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学校でのワクチン接種プログラムに対し、多くの開業医が自院経営面への影響を懸念

 米国・CDC公衆衛生予防サービス部門のMcCormick EV氏らは、学校で行われる青年期ワクチン(思春期ワクチン)およびインフルエンザワクチンの接種に対する医師の考え方について調査を行った。コロラド州の開業医1,337人を対象とした調査の結果、大半の医師が学校でのワクチン接種を支持する一方で、診療所経営への影響について懸念を抱いていることが明らかとなった。著者は、「医師の民間保険加入者への接種に対する支持が少なく、受診児の減少と収入への影響が障壁となっていることが示されたが、さらなる調査が必要である」とまとめている。Pediatrics誌オンライン版2012年10月1日号の掲載報告。 2010年7月~9月の間に、コロラド州で開業している家庭医と小児科医1,337人に対し、メールで20項目にわたる質問を行った。 標準統計方法にて、学校でのワクチン接種プログラムに対する医師の支持と因子との関連オッズ比を、補正前、補正後について算出した。 主な結果は以下のとおり。・全体で943例の医師が調査適格であった。回答は、584例(62%)で得られた。・半数以上の医師が、学校での青年期ワクチンおよびインフルエンザワクチンの接種を支持した。・青年期ワクチン接種を支持する医師は、インフルエンザワクチン接種を支持する医師と比べ少なかった。・公的保険加入者へのワクチン接種を支持する医師は多かったが、民間保険加入者へのワクチン接種を支持する医師は少なかった。・一部の家庭医(32%)と小児科医(39%)は、学校でのワクチン接種は定期健康診断受診児の減少につながると考えていた。また回答者の半分が、学校でのワクチン接種は診療所の経営にネガティブな影響を与えると考えていた。・多変量解析の結果、診療所の経営面への影響を懸念する医師は、学校でのワクチン接種プログラムを支持しない傾向がみられた。関連医療トピックス ・ロタウイルスの血清型と流行【動画】 ・睡眠時間の増減が子どもの情緒・落ち着きに与える影響 ・小児臨床試験の潮流、感染症/ワクチン試験が23%と最も多くを占める

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睡眠時間の増減が子どもの情緒・落ち着きに与える影響

 カナダのGruber氏らは、睡眠時間の延長と短縮が及ぼす学校での子どもの振る舞いへの影響について報告した。Pediatrics誌オンライン版 2012年10月15日掲載報告。本試験は二重盲検で行われ、実験的に睡眠時間を平日の一般的な睡眠時間より1時間延長する群と、1時間短縮する群に無作為に割り付けて比較した。対象は7歳から11歳までの睡眠障害がなく、行動、健康状態、学業的な問題がない34人。主要アウトカムの評価は、学校の教師がConners' Global Index Scaleを用いて行った。主な結果は以下のとおり・睡眠時間の延長は累計27.36分で、Conners' Global Index Scaleによる情緒不安定、落ち着きのなさの改善と、有意な日中の眠気の減少が示された。・睡眠時間の短縮は累計54.04分で、Conners' Global Index Scaleの悪化が示された。・適度な睡眠時間の延長は注意力と感情の調節の改善に有意に寄与する一方で、睡眠時間の短縮は逆の効果を示した。関連医療トピックス ・ロタウイルスの血清型と流行【動画】 ・小児臨床試験の潮流、感染症/ワクチン試験が23%と最も多くを占める ・妊娠前の身体活動と母乳育児が、乳児の体重増加・肥満に及ぼす影響

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小児臨床試験の潮流、感染症/ワクチン試験が23%と最も多くを占める

 臨床試験はエビデンスベースの医学情報を生み出すゴールドスタンダードである。米国では近年の法律制定により、ClinicalTrials.govへの臨床試験登録が義務化され、これまでは不可能であった臨床試験計画の全体的な評価が可能になった。そこで米国・デューク大学医学校のPasquali SK氏らは、小児臨床試験のポートフォリオを明らかにするため、ClinicalTrials.govを解析した。著者は、「今回の解析結果は、小児臨床試験実施の判断情報としてステークホルダーに役立つものとなるであろう。また、小児保健を改善するための試験のあり方(インフラや方法論)を前進させる上でも役立つ可能性がある」と結論している。Pediatrics誌オンライン版2012年10月1日号の掲載報告。 解析は、2005年7月~2010年9月の間にClinicalTrials.govに登録された全ての介入試験を対象とし、小児試験(0~18歳の患者を登録)の特性、治療領域、実施場所、資金提供について描出した。 また第2の解析目的として、時間経過に伴う小児臨床試験の変化、非小児臨床試験との比較による特性の描出も行った。 主な結果は以下のとおり。・対象期間中の小児臨床試験は5,035件で、非小児臨床試験の10倍を超える登録があった。・新生児/乳児(neonates/infants)は、46.6%の試験で登録が適格であった。小児(children)は77.9%、青少年(adolescents)は45.2%であった。・小児臨床試験の約半分は登録被験者数が100例未満であった。非小児臨床試験と比べて予防療法に関する評価が多かった。・薬物療法を評価する小児臨床試験の割合は減少傾向にあり、Phase III~IV試験と比べてPhase 0~II試験が、より少なくなっていた。・最も多い試験は、感染症/ワクチン試験(23%)であった。次に、精神病治療/メンタルヘルス(13%)が続いた。・多くの試験は米国外で患者を登録したものであった。米国国立衛生研究所(NIH)や他の米連邦機関がスポンサーであった試験は15%未満であった。

1964.

『ボストン便り』(第42回)「神奈川県不活化ポリオワクチン政策の顛末」

星槎大学共生科学部教授ハーバード公衆衛生大学院リサーチ・フェロー細田 満和子(ほそだ みわこ)2012年10月17日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行※本記事は、MRIC by 医療ガバナンス学会より許可をいただき、同学会のメールマガジンで配信された記事を転載しております。紹介:ボストンはアメリカ東北部マサチューセッツ州の州都で、建国の地としての伝統を感じさせるとともに、革新的でラディカルな側面を持ち合わせている独特な街です。また、近郊も含めると単科・総合大学が100校くらいあり、世界中から研究者が集まってきています。そんなボストンから、保健医療や生活に関する話題をお届けします。(ブログはこちら→http://blog.goo.ne.jp/miwakohosoda/)*「ボストン便り」が本になりました。タイトルは『パブリックヘルス 市民が変える医療社会―アメリカ医療改革の現場から』(明石書店)。再構成し、大幅に加筆修正しましたので、ぜひお読み頂ければと思います。●不活化ポリオワクチン接種のスタート2012年9月1日から、ポリオの予防接種は、それまでの生ポリオワクチンから、不活化ポリオワクチンに転換しました。今まで受けてきた、生/不活化ワクチンの数によって、今後受けなくてはならない不活化ワクチンの数は様々になります。さらに11月からは、不活化ポリオワクチンとDPT(ジフテリア、百日咳、破傷風混合ワクチン)を合わせた4種混合が導入されます。また、現在は任意接種のインフルエンザ菌b型(ヒブ)や肺炎球菌、B型肝炎、ロタウイルスなども定期接種にすべきという意見も強くあり、自費で接種を希望される保護者も少なくありません。このようにしてワクチン接種のスケジュールはますます複雑になってきますが、確実に予防接種が遂行されるようにと、各地の自治体は保護者に対する説明や広報の活動を行っています。行政職員達の忙しさは容易に想像されますが、ただし、いままでも地方自治体は、生ポリオワクチンに対する危惧からの接種拒否や接種控えがおこり、接種率が低下するという問題に直面し、職員は対応に苦慮していました。この背景は、いままでの「ボストン便り」で何度も触れたように、ポリオの会や一部の小児科医の働きかけによって、生ポリオワクチンにより100万人に3~4名程度(公式には1.4人)が実際にポリオに罹患してしまうこと、それを避けるためには不活化ワクチンを接種するという方法がとられることが、広く知られるようになってきたからです。こうして、安全性の高い不活化ポリオワクチンを子どもに受けさせたいと思う親御さんが増えたのです。一部の医療機関で個人輸入として使用されていた不活化ポリオワクチンは有料で、医療機関によっても異なりますが1回4,000円から6,000円で、3回受けると12,000円から18,000円になります。生ワクチンなら公費で無料なのにもかかわらず、多くの親御さんたちが有料の不活化ワクチンを選んできました。安全なワクチンを受けたいという当然の事を主張する保護者に対して、これまでほとんどの行政は、「生ワクチンを打ってください」とか、「もう少しで不活化になります」と苦し紛れで対応してきました。しかし、こうした事からやっと解放されると、忙しさの中で職員達はむしろ喜んでいるのではないかとも推察されます。しかし、このような対応をせずに、不活化を希望する親御さんに対しては、それを提供できる体制を整えてきた自治体があります。神奈川県です。神奈川県では黒岩祐治知事の決断で、2011年末から、不活化ポリオワクチン体制を独自に整えてきました。これは国が不活化ポリオワクチンに切り替えたために2012年8月31日をもって終了しましたが、ここではその動きを振り返ってみたいと思います。●神奈川県知事の決断神奈川県では従来、生ポリオワクチンの接種率は100%に近く、毎年約8万人が接種していました。ところが、2011年10月の時点で、1万7000人が無接種という事態に陥りました。黒岩氏はこの急激な接種率の低下を、生ポリオワクチンによってポリオに罹ることを恐れた親御さんたちの気持ちだと受けとめました。さらに黒岩氏は、かつて厚生労働省の予防接種部会の構成員を務めたこともあり、世界の感染症状況にも関心が高く、当時、中国の新疆ウイグル地区で野生株由来のポリオの集団感染が報告されたことにも危機感を持っていました。ポリオは、世界で99%は解消されましたが、あと1%の壁がなかなか破れず、いまだ撲滅されていない感染症なのです。万が一にでもポリオが発生したら大変なことになってしまいます。そこで黒岩氏は、当時国内未承認であった不活化ポリオワクチン接種を、県独自の判断として実施することを決断したのです。ところが、この黒岩氏の決断に対して、厚生労働大臣である小宮山洋子氏は、2011年10月18日の閣議後の記者会見において、「望ましいと思っていない」と批判しました。「国民の不安をあおって、生ワクチンの接種を控えて免疫を持たない人が増える恐れがある」と。こうして国と県とでワクチン政策に関する対立が起こった形になりました。確かに、中国で集団感染が報告されるように、ポリオは未だ終わっていない世界の大問題ですから、ワクチン未接種の子どもたちがいたら大変なことが起きる、という小宮山氏の発言は大いにうなずけるものがあります。しかし、ポリオを発症する危険性のある生ワクチンを接種すべきいうことは、どうしても理解できません。なぜなら、予防接種によってポリオに罹ることのない不活化ワクチンがあるからです。どうして接種控えをしているのかというと、親は、万にひとつでも、生ワクチンでポリオを発症するようなことがあったら子どもに申し訳ないと思うからです。この不活化ワクチンを望む親御さんたちの気持ちは、黒岩氏には届いていても、小宮山氏には届いていないようでした。●神奈川県職員の奔走神奈川県が独自に不活化ポリオワクチンの接種をすると決めても、県職員の足並みは必ずしも揃っていたわけではありませんでした。当時の状況を良く知る方の話によると、当初、県立病院に入院している重症の子どもだけを対象に接種するということでお茶を濁そうとしていた職員もいたといいます。しかし、実務の担当者は、知事の熱意と「お母さん達からの心の叫び」に応えるために、急ピッチで準備をしました。ここでは、こうした県職員の方々へのヒアリングを基に、神奈川県における不活化ポリオワクチン体制について、ワクチンの確保、医師の確保、そして場所の確保という観点からみてみます。まず、ワクチンの確保についてです。不活化ポリオワクチンは、当時は国の薬事承認や国家検定をまだ受けていない未承認薬でした。よって医師たちは「薬監証明」を取って、未承認薬の不活化ポリオワクチンを輸入し、子どもたちに接種していました。この「薬監証明」は、医師が個人でとることはできても、県がとって輸入するということは、制度上できないものです。そこで、県の担当者は、厚生労働省の担当者と交渉した結果、解決策を見出しました。それは、神奈川県で接種に携わる医師の名簿を作成し、その医師がワクチンを使うということで厚生労働省から「薬監証明」を出してもらうという仕組みです。このエピソードから、厚生労働省は、表向きの制度論上は不活化ポリオワクチンに渋い顔をしていたものの、運用上は生ワクチンからの切り替えを容認していたことがうかがえます。次に、医師の確保についてです。担当者は、神奈川県立こども医療センターと上足柄病院から、接種をしてくれる医師を出してもらい、県立病院機構に非常勤職員として所属してもらうことにしました。ただし県立子ども医療センターは、ここが最後の砦という感じの重症のお子さんがたくさんいらっしゃるので、なかなか医師を出してはくれませんでした。しかし、比較的高齢の医師達に非常勤で来てもらうということで、やっと最後には合意を取り付けることができました。この県立病院機構の非常勤の医師達が、不活化ポリオワクチンを輸入するということで「薬監証明」をとり、接種できる体制にしました。最後に場所の確保についてです。予防接種の場所として、県の4か所の保健福祉事務所が使われることになりました。その際は、具体的な手順の調整が大変だったといいます。どんな順路にするか、エレベーターや階段は十分に行き来できるスペースがあるか、きょうだいを連れてくる人もいるだろうから、その子たちが待っている場所はどうするかなど。あらゆる可能性を考えて、接種場所の準備をしたということでした。このようにして整備されてきた不活化ポリオワクチン接種体制ですが、接種価格についても議論になりました。その結果、安易に無料化しない、ということで1回6,000円になりました。それは、神奈川県内で独自に不活化ポリオワクチンの接種を行っている医師達に配慮するためです。医師達は補償などのことも含めて、自分でリスクを考えつつ、赤ちゃんのために不活化ワクチンを個人輸入してきました。そこに県が無料でポリオワクチンを接種する事にしたら、医師達は受診してくれる子どもたちを失うことになります。不活化ワクチンを有料で提供するのは、「県も独自にドロをかぶってやる」という県の姿勢を示すためにも必要だったのです。●不活化ポリオワクチンの開始不活化ポリオワクチンの予約は2011年12月15日から開始され、2012年3月31日で終了しました。この間に申し込みをした予防接種希望者は、5,647人でした。申し込みの取り消しも3,033人いましたので、実際に接種をした数は2,614人でした。この2,614人の接種希望者が、不活化ワクチンを1回ないしは2回接種したので、合計の接種実施回数は4,036回となりました。この4,036回の接種の裏には、さまざまなドラマがありました。不活化ポリオワクチンの接種は、2012年1月から始まりましたが、インフルエンザが大流行したので、1月と2月は1日に25人くらいしか接種できませんでした。その結果、4月の中旬の時点では、848人の接種しか終わっていませんでした。そこで4月中旬以降は、7か所に接種場所を増やして、1日60人くらいのペースで対応してきました。また、初めてのことなので接種前の問診は時間をかけてやったといいます。さらに接種した後も会場で30分は休んでもらうようにしました。もちろん小さな子が30分飽きずに待っていられるような遊び場も会場に設置しました。4月のある日、平塚市の不活化ポリオワクチンの接種会場を訪ねました。ゆったりとしたスペースで、保護者の方が安心した様子でワクチンを赤ちゃんに受けさせていました。半数以上の方がカップルで来ていて、子どもの健康に父親も母親も一緒に取り組んでいこうとしている様子がうかがえました。●独自体制の不活化ポリオワクチンを終えて神奈川県の不活化ポリオワクチン提供体制の整備は、市町村や医師達にもさまざまな影響を与えました。市町村は、国の意向に従って生ポリオワクチンを推進することになっていますから、神奈川県の独自の動きに対して戸惑いを隠せないことは明らかです。そこで神奈川県では、市町村に「迷惑がかからないように」気を付けてきたそうです。市町村の推奨する生ワクチンに不安のある方だけを対象に、その方々の受け皿として生ポリオワクチンを提供するという姿勢を貫き、市町村の保健行政を「邪魔しない」ことを示しました。また、神奈川県内では、県が不活化を始めた事でやりやすくなったと考えて、民間の病院や診療所でも不活化ポリオワクチンを輸入して提供するところが増えてきました。この影響は、県の不活化ワクチンの体制に影響を及ぼしました。わざわざ遠い県の施設に行くまでもなく、近くのクリニックで受けられるようになったからと、予約のキャンセルが相次いだのです。すべてがこの理由という訳ではありませんが、最終的には、3,033人が申し込みの取り消しをしました。価格がほぼ同じならば、県の施設でも近くのクリニックでも同じという事で、保護者は利便性を選んだのでしょう。県の当初のもくろみ通り、民間の医療機関への配慮が生きてきた訳です。一連の不活化ワクチン接種において、ワクチンの安全性が問題になったという報告や重篤な副反応の報告は1例もありませんでした。●ワクチン問題は終わらない今回、全国的に公費での不活化ワクチンが導入されることになりましたが、ワクチン問題はこれで終わったわけではありません。二つの点から指摘したいと思います。ひとつ目は、予防接種の受け手の側の問題です。お母さんたちは、赤ちゃんのリスクを減らそうとして生ワクチンを避けて不活化ワクチンを求めましたが、せっかく予約をとったからといって、赤ちゃんに38度の熱があっても予防接種を受けにくるお母さんもいたといいます。担当者がいろいろ説明すると、「いいから打てよ」「ごちゃごちゃ言ってないで、黙って打てよ」などと言われることもあったといいます。体調がよくないのにワクチンを打ったとしたら、赤ちゃんにとってのリスクが逆に高まってしまうことが、なかなか理解されないのでしょう。不活化ポリオワクチンが始まり、やがて4種混合が加わり、現在の任意接種も次々に法定接種化しそうな状況の中で、ワクチンや健康一般に対する保護者の持つ知識や情報は、限りなく重要なものになってきます。言われたことに従う、話題になっているから飛びつく、ということでは子どもの健康は守れません。親御さん達には、自分が守るのだという自覚を持って、ワクチンの効果もリスクも勘案した上で、判断できるようになる必要があると思います。これはヘルスリテラシーといわれるもので、今後、保護者の方がヘルスリテラシーの重要性に気づき、学んでゆくことが課題になると思われます。ふたつ目は、ワクチン行政の問題です。なぜ10年以上も前から、多くの感染症専門家が生ポリオワクチンから不活化ポリオワクチンへ移行すべきと表明していながらも、なかなか変わらなかったのか、ということを明らかにしなくてはなりません。その原因を放置していては、また同じことが起きるでしょう。また、国産の4種混合ワクチンが開発されたとのことですが、症例数が十分であったかなど、審査の経緯に対する疑問の声も上がっています。この点に関しては、機会を改めて検証してみたいと思います。●地域から変わることへの期待「行政や国の対応に、このやり方がベストというものはない」と、神奈川県の担当者はおっしゃっていました。また、「大変でしたけど、今となってはいい経験でした」とも。それは、これまで医療は国が音頭をとってすることが多いと思っていたけれど、地域でできる事も多い、ということが分かったからでした。地域の住民に応えるためには、地域行政は独自に動くべきなのだ、という意識を行政職員が持つことはとても貴重だと思います。この方は、インタビューの最後にこのようにおっしゃっていました。「これ(不活化ポリオワクチン:筆者挿入)は『誰も反対できない話』なんです。みんな、早く不活化にするように思っているんです。それはお母さんたちの心の叫びだからです。この叫びの声に応えたいんです。神奈川は、知事がいたからできたんです。黒岩さんでなければできなかったでしょうね。すごい知事が来たもんで、部下はきついですけどね。」住民と近い場所にいる地域の行政が、住民の気持ちに沿った政策をすべきと声をあげて、自ら動いてゆくことで、国を動かすような大きな力となってゆくことがあるでしょう。これからの地域の動きへの期待は高まり、目が離せません。謝辞:本稿の執筆に当たっては、神奈川県の職員の方々に貴重なお話をうかがい、資料提供をして頂きました。この場を借りて御礼を申し上げます。また、ナビタスクリニックの谷本哲也医師には、医学的な表記を監修して頂き、感謝いたします。略歴:細田満和子(ほそだ みわこ)星槎大学教授。ハーバード公衆衛生大学院リサーチ・フェロー。博士(社会学)。1992年東京大学文学部社会学科卒業。同大学大学院修士・博士課程の後、02年から05年まで日本学術振興会特別研究員。コロンビア大学公衆衛生校アソシエイトを経て、ハーバード公衆衛生大学院フェローとなり、2012年10月より星槎大学客員研究員となり現職。主著に『「チーム医療」の理念と現実』(日本看護協会出版会)、『脳卒中を生きる意味―病いと障害の社会学』(青海社)、『パブリックヘルス市民が変える医療社会』(明石書店)。現在の関心は医療ガバナンス、日米の患者会のアドボカシー活動。

1965.

ワクチンをためらう親」に特徴的な因子とは?

 米国では「ワクチンをためらう親(vaccine-hesitant parents:VHPs)」が増えており、その多くは、MMRワクチンの接種控えという形で表出しているという。米国・ミシガン大学のGowda C氏らは、MMRワクチンに対する親の懸念の比重が、ためらいの程度によって異なるのか探索的研究を行った。その結果、親のワクチンに対する特有の懸念には、「ワクチン接種意向」に基づく多様な特徴があると報告。今後の啓発プログラムでは、そうした懸念を持つ親のためらいの程度に応じて、メッセージを修正していくべきであると提言した。Hum Vaccin Immunother誌オンライン版2012年10月2日号の掲載報告。 ミシガン州のMMRワクチンにためらいを有する親を対象に、横断的探索的分析を行った。 注目したアウトカムは、親のMMRワクチン接種意向で、11点尺度(点数が高いほどより強い意向を表す)で測定し、MMRワクチン接種への障壁の比重を、ワクチンのためらいレベルで評価した。 親の態度と評価の構成要素を同定することを目的とした探索的因子の分析を行った。それらが親のワクチンのためらいの程度に重要な因子として働き、差異をもたらしているのかを評価した。 主な結果は以下のとおり。・MMRワクチンためらいスクリーニングで初期陽性を示した、79例の親を解析対象とした。・サンプル中、47%の親においてワクチン接種意向が不確かであった。・さらに質問をしたところ、3分の1(33%)でワクチン接種意向に肯定的であった一方で、20%は否定的な考えを示した。・試験でみられた障壁を4つの因子に分類し検討した結果、ワクチン接種意向に否定的な親は、肯定的および態度があいまいな親と比較して、「リスク対ベネフィット」という因子のスコアが、統計学的に有意に高いことが認められた。また、否定的な親において「ワクチンの重要性」という因子の平均スコアは、肯定的および態度があいまいな親よりも統計的に有意に低かった。関連コンテンツ ・ロタウイルスワクチンの予防効果と安全性 ・ロタウイルスワクチンの定期接種、入院および死亡を低下

1966.

未就学児の子をもつ父母の育児ストレスと幸福度の要因は?

ノルウェーのSkreden氏らによって、未就学の子を持つ父母の育児ストレスと幸福度を比較し、育児ストレスの要因と、それらを心理的苦痛や不安と区別する検討が実施された。Scand J Public Health誌オンライン版2012年10月5日号の報告。対象は1~7歳の子を持つ256人の母親と204人の父親で、育児ストレスの評価にはスウェーデンの親子のストレス調査票(SPSQ)を用いた。幸福度は精神健康調査票28項目版(GHQ-28)、心理的苦痛や不安は状態不安尺度(STAI-X1)により評価した。その結果、父親は著しい社会的孤立が報告されたものの、母親に比べて役割の制限や無力感、状態不安は少なかった。また、SPSQ、GHQ-28、およびSTAI-X1によって、育児の役割と直接関連するストレスに苦しむ両親と、幸福度が減少した両親とを対比するスクリーニングが可能となると結論付けた。主な結果は以下のとおり。・父親では母親に比べて、著しい社会的孤立が報告された(p<0.001)が、他のすべての指標において、母親において父親より高いストレス値と低い幸福度が示された。・不安と心理的苦痛は、父親と母親の両方で育児ストレスの強い予測因子であった。・母親の育児ストレスの予測因子は、次の子の誕生と子どもの低年齢であった。・高学歴は父親の役割制限を増大させ、母親の健康問題を起こすと予測された。・SPSQ、GHQ-28、およびSTAI-X1の主成分分析(PCA)はすべてのエンドポイントに正の相関があることを示した。関連医療トピックス ・ロタウイルスワクチンの予防効果と安全性 ・ロタウイルスワクチンの定期接種、入院および死亡を低下 ・幼児の異物誤嚥、母親の知識は十分か?

1967.

ロタウイルスワクチンの定期接種、入院および死亡を低下

 マレーシア大学医療センターのLee WS氏らは、同国で隔離されたロタウイルスA (RV-A)遺伝子型について精査し、同国内のRV-Aワクチン定期接種の有効性を推定した。その結果、ロタウイルス胃腸炎関連の入院および死亡率の低下が推定でき、ワクチン定期接種は有効であるとまとめた。Hum Vaccin Immunother誌オンライン版2012年9月28日号の掲載報告。 2施設で2歳児からの情報を組み込んだ単純数理モデルを用いて、幼児のロタウイルス胃腸炎(RVGE)の入院に関する前向き試験を行った。モデルには、公表されているRV-Aの入院およびウイルス遺伝子型のデータ、幼児胃腸炎のデータと、2種類のRV-Aワクチン(商品名:ロタテック、ロタリックス)のウイルス遺伝子型特異的有効性のデータを組み込み検討した。 主な内容は以下のとおり。・ワクチン接種率95%との仮定において、RVGE関連の入院に対する全体的保護効果は、ロタテックが75.7~88.1%、ロタリックスが78.7~90.6%であった。・年間のRVGE関連死亡は、死亡34例からロタテックについては27~32例に、ロタリックスは28~32例への低下が推定された。

1968.

ニジェールの子どもの死亡率、MDG4達成を上回る勢いで低下

 西アフリカのニジェールでは、1998~2009年の5歳未満の子どもの死亡の年間低下率が5.1%に達し、ミレニアム開発目標4(MDG4)の達成に必要とされる4.3%を上回ったことが、米国・ジョンズ・ホプキンス・ブルームバーグ公衆衛生大学院のAgbessi Amouzou氏らが行った調査で明らかとなった。MDG4は、2015年までに5歳未満児の死亡率を1990年の水準の3分の1に削減することを目標とする。近年、ニジェールでは、近隣の他の西アフリカ諸国に比べ子どもの死亡率の大幅な低減が達成され、生存のための介入が積極的に進められているが、その実情はよくわかっていなかった。Lancet誌2012年9月29日号(オンライン版2012年9月20日号)掲載の報告。LiSTを用いて2009年の救済された子どもの生命を推算研究グループは、1998~2009年までにニジェールで実施された子どもの生存プログラムについて詳細な解析を行った。2010年の世帯調査に基づいて、1998~2009年の子どもおよび新生児の死亡率の新たな推算法を開発した。この期間に行われた8つの全国調査のデータを用いてカバレッジ指標を再計算し、1995年以降の妊婦、新生児、子どもの健康に関するプログラムおよび施策を記録した。生命救済ツール(Lives Saved Tool:LiST)を用いて2009年の救済された子どもの生命を推算した。5歳未満の子ども5万9,000人の生命を救済生児出生1,000人当たりの5歳未満の子どもの死亡率は、1998年の226人から2009年には128人へと43%低下した。年間低下率は5.1%で、MDG4の達成に必要とされる4.3%を上回った。これは近隣の低~中所得国であるベニンの2.2%、ブルキナファソの0.8%、チャドの0.9%、マリの1.8%、ナイジェリアの2.0%に比べはるかに高い値であった。発育不良は24~35ヵ月児でわずかに低下し、痩せは2歳未満の子どもで最も大きく改善し、約50%低下した。調査期間中に、子どもへのほとんどの生存介入のカバレッジが大幅に増加した。LiSTにより、2009年に5歳未満の子ども5万9,000人の生命が救済されたことが示された。そのうち25%が殺虫剤処理した蚊帳の導入、19%が栄養状態の改善、9%がビタミンAの補給、22%が経口補水塩と亜鉛の補給による下痢の治療および発熱、マラリア、小児肺炎の治療探索、11%はワクチン接種によるものであった。著者は、「ニジェールでは、誰でも利用できる環境づくり(ユニバーサル・アクセス)、母子保健の無料提供、栄養プログラムの地方への普及を支援する政府施策が、MDG4の達成に必要とされる以上の迅速さで子どもの死亡率を低下させたと考えられる」と結論している。

1969.

PCV13はPCV7よりも広範な防御を提供する可能性

 韓国・延世大学校医療院セブランス病院のKim DS氏らは、同国の小児ワクチン定期接種における小児肺炎球菌ワクチンについて、7価(PCV7)と13価(PCV13)の免疫原性と安全性に関して比較した。その結果、「PCV13の免疫原性と安全性が認められた。PCV13はPCV7よりも広範な防御を提供するだろう」と結論している。Pediatr Infect Dis J誌オンライン版2012年9月24日号の掲載報告。 健常な乳児180例を、無作為に1対1の割合でPCV13またはPCV7の接種群に割り付けた。接種は、生後2、4、6ヵ月+12ヵ月齢で行われた(3回接種+追加接種1回)。 3回接種後および追加接種後に、ELISA、オプソニン作用活性(OPA)アッセイを用いて免疫応答を測定し、IgG抗体価幾何平均濃度(GMCs)とOPA機能的抗体価幾何平均力価(GMTs)を算出し検討した。また、安全性について評価した。 主な内容は以下のとおり。・3回接種後、両ワクチンに共通する7つの血清型に関しては、IgG濃度≧0.35μg/mLレスポンダーの割合は、両群間で匹敵した値が示された(≧97.6%)。・IgG GMCsとOPA GMTsは、おおよそ同程度であったが、一部の血清型についてはPCV13群で、より低い傾向がみられた。・PCV13群に特有の6つの血清型については、IgG GMCsとOPA GMTsは、PCV13群で顕著に高かった。・PCV7はPCV13血清型の5および19AのIgG抗体価を上昇させたが、OPA反応はごくわずかだった。血清型の6Aは、IgGとOPA反応がともに上昇した。・これらの所見は、PCV7による防御が最少で一部であったこと、すなわち血清型6Aによる侵襲性肺炎球菌感染症の防御は認められたが、血清型5と19Aについては交差防御が認められなかったことと、整合性がとれていた。・4回目の接種後は、ほとんどの血清型が、3回接種後よりも高いIgG、OPA反応を示した。ただし血清型3と14のOPA反応のみ、4回目の接種後に上昇した。・ワクチンの安全性プロファイルは、同程度であった。

1970.

ロタウイルスワクチン接種、親の承認決定因子とは?

 カナダのロタウイルスワクチン接種率は、2008~2009年のサーベイ時点で20%未満であったという。カナダ・ケベック州国立公衆衛生研究所のDube E氏らは、ロタウイルスワクチン接種の親の承認に関する決定因子を調べた。主な決定因子は親の意向(intention)であり、個人的基準に基づく信用(personal normative beliefs)が影響を与えていることなどが明らかとなった。著者は「ヘルスプロモーションが、疾患やワクチンに関する親の知識や態度、信条に向けて行われるならば、ロタウイルスワクチン接種に対する受容性は高まるだろう」と提言した。Health Educ Res誌オンライン版2012年8月20日号の報告。 サーベイは、計画的行動理論(Theory of Planned Behavior)に基づき行われた。データは2相で収集された。 主な結果は以下のとおり。・初回インタビューを受けた親は413例、うち2回目も受けた親は394例であった(残存率95%)。・ほとんどの親(67%)が、ロタウイルスワクチン接種を受けさせようと思っていた。・親の意向と有意に関連する因子(第1相)として次のことが挙げられた。 1)子どもがワクチン接種を受けることが倫理的に正しいという認識(個人的基準に基づく信用) 2)ワクチン接種を受ける行動を配偶者が承認しているという認識(主観的基準) 3)子どもがワクチン接種を受けることの認知能力(行動コントロール感) 4)世帯収入・子どもにワクチン接種を受けさせたと報告した親(第2相)は、165例(42%)であった。・ワクチン接種行動(behavior)の主な決定因子は親の意向(intention)であり、個人的基準に基づく信用が、意向や行動に影響を与えていた。

1971.

ロタウイルスワクチン承認後、胃腸炎関連の救急コールサービスが減少

 ロタウイルスワクチン承認前後の地域救急コールサービスの変化を調べた結果、承認後は胃腸炎関連コールが減少し、そのピークが従来のロタウイルスシーズンよりも前倒しとなり、ノロウイルスとの関連を示すものに変化していたことが報告された。米国・ヴァンダービルト医科大学のWilliams DJ氏らがテネシー州で調べた結果で、「現在の地域の胃腸炎の病原体はノロウイルスであることが強調されるところとなった」と述べている。Pediatrics誌オンライン版2012年9月10日号の報告。 テネシー州の広域電話トリアージ・サービスにおける胃腸炎関連コールについて、ロタウイルスワクチン接種導入の影響を評価した。2004年5月1日~2010年4月30日の間、Vanderbilt Telephone Triage Programによる全コールサービスおよび胃腸炎関連コールサービスを受けた5歳未満児について調べた。 時系列ポアソン回帰モデルを用いて、ワクチン承認前(2004年5月~2007年4月)と承認後(2007年5月~2010年4月)の胃腸炎関連コールの週間比率を比較した。また独立モデルで、ロタウイルスシーズン(2~4月)と非ロタウイルスシーズン(5~1月)についても比較した 主な結果は以下のとおり。・全コール件数は15万6,362件、胃腸炎関連コールは1万9,731件であった。・胃腸炎関連コールの年間比率は、ロタウイルスワクチン承認後8%(95%信頼区間:3~12%)減少した。承認後3年間のロタウイルスシーズン期間中に31%から23%へと低下した。・非ロタウイルスシーズンには、低下は起きていなかった。・ワクチン承認後、ロタウイルス活性の低下と、胃腸炎関連のコール比率低下との関連が認められた。・ワクチン承認後の胃腸炎関連コール比率のピークは、ワクチン承認以前よりも早い段階に起きていた。またロタウイルスとの強い関連は認められず、代わってノロウイルス流行とかなり相関関係があることが示された。

1972.

新規ワクチン導入後の安全性を適正に検討するには?

 デンマーク・Aarhus大学病院のRasmussen TA氏らは、ワクチン接種と時間的関連はあるが起因とはなっていない背景疾患の発生数を予想し、小児の大規模ワクチン接種後に発生する有害事象の因果関係評価を補足するため、全デンマーク集団ベースのコホート研究を行った。同種の検討はこれまで行われていなかったという。結果を踏まえて著者は、「年齢、性、季節分布に基づく正確な背景疾患の発生率を組み込むことは、ワクチンの安全性評価を強化することにつながる。また新規ワクチン導入後に増大するリスクを議論するうえで、エビデンスベースの論点を提供することにもなる」と述べている。BMJ誌オンライン版9月17日号の掲載報告。 1980年1月1日以降出生の全新生児を対象とし、出生日から開始して、アウトカム設定した疾患で入院した日まで、または死亡、移住、18歳時点あるいは2009年12月31日まで追跡した。ワクチン接種率は82~93%であった。 急性伝染性または感染後多発性神経炎(ギラン・バレー症候群)、急性横断性脊髄炎、多発性視神経炎、顔面神経麻痺、アナフィラキシーショック、けいれん発作、多発性硬化症、自己免疫性血小板減少症、1型糖尿病、若年性関節炎または関節リウマチ、ナルコレプシー、原因不明の死亡の各発生率をアウトカムとして設定した(性、年齢、季節性で階層化)。 主な結果は以下のとおり。・新生児230万227人を追跡した。フォローアップ総計3,726万2,404人・年、追跡期間中央値16.8人・年であった。・アウトカム設定疾患の発生率は、自己免疫性血小板減少症0.32/100万人・年から、けいれん発作189.82/100万人・年までと、かなりの差があった。・最も頻度の高かったけいれん発作の発生率は、100万人・年当たり、1歳未満児475.43、1~3歳が593.49とピークで、その後は低下した(4~9歳47.24、10~17歳30.83)。・季節的な変動が最も顕著であったのは、アナフィラキシーショック(第1四半期と比べて第3四半期がほぼ3倍)、けいれん発作および多発性硬化症(冬に高率に発生)であった。・発生が稀なアウトカムおよびワクチンとの因果関係がないアウトカムも、仮定的ワクチンコホートにおいて多くのイベントを予想した。・たとえば、ワクチン接種後42日以内に起こる可能性として、100万児につき、1型糖尿病20例、若年性関節炎または関節リウマチ19例、顔面神経麻痺8例、多発性硬化症5例を予測した。

1973.

細胞培養インフルエンザワクチンの製造販売承認を申請

 バクスター株式会社は2日、細胞培養H5N1インフルエンザワクチンおよび細胞培養プロトタイプワクチンについて、9月19日付で厚生労働省に製造販売承認申請を行ったことを発表した。これは、武田薬品工業株式会社との細胞培養法によるインフルエンザワクチンの日本における共同開発と、同社による国内生産・供給に向けた取り組みの一環とのこと。 今回の製造販売承認申請は、国内において実施した第II/III相試験および世界11ヵ国において実施した臨床試験の結果に基づいて行われた。これらの試験では、細胞培養H5N1インフルエンザワクチンの安全性および免疫原性が評価されたという。 今回申請された細胞培養H5N1インフルエンザワクチンおよび細胞培養プロトタイプワクチンは、いずれも希少疾病用医薬品に指定されている。詳細はプレスリリースへhttp://www.baxter.co.jp/news_room/news_releases/2012/20121002.html

1974.

「小児の肺炎球菌」PCV7ワクチン導入で大きく減少

 欧州における7価肺炎球菌ワクチン(PCV7)導入後の状況について、フランス・Denis Diderot大学のWeil-Olivier C氏らが、レビュー報告を行った。欧州では2006~2008年の間に16ヵ国が順次、PCV7の定期接種(2~3回+ブースター1回)を導入し、現在は、PCV10、PCV 13の定期接種導入も進んでいる。BMC Infect Dis誌オンライン版9月7日号の掲載報告。 レビューは、2011年6月に欧州小児感染症学会(ESPID)が発表したサーベイランスデータに基づいた。PCV7導入後の欧州における肺炎球菌感染症の動向、PCV10および13の導入とその影響、小児市中肺炎(CAP)へのインパクト、蓄膿症や急性中耳炎(AOM)との関連、そしてPCV接種の役割とベネフィットなどについて考察した。 主な内容は以下のとおり。・PCV7定期接種導入により、小児の肺炎球菌感染症の疾患負荷は大きく減少した。(たとえば、英国<5歳IPD報告: 400件(2006年) →25件(2010年)、CAP入院19%減少など、ドイツ<2歳IPD報告: 20例/10万人・年(1997-2003年) →10例/10万人・年(2007-2008年)。・PCV7に含まれる血清型(4、6B、9V、14、18C、19F、23F)の分離株がみられることが大きく減った。(たとえば、2009年のドイツ<2歳全IPD例のうちPCV7血清型は12%)・一方で、非PCV7の血清型(例:1、7F、19A)の有病率が増加した。(たとえば、英国<5歳 非PCV7血清型例報告: 150例(2006年) →375例(2010年) など)・非PCV7血清型例の増加を受けて、PCV10、PCV13によって残る疾患負荷を減らす可能性を強調した。PCV7そしてPCV10、PCV13導入(2009年ドイツを皮切りに各国順次導入)は、侵襲性の疾患負荷および市中肺炎負荷を引き続き減少させる傾向がみられた。・肺炎球菌保菌のさらなる減少と、早期AOM感染予防の取り組み増大により、重症または難治性のAOMを予防できる可能性がみられた。・直近のサーベイランスは、より高価のワクチン(PCV10、PCV13)によって、非PCV血清型をカバーし肺炎およびAOMを予防することが、より有意に公衆衛生上の間接的ベネフィットをもたらすことを強調した。

1975.

DTaPワクチン5回接種後のワクチン効果持続期間は?

 ジフテリア・破傷風・無細胞性百日咳(DTaP)混合ワクチンの5回目接種後、その効果は時間経過に伴い低下し、1年経過するごとに百日咳に罹患するリスクは平均42%増加することが報告された。米国・Kaiser Permanente Vaccine Study CenterのNicola P. Klein氏らがケースコントロール試験の結果、明らかにした。米国では、小児に対し、DTaPワクチンの5回接種を行っているが、5回接種後のワクチン効果の持続期間については不明だった。NEJM誌2012年9月13日号掲載の報告。百日咳が確認された277例と、そのコントロール群2種を比較研究グループは、米国カリフォルニア州の健康保険プラン「Kaiser Permanente Northern California」の加入者で、2006~2011年にDTaPの5回接種を受けており、ポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)検査を受けた子どもを対象にケースコントロール試験を行った。PCRで百日咳の陽性が確認された277例と、そのコントロール群として、(1)DTaPワクチンの5回接種を受けたPCR陰性の小児3,318例、(2)年齢や性別、人種などをマッチングさせた小児6,086例を設定し、比較した。なお、調査期間中の2010年には大規模発生が起きており、その対象児も含まれている。百日咳に対する防御能は5年間で減弱結果、PCR陽性群はPCR陰性群やマッチング群に比べ、DTaPワクチン5回目接種を受けてから、より長い日数が経過していた(それぞれ、p<0.001、p=0.005)。DTaPワクチン5回目接種を受けてから、時間の経過とともにPCR陽性者の割合は増加し、接種後1~2年で2.4%、3~4年で10.4%、6~8年で18.5%だった。PCR陽性群とPCR陰性群を比較した場合、DTaPワクチン5回目接種を受けてから1年経過するごとに、百日咳罹患に関するオッズ比は1.42(95%信頼区間:1.21~1.66)と、同罹患リスクは毎年42%増加することが示された。著者は、「DTaPワクチン5回接種後、百日咳に対する防御能は5年間で減弱した」と結論している。

1976.

ロタウイルスワクチン接種、小児の胃腸炎による入院予防に効果

 ロタウイルスワクチン(商品名:ロタリックス、ロタテック)接種は、ロタウイルス胃腸炎小児の入院の予防に有効なことが、ベルギー・アントワープ大学のTessa Braeckman氏らの検討で示された。ロタウイルスは世界的に、小児の重篤な急性胃腸炎の最大の原因であり、高所得国では死亡例はまれだが、WHOはすべての国がロタウイルスワクチンを導入するよう勧告している。低・中所得国ではワクチンのルーチン接種の有効性が示されているが、高所得国におけるエビデンスは少なく、ベルギーはEUで最初のルーチン接種導入国だという。BMJ誌2012年9月1日号(オンライン版2012年8月8日号)掲載の報告。ロタウイルスワクチンの有効性を症例対照研究で評価研究グループは、小児のロタウイルス胃腸炎に対するロタウイルスワクチン接種の有効性を評価するために症例対照研究を実施した。2008年2月~2010年6月までに、ベルギーの39病院に入院したロタウイルス胃腸炎の小児215人(年齢中央値11ヵ月、男児51%)と、年齢、施設をマッチさせた対照276人(同:12ヵ月、54%)について解析を行った。ロタウイルス胃腸炎の診断はPCR法で確定した。すべての小児はロタウイルスワクチンの接種が可能な年齢(2006年10月1日以降に出生、生後14週以上)に達していた。ロタウイルス胃腸炎で入院した小児およびマッチさせた対照におけるロタウイルスワクチンの接種状況について検討した。単価ワクチン2回接種の入院予防率は90%1回以上のワクチン接種率は、ロタウイルス胃腸炎で入院した小児が48%(99人)と、対照群の91%(244人)に比べ有意に低かった(p

1977.

インフルエンザワクチン優先接種戦略、高齢化と獲得免疫が鍵

 世界各国にインフルエンザパンデミックへの対策プランがあり、ワクチン供給が不足した場合の優先接種方法が決められている。大半の国のプランは、他国やWHOの計画を基に作成されているが、オランダ・感染症疾病対策センターのAnna K Lugner氏らは、「各国の事情(人口構造、社会的接触パターン、医療システム、医療費構造)が異なるなかで、どのような優先接種方法が最も費用対効果に優れるのかは、これまで検証されていなかった」として、ドイツ、オランダ、イギリス3ヵ国を対象に4つの異なるワクチン戦略の費用対効果について比較検討する経済的疫学モデル研究を行った。BMJ誌2012年8月4日号(オンライン版2012年7月12日号)掲載報告より。想定パンデミック下で4つの戦略について3ヵ国の費用/QALYを算出し比較研究グループが検証したのは、異なる国で想定されるあらゆるインフルエンザパンデミックにおいても単一のインフルエンザワクチン接種戦略が費用対効果に優れるのかどうか、どの年齢群が資源注入によるベネフィットが最も高くワクチン接種を受けるべきか、また異なる国では異なる戦略が適用されるのかどうかについてだった。近接するが社会・文化的背景の異なるドイツ、オランダ、イギリス各国の社会的接触パターンや人口構造データを入手し、数理モデルを作成して解析した。各国で想定されるインフルエンザAウイルス伝播が描出された、ウイルス感受性・曝露・感染・リカバリー伝播を加味して作成した年齢群モデルを用いて、4つのワクチン接種戦略[ワクチン非接種、全員へワクチン接種、65歳以上高齢者へ接種、高伝播群(5~19歳)へ接種]を比較した。4つの戦略は、ワクチンがパンデミックの早期に接種可能だったかピーク時となったか、また全員がウイルス感受性が高く感染しやすい状態だったか、高齢者は免疫を獲得していたかについても評価された。主要評価項目は、1QALY(生活の質を調整した生存年)獲得に要する費用(費用/QALY)だった。高齢社会が顕著なドイツは65歳以上に、オランダとイギリスは5~19歳への接種戦略に軍配解析の結果、すべてのワクチン接種戦略が費用対効果に優れており、費用/QALYは非介入群と比較して介入群のほうが大きかった。費用/QALYの割合が大きかったのは、ワクチン接種がパンデミックピーク時となった場合、また高齢者が免疫を獲得していた場合だった。各国の1QALY獲得に要する費用は、ドイツが7,325ユーロ、オランダ1万216ユーロ、イギリス7,280ユーロだった。最も費用対効果に優れる至適戦略は、想定シナリオによってばかりでなく国によっても異なった。特にワクチンがパンデミック早期に接種可能な場合、また獲得免疫がなかった場合、最も費用効果に優れる接種戦略は、ドイツでは高齢者への接種戦略だったが(1QALY獲得に940ユーロ)、オランダとイギリスでは高伝播群への接種戦略だった(各国同525ユーロ、163ユーロ)。この違いは、ドイツでは高齢者の割合がオランダとイギリスに比べて有意に高いという各国人口構造の違いによるものだった。結果を踏まえLugner氏は、「どの国においても費用対効果に優れるという単一のワクチン接種戦略はなかった。今後、インフルエンザパンデミック緩和のための費用対効果に優れる選択肢の決定には、特に高齢者割合と獲得免疫が重要になるだろう」と結論している。

1978.

ロタウイルス胃腸炎疾患啓発サイト「産後ロタ.jp」オープン

MSD株式会社は24日、7月20日の5価経口弱毒生ロタウイルスワクチン「ロタテック内用液」の発売を機に、ロタウイルス胃腸炎疾患啓発サイト「産後ロタ.jp」(PCサイト:http://35-rota.jp/、携帯サイト:http://35-rota.jp/m/)を開設した。産後ロタ.jpでは、ロタウイルス胃腸炎の症状やその原因となるロタウイルスに関する解説のほか、予防ワクチンに関する情報提供や体験談、Q&Aなどを紹介している。また、ロタウイルス胃腸炎とワクチンに関する用語をわかりやすく解説する用語辞典もある。さらに、子どもが罹患した際の家族の負担などをマンガでわかりやすく紹介した「とある家庭のロタウイルス胃腸炎」や、実際に子どもがロタウイルス胃腸炎に罹った母親の声なども掲載している。詳細はプレスリリースへhttp://www.msd.co.jp/newsroom/msd-archive/2012/Pages/product_news_0724.aspx

1979.

妊婦への新型インフルエンザワクチン接種、出生児のリスク増大認められず

妊娠中へのアジュバント新型インフルエンザ(A/H1N1)ワクチン接種は、重大な先天異常や早産、胎児発育遅リスクを、非接種と比べて増大しないことが報告された。デンマーク・Statens Serum InstitutのBjo rn Pasternak氏らが、新生児5万例超の国内登録コホート試験で明らかにしたもので、JAMA誌2012年7月11日号で発表した。妊娠第1期の予防接種での重大先天異常リスクは接種群5.5%、非接種群4.5%研究グループは、2009年11月2日~2010年9月30日にデンマークで生まれた単胎児5万3,432例を対象とする登録コホート試験を行った。傾向スコアによるマッチング解析を行い、妊娠中のアジュバント新型インフルエンザワクチン(Pandemrix)接種の有無による、致死的転帰発生リスクを比較した。主要アウトカムは、重大な先天異常、早産、在胎齢に対する過少体重だった。母親が妊娠中にインフルエンザ予防接種を受けていたのは、13.1%(6,989例)だった。そのうち妊娠第1期の接種は345例、第2~3期接種は6,644例だった。妊娠第1期接種者についての傾向スコアマッチング(330例曝露群、330例非接種群)の結果、重大な先天異常が認められたのは接種群18例(5.5%)に対し、非接種群では15例(4.5%)だった(有病割合オッズ比:1.21、95%信頼区間:0.60~2.45)。早産、在胎齢に対する過少体重ともに、妊娠中ワクチン接種によるリスク増大認められず早産の発生についても、曝露群31例(9.4%)、非接種群24例(7.3%)と、有意なリスク増大は認められなかった(有病割合オッズ比:1.32、同:0.76~2.31)。早産については妊娠第2・第3期についても比較したが、同発生は第2・第3期接種群6,543例中302例(4.6%)、非接種群6,366例中295例(4.6%)と、リスク増大は認められなかった(有病割合オッズ比:1.00、同:0.84~1.17)。在胎齢に対する過少体重は、妊娠第1期では接種群25例(7.6%)、非接種群31例(9.4%)に認められた(有病割合オッズ比:0.79、同:0.46~1.37)。妊娠第2・第3期接種群では、6,642例中641例(9.7%)、同非接種群6,642例中657例(9.9%)だった(有病割合オッズ比:0.97、同:0.87~1.09)。

1980.

新型インフルエンザワクチン接種によるギラン・バレー症候群発症リスクは?

新型インフルエンザ(A/H1N1)ワクチン接種によるギラン・バレー症候群発症リスクは、小さいながら有意にあることが報告された。カナダ・Laval大学のPhilippe De Wals氏らが、ケベック州で地域住民対象のコホート試験を行い明らかにしたもので、JAMA誌2012年7月11日号で発表した。ケベック州では2009年秋に新型インフルエンザのパンデミックを受けてワクチン接種キャンペーンを展開した。その際多くの人がAS03アジュバントワクチン(Arepanrix)の接種を受け、年度末までに住民780万人のうち57%が同ワクチン接種を受けたという。ギラン・バレー症候群71人中、8週間以内のワクチン接種は25人研究グループは、2009年10月~10年3月の6ヵ月間、カナダのケベック州で住民ベースのコホート試験を行った。試験期間中にギラン・バレー症候群が疑われた、または診断された患者について、地域の医師からの報告と病院の退院報告書で確認した。インフルエンザワクチン接種については、地域の予防接種登録名簿などで確認し、ギラン・バレー症候群発症との関連を、ポアソンモデルと自己対照ケースシリーズ法で分析した。その結果、6ヵ月の試験期間中、ギラン・バレー症候群が83人に認められ、そのうち71人はブライトン分類評価で1~3であった。そのうち、発症前8週間以内に新型インフルエンザワクチンの接種を受けていたのは25人、そのうち19人が同4週間以内に接種を受けていた。発症リスク、ワクチン接種後8週間は1.8倍、4週間は2.75倍ポアソンモデル解析の結果、接種群のギラン・バレー症候群の確定診断に関する非接種群に対する年齢・性別補正後相対リスクは、接種後8週間は1.80(95%信頼区間:1.12~2.87)、同4週間は2.75(同:1.63~4.62)だった。自己対照ケースシリーズ法では、接種群のギラン・バレー症候群の確定診断(42人)に関する非接種群に対する年齢・性別補正後相対リスクは、接種後4週間は3.02(同:1.64~5.56)だった。ブライトン分類評価1~3(36人)についてみた場合のリスクは2.33(同:1.19~4.57)だった。ワクチン接種のギラン・バレー症候群発症への寄与リスクは、100万人当たり2人だった。Wals氏は、「ワクチン接種によるベネフィットは、リスクを上回るようだ」と結論している。

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