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胆道がんの術後補助化学療法にS-1が有用(JCOG1202)/日本臨床腫瘍学会

 S-1による術後補助化学療法は胃がん、膵がんにおいて有用性が示され、日本における標準療法となっている。このS-1術後補助化学療法が胆道がんにおいても有用であるかを見たJCOG1202試験の結果を、第19回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2022)で戸高 明子氏(静岡県立静岡がんセンター 消化器内科)が発表した。胆道がんに対してS-1術後補助化学療法が標準治療になる[JCOG1202:ASCOT試験]・対象:根治切除術が行われた胆道がん患者(PS0~1)・試験群:手術単独群と術後補助化学療法群(S-1を40mg/m2、1日2回、4週内服し2週休薬を1コースとして計4コース)に1対1で無作為に割り付け・評価項目:[主要評価項目]全生存期間(OS)[副次評価項目]無再発生存期間(RFS)、完了率、安全性 S-1術後補助化学療法が胆道がんにおいても有用であるかを見たJCOG1202試験の主な結果は以下のとおり。・2013年9月~2018年6月に国内38施設から440例が登録され、手術単独群に222例、術後補助化学療法群に218例が組み入れられた。・主要評価項目の3年生存割合は、手術単独群67.6(61.0~73.3)%に対し、術後補助化学療法群は77.1(70.9~82.1)%、ハザード比 0.694(95%信頼区間:0.514~0.935、p=0.008)であり、術後補助化学療法群の優位性が示された。全サブグループで同様の結果となった。・副次評価項目のRFSは、手術単独群50.9(44.1~57.2)%に対し、術後補助化学療法群は62.4(55.6~68.4)%、ハザード比 0.797(0.613~1.035)であり、術後補助化学療法群の優位性は示されなかった。・術後補助化学療法群の完了率は72.5%、有害事象としては軽度の骨髄抑制、下痢、疲労、食欲不振、皮疹などが多く認められたが、Grade3以上は1~3%程度であり、認容性は良好であった。 戸高氏は「本結果によって、根治切除術を受けた胆道がんに対し、S-1による術後補助化学療法が標準治療になると考えられる。有効性が示されなかったRFSにおいても生存曲線の差異は認められ、長期追跡が必要だ。根治切除後も再発リスクが高い胆道がんにおいて、術後補助化学療法の有用性が立証されたのは大きな一歩であり、S-1は日本で既に多くのがん種に広く用いられており、提供体制もスムーズだろう」とした。

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KRAS G12C変異陽性肺がんの新しい治療選択肢、ソトラシブ/日本臨床腫瘍学会

 2022年、KRAS G12C変異陽性非小細胞肺がんに対する2次治療の新たな選択肢として承認されたソトラシブについて、日本臨床腫瘍学会メディカルセミナーにて、愛知県がんセンターの藤原 豊氏が解説した。 肺がん、とくに肺腺がんには多くの遺伝子変異がある。今回ソトラシブが適応となるKRAS G12C変異は日本における扁平上皮非小細胞肺がんの4.1%程度であり、男性、喫煙者に多いことがわかっている。 KRAS G12C変異陽性非小細胞肺がんに対する従来の初回標準治療は、免疫チェックポイント阻害薬と細胞障害性抗がん剤の併用である。しかし、KRAS変異陽性の場合、陰性に比べて細胞障害性抗がん剤の効果が乏しく、とくに2次治療での効果は限定的であり、新しい治療選択肢が望まれていた。KRAS G12C変異陽性非小細胞肺がんに対するソトラシブの臨床試験成績 KRAS G12C変異陽性非小細胞肺がんに対するソトラシブの臨床試験、CodeBreaK100試験の概要は以下の通り。・対象:KRAS G12C変異陽性進行非小細胞肺がんで抗PD-1/PD-L1免疫治療および/またはプラチナ製剤を含む化学治療の前治療歴があり(前治療数は3つ以下)、RECIST1.1に基づく測定可能病変を有し、ESOG PS 0、1・方法:ソトラシブ960mgを1日1回経口投与(増悪、治療不耐性、同意撤回などまで投与を継続)・評価項目:[主要評価項目]客観的奏効率(ORR)[副次評価項目]奏効期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)、病勢コントロール率(DCR)、全生存期間(OS)、奏効までの期間(TTR)、安全性 患者背景は男女同等、アジアからは19名が参加している。前治療で化学療法、免疫療法を受けていた割合はどちらも9割を超えていた。 KRAS G12C変異陽性非小細胞肺がんに対するソトラシブの臨床試験主な結果は以下の通り。・主要評価項目であるORRは37.1%(95%信頼区間:28.6~46.2)であり、副次評価項目のDCRは80.6%(95%信頼区間:72.6~87.2)であった。DORの中央値は11.1ヵ月(95%信頼区間:6.9~NE)。・安全性については、全Gradeの副作用が69.8%、Grade3が19.8%、Grade4が0.8%であった。多く見られた副作用は下痢、悪心、ALT・AST増加などであった。KRAS G12C変異陽性肺がんの2次治療はどう変わるか 肺がん診療ガイドラインでは2021年の段階で、すでにソトラシブがKRAS G12C変異陽性に2次治療以降でソトラシブ単剤療法を推奨すると記載されている。 藤原氏は今後の治療戦略について、「1次治療開始時にKRAS G12C遺伝子変異検査を実施し、結果を把握しておけば、2次治療が必要になった場合にすぐにソトラシブを使えると考えている。初回の検査でKRAS G12C変異を確認しておくことが重要」と述べた。

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食道扁平上皮がん、術前の3剤併用化学療法でOS延長(JCOG1109)/日本臨床腫瘍学会

 切除可能局所進行食道がんの術前療法は、日本では5-FU+シスプラチン(CF療法)が標準療法だが、欧米においては化学放射線療法が標準となっている。日本と海外は術式や組織型が異なるため、海外の臨床試験の結果をそのまま受け入れるのは難しいと考えられていたが、CF療法にドセタキセルを加えたDCF療法が頭頸部がんなどで有望な効果を示しており、食道がん術前治療でも有望な成績が報告されている。JCOG1109試験が食道扁平上皮がんの術前DCF療法の有用性を世界で初めて示唆 これを受け、切除可能な局所進行扁平上皮食道がん患者を対象に、術前療法としてCF療法、DCF療法、CF療法+放射線療法(CF-RT)の3群を比較したJCOG1109試験が行われ、その結果を第19回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2022)で加藤 健氏(国立がん研究センター中央病院 頭頸部・食道内科)が発表した。[JCOG1109試験]・対象:治療歴のない切除可能局所進行食道がん患者(PS0~1)・試験群:以下の3群に1対1対1の割合で無作為に割り付けCF群:シスプラチン+5-FU(3週ごと2コース)DCF群:ドセタキセル+シスプラチン+5-FU(3週ごと3コース)CF-RT群:シスプラチン+5-FU+放射線(4週毎2コース)・評価項目:[主要評価項目]全生存期間(OS)[副次評価項目]無増悪生存期間(PFS)、奏効率、安全性など 切除可能局所進行扁平上皮食道がんの術前療法としてCF療法、DCF療法、CF療法+放射線療法を比較したJCOG1109試験の主な結果は以下のとおり。・2012年12月~2018年7月に日本の44施設から601例が登録され、CF群:199例、DCF群:202例、CF+RT群:200例に無作為に割り付けられた。・3年生存割合は、CF群62.6%(95%信頼区間:55.5~68.9%)に対しDCF群72.1%(95%信頼区:65.4~77.8%)と10%近く高く、ハザード比0.68(95%信頼区間:0.50~0.92、p=0.006)とDCF群の優越性が示された。また、CF+RT群の3年生存割合は68%(61.3~74.3%)で、CF群との比較においてハザード比0.84(0.63~1.12、p=0.12)と、CF+RT群の優越性は示されなかった。・有害事象については、Grade3以上の発熱性好中球減少がDCF群で16.3%とやや多かったが、支持療法を適切に行うことで対応可能な範囲だった。また周術期合併症発生割合については明らかな違いは見られなかった。 加藤氏はJCOG1109試験の結果は「1月に開催された米国臨床腫瘍学会消化器シンポジウム(ASCO-GI)で発表され、今後の食道扁平上皮がんに対する術前DCF療法の有用性を世界で初めて示した試験となった。今後同対象に対する新たな標準治療になると考えられる」とした。さらに免疫チェックポイント阻害薬を術前DCF療法に併用する研究(JCOG1804E)が進行中だという。

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Stage I 非小細胞肺がん 再発高リスク群では補助化学療法が有効/Ann Thorac Surg

 わが国の肺癌診療ガイドラインでは2cmを超えるStage IA/BおよびIIA(TNM病期分類8版)の非小細胞肺がん(NSCLC)に対するテガフール・ウラシルの術後補助療法は推奨または提案、という位置づけである。 広島大学の津谷康大氏らによる、再発高リスクのStage I(TNM8版)完全切除NSCLCに対する補助化学療法の有効性を評価した試験結果がThe Annals of Thoracic Surgery誌に発表された。 同試験では、肺葉切除術を受けたStage I NSCLC1,278例のデータを前向きに収集し、分析した。再発リスク因子は、無再発生存率(RFS)のCox比例ハザードモデルを基に規定し、補助化学療法実施患者と非実施患者の生存率を比較した。 主な結果は以下のとおり。・RFSリスク因子としては、年齢70歳超、浸潤径2cm超、リンパ管侵襲、血管侵襲、臓側胸膜浸潤が同定された。・高リスク群(641例)においては、5年RFS(補助化学療法実施群81.4%対非実施群73.8%)、5年OS(補助化学療法実施群92.7%対非実施群73.8%)、とRFS、OSともに補助化学療法実施群で有意に長かった(5年RFS p=0.023、5年OS p<0.0001)。・低リスク群(637例)においては、補助化学療法実施群と非実施群の5年RFSは差はなかった(補助化学療法実施群98.1%対非実施群95.7%、p=0.30)。 補助化学療法は、病理学的T1c/T2a、リンパ節/血管侵襲など、高再発リスクを有するStage I NSCLC患者において、生存を改善する可能性が示唆される。

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不安に感じる心毒性とは?ー読者アンケートの結果から【見落とさない!がんの心毒性】第9回

本連載では、がん治療時におさえておくべき心毒性・心血管リスクとその対策について、4名のエキスパートを迎え、2021年4月より第1回~第8回まで総説編として現在のがん治療における心毒性トピックを解説してきました。近年の分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤など新しいがん治療薬が開発される中で、心血管系合併症(心毒性)に対して診療を行う腫瘍循環器学は、今後ますます注目される領域です。今年の春より実際の心毒性症例に基づく症例問題を掲載する予定ですが、その前に、肺がん、乳がん、消化器がん、造血器腫瘍、放射線の治療に携わるCareNet.com会員医師(計1,051名)を対象に行った『心毒性に対するアンケート』(実施期間:2021年8〜9月)の結果をご紹介しながら、実臨床で苦慮されている点をあぶり出していきたいと思います。(表1)CareNet.comにて行ったアンケートの結果画像を拡大する(表2)上記を基に向井氏が作成画像を拡大するがん治療における心毒性は心不全、虚血性心疾患、高血圧症、不整脈、血栓塞栓症に分類されますが、実臨床で腫瘍医の先生方がお困りの疾患はやはり、第一位は心不全、第二位は血栓塞栓症でした。実際に腫瘍循環器外来に院内から紹介される疾患も同様の結果ではないでしょうか。心不全については、第2回アントラサイクリン心筋症(筆者:大倉 裕二氏)、第3回HER2阻害薬の心毒性(筆者:志賀 太郎氏)がそれぞれの心筋症の特徴やその対応の詳細な解説をしています。今、上記の表の結果を踏まえ、少し振り返ってみましょう。アントラサイクリン心筋症ではやはり、「3回予防できる」という言葉が強く印象に残りました。現在さらに新しいがん治療において心不全を呈する可能性の高い治療も増加しており、腫瘍循環器領域において治療に関する新たなエビデンスが確立することが期待されていますさらに、第二位の血栓塞栓症は、第8回がんと血栓症(草場 仁志氏)で解説しました。がん関連血栓症はがんの増殖・転移と深い関係があり、がん診療の各ステージにおいて最も頻度が高く、常に頭に置く必要のある代表的な心毒性です。過去の研究から胃がんと膵臓がんは血栓塞栓症の高リスク因子と報告されているが、アンケートの結果から、実地診療でも消化器領域と肝胆膵領域で血栓塞栓症への関心が高いことがうかがわれました。2018年にがん関連血栓症の中で、静脈血栓塞栓症に対して直接経口抗凝固薬のエビデンスが確立され、抗凝固療法は大きく変化しています。その一方で、動脈血栓塞栓症に対するエビデンスは未だ不足しており治療に関しても未だ不明な点が少なくありません。(図1)は、外来化学療法中の死亡原因を示しています。第一位はがんの進展によるものですが、第二位はがん関連血栓塞栓症でした。そして、抗凝固療法における出血の合併症など腫瘍循環器医が対応すべき多くの問題が残っています。(図1)画像を拡大する1)Khorana AA, et al. J Thromb Heamost. 2007;5:632-634.講師紹介

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HR+HER2-転移・再発乳がん、ベバシズマブ+パクリタキセル導入療法後に内分泌療法+カペシタビン維持療法の戦略で長期のOSを確認/日本臨床腫瘍学会

 ホルモン受容体陽性(HR+)HER2 陰性(HER2-)転移・再発乳がんに対するベバシズマブ+パクリタキセル導入化学療法後の維持療法の有効性を検討した国内多施設無作為化第II相試験(KBCSG-TR1214)において、内分泌療法+カペシタビン併用維持療法が内分泌療法単独に比べ無増悪生存期間(PFS)を有意に改善したことがすでに報告されている。今回、この治療戦略の全生存期間(OS)への影響を評価するために、本試験を事後解析した結果について、大阪大学の吉波 哲大氏が第18回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2022)で発表した。[KBCSG-TR1214試験]・対象:HR+HER2-の遠隔転移があるか手術適応とならない再発乳がん(PS 0または1)で、転移・再発がんへの化学療法歴が1レジメン以下の患者・方法:導入化学療法としてベバシズマブ+パクリタキセルを4~6サイクル実施し、病勢進行を認めなかった90例を、維持療法として内分泌療法+カペシタビン(EC群)または内分泌療法(E群)に無作為に割り付けた。維持療法で病勢進行した場合は、ベバシズマブ+パクリタキセル再導入療法を実施した。・評価項目:[主要評価項目]維持療法のPFS[副次評価項目]無作為化からのTime to failure of strategy(TFS)、導入療法からの全生存期間(OS)、再導入療法からのPFSなど 事前に計画された解析には無作為化に至らなかった26例は含まれておらず、今回は、ベバシズマブ+パクリタキセル導入化学療法を開始した116例(E群46例、EC群44例、非無作為化26例)のデータを解析した。 主な結果は以下のとおり。・116例全例におけるOS中央値は34.5ヵ月(95%CI:28.0~43.2)だった。・主に病勢進行のため無作為化されなかった26例におけるOS中央値は15.7ヵ月(95%CI:7.75~30.8)で、E群34.9ヵ月(同:23.3~NA)、EC群43.8ヵ月(同:33.7~NA)より短い傾向があった。・本治療を1次治療で受けた102例のOS中央値は36.0ヵ月(95%CI:29.2~46.2)、2次治療で受けた14例では25.7ヵ月(同:17.6~37.5)だった。 本解析から、ベバシズマブ+パクリタキセル導入化学療法後に維持療法を実施する治療戦略により、導入化学療法での病勢進行例を含めても長期のOSが達成されることが示された。

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リキッドバイオプシーによる術後再発リスク評価(COSMOS-CRC-01)/日本臨床腫瘍学会

 2021年に国内で初めて、リキッドバイオプシーを用いた固形がんに対する包括的ゲノムプロファイリングが保険承認された。現在、リキッドバイオプシーを用いた血中循環腫瘍DNA(ctDNA)を解析し術後の微小残存腫瘍(MRD)を検出することで術後の再発リスクを評価するというCOSMOS試験が進行中だ。 MRD測定は造血器腫瘍分野における予後予測に広く使われており、固形がんにおける予後予測にも使えるのではないかと検討されていた。COSMOS試験は国立がん研究センターを中心としたがん臨床研究の基盤であるSCRUM-Japanのプロジェクトの1つであり、大腸がん、胃がん、膵がん、肝臓がん、メラノーマ患者を対象としている。 2022年2月に行われた第19回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2022)では中村 能章氏(国立がん研究センター東病院 消化管内科)が大腸がん患者を対象としたCOSMOS-CRC-01試験の中間解析結果を発表した。[COSMOS-CRC-01試験]・対象:切除可能なステージ0~IIIの大腸がん患者・術前、術後28日、3ヵ月ごと術後1年、6ヵ月ごと術後2~5年間測定・Guardant Reveal(未承認)を用いてゲノム異常とエピゲノム異常を同時解析 主な結果は以下のとおり。・2020年1月~2021年4月に501例が登録され、そのうちステージIIまたはIIIの根治切除を受けた93例を解析した(追跡期間中央値:15.6ヵ月)。年齢中央値70(34~88)歳、61%が男性、ステージIIとIIIがほぼ同数であった。・術前ctDNA解析が成功した89例のうち、11例(12%)にゲノム異常、11例(12%)にエピゲノム異常、53例(60%)に両方の異常が認められ、計75例(84%)がctDNA陽性と判定された。・術後28日時点のctDNA解析は93例全例で成功し、2例(2%)にゲノム異常、14例(15%)にエピゲノム異常、7例(8%)に両方の異常が認められ、計23例(25%)でctDNA陽性となった。・ゲノム解析においては、APC、BRAF、CTNNB1、KRAS、PIK3CA、TP53といった大腸がんにおいて重要な遺伝子変異が認められ、これら遺伝子変異の腫瘍分画(血中に遊離しているセルフリーDNA全体におけるctDNAの割合)の最低値は0.03%、またエピゲノム異常の腫瘍分画の最低値は0.006%だった。・今回のデータカットオフ日(2021年11月30日)時点で、93例中12例に再発が認められ、うち6例(50%)では術後28日時点でctDNAが陽性だった。また再発した12例のうち、術後2回以上の血液解析が行われた11例では、うち10例(91%)が術後いずれかの時点でctDNAが陽性だった。・術後ctDNAが陽性となった時点から再発までの期間の平均値は6.6ヵ月だった。・術後28日時点でのctDNA陰性例の1年無病生存期間(DFS)が93%だったのに対し、陽性例は同83%だった。 中村氏は「今回の結果は、血液のゲノム・エピゲノム解析が、補完的に術後MRDを検出することを示した。追跡期間が短く、対象者も少ないために今回の結果は限定的であるが、組織採取を必要としないリキッド検査の利点は大きく、6ヵ月前という早い時期に再発を予測でき、リスクの高低によって術後の化学療法を変更できる可能性もある。今後のさらなる追跡によって本検査の有用性を明らかにしたい」としている。

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早期TN乳がんの術前・術後ペムブロリズマブによるEFS、アジア人での解析(KEYNOTE-522)/日本臨床腫瘍学会

 高リスクの早期トリプルネガティブ乳がん(TNBC)を対象に、術前補助療法としてペムブロリズマブ+化学療法併用を化学療法単独と比較、さらに術後補助療法としてペムブロリズマブとプラセボを比較した第III相KEYNOTE-522試験において、4回目の中間解析までにペムブロリズマブ群が術前補助療法による病理学的完全奏効率(pCR)および無イベント生存期間(EFS)を有意に改善した。今回、本試験のアジア人集団の 4 回目の中間解析結果について、北海道大学/国立病院機構北海道がんセンターの高橋 將人氏が、第18回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2022)で発表した。KEYNOTE-522試験、アジアから216 例が組み入れられた[KEYNOTE-522試験]・対象:治療歴がなく、原発巣の腫瘍径2cm以下でリンパ節転移あり(T1c、N1~2)またはリンパ節転移に関係なく腫瘍径2cm超(T2~4d、N0~2)で、遠隔転移がない(M0)ECOG PS 0/1のTNBC患者・試験群:術前に化学療法(カルボプラチン+パクリタキセルを4サイクル後、ドキソルビシン/エピルビシン+シクロホスファミドを4サイクル)+ペムブロリズマブ(3週ごと)、術後にペムブロリズマブ(3週ごと)を9サイクルあるいは再発または許容できない毒性発現まで投与(ペムブロリズマブ群)・対照群: 術前に化学療法+プラセボ、術後にプラセボを投与(プラセボ群)・評価項目:[主要評価項目]pCR(ypT0/Tis ypN0)、EFS[副次評価項目]pCR(ypT0 ypN0およびypT0/Tis)、全生存期間(OS)、PD-L1陽性例におけるpCR・EFS・OS、安全性 KEYNOTE-522試験のアジア人集団における主な結果は以下のとおり。・アジア(韓国、日本、台湾、シンガポール)からKEYNOTE-522試験には216 例が組み入れられた(ペムブロリズマブ群136例、プラセボ群80例)。・データカットオフ(2021年3月23日)時点で、観察期間中央値は39.7ヵ月(範囲:10.0~46.9)、ペムブロリズマブ群およびプラセボ群でEFSイベントは13例(9.6%)および20 例(25.0%)で観察された。・EFSのハザード比(HR)は、全集団の0.63(95%信頼区間[CI]:0.48~0.82)に対し、アジア人集団では0.35(95% CI:0.17~0.71)だった。・術前補助療法でpCRを達成した患者と得られなかった(non-pCR)患者に分けて評価した場合、3年EFSは、pCR達成患者ではプラセボ群94.4%に対してペムブロリズマブ群100%、non-PCR患者ではプラセボ群62.8%に対してペムブロリズマブ群77.7%であった。・安全性プロファイルは、アジア人集団において各レジメンや以前の解析と同様であった。 高橋氏は、KEYNOTE-522試験でEFSの結果がアジア集団でより有効に見えることについて、「アジア人集団は症例数が少ないので差があるとは言えず、ただ全集団と少なくとも同等の効果が期待できると言える」と述べた。また、non-pCRの場合の術後補助療法におけるカペシタビンの使用については、「ペムブロリズマブにカペシタビンを追加するのか、ペムブロリズマブを中止してカペシタビンを投与するのかは、トランスレーショナルに検討していく必要がある」とした。

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食道がん1次治療におけるニボルマブ+イピリムマブとニボルマブ+化学療法、日本人サブ解析(CheckMate-648)/日本臨床腫瘍学会

 進行食道扁平上皮がんの1次治療における免疫チェックポイント阻害薬と化学療法の併用、および免疫チェックポイント阻害薬2剤併用の有用性を示したCheckMate-648試験。2022年2月に開催された第19回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2022)において、本試験の日本人サブグループの解析結果を、神奈川県立がんセンターの尾形 高士氏が発表した。[CheckMate-648試験]・対象:未治療の切除不能な進行または転移のある食道扁平上皮がん患者・試験群:以下の3群に1対1の割合で無作為に割り付けニボイピ群:ニボルマブ3mg/kgを2週ごと+イピリムマブ1mg/kgを6週ごとニボケモ群:ニボルマブ240mgを2週ごと+化学療法(4週を1サイクルとして、1~5日目までフルオロウラシル800mg/m2、1日目シスプラチン80mg/m2)ケモ群:化学療法単独・評価項目:[主要評価項目]PD-L1発現率が1%以上(TPS≥1%)の患者における全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)[副次評価項目]全体集団のOSおよびPFS、TPS≥1%および全体集団の奏効率(ORR) 日本人サブグループにおける主な結果は以下のとおり。・全970例のうち、日本人は394例(ニボイピ群:131例、ニボケモ群:126例、ケモ群:137例)が登録された。最短フォローアップ期間は12.9カ月であった。[OS中央値]TPS≥1%ニボイピ群 20.2カ月、ニボケモ群17.3カ月、ケモ群9.0カ月(ハザード比[95%信頼区間]ニボイピvs.ケモ群. 0.46[0.30~0.71]、ニボケモ群vs.ケモ群. 0.53[0.35~0.82])。日本人全体集団ニボイピ群 17.6カ月、ニボケモ群15.5カ月、ケモ群11.0カ月(ハザード比[95%信頼区間]ニボイピ群vs.ケモ群. 0.68[0.51~0.92]、ニボケモ群vs.ケモ群. 0.73[0.54~0.99])。[PFS中央値]TPS≥1%ニボイピ群5.4カ月、ニボケモ群7.0カ月、ケモ群4.2カ月(ハザード比[95%信頼区間]ニボイピ群vs.ケモ群. 0.84[0.54~1.32]、ニボケモ群vs.ケモ群. 0.56[0.36~0.89])。日本人全体集団ニボイピ群4.2カ月、ニボケモ群6.8カ月、ケモ群4.3カ月(ハザード比[95%信頼区間]ニボイピ群vs.ケモ群. 1.16[0.85~1.57]、ニボケモ群vs.ケモ群. 0.76[0.56~1.03])。[ORR]TPS≥1%ニボイピ群44(32~57)%、ニボケモ群65(51~76)%、ケモ群17(9~28)%日本人全体集団ニボイピ群36(28~45)%、ニボケモ群56(47~65)%、ケモ群24(17~32)%・治療関連有害事象はニボイピ群85%(うちGrade3以上37%)、ニボケモ群99%(同49%)、ケモ群93%(同36%)の発現率であった。 尾形氏は「日本人サブグループ解析の結果は全体集団と大きな差はなく、本結果より、日本人においても進行食道扁平上皮がんに対する1次治療としてニボイピまたはニボケモの併用療法は新しい治療選択肢になり得ると考えられる」としている。

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IPF合併肺がんに対するニンテダニブ+化学療法(J-SONIC)/日本臨床腫瘍学会

 特発性肺線維症(IPF)は高率に肺がんを合併する。IPF合併肺がんの大きな問題はIPFの急性増悪であり、ときに急速な呼吸不全から致死的となる。しかし、IPF合併例は進行非小細胞肺がん(NSCLC)の臨床試験のほとんどで除外されている。ニンテダニブ+化学療法はIPF合併肺がんに対する治療オプションとなる 北九州市立医療センターの大坪孝平氏らは、IPF合併進行NSCLCに対し、ニンテダニブ+化学療法化学療法単独を比較したJ-SONIC試験を、わが国の複数の臨床試験グループ間で行った。J-SONIC試験はIPF合併肺がんでは、世界初となる第III相無作為化比較試験である。・対象:化学療法未施行のIPF合併進行NSCLC(IPF GAP stage I~II:%FVC50%以上、%DLco36〜79%)・試験薬群:化学療法(カルボプラチン+nab-パクリタキセル)3週ごと4サイクル+ニンテダニブ・対照群:化学療法(同上)単独群 3週ごと4サイクル・評価項目:[主要評価盲目]IPF 無増悪生存期間(EPF)[副次評価項目]全奏効率(ORR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存率(OS)、安全性など IPF合併肺がんに対してニンテダニブ+化学療法化学療法単独を比較したJ-SONIC試験の主な結果は以下のとおり。・2017年5月~2019年2月に、全国72施設から243例が登録され、ニンテダニブ併用群(121例)と化学療法単独群(122例)に無作為に割り付けられた。・主要評価項目のIPF EPF中央値は、化学療法+ニンテダニブ群で14.6ヵ月、化学療法群で11.8ヵ月、ハザード比(HR)は0.89(90%信頼区間[CI]:0.67~1.17)であった(p=0.24)。・ORRはニンテダニブ+化学療法群69%、化学療法群56%であった(p=0.04)・PFS中央値は、化学療法+ニンテダニブ群6.2ヵ月、化学療法群5.5ヵ月、HRは0.68(95%CI:0.50~0.92)、とニンテダニブ併用による改善を認めた。・OSは非扁平上皮がんにおいて改善を示し、ニンテダニブ+化学療法群では16.1ヵ月、化学療法群では13.1ヵ月、HRは0.61(95%CI:0.40~0.93)であった。・ニンテダニブ併用により発熱性好中球減少症や下痢、蛋白尿が多く認められたが、QOLは両群で差はなかった。 J-SONIC試験では主要評価項目は達成されなかったものの、ニンテダニブと化学療法の併用はIPF合併進行NSCLC(とくに非扁平上皮癌がん)に対する治療オプションとなるものと考えられる、と大坪氏は述べた。

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第97回 2022年診療報酬改定の内容決まる(後編)かかりつけ医、報酬は従来路線踏襲も制度化に向けた議論本格化へ

かかりつけ医関連の診療報酬に若干のテコ入れこんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。NFLのスーパーボウル(ロサンゼルス・ラムズが第4クオーター残り6分から逆転のタッチダウンを決め、シンシナティ・ベンガルズを23対20で破って優勝)も北京オリンピック(女子スピードスケートだけ観戦していました)も終わっていよいよ球春到来、MLBと日本のプロ野球の開幕を待つばかりとなりました。が、心配なこともあります。米国のMLBの労使交渉が泥沼化し、まだ終わっていないのです。選手の年俸総額や最低保証額で溝が埋まっていないようです。労使間の新協定が締結できないため、広島からポスティング制度でメジャー移籍を目指す鈴木 誠也選手も、シアトル・マリナーズをフリーエージェントとなった菊池 雄星投手も入団交渉が進まず、所属チームが決まっていません。キャンプインも延期状態で、3月末の開幕に黄信号が灯っています。ロサンゼルス・エンジェルスの大谷 翔平選手の調整が今年もうまく進んでいるといいのですが…。さて、前回に引き続き、2月9日の中央社会保険医療協議会(中医協)総会で答申が行われた2022年度診療報酬改定の内容のうち、このコラムでも触れてきた政策的な意味合いが大きい項目について、その内容を見てみたいと思います。今回は、若干のテコ入れが行われた「かかりつけ医関連の診療報酬」と、財務省が強く求めたものの実現が見送られた「かかりつけ医制度化」について考えてみます。財務省が提案する「かかりつけ医の制度化」このコラムでは、「第85回 診療報酬改定シリーズ本格化、「躊躇なくマイナス改定すべき」と財務省、「躊躇なくプラス改定だ」と日医・中川会長」で、財務省が強く導入を求めてきた「かかりつけ医の制度化」について書きました。今回の診療報酬の改定議論が本格化する直前の2021年11月8日、財務省主計局は、財政制度等審議会・財政制度分科会において2014年度診療報酬改定での地域包括診療料、地域包括診療加算の創設以降、かかりつけ医については診療報酬上の評価が先行して実体が伴っておらず、「算定要件が相次いで緩和され、かかりつけ医機能の強化という政策目的と診療報酬上の評価がますますかけ離れることになった」と現行制度の問題点を指摘しました。加えてコロナ禍の中、「我が国医療保険制度の金看板とされてきたフリーアクセスは、肝心な時に十分に機能しなかった可能性が高い」と“有事”での診療所の診療機能を強く批判しました。その上で、「受診回数や医療行為の数で評価されがちであった『量重視』のフリーアクセスを、『必要な時に必要な医療にアクセスできる』という『質重視』のものに切り替えていく必要がある」として、「かかりつけ医機能の要件を法制上明確化したうえで、これらの機能を担う医療機関を『かかりつけ医』として認定するなどの制度を設けること、こうした『かかりつけ医』に対して利用希望の者による事前登録・医療情報登録を促す仕組みを導入していくことを段階を踏んで検討していくべきである」と提言しました。第85回で私も、「もし、首相がかかりつけ医の制度化含め、医療提供体制の改革を真剣に行おうとするならば、ある程度プラスの改定率にして中川会長の面目を保ちつつ、かかりつけ医の制度化を一部飲ませる、というシナリオが一つの落とし所として考えられます」と書いたのですが、今回はかかりつけ医の制度化の議論は行われず、その予想は外れました。もっとも、財務省(と岸田政権)はもう一つの懸案事項でもあったリフィル処方導入を日本医師会にしっかり飲ませることができました。長年日本医師会が反対してきた政策がすんなり実現したという事実は、政府・財務省・厚労省・日医の関係性が微妙に変化していることを感じさせます。リフィル処方導入はひょっとしたら「かかりつけ医の制度化」という大きな改革に向けての楔となるかもしれません。機能強化加算の算定要件にかかりつけ医機能を明記というわけで、今回の診療改定では、かかりつけ医関連の診療報酬は、財務省が批判していた地域包括診療料、地域包括診療加算や機能強化加算など、従来路線の見直しに留まりました。ただ、「かかりつけ医関連の報酬が機能を評価したものであることが患者等に認識されていない」といった批判もあり、いくつかの要件や基準は厳格化されることになりました。まず、機能強化加算ですが、地域におけるかかりつけ医機能をより明確化するため、算定要件と施設基準が見直されます。算定要件では、かかりつけ医機能に関する対応として以下の5項目が明記されました。1)患者が受診する他の医療機関および処方薬を把握し、必要な管理を行い診療録に記載する2)専門医または専門医療機関への紹介を行う3)健康診断の結果等の健康管理に係る相談に応じる4)保健・福祉サービスに係る相談に応じる5)診療時間外を含む緊急時の対応方法等に係る情報提供を行うそして、施設基準では上記の対応について院内や医院のウェブサイト等に掲示することが要件に加わります。また、現行では地域包括診療料・地域包括診療加算や在宅時医学総合管理料・施設入居時等医学総合管理料(在宅療養支援診療所・在宅療養支援病院に限る)等の届け出があれば算定できましたが、今改定では訪問診療や往診を行った患者数等の実績要件が盛り込まれます。在宅医療のニーズが今後さらに増えることを想定し、外来中心の医療機関であっても訪問診療等に関わってもらおう、という狙いからです。そもそも、かかりつけ医機能を評価する報酬と言いながら、地域包括診療料、地域包括診療加算等の届け出を行っていれば、自動的に初診患者に加算できること自体に無理がありました。今改定での機能強化加算への5項目の算定要件新設や、訪問診療や往診等の実績要件の導入は、かかりつけ医というものの機能が患者にもある程度見えるようになるという意味で、理に適ったことだと言えるでしょう。なお、地域包括診療料・地域包括診療加算については、慢性疾患を抱える患者に対するかかりつけ医機能の評価を推進する観点から、対象疾患に慢性心不全、慢性腎臓病(慢性維持透析を行っていない者に限る)が追加されます。外来機能報告制度にあわせ定額負担を徴収する病院の対象を拡大今改定では、外来の診療報酬として、2022年4月からスタートする「外来機能報告制度」にあわせた地域における外来機能の分化と連携を促す見直しも行われました。具体的には、紹介状なしで受診した患者から定額負担を徴収する責務のある医療機関の対象範囲を、従来の「特定機能病院」と「一般病床200床以上の地域医療支援病院」に加えて、「外来機能報告制度における紹介受診重点医療機関のうち一般病床200床以上の病院」にも広げるとともに、該当医療機関の入院機能を評価する紹介受診重点医療機関入院診療加算(800点、入院初日)が新設されます。なお、紹介状なしで受診した患者から追加徴収する定額負担は初診7,000円、再診3,000円とし、現行から初診2,000円、再診500円引き上げられます。外来医療の実施状況を都道府県へ報告する外来機能報告制度外来機能報告制度とは、外来医療の実施状況を都道府県へ報告するよう病院などに義務づける制度です。従来からある病床機能報告制度の外来版という位置づけで、2021年5月の医療法改正で創設され、この4月からスタートします。同制度では、各病院に「医療資源を重点的に活用する外来」をどの程度実施しているかの報告を求めます。集めるデータは抗がん剤を使う外来の化学療法、日帰り手術、CTやMRI撮影の実施件数など。紹介・逆紹介率、外来における人材の配置状況、高額な医療機器・設備の保有状況などに関する報告も含まれます。これらのデータを基に、都道府県は「地域における協議の場」を通じて、各地域で高度な外来を担う基幹病院を明確化します。初診と再診の「医療資源を重点的に活用する外来」が占める割合が初診40%以上、再診25%以上という基準を満たす場合、その病院の意向を踏まえた上で「医療資源を重点的に活用する外来を地域で基幹的に担う医療機関:紹介受診重点医療機関」と見なされることになります。今改定では、この紹介受診重点医療機関のうち一般病床200床以上の病院も、定額負担を徴収する責務のある医療機関に加わったわけです。「首相≒財務省」vs.「厚労省≒日本医師会」の対立構造深まるか、追い込まれる日医はどうする外来機能報告制度は、外来医療においても入院同様に機能分化を進め、「かかりつけ医をまず受診し、そこから高機能の病院外来を紹介してもらう」という患者の流れを作るために創設されました。2022年度から外来機能報告制度がスタートすることで病院の外来機能の分化はある程度進みそうですが、その前の段階の「かかりつけ医」の制度化は今回の改定では手つかずで、議論もペンディングとなってしまいました。もっとも、財務省も手をこまぬいているわけではないようです。財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の財政制度分科会は2月16日、2021年12月にまとめた提言の22年度予算案への反映状況を確認、議論を交わしました。この中で、「かかりつけ医」の制度化について、引き続き推進を求める意見が出たとのことです。財政審は2021年11月の財政制度等審議会・財政制度分科会での提言に続き、12月3日にまとめた「令和4年度予算の編成等に関する建議」の中でも「かかりつけ医」の制度化を挙げていました。今改定では制度化は見送られたものの、政府の経済財政諮問会議が12月23日に取りまとめた新経済・財政再生計画(財政健全化計画)の「改革工程表2021」には、「かかりつけ医機能」を明確化し、それを有効に発揮するための具体策を2022〜2023年度に検討する、という方針が示されています。機能強化加算の算定要件として明示された5項目をベースとして、「かかりつけ医」の制度化に向けての議論がいよいよ本格化することになりそうです。「第80回 「首相≒財務省」vs.「厚労省≒日本医師会」の対立構造下で進む岸田政権の医療政策」でも書いた対立構造は、今後一層溝が深まっていくかもしれません。日医がそうした事態を避けるためには、自民党の安倍 晋三元首相や麻生 太郎自民党副総裁ら有力議員から自民党の政策に非協力的と見られている中川 俊男会長が次期会長選には出ず退陣、自民党とのパイプ作りに長けた人材を投入する、という手も考えられますが、さてどうなることか。参院選前、6月末に行われる予定の日医会長選の動きも気になります。

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アテゾリズマブによるNSCLCアジュバント アジア人の成績(IMpower010)/日本臨床腫瘍学会

 完全切除非小細胞肺がん(NSCLC)における化学療法アジュバント後のアテゾリズマブを評価した無作為化第III相非盲検試験IMpower010のアジア人解析を、静岡県立静岡がんセンターの釼持広知氏が第19回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2022)で発表。全体集団と同じく、アジア人集団でもアテゾリズマブの良好な成績が示された。・対象:Stage IB~IIIAで術後化学療法(プラチナ+ペメトレキセド/ドセタキセル/ゲムシタビン/ビノレルビン)、21日ごと最大4回サイクル)受けた完全切除NSCLC患者(ECOG PS 0~1)・試験群:アテゾリズマブ1,200mg/日 3週ごと16サイクル(Atezo群)・対照群:ベストサポーティブケア(BSC群)・評価項目[主要評価項目]治験責任医評価の無病生存期間(DFS)と全生存期間(OS)[副次評価項目]Stage II~IIIAのPD-L1(TC)≥1%のDFS、Stage II~IIIA全患者の DFS、ITT集団(Stage IB-IIIA)のDFS、ITT集団のOS(階層的に検証)、安全性 主な結果は以下のとおり。・アジア人集団(日本、中国、台湾、韓国、香港)は223例で全体の23.2%を占めた。・アジア人集団のPFS中央値はAtezo群42.3ヵ月、BSC群で31.4ヵ月、ハザード比(HR)は0.63(95%CI:0.37〜1.09)であった。また、この成績は全体集団の結果と同様であった。・OS中央値は未到達であった。・アジア人集団におけるAetzo群の安全性プロファイルは、全集団と同様に既知のものであったが、肝炎、皮疹はアジア人集団で多い傾向にあった。

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cemiplimab、再発子宮頸がんに有効/NEJM

 プラチナ製剤を含む化学療法による1次治療後に再発した子宮頸がん患者の治療において、完全ヒトプログラム細胞死1(PD-1)阻害モノクローナル抗体cemiplimabは単剤の化学療法と比較して、全生存期間が延長し、無増悪生存期間への効果は明確ではないものの、客観的奏効率や奏効期間も良好であることが、米国・カリフォルニア大学アーバイン校のKrishnansu S. Tewari氏らが実施した「EMPOWER-Cervical 1/GOG-3016/ENGOT-cx9試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2022年2月10日号に掲載された。全生存期間を評価する国際的な無作為化第III相試験 研究グループは、再発・転移を有する子宮頸がんの治療におけるcemiplimabの有効性と安全性の評価を目的に、日本を含む14ヵ国が参加する非盲検無作為化第III相試験を実施し、2017年7月~2020年8月の期間に患者の登録を行った(Regeneron PharmaceuticalsとSanofiの助成を受けた)。 対象は、年齢18歳以上、プラチナ製剤を含む化学療法による1次治療後に病勢が進行した再発・転移を有する子宮頸がん患者で、プログラム細胞死リガンド1(PD-L1)の発現の有無は問われなかった。 被験者は、cemiplimab(350mg、3週ごと、静脈内投与)の投与を受ける群、または担当医が選択した単剤化学療法(ペメトレキセド、トポテカン、イリノテカン、ゲムシタビン、ビノレルビンのいずれか)を受ける群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要エンドポイントは全生存期間とされ、無増悪生存期間や安全性の評価も行われた。 本試験は、予定されていた2回目の中間解析(追跡期間中央値16.8ヵ月)で、扁平上皮がんにおける有効性に関する事前に規定された基準に則り、中止となった。死亡リスクが31%低減、奏効率と奏効期間は2倍以上に 608例の女性患者が登録され、2つの群に304例ずつが割り付けられた。全体の年齢中央値は51歳(範囲22~87)で、473例(77.8%)が扁平上皮がん、135例(22.2%)は腺がんまたは腺扁平上皮がんであった。また、259例(42.6%)が再発病変に対する全身治療を2ライン以上受けており、296例(48.7%)はベバシズマブによる治療歴を有していた。 治療期間中央値は、cemiplimab群が15.2週(範囲1.4~100.7)、化学療法群は10.1週(1.0~81.9)で、全体の追跡期間中央値は18.2ヵ月(6.0~38.2)だった。 全生存期間中央値は、cemiplimab群が12.0ヵ月と、化学療法群の8.5ヵ月に比べ有意に延長した(ハザード比[HR]:0.69、95%信頼区間[CI]:0.56~0.84、両側検定のp<0.001)。化学療法群の全生存期間中央値は、トポテカンの6.5ヵ月からイリノテカンの11.9ヵ月までの幅が認められた。 組織型別の全生存期間中央値は、扁平上皮がん(11.1ヵ月vs.8.8ヵ月、HR:0.73、95%CI:0.58~0.91、両側検定のp=0.006)および腺がん/腺扁平上皮がん(13.3ヵ月vs.7.0ヵ月、0.56、0.36~0.85)のいずれにおいても、cemiplimab群で良好であった。 また、無増悪生存期間中央値は、両群間に大きな差はなかったものの、有意差がみられ、cemiplimab群で良好であった(HR:0.75、95%CI:0.63~0.89、両側検定のp<0.001)。扁平上皮がん(0.71、0.58~0.86、同p<0.001)では有意差があったが、腺がん/腺扁平上皮がん(0.91、0.62~1.34)では差がなかった。 客観的奏効率は、cemiplimab群が16.4%(95%CI:12.5~21.1)と、化学療法群の6.3%(3.8~9.6)に比し、有意に優れた(両側検定のp<0.001)。cemiplimabの投与を受けた患者のうち、腫瘍細胞のPD-L1の発現が1%以上の患者の客観的奏効率は18%で、発現が1%未満の患者でも11%であった。また、奏効期間中央値は、cemiplimab群が16.4ヵ月(95%CI:12.4~未到達)、化学療法群は6.9ヵ月(5.1~7.7)だった。 Grade 3以上の有害事象は、cemiplimab群が45.0%、化学療法群は53.4%で発現した。最も頻度の高いGrade 3以上の有害事象は、貧血(cemiplimab群12.0%、化学療法群 26.9%)、尿路感染症(5.0%、2.8%)、好中球減少(1.0%、9.0%)であった。治療中止の原因となった有害事象は、それぞれ26例(8.7%)および15例(5.2%)で発現した。免疫関連有害事象の発現率は、15.7%および0.7%だった。 著者は、「この試験では、腫瘍細胞のPD-L1の発現が1%未満の患者でも客観的奏効が得られた。PD-L1の発現状況の評価が可能な患者が少なく、cemiplimab治療の奏効におけるPD-L1の役割をどう解釈するかは、評価が難しい問題ではあるが、PD-L1陰性例にもcemiplimabが奏効する患者が存在する可能性があることが示唆される」としている。

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TN乳がん1次治療におけるペムブロリズマブ+化学療法、アジア人解析結果(KEYNOTE-355)/日本臨床腫瘍学会

 未治療の手術不能または転移を有するPD-L1 CPS 10以上のトリプルネガティブ(TN)乳がん患者において、ペムブロリズマブ+化学療法はプラセボ+化学療法と比較して、全生存(OS)期間を有意に改善したことが、ESMO 2021で発表されている。同試験のアジア人サブグループの解析結果を、がん研有明病院の高野 利実氏が、第19回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2022)で発表した。なお本邦では、PFSを有意に改善した同試験の中間解析結果を基に、2021年8月に承認されている。[KEYNOTE-355試験]・対象:18歳以上の手術不能な局所再発または転移を有するTN乳がん(ECOG PS 0/1)・試験群(2:1の割合で下記2群に無作為に割り付け):ペムブロリズマブ群:ペムブロリズマブ(200mg、3週ごと)+化学療法(ナブパクリタキセル、パクリタキセル、ゲムシタビン/カルボプラチンの3種類のうちいずれか)プラセボ群:プラセボ+化学療法 ・層別化因子:化学療法の種類(タキサンかゲムシタビン/カルボプラチン)、PD-L1発現(CPS≧1かCPS<1)、術前/術後化学療法の有無・評価項目:[主要評価項目]PD-L1陽性患者(CPS≧10およびCPS≧1)およびITT集団におけるOSと無増悪生存期間(PFS)[副次評価項目]奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、病勢コントロール率(DCR)、安全性 アジア人サブセットにおける主な結果は以下のとおり。・データカットオフは2021年6月15日。ITT集団における追跡期間中央値は43.8ヵ月だった。・アジア人サブセットには160例(ペムブロリズマブ群113例、プラセボ群47例)が含まれた(日本人は87例)。・ベースライン特性を全体集団と比較すると、ECOG PS1の患者および化学療法としてタキサンの投与を受けた患者の割合が若干少なく、同クラスの化学療法歴のある患者がプラセボ群に若干多かった。[OS中央値]CPS≧10:ペムブロリズマブ群26.7ヵ月 vs.プラセボ群17.4ヵ月(ハザード比[HR]:0.54、95%信頼区間[CI]:0.28~1.04)全体集団では23.0ヵ月 vs.16.1ヵ月(HR:0.73、95% CI:0.55~0.95、p=0.0093)CPS≧1:22.0ヵ月 vs.16.9ヵ月(HR:0.62、95%CI:0.40~0.97)全体集団では17.6ヵ月 vs.16.0ヵ月(HR:0.86、95% CI:0.72~1.04、p=0.0563)ITT集団:24.1ヵ月 vs.17.2ヵ月(HR:0.57、95%CI:0.39~0.84)全体集団では17.2ヵ月 vs.15.5ヵ月(HR:0.89、95% CI:0.76~1.05)[PFS中央値]CPS≧10: 17.3ヵ月 vs. 5.6ヵ月(HR:0.48、95% CI:0.24~0.98)全体集団では9.7ヵ月 vs.5.6ヵ月(HR:0.66、95% CI:0.50~0.88)CPS≧1:7.7ヵ月 vs.5.6ヵ月(HR:0.58、95%CI:0.37~0.91)全体集団では7.6ヵ月 vs.5.6ヵ月(HR:0.75、95% CI:0.62~0.91]ITT集団:8.8ヵ月 vs.6.7ヵ月(HR:0.66、95%CI:0.44~0.99)全体集団では7.5ヵ月 vs.5.6ヵ月(HR:0.82、95% CI:0.70~0.98)・Grade3以上の治療関連有害事象は、ペムブロリズマブ群77.9% vs.プラセボ群78.7%と全体集団と比較して若干多く報告された(全体集団では68.1% vs. 66.9%)が、安全性について全体の傾向は同様で、管理可能であった。 高野氏は、ペムブロリズマブ群におけるベネフィットがアジア人でより大きい傾向がみられることについて、症例数の限られたサブグループ解析であり、慎重に解釈する必要があるとの見解を示しつつ、新たな臨床研究で検討すべき重要なポイントであると述べた。

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化学療法+ニボルマブ+ベバシズマブによるNSCLC1次治療の全生存期間(TASUKI-52)/日本臨床腫瘍学会

 非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)に対するニボルマブとプラチナダブレットおよびベバシズマブ併用の1次治療を評価する国際無作為化二重盲検第III相TASUKI-52試験の全生存期間(OS)の成績が、第19回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2022)で発表された。同併用群はOSについても改善を示した。・対象:未治療のStage IIIB/IVの非扁平上皮NSCLC患者(PD-L1発現問わず)・試験群:ニボルマブ(360mg)+カルボプラチン+パクリタキセル+ベバシズマブ(3週間ごと6サイクル)→ニボルマブ+ベバシズマブ(ニボルマブ群)・対照群:プラセボ+カルボプラチン+パクリタキセル+ベバシズマブ→プラセボ+ベバシズマブ(プラセボ群) ニボルマブ/プラセボ+ベバシズマブは、疾患進行または許容できない毒性発現まで継続・評価項目:[主要評価項目]独立放射線審査委員会(IRRC)評価の無増悪生存期間(PFS)[副次評価項目]全生存期間(OS)、全奏効率(ORR)、安全性 主な結果は以下のとおり。・最小追跡期間は19.4ヵ月であった。・OS中央値はニボルマブ群30.8ヵ月、プラセボ群24.7ヵ月、とニボルマブ群で有意に良好であった(HR:0.74、95%CI:0.58~0.94、p=0.0135)・18ヵ月OS率はニボルマブ群69.0%、プラセボ群61.9%、24ヵ月OS率はそれぞれ59.8%と50.3%で、その差は開いている。・OSのサブグループ解析では、ほとんどの項目でニボルマブ群が優位であった。・PD-L1発現レベルによるOSのHRはPD-L1<1%集団で0.84、1~49%集団で0.59、≧50%で0.83、と発現レベルをとわずニボルマブ群で良い傾向であった。・全Gradeの治療関連有害事象(TRAE)は、ニボルマブ群98.5%に対しプラセボ群99.6%、治療中止にいたったTRAEはそれぞれ16.5%と4.4%であった。 この結果は、非扁平上皮NSCLCの1次治療におけるニボルマブとプラチナ含有化学療法およびベバシズマブの併用をさらに支持するものだと発表者は述べている。

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早期TN乳がん、術前PEM+化学療法と術後PEMでEFS改善/NEJM

 早期トリプルネガティブ乳がん(TNBC)に対し、術前補助療法でペムブロリズマブ+化学療法→術後補助療法でペムブロリズマブによる治療は、術前補助療法での化学療法のみと比較して、無イベント生存期間(EFS)を有意に延長することが、英国・ロンドン大学クイーン・メアリー校のPeter Schmid氏らが21ヵ国181施設で実施した無作為化二重盲検プラセボ対照試験「KEYNOTE-522試験」で示された。すでに本試験の最初の解析において、術前補助化学療法にペムブロリズマブを追加することで、根治的手術実施時に病理学的完全奏効(pCR)(乳房内に浸潤がんがなく、リンパ節転移陰性と定義)を得られた患者の割合が有意に増加することが報告されていた。NEJM誌2022年2月10日号掲載の報告。術前化学療法へのPEM追加+術後PEMの有効性を、プラセボと比較 研究グループは、未治療の早期TNBC患者(AJCC/TNM分類でT1c N1-2またはT2-4 N0-2、ECOG PS 0/1)を、ペムブロリズマブ+化学療法群とプラセボ+化学療法群に2対1の割合で無作為に割り付けた。 ペムブロリズマブ+化学療法群では、術前補助療法としてペムブロリズマブ(200mg、3週ごと)+パクリタキセル(80mg/m2、週1回)+カルボプラチン(AUC 1.5、週1回またはAUC 5、3週ごと)を4サイクル投与後、ペムブロリズマブ+シクロホスファミド(600mg/m2)+ドキソルビシン(60mg/m2)またはエピルビシン(90mg/m2)を3週ごとに4サイクル投与し、術後補助療法としてペムブロリズマブを3週ごとに9サイクル投与した。プラセボ+化学療法群では、術前補助療法でプラセボ+化学療法(同上)、術後補助療法でプラセボを投与した。 主要評価項目は、pCRおよびEFS(無作為化から、根治的手術不能となる病勢進行、局所または遠隔再発、2次原発がんの発生、または全死因死亡までの期間と定義)とし、安全性についても評価した。3年EFS率は84.5% vs.76.8% 2017年3月~2018年9月に計1,174例が割り付けられた(ペムブロリズマブ+化学療法群784例、プラセボ+化学療法群390例)。 計画されていた今回の第4回中間解析(データカットオフ日:2021年3月23日)における追跡期間中央値は39.1ヵ月(範囲:30.0~48.0)で、EFSのイベントはペムブロリズマブ+化学療法群で123例(15.7%)、プラセボ+化学療法群で93例(23.8%)に認められた。 3年無イベント生存率は、ペムブロリズマブ+化学療法群84.5%(95%信頼区間[CI]:81.7~86.9)、プラセボ+化学療法群76.8%(72.2~80.7)であった(イベントまたは死亡のハザード比:0.63、95%CI:0.48~0.82、p<0.001)。 有害事象は主に術前補助療法期に発現し、ペムブロリズマブおよび化学療法ですでに確立されている安全性プロファイルと一致していた。

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PD-L1高発現NSCLC1次治療に対するアテゾリズマブ+ベバシズマブの効果(WJOG@Be)/ J Immunother Cancer

 非小細胞肺がん(NSCLC)において、免疫チェックポイント阻害薬と血管新生阻害薬の併用の可能性が議論されている。PD-L1阻害薬アテゾリズマブと血管新生阻害薬ベバシズマブの併用は第III相IMpower150試験で検討されているが、化学療法がベースの検討であり、アテゾリズマブ+ベバシズマブのみの有用性評価ではない。 そのような中、NSCLCに対するアテゾリズマブ+ベバシズマブの評価が、九州がんセンターの瀬戸貴司氏らによる第II相単群WJOG@Be試験で検討されている。同試験結果がJournal for immunotherapy of cancer誌で発表され、未治療のPD-L1高発現NSCLCに対するアテゾリズマブ+ベバシズマブの可能性が示唆されている。・対象:未治療のPD-L1高発現(TPS≧50)非扁平上皮NSCLC(PS 0〜1)・介入:アテゾリズマブ1,200mg+ベバシズマブ15mg/kg 3週ごと最大2年間、病勢進行あるいは忍容不能な副作用発現まで投与・評価項目:[主要評価項目]客観的奏効率(ORR)[副次評価項目]無増悪生存期間(PFS)、奏効期間(DoR)、全生存期間(OS)、安全性 主な結果は以下のとおり。・登録39例のうちCRは0例、PRは25例で、ORR は64.1%であった。・12ヵ月PFS率は54.9%、12ヵ月OS率は70.6%であった。・25例の奏効患者のDoR中央値は10.4ヵ月であった。・重篤な有害事象(AE)は12例23項目で発現したが、Grade4以上のものはなかった。・治療中断は19例で、12例は疾患進行、2例は免疫関連AEによるものであった。 今回の結果を受けて著者は、アテゾリズマブとベバシズマブの併用はPD-L1高発現の非扁平上皮NSCLCに対し、可能性のある治療法であると述べている。

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再発卵巣がん、トラメチニブでPFS有意に延長/Lancet

 米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのDavid M. Gershenson氏らは、再発低悪性度漿液性卵巣がん患者を対象とした多施設共同非盲検無作為化第II/III相試験「GOG 281/LOGS試験」において、MEK阻害薬トラメチニブが標準治療と比較して無増悪生存(PFS)期間を有意に延長し、新たな治療選択肢となる可能性があることを示した。卵巣または腹膜の低悪性度漿液性がんはMAPKシグナル伝達経路の異常が特徴であり、高悪性度漿液性がんに比べ化学療法に対する感受性が低い。これまでの研究で、MEK阻害薬は有効性が期待される治療戦略であることが示唆されていた。Lancet誌2022年2月5日号掲載の報告。トラメチニブの有効性および安全性を医師選択の標準治療と比較 研究グループは、米国および英国の84施設において、RECIST ver.1.1に基づく測定可能病変を有する18歳以上の再発低悪性度漿液性がん患者を、トラメチニブ群または標準治療群のいずれかに、地域(米国、英国)、前治療レジメン数(1、2、3以上)、PS(0、1)、計画された標準治療を層別因子として、1対1の割合で無作為に割り付けた。5つの標準治療薬すべてではなく、少なくとも1つのプラチナ製剤を含むレジメンによる治療を受けたことがある患者を適格とし、化学療法歴のレジメン数は問わなかった。また、漿液性境界型腫瘍、または低悪性度漿液性がんと高悪性度漿液性がんを含む腫瘍を有する患者は除外した。 トラメチニブ群は2mgを1日1回経口投与し、標準治療群は次の5つのうち医師が選択した治療を行った。パクリタキセル(80mg/m2を1、8、15日目に静脈内投与、28日ごと)、ペグ化リボソームドキソルビシン(40~50mg/m2を4週に1回静脈内投与)、トポテカン(4mg/m2を1、8、15日目に静脈内投与、28日ごと)、レトロゾール(2.5mg 1日1回経口投与)、タモキシフェン(20mgを1日2回経口投与)。 主要評価項目は、intention-to-treat集団における無作為化された治療を受けている間のPFS(治験責任医師評価)とし、ベースライン、続く15ヵ月間は8週ごと、それ以降は3ヵ月ごとに画像診断を行った。トラメチニブ群でPFS中央値が約6ヵ月有意に延長 2014年2月27日~2018年4月10日の期間に260例が登録され、トラメチニブ群(130例)と標準治療群(130例)に無作為化された。観察期間中央値は、トラメチニブ群31.5ヵ月(IQR:18.1~43.3)、標準治療群31.3ヵ月(15.7~41.9)であった。 主要解析において、PFSイベントは217例確認され、トラメチニブ群101例(78%)、標準治療群116例(89%)であった。PFS期間中央値は、トラメチニブ群13.0ヵ月(95%信頼区間[CI]:9.9~15.0)、標準治療群7.2ヵ月(5.6~9.9)で、ハザード比は0.48(95%CI:0.36~0.64、p<0.0001)であった。 主なGrade3/4の有害事象は、トラメチニブ群(128例)が皮疹(17例、13%)、貧血(16例、13%)、高血圧(15例、12%)、下痢(13例、10%)、悪心(12例、9%)、疲労(10例、8%)であり、標準治療群(127例)が下腹部痛(22例、17%)、悪心(14例、11%)、貧血(12例、10%)、嘔吐(10例、8%)であった。治療に関連した死亡は確認されなかった。

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進行食道扁平上皮がんの1次治療、ニボルマブを含むレジメンが有望/NEJM

 進行食道扁平上皮がん患者の1次治療では、抗プログラム細胞死1(PD-1)モノクローナル抗体ニボルマブ+化学療法の併用と、ニボルマブ+抗細胞傷害性Tリンパ球抗原4(CTLA-4)抗体イピリムマブの併用は、化学療法単独と比較して、いずれのレジメンも全生存期間を有意に延長することが、大阪大学大学院医学系研究科消化器外科学の土岐祐一郎氏らが実施した「CheckMate 648試験」で示された。新たな安全性のシグナルは確認されなかったという。研究の成果は、NEJM誌2022年2月3日号に掲載された。3群を比較するアジア主体の国際的な無作為化第III相試験 本研究は、進行食道扁平上皮がんの1次治療における免疫チェックポイント阻害薬と化学療法の併用、および免疫チェックポイント阻害薬2剤併用の有効性と安全性の評価を目的とする非盲検無作為化第III相試験であり、2017年6月~2019年11月の期間に、日本を含む26ヵ国182施設で参加者の登録が行われた(Bristol Myers SquibbとOno Pharmaceuticalの助成を受けた)。 対象は、年齢18歳以上、根治治療の適用がなく、進行病変に対する全身療法の治療歴のない切除不能な進行、再発、転移性の食道扁平上皮がん患者であり、プログラム細胞死リガンド1(PD-L1)の発現の有無は問われなかった。 被験者は、ニボルマブ(240mg、2週ごと、静脈内投与)+化学療法(4週を1サイクルとして、1~5日目にフルオロウラシル800mg/m2[体表面積]を静脈内投与し、1日目にシスプラチン80mg/m2を静脈内投与)、ニボルマブ(3mg/kg[体重]、2週ごと、静脈内投与)+イピリムマブ(1mg/kg[体重]、6週ごと、静脈内投与)、化学療法単独の投与を受ける3つの群のいずれかに、1対1対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要エンドポイントは、全生存期間と無増悪生存期間とし、盲検下に独立の中央判定委員会によって判定された。検定は階層的に行われ、最初に腫瘍細胞のPD-L1の発現率が1%以上の患者で、次いで患者全体(無作為に割り付けられた全患者)で実施された。 970例が無作為化の対象となった。ニボルマブ+化学療法群に321例(年齢中央値64歳、男性 79%)、ニボルマブ+イピリムマブ群に325例(63歳、83%)、化学療法単独群に324例(64歳、85%)が割り付けられた。680例(70%)がアジア人で、PD-L1の発現率が1%以上の患者は473例(49%)であった。奏効率と奏効期間も、ニボルマブを含むレジメンで良好な傾向 最も短い追跡期間が13ヵ月の時点における全生存期間中央値は、腫瘍細胞のPD-L1の発現率が1%以上の患者では、ニボルマブ+化学療法群が15.4ヵ月、化学療法単独群は9.1ヵ月(ハザード比[HR]:0.54、99.5%信頼区間[CI]:0.37~0.80、p<0.001)で、患者全体では、それぞれ13.2ヵ月および10.7ヵ月(HR:0.74、99.1%CI:0.58~0.96、p=0.002)であり、いずれもニボルマブ+化学療法群で有意に優れた。 また、全生存期間中央値のニボルマブ+イピリムマブ群と化学療法単独群との比較では、腫瘍細胞のPD-L1の発現率が1%以上の患者(ニボルマブ+イピリムマブ群13.7ヵ月vs.化学療法単独群9.1ヵ月、HR:0.64、98.6%CI:0.46~0.90、p=0.001)および全体(12.7ヵ月vs.10.7ヵ月、HR:0.78、98.2%CI:0.62~0.98、p=0.01)のいずれにおいても、ニボルマブ+イピリムマブ群で有意に良好だった。 一方、無増悪生存期間は、腫瘍細胞のPD-L1の発現率が1%以上の患者では、ニボルマブ+化学療法群が化学療法単独群よりも有意に延長した(6.9ヵ月vs.4.4ヵ月、HR:0.65、98.5%CI:0.46~0.92、p=0.002)が、全体では、両群間の差は事前に規定された有意差の境界(p=0.015)を満たさなかった(5.8ヵ月vs.5.6ヵ月、HR:0.81、98.5%CI:0.64~1.04、p=0.04)。 無増悪生存期間のニボルマブ+イピリムマブ群と化学療法単独群との比較では、腫瘍細胞のPD-L1の発現率が1%以上の患者(ニボルマブ+イピリムマブ群 4.0ヵ月vs.化学療法単独群4.4ヵ月、HR:1.02、98.5%CI:0.73~1.43、p=0.90)において統計学的有意差の基準を満たさなかったため、全体(2.9ヵ月vs.5.6ヵ月、HR:1.26、95%CI:1.04~1.52)での検定は行われなかった。 客観的奏効率(PD-L1発現率1%以上の患者:ニボルマブ+化学療法群53%、ニボルマブ+イピリムマブ群35%、化学療法単独群20%、全体:47%、28%、27%)はニボルマブ+化学療法群で最も高く、奏効期間中央値(8.4ヵ月、11.8ヵ月、5.7ヵ月/8.2ヵ月、11.1ヵ月、7.1ヵ月)はニボルマブ+イピリムマブ群で最も長かった。 Grade3または4の治療関連有害事象の発現率は、ニボルマブ+化学療法群が47%と最も高く、ニボルマブ+イピリムマブ群は32%,化学療法単独群は36%であった。重篤な治療関連有害事象はニボルマブ+化学療法群が24%、ニボルマブ+イピリムマブ群は32%にみられ、化学療法単独群の16%よりも高率であった。免疫学的原因の可能性がある治療関連有害事象の多くはGrade1または2だった。 著者は、「この研究は、ニボルマブ+化学療法とニボルマブ+イピリムマブの比較や、特定のサブグループにどの治療を用いるべきかを評価するようにはデザインされていない。ニボルマブを含む2つのレジメンの有効性を予測する人口統計学的因子の特性やベースラインの疾患特性を同定するには、新たな探索的な事後解析が、これに資する可能性がある」としている。

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世界初、ニボルマブが原発不明がんの適応追加

 2022年1月19日、小野薬品工業とブリストル マイヤーズ スクイブは原発不明がんの治療薬として、適応追加承認を取得した免疫チェックポイント阻害薬ニボルマブ(商品名:オプジーボ)に関するプレスセミナーを開催した。 今回のセミナーでは、原発不明がんへの適応拡大の意義や臨床試験結果などについて、中川 和彦氏(近畿大学 内科学 腫瘍内科部門)が説明した。原発不明がん~診断・治療における課題~ 原発不明がんは十分な検索にもかかわらず、原発巣が不明で、組織学的に転移巣と判明している悪性腫瘍のことを指す。全がん種のうち1~5%が原発不明がんとされている。しかし、原発不明がんに承認されている薬剤はこれまで存在せず、治療を行うためには何らかの病名を付ける必要があることから、正確な患者数は不明だ。 原発不明がんの治療における課題は治療方法が確立されていないことである。 15~20%存在する“予後良好群”(原発巣の推定が可能な患者群)では、ガイドラインで推奨される治療を実施するが、残りの80~85%の患者は“予後不良群”とされ、特定の治療方針が定められておらず、確立された標準治療が存在していなかった。NivoCUP試験の結果 今回は、原発不明がん患者の“予後不良群”を対象に、近畿大学病院の主導の下、ニボルマブを評価した医師主導治験「NivoCUP試験」の結果に基づき、適応拡大承認を取得した。 同試験では、56例の原発不明がん患者(化学療法既治療:45例、化学療法未治療:11例)に、ニボルマブを最大52サイクル(約2年)投与した。主要評価項目は化学療法既治療例における奏効率(独立した中央判定によるCRまたはPRの割合)であり、副次評価項目は全体集団での奏効率などだった。 主要評価項目である化学療法既治療例における奏効率は22.2%(95%CI:11.2~37.1)、さらに、奏効期間の中央値は12.4ヵ月だった。 化学療法未治療例を含めた全体集団における奏効率は21.4%(95%信頼区間:11.6~34.4)だった。 安全面については、全Gradeの副作用は62.5%、Grade3または4の副作用は19.6%で発現した。重篤な副作用は発現率16.1%、肺臓炎や腹水などであった。死亡に至った副作用は認められなかった。安全性プロファイルに関して、他の疾患におけるニボルマブのプロファイルと大きな差はなかった。ニボルマブ承認の意義 ニボルマブの適応追加承認により、原発不明がんに対して、世界に先駆けて日本で初めて抗悪性腫瘍剤が承認されることとなった。原発不明がんが保険適用の対象疾患として認められる、つまり、今後原発不明がんは研究の対象となり、生物学的な特性の解明や薬剤開発が進んでいくことが期待される。このことに大きな意義があると中川氏は語る。 「研究の対象にならないことほど患者さんにとって恐怖はない。自分の疾患がどの研究者からも研究されないということは、可能性がないということを意味する。しかし、今回ニボルマブが承認されたということが、日本の研究者に原発不明がんが伝わる“好機”になる」と、中川氏はニボルマブ承認の意義について述べ、講演を終えた。

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