは、ER強陽性、PR強陽性、Ki67がおおむね20%以下であれば、低リスクであり、Oncotype DXによる検索はまず不要ということになる。このことは腫瘍径やnの状況にはよらないと思われる。ただし、Ki67の評価は診断医、染色条件、判定部位によってかなり変わってしまうこともあるので慎重に判断する必要はあろう。

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サン・アントニオ2016 レポート-1

レポーター紹介はじめに2016年SABCSは12月6日~10日まで5日間開催された。今年から会場が新しくなり、非常に快適であった。しかし、外は風も強くとても寒い日が続いた。メイン会場は従来と雰囲気は変わらないが、柱やスクリーンが障壁となって、座席によりスライドの見えにくいところが多かったのが難点である。来年より改善して欲しいところである。今回私たちの臨床をすぐに変えるようなものはほとんどなかった。しかし、腫瘍浸潤リンパ球(TILs)をはじめとするがん免疫、ERやHER2も含めた体細胞変異、BRCA1/2以外の胚細胞変異、多遺伝子アッセイ、リキッドバイオプシー(循環癌細胞、セルフリーDNA)、マイクロRNA(miRNA)、がん幹細胞、腫瘍の不均一性といった話題は引き続き多くみられた。また、臨床試験デザインの演題も多く採用されていたように思う。まずはOral sessionから紹介する。NSABP B-42は閉経後乳がんにおいて、アロマターゼ阻害剤(AIs)を5年服用後(タモキシフェン3年以下服用も含む)に、さらにレトロゾールを5年延長した場合の効果をみる試験である。現在までにタモキシフェン5年服用後にレトロゾールを5年延長するMA.17試験でその有効性が示されている。MA.17R試験では、レトロゾール5年にさらにレトロゾール5年を追加したが、遠隔再発抑制効果はほとんどみられなかった。しかし、それ以前にタモキシフェンを5年使用していた患者も多く含まれているため、私たちが知りたい条件とは異なっていた。B-42試験では3,964例が2群に割り付けられた。約40%の患者が治療を完遂できず、そのうち治療拒否または中止は14%、有害事象によるものは10%であった。主要評価項目である無病生存期間は、7年でレトロゾール群84.7%、プラセボ群81.3%と有意差が認められた(p=0.048、 HR=0.85:0.73~0.99)。さらに遠隔再発もそれぞれ3.9%、5.8%で有意差を認めた(p=0.03、HR=0.72:0.53~0.97)。しかし全生存期間には差を認めなかった(92.3% vs.91.8%)。すなわち、アロマターゼ阻害剤5年にさらにレトロゾール5年を延長することによる利益は全体としてはわずかである。スライドでは示されなかったが、予後不良(リンパ節転移陽性など)群などでは効果が大きくなると思われる。そのため、TAM→TAM、TAM→AIs、AIs→AIs共に、より予後不良と考えられる患者には使うメリットがあろうと考えられ、個々の患者の状況により対策を立てるのが賢明である。DATA研究は2~3年のタモキシフェンの後に3年または6年のアナストロゾールを服用した際の効果を比較する第III相試験である。3年無病生存率は79.4% vs.83.1%で有意差はみられなかったが(p=0.07、HR=0.79:0.620~1.02)、ホルモン受容体陽性、HER2陰性、pN+、化学療法施行例に限ると75.9% vs.86.0%で有意差が認められた(p=0.01、HR=0.58:0.39~0.89)。なお、全生存率にはまったく差は認められていない。まだ観察期間も短く、何ら結論は出せないが、他の延長試験と合わせて考えると、やはり再発リスクが高いグループでアロマターゼ阻害剤の延長を考慮したほうが良さそうである。BRCA1/2乳がんにおける体細胞遺伝子の変化について、メモリアル・スローンケタリングがんセンターから報告があった。BRCA1/2乳がんは先天的に一方のアレルのBRCA1/2遺伝子が変異により機能喪失しており、2ヒットとしてもう一方のアレルも何らかの理由で機能喪失すると乳がんに進展していく。BRCA1では29例中28例で両アレルが失活していたが、1例では失活しておらず散発性の乳がん発症と考えられた。両アレルの失活に伴い、その他の遺伝子変異がTP53-76%(ER陰性-95%、ER陽性-25%)、NF1-10%、PTEN-10%、RB1-7%に認められた。BRCA2では10例中全例でLOHが認められた。BRCA1/2胚細胞変異保有者における散発性乳がんの割合とBRCA1/2遺伝子変異に伴う他の体細胞遺伝子変異は、私も兼ねてより知りたかったことの1つだったのでここに紹介した次第である。すなわち、BRCA1/2遺伝子変異保有者ではその大半が遺伝性乳がんとして発症し、散発性乳がんはごくわずかであるということである。当然のことながら散発性乳がんは遺伝の有無にかかわらず発症する訳であるが、遺伝を持っている方は散発性乳がん発症に加え、より大きな遺伝性乳がん発症のリスクを持っていると考えられ、やはり個別化医療としての選択的なサーベイランスを行うことが大切であろう。化学療法に伴う脱毛を予防するための頭皮冷却に関する無作為化比較試験SCALPの結果が報告された。本研究はPaxmanの頭皮冷却装置が用いられているが、これは国内でもすでに薬事承認されている。182例の患者が無作為化割り付け(冷却群119例、非冷却群63例)され、1レジメンでの効果が検討された。その結果、非冷却群での脱毛は100%であったのに対し、冷却群では脱毛を50.5%予防できていた。薬剤別での予防率はタキサンで65.1%であったが、アントラサイクリンではわずか21.9%であった。冷却により強い不快感を訴えた方はわずかであった。比較的良好な結果を示しているといえるが、本報告の問題点として、薬剤の詳細(種類や投与量)がわからないこと、最も多く使われているアントラサイクリン+タキサンレジメンでの脱毛の割合が不明であることが挙げられる。また、パクリタキセルの毎週投与では頭皮冷却の回数が非常に増えてしまうことが懸念される。実地臨床では、時間が長くなり化学療法室を1例で長く占拠してしまうこと、化学療法室のスペース不足、誰に行うのか、といった問題があるのが現実であり、データ不足と相まって普及にはまだ困難を伴いそうである。アロマターゼ阻害剤関連の筋骨格系症状(AIMSS)に対するデュロキセチンの効果をみる無作為化比較試験の結果が報告された(SWOG S1202))。慢性疼痛の治療薬としてFDAで認可されているセロトニン・ノルアドレナリン再吸収阻害薬(SNRI)の1つであるデュロキセチンの効果をみたものである。299例の患者をデュロキセチンとプラセボを12週間内服する群にそれぞれ割り付け、QOL評価を行った。その結果、関節痛や関節のこわばりはデュロキセチン内服群で有意に改善傾向がみられ、QOLも有意に向上していた。しかしながら、その差はわずかにみえる。デュロキセチン群の方で明らかに有害事象が多いこと、プラセボ群でもそれなりの効果と有害事象が出ていることから、直ちにデュロキセチンを使うというよりは1つの提案をしてみたい。まずは何らかの副作用の少ない薬剤(たとえば漢方薬、ビタミンD3など)を使って効果を確認し、改善が不十分であればデュロキセチンに変えてみるなどすると、有害事象を最小限にしながら治療効果を上げることができるのではないか。

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オシメルチニブ、日本人のTKI耐性肺がんにも良好な結果:肺癌学会

 第57回日本肺癌学会プレナリーセッションにて、EGFR-TKI耐性非小細胞肺がん(以下、NSCLC)に対する第3世代EGFR-TKIオシメルチニブの第III相試験AURA3について、第17回世界肺癌学会議(WCLC)で発表された主要結果とともに日本人サブ解析の結果を、愛知がんセンターの樋田豊明氏が発表した。 AURA3試験は、1次治療のEGFR-TKIで進行したT790M変異陽性のNSCLCに対し、オシメルチニブとプラチナベース化学療法とを比較した無作為化比較試験。主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)である。 全体集団のPFSは、オシメルチニブ群10.1ヵ月、化学療法群4.4ヵ月(HR:0.30、p<0.001)と、オシメルチニブ群で有意に延長した。日本人集団においては、オシメルチニブ群で12.5ヵ月(95%CI:6.9~NC)、化学療法群では4.3ヵ月(95%CI:4.0~6.7)と、全体集団と同じくオシメルチニブ群で延長した(HR:0.27、95%CI:0.13~0.56)。オシメルチニブは、中枢神経系においても効果を発揮することが示されている。当試験での脳転移例におけるPFSは、オシメルチニブ群8.5ヵ月、化学療法群4.2ヵ月(HR:0.32、95%CI:0.21~0.49)と、オシメルチニブ群で優れていた。ちなみに、脳転移のない例においては、オシメルチニブ群10.8ヵ月、化学療法群5.6ヵ月であった(HR:0.40、95%CI:0.29~0.55)。 Garde3以上の有害事象の発現率は、全体集団ではオシメルチニブ群で23%、化学療法群で47%であった。日本人集団ではオシメルチニブ群32%、化学療法群68%、と全集団と同様にオシメルチニブ群で少なかった。その中で、オシメルチニブ群の間質性肺疾患の発現は、全体集団では10例(Grade3以上は1例)、日本人集団では3例(Grade3以上は0)であった。 ディスカッサントである和歌山県立医科大学の山本信之氏は以下のように論述した。 今回のAURA3の日本人サブ解析の結果は、有効性についても有害事象についても、第II相試験の結果を踏襲するものである。オシメルチニブはT790M変異陽性NSCLCに対する標準治療として確立されたといえる。さらに、EGFR変異陽性NSCLCの1次治療としての効果も期待される。このセッテイングにおいても、早期臨床試験で良好な結果が示されており、今後発表される第III相試験でも同様の良好な結果が示される可能性がある。しかし、耐性評価のための再生検については問題が残る。現状、T790Mは組織生検で評価するが、組織からのサンプル採取は容易ではない。自施設の経験では、4例に1例は複数回の生検を行っており、他科に組織採取を依頼せざるを得ない症例も少なくない。PDからオシメルチニブ投与の開始までの時間もかかる。リキッドバイオプシーの早期保険償還を期待したいと、同氏は述べた。参考AURA3試験(ClinicalTrials.gov)関連ニュース記事【ジャーナル四天王】オシメルチニブ、T790M変異陽性NSCLCのPFSを有意に延長/NEJMオシメルチニブ、T790M変異陽性NSCLCのPFSを6ヵ月延長:AURA3 試験T790M変異陽性NSCLCに対するオシメルチニブの有効性:AURA2試験

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NSCLC2次治療のS-1、ドセタキセルに非劣性:肺癌学会

 第57回日本肺癌学会のプレナリーセッションにて、プラチナ既治療非小細胞肺がん(以下、NSCLC)に対するS-1とドセタキセルの第III相無作為化比較試験EAST-LC(East Asia S1 Trial Lung Cancer)の主要な結果について、日本人のサブ解析を交え仙台厚生病院の菅原俊一氏が発表した。 ドセタキセルは、進行NSCLCの2次治療以降の標準化学療法の1つと位置付けられている。一方、S-1は既治療のNSCLCに対する有効性・安全性が報告されている。当試験は、進行NSCLCの既治療患者における、S-1 のドセタキセルに対する非劣性を検討する試験であり、日本の7施設および中国、台湾、香港、シンガポールの東アジア5ヵ国で行われた。 主要評価項目は全生存期間(OS)、副次的評価項目は無増悪生存期間(PFS )など。ドセタキセルは60mg/m2(海外では承認用量75mg/m2)を3週ごと、S-1は80~120mg/日を6週ごとに(4週投与、2週休薬)投与された。 両群で期待される生存期間中央値を12ヵ月、非劣性マージンのハザード比を1.2とした。対象は、ステージIIIBおよびIVの成人NSCLC。前治療歴が2レジメン以内で、少なくとも1つのプラチナベースの治療が行われている症例(EDFR- TKIを用いた場合は3レジメンまで許容)。1,154例が登録され、無作為にドセタキセル、S-1に1対1(ともに577例)に割り付けられた。 結果、OS中央値はドセタキセル群12.52ヵ月、S-1群12.75ヵ月であり、S-1の非劣性基準1.2を満たした(HR:0.945、95%CI:8.33~1.073)。日本人集団では、ドセタキセル群12.63ヵ月、S-1群13.37ヵ月(HR:0.922、95%CI:0.789~1.079)と同様の結果であった。また、QOLについては、全体集団および日本人集団ともにS-1 群で有意に良好であった。 有害事象は、血液毒性についてはドセタキセル群で白血球減少、好中球減少、発熱性好中球減少症など、S-1群で血小板減少が多く認められた。非血液毒性については、ドセタキセル群で四肢浮腫、末梢性ニューロパチー、脱毛が高頻度に認められ、S-1群では口腔粘膜炎、嘔吐、食欲不振、下痢などの消化器症状が多く認められた。これらは全体集団、日本人集団とも同様の傾向であった。

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新たな時代を迎えた「がん免疫療法」

 「免疫チェックポイント阻害薬」の登場以降、がん治療における免疫療法には大きな関心が集まっている。 長年、がん免疫療法分野の研究に携わってきた慶應義塾大学医学部 先端医療科学研究所 教授の河上 裕氏は、医療課題から複合免疫療法まで免疫療法を取り巻く概況について講演した。 当月開催のプレスセミナー「免疫チェックポイント阻害薬の基礎と今後の展望」(主催:アストラゼネカ株式会社 2016年12月13日都内開催)より内容を抜粋して紹介する。求められる、使い方の工夫 免疫チェックポイント阻害薬(以下、免疫CP阻害薬)の登場以降、「がん免疫療法」には注目が集まっている。 ヒトの体には免疫機構が備わっているが、遺伝子異常を持つがん細胞には免疫防御をくぐり抜ける「がん免疫逃避機構」がある。この抗腫瘍免疫にブレーキをかける経路が、免疫チェックポイントと呼ばれるCTLA4経路や PD-1/PD-L1経路である。そして、このブレーキを解除するのが、免疫CP阻害薬である。 治療奏効率の高さで注目を集める免疫CP阻害薬だが、医療経済的課題から議論は続いている。河上氏は「使い方の工夫が必要」と述べる。使用時期、使用症例の選択は? 使い方で問題となるのが「使用時期」だ。河上氏は、「悪性黒色腫や肺がんは未治療例への奏効率が高く、最初に使うことで治療成績が上がる可能性がある」という。しかし、無駄な治療は前述の医療経済的課題につながる。 そこで「使用症例」の選択が重要となる。臨床で唯一使用されているバイオマーカーは「PD-L1」のみだが、今後臨床応用が期待されているバイオマーカーには以下がある。・CD8+T細胞の腫瘍湿潤度・DNA突然変異数、DNA修復関連遺伝子の不良(MMR、POLE、BRCA1/2など)・腫瘍組織の遺伝子発現解析(IFN signature,CTL signature)・治療後のTCRレパートリー解析 これらマーカーのさらなる開発、精度向上が期待されている。 このほか、効きが悪いがん種も明らかになりつつある。「膵がん」「大腸がん」「多発性骨髄腫」「前立腺がん」などは効きが悪い可能性が高い。そこで「効きが悪い症例をどこまで効く状態に変えられるか?」というアプローチにも注目が集まっている。それが「複合免疫療法」である。複合免疫療法で、効きが悪い症例を効く状態に 現在、「複合免疫療法」を検討した臨床試験は複数進行中だ。同じ免疫制御系の組み合わせとして注目されるのが、「抗PD-1 抗体+抗CTLA4抗体」の併用。2剤の併用は単剤治療に比べ奏効率を増加させたと報告されており、補完的作用が期待される。 そのほか、化学療法剤や分子標的治療薬と免疫CP阻害薬とを組み合わせた複合免疫療法の検討も進行中だ。抗腫瘍免疫ネットワークを総合的に制御する「複合免疫療法」の開発に期待がかかる。新しい時代を迎えたがん免疫療法 がん免疫療法はすでに標準がん治療の仲間入りをした。今後、新技術の開発によりがん免疫病態の解明も進むだろう。しかし、米国で1,000以上の臨床試験が進行している一方、日本での臨床試験実施数はまだまだ不足している。 河上氏は「今後は日本でも産学官連携がいっそう重要となる。日本で実施する臨床試験により、免疫病態の解析が進むことを期待したい。」と述べ、講演を締めくくった。

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ニボルマブ、小細胞肺がんに単独およびイピリムマブ併用で有望な効果:CheckMate-032

 ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は12月7日、治療歴を有する小細胞肺がん(SCLC)患者を対象に、ニボルマブ(商品名:オプジーボ)単剤療法およびニボルマブとイピリムマブ(商品名:ヤーボイ)の併用療法を評価した第I/II相非盲検 CheckMate-032試験におけるコホートの最新結果を発表した。 追加の追跡調査において、確定奏効率(主要評価項目)は、ニボルマブ・イピリムマブ併用群で25%(95%CI:15~37)、ニボルマブ単剤群で11%(95%CI:6~19)であった。奏効は、プラチナ製剤感受性および治療歴にかかわらず認められた。併用群では、患者3例が完全奏効を達成した。推定2年生存率は、ニボルマブ・イピリムマブ併用群で30%、ニボルマブ単剤群では17%であった。この解析において、新たな安全性シグナルは認められなかった。Grade3/4の治療に関連する投与中止率は、ニボルマブ・イピリムマブ併用群で10%、ニボルマブ単剤群で4%であった。これらの結果は、ウィーンで開催された第17回世界肺癌学会議で発表された。  CheckMate-032試験は、進行期または転移性固形がんを対象に、ニボルマブ単剤療法またはニボルマブとイピリムマブの併用療法の安全性と有効性を異なる用量および投与スケジュールで評価した進行中の第I/II相非盲検臨床試験。本試験では、PD-L1発現および非発現患者の両方を組み入れた。主要評価項目は、RECIST 1.1基準に基づく治験担当医師の判定による確定奏効率(ORR)。副次的評価項目は、安全性、全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)および奏効期間(DOR)であった。 CheckMate-032試験の小細胞肺がん(SCLC)コホートには、プラチナ製剤による化学療法の1次治療を含め、1種類以上の治療歴を有する進行性の患者217例が組み入れられた。この解析において、患者はニボルマブ3mg/kgを2週間ごとに、またはニボルマブ1mg/kg+イピリムマブ3mg/kgを3週間ごとに4サイクル静脈内投与され、その後ニボルマブ3mg/kgが2週間ごとに投与された。すべての患者は、病勢進行または忍容できない毒性が認められるまで投与を継続した。ニボルマブ・イピリムマブ併用群では中央値21ヵ月、ニボルマブ単剤群で15.7ヵ月追跡調査された。ベースライン時に患者の73%がPD-L1 発現について評価可能であり、そのうち17%において、PD-L1発現レベルが1%以上であった。生存率および奏効率に関して報告されたデータに加え、ニボルマブ・イピリムマブ併用群21例、 ニボルマブ単剤群11例において、確定部分奏効で有効性が認められた。確定された病勢安定は、両群で同様であった(併用療法群25例、単剤療法群24例)。DORの中央値は、併用療法群で11.7ヵ月(95%信頼区間:4.0、NR)、単剤療法群では未達であった。併用療法群と単剤療法群では、それぞれ33%(15 例中5例)と27%(11例中3例)で、投与開始から18 ヵ月以上奏効が継続していた。 単剤療法群および併用療法群において、患者の10%以上で報告されたGrade3/4 の治療関連有害事象(AE)は、それぞれ疲労(1% vs.0%)、そう痒症(0% vs.2%)、下痢 (0% vs.5%)、悪心(0% vs.2%)、発疹(0% vs.5%)、甲状腺機能低下症(0% vs.2%)、斑状丘疹状皮疹(0% vs.3%)およびリパーゼ上昇(0% vs.8%)であった。Grade3/4の治療関連AEによる投与中止は、ニボルマブ単剤療法群の4%、併用療法群の10%で発生した。治療関連の新たな死亡は認められなかった。ブリストル・マイヤーズ(米国)プレスリリースはこちら

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抗PD-L1抗体atezolizumab、非小細胞肺がんのOSを延長/Lancet

 扁平上皮・非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)に対し、免疫チェックポイント阻害薬の抗PD-L1抗体atezolizumabは、PD-L1蛋白質の発現状況にかかわらず、ドセタキセルに比べ全生存期間を有意に延長することが示された。安全性プロファイルも良好だった。ドイツLungenfachklinik Immenhausen病院のAchim Rittmeyer氏らが行った、第III相国際多施設共同無作為化非盲検試験「OAK」の結果で、Lancet誌オンライン版2016年12月12日号で発表した。OAKは、PD-L1をターゲットとした治療の初となる第III相無作為化試験だという。プラチナ製剤ベース化学療法実施後のStageIIIB・IVのNSCLCを対象に試験  研究グループは2014年3月11日~2015年4月29日にかけて、31ヵ国、194の大学または地域のがん治療センターを通じ、扁平上皮・非扁平上皮NSCLCの18歳以上の患者で、固形がんの治療効果判定のためのガイドラインにより測定可能で、米国東海岸がん臨床試験グループ(ECOG)による全身状態の評価尺度が0~1の1,225例を対象に試験を行った。被験者は、プラチナ製剤ベースの化学療法を1~2回受けており、StageIIIBまたはIVのNSCLCだった。自己免疫性疾患やドセタキセル、CD137作動薬、抗CTLA4、PD-L1・PD-1パスウェイを標的とした治療をすでに受けていた人については、被験者から除外した。 同グループは被験者を無作為に2群に分け、atezolizumab 1,200mgまたはドセタキセル75mg/m2を3週ごとに静脈投与した。 主要評価項目は2つで、intent-to-treat解析による全生存期間と、PD-L1発現で分類したサブグループ(TC1/2/3またはIC1/2/3)の全生存期間だった。主要有効性解析は、1,225例中、最初の850例(atezolizumab群、ドセタキセル群ともに425例)を対象に行った。生存期間中央値、atezolizumab群で約4ヵ月延長 その結果、ITTおよびサブグループによる解析ともに、全生存期間(OS)はatezolizumab群でドセタキセル群に比べ有意に延長した。ITT解析では、atezolizumab群のOS中央値は13.8ヵ月(95%信頼区間[CI]:11.8~15.7)に対し、ドセタキセル群は9.6ヵ月(8.6~11.2)だった(ハザード比[HR]:0.73、95%CI:0.62~0.87、p=0.0003)。 PD-L1発現が1%以上の腫瘍細胞または腫瘍浸潤免疫細胞に認められたサブグループ(TC1/2/3またはIC1/2/3)でもOS中央値は、atezolizumab群(241例)15.7ヵ月(95%CI:12.6~18.0)、ドセタキセル群(222例)10.3ヵ月(8.8~12.0)と有意差が認められた(HR:0.74、95%CI:0.58~0.93、p=0.0102)。また、PD-L1発現が1%未満のサブグループ(TC0またはIC0)でも、OS中央値はそれぞれ12.6ヵ月、8.9ヵ月と、atezolizumab群で有意に延長した(HR:0.75、95%CI:0.59~0.96)。 生存期間の延長効果については、扁平上皮または非扁平上皮のNSCLCで同等だった。 なお、Grade3または4の治療に関連した有害事象の発生率は、ドセタキセル群43%に対してatezolizumab群は15%と少なかった。

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トラスツズマブとバイオシミラー、ERBB2陽性乳がん奏効率は同等/JAMA

 トラスツズマブのバイオシミラー(バイオ後続品)は、タキサン系薬剤の投与を受けているERBB2(HER2)陽性の転移性乳がん女性において、トラスツズマブと同等の奏効率をもたらすことが、米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のHope S Rugo氏らが行ったHeritage Studyで示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2016年12月1日号に掲載された。モノクローナル抗体などのバイオ医薬品は、多くのがんの治療選択肢であり、アウトカムを大きく改善するが、これらの薬剤への近接性が十分でない国も多いという。いくつかのバイオ医薬品の特許期間の満期がさし迫り、世界中の製薬企業や保健機関にとって、バイオシミラーの開発は高品質の代替薬へのアクセスを高めるものとして、優先度が高くなっている。バイオ後続品の同等性を検証する無作為化試験 Heritage Studyは、ERBB2陽性の転移性乳がん患者におけるトラスツズマブのバイオシミラー(MYL-1401O)の安全性と有効性を評価する国際的な二重盲検無作為化並行群間比較試験(Mylan社の助成による)。 対象は、化学療法薬およびトラスツズマブによる前治療歴のないERBB2陽性の測定可能病変を有する女性または男性の転移性乳がん患者であった。全身状態(ECOG PS)は0~2、左室駆出率(LVEF)は各施設の正常範囲とし、術後トラスツズマブ施行例は1年以上が経過していれば可、脳転移例は放射線照射などで病態が安定した場合は可とし、ホルモン薬は試験開始前に中止することとした。 被験者は、バイオシミラー+タキサン系薬剤またはトラスツズマブ+タキサン系薬剤を投与する群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。バイオシミラーとトラスツズマブは3週ごとに静脈内投与し、初回は8mg/kgを90分で、2回目以降は6mg/kgを30分で投与した。タキサン系薬剤(ドセタキセル、パクリタキセル)の選択は、担当医の裁量とした。治療は、許容できない毒性の発現や病勢が進行するまで、8サイクル(24週)以上施行することとした。 主要評価項目は、24週時の客観的奏効率(ORR:完全奏効[CR]+部分奏効[PR])であり、バイオシミラーのトラスツズマブに対するORR比の90%信頼区間(CI)が0.81~1.24の範囲内、またはORR差の95%CIが-15~15%以内の場合に、両群の腫瘍縮小効果は同等と判定した。 2012年12月~2015年8月に、ブルガリア、チリ、チェコ、ジョージア、ハンガリー、インド、ラトビア、フィリピン、ポーランド、ルーマニア、ロシア、セルビア、スロバキア、南アフリカ、タイ、ウクライナの95施設に500例が登録され、458例(バイオシミラー群:230例、トラスツズマブ群:228例)が有効性解析の対象となった(ITT集団)。安全性は493例(247例、246例)で検討された。TTP、PFS、OSに有意差なし、有害事象プロファイルも類似 全体の平均年齢は53.6歳(SD 11.11)、白人(バイオシミラー群:69.1%、トラスツズマブ群:67.5%)が多くを占め、次いでアジア人(30.4%、31.6%)が多かった。登録例はすべて女性だった。 ORRは、バイオシミラー群が69.6%(95%CI:63.62~75.51)、トラスツズマブ群は64.0%(95%CI:57.81~70.26)であった。CRがバイオシミラー群の3例(1.3%)で得られた。ORR比は1.09(90%CI:0.974~1.211)、ORR差は5.53(95%CI:-3.08~14.04)であり、いずれも事前に規定された同等性限界内であった。 48週時の無増悪率(TTP、バイオシミラー群:41.3% vs.トラスツズマブ群:43.0%、群間差:-1.7%、95%CI:-11.1~6.9、p=0.68)、無増悪生存率(PFS、44.3 vs.44.7%、-0.4%、-9.4~8.7、p=0.84)、全生存率(OS、89.1 vs.85.1%、4.0%、-2.1~10.3、p=0.31)は、いずれも両群間に有意な差を認めなかった。 24週時の1つ以上の治療関連有害事象の発現率は、バイオシミラー群が96.8%(239/247例)、トラスツズマブ群は94.7%(233/246例)であった。頻度の高い有害事象は、脱毛(バイオシミラー群:57.5 vs.トラスツズマブ群:54.9%)、好中球減少(57.5 vs.53.3%)、末梢神経障害(23.1 vs.24.8%)、下痢(20.6 vs.20.7%)の順であった。 重篤な有害事象の発現率は、バイオシミラー群が38.1%(94/247例)、トラスツズマブ群は36.2%(89/246例)であった。全体で、好中球減少(26.4%)の頻度が最も高く、次いで発熱性好中球減少(4.3%)、白血球減少(3.2%)の順だった。重篤な有害事象の発現例のうち8例(両群4例ずつ)が死亡し、このうち呼吸器不全死の1例ずつで、試験薬関連の可能性が示唆された。 ベースラインのLVEF中央値は、バイオシミラー群が64.0%(範囲:51~82)、トラスツズマブ群は63.0%(範囲:51~84)であり、24週時の変化率はそれぞれ-1.0%(範囲:-13~21)、-1.0%(範囲:-19~13)であり、大きな変化はみられなかった。 著者は、「安全性や長期的な臨床アウトカムを評価するために、さらに検討を進める必要がある」とし、「トラスツズマブは世界中で広く使用可能な状況ではないが、このバイオシミラーは価格が低くなり、非高所得国の女性がアクセスできるようになる可能性がある」としている。

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ペムブロリズマブ、肺がん1次治療でQOLを改善

 Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.は2016 年12 月7 日、PD-L1 高発現(PDL1発現陽性細胞の割合が50%以上:TPS≧50%)の転移性非小細胞肺がん(NSCLC)患者に抗PD-1 抗体ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)と、現在の標準療法であるプラチナ製剤による化学療法を比較した第III相試験KEYNOTE-024の探索的解析で示された健康関連QOL(health-related quality of life: HR QOL)のデータを発表。 本データは、ウィーンで開催された第17回世界肺癌会議(WCLC)のプレナリーセッションで 、Johns Hopkins Kimmel Cancer Center のJulie Brahmer 氏により発表された。(アブストラクト#PL04a.01)  KEYNOTE-024試験は、転移性非小細胞肺がん患者の1次治療としての、ペムブロリズマブの単独療法と標準治療のプラチナ併用化学療法を比較する無作為化第 III相検証試験。進行性病変に対する全身化学療法歴がなく、EGFR遺伝子変異またはALK転座が認められず、PD-L1高発現(TPS≧50%)の患者305例を対象として行われた。主要評価項目は無増悪生存期間で、主な副次評価項目は全生存期間、全奏効率および安全性であった。探索的アウトカムは奏効期間および患者報告アウトカムであった。 WCLCで発表された健康関連QOLデータは、全般的健康状態(身体、感情、知覚、社会機能のほか倦怠感、痛みなど)(QLQ-C30)および悪化時間(咳、胸痛、脱毛、呼吸困難などの症状)(QLQ-LC13)を評価する、欧州がん治療研究機構(EORTC)の2つの主なQOLに関するアンケート調査によるベースライン時から15週時の変化に基づくものであった。 すべての治療群で、患者報告アウトカムのコンプライアンスはベースライン時で90%以上、15週時において約80%であった。このデータでは、化学療法群と比較してペムブロリズマブ群で顕著なQOLおよび症状の改善または維持が認められた(少なくとも1つのアンケートに回答した299例の患者に基づく)。とくに、ベースライン時から15週時の全般的健康状態の変化(最小二乗の差、数値が高いほうで改善が大きい)は、化学療法群で-0.9(95%CI:-4.8~-3.0)であったのに対し、ペムブロリズマブ群では6.9(95%CI:3.3~10.6)であった。特定の機能や症状に基づく解析では、化学療法群よりペムブロリズマブ群でより多くの患者から、全般的健康状態やQOL、倦怠感、痛みの改善が報告された。ペムブロリズマブ群では化学療法群より悪化が認められた患者の割合が低く(それぞれ30.5%、39.2%)、悪化までの時間もペムブロリズマブ群の方が遅い結果となった(ハザード比:0.66、95%CI:0.44~0.97、p=0.029)。MERCK(米国)のニュースリリースはこちら

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トリプルネガティブ乳がんにエリブリンとペムブロリズマブの併用:サン・アントニオ乳癌シンポジウム

 エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫)は、エリブリンメシル酸塩(製品名:ハラヴェン)と抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A. 米国とカナダ以外ではMSD)との併用療法による、転移性トリプルネガティブ乳がんを対象としたグローバル臨床第Ib/II相試験(218試験)の中間解析結果の成績を報告した。この報告は第39回サン・アントニオ乳癌シンポジウムにて発表されたもの。 218試験は、2レジメン以下のがん化学療法治療歴のある転移性トリプルネガティブ乳がんの患者95例を対象として、エリブリンとペムブロリズマブ併用における有効性と安全性を評価する、多施設共同、単群、非盲検の臨床第Ib/II相試験。主要評価項目として第Ib相パートにおいては安全性と忍容性を、第II相パートにおいては奏効率(ORR)を評価するもの。 本発表では、2016年7月時点において臨床試験に登録された89例中39例の患者に対する中間解析に関して報告した。21日を1サイクルとした、エリブリン(1日目と8日目に1.4mg/m2を静脈内投与)およびペムブロリズマブ(1日目に200mgを静脈内投与)の併用療法において、ORRは33.3%(完全奏効1例および部分奏効12例)であった。また、PD-L1陽性と陰性との間で、ORRの違いは認められなかった。併用投与群において高頻度で確認された有害事象(頻度35%以上)は、疲労、悪心、末梢神経障害、好中球減少、脱毛であった。Grade3以上の有害事象は66.7%で観察され、高頻度(7%以上)に確認されたものは、好中球減少(30.8%)、疲労(7.7%)であった。 エリブリンは、新規の作用機序を有するハリコンドリン系の微小管ダイナミクス阻害剤。従来の作用機序に加えて、最近の非臨床研究において、腫瘍の血流循環を改善すること、乳がん細胞の上皮細胞化を誘導すること、乳がん細胞の転移・浸潤能を減少させることなどの作用を有することが知られている。本剤は、乳がんに係る適応について、60ヵ国以上で承認を取得している。

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第57回日本肺癌学会、福岡で開催

 第57回日本肺癌学会学術集会が、2016年12月19日~21日まで福岡市の福岡国際会議場、福岡サンパレス、福岡国際センターを会場として開催される。 学術集会の会長である九州大学大学院付属胸部疾患研究施設 教授 中西洋一氏は、第13回肺がん医療向上委員会にて当学術集会のハイライトを紹介。今回のテーマは「Innovation for the Next Stage- 肺癌にかかわるすべての人のために-」とし、学術の振興と国際化、チーム医療プログラムの充実、患者・家族向けプログラムの3点をポイントとした。演題数も1,500以上と過去最多で、シンポジウム18セッション、ワークショップ3セッション、教育演題18講演が予定され、Patient Advocate Programも用意されている。 12月20日のプレナリーセッションでは、プラチナ既治療非小細胞肺がんへのS-1とドセタキセルの比較第III相試験(EAST-LC)、T790M陽性の非小細胞肺がんでのオシメルチニブと化学療法の比較試験(AURA3)が発表され、同日のアンコールセッションでは、IB-IIIA期非小細胞肺がんの術後補助化学療法比較第III相試験(SLCG0401)、ALK陽性肺がんに対するアレクチニブとクリゾチニブの比較第III相試験(J-ALEX)、PD-L1高発現未治療非小細胞肺がんにおけるペムブロリズマブの第III相試験(KEYNOTE-024)の結果がレビューされる。 国際化の流れを受け、世界の肺癌診療をリードする海外演者26名を招聘。12月19日のシンポジウム2 「ALK戦線異常あり」ではAlice T. Shaw氏が、12月21日のシンポジウム17「トランスレーショナルリサーチ」では、Chung-Ming Tsai氏と現世界肺癌学会会長のDavid Carbone氏が、同日の招請講演では前世界肺癌学会会長のTony S. K. Mok氏が登壇する。 また、ニボルマブの薬価問題を受け、12月20日の特別企画「医療費とガイドライン」、同日の学術委員会シンポジウム「医療経済から観た適切な肺がん治療」が開催される。第57回日本肺癌学会学術集会のホームページはこちら

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第3回 東京医科歯科大学「がんを考える」市民公開講座【ご案内】

 東京医科歯科大学医学部附属病院 腫瘍センター、同院腫瘍化学療法外科、同大学院がんプロフェッショナル養成基盤推進プラン、同大学院応用腫瘍学講座は、2017年1月15日(日)に、第3回「がんを考える」市民公開講座を開催する。本講座は、地域がん診療連携拠点病院である同院が活動の一環として行っている、がんに関するさまざまなテーマで開催する公開講座の3回目となる。今回は「一緒に考え、選び、支えるがん治療」をテーマに、さまざまな職種ががん患者と家族を支える窓口について、広く知ってもらうための内容になっており、各種ブース展示や体験コーナーなど、楽しく学べる企画が多数予定されている。 開催概要は以下のとおり。【日時】2017年1月15日(日)《セミナー》13:00~16:30《ブース展示》12:00~17:00【場所】東京医科歯科大学 M&D タワー2F 鈴木章夫記念講堂〒113-8510 東京都文京区湯島1-5-45現地キャンパスマップはこちら【参加費】無料(※参加申し込み不要)【テーマ】一緒に考え、選び、支えるがん治療【予定内容】《セミナー》13:00~16:30 鈴木章夫記念講堂司会:石川 敏昭氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 腫瘍化学療法外科)13:00~13:10 開会挨拶 三宅 智氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 腫瘍センター センター長)13:10~13:30 講演1 がん治療を「選ぶ」ためのヒント 石黒 めぐみ氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 腫瘍化学療法外科)13:30~14:10 情報提供 あなたのがん治療に必要な「支える」は? 《座長》  本松 裕子氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 腫瘍センター 緩和ケア認定看護師) 《パネリスト》  橋爪 顕子氏(同院 がん化学療法看護認定看護師)  安藤 禎子氏(同院 皮膚・排泄ケア認定看護師)  侭田 悦子氏(同院 皮膚・排泄ケア認定看護師)  高橋 美香氏(同院 医療連携支援センター医療福祉支援室 退院調整看護師)  山田 麻記子氏(同院 がん相談支援センター 医療ソーシャルワーカー)  坂下 千瑞子氏(同院 血液内科)14:10~14:30 医科歯科大のがん治療 update(1) 整形外科「骨転移専門外来」をご活用ください! 佐藤 信吾氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 整形外科)14:30~14:50 医科歯科大のがん治療 update(2) 咽頭・食道がんの低侵襲治療~大酒家のためのトータルケア 川田 研郎氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 食道外科)14:50~15:10 休憩15:10~15:50 講演2 がんを病んでも地域で暮らす~かかりつけ医と在宅医療のすすめ 川越 正平氏(あおぞら診療所 院長)15:50~16:25 講演3 正しく知ろう!「緩和ケア」 三宅 智氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 腫瘍センター センター長)16:25~16:30 閉会挨拶 植竹 宏之氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 腫瘍化学療法外科 科長[教授])《ブース展示》 12:00~17:00 講堂前ホワイエ■がんと栄養・食事 (東京医科歯科大学医学部附属病院 臨床栄養部)■お口の楽しみ、支えます (東京医科歯科大学歯学部 口腔保健学科)■ウィッグ・メイクを楽しもう! (アプラン東京義髪整形/マーシュ・フィールド)■在宅治療の味方 皮下埋め込みポートって何? (株式会社メディコン)■がん患者さんの家計・お仕事に関するご相談 (特定非営利活動法人 がんと暮らしを考える会)■がん患者と家族へのピアサポートの紹介 (特定非営利活動法人 がん患者団体支援機構)■がん相談支援センター活用のすすめ (東京医科歯科大学医学部附属病院 がん相談支援センター)■「もっと知ってほしい」シリーズ冊子 (認定NPO法人 キャンサーネットジャパン)■「看護師」にご相談ください~一緒に解決の糸口を探しましょう~ (東京医科歯科大学医学部附属病院 専門・認定看護師チーム)【お問い合わせ先】東京医科歯科大学医学部附属病院 腫瘍センター〒113-8510 東京都文京区湯島1-5-45TEL:03-5803-4886(平日 9:00~16:30)【共催】東京医科歯科大学医学部附属病院 腫瘍センター東京医科歯科大学医学部附属病院 腫瘍化学療法外科東京医科歯科大学大学院 がんプロフェッショナル養成基盤推進プラン東京医科歯科大学大学院 応用腫瘍学講座【協力】認定NPO 法人キャンサーネットジャパン【後援】東京医科歯科大学医師会東京都医師会/文京区/東京都第3回 東京医科歯科大学「がんを考える」市民公開講座 詳細はこちら(PDF)

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オシメルチニブ、T790M変異陽性NSCLCのPFSを6ヵ月延長:AURA3 試験

 AstraZeneca(米国)は2016年12月6日、オシメルチニブ(商品名:タグリッソ)が、EGFR T790M変異陽性転移性非小細胞肺がん(NSCLC)の新たな標準的2次治療としての可能性を支持するAURA3試験のデータを発表した。このオシメルチニブ初の無作為化第III相試験では、オシメルチニブがプラチナ・ダブレット化学療法と比較して無増悪生存期間(PFS)を5.7ヵ月改善したことを示した。この結果は、ウィーンで開催された第17回世界肺癌学会議(WCLC)で発表され、New England Journal of Medicine誌オンライン版に掲載された。 AURA3試験のデータでは、オシメルチニブが標準的なプラチナ・ダブレット化学療法に対し、統計学的に有意なPFSの改善を示した(10.1ヵ月 vs.4.4ヵ月、HR:0.30、95%CI:0.23~0.41、p<0.001)。 また、被験者の34%を占める中枢神経系(CNS)転移患者に対する探索的サブグループ解析では、オシメルチニブのPFS8.5ヵ月に対して、ペメトレキセドとプラチナ併用化学療法では4.2ヵ月であった(HR:0.32、95%CI:0.21~0.49)。 AURA3試験におけるオシメルチニブの安全性データは、以前の経験と一致していた。Grade3以上の薬剤関連有害事象(AE)は、オシメルチニブの6%(n=16)、プラチナ・ダブレット化学療法の34%(n=46)で報告された。オシメルチニブ群でよくみられた薬剤関連AEは、下痢(全体29%、Grade3以上1%)、皮疹(全体28%、Grade3以上1%未満)で、化学療法群では悪心(全体47%、Grade3以上3%)、食欲減退(全体32%、Grade3以上3%)であった。(ケアネット 細田 雅之)参考AstraZeneca(米国):プレスリリースAURA3試験(ClinicalTrials.gov)関連ニュースT790M変異陽性NSCLCに対するオシメルチニブの有効性:AURA2試験

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