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転移TN乳がん、GEM/CBDCAにtrilaciclib追加でOSが大きく改善/ESMO2019

 強力なCDK4/6阻害薬であるtrilaciclibは、その作用機序および前臨床試験から骨髄毒性の抑制および抗腫瘍作用の改善効果が期待されている。今回、転移を有するトリプルネガティブ乳がん(mTNBC)に対する多施設無作為化非盲検第II相試験において、ゲムシタビン/カルボプラチン(GEM/CBDCA)にtrilaciclibを追加することにより、全生存期間(OS)を有意に改善したことが報告された。一方、主要評価項目である好中球減少症の有意な抑制効果は示されなかった。スペインで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)で、米国・Texas Oncology-Baylor Sammons Cancer CenterのJoyce O'Shaughnessy氏が発表。なお、本試験結果はLancet Oncology誌オンライン版9月28日号に同時掲載された。・対象:再発/転移乳がんに対して0~2レジメンの化学療法を受けたmTNBC患者・試験群:以下の3群に無作為に割り付け グループ1:GEM/CBDCA(Day1、8) 34例 グループ2:GEM/CBDCA(Day1、8)+trilaciclib(Day1、8) 33例 グループ3:GEM/CBDCA(Day2、9)+trilaciclib(Day1、2、8、9) 35例 病勢の進行(PD)もしくは不耐の毒性発現まで21日ごとに投与・評価項目: [主要評価項目]GEM/CBDCAによる好中球減少症の抑制(1サイクル目におけるGrade4の好中球減少症の期間、治療期間におけるGrade4の好中球減少症の発症) [副次評価項目]奏効率(ORR)、無増悪生存期間(PFS)、OSなど 主な結果は以下のとおり。・52.0%がECOG PS 0、37.3%が化学療法を受けていた。・追跡期間中央値は10.5ヵ月(範囲:0.1~25.8ヵ月)であった。・薬物曝露期間の中央値は、グループ1(3.3ヵ月、4サイクル)に比べ、グループ2(5.3ヵ月、7サイクル)およびグループ3(5.5ヵ月、8サイクル)で延長した。・1サイクル目のGrade4の好中球減少症の平均日数、治療期間におけるGrade4の好中球減少症の患者割合とも有意な差がみられず、trilaciclibによる骨髄抑制の有意な改善は認められなかった。・ORRは、グループ1の33.3%に対して、グループ2(50.0%)、グループ3(36.7%)とも有意な差はなかった。・PFSは、グループ1に対してグループ2(HR:0.60、95%信頼区間[CI]:0.30~1.18、p=0.13)およびグループ3(HR:0.59、95%CI:0.30~1.16、p=0.12)で有意な改善は認められなかったが、グループ2と3の合計では改善傾向がみられた(HR:0.59、95%CI:0.33~1.05、p=0.063)。・OSは、グループ1に対してグループ2(HR:0.33、95%CI:0.15~0.74、p=0.028)、グループ3(HR:0.34、95%CI:0.16~0.70、p=0.0023)、グループ2と3の合計(HR:0.36、95%CI:0.19~0.67、p=0.0015)とも有意に改善した。・trilaciclib関連の重篤な有害事象はみられなかった。

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CDK4/6阻害薬trilaciclibの小細胞肺がん化学療法における骨髄保護作用/Ann Oncol

 小細胞肺がんの治療においても、化学療法の骨髄毒性は大きな問題である。trilaciclibは、化学療法中の造血幹細胞・前駆細胞(HSPC)および免疫系機能保護を目的に開発中のCDK4/6阻害薬であり、前臨床において、HSPCのG1期からの移行を一時的に制御し、化学療法のダメージから保護することで、骨髄毒性からの回復を早め抗腫瘍免疫を強化するとされる。trilaciclibの骨髄保存の利点に対する概念実証を強固に示した 未治療の進展型小細胞肺がんにおける、trilaciclibの有効性、安全性および薬物動態を検証した第I/II相試験の結果が発表された。Annals of Oncology誌2019年8月27日号掲載の報告。 同試験はPart1(非盲検、用量設定)とPart2(無作為化、二重盲検プラセボ対照)からなる。Part2では、被験者は無作為に割り付けられ、エトポシド+カルボプラチン(E/P)の各サイクル前にtrilaciclibまたはプラセボを投与された。評価項目は骨髄抑制に対するtrilaciclibの効果と抗腫瘍効果であった。 trilaciclibの有効性を検証した主な結果は以下の通り。・122例の患者が登録された(Part1に19例、Part2に75例)。・trilaciclib群では好中球数、赤血球数、リンパ球の改善が確認された。・Grade3以上の有害事象(AE)はtrilaciclib+E/P群50%、プラセボ+E/P群83.8%とtrilaciclib群で良好であった。その結果は主に血液毒性の減少によるものであった。・trilaciclibに関連するGrade3以上のAEは発生しなかった。・全奏効率はtrilaciclib+E/P群 66.7%、プラセボ+E/P群56.8%であった(p=0.3831)。・無増悪生存期間PFS中央値はtrilaciclib+E/P群 6.2ヵ月、プラセボ+E/P群5.0ヵ月であった(HR:0.71、p=0.1695)。・全生存期間中央値はtrilaciclib+E/P群 10.9ヵ月、プラセボ+E/P群10.6ヵ月であった(HR:0.87、p=0.6107)。 筆者は「この試験の結果はtrilaciclibの骨髄保存の利点に対する概念実証を強固に示した」と結論付けた。

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わが国の進行固形がん患者におけるVTE発生頻度~多施設共同前向き観察研究/日本がんサポーティブケア学会

 がんは静脈血栓塞栓症(VTE)のリスク因子であるといわれている。しかし、日本においては固形がん患者を対象に積極的なスクリーニングを用いてVTEの評価をする大規模な研究は報告されていない。そこで、日本人の進行固形がん患者におけるVTEの発生割合を、造影CT、下肢静脈エコー、D-ダイマーを用いたスクリーニングにより前向きに評価する多施設共同観察研究VISUAL Studyが行われた。その結果を第4回日本がんサポーティブケア学会学術集会にて静岡市立静岡病院の佐竹 康臣氏が発表した。 対象は、初回全身治療を28日以内に予定している切除不能または進行・再発の固形がん患者(PS0~2)。主要評価項目は、登録時から登録後24週までのVTEの発生割合。副次評価項目は、VTE発生割合(登録時、12週、24週)、がん種別のVTE発生割合、症候性のVTEの発生割合、肺塞栓症の発生割合、VTEの治療状況であった。 主な結果は以下のとおり。・860例が対象集団として登録された。・登録時から登録後24週までのVTEの発生割合は22.6%(860例中194例)であった。・登録時のVTE発生割合は11.3%、12週後では16.8%、24週後では14.1%であった。・がん種別のVTE発生は肺がん24.1%、消化器がん17.7%、肝胆膵がん25.6%、婦人科がん32.1%であった。・症候性のVTE発生割合は4.0%、肺塞栓症の発生割合は1.0%であった。・登録時にVTEを認めなかった患者においても、化学療法開始後には12.7%にVTEが発症した。・治療前のVTEの独立したリスク因子は、女性、D-ダイマー高値であった。 インテンシブなVTEのスクリーニングを行った本試験では、わが国の進行固形がん患者におけるVTE発生頻度は、過去の報告と比較しても高いことが示された。

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腫瘍循環器病学の基礎研究の1つとなる論文(解説:野間重孝氏)-1113

 腫瘍循環器病学(Onco-cardiology)という領域には、まだあまりなじみのない方が多いのではないかと思う。この領域が本格的に稼働し始めたのは今世紀に入ってからで、実際、最初の専門外来がテキサス州立大学MDアンダーソンがんセンター内に開設されたのは2000年の出来事だった。わが国で同種の外来が大阪府立成人病センターにおいて初めて設置されるには、その後10年を待たなくてはならなかった。こうした事情を考えると、この領域について少し解説を加える必要があるのではないかと思う。 がん治療における心毒性の歴史は、アントラサイクリン心筋症に始まる。抗がん剤において急性期心毒性に加え、1年以上も経過してから出現する亜急性期心毒性が報告されたことが、同剤の心毒性についての関心を大きく高めた。1970年代の出来事である。その後の研究で、アントラサイクリンの投与容量がドキソルビシン換算400~450mg/m2以上で、高い頻度で心不全の発症が見られることがわかり、投与量を計画的に制限することでその発症を大幅に減少させることが可能になった。この一連の研究が、腫瘍循環器病学のいわば基礎になったことは言うまでもない。 その後がんの病態の解析が進み、今世紀には分子標的薬が出現する。HER2受容体を特異的に阻害する抗体であるトラスツズマブの出現は、今まで増殖性が強く難治性であったHER2陽性乳がんの予後を著明に改善し注目された。しかし、投与前には予想されていなかった心不全例が出現し、その原因としてHER2受容体が心筋細胞にも存在することが証明されたことは、大きな驚きをもって迎え入れられた。最近の最大の話題の1つに、2018年にノーベル生理学・医学賞を受賞した免疫チェックポイント阻害薬があるが、この種の薬剤でも劇症心筋炎が報告され、対応が苦慮されている。つまり新しい抗がん剤が出現すると、さらに新しい作用に合わせた予想できない心毒性が出現する可能性が考えられるのである。 しかし一連の研究の流れが、薬剤の心毒性→薬剤性心筋症→心不全という方向だけだったなら研究は薬剤研究の範囲内にとどまり、腫瘍循環器病学という新しい分野が創出されるに至ったかどうかは疑わしいと思う。がんから回復した患者(がんサバイバー)にがん治療からかなり時期をずらして静脈血栓症が多発すること、そして何よりもがんサバイバーに冠動脈疾患の発生率が高いことが(数倍~10倍ともいわれる)、この領域の研究がぜひ必要と認知される決定的な理由になったのではないかと思う。これらの疾患は原因・病態が複雑でひとくくりにできる性格のものでないことは言うまでもないが、まだその細かな解析にまでは至っていないのが現状である。この領域は、まだ生まれたばかりなのである。 さて、本論文はそうした状況の中、代表的ながん20種について英国の権威あるデータベースであるUK Clinical Practice Research Datalinkを用い、がんサバイバー10万8,215例に対し、年齢・性別をマッチさせた52万3,541例の(つまり複数の)対象をおいて心血管疾患の発生を25年にわたって追跡した大規模疫学研究である。それぞれのがんについて心血管疾患の発生倍率を算出し、かつ信頼区間についても明示された。研究グループの地道な努力に敬意を表するものである。さらに、従来この種の疫学研究は比較的若年者を対象とすることが多かったが、本研究では高齢者も対象としており、かつ年齢が発生頻度と関係することを示したことも注目されるべき点だろう。なお著者らは今回の研究の限界として、投与された化学療法の種類や投与量、がんの再発、心血管疾患の家族歴、人種、食事、アルコール消費量などの情報に信頼できるデータを示すことができなかったことを挙げているが、評者にはこれは確かに限界と言えば限界には違いないが、この種の疫学調査では避けて通れない種類の限界であり、この研究の価値を下げるものではないと思われる。それぞれの患者がそれぞれ置かれた環境で至適治療を受けたという事実が問題で、その結果としてどうなったのかこそが問題だからである。 今後がん治療には、どんどん新しい分野が開拓されていくことが予想される。その際、最も問題になるのが心血管系合併症であることが、はっきりと示されたことは大変に重要なことだと考える。本論文は正確な実態を把握することを主目的とし、何か新しい知見を示すことを目的とはしていない。しかし、今後ますます重要性を増していくであろうこの分野における、記念碑的な論文の1つになるであろうと考えるものである。

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高齢者乳がん、カペシタビン術後療法の10年評価/JAMA Oncol

 カペシタビンの早期高齢乳がん術後補助化学療法における標準療法に対する非劣性を検討した「CALGB 49907試験」の長期10年の追跡結果が、米国・ノースカロライナ大学Lineberger Comprehensive Cancer CenterのHyman B. Muss氏らにより発表された。Journal of Clinical Oncology誌2019年9月10日号掲載の報告。 同試験の主要解析の結果は、追跡期間中央値2.4年後に報告されており、標準術後化学療法は、カペシタビンとの比較において有意に良好な無再発生存期間(RFS)および全生存期間(OS)を示していた。今回、同グループは、追跡期間中央値11.4年後の結果をアップデート報告した。 CALGB 49907試験では、65歳以上の早期乳がん患者を、標準術後補助化学療法群(担当医がシクロホスファミド+メトトレキサート+フルオロウラシル、もしくはシクロホスファミド+ドキソルビシンのいずれかを選択)またはカペシタビン群に無作為に割り付け追跡が行われた。ベイジアン・アダプティブ・デザインを用いて試験サンプルサイズを確認し、カペシタビンの非劣性検定を行った。主要評価項目はRFSであった。 主な結果は以下のとおり。・試験は、初回サンプルサイズ評価後、被験者633例に達した時点で終了となった。・RFSは、標準化学療法群で有意に延長したままであった。・10年時点で、RFSは標準化学療法群56%、カペシタビン群は50%であった(HR:0.80、p=0.03)。・乳がん特異的生存率は、それぞれ88%、82%であった(HR:0.62、p=0.03)。・より長期の追跡で、標準化学療法はホルモン受容体陰性の患者では依然としてカペシタビン群に対して優れていたが(HR:0.66、p=0.02)、ホルモン受容体陽性患者では有意差は認められなかった(HR:0.89、p=0.43)。・集団全体の死亡率は43.9%で(乳がんによる死亡13.1%、乳がん以外による死亡16.4%、原因不明の死亡14.1%)、2次性非乳がんの発生は14.1%であった。

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がん悪液質に対する早期の栄養・運動介入…NEXTAC試験 シリーズがん悪液質(5)【Oncologyインタビュー】第11回

初回化学療法開始時からがん悪液質に対する栄養・運動介入を行うNEXTAC試験が始まった。同試験の実務をリードする静岡県立静岡がんセンター 呼吸器内科の内藤 立暁氏に、同試験の内容を聞いた。がん悪液質の臨床研究試験について、がん治療の臨床研究とは異なる点を教えていただけますか。がん悪液質の患者に対する臨床試験の実施には、通常の抗がん剤の臨床試験と異なり、いくつかの障壁があることがわかっています。1つ目は単独介入の壁です。栄養療法、運動療法、薬物療法のいずれか単独で介入する臨床研究では、一貫した成果を証明できていません。多要因によって発生するがん悪液質にはこれらを組み合わせた治療が必要と考えられています。2つ目は脆弱性の壁です。たとえば、がん悪液質に対する栄養介入や薬物治療の臨床研究では、がんの増悪や病状悪化により治療の遵守率が悪化し、研究の脱落者が多発します。運動介入の研究においても、やはり病状悪化や骨転移による症状などで治療が中断してしまう症例が多く、多くの臨床試験がその脆弱性により妨げられてきました。3つ目は機能回復の壁です。いくつかの薬物治療の臨床研究では骨格筋を増加させることはできたものの、身体機能の回復は得られませんでした。現在も、さまざまな治療法が研究されていますが、現在のところ身体機能を改善した薬物治療は存在しません。そのような中、NEXTAC試験が開始されたのですね。NEXTAC(Nutrition and Exercise Treatment for Advanced Cancer)-ONEならびに-TWO試験は京都府立医科大学の高山浩一先生を研究代表者とした臨床研究であり、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の助成を受けて実施しています。前述の単独介入の壁、脆弱性の壁、機能回復の壁、この3つの悪液質の臨床研究を妨げる壁を乗り越えるために計画されました。NEXTACプログラムは、身体機能の回復を目的とし、進行がんの診断後に早期から運動療法と栄養療法を導入する集学的介入です。運動療法については、脆弱な高齢者のがん患者さんにもやり遂げられる低強度の在宅プログラムとし、下肢筋トレーニングと身体活動を促進するカウンセリングを取り入れています。栄養療法については、栄養カウンセリングを中心とし、分子鎖アミノ酸(BCAA)を含有したサプリメントを用いています。またいずれの治療においても、動機を維持し、行動変容を促進するような教育的なアプローチを取り入れています。第I相試験としてNEXTAC-ONE試験が行われましたが、どのようなものか具体的に教えていただけますか。NEXTAC-ONE試験は、NEXTACプログラムの実現可能性をみる前向き単群の第I相試験です。70歳以上の進行膵がんと肺がん患者さん30例に対し、初回化学療法と同時に、栄養・運動介入を開始し、試験期間は8週間です。海外の類似した集学的治療の研究では、多数の脱落者を出していたため、NEXTAC-ONE試験の実現可能性の主要評価は8週間のNEXTACプログラムへの参加割合としました。栄養・運動の介入が化学療法の開始時から始まるというのは従来では考えられないような早いタイミングではありませんか。従来は、化学療法開始の時期から始めるとは考えなかったかもしれないですね。しかし、進行肺がんや膵がんの患者さんは、診断の時点で半数以上が、すでにがん悪液質を有していることが疫学データで明らかになっており、その後は時間と共に悪液質の割合は増加します。従って、化学療法の開始時が最も適切な開始時期と考えました。NEXTAC-ONE試験の概要対象:1次治療としての化学療法を実施予定の進行期非小細胞肺がん、または膵臓がん患者。年齢70歳以上、PS 0~1、介護を要しない患者(Barthel Index 95点以上)介入:標準化学療法の開始とともに、BCAA含有サプリメント摂取(大塚製薬:インナーパワー®)と管理栄養士による栄養カウンセリング、理学療法士による低強度の在宅での下肢筋力トレーニングの指導、主に看護師による、身体活動量促進のカウンセリングを行う。8週間の治療期間で、3回の運動指導と3回の栄養指導の計6回のセッションで構成される。評価項目:[主要評価項目]実現可能性(治療期間の6回のセッションのうち4回以上参加した患者の割合[副次評価項目]安全性、コンプライアンス、アドヒアランスなど画像を拡大するNEXTACプログラムの詳細栄養介入:栄養カウンセリングでは自宅での食事の栄養組成と摂取量を調査し、体格から計算されたカロリー、蛋白、水分の一日所要量と比較して充足しているか否か評価し、不足分をいかに補うかを指導します。また化学療法中に生じる口腔粘膜炎、味覚障害、や下痢など「摂食に影響を及ぼす症状」Nutrition Impact Symptoms(NIS)に対する対策を指導します。サプリメントは骨格筋の材料となるBCAA含有の製品(大塚医薬:インナーパワー®)を提供しました。低強度下肢筋力トレーニング:がんの治療では、遠方より通院されている方も多いですので、運動療法のために通院が必要となる方法は参加率を低下させます。従って運動処方は自宅で実施できる内容となっています。過去の研究では、上肢・下肢を含めた総合的な筋力トレーニングが用いられてきたのですが、進行がん患者の臨床試験では脱落者が多発します。従って、NEXTACプログラムの運動介入では、歩行に関連した下肢筋力トレーニング絞った低強度の介入としています。画像を拡大する身体活動促進プログラム:身体活動量促進プログラムは、加速度計付き歩数計を用い、歩数目標のゴールを決めて、毎日達成することを目指すものです。その際、抗がん剤の皮疹など外見的要因、下痢などの身体的要因といった外出を妨げる症状のコントロールや転倒防止の指導もカウンセリングプログラムの中に含めています。NEXTAC-ONE試験の結果について教えていただけますか。主要評価項目の参加率(栄養・運動3回ずつのセッションのうち4回以上参加した患者)は30人中29人で参加率は97%と良好でした。コンプライアンスは、サプリメントの服用、筋トレ実施、歩数計装着日はいずれも9割を超えており良好でした。また、介入の成果は行動変容にも出ており、約7割の患者さんが屋外活動を増やし、約8割の患者さんが屋内活動を増やしました。6分間歩行、握力などの身体機能について、化学療法中も維持されている傾向がありました。従って、NEXTACプログラムは実現可能性があり、安全性の問題もなく、身体機能についても効果が期待されるということから、現在はNEXTAC-TWO試験を実施中です。NEXTAC-Two試験はどのようなものか教えていただけますか。NEXTAC-TWO試験は、対象患者の選択基準はNEXTAC-ONE患者とほぼ同じですが、無作為化試験であり、コントロール群と、NEXTAC介入群の各群65名の計130名に参加いただきます。治療期間は12週間です。主要評価項目は介護不要生存期間(Disability-free Survival)、つまり要介護にならずに生存している期間としています。NEXTAC-TWO試験の概要対象:1次治療として化学療法実施予定の進行期非小細胞肺がん(NSCLC)または膵臓がん患者。年齢70歳以上、PS 0~2で、介護を要しない患者(Barthel Index 95以上)介入群:標準化学療法の開始とともに、BCAA含有サプリメント摂取(大塚製薬:インナーパワー®)と管理栄養士による栄養カウンセリング、理学療法士による低強度の在宅での下肢筋力トレーニングの指導、主に看護師による、身体活動量促進のカウンセリングを行う。12週間の治療期間で、4回の運動指導と4回の栄養指導の計8回のセッションで構成される。対照群:標準化学療法のみでNEXTAC介入なし。評価項目:[主要評価項目]無障害生存期間(Disability-free Survival)[副次評価項目]栄養状態、除脂肪体重、運動機能、ADL、QOL、全生存期間、安全性など画像を拡大する本試験は2019年3月に全予定症例の登録が完了しました。現在は追跡期間中であり、2021年に主要評価項目に関する解析を予定しています。参考NEXTAC-ONE試験1.Naito T, et al. J Cachexia Sarcopenia Muscle. 2019;10:73-83. 2.Mouri T, et.al. Asia Pac J Oncol Nurs. 2018;5(4):383-390.3.立松典篤他. 日本緩和医療学会誌 2018;13(4):373-381.NEXTAC-TWO試験1.Miura S, et.al. BMC Cancer. 2019;19(1):528.

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非小細胞肺がんにおける抗HER3抗体複合体U3-1402の成績/WCLC2019

 非小細胞肺がん(NSCLC)のEGFR-TKI耐性の治療選択肢は限られている。全体として、多くのNSCLCがHER3を発現している。 HER3を介したシグナル伝達はEGFR-TKI耐性のメカニズムしては確立されていないが、抗HER3抗体薬物複合体(ADC)による治療はEGFR変異NSCLCの多様な耐性メカニズムを標的とするアプローチとして提示されている。 U3-1402は、新規のペプチドベースのリンカーを介して新規のトポイソメラーゼI阻害薬をHER3を標的とする抗体に結合させたADC。WCLC2019では、進行中の第I相試験の用量展開相から安全性/忍容性および抗腫瘍活性データが第20回世界肺癌会議(WCLC2019)で示された。 対象は局所的進行または転移を有するEGFR-TKI耐性のEGFR変異陽性NSCLC(安定した脳転移のある患者も含む)。被験者はU3-1402を3週間ごとに静脈内投与された。主要評価項目は、安全性、忍容性、用量展開相からの推奨用量(RDE)の特定など。 主な結果は以下のとおり。・2019年5月現在、30例の患者が4つの用量(3.2[n=4]、4.8[n=9]、5.6[n=12]、6.4[n=5]mg/kg)に登録された。・30例の患者全員がEGFR-TKIの前治療を受け、そのうち28例(93%)がオシメルチニブを、15例(50%)が化学療法を受けていた。・25個の評価可能な腫瘍すべてがHER3発現を示した。・中枢神経系(CNS)転移の既往のある患者は15例(50%)であった。・治療により発生した有害事象(AE)は29例(97%)で報告された(Grade3/4は13例43%)。 ・用量制限毒性は5.6mg/kg の1例の患者で2つ(Grade3の発熱性好中球減少症とGrade4の血小板数減少)、6.4mg/kgの3例の患者で3つ(すべてGrade4の血小板数減少)が報告された。 ・CNS転移の既往がある患者のうち9例が進行した。 CNS転移の既往のない1例の患者で新たなCNS転移が発生した。・有効性評価可能な26例の患者のうち、EGFR C797S変異を有する2例の患者を含む6例が部分奏効(4.8、5.6、6.4mg/kgでそれぞれ2例)を確認した。・腫瘍サイズの最大変化率の中央値は-25.7%(13.3~6%)であった。

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デュルバルマブ+化学療法、小細胞肺がん1次治療の生存を延長(CASPIAN)/WCLC2019

 2019年9月9日、化学療法への抗PD-L1抗体デュルバルマブの追加が、進展型小細胞肺がん患者の全生存期間(OS)を有意に延長したことが第20回世界肺癌会議(WCLC2019)で、スペインのLuis Paz-Ares氏により発表された。 デュルバルマブの多施設国際研究CASPIAN試験では、未治療の進展型小細胞肺がん患者537例が、デュルバルマブ+化学療法(エトポシドおよびシスプラチンまたはカルボプラチン、以下EP)、デュルバルマブ+トレメリムマブ+EP、対照群であるEP単独に無作為に割り付けられた。 WCLC2019で発表されたデータは、デュルバルマブ群とEP単独群を比較したもの。 Paz-Ares氏のチームは、デュルバルマブ群のOS中央値が、13.0ヵ月とEP単独群の10.3ヵ月と比較して統計学的に有意な延長を示したと発表した。また、18ヵ月時点の対照群の生存患者は24.7%であったのに対し、デュルバルマブ群では33.9%が生存していた。

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デキサメタゾン1日投与の制吐効果は?/Oncologist

 化学療法誘発性悪心・嘔吐(CINV)の予防に用いられるデキサメタゾンについて、投与日短縮法の制吐効果が明らかにされた。松下記念病院の岡田優基氏らは、パロノセトロン併用下でのデキサメタゾンの適切な投与期間について、個々の患者データに基づいたメタ解析を行った。Oncologist誌オンライン版2019年6月19日掲載の報告。 研究グループは、中等度催吐性リスク化学療法またはアントラサイクリン+シクロホスファミドを含む化学療法を受ける化学療法未治療の成人患者を対象に、パロノセトロン+デキサメタゾンday1(d1群)とパロノセトロン+デキサメタゾンday1~3(d3群)のCINVに対する効果を比較検討した無作為化臨床試験について、PubMedおよびMEDLINEを用いて検索するとともに手作業でも検索し、システマティックレビューを行った。 主要評価項目は、全期間(化学療法開始後5日間)における嘔吐なし・救済治療なしの嘔吐完全抑制率(CR率)で、非劣性マージンは-8.0%(d1群-d3群)とした。 主な結果は以下のとおり。・無作為化臨床試験5件(計1,194例)が解析に組み込まれ、個々の患者データが収集された。・d1群のCR率は、d3群に対して非劣性であることが示された(リスク差:-1.5%、95%CI:-7.0~4.0%、I2=0%)。・デキサメタゾンのレジメンと、リスク因子(化学療法の種類、性別、年齢、アルコール消費)との間に有意な相互作用はなかった。

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化学療法誘発性悪心嘔吐に対するオランザピン5mgの追加効果(J-FORCE)/日本がんサポーティブケア学会

 オランザピンは化学療法誘発性悪心嘔吐(CINV)に対して有効であるが、国際的に使用されている用量10mgでは過度の鎮静が懸念されている。NCCNやMASCC/ESMOの制吐療法ガイドラインでは、5mgへの減量について言及しているもののエビデンスはない。わが国では、標準制吐療法へのオランザピン5mgの上乗せ効果を検証した3つの第II相試験が行われ、その有効性が示唆されている。そこで、シスプラチン(CDDP)を含む化学療法に対する標準制吐療法へのオランザピン5mg上乗せの有用性の検証を目的としたプラセボ対照二重盲検無作為化第III相J-FORCE試験が行われた。その結果を第4回日本がんサポーティブケア学会学術集会において、静岡県立静岡がんセンターの安部 正和氏が発表した。・対象:CDDP50mg/m2以上を含む高度催吐性化学療法(HEC)を受ける固形がん患者・試験群:オランザピン5mg(day1~4)+標準制吐療法(パロノセトロン0.75mg[day1]+アプレピタント125mg[day1]、80mg[day2~3]+デキサメタゾン12mg[day1]、8mg[day2~4])・対照群:プラセボ(day1~4)+標準制吐療法(同上)・評価項目:[主要評価項目]遅発期CR(Complete Response=嘔吐なし、救済治療なし)割合。[副次評価項目]急性期(CDDP開始~24時間)および全期間(CDDP開始~120時間)のCR割合、各期間のCC(Complete Control=CRかつ悪心なしまたは軽度)割合とTC(Total Control=CRかつ悪心なし)割合、治療成功期間、眠気と食欲不振割合、患者満足度など 主な結果は以下のとおり。・710例の患者が登録され、オランザピン群356例、プラセボ群354例に無作為に割り付けられた。安全性解析は706例、有効性解析は705例で行われた。・遅発期CR割合はオランザピン群79%、プラセボ群66%とオランザピン群で有意に良好であった(p<0.001)。また、その差は13.5%と国際的コンセンサスで有効とされる10%を満たした。・副次評価項目である急性期および全期間のCR割合、各期間のCC割合はいずれも有意にオランザピン群で良好であった。各期間のTC割合は、急性期を除き有意にオランザピン群で良好であった。・治療関連有害事象である眠気、口喝、浮遊性めまいはオランザピン群で多くみられた。・「日中の眠気あり」の頻度は両群で大きな差はなく、「不眠なし」と「食欲低下あり」の頻度はオランザピン群で良好であった。・患者満足度は、「とても満足・満足」の割合は有意にオランザピン群で良好であった(p<0.001)。

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D-Indexに基づくFNの抗真菌治療/日本がんサポーティブケア学会

 好中球減少期間の長い高リスク治療では、広域抗菌薬不応患者の発熱性好中球減少症(FN)に経験的抗真菌治療(EAT:empiric antifungal therapy)が推奨されるものの、過剰治療の問題が残る。そのため、バイオマーカーや画像所見に基づく抗真菌薬の先制治療が試みられるようになった。しかし、先制治療では深在性真菌症の増加が懸念されている。そこで好中球減少の深さと持続期間を面積で評価するD-Indexによる早期抗真菌治療(DET:D-index guided early antifungal therapy)を考案し、EATとの無作為比較試験(CEDMIC試験)を実施した。その結果を第4回日本がんサポーティブケア学会学術集会において自治医科大学附属さいたま医療センターの木村 俊一氏が発表した。D-Indexに基づく早期抗真菌治療は経験的治療と比べて抗真菌薬の使用を減少 対象:好中球減少期間(500/μL未満)が7日以上と予想される化学療法や造血幹細胞移植を受ける造血器腫瘍患者・試験群(DET):累積のD-Index(C-Index)5500未満の場合、真菌バイオマーカーで異常がみられたらミカファンギン150mg/日開始。C-Index5500以上の場合、FNが持続または再燃した時点で検査結果に関わらずミカファンギン150mg/日を開始・対照群(EAT):広域抗菌薬開始から4日目以降にFNが持続・再発した時点でミカファンギン150mg/日を開始・評価項目:[主要評価項目]Proven/Probable真菌感染症の発症、[副次評価項目]42、84日時点での全生存率、ミカファンギンの投与頻度、ミカファンギンの有効性評価 D-Indexによる早期抗真菌治療と経験的抗真菌治療を比較した主な結果は以下のとおり。・423例が登録され413例がITT解析対象となった(DET群212例、EAT群201例)。・Proven/Probable真菌感染症の発症はDET群0.5%(1/212例)、EAT群2.5%(5/201例)とDET群のEAT群に対する非劣性が証明された。・DET群とEAT群の全生存率は、42日目で98.6%対98.0%、84日目で96.2%対96.4%と両群間で差と認めなかった。・ミカファンギン投与症例はDET群で32.5%、EAT群では60.2%とDET群で有意に少なかった(p<0.001)。・ミカファンギンの有効性はDET群で68.7%、EAT群では79.6%とEAT群で良好な傾向がみられた。高リスク群に限定すると69.1%対78%で統計的な有意差は認めなかった(p=0.30)。 D-Indexに基づく早期抗真菌治療(DET)は経験的治療(EAT)と比べ、死亡や真菌症発症を増やすことなく、抗真菌薬の使用を減少させた。

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診断時に6割が悪液質の基準満たす!高齢者肺がん シリーズがん悪液質(4)【Oncologyインタビュー】第10回

近年、肺がん治療は急速に進化し、生命予後も顕著に改善している。しかし、肺がん患者におけるがん悪液質の発症頻度は高く、その生命予後への影響は現在においても大きい事が報告されている。肺がんと悪液質の発現と、その弊害について、静岡県立静岡がんセンターの内藤 立暁氏に聞いた。肺がんにおける悪液質はどのような形で現れるのでしょうか。進行肺がんを有する患者さんは、診断の時点で半数以上ががん悪液質を有していますが、そのことは本人も、家族も、診療している医療従事者も気づいていない場合が多いようです。がん悪液質を有する肺がん患者さんは、身体機能が低下し、化学療法の副作用が多く、生存期間が短いことがわかっています。したがって、化学療法などによって腫瘍を制御することはできても、全体的にみると臨床転帰は悪いということをしばしば経験するのです。このような患者さんにおいては、がん悪液質の存在をできるだけ早く診断し、適切な栄養療法や運動療法などの支持療法を併用することで、がん治療を長く継続でき、身体機能も維持されるのではないかと考えられています。肺がんと悪液質について今までの研究について教えていただけますか。私たちは、70才以上の高齢の進行肺がんの患者さん60例の体重、骨格筋量、身体機能、日常生活動作を定期的に測定する観察研究「進行肺癌を有する高齢者の日常生活動作の観察研究」(UMIN000009768)を実施しました。画像を拡大するその結果、がんの診断の時点で約6割(58%)の患者さんが悪液質の基準(スライド参照)を満たし、3割(28%)の患者さんが前液質の状態(2~5%の体重減少)にありました。つまり、約9割は初診時に前悪液質以上の状態だったことになります。表に示すように、診断の時点において、前悪液質あるいは悪液質の患者さんは、PS良好で、食欲もあり、体格や食欲についても非悪液質の患者さんと大差はなく、外見上は非常に鑑別の難しい状態にあります。体重減少という簡単な指標に注目することで、これだけ多くの患者さんで栄養障害が潜在的に存在していることがわかるのです。ちなみに、1年後には状況はさらに悪化し、8割程度が悪液質の基準を満たしてしまいます。画像を拡大するこの研究の副解析で、高齢の肺がん患者さんにおいて、がんの診断から死亡に至るまで、どのような順序で体の変化が生じるかを調査しました。体重減少以外にどのような身体的なイベントが起きるのでしょうか。さまざまイベントが起きますが、その発現には順番があります。各イベント発現の中央値をみると、体重減少は進行がんの早期、最初のイべントとして起きます。それに続いて起こるのが歩行機能障害です。抗がん剤治療開始後3ヵ月の段階で、半数以上の患者さんに歩行機能障害が起きています。約半年で筋力(握力)低下し、約1年後には要介護状態となります。また要介護から約半年後に、死亡の最終イベントが生じます。画像を拡大する画像を拡大するがんの治療では生存に目が行きがちですが、その間に体重減少から始まるさまざまな身体的イベントが起こっていることが、この観察研究でおわかりいただけるのではないかと思います。悪液質が起こることによる弊害は?同じ研究のステージIVの集団の解析から、診断時に悪液質であった患者さんは、そうでなかった患者さんに比べると、同じ生存期間であっても要介護状態の方が顕著に多いことがわかります。つまり、悪液質の患者さんは健康寿命も短いのです。画像を拡大するまた、がん悪液質の存在は医療依存度にも関連があります。非悪液質患者さんの診断から1年間の入院日数は60日間であるのに対し、悪液質患者さんは92日間も入院しています。1年間で1ヵ月も入院期間が長いことが明らかになりました。それに伴い、悪液質患者さんの医療費は年間150万円、非悪液質患者さんよりも多くなります。その医療費の追加分の内訳は、合併症による予定外受診や緊急入院、緩和治療に対する用途が多くを占めていました。このようなところにも悪液質の弊害は表れています。画像を拡大する肺がんの中でも悪液質の発現には違いがあるのでしょうか。腫瘍熱を有していたり、血清CRP値の高い症例では、慢性的炎症とそれに伴うサイトカインの分泌などから、がん悪液質を起こしやすいと考えられています。高齢者の肺がんでは、悪液質をケアし身体機能を良好に保ちつつ、がん治療を行うことが必要ですね。その通りです。これらの研究結果から、特に高齢者の担がん患者さんにおいては、管理栄養士、理学療法士、看護師、医師が連携し、栄養サポートやリハビリを組み合わせた支持医療を提供していくことが重要と考えています。このようながん悪液質に対する集学的支持医療は、患者さんの生命予後の延長だけでなく、機能予後の改善も期待できるのではないかと思います。1)内藤立暁, 髙山浩一, 田村和夫 日本がんサポーティブケア学会2019年3月2)森 麻理子, 青山 高, 内藤 立暁ほか 日本病態栄養学会誌.2017:20:205-213.3)Naito T. Evaluation of the True Endpoint of Clinical Trials for Cancer Cachexia. Asia Pac J Oncol Nurs.2019;6:227-233.4)Naito T, Okayama T, Aoyama T, et.al. Unfavorable impact of cancer cachexia on activity of daily living and need for inpatient care in elderly patients with advanced non-small-cell lung cancer in Japan: a prospective longitudinal observational study. BMC Cancer.2017;17:800.5)Naito T, Okayama T, Aoyama T, et.al. Skeletal muscle depletion during chemotherapy has a large impact on physical function in elderly Japanese patients with advanced non-small-cell lung cancer. BMC Cancer.2017;17:571.

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がんサバイバーの多くが中長期のCVDリスク増加/Lancet

 がんサバイバーのほとんどで、がん部位別でかなり違いはあるものの、一般集団と比較して心血管疾患の中~長期リスクの増加が確認された。英国・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のHelen Strongman氏らが、がんサバイバーにおける心血管リスクの定量化を目的とする電子医療記録データベースを用いたコホート研究の結果を報告した。過去数十年で、がんの生存率は顕著に改善してきたが、サバイバーの長期的な心血管リスクについては懸念が指摘されている。しかし、さまざまながんサバイバーにおける心血管疾患の予防や管理に関するエビデンスが不足していた。Lancet誌オンライン版2019年8月20日号掲載の報告。英国の大規模臨床データベースを用い、がんサバイバー約10万人について解析 研究グループは、英国の入院やがん登録のデータベースと連携しているUK Clinical Practice Research Datalink(CPRD GOLD)を用い、一般的な20種類のがんについて診断後12ヵ月時点で生存している18歳以上のサバイバー、ならびに年齢、性別などをマッチさせたがんの既往がない対照群のコホートを特定し、Coxモデルによりさまざまな心血管疾患のリスクを比較した。 交互作用を適合させ効果修正を行い、フレキシブル・パラメトリック生存モデルで経時的な過剰絶対リスクを推定した。 1990年1月1日から2015年12月31日の期間で、1年以上の追跡調査を受け対象がんの診断を受けた患者12万6,120例と、対照群の患者63万144例が特定され、除外基準に合致した症例を除き、がんサバイバー群10万8,215例と対照群52万3,541例が主要解析に組み込まれた。血液、食道、肺、腎、卵巣等のがんサバイバーで心不全や心筋症のリスクが増加 静脈血栓塞栓症のリスクは、対照群と比較して、20種類のがんのうち18種のサバイバー群で増加した。補正ハザード比(aHR)の範囲は、前立腺がん患者の1.72(95%信頼区間[CI]:1.57~1.89)から、膵臓がん患者の9.72(95%CI:5.50~17.18)にわたっていた。aHRは経時的に減少したものの、診断後5年超は増加が続いていた。 20種類のがんのうち、10種のがんサバイバーで心不全や心筋症のリスクが増加することが確認された。それぞれのaHR(95%CI)は、非ホジキンリンパ腫1.94(1.66~2.25)、白血病1.77(1.50~2.09)、多発性骨髄腫3.29(2.59~4.18)、食道がん1.96(1.46~2.64)、肺がん1.82(1.52~2.17)、腎がん1.73(1.38~2.17)、卵巣がん1.59(1.19~2.12)などであった。 不整脈、心膜炎、冠動脈疾患、脳卒中、心臓弁膜症のリスク増加は、血液悪性腫瘍などで同様に確認された。心不全または心筋症、および静脈血栓塞栓症のHRは、心血管疾患の既往歴がない患者および若年患者において高かった。しかし、過剰絶対リスクは、年齢の上昇に伴い徐々に増加し、これらのリスク増加は化学療法を受けた患者において最も顕著であった。 なお、著者は今回の研究の限界として、投与された化学療法の種類や投与量に関する情報がないこと、がんの再発、家族の心血管疾患歴、人種、食事やアルコール消費量などの重要な情報に関する信頼できるデータがなかったことなどを指摘している。

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アテゾリズマブ、小細胞肺がんに国内承認/中外製薬

 中外製薬株式会社は、2019年08月22日、PD-L1ヒト化モノクローナル抗体アテゾリズマブ(商品名:テセントリク)に関し、「進展型小細胞肺がん」に対する適応拡大について厚生労働省より承認を取得したと発表。 今回の承認は、国際共同第I/III相臨床試験(IMpower133試験)の成績に基づくもの。IMpower133試験では、アテゾリズマブと化学療法(カルボプラチンおよびエトポシド)の併用は、ITT解析集団において、化学療法単独に比べ主要評価項目である全生存期間の延長を示すとともに(OS中央値:12.3ヵ月 vs.10.3ヵ月、HR:0.70、95%CI:0.54~0.91、p=0.0069)、同じく主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)の延長を示した(PFS中央値:5.2ヵ月 vs.4.3ヵ月、HR:0.77、95%CI:0.62~0.96、p=0.017)。アテゾリズマブと化学療法の併用療法による安全性プロファイルは、これまで各薬剤で認められている安全性プロファイルと一致しており、本併用療法で新たな安全性のシグナルは確認されなかった。

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ラムシルマブ適応拡大、肝細胞がんは薬を使い切る戦略が鍵に

 ラムシルマブの登場で、肝細胞がんの薬物治療は4剤が使用可能となったが、治療アルゴリズムはどう変化するのか。2019年6月、化学療法後に増悪した血清AFP値400ng/mL以上の切除不能な肝細胞がんに対して、ラムシルマブが適応拡大された。これを受けて8月1日、都内でメディアセミナー(主催:日本イーライリリー)が開催され、工藤 正俊氏(近畿大学医学部消化器内科 教授)が講演した。肝細胞がん薬物治療は、2次治療の選択肢が課題 本邦における肝がんの年間罹患数は約4万人、年間死亡数は約2万7,000人となっている。性別ごとの年間死亡数では、男性では肺、胃、大腸に次ぐ4番目、女性では大腸、肺、膵臓、胃、乳房に次ぐ6番目と、今もって死亡の多いがんといえる1)。肝がんの主要な背景疾患であるC型肝炎の新たな感染が減ったことで、死亡数は漸減の傾向にあるが、食事の欧米化などの影響から、B型/C型ウイルス由来ではない肝細胞がんが増加傾向にある。 肝細胞がんの治療アルゴリズムは、肝予備能(Child-Pugh分類)、肝外転移や脈管侵襲の有無、腫瘍数や腫瘍径から判断される。早期~中間期肝がんでは切除やラジオ波焼灼療法(RFA)、肝動脈化学塞栓療法(TACE)が検討され、進行期(肝外転移もしくは脈管侵襲あり)あるいは腫瘍数4個以上でTACE不応の場合は、分子標的薬による治療が行われる2)。 2009年、肝細胞がんで初めて生存延長を示した分子標的薬として、マルチチロシンキナーゼ阻害薬(mTKI)ソラフェニブが承認された。以降、2017年にソラフェニブ後の2次治療薬としてレゴラフェニブ、2018年にソラフェニブに対する非劣性を証明したレンバチニブが1次治療薬として承認されている。 しかし、ソラフェニブによる治療を受けた患者のうち、レゴラフェニブに適格となる症例は約3割に限られる。そのため、臨床試験は存在しないが、実臨床ではソラフェニブ後のレンバチニブもよく用いられている。また、1次治療でレンバチニブを投与した場合の2次治療薬についても、臨床試験が行われておらず、忍容性の高い2次治療の選択肢が求められている。ラムシルマブの臨床成績(REACH試験/ REACH-2試験) 抗VEGFR-2抗体ラムシルマブは、これまでに胃がん、結腸・直腸がん、非小細胞肺がんで承認されている血管新生阻害薬。投与方法は2週間に1回、60分の点滴静注となっている。肝細胞がんに対するラムシルマブの有効性を検討した最初の第III相試験であるREACH試験は、1次治療でソラフェニブ投与を受けた、BCLC Stage B/C、Child-Pugh分類A、PS 0~1の進行肝細胞がん患者を対象としている。主要評価項目の1つ、全体集団でのOS中央値は、ラムシルマブ群9.2ヵ月 vs.プラセボ群7.6ヵ月と有意差は認められなかった(ハザード比[HR]:0.87、95%信頼区間[CI]:0.72~1.05、p=0.14)。しかし、事前規定されたサブグループであるAFP(α-フェトプロテイン)≧400ng/mL以上の患者では、7.8ヵ月 vs.4.2ヵ月とラムシルマブ群でOS中央値を有意に延長した(HR:0.674、95%CI:0.508~0.895、p=0.0059)3)。 AFPは肝細胞がんの早期発見に有用とされる腫瘍マーカーの1つで、基準値は10.0ng/mL以下。AFP高値は強力な予後不良因子とされており、肝細胞がんの肝切除例についてみたデータでは、AFP値が高くなればなるほど、生存期間が短くなっている4)。これらのことから、REACH-2試験ではAFP≧400ng/mLの患者に対象を絞って、ラムシルマブの有効性が検討された。その結果、ベースライン時のAFP値が3,920ng/mL vs.2,741ng/mLとラムシルマブ群で高かったにもかかわらず、OS中央値は8.5ヵ月 vs.7.3ヵ月とラムシルマブ群で有意に延長した(HR:0.710、95%CI:0.531~0.949、p=0.0199)。 ラムシルマブ群で多くみられたGrade3以上の有害事象は、高血圧(12.2% vs.5.3%)、腹水(4.1% vs.2.1%)、肝性脳症(3.0% vs.0%)など5)。工藤氏は、高血圧については薬でコントロール可能とし、腹水や肝性脳症に注意が必要と話した。また、同氏はラムシルマブによる治療の大きな特徴として、dose-intensityの高さを挙げた。REACH-2試験では、ラムシルマブの投与期間中央値は12.0週間、投与サイクル数中央値は6.0サイクルで、相対dose-intensity中央値は97.9%と非常に高かった。他のTKI3剤で8~9割弱なことと比較して高いほか、日本人サブセットでも同等の高い数値が得られている。ラムシルマブ含めた分子標的薬をTACEを行うことなく選択 レンバチニブ後のラムシルマブ投与については、臨床試験で確認されたものではない。しかし、レンバチニブと比較してVEGFR-2に対する同薬の50%阻害濃度(IC50)が数倍高いこと、抗体薬であることなどから期待できるとし、工藤氏はAFP≧400ng/mL以上の患者に対して実臨床でその有用性を確認していく必要があると話した。 ラムシルマブを含め、肝細胞がん治療に使える4剤は、すべて適応がChild-Pugh分類Aの患者に限られる。つまり、肝予備能を維持しながら次の治療につなげて、薬剤を使い切ることが予後延長の鍵になる、と同氏は説明。これまでは、TACE不応となるのを待って分子標的薬を導入してきたが、今後はより早い段階から、場合によってはTACEを行うことなく薬物療法を選択していくようなケースも出てくるのではないかと話し、薬物療法開始の機会を逃さない戦略が必要になると指摘して締めくくった。 なお、肝癌治療ガイドラインは2021年改訂予定で作業が進められており、ラムシルマブの適応拡大については、日本肝臓学会のホームページ上での追加が予定されている。

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第26回 Stage IのNSCLC、術後補助療法実施の規準は?【肺がんインタビュー】

第26回 Stage IのNSCLC、術後補助療法実施の規準は?Stage Iの非小細胞肺がん(NSCLC)における術後補助療法は、議論の余地があるテーマである。そのような中、ASCO2019で術後補助療法の恩恵をリスク別に分析した研究が報告された。発表者である広島大学呼吸器外科の津谷 康大氏に、研究の背景と結果について聞いた。実臨床で迷うStage I NSCLCの術後補助療法導入この研究を行った背景について教えていただけますか。Stage IのNSCLCに術後補助療法をするか否かは、世界的にみても意見の分かれるところです。日本のデータでは2 cmを超えるStage Iの腺がんに対するUFTによる術後補助療法の有効性が示されており、ガイドラインでも推奨されています。しかし、この研究の2cmは腫瘍全体径での定義です。現在のTNM-8では、腫瘍サイズを浸潤径(浸潤がんだけの大きさ)で定義しており、新しい基準で考えると、違った結果になる可能性もあります。また、海外ではTNM-8によるStage Iの術後補助療法のエビデンスはありません。つまり、やらないという方向です。日本と海外のスタンダードはまったく異なっています。たとえば、実臨床で腫瘍径3 cmでも浸潤部分が1cmの腺がんに遭遇した場合、術後補助療法はどうすべきか。これほど浸潤がんの成分が小さければ、やらなくてよいという感覚の先生方が多いと思いますが、データはまったくありません。Stage Iの術後補助療法をやるべき患者とやらなくてよい患者をどう分けるべきか、後ろ向きに解析しました。どのようなデータを活用されたのですか?肺がんの手術症例についてさまざまな研究をするために、広島大学、神奈川県立がんセンター、東京医大の3施設で2010年から前向きに全例登録しているデータベースがあります。このデータベースには腺がんの浸潤がんと非浸潤がんの成分が別々に記録されているので、今回の研究では、それを用い、新しいデータに差し替えて研究しました。高リスク患者のStage I患者は術後補助療法の恩恵を受ける今回の試験の結果について紹介いただけますか。当該データベースにおけるStage IのNSCLC症例に対し、病理学的な再発因子を多変量解析したところ、浸潤径2 cm超、リンパ管侵襲、血管侵襲、臓側胸膜浸潤という4つの因子が再発に関わっていることがわかりました。そのうち1つでも該当した症例を高リスク、4項目どれも該当しない症例を低リスクと分類し解析を行いました。その結果、低リスク患者は再発をほとんど起こさず(5年無再発生存率[RFS]96%)、きわめて予後良好で、高リスク患者は低リスク患者に比べ予後不良(5年RFS 77%)でした。術後補助療法の有無と予後をみたところ、低リスク患者では、術後補助療法実施のいかんにかかわらず、きわめて予後良好でした(5年RFS:実施群98%対観察群96%)。一方、高リスク患者は術後補助療法実施により予後が改善しました(5年RFS:実施群81%対観察群74%)。同じStage Iでも、高リスクと低リスクに分けることによって、術後補助療法実施によるメリットが異なることがわかりました。高リスクの術後補助療法の内容をみると、併用化学療法よりも単剤化学療法のほうが、予後が良いという結果でしたが?この試験の結果だけでは何とも言えませんが、少なくともプラチナ併用のほうが良かったという結果ではありません。ただし、治療期間(UFTは2年間内服、プラチナ化学療法は長くて4サイクル[3~4ヵ月])なども影響している可能性があると思います。病理レポートがStage I術後補助療法導入の判断材料にこの試験での知見は、臨床でどう活かすことができるでしょうか。日本では腫瘍全体径2 cmを超えるStage Iの腺がんにはUFTの術後補助療法が推奨されますが、その中でも浸潤径2 cm以下の低リスクの患者に対しては、術後補助療法の導入は慎重に考えてよいかもしれません。逆に、腫瘍全体は小さくても、リンパ管侵襲や血管侵襲があるなど悪性度が高そうな患者では、術後補助療法導入の余地があるかもしれません。今回の研究で用いた再発リスク因子は、通常各施設の病理レポートに記載されています。それを参考にすることで、Stage I腺がんに術後補助療法をするか否かの判断基準になると思います。海外の医学メディアでも紹介されていましたが、海外からの反響はありましたか。ASCO発表の後、海外の病理医から連絡があり、今までリンパ侵襲や血管侵襲を測っていないが、どう測るのかという問い合わせがありました。Stage Iの術後補助療法は海外でも議論を呼ぶテーマなのだと、あらためて感じました。

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第6回 東京医科歯科大学「がんを考える」市民公開講座【ご案内】

 東京医科歯科大学医学部附属病院 腫瘍センター、同医学部附属病院 消化器化学療法外科、同大学院臨床腫瘍学分野、同大学院未来がん医療プロフェッショナル養成プランは、2019年9月23日(月・祝)に、第6回東京医科歯科大学「がんを考える」市民公開講座を開催する。本講座は、同学が地域がん診療連携拠点病院の活動の一環として、がんに関するさまざまなテーマで開催する公開講座の6回目となる。今回は『広がるがん治療の選択肢』をテーマに、最近話題の治療、新たに保険適用となった治療のメリットや留意点、自分に最適な治療を決めるためのサポートなどについて、さまざまな立場から情報提供する。各種ブース展示や体験コーナーなど、楽しく学べる企画が予定されている。 開催概要は以下のとおり。【日時】2019年9月23日(月・祝)《ブース展示》12:00~17:00《セミナー》13:00~16:40【場所】東京医科歯科大学 M&Dタワー2F 鈴木章夫記念講堂〒113-8519 東京都文京区湯島1-5-45【参加費】無料(※参加申し込み不要)【テーマ】広がるがん治療の選択肢【予定内容】《セミナー》鈴木章夫記念講堂 司会:佐藤 信吾氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 腫瘍センター/整形外科)13:00~13:15 開会挨拶 日本のがん治療の現状 三宅 智氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 腫瘍センター/緩和ケア科)13:15~13:45 講演1 広がる低侵襲手術(腹腔鏡からロボット手術まで) 徳永 正則氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 胃外科)13:45~14:15 講演2 広がる薬物療法の選択肢(分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤など) 坂下 博之氏(横須賀共済病院 化学療法科)14:15~14:45 講演3  がんゲノム医療ってどんなもの? 加納 嘉人氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 腫瘍センター/がんゲノム診療科)14:45~15:05 休憩15:05~16:35 シンポジウム 広がるがん治療の選択肢 ~自分にとって最適な治療を決めるためには~ 座長:三宅 智氏(1)がん治療医の立場から   石川 敏昭氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 消化器化学療法外科)(2)精神科/心療内科医の立場から   竹内 崇氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 精神科/心身医療科)(3)緩和ケア看護師の立場から   本松 裕子氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 緩和ケア認定看護師)(4)がん相談支援センターの立場から   渡井 有紀氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 認定がん専門相談員)(5)患者の立場から   濱島 明美氏(再発乳がん患者)16:35~16:40 閉会挨拶 川﨑 つま子氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 看護部長)《ブース展示》講堂前ホワイエ 12:00~17:00 ■がんと栄養・食事 (東京医科歯科大学医学部附属病院 臨床栄養部)■お口の楽しみ、支えます (東京医科歯科大学歯学部 口腔保健学科)■「がんのリハビリテーション」ってどんなもの? -筋力維持のリハビリテーションと生活の工夫など- (東京医科歯科大学医学部附属病院 リハビリテーション部)■教えて!がんゲノム医療 (東京医科歯科大学医学部附属病院 がんゲノム診療科)■抗がん剤治療の味方「CVポート」ってどんなもの? (株式会社メディコン)■がん患者と家族へのピアサポートの紹介 (特定非営利活動法人 がん患者団体支援機構)■ウィッグを楽しもう! (株式会社東京義髪整形)■リレー・フォー・ライフ・ジャパン(RFLJ)のご紹介 (RFLJ御茶ノ水実行委員会)■その情報、図書館で調べられます (東京都立中央図書館)■「わたしらしく生きる」をサポートします (東京医科歯科大学医学部附属病院 がん相談支援センター)■「もっと知ってほしい」シリーズ冊子 (認定NPO法人 キャンサーネットジャパン)■看護師よろずミニ相談 (東京医科歯科大学医学部附属病院 専門・認定看護師チーム)【問い合わせ先】東京医科歯科大学医学部附属病院 腫瘍センター〒113-8519 東京都文京区湯島1-5-45TEL:03-5803-4886(平日 9:00~16:30)【共催】東京医科歯科大学医学部附属病院 腫瘍センター東京医科歯科大学医学部附属病院 消化器化学療法外科東京医科歯科大学大学院 臨床腫瘍学分野東京医科歯科大学大学院 未来がん医療プロフェッショナル養成プラン【協力】認定NPO法人キャンサーネットジャパン【後援】東京医科歯科大学医師会/東京都/文京区/東京都医師会詳細はこちら

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肺がん2剤併用療法、ベースはシスプラチン?カルボプラチン?/Lung Cancer

 進行期非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療において、プラチナベース化学療法はいまだ大きな柱である。実臨床においてはシスプラチンとカルボプラチンの2つのプラチナ製剤が多く使われる。すでに、Cohchraneグループによるカルボプラチンとシスプラチンベースの化学療法を比較するメタアナリシスが行われているが、NSCLCにおける急速な治療の変化と拡大する臨床試験の中、新たなデータの反映が求められていた。そのような中、ドイツのGriesingerらは、2013年〜2018年1月に発表されたNSCLC1次治療におけるカルボプラチンとシスプラチンの無作為化比較試験のシステマチックリサーチを⾏い、解析結果を更新した。評価項⽬は全⽣存期間(OS)、1年⽣存率(1yOS)、客観的奏効率(ORR)、Grade3/4の薬物関連有害事象など。Lung Cancer誌2019年9⽉号掲載の報告。肺がん2剤併用療法、プラチナ製剤はシスプラチンがカルボプラチンよりORRわずかに良好 進行期非小細胞肺がんの1次治療の2剤併用療法において、プラチナ製剤をカルボプラチンとシスプラチンで比較した主な結果は以下のとおり。・適格となった無作為化⽐較試験は12、患者数は2,048例であった。・OSはカルボプラチンとシスプラチン両群で差はなかった(HR:1.08、95%CI:0.96~1.21)。・1yOSも両群で差がなかった(RR:0.97、95%CI:0.97~1.0)。・ORRについては、シスプラチン群でわずかに良好であった(RR:0.88、95%CI:0.78~0.99)。・薬物関連有害事象については、血小板減少、貧血、神経障害、悪心・嘔吐で両群に差異が発生した。・HRQoLを比較した3つのRCTでは、両群に差は認められなかった。

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がん患者が言い出せない、認知機能障害への対応策/日本臨床腫瘍学会

 がんそのもの、あるいはがん治療に伴う認知機能障害(cancer-related cognitive impairment;CRCI)は海外で研究が進みつつあるものの、国内での認識は医療者・患者ともに低い。第17回日本臨床腫瘍学会学術集会では、「がんと関連した認知機能障害:病態解明・診断・治療/ケアはどこまで進んだか」と題したシンポジウムが開かれ、国内外の知見が紹介された。本稿では、橋本 淳氏(聖路加国際病院 腫瘍内科)、谷向 仁氏(京都大学大学院医学研究科)による発表内容を中心に紹介する。がん患者の認知機能障害は治療前で2~3割、治療に伴い最大7割以上 がんそのもの、あるいはがん治療に伴う認知機能障害は、現時点で有効な評価方法や治療は確立されていないが、がんそのものによる肉体的・精神的影響によって治療前からみられるもの、化学療法や手術、内分泌療法などの治療に伴ってみられるものがあると考えられている。橋本氏は、乳がん、卵巣がん、消化器がんなどにおける海外の報告を紹介。治療前は20~30%の患者で1)、化学療法に伴うものとして17~75%の患者でみられたという報告がある(報告により認知機能の評価法が異なり、幅のある結果となっている)2~3)。 がんそのもの、あるいはがん治療に伴う認知機能障害の症状としては、記憶、集中力、処理速度や実施能力の低下が報告されている。“頭に霧がかかったよう”と表現するがん患者も多いという。リスクファクターとしては、化学療法と関連する因子(血液脳関門の透過性、用量、併用療法など)のほか、年齢、閉経状態、遺伝学的因子(ApoE、COMD、BDNF)、放射線療法歴、もともとの認知予備能などが報告されているが、認知機能障害のメカニズムを示す明確なエビデンスは現状存在しない。がん化学療法と認知機能障害との関連をアンケート調査 谷向氏は、がんそのもの、あるいはがん治療に伴う認知機能障害に着目するきっかけとなった症例を紹介。精神科医として緩和医療科で診察した乳がん患者(外来化学療法受療中)が、「ガスをつけっぱなしで外出してしまうことが何度かある」と話し、危機感を覚えたという。 そこで同氏は、乳がん患者会の協力を得て化学療法受療の有無と7項目の認知機能障害との関連についてアンケート調査(n=173)を実施。作業スピードが遅くなった、ものごとに集中できなくなった、不注意が増えたなどの6項目で、化学療法の有無による有意差がみられた。さらに、これらの自覚する認知機能障害について、「他者から指摘された」ことは有意に少なく、認知機能障害の項目数が増えるほど抑うつスコア(HADS)が上昇した4)。 一方で、同氏は医師62人を含むがん診療に携わる医療者約400人対象のアンケート調査も実施した。その結果、診療/面接時に毎回あるいは時々のいずれかで症状の有無を患者に「確認する」と答えた割合は、痛み・だるさ・眠気といった身体症状については80%以上、気分の落ち込み・不安といった精神症状についても65%以上だったのに対し、物忘れ・不注意・集中力低下といった認知症状については20~30%に留まっていた。がん患者の認知機能障害への感度が高くないMMSEやMOCA-J 医療者の間で理解が進まない原因の1つに、MMSEやMOCA-Jといった一般的な認知機能のスクリーニング法では、ほぼ満点の例があるなど、がんそのもの、あるいはがん治療に伴う認知機能障害への感度が高くないという点がある。橋本氏は、がん患者用QOL尺度であるFACT-Cogや、作業効率や言葉の想起の低下などを検出しやすいTMT、COWA、HVLT-Rなどが推奨されていることを紹介した。 谷向氏は、がんそのもの、あるいはがん治療に伴う認知機能障害の症状が軽微で、非健忘症状として現れることが多いがゆえに、家族にも医療者にも気づかれにくく、二次的な不安や抑うつなどにつながる可能性を指摘。「もう半年くらい症状が続いているが、笑われてしまうかと思って相談できなかった」という患者の言葉を紹介した。予後が改善し、社会復帰を視野に入れるがん患者が増えていく中で、作業効率の低下などは大きな障壁となりうる。同氏は、医療者側が認知機能障害にも気をかけておくとともに、そのような症状があれば相談してほしいとあらかじめ患者や家族に伝えること、認知機能障害の背景を丁寧に鑑別することの重要性を強調した。 谷向氏は連携する仲間と共同し、患者・家族に対してがんそのもの、あるいはがん治療に伴う認知機能障害に関する啓発用パンフレットを作成している。認知機能障害の症状チェックリストなどを盛り込んだこのパンフレットはこちらからダウンロード可能となっている。

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Stage IV NSCLC 1次治療のデュルバルマブ+tremelimumab、NEPTUNE試験の最終結果/AstraZeneca

 AstraZenecaは2019年8月21日、未治療のStageIV非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療におけるデュルバルマブ(商品名:イミフィンジ)と抗CTLA4抗体tremelimumabの併用を評価した第III相NEPTUNE試験の最終の全生存(OS)結果を発表した。 NEPTUNE試験は、Stag IV NSCLC患者の1次治療において、デュルバルマブとtremelimumabの併用と化学療法を比較した国際無作為化非盲検試験。対象はEGFRまたはALK変異のないPD-L1発現NSCLC患者(非扁平上皮および扁平上皮)。主要評価項目は、20 mut/Mb以上と定義された高腫瘍変異負荷(TMB)患者のOSである。 主要評価集団であるTMB20mut/Mb以上の患者において、デュルバルマブとtremelimumabの併用は、化学療法と比較して主要評価項目のOSを達成しなかった。併用群の安全性と忍容性プロファイルは、過去の試験と一致していた。 AstraZenecaは、今後の医学学会で発表するため、全データを提出するとしている。

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