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内分泌療法後の転移乳がん、T-DXdがPFSを有意に改善(DESTINY-Breast06)/NEJM

 内分泌療法を1ライン以上受けた、ホルモン受容体(HR)陽性かつHER2低発現またはHER2超低発現の転移を有する乳がん患者において、トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)は医師選択の化学療法と比較し無増悪生存期間(PFS)を有意に延長し、新たな安全性シグナルは確認されなかった。米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のAditya Bardia氏らDESTINY-Breast06 Trial Investigatorsが多施設共同無作為化非盲検第III相試験「DESTINY-Breast06試験」の結果を報告した。内分泌療法後の進行に対し、従来の化学療法の有効性は限定的となっている。T-DXdは、化学療法歴のあるHER2低発現の転移を有する乳がんに対する有効性が示されていた。NEJM誌オンライン版2024年9月15日号掲載の報告。主要評価項目はHER2低発現集団におけるPFS 研究グループは、324施設において、HR陽性かつHER2低発現またはHER2超低発現の転移を有する乳がんに対する内分泌療法で、病勢進行が認められた成人患者をT-DXd群または医師選択の化学療法群に1対1の割合で無作為に割り付けた。 被験者の適格基準は、進行または転移乳がんに対する化学療法歴がなく、2ライン以上の内分泌療法で病勢進行が認められた患者、術後補助内分泌療法の開始から24ヵ月以内に病勢進行した患者、または内分泌療法とCDK4/6阻害薬による1次治療の開始から6ヵ月以内に病勢進行が認められた患者であった。 HER2低発現は、免疫組織化学染色(IHC)で1+または2+、in situハイブリダイゼーション(ISH)陰性と定義し、HER2超低発現は膜染色を伴うIHC 0(>0および<1+)と定義した。 主要評価項目は、HER2低発現集団における盲検下独立中央判定(BICR)によるRECIST 1.1に基づくPFS、副次評価項目はBICRによるITT集団(無作為化されたすべての患者、すなわちHER2低発現およびHER2超低発現集団)におけるPFS、ならびにHER2低発現集団およびITT集団における全生存期間(OS)、安全性などであった。HER2低発現集団におけるPFS中央値はT-DXd群13.2ヵ月、化学療法群8.1ヵ月 2020年8月20日~2024年3月18日の間に、計866例がT-DXd群(436例)および化学療法群(430例)に割り付けられた。化学療法群では、カペシタビンが59.8%、nab-パクリタキセルが24.4%、パクリタキセルが15.8%であった。HER2低発現集団は713例、HER2超低発現集団は153例であった。 HER2低発現集団において、PFS中央値はT-DXd群13.2ヵ月(95%信頼区間[CI]:11.4~15.2)、化学療法群8.1ヵ月(7.0~9.0)であり、T-DXd群が有意に延長した(病勢進行または死亡のハザード比:0.62、95%CI:0.51~0.74、p<0.001)。この結果は、ITT集団、ならびにHER2超低発現集団においても一致していた。 OSについては、データが未成熟であった。 Grade3以上の有害事象は、T-DXd群で52.8%、化学療法群で44.4%に発現した。間質性肺疾患または肺炎は、それぞれ49例(11.3%、3例はGrade5)、1例(0.2%、Grade2)に認められた。

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肛門扁平上皮がん1次治療、新規抗PD-1抗体上乗せが有用(POD1UM-30)/ESMO2024

 肛門管扁平上皮がん(SCAC)は、肛門がんの主要なリスク因子であるHPVウイルス感染の増加などを背景に、患者が増加傾向にある。新たな抗PD-1抗体であるretifanlimab単剤療法は、化学療法で進行したSCAC患者において抗腫瘍活性を示すことが報告されている1)。未治療の進行SCAC患者を対象に、retifanlimabの標準化学療法への追加投与を評価するPOD1UM-303試験が行われ、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2024)Presidential Symposiumで、英国・Royal Marsden HospitalのSheela Rao氏が初回解析結果を発表した。・試験デザイン:第III相二重盲検比較試験・対象:手術不適、化学療法未治療の局所再発/転移SCAC患者・試験群:retifanlimab 500mgを4週ごと(最長1年)+標準化学療法(カルボプラチン+パクリタキセル、6サイクル)・対照群(プラセボ群):プラセボ+標準化学療法、PD後のクロスオーバー可・評価項目:[主要評価項目]無増悪生存期間(PFS)[副次評価項目]全生存期間(OS)、奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、安全性など 主な結果は以下のとおり。・2020年11月~2023年7月に308例(試験群154例、プラセボ群154例)が登録された。年齢中央値は62(SD 29~86)歳、72%が女性、87%が白人、4%がHIV陽性、36%が肝転移あり、90%がPD-L1≧1だった。・PFS中央値は、試験群9.3ヵ月(95%信頼区間[CI]:7.5~11.3)に対し、プラセボ群は7.4ヵ月(95%CI:7.1~7.7)で、試験群が有意に良好な結果だった(ハザード比[HR]:0.63、95%CI:0.47~0.84、p=0.0006)。・OSは未成熟であるものの、試験群29.2ヵ月に対しプラセボ群23.0ヵ月と、試験群で改善傾向が認められた。クロスオーバー群のOSはプラセボ群とほぼ変わらない結果だった。・ORRは試験群55.8%に対してプラセボ群44.2%、DOR中央値は14.0ヵ月と7.2ヵ月だった。・Grade3以上の治療関連有害事象は試験群83.1%、プラセボ群75.0%に発生した。うちGrade5はそれぞれ2.6%(4例)、0.7%(1例)だった。Grade3以上で多かったものは好中球減少症(35.1%と29.6%)、貧血(19.5%と20.4%)などだった。 Rao氏は「本試験は転移SCACにおける最大規模のランダム化試験であり、標準化学療法に比べてretifanlimab併用の有効性を示した。安全性シグナルもこれまでの免疫チェックポイント阻害薬の併用療法と一致していた。retifanlimabと化学療法の併用は、進行SCAC患者の新たな標準治療となる可能性がある」とまとめた。 ディスカッサントを務めたドイツ・シャリテー病院のDominik P. Modest氏は「retifanlimab群におけるPFSのハザード比は非常に良好で、しかも早い段階から効果が出ているのが印象的な結果だ。一方、クロスオーバー群はretifanlimabのベネフィットを受けておらず、投与が遅いと効果が出ない可能性もある。本試験のOSや、ニボルマブの化学療法への上乗せ効果を検討したEA2176試験などの結果を見て、さらに検証する必要があるだろう」とした。 retifanlimabは米国・インサイトが開発したPD-1阻害薬で、米国では再発性局所進行メルケル細胞がんに対して承認されている。また、今回のPOD1UM-30試験には日本の施設も参加している。

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アミバンタマブ、化学療法との併用でEGFRエクソン20挿入変異陽性肺がんに承認/ヤンセン

 Johnson & Johnson (法人名:ヤンセンファーマ)は2024年9月24日、アミバンタマブ(商品名:ライブリバント)と化学療法(カルボプラチンおよびペメトレキセド)の併用療法について、「EGFR遺伝子エクソン20挿入変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌(NSCLC)」の効能又は効果で、日本における製造販売承認を取得したと発表。 今回の承認は、化学療法歴のないEGFR遺伝子エクソン20挿入変異陽性の切除不能な進行・再発のNSCLC患者を対象に、アミバンタマブと化学療法との併用による有効性と安全性を化学療法群と比較する第III相PAPILLON試験の結果に基づくものである。 同試験では、アミバンタマブと化学療法併用(ACP)群の無増悪生存期間(PFS)が、化学療法(CP)群と比較し統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示し、主要評価項目を達成した。PFS中央値はACP群で11.37ヵ月、CP群で6.70ヵ月であった(ハザード比:0.395、95%信頼区間:0.296~0.528、p<0.0001)。ACP群はCP群と比較し、より深い奏効と持続的な奏効に関与し、高い奏効率および長い奏効期間を示した。アミバンタマブと化学療法の併用療法に関する安全性プロファイルは、それぞれの安全性プロファイルと一貫していた。  エクソン20挿入変異はNSCLCにおける最も一般的なドライバー遺伝子変異であるEGFR遺伝子の変異の中で3番目に多いことが知られている。また、実臨床におけるEGFRエクソン20挿入変異患者の5年生存率は8%と、エクソン19欠失またはL858R変異患者の19%と比べ低く、アンメット・メディカル・ニーズの高い領域である。

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サシツズマブ ゴビテカン、トリプルネガティブ乳がんに承認/ギリアド

 ギリアド・サイエンシズは2024年9月24日、化学療法歴のある手術不能または再発のホルモン受容体陰性かつHER2陰性(トリプルネガティブ)乳がんの治療薬として、TROP-2を標的とする抗体薬物複合体(ADC)であるサシツズマブ ゴビテカン(商品名:トロデルビ)の日本における製造販売承認を取得したと発表した。 今回の承認は、2つ以上の化学療法歴のある手術不能または再発のトリプルネガティブ乳がん患者を対象にサシツズマブ ゴビテカンと医師選択治療の有効性と安全性を比較した海外での第III相臨床試験(ASCENT)と、2つ以上の化学療法歴のある手術不能または再発のトリプルネガティブ乳がん患者を対象にサシツズマブ ゴビテカンの有効性と安全性を評価した国内の第II相臨床試験(ASCENT-J02)の結果に基づくものである。 トリプルネガティブ乳がんは、転移・再発を起こしやすく、予後不良とされる。近年使用可能になった免疫チェックポイント阻害薬のほかに、新しい治療選択肢の登場が待たれていた。

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早期TN乳がんの術前・術後ペムブロリズマブ、最終OS結果(KEYNOTE-522)/NEJM

 高リスク早期トリプルネガティブ乳がん(TNBC)患者において、ペムブロリズマブ+化学療法による術前補助療法およびペムブロリズマブ単独による術後補助療法は、術前化学療法単独と比較して、全生存期間(OS)を有意に延長した。英国・ロンドン大学クイーン・メアリー校のPeter Schmid氏らKEYNOTE-522 Investigatorsが、21ヵ国181施設で実施された国際共同無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験「KEYNOTE-522試験」の結果を報告した。KEYNOTE-522試験では、プラチナ製剤を含む化学療法にペムブロリズマブを追加することで、病理学的完全奏効(pCR)率と無イベント生存期間(EFS)が有意に改善することが示されており、今回はOSについての最終結果が報告された。NEJM誌オンライン版2024年9月15日号掲載の報告。術前・術後ペムブロリズマブ併用の有効性をプラセボ併用と比較 研究グループは、未治療の高リスク早期TNBC患者(T1c N1-2またはT2-4 N0-2、ECOG PS 0~1)を、ペムブロリズマブ+化学療法群とプラセボ+化学療法群に2対1の割合で無作為に割り付けた。 術前補助療法として、ペムブロリズマブ+化学療法群では、ペムブロリズマブ(200mg、3週ごと)+パクリタキセル(80mg/m2、週1回)+カルボプラチン(AUC 1.5、週1回またはAUC 5、3週ごと)を4サイクル、その後ペムブロリズマブ+シクロホスファミド(600mg/m2)+ドキソルビシン(60mg/m2)またはエピルビシン(90mg/m2)を3週ごと4サイクル投与し、プラセボ+化学療法群ではペムブロリズマブの代わりにプラセボを上記化学療法とともに投与した。 根治手術後は術後補助療法として、適応があれば放射線療法を行うとともに、それぞれペムブロリズマブまたはプラセボを3週ごと9サイクル投与した。 主要評価項目は、pCR率およびEFS、副次評価項目はOSで、ITT解析を行った。5年OS率は86.6% vs.81.7% 2017年3月~2018年9月に計1,174例が無作為化された(ペムブロリズマブ+化学療法群784例、プラセボ+化学療法群390例)。 計画されていた今回の第7回中間解析(データカットオフ日:2024年3月22日)における追跡期間中央値は75.1ヵ月(範囲:65.9~84.0)で、死亡はペムブロリズマブ+化学療法群で115例(14.7%)、プラセボ+化学療法群で85例(21.8%)に認められた。 5年OS率は、ペムブロリズマブ+化学療法群が86.6%(95%信頼区間[CI]:84.0~88.8)、プラセボ+化学療法群は81.7%(95%CI:77.5~85.2)であり、ペムブロリズマブ+化学療法群においてOSの有意な延長が認められた(p=0.002、層別log-rank検定、有意水準α=0.00503)。 有害事象については、これまでに報告されているペムブロリズマブおよび化学療法の安全性プロファイルと一致していた。

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zongertinibが既治療のHER2変異陽性NSCLCの約7割に奏効(Beamion LUNG-1)/WCLC2024

 HER2遺伝子変異陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)に対するzongertinibの有望な結果が報告された。HER2遺伝子変異はNSCLC患者の約2~4%に認められ、脳転移が生じることが多く、予後は不良であるとされている。zongertinibはHER2チロシンキナーゼドメイン選択的に共有結合するHER2チロシンキナーゼ阻害薬である。zongertinibの用量探索および安全性・有効性を検討する国際共同第Ia/Ib相試験「Beamion LUNG-1試験」が実施され、第Ib相の既治療のHER2遺伝子変異(チロシンキナーゼドメインの変異)陽性コホートにおける結果が、2024年9月7~10日に米国・サンディエゴで開催された世界肺がん学会(WCLC2024)で報告された。今回の報告では、zongertinib 1日1回120mgによる治療を受けた患者の66.7%に奏効が認められ、忍容性も高かった。オランダがん研究所のGerrina Ruiter氏が本研究結果を発表した。zongertinibはBeamion LUNG-1試験で臨床的に意義のある抗腫瘍活性示す Beamion LUNG-1試験は第Ia相と第Ib相で構成され、第Ia相の結果から1日1回120mg、240mgの用量が選択された。今回は、プラチナ併用化学療法による治療歴のある(抗体薬物複合体による治療は除外)HER2遺伝子変異(チロシンキナーゼドメインの変異)陽性NSCLC患者を対象とした、第Ib相のコホート1の結果が報告された。コホート1では、zongertinibを1日1回120mg投与する群(120mg群)、240mg投与する群(240mg群)に1対1の割合で無作為に割り付けた。中間解析により1日1回120mgの用量が選択され、中間解析以降の組み入れ患者には、1日1回120mgの用量で投与した。有効性の主要評価項目は中央判定による奏効率(ORR)で、期待値を30%とした。 zongertinibの用量探索および安全性・有効性を検討するBeamion LUNG-1試験の主な結果は以下のとおり。・データカットオフ時点(2024年5月23日)において、zongertinibによる治療を受けたのは132例であり(120mg群:75例、240mg群:57例)、有効性に関する追跡期間中央値は約13週間であった。・前治療ライン数が1ラインの割合は120mg群56%(42例)、240mg群49%(28例)であり、2ラインはそれぞれ16%(12例)、28%(16例)、3ライン以上はそれぞれ28%(21例)、23%(13例)であった。ベースライン時に脳転移を有していた割合はそれぞれ37%(28例)、46%(26例)であった。・Grade3以上の治療関連有害事象(TRAE)はzongertinib 120mg群17%(13例)、240mg群19%(11例)に発現したが、死亡に至ったTRAEは認められなかった。減量に至った有害事象(AE)の発現率は全体の11%(14例)であったが、治療中止に至ったAEの発現率は3%(4例)と低かった。・有効性の主要評価項目である中央判定によるORRは、zongertinib 120mg群全体(75例)で66.7%であり(期待値30%に対する片側p<0.0001)、主要評価項目を達成した。腫瘍縮小はzongertinibによる治療を受けた患者全体の94%(124例)に認められた。・zongertinib 120mg群、240mg群に無作為に1対1の割合で割り付けられた患者における中央判定によるORRは、120mg群72.4%(42例)、240mg群78.2%(43例)であり、完全奏効(CR)はそれぞれ1例、2例に認められた。病勢コントロール率はそれぞれ94.8%(55例)、100%(55例)であった。・頭蓋内ORRは、zongertinib 120mg群33%(9例)、240mg群40%(10例)であり、CRはそれぞれ4例、5例に認められた。 Ruiter氏は、本研究結果について「zongertinibは、脳転移を有する患者も含む既治療のHER2遺伝子変異(チロシンキナーゼドメインの変異)陽性NSCLC患者において、統計学的有意かつ臨床的に意義のある抗腫瘍活性を示した。治療関連死は認められず、減量や中止に至ったAEの発現も少なく、zongertinibの忍容性は非常に高かった」とまとめた。なお、HER2遺伝子変異(チロシンキナーゼドメインの変異)陽性のNSCLCに対する1次治療として、zongertinibと標準治療を比較する国際共同第III相無作為化比較試験「Beamion LUNG-2試験」が実施されており、現在患者を組み入れ中である。

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StageIのTN乳がんにおける術前化療後のpCR率とOSの関係/ESMO2024

 StageIのトリプルネガティブ乳がん(TNBC)において、術前化学療法後のpCR率は良好な長期転帰と関連することが示され、同患者における術前化学療法の実施が裏付けられた。オランダ・Netherlands Cancer InstituteのManon De Graaf氏が、1,000例以上のTNBC患者を対象としたレジストリ研究の結果を、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2024)で報告した。 本研究では、2012~22年に術前化学療法後に手術が施行されたcT1N0のTNBC患者をオランダがん登録のデータから特定し、pCR率と全生存期間(OS)との関連を評価した。 主な結果は以下のとおり。・アントラサイクリンおよびタキサンベースの術前化学療法を受けた患者1,144例が特定された。・年齢中央値は50.0(22.0~77.0)歳、94.1%がcT1c腫瘍で、90.4%が乳管がんであった。41.3%がプラチナベースの術前化学療法を受け、24.7%が術後カペシタビン療法を受けていた。・全体のpCR達成率は57.3%(656例)であった。・多変量ロジスティック回帰分析の結果、若年(50歳未満vs.50歳以上、オッズ比[OR]:1.75、95%信頼区間[CI]:1.36~2.26)および腫瘍グレードの高さ(グレード3 vs.1または2、OR:2.07、95%CI:1.55~2.76)はpCR率の高さと関連し、小葉がんはpCR率の低さと関連していた(小葉がんvs.乳管がん、OR:0.18、95%CI:0.03~0.69)(いずれもp<0.05)。・プラチナベースの術前化学療法は、pCR率の改善と有意な関連はみられなかった(プラチナベースの術前化学療法ありvs.なし、57.6% vs.57.1%、OR:1.02、95%CI:0.80~1.29、p=0.9)。・4年時OSは、pCR達成群で98% vs.残存病変群で93%となり、pCR達成群で有意に良好であった(ハザード比[HR]:0.29、95%CI:0.15~0.36、log-rank検定のp<0.001)。・残存病変群における術後カペシタビン療法の有無によるOSへの影響をみると、4年時OSはカペシタビン群93% vs.術後化学療法なし群91%であった(HR:0.65、95%CI:0.31~1.39、log-rank検定のp=0.3)。 Graaf氏は、StageIのTNBC患者のうち術前化学療法が必要な患者を決めるため、またTILsや免疫関連遺伝子シグネチャ―などの予測バイオマーカーを評価するために、さらなる研究が必要と結んでいる。

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HER2陽性胃がん1次治療、ペムブロリズマブ+トラスツズマブ+化学療法の最終OS(KEYNOTE-811)/ESMO2024

 昨年の欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)において局所進行または切除不能のHER2陽性胃がん1次治療として、トラスツズマブ+化学療法にペムブロリズマブを上乗せすることによって奏効率(ORR)と無増悪生存期間(PFS)が改善したことを報告したKEYNOTE-811試験。本試験における全生存期間(OS)の最終解析結果を、イタリア・Veneto Institute of Oncology のSara Lonardi氏がESMO2024で発表した。・試験デザイン:第III相無作為化プラセボ対照比較試験・対象:未治療の切除不能HER2陽性胃がんまたは胃食道接合部がん、PS 0~1・試験群(ペムブロリズマブ群):ペムブロリズマブ200mgを3週間ごと+トラスツズマブ+化学療法(5-FUおよびシスプラチン[FP]またはカペシタビンおよびオキサリプラチン[CAPOX])、最大35サイクル・対照群(プラセボ群):プラセボを3週間ごと+トラスツズマブ+化学療法・評価項目:[主要評価項目]PFS、OS[副次評価項目]ORR、奏効期間(DOR)、安全性 主な結果は以下のとおり。・計698例がランダム化され、ペムブロリズマブ群350例、プラセボ群348例に割り付けられた。最終データカットオフは2024年3月20日、追跡期間中央値は50.2ヵ月であった。・最終のOS中央値はペムブロリズマブ群20.0ヵ月に対し、プラセボ群 は16.8ヵ月と有意にペムブロリズマブ群で良好な結果だった(ハザード比[HR]:0.80、95%信頼区間[CI]:0.67~0.94、p=0.0040)。PD-L1 CPS≧1の患者におけるOS中央値は、ペムブロリズマブ群で20.1ヵ月、プラセボ群で15.7ヵ月であった(HR:0.79、95%CI:0.66~0.95)。・最終のPFS中央値は、ペムブロリズマブ群が10.0ヵ月に対しプラセボ群は 8.1ヵ月で、引き続きペムブロリズマブ群が良好な結果だった(HR:0.73、95%CI:0.61~0.87)。PD-L1≧1の患者におけるPFS中央値は10.9ヵ月対7.3ヵ月(HR:0.72、95%CI:0.60~0.87)であった。・ORRはペムブロリズマブ群で72.6%、プラセボ群で60.1%であった。 ・Grade3以上の治療関連有害事象はペムブロリズマブ群59%、プラセボ群51%で発生した。 Lonardi氏は「切除不能なHER2陽性、PD-L1≧1の胃がん患者において、1次治療としてのペムブロリズマブ+トラスツズマブ+化学療法は、OSを統計的に有意に改善し、臨床的に意義のある改善をもたらした。これらのデータは、このレジメンの有用性を確認するものである」とした。 この最終結果をもって、国内においても同レジメンの承認が進むとみられる。

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膀胱がんへの周術期デュルバルマブ併用、EFS・OSを改善(NIAGARA)/NEJM

 膀胱全摘除術が可能な筋層浸潤性膀胱がんにおいて、術前化学療法への周術期デュルバルマブ併用は、術前化学療法単独の場合と比較して、無イベント生存期間(EFS)と全生存期間(OS)の有意な改善をもたらしたことが、英国・ロンドン大学クイーン・メアリー校のThomas Powles氏らNIAGARA Investigatorsによる第III相非盲検無作為化試験で示された。術前化学療法に続く膀胱全摘除術は、シスプラチン適応の筋層浸潤性膀胱がん患者における標準治療だが、周術期免疫療法の追加によりアウトカムを改善する可能性が示唆されていた。NEJM誌オンライン版2024年9月15日号掲載の報告。術前化学療法+周術期デュルバルマブvs.術前化学療法単独 研究グループは、シスプラチン適応の筋層浸潤性膀胱がん患者を、術前補助療法としてデュルバルマブ+ゲムシタビン+シスプラチンを3週ごと4サイクル投与し、その後に膀胱全摘除術と補助療法としてデュルバルマブを4週ごと8サイクル投与する群(デュルバルマブ群)、または術前補助療法としてゲムシタビン+シスプラチンを投与し、その後に膀胱全摘除術のみを施行する群(対照群)に1対1の割合で無作為に割り付けた。 主要評価項目は2つで、そのうちの1つがEFS(もう1つは病理学的完全奏効)だった。重要な副次評価項目はOSとした。EFS、OSが有意に改善 2018年11月~2021年7月に22ヵ国で1,063例が無作為化された(デュルバルマブ群533例、対照群530例)。両群の被験者のベースライン特性は全体的にバランスが取れており、試験対象は欧州、アジア、北米、オーストラリアおよび南米から登録された筋層浸潤性膀胱がんの代表的な患者集団であったが、黒人患者の割合は小さかった。 24ヵ月時点の推定EFS率は、デュルバルマブ群67.8%(95%信頼区間[CI]:63.6~71.7)、対照群59.8%(55.4~64.0)であった(病勢進行、再発、膀胱全摘除術の非施行、死亡のハザード比[HR]:0.68、95%CI:0.56~0.82、層別log-rank検定のp<0.001)。 24ヵ月時点の推定OS率は、デュルバルマブ群82.2%(95%CI:78.7~85.2)、対照群75.2%(71.3~78.8)であった(死亡のHR:0.75、95%CI:0.59~0.93、層別log-rank検定のp=0.01)。 Grade3または4の治療関連有害事象の発現頻度は、デュルバルマブ群40.6%、対照群40.9%。死亡に至った治療関連有害事象は、各群で0.6%報告された。 膀胱全摘除術を受けた被験者は、デュルバルマブ群88.0%、対照群83.2%であった。

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余命を問われたら?【もったいない患者対応】第14回

余命を問われたら?登場人物<今回の症例>60歳男性腹痛を主訴に精査された結果、胃がん、肝転移、腹膜播種が判明化学療法を行う予定になった<説明の後、患者さんから質問をされました>先生、私の余命はどのくらいなのでしょうか?そうですね。およそ10ヵ月くらいでしょうか。えぇっ! 1年も生きられないのですか…。残念ですが、StageIVの胃がんですと、手術で取ることもできませんので、なかなか予後は厳しいですね。そうですか…。~数日後~先生から余命10ヵ月だと言われて本人がふさぎ込んでいます。長く生きられないなら化学療法を受けても無駄だから、治療はやめたいと言っています。そんな…。10ヵ月といっても人によって違いますから…。先生の説明が悪かったんじゃないですか? 本人はもう意欲をなくしています。【POINT】切除不能の胃がん患者さんに、唐廻先生は唐突に余命を聞かれ、思わず具体的な数字だけを返答してしまいました。患者さんはその短さに驚き、治療意欲を喪失。化学療法を始めるのが難しくなっています。本来であれば、化学療法を行うことで少しでも生存期間を延長できたはず。唐廻先生の責任は重大ですね。“余命”に関する質問にはかなり慎重に答える必要があるとくに悪性腫瘍の患者さんからは、余命を聞かれることが多いと思います。テレビドラマや小説などで「余命○ヵ月」という言葉をよく聞くため、医師は“余命”をある程度正確に言い当てられると考える患者さんは多いのです。しかし、余命を尋ねられたときは、かなり慎重に返答する必要があります。説明不足だと、今回のような事態になりかねません。「生存期間中央値」「5年生存率」は、個々の症例に当てはめることはできないまず、余命としてなんらかの数字を伝えるなら、該当するのは「生存期間中央値」か「5年生存率(疾患によっては「3年」や「10年」も)」になるのが一般的でしょう。生存期間中央値は、同じ進行度の患者さんの生存期間を並べたとき、ちょうど中央にくる値のことです。一方、5年生存率は、同じ進行度の患者さんを追跡したとき、5年後に何%の人が生存しているかを示す値ですね。いずれも、過去の臨床試験などのデータを参照すれば得られる数字ですが、個々の患者さんが生きられる期間や生きている確率を推測したものではありません。StageIVの胃がんの生存期間中央値が10ヵ月だったとしても、「目の前の胃がん患者さんの生きられる期間が10ヵ月だ」という意味ではありません。あくまで中央値ですから、それより長く生きた人もいれば、短くしか生きられなかった人もいるでしょう。同じStageIVであっても、1ヵ所の肝転移を有する胃がんもあれば、多数の肝転移に加え腹膜播種で腹水が貯留している状態の胃がんもあります。それぞれで予後が同じはずがありません。治療がどの程度効果を示すかによっても予後は変わってくるでしょうし、個々の患者さんがどんな併存疾患をもっているかによっても、治療成績は変わってきます。患者さんに余命を聞かれたときは、以上のことをすべて説明し、「余命を推測することがいかに難しいか」をきちんと理解していただく必要があります。質問の意図までよく考えるまた、余命を尋ねられたときは、患者さんが「なぜ余命を知りたいと思ったのか」まで踏み込んで考える必要があります。たとえば、「余命がとても短いなら、効果の高さより副作用が少ない治療を選びたい」といった気持ちがあるのであれば、患者さんはできる限りQOLを落としたくないと考えているのかもしれません。ではQOLを落としたくない理由はなんでしょうか?「子供の結婚式に元気な姿で参列したい」「妻と海外旅行に行きたい」「会社経営をしていて、まだ現場を離れられない」そんな背景があるなら、それを治療方針に反映させなくてはなりません。「どんな治療を受けたいと思っているのか」「どんな人生を送りたいと考えているのか」といった思いが、“余命への疑問”の背後に隠れている可能性があるのです。そのためには、ご本人だけでなく、ご家族の考えも知っておかねばなりません。このように、安易に予後を数字だけで伝えても、まったくもって説明不足だということがおわかりいただけるかと思います。これでワンランクアップ!先生、私の余命はどのくらいなのでしょうか?テレビなどで余命という言葉をよく聞きますが、実は医師が余命を言い当てることはできないんです※1。私自身、これまで患者さんに「余命何ヵ月です」というような告知をしたことはありませんよ。いまからその理由を説明したいと思いますが、その前に、〇〇さんがなぜ余命について知りたいのか、教えていただけませんか?※2※1:「余命」に関する誤解は丁寧に解こう。※2:余命を知りたい理由までしっかり聞く。

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HR+/HER2+の閉経前乳がん、卵巣機能抑制で予後改善/ESMO2024

 術前または術後補助化学療法を受けた閉経前のHR+/HER2+の早期乳がん患者において、内分泌療法に卵巣機能抑制を追加することで予後が有意に改善したことを、韓国・延世大学校医科大のSung Gwe Ahn氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2024)で発表した。 これまでの研究により、卵巣機能抑制と内分泌療法の併用により、閉経前のHR+の早期乳がん患者の無病生存期間(DFS)と全生存期間(OS)が改善することが示されている。しかし、これらの対象の多くはHER2-の乳がん患者であり、HER2+の乳がん患者におけるデータは限られている。 そこで研究グループは、国際共同第III相HERA試験のデータを後ろ向きに解析し、HR+/HER2+の閉経前の早期乳がん患者に卵巣機能抑制を追加することで予後が改善するかどうかを評価した。また、卵巣機能抑制に併用した内分泌療法(タモキシフェンまたはアロマターゼ阻害薬)による予後を比較した。 患者を、下記の4群に分け、(1)のタモキシフェン単独群vs.(2~4)の内分泌療法+卵巣機能抑制群、および(2)のタモキシフェン併用群vs.(3、4)のアロマターゼ阻害薬併用群のDFSとOSを評価した。追跡期間中央値は11.0年であった。(1)タモキシフェン単独 501例(2)タモキシフェン+卵巣機能抑制 269例(3)タモキシフェン+アロマターゼ阻害薬+卵巣機能抑制 140例(4)アロマターゼ阻害薬+卵巣機能抑制 55例 主な結果は以下のとおり。タモキシフェン単独vs.内分泌療法+卵巣機能抑制・解析には965例が含まれ、そのうち501例(51.9%)はタモキシフェン単独で、464例(48.1%)は卵巣機能抑制と内分泌療法(タモキシフェン269例[27.9%]、エキセメスタン195例[20.2%])を併用していた。・内分泌療法+卵巣機能抑制群の10年DFS率は70.9%、タモキシフェン単独群は59.6%で、内分泌療法の追加は予後の改善と独立して関連していた(ハザード比[HR]:0.68[95%信頼区間[CI]:0.53~0.88]、p<0.001)。・10年OS率は、内分泌療法+卵巣機能抑制群84.7%、タモキシフェン単独群74.0%で、併用群で有意に良好であった(HR:0.64[95%CI:0.46~0.89]、p<0.001)。・これらの結果は、トラスツズマブ併用の有無によらず同様の傾向にあった。タモキシフェンvs.アロマターゼ阻害薬・解析には、タモキシフェン+卵巣機能抑制群269例、タモキシフェン+アロマターゼ阻害薬+卵巣機能抑制群とアロマターゼ阻害薬+卵巣機能抑制群(以下、アロマターゼ阻害薬+免疫機能抑制群)195例が含まれた。・10年DFS率は、アロマターゼ阻害薬+免疫機能抑制群が78.7%、タモキシフェン+卵巣機能抑制群が65.2%であり、アロマターゼ阻害薬併用のほうが良好であった(HR:0.54[95%CI:0.38~0.75])。・10年OS率は、アロマターゼ阻害薬+免疫機能抑制群91.3%、タモキシフェン+卵巣機能抑制群79.7%であった(HR:0.48[95%CI:0.30~0.77])。・これらの結果は、トラスツズマブ併用の有無によらず同様の傾向にあった。

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転移を有する去勢抵抗性前立腺がんへのカボザンチニブ+アテゾリズマブ、OS最終結果(CONTACT-02)/ESMO2024

 新規ホルモン療法による1回の治療歴があり、転移を有する去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)に対し、カボザンチニブ+アテゾリズマブ併用療法は、2剤目の新規ホルモン療法と比較して全生存期間(OS)について良好な傾向がみられたものの(ハザード比[HR]:0.89)、統計学的有意差は確認されなかった。米国・ユタ大学のNeeraj Agarwal氏が、日本を含む国際共同第III相CONTACT-02試験のOS最終解析結果を、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2024)で報告した。 本試験については、主要評価項目の1つである無増悪生存期間(PFS)について、2剤目の新規ホルモン療法群と比較してカボザンチニブ+アテゾリズマブ群で有意に延長したことがすでに報告されている(HR:0.65、95%信頼区間[CI]:0.50~0.84、p=0.0007)。・対象:1剤の新規ホルモン療法後に進行した、測定可能な骨盤外の軟部組織転移を有するmCRPC患者(≧18歳、ECOG PS 0~1、mCRPCに対するドセタキセルの使用は許容) ・試験群(カボザンチニブ+アテゾリズマブ群):カボザンチニブ(1日1回、40mg)+アテゾリズマブ(3週ごと、1,200mg) 289例・対照群(2剤目の新規ホルモン療法群):アビラテロン(1日1回、100mg)+prednisone(1日2回、5mg)またはエンザルタミド(1日1回、160mg) 286例・評価項目:[主要評価項目]PFS ITT集団(無作為化された最初の400例)における盲検下独立中央判定(BICR)によるPFS、ITT集団におけるOS[副次評価項目]BICRによる奏効率(ORR)[その他の重要な評価項目]化学療法開始および症候性骨関連事象発生までの期間、QOL、安全性など・層別化因子:肝転移の有無、mCRPCに対するドセタキセル使用の有無など 主な結果は以下のとおり。・ベースライン時点における患者背景は両群でバランスがとれており、年齢中央値はともに71歳、アジア太平洋地域の症例は約20%ずつ含まれ、骨転移はカボザンチニブ+アテゾリズマブ群79% vs.2剤目の新規ホルモン療法群76%、内臓転移は38% vs.41%、肝転移はともに23%に認められた。1剤目の新規ホルモン療法の治療期間中央値は12.4ヵ月vs.11.9ヵ月であった。・追跡期間中央値24.0ヵ月におけるOS中央値は、カボザンチニブ+アテゾリズマブ群14.8ヵ月vs.2剤目の新規ホルモン療法群15.0ヵ月で、統計学的有意差はみられなかった(HR:0.89、95%CI:0.72~1.10、p=0.30)。・OSのサブグループ解析の結果、肝転移あり(HR:0.68、95%CI:0.47~1.00、p=0.051)および骨転移ありの症例(HR:0.79、95%CI:0.63~1.00、p=0.046)において、カボザンチニブ+アテゾリズマブ群で良好な傾向がみられた。・化学療法開始までの期間はカボザンチニブ+アテゾリズマブ群19.6ヵ月vs.2剤目の新規ホルモン療法群10.4ヵ月(HR:0.59、95%CI:0.45~0.77)、EORTC QLQ-C30スコア低下までの期間は4.1ヵ月vs.4.2ヵ月(HR:1.19、95%CI:0.94~1.51)、症候性骨関連事象発生までの期間は24.0ヵ月vs.17.3ヵ月(HR:0.73、95%CI:0.44~1.20)であった。・Grade3以上のTEAE(治療中に発現した有害事象)は、カボザンチニブ+アテゾリズマブ群56% vs.2剤目の新規ホルモン療法群26%で発現した。カボザンチニブ+アテゾリズマブ群で多くみられたのは、高血圧(8%)、貧血(8%)、疲労(6%)、下痢(5%)であった。・治療関連有害事象(TRAE)によりすべての治療が中止となったのは、カボザンチニブ+アテゾリズマブ群5% vs.2剤目の新規ホルモン療法群2%であった。・次治療として全身療法を受けた症例は、カボザンチニブ+アテゾリズマブ群132例 vs.2剤目の新規ホルモン療法群149例で、化学療法が74% vs.87%、新規ホルモン療法が33% vs.5%であった。 ディスカッサントを務めた米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校のRana McKay氏は、同試験はOSに有意差はみられなかったものの、PFSにおけるベネフィットが確認されたポジティブ試験とし、とくに肝転移を有する患者への治療はアンメットニーズとなっており、新しい治療法が必要とされているとコメントした。

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ALK陽性NSCLCにおける術後アレクチニブ、安全性の評価は?(ALINA)/WCLC2024

 切除可能なALK融合遺伝子陽性非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象とした国際共同第III相試験「ALINA試験」では、術後補助療法としてアレクチニブを用いた場合、プラチナベースの化学療法を用いた場合と比較して、無病生存期間(DFS)を有意に改善したことが報告されている1)。この結果を基に、本邦でもアレクチニブの術後補助療法での使用が承認されているが、ALINA試験におけるアレクチニブの用量は600mg×2/日であり、本邦における進行・再発時の使用および術後補助療法の承認用量とは異なっている。2024年9月7~10日に米国・サンディエゴで開催された世界肺がん学会(WCLC2024)で、堀之内 秀仁氏(国立がん研究センター中央病院 呼吸器内科)がALINA試験の安全性について詳細データを発表した。・試験デザイン:国際共同第III相非盲検無作為化比較試験・対象:未治療の切除可能なStageIB〜IIIA(UICC/AJCC第7版)のALK融合遺伝子陽性NSCLC患者・試験群(アレクチニブ群):アレクチニブ600mg(1日2回、2年間または再発まで) 130例・対照群(化学療法群):シスプラチン(不耐の場合はカルボプラチンに変更可能)+ペメトレキセドまたはビノレルビンまたはゲムシタビン(3週ごと4サイクルまたは再発まで) 127例・評価項目:[主要評価項目]DFS[その他の評価項目]中枢神経系再発に対するDFS(CNS DFS)、全生存期間(OS)、安全性など 主な結果は以下のとおり。・治療期間中央値はアレクチニブ群23.9ヵ月、化学療法群2.1ヵ月であり、アレクチニブ群の安全性追跡期間が長かった。・Grade3/4の有害事象(AE)の発現割合は、アレクチニブ群30%、化学療法群31%であり、Grade5のAEはいずれの群にも認められなかった。・AEにより減量、中断に至った患者の割合はそれぞれアレクチニブ群で26%、27%、化学療法群で10%、18%であった。・AEにより治療中止に至った患者の割合はアレクチニブ群で5%、化学療法群で13%であった。・アレクチニブ群で多く認められたAEは、CPK上昇(43.0%)、便秘(42.2%)、ASTもしくはALT上昇(43.8%)、血中ビリルビン上昇(39.1%)などであり、最初の発現までの期間中央値は投与1ヵ月以内が多かった。また、これらのAEの多くはグレードが低く、アレクチニブの投与中止には至らなかった。・安全性プロファイルは、進行・再発時の使用において報告されているものと同様であった。 堀之内氏は、アレクチニブ群の治療期間の長さとAEの発現割合、治療中止に至った患者の割合に触れたうえで、忍容性は良好で安全性プロファイルは管理可能なものであるとし、今回の結果を「DFS改善のベネフィットと併せて、術後補助療法としてのアレクチニブの使用が重要な新規標準治療であることを支持するものである」とまとめた。

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高悪性度のHR+/HER2-進行乳がん1次治療、化学療法と比べアベマシクリブ+ETが早期ORR良好(ABIGAIL)/ESMO2024

 予後不良の関連因子を有する、悪性度の高いホルモン受容体陽性HER2陰性(HR+/HER2-)進行乳がんに対する1次治療として、アベマシクリブと内分泌療法(ET)の併用は、化学療法に続いて同併用療法を実施する場合と比較して早期の奏効率(ORR)が高いことが示された。スペイン・Hospital San Juan de Dios de CordobaのJuan De la Haba Rodriguez氏は、非盲検無作為化多施設共同非劣性試験である第II相ABIGAIL試験の結果を、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2024)で報告した。・対象:高悪性度の基準(術後ET完了時の再発またはアロマターゼ阻害薬ベースのレジメン終了から36ヵ月以内、内臓転移、グレード3またはPgR陰性、LDH>1.5ULN)を1つ以上満たすHR+/HER2-進行乳がん患者(進行がんに対する治療歴なし、ECOG PS 0~1) ・試験群:アベマシクリブ(28日サイクルで1日2回、150mg)+レトロゾール(1日1回、2.5mg)またはフルベストラント(1、15、29日目、その後は月1回、500mg) 80例・対照群:パクリタキセル(28日サイクルで1、8、15日目、90mg/m2)を12週→アベマシクリブ+レトロゾールまたはフルベストラント 82例・評価項目:[主要評価項目]盲検下独立中央判定(BICR)による12週時点でのORR[副次評価項目]全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)、安全性など 主な結果は以下のとおり。・ベースライン時点での患者背景は両群でバランスがとれており、年齢中央値が試験群57歳vs.対照群60歳、ECOG PS 0が65% vs.64.3%、閉経後が68.7% vs.75.6%であった。・12週時点でのORRは試験群58.8% vs.対照群40.2%(オッズ比:2.11、95%信頼区間:1.13~3.96、p=0.0193)で、主要評価項目は達成された。・12週時点で、完全奏効(CR)はともに0%、部分奏効(PR)は試験群58.8% vs.対照群40.2%、安定(SD)は30.0% vs.45.2%、進行(PD)は1.2% vs.8.5%であった。・12週時点での試験治療下における有害事象(TEAE)は、両群でそれぞれ予測されたものであり、下痢(試験群68% vs.対照群23%)を除き、試験群でより良好または同等であった。 同試験は現在も進行中で、PFSを含むその他の副次評価項目や長期の有効性が評価される予定となっている。

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オンコマインDx、EGFRエクソン20挿入変異肺がんに対するamivantamab+化学療法のコンパニオン診断として承認/サーモフィッシャ

 サーモフィッシャーサイエンティフィックは2024年9月10日、次世代シーケンシングコンパニオン診断システム「オンコマインDx Target Test マルチCDxシステム(オンコマインDx)」に関して、Johnson & Johnson(法人名:ヤンセンファーマ)が申請中の「EGFR遺伝子エクソン20挿入変異を有する手術不能又は再発非小細胞肺がんに対するアミバンタマブと化学療法の併用療法」を対象としたコンパニオン診断システムとして、一部変更承認を取得したことを発表した。 この承認によりオンコマインDxは、非小細胞肺がんに対して8種類、甲状腺がんに対しては2ドライバー遺伝子、甲状腺髄様がんに対しては1ドライバー遺伝子の変異等を網羅するコンパニオン診断となった。非小細胞肺がん ●BRAF遺伝子V600E変異:ダブラフェニブ/トラメチニブ ●EGFR遺伝子変異(エクソン20挿入変異を除く):ゲフィチニブ、エルロチニブ、アファチニブ、オシメルチニブ、ダコミチニブ ●EGFR遺伝子エクソン20挿入変異:アミバンタマブ ●HER2遺伝子変異:トラスツズマブ デルクステカン ●ALK融合遺伝子:クリゾチニブ、アレクチニブ、ブリグチニブ、ロルラチニブ ●ROS1融合遺伝子:クリゾチニブ、エヌトレクチニブ ●RET融合遺伝子:セルペルカチニブ ●MET遺伝子エクソン14スキッピング変異:カプマチニブ、テポチニブ甲状腺がん ●RET融合遺伝子:セルペルカチニブ ●BRAF遺伝子V600E変異:エンコラフェニブ/ビニメチニブ甲状腺髄様がん ●RET遺伝子変異:セルペルカチニブ

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局所進行直腸がん、TNT+非手術的管理後の遠隔転移とctDNAによる予後予測(NO-CUT)/ESMO2024

 局所進行直腸がんでは、術前に化学療法や放射線療法を集中的に行って腫瘍縮小を最大限に図り、局所制御と遠隔転移のリスクを低減するTotal Neoadjuvant Therapy(TNT)が登場し、世界的な標準治療となりつつある。TNT後に臨床学的完全奏効(cCR)が得られた患者では非手術的管理も検討され、その後の局所転移は19~34%程度と報告されている。非手術的管理後の遠隔転移率と、ctDNA解析によるTNT後の奏効率のバイオマーカー探索を目的とした多施設単群第II相NO-CUT試験が行われ、イタリア・Niguarda Cancer CenterのAlessio Amatu氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2024)のPresidential Symposiumで初回の結果報告をした。・対象:pMMR/MSSの局所進行直腸がん、PS 0~1・方法:CAPOX療法4サイクルに続いて5週間の長時間化学放射線療法のTNTを行い、cCRが得られれば非手術的管理、得られなければ手術を行ったうえでフォローアップ。評価項目:[主要評価項目]30ヵ月時点で生存し、遠隔転移のない患者の割合(DRFS30)[副次評価項目]cCR率、非手術的管理群の臓器温存率 主な結果は以下のとおり。・2018~23年に180例がTNTを受け、164例(91%)がプロトコル通りに治療を完了し、46例(25.5%)がcCRを得て非手術的管理群に割り付けられた。追跡期間中央値は27(SD 3~27)ヵ月だった。・DRFS30は非手術的管理群97%、手術群74%、全体77%であった。・非手術的管理群の臓器温存率は85%(39/46例)だった。・局所再発は、非手術的管理群では15%、手術群では9%で発生した。2024年4月1日時点で、12例の死亡(6.6%)が報告された。内訳は有害事象1例、腫瘍進行9例、その他2例だった。・TNT後のリキッドバイオプシー解析では、ctDNA陰性例ではcCR率が高く、陽性例では手術の有無にかかわらず遠隔転移のリスクが高かった。手術後のctDNAの状態と無増悪生存期間(PFS)にも相関が見られた。その他のマルチオミクス解析は進行中となっている。 Amatu氏は「NO-CUT試験の主要評価項目は達成され、4人に1人がTNT療法によって非手術的管理のベネフィットを得られた。さらに非手術的管理群のDRFS30は97%、臓器温存率は85%と高い結果だった。今後のマルチオミクス解析によって非手術的管理の患者選択はさらに精緻にできるようになるだろう」とした。

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未治療TN乳がんへのカピバセルチブ、化学療法への上乗せ効果示さず(CAPItello-290)/ESMO2024

 切除不能な局所進行または転移を有する未治療のトリプルネガティブ(TN)乳がん患者を対象に、1次治療としてのカピバセルチブ+パクリタキセル併用療法の有効性および安全性を、プラセボ+パクリタキセルと比較した第III相CAPItello-290試験の結果、全生存期間(OS)は有意に改善しなかったものの、無増悪生存期間(PFS)の改善は認められたことを、米国・UT Southwestern Medical CenterのHeather L. McArthur氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2024)で発表した。・試験デザイン:第III相無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験・対象:切除不能な局所進行または転移を有し、全身療法を受けていないTN乳がん患者。6ヵ月以内(タキサン系の場合は12ヵ月以内)の術前・術後化学療法歴がある患者は除外された。・試験群(カピバセルチブ群):カピバセルチブ 400mgを1日2回(4週間サイクルの1~3週目の2~5日目)+パクリタキセル 80mg/m2(4週間サイクルの1~3週目の1日目) 404例・対照群(プラセボ群):プラセボを1日2回(4週間サイクルの1~3週目の2~5日目)+パクリタキセル 80mg/m2(4週間サイクルの1~3週目の1日目) 408例・評価項目:[主要評価項目]全患者集団およびPIK3CA/AKT1/PTEN遺伝子変異を有する患者集団におけるOS[主要副次評価項目]全患者集団およびPIK3CA/AKT1/PTEN変異を有する患者集団におけるPFS、安全性・層別化因子:内臓転移の有無、術前または術後化学療法歴の有無、地域・データカットオフ:2024年3月18日 主な結果は以下のとおり。・2019年7月~2022年2月に812例がランダム化された。・年齢中央値はカピバセルチブ群が54.0(範囲:26~85)歳、プラセボ群が53.0(範囲:25~87)歳、閉経後が65.1%および64.2%、内臓転移ありが70.3%および69.6%、de novoが39.9%および41.2%、術前または術後化学療法歴があったのは両群とも50.0%であった。・PIK3CA/AKT1/PTEN変異を認めたのは、カピバセルチブ群30.7%(124例)、プラセボ群30.6%(125例)であった。・全患者集団におけるOS中央値は、カピバセルチブ群17.7ヵ月(95%信頼区間[CI]:15.6~20.3)、プラセボ群18.0ヵ月(95%CI:15.3~20.3)であった(ハザード比[HR]:0.92[95%CI:0.78~1.08]、p=0.3239)。・PIK3CA/AKT1/PTEN変異を有する集団におけるOSは、カピバセルチブ群20.4ヵ月(95%CI:15.7~23.4)、プラセボ群20.4ヵ月(95%CI:14.6~26.9)であった(HR:1.05[95%CI:0.77~1.43]、p=0.7602)。・全患者集団におけるPFS中央値は、カピバセルチブ群5.6ヵ月(95%CI:5.4~7.1)、プラセボ群5.1ヵ月(95%CI:3.9~5.4)であった(HR:0.72[95%CI:0.61~0.84])。・PIK3CA/AKT1/PTEN変異を有する集団におけるPFS中央値は、カピバセルチブ群7.5ヵ月(95%CI:5.6~9.3)、プラセボ群5.6ヵ月(95%CI:5.3~5.7)であった(HR:0.70[95%CI:0.52~0.95])。・全患者集団における奏効率(ORR)は、カピバセルチブ群50.1%、プラセボ群37.6%であった(オッズ比[OR]:1.68[95%CI:1.27~2.23])。完全奏効(CR)は2.2%および1.2%、部分奏効(PR)は47.9%および36.3%であった。・PIK3CA/AKT1/PTEN変異を有する集団におけるORRは、カピバセルチブ群54.1%、プラセボ群41.9%であった(OR:1.63[95%CI:0.99~2.72])。CRは2.5%および1.6%、PRは51.6%および40.3%であった。・全患者集団における有害事象は、カピバセルチブ群98.0%(うちGrade3以上が58.0%)、プラセボ群95.1%(うちGrade3以上が38.8%)に発現した。新たな安全シグナルは認められなかった。

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オシメルチニブ耐性NSCLCへのamivantamab+化学療法、第2回OS中間解析(MARIPOSA-2)/ESMO2024

 オシメルチニブ単剤療法で病勢進行が認められたEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)患者において、amivantamab+化学療法±lazertinibの併用療法は、化学療法単独と比べて無増悪生存期間(PFS)を改善したことが、国際共同第III相無作為化比較試験「MARIPOSA-2試験」で報告されている。また、同時に実施された全生存期間(OS)の第1回中間解析において、amivantamab+化学療法の併用療法はOSも良好な傾向にあったことも報告されている1)。欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2024)において、英国・Royal Marsden HospitalのSanjay Popat氏がOSの第2回中間解析の結果を発表した。・試験デザイン:国際共同第III相無作為化比較試験・対象:オシメルチニブ単剤療法で病勢進行が認められたEGFR変異(exon19delまたはL858R)陽性NSCLC患者・試験群1(ALC群):amivantamab+lazertinib+化学療法(カルボプラチン+ペメトレキセド)263例・試験群2(AC群):amivantamab+化学療法(同上)131例・対照群(C群):化学療法(同上)263例・評価項目:[主要評価項目]盲検下独立中央判定(BICR)評価に基づくPFS(ALC群vs.C群、AC群vs.C群)[副次評価項目]全生存期間(OS)、症状進行までの期間(TTSP)、治療開始から後治療までの期間(TTST)、PFS2(後治療後のPFS)、安全性など[探索的評価項目]治療開始から中止までの期間(TTD)など・解析計画:OSの第2回中間解析は、75%のイベント発現時に実施することが事前に規定され、本解析の有意水準は両側α=0.0142であった。 今回は、AC群とC群の比較結果が報告された。報告された主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値18.1ヵ月時点におけるOS中央値は、AC群17.7ヵ月、C群15.3ヵ月であり、AC群が改善する傾向にあったが、今回の解析では統計学的有意差は認められなかった(ハザード比[HR]:0.73、95%信頼区間[CI]:0.54~0.99、p=0.039)。18ヵ月OS率は、それぞれ50%、40%であった。・TTSP中央値は、AC群16.0ヵ月、C群11.8ヵ月であり、AC群が長かった(HR:0.73、95%CI:0.55~0.96、p=0.026[層別log-rank検定])。・TTD中央値はAC群10.4ヵ月、C群4.5ヵ月であり、AC群が長かった(HR:0.42、95%CI:0.33~0.53、p<0.0001[層別log-rank検定])。18ヵ月時点の試験治療継続率は、それぞれ22%、4%であった。・TTST中央値は、AC群12.2ヵ月、C群6.6ヵ月であり、AC群が長かった(HR:0.51、95%CI:0.39~0.65、p<0.0001[層別log-rank検定])。・PFS2中央値は、AC群16.0ヵ月、C群11.6ヵ月であり、AC群が良好であった(HR:0.64、95%CI:0.48~0.85、p=0.002[層別log-rank検定])。18ヵ月PFS2率は、それぞれ39%、27%であった。 Popat氏は、本結果について「第2回OS中間解析においても、amivantamab+化学療法化学療法単独と比べてOSが良好な傾向がみられた。病勢進行後の評価項目についても、amivantamab+化学療法化学療法単独と比べて、持続的な改善が認められた」とまとめた。なお、本試験は継続中であり、OSの最終解析が予定されている。

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大阪医科薬科大学病院 化学療法センター【大学医局紹介~がん診療編】

山口 敏史 氏(化学療法センター センター長)由上 博喜 氏(化学療法センター 助教)松尾 奈々子 氏(化学療法センター 助教)亀石 眞 氏(化学療法センター レジデント)講座の基本情報医局独自の取り組み・特徴化学療法センターではあらゆるがん種の外来化学療法を実施・管理をしています。スタッフは化学療法チームと緩和ケアチームで構成され、常に連携してがん診療を行っています。化学療法チームは主に消化器がんを診療しており、標準治療のみならず新規薬剤による国際共同治験や臨床試験、ゲノム医療を実施しています。また、若手の育成の一環で国立がん研究センター中央・東病院、愛知県立がんセンターにおける研修が可能であり、これまで多くの先生が国内のトップオンコロジストや著名な緩和ケア医の薫陶を受けて帰局され活躍しています。医師の育成方針化学療法センターは消化器内科医局との連携が強く、腫瘍内科のみでは習得が難しい消化器疾患の管理や内視鏡など、消化器腫瘍を治療していくうえで必要不可欠な知識や技術を取得することが可能です。腫瘍内科と消化器内科の両輪で活躍することが可能であり、将来のライフプランに合わせて成長することができます。さらにセンター業務は化学療法や緩和ケアに専念することができる環境です。当センターは「がん患者のために」をスローガンに化学療法から緩和ケアに至るまで全人的ながん医療を提供できる医師の育成を目指しています。力を入れている治療/研究テーマ私たちの施設は、JCOGなどの臨床研究グループに所属し、消化器がんを対象とした臨床試験や治験に積極的に参加しており、実地診療や試験治療の中から、患者さんに最適な治療法を提供できるよう努めています。また、がん治療のエビデンス創出のため、企業に臨床試験を提案し、より良い治療を患者さんに届けることを目指しています。同医局でのがん診療/研究のやりがい、魅力私たちは、消化器内科の一部門としてがん治療を担当しています。腹腔内の原発不明がんなども診療しており、がん診療を幅広く行っています。また、消化器内科に所属しているため、医局内の連携がスムーズで、内視鏡治療が必要な際も迅速に対応できる体制が整っています。消化器内科という比較的大所帯の医局に所属していることもあり、多くの同僚と連携しながら診療に取り組める点が大きな魅力です。医学生/初期研修医へのメッセージがん診療は、治療開発が著しく進展している分野であり、多くの患者さんの生活を支えるやりがいがある仕事です。私たちの医局では、最先端の治療を学びつつ、実践的な経験を積むことができます。また、患者さんにとって最善の治療方針をチームで相談し決定する過程を通じて、多職種との協力を学ぶ機会も豊富です。がん治療に興味がある方、ぜひご連絡ください。国際学会にも参加、発表もこれまでの経歴初期研修中にがん治療に携わりたいと考えるようになり、幅広く消化器内科の経験が積める第II内科に入局しました。市中病院も含め6年間研鑽を積み、多くのがん患者さんと向き合う中で緩和ケアを学びたいという思いを持ち、現在は院内の緩和ケアチームで修練を積んでいます。同医局を選んだ理由化学療法センターでは、臨床と並行して日常的にクリニカル・クエスチョンを研究に結びつけ、医療の発展に貢献しています。そうした環境と密接に連携している当院の緩和ケアチームで学びたいと思いました。また、当医局では、専門分野を選んだ後も内視鏡を含む多様な働き方が可能であり、女性医師も多く、ロールモデルを見つけやすい点も魅力です。今後のキャリアプラン消化器関連の専門医取得後、現在は大学院生として学位取得を目指し先生方のご指導のもと臨床研究・論文作成にも取り組んでいます。各分野の専門家が集う緩和ケアチームでさらなる力を養い、今後に繋げていきたいと考えています。同医局を選んだ理由私は初期研修修了後、消化器内科に興味を持ちました。当医局は消化管・肝臓・胆膵・化学療法それぞれの専門グループで構成されており、互いが密に連携し、幅広い疾患やその病態に対応できる環境の良さから入局を決意しました。そして消化器内科医としてさまざまな症例を経験し、専門医取得後はとくにがん治療への関心が深まりました。現在学んでいること現在は化学療法グループに所属し、主に消化器がん患者様の病棟管理や、治験患者様の対応、臨床研究などを学んでいます。当グループは、がん薬物療法専門医を持つ多くの指導医が常在しています。目の前の患者様のことでも、クリニカルクエスチョンに関してでも、研究論文の進め方でも、何事も気軽に相談できます。時には疾患別のレクチャーを受けて薬物療法の理解を深める機会にも恵まれています。今後のキャリアプラン今後は論文執筆を進め学位取得を目指すとともに、がんセンター病院への留学を考えており、薬物治療の最前線に携わり将来当医局へ還元にしていくつもりです。大阪医科薬科大学病院 化学療法センター住所〒569-8686 大阪府高槻市大学町2-7問い合わせ先toshifumi.yamaguchi@ompu.ac.jp医局ホームページ化学療法センター大阪医科薬科大学第2内科専門医取得実績のある学会日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医日本内科学会 認定医、総合内科専門医日本癌治療認定医機構 癌治療認定医日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医日本消化器病学会 消化器病専門医日本内視鏡学会 内視鏡専門医研修プログラムの特徴(1)がん薬物療法専門医の取得とサブスぺシャリティの獲得消化器内科医局へ属することで、内科専門医研修を行うことができ、消化器内科医としての基本的手技や専門医の取得が可能です。がんセンターへの留学や他診療科と連携することで、がん薬物療法専門医や緩和ケア専門医の取得を目指します。(2)学位取得各スタッフが臨床研究指導から学会発表、国内・国際学会、論文作成に至るまでサポートし、学位取得が可能です。(3)国内留学国内の主要なハイボリュームセンターへの研修が可能です。これまで多くのスタッフが国立がんセンターなどで研鑽を積んでいます。

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NSCLCへの周術期デュルバルマブ、OS・DFSの改善は?(AEGEAN)/WCLC2024

 切除可能な非小細胞肺がん(NSCLC)において、術前補助化学療法に周術期デュルバルマブを上乗せすることで、無イベント生存期間(EFS)と病理学的完全奏効(pCR)を改善したことが、国際共同第III相試験「AEGEAN試験」のEFSの第1回中間解析およびpCRの最終解析において報告されている1)。2024年9月7~10日に米国・サンディエゴで開催された世界肺がん学会(WCLC2024)において、AEGEAN試験の事前に規定されたEFSの第2回中間解析、全生存期間(OS)および無病生存期間(DFS)の第1回中間解析の結果が報告された。EFSの第2回中間解析においても、引き続きEFSの改善傾向がみられ、DFSの臨床的に意義のある改善が認められた。また、OSについても改善傾向がみられた。米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのJohn V. Heymach氏が、本研究結果を発表した。・試験デザイン:国際共同第III相無作為化比較試験・対象:未治療の切除可能なStageIIA〜IIIB(AJCC第8版)のNSCLC患者・試験群(デュルバルマブ群):デュルバルマブ+プラチナ併用化学療法(3週ごと4サイクル)→手術→デュルバルマブ(4週ごと12サイクル) 400例・対照群(プラセボ群):プラセボ+プラチナ併用化学療法(3週ごと4サイクル)→手術→プラセボ(4週ごと12サイクル) 402例・評価項目:[主要評価項目]盲検下独立中央判定(BICR)に基づくEFS、pCR[主要な副次評価項目]病理学的奏効、BICRに基づくDFS、OS 主な結果は以下のとおり。・EFSの第2回中間解析時点において、すべての患者が試験治療を終了していた。・術後補助療法を開始した患者のうち、デュルバルマブ群の68.6%(166/242例)、プラセボ群の63.7%(151/237例)が治療を完遂した。・EFS中央値はデュルバルマブ群未到達、プラセボ群30.0ヵ月であり、デュルバルマブ群で引き続き改善する傾向がみられた(層別ハザード比[HR]:0.69、95%信頼区間[CI]:0.55~0.88)。3年EFS率は、それぞれ60.1%、47.9%であった。・術前補助化学療法に用いたプラチナ製剤別にEFSを比較すると、いずれのサブグループでもデュルバルマブ群が良好な傾向にあった。シスプラチンを用いたサブグループにおけるEFS中央値はデュルバルマブ群未到達、プラセボ群45.0ヵ月であり(HR:0.85、95%CI:0.35~0.93)、カルボプラチンを用いたサブグループでは、それぞれ未到達、26.2ヵ月であった(同:0.75、0.57~0.97)。・術後補助療法の有無別にEFSを比較すると、術後補助療法を受けたサブグループでデュルバルマブ群のベネフィットが大きい傾向にあった。術後補助療法を受けたサブグループにおけるEFS中央値は両群で未到達であり(HR:0.62、95%CI:0.44~0.86)、術後補助療法を受けていないサブグループでは、それぞれ5.1ヵ月、5.2ヵ月であった(同:0.83、0.60~1.14)。・pCR達成の有無別にEFSを比較すると、いずれのサブグループでもデュルバルマブ群が良好な傾向にあった。pCR達成のサブグループにおけるEFS中央値は両群で未到達であり(HR:0.73、95%CI:0.22~3.28)、pCR未達成のサブグループでは、それぞれ41.2ヵ月、25.9ヵ月であった(同:0.81、0.64~1.03)。・DFS中央値は両群で未到達であった(層別HR:0.66、95%CI:0.47~0.92、層別log-rank検定のp=0.0137)。デュルバルマブ群でDFSが改善する傾向にあったが、本解析における有意水準は0.0123であり、統計学的有意差は認められなかった。3年DFS率は、それぞれ71.2%、61.4%であった。・OS中央値は両群で未到達であった(層別HR:0.89、95%CI:0.70~1.14)。デュルバルマブ群でOSが改善する傾向にあり、3年OS率は、それぞれ67.1%、63.9%であった。なお、本解析時点におけるOSの成熟度は35.3%であった。・Grade3/4の治療関連有害事象は、試験期間全体ではデュルバルマブ群33.4%(134/401例)、プラセボ群33.4%(133/398例)に認められ、術後補助療法の期間中ではそれぞれ7.5%(20/266例)、3.5%(9/254例)に認められた。 Heymach氏は、本研究結果について「米国食品医薬品局(FDA)が切除可能なNSCLCの周術期の治療薬として承認したデュルバルマブが、切除可能なNSCLC患者の新たな治療選択肢の1つとなることを支持するものである」とまとめた。

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