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新型コロナ既感染者におけるワクチンの効果

 新型コロナ既感染者におけるワクチンの効果について、米国・Cleveland ClinicのNabin K. Shrestha氏らが検討した結果、オミクロン株出現後の期間で、ワクチン接種により発症リスクが64%低下したことが示された。Clinical Infectious Diseases誌オンライン版2022年1月13日号に掲載。 本研究の対象は、新型コロナワクチン接種が開始された2020年12月16日にオハイオのCleveland Clinicで働いていた従業員で、接種開始前に一度でも拡散増幅検査で新型コロナウイルス陽性となったことがあれば既感染者とした。ほとんどの従業員はファイザー製もしくはモデルナ製のmRNAワクチンを接種しており、どちらも初回接種から28日後に2回目を接種し、2回目接種14日以降をワクチン接種者とみなした。新型コロナウイルス陽性、発症、入院の累積発生率を2021年12月まで調査した。 主な結果は以下のとおり。・5万2,238人の従業員中、既感染者は4,718人(9%)で、研究終了までに3万6,922人(71%)がワクチン接種を受けていた。・新型コロナウイルス陽性の累積発生率は、ワクチン未接種の未感染者が他のすべての群に比べて終始大幅に高く、ワクチン接種者が未接種者より低く、既感染者が未感染者より低かった。・オミクロン株出現後、すべての群で新型コロナウイルス陽性率が大幅に増加した。・多変量Cox比例ハザード回帰では、既感染とワクチン接種の両方が独立して、新型コロナウイルス陽性リスクが低いことと有意に関連していた。・既感染者がワクチン接種を受けた場合、オミクロン株出現前(ハザード比[HR]:0.60、95%信頼区間[CI]:0.40~0.90)とオミクロン株出現後(HR:0.36、95%CI:0.23~0.57)のどちらも、新型コロナ発症リスクは有意に低下した。新型コロナウイルス陽性リスクの低下はみられなかった。

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第95回 国会議員も特例承認薬より未承認の国産薬に期待大!?その理由とは…

オミクロン株による新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)は留まるところを知らない。2月5日には国内での検査陽性者数は初めて10万人を超えた。もっとも暗いニュースばかりではない。本連載でも取り上げたモルヌピラビル(商品名:ラゲブリオ)が昨年末に承認されたのに続き、この記事の公開日である2月11日にはファイザー製の3CLプロテアーゼ阻害薬のニルマトレルビル・リトナビル(商品名:パクスロビド)も特例承認されている見込みだ。3CLプロテアーゼ阻害薬に関しては、国内でも塩野義製薬が1日1回5日間投与の経口薬S-217622を開発中。2月7日には第II/III相臨床試験のPhase IIa partの結果が公表された。主要評価項目ではS-217622投与群はプラセボ群と比較し、投与開始4日目までにウイルス力価とウイルスRNA量を有意に減少させ、4日目のウイルス力価の陽性患者割合はプラセボ群と比較して約60~80%減少させたという。また、服用期間中の安全性については、臨床検査値の異常などは認められたものの、いずれも軽微なものだったと報告されている。今後、新型コロナの治療選択肢が増えるならば非常に喜ばしいニュースだが、この3日前、Twitter上でこの件に関するツイート(つぶやき)が炎上していたのをご存じの方も多いと思う。そのツイートは以下のようなものだ。塩野義製薬が開発中のワクチンと治療薬の治験報告に来ました。日本人対象の治験で副作用は既存薬より極めて少なく効能は他を圧しています。アメリカ政府からも問合せがある様です。ワクチンは5月めど治療薬は2月中にも供給は出来ます。外国承認をアリバイに石橋を叩いても渡らない厚労省を督促中です。ツイートの主は労働相、経産相の経験もある自民党前幹事長の甘利 明衆議院議員。甘利氏と言えば、2016年に道路建設をめぐり都市再生機構(UR都市機構)に対する口利きを依頼された千葉県の建設会社から現金などを受け取っていた疑惑で、内閣府特命担当大臣(経済財政政策)を辞任に追い込まれている。そうした「前科」とツイートの最後の一文の政治家による「圧力」とも受け取られかねない文言が相まって物議をかもした。いろいろな見方はあると思うが、さすがに看過できないと思い、私自身も引用リツイートという形でかなり批判的に反応した。ちなみに引用リツイートでどのようなことを書いたかというと、以下のようなものだ。「元経産相が上場企業のこの種の情報が株価に影響することをお考えにならないのですか?薬の効能は臨床試験結果の論文化か審査当局の承認がない限り、政治家が軽々しく口にすべきではありません。安倍元首相がアビガンでフライングな言及をした後に臨床試験結果が無残なものだったことに学んでください」厳密に言えば甘利氏のツイート内容はインサイダー情報にはならない。少なくとも塩野義製薬の3CLプロテアーゼ阻害薬に関する成績は、具体的なデータは示されなかったものの1月31日付の同社第3四半期決算の時に概要が公表されており、7日の発表では1月31日発表のベースになったデータが示されている。いわばこの間に甘利氏ら国会議員のところに塩野義製薬がこの内容を説明に行った際のことがツイートされたのだと考えられる。つまりほぼ公知の情報である。それでもなお、私が上記のように引用リツイートしたのはいくつか理由がある。まず、ツイートの140字で上記のようなざっくりとした情報を発信すると、ツイートを見た人の中には「政治家だから何か公になっていないこの薬のポジティブな情報を得られたのかもしれない」と妙な期待感を持つ人が出てくる可能性がある。また、ツイートの中にある「アメリカ政府からも問合せがある様です」は公知の情報では確認されていない。結局のところ、このツイートはインサイダー情報ではなくとも目にしたものの期待などを結果として煽り、株価の不適正な上昇を引き起こしかねない危ういものだ。実際、この直後に塩野義製薬の株価は3%弱上昇している。さらに、甘利氏がツイートで言及している「(塩野義製薬の候補化合物が)他を圧している」ことを示すデータは今のところ存在しない。この辺はたぶん説明に行った塩野義製薬側がややオーバーな説明をしたか、甘利氏が勝手に思い込んだのかのどちらかだろう。だが、いずれだとしても軽率だ。私が引用リツイートで言及したように、ドラッグ・リポジショニングで新型コロナへの適応拡大を試みた新型インフルエンザ治療薬のファビピラビル(商品名:アビガン)はご存じの通り、後の臨床試験で十分な効果を示せず承認は保留状態。現在新たな臨床試験を進めている。ところが、まだファビピラビルについてin vitroや少数例の観察研究ぐらいしか明らかにされていなかった2020年5月、当時の安倍 晋三首相が「今月中の承認を目指したい」と発言。この結果、後に新型コロナへのファビピラビルの有効性が怪しくなった段階でも、新型コロナ患者が主治医に「アビガンを処方してほしい」と哀願し、現場は困惑するという出来事が少なからず存在したと言われている。いずれにせよ、政治家はその一挙手一投足が周囲の注目を集める。法令に抵触するか否かにかかわらず、物言いは慎重にしなければならないのは言うまでもないことなのだ。そして今回の甘利氏のツイートで改めて認識したのが「治療薬の国粋主義思想」がいかに巷にはびこっているかである。前回取り上げた駆虫薬のイベルメクチンもなぜこんなに「盛り上がる」のかといえば、発見者が日本人でなおかつこの件でノーベル賞を受賞しているからである。また、昨秋の衆議院選挙での各政党の政策集では、右も左も「国産治療薬の実現」を唱えていたことは記憶に新しい。だが、今一度考えるべきことがある。医薬品が低分子化合物の枠を超え、生物学的製剤、核酸医薬、再生医療製品など先端技術を駆使した多様な形態に及んでいる今、日本国内に有する技術のみで新規の治療薬やワクチンの開発が可能だろうか? 答えは否だ。たとえば、今使用されている新型コロナのmRNAワクチンで考えてみよう。俗にファイザーのワクチンと言われる「コミナティ筋注」は独・ビオンテック社がオリジンである。ビオンテック社の創業者はトルコ人であり、今回のワクチン開発に重大な貢献をしたとされる同社上級副社長のカタリン・カリコ氏はハンガリー人である。要は世界を揺るがす医薬品開発では、とっくの昔に国境という概念が消えているのだ。そんな最中、国内の製薬企業の治療薬が臨床試験でやや良い成績を出したくらいで浮かれる勢力が、それなりに目立ってしまう日本の精神的な立ち遅れは相当なものと言わざるを得ない。そもそもこの「治療薬の国粋主義思想」の中身は「日本は優秀な国だから」の裏返しでもある。もちろん極めてざっくりした言い方をすれば、日本の科学技術は世界的には上位のほうに位置するだろう。しかし、万能とは言えず、歴史的な背景や種々の環境の結果としての得意不得意もある。不得意分野を自国で強化するのは結構なことではあるが、それではスピード的遅れを取ってしまうことも少なくない。不得意なものは少なくとも当座は得意な相手から助力を得ればいいこと。ただ、その助力を得るためには自分たちも得意なものを提供し、互いを理解するコミュニケーションに心を砕かねばならないということである。正直、このコロナ禍を通じた治療薬、ワクチンの「一に国産、二に国産」という考え方は、山奥に引きこもって天に向かって空威張りする意味不明なカルトのようにしか見えない、というのは言い過ぎだろうか?

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爆笑マンガ付き感染対策本【Dr.倉原の“俺の本棚”】第51回

【第51回】爆笑マンガ付き感染対策本感染対策の医学書って難しいです。医療従事者向けの書籍だと、どうしてもウイルスの学問的な話になってしまうので、気楽に読める本というのがなかなかないのです。『ねころんで読めるウィズコロナ時代の感染対策』矢野 邦夫/著. メディカ出版. 2022年2月発売メディカ出版からのこの本、気楽に読めること読めること。何なら、ねころんだ状態で、漫画でゲラゲラ笑うこともできます。まぁ、もともとそういうコンセプトの本なのですが。この「ねころんで読める」シリーズ、漫画が本当に面白くて、私はファンなので、おそらく全種類持っていると思います。私も実は、呼吸器シリーズを書いています!空気感染とエアロゾル感染の説明のくだりで、「人間は空を飛ぶことはできるのか?」という質問にどう答えるかという比喩が紹介されており、溜飲が下がります。オリンピックなどで、走り高跳びをすれば2.4m以上飛ぶかもしれませんが、棒高跳びにいたっては6mも飛べます。要は、物は言いようということですが、「新型コロナウイルスが空気感染する!」という話題が報道されたとき、ビビっていた医療従事者も多かったのではないでしょうか。うちのコロナ病棟でもザワついていました。新型コロナに関しては、とにかくデマゴーグがたくさん爆誕しました。堂々とデマをSNSで流しているインフルエンサーの下に、今でもプチデマゴーグがねずみ算式に生まれている状況です。私の勤務先にも、1年前よりも現在のほうが怪文書が届きやすくなりました。「ワクチンを接種するな、PCR検査をやめろ、間違った情報発信をやめろ」という内容が多いです。怪文書だけならともかく、一番許しがたいのは、グツグツ煮込んだ誤情報を書籍として刊行してしまう出版業界のモラルハザードです。ファクトチェックがまったく機能していないんですよね。アフターコロナについては、私も矢野先生と同じように考えています。ウィズコロナがいつの間にかアフターコロナになるのでしょう。もうコロナ禍に入って2年以上経つので、早く平和な時代が訪れてほしい。『ねころんで読めるウィズコロナ時代の感染対策』矢野 邦夫 /著.出版社名メディカ出版定価本体2,000円+税サイズA5判刊行年2022年

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オミクロン株、ブースター接種後の感染例を分析/Lancet

 世界的な流行を見せている新型コロナウイルスの変異株・オミクロン株は、mRNAワクチンの3回目接種(ブースター接種)後の感染例も報告されている。感染例の患者背景や臨床像の詳細が、Lancet誌オンライン版2022年1月18日号のCORRESPONDENCEで報告されている。 2021年11月下旬~12月上旬に、SARS-CoV-2ワクチン(少なくとも2回のmRNAワクチンを含む)を3回接種したドイツ人のグループが、南アフリカのケープタウンでオミクロン株によるブレークスルー感染を経験した。このグループは、5人の白人女性と2人の白人男性で構成され、平均年齢は27.7歳(範囲:25~39)、平均肥満度は22.2kg/m2(範囲:17.9~29.4)、関連病歴はなかった。 このうち4人はケープタウンの異なる病院で臨床研修を受けており、その他は休暇中だった。また、これらの人々は2つの無関係なグループに所属し、ケープタウンでCOVID-19に関するルールに則った通常の社会生活を送っていた。2021年11月上旬にケープタウンに到着した際、各人のPCR検査は陰性で、同種(n=5)または異種(n=2)ワクチンによる、ブースターまたは3回目接種の完了記録を提出していた。 6人がBNT162b2(ファイザー製)の2回(完全)接種を受け、うち5人が2021年10月または11月初旬にファイザー製の3回目(ブースター)接種を受けていた。残り1人は2021年10月初旬にモデルナ製の全量接種を受けていたが、これは当時の欧州医薬品庁の半量接種の推奨に則ったものではなかった。 7人目はChAdOx1-S(アストラゼネカ製)の初回接種後、1次免疫完了のためにBNT162b2を接種し、同ワクチンのブースター接種を受けた。モデルナ製のブースター接種例を除き、全接種が勧告に従ったものだった。一部の1次およびブースター接種時期が早かったのは医療関係者であったためで、SARS-CoV-2感染歴を報告した人はいなかった。 西ケープ州でSARS-CoV-2感染が著しく増加していた時期に、7人は2021年11月30日~12月2日に呼吸器症状を発症し、認定の診断機関がSARS-CoV-2感染症の陽性判定を行った。 症状が出てから2~4日後に綿棒と血清を採取した。すべての患者は国内で隔離され、21日間の観察期間中、毎日症状日記を用いて病気の経過を記録した。 病状は、米国国立衛生研究所のCOVID-19治療ガイドラインに従って、軽症(n=4)または中等症(n=3:息切れあり)に分類された。観察期間終了時(21日目)には2名が無症状となった。血中酸素飽和度(SpO2)は例外なく正常範囲(94%以上)を維持し、入院を必要とした患者はいなかった。 7人全員がオミクロン株の感染であった。綿棒溶出液のウイルス量は、4.07~8.22(平均値:6.38)log10コピー/mlであった。抗スパイク抗体のレベルは1万5,000~4万AU/ml以上の範囲であり、血清における平均値は約2万2,000AU/mlであった。 2回目のワクチン接種から21~37週間後にブースターワクチンが接種され、その22~59日後にブレークスルー感染が発生した。これは、2回目のワクチン接種から4週間後に報告されているレベルと同様であり、ブースターワクチンの接種後に期待されるレベルでもあった。 今回の調査結果は比較的若く、その他疾患のない人(n=7)の少数症例に限られているが、オミクロン株が生体内でmRNAワクチンによって誘導される免疫を回避できる、という証拠をさらに追加するものとなった。 ブースター接種は、オミクロン株による症候性感染を十分に防ぐことはできなかったが、病気の経過が軽度~中等度であったことから、重症化を防ぐことができると考えられる。しかし、長期的な後遺症の可能性は除外できない。 これらの結果は、オミクロン株の症候性感染をより確実に予防するためには、最新のワクチンが必要であること、医薬品以外の対策も継続すべきであることを示している。

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第6波での発症から悪化までの日数は/厚労省アドバイザリーボード

 第5波と比較して第6波では、発症から中等症II以上(中等症II、重症、死亡)への移行までの日数(最頻値)が4日短縮され、移行率は低いものの、移行例ではより短期間に悪化が進む可能性が示唆された。2月2日に開催された第70回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードで、広島県健康福祉局の木下 栄作氏が「広島県新型コロナウイルス感染症J-SPEEDデータからの知見~第6波データ分析(速報)」を報告した。 分析に使われたデータは広島県内の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者データで、第5波は2021年7月1日~10月31日公表患者について、第6波は2021年12月22日~2022年1月29日公表患者(デルタ株感染患者を含む)のデータを用いて分析している。広島県では1月上旬から急速な感染拡大がみられ、12月30日~1月4日での県内のスクリーニング検査では、オミクロン株の疑いのある割合が約8割と報告されている。第5波と比べ中等症II以上は顕著に減少、移行までの日数は短縮傾向 年代別に中等症II以上の割合をみると、第5波と比較して第6波ではすべての年代で顕著に減少。第5波で中等症II以上の割合が最も多かった60代以上(22.7%、234/1,031人)について第6波ではその割合が6.1%(225/3,678人)に、40~50代では第5波12.3%(361/2,936人)に対し第6波0.3%(20/5,904人)となっている。 発症(無症状や発症日不明の場合は陽性判明)から中等症II以上への移行までの日数を比較すると、第5波では最頻値が7日だったのに対し、第6波では3日と4日短縮している。中等症II以上に悪化した患者の8割は10日以内に悪化しており、50代以下ではより短く、8割が7日以内に悪化していた。 中等症II以上には高齢・性別・ワクチン接種(2回以上)が有意に関連 多変量解析により中等症II以上と関連するリスク因子をみた結果、第6波の解析対象データ(319例)では65歳以上(オッズ比[OR]:9.4、95%信頼区間[CI]:3.7~23.5、p<0.01)、男性(OR:2.2、95%CI:1.0~4.9、p=0.04)が有意に関連していた。また、ワクチン接種(2回以上)が中等症II以上に対する予防効果と有意に関連(OR:0.3、95%CI:0.1~0.7、p<0.01)していた。 65歳以上、男性、BMI25以上、高血圧・心疾患、糖尿病、認知症・精神疾患という6つのリスク因子についてその保有数と中等症II以上となるリスクの関連についてみると、リスク因子の数が多いほど中等症IIの割合が高く、全体の移行率は第6波で低いものの、その傾向は第5波と第6波で変わらなかった。第6波での60歳以上の重症化率は1.45%、致死率は0.96%(暫定値) そのほか、広島県のデータを使用し、2022年1月1日~1月14日の期間における新型コロナウイルス感染者7,542人を対象に、年齢階級別、ワクチン接種歴別に重症化率および致死率を暫定版として算出した結果も報告された。なお、人工呼吸器の使用、ECMOの使用、ICU等で治療のいずれかの条件に当てはまる患者を重症者と定義し、重症者には、経過中重症に至ったが、死亡とならなかった患者、重症化して死亡した患者、重症化せず死亡した患者が含まれる。また、ワクチン接種歴ありはワクチンを1回以上接種した者、ワクチン接種歴なしは未接種および接種歴不明の者が含まれる(1月26日時点でのステータスに基づき算出しており、重症者数や死亡者数は増加する可能性がある)。 全体として、60歳未満の重症化率は0.04%/致死率は0.00%、60歳以上の重症化率は1.45%/致死率は0.96%と算定された。ワクチン接種状況別にみると、ワクチン接種歴あり(1回以上)では、60歳未満の重症化率は0.02%/致死率は0.00%、60歳以上の重症化率は0.96%/致死率は0.55%。ワクチン接種歴なしでは、60歳未満の重症化率は0.09%/致死率は0.00%、60歳以上の重症化率は5.05%/致死率は4.04%だった。

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塩野義の経口コロナ治療薬、第IIa相試験で良好な結果確認

 2022年2月7日、塩野義製薬は開発中の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬S-217622の第II/III相試験 Phase 2a partの結果速報に関する説明会を開催し、抗ウイルス効果に関してプラセボ群と比較して良好な結果が確認されたことを報告した。 第II/III相試験Phase 2a partでは、12歳以上70歳未満の軽症/中等症および無症候/軽度症状のみのSARS-CoV-2感染者を対象にS-217622の1日1回、5日間の経口投与による有効性および安全性が評価された。intention-to-treat(ITT)集団はS-217622低用量群16例、高用量群14例、プラセボ群17例の計47例であり、各群におけるワクチン接種者は14例(87.5%)、12例(85.7%)、12例(70.6%)であった。 主要評価項目である各時点におけるSARS-CoV-2のウイルス力価のベースラインからの変化量、ならびにウイルスRNA量のベースラインからの変化量について、S-217622低用量群・高用量群ともプラセボ群に対する速やかな減少が確認された。ウイルス力価についてはDay4(3回投与後)にはウイルス力価陽性(≧0.8 Log10[TCID50/mL])患者の割合をプラセボ群に比較して約60~80%減少させたほか、ウイルス力価陰性(<0.8 Log10[TCID50/mL])が最初に確認されるまでの時間(中央値)をプラセボ群の111.1時間(95%信頼区間[CI]:23.2~158.5)に対してS-217622低用量群61.3時間(95%CI:38.0~68.4)、高用量群62.7時間(95%CI:39.2~72.3)と約2日短縮した。 重症化抑制効果については、治験開始後に病態が悪化し、担当医師により入院、あるいは入院に準ずる治療が必要と判断された症例(Ordinal Scale 3以上への増悪)はプラセボ群2/14例(14.3%)に対し、S-217622投与群では認められなかった。 また、安全性についてはS-217622投与群において高比重リポ蛋白(HDL)減少例の発現が多い傾向が認められたが、ほぼ全ての有害事象は軽度なものであった。 今後、軽症/中等症については2月9日よりPhase 3 partに移行予定、無症候/軽度症状のみについてはPhase 2b/3 partを継続する。S-217622については今回得られた試験結果をもとに、引き続き国内における最速の承認を目指すという。

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コロナ感染の抑制、政府・対人信頼度と関連/Lancet

 パンデミックの発生以来、各国の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染率や新型コロナウイルス感染症(COVID-19)死亡率は大きく変動している。それらの変動の要因を検証したところ、パンデミックへの事前対策指標の高低とは関連が認められなかった一方で、政府への信頼度や対人信頼度が高いこと、また政府内の汚職が少ないことが、同感染率の低下と関連していたことを、米国・ワシントン大学保健指標評価研究所(IHME)のJoseph L. Dieleman氏らCOVID-19 National Preparedness Collaboratorsが、177の国と地域のデータを基に検証し明らかにした。本検討は、将来のパンデミックへのより効果的な準備と対応のために不可欠な取り組みを明らかにする目的で行われたものだが、著者は、「今回の結果は、主要な修正可能なリスクに関する健康増進は、個々人が公衆衛生ガイダンスに抱く信頼を高めるようなリスクコミュニーケションやコミュニティ戦略へ、より大きな投資をすることで、死亡抑制に結びつくことを示唆するものであった」とまとめている。Lancet誌オンライン版2022年2月1日号掲載の報告。12のパンデミック事前準備指標、7つの医療体制能力指標などとの関連を検証 研究グループは177の国と地域および181の行政区画について、IHMEモデリング・データベースを基に、SARS-CoV-2感染率とCOVID-19死亡率を抽出し、累積感染率や感染致死率(IFR)を予測し、環境要因、人口統計学的要因、生物学的要因、経済学的要因について標準化し検証した。 感染率については、季節環境(肺炎のリスク比で測定)、人口密度、1人当たり国内総生産(GDP)、標高100m未満の居住人口割合、その他のβコロナウイルス曝露の代理変数を因子として盛り込んだ。 IFRについては、人口年齢分布、平均BMI値、大気汚染曝露、喫煙率、他のβコロナウイルス曝露の代理変数、人口密度、慢性閉塞性肺疾患(COPD)・がんの年齢標準化罹患率、1人当たりGDPを因子とした。 これらを、間接年齢標準化および多変量線形モデルを用いて標準化。標準化全国累積感染率とIFRについて線形回帰を用いて、12のパンデミック事前対策指標、7つの医療提供体制能力指標、その他10項目の人口統計学的・社会的・政治的状況との関連を検証した。 さらに、SARS-CoV-2感染率に影響を与える可能性のある重要な要因の経路を調べるため、対人信頼度、政府への信頼度や汚職の状況、人々の移動パターンの変化やCOVID-19ワクチン接種率との関連性についても検証した。デンマークレベルの対人信頼度に改善されれば世界の感染率は40.3%減少 2020年1月1日~2021年9月30日の、SARS-CoV-2累積感染率の変動の主な要因は、標高100m未満の居住人口割合(変動の5.4%[95%不確定区間[UI]:4.0~7.9])、1人当たりGDP(4.2%[1.8~6.6])、季節変化に起因する感染の割合(2.1%[1.7~2.7])だった。国別の累積感染率の変動については、その大部分が説明不能だった。 同期間のCOVID-19のIFRの変動に関する主な要因は、国の年齢構成(変動の46.7%[95%UI:18.4~67.6])、1人当たりGDP(3.1%[0.3~8.6])、国平均BMI(1.1%[0.2~2.6])だった。国別のIFR変動の44.4%(29.2~61.7)は、説明不能だった。 国の医療保障の目安となるパンデミック事前対策指標については、標準化感染率やIFRとの関連は認められなかった。 一方、政府への信頼度や対人信頼度、政府の汚職が少ないことと、低い標準化感染率について、強い統計的に有意な関連が認められた。これらの因子は、COVID-19ワクチンが広く普及する中~高所得国において、高いワクチン接種率とも関連していた。また、汚職が少ないことは移動の減少とも関連していた。  こうしたモデルの関連性に因果関係があると仮定した場合、すべての国の政府への信頼度または対人信頼度が、デンマークのレベル(全体の75パーセンタイルに相当)に達すれば、世界の感染率は、政府への信頼度の改善により12.9%(95%UI:5.7~17.8)、対人信頼度の改善では40.3%(24.3~51.4)、それぞれ減少できると予測された。同様に、すべての国のBMIが全体の25パーセンタイルに該当するよう抑制されれば、世界の標準化IFRは11.1%減少するとも予測された。

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第95回 昨年の医学部入試で男女別合格率が逆転!医師が「An Unsuitable Job for a Woman」でなくなる日は本当に来るか(後編)

岸田首相、「1日あたり100万回のワクチン接種」を指示こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。オミクロン株の感染拡大の勢いが弱まりません。昨年末の時点で、オミクロン株急拡大の予測はできていたのに、3回目接種を前倒しで本格化させなかったツケが回ってきた印象です。岸田 文雄総理大臣は2月7日、後藤 茂之厚生労働大臣ら関係閣僚に対し、2月中のできるだけ早い時期に1日あたり100万回のワクチン接種を達成できるよう取り組みの強化の指示を出しました。やっと、という感じです。ただ、私が住む自治体では、「2回目から8ヵ月以上空けろ」という政府の昨年の指示の“後遺症”のためか、65歳以下のほとんどの人には接種券がまだ届いていないようです。私にも未着です。ということで今週末も外出を極力控え、前回の原稿を書きながらふと思い出した、女探偵映画の名作をDVDで2本ほど観て時間を潰しました。その映画とは、キャスリーン・ターナー主演の『私がウォシャウスキー』(監督:ジェフ・カニュー)と、ジーナ・ローランズ主演の『グロリア』(監督:ジョン・カサヴェテス)。『グロリア』は厳密には探偵映画とは言えませんが、どちらも女性のタフさを描いたハードボイルド映画で、女性に限らず、男性にもお薦めです。「医師の働き方改革」遅々として進まずさて、前回の続きです。前回、2021年度の医学部入試では、全体の男性の合格率(合格者数/受験者数)が13.51%、女性の合格率が13.60%と、医学部の男女別合格率が公表されている2013年度以降、初めて女性の合格率が男性を上回った、と書きました。この数字が示すように、今後、女性医師が今まで以上に数多く誕生する流れとなっていくでしょう。しかし一方で、女性の働き方やキャリアパスの改革を後押しすると期待されている「医師の働き方改革」が遅々として進んでいない状況も明らかとなっています。厚生労働省は1月24日、医師の働き方改革の推進に関する検討会の作業部会に、勤務医に対して行ったアンケートの結果を報告しました。報告では、業務内容に応じた各上限水準の内容や宿日直許可基準の内容については、「全く知らない」という回答が約半数を占めていました。このアンケートは、作業部会の構成員が所属する医療機関の協力を得て、「勤務医自身の働き方に関する考えを把握する」「働き方改革に関する勤務医の現時点の知識・認識度を把握する」「勤務医に向けての効果的な情報発信に関するヒントを得る」ことを目的に実施されたものです。2次救急医療機関以上の10医療機関の勤務医が対象で、調査期間は2021年12月24日~2022年1月13日。有効回答数は1,175、男性72%・女性27%でした。アンケートの概況によれば、医師の働き方改革の制度認知について、2024年度から制度が開始することや労働時間の上限の意味、自己研鑽の考え方については、回答者の半数以上が「よく知っている」「ある程度知っている」と回答した一方で、各上限水準や宿日直許可基準の内容については、「全く知らない」という回答が約半数を占めていました。また、若年層ほど認知度が低い結果でした。2022年度からはB水準、連携B水準、C水準について第三者評価始まる「医師の働き方改革」について、簡単におさらいしておきます。制度の基本的な骨格は、2019年3月に厚生労働省の「医師の働き方改革の推進に関する検討会」が取りまとめた最終報告書に基づいています。それによれば、2024年4月からの「医師の時間外労働規制」の概要は次のようなものです。A水準…時間外労働が年960時間以下B水準(地域医療確保暫定特例水準)…年間時間外労働が960~1,860時間(兼業等により960時間を超える場合は連携B水準、2035年度末には解消予定)C水準(集中的技能向上水準)…研修医等はC-1、高度技能の習得を目指す医師はC-2水準この「医師の時間外労働規制」に則った病院運営ができるよう、各医療機関は労務管理の一層の適正化や、タスクシフト・タスクシェア推進、育児支援などさまざまな改革に着手する、ということになっています。2022年度からはいよいよ、B水準、連携B水準、C水準については第三者評価の取り組みが始まります。具体的には、2022年4月より「医療機関勤務環境評価センター」による第三者評価を受け、労働時間実績や時間短縮取り組み状況が評価された後、地域医療への影響等を踏まえ各都道府県の判断により指定を受けることになります。C-1水準では研修プログラムにおける時間外労働時間の明示が求められ、C-2水準においては高度技能に関する教育研修環境を審査組織にて討議されることになります。しかし、先のアンケート結果のように、勤務医への周知すら十分に進んでおらず、コロナ禍もあって現場の取り組みも想定よりも遅れているのが現状です。「女にこそ向いた職業」に向けてそんな中、2月2日に開催された医道審議会・医師分科会の「医師専門研修部会」では、新専門医資格の取得を目指す専攻医や臨床研修医を対象とするC-1水準については、専攻医等が勤務先病院を選択しやすくするために「病院や研修プログラムが、想定される時間外労働はどの程度か、過去の時間外労働の実際はどの程度であったのか」を明示する、という方針が固まりました。さらに、「専攻医が育児休業等を取得しやすくする環境整備」に向けた議論も開始するとのことです。制度開始までわずか2年となって、やっと詳細な運用にまで目が届き出した感はあります。しかし、一方で日本医師会は2024年度から予定されている医師の時間外労働の上限規制適用に伴う罰則について、「数年程度猶予する」よう求める方針を打ち出しています。2月2日の記者会見で日本医師会の松本 吉郎常任理事は、上限規制適用で宿日直を担う医師の応援が途絶えれば、周産期医療の崩壊につながるとし、調査を基に宿日直許可基準の運用緩和策をまとめ、「上限規制の罰則を数年程度、猶予することを考えていただきたい」と述べたとのことです。「宿日直許可基準の取得」は、医師の「労働時間」と「労働時間以外」を切り分ける重要な機能です。この基準を取得することで、医師の労働時間のカウントを減らすことができるからです。しかし、労働基準監督署によって、許可基準の解釈や運用にバラツキがあることが問題視されており、現在、多くの病院がその対応に苦慮しているようです。許可基準の解釈や運用のバラツキは確かに大きな問題です。しかし、この期に及んで罰則の猶予などの例外ルールをどんどん作っていったら、それこそ本来の形の「医師の働き方改革」がいつになったら本格スタートできるかわかりません。医師が行っている業務のタスクシフトやタスクシェア、あるいはITを活用した業務効率化など、現場でできる工夫はまだまだ多くありそうです。医師を「女には向かない職業」から、「女にこそ向いた職業」にするためにも、「医師の働き方改革」の円滑な推進を期待したいところです。ニック・カサヴェテス監督の2本の医療映画最後に、映画の話を補足しておきます。ジョン・カサヴェテス監督の『グロリア』をご覧になってもし気にいったら、同監督とジーナ・ローランズ(『グロリア』の主演女優)の息子であるニック・カサヴェテスが監督した2本の医療映画、『ジョンQ-最後の決断-』と『私の中のあなた』もぜひ観てみて下さい。『ジョンQ-最後の決断-』は主演のデンゼル・ワシントンが息子の心臓移植のためにERに立て籠もるというストーリーで、米国の医療保険制度を強烈に皮肉った快作です。米国では、加入する医療保険によって治療費をカバーする範囲が全く異なります。昨年9月26日のCNNのニュースは、米国で新型コロナウイルスに感染し、入院した場合の平均的な費用は約7万5,000ドル(当時のレートで約833万円)であり、入院に至らない感染事例で医療保険に入っていない患者が負担する費用は平均2,500ドル、保険に加入していても保険会社や患者自身が支払う総額は平均約1,000ドルである、と報じていました。米国人がコロナに感染しても、気安く医療機関にかからない理由がこの映画を見ると理解できます。一方、『私の中のあなた』は、姉専用ドナーとして生み出された妹が、姉への臓器提供を拒んで両親を訴えるという話で、2人の母親役をキャメロン・ディアスが演じています。こちらは、終末期医療のあり方について深く考えさせられる作品です。ニック・カサヴェテス自身も心臓病の娘を育ててきた経験があるとのことで、それが医療映画を得意とする一因かもしれません。

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オミクロン株への感染リスク、ワクチン未接種者は3回接種者の約5倍/CDC

 米国・CDCが新型コロナウイルスデルタ株出現前・出現時・優勢期およびオミクロン株出現時における、ワクチン3回接種(ブースター接種)の効果を調べた結果、3回接種者でデルタ株優勢期に高い感染予防および死亡抑制効果がみられ、オミクロン株出現期においても高い感染予防効果が認められた。とくに50~64歳と65歳以上でブースター接種による影響が大きかった。Amelia G. Johnson氏らがMorbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)2022年1月28日号に報告した。 これまでに、デルタ株の出現とワクチンによる中和抗体の減少で、ワクチンの感染予防効果が低下し、一部の集団ではCOVID-19重症化も確認されている。CDCでは、ワクチンの2回接種および3回接種による効果を評価するため、米国の25の州・地域において、デルタ株出現前(2021年4~5月)、デルタ株出現時(2021年6月)、デルタ株優勢期(2021年7~11月)、オミクロン株出現時(2021年12月)の各時期で、年代(18~49歳、50~64歳、65歳以上)、ワクチン(ファイザー製、モデルナ製、Johnson & Johnson製)ごとに、未接種者、2回接種者(Johnson & Johnson製では1回)、3回接種者(Johnson & Johnson製では2回)における感染率、死亡率、発生率比(IRR)を推定した。 主な結果は以下のとおり。・米国25の州・地域において、2021年4月4日~12月25日に、18歳以上の新型コロナ感染が未接種者で681万2,040人、2回接種者で286万6,517人報告された。12月4日までに、未接種者では9万4,640人、2回接種者で2万2,567人がCOVID-19関連で死亡した。・2回接種者に対する未接種者の週平均感染IRR(未接種者の感染発生率/2回接種者の感染発生率)は、デルタ株出現前の13.9から、デルタ株出現時に8.7、デルタ株優勢期には5.1に減少し、2回接種者の感染予防効果が低下していた。・デルタ株優勢期の終盤(10~11月)において、未接種者の感染リスクは3回接種者の13.9倍、2回接種者の4.0倍だった。また、未接種者のCOVID-19関連死亡リスクは3回接種者の53.2倍、2回接種者の12.7倍だった。・オミクロン株出現時(12月)には、未接種者の感染リスクは3回接種者の4.9倍、2回接種者の2.8倍だった。・感染および死亡に対して3回目接種による影響が最も高かった年代は、50~64歳および65歳以上だった。

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第98回 オミクロン株ワクチンは必要なさそう

サルへの投与試験の結果、Moderna社の目下の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)元祖ワクチンmRNA-1273追加接種はオミクロン(Omicron)株に合わせたワクチンmRNA-1273.529(mRNA-Omicron)追加接種に比肩して同株を含むどの変異株への抗体反応も有意に高めました1)。肺感染予防効果も同等でした。サルの鼻や気管にオミクロン株を投与して肺検体(肺胞洗浄液)を調べたところ培養可能なウイルスはmRNA-1273追加接種群とmRNA-Omicron追加接種群のどちらからも検出されず、かたや対照群では全頭から検出され、抗体などの免疫反応に有意差が無かったのと同様にmRNA-1273はmRNA-Omicronに引けを取らず肺感染を予防しました。それらの結果によると、オミクロン株仕様ワクチンを接種してもModernaの今のワクチンmRNA-1273を上回る免疫反応や感染予防効果はどうやら期待できそうにありません。人に投与する臨床試験での結果が必要ですが、今あるワクチンを作り変えてオミクロン株仕様ワクチンを何が何でも揃える必要はないと研究の代表者Daniel Douek氏は言っています2)。人での検討はすでに始まっており、Moderna社のオミクロン株仕様ワクチンの臨床試験が最初の投与に至ったことが先月26日に発表されています。時を同じくしてPfizerのオミクロン株仕様ワクチンの試験も先月末に始まっており、結果は今年前半には判明する見込みです3)。それらの臨床試験でのオミクロン株仕様ワクチン追加接種はサルでの試験と同様の結果になりそうとコーネル大学のウイルス学者John Moore氏は予想しています3)。オミクロン流行中、ワクチン非接種でのCOVID-19入院率は追加接種済みの23倍実際、現在使われているワクチンの追加接種でオミクロン株感染やその重症化を減らすことができていることが米国の最近の動向で示唆されています4)。米国・カリフォルニア州ロサンゼルス郡で去年2021年11月の最後の週に初めて確認されたオミクロン株感染はその後急激に増え、今年1月8日までの一週間には調べた検体のほぼすべて(99%)を占めるようになりました。同郡での今年1月8日までのその一週間のSARS-CoV-2感染(COVID-19)はワクチン接種未完了(ワクチン接種の記録がないか1回目投与から14日未満)の人に比べて決まりの回数接種済みの人は2分の1、追加接種もした人はさらに低くおよそ4分の1で済んでいました。また、COVID-19入院も同様でワクチン接種未完了の人に比べて決まりの回数接種済みの人はおよそ5分の1、追加接種もした人は実に23分の1で済んでいました。その結果はCOVID-19ワクチンがオミクロン株を含む変異株感染の重症化を防ぐことを先立つ幾つかの試験と同様に示しており、COVID-19ワクチンの一通りの接種と追加接種を促す取り組みがCOVID-19関連の入院や重病を防ぐのに不可欠と著者は言っています。ワクチン非接種でのCOVID-19死亡率は追加接種済みより97倍高い米国政府の感染症対策の顧問Anthony Fauci(アンソニー・ファウチ)氏をして“COVID-19ワクチン追加接種の大事さは強烈に明らか(really stunningly obvious)”と言わしめたデータが先週2日に大統領官邸で発表されました5,6)。発表されたのは去年2021年12月4日までの1週間の米国25地区のCOVID-19ワクチン非接種、一通り接種済み、追加接種済みの人の死亡率の比較結果です。COVID-19で死亡した人の割合は非接種だと10万人当たり9.7人、一通り接種済みだと10万人当たり0.7人、追加接種済みでもあると10万人当たりほぼ皆無の0.1人であり、非接種の人に比べて一通り接種を済ませた人のCOVID-19死亡率は14分の1、追加接種も済ませた人ではさらに低く非接種の人の実に97分の1で済んでいました。米国のオミクロン株感染は減少に転じており、先月1月末までの1週間の1日当たりのCOVID-19例数平均はその前の週に比べて36%少ないおよそ45万人(44万6,355人)でした6,7)。1日当たりのCOVID-19入院数平均は14%減って1万7,133人となりました。しかし1日当たりのCOVID-19死亡数平均は2,288人へと約4%上昇しており、その死亡を防ぐワクチン追加接種の重要さをファウチ氏が強調するのも無理ありません。参考1)mRNA-1273 or mRNA-Omicron boost in vaccinated macaques elicits comparable B cell expansion, neutralizing antibodies and protection against Omicron. bioRxiv. February 04, 2022 2)Omicron-specific booster may not be needed, U.S. monkey study finds / Reuters3)Study suggests Omicron-specific booster may not provide more protection. STAT4)Danza P, et al. MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2022 Feb 4;71:177-181.5)Press Briefing by White House COVID-19 Response Team and Public Health Officials / White House6)White Houseでの発表に使われたスライド(2022年2月2日)7)Boosted Americans 97 times less likely to die of virus than unvaccinated; CDC predicts 75,000 more deaths by Feb. 26: Live COVID-19 updates / USA Today

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ブースター接種、9種の組み合わせを評価~第I/II相試験/NEJM

 3種の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン(mRNA-1273[Moderna製]、Ad26.COV2.S[Johnson & Johnson-Janssen製]、BNT162b2[Pfizer-BioNTech製])は、最初の連続2回接種(Johnson & Johnson-Janssen製は1回接種)での種類を問わず、12週間以上の間隔をあけた追加接種にどのワクチンを用いても、安全性プロファイルは許容範囲内であり、明らかな免疫原性をもたらすことが、米国・ベイラー医科大学のRobert L. Atmar氏らが実施した「DMID 21-0012試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2022年1月26日号に掲載された。9つの組み合わせを評価する米国10施設の非無作為化試験 本研究は、適応的デザインを用いた非盲検非無作為化第I/II相臨床試験であり、米国の10施設が参加し、2021年5月29日~8月13日の期間に参加者の登録が行われた(米国国立アレルギー感染症研究所[NIAID]の助成による)。 対象は、米国食品医薬品局(FDA)による緊急使用許可(EUA)の下で、12週以上前に、3種のCOVID-19ワクチンのいずれかの最初の連続接種を受け、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の感染歴やモノクローナル抗体の投与歴がない健康な成人であった。参加者の登録を迅速化するために、SARS-CoV-2検査は行われなかった。 被験者は、追加接種として、mRNA-1273(100μg)、Ad26.COV2.S(ウイルス粒子5×1010)、BNT162b2(30μg)のいずれかの接種を受けた(最初の連続接種とブースター接種で9つの組み合わせ)。 主要エンドポイントは、追加接種から15日目と29日目の安全性、反応原性、液性免疫原性とされた。 458人が登録され、追加接種として154人がmRNA-1273、150人がAd26.COV2.S、153人はBNT162b2を受けた(初回にAd26.COV2.Sの接種を受けた1人が、追加接種として予定されていたBNT162b2の接種を受けなかった)。9つの接種の組み合わせの平均年齢は48~57歳に、女性の割合は33~63%にそれぞれわたった。安全性プロファイルは最初の連続接種時とほぼ同様 追加接種の反応原性は、最初の連続接種で報告されたものとほぼ同様であった。重篤な有害事象は2件認められたが、いずれもワクチン接種とは関連がないと判定された。とくに注意すべき有害事象として、重度の嘔吐が1人(Ad26.COV2.S接種者)で発現した。 ワクチン接種と関連があると判定された有害事象は、mRNA-1273接種者で24人(16%)、Ad26.COV2.S接種者で18人(12%)、BNT162b2接種者では22人(14%)にみられたが、ほとんどが軽度または中等度であった。ワクチン接種関連の重篤な有害事象は4人で発現した(mRNA-1273接種者の1人で嘔吐、Ad26. COV2.S接種者の1人で嘔吐、同接種者の1人で疲労、同接種者の1人で異常感覚と不眠)。 注射部位の有害事象は頻度が高く、局所痛や圧痛が、mRNA1273接種者で75~86%、Ad26.COV2.S接種者で71~84%、BNT162b2接種者では72~92%に認められた。大部分が軽度で、重度は2人(mRNA-1273接種者とAd.26COV2.S接種者で1人ずつ)のみだった。倦怠感、筋肉痛、頭痛の頻度も高かった。 重度の全身性症状として、倦怠感/疲労が2.0~4.5%、筋肉痛が0~3.3%、頭痛が0.7~3.3%、吐き気が0~2.7%、悪寒が0~3.3%、関節痛が0.6~2.0%、発熱が0.7~2.7%でみられた。ほとんどの有害事象は、追加接種から3日以内に発現し、最初の連続接種のワクチンの種類や年齢層の違いで、発生頻度に明確なパターンはなかった。結合抗体価、中和抗体価、スパイク特異的Th1応答が増強 追加接種から15日までに、結合抗体価の幾何平均は9つの組み合わせで5~55倍に増加し、最初の連続接種がAd26.COV2.Sで、追加接種としてBNT162b2(34倍)またはmRNA-1273(55倍)の接種を受けた集団で増加が大きかった。 また、追加接種から15日までに、SARS-CoV-2 D614G変異の擬似ウイルスに対する中和抗体価の幾何平均は、9つの組み合わせで4~73倍に増加し、最初の連続接種がAd26.COV2.Sで、追加接種としてBNT162b2(36倍)またはmRNA-1273(73倍)の接種を受けた集団で大きく増加した。最初の連続接種と追加接種に同じワクチンを接種した集団では、中和抗体価の増加が4~20倍であったのに対し、異なるワクチンを接種した集団では6~73倍に増加した。 15日までに、SARS-CoV-2スパイク特異的1型ヘルパーT細胞(Th1)の応答は、最初の連続接種と追加接種ともAd26.COV2.Sを接種した集団を除く、8つの組み合わせで増強した。また、CD8陽性T細胞レベルは、最初の連続接種がAd26.COV2.S接種者でより持続的であり、最初の連続接種としてmRNAワクチンを接種し、追加接種としてAd26.COV2.Sを接種した集団では、スパイク特異的CD8陽性T細胞の大幅な増加が認められた。 著者は、「これらのデータは、COVID-19ワクチンの追加接種では、最初の連続接種と追加接種で同じワクチンを用いても、異なるワクチンを使用しても、症候性SARS-CoV-2感染症に対する感染予防効果が増強することを強く示唆する」としている。

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第88回 「みなし感染者」21都道府県が実施/搬送困難3週連続で過去最高

<先週の動き>1.濃厚接触者の発症など検査なしの「みなし感染者」、21都道府県が実施2.救急車の搬送困難事案、3週連続で過去最高に/総務省3.電子処方箋の運用、来年1月開始を目途/厚労省4.紹介受診重点医療機関、紹介状なしの初診で7,000円以上の負担導入へ5.原因不明の重症新生児41例の病名、ゲノム解析で判明/慶応大6.来年2月で経営終了の東海大学大磯病院、徳洲会が承継1.濃厚接触者の発症など検査なしの「みなし感染者」、21都道府県が実施コロナ感染拡大による医療機関や保健所の業務逼迫を緩和するため、同居家族などの濃厚接触者が発症した場合、抗原検査やPCR検査なしで医師が感染者とみなして保健所に届け出る運用を、東京・大阪をはじめ21都道府県が実施している。このうち、秋田、高知を除く19都道府県は、まん延防止等重点措置の適用地域である。神奈川県では、6~49歳までの重症化リスクの低い人や妊娠していない人を対象に、公費検査や抗原検査キットで陽性が判明した場合は、医療機関の受診を待たずに「自主療養」を選べる制度を1月28日から開始し、4日正午までに3,230人の患者が自主療養している。4日から、全国のCOVID-19重症患者は昨年9月以来1,000人を上回っており、6日は新規陽性者数が10万870人と日曜日としては過去最高を記録。厚生労働省はワクチンの3回目接種などの対策推進を指示している。(参考)早期治療狙う・保健所の負担軽減…検査せず診断、「みなし感染」21都道府県で運用(読売新聞)全国で初 自己申告による「自主療養」3200人余が申請 神奈川(NHK)新型コロナウイルス感染症 国内の発生状況(厚労省)2.救急車の搬送困難事案、3週連続で過去最高に/総務省消防庁は1日、救急搬送先がすぐに決まらない「救急搬送困難事案」が、1月30日までの1週間で全国5,303件と過去最高を3週連続で更新したことを明らかにした。同庁によると、このうちコロナ感染が疑われる人は1,833件で、これまで最多だった第5波の1,679件(2021年8月15日までの週)を上回った。地域別で最多は東京消防庁(2,668件)で前週比1%の微増だが、コロナ疑いは22%増の806件だった。大阪市消防局は全体では28%増の527件で、コロナ疑いは43%増の205件。横浜市消防局は全体が4%増の297件、コロナ疑いは26%増の155件だった。(参考)救急搬送困難、3週連続で過去最多 コロナ疑いの困難事案も最多に(朝日新聞)救急搬送困難は5303件 3週連続で最多更新(日経新聞)3.電子処方箋の運用、来年1月開始を目途/厚労省厚労省は、31日に開催した社会保障審議会医療部会で、2023年1月に電子処方箋の運用を開始する方針を明らかにした。電子処方箋は、現在運用しているオンライン資格確認等システムを拡張し、処方箋の運用を電子で実施することで、直近の処方内容の閲覧や複投薬チェックなどの確認が可能となる。なお、利用に当たってはオンライン資格確認を導入している必要があるため、医療情報化支援基金の積み増しを行うなど未導入の医療機関に対して導入を働きかける。(参考)電子処方箋23年1月から、厚労省が関連法制を整備(日経新聞)電子処方箋 概要案内(厚労省)4.紹介受診重点医療機関、紹介状なしの初診で7,000円以上の負担導入へ厚労省は31日に開催した社会保障審議会医療部会で、患者の流れの円滑化を図るため、医療資源を重点的に活用する外来機能を持つ病院について、紹介患者への外来を基本とする医療機関(紹介受診重点医療機関)を明確にすることとし、外来機能報告制度を活用して、病院の外来機能による機能分化を図ることとした。これにより、病院における外来患者の待ち時間短縮や勤務医の外来負担の軽減、医師の働き方改革に寄与することが期待される。紹介受診重点医療機関になった200床以上の病院では、かかりつけ医からの紹介状を持参しない初診患者から7,000円以上の特別負担を徴収する義務が課されることになる(救急患者等の例外あり)。「紹介受診重点医療機関」の指定は、今春の外来機能報告制度によるデータ提出後に検討を行うため、2023年以降となるだろう。(参考)紹介受診重点医療機関や電子処方箋、国民に仕組みやメリットを十分に説明せよ―社保審・医療部会(Gem Med)紹介受診重点医療機関を定額負担の徴収対象に(日経メディカル)資料 紹介受診重点医療機関の検討について 第85回社会保障審議会医療部会(厚労省)5.原因不明の重症新生児41例の病名、ゲノム解析で判明/慶応大原因不明の病気を抱えた重症の新生児85例について、ゲノム(全遺伝情報)の解析を行い、そのうち41例の病名を突き止めたことを慶応大学が発表した。この41例は遺伝性疾患にかかっていることが判明し、約半数の20例で検査や治療方針の変更が行われた。この研究は新生児科医と遺伝学研究者からなる全国17の高度周産期医療センターからなるネットワークにより行われ、研究成果は小児科学分野を代表する国際誌The Journal of Pediatricsに掲載された。(参考)病気の原因がわからない赤ちゃんに対するゲノム解析の有用性を確認-全国で診断に難渋した85名の約半数で原因が判明(慶應義塾大学)原因不明の重症赤ちゃん、ゲノム解析で病名判明 慶大など、治療を改善(日経新聞)6.来年2月で経営終了の東海大学大磯病院、徳洲会が承継東海大学は、このほど神奈川県大磯町にある医学部附属大磯病院の経営を来年2月末で終了すると発表した。その翌月からは、医療法人 徳洲会が事業を継承し、引き続き地域の医療体制を維持するとしている。本病院は昭和59年に東海大学により開設され、21の診療科からなる大学附属病院として運営していたが、高齢化や人口減少のため、この10年で患者数が3割余り減少した。(参考)東海大、大磯病院を移譲 来年3月から徳洲会に事業継承へ(神奈川新聞)東海大学医学部付属大磯病院 来年2月末に事業終了へ(NHK)

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ブレークスルー感染、女性・30歳以上で起こりやすい?

 ジョンズ・ホプキンズ・ブルームバーグ公衆衛生大学院のJing Sun氏らが新型コロナワクチン接種後のブレークスルー感染*の発生率と発生率比(IRR)を特定することを目的とし、後ろ向きコホート研究を実施。その結果、患者の免疫状態に関係なく、完全ワクチン接種がブレークスルー感染のリスク低下と関連していることが示唆された。また、ブレークスルー感染が女性や30歳以上で起こりやすい可能性も明らかになった。JAMA Internal Medicine誌オンライン版2021年12月28日号掲載の報告。*本研究ではブレークスルー感染を、ワクチン接種の14日目以降に発症した新型コロナウイルス感染症と定義しており、2回目完了後の発症としていない。 本研究は、全米の新型コロナに関する臨床データを一元化しているNational COVID Cohort Collaborative(N3C)1)のデータに基づいて分析した。2020年12月10日~2021年9月16日の期間に新型コロナワクチンを1回以上接種した症例がサンプルに含まれた。また、ワクチン接種、新型コロナの診断、免疫機能障害の診断(HIV感染、多発性硬化症、関節リウマチ、固形臓器移植、骨髄移植)、そのほかの併存疾患、人口統計データを検証するにあたり、N3C Data Enclaveを介した。 この研究ではFDAが認可した3つの新型コロナワクチン(ファイザー製[BNT162b2]、モデルナ製[mRNA-1273]、J&J製[JNJ-784336725])と、そのほかのワクチン(アストラゼネカ製など)接種者が含まれた。また、完全ワクチン接種というのは、mRNAワクチンとそのほかのワクチン接種の場合は2回接種、J&J製の場合は1回接種と定義。部分ワクチン接種というのは、mRNAワクチンやそのほかのワクチンを1回のみ接種と定義付けた。2回接種または1回のみ接種後のリスクは、ポアソン回帰を使用して免疫機能障害の有無にかかわらず評価された。 主な結果は以下のとおり。・N3Cのサンプルには計66万4,722例が含まれていた。・患者の年齢中央値(IQR)は51歳(34~66)で、そのうち女性は37万8,307(56.9%)と半数以上を占めていた。・全体として、新型コロナのブレークスルー感染の発生率は、完全ワクチン接種者で1,000人月あたり5.0だった。しかし、デルタ変異株が主要株になった後は高かった(2021年6月20日以前と以降の1,000人月あたりの発生率は、2.2(95%信頼区間[CI]:2.2~2.2)vs. 7.3(95%CI:7.3~7.4)だった。・部分ワクチン接種者と比較し完全ワクチン接種者では、ブレークスルー感染のリスクが28%減少した(調整済みIRR [AIRR]:0.72、95%CI:0.68~0.76)。・完全ワクチン接種後にブレークスルー感染した人は、高齢者や女性が多かった。また、HIV感染者(AIRR:1.33、95%CI:1.18~1.49)、関節リウマチ(AIRR:1.20、95%CI:1.09~1.32)、および固形臓器移植を受けた者(AIRR:2.16、95%CI:1.96~2.38)では、ブレークスルー感染の発生率が高かった。・具体的には、ブレークスルー感染リスクは18〜29歳と比較して30歳以上で30〜40%増加した。・ブレークスルー感染リスクは併存疾患の数が増えるにつれて増加したが、このリスクは免疫機能障害の状態に関連しており、とりわけそれによってAIRRが弱められた。 免疫機能障害のある人は完全ワクチン接種しても、そのような状態ではない人よりもブレークスルー感染リスクはかなり高かったことを受け、研究者らは「免疫機能障害のある人は、ワクチン接種を完遂してもマスク着用やワクチンの代替となるような戦略(例:追加接種や免疫原性試験)が推奨される」としている。

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第94回 コロナ禍3年目、人類の敵はコロナじゃなかった…

実はこの1週間で2度も「ええーーー!!!!」と思う経験をした。私の場合、昼食は自分の個人事務所の近傍にある飲食店を利用している。「この時期に?」と思われるかもしれないが、常にほぼ年中無休の一人仕事であるため、そのくらいしか気分転換はない。もっとも完全な黙食で、オーダーした料理が届くまではマスクをし、食べ終わったらマスクを装着してさっさと事務所に戻っている。本音を言うと、4人掛けテーブル席のような隣席との距離が保てるところに座りたいのだが、一人客だとカウンター席に案内されることが多い。最近では飲食店のカウンター席も隣のスペースとはアクリル板で仕切られていることがほとんどだが、言い訳程度の仕切りも少なくないので本音ではやや不安だ。先日の日曜日、近所のカフェに入った時は運よくテーブル席に座ることができた。もっともカウンター席からほど近いテーブル席。カウンター内にいる従業員とカウンター席に座る客との会話は丸聞こえだ。まあ、通常はそんなのも聞き流しているのだが、女性従業員が客に語っていたある一言が耳に入り、フリーズしてしまった。「まあ、私はさ、しっかり予防しているから。毎週イベルメクチン飲んで」医療従事者の多くがご存じのとおり、今回の新型コロナが流行した当初、治療薬がほとんどなかった際にドラッグ・リポジショニングとして注目された物の一つが駆虫薬のイベルメクチン(商品名:ストロメクトール)だ。これは北里大学特別栄誉教授の大村 智氏が発見した放線菌が生産する物質の化学誘導体で、大村氏はこの研究で2015年のノーベル医学生理学賞を受賞している。新型コロナに関しては北里大学による医師主導の臨床試験と国内製薬企業の興和による臨床試験が実施され、前者はすでに試験を終了してデータの解析中である。イベルメクチンに関しては発展途上国を中心に新型コロナに関する研究報告は数多い。しかし、その中身はかなり小規模の観察研究がほとんど。しかも、投与方法や併用薬も統一したものではなく、有効と断言できるエビデンスは、はっきり言って乏しい。しかし、SNS上では、一部の人がこの薬を「新型コロナの特効薬」と持ち上げ、同時に既存の新型コロナワクチンや治療薬に関する重箱の隅を突いたかのようなネガティブ情報の発信を行っている。表現は悪いがもはや「イベルメクチン真理教」である。手に負えないのは、こうした「信者」の考えに一部の研究者や政治家までも賛同を示していることだ。彼らのイベルメクチン支持には、「日本発の薬」だからというある意味ナショナリズム的な思考も見え隠れする。昨年、私はイベルメクチンについてSNS上でネガティブな言及をした際には、ほぼ丸2日も「信者」たちに絡まれるプチ炎上を経験したほどだ。一部の「信者」がわざわざ個人輸入までしてイベルメクチンの予防内服をしているとの投稿もSNS上では時々目にしていたが、私は人口1億人超の日本でのノイジー・マイノリティぐらいにしか思っていなかった。そのためリアルで当事者に遭遇してやや驚いたのだ。それでもノイジー・マイノリティにたまたま遭遇したのだろうと思って納得していた。この翌日、別の飲食店のカウンター席で昼食を取っていた最中、一つ離れた席に座っていた男性客と従業員の会話を聞いて再び驚いた。従業員「しかし、本当に感染の勢い止まらないですよね」男性客「自分は外回りで人に会うからさ、やれる対策は何でもやろうと思ってね。先月中旬から2週間に1回、イベルメクチンという薬を飲み始めたんですよ」私がたまたまノイジー・マイノリティに連日遭遇しただけという可能性は十分にある。とはいえ、気になったのは最初に遭遇した飲食店の女性従業員も、客との会話で今年に入ってから服用し始めたと話していたことだ。つまり私が遭遇した2人とも、オミクロン株による感染拡大に自身で対処しようと思い、ネットサーフィンで得た情報からイベルメクチンの服用に至ったということなのだろう。そうでもない限り、素人が新型コロナに対してイベルメクチン服用を思い立つことはほぼあり得ない。ちなみに『信者』らはイベルメクチンに関して“安全性の高さ”をやたらと強調するが、医療従事者の多くが知っているように、既存のイベルメクチンの安全性データの多くが、腸管糞線虫症への2回服用、あるいは疥癬への単回服用のデータであって、慢性的に服用する際の安全性は明らかではない。玉石混交の情報から「自分が見たい」あるいは「自分にとって耳触りの良い」情報のみを抽出できるネットの罪の部分が顕在化している一例といえばそれまでだ。しかし、前述のようにイベルメクチン問題では、この薬に好意的な一部の研究者、政治家がさらに「権威付け」してしまっているという最悪の構図も存在する。人の上に立つ、あるいは人前に出がちな人の科学リテラシーの程度次第で社会に計り知れない影響を与える可能性を街角で思い知らされた週となった。これがコロナ禍3年目の市中の様子の一端である。改めて肝に銘じておこうと思う。

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mRNAワクチンの心筋炎リスク、年齢・男女別に2億人を解析/JAMA

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のmRNAワクチン接種後の心筋炎リスクは、男女とも複数の年齢層で上昇し、とくに12~24歳の男性で2回目接種後に高かった。米国疾病予防管理センター(CDC)のMatthew E. Oster氏らが、米国の受動的なワクチン有害事象報告システム(Vaccine Adverse Event Reporting System:VAERS)を基にした解析結果を報告した。著者は、「心筋炎のリスクは、COVID-19ワクチン接種のメリットに照らして検討する必要がある」とまとめている。JAMA誌2022年1月25日号掲載の報告。米国VAERSへの心筋炎の報告を検証 研究グループは、2020年12月14日~2021年8月31日に、mRNAワクチン(BNT162b2[Pfizer/BioNTech製]またはmRNA-1273[Moderna製])を接種した米国の12歳以上の1億9,240万5,448例を対象に、接種後に発生した心筋炎のVAERSへの報告について解析した(データカットオフ日2021年9月30日)。 主要評価項目は心筋炎、副次評価項目は心膜炎の発生。VAERSへの心筋炎の報告は、CDCの医師および公衆衛生の専門家が検討し、CDCの心筋炎(疑いまたは確定)の定義を満たしているかを確認し、すべての年齢層についてまとめた。 年齢別および男女別に、粗報告率を算出するとともに、心筋炎の予測率を2017~19年の医療費請求データを用いて算出した。また、30歳未満で心筋炎の疑いあるいは確定した症例については、医学的評価および臨床医のインタビューを行い、可能な限り臨床経過(発症前の症状、確定診断検査の結果、治療、早期転帰など)をまとめた。2回目接種後の16~17歳・男性で心筋炎報告率が最も高く約1万人に1人 調査期間中、mRNAワクチンの接種は1億9,240万5,448例において計3億5,410万845回行われた。VAERSへの心筋炎の報告は1,991例で、このうちCDCの定義を満たした心筋炎患者1,626例が解析対象となった。心筋炎患者の年齢中央値は21歳(IQR:16~31)、症状発現までの期間中央値は2日(IQR:1~3)で、1,334例(82%)が男性であった。 mRNAワクチン接種後7日以内の心筋炎の報告は、BNT162b2ワクチン接種者が947例、mRNA-1273ワクチン接種者が382例であった。接種後7日以内の心筋炎粗報告率は、ワクチンの種類、性別、年齢層、1回目または2回目接種で異なっていたが、男女とも複数の年齢層で予測率を越えた。 ワクチン接種100万回当たりの心筋炎報告率は、12~15歳男性(BNT162b2ワクチン70.7)、16~17歳男性(BNT162b2ワクチン105.9)、18~24歳男性(BNT162b2ワクチン52.4、mRNA-1273ワクチン56.3)において2回目接種後に高かった。 詳細な臨床情報が得られた30歳未満の心筋炎患者は826例で、そのうちトロポニン値上昇が98%(792/809例)、心電図異常が72%(569/794例)、MRI所見異常が72%(223/312例)に認められた。96%(784/813例)が入院し、このうち87%(577/661例)は退院までに症状が消失した。最も多かった治療は、非ステロイド性抗炎症薬が87%(589/676例)であった。 なお、著者は研究の限界として、VAERSは受動的な報告システムであるため、心筋炎の報告が不完全で情報の質が多様であり、過少報告または過剰報告の両方があり得ること、ワクチン接種のデータはCDCへ報告された者に限られているため不完全であった可能性があることなどを挙げている。

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コロナワクチン、5歳未満への緊急使用をFDA申請へ/ファイザー

 米・ファイザーは2月1日付のプレスリリースで、同社の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンの緊急使用許可を、5歳未満の乳幼児にも拡大するよう求める申請手続きを開始したことを発表した。米国では、オミクロン株まん延下で小児COVID-19症例と入院が急増し、中でも4歳未満の乳幼児の感染例が160万超に上るという。米国では現在5歳以上がワクチン接種の対象だが、FDAが承認すれば、新たに生後6ヵ月~5歳未満への接種が可能になる。 本申請は、生後6ヵ月~5歳未満の小児に対し、3μg(12歳以上を対象としたワクチン30μgの10分の1用量)を2回接種するもの。ファイザーは、現在および潜在的な将来の変異株に対する高いレベルの保護を達成するためには、3回目の追加接種も必要になるとの考えだ。したがって、今回は想定されている3回接種のうち、初回として初めの2回接種について承認を求めているが、3回目の追加接種に関する試験データについても順次FDAに追加提出し、さらに承認の拡大を目指す方針。 翻って日本では、1月21日、ファイザー製の「コミナティ筋注 5~11歳用」の製造・販売が特例承認され、3月以降で接種が始まる見通しが立ったばかりの段階。諸外国では、イスラエルなどが5歳未満への接種を計画しているが、実施に至っている国はなく、世界に先駆けたFDAの判断が注目される。

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mRNAワクチン3回接種、オミクロン株とデルタ株への有効性は?/JAMA

 2021年12月10日~2022年1月1日に新型コロナウイルス感染症様(COVID様)症状を有し検査した人において、mRNAワクチンの3回接種は未接種および2回接種と比較し、オミクロン変異株およびデルタ変異株の両方に対して感染予防効果があることが認められた。米国疾病予防管理センター(CDC)のEmma K. Accorsi氏らが、症例対照研究の結果を報告した。ただし、その効果は、デルタ変異株に比べてオミクロン変異株で低いことが示唆された。JAMA誌オンライン版2022年1月21日号掲載の報告。2021年12月に米国の4,666施設で検査を受けた7万155例について解析 研究グループは、COVID-19のmRNAワクチン3回接種と症候性SARS-CoV-2感染との関連性を、変異株(オミクロン株およびデルタ株)別に推定する目的で、2021年12月10日~2022年1月1日に全米の薬局における検査プログラム(49州のCOVID-19検査施設4,666施設)で検査を受けた18歳以上のCOVID様症状を有する成人7万155例を対象に、診断陰性デザイン(test-negative design)を用いた症例対照研究を行った。 BNT162b2(Pfizer/BioNTech製)またはmRNA-1273(Moderna製)ワクチン3回接種(3回目の接種は検査の14日以上前かつ2回目の接種から6ヵ月以上経過)と、ワクチン未接種および2回接種のみ(2回目接種は検査の6ヵ月以上前、すなわちブースター接種の対象)を比較した。 主要評価項目は、オミクロン変異株またはデルタ変異株による症候性SARS-CoV-2感染。S遺伝子が検出されなかった(S gene target failure:SGTF)感染をオミクロン変異株陽性、非SGTF感染をデルタ変異株陽性とした。すなわち、N遺伝子およびORF1ab遺伝子のPCRサイクル閾値(Ct値)がありS遺伝子のCt値がないをSGTF、それ以外を非SGTFとした。 多変量多項ロジスティック回帰分析により、症例と対照における3回接種vs.未接種および3回接種vs.2回接種のオッズ(OR)を比較することにより、症候性感染とワクチン接種との関連を推定した。また、陽性例において、副次評価項目として、3つのウイルス遺伝子のCt値(ウイルス量に反比例)中央値を、変異株別およびワクチン接種の有無別で比較した。対未接種:オミクロン株67%、デルタ株93.5%、対2回接種:66%、84% 解析対象は、感染例が2万3,391例(オミクロン変異株1万3,098例、デルタ変異株1万293例)、検査陰性(対照)が4万6,764例(平均[±SD]年齢40.3±15.6歳、女性4万2,050例[60.1%])であった。 ワクチン3回接種者の割合は、オミクロン変異株感染例では18.6%(2,441例)、デルタ変異株感染例では6.6%(679例)であり、検査陰性では39.7%(1万8,587例)であった。また、2回接種者はそれぞれ55.3%(7,245例)、44.4%(4,570例)、41.6%(1万9,456例)であり、ワクチン未接種者はそれぞれ26.0%(3,412例)、49.0%(5,044例)、18.6%(8,721例)であった。 3回接種vs.未接種の補正後ORは、オミクロン変異株が0.33(95%信頼区間[CI]:0.31~0.35)、デルタ変異株が0.065(0.059~0.071)、3回接種vs.2回接種の補正後ORは、オミクロン変異株が0.34(0.32~0.36)、デルタ変異株が0.16(0.14~0.17)であった。 Ct値中央値は、オミクロン変異株およびデルタ変異株共に3回接種者で2回接種者より有意に高かった(オミクロンN遺伝子:19.35 vs.18.52、オミクロンORF1ab遺伝子:19.25 vs.18.40、デルタN遺伝子:19.07 vs.17.52、デルタORF1ab遺伝子:18.70 vs.17.28、デルタS遺伝子:23.62 vs.20.24)。

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デルタ株流行期前後の比較では患児のICU入院が多い/成育研・国際医研

 国立成育医療研究センターと国立国際医療研究センターの合同研究チームは、デルタ株流行期における小児新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による入院例の疫学的・臨床的な特徴を、デルタ株が流行する以前と比較検討した。今回、その結果を庄司 健介氏(国立成育医療研究センター)らのグループが発表した。 この研究は、2020年10月~2021年5月までをデルタ株以前、2021年8月~10月までをデルタ株流行期とし、それぞれの期間に登録された18歳未満の小児COVID-19入院例1,299人(デルタ株以前:950人、デルタ株流行期:349人)を対象に実施。その結果、デルタ株流行期は、デルタ株以前に比べて患者年齢が低いこと(中央値7歳vs.10歳)、基礎疾患のある患者の割合が高いこと(12.6%vs.7.4%)、集中治療室(ICU)入院を要した患者が多いこと(1.4%vs.0.1%)などが明らかとなった。 なお、研究では国内最大のCOVID-19レジストリ「COVID-19 Registry Japan(COVIREGI-JP)」を利用した。(※本研究は、オミクロン株がまだ存在しなかった時期に実施されているため、その影響は検討できていないことなどに留意願いたい)デルタ株流行期ではICU入院の小児患者が増加【背景・目的】 COVID-19の第5波では、小児患者数も増加したが、小児患者の臨床的特徴や重症度がデルタ株の流行により変化があったのか、どのような小児患者が重症化していたのかなどの情報は限られ、解明が求められていた。これらを明らかにすることを目的とした。【研究対象・方法】・研究対象:2020年10月~2021年5月(デルタ株以前)と2021年8月~10月(デルタ株流行期)の間にCOVIREGI-JPに登録された18歳未満のCOVID-19患者・研究方法:COVIREGI-JPに登録されている、患者の背景や臨床経過、予後などのデータを集計・分析【研究結果】・期間中に研究対象となった18歳未満の患者はデルタ株以前950名、デルタ株流行期349名。・入院患者の年齢の中央値はデルタ株以前が10歳、デルタ株流行期が7歳と、デルタ株流行期の方が若年化している傾向にあった。・入院患者に占める無症状の患者の割合はデルタ株以前が25.8%、デルタ株流行期が10.3%と、デルタ株流行期にはより症状のある患者が多く入院していたことがわかった。・ICUに入院した患者の数と割合は、デルタ株以前1名(0.1%)、デルタ株流行期5名(1.4%)と、いずれもデルタ株流行期で高かったことがわかった。症状があった患者に限って同様の解析を行ったところ、デルタ株以前1名(0.1%)、デルタ株流行期5名(1.6%)と患者全体での解析とほぼ同様の結果だった。・ICUに入院した患者のうち、半数(3/6名)は基礎疾患(喘息または肥満)のある患者だった。 研究グループでは、「今後、小児の入院適応やワクチン接種の対象などを考えていく上で、本研究の結果がその基礎データとして利用されることが期待できる」と感想を寄せ、「オミクロン株の与える影響など、引き続き検討していく必要があると考えられる」と研究の展望を語っている。また、「小児のCOVID-19患者の絶対数が増えると、集中治療を要するような小児患者も増えることが予想され、オミクロン株が流行している現在においても、小児患者について注意深く診ていくことが求められる」と注意を促している。

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国内データで見るオミクロン株へのワクチン2回接種の効果

 新型コロナワクチンの3回目のブースター接種が昨年12月から始まっているものの、初回接種(当初規定された2回目接種まで)時のような進捗が見られない。しかし一方で、オミクロン株の急拡大に歯止めが掛からないのが現状だ。多くが初回接種にとどまっている中、まん延するオミクロン株にはどれほどの効果があるのだろうか。長崎大学などの研究チームが、国内4都県5ヵ所の医療機関において、今年1月1日~21日までに新型コロナウイルス感染症が疑われる症状で検査を受けた患者400例超を解析したところ、ファイザー製もしくはモデルナ製ワクチンの2回接種の発症予防効果は51.7%で、昨年の第5波に流行したデルタ型と比べ大幅に低下していたことがわかった。本結果は、研究チームが進めているVaccine Effectiveness Real-Time Surveillance for SARS-CoV-2(VERSUS)Studyの暫定データで、 1月26日付で発表された。 本報告は、新型コロナウイルスのオミクロン株が全国で広がり始めた2022年1月1日~21日までに、全国4都県(東京、神奈川、埼玉、愛知)計5ヵ所の医療機関において、COVID-19が疑われる症状で受診した16歳以上を対象に、患者基本情報、症状、新型コロナワクチン接種歴(接種の有無、接種回数、接種日、接種したワクチンの種類)、新型コロナウイルス検査結果のデータを収集し、このうち417例について解析した暫定値。それによると、16~64歳において、ファイザー製あるいはモデルナ製いずれかのワクチンの2回接種完了(2回接種後14日以上経過)による、未接種者と比較した発症予防における有効性は51.7%(95%信頼区間[CI]:2.0~76.2%)と推定された。デルタ株が流行した2021年7月1日~9月30日における同値は88.7%(95%CI:78.8~93.9%)であり、新型コロナワクチンの有効性は低下していると考えられるという。 解析対象者の年齢中央値は32歳(四分位範囲:24~43歳)で、男性は227例(54.4%)、416例(99.8%)は自宅生活者であり、43例(10.3%)に基礎疾患があった。また、67例(16.1%)にCOVID-19患者との接触歴があった。ワクチン接種歴は、未接種53例(12.7%)、1回のみ接種完了5例(1.2%)、2回接種完了346例(83.0%)、接種歴不明1例(0.2%)だった。

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