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切除可能非小細胞肺がんに対する 術前・後ペムブロリズマブ、無イベント生存期間を改善(KEYNOTE-671)/MSD

 Merck社は2023年3月1日、Stage II、IIIA、IIIB(T3-4N2)の切除可能な非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対する周術期療法としてのペムブロリズマブを評価する第III相KEYNOTE-671試験において、2つの主要評価項目のうち無イベント生存期間(EFS)を達成したことを発表した。周術期療法レジメンには術前補助療法(ネオアジュバント療法)とそれに続く術後補助療法(アジュバント療法)が含まれる。 KEYNOTE-671試験は、上記NSCLC患者を対象とした、無作為化二重盲検第III相試験。786例の登録患者を以下のいずれかの群に、1:1に無作為に割り付けた。・試験群:術前補助療法としてペムブロリズマブ(200mgを3週ごと最大4サイクル)+化学療法(シスプラチン+ゲムシタビンまたはペメトレキセド)、その後術後補助療法としてペムブロリズマブ(200mgを3週ごと最大13サイクル)・対照群:術前補助療法としてプラセボ(3週ごと最大4サイクル)+化学療法(シスプラチン+ゲムシタビンまたはペメトレキセド)、その後術後補助療法としてプラセボ(3週ごと最大13サイクル) 主要評価項目はEFS、全生存期間(OS)、副次評価項目は病理学的完全奏効(pCR)、主要な病理学的奏効(mPR)などであった。 試験の結果、プラセボ群と比較して、ペムブロリズマブ群で統計学的に有意かつ臨床的に意味のあるEFSの改善が認められた。副次評価項目であるpCRおよびmPRについても統計学的に有意な改善が認められている。この結果は今後の医学学会で発表する予定。 この試験データに基づき、Stage II、IIIA、IIIB(T3-4N2)の切除可能NSCLCのプラチナ化学療法との併用による術前補助療法と、その後の単独療法による術後補助療法として、ペムブロリズマブの生物製剤承認一部変更申請(sBLA)が米国食品医薬品局(FDA)に受理された。審査完了予定日は2023年10月16日。

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ニボルマブのNSCLCネオアジュバント、国内承認/小野薬品・BMS

 小野薬品工業とブリストル・マイヤーズ スクイブは、2023年3月27日、ニボルマブについて、化学療法との併用療法で非小細胞肺癌における術前補助療法に対する効能又は効果の追加に係る製造販売承認事項一部変更承認の取得を発表した。 今回の承認は、切除可能な非小細胞肺がん(NSCLC)患者の術前補助療法として、ニボルマブと化学療法の併用療法を化学療法単独と比較評価した多施設国際共同無作為化非盲検第III相試験であるCheckMate 816試験の結果に基づいている。 同試験では、ニボルマブと化学療法の併用療法の3回投与は、化学療法単独と比較して、本試験の主要評価項目である盲検下独立中央評価委員会(BICR)の評価による無イベント生存期間(EFS)および盲検下独立病理委員会(BIPR)の評価による病理学的完全奏効(pCR)で統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示した。本試験におけるニボルマブと化学療法の併用療法の安全性プロファイルは、NSCLC患者を対象とした試験でこれまでに報告されているものと一貫していた。

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FGFR2融合/遺伝子再構成陽性肝内胆管がんに対するfutibatinib、日本人でも有効(FOENIX-CCA2)/日本臨床腫瘍学会

 新規FGFR阻害薬futibatinib(開発コード:TAS-120)による既治療のFGFR2融合/再構成遺伝子陽性肝内胆管がん(CCA)に対する治療は、日本人でもグローバルと同等の有効性を示した。第20回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2023)で、国立がん研究センター中央病院の森實 千種氏が発表した、futibatinibの国際第II相FOENIX-CCA2試験の日本人サブグループ解析の結果である。・対象:プラチナ化学療法+ゲムシタビンで進行したFGFR2融合/再構成遺伝子陽性CCA患者・介入:futibatinib 20mg/日 3週ごとを病勢進行または許容できない毒性が認められるまで投与・評価項目:[主要評価項目]奏効率(ORR)[副次評価項目]無病生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、病勢制御率(DCR)、安全性など 主な結果は以下のとおり。・全体集団103例中、日本人患者は14例であった。・日本人患者は全体集団と比べ、男性およびPS0が多く、放射線の前治療を受けた割合が少なかった。・日本人患者のORRは28.6%、全体では41.7%、DCRは日本人92.9%、全体では82.5%であった。・日本人患者のPFS中央値は全体と同様、9.0ヵ月であった。・日本人患者のOS中央値は14.6ヵ月、全体では21.7ヵ月であった。・安全性についても日本人集団と全体で大きな差はなかった。 発表者は、全体集団と比較した日本人集団の治療成績は同程度であり、標準的な化学療法より高い治療効果を示したと述べた。

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手術前後デュルバルマブ、非小細胞肺がんの無イベント生存を有意に延長(AEGEAN)/AZ

 アストラゼネカ社は2023年3月9日、第III相AEGEAN試験の中間解析の結果を発表した。切除可能な早期(IIA~IIIB期)非小細胞肺がん(NSCLC)を対象とした同試験の中間解析において、術前での化学療法とデュルバルマブの併用および術後デュルバルマブ単剤治療は、術前化学療法単独と比較して、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある無イベント生存期間(EFS)延長を示している。 病理学的完全奏効(pCR)および主要な病理学的奏効(MPR)の最終的な解析結果は、これまでに報告された中間解析における良好な結果と一致していた。同試験は、無病生存期間(DFS)および全生存期間(OS)を含む主要な副次評価項目を評価するため、予定通り継続する。 世界で肺がんと診断される患者は年間220万人と推定されており、その80〜85%がNSCLCと診断されている。NSCLCの約25〜30%が、根治が期待される切除可能な早期NSCLCと診断されるが、StageIIの5年生存率は56~65%、StageIIIaでは41%、StageIIIbでは24%にまで低下することから、依然として高いアンメットニーズが存在していることがうかがえる。 これらのデータは、近く開催される医学学会で発表され、世界の規制当局と共有される。

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ペムブロリズマブの去勢抵抗性前立腺がんおよびEGFR陽性非小細胞がんの第III相試験/MSD

 Merck社は2023年2月28日、第III相試験KEYNOTE-641およびKEYNOTE-789の最新情報を公開。転移のある去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)において、ペムブロリズマブとエンザルタミドおよびアンドロゲン除去療法(ADT)との併用を評価する第III相KEYNOTE-641試験については、独立データモニタリング委員会の勧告に基づき中止する。中間解析において、ペムブロリズマブとエンザルタミドおよびADTの併用療法では、プラセボ+エンザルタミドおよびADTと比較して、2つの主要評価項目である画像上の無増悪生存期間(rPFS)または全生存期間(OS)の改善が確認されず、OSについては事前に設定した無益性の境界(futility boundary)を超えた。 また、オシメルチニブを含むEGFR‐TK治療後に進行した転移を有するEGFR変異陽性の非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)の治療においてペムブロリズマブとペメトレキセドおよびプラチナ製剤による化学療法の併用療法を評価する第III相KEYNOTE-789試験について、2つの主要評価項目のうちOSを達成しなかったことを発表した。同試験の最終解析で、ペムブロリズマブ+ペメトレキセドおよびプラチナ製剤による化学療法を受けた患者では、ペメトレキセドおよびプラチナ製剤による化学療法のみを受けた患者と比較してOSの改善がみられたが、事前に設定した統計学的有意性の基準を満たさなかった。もう1つの主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)について、この前に実施した中間解析でペムブロリズマブ群では化学療法単独群と比較して改善がみられたが、統計学的有意性の基準を満たさなかった。 KEYNOTE-641試験およびKEYNOTE-789試験においてペムブロリズマブの安全性プロファイルはこれまでの試験で認められているものと一貫しており、新たな安全性の懸念は特定されなかった。

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EGFR陽性NSCLCの術後補助療法、オシメルチニブがOS延長(ADAURA試験)/AZ

 アストラゼネカは、オシメルチニブ(商品名:タグリッソ)の第III相試験(ADAURA試験)において、EGFR遺伝子変異陽性の病理病期IB~IIIAの非小細胞肺がん(NSCLC)に対する完全切除後の補助療法としてのオシメルチニブの投与により、全生存期間(OS)が有意に改善したことを2023年3月10日のプレスリリースで発表した。 ADAURA試験でオシメルチニブがEGFR陽性NSCLC術後補助療法でOS改善 国際共同第III相比較試験ADAURA試験は、EGFR遺伝子変異陽性(ex19del/L858R)の病理病期IB~IIIAのNSCLC患者のうち、腫瘍が完全切除された患者を対象とした試験。術後補助療法として、オシメルチニブ80mg/日を投与する群(オシメルチニブ群)とプラセボを投与する群(プラセボ群)に1:1の割合で無作為に割り付け、最大3年間投与した(両群とも術後化学療法の使用は許容された)。なお、再発したプラセボ群の患者は非盲検下でオシメルチニブの投与を可能とした。主要評価項目は、病理病期II/IIIA患者の無病生存期間(DFS)であり、副次評価項目は、全集団(病理病期IB~IIIA)におけるDFS、OSなどであった。 本発表では、ADAURA試験の主要な副次評価項目であるOSがオシメルチニブ群においてプラセボ群と比べて有意な改善を示し、かつ臨床的意義のある改善であったことが示されたとしている。なお、主解析においてDFSが統計学的有意かつ臨床的意義のある改善を示したことが報告されており、追跡調査ではDFSの中央値が約5.5年であったことが報告されている。ADAURA試験の結果詳細は、今後学会で発表される予定とのことである。 肺癌診療ガイドライン2022年版では、「CQ30. EGFR遺伝子変異陽性の術後病理病期II~IIIA期(第8版)完全切除例に対して、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬は勧められるか?」について、EGFRチロシンキナーゼ(EGFR-TKI)による術後化学療法がOSの延長を示した試験結果は報告されていないことなどを理由として、推奨度決定不能としていた。■関連記事高リスク早期乳がんでの術後内分泌療法+アベマシクリブ、高齢患者でも有用(monarchE)/ASCO2023

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化学療法、女性は午後に受けると効果が高い

 体内時計機能を勘案し、投薬時間を調節するクロノセラピー(時間治療)の考え方は以前より提唱されており、大腸がんなどにおいて一定の効果が報告されている1)。しかし、その後の試験に一貫性がないため、日常臨床を変えるには至っていない。今回、造血器腫瘍の成人患者におけるクロノセラピーの効果を検討した、韓国科学技術院のDae Wook Kim氏らによる研究結果がJCI Insight誌2022年12月号に掲載された。 研究者らは、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)患者を2つのコホートに分け、午前または午後に化学療法を行った。DLBCLを対象としたのは、1)リツキシマブ+シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾロン(R-CHOP療法)が唯一の治療選択肢であるために交絡因子が無視でき、治療結果はほとんど免疫化学療法の有効性と毒性に依存する、2)患者の3割が再発しており、より優れた治療戦術が必要、3)ヒトまたは動物実験においてシクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチンの忍容性および抗腫瘍効果に概日変化があるとの報告がある、などの理由による。 2015年1月~2017年8月の間にソウル大学病院およびソウル大学盆唐病院の化学療法センターでR-CHOP療法を受けた成人337例を対象とし、午前または午後にR-CHOP療法を行った。その後、治療終了時に完全寛解を達成した生存コホート129例を対象に有害事象の解析を行った。 主な結果は以下のとおり。・ECOG performance-status(PS)、R-IPIスコア、診断時年齢中央値(61歳[四分位範囲:27~77])に群間差はなかった。全例がPS<2の比較的良好な状態に分類され、約半数がStageIII~IVで、その構成も各群同様であった。・無増悪生存期間(PFS)は、女性患者において、午前投与群は午後投与群に比べ有意に短かった(ハザード比[HR]:0.357、p=0.033)。女性患者において、午前投与群は午後投与群に比べ病勢進行の頻度が高かった(33.3% vs.13.9%、p=0.040)。・同様に、女性患者において、午前投与群では午後投与群より多くの死亡が認められた(19.6% vs.2.8%、p=0.020)。最も一般的な死因は病勢進行であった。その結果、午前投与群は午後投与群と比較して全生存期間(OS)が短かった(HR:0.141、p=0.032)。・午前群の女性患者では、投与量が減少した(シクロホスファミド10%、p=0.002、ドキソルビシン8%、p=0.002、リツキシマブ7%、p=0.003)。これは主に感染症と好中球減少症に起因するもので、午前群は午後群と比較して、感染症(16.7% vs.2.4%)と発熱性好中球減少症(20.8% vs.9.8%)の発生率が高かった。 研究者らは「クロノセラピーの効果に性差があることは、循環白血球と好中球の日内変動が男性より女性のほうが大きいことで説明できる」としている。

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3月6日 世界リンパ浮腫の日【今日は何の日?】

【3月6日 世界リンパ浮腫の日】〔由来〕2016(平成28)年にアメリカ・上院でリンパ浮腫の認識を高めるために3月6日を「World Lymphedema Day」(世界リンパ浮腫の日)と制定。そして、同じくリンパ浮腫の正しい知識と情報を共有し、治療環境の発展などを目的に患者と医療者の会である「リンパカフェ」が2018(平成30)年に制定。関連コンテンツ浮腫の見分け方、発症形式と部位を押さえよう!【Dr.山中の攻める!問診3step】リンパ節が腫れたときの症状チェック【患者説明用スライド】浮腫による蜂窩織炎の再発予防、圧迫療法は有効か/NEJM乳がん関連リンパ浮腫、リンパ節照射より腋窩手術の種類が影響/JCO術前化学療法を受けた乳がん患者の術後上肢リンパ浮腫、リスク因子は?/JAMA Surgery

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オシメルチニブのEGFR陽性非小細胞肺がんアジュバントによるDFS改善、最終解析でも維持(ADAURA)/JCO

 EGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)の術後補助療法の第III相ADAURA試験。初回解析では、オシメルチニブとプラセボの臨床的に有意な無病生存率(DFS)の利点が実証された(DFSハザード比[HR]:0.20、99.12%信頼区間[CI]:0.14~0.30、p<0.001)。Journal Of Clinical Oncology誌オンライン版2023年1月31日号では、DFSの最終的な分析データが発表されている。・対象:EGFR変異陽性(ex19del/L858R)のStageIB/II/IIIAの完全切除された非扁平上皮NSCLC患者(術後化学療法は許容)・試験群:オシメルチニブ80mg/日 最大3年間治療・対照群:プラセボ・評価項目:[主要評価項目]治験担当医師評価によるStageII/IIIA患者のDFS、推定HR=0.70[副次評価項目]全集団のDFS、全生存期間(OS)、安全性、健康関連QOL[事前に指定された探索的研究]再発パターン、中枢神経系病変(CNS)の再発または死亡(CNS DFS) 主な結果は以下のとおり。・データカットオフ時(2022年4月11日)、StageII〜IIIA集団の追跡期間中央値は、オシメルチニブ群44.2ヵ月、プラセボ群19.6ヵ月であった。・主要評価項目であるStageII~IIIAのDFS HRは0.23(95%CI:0.18〜0.30)、4年DFS率はオシメルチニブ群70%、プラセボ群29%であった。・全集団のDFS HRは0.27(95%CI:0.21〜0.34)、4年DFS率はオシメルチニブ群73%、プラセボ群38%であった。・StageII~IIIAの頭蓋内DFSのHRは0.24(95%CI:0.14〜0.42)であった。・オシメルチニブの長期安全性プロファイルは、初回解析と一致していた。

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扁平上皮非小細胞肺がん、ペムブロリズマブ+化学療法1次治療5年アップデート(KEYNOTE-407)/JCO

 転移を有する扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)に対するペムブロリズマブ+化学療法による1次治療の第III相試験KEYNOTE-407の5年追跡結果が発表された。持続的な有効性と安全性が報告されている。KEYNOTE-407の5年アップデートでOSはより改善対象:転移を有する未治療の扁平上皮NSCLC試験薬群:ペムブロリズマブ+カルボプラチン+パクリタキセル/nab-パクリタキセル(3週間ごと4サイクル)→ペムブロリズマブ35サイクルまで(n=278)対照薬群:プラセボ+カルボプラチン+パクリタキセル/nab-パクリタキセル(3週間ごと4サイクル)→プラセボ35サイクルまで(n=281)・評価項目[主要評価項目]:盲検独立中央審査(BICR)評価の全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)[副次評価項目]:BICR評価の客観的奏効率、奏効期間、安全性など KEYNOTE-407の5年アップデートの主な結果は以下のとおり。・無作為化からデータベースのカットオフまでの期間中央値は、56.9ヵ月であった。・OSは、プラセボ+化学療法群に比べ、ペムブロリズマブ+化学療法群でより改善された(ハザード比[HR]:0.71、95%信頼区間[CI]:0.59~0.85)。5年OS率はそれぞれ、18.4%と9.7%であった。・PFSは、プラセボ+化学療法群に比べ、ペムブロリズマブ+化学療法群でより改善された(HR:0.62、95%CI:0.52〜0.7)。5年PFS率はそれぞれ、10.8%と3.5%であった。・OSおよびPFSのHRは、PD-L1レベル(TPS)を問わず、ペムブロリズマブ+化学療法群で良好であった。・毒性は管理可能であった。・ペムブロリズマブ35サイクル投与を完了した55例の客観的奏効率は90.9%、35サイクル完了後の3年(無作為割付後からは約5年)OS率は69.5%であった。

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ソトラシブ、KRASG12C変異陽性NSCLCのPFSを延長/Lancet

 既治療のKRASG12C変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)の治療において、KRASG12C阻害薬ソトラシブは標準治療であるドセタキセルと比較して、無増悪生存期間(PFS)を延長し、安全性プロファイルも優れることが、オランダがん研究所のAdrianus Johannes de Langen氏らが実施した「CodeBreaK 200試験」で示された。研究の成果はLancet誌オンライン版2023年2月7日号で報告された。22ヵ国148施設の実薬対照第III相試験 CodeBreaK 200試験は、日本を含む22ヵ国148施設が参加した非盲検無作為化第III相試験であり、2020年6月~2021年4月の期間に患者の登録が行われた(Amgenの助成を受けた)。 対象は、年齢18歳以上、KRASG12C変異を有する進行NSCLCで、プラチナ製剤を用いた化学療法か、PD-1またはPD-L1阻害薬による前治療後に病勢が進行した患者であった。 被験者は、ソトラシブ(960mg、1日1回、経口)またはドセタキセル(75mg/m2、3週ごと、静脈内)の投与を受ける群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要評価項目はPFSであり、盲検下の独立した中央判定によりintention-to-treat解析が行われた。 345例が登録され、ソトラシブ群に171例(年齢中央値64.0歳[範囲:32~88]、男性63.7%、脳転移の既往34%)、ドセタキセル群に174例(64.0歳[35~87]、54.6%、35%)が割り付けられた。それぞれ169例(99%)、151例(87%)が少なくとも1回の試験薬の投与を受けた。ドセタキセル群のうち、最終的に59例(34%)がKRASG12C阻害薬を投与された(ソトラシブ群へのクロスオーバーが46例、試験薬中止後の後治療としての投与が13例)。全奏効率、奏効期間、QOLも良好 全体の追跡期間中央値は17.7ヵ月(四分位範囲[IQR]:16.4~20.1)で、治療期間中央値はソトラシブ群が19.9週(範囲:0.4~101.3)、ドセタキセル群は12.0週(3.0~101.0)であった。 PFS中央値は、ドセタキセル群の4.5ヵ月(95%信頼区間[CI]:3.0~5.7)に比べ、ソトラシブ群は5.6ヵ月(4.3~7.8)と、統計学的に有意に長かった(ハザード比[HR]:0.66、95%CI:0.51~0.86、p=0.0017)。1年PFS率はソトラシブ群が24.8%、ドセタキセル群は10.1%だった。 全奏効率は、ドセタキセル群13.2%に比し、ソトラシブ群28.1%であり、有意な差が認められた(群間差:14.8%、95%CI:6.4~23.1、p<0.001)。奏効までの期間はソトラシブ群で短く(1.4ヵ月vs.2.8ヵ月)、奏効期間はソトラシブ群で長かった(8.6ヵ月vs.6.8ヵ月)。全生存(OS)率は両群間に差がなく(HR:1.01、95%CI:0.77~1.33、p=0.53)、OS中央値はソトラシブ群が10.6ヵ月、ドセタキセル群は11.3ヵ月だった。 ソトラシブ群は忍容性も良好で、ドセタキセル群に比べGrade3以上の有害事象(56例[33%]vs.61例[40%])および重篤な治療関連有害事象(18例[11%]vs.34例[23%])の割合が低かった。 最も頻度の高いGrade3以上の治療関連有害事象は、ソトラシブ群が下痢(20例[12%])、ALT値上昇(13例[8%])、AST値上昇(9例[5%])であり、ドセタキセル群は好中球数減少(13例[9%])、倦怠感(9例[6%])、発熱性好中球数減少(8例[5%])であった。患者報告アウトカム(QOL[全般的健康、身体機能]、症状[呼吸困難、咳嗽、胸痛])は、全般にソトラシブ群で良好だった。 著者は、「これらの知見は、ソトラシブが、予後不良でアンメットニーズの高いこの患者集団における新たな治療選択肢となることを示すものである」としている。

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第20回日本臨床腫瘍学会の注目演題/JSMO2023

 2023年2月16日、日本臨床腫瘍学会はプレスセミナーを開催し、会長の馬場 英司氏(九州大学)らが、第20回学術集会(2023年3月16~18日)の注目演題などを発表した。 今回のテーマは「Cancer, Science and Life」で、科学に基づいた知⾒ががん医療の進歩を支え、患者さんが満⾜できる⽣活、実りある⼈⽣を送る助けになることを目的とする。演題数は1,084であり、うち海外演題数は289と過去2番⽬の多さになる。プレジデンシャルセッション プレジデンシャルセッションでは発表者の他に、国内外の専門家がディスカッサントとして研究成果の意義を解説する。演題は学術企画委員会が厳正に審査を行い、全分野より合計19演題が選定された。<呼吸器>2023年3月16日(木)15:10〜17:101.既治療の進行・再発非小細胞肺癌に対するニボルマブ(NIV)対NIV+ドセタキセルのランダム化比較第II/III相試験:TORG1630 古屋 直樹氏(聖マリアンナ医科大学病院呼吸器内科)2.First Report of Cohort3 and Mature Survival Data From the U31402-A-U102 Study of HER3-DXd in EGFR-Mutated NSCLC  林 秀敏氏(近畿大学医学部腫瘍内科)3.完全切除されたII-IIIA期の非扁平上皮非小細胞肺癌に対するPEM/CDDPとVNR/CDDPを比較する第III相試験:JIPANG最終解析 山崎 宏司氏(国立病院機構九州医療センター呼吸器外科)4.Adjuvant osimertinib in resected EGFR-mutated stageII-IIIA NSCLC:ADAURA Japan subgroup analysis 釼持 広知氏(静岡県立静岡がんセンター呼吸器内科)5.Sotorasib versus Docetaxel for Previously Treated Non-Small Cell Lung Cancer with KRAS G12C Mutation:CodeBreaK 200 Phase3 Study 岡本 勇氏(九州大学大学院医学研究院呼吸器内科学)<その他がん>2023年3月17日(金)8:20〜10:201.MOMENTUM:Phase3 Study of Momelotinib vs Danazol in Symptomatic and Anemic Myelofibrosis Patients post-JAK Inhibition Jun Kawashima氏(Sierra Oncology, a GSK company, San Mateo, CA, USA)2.Brexucabtagene Autoleucel in Relapsed/Refractory Mantle Cell Lymphoma(R/R MCL) in ZUMA-2:Durable Responder Analysis  Javier Munoz氏(Banner MD Anderson Cancer Center, Gilbert, AZ, USA)3.Pembrolizumab+chemoradiation therapy for locally advanced head and neck squamous cell carcinoma(HNSCC):KEYNOTE-412 田原 信氏(国立がん研究センター東病院頭頸部内科)4.APOBEC signature and the immunotherapy response in pan-cancer Ya-Hsuan Chang氏(Institute of Statistical Science, Academia Sinica, Taipei, Taiwan)5.FGFR2融合/再構成遺伝子を有する肝内胆管がん患者に対するFutibatinibの第2相試験:FOENIX-CCA2試験の日本人サブグループ解析結果 森実 千種氏(国立がん研究センター中央病院肝胆膵内科)<乳腺>2023年3月17日(金)16:25〜18:051.Overall survival results from the phase3 TROPiCS-02 study of sacituzumab govitecan vs chemotherapy in HR+/HER2-mBC Hope Rugo氏(Department of Medicine, University of California-San Francisco, Helen Diller Family Comprehensive Cancer Center, San Francisco, CA, USA)2.HER2低発現の手術不能又は再発乳癌患者を対象にT-DXdと医師選択治療を比較したDESTINY-Breast04試験のアジアサブグループ解析 鶴谷 純司氏(昭和大学先端がん治療研究所)3.T-DM1による治療歴のあるHER2陽性切除不能及び/又は転移性乳癌患者を対象にT-DXdと医師選択治療を比較する第III相試験(DESTINY-Breast02) 高野 利実氏(がん研究会有明病院乳腺内科)4.Phase1/2 Study of HER3-DXd in HER3-Expressing Metastatic Breast Cancer:Subgroup Analysis by HER2 Expression 岩田 広治氏(愛知県がんセンター乳腺科部)<消化器>2023年3月18日(土)9:45〜11:451.切除不能局所進行食道扁平上皮癌に対する化学放射線療法後のアテゾリズマブの有効性・安全性をみる第II相試験:EPOC1802 陳 勁松氏(がん研究会有明病院消化器化学療法科)2.PD-1 blockade as curative intent therapy in mismatch repair deficient locally advanced rectal cancer Andrea Cercek氏(Memorial Sloan Kettering Cancer Center, USA)3.RAS野生型切除不能進行再発大腸癌に対するm-FOLFOXIRI+cetuximab vs. bevacizumabの生存解析:DEEPER試験(JACCRO CC-13) 辻 晃仁氏(⾹川⼤学医学部臨床腫瘍学講座)4.PARADIGM試験における早期腫瘍縮小割合および最大腫瘍縮小割合に関する検討 室 圭氏(愛知県がんセンター薬物療法部)5.Efficacy and safety of fruquintinib in Japanese patients with refractory metastatic colorectal cancer from FRESCO-2  小谷 大輔氏(国立がん研究センター東病院消化管内科) また、プレスセミナーでは、他の注目演題として下記が紹介された。がん免疫療法ガイドライン 下井 ⾠徳氏(国⽴がん研究センター中央病院)によるがん免疫に関するレクチャーの後、3月発刊予定の「がん免疫療法ガイドライン第3版」のアウトラインが紹介された。昨今注目されているがん免疫療法において、医療者へ適切な情報を提供するためのがん種横断的な治療ガイドラインの改訂版である。学術大会では委員会企画として、第3版改訂のポイント、新しいがん免疫療法、がんワクチン療法と免疫細胞療法のエビデンスが解説される。委員会企画4(ガイドライン委員会2)第1部:がん免疫療法ガイドライン改訂第3版の概要3⽉16⽇(⽊)15:50〜17:20(第1部 15:50〜16:35)がんゲノム医療 田村 研治氏(島根大学医学部附属病院)によって、がん治療におけるゲノム医療の流れや課題などが紹介された。学術大会では、マルチコンパニオン検査とCGP検査の使い分けについて解説した上で、近未来の「がんゲノム医療」はどうあるべきかを専門医が討論する。解決すべき問題の例として「コンパニオン診断薬として承認されている遺伝子異常と、ゲノムプロファイリング検査としての遺伝子異常を同じ遺伝子パネルで検査すべきか?区別すべきか?」などが挙げられた。シンポジウム8遺伝子異常特異的かつ臓器横断的な薬剤の適正使用、遺伝子パネルの在り方とは?3月16日(木)8:30〜10:00患者支援の最前線 佐々木 治一郎氏(北里大学医学部附属新世紀医療開発センター)によって、わが国におけるがん患者支援の現状が紹介された。より総合的ながん患者支援が求められる中、支援活動の質の担保や最低限のルールの確立などのための教育研修が必要となっている。学術大会では、国、学会、NPOの演者ががん患者支援者への教育研修について発表・議論される。会長企画シンポジウム4患者支援者の教育研修:我が国における現状と課題3月16日(木)14:00〜15:30デジタル化が進めるがん医療 佐竹 晃太氏(日本赤十字医療センター)によって、治療用アプリとヘルスケアアプリとの違い、実臨床における活用方法、国内における開発状況などが紹介された。治療用アプリの活用により、重篤な有害事象の減少、QOLの改善、生存期間の改善などが期待されている。学術大会では、新しい治療アプローチの昨今の動向や、臨床導入する上での潜在的課題について議論される。シンポジウム4将来展望:予防・治療を目的としたモバイルアプリの開発3月16日(木)15:50~17:20

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免疫チェックポイント阻害薬の開始後6日目に出現した全身倦怠感【見落とさない!がんの心毒性】第18回

※本症例は、実臨床のエピソードに基づく架空のモデル症例です。あくまで臨床医学教育の普及を目的とした情報提供であり、すべての症例が類似の症状経過を示すわけではありません。2014年9月のニボルマブの販売開始から8年半が経過した2023年2月現在、本邦では6種類の免疫チェックポイント阻害薬(ICIs:immune checkpoint inhibitors)が承認されています。これまで、再発、遠隔転移、難治性、切除不能のがん症例に対しては、悪性黒色腫を皮切りに、肺、消化管、乳腺、腎・尿路、子宮、リンパ腫、頭頚部、原発不明のがんに承認されてきました。近年は根治性を高め、再発・転移を予防する目的で、悪性黒色腫、腎細胞がん、非小細胞肺がん、トリプルネガティブ乳がんにおいて適応が拡大しています。ICIsは今やがん薬物療法における標準治療薬の地位を確立しつつあります。一方で、思いがけない副作用で大変な思いをする患者さんもいます。今回、その一例をご紹介しましょう。《今回の症例》70代・男性。進行期食道がんに対し、ペムブロリズマブ、シスプラチンおよび5-FUによる化学療法開始後6日目に嘔気と全身倦怠感を訴えた。既往歴特記すべきことなし。現症血圧80/56mmHg、脈拍110/分・整、体温35.5℃、SpO2 96%(室内気)、冷汗をかいている。心音でIII音を聴取する。呼吸音に異常はない。腹部は平坦・軟で、圧痛はない。下腿浮腫は認めない。検査所見[血液検査]白血球 1万1,500/μL、赤血球466万/μL、ヘモグロビン15.3g/dL、血小板36.1万/μL[血液生化学]総蛋白6.1g/dL、アルブミン2.7g/dL、AST 21U/L、ALT 17U/L、LDH 139U/L、総ビリルビン0.6 mg/dL、CPK 314U/L(正常値59~248U/L)、Na 131mEq/L、K 5.0mEq/L、Cl 97mEq/L、クレアチニン 0.95mg/dL、尿素窒素21mg/dL、CRP 2.16mg/dL、SCC 6.6ng/mL(正常値2.0ng/mL未満)、心筋トロポニンI 178pg/mL(正常値26.2pg/mL未満)、NT-proBNP 1,560pg/mL(心不全除外のカットオフ値125pg/mL未満)、血糖値180mg/dL、TSH 2.5μU/mL、FT4 1.3ng/dL、コルチゾール 23.6μg/dL(正常値6.2~18.0μg/dL)治療開始前と心不全発症時の12誘導心電図と、発症時の経胸壁心エコー図(左室長軸像)を以下に示す。治療開始前と心不全発症時の12誘導心電図画像を拡大する発症時の経胸壁エコー図(左室長軸像)画像を拡大する※所見(1)~(3)は解説をご覧ください【問題】本症例は免疫関連有害事象(irAE:immune-related Adverse Events)による急性心不全と診断された。本症例のirAEついて正しいものを選べ。a.患者数は増加傾向にある。b.ICIs投与後1ヵ月以内の発症はまれである。c.本症例の心電図には予後不良の所見を認める。d.本症例の心エコー図所見は当irAEのほとんどの症例で認められる。e.診断したら速やかにステロイドパルス療法を開始する。今日、がん薬物療法においてICIsは多くのがん種で標準治療薬としての地位を確立しています。適応は進行がんのみならず術後補助化学療法にも拡大してきており、近い将来、がん患者の40%以上が免疫療法の対象となる可能性が指摘されています10)。早期発見、ICIs中止、かつステロイドパルス療法が救命のポイントですが、一部の医師だけによる場当たり的な対応には限界があります。“がん治療に携わる医師が心筋炎を疑い、循環器医が遅滞なく診断をし、速やかに患者をICUに収容し、厳重な循環監視(または補助)下でステロイドパルス療法を開始する”という、複数の診療科間と病院間の連携体制を事前に確立しておく必要があります11)。腫瘍循環器領域を担う医師は、ICIs関連心筋炎患者の救命のための連携体制を構築すべく、リーダーシップを発揮することが期待されています。心筋炎の検査体制が整備されるにつれ、きちんと診断される患者が増え、適切な治療により本疾患による死亡率が低下することを期待しましょう。1)Mahmood SS, et al. J Am Coll Cardiol. 2018;71:1755-1764.2)Furukawa A, et al. J Cardiol. 2023;81:63-67.3)Salem JE, et al. Lancet Oncol. 2018;19:1579-1589.4)Hasegawa S, et al. Pharmacoepidemiol Drug Saf. 2020;29:1279-1294.5)Lyon AR, et al. Eur Heart J. 2022:43:4229-4361. 6)Power JR, et al. Circulation. 2021;144:1521-1523. 7)Awadalla M, et al. J Am Coll Cardiol. 2020;75:467-478. 8)Zhang L, et al. Circulation. 2020;141:2031-2034.9)Axelrod ML, et al. Nature. 2022;611:818-826.10)Haslam A, et al. JAMA Netw Open. 2019;2:e192535.11)大倉裕二ほか. 新潟県医師会報2023年2月号. 診療科の垣根を越えてノベル心筋炎に備える.講師紹介

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BRCA変異陽性転移乳がんへのオラパリブ、1次治療で高い効果(OlympiAD)

 生殖細胞系列BRCA変異陽性(gBRCAm)HER2陰性転移乳がんにおいて、オラパリブは医師選択の化学療法(TPC)に対し主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)を有意に延長し、全生存期間(OS)中央値はオラパリブ群19.3ヵ月vs.TPC群17.1ヵ月(p=0.513)と報告されている。今回、従来の報告より25.7ヵ月長いOSの延長フォローアップ解析結果を、米国・メモリアルスローンケタリングがんセンターのMark E. Robson氏らがEuropean Journal of Cancer誌オンライン版2023年2月14日号に報告した。 OlympiAD試験では、gBRCAmかつHER2陰性で、アントラサイクリン系およびタキサン系薬剤の治療歴を有し、転移疾患に対する化学療法歴≦2ラインの患者を、オラパリブ群またはTPC群(医師の選択によりカペシタビン、エリブリンまたはビノレルビンのいずれかを使用)に2:1の割合で無作為に割り付けて比較検討している。延長フォローアップ期間中、OSは層別log-rank検定(全体集団)およびCox比例ハザードモデル(事前に指定されたサブグループ)を用いて6ヵ月ごとに分析された。 今回報告された主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値はオラパリブ群18.9ヵ月vs.TPC群15.5ヵ月だった。・全体集団(302例)におけるOS中央値はオラパリブ群19.3ヵ月vs.TPC群17.1ヵ月だった(ハザード比[HR]:0.89、95%信頼区間[CI]:0.67~1.18)。・3年生存率は、オラパリブ群27.9% vs.TPC群21.2%だった。・3年以上試験治療を受けた患者はオラパリブ群で8.8%だったのに対し、TPC群では0%だった。・転移疾患に対する1次治療(1L)の患者において、OS中央値はオラパリブ群でTPC群よりも長く(22.6ヵ月vs.14.7ヵ月、HR:0.55、95%CI:0.33~0.95)、3年生存率はオラパリブ群40.8% vs.TPC群12.8%となった。オラパリブに関連する新たな重篤な有害事象は認められていない。 著者らは、今回の追加解析でのOS結果はOlympiAD試験の過去の解析結果と一致していたとし、とくに1Lにおけるオラパリブによる長期生存ベネフィットの可能性を支持するものだとまとめている。

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疼痛に有効な抗うつ薬は?/BMJ

 オーストラリア・シドニー大学のGiovanni E. Ferreira氏らは、成人の疼痛において抗うつ薬とプラセボを比較した試験に関する26件の系統的レビューのデータの統合解析を行った。抗うつ薬の有効性を示す確実性が「高」のエビデンスは得られなかったが、4種の疼痛において、セロトニン-ノルエピネフリン再取り込み阻害薬(SNRI)の有効性を示す確実性が「中」のエビデンスが確認された。研究の成果は、BMJ誌2023年2月1日号に掲載された。系統的レビューのデータを統合して要約 研究グループは、病態別の疼痛に対する抗うつ薬の有効性、安全性、忍容性に関して、包括的な概要を提示する目的で、系統的レビューのデータを統合して要約した(特定の研究助成は受けていない)。 医学関連データベース(PubMed、Embase、PsycINFO、Cochrane Central Register of Controlled Trials)に、その創設から2022年6月20日までに登録された文献を検索した。対象は、成人の疼痛について、抗うつ薬とプラセボを比較した系統的レビューとされた。 主要アウトカムは疼痛であった。疼痛の連続アウトカムは、0(痛みなし)~100(最悪の痛み)の尺度に変換され、平均差(95%信頼区間[CI])が示された。また、2値アウトカムはリスク比(95%CI)が提示された。副次アウトカムは、安全性と忍容性(有害事象による投与中止)であった。 得られた結果は、「有効」「有効でない」「結論に至らない」に分類された。エビデンスの確実性は、GRADE(grading of recommendations assessment, development, and evaluation)で評価した。痛みへの抗うつ薬処方では、より微妙なアプローチが必要 2012~22年に発表された26件の系統的レビュー(156試験、参加者2万5,000例以上)が解析の対象となった。これらのレビューには、22種の疼痛について、8クラスの抗うつ薬とプラセボの42の比較が含まれた。疼痛に対する抗うつ薬の有効性に関して、確実性が「高」のエビデンスを示すレビューは認められなかった。 9件のレビューで、11の比較において、9種の疼痛に対していくつかの抗うつ薬がプラセボと比較して「有効」とのエビデンスが示された。その多くはSNRIの有効性を示すもので、6件のレビューで7種の疼痛に有効であった。 このうち確実性が「中」のエビデンスが得られたのは、いずれもSNRIの有効性が示された次の4つの疼痛であった。背部痛(平均差:-5.3、95%CI:-7.3~-3.3)、術後疼痛(多くが整形外科手術)(-7.3、-12.9~-1.7)、神経障害性疼痛(-6.8、-8.7~-4.8)、線維筋痛症(リスク比:1.4、95%CI:1.3~1.6)。 これ以外の31の比較のうち、5の比較で抗うつ薬は「有効でない」、26の比較では「結論に至らない」であった。 安全性および忍容性のデータのほとんどは不明確だった。SNRIは、化学療法による疼痛、背部痛、坐骨神経痛、変形性関節症の患者において、あらゆる有害事象のリスクを増加させたが、術後疼痛や緊張型頭痛では、そのようなことはなかった。 また、背部痛、坐骨神経痛、変形性関節症、機能性ディスペプシア、神経障害性疼痛、線維筋痛症のレビューでは、SNRIはプラセボより忍容性が低かった。 著者は、「これらの知見は、痛みに対して抗うつ薬を処方する際には、より微妙なアプローチが必要であることを示唆する」としている。

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がんと共に生きる人々を支えるために、医師ができること/武田

 がん治療の進歩は目覚ましく、新たな治療法が続々と登場している。しかし、がん患者の精神・心理的苦痛に対する支援はどうだろうか。がん患者が抱える課題と、それに対する取り組みについての理解を深めることを目的に、武田薬品工業は「がんになっても“誰一人取り残されない社会”を作るために」をテーマとして、2023年1月27日にメディアセミナーを開催した。 セミナーの前半では、大西 秀樹氏(埼玉医科大学国際医療センター 精神腫瘍科 診療部長・教授)が「がん患者さん・ご家族の心理社会的支援の必要性」をテーマに、心理支援の重要性を語った。後半では、坂本 はと恵氏(国立がん研究センター東病院 サポーティブケアセンター 副サポーティブケアセンター長)が「がん相談支援センターの役割と現状」をテーマに、がん相談支援センターの具体的な業務内容を紹介し、医療者・患者への周知の重要性を述べた。セミナーの座長は、悪性リンパ腫の罹患経験を有する天野 慎介氏(一般社団法人全国がん患者団体連合会 理事長)が務めた。がん患者の約半数は精神科診断がつく 病気には固有のイメージがある。がんであれば「死」だという。大西氏は「がんの診断は患者の大きなストレスとなり、約5割に精神科診断がつく。このことを確実に知っておいていただきたい。それは、精神科疾患のうち、うつ病は薬物治療により改善することが多く、適応障害であれば、医療者が関わることで改善することが多いからである」と話した。精神症状は、治療にも影響を及ぼす。乳がん患者では、抑うつがない患者の92.2%が術後化学療法を受けたのに対し、抑うつがあるとその割合は51.3%にとどまったと報告されている1)。また、自殺も懸念される。本邦の調査では、がんと診断後1年以内の自殺のリスクが23.9倍と報告されているのである2)。 それでは、がん患者のうつ病はどのように見つけたらよいのだろうか。大西氏は「たとえば、がん患者が倦怠感や食欲不振を訴えたとき、副作用やがんの進行を疑うだろう。しかし、もう少し質問してみると、『眠れない』『気分が滅入る』『意欲が低下する』と訴えることがあり、うつ病が判明する場合もある」と具体例を示した。加えて、「うつ病が判明した患者にうつ病治療を行うと、副作用やがんの進行が原因と考えていた倦怠感や食欲不振などの身体症状も改善することがある」と述べた。 がん患者の家族のケアも忘れてはいけない。がん患者の家族にも抑うつが多くみられ、身体面(不眠、せん妄、心疾患など)や社会面(失業、貯蓄減少など)にも影響が出るという。したがって「腫瘍精神科やがん相談支援センターは、がん患者の家族も利用できることを周知してほしい」と述べた。がん相談支援センターの積極的な活用を がん相談支援センターは、全国453施設に設置され、がんの疑いから旅立ちまで、具体的には「治療場所の選択」「治療選択の迷い」「住居、食べ物、日常生活や移動手段などのニーズ」「子供の世話」「雇用や学校の問題」「医療費負担」「残される家族の生活の再設計」など、さまざまな相談に応じている。坂本氏は「がん相談支援センターは、一人ひとりの『希望』に橋をかけることのお手伝いをしたいという思いで支援を行っている」と話した。 しかし、がん相談支援センターの認知には課題があるという。平成30年度の患者体験調査3)では、がん相談支援センター自体の認知率は66.4%にのぼったものの、「がん相談支援センターを知っている」と回答した人のうち、「利用したことがある」と回答した割合は14.4%にとどまった。また、利用しなかった人のうち、15.9%が「何を相談する場所かわからなかった」「プライバシーの観点から利用しにくかった」という理由で利用しなかったという。したがって、「がん相談支援センターはどのような機能を持っている場所なのか、医療者に理解いただき、患者へ伝えていただくことが重要である」と強調した。 坂本氏は、“ひとりもとりこぼすことなく”の実現のためには、「がん患者がどのような困難に直面しているのかを聞いたうえで、日々の臨床に生かすことが重要」とまとめ、「オンラインも活用しながら、多施設連携、社会協働で“知らなかったが故の不利益”を減らしたい」と語った。

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ペムブロリズマブ+化学療法による胆道がん1次治療、生存期間を延長(KEYNOTE-966)/Merck

 2023年1月25日、Merck社は、第III相KEYNOTE-966試験の最終解析結果を公表。ペムブロリズマブと標準化学療法(ゲムシタビンおよびシスプラチン)の併用は、進行または切除不能な胆道がんの1次治療において全生存期間(OS)を統計学的に有意に改善した。また、同試験におけるペムブロリズマブの安全性プロファイルは、これまでの試験の結果と一貫していた。 この結果については、今後さまざまな腫瘍関連学会で発表するとともに、各国の規制当局へ承認申請する予定。 KEYNOTE-966試験は、進行または切除不能な胆道がんの1次治療としてペムブロリズマブ+ゲムシタビン・シスプラチン併用を、プラセボ+ゲムシタビン・シスプラチン併用と比較する無作為化二重盲検第III相試験である。主要評価項目はOSで、副次評価項目は無増悪生存期間、客観的奏効率、奏効期間、安全性などであった。 胆道がんは肝臓がんの15%を占め、毎年21万1,000例が世界で新たに胆道がんと診断され、17万4,000例が死亡すると推定されている。胆道がんの予後は非常に不良で、5年生存率は5〜15%と報告されている。

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toripalimabのNSCLC周術期治療が主要評価項目を達成/Junshi Biosciences

 Junshi Biosciences社は、2023年1月18日、抗PD-1抗体toripalimabによる非小細胞肺がん(NSCLC)の周術期治療が、第III相試験Neotorchの中間解析で主要評価項目を達成したと発表した。 Neotorch試験は、肺がんの術前・術後補助療法において、プラチナダブレット化学療法単独と、toripalimab+プラチナダブレット化学療法の有効性と安全性を比較する無作為化二重盲検プラセボ対照第III相研究。 中間解析の結果、NSCLCへのtoripalimab+化学療法の手術前後の補助療法とtoripalimab単剤の地固め療法の組み合わせは、化学療法単独と比較して無病生存期間(EFS)を有意に延長する可能性を示した。toripalimabの安全性データは既知のリスクと一致しており、新たな安全性シグナルは確認されていない。 世界保健機関の発表によると、2020年、中国における肺がんの新たな発症は 81万6,000例で、がん全体の17.9%を占める。また、肺がんによる死亡者は71万5,000例で、全がん死亡者の23.8%を占めた。

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がん診断後の急速な身体機能低下はいつまで続く?

 高齢がん患者の身体機能の推移をがん診断の前後10年にわたって調査したところ、がん患者の身体機能はがん診断後に加速度的に低下し、5年後であっても非がん患者のコントロール群と比べて低いままであることが、Elizabeth M. Cespedes Feliciano氏らによって明らかになった。JAMA Oncology誌オンライン版2023年1月19日号掲載の報告。 これまで、非がん患者と比較して、がん患者のがん部位や進行度、治療が身体機能へ与える長期的な影響を調べた研究はなかった。そこで研究グループは、がん診断の前後10年間の身体機能を調査するために前向きコホート研究を実施した。 研究には、一般閉経後女性を対象とした臨床試験である「The Women's Health Initiative」から9,203例のがん患者(乳がん5,989例、大腸がん1,352例、子宮体がん960例、肺がん902例)と年齢でマッチさせた非がん患者(コントロール群)4万5,358例が組み込まれた。参加者は1993~98年に登録され、2020年12月まで追跡された。がん診断時と1年後のRAND-36項目健康調査(0~100、点数が高いほど身体機能が良好)による身体機能を線形混合モデルを用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・がん患者群のがん診断時の平均年齢は73.0歳(±7.6歳)であった。・臨床進行度が限局のがん患者の身体機能の低下は、がん診断前はコントロール群と同程度であったが、がん診断後はコントロール群と比較して加速度的に低下し、RAND-36項目健康調査のスコアは年1~2ポイント低下した。・がん診断の翌年の身体機能の低下は、臨床進行度が領域浸潤のがん患者で最も顕著であった(限局の乳がん患者−2.8ポイント/年[95%信頼区間[CI]:−3.4~−2.3]vs.領域浸潤の乳がん患者−5.3ポイント/年[同:−6.4~−4.3])。・また、全身療法を受けている患者でも身体機能の低下が顕著であった(何らかの化学療法を受けている限局の子宮体がん患者−7.9ポイント[95%CI:−12.2~−3.6]vs.放射線療法単独の限局の子宮内膜がん患者−3.1ポイント[同:−6.0~−0.3])。・がん患者の身体機能の低下は診断後の追跡後期に緩徐になったが、5年後であってもコントロール群の身体機能を大幅に下回っていた。 これらの結果から、研究グループは「本前向きコホート研究において、がん患者群ではがん診断後に加速度的に身体機能が低下し、数年後であってもコントロール群よりも低かった。がん患者には身体機能を維持するための支持的介入が有用である可能性がある」とまとめた。

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tTMBがPD-L1陽性NSCLCに対するペムブロリズマブ単剤の治療効果を予測(KEYNOTE-042)/Ann Oncol

 ペムブロリズマブ単剤は、PD-L1陽性(TPS≧1%)の進行・再発の非小細胞肺がん(NSCLC)に対する、1次治療に用いられている。中国・香港中文大学のT. S. K. Mok氏らは、ペムブロリズマブ単剤の化学療法に対する治療効果を予測するバイオマーカーの探索を行った。その結果、腫瘍組織の遺伝子変異量(tTMB)が1エクソームあたり175個以上(tTMB≧175mut/exome)の集団において、ペムブロリズマブ単剤は化学療法と比べて、全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)を改善したが、tTMB<175mut/exomeではいずれも改善しなかった。Annals of Oncology誌オンライン版2023年1月25日掲載の報告。 EGFR遺伝子変異陰性、ALK融合遺伝子陰性かつPD-L1陽性(TPS≧1%)の進行・再発のNSCLC患者を対象に、1次治療としてペムブロリズマブ単剤または化学療法による治療を行ったKEYNOTE-042試験の後ろ向き解析。ペムブロリズマブ単剤による治療効果の予測における、tTMB、STK11、KEAP1、KRAS遺伝子変異の有用性を検討した。 主な結果は以下のとおり。・対象患者793例中、tTMB≧175mut/exomeが43.5%(345例)、tTMB<175mut/exomeが56.5%(448例)であった。・PD-L1の発現状況とtTMBには関連が認められなかった。・tTMBの値は、ペムブロリズマブ単剤群でOS、PFSの改善と関連していた(片側検定のp<0.001、Wald検定)。一方、化学療法群では、関連が認められなかった。・tTMB≧175mut/exomeの集団では、ペムブロリズマブ単剤群は化学療法群と比べて、OSとPFSが改善した(OSのハザード比[HR]:0.62、95%信頼区間[CI]:0.48~0.80、PFSのHR:0.75、95%CI:0.59~0.95)。・一方、tTMB<175mut/exomeの集団では、ペムブロリズマブ単剤群は化学療法群と比べて、OSとPFSが改善しなかった(OSのHR:1.09、95%CI:0.88~1.36、PFSのHR:1.27、95%CI:1.04~1.55)。・STK11、KEAP1、KRAS変異の有無にかかわらず、ペムブロリズマブ単剤群は化学療法群と比べて、OSを改善した。

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