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ICI関連心筋炎の発見・治療・管理に腫瘍循環器医の協力を/腫瘍循環器学会

 頻度は低いが、発現すれば重篤な状態になりえる免疫チェックポイント阻害薬(ICI)による免疫関連有害事象としての心筋炎(irAE心筋炎)。大阪大学の吉波 哲大氏が第7回日本腫瘍循環器学会学術集会でirAE心筋炎における問題点を挙げ、腫瘍循環器医の協力を呼びかけた。致死率20%を超えるirAE心筋炎 ICIは今や固形がんの治療に必須の薬剤となった。一方、ICIの適用拡大と共に免疫関連有害事象(irAE)の発症リスクも増加する。心臓に関連するirAEは心筋炎、非炎症性左室機能不全、心外膜炎、伝導障害など多岐にわたる。その中でもirAE心筋炎は、発現すると一両日中に、心不全、コントロール困難な不整脈を併発し、致死的な状況に追い込まれることもある1)。 irAE心筋炎はICIにより活性化したT細胞が心筋に浸潤し、心筋を傷害するために起こるとされる。irAE心筋炎の発現は1%前後であるが2)、死亡率は20%を超え、通常の心筋炎をはるかに上回る3)。とくに女性(調整オッズ比[aOR]:0.44、95%信頼区間[CI]:0.38〜0.51、p<0.01)、75歳以上(aOR:0.19、95%CI:0.14〜0.28、p<0.01)、ICI同士の併用(aOR:1.93、95%CI:1.19〜3.12、p=0.08)ではリスクが高い2)。irAE心筋炎の頻度は低いものの、ICIの適応拡大とともに遭遇機会は増えていると考えられる。irAE心筋炎発現時期はICI開始後30日程度(日本のデータでは18〜28日、米国のデータでは中央値34日)と報告されている4、5)。定期モニタリングとステロイドによる治療が原則 わが国のOnco-CardiologyガイドラインではirAE心筋炎スクリーニングに、心電図、トロポニンT、NT-pro BNP、NLR(好中球・リンパ球比)、CRPのモニタリングが有効な可能性を挙げている(FRQ6-1)。吉波氏も、月1回程度行うICIの定期モニタリング時にトロポニンT、NT-pro BNPなどの検査(リスクがあれば心電図)をすべきと提案する。また、irAE心筋炎に対するステロイド治療については、使用すべき種類・投与経路・用量は定まっていないものの、有用な可能性があるとしている(BQ6-2)。irAE心筋炎を管理してICI治療を実施するために腫瘍循環器医の協力を ICIのがん治療に対する影響は大きく、もはや固形がんでは必須の薬剤だ。ペムブロリズマブは周術期化学療法に併用することでトリプルネガティブ乳がんの再発リスクを37%低下させ6)、アテゾリズマブは化学療法に併用することでStageIVもしくは再発非小細胞肺がんの12ヵ月無増悪生存割合を約2倍にする7)。 「治りたい、長生きしたい」という患者の希望を実現するために、腫瘍診療医はirAE心筋炎を危惧しながらもICIを使っている。「irAE心筋炎の発見・治療・管理にぜひとも腫瘍循環器医の協力をお願いしたい」と吉波氏は訴える。■参考1)三浦理. 新潟がんセンター病院医誌. 2024;62:45-48.2)Zamami Y, et al. JAMA Oncol. 2019;5:1635-1637.3)Wang DY, et al. JAMA Oncol. 2018;4:1721-1728.4)Mahmood SS, et al. J Am Coll Cardiol. 2018;71:1755-1764.5)Hasegawa S, et al. Pharmacoepidemiol Drug Saf. 2020;29:1279-1294.6)Schmid P, et al. N Engl J Med. 2022;386:556-567.7)Socinski MA, et al. N Engl J Med. 2018;378:2288-2301.

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Guardant360CDx、EGFR exon20挿入変異肺がんに対するamivantamab+化学療法のコンパニオン診断として承認/ガーダントヘルス

 ガーダントヘルスジャパンは2024年8月26日、リキッドバイオプシー検査Guardant360 CDx がん遺伝子パネル(Guardant360 CDx)について、Johnson&Johnson(法人名:ヤンセンファーマ)が申請中の「EGFR遺伝子エクソン20挿入変異を有する手術不能又は再発非小細胞肺癌(NSCLC)」に対するamivantamabと化学療法の併用療法に関するコンパニオン診断として承認を取得したと発表。 肺がんは世界において罹患率や死亡率が高いがんの1つであり、NSCLCは全肺がんの約80〜85%を占めている。日本を含む東アジアにおける実臨床データのレトロスペクティブ解析では、NSCLC患者から約2.4%のEGFR遺伝子エクソン20挿入変異がGuardant360 CDxによって検出されている。 Guardant360 CDxは、2022年3月に承認された進行固形がん患者を対象とする包括的がん遺伝子パネル検査である。74のがん関連遺伝子を一度に調べると同時に、国内で承認された複数のがん治療薬に対するコンパニオン診断機能を併せ持つ。 Guardant360 CDx は下記のコンパニオン診断として承認されている。・KRAS G12C:(非小細胞肺がん)ソトラシブ・HER2 変異:(非小細胞肺がん)トラスツズマブ デルクステカン・EGFRエクソン20挿入変異:(非小細胞肺がん)amivantamab・BRAF V600E変異:(結腸・直腸がん)エンコラフェニブ、ビニメチニブおよびセツキシマブ・BRAF V600E変異:(結腸・直腸がん)エンコラフェニブおよびセツキシマブ・HER2コピー数異常:(結腸・直腸がん)トラスツズマブおよびペルツズマブ・KRAS/NRAS野生型:(結腸・直腸がん)セツキシマブ、パニツムマブ・MSI-High:(結腸・直腸がん)ニボルマブ・MSI-High:(固形がん)ペムブロリズマブ■関連記事フェスゴ配合皮下注発売でHER2陽性乳がん・大腸がんへの投与時間短縮に期待/中外

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ペムブロリズマブ、非小細胞肺がん術前・術後補助療法に承認/MSD

 MSDは2024年8月28日、抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)について、非小細胞肺がん(NSCLC)における術前・術後補助療法の国内製造販売承認事項一部変更の承認を取得したと発表。 今回の承認は、臨床病期II、IIIAまたはIIIB(T3-4N2、UICC/AJCC 第8版)の周術期NSCLC患者797例(日本人82例を含む)を対象とした、国際共同第III相試験であるKEYNOTE-671試験の結果に基づいている。同試験において、ペムブロリズマブ・化学療法併用による術前療法とペムブロリズマブ術後療法の組み合わせは、化学療法による術前補助療法とプラセボの術後療法の組み合わせと比較して、全生存期間(OS)および無イベント生存期間(EFS)を有意に延長した(OS HR:0.72、95%信頼区間[CI]:0.56~0.93、p=0.00517、EFS HR:0.58、95%CI:0.46~0.72、p<0.001)1)。 安全性解析対象例396例中383例(96.7%)(日本人39例含む)に副作用が認められた。主な副作用(20%以上)は、悪心216例(54.5%)、好中球数減少169例(42.7%)、貧血143例(36.1%)、白血球数減少111例(28.0%)、疲労108例(27.3%)、便秘107例(27.0%)および食欲減退92例(23.2%)であった。

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EGFR陽性NSCLCへのオシメルチニブ、RECIST PDで中止すべき?(REIWA)

 EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)治療では、オシメルチニブが広く用いられているが、RECISTに基づく病勢進行(RECIST PD)後の臨床経過や治療実態は明らかになっていない。そこで、1次治療としてオシメルチニブを用いたEGFR遺伝子変異陽性患者を前向きに追跡する多施設共同観察研究(REIWA)が実施された。本研究において、オシメルチニブは実臨床においても既報の臨床試験と同様の有効性がみられたが、臨床的に安定した患者ではRECIST PD後にオシメルチニブを継続した場合、中止した場合と比べてRECIST PD後の全生存期間(OS)が短かった。本研究結果は、渡邊 景明氏(都立駒込病院)らによって、JTO Clinical and Research Reports誌2024年8月23日号で報告された。 本研究は、2018年9月~2020年8月の期間に1次治療として、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬による治療を受けたEGFR遺伝子変異陽性NSCLC患者660例のうち、オシメルチニブによる治療を受けた583例を対象とした。対象患者をRECIST PD時の病勢進行の部位(中枢神経のみ、オリゴ転移、複数臓器)、症状・全身状態(無症状、有症状かつ臨床的増悪なし、臨床的増悪あり)で分類し、臨床経過および治療実態を検討した。また、RECIST PD後にオシメルチニブを継続した患者(継続群)と中止した患者(中止群)を比較した。 主な結果は以下のとおり。・対象患者583例におけるOS中央値は41.0ヵ月、無増悪生存期間(PFS)中央値は20.0ヵ月であった。・EGFR遺伝子変異別にみたOS中央値は、exon19欠失変異群が44.2ヵ月、exon21 L858R変異群が36.1ヵ月であり、exon19欠失変異群が有意に長かった(ハザード比[HR]:0.63、95%信頼区間[CI]:0.48~0.81、p=0.0004)。PFS中央値は、それぞれ23.5ヵ月、16.9ヵ月であり、exon19欠失変異群が有意に長かった(同:0.68、0.56~0.84、p=0.0002)。・RECICT PDは344例に認められ、部位別にみると中枢神経のみが37例(10.8%)、オリゴ転移が156例(45.4%)、複数臓器が151例(43.9%)であった。症状・全身状態別にみると無症状が195例(56.7%)、有症状かつ臨床的増悪なしが73例(21.2%)、臨床的増悪ありが76例(22.1%)であった。・RECIST PD後もオシメルチニブを継続したのは163例(47.4%)であった。・臨床的増悪のない集団(247例)を対象として、RECIST PD後のオシメルチニブ継続の有無別にみた場合のRECIST PD後のOS中央値は、継続群が13.2ヵ月、中止群が24.0ヵ月であり、継続群は中止群と比べて有意にRECIST PD後のOSが短かった(HR:2.01、95%CI:1.38〜2.91、p=0.0002)。・2次治療として化学療法による治療を実施した患者は、継続群が63例(38.7%)、中止群が114例(63.3%)であった。

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アレクチニブ、ALK陽性非小細胞肺がんの術後補助療法に承認/中外

 中外製薬は2024年8月28日、ALK阻害薬アレクチニブ(商品名:アレセンサ)について、「ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌における術後補助療法」に対する適応追加承認を取得したと発表。 今回の承認はIB期(腫瘍径4cm以上)~IIIA期(UICC/AJCC 第7版)のALK陽性完全切除非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象に実施されたグローバル第III相臨床試験であるALINA試験の成績に基づいている。同試験において、アレクチニブはプラチナベースの化学療法と比較して、対象患者の再発または死亡リスクを76%低下させた(ハザード比:0.24、95%信頼区間:0.13〜0.43、p<0.0001)1)。また、アレクチニブの安全性および忍容性は、転移のあるALK陽性NSCLCを対象とした過去の試験と同様であり、新たな所見は認められなかった。 なお、同療法において化学療法の併用は義務付けられておらず、アレクチニブの用量は600mg×2/日、投与期間は24ヵ月までとされている。電子化添付文書情報 ※下線部について変更・追加販売名:アレセンサ カプセル150mg一般名:アレクチニブ塩酸塩カプセル効能又は効果:ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌における術後補助療法用法及び用量:〈ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌における術後補助療法〉通常、成人にはアレクチニブとして1回600mgを1日2回、食後に経口投与する。ただし、投与期間は24ヵ月間までとする。なお、患者の状態により適宜減量する。

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第229回 てんかん薬スチリペントールががん治療に役立ちそう

てんかん薬スチリペントールががん治療に役立ちそうがん細胞はエネルギーを生成するのに無酸素での糖分解を好んで利用します。それゆえがん細胞は無酸素解糖系(anaerobic glycolysis)というその反応の最終産物である乳酸を溜め込みます。がん細胞が化学療法を寄せ付けなくすること(化学療法耐性)をその乳酸が後押しすることを示した英国Institute of Cancer Research(ICR)の成果が先月7月初めにNature誌に掲載されました1)。放射線やほとんどの化学療法薬はDNA損傷を引き起こすことで細胞を死なせます。がん細胞が生き残って増えるには損傷DNAを素早く修復しなければなりません。2-ヒドロキシグルタル酸、フマル酸、コハク酸などの代謝産物の蓄積がDNA修復を阻止してゲノム不安定性を促すことがわかっています。一方、がんの生存を促しうるDNA修復を促進する代謝産物はほとんど知られていません。いまだほとんど未踏のDNA修復促進代謝産物を探ることでがんの新たな泣き所が見つかるかもしれません。そう考えたICRの研究者らは手始めに白金化学療法耐性(治療抵抗性)の15例を含む胃がん患者24例の手術後のがん検体の解析に取り組みました。締めて2,347種類のタンパク質を定量して327の代謝産物が同定され、治療抵抗性のがんでは解糖系の一員である乳酸デヒドロゲナーゼA(LDHA)が多く発現していました。また、LDHAによって生成される乳酸もより豊富でした。乳酸が化学療法耐性に寄与しているなら、乳酸を減らすことでがんの化学療法耐性を解消できそうです。その予想は正しく、乳酸生成を減らすLDHA阻害薬スチリペントールが化学療法や放射線治療(照射)を後押しすることがマウス実験で示されました。化学療法耐性の胃がんマウスに化学療法薬シスプラチンか照射と共にスチリペントールを投与したところ腫瘍が縮小して生存が延長しました。乳酸はタンパク質のアミノ酸・リシンの乳酸化に携わることが先立つ研究で示されています。今回の研究によると乳酸はDNA修復に携わる蛋白質NBS1のアミノ酸配列388番目のリシン(K388)の乳酸化によってDNA修復を助けます。NBS1は他の2つのタンパク質・MRE11とRAD50と複合体を形成し、DNA二本鎖切断を感知してDNA修復経路活性化することに与します。NBS1 K388乳酸化はその複合体・MRE11-RAD50-NBS1(MRN)の形成やDNA二本鎖切断部位での相同組換え修復タンパク質の蓄積に不可欠なことが今回の研究で示唆されました。LDHAやNBS1 K388乳酸化を頼りとするのは胃がんに限ったことではないようです。がんと正常組織の遺伝子発現のデータベースGene Expression Profiling Interactive Analysis(GEPIA)を調べたところ、LDHAの発現は胃がんを初め膵がん、肺がん、卵巣がんで有意に上昇していました。続く胃がん患者94例の検討で、LDHAやNBS1 K388乳酸化が盛んなことは実際により有害らしいと示唆されました。検体を解析したところ、LDHAが多いほどNBS1 K388はより乳酸化されており、LDHAやNBS1 K388乳酸化がより多い患者は少ない患者に比べてだいぶ短命でした。今回の結果を受け、治療抵抗性胃がん患者への化学療法の効果がスチリペントールで復活するかどうかを調べる臨床試験が早くも発足しています。スチリペントールはてんかんの治療に長く使われており、ヒトでもマウスと同様の効果があるならがん治療としての利用がより早く実現しそう、と著者の1人Axel Behrens氏は言っています2)。参考1)Chen H, et al. Nature. 2024;631:663-669.2)Epilepsy drug could keep chemotherapy for stomach cancer working for longer / Institute of Cancer Research

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肺がん患者、肥満でICIの効果が減少する可能性

 がんと肥満を併存している患者は正常体重の患者に比べて予後が不良であるとされているが、一部のデータでは体格指数(BMI)が高い場合のほうが、治療後の全生存率がより良好であるとの報告もあり、これは「肥満パラドックス」とされている。大阪公立大学・井原 康貴氏らは、進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象に、BMIが免疫療法または化学療法後の全生存率(OS率)に関連するかを調査した。JAMA Network Open誌2024年8月1日号掲載の報告。 研究チームは2015年12月1日~2023年1月31日、日本の急性期病院のレセプトデータを用いた後ろ向きコホート研究を実施した。参加者は新規診断を受けた成人の進行NSCLC患者であり、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)治療または従来の化学療法を受けた。分子標的薬(TKI)治療や化学放射線療法を受けた患者は除外された。主要評価項目はOS率、解析は初回治療後3年の追跡期間を対象とした。BMI 18.5未満を低体重、18.5~24.9を標準体重、25.0~29.9を過体重、30以上を肥満と定義した。 主な結果は以下のとおり。・計3万1,257例が同定された。うち1万2,816例(平均年齢:70.2[SD 9.1]歳、男性1万287例[80.3%]、平均BMI:21.9[SD 3.5])がICI治療、1万8,441例(70.2[8.9]歳、男性1万4,139例[76.7%]、平均BMI:22.1[3.5])が化学療法を受けた。・初回治療から3年以内に死亡した患者の割合は、ICI治療群は28.0%(3,586/1万2,816例)、化学療法群は35.9%(6,627/1万8,441例)と化学療法群のほうが高かった。・BMIが28未満では、ICI治療群は化学療法群と比較して死亡のハザードが有意に低かった(BMI 24のハザード比[HR]:0.81、95%信頼区間[CI]:0.75~0.87)。しかし、BMI 28以上の患者ではこの関連は認められなかった(BMI 28のHR:0.90、95%CI:0.81~1.00)。・ICI治療群では、BMIが15~24まではBMIの増加につれて死亡率が減少したが、24を超えるとリスクは増加し、BMIと死亡率のあいだにU字型の関連が認められた。・一方で、全体としては、低体重と比較して、過体重または肥満のほうが死亡リスクは低かった。 著者らは、「本研究の結果として、過体重または肥満の患者においては、ICI治療は化学療法と比較して生存率の改善と関連していなかった。本研究の結果は、過体重または肥満の患者において、ICI治療が最適な初回療法ではない可能性を示唆している。そのような患者では従来の化学療法の使用も考慮すべきである」としている。

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日本人の子宮頸がんに対するペムブロリズマブ+同時化学放射線療法(KEYNOTE-A18)/日本婦人科腫瘍学会

 局所進行子宮頸がん(LACC)に対する同時化学放射線療法(CCRT)へのペムブロリズマブの上乗せは、日本人患者においてもグローバルと同様に無増悪生存期間(PFS)の改善傾向を示した。 1999年以降、LACCの標準治療は、化学療法と外部照射放射線治療(EBRT)の併用とその後の小線源療法へと続くCCRTである。現在、CCRTの効果をさらに高めるために免疫チェックポイント阻害薬の上乗せが検討されている。 KEYNOTE-A18試験(ENGOT-cx11/GOG-3047)は未治療の高リスクLACCにおいてペムブロリズマブ+CCRTとCCRT単独を比較した第III相試験である。グローバル集団の初回解析の結果ではCCRT単独に比べ、ペムブロリズマブ+CCRTがPFSを有意に改善している(ハザード比[HR]:0.70、95%信頼区間[CI]:0.55〜0.89、p=0.002)1)。第66回日本婦人科腫瘍学会学術講演会では、愛知県がんセンターの鈴木 史朗氏が同試験の日本人サブセットの結果を発表した。対象:FIGO2014 Stage IB2〜IIB(リンパ節転移陽性)またはStage III〜IVAの子宮頸がん(リンパ節転移問わず)試験薬群:CDDP(40mg/m2)毎週 5サイクル+EBRT+小線源療法+ペムブロリズマブ(200mg)3週ごと 5サイクル→ペムブロリズマブ(400mg)6週ごと 15サイクル(ペムブロリズマブ群)対照群:CDDP(40mg/m2)毎週 5サイクル+EBRT+小線源療法+プラセボ 3週ごと 5サイクル→プラセボ6週ごと 15サイクル(プラセボ群)評価盲目:[主要評価項目]治験責任医師・治験分担医師評価のPFSまたは全生存期間(OS)[副次評価項目]24ヵ月PFS、全奏効率、患者報告アウトカム、安全性 主な結果は以下のとおり。・グローバル1,060例中、日本人サブセットは90例(ペムブロリズマブ群42例、プラセボ群48例)であった。・日本人サブセットのPFS中央値は両群とも未到達(HR:0.60、95%CI:0.24〜1.52)、12ヵ月PFS率はペムブロリズマブ群81.8%、プラセボ群71.8%、24ヵ月PFS率はそれぞれ71.6%と評価不能であった。・Grade3以上の治療関連有害事象(TRAE)はペムブロリズマブ群の85.4%、プラセボ群の81.3%に発現した。治療関連死はみられなかった。・ペムブロリズマブ群で頻度の高いTRAEは下痢(80.5%)、悪心(80.5%)、好中球減少(63.4%)、貧血(61.0%)など。ペムブロリズマブ群で頻度の高い免疫関連有害事象は甲状腺機能低下(17.1%)、甲状腺機能亢進(9.8%)などであった。 KEYNOTE-A18試験における日本人サブセットの知見から、ペムブロリズマブ+CCRTは日本人の高リスクLACCに対する治療選択肢となり得るのではないか、と鈴木氏は述べた。

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乳がん関連リンパ浮腫、日常生活の中のリスク因子

 乳がん治療後のリンパ浮腫を防ぐために、患者には日常生活における感染や外傷などのリスクを避けることが推奨されている。一方で日常生活の中のリスク因子が乳がん関連リンパ浮腫に及ぼす影響を検討したデータは不足している。米国・ミズーリ大学カンザスシティ校のMei Rosemary Fu氏らは、日常生活におけるリスクの発生状況および乳がん関連リンパ浮腫への影響を調べることを目的とした横断研究を実施し、結果をAnnals of Surgical Oncology誌オンライン版2024年8月1日号に報告した。 本研究は、米国都市部のがんセンターで登録の3ヵ月以上前に急性期治療(手術、放射線治療、化学療法)を完了しており、転移、再発、またはリンパ系疾患の既往のない21歳以上の女性を対象に実施された。リンパ浮腫リスク軽減行動チェックリスト(The Lymphedema Risk-Reduction Behavior Checklist)を用いて、日常生活における11のリスク因子(感染症、切り傷/引っかき傷、日焼け、油はねまたは蒸気による火傷、虫刺され、ペットによる引っかき傷、爪のキューティクルのカット、重い荷物の運搬/持ち上げ、ショルダーバッグの持ち運び、食料品の持ち運び、ウェイトリフティング)の発生状況を評価。乳がん関連リンパ浮腫への影響を明らかにするために、記述分析、回帰分析、および因子分析を実施した。 主な結果は以下のとおり。・567例のデータが収集・解析され、23.46%が乳がん関連リンパ浮腫と診断された。全体の52.73%は5つ超のリスク因子を経験していた。・感染症(オッズ比[OR]:2.58、95%信頼区間[CI]:1.95~3.42)、切り傷/引っかき傷(2.65、1.97~3.56)、日焼け(1.89、1.39~3.56)、油はねまたは蒸気による火傷(2.08、1.53~3.83)、虫刺され(1.59、1.18~2.13)は乳がん関連リンパ浮腫と有意に関連していた。・日常生活におけるリスク因子は、皮膚外傷と物の持ち運びに関連する要因に集約され、皮膚外傷リスクは乳がん関連リンパ浮腫と有意に関連していた(B=0.539、z=3.926、OR:1.714、95%CI:1.312~2.250、p<0.001)。・皮膚外傷リスクが3つ、4つ、または5つある場合、乳がん関連リンパ浮腫の発症オッズはそれぞれ4.31倍、5.14倍、6.94倍に大幅に増加した。・物の持ち運び関連のリスクは、乳がん関連リンパ浮腫の発症に有意な影響も増分的な影響も与えていなかった。 著者らは、52.73%の人が5つを超えるリスク因子を経験していることを考慮すると、これらのリスクを完全に回避するのは難しいとし、“乳がん関連リンパ浮腫の日常生活リスクを最小限に抑えるための戦略”として、「日焼けを防ぐために日焼け止め(SPF30以上)を塗るか、長袖の服を着ましょう」「発疹、水疱、赤み、腕の熱感の増加、痛みなどに気づいた場合は、すぐに医師に相談しましょう」など16項目を提示している。

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原発不明がん、包括的ゲノム解析に基づく個別化治療が有望/Lancet

 未治療の非扁平上皮性の非良性原発不明がん(cancer of unknown primary:CUP)で、導入化学療法後に病勢コントロールが得られた患者においては、プラチナ製剤ベースの標準的な化学療法と比較して、分子腫瘍委員会による包括的ゲノム解析(comprehensive genomic profiling:CGP)に基づいて担当医が個別に選択した治療(molecularly guided therapy:MGT)は、無増悪生存期間(PFS)中央値が有意に延長し、客観的奏効率にも良好な傾向がみられることが、German Cancer Research Center(DKFZ)のAlwin Kramer氏らが実施した「CUPISCO試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2024年7月31日号で報告された。34ヵ国の無作為化実薬対照第II相試験 CUPISCO試験は、日本を含む34ヵ国159施設で実施した非盲検無作為化実薬対照第II相試験であり、2018年7月~2022年12月に参加者を募集した(F. Hoffmann-La Rocheの助成を受けた)。 中央判定で病変(腺がん、低分化がん)が確認され、全身状態の指標であるECOG PSが0または1で、プラチナ製剤ベースの標準的な化学療法による1次治療(3サイクル)で病勢コントロール(完全奏効、部分奏効、安定)を達成した患者を対象とした。 被験者を、CGPに基づくMGTを受ける群、または1次治療と同じ化学療法レジメンを少なくとも3サイクル継続する群に、3対1の割合で無作為に割り付けた。 主要評価項目は、ITT集団における担当医判定によるPFS(無作為化の日から病勢進行または全死因死亡のいずれか早い日まで)とした。PFS:MGT群6.1ヵ月vs.化学療法群4.4ヵ月 636例を登録した。追跡期間中央値は24.1ヵ月であった。導入化学療法で病勢コントロールを達成した438例のうち436例を無作為化の対象とし、MGT群に326例(年齢中央値61.0歳[四分位範囲[IQR]:53.0~70.0]、男性51%)、化学療法群に110例(62.5歳[55.0~69.0]、52%)を割り付けた。 PFS中央値は、化学療法群が4.4ヵ月(95%信頼区間[CI]:4.1~5.6)であったのに対し、MGT群は6.1ヵ月(4.7~6.5)と有意に優れた(ハザード比[HR]:0.72、95%CI:0.56~0.92、p=0.0079)。 全生存期間(OS)の中間解析では、OS中央値はMGT群が14.7ヵ月(95%CI:13.3~17.3)、化学療法群は11.0ヵ月(9.7~15.4)だった。 客観的奏効率は、MGT群が18%(95%CI:13.8~22.4)、化学療法群は8%(3.81~15.0)(群間差:9.6%、95%CI:2.4~16.8)であり、奏効期間や病勢コントロール率には差を認めなかった。OSのより長期の追跡が必要 MGT群は、治療中止に至った重篤な有害事象(100人年当たりの発生率:9.2 vs.3.8)と致死的なアウトカムに至った有害事象(5.1 vs.0)を除き、他のすべての有害事象のカテゴリーにおいて化学療法群に比べて発生率が低いか、同程度であった。 著者は、「これらの結果に基づき、非良性CUP患者の初回診断時にはCGPを実施することを推奨する。CGPのための組織生検およびリキッドバイオプシーは、より適切な治療の選択を可能にし、これらの患者におけるpractice-changingな戦略となる可能性があり、今後の発展が期待される」と述べ、「ベネフィット-リスクのプロファイルの評価をさらに進めるためには、OSについてより長期間の追跡調査が必要である」とまとめている。

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忽那氏が振り返る新型コロナ、今後の対策は?/感染症学会・化学療法学会

 2024年8月2日の政府の発表によると、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の定点当たりの報告数は14.6人で、昨夏ピーク時(第9波)の20.5人に迫る勢いで12週連続増加し、とくに10歳未満の感染者数が最も多く、1医療機関当たり2.16人だった。週当たりの新規入院患者数は4,579人で、すでに第9波および第10波のピークを超えている1)。 大阪大学医学部感染制御学の忽那 賢志氏は、これまでのコロナ禍を振り返り、パンデミック時に対応できる医師が不足しているという課題や、患者数増加に伴う医師や看護師のバーンアウトのリスク増加など、今後のパンデミックへの対策について、6月27~29日に開催の第98回日本感染症学会学術講演会 第72回日本化学療法学会総会 合同学会にて発表した。日本ではオミクロン株以前の感染を抑制 忽那氏は、コロナ禍以前の新興感染症の対策について振り返った。コロナ禍以前から政府が想定していた新型インフルエンザ対策は、「不要不急の外出の自粛要請、施設の使用制限等の要請、各事業者における業務縮小等による接触機会の抑制等の感染対策、ワクチンや抗インフルエンザウイルス薬等を含めた医療対応を組み合わせて総合的に行う」というもので、コロナ禍でも基本的に同じ考え方の対策が講じられた。 欧米では、オミクロン株が出現した2021~22年に流行のピークを迎え、その後減少している。オミクロン株拡大前もしくはワクチン接種開始前に多くの死者が出た。一方、日本での流行の特徴として、第1波から第8波まで波を経るごとに感染者数と死亡者数が拡大し、とくにオミクロン株が拡大してからの感染者が増加していることが挙げられる。忽那氏は「オミクロン株拡大までは感染者数を少なく抑えることができ、それまでに初回ワクチン接種を進めることができた。結果として、オミクロン株拡大後は、感染者数は増えたものの、他国と比較して死亡者数を少なくすることができた」と分析した。新型コロナの社会的影響 しかし、他国よりも感染対策の緩和が遅れたことで、新型コロナによる社会的な影響も及んでいる可能性があることについて、忽那氏はいくつかの研究を挙げながら解説した。東京大学の千葉 安佐子氏らの日本における婚姻数の推移に関する研究では、2010~22年において、もともと右肩下がりだった婚姻数が、感染対策で他人との接触が制限されたことにより、2020年の婚姻数が急激に減少したことが示されている2)。また、超過自殺の調査では、新型コロナの影響で社会的に孤立する人の増加や経済的理由のために、想定されていた自殺者数よりも増加していることが示された3)。忽那氏は、「日本は医療の面では新型コロナによる直接的な被害者を抑制することができたが、このようなほかの面では課題が残っているのではないか。医療従事者としては、感染者と死亡者を減らすことが第一に重要だが、より広い視点から今回のパンデミックを振り返り、次に備えて検証していくべきだろう」と述べた。パンデミック時、感染症を診療する医師をどう確保するか コロナ禍では、医療逼迫や医療崩壊という言葉がたびたび繰り返された。政府が2023年に発表した第8次医療計画において、次に新興感染症が起こった時の各都道府県の対応について、医療機関との間に病床確保の協定を結ぶことなどが記載されている。ただし、医療従事者数の確保については欠落していると忽那氏は指摘した。OECDの加盟国における人口1,000人当たりの医師数の割合のデータによると、日本は38ヵ国中33位(2.5人)であり医師の数が少ない4)。また、1994~2020年の医療施設従事医師数の推移データでは、医師全体の数は1.47倍に増えているものの、各診療科別では、内科医は0.99倍でほぼ横ばいであり、新興感染症を実際に診療する内科、呼吸器科、集中治療、救急科といった診療科の医師は増えていない5)。 感染症専門医は2023年12月時点で1,764人であり、次の新興感染症を感染症専門医だけでカバーすることは難しい。また、岡山大学の調査によると、コロナパンデミックを経て、6.1%の医学生が「過去に感染症専門医に興味を持ったことがあるが、調査時点では興味がない」と回答し、3.7%の医学生が「コロナ禍を経て感染症専門医になりたいと思うようになった」、11.0%の医学生が「むしろ感染症専門医にはなりたくない」と回答したという結果となった6)。医療従事者のバーンアウト対策 日本の医師と看護師の燃え尽きに関する調査では、患者数が増えると医師と看護師の燃え尽きも増加することが示されている7)。米国のMedscapeによる2023年の調査では、診療科別で多い順に、救急科、内科、小児科、産婦人科、感染症内科となっており、コロナを診療する科においてとくに燃え尽きる医師の割合が高かった8)。そのため、パンデミック時の医師の燃え尽き症候群に対して、医療機関で対策を行うことも重要だ。忽那氏は、所属の医療機関において、コロナの前線にいる医師に対して精神科医がメンタルケアを定期的に実施していたことが効果的であったことを、自身の経験として挙げた。また、業務負荷がかかり過ぎるとバーンアウトを起こしやすくなるため、診療科の枠を越えて、シフトの調整や業務分散をして個人の負担を減らすなど、スタッフを守る取り組みが大事だという。 忽那氏は最後に、「感染症専門医だけで次のパンデミックをカバーすることはできないので、医師全体の感染症に対する知識の底上げのための啓発や、感染対策のプラクティスを臨床現場で蓄積していくことが必要だ。今後の新型コロナのシナリオとして、基本的には過去の感染者やワクチン接種者が増えているため、感染者や重症者は減っていくだろう。波は徐々に小さくなっていくことが予想される。一方、より重症度が高く、感染力の強い変異株が出現し、感染者が急激に増える場合も考えられる。課題を整理しつつ、次のパンデミックに備えていくことが重要だ」とまとめた。■参考1)内閣感染症危機管理統括庁:新型コロナウイルス感染症 感染動向などについて(2024年8月2日)2)千葉 安佐子ほか. コロナ禍における婚姻と出生. 東京大学BALANCING INFECTION PREVENTION AND ECONOMIC. 2022年12月2日.3)Batista Qほか. コロナ禍における超過自殺. 東京大学BALANCING INFECTION PREVENTION AND ECONOMIC. 2022年9月7日4)清水 麻生. 医療関連データの国際比較-OECD Health Statistics 2021およびOECDレポートより-. 日本医師会総合政策研究機構. 2022年3月24日5)不破雷蔵. 増える糖尿病内科や精神科、減る外科や小児科…日本の医師数の変化をさぐる(2022年公開版)6)Hagiya H, et al. PLoS One. 2022;17:e0267587.7)Morioka S, et al. Front Psychiatry. 2022;13:781796.8)Medscape: 'I Cry but No One Cares': Physician Burnout & Depression Report 2023

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膵管がんの化学療法抵抗性を逆転させ得る方法とは?

 膵臓がんは特に攻撃的で治療が難しいが、その理由の1つは化学療法に抵抗性を示すことが多いからである。しかし、米スタンフォード大学材料工学分野のSarah Heilshorn氏らが、膵臓がんで化学療法抵抗性が生じる理由と、それを逆転させ得る方法に関する研究結果を、「Nature Materials」に7月4日報告した。この研究によると、がん細胞周囲の組織の物理的な硬さが、化学療法の効果を低下させているのだという。Heilshorn氏は、「膵臓がんの大きな臨床的課題は化学療法抵抗性であるが、本研究結果は、それを克服するための今後の薬剤開発の新しい方向性を示唆するものだ」と述べている。 本研究では、膵臓がんの90%を占める浸潤性膵管がん(pancreatic ductal adenocarcinoma;PDAC)に焦点が当てられた。PDACは膵管上皮から発生し、コラーゲン、フィブロネクチン、ヒアルロン酸などを主成分とする細胞外マトリックス(extracellular matrix;ECM)の過剰な産生と硬化を特徴とする。 実際に膵臓で何が起こるのかを解明するために、Heilshorn氏らは研究室でPDACのECMの主要な特徴を再現した硬化したマトリックスを作成し、その中で3人の膵臓がん患者のPDAC細胞に由来するオルガノイド(幹細胞を三次元で培養して得られるミニ臓器)を培養した。Heilshorn氏はこのマトリックスについて、「われわれは、がん細胞がECMの化学的シグナルや機械的性質に反応しているのではないかという考えを検証できるようなデザイナー・マトリックスを作成した」と語っている。 その結果、これらのオルガノイドは、実際の患者のがん細胞と同様に、いくつかの抗がん薬に対して抵抗性を持つようになることが確認された。また、このような抵抗性は、高剛性の環境では、ヒアルロン酸と結合する受容体であるCD44とヒアルロン酸の相互作用が増大し、その結果、抗がん薬を細胞外に排出するトランスポーターが多く作られ、抵抗性が生じることも明らかになった。さらに、オルガノイドの培養環境を高剛性のものから低剛性に変えることで、化学療法に対する抵抗性を逆転させられることも示された。 Heilshorn氏は、「がん細胞を、化学療法に反応しやすい状態に戻すことができることが分かった。このことは、CD44受容体を通じた硬化のシグナル伝達を破壊することができれば、患者の膵臓がんを通常の化学療法で治療できる可能性のあることを示唆している」と述べている。 Heilshorn氏は、「がん細胞が薬物に反応するかどうかは、ECMに依存しているため、化学療法をデザインする際には、患者に関連したECMで培養をテストすべきだ」と話している。 研究グループは、CD44受容体、およびその活性後にがん細胞で生じる一連の出来事についての調査を続けている。また、細胞培養モデルを改良し、化学療法や他のがん治療が特定の患者にどのように作用するのかを予測できるようにすることにも取り組んでいるという。

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日本人の進行・転移胸腺腫、ステロイドが有効か

 何らかの前治療歴を有する局所進行または転移を有する胸腺腫患者において、ステロイドが抗腫瘍効果を示す可能性が示された。新潟大学の田中 知宏氏らがRespiratory Investigation誌2024年7月4日号で報告した。 国立がん研究センターにおいて、2010年1月~2021年3月にステロイド単剤(プレドニゾロンまたはデキサメタゾン)による治療を受けた局所進行または転移を有する胸腺腫患者13例を対象として、後ろ向き研究を実施した。評価項目は、奏効率(ORR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)などとした。 主な結果は以下のとおり。・胸腺腫のWHO分類の内訳はABが3例(23%)、B1が1例(8%)、B2が5例(38%)、B3が4例(31%)であった。・対象患者は、手術、放射線療法、化学療法のうち、少なくとも1つ以上の治療歴があった。・ステロイドの初期用量は、プレドニゾロン換算で0.9mg/kg/日(範囲:0.4~1.1)であった。・ORRは53.8%(7/13例)で、SDは38.5%(5/13例)であった。・奏効までの期間の中央値は21日(範囲:6~88)であった。・PFS中央値は5.7ヵ月(95%信頼区間[CI]:1.5~9.6)であった・OS中央値は25.3ヵ月(95%CI:7.1~推定不能)であった。・WHO分類B3の患者は良好な治療反応を示す傾向にあった(ORR:75%、PFS中央値:10.6ヵ月、OS中央値:45.0ヵ月)。 本研究結果について、著者らは「局所進行または転移を有する胸腺腫患者において、ステロイド単剤が抗腫瘍効果を示した。先行研究において、アントラサイクリンを含む化学療法でのORRは59.0%、カルボプラチン+パクリタキセルでのORRは42.9%、ペメトレキセド単剤でのORRは26.0%であったことが報告されており、ステロイド単剤は化学療法と同等の効果を示すことが示唆される。ステロイドによる治療は、手術や放射線療法、化学療法に失敗した患者にとって、有望な治療選択肢の1つになると考えられる。今後の研究では、最適な初期用量や治療期間の確立が必要である」と考察した。

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MRD陰性寛解BCP-ALLの地固め療法、ブリナツモマブ追加でOS改善/NEJM

 測定可能残存病変(MRD)陰性の寛解を達成した前駆B細胞性急性リンパ芽球性白血病(BCP-ALL)の成人患者に対する化学療法による地固め療法にブリナツモマブ(二重特異性T細胞誘導[BiTE]抗体)を追加すると、地固め化学療法単独と比較して、3年全生存(OS)率を有意に改善し、3年無再発生存(RFS)率も有意に良好であることが、米国・メイヨー・クリニックのMark R. Litzow氏らが実施したE1910試験で示された。研究の成果は、NEJM誌2024年7月25日号に掲載された。ブリナツモマブの上乗せ効果を評価する無作為化第III相試験 E1910試験は、MRD陰性寛解を達成したBCP-ALL成人患者に対する地固め療法におけるブリナツモマブ追加の有効性と安全性の評価を目的とする無作為化第III相試験であり、2013年12月~2019年10月にカナダ、イスラエル、米国の参加施設で患者を登録した(米国国立衛生研究所[NIH]などの助成を受けた)。 年齢30~70歳、BCR::ABL1遺伝子(::は融合を意味する)陰性のBCP-ALLで、導入化学療法および強化化学療法を施行後にMRD陰性の寛解(フローサイトメトリーによる評価で骨髄中の白血病細胞が0.01%未満と定義)を達成した患者を対象とした。 被験者を、地固め化学療法4サイクルに加えブリナツモマブ4サイクルを投与する群、または地固め化学療法4サイクルのみを投与する群に無作為に割り付けた。 主要評価項目はOSとした。副次評価項目はRFSなどであった。3年OS率:85% vs.68%、3年RFS率:80% vs.64% データ安全性監視委員会が3回目の中間解析の結果を審査し、これを報告するよう勧告した。登録した488例のうち、395例(81%)で血球数の完全回復の有無を問わず完全寛解が得られた。このうちMRD陰性を達成した224例(年齢中央値51歳[範囲:30~70]、女性113例[50%])を解析の対象とし、ブリナツモマブ追加群に112例、化学療法単独群に112例を割り付けた。 追跡期間中央値43ヵ月の時点における3年OS率は、化学療法単独群が68%であったのに対し、ブリナツモマブ追加群は85%と有意に優れた(ハザード比[HR]:0.41、95%信頼区間[CI]:0.23~0.73、p=0.002)。また、3年RFS率は、化学療法単独群の64%と比較して、ブリナツモマブ追加群は80%と良好であった(HR:0.53、95%CI:0.32~0.87)。 年齢55歳未満の132例では、3年OS率(95% vs.70%、HR:0.16[95%CI:0.05~0.47])および3年RFS率(87% vs.70%、0.31[0.14~0.69])はいずれもブリナツモマブ追加群で優れ、年齢55歳以上の93例でも、3年OS率(70% vs.65%、0.66[0.33~1.35])および3年RFS率(69% vs.57%、0.74[0.39~1.43])ともブリナツモマブ追加群で良好であった。23%でGrade3以上の神経・精神系有害事象が発現 地固め療法中に発現した治療関連の非血液毒性の割合は、ブリナツモマブ追加群ではGrade3が43%、Grade4が14%、Grade5が2%であり、化学療法単独群ではそれぞれ36%、15%、1%であった(p=0.87)。 Grade3以上の治療関連の神経・精神系有害事象の頻度は、化学療法単独群では5%であったのに対し、ブリナツモマブ追加群では23%と有意に高率だった(p<0.001)。 著者は、「本試験はサブグループ解析のための検出力はなかったが、55歳未満の患者で有益性が高いと考えられた」とし「現在進行中の試験では、新規に診断されたBCR::ABL1陰性の病変を有する高齢患者においてブリナツモマブをより早期に使用する方法などが検討されている」と述べている。

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ニボルマブ承認から10年、がん治療はどう変わったか/小野・BMS

 本邦初の免疫チェックポイント阻害薬(ICI)ニボルマブ。2014年7月4日に製造販売承認を取得してから、早くも10年が経過した。ICIによるがん免疫療法は、どれだけ社会に認知されているのだろうか。また、ICIはがん治療においてどのようなインパクトを与えたのだろうか。小野薬品工業とブリストル・マイヤーズ スクイブは、これらの疑問に答えるべく「免疫チェックポイント阻害薬によるがん免疫療法のいまとこれから」と題し、2024年7月24日にメディアセミナーを実施した。ICIは医師には定着も、患者さんへのさらなる情報発信が必要 小野薬品工業とブリストル・マイヤーズ スクイブは、がん免疫療法に対する医師・患者さんの現状評価を把握することを目的として、がん治療に関わる医師100人とがん患者さん900人を対象にアンケート調査を実施した。本調査の結果について、高井 信治氏(小野薬品工業 メディカルアフェアーズ統括部長)が紹介した。 アンケート調査の結果、医師の90.0%は「ICIはがん治療の選択肢としての地位を築いた」と回答し、ICIによるがん免疫療法が実臨床に定着したことが示された。また、87.0%が「さらなる発展を期待したい治療法である」と回答し、ICIへの期待の高さがうかがわれた。 しかし、ICIによる治療を受けたことがないがん患者さんでは「複数のがん免疫療法を知っている」と回答したのは2.9%、「知っているがん免疫療法がある」と回答したのは9.6%に留まり、「名前を聞いたことがある」と回答した50.6%を含めても、がん免疫療法の認知率は63.0%であった。また、この集団(がん免疫療法を認知しているICI未経験の患者さん)に対し、がん免疫療法について知っていることを聞いたところ、「医学的に効果が認められているがん免疫療法には、抗がん剤治療などとは異なる副作用がある」と回答した割合は26.3%に留まり、免疫関連有害事象(irAE)に関する認知や理解が低いことが示唆された。このことから、がん患者さんや一般生活者の方々への正しいがん免疫療法の認知、理解促進に向けてさらなる情報発信が必要であると考えられた。 がん免疫療法の正しい理解促進に向けて、小野薬品工業では患者さん向けの啓発サイト「ONO ONCOLOGY」の充実を図るほか、ブリストル・マイヤーズ スクイブと共同で、臨床試験結果の論文を平易な言葉で要約する「プレーン・ランゲージ・サマリー」を公表している。【アンケート調査の概要】<調査実施期間>2024年6月21~28日<調査対象>医師:ICI適応がん腫いずれかに関連する診療科で全身化学療法によるがん治療経験のある医師(病床数200床以上)100人患者さん:(1)20~70代のICIによるがん治療を受けたことのある200人、(2)20~70代のICI適応のがん腫ではあるがICIによる治療は受けたことのない700人ICIの登場により患者さんへの説明は大きく変わった 続いて「免疫チェックポイント阻害薬ががん治療に与えたインパクト」というテーマで林 秀敏氏(近畿大学医学部 内科学腫瘍内科部門 主任教授)がICI登場後のがん治療の変化を紹介した。 林氏が専門とする肺がんの場合、ICIの登場前は進行期の患者さんの5年生存率は5%未満であったが、ICIの登場後は20%程度に改善していると述べた。ICIの登場前は、進行期の患者さんへ「長生きするチャンスはありますが、治るというのは難しいです」と伝えていたという。ところが、ICIの登場後は治癒に近い形で長期生存が得られる患者さんも存在するようになり、「高い効果がみられるのは2割程度です」との前置きは必要としつつも、患者さんへ大きな希望を持たせることができるようになったと語った。 また、ICIの登場により希少がんの治療薬開発状況も変化している。ICIの登場前は、希少がんに対する治療薬の開発は非常に困難であった。しかし、ICIの登場により希少がんや原発不明がんに対する治療薬の開発が可能となった。実際に、林氏らの研究チームは、原発不明がんに対するニボルマブの有効性を検討する医師主導治験(NivoCUP試験)を実施し、その結果をもとにニボルマブは原発不明がんに対する適応を取得している。この反響は非常に大きかったという。「本試験の結果がYahoo!ニュースのトップに掲載され、近畿大学に行けばICIによる治療を受けられるのかという電話が数多くかかってきたことを覚えています。原発不明がんの患者さんは日本中にいて、治療薬の開発を求めていたことを実感しました」と林氏は述べた。なお、原発不明がんに対してICIの保険適用が得られているのは、日本におけるニボルマブのみである。irAEの伝え方は? アンケート調査結果では、がん免疫療法を認知していてもICIによる治療を受けたことのない患者さんでは、irAEに関する理解が不十分であることが示唆された。そこでセミナー終了後、ICIによる治療を実施する際の患者さんへの説明方法を林氏へ聞いた。 アンケート調査結果を踏まえて、irAEをどう伝えるべきかを聞いたところ、林氏は「irAEは頻度が少ないのに種類が多いため、患者さんへの教育にも限界があります。では、どこまで伝えるのが適切かというのはすごく難しいと感じます。患者さんによって理解度は異なりますし、複雑な伝え方をしてしまうと理解できず、びっくりさせて不安を与えるだけになってしまいます」と話した。そこで、実際にどのように伝えているかを聞いたところ「私はシンプルに伝えています。38℃以上の熱があったらとりあえず連絡をください、下痢が止まらなかったら連絡をくださいという形で、できるだけシンプルに伝えています。100%の説明にならなくてもよいと思います。100%で説明して理解されないよりも、50%で伝えて理解できるほうがよいと思っています」と述べた。ただし、この伝え方が必ずしも正解とは限らないとも述べ、患者さんへの説明用アプリなどの開発とその活用への期待も語った。

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第225回 新しい帯状疱疹ワクチンと認知症リスク低下が関連

新しい帯状疱疹ワクチンと認知症リスク低下が関連米国の20万例強の記録を英国オックスフォード大学の研究者らが解析したところ、2017年から同国で使用されるようになった新しい組み換え帯状疱疹ワクチンであるシングリックス接種と認知症を生じ難いことが関連しました1-3)。2006年から使われ始めて7年ほど前まで最も一般的だった別の帯状疱疹ワクチンZostavaxは生きた弱毒化ウイルスを成分とします。何を隠そうZostavaxも認知症が生じ難くなることとの関連が先立つ試験で示されています。しかし今回の新たな結果によると、認知症発現を遅らせるか、ともすると防ぎうるシングリックスの効果はZostavaxに比べて高いようです。帯状疱疹は高齢者の多くに生じる深刻な疾患の1つです。ストレスや化学療法などの免疫を弱らす事態に乗じて体内に潜む水痘帯状疱疹ウイルスが再活性化することを原因とし、痛い皮疹を引き起こし、2次感染や傷跡を残すことがあります。帯状疱疹は加齢につれて生じ易くなることから、高齢者へのそのワクチン接種が必要とされています。米国では50歳、英国では65歳での帯状疱疹ワクチン接種が推奨されています。米国を含む多くの国で帯状疱疹ワクチンは代替わりしてより有効なシングリックスが使われるようになっており、Zostavaxは使われなくなっています。シングリックスは組み換えワクチンであり、病原体のDNAのごく一部を細胞に挿入して作られるタンパク質を成分とします。それらタンパク質が体内で感染予防に必要な免疫反応を引き出します。米国では2017年後半からシングリックスがZostavaxの代わりに使われるようになりました。オックスフォード大学のMaxime Taquet氏らは、その区切り以降にシングリックスを接種した人とそれ以前にZostavaxを接種した人の認知症の生じ易さを比較しました。選ばれた人の数はどちらも10万例強で、平均年齢は71歳です。6年間の経過を追ったところ、シングリックス接種群の認知症の発症率はZostavax接種群に比べて17%低いことが示されました。また、帯状疱疹以外のワクチン(インフルエンザワクチンと3種混合ワクチン)接種群と比べてもシングリックス接種群の認知症発症率は2~3割ほど低く済んでいました。帯状疱疹ワクチンと認知症が生じ難くなることを関連付ける仕組みは不明で、今後調べる必要があります。もしかしたら帯状疱疹の原因ウイルスが認知症を生じ易くし、帯状疱疹ワクチンはそれらウイルスを阻止することで認知症をより生じ難くするのかもしれません2)。または、ワクチン自体が脳に有益な効果をもたらしている可能性もあります。ところで認知症発症率低下との関連は帯状疱疹以外のワクチンでも示されています。結核の予防や膀胱がん治療に使われるBCGワクチンはその1つで、認知症の発症リスクの45%低下との関連が昨年発表されたメタ解析で確認されています4)。BCGワクチンといえば新型コロナウイルス感染症(COVID-19)予防効果がかつて期待されましたが、プラセボ対照無作為化試験でその効果を示すことができませんでした5)。残念な結果になったとはいえBCGワクチンのCOVID-19予防効果は最終的に無作為化試験で検証されました。その試験と同様のシングリックスの認知症予防効果を検証する大規模無作為化試験の構想を今回の結果は促すだろうとTaquet氏らは論文に記しています。参考1)Taquet M, et al. Nat Med. 2024 Jul 25. [Epub ahead of print]2)New shingles vaccine could reduce risk of dementia / University of Oxford 3)Evidence mounts that shingles vaccines protect against dementia / NewScientist4)Han C, et al. Front Aging Neurosci. 2023;15:1243588. 5)Pittet LF, et al. N Engl J Med. 2023;388:1582-1596.

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HR+/HER2-早期乳がんにおける早期再発のリスク因子(WJOG15721B)/日本乳癌学会

 HR+/HER2-早期乳がん患者における早期再発のリスク因子を探索したWJOG15721B試験の結果、若年、静脈侵襲、病理学的浸潤径、病理学的リンパ節転移の個数などが独立したリスク因子として同定されたことを、国立がん研究センター東病院の綿貫 瑠璃奈氏が第32回日本乳癌学会学術総会で発表した。 HR+/HER2-乳がんで、術後内分泌療法開始後3年以内の早期に再発した患者の予後は不良であることが報告されている。monarchE試験では再発高リスクのHR+/HER2乳がん患者において内分泌療法にアベマシクリブを加えることで有意に無浸潤疾患生存期間(iDFS)が延長したことが示されている。monarchE試験の適格基準を満たす患者は極めて再発高リスクであり、この基準を満たさない早期再発の高リスク集団が存在する可能性がある。そこで研究グループは、HR+/HER2-乳がんの臨床病理学的因子や周術期治療と術後3年以内の再発との関連を調べ、早期再発のリスク因子を同定することを目的として後方視的多施設共同観察研究を実施した。 対象は、StageII~IIIのHR+/HER2-乳がんと診断されて手術を受け、2012年1月1日~2017年1月1日に術後内分泌療法を開始した患者であった。術前/術後化学療法の実施の有無については問わなかった。主要評価項目は3年のiDFS割合、副次評価項目はiDFS、全生存期間、3年の無遠隔転移生存(DRFS)割合、DRFSであった。 予後因子の検討のため、多変量Cox比例ハザード回帰モデルにおいて臨床病理学的因子を説明変数として用いた。iDFSの予測モデルを作成するため、説明変数の有意水準を0.05としたステップワイズ法を用いた多変量Cox比例ハザード回帰モデルによってノモグラムを作成した。 主な結果は以下のとおり。●2,732例(年齢中央値:51歳[範囲:23~96])が解析された。StageIIAが1,841例(67.4%)、StageIIBが529例(19.4%)、StageIIIが362例(13.3%)であった。●術前化学療法を受けたのは23.0%、術後化学療法を受けたのは32.5%で、治療薬は90%超がアントラサイクリン系であった。●主要評価項目である3年iDFS割合は92.1%(95%信頼区間[CI]:91.1~93.1)であった(追跡期間中央値:7.1年)。●iDFSに対する多変量解析により、早期再発に関連する統計学的に有意な因子として6つの因子が明らかになった。ハザード(HR)は以下のとおり(括弧内は95%CI)。【年齢】・20~39歳vs.40~69歳 HR:1.46(1.09~1.95)、p=0.011・70歳以上vs.40~69歳 HR:1.73(1.32~2.26)、p<0.001【核グレード】・グレード2 vs.グレード1 HR:1.66(1.31~2.11)、p<0.001・グレード3 vs.グレード1 HR:1.64(1.24~2.19)、p=0.001【静脈侵襲】・ありvs.なし HR:1.36(1.04~1.78)、p=0.027【浸潤径】・2以上5cm未満vs.2cm未満 HR:1.75(1.35~2.27)、p<0.001・5cm以上vs.2cm未満 HR:2.07(1.48~2.89)、p<0.001【リンパ節転移個数】・1~3 vs.0 HR:1.16(0.92~1.46)、p=0.201・4以上vs.0 HR:1.70(1.29~2.24)、p<0.001【術前化学療法歴】・ありvs.なし HR:2.41(1.90~3.06)、p<0.001。●両側乳がん、ER、PgR、HER2、Ki-67、リンパ管侵襲は統計学的に有意な因子ではなかった。●同定された6つの因子で3年および5年iDFS割合を予測するノモグラムを作成したところ、とくに40~69歳と比較して20~39歳は予後が不良であるとともに、70歳以上でも予後が不良であった。術前化学療法を行った患者はそれでもなお予後が不良であった。●ノモグラムの総ポイントに基づきスコアごとに層別化したiDFSの曲線を作成し、ログランク検定とCox比例ハザードモデルで評価した結果、総ポイントが高いほど予後が不良であった。ノモグラムのC-indexは0.68であった。 これらの結果より、綿貫氏は「若年、核グレード、静脈浸潤、病理学的浸潤径、病理学的リンパ節転移の個数がHR+/HER2-乳がん患者の早期再発の独立したリスク因子であることが明らかになった。また、臨床医によって術前化学療法が選択された患者は、術前化学療法を行ってもなお早期再発のリスクが高いと考えられる。今回同定された因子を有するHR+/HER2-乳がん患者に対してアベマシクリブが有効かについてはさらなる検証が必要である」とまとめた。

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一次乳房再建における有害事象のリスク因子/日本乳癌学会

 2013年に乳房インプラントが保険収載されて以降乳房再建は増加傾向にあり、2020年には遺伝性乳がん卵巣がん症候群の予防的切除も保険収載された。一方で、乳房インプラント関連未分化大細胞型リンパ腫(BIA-ALCL)の発生が報告され、再建後有害事象のリスク因子についても多数の報告があるが、結果は一致していない。日本乳癌学会班研究(枝園班)では、一次乳房再建施行患者における有害事象のリスク因子について多施設共同の後ろ向き解析を実施し、聖マリアンナ医科大学の志茂 彩華氏が結果を第32回日本乳癌学会学術総会で発表した。 本研究の対象は、2008年1月~2016年12月に国内12施設で一次乳房再建が施行された、診断時に20歳以上80歳未満の乳がん症例4,720例。Stage IVの患者は除外された。 主な結果は以下のとおり。・患者背景は、年齢中央値46(20~83)歳、65歳以上は4.1%であった。BMIは18.5~25(普通)が74.3%を占めたが、25以上の肥満患者も10%以上含まれた。喫煙歴なしが77.8%、両側性なしが84.0%、乳房手術はtotal mastectomyが35.9%、skin-sparing mastectomy(SSM)が33.8%、nipple-sparing mastectomy(NSM)が30.3%であった。再建方法は、一次一期再建としてインプラントが3.5%、自家組織が11.1%、一次二期再建が85.4%であった。腋窩手術はセンチネルが81.7%、郭清が17.2%、なしが1.1%であった。・組織型は浸潤性乳管がんが64.5%を占め、非浸潤性乳管がんが27.1%、浸潤性小葉がんが4.2%であった。pN0が79.3%を占めた一方、pN≧4の症例も4.5%含まれた。術前/術後化学療法なしがそれぞれ90.0%/77.4%で、術後ホルモン療法は62.3%が受けていた。PMRTの施行を受けていたのは7.6%であった。・有害事象が報告されたのは840例(17.8%)で、最も多かったのは乳頭乳輪(NAC)血流不全(NSM症例のうち14.9%)で、皮弁壊死が4.8%、感染が3.8%と続き、感染についてはGrade3が2.8%であった。・有害事象の転帰については、インプラント症例で感染が発生した場合75.9%で抜去もしくは入れ替えが行われていた。皮弁壊死の場合はインプラント症例の11.9%で抜去もしくは入れ替え、自家再建症例の23.1%で自家再建組織の一部もしくは全切除が行われていた。・有害事象のリスク因子について、65歳以上、BMI≧25、喫煙歴ありの症例については、多変量解析および単変量解析のいずれにおいても有意差が認められた。・連続変数によるロジスティック解析においても、年齢およびBMIが高くなるほど有害事象が増加することが明らかになった。・手術の方法と有害事象の関係について、total mastectomyと比較するとSSM、NSMはともに多変量解析および単変量解析のいずれにおいても有意にリスクが高くなり、とくにNSMで最も多いことが確認された。再建方法については、一次二期再建と比較するとインプラント、自家再建ともに一次一期再建で有意にリスクが高かった。両側性の有無や腋窩手術に関して因果関係は認められなかった。・病理結果と有害事象の関係について、単変量解析の結果、非浸潤性乳管がんと比較すると浸潤性がんでリスクが高かった。リンパ節転移の有無に関しては、pN≧4でリスクが高かった。・治療法と有害事象の関係について、単変量解析の結果、術後ホルモン療法およびPMRTありの場合にリスクが高かった。術前/術後化学療法の有無に関して因果関係は認められなかった。 志茂氏は、「重大な有害事象が起こると再手術が必要になる可能性があり、整容性の低下、患者の負担が懸念される」とし、「リスク因子を有する患者に対しては、術前の管理や術後の経過について十分に注意する必要がある」とまとめている。

379.

HR+/HER2-進行乳がん1次治療、リアルワールドでのパルボシクリブ+フルベストラント/+AIの効果/日本乳癌学会

 HR+/HER2-進行乳がん1次治療におけるパルボシクリブ+フルベストラントとパルボシクリブ+アロマターゼ阻害薬(AI)の効果をリアルワールドデータ(RWD)で評価した結果、ほぼ同様な傾向であったことを京都大学の増田 慎三氏が第32回日本乳癌学会学術総会で発表した。後治療の検討から、増田氏は「後治療におけるホルモン療法の期間を伸ばす工夫が今後大切」とした。 HR+/HER2-進行乳がんにおいてパルボシクリブと内分泌療法の併用療法が内分泌療法単独と比較して無増悪生存期間(PFS)を有意に延長することは第III相試験において示されているが、実臨床下でフルベストラント併用とAI併用を別々に評価した研究はほとんどない。本研究では、HR+/HER2-進行乳がんに1次または2次治療としてパルボシクリブ+内分泌療法を行った際の実臨床下での有用性を評価した国内20施設の多施設観察研究のデータから、1次治療として登録された420例のうち、術後補助療法終了から再発までの期間(TFI)が12ヵ月以上、および初診時Stage IVの症例を解析対象とした。併用した内分泌療法別に、患者背景、実臨床下でのPFS(rwPFS)、全生存期間(OS)、化学療法開始までの期間(CFS)、後治療の内訳を評価した。 主な結果は以下のとおり。・1次治療でパルボシクリブ+フルベストラントおよびパルボシクリブ+AIで治療された症例は、それぞれ74例および118例であった。患者背景に大きな違いはなかったが、閉経前/閉経周辺期の患者割合がフルベストラント併用群27.0%、AI併用群 6.8%とフルベストラント併用群で多かった。・rwPFS中央値は、フルベストラント併用群 で33.57ヵ月(95%信頼区間[CI]:23.37~50.43)、AI群で34.10ヵ月(同:25.63~44.53)とほぼ同様で、第II相試験であるPARSIFAL試験、PARSIFAL-LONG試験の再現性が認められた。・CFS中央値についても、フルベストラント併用群43.90ヵ月(同:32.57~NE)、AI群42.53ヵ月(同:33.6~NE)で同様の傾向がみられた。・OS中央値はどちらも未達で、今後、長期フォローアップによるデータの更新を予定している。・TFIが12ヵ月以上の再発症例と初診時StageIVの症例、また閉経状況によらず、rwPFS、CFS、OSはおおむね同じ傾向であった。・後治療の内訳は、フルベストラント併用群、AI併用群の順に、化学療法が34.1%および29.5%、内分泌療法単独が19.5%および26.2%、内分泌療法+CDK4/6阻害薬が17.1%および34.4%、内分泌療法+エベロリムスが26.8%および4.9%であった。1次逐次治療で内分泌療法±分子標的治療を選択された患者群の治療期間中央値は、フルベストラント併用群3.0ヵ月、AI併用群4.5ヵ月であった。 増田氏は「HR+/HER2-進行再発乳がん治療において、ホルモン感受性が期待できると考えられる集団の1次治療において、日本人におけるReal world evidence studyから、パルボシクリブ+フルベストラントとパルボシクリブ+AIは共に有用な選択肢であることが示唆された」と結論した。

380.

脳転移を有するHER2低発現乳がん、T-DXdの頭蓋内奏効率は?(DESTINY-Breast04)/日本乳癌学会

 化学療法歴を有するHER2低発現の切除不能または転移を有する乳がん患者を対象として、トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)と治験医師選択による化学療法(TPC)を比較した第III相DESTINY-Breast04試験の、脳転移を有する患者に絞った探索的研究において、T-DXd群ではTPC群を上回る良好な頭蓋内奏効が得られたことを、昭和大学の鶴谷 純司氏が第32回日本乳癌学会学術総会のアンコール企画で発表した。 脳転移は、HER2低発現の転移・再発乳がん患者の約15%に生じる可能性があり、予後不良であることが報告されている。これまでのDESTINY-Breast04試験のサブグループ解析では、脳転移を有する症例であっても、T-DXd群は全体集団と同様に有意に無増悪生存期間(PFS)が延長したことが報告されているが、頭蓋内転移に対する有効性は不明であった。そこで研究グループは、DESTINY-Breast04試験のうち、ベースライン時に無症候性脳転移を認めた症例におけるT-DXdおよびTPCの頭蓋内病変に対する有効性を、脳MRIまたはCTの盲検下独立中央判定(BICR)に基づき評価した(データカットオフ:2022年1月11日)。 評価項目は、BICR判定による頭蓋内確定奏効率(cORR)(完全奏効[CR]+部分奏効[PR])、頭蓋内最良総合効果、頭蓋内臨床的有用率(CBR)(CR+PR+安定[SD])、病勢コントロール率(DCR)(CR+PR+SD)、BICR判定による中枢神経系PFS(CNS-PFS)、全生存期間(OS)であった。 主な結果は以下のとおり。・ベースライン時に無症候性脳転移を認めたのは35例で、T-DXd群が24例(うち未治療が8例)、TPC群が11例(同7例)であった。T-DXd群では、年齢中央値が高く、CDK4/6阻害薬の治療歴がない割合が高く、脳転移に対する治療として放射線療法(±外科治療)を受けていた割合が高かった。・頭蓋内cORRは、T-DXd群25.0%、TPC群0%であった。T-DXd群では、16.7%でCRが得られた。・T-DXd群およびTPC群の頭蓋内CBRは58.3%/18.2%、頭蓋内DCRは75.0%/63.6%であった。・頭蓋内最良総合効果のSwimmer Plotでは、奏効している患者はT-DXd群のほうが長い傾向を示した。・T-DXd群におけるCNS-PFS中央値は9.7ヵ月、OS中央値は16.7ヵ月であった。・最初の増悪部位別では、頭蓋内で進行(PD)と判定されたのはT-DXd群8.3%、TPC群27.3%であった。 鶴谷氏は「本探索的研究は部分集団解析であり、前治療歴などは両群で差があったことを加味する必要がある」としたうえで、「組み入れられた患者はごく少数であったが、頭蓋内の有効性データから、TPCを上回るT-DXdの有益性が示された」とまとめた。

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