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3剤の降圧薬を処方しても降圧できないときの4剤目、5剤目

 利尿薬を含めた3剤併用によっても降圧目標に至らないケースは、わが国の実地医科における報告でも13%、ハイリスク例を数多く含み、プロトコルが順守される大規模臨床試験においてはその割合は30〜50%にまで上る。わが国で最も多く処方されている3剤併用療法は、ARB、Ca拮抗薬、利尿薬であるが、これら3剤を併用しても目標血圧に到達しない場合の次の処方を選択するエビデンスはほとんど見当たらない。 フランスで行われたオープン無作為化比較試験の結果によると、これら3剤に、4剤目としてアルドステロン拮抗薬、5剤目としてループ利尿薬を追加していく治療計画は、4剤目としてACE阻害薬、5剤目としてβ遮断薬を追加していく治療計画より有意に収縮期血圧を低下させた。この結果はJorunal of Hypertension誌8月号に発表された。 ARB、Ca拮抗薬、利尿薬の3剤併用によってもABPMで評価した昼間血圧が135/85mmHg未満に到達しない治療抵抗性高血圧患者167名が、下記の2つのグループに無作為化割り付けられた。2種の治療は、12週後のABPMで測定した昼間収縮期血圧が主要評価項目として検証された。順次的ネフロン遮断群 (n=85) 4剤目:アルドステロン拮抗薬(スピロノラクトン)25mg/日を追加 4週目未達の場合、5剤目:ループ利尿薬(フロセミド)20mg/日を追加 8週目未達の場合、フロセミドを40mg/日に増量 10週目未達の場合、6剤目:カリウム保持性利尿薬(アミロライド)5mg/日を追加順次的レニン・アンジオテンシン(RA)系遮断群 (n=82) 4剤目:ACE阻害薬(ラミプリル)5mg/日を追加 4週目未達の場合、ラミプリルを10mg/日に増量 8週目未達の場合、5剤目:β遮断薬ビソプロロールを5mg/日を追加 10週目未達の場合、ビソプロロール10mg/日に増量主な結果は下記のとおり。(1) 順次ネフロン遮断群で、順次RA系遮断群より昼間収縮期血圧を10mmHg低く降圧した  (P

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ARBを含まない3剤併用療法で1ヵ月以内に30mmHgの降圧を達成:レニン阻害薬+Ca拮抗薬+利尿薬

 今や、ARB+Ca拮抗薬+利尿薬の3剤併用療法が降圧治療におけるゴールデンスタンダードとして繁用されている。この3剤以外の併用療法で、強力な降圧効果が期待できる組み合わせは存在するのか?2009年、わが国においてもレニン阻害薬アリスキレン(販売名=ラジレス)が登場し、10余年ぶりの新しい作用機序の降圧薬が治療のラインナップとして加わったが、Lacourcière氏らはアリスキレンを含めた3剤併用療法が2剤併用療法に比べ、有意に強力な降圧効果を発揮することをJournal of Hypertension誌に発表した。なお、この論文は出版前の7月22日に公開された。3剤併用療法では降圧治療開始から2週以内に、2剤併用療法より優れた治療経過を示した。 Lacourcière氏らは中等度から重度の高血圧患者1,191名を対象に1〜4週の単盲検下でのプラセボ投与後、下記の降圧薬併用治療群に無作為に割り付け、4週経過後に強制的に投与量を倍増する治療を合計8週間行った。1) アリスキレン(150mg/日→300mg/日)+アムロジピン(5mg/日→10mg/日)2) アリスキレン(150mg/日→300mg/日)+ヒドロクロロチアジド(12.5mg/日→25mg/日)3) アムロジピン(5mg/日→10mg/日)+ヒドロクロロチアジド(12.5mg/日→25mg/日)4) アリスキレン(150mg/日→300mg/日)+アムロジピン(5mg/日→10mg/日)+ヒドロクロロチアジド(12.5mg/日→25mg/日)主な結果は下記のとおり。1. 3剤併用療法によって、ベースラインより4週目には-30.7/-15.9mmHg、8週目には  -37.9/-20.6mHgの降圧が得られ、この降圧度はどの2剤併用療法より有意に優れていた。2. 3剤併用療法によって、2週目にはすでに-27.8mmHgの降圧度を観測した。3. 24時間自由行動下血圧(ABPM)によって測定した24時間血圧、昼間血圧、夜間血圧においても  2剤併用療法より有意に優れた降圧度を示した。4. 降圧目標(140/90mmHg未満)達成率は  〔中等度および重症度例〕 62.3%  〔重症度のみ〕 57.5%

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薬剤師主導の介入により、プライマリ・ケアでの投薬過誤が低減

薬剤師の主導による情報技術ベースの介入により、プライマリ・ケアにおける投薬過誤が有意に低減することが、英国・ノッティンガム大学プライマリ・ケア科のAnthony J Avery氏らが実施したPINCER試験で示された。専門医の領域では、投薬の意志決定のサポートや医師の処方オーダーが電子化されるなど、投薬過誤防止における大きな進展がみられるが、プライマリ・ケアの現場では投薬の過誤が生じており、患者に重大な被害をもたらす場合がある。投薬過誤を抑制する有望な方法として、薬剤師主導の介入の有用性が示唆されているという。Lancet誌2012年4月7日号(オンライン版2012年2月21日号)掲載の報告。薬剤師主導の介入の有用性をクラスター無作為化試験で評価PINCER試験は、プライマリ・ケアにおける有害な薬剤処方のリスクの低減を目的に、薬剤師の主導による情報技術ベースの介入(PINCER)の有用性を評価する実践的なクラスター無作為化試験。登録されたプライマリ・ケア施設は、ベースラインのデータ収集後に電子化された投薬過誤のリスクのフィードバックのみを行う群(対照群)あるいはフィードバックに加えPINCERを行う群(PINCER群)に割り付けられた。PINCERでは、薬剤師の主催で、治療チームのメンバー(医師、看護師、管理者、受付)が電子化された投薬過誤情報のフィードバックについて検討する会議が開かれた。プライマリ・ケア医、患者、薬剤師、研究者、統計学者には割り付け情報がマスクされた。主要評価項目は、介入後6ヵ月の時点で、次の3つの臨床的に重大な過誤のいずれかが起きた患者の割合とした。1)消化性潰瘍の既往歴のある患者に、プロトンポンプ阻害薬(PPI)を併用せずに非選択的非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)を処方、2)喘息の既往歴のある患者にβ遮断薬を処方、3)75歳以上の患者に、投薬前15ヵ月間の腎機能や電解質の評価をせずに、長期的にACE阻害薬やループ利尿薬を処方。いずれの投薬過誤も有意に改善2006年7月11日~2007年8月8日までに英国の72のプライマリ・ケア施設が登録され、48万942人の患者が解析の対象となった。フォローアップ期間6ヵ月の時点で、消化性潰瘍の既往歴のある患者に対する胃保護なしの非選択的NSAIDの処方は、PINCER群で有意に少なかった(オッズ比[OR]:0.58、95%信頼区間[CI]:0.38~0.89)。喘息患者へのβ遮断薬の処方(OR:0.73、95%CI:0.58~0.91)、75歳以上の患者への適切なモニタリングなしのACE阻害薬、ループ利尿薬の長期投与(OR:0.51、95%CI:0.34~0.78)も、PINCER群で有意に低下していた。6ヵ月の時点で1つの投薬過誤の回避に対する最高支払意思額が75ポンドの場合、PINCERは費用効果があることが示された。著者は、「PINCERは、診療記録が電子化されたプライマリ・ケア施設において、投薬過誤を低減する方法として有効である」と結論している。(菅野守:医学ライター)

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ACC 2012 速報 経カテーテル的腎除神経術、降圧作用は3年間持続:Symplicity HTN-1

治療抵抗性高血圧に対し著明な降圧作用を示す「経カテーテル的腎除神経術」だが、その有用性は、少なくとも3年間は持続する可能性が示された。また当初「無効」と思われながら、のちに降圧作用が発現する患者も相当数、存在することが明らかになった。"Symplicity HTN-1" 3年間追跡データとして、米国オハイオ州立大学のPaul A. Sobotka氏が、一般口演にて報告した。Symplicity HTN-1は、治療抵抗性高血圧に対する「カテーテルを用いた腎動脈アブレーション」による、降圧の可能性を検討したコホート研究である。現在、153例が登録されている。利尿薬を含む3剤以上〔平均:5.1±1.4剤)の降圧薬服用にもかかわらず、収縮期血圧(SBP)は160mmHg以上が対象となった(血圧平均値:175/98mmHg)。追跡開始時の平均年齢は57歳。腎機能は、推算糸球体濾過率(eGFR)45ml/分/1.73m2未満が除外されているため、平均83±20mL/分/1.73m2に保たれていた。3年間の追跡が終了したのは、153例中24例である。追跡開始時からの降圧幅は「33/19mmHg」。2年間の追跡完了59例における「33/15mmHg」、2年半追跡24例の「33/14mmHg」からの減弱は観察されなかった。「SBP<140mmHg」達成率も、2年間追跡時、3年間追跡時とも40%前後で、差はなかった。興味深いのは、腎除神経術による降圧作用が経時的な増強傾向を示した点である。「SBP≧10mmHgの降圧」が認められた割合は、除神経術施行後1か月後の69%(143例中)から時間の経過にしたがい増加し、3年後には100%(24例中)となっていた。また、腎除神経術施行1か月後に「SBP≧10mmHgの降圧」が認められなかった45例でも、3ヶ月後には58%(45例中)で10mmHg以上の降圧を達成し、達成率は2年後に82%(17例中)、3年後では100%〔8例中)と増加傾向を示した。一方、腎除神経術の降圧作用が減弱するサブグループは、認められなかった。「年齢(65歳未満/以上)」、「糖尿病合併の有無」、「腎機能低下(eGFR60mL/分/1.73m2未満)の有無」にかかわらず、除神経によりSBP、拡張期血圧とも、著明に低下していた。重篤な有害事象は、3年間追跡でも認められなかった。腎機能の著明低下は認めず、また懸念されていた腎動脈狭窄は、中等度狭窄を1例に認めるも血行動態に影響はなく、介入の必要はなかったという。3例が死亡の転帰をとったが、いずれも腎除神経術とは無関係とのことだ。なお現在、シカゴ大学George Bakris氏を主任研究者とする無作為化試験 "Symplicity HTN-3" が進行している。治療抵抗性高血圧に対する腎除神経術による「イベント抑制作用」が検討される。来年3月には終了予定とのことで、結果が待たれる。

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重症型急性アルコール性肝炎に対するプレドニゾロン+N-アセチルシステイン併用療法

 死亡率が高い重症型急性アルコール性肝炎について、プレドニゾロン+N-アセチルシステイン併用療法が生存率を改善するかについて検討した試験が行われた。結果、1ヵ月生存率は上昇したが、主要転帰とした6ヵ月生存率は改善されなかったという。フランス・Picardy大学のEric Nguyen-Khac氏らが、174例を対象とした無作為化試験の結果、報告した。同疾患患者の死亡率は、グルココルチコイド治療を行っても6ヵ月以内の死亡率が35%と高い。NEJM誌2011年11月10日号掲載報告より。プレドニゾロン単独療法と、+N-アセチルシステイン併用療法とを比較 Nguyen-Khac氏らAAH-NAC(Acute Alcoholic Hepatitis–N-Acetylcysteine)研究グループは、2004~2009年にフランスの11大学病院に重症型急性アルコール性肝炎で入院した患者174例を対象に試験を行った。 被験者は無作為に、プレドニゾロン+N-アセチルシステイン併用療法を受ける群(85例)とプレドニゾロン単独療法を受ける群(89例)に無作為に割り付けられた。被験者は全員4週間にわたってプレドニゾロン40mg/日の経口投与を受け、そのうち併用群は最初の5日間にN-アセチルシステイン静注を受けた。同投与量は、1日目は150mg/kg体重を5%ブドウ糖液250mLに溶解したものを30分間、50mg/kgを同500mLに溶解したものを4時間、100mg/kgを同1,000mLに溶解したものを16時間かけて投与。2~5日目は、1日当たり100mg/kgを同1,000mLに溶解したものを投与した。 単独群はその間、5%ブドウ糖液1,000mLのみが投与された。試験中、腹水治療のための利尿薬投与などや門脈圧亢進症のためのβ遮断薬の使用は認められた。飲酒癖は本人任せであった。アセトアミノフェン、ペントキシフィリン、抗TNF-αの使用は禁止された。全患者は標準病院食(1日1,800~2,000kcal)を受けた。主要転帰6ヵ月生存、併用群のほうが低かったが有意差は認められず 主要転帰は6ヵ月での生存とした。結果、併用群(27%)のほうが単独群(38%)よりも低かったが有意ではなかった(P=0.07)。 副次転帰は、1ヵ月、3ヵ月の生存、肝炎の合併症、N-アセチルシステイン使用による有害事象、7~14日のビリルビン値の変化などであった。結果、1ヵ月時点の死亡率は併用群(8%)のほうが単独群(24%)よりも有意に低かったが(P=0.006)、3ヵ月時点では有意差は認められなくなっていた(22%対34%、P=0.06)。6ヵ月時点の肝腎症候群による死亡は、併用群(9%)のほうが単独群(22%)よりも低かった(P=0.02)。 多変量解析の結果、6ヵ月生存に関連する因子は、「年齢がより若いこと」「プロトロンビン時間がより短いこと」「基線のビリルビン値がより低いこと」「14日時点でのビリルビン値低下」であった(いずれもP<0.001)。 感染症は、単独群よりも併用群で頻度が高かった(P=0.001)。その他副作用は両群で同等であった。

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急性心不全へのnesiritideの有効性と安全性

急性心不全へのnesiritideについて、死亡や再入院の増減との関連は認められなかったが、標準治療への上乗せ効果についても呼吸困難への効果は小さく有意差は認められないことが、無作為化二重盲検プラセボ対照試験「ASCEND-HF」の結果、報告された。米国・デューク大学メディカルセンターのC.M. O’Connor氏らがNEJM誌2011年7月7日号で発表した。組み換え型B型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)製剤nesiritideは、急性心不全患者の呼吸困難を早期に緩和する治療薬として2001年に米国で承認されたが、その後の小規模無作為化試験データのプール解析で、プラセボとの比較で腎機能悪化が1.5倍、早期死亡が1.8倍に上ることが示され、独立委員会からnesiritideの有効性と安全性に関する大規模臨床試験の実施が勧告されていた。6時間時点と24時間時点の呼吸困難の変化の2つを主要エンドポイントにASCEND-HF(Acute Study of Clinical Effectiveness of Nesiritide in decompensated Heart Failure)試験は2007年5月~2010年8月にかけて、欧米、環太平洋アジアの398施設から急性心不全で入院した7,141例が登録され、標準治療(利尿薬、モルヒネ、他の血管拡張薬など)に加えてnesiritideあるいはプラセボを投与される群に無作為化され追跡された。nesiritideは、治験参加医師の裁量で任意の2μg/kgの静脈内ボーラス投与後、0.010μg/kg/分の持続点滴を24時間以上、最長7日間(168時間)投与された。主要エンドポイントは2つで、6時間時点と24時間時点の呼吸困難の変化であり、患者自身による7段階のリッカート尺度評価を用いて測定評価した。また、30日以内の心不全による再入院と全死因死亡を複合エンドポイントとし、安全性のエンドポイントについては、30日以内の全死因死亡、腎透析を要した腎機能悪化(推定糸球体濾過量低下が>25%)などが含まれた。無作為化後に治療を受けたintention-to-treat解析対象は7,007例(98%、nesiritide群:3,496例、プラセボ群:3,511例)だった。幅広く急性心不全患者へルーチン使用することは推奨できないと結論結果、呼吸困難の改善について「著しく」と「中程度に」を合わせた報告が、6時間時点でnesiritide群44.5% vs. プラセボ群42.1%(P=0.03)、24時間時点では同68.2% vs. 66.1%(P=0.007)と、いずれの時点でも、nesiritide群での報告が多かったが事前規定の有意差(両評価がP≦0.005かどちらかのP≦0.0025)には達していなかった。30日以内の心不全による再入院と全死因死亡は、nesiritide群9.4%、プラセボ群10.1%で、nesiritide群の絶対差は-0.7ポイント(95%信頼区間:-2.1~0.7、P=0.31)だった。また、30日時点の死亡率(nesiritide群:3.6% vs. プラセボ群:4.0%、絶対差:-0.4、95%信頼区間:-1.3~0.5)、腎機能悪化率(同31.4% vs. 29.5%、オッズ比:1.09、95%信頼区間:0.98~1.21、P=0.11)は有意差が認められなかった。しかし、低血圧症(中央値80mmHg)について、nesiritide群での有意な増大が認められた(26.6%対15.3%、P<0.001)。Connor氏は、「nesiritideの他療法と組み合わせての使用は、死亡率、再入院の増減とは関連しないが、呼吸困難に対する効果は小さく、有意な効果は認められなかった。また、腎機能悪化との関連も認められなかったが、低血圧症の増加との関連が認められた」と結論。結果を踏まえて「nesiritideを、急性心不全の患者に幅広くルーチン使用することは推奨できない」と提言している。(武藤まき:医療ライター)

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急性非代償性心不全患者へのループ利尿薬の投与戦略

急性非代償性心不全患者へのループ利尿薬投与について、急速静注と持続点滴、低用量と高用量それぞれ比較したが、いずれも全般的な症状改善や腎機能改善の程度に有意差は認められなかったことが示された。米国デューク大学医学校・ハートセンターのG. Michael Felker氏らが、300人超の急性非代償性心不全患者について行った、前向き無作為化二重盲検試験により明らかにしたもので、NEJM誌2011年3月3日号で発表した。急性非代償性心不全への基本となるループ利尿薬の投与法に関して、前向き試験も使用指針もほとんどなかった。投与後72時間の全般的症状とクレアチニン濃度の変化を比較研究グループは、急性非代償性心不全の患者308人について、無作為に2群に分け、フロセミドを12時間ごと急速静注または持続点滴を行った。さらにそれぞれの群について無作為に2群に分け、患者の従来の経口投与量と同等の「低用量投与」、あるいは従来用量の2.5倍の「高用量投与」を行った。用量補正はプロトコルに従い48時間後に行ってもよいこことされていた。主要エンドポイントは、72時間の全般的症状評価の視覚的アナログ尺度の曲線下面積(AUC)と、72時間後の血清クレアチニン濃度の変化の複合だった。急速静注と持続点滴、低用量と高用量、いずれも症状や腎機能改善に差はなし結果、全般的症状評価の指標であるAUC平均値は、急速静注が4,236(標準偏差:1,440)で持続点滴が4,373(同:1,404)と、両群に有意差はなかった(p=0.47)。血清クレアチニン濃度の平均変化幅も、急速静注が0.05(同:0.3)mg/dLで持続点滴が0.07(同:0.3)mg/dLと、両群に有意差はなかった(p=0.45)。高用量群と低用量群の比較においても、AUC平均値はそれぞれ4,430(標準偏差:1,401)と4,171(同:1,436)と、有意差はなかった(p=0.06)。高用量群と低用量群の血清クレアチニン濃度の平均変化幅も、それぞれ0.08(同:0.3)mg/dLと0.04(同:0.3)mg/dLと、有意差は認められなかった(p=0.21)。なお高用量群については、低用量群よりも利尿効果や体重減幅などは大きかったが、事前に規定した腎機能悪化は、低用量群より高率だった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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糖尿病とCAD有する患者への厳格血圧コントロール、心血管アウトカム改善認められず

高血圧治療ガイドラインでは、糖尿病患者の降圧目標は収縮期血圧130mmHg未満とする治療を行うことを提唱しているが、推奨値に関するデータは限られており、特に増大する冠動脈疾患(CAD)を有する糖尿病患者に関するデータは十分ではない。米国フロリダ大学のRhonda M. Cooper-DeHoff氏らは、糖尿病とCADを有する患者コホートにおいて、収縮期血圧コントロール達成と有害心血管アウトカムとの関連を評価することを目的に、「INVEST」試験参加者の観察サブグループ解析を行った。JAMA誌2010年7月7日号掲載より。厳格、通常、非コントロール群の有害心血管アウトカムを評価観察サブグループ解析が行われたのは、「INVEST」試験(International Verapamil SR-Trandolapril Study)参加者2万2,576人のうちの6,400人で、糖尿病とCADを有する50歳以上の人だった。参加者は、14ヵ国862施設から1997年9月~2000年12月の間に集められ、2003年3月まで追跡された。米国からの参加者の追跡評価は、全米死亡統計によって2008年8月まで行われた。INVEST参加者は、収縮期血圧130mmHg未満、拡張期血圧85mmHg未満を目標に、降圧薬治療の第一選択薬はCa拮抗薬あるいはβ遮断薬を用い、併用薬として、ACE阻害薬か利尿薬または両剤を服用した。Cooper-DeHoff氏らは、被験者を、血圧コントロールが130mmHg未満を保持している場合は厳格コントロール群に、130~140mmHg未満の場合は通常コントロール群に、140mmHg以上だった場合は非コントロール群に分類し、全死因死亡、非致死的心筋梗塞または非致死的脳卒中の初発を含む、有害心血管アウトカムを主要評価項目に検討した。主要アウトカム、通常群12.6%、厳格群12.7%、補正後ハザード比1.111万6,893患者・年の追跡調査の間、主要アウトカムイベントを呈した患者は、厳格コントロール群286人(12.7%)、通常コントロール群249人(12.6%)、非コントロール群431例(19.8%)だった。通常コントロール群 vs. 非コントロール群の心血管イベント発生率は、12.6%対19.8%だった(補正後ハザード比:1.46、95%信頼区間:1.25~1.71、P<0.001)。一方、通常コントロール群 vs. 厳格コントロール群は、12.6%対12.7%(同:1.11、0.93~1.32、P=0.24)で、ほとんど違いは存在しなかった。全死因死亡率については、厳格コントロール群は11.0%、通常コントロール群は10.2%(同:1.20、0.99~1.45、P=0.06)。延長追跡評価を含むと、同22.8%、21.8%(同:1.15、1.01~1.32、P=0.04)だった。上記結果から、「糖尿病とCADを有する患者における収縮期血圧の厳格なコントロールは、通常のコントロールと比べて心血管アウトカムの改善には関連が認められなかった」と結論した。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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ACE阻害薬+Ca拮抗薬、高リスク高血圧におけるCKD抑制効果が明らかに:ACCOMPLISH試験2次解析

 ACE阻害薬ベナゼプリル(商品名:チバセンなど)とCa拮抗薬アムロジピン(同:ノルバスク、アムロジンなど)の併用は、心血管疾患のリスクが高い高血圧患者において慢性腎臓病(CKD)の進行の抑制効果が高いことが、アメリカChicago 大学Pritzker医学校のGeorge L Bakris氏らが実施したACCOMPLISH試験の2次解析で明らかとなった。本試験は、主解析でベナゼプリルとアムロジピンの併用が、ベナゼプリルと利尿薬ヒドロクロロチアジド(同:ニュートライドなど)の併用よりも心血管疾患罹患率および死亡率の改善効果が優れることが示されたため、平均フォローアップ期間2.9年の時点で早期中止となっている。進行期腎症ではRA系抑制薬と利尿薬の併用で降圧効果が得られることが多くの試験で示されているが、CKDの進行に対する固定用量による降圧薬併用の効果を検討した試験はないという。Lancet誌2010年4月3日号(オンライン版2010年2月18日号)掲載の報告。CKDの進行を評価する事前に規定された2次解析 ACCOMPLISH試験は高リスク高血圧患者を対象としたプロスペクティブな二重盲検無作為化試験。今回、研究グループは、本試験の事前に規定された2次解析として固定用量のベナゼプリル+アムロジピンとベナゼプリル+ヒドロクロロチアジドのCKD抑制効果について評価した。 2003年10月~2005年5月までに、5ヵ国(アメリカ、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、フィンランド)から心血管イベントのリスクが高い55歳以上の高血圧患者11,506例が登録された。これらの患者が、ベナゼプリル(20mg/日)+アムロジピン群(5mg/日)群(5,744例)あるいはベナゼプリル(20mg/日)+ヒドロクロロチアジド(12.5mg/日)群(5,762例)に無作為に割り付けられた。 用量は、推奨目標血圧を達成するように、無作為割り付け後1ヵ月が経過して以降は個々の患者の病態に応じて漸増した。事前に規定されたエンドポイントであるCKDの進行は、血清クレアチニン値の2倍化あるいは末期腎不全の発症(推定糸球体濾過率<15mL/分/1.73m2あるいは要透析の診断)と定義した。ACE阻害薬+Ca拮抗薬でCKDの進行が48%抑制 試験終了時点で、143例(1%)のフォローアップが完遂できなかった(ベナゼプリル+アムロジピン群70例、ベナゼプリル+ヒドロクロロチアジド群73例)。無作為割り付けされたすべての症例がintention-to-treat解析の対象となった。 CKDの進行がみられたのは、ベナゼプリル+アムロジピン群が113例(2.0%)と、ベナゼプリル+ヒドロクロロチアジド群の215例(3.7%)に比べ有意に低下した(ハザード比:0.52、p<0.0001)。 CKD患者で最も高頻度にみられた有害事象は、末梢浮腫[ベナゼプリル+アムロジピン群33.7%(189/561例)、ベナゼプリル+ヒドロクロロチアジド群16.0%(85/532例)、p<0.0001]であった。CKD患者における血管浮腫の頻度は、ベナゼプリル+アムロジピン群の方が高かった(1.6% vs. 0.4%、p=0.04)。 非CKD患者では、ベナゼプリル+ヒドロクロロチアジド群でめまい(20.3% vs. 25.5%、p<0.0001)、低カリウム血症(0.1% vs. 0.3%、p=0.003)、低血圧(2.3% vs. 3.4%、p=0.0005)の頻度が高かった。 著者は、「ベナゼプリル+アムロジピン併用療法は、腎症の進行をより遅らせるため、ベナゼプリル+ヒドロクロロチアジド併用療法よりも優先的に考慮すべきである」と結論し、「これらの併用降圧治療のCKD抑制効果の優劣を確立するには、さらに進行した腎症を対象としたプロスペクティブ試験を行う必要がある」としている。

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利尿薬ベースの降圧療法、セカンドライン選択は?:住民ベースの症例対照研究

米国ワシントン大学心血管ヘルス研究ユニットのInbal Boger-Megiddo氏らは、利尿薬を第一選択薬とし降圧療法を受けている高血圧患者の、併用療法移行時の選択薬は、β遮断薬、Ca拮抗薬、RA系阻害薬いずれが至適かを明らかにするため、心筋梗塞および脳卒中の発生率を主要評価項目に、住民ベースの症例対照研究を行った。結果、Ca拮抗薬追加群の心筋梗塞発生リスクが、他の2群よりも高いことが明らかになったという。BMJ誌2010年2月6日号(オンライン版2010年1月25日号)より。症例群353例、対照群952例で検討研究グループは本研究を実施した背景について、「ALLHAT試験で、低用量利尿薬が第一選択薬としてCa拮抗薬やRA系阻害薬よりも優れていることが示唆され、そのエビデンスを踏まえたガイドラインが米英で作成されている。一方で、降圧療法を受ける高血圧患者の半数は併用療法を要する。だが利尿薬ベースの患者の心血管疾患予防を見据えたセカンドラインの選択薬はどれが至適か明らかになっておらず、米国NHLBI(National Heart, Lung, and Blood Institute)は、試験実施の勧告を出しているが、いまだ実施されていない」と述べている。試験は、ワシントン州シアトル市に拠点を置くヘルスケアシステム「Group Health Cooperative」の加入者データから、症例群353例、対照群952例の被験者を選定し行われた。症例群は、30~79歳の降圧療法を受けていた高血圧患者で、1989~2005年に致死性または非致死性の初回の心筋梗塞か脳卒中を発症したと診断記録があった人だった。対照群は、降圧療法を受けていた高血圧患者が無作為にGroup Health Cooperative加入者から選ばれた。なお、心不全、冠動脈疾患、糖尿病、慢性腎不全患者は除外された。+Ca拮抗薬は心筋梗塞リスクを増大する結果、心筋梗塞リスクについて、利尿薬+Ca拮抗薬群が、+RA系阻害薬群、+β遮断薬群よりも高いことが認められた。+β遮断薬群を基準とした、+Ca拮抗薬群の心筋梗塞リスクの補正後(年齢、性、服薬期間、喫煙、飲酒)オッズ比は、1.98(95%信頼区間:1.37~2.87)だった。脳卒中リスクについては、増大は認められず、オッズ比は1.02(同:0.63~1.64)だった。一方、+RA系阻害薬群の心筋梗塞および脳卒中リスクは、ともに有意ではなかったものの低く、心筋梗塞リスクの同オッズ比は0.76(同:0.52~1.11)、脳卒中は0.71(同:0.46~1.10)だった。研究グループは結果を踏まえ、「低リスクの高血圧患者を対象とした本試験で、セカンドラインにCa拮抗薬を選択することは、他の薬剤を選択するよりも心筋梗塞リスクが高いことが明らかになった。この結果はNIHCE(National Institute for Health and Clinical Excellence)ガイドラインを支持するもので、米国NHLBIが勧告する大規模試験を行うべきであろう」とまとめている。

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高血圧症治療薬「COZAAR」の高用量投与により総死亡および心不全による入院リスクが減少する

米国メルク社は、11月にオーランドで開催された第82回米国心臓協会(AHA: American Heart Association)学術集会において、高血圧症治療薬「COZAAR(一般名:ロサルタンカリウム錠)」の高用量投与による試験「HEAAL(Heart failure Endpoint evaluation of the A-II-Antagonist Losartan)」の結果を発表した。日本法人である万有製薬株式会社が2日に公表した。HEAAL試験の結果は11月17日(現地時間)、第82回米国心臓協会学術集会のレイトブレイキングセッションで発表された。HEAAL試験は、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬に忍容性のない心不全患者を対象に、COZAAR(日本販売名:ニューロタン錠/一般名:ロサルタンカリウム)の2種類の用量(50mg、150mg)における安全性および有効性について、30ヵ国255施設で実施されたもの。この試験の結果、150mgの1日1回投与は、同錠50mgを1日1回投与した場合に比べ、総死亡または心不全による入院リスクを有意に減少させたという。COZAARは、米国では慢性心不全患者の治療に適応を有していない。HEAAL試験で用いられた150mgの服用はいかなる適応に対しても承認されていないが、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(AIIA)、心血管系治療薬として、「高血圧症の単剤治療または利尿薬を含む他の降圧剤との併用治療」「左室肥大を伴う高血圧患者の脳卒中リスク低減。但しこの効果は黒人患者に対しては適用されない」「2型糖尿病および高血圧患者における血清クレアチニンの上昇及び蛋白尿(尿中アルブミン/クレアチニン比300mg/g以上)を伴う糖尿病性腎症の治療。この治療において、COZAARは、血清クレアチニン値倍増または末期腎不全(透析あるいは腎移植の必要性)をエンドポイントとして、腎機能低下率を低減させる」3つの適応が承認されている。詳細はプレスリリースへhttp://www.banyu.co.jp/content/corporate/newsroom/2009/merck_1202.html

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新規の血管拡張薬darusentan、治療抵抗性高血圧における降圧効果を確認

新規の選択的エンドセリンA受容体拮抗薬darusentanは、3剤以上の降圧薬を用いても降圧目標を達成できない治療抵抗性の高血圧患者にさらなる降圧をもたらすことが、アメリカNew York州立大学のMichael A Weber氏らが実施した無作為化試験で示された。治療抵抗性高血圧とは、利尿薬を含む3剤以上を推奨用量の上限または患者が耐用可能な最大用量まで使用しても降圧目標に到達しない場合と定義される。高血圧や糖尿病の患者の循環血中ではエンドセリン1が増加しており、その受容体を遮断するアプローチは治療抵抗性高血圧に有効な可能性があるという。Lancet誌2009年10月24日号(オンライン版2009年9月14日号)掲載の報告。117施設から登録された379例を3種の用量とプラセボに割り付け研究グループは、治療抵抗性高血圧患者における新たな血管拡張薬darusentanの降圧作用の評価を目的に、二重盲検プラセボ対照無作為化試験を行った。北米、南米、ヨーロッパ、ニュージーランド、オーストラリアの117施設から、利尿薬を含む3剤以上を上限量または最大耐用量まで投与しても収縮期血圧が≧140mmHg[糖尿病あるいは慢性腎臓病(CKD)がある場合は≧130mmHg]の患者379例が登録された。これらの患者が、darusentan 50mg(81例)、100mg(81例)、300mmHg(85例)、プラセボ(132例)をそれぞれ1日1回、14週間投与する群に無作為に割り付けられた。患者とすべての研究者には治療割り付け情報は知らされなかった。主要評価項目は、坐位の血圧(収縮期/拡張期)の変化とした。利尿薬との併用療法が新たな有効な治療戦略となる可能性も無作為割り付けされた全例が解析の対象となった。治療前後における診察室血圧の低下の平均値は、darusentan 50mg群が17/10、100mg群が18/10、300mg群が18/11、プラセボ群は9/5mmHgであり、プラセボに比べdarusentanの有意な降圧効果が認められた(p<0.0001)。主な有害事象は体液貯留に関連するもので、浮腫あるいは体液うっ滞の発現率がプラセボ群の14%に比べdarusentanは27%と高頻度であった。プラセボ群の1例が心突然死をきたし、3つのdarusentan群を合わせて5例に心臓関連の重篤な有害事象が見られた。著者は、「3剤以上の降圧薬を用いても目標血圧に至らない患者において、darusentanはさらなる降圧をもたらす」と結論し、「darusentanに、体液貯留対策を兼ねて有効な利尿薬を併用するアプローチは、治療抵抗性高血圧に対する新たな治療戦略として有効な可能性がある」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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ARB(テルミサルタン)と利尿薬の配合で降圧を可能に 「ミコンビ配合錠」発売

日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社とアステラス製薬株式会社は、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)のテルミサルタンとサイアザイド系利尿薬のヒドロクロロチアジド(HCTZ)の配合剤「ミコンビ配合錠」を23日に発売したと発表した。 高血圧治療ガイドライン2009(JSH2009)では、ARB単剤で降圧効果が不十分な場合は、ARBと少量の利尿薬との併用が推奨されている。作用機序の異なる両剤の併用により、相乗的な降圧効果とともに、血清カリウムに与える影響などを相殺することができると考えられているという。ミコンビ配合錠は、ARBテルミサルタンと少量利尿薬ヒドロクロロチアジド(HCTZ)12.5mgとの配合剤。1錠あたりテルミサルタン40mgを含有する「ミコンビ配合錠AP」と、1錠あたりテルミサルタン80mgを含有する「ミコンビ配合錠BP」の2種類の製剤が発売される。国内臨床試験において、「ミコンビ配合錠AP」は、治験終了時の収縮期血圧のベースラインからの血圧下降度が-23.3mmHgと極めて強力な降圧効果を示したとのこと。なお、同剤は、従来からのテルミサルタン製剤「ミカルディス錠」と同様に、日本ベーリンガーインゲルハイムが製造し、アステラス製薬が販売を行い、両社で共同販促(コ・プロモーション)する。詳細はプレスリリースへhttp://www.boehringer-ingelheim.co.jp/com/Home/Newscentre/pressrelease/news_detail.jsp?paramOid=3660(日本ベーリンガーインゲルハイム)http://www.astellas.com/jp/corporate/news/detail/arb.html(アステラス製薬)

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チアジド系降圧利尿剤 フルイトラン錠1mg新発売

塩野義製薬株式会社は15日、チアジド系降圧利尿剤「フルイトラン錠1㎎」(一般名:トリクロルメチアジド)を新発売した。フルイトランは、米国シェリング・プラウ社により開発され、1960年に米国で発売されたチアジド系降圧利尿剤トリクロルメチアジドの経口用製剤で、腎臓の遠位尿細管でナトリウムや水分の再吸収を抑え、体内の余分な水分を排出して尿の量を増やし、高血圧症の方々の心臓への負担を軽減する。現在、日本高血圧学会の高血圧治療ガイドライン2009(JSH2009)において、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)を含むレニン・アンジオテンシン系抑制薬と、少量の降圧利尿薬の併用療法が、降圧効果の相乗作用のみならず、電解質・糖代謝に対する副作用を相殺できる利点があるとして推奨されている。同社は「フルイトラン錠2㎎」を1960年より販売しているが、今回、少量製剤であるフルイトラン錠1mgを発売し、新たに医療現場に提供することで患者の利便性を向上させ、さらにARBである「イルベタン錠」と併用することで降圧効果の増強を図ることが可能になるとしている。詳細はプレスリリースへhttp://www.shionogi.co.jp/ir/news/detail/090515.pdf

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高血圧治療薬コディオが製造販売承認を取得

 ノバルティス ファーマ株式会社は21日、高血圧治療薬として、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB:AngiotensinII Type1 Receptor Blocker)の「ディオバン」(一般名:バルサルタン)と、サイアザイド系利尿薬のヒドロクロロチアジド(HCTZ)の配合剤である「コディオ配合錠MD」(バルサルタン/HCTZとして80mg/6.25mg)、「コディオ配合錠EX」(バルサルタン/HCTZとして80mg/12.5mg)の製造販売承認を取得したと発表した。 コディオは、ARBであるディオバンと少量の利尿薬の配合剤であり、異なる作用機序の薬剤を組み合わせることで降圧効果の増強が期待される。 国内臨床試験において、コディオ配合錠EXは、治験終了時の収縮期血圧のベースラインからの変化量が-22mmHgと強力な降圧効果を示し、投与開始後2週間で平均収縮期血圧140mmHg未満を達成する速い効果発現が確認されたという。同じく国内臨床試験の治験終了時においては、83.3%と高いレスポンダーレートを示したとのこと。詳細はプレスリリースへhttp://www.novartis.co.jp/news/2009/pr20090121_04.html

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ACE阻害薬、利尿薬とよりもCa拮抗薬との併用のほうが優れる:ACCOMPLISH試験

 米国の現行の高血圧治療ガイドライン(JNC 7)では、ハイリスクの高血圧患者に対してサイアザイド系利尿剤を含んだ併用療法を用いることを推奨しているが、最適な併用治療は十分に検討されていなかった。国際的な多施設共同試験ACCOMPLISHは、ACE阻害薬「ベナゼプリル」+ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬「アムロジピン」と、「ベナゼプリル」+サイアザイド系利尿薬「ヒドロクロロチアジド」とを比較したもので、ACE阻害薬+Ca拮抗薬併用療法のほうが、心血管イベントの減少効果が優れていることを報告した。NEJM誌2008年12月4日号より。アメリカ、北欧の計5ヵ国548施設から1万強が参加 ACCOMPLISH(Avoiding Cardiovascular Events through Combination Therapy in Patients Living with Systolic Hypertension)試験は多施設共同無作為化二重盲検試験で、アメリカ、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、フィンランドの5ヵ国548施設から参加した、心血管イベントリスクが高い高血圧患者1万1,506例(2003年10月登録開始)を、ベナゼプリル+アムロジピン併用療法群(Ca拮抗薬併用群)とベナゼプリル+ヒドロクロロチアジド併用療法群(利尿薬併用群)に割り付け行われた。 両群の患者基線値は同等。試験は、追跡平均36ヵ月時点で、事前規定の試験有効性の中止基準を上回ったため早期に終了された。Ca拮抗薬併用群のイベント発生は利尿薬併用群の2割減 平均血圧は、Ca拮抗薬併用群で131.6/73.3 mmHg、利尿薬併用群で132.5/74.4 mmHgで、目標血圧(140/90 mmHg以下)は前者75.4%、後者72.4%の達成率だった。 主要なアウトカムイベント(心血管系を原因とする死亡、心筋梗塞、脳卒中、狭心症による入院、突然の心停止後に蘇生、冠動脈血行再建)は、Ca拮抗薬併用群では552件(9.6%)だったが、利尿薬併用群では679件(11.8%)発生し、Ca拮抗薬併用群のイベント発生は利尿薬併用群の0.80倍(95%信頼区間:0.72~0.90、P

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薬物治療開始血圧値、降圧目標値ともに年々低下傾向 -「ケアネット 高血圧白書2004-2008」より-

ケアネットが提供するサービスに利用登録している医師(ケアネット会員医師)に対する「高血圧症に関する医師の治療意識」に関する5年間におよぶ調査結果より、薬物治療開始血圧値、降圧目標値ともに年々低下傾向にあることが明らかになった。ケアネットでは、毎年6月(2004年は5月に実施)に「高血圧症に関する医師の治療意識に関するインターネット調査」をケアネット会員医師に対し実施し、目標回収数を500名(2007年までは1,000名)とし、2004年より実施してきた。本調査項目の中から、「薬物治療開始血圧値」と「降圧目標値」に関する5年間におよぶ調査の結果がまとまったので以下に示す。「薬物治療開始血圧値」は、5年間で6.5~3.3mmHg低下高血圧患者の年齢区分別に「降圧薬の投与を開始する判断基準となる血圧値」を記入形式で尋ね、平均値を算出した。その結果、患者年齢が高いほど薬物治療の開始血圧値(平均)は高めだが、その値は年々低下し、年齢層間の差異は縮小しており、薬物治療に対し、積極的になっている傾向がうかがえた。 65歳未満患者: 151.8mmHg(2004年5月)→148.5mmHg(2008年6月)65~74歳患者: 155.1mmHg(2004年5月)→150.6mmHg(2008年6月)75歳以上患者: 160.4mmHg(2004年5月)→153.9mmHg(2008年6月)「降圧目標値」も、5年間で4.3~1.2mmHg低下高血圧患者の年齢区分別に「降圧治療の目標としている血圧値」を記入形式で尋ね、平均値を算出した。患者年齢が高いほど治療の目標血圧値(平均)は高めだが、その値は年々低下し、年齢層間の差異は縮小しており、血圧コントロールの重要性への認識が高まっていることがうかがえた。 65歳未満患者: 133.3mmHg(2004年)→132.1mmHg(2008年)65~74歳患者: 137.4mmHg(2004年)→135.4mmHg(2008年)75歳以上患者: 142.7mmHg(2004年)→138.4mmHg(2008年)後期高齢者の薬物治療には、まだ消極的「薬物治療開始血圧値」の回答分布をまとめたところ、患者の年齢が65歳未満においては、2004年調査では150mmHgを降圧薬の投与を開始する判断基準となる血圧値としている医師が最も多かったが(140mmHg:22%、150mmHg:37%、160mmHg:31%)、2008年調査で最も多かった「薬物治療開始血圧値」は140mmHgであった(140mmHg:36%、150mmHg:34%、160mmHg:19%)。一方、75歳以上の後期高齢者に対しては、2008年調査においても160mmHg以上になってから薬物治療を考慮する医師が全体の45%を占めた。すなわち、患者の血圧が140、150mmHgでは薬物治療を開始せず、しばらく生活習慣の改善を指導し、血圧が160mmHg付近に達した時点で、ようやく薬剤処方を検討するといった消極的な医師が多いことがうかがえる。10年前の常識が非常識になる!?これは「加齢に伴い血圧が高くなるのは生理現象であり、治療の必要性はない」、「収縮期血圧は“年齢+90mmHg”くらいを目安に」という考え方が長らく支配的であり、2000年6月に発表された「高血圧治療ガイドライン2000(JSH2000)」においても80-89歳の患者に対する薬物治療開始血圧値は「160~180mmHg以上/90mmHg以上」が推奨されていたことが影響していると考えられる。現在のJSH2004では“患者年齢に関わらず、生活習慣の修正を指導し、1~3ヵ月後に140/90mmHg以上なら降圧薬治療を開始すべき”と推奨しており、薬物治療開始を単純に血圧値での判断するようなものではないが、「薬物治療開始血圧値」は140/90mmHgである。また、本年5月には「80歳以上の高血圧患者に対しても薬物治療によって、脳卒中、心不全の発症率を抑えることができ、死亡率も低下する」という後期高齢者の降圧薬治療を支持する結果が発表されている1)。このHYVET(Hypertension in the Very Elderly Trial)と呼ばれる大規模介入試験は、80歳以上の収縮期高血圧症3,845例を対象に、利尿薬インダパミド±ACE阻害薬ペリンドプリルによる降圧薬治療群とプラセボ群を無作為化比較したものであり、降圧薬治療によって1次評価項目である「脳卒中発症」が30%低下し(p=0.06)、「総死亡」が21%低下した(p=0.02)。[詳しくはこちら]第31回高血圧学会学術総会でのディスカッションに期待!2009年1月、日本高血圧学会によりJSH2004が5年ぶりに改訂され、「高血圧治療ガイドライン2009(JSH2009)」が発行される予定である。今回は前述のHYVETなど2004年以降に発表された海外の大規模介入試験だけでなく、日本人を対象とした大規模介入試験もエビデンスとして取り入れられることになっており、注目が高まっている。なお、この新しいガイドラインの草案は、2008年10月11日に「第31回日本高血圧学会学術総会」の『特別企画 JSH2009ガイドライン』にて議論される予定である。このセッションにおいても『高齢者高血圧』は採り上げられており、樂木宏実氏(大阪大学大学院老年・腎臓内科学)の講演の後、指定討論者として桑島巌氏(東京都老人医療センター循環器科)という活発な討論が期待される本学術総会の目玉の1つである。 文献1) Beckett NS et al :N Engl J Med. 2008; 358: 1887-1898.(ケアネット 藤原 健次)

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α遮断薬の投与によって治療中の高血圧症例の尿中アルブミンが減少する

自治医科大学循環器科の苅尾七臣氏(=写真)らは、治療中の高血圧症患者に対するα遮断薬ドキサゾシンの就寝前投与によって、尿中アルブミン/クレアチニン比(urinary albumin/creatinine ratio、以下UAR)の有意な減少が認められたことをJournal of Hypertension誌6月号に発表した1)。これは厳格な早朝高血圧管理が臓器障害の発症抑制に及ぼす影響を検討することを目的としたJapan Morning Surge-1(JMS-1)試験より得られた結果で、α遮断薬の投与によって微量アルブミン尿が減少することを無作為化比較試験において証明した。以下、本試験の概要とこれまで得られていた知見を踏まえてレビューする。600例を越える治療中の高血圧症例を対象とした無作為化比較試験JMS-1試験では治療中の高血圧症患者611例がドキサゾシン群と対照群とに無作為に割り付けられ、6ヵ月後の血圧値(外来血圧、早朝血圧、就寝前血圧)とUARが評価された。ドキサゾシンは1~4mg/日を就寝前に投与された。対象の3人に2人はCa拮抗薬(ドキサゾシン群:66.6%、対照群:65.6%)が、約6割にARB(ドキサゾシン群:60.3%、対照群:57.5%)、約2割に利尿薬が投与されていた。また、約15%が糖尿病を合併しており(ドキサゾシン群:15.3%、対照群:16.5%)、238例(対象の39.0%)に微量アルブミン尿(UAR:30-300 mg/gCr)が認められた。ドキサゾシンの追加投与によって治療中の高血圧症例の血圧が有意に低下ドキサゾシンの投与によって試験期間中を通じて血圧値は対照群より低値でコントロールされ、6ヵ月後におけるドキサゾシン群と対照群の血圧差は、外来血圧で8.7/7.5mmHg、早朝血圧で8.9/6.0mmHg、就寝前血圧で4.8/4.0mmHgであり、いずれも有意な差を認めた。ドキサゾシンの投与によって尿中アルブミン/クレアチニン値が有意に減少UARはドキサゾシンの投与によって3.4mg/gCr減少し、対照群に比べて有意な差が認められた(p

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原発性高アルドステロン症、高血圧患者における有病率はそれほど高くない

治療抵抗性の高血圧患者では原発性高アルドステロン症の有病率が高いが、現在報告されているほどではなく、それゆえ高血圧患者一般の有病率も低いと推察されることが、20年以上をかけて集積した症例のレトロスペクティブな観察研究で明らかとなった。最近の報告では、一般的な高血圧患者の約10%が原発性高アルドステロン症(Conn症候群)に罹患しているとされるが、この高い有病率については疑問の声が上がっていた。アリストテレス大学Hippokration病院(ギリシャ、セサロニキ)のStella Douma氏らがLancet誌2008年6月7日号で報告した。ARRだけでなく、スピロノラクトン治療に対して反応した場合に確定診断研究グループは、治療抵抗性高血圧患者の大規模集団において原発性高アルドステロン症の有病率の評価を行った。外来通院中の治療抵抗性高血圧患者(利尿薬を含む3剤併用レジメンによる治療を行っても>140/90mmHgを示す患者)を対象に、血清アルドステロン濃度および血漿レニン活性を測定し、その比を算出した。陽性例[アルドステロン/レニン活性比(ARR)>65.16、アルドステロン濃度>416pmol/L]に対し、さらに塩分抑制検査(生理食塩水とフルドロコルチゾンを静注)を行い、原発性高アルドステロン症の診断はスピロノラクトン治療に対して反応した場合に確定診断とした。治療抵抗性高血圧における有病率は11.3%20年以上をかけて集積した治療抵抗性高血圧の1,616例について解析した。338例(20.9%)がARR>65.16、アルドステロン濃度>416 pmol/Lを満たした。塩分抑制検査に基づいて、183例(11.3%)が原発性高アルドステロン症と診断され、スピロノラクトン治療に反応したことから確定診断とした。このうち低カリウム血症が見られたのは83例(45.6%)のみであった。Douma氏は、「治療抵抗性高血圧患者では原発性高アルドステロン症の有病率が高いが、実質的に5つの既報のデータ(14~23%)よりは低い。それゆえ、一般の高血圧患者の有病率はずっと低いと推察される」と結論している。また、同氏は「5つの既報の研究の症例数は合計で418例にすぎない。これらの試験とわれわれのデータのプール解析では有病率は12.3%であり、試験間の不均一性を考慮した場合でも15.75%であった。したがって、一般的な高血圧患者における原発性高アルドステロン症のまん延を示唆する考え方は支持されない」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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