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切除可能NSCLC、アテゾリズマブ+化学療法は新たな術前治療の選択肢/Lancet Oncol

 切除可能な非小細胞肺がん(NSCLC)患者の新たな術前補助化学療法として、PD-L1阻害薬アテゾリズマブ+化学療法の有効性と安全性を評価した第II相試験の結果が示された。米国・コロンビア大学のCatherine A. Shu氏らによる多施設共同単群試験で、高い病理学的奏効率が得られ、忍容性も良好であったという。著者は「切除可能NSCLC患者にとってアテゾリズマブ+化学療法は、新たな術前補助化学療法となりうることが示された」と述べている。NSCLCの約25%は切除可能なStageIB~IIIAであり周術期化学療法が標準治療だが、この治療戦略は生存期間をわずかに改善するのみである。一方で免疫チェックポイント阻害薬が転移NSCLCに有効であることから、著者らは本検討を行った。Lancet Oncology誌オンライン版2020年5月7日号掲載の報告。 研究グループは米国の3施設において、切除可能なStageIB~IIIAのNSCLC患者を対象にアテゾリズマブ+カルボプラチン+nab-パクリタキセル併用による術前化学療法の有効性および安全性を評価する第II相多施設共同単群試験を実施した。 ECOG PSが0~1で喫煙歴を有する18歳以上のStageIB~IIIAのNSCLC患者を登録し、1サイクルを21日間として、アテゾリズマブ1,200mgをDay1に、nab-パクリタキセル(100mg/m2)をDay1、8および15に、カルボプラチン(AUC5)をDay1に投与した。2サイクル後に病勢進行を認めなかった患者に、さらに2サイクル投与し、その後手術を行った。 主要評価項目は、病理学的奏効率(major pathological response)で、手術時の残存腫瘍が10%以下と定義された。 主な結果は以下のとおり。・2016年5月26日~2019年3月1日に、30例が登録された。うち23例(77%)はStageIIIAであった。・30例中29例(97%)に手術が行われ、26例(87%)がR0切除に成功した。・データカットオフ日(2019年8月7日)の追跡期間中央値12.9ヵ月において、30例中17例(57%)で病理学的奏効が得られた。・主なGrade3/4の治療関連有害事象は、好中球減少症50%(15/30)、ALT増加7%(2/30)、AST増加7%(2/30)、および血小板減少症7%(2/30)であった。・重篤な治療関連有害事象は、Grade3の発熱性好中球減少症1例(3%)、Grade4の高血糖1例(3%)、およびGrade2の気管支肺出血1例(3%)であった。治療に関連した死亡は報告されなかった。

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FDA、化学療法を限定して追加したニボルマブとイピリムマブの併用療法を肺がん1次治療に承認/BMS

 米国食品医薬品局(FDA)は、5月26日、 PD-L1発現を問わず 、進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者の1次治療薬として、化学療法を限定して追加したニボルマブとイピリムマブの併用療法を承認した。 今回の承認は、第III相CheckMate -9LA試験の中間解析に基づいたもの。ニボルマブとイピリムマブの併用療法にプラチナ製剤を含む2剤併用化学療法2サイクルを追加した併用療法は、同試験において(最短8.1カ月の追跡調査)、PD-L1発現および腫瘍の組織型にかかわらず、化学療法と比較して良好な全生存期間(OS)の延長を示した(HR:0.69、96.71%CI: 0.55~0.87、p=0.0006)。また、12.7カ月の追跡調査の解析において、ハザード比は0.66(95%CI:0.55 - 0.80)に改善し、OS中央値は併用療法群で15.6ヵ月、化学療法群で10.9ヵ月であった。1年生存率は、併用療法群で63%、化学療法群で47%であった。

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T-DXd、HER2+乳がん脳転移例で良好な結果(DESTINY-Breast01)/ESMO BC2020

 CNS転移を有する既治療のHER2陽性乳がん患者に対する、トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd、DS-8201)の有効性が示された。ベルギー・リエージュ大学のGuy Jerusalem氏が、欧州臨床腫瘍学会乳がん(ESMO Breast Cancer Virtual Meeting 2020、2020年5月23~24日)でDESTINY-Breast01試験のサブグループ解析結果を報告した。 DESTINY-Breast01試験は、トラスツズマブ エムタンシン(T-DM1)治療を受けたHER2陽性の再発・転移を有する乳がん患者を対象としたグローバル第II相試験。独立中央判定委員会による奏効率は60.9%、PFS中央値は16.4ヵ月であり、持続的な腫瘍縮小効果が示されている。 この結果に基づき、本邦では2020年3月に「化学療法歴のあるHER2陽性の手術不能又は再発乳癌(標準的な治療が困難な場合に限る)」を適応として、国内製造販売承認を取得。5月25日に発売された。・対象:切除不能または転移を有するHER2陽性乳がんで、全身状態(ECOG PS)が0/1であり、T-DM1による治療歴のある患者。今回のサブグループ解析は、ベースライン時にCNS転移を有する患者が対象。・第1部では、5.4、6.4、7.4mg/kg(3週ごとに静脈内投与)の3つの用量に無作為に割り付けられ、推奨用量が決定された。第2部では、5.4mg/kg(3週ごとに静脈内投与)の用量で登録された184例を対象にT-DXdの有効性と安全性の評価が行われた。・評価項目:[主要評価項目]中央判定による奏効率(ORR、完全奏効[CR]+部分奏効[PR])[副次評価項目]病勢コントロール率(DCR、CR+PR+安定[SD])、臨床的有用率(CBR)、奏効期間、無増悪生存(PFS)期間、安全性など 主な結果は以下のとおり。・ベースライン時に24例(13%)がCNS転移を有していた。・CNS転移を有する患者は全体集団と比較して、全身状態が良好で(ECOG PS 0がCNS転移有:62.5%、全体集団:55.4%)、ホルモン受容体陰性患者が多かった(58.3%、45.1%)。・治療歴数の中央値は全体集団と同じく6。CNS転移を有する患者の治療歴は、トラスツズマブ、T-DM1が100%、ペルツズマブ、HER2 TKIが62.5%、ホルモン療法が45.8%、その他の全身療法が100%、放射線療法が88.3%であった。・CNS転移を有する患者において、ORRは58.3%(95%信頼区間[CI]:36.6~77.9]。DCRは91.7%で、内訳はCR :4.2%、PR:54.2%、およびSD:33.3%であった。・PFS中央値は18.1ヵ月(95%CI:6.7~18.1)であった。・増悪がみられた部位は全体集団と同様の傾向がみられ、肺、肝臓、リンパ節などであった。CNS転移を有する患者のうち、脳において増悪がみられたのは2例(8.3%)。全体集団では4例(2.2%)であった。・脳における増悪は、CNS転移を有する患者では78日目と85日目に、CNS転移のない患者では323日目と498日目に発生した。・TEAEは、CNS転移を有する患者と全体集団の間で一致しており、主に消化器系または血液系であった。TEAEによる治療中止(2例以上みられたもの)は、全体集団で肺炎(11例)、ILD(5例)だったのに対し、CNS転移を有する患者では、肺炎とILD以外のTEAEにより2例が中止された。 発表では、HER2陽性(IHC3+)/ホルモン受容体陰性の転移を有する乳がん患者で、治療歴数17の48歳の女性が、T-DXd投与中に転移性脳病変の55%の退縮を示した症例についても報告された。 T-DXdについては、HER2陽性患者対象にT-DM1後の標準治療と有効性を比較するDESTINY-Breast02試験のほか、2つの第III相試験が進行中である。

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TN乳がん1次治療へのipatasertib+PTXのOS結果(LOTUS)/ESMO BC2020

 手術不能な局所進行または転移を有するトリプルネガティブ乳がん(TNBC)の1次治療において、経口AKT阻害薬ipatasertibをパクリタキセル(PTX)に併用することにより、全生存期間(OS)が延長する可能性が、二重盲検プラセボ対照無作為化第II相試験であるLOTUS試験の最終解析で示された。シンガポール・National Cancer Centre SingaporeのRebecca Dent氏が、欧州臨床腫瘍学会乳がん(ESMO Breast Cancer Virtual Meeting 2020、2020年5月23~24日)で報告した。なお、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)については、すでに有意に延長することが報告されている。・対象:測定可能病変のある、治癒切除が不可能な局所進行または転移を有する未治療のTNBCで、6ヵ月以上化学療法を受けておらず、ECOG PSが0または1の患者・試験群:PTX 80mg/m2(Day1、8、15)+ipatasertib 400mg(Day1~21)を1サイクル28日で進行(PD)または許容できない毒性発現まで投与(ipatasertib群)62例・対照群:PTX 80mg/m2(Day1、8、15)+プラセボ(Day1~21)(プラセボ群)62例・評価項目:[主要評価項目]ITT集団およびPTEN-low患者におけるPFS[副次評価項目]OS、奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)(ITT集団、PTEN-low患者、PI3K/AKT経路活性化患者)、PI3K/AKT経路活性化患者におけるPFS、安全性 主な結果は以下のとおり。・最終データカットオフは2019年9月3日で、それまでに全患者が主にPDで治療中止となった。・ITT集団におけるOS中央値は、ipatasertib群25.8ヵ月(95%信頼区間[CI]:18.6~28.6)、プラセボ群16.9ヵ月(95%CI:14.6~24.6)で、層別ハザード比(HR)が0.80(95%CI:0.50~1.28)とipatasertib群で良好であった。1年OSはipatasertib群83%、プラセボ群68%であった。・PTEN-low患者(48例)におけるOS中央値は、ipatasertib群23.1ヵ月(95%CI:18.3~28.6)、プラセボ群15.8ヵ月(95%CI:9.0~29.1)で、非層別HRが0.83(95%CI:0.42~1.64)であった。1年OSはipatasertib群79%、プラセボ群64%であった。・PIK3CA/AKT1/PTEN変異患者(42例)におけるOS中央値は、ipatasertib群25.8ヵ月(95%CI:18.6~35.2)、プラセボ群22.1ヵ月(95%CI:8.7~NE)で、非層別HRが1.13(95%CI:0.52~2.47)であった。1年OSはipatasertib群88%、プラセボ群63%であった。・サブグループ解析では、50歳未満のOS中央値がipatasertib群35.2ヵ月、プラセボ群15.1ヵ月で、HRが0.41(95%CI:0.20~0.85)と有意にipatasertib群が延長していた。・Grade 3以上の有害事象(AE)の発現率は、ipatasertib群56%、プラセボ群45%であった。また、ipatasertib群においてAE関連の中止は4例(7%)、中断は22例(36%)、減量は13例(21%)であった。 現在、無作為化第III相試験であるIPATunity130試験が日本も参加して行われている。

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COVID-19に伴う乳がん診療トリアージについて/日本乳癌学会

 日本乳癌学会は5月25日、COVID-19に伴う乳がん診療トリアージについて指針を公開した。欧米の診療トリアージを参考に、日本における現在の診療に即した形となるようまとめたもの。外来診療、画像診断、外科療法、放射線療法、薬物療法それぞれについて、緊急度を高優先度/中優先度/低優先度の3つに分けて指針を示している。本稿では、外科療法、放射線療法、薬物療法について抜粋して下記紹介する。【外科療法】A)高優先度(できるかぎり通常通りの迅速な対応を要する)1)膿瘍の切開排膿2)術後合併症に対するサルベージ手術(血腫除去術や血流不全の皮弁に対する処置など)3)自家再建組織の血行再建術・修復術4)急速に増大する葉状腫瘍B)中優先度(治療の遅延が後に生存に影響を与える可能性がある)1)StageI・IIホルモン受容体陽性症例*に対しては、術前内分泌療法を施行して手術を延期することは可能である。*ルミナルAタイプや小葉がんの症例に対する6~12ヵ月の術前内分泌療法は、安全性および有効性が示されている。2)術前化学療法中の症例の方針変更T2またはN1のホルモン受容体陽性HER2陰性症例:状況によっては術前内分泌療法へ変更できる。トリプルネガティブまたはHER2陽性症例:施設環境などの状況によるが、易感染性の症例は手術に切り替えてもよい。3)局所再発の腫瘤切除術4)再建を伴う手術は、人工物再建として自家組織再建は極力行わない。C)低優先度(緊急性はなくパンデミックの期間中は延期することができる)1)良性疾患2)予防的切除3)非浸潤がんが確実な症例4)追加切除術5)術前内分泌療法が奏効している症例**中優先度の外科治療の項参照【放射線療法】A)高優先度1)他に有効な手段がない出血を伴う腫瘍2)術後照射中および再発巣に対する治療中の症例3)脊髄圧迫や脳転移、その他致命的な転移性病変を有する症例B)中優先度1)高リスク症例に対する照射炎症性乳がん、リンパ節転移陽性およびトリプルネガティブ乳がん、術前化学療法後に残存病変がある症例、若年(40歳未満)などの高リスク症例は、手術・化学療法終了後から20週以内に照射を行う。2)低〜中間リスク症例に対する照射65歳未満のStage I、Stage IIのホルモン受容体陽性乳がんなど低〜中間リスク症例は、手術・化学療法終了後から6ヵ月以内に照射を行う。また来院回数を減らすために寡分割照射も考慮する。C)低優先度1)65~70歳以上のホルモン受容体陽性/HER2陰性のStage I症例では、術後内分泌療法が行われている場合、生存率に影響を与えずに放射線照射を延期または省略できる。2)非浸潤がん症例では、術後内分泌療法を行われている場合、放射線照射は生存率に影響を与えないので省略できる。【薬物療法】A)高優先度1)トリプルネガティブまたはHER2陽性症例に対する術前・術後化学療法2)すでに開始されている術前・術後治療*の継続3)予後改善が見込まれる転移再発乳がんの初期化学療法[考慮すべき事項]・術前・術後治療*でも内分泌療法中の高齢者や、5年以上経過している症例などでは一時的な休薬も考慮する。・来院回数を減らすため、用量用法または投与間隔を調整する。・発熱性好中球減少症を避けるため、PEG-GCSF製剤は積極的に投与する。・免疫機能を考慮してデキサメタゾンの使用は適切な範囲で制限する。・トラスツズマブ・ペルツズマブやフルベストラントは免疫機能に影響を与えない。・LHRHアゴニストは長期製剤を使用する。B)中優先度1)緩和的化学療法[考慮すべき事項]・術後トラスツヅマブ治療中の症例では、12ヵ月間から7ヵ月間に短縮することは可能である。・転移再発例に対する抗HER2療法は、投与間隔の延長は可能である。・HER2陽性転移再発症例で、抗HER2療法が2年以上奏効している症例では、進展がなければ抗HER2療法の休止を考慮してもよい。・内分泌療法単独で治療可能な症例や奏効している症例に対しては、CDK4/6阻害薬や mTOR阻害薬の追加を延期する。C)低優先度1)骨転移に対する骨吸収抑制薬2)ポートフラッシュ

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PD-L1陽性肺がんにおける二ボルマブ・イピリムマブ併用の長期生存ベネフィット(CheckMate-227)/BMS

 ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、2020年5月14日、ニボルマブ(商品名:オプジーボ)とイピリムマブ(商品名:ヤーボイ)の併用療法が、進行非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療薬として、全生存期間(OS)ほかの有効性評価項目において持続的な改善を示した第III相CheckMate-227試験のPart1の3年間の追跡調査の結果を発表した。CheckMate-227の追跡調査、二ボルマブとイピリムマブの併用が生存ベネフィットを維持 CheckMate-227試験の中央値43.1ヵ月の追跡の結果、PD-L1発現1%以上の患者において、化学療法と比較して、二ボルマブとイピリムマブの併用療法は生存ベネフィットを維持した(HR:0.79、95%CI:0.67〜0.93)。PD-L1発現率1%以上での3年OS率は併用療法群で33%、化学療法群では22%、3年無増悪生存(PFS)率は、併用療法群で18%、化学療法群では4%であった。3年間奏効が持続したPD-L1発現1%以上の患者は、併用療法群38%、化学療法群では4%であった。 探索的解析におけるPD-L1発現1%未満の3年生存率は、併用療法群で34%、化学療法群では15%であった(HR:0.64、95% CI:0.51〜0.81)。 二ボルマブとイピリムマブの併用療法の安全性プロファイルは、NSCLCを対象とした試験でこれまでに報告されたものと一貫しており、新たな安全性シグナルは認められなかった。 これらCheckMate-227の追跡調査の結果は、 2020年米国臨床腫瘍学会(ASCO)において、口頭発表される予定。

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HER2陽性乳がんに、トラスツズマブ デルクステカン発売/第一三共

 第一三共は、トラスツズマブ デルクステカン(商品名:エンハーツ)、HER2に対する抗体薬物複合体(ADC)について、2020年5月25日、国内で新発売したと発表。 同剤は、T-DM1治療を受けたHER2陽性の再発・転移性乳がん患者を対象としたグローバル第II相臨床試験(DESTINY-Breast01、北米、欧州及び日本を含むアジアで実施)の結果に基づき、2020年3月に「化学療法歴のあるHER2陽性の手術不能又は再発乳癌(標準的な治療が困難な場合に限る)」を適応として、国内製造販売承認を取得した。 製品概要・販売名:エンハーツ点滴静注用100mg・一般名:トラスツズマブ デルクステカン(遺伝子組換え)・効能又は効果:化学療法歴のあるHER2陽性の手術不能又は再発乳癌(標準的な治療が困難な場合に限る)・用法及び用量:通常、成人にはトラスツズマブ デルクステカン(遺伝子組換え)として1回5.4mg/kg(体重)を90分かけて3週間間隔で点滴静注する。なお、初回投与の忍容性が良好であれば2回目以降の投与時間は30分間まで短縮できる。・薬価:エンハーツ点滴静注用100mg :100mg 1瓶 165,074円

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FDA、アテゾリズマブ単剤を非小細胞肺がん1次療法に承認/ロシュ

 ロシュ社は、2020年5月19日、米国食品医薬品局(FDA)が、アテゾリズマブを転移を有する成人のPD-L1高発現(TC≧50%またはIC≧10%)非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療として承認したことを発表した。  この承認は、第IIIのIMpower110試験の中間解析の結果に基づくもの。 IMpower110は、PD-L1選択、化学療法未治療のStage IV 非扁平上皮または非扁平上皮NSCLCにおいて、アテゾリズマブ単剤療法と化学療法(シスプラチン/カルボプラチンとペメトレキセド/ゲムシタビンの併用)を比較する第III相無作為化非盲検試験。アテゾリズマブ単剤療法により、PD-L1高発現患者の全生存期間(OS)が化学療法と比較して、7.1ヵ月改善した(OS中央値:20.2ヵ月対13.1ヵ月、HR:0.59、95%CI:0.40〜0.89、p=0.0106)。

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乳がん患者、治療開始の遅れが生存に及ぼす影響

 早期乳がん患者では、乳がんと診断されてから術前化学療法開始までが61日以上となると、死亡リスクの増加と関連することが示唆された。これまでに、手術や術後化学療法開始の遅れが生存に影響することが報告されてきたが、術前化学療法を必要とする患者は一般的に高リスクの腫瘍を有するため、より影響が大きい可能性が考えられた。ブラジル・Hospital Beneficencia PortuguesaのDebora de Melo Gagliato氏らは、米国・MDアンダーソンがんセンターで術前化学療法を受けた早期乳がん患者のデータを解析した。Oncologist誌オンライン版2020年5月20日号掲載の報告より。 研究者らは、1995年1月~2015年12月にMDアンダーソンがんセンターで術前化学療法を受けた原発性浸潤性乳がん患者(Stage I~III)を特定。乳がんと診断されてから術前化学療法までの時間(日数)に従って、3つのサブグループに分類した:0~30日、31~60日、および≧61日。主要評価項目は全生存期間(OS)、記述統計とCox比例ハザードモデルが用いられた。 主な結果は以下のとおり。・5,137例の患者が登録された。追跡期間中央値は6.5年。・5年OSの推定値は、診断から術前化学療法までの時間ごとに、0~30日:87%、31~60日:85%、≧61日:83%であった(p=0.006)。・多変量解析では、0~30日と比較して61日以上となると死亡リスクが増加した(31~60日:ハザード比[HR]=1.05、95%信頼区間[CI]=0.92~1.19、≧61日:HR = 1.28、95%CI=1.06~1.54)。・層別解析では、術前化学療法開始の遅れと死亡リスク増加との関連は、Stage I、II(31~60日:HR=1.22、95%CI=1.02~1.47、≧61日:HR =1.41、95%CI=1.07~1.86)およびHER2陽性(≧61日:HR=1.86、95%CI:1.21~2.86)の患者で有意に認められた。

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扁平上皮肺がん、1次治療としてのアテゾリズマブ+化学療法は?(IMpower131)/JTO

 進行扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)への1次治療として、アテゾリズマブ+プラチナ併用化学療法は、化学療法単独と比較して、無増悪生存(PFS)期間は有意に改善した。しかし、全生存(OS)期間の有意な延長は得られなかった。米国・ロッキーマウンテンがんセンターのRobert Jotte氏らが、第III相無作為化試験「IMpower131試験」の有効性と安全性の結果を報告した。細胞傷害性抗がん剤には免疫調節作用があり、抗PD-L1抗体アテゾリズマブの作用が化学療法との併用で強化される可能性が示唆され、これまで転移のある非扁平上皮NSCLC患者を対象とした1次治療に関する試験(IMpower130試験、IMpower150試験)でPFS、OSの有意な改善が示されていた。それらの結果を踏まえて欧米では、転移のある非扁平上皮NSCLC患者に対するアテゾリズマブ+プラチナ併用化学療法が承認されていた。Journal of Thoracic Oncology誌オンライン版2020年4月7日号掲載の報告。 研究グループは、化学療法未治療の転移のある扁平上皮NSCLC患者1,021例を、アテゾリズマブ+カルボプラチン+パクリタキセル(A+CP)群(338例)、アテゾリズマブ+カルボプラチン+nab-パクリタキセル(A+CnP)群(343例)、またはカルボプラチン+nab-パクリタキセル(CnP)群(340例)に、1対1対1の割合で無作為に割り付け、21日を1サイクルとして4または6サイクル投与した。その後、A+CP群またはA+CnP群は、進行またはクリニカルベネフィットがなくなるまで、アテゾリズマブ維持療法を行った。 主要評価項目は2つで、ITT集団における治験責任医師評価によるPFSおよびOS。副次評価項目は、PD-L1発現別サブグループのPFSおよびOS、そして安全性であった。 すでにA+CnP群およびCnP群を比較した、PFS主解析(クリニカルカットオフ日2018年1月22日)およびOS最終解析(同2018年10月3日)は、それぞれ報告されている。 主な結果は以下のとおり。・ITT集団におけるPFS中央値は、A+CnP群6.3ヵ月、CnP群5.6ヵ月と、A+CnP群で有意に改善することが示された(ハザード比[HR]:0.71、95%信頼区間[CI]:0.60~0.85、p=0.0001)。・OS中央値は、A+CnP群14.2ヵ月、CnP群13.5ヵ月で、統計学的有意差は認められなかった(HR:0.88、95%CI:0.73~1.05、p=0.16)。・PD-L1高発現のサブグループのOSは、CnP群に比べ、A+CnP群で良好であった(HR:0.48、95%CI:0.29~0.81)。・Grade3~4の治療関連有害事象、および重篤な有害事象の発現率は、A+CnP群でそれぞれ68.0%および47.9%、CnP群で57.5%および28.7%であった。

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化学療法を限定して追加したニボルマブとイピリムマブの併用療法、肺がん1次治療でOS改善(CheckMate-9LA)/BMS

 ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、2020年5月13日、ニボルマブ(商品名:オプジーボ)とイピリムマブ(商品名:ヤーボイ)の併用療法に化学療法2サイクルを追加した併用療法が、進行非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療薬として、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある生存ベネフィットを示した第III相CheckMate-9LA試験の結果を公表。化学療法と比較して、良好な全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)および奏効率(ORR)を示した。 CheckMate-9LAは、PD-L1発現レベルおよび腫瘍の組織型にかかわらず、進行NSCLC患者の1次治療薬として、ニボルマブ(360mg 3週ごと)とイピリムマブ(1mg/kg 6週ごと)の併用療法に化学療法(2サイクル)を追加した併用療法を、化学療法(最大4サイクル後に、適格であればペメトレキセドによる維持療法を任意で施行)と比較した多施設共同無作為化非盲検第III相試験。主要評価項目であるOSの中間解析では、最短8.1ヵ月の追跡調査において、ニボルマブとイピリムマブの併用療法に化学療法2サイクルを追加した併用療法が、化学療法と比較して、死亡リスクを31%低減した(HR:0.69、96.71%CI:0.55~0.87、p=0.0006)。さらに、最短12.7ヵ月の追跡調査においても、引き続きOSの改善を示した(OS中央値:併用療法15.6ヵ月、化学療法10.9ヵ月[HR 0.66、95% CI:0.55~0.80])。PD-L1発現および腫瘍の組織型を含むサブグループでも、すべての有効性評価項目において、臨床的なベネフィットが示された。併用療法の安全性プロファイルは、これまでに認められているものと一貫していた。 これらの結果は、5月29日~31日にオンラインで開催される2020年米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会において、口頭発表される予定。

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COVID-19と乳がん診療ガイドライン―欧米学会発表まとめ(吉村吾郎氏)

新型コロナウイルス (COVID-19) パンデミック下での乳がん診療の優先順位をどう考えるべきか。欧米関連学会が発表したガイドラインを市立岸和田市民病院 乳腺外科部長 吉村 吾郎氏が解説する。新型コロナウイルス (COVID-19) パンデミック下での乳がん診療について、欧州臨床腫瘍学会 European Society for Medical Oncology Cancer (ESMO) 1) と米国乳がん関連学会2)がガイドラインを作成している。いずれのガイドラインも COVID-19 リスクの最小化と診療利益の最大化を目的とする、乳がん患者の優先順位付けを推奨している。その内容に大差はなく、診療内容別に高優先度/中優先度/低優先度に分類し、米国ガイドラインは中および低優先度をさらに3段階に細分している。本邦の臨床事情に合わせて若干改変した両ガイドラインの概略を以下に記載する。【外来診療】○高優先度感染や血腫などで病状が不安定な術後患者発熱性好中球減少症や難治性疼痛など腫瘍学的緊急事態浸潤性乳がんの新規診断○中優先度非浸潤性乳がんの新規診断化学療法や放射線療法中の患者病状が安定している術後患者○低優先度良性疾患の定期診察経口アジュバント剤投与中、あるいは治療を受けていない乳がん患者の定期診察生存確認を目的とする乳がん患者の定期診察【診断】○高優先度重症乳房膿瘍や深刻な術後合併症評価目的の診断しこりやその他乳がんが疑われる自覚症状を有する症例に対する診断臨床的に明らかな局所再発で、根治切除が可能な病変に対する診断○中優先度マンモグラフィ検診で BI-RADS カテゴリ4または5病変の診断転移再発が疑われ、生検が必要とされる乳がん患者への診断○低優先度マンモグラフィ検診BRCAキャリアなど高リスク例に対する検診マンモグラフィ検診で BI-RADS カテゴリ3病変の診断無症状の初期乳がん患者に対するフォローアップ診断【手術療法】○高優先度緊急で切開ドレナージを要する乳房膿瘍および乳房血腫自家組織乳房再建の全層虚血術前化学療法を終了した、あるいは術前化学療法中に病状が進行した乳がん患者トリプルネガティブ乳がん、あるいはHER2陽性乳がん患者で、術前化学療法を選択しない場合○中優先度ホルモンレセプター陽性/HER2陰性/低グレード/低増殖性のがんで、術前ホルモン療法の適応となる乳がん患者臨床診断と針生検結果が不一致で、浸潤性乳がんの可能性が高い病変に対する外科生検○低優先度良性病変に対する外科切除広範囲高グレード非浸潤性乳管がんを除く、非浸潤性乳がん臨床診断と針生検結果が不一致で、良性の可能性が高い病変に対する外科生検二次乳房再建手術乳がん高リスク例に対するリスク軽減手術【放射線療法】○高優先度出血や疼痛を伴う手術適応のない局所領域病変に対する緩和照射急性脊髄圧迫、症候性脳転移、その他の腫瘍学的緊急事態症例に対する緩和照射高リスク乳がん症例に対する術後照射 (炎症性乳がん/リンパ節転移陽性/トリプルネガティブ乳がん/HER2陽性乳がん/術前化学療法後に残存病変あり/40歳未満)○中優先度65歳未満でホルモンレセプター陽性かつ HER2 陰性の中間リスク乳がんに対する術後照射○低優先度非浸潤性乳がんに対する術後照射65歳以上でホルモンレセプター陽性かつ HER2 陰性の低リスク乳がんに対する術後照射【初期乳がんに対する薬物療法】○高優先度トリプルネガティブ乳がんに対する術前および術後化学療法HER2 陽性乳がん患者に対する抗 HER2 療法併用の術前および術後化学療法炎症性乳がん患者に対する術前化学療法すでに開始された術前/術後化学療法高リスクのホルモンレセプター陽性かつ HER2 陰性乳がんに対する術前および術後ホルモン療法±化学療法術前ホルモン療法○具体的推奨事項化学療法と放射線療法の適応となるホルモンレセプター陽性症例において、放射線療法の先行は許容されるホルモンレセプター陽性かつHER2 陰性で臨床ステージI-II乳がんでは、6~12ヶ月間の術前ホルモン療法がオプションとなるホルモンレセプター陽性かつHER2 陰性で化学療法の適応となる乳がん症例では、術前化学療法がオプションとなる通院回数を減らす目的での化学療法スケジュール変更 (毎週投与を2週間または3週間毎投与に変更) は許容される。好中球減少症リスクを最小限とするため、G-CSF 製剤を併用し、抗生剤投与も行うべきである。免疫抑制を避けるため、デキサメタゾンは必要に応じて制限すべきである低リスク、あるいは心大血管疾患やその他の合併症を有する HER2 陽性乳がん症例では、術後の抗 HER2 療法の期間を6ヵ月に短縮することはオプションとなるLHRH アナログ製剤を、通院回数を減らすために長時間作用型へ変更すること、患者自身または訪問看護師による在宅投与することを、ケースバイケースで相談するアロマターゼ阻害剤を投与されている症例では、骨量検査を中止する (ベースラインおよびフォローアップとも)可能であれば、自宅の近くの医療機関で画像検査や血液検査を実施する可能であれば、遠隔医療による副作用のモニタリングを実施する【進行再発乳がんに対する薬物療法】○高優先度高カルシウム血症、耐えられない痛み、有症状の胸水貯留、脳転移など、腫瘍学的緊急事態症例に対する薬物療法重篤内蔵転移に対する薬物療法予後を改善する可能性の高い一次治療ラインでの化学療法、内分泌療法、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬○中優先度予後を改善する可能性のある二次、三次以降の治療ラインでの薬物療法○低優先度緊急性の低い高Ca血症や疼痛コントロール目的での骨修飾薬 (ゾレドロン酸、デノスマブ)○具体的推奨事項化学療法が推奨される場合、通院回数を減らす目的での経口薬治療は許容される通院回数を減らす目的での化学療法スケジュール変更 (毎週投与を2週間または3週間毎投与に変更) は許容される発熱性好中球減少症リスクの低いレジメンを選択することは許容される化学療法による好中球減少症リスクを最小限とするため、G-CSF 製剤を併用し、抗生剤投与も行うべきである。免疫抑制を避けるため、デキサメタゾンは必要に応じて制限すべきであるトラスツズマブとペルツズマブの投与間隔を延長することは許容される (例:4週毎投与)腫瘍量の少ない HER2 陽性転移性乳がんでトラスツズマブやペルツズマブによる治療が2年間以上にわたり行われている症例では、病状経過を3〜6ヵ月ごとにモニターしながら抗 HER2 療法の中止を考慮する耐容性を最適化し、有害事象を最小化するため、標的治療剤を減量投与することは許容される転移再発乳がん一次治療としての標的治療剤 (CDK4/6阻害剤、mTOR阻害剤、PIK3CA 阻害剤) とホルモン療法の併用を、ホルモン療法単独とすることは許容されるCDK4/6阻害剤による好中球減少症と COVID-19 発症リスクの関連は明らかではなく、感染徴候を注意深く観察し、COVID-19 を疑い症状が出現した場合は速やかに治療を中止する免疫チェックポイント阻害剤とCOVID-19 発症リスクの関連は明らかではなく、感染徴候を注意深く観察し、COVID-19 を疑い症状が出現した場合は速やかに治療を中止するLHRH アナログ製剤を、通院回数を減らすために長時間作用型へ変更すること、患者自身または訪問看護師による在宅投与することを、ケースバイケースで相談する多職種キャンサーボードでの議論と患者の希望を踏まえて、晩期治療ラインにおける休薬、最善支持療法、投与間隔の拡大、低容量維持療法は許容される骨転移患者に対する骨修飾薬は、通院回数を最小限にして投与されるべきである病状が安定している転移性乳がん症例では、ステージング目的の定期診察や画像検査の間隔を空ける抗 HER2療法中の心機能モニター検査は、臨床的に安定していれば遅らせることが許容される可能であれば、自宅の近くの医療機関で画像検査や血液検査を実施する可能であれば、遠隔医療による副作用のモニタリングを実施する1.ESMO magagement and treastment adapeted recommentaions in the COVID-19 ERA: Breast cancer. 2.Recommendations for prioritization, treatment, and triage of breast cancer patients during the COVID‐19 pandemic. the COVID‐19 pandemic breast cancer consortium.

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膵がん患者の悪液質、1次化学療法開始後3ヵ月で3割、1年で6割強に

 悪液質は患者の身体的健康と生活の質に影響を及ぼし、さらにがん治療、とくに殺細胞性抗がん剤に対する患者の忍容性にも影響する。国立がん研究センター東病院の光永 修一氏らは、進行膵管腺がん(PDAC)患者を対象に悪液質について後ろ向きに調査し、1次化学療法開始後早期に悪液質が発現したものの、生命予後因子ではなかったことを明らかにした。ただし、1次化学療法開始後に悪液質が認められた患者では、認められなかった患者に比べ一部の有害事象の発現頻度が高い傾向にあったという。Supportive Care in Cancer誌オンライン版2020年2月26日号掲載の報告。がん治療開始後の悪液質の発現は全生存期間とは関連しない 研究グループは、2008年6月6日~2017年3月31日にPDACと診断され1次化学療法を受けた患者を対象に、後ろ向きに解析した。 悪液質は、>5%の体重減少、またはBMI<20の患者では>2%の体重減少と定義し、1次化学療法開始前6ヵ月までに認められたものをベースライン悪液質、治療開始後の悪液質をフォローアップ悪液質とした。 進行膵管腺がん患者を対象に悪液質について調査した主な結果は以下のとおり。・解析対象は150例(年齢中央値65歳、BMI中央値21.7)であった。・ベースライン悪液質は、50%の患者に認められた。・フォローアップ悪液質は、1次化学療法開始後12週以内に32%で発現し、治療開始後1年の時点では64%に達した。・フォローアップ悪液質の発現は、全生存期間とは関連しなかった。・フォローアップ悪液質なしの患者に比べフォローアップ悪液質ありの患者では、食欲不振、疲労、悪心および下痢が高頻度に認められた。

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パクリタキセル+ベバシズマブは非小細胞肺がん2次治療以降の選択肢となるか/Eur J Cancer

 進行非扁平上皮非小細胞肺がん(nsNSCLC)ではプラチナ製剤ベースの化学療法が不応の場合、ドセタキセルが標準治療となっているものの、選択肢は多くない。パクリタキセル+ベバシズマブも有効な選択肢となるのか。nsNSCLCの2次または3次治療において、パクリタキセル+ベバシズマブとドセタキセルを比較した、フランス・リール大学のAlexis B. Cortot氏らの第III相多施設非盲検無作為化試験「IFCT-1103 ULTIMATE試験」の結果が報告された。European Journal of Cancer誌オンライン版2020年4月8日号掲載の報告。 試験は、進行nsNSCLCで、経口プラチナ製剤ベースの化学療法を含む1次または2次治療を受けた患者を対象に行われた。 被験者を、パクリタキセル90mg/m2(Day1、8、15)+ベバシズマブ10mg/kg(Day1、15)の28日ごと投与群、またはドセタキセル75mg/m2の21日ごと投与群に無作為に割り付けた。病勢進行後のクロスオーバーは許容された。主要評価項目は、無増悪生存期間(PFS)であった。 主な結果は以下のとおり。・166例が、パクリタキセル+ベバシズマブ群(111例)またはドセタキセル群(55例)に無作為に割り付けられた。・PFS中央値は、パクリタキセル+ベバシズマブ群5.4ヵ月、ドセタキセル群3.9ヵ月と、パクリタキセル+ベバシズマブ群で有意に延長した(補正後ハザード比[HR]:0.61、95%信頼区間[CI]:0.44~0.86、p=0.005)。・全奏効率はパクリタキセル+ベバシズマブ群22.5%、ドセタキセル群5.5%であった(p=0.006)。・全生存(OS)期間中央値は、同等であった(補正後HR:1.17、p=0.50)。・クロスオーバーは、ドセタキセル群では55例中21例(38.2%)で認められた。・Grade3/4の有害事象は、パクリタキセル+ベバシズマブ群45.9%、ドセタキセル群54.5%で報告された(p=NS)。

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DS-8201をHER2陽性胃がんに国内申請/第一三共

 第一三共株式会社は、2020年5月7日、トラスツズマブ デルクステカン(開発コード:DS-8201、商品名:エンハーツ)について、HER2陽性の胃がんに係る効能又は効果を追加する製造販売承認事項一部変更承認申請を国内において行った。 この申請は、トラスツズマブを含む2つ以上の前治療を受けたHER2陽性の進行・再発胃がん患者または胃食道接合部腺がん患者を対象とした第2相臨床試験(DESTINY-Gastric01)および日米共同第I相臨床試験の結果に基づくもの。 同剤は、厚生労働省よりがん化学療法後に増悪したHER2過剰発現が確認された治癒切除不能な進行・再発の胃がんに対する治療として、先駆け審査指定を受けている。

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CLL1次治療、acalabrutinibの第III相試験成績/Lancet

 未治療の症候性慢性リンパ性白血病(CLL)患者の治療において、acalabrutinib±オビヌツズマブは、標準治療であるオビヌツズマブ+chlorambucilによる化学免疫療法と比較して、無増悪生存(PFS)を有意に改善し、安全性プロファイルも良好であることが、米国・Willamette Valley Cancer Institute/US OncologyのJeff P. Sharman氏らの検討「ELEVATE TN試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌2020年4月18日号に掲載された。acalabrutinibは、選択的な共有結合性ブルトン型チロシンキナーゼ阻害薬。未治療CLL患者を対象とした第I/II相試験では、単剤またはオビヌツズマブとの併用で、高い有効性(全奏効割合95~97%)とともに、持続性の寛解、良好な長期忍容性、低い治療中止率が報告されている。オビヌツズマブは抗CD20モノクローナル抗体、chlorambucilは化学療法薬(アルキル化薬)である。3群を比較する国際的な無作為化第III相試験 本研究は、18ヵ国142施設が参加した非盲検無作為化第III相試験であり、2015年9月14日~2017年2月8日に患者登録が行われた(Acerta Pharmaの助成による)。 対象は、年齢65歳以上、およびクレアチニンクリアランス30~69mL/分(Cockcroft-Gault式)またはCumulative Illness Rating Scale for Geriatrics(CIRS-G)スコア>6点の18~<65歳の未治療CLLで、全身状態(ECOG PS)≦2の患者であった。重度の心血管疾患を有する患者は除外された。 被験者は、acalabrutinib(経口投与)+オビヌツズマブ(静脈内投与)(併用群)、acalabrutinib単剤(単剤群)、オビヌツズマブ+chlorambucil(経口投与)(標準治療群)の3群に、1対1対1の割合で無作為に割り付けられ、28日を1サイクルとする治療が行われた。 主要エンドポイントは、独立の判定委員会(IRC)の評価によるPFSとした。標準治療群の増悪例は、acalabrutinibへのクロスオーバーが可能とされた。増悪/死亡リスクが併用群で90%、単剤群は80%低減 適格基準を満たした535例が登録され、併用群に179例、単剤群に179例、標準治療群に177例が割り付けられた。ベースラインの年齢中央値は70歳(IQR:66~75)で、448例(84%)が65歳以上であった。CLL国際予後指標(CLL-IPI)スコアで、高リスクが368例(69%)、超高リスクが66例(12%)含まれた。また、標準治療群の55例(31%)が追加治療を要し、このうち45例(82%)でacalabrutinib単剤へのクロスオーバーが行われた。 フォローアップ期間中央値28.3ヵ月(IQR:25.6~33.1)の時点におけるPFS期間中央値は、併用群は未到達(95%信頼区間[CI]:評価不能~評価不能)であり、標準治療群の22.6ヵ月(95%CI:20.2~27.6)に比べ有意に延長し、増悪または死亡のリスクが90%低下した(ハザード比[HR]:0.10、95%CI:0.06~0.17、p<0.0001)。また、単剤群もPFS期間中央値には未到達(34.2~評価不能)で、標準治療群の22.6ヵ月(95%CI:20.2~27.6)に比し有意に延長し、増悪または死亡のリスクが80%低下した(HR:0.20、95%CI:0.13~0.30、p<0.0001)。 24ヵ月PFS率は、併用群が93%、単剤群が87%、標準治療群は47%であった。また、全奏効率(完全奏効+骨髄機能の回復を伴わない完全奏効+結節性病変の部分奏効+部分奏効の割合)は、併用群が94%と、標準治療群の79%に比べ有意に優れ(p<0.0001)、単剤群は85%であり、標準治療群との間に有意な差はなかった(p=0.08)。 全生存(OS)期間中央値には、3群とも未到達であった。併用群と標準治療群のHRは0.47(95%CI:0.21~1.06、p=0.06)、単剤群と標準治療群のHRは0.60(0.28~1.27、p=0.16)であった。 最も頻度の高いGrade3以上の有害事象は、3群とも好中球減少であった(併用群29.8%、単剤群9.5%、標準治療群41.4%)。全Gradeの輸注反応の頻度は、併用群が13.5%と、標準治療群の39.6%よりも低かった。Grade3以上の感染症は併用群で頻度が高かった(併用群20.8%、単剤群14.0%、標準治療群8.3%)。また、全死因死亡は、併用群が8例(4%)、単剤群が12例(7%)、標準治療群は15例(9%)だった。 著者は、「これらのデータは、未治療の症候性CLL患者の新たな治療選択肢として、acalabrutinib単独またはacalabrutinib+オビヌツズマブの使用を支持し、化学療法薬を含まない選択肢をもたらすものである」としている。

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COVID-19流行下で不安募らせるがん患者、医師は受け身から能動へ?

 がん患者の自分が感染したら致命的なのではないか、治療を延期しても大丈夫なのか、この発熱は副作用かそれとも感染か―。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への感染が拡大する中、がん患者の不安は大きくなってしまっている。エビデンスが十分とはいえない中、また医師自身にも感染リスクがある中で、治療においてどのような判断をし、コミュニケーションを図っていけばよいのか。4月21日、「新型コロナ感染症の拡大を受け、がん患者・家族が知りたいこと」(主催:一般社団法人CancerX)と題したオンラインセッションが開催され、腫瘍科や感染症科など各科の専門医らが、患者および患者家族からの質問に答える形で議論を行った。がんの既往があると重症化リスクが高いのか?と聞かれたら 大須賀 覚氏(アラバマ大学バーミンハム校脳神経外科)は、現状のデータだけでは十分とは言えないとしたうえで、「すべてのがん患者さんが同じように重症化リスクが高いとはかぎらない」と説明。英国・NHSによるClinical guideから、とくに脆弱とされる状況を挙げた:• 化学療法を現在受けている• 肺がんで、放射線治療を受けている• 血液または骨髄のがん(白血病、リンパ腫、骨髄腫)に罹患している• がんに対する免疫療法または他の継続的な抗体治療を受けている• その他、免疫系に影響するタンパク質キナーゼ阻害薬やPARP阻害薬などの分子標的療法を受けている• 6ヵ月以内に骨髄移植や幹細胞移植を受けた人、または現在、免疫抑制剤の投与を受けている• 60歳以上の高齢• がん以外の持病がある(心・血管系疾患、糖尿病、高血圧、呼吸器疾患など) 市中に感染が蔓延している状況下では、病院へ行く頻度が高い人はやはり感染リスクが高くなるとして、治療によるベネフィットを考慮したうえで、受診の機会をどうコントロールしていくかが重要になると話した。感染のリスクと治療のベネフィットを、どう考えるか 大曲 貴夫氏(国立国際医療研究センター病院国際感染症センター)は今後の流行の状況について、「いま来ている波が落ち着いたとしても、また次の波に警戒しなければならない」とし、ある程度長い期間、寄せては返しを繰り返すのではないかと話した。先がみえない状況の中で、治療延期の判断、延期期間をどう考えていけばよいのか。 勝俣 範之氏(日本医科大学武蔵小杉病院腫瘍内科)は、「がん治療の延期・中止は非常に慎重に行うべき」として、病状が安定していて、半年に一度などのフォローアップの患者さんで、たとえば1ヵ月後に延期する、といったところから始めていると話した。 大須賀氏は、医療資源が確保できず安全な治療自体が行えない場合、いま治療を実施することによって感染リスクが高まると判断される場合は延期・治療法の変更が検討されるとし、治療自体の緊急性や効果といった個別の状況のほか、地域での感染状況などから総合的に判断されるというのが現状の世界での基本的見解だろうと話した。 そして、もし治療の延期や変更を決めた場合には、「なぜ延期/変更されたのかを患者さんが理解しないといけないし、医師は理解できるように説明できないといけない」と上野 直人氏(テキサス大学MDアンダーソンがんセンター乳腺腫瘍内科)。会場の参加医師からは、貴重な受診機会を効率的なものにするために、平時以上に、患者さんに事前に質問事項をメモして来院するよう伝えるべきではという声も聞かれた。続く緊張と感染への不安で食事がとれなくなっている患者も 秋山 正子氏(認定NPO法人マギーズ東京)は、感染を心配しすぎて過敏になり、食事や水分をまともにとれていないような状況もある、と指摘。電話相談などを受けていると、家にずっと閉じこもる状況下で緊張状態になり、身体をうまく休めることができなくなっている人もいるという。 天野 慎介氏(一般社団法人 全国がん患者連合会)は、「まず自分がストレスを感じていることを認めて受け入れる」ことが重要と話した。そのうえで、日本心理学会によるアウトブレイク下での精神的ストレスを軽減させるための考え方(もしも「距離を保つ」ことを求められたなら:あなた自身の安全のために)について、その一部を紹介した:• 信頼できる情報を獲得する• 日々のルーティンを作り,それを守る• 他者とのヴァーチャルなつながりをもつ• 健康的なライフスタイルを維持するつながらない代表電話、医師ができる積極的アプローチとは がん治療中に発熱した場合、それが化学療法による副作用なのか、あるいは感染の疑いがあるのか、患者自身が判断するのは不可能で、味覚障害や下痢なども、鑑別が難しい。佐々木 治一郎氏(北里大学病院 集学的がん診療センター)は、「がん治療中の患者さんに関しては、発熱などの何らかの症状があった場合、保健所ではなく、まず主治医に連絡してもらうようにしている」と話した。 しかし現在、多くの病院で代表電話は非常につながりにくい状況になっている。会場からは、各病院でもがん相談支援センターの直通電話は比較的かかりやすいといった情報が提供された。佐々木氏は、「自粛して1人あるいは家族だけと自宅にいる患者さんに、何らかの支援を提供できるよう動いていくときなのではないか」とし、医師は普段は受け身で相談を受けているが、今はこちらから電話をするなど、積極的なアプローチが必要なのではないかと話した。正しい情報にアクセスし、適切なサポートにたどり着いてもらうために 「10秒息を止められれば大丈夫」「水を飲めば予防できる」など、驚くようなデマが拡散し、そして思った以上に患者さんたちはそういった情報に翻弄されてしまっていると勝俣氏。信頼できる情報にアクセスできるように、医療者がサポートしていく必要性を呼び掛けた。また秋山氏は、「直接ではなくても、電話やネットなどのツールを活用し、誰かとつながって話すことで、かなり不安が軽減する」とし、電話相談の窓口などを活用してほしいと話した。本セッション中に登壇者や参加者から提供された情報源や相談窓口について、下記に紹介する。■新型コロナウイルスに関する情報臨床腫瘍学会「がん診療と新型コロナウイルス感染症:がん患者さん向けQ&A」チームオンコロジー「新型コロナウイルス(COVID-19)関連リンク集」日本癌医療翻訳アソシエイツ(JAMT)「新型コロナウイルス情報リンク集」大須賀 覚先生のnote■相談窓口などマギーズ東京「メールやお電話などのご案内」日本臨床心理士会「新型コロナこころの健康相談電話のご案内」厚生労働省「新型コロナウイルス感染症関連SNS心の相談」

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二ボルマブとイピリムマブの併用が悪性胸膜中皮腫の生存期間を延長(CheckMate-743)/BMS

 ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、2020年4月21日、未治療の悪性胸膜中皮腫(MPM)を対象とした第III相 CheckMate-743試験において、ニボルマブ(一般名:オプジーボ)とイピリムマブ(一般名:ヤーボイ)の併用療法が、主要評価項目である全生存期間(OS)を延長したことを発表した。 独立データモニタリング委員会であらかじめ計画されていた中間解析で、二ボルマブとイピリムマブの併用療法が、化学療法(ペメトレキセドとシスプラチンまたはカルボプラチンの併用療法)と比較して、統計学的に有意に、臨床的に意義のあるOSの改善を示した。  本試験で認められた二ボルマブとイピリムマブの併用療法の安全性プロファイルは、同併用療法でこれまでに認められているものと一貫していた。

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ペムブロリズマブ単剤は高齢患者にも有用かKEYNOTE-010、024、042統合解析【肺がんインタビュー】 第45回

第45回 ペムブロリズマブ単剤は高齢患者にも有用かKEYNOTE-010、024、042統合解析肺がん患者の多くは高齢者である。近年登場した免疫治療薬は、肺がん治療においても幅広く適用され始め、高齢肺がんにおいても、その有用性が期待される。しかし、臨床試験での高齢者のデータは少ない。そのような中、高齢者への有効性と安全性を評価した、ペムブロリズマブ単剤の大規模RCTの統合解析がLung Cancer誌で発表された。筆頭著者である野崎 要氏にこの試験から得られる新たな知見について聞いた。肺がん最大の高齢者データセット―この試験を実施した背景を教えていただけますか。ご存じのとおり、肺がん患者さんの多くは高齢者です。高齢者の定義は日本肺癌学会ガイドラインでは75歳となっています。免疫チェックポイント阻害薬が登場し、その使用機会も著しく増加していますが、免疫チェックポイント阻害薬のピボタル試験では65歳を境にした解析が多く、75歳以上のデータは数少ないのが現状です。そこで、ペムブロリズマブ単剤の3つのピボタル試験の統合解析から75歳以上の患者のデータを抽出し、75歳以上の高齢患者におけるペムブロリズマブ単剤の効果と安全性を評価しました。―3つのピボタル試験について教えていただけますか。KEYNOTE-010、024、042試験の3つです。これらはすべて企業(MSD)主導のグローバル試験です。KEYNOTE-010試験は2016年のLancet誌に結果が発表された既治療のPD-L1発現(1%以上)非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対するペムブロリズマブ単剤の試験です。KEYNOTE-024試験は、1次治療のPD-L1高発現(50%以上)NSCLC患者に対するペムブロリズマブ単剤とプラチナ併用化学療法の比較試験で、2016年、New England Journal of Medicine誌に結果が発表されました。私は、前勤務地でこの試験に施設の試験責任医師として参加しています。KEYNOTE-042試験は、同じく1次治療ですが、PD-L1発現(1%以上)NSCLC患者に対するペムブロリズマブ単剤とプラチナ併用化学療法の比較試験で、2019年のLancet誌に結果が発表されています。画像を拡大する―試験デザインについて教えていただけますか。今回の研究では、前出のペムブロリズマブの3つのピボタル試験で、下記の4つの統合解析を行い、1次治療であるKEYNOTE-024、KEYNOTE-042試験については、下記の2つの統合解析を行いました。画像を拡大する高齢者へのペムブロリズマブ単剤治療、有効性、安全性とも若年者と同様―この研究の主な結果を教えていただけますか。3試験全体でみた75歳以上のペムブロリズマブ単剤の全生存期間(OS)は、化学療法に比べ有意に良好でした。PD-L1≧1%でのOSは、ペムブロリズマブ単剤15.7ヵ月に対し、化学療法は11.7ヵ月(HR:0.76)、PD-L1≧50%でのOSは19.2ヵ月vs.11.9ヵ月です(HR:0.40)。また、1次治療であるKEYNOTE-024と042における75歳以上のOSは、PD-L1≧50%で23.1ヵ月vs.8.3ヵ月(HR:0.41)と、こちらもペムブロリズマブ単剤群は化学療法に比べ良好でした。―高齢患者の有害事象の発現についてはいかがでしたか。75歳以上における治療関連有害事象(TRAE)は、化学療法に比べ、ペムブロリズマブ単剤で少なく、全Gradeで68.5% vs.94.3%、Grade3以上では24.2% vs.61.0%でした。75歳以上と75歳未満を比べても同様でした。TRAE発現は75歳以上68.5%に対し75歳未満65.2%、免疫関連有害事象(irAE)発現は24.8% vs.25.0%と同等でした。―この研究は、264例という75歳以上では最大規模の試験となりますが、この結果を高齢者肺がんの実臨床にどう応用できるとお考えですか。当研究は、事後解析ですので、いくつかの限界(limitation)があります。組織型(ペムブロリズマブに扁平上皮がんが多い)、喫煙状況(ペムブロリズマブに喫煙者が多い)といった患者背景に偏りがあります。また、1次治療として行われた2試験(KEYNOTE-024と042)に参加できたのは、プラチナ併用療法に忍容性がある方で、実地臨床における高齢患者さんとはやや異なる可能性があります。また、PD-L1 1~49%のデータは示されていません。とはいえ、前向き試験によって抽出された臨床データで、ペムブロリズマブ単剤の有効性、有害事象も高齢者とそれ以外で大きく変わらないことが示されたことは重要だと思います。とくに、PD-L1高発現に対するペムブロリズマブの治療効果(OSカーブ)は75歳以上と75歳未満で変わらないように見えます。このようなことから、少なくともPD-L1高発現の全身状態の良い高齢者には積極的にペムブロリズマブを使用することを勧めて良い、ということはいえると思います。参考原著:Nosaki K, et al. Lung Cancer.2019;135:188-195.KEYNOTE-010: Herbst RS, et al. Lancet. 2016;387:1540-1550.KEYNOTE-024: Reck M, et al. N Engl J Med. 2016 ;375:1823-1833.KEYNOTE-042: Mok TSK, et al. Lancet. 2019;393:1819-1830.

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化学療法+ICI、初の長期フォローアップデータ【忙しい医師のための肺がんササッと解説】第13回

第13回 化学療法+ICI、初の長期フォローアップデータ1)Gadgeel S, Rodriguez-Abreu D, Speranza G, et al. Updated Analysis From KEYNOTE-189: Pembrolizumab or Placebo Plus Pemetrexed and Platinum for Previously Untreated Metastatic Nonsquamous Non-Small-Cell Lung Cancer. J Clin Oncol. 2020 Mar 9. [Epub ahead of print]NSCLCの標準治療を大きく変えることになったKEYNOTE-189試験(化学療法+免疫チェックポイント阻害剤[ICI]vs.化学療法の第III相試験)。ICIを用いた多くの試験同様、アップデート解析が今回報告された。長期生存・長期無再発はどのような集団で得られているのか、PD-L1検査の意義は…簡潔に紹介する。アップデートの内容フォローアップ期間の中央値は当初報告(Gandhi L, et al. NEJM. 2018;378:2078-2092.)における10.5ヵ月から、今回23.1ヵ月となった。PFS、OSのアップデートに加え、PFS2の解析が追加されている。なおPFS2の定義は「ランダム化から、(1)主治医判断による2次治療の病勢進行(PD)まで、もしくは(2)2次治療をPD以外で終了した場合は3次治療開始まで、あるいは(3)これら以外の死亡まで」とされている。IMpower試験(アテゾリズマブ)で話題となった、肝・脳転移の有無に関するサブセット解析が追加された。なおKN189試験では全体の16~18%の症例が肝・脳転移を有している。結果以下、Pembro群vs.Placebo群:初回報告→アップデートの順に紹介する(単独の結果記載はアップデートデータのみ)。MST:未到達vs.11.3ヵ月(HR 0.49)→22.0ヵ月vs.10.7ヵ月(HR 0.56)2年生存率:45.5% vs.29.9%PD-L1別のHR(≧50%/1~49%/<1%):0.42/0.55/0.59→0.59/0.62/0.52mPFS:8.8ヵ月vs.4.9ヵ月(HR 0.52)→9.0ヵ月vs.4.9ヵ月(HR 0.48)2年PFS率:20.5% vs.1.5%PD-L1別のHR(≧50%/1~49%/<1%):0.36/0.55/0.75→0.36/0.51/0.64PFS2:17.0ヵ月vs.9.0ヵ月(HR 0.49)PD-L1別のHR(≧50%/1~49%/<1%):0.47/0.59/0.46肝転移・脳転移の有無は予後不良因子ではあるが、ペムブロリズマブ追加の効果予測因子ではなかった。追加期間において、新規の免疫関連有害事象の発生は少なかった。解説本研究の強み・興味深い点化学療法+ICIにおける初めての長期フォローアップデータ。PD-L1の有無によらず、同程度のHRが示された。一方で、長期無再発の観点でPFSを見てみると、PD-L1 50%をカットオフとして差が顕著になっている。PD-L1≧50%で曲線がプラトーになりつつある一方で、1~49%、<1%ではほぼ全例が増悪を呈している。まとめると、3剤併用はPD-L1の有無によらず選択可能、ただしその後の戦略は大きく異なる。PD-L1≧50%では3人に1人が2年間以上無増悪を期待できる。PD-L1 50%未満では、10ヵ月前後で増悪する可能性が高く、次治療を考慮する。肝転移・脳転移の有無は治療選択には大きく影響しない。総じて、日常臨床に影響するようなデータはなし。その他のポイントコントロールアームの治療成績(MST 10.7ヵ月)が本邦の一般的な印象に比してかなり悪いので、HRの解釈には少し注意が必要かもしれない。PD-L1 50%未満に対して今後はどのような治療戦略が期待されるのか? 化学療法+ICIにさらなる薬剤追加はなかなか難しいと思われる(ベバシズマブは症例を選べば可能だが…)。2019年にはKRAS変異とPD-L1発現・化学療法+ペムブロリズマブの有効性を検討したサブ解析が話題を呼んだ(Gadgeel S, et al. ESMO-IO 2019.)。バイオマーカーについて、今後追加の報告があるのか、にも注目したい。

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