サイト内検索|page:7

検索結果 合計:214件 表示位置:121 - 140

122.

増悪リスクの高いCOPD、LABA/LAMAの位置付けは?/NEJM

 インダカテロール(長時間作用性β2刺激薬[LABA])/グリコピロニウム(長時間作用性抗コリン薬[LAMA])は、過去1年間に増悪歴のある慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者において、サルメテロール(LABA)/フルチカゾン(吸入ステロイド[ICS])と比較し、COPD増悪抑制効果が優れることが認められた。英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのJadwiga A. Wedzicha氏らが、両薬剤を直接比較する多施設共同無作為化二重盲検第III相試験(FLAME試験)の結果、報告した。大半のガイドラインにおいて、増悪リスクの高いCOPD患者の治療には、第1選択としてLABA/ICSまたはLABA/LAMAが推奨されているが、LABA/LAMAの位置付けは明らかになっていなかった。NEJM誌オンライン版2016年5月15日号掲載の報告。増悪リスクの高いCOPD患者約3,400例を対象に非劣性試験 FLAME試験は、2013年7月~2015年9月に、43ヵ国356施設で行われた52週間の無作為化二重盲検ダブルダミー非劣性試験である。対象は、過去1年間に1回以上増悪の経験がある40歳以上のCOPD患者で、インダカテロール110μg/グリコピロニウム50μg 1日1回吸入群(1,680例)、またはサルメテロール50μg/フルチカゾン500μg 1日2回吸入(LABA/ICS)群(1,682例)に無作為に割り付けた。 主要評価項目はすべて(軽度・中等度・重度)のCOPD増悪回数(回/人年)、副次評価項目はすべてのCOPD増悪初回発現までの期間、中等度または重度COPD増悪の初回発現までの期間ならびに年間発現回数などであった。増悪抑制効果はLABA/LAMAが優れる インダカテロール/グリコピロニウム群は、主要評価項目においてLABA/ICS群に対し、非劣性だけでなく優越性も示された。すべてのCOPD増悪回数はそれぞれ3.59 vs 4.03、増悪回数比は0.89(95%信頼区間[CI]:0.83~0.96、p=0.003)で、インダカテロール/グリコピロニウム群はLABA/ICS群と比較してすべてのCOPD増悪回数を11%減少させた。 また、インダカテロール/グリコピロニウム群はLABA/ICS群と比較し、すべてのCOPD増悪の初回発現までの期間が長く(中央値71日[95%CI:60~82] vs.51日[95%CI:46~57]、ハザード比[HR]:0.84[95%CI:0.78~0.91]、p<0.001)、中等度または重度COPD増悪の回数も少なく(0.98 vs.1.19、増悪回数比:0.83[95%CI:0.75~0.91]、p<0.001)、中等度または重度COPD増悪の初回発現までの期間も延長した(HR:0.81、95%CI:0.66~1.00、p=0.046)。 LABA/ICS群と比較したインダカテロール/グリコピロニウム群のCOPD増悪回数に関する有効性は、ベースラインで測定した好酸球値とは独立していた。 有害事象ならびに死亡の発現頻度は両群で類似していた。肺炎の発現率はインダカテロール/グリコピロニウム群3.2%、LABA/ICS群4.8%であった(p=0.02)。

123.

喫煙歴+呼吸器症状は呼吸機能悪化のリスク/NEJM

 呼吸機能保持が認められる現在・元喫煙者で、慢性閉塞性肺疾患(COPD)診断基準を満たさなくとも呼吸器症状がある人は、ない人に比べ、呼吸機能が悪化する割合が高く、活動制限や気道疾患の所見がみられるという。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のPrescott G. Woodruff氏らが行った、2,736例を対象とした観察試験の結果、示された。COPDの診断は、気管支拡張薬投与後のスパイロメトリーによる検査で1秒量(FEV1)/努力肺活量(FVC)が0.70未満の場合とされている。しかし、この定義を満たさなくとも多くの喫煙者で呼吸器症状が認められており、研究グループはその臨床的意味について検討を行った。NEJM誌2016年5月12日号掲載の報告より。CATスコア10以上を呼吸器症状ありと定義 研究グループは、現在喫煙者および喫煙歴のある人(元喫煙者)と、喫煙歴のない人(非喫煙者;対照群)、合わせて2,736例を対象に観察試験を行った。COPD評価テスト(CAT、スコア0~40で評価)を実施して、スパイロメトリーによる検査で呼吸機能が保持されている人について、呼吸器症状がある人(CATスコアが10以上:有症状群)はない人(CATスコアが10未満;無症状群)と比べ、呼吸増悪のリスクが高いかどうかを検証した。 呼吸機能保持の定義は、気管支拡張薬投与後のFEV1/FVCが0.70以上で、FVCが正常下限値を上回る場合とした。また、有症状群と無症状群の、6分間歩行距離、肺機能、胸部の高分解能CT画像所見の違いの有無を調べた。呼吸機能保持の現在・元喫煙者の半数が呼吸器症状あり 追跡期間の中央値は、829日だった。その結果、呼吸機能が保持されている現在・元喫煙者の50%で、呼吸器症状が認められた。 平均年間呼吸機能悪化率は、有症状の現在・元喫煙者0.27(SD:0.67)、無症状の現在・過去喫煙者は0.08(同:0.31)であり、対照群の非喫煙者の0.03(同:0.21)と比べ、いずれも有意に高率だった(両比較においてp<0.001)。 また、有症状の現在・元喫煙者は、喘息既往の有無を問わず、無症状の現在・過去喫煙者に比べ、活動制限が大きく、FEV1、FVCや最大吸気量の値がわずかだが低く、高分解能CTで肺気腫は認めなかったが、気道壁肥厚がより大きかった。 有症状の現在・元喫煙者の42%が気管支拡張薬を、また23%が吸入ステロイド薬を使用していた。著者は「有症状の現在・元喫煙者はCOPD基準を満たしていなくとも、呼吸機能の悪化、活動制限、気道疾患の所見が認められた。また、エビデンスがないままに多様な呼吸器疾患薬物治療をすでに受けていた」とまとめている。

124.

1日1回のICS/LABA、心血管リスクのあるCOPDでの安全性は/Lancet

 心血管リスクを有する中等度の慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者において、吸入ステロイド薬/長時間作用性β2刺激薬配合剤のフルチカゾンフランカルボン酸エステル(FF)/ビランテロール(VI)(商品名:レルベア)1日1回吸入は、プラセボと比較し統計学的な有意差はなかったものの死亡や心血管系イベントの発現リスクを低下させ、忍容性は良好であった。英国・南マンチェスター大学病院のJorgen Vestbo氏らが、43ヵ国1,368施設で実施した無作為化二重盲検プラセボ対照試験(Study to Understand Mortality and Morbidity:SUMMIT)の結果、報告した。COPD患者は心血管疾患(CVD)を併発することが多いが、こうした患者に対する治療方針の決定に関して、これまで十分なエビデンスがなかった。Lancet誌2016年4月30日号掲載の報告。心血管リスクを有する中等度COPD患者約1万6,500例で検証 SUMMIT試験の対象は、40~80歳、気管支拡張薬投与後の予測FEV150~70%、1秒率70%未満(FEV1/FVC<0.7)、喫煙歴(10pack/year以上)、修正MRC(mMRC)息切れスケールスコア2以上の、CVDの既往歴またはリスクを有するCOPD患者であった。FF 100㎍+VI 25㎍(FF/VI)群、FF 100㎍(FF)群、VI 25㎍(VI)群、プラセボ群の4群に1対1対1対1の割合で無作為に割り付け、すべての治療群でエリプタ吸入器を用い1日1回吸入した。 主要評価項目は、全死因死亡、副次的評価項目は治療期間中のFEV1低下率および心血管複合エンドポイント(心血管死、心筋梗塞、脳卒中、不安定狭心症、一過性脳虚血発作)であった。 2011年1月24日~2014年3月12日に1万6,590例が無作為化され、このうち試験薬を1回以上使用した1万6,568例が安全性解析対象集団に、またGCP違反の施設を除いた1万6,485例(FF/VI群4,121例、FF群4,135例、VI群4,118例、プラセボ群4,111例)が有効性解析対象集団となった。追跡期間は最長4年、投与期間は中央値1.8年であった。全死因死亡リスクはFF/VI群で12%低下するも、統計学的有意差はなし 試験期間中の全死亡リスクは、プラセボ群と比較しいずれの治療群も差はなかった。FF/VI群のHRは0.88(95%信頼区間[CI]:0.74~1.04)で相対リスク減少率は12%(p=0.137)、FF群のHRは0.91(同:0.77~1.08、p=0.284)、VI群のHRは0.96(同:0.81~1.14、p=0.655)であった。 FEV1低下率は、プラセボ群と比較しFF/VI群およびFF群で減少した(プラセボ群との差;FI/VI群:8mL/年[95%CI:1~15]、FF群:8mL/年[95%CI:1~14]、VI群:-2mL/年[95%CI:-8~5])。 心血管複合エンドポイントの発現リスクは、プラセボ群とほぼ同等であった(FF/VI群:HR 0.93[95%CI:0.75~1.14]、FF群:HR 0.90[95%CI:0.72~1.11]、VI群:0.99[95%CI:0.80~1.22])。 中等度~重度増悪の発現率は、すべての治療群でプラセボ群より減少した。 有害事象については、肺炎や心血管系有害事象の増加は認められなかった(肺炎の発現率:FF/VI群6%、FF群5%、VI群4%、プラセボ群5%/心血管系有害事象の発現率:FF/VI群18%、FF群17%、VI群17%、プラセボ群17%)。

125.

ダニ舌下免疫療法、アレルギー性喘息に有用/JAMA

 吸入ステロイド(ICS)でコントロール不良のハウスダストダニ(house dust mite: HDM)アレルギー性喘息に対し、HDMアレルゲン舌下免疫療法(SLIT)が有効かつ安全であることが確認された。HDM舌下錠は、ICS減量期の中等度~重度の喘息増悪を9~10%減少させる。ドイツ・ロストック大学のJ. Christian Virchow氏らが、HDM舌下錠の国際多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験の結果を報告した。HDM舌下錠はHDMアレルギー性鼻炎に対する治療薬として発売されているが、HDMアレルギー性喘息患者において喘息増悪リスクを減少させるかどうかはわかっていなかった。今回の結果を踏まえて著者は、「HDM舌下錠はHDMアレルギー性喘息の新たな治療オプションとなりうる」とまとめている。JAMA誌オンライン版2016年4月26日号掲載の報告。 ダニアレルギー性喘息患者約800例で無作為化二重盲検プラセボ対照試験を実施 研究グループは、2011年8月~2013年4月に、欧州13ヵ国109施設において無作為化二重盲検プラセボ対照試験を実施した。対象は、HDMアレルギー性鼻炎の1年以上の病歴があり、FEV1予測値70%以上、過去3ヵ月以内に喘息増悪による入院歴がない、ICS(配合剤を含む)でコントロール不良のHDMアレルギー性喘息患者834例。プラセボ群、6SQ-HDM錠投与(6SQ)群、12SQ-HDM錠投与(12SQ)群に1対1対1の割合で無作為に割り付け、ICSならびに短時間作用型β2刺激薬サルブタモールと併用投与した(SQ[standardized quality]とは、HDM舌下錠製品の力価を表すために欧州内で用いられている単位)。 試験は、7~12ヵ月間の介入期と6ヵ月間のICS減量期から成り、ICS減量期では最初の3ヵ月でICSを50%減少、その後3ヵ月間でICSからの離脱を図った。 有効性の評価はICS減量期に行い、主要評価項目は同期間中における初回中等度~重度喘息増悪発生までの期間とした。HDM舌下錠投与により喘息増悪リスクが有意に減少 無作為化された834例は、平均年齢33歳(範囲17~83歳)、女性48%であった。 プラセボ群(277例)と比較し6SQ群(275例)および12SQ群(282例)で、中等度~重度の喘息増悪のリスクが有意に減少することが認められた。6SQ群のハザード比(HR)は0.72(95%信頼区間[CI]:0.52~0.99、p=0.045)、12SQ群のHRは0.69(同:0.50~0.96、p=0.03)であった。 介入期に脱落した症例を除いた解析の結果、喘息増悪の絶対リスク差(プラセボ群-HDM群)は、6SQ群0.09(95%CI:0.01~0.15)、12SQ群0.10(95%CI:0.02~0.16)で、6SQ群と12SQ群とで有意差はなかった。 副次的評価項目について、喘息症状の悪化を伴う喘息増悪までの期間は、プラセボ群と比較してHDM群で改善し(6SQ群;HR:0.72、95%CI:0.49~1.02、p=0.11/12SQ群:HR:0.64、95%CI:0.42~0.96、p=0.03)、アレルゲン特異的IgG4は有意に増加した。6SQ群と12SQ群とで、喘息コントロール質問票(asthma control questionnaire:ACQ)または喘息QOL質問票スコアの変化に差はなかった。 主な有害事象は、軽度~中等度の口腔そう痒感(6SQ群13%、12SQ群20%、プラセボ群3%)、口腔浮腫、咽頭刺激感で、重篤な全身性アレルギー反応の報告はなかった。

126.

喘息に対するdupilumab、第IIb相試験でも有効性確認/Lancet

 dupilumabは、コントロール不良の持続型喘息患者において、吸入ステロイド(ICS)+長時間作用性β2刺激薬(LABA)への併用投与により、血中好酸球数にかかわらず肺機能を改善し、重度の喘息増悪の発現を減少することが認められた。安全性プロファイルは良好で、QOLの改善も示唆された。米国・ピッツバーグ大学のSally Wenzel氏らが、dupilumabの4用量を検討した第IIb相試験の結果、報告した。dupilumabは、インターロイキン(IL)-4受容体αサブユニットに対する完全ヒトモノクローナル抗体で、2型ヘルパーT細胞による免疫反応の鍵となるIL-4およびIL-13のシグナル伝達を阻害する。第I相ならびに第IIa相試験において、喘息患者におけるdupilumabの有効性と安全性が示されたが、対象が好酸球数高値の患者に限られ、検討された用法も週1回投与のみであった。Lancet誌オンライン版2016年4月26日号掲載の報告。中~重度の持続型喘息患者を対象に無作為化比較試験を実施 研究グループは、16ヵ国174施設において、中等症~重症の持続型喘息患者に対するdupilumabの有効性および安全性を評価する無作為化二重盲検プラセボ対照用量検討試験(第IIb相試験)を実施した。 対象は、Global Initiative for Asthma(GINA)2009ガイドラインに基づき喘息と診断され12ヵ月以上経過し、中~高用量のICS+LABA併用療法でコントロール不良の成人患者(18歳以上)であった。dupilumab 300mgを2週ごと投与群、200mgを2週ごと投与群、300mgを4週ごと投与群、200mgを4週ごと投与群またはプラセボ投与群に1対1対1対1対1の割合で無作為に割り付け、24週間皮下投与した。ICSおよびLABAは用量を変更することなく継続した。 主要エンドポイントは、ベースラインの血中好酸球数≧300/μLの患者(好酸球数高値集団)における、投与12週時のベースラインからの1秒量(FEV1)の変化量とした。2週ごと200mgおよび300mg投与群でFEV1の増加あり 2013年6月~14年6月までに776例が割り付けられ、うち769例が1回以上試験薬の投与を受けた(dupilumab群611例、プラセボ群158例)。 好酸球数高値集団において、主要評価項目である12週時のFEV1の変化量は、プラセボ群[変化量(最小二乗平均値)0.18L、SE 0.05]との比較において、2週ごと300mg投与群[同:0.39L(SE 0.05)、プラセボ群との差:0.21(95%信頼区間[CI]:0.06~0.36、p=0.0063)]、ならびに2週ごと200mg投与群[同:0.43L(SE 0.05)、プラセボ群との差:0.26(95%CI:0.11~0.40、p=0.0008)]で、有意に大きかった。 全体集団および好酸球数正常集団(血中好酸球数<300/μL)においても同様の結果が認められた(全体:2週ごと300mg投与群のp<0.0001、2週ごと200mg投与群のp<0.0001/好酸球数正常集団:2週ごと300mg投与群のp=0.0086、2週ごと200mg投与群のp=0.0034)。また、同変化は24週まで持続して認められた。 喘息増悪の年間発現率は、dupilumabの2週ごと投与群で最も減少した(減少率:全体集団:70~70.5%、好酸球数高値集団:71.2~80.7%、好酸球数正常集団59.9~67.6%)。プラセボ群と比較しdupilumab群で発現率が高かった有害事象は、上気道感染(35% vs.33~41%)、注射部位反応(13% vs.13~26%)であった。 現在、さらなる有効性と安全性を評価する第III相試験が進行中である。

127.

慢性特発性蕁麻疹へのオマリズマブ、最も有効な用法・用量は?

 著者は「本メタ解析の結果は、慢性特発性蕁麻疹に対するオマリズマブ4週間に1回300mg投与の有効性および安全性に関して質の高いエビデンスとなり得る」とまとめている。Journal of Allergy and Clinical Immunology誌オンライン版2016年3月31日号の掲載報告。 研究グループは、PubMed、MEDLINE、EmbaseおよびWeb of Scienceでデータを検索するとともに、オマリズマブ製造会社の協力を得て、慢性特発性蕁麻疹に対するオマリズマブの有効性および安全性をプラセボと比較した無作為化二重盲検比較試験を特定し、メタ解析を行った。 主な結果は以下のとおり。・解析に組み込まれた無作為化二重盲検プラセボ対照試験は、7試験(合計1,312例)であった。・オマリズマブ群(75~600mgを4週間に1回投与)では、週単位で評価したかゆみや膨疹のスコアが、プラセボ群より有意に低下した。・オマリズマブの有効性は用量依存的で、週単位で評価したかゆみや膨疹のスコアが最も大きく低下したのは300mg投与であった。・完全寛解率は、オマリズマブ群がプラセボ群より有意に高く、300mg投与群で最も高かった。・有害事象の発現率は、オマリズマブ群とプラセボ群で同程度であった。

128.

重度喘息へのICS/LABAは安全かつ適正か?/NEJM

 持続性喘息の患者に対し、吸入ステロイド薬(ICS)フルチカゾンと長時間作用性β2刺激薬(LABA)サルメテロールの併用投与は、フルチカゾン単独投与に比べ、死亡や気管内挿管などの重度喘息イベントのリスクを増大しないことが示された。米国グラクソ・スミスクライン社のDavid A. Stempel氏らが、1万1,679例を対象に無作為化試験を行った結果、明らかにされた。増悪リスクは、併用投与群が単独投与群に比べ約2割低かったという。喘息治療における安全かつ適正なLABAの使用については、広く議論されている。先行する2つの大規模臨床試験では、重篤な喘息関連イベントリスクがLABAと関連している可能性が報告されていた。NEJM誌オンライン版2016年3月6日号掲載の報告より。26週間投与し、安全性、有効性を比較 研究グループは、12歳以上の持続性喘息患者1万1,679例を対象に、多施設共同無作為化二重盲検試験を行った。被験者を無作為に2群に分け、一方の群にはフルチカゾン+サルメテロールを(サルメテロール・フルチカゾン群)、もう一方にはフルチカゾンのみを(フルチカゾン単独群)、それぞれ26週間にわたり投与し、サルメテロール・フルチカゾンのフルチカゾン単独に対する非劣性を検証した。 被験者は、試験開始前1年以内に喘息の増悪が認められたが、直前1ヵ月間には認められなかった者を適格とした。また、これまでに生死に関わるほど重篤な喘息発作や、不安定喘息が認められた人は、被験者から除外された。 主要安全性評価項目は、死亡、気管内挿管、入院を要した初回重篤喘息イベント。主要有効性評価項目は、初回喘息増悪とした。1回以上の喘息増悪、フルチカゾン単独群10%に対しサルメテロール併用群8% 重度喘息イベントが認められたのは、被験者全体で67例(74件)だった。そのうち、サルメテロール・フルチカゾン群は34例(36件)、フルチカゾン単独群は33例(38件)と両群で同等であり、サルメテロール・フルチカゾンの安全性に関する非劣性が示された(ハザード比:1.03、95%信頼区間[CI]:0.64~1.66、p=0.003)。 喘息関連死はなく、喘息による気管内挿管を行ったのは、フルチカゾン単独群の2例のみだった。重度喘息増悪の発症リスクは、サルメテロール・フルチカゾン群がフルチカゾン単独群より21%低かった(ハザード比:0.79、同:0.70~0.89)。1回以上の喘息増悪が認められたのは、フルチカゾン単独群597/5,845例(10%)だったのに対し、サルメテロール・フルチカゾン群は480/5,834例(8%)だった(p<0.001)。

129.

結局、喘息に対するICS/LABAは安全なのか?(解説:倉原 優 氏)-496

 現在、喘息に保険適用のあるLABA(長時間作用性β2刺激薬)の吸入薬は、サルメテロール(商品名:セレベント)1剤のみである。ほかのLABAはCOPDに対して用いられる。いずれのLABAについても、喘息に対して単独で使用することは勧められない。これは、LABAの使用によって喘息の死亡リスクが上昇したとするメタアナリシスと、FDAのアラートに基づく1)2)。そのため、「喘息にLABAはダメなんだ」と、世界中の呼吸器内科医にインプリンティングされてしまった。 しかし、喘息界でICS/LABA(吸入ステロイド・長時間作用性β2刺激薬合剤)の合剤が台頭し、吸入薬にLABAが含まれていても安全に使用できることがわかった。毒性の上乗せはほとんど観察されなかったのである。むしろ、ICS単剤と比べて、臨床アウトカムは非常によかった。 「LABA単独はNG、ICS/LABAの合剤はOK」。こうした考えが、現在の喘息治療の主流であろう。ICS/LABAが本当に安全かどうかしっかり確かめましょう、というのがこの試験の目的である。 この研究は、フルチカゾン+サルメテロールの併用治療、あるいはフルチカゾン単独治療のいずれかに割り付けたランダム化比較試験である。プライマリ安全性エンドポイントは、初回の重篤な喘息関連イベントとされた。1万例以上の患者が登録され、併用群の重篤な喘息関連イベントのハザード比は当該非劣性基準を満たした。つまり、ICS/LABAの併用は、ICS単剤と比較して懸念しなくてよいということである。また、重度の喘息発作のリスクは単独群よりも併用群で低かった。 非劣性マージンが本当に妥当なラインかどうか溜飲が下がらない気持ちもあったが、少なくともICS/LABAを使用することで明らかな悪影響はないだろう、と結論付けられた。現在の喘息治療で、治療ステップ2以上、とりわけ3以上のケースではICS/LABAは不可欠である。高用量ICSを長期に投与していると、どうしても合併症の懸念が生じる。日本では、ICS/LABAはあまり懸念されずに処方されている現状があるが、慎重な見方をしていた欧米の呼吸器内科医にとっては、ICS/LABAの処方を増やすきっかけになることだろう。

130.

オマリズマブは日本の重症小児喘息でも有用か?

 オマリズマブ(商品名:ゾレア)は日本の重症な小児喘息に対しても有用であることを国立病院機構 福岡病院 小児科の小田嶋 博氏らが報告した。Allergology international 誌2015年10月号の掲載報告。 オマリズマブは中等症から重症のアレルギー性喘息を有する小児患者に対する臨床的な有用性が論証されている。しかしながら、日本の小児喘息患者を対象とした研究はこれまで行われてこなかった。 本研究は重症の小児喘息患者におけるオマリズマブの有効性(遊離IgE抗体の減少)と安全性の評価を目的としており、第1の目的はオマリズマブが血清遊離IgE抗体を25ng/mL(減少の目標値)まで低下させるかを調べることである。 対象は吸入ステロイド(200μg/日超のフルチカゾンプロピオン酸またはそれと同換算量)、または2剤以上の管理薬を使用しているにもかかわらず、コントロール不良な重症小児喘息患者(6~15歳)38人で、多施設共同のオープンラベル非対照試験において、オマリズマブの24週の追加投与を受けた。 主な結果は以下のとおり。・24週時の幾何学的な血清遊離IgE抗体の平均値は15.6ng/mLであった。・24週時の喘息症状スコア(日常生活スコア、夜間睡眠スコア)はベースライン時と比べ、有意に改善した。・ベースライン時と比べ、喘息の増悪率や喘息による入院率は、それぞれ69.2%、78.2%減少した(p<0.001)。・QOLスコアも有意に改善した(p<0.001)。・11人(28.9%)の患者は喘息管理薬の投与量が減少した。・36人(94.7%)の患者は治療期間中、少なくとも1つの副作用が認められた。・副作用はすべて軽度から中等度であり、問題となる新たな副作用は認められなかった。・試験期間中に脱落した患者はいなかった。

131.

喘息の最新治療~気管支サーモプラスティ

 2015年7月から、気管支喘息を外科的に治療するという国内初の医療機器「アレア気管支サーモプラスティシステム」が販売開始となった。これを受けて、2015年7月16日、都内にてメディアセミナー(主催:ボストン・サイエンティフィック ジャパン株式会社)が開催された。 これまで、喘息治療は吸入薬や内服薬などによる薬物治療が主体であった。しかし、吸入薬を使用する際の手技の差や、呼気量が低下しすぎて薬を吸うことすらできない患者の存在、薬を定期的に使用していても発作をコントロールできない場合があるなどの課題があった。さらに、発作が起きない状態が続くと薬物の使用を自己中断してしまうこともあるという患者のアドヒアランスの悪さも問題となっていた。これらの課題を解決する方法として、気管支サーモプラスティが注目されている。喘息の外科的治療・気管支サーモプラスティとは 「気管支サーモプラスティ(BT)」は、気管支鏡を用いた治療法である。気管支鏡に電極付きのカテーテルを挿入し、高周波電流にて65℃で10秒間気管支壁を温めることで、喘息の原因となる肥厚した気道平滑筋の量を健常人に近付け、気管支の収縮を抑制し、発作を起きにくくする。 治療は気管支を3つのブロックに分けて行われ、それぞれ約3週間空けて実施される。所要時間は1回あたり約1時間で、1~2泊の短期入院で行われる。BT施行後は、治療前と同じ喘息治療薬を継続するが、症状によっては減量を考慮することもできるという。 なお、本治療の適応は18歳以上の高用量吸入ステロイドおよび長時間作用型β2刺激薬で喘息症状が抑制できない患者である。BTが注目されている理由 BTは気管支をつまんだり焼いたりすることがない、非侵襲的な治療法である。 気管支平滑筋に直接作用するため、吸入薬の手技に問題がある、肺活量が落ちて吸入薬が吸えない、アドヒアランスに問題があるなど喘息患者の抱えるさまざまな問題を解決する可能性がある。 また、気管支鏡を応用した手技であるため、気管支鏡を実施している施設であれば比較的容易に施行できることも魅力の1つである。 さらに、3回という少ない回数の治療で効果が5年間継続することがわかっている。臨床試験において、喘息で救急外来を受診した患者は、BT施行前1年間と比較して、施行後は78%も減少していた(5年間の平均)。BTの注意すべき点 BTは施行直後1日以内に呼吸症状の一時的な悪化がみられることが多いという。しかし、適切な処置で通常1週間以内に症状は消失するため、施行後の慎重な観察が必須である。 なお、術中に発作の可能性がある体調不良の患者には施行できない。演者の太田 健氏(国立病院機構東京病院 院長)は、「術前の問診によるBT施行可否の判断と、あらかじめ患者の症状を安定させる薬を飲ませておくことで、術中の発作を予防しておくことが重要である。当院でBTを行った2症例は、術前3日間と術後2日間の経口副腎皮質ステロイド投与で問題なく施行できた」と語った。 さらに、演者の東田 有智氏(近畿大学医学部 呼吸器・アレルギー内科 教授)は、喘息患者は気管支が敏感になっているため、気管支鏡を入れること自体がリスクであることを指摘した。そのうえで、「BT前後に副腎皮質ステロイドなど喘息症状を抑える薬を投与することで、リスクを抑制できる」と前投薬の重要性を繰り返し強調した。BTに望まれること BTを安全かつ効果的に実施するためには、治療時の前投薬の服用や治療後に今までの喘息治療薬を継続することなど患者に対する各種指導をしっかりと行っていくことが重要となってくる。 さらに、本治療法は欧米で2000年ごろから研究・臨床試験が開始され、2011年から一般的な治療となった新しい選択肢である。日本では本年4月から保険適用となったため、治療経験はまだ少ない。そのため、専門医が治療データを収集し、BT治療後も含めた喘息管理を行っていくことが望まれる。 BTの施行で従来の喘息治療薬を用いてもコントロール不能な患者、あるいはアレルギーや副作用などの理由で薬物を使用できなかった患者の症状を緩和できる可能性がある。BTの普及は、治療に難渋していた喘息患者にとって新たな治療の選択肢となりうると大いに期待されている。

132.

~プライマリ・ケアの疑問~  Dr.前野のスペシャリストにQ!【呼吸器編】

第1回 気管支喘息治療のスタンダードは? 第2回 吸入ステロイドを使い分けるポイントは? 第3回 気管支喘息で経口ステロイドはどう使う? 第4回 風邪症状から肺炎を疑うポイントは?第5回 呼吸器感染症の迅速診断は臨床で使える?第6回 肺炎のempiric therapyの考え方とは?第7回 COPDの薬物療法は何から始める?第8回 呼吸リハビリテーション、プライマリ・ケアでできることは?第9回 在宅酸素療法の基本的な考え方は?第10回 慢性咳嗽の原因疾患を鑑別する方法は?第11回 アトピー咳嗽と咳喘息、どう見分ける?第12回 成人の百日咳、鑑別と検査のポイントは?第13回 結核の発見と対応のポイントは?第14回 肺塞栓を疑うポイントは?第15回 肺の聴診のコツは? 日常診療におけるジェネラリストの素朴な疑問に一問一答で回答するQ&A番組!気管支喘息や肺炎、COPDなどの実臨床でよく見る呼吸器疾患の診察、検査、治療に関する15の質問を、番組MCの前野哲博先生が経験豊富なスペシャリスト・長尾大志先生にぶつけます!第1回 気管支喘息治療のスタンダードは? プライマリ・ケアで扱うことも多い気管支喘息。寛解への近道は継続した投薬です。そのため、患者のアドヒアランスを高めることも治療のキーポイント。治療の原則と併せて、最も効果がある処方例をズバリお教えいたします!第2回 吸入ステロイドを使い分けるポイントは? 吸入ステロイドは気管支喘息治療薬のスタンダードですが、その剤形やデバイスは年を追うごとに進歩しています。かつて主流だったMDIと、近年数多く発売されているDPI。それぞれの特徴と使い分けをズバリお教えいたします。また、気管支喘息治療でよく使用されるDPI合剤の使い分けについても伝授。吸入ステロイドの選択はこの番組でばっちりです!第3回 気管支喘息で経口ステロイドはどう使う?気管支喘息治療では発作時の対処も重要なポイント。発作止めとしてよく使用する経口ステロイドですが、怖いものと思って、おそるおそる使っては効果も半減してしまいます。今回は、効果的に使用するために重要な投与量と中止のタイミングをズバリ解説。救急での受診後に処方する場合など発作時以外の使い方も併せてレクチャーします。第4回 風邪症状から肺炎を疑うポイントは?風邪はプライマリ・ケアで最もよく見る症状のひとつ。風邪症状から肺炎を見逃さないために、風邪の定義、そして風邪をこじらせた場合、初めから肺炎だった場合など、様々なシュチエーションに応じた見分け方のコツをズバリお教えします。第5回 呼吸器感染症の迅速診断は臨床で使える?インフルエンザに迅速診断は必要?肺炎を疑う場合に使うのはどの検査?信頼性は?迅速診断に関する疑問にズバリお答えします。マイコプラズマ、尿中肺炎球菌、レジオネラ菌。それぞれの原因微生物ごとの迅速診断の特徴やキットの使い勝手など実臨床に役立つ情報をお届けします。第6回 肺炎のempiric therapyの考え方とは?肺炎だけど起炎菌が同定できない!そんなときに行うのがempiric therapyです。今回はプライマリ・ケアで多い市中肺炎に焦点をあてて、empiric thearpyの進め方を解説します。その際、最も重要なのは肺炎球菌なのかマイコプラズマなのか予想すること。この2つを見分けるポイントと、またそれぞれに適した薬剤をズバリお教えします。第7回 COPDの薬物療法は何から始める?急激に患者数が増加するCOPD。2013年にガイドラインが改訂され、第1選択薬に抗コリン薬とβ2刺激薬が併記されました。でも実際に専門医はファーストチョイスにどちらを使っているのか?抗コリン薬が使えない場合はどうする?喀痰調整薬ってどんな患者に有用?COPDの薬物療法についてズバリお答えします。第8回 呼吸リハビリテーション、プライマリ・ケアでできることは?COPD治療に必要な呼吸リハビリテーション。専門の機械や人員のいないプライマリ・ケアでもできることはあるの?答えはYES!と長尾先生は断言します。専門病院のような細かいプログラムは不要。しかもプライマリ・ケア医の強みを活かせる指導なのです。第9回 在宅酸素療法の基本的な考え方は?専門病院で導入された在宅酸素療法。どういうときならプライマリ・ケア医の判断で酸素量を増やしてもいいの?SpO2の管理目標値はどのくらい?嫌がる患者さんに在宅酸素を継続してもらうコツはある?などの疑問にズバリ答えます!第10回 慢性咳嗽の原因疾患を鑑別する方法は?長引く咳を主訴に来院する患者さん、最も多い感染後咳嗽を除外したあとに残るのは慢性咳嗽です。慢性咳嗽の原因疾患は、副鼻腔炎、後鼻漏、胃食道逆流、咳喘息と多彩。これらをどのように鑑別するのか?ズバリそのキーポイントは喀痰のありなしなのです!今回の講義ではすぐに使える鑑別のノウハウをレクチャーします。第11回 アトピー咳嗽と咳喘息、どう見分ける?慢性咳嗽の代表的な鑑別疾患である、咳喘息とアトピー咳嗽。この2つはどう違うの?アトピー咳嗽という言葉はよく耳にするけれど、実は慢性咳嗽の半数は咳喘息なのだそう。今回は両者の違いを端的に解説。咳喘息の特徴的な症状や診断と治療を兼ねた処方例まで網羅します。第12回 成人の百日咳、鑑別と検査のポイントは?百日咳は近年、成人の罹患率が高まり、受診する患者も増えてきました。成人では特徴的な症状が見られにくく、診断ができるころには治療のタイミングを逸しているのも診療の難しいところ。今回はそんな百日咳の鑑別のコツや検査をすべき対象について、ズバリお教えいたします!第13回 結核の発見と対応のポイントは?再興感染症とも言われる結核。早期の発見治療にはプライマリケアでの対応が重要です。今回は特徴的な感染徴候やリスク因子をレクチャー。検査はクオンティフェロンと喀痰検査どちらがいい?周囲に感染者が出たと心配する患者さんにどう対応したらいい?などの質問にもズバリお答えいたします!第14回 肺塞栓を疑うポイントは?いち早く発見したい肺塞栓症。確定診断までの流れなどのベーシックな知識はもちろん、造影CTやDダイマーなどの検査ができないときでも肺塞栓を除外できる条件をズバリお教えします!第15回 肺の聴診のコツは?肺の聴診は基本的な手技。どうやってカルテに書いたら伝わりやすい?今回は代表的な4つの肺雑音の特徴とカルテの記載方法をレクチャーします。連続性か断続性か、高音か低音かなど、聞き分けるコツと、その機序も併せて解説。仕組みの講義で病態生理の理解も深まること間違いありません!

133.

REACT試験:ロフルミラストが使用できるようになったら、痩せ型のCOPD患者には注意が必要(解説:倉原 優 氏)-318

 ロフルミラストは、COPDに対して効果が期待されている経口ホスホジエステラーゼ-4阻害薬である。標準治療を施行しても増悪のリスクが高いCOPD患者に対する効果はわかっていない。 なお、コクランレビューにおいて、ホスホジエステラーゼ-4阻害薬は、COPD患者に対する呼吸機能の改善と急性増悪の減少をもたらすとされているが、実臨床における症状やQOL改善の度合いとしては乏しいものと考えられている1)。また、過去の研究では消化器系の副作用が懸念されており、とくに下痢による体重減少は日本のCOPDを診療している医師にとってゆゆしき事態である。というのも、多くのCOPD患者が痩せ型の体型だからだ。 今回のREACT試験は、重症COPDに対するロフルミラストの効果を検証した、多施設共同プラセボ対照ランダム化比較試験である。重症COPDと銘打っていることもあって、適格患者は過去1年間に2回以上の急性増悪を経験し、なおかつ吸入ステロイド薬(ICS)と、長時間作用性β2刺激薬(LABA)を併用している患者とした。上記2吸入薬以外にも、長時間作用性抗コリン薬(LAMA)の使用も許可された(個人的には、臨床においてICSを吸入しているCOPD患者の中には、相当数のトリプル吸入[ICS/LABA/LAMA]を行っている患者が存在すると考える)。患者はランダムに、ロフルミラスト500μg、あるいはプラセボを1日1回投与する群に割り付けられた。 本研究のプライマリアウトカムである中等症以上の急性増悪の頻度は、ロフルミラスト群のほうが少なかったが、ポアソン回帰分析と負の二項回帰モデルを用いた感度分析の両方の結果が示されているものの、思ったほどインパクトは大きくない。COPD急性増悪による入院アウトカムについても、ロフルミラストが効果ありと書かれているようである(率比0.761、95%信頼区間0.604~0.960、p=0.0209)。また、1秒量と努力性肺活量に対しては、過去の報告と同様に効果があると報告された。COPDの研究でよく使用されるアウトカムである「急性増悪までの期間」については微妙な結果で、急性増悪の回数によってその統計学的有意差がまちまちであり、到底一貫性のある結果とはいい難い。 さて、懸念されていた下痢の副作用は、ロフルミラスト10%、プラセボ4%(差6.6%、95%信頼区間5.50~7.71%)という結果だった。体重減少や悪心についても、やはりロフルミラスト群のほうが多かった。もし、ロフルミラストが使用される日がくるならば、われわれ臨床医は下痢と体重減少に注意する必要があるだろう。 この論文を読んでいるうちに「実臨床にインパクトは大きくない」と感じたのは私だけではないだろう。おおむね、当該コクランレビューの結論に変化を与えないと考える。 確かに、重症COPDの患者に対する治療選択肢は少ない。高齢者の場合、テオフィリンが使いにくく、吸入コンプライアンスの維持も難しいことから効果的な経口治療薬が求められているのは事実である。ロフルミラストがその光となるとはまだいえないが、呼吸器内科で最もコモンなこの疾患に対して、副作用の少ない経口治療薬の選択肢が増えることを祈るばかりである。

134.

ロフルミラストは重度増悪リスクが高いCOPDに有効/Lancet

 ロフルミラスト(roflumilast、 国内未承認)は、吸入ステロイド薬+長時間作用型β2遮断薬にチオトロピウムを併用しても高頻度の重度増悪発症リスクを有する重度慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者において、増悪を抑制し入院リスクを低減することが、米国・ワイルコーネル大学のFernando J Martinez氏らが行ったREACT試験で示された。ロフルミラストは、抗炎症作用を有する経口ホスホジエステラーゼ-4(PDE-4)阻害薬で、とくに重度~きわめて重度のCOPD、慢性気管支炎の症状、増悪のリスクを有する患者において、中等度~重度の増悪や肺機能の有意な改善効果が示されているが、標準治療を施行しても増悪のリスクが高い患者に関する検討は行われていなかった。Lancet誌オンライン版2015年2月12日号掲載の報告。追加による増悪抑制効果を無作為化試験で評価 REACT試験は、吸入ステロイド薬や長時間作用型β2遮断薬を併用しても、増悪のリスクのある重症COPD患者に対する、ロフルミラストによる増悪の抑制効果を評価する多施設共同二重盲検プラセボ対照無作為化第III/IV相試験。 対象は、年齢40歳以上、喫煙歴が20pack-years以上で、重篤な気流制限や慢性気管支炎の症状を伴い、前年に2回以上の増悪を来した重度COPD患者であった。 被験者は、固定用量の吸入ステロイド薬と長時間作用型β2遮断薬とともに、ロフルミラスト500μgまたはプラセボを1日1回経口投与する群に無作為に割り付けられた。試験前からの吸入チオトロピウム投与例は、継続投与が可とされた。 患者と担当医には治療割り付け情報がマスクされた。主要評価項目は、中等度~重度のCOPDの増悪の年間発症率とした。感度分析で13.2%の改善 2011年4月3日~2014年5月27日までに、21ヵ国203施設に1,945例が登録された。ロフルミラスト群に973例、プラセボ群には972例が割り付けられ、それぞれ969例、966例が解析の対象となった。平均年齢は両群ともに65歳、男性がそれぞれ74%、75%で、喫煙状況は両群とも48pack-yearsで、現喫煙者はそれぞれ42%、45%だった。 ポアソン回帰分析では、中等度~重度COPD増悪の発症率はプラセボ群に比べロフルミラスト群で13.2%減少し(0.805 vs. 0.927、率比[RR]:0.868、95%信頼区間[CI]:0.753~1.002、p=0.0529)、負の二項回帰モデルを用いた事前に定義された感度分析では、ロフルミラスト群で14.2%の減少が示された(0.823 vs. 0.959、RR:0.858、95%CI:0.740~0.995、p=0.0424)。 ベースラインから気管支拡張薬投与後52週までのFEV1の変化および重度COPD増悪率は、いずれもプラセボ群に比べロフルミラスト群で有意に良好であった(それぞれ、p<0.0001、p=0.0175)。 有害事象は、ロフルミラスト群で67%(648/968例)、プラセボ群では59%(572/967例)に発現した。有害事象関連の治療中止は、ロフルミラスト群が11%(104/968例)であり、プラセボ群の5%(52/967例)に比べ高率であった。 最も頻度の高い有害事象はCOPDの増悪であり、ロフルミラスト群で15%(145/968例)、プラセボ群では19%(185/967例)に認められた。また、下痢がそれぞれ10%、4%、体重減少が9%、3%、悪心が6%、2%、鼻咽頭炎が5%、5%、頭痛が4%、2%、肺炎が4%、5%にみられた。ロフルミラスト群の17例(2%)、プラセボ群の18例(2%)が治療期間(二重盲検期)中に死亡した。 著者は、「ロフルミラストは、許容されない副作用を発現せずに、臨床的に付加的ベネフィットをもたらす唯一の経口抗炎症薬である。本試験の知見は、既存の吸入薬の最大用量を使用しても重度の増悪のリスクがある重度~きわめて重度のCOPDと慢性気管支炎がみられる患者に対する、治療選択肢の情報として役立つだろう」と述べている。

135.

オマリズマブ、慢性特発性蕁麻疹の新たな治療選択肢?

 コロンビア・Fundacion Valle del LiliのDiana C Carrillo氏らは、慢性特発性蕁麻疹に対するオマリズマブの有効性および安全性を検討する目的で、プラセボを対照とした無作為化試験のシステマティック・レビューを行った。その結果、オマリズマブ300mgは抗ヒスタミン薬(ヒスタミンH1拮抗薬)が無効の慢性特発性蕁麻疹の治療に有効と考えられることを報告した。ただし、「効果的な治療期間を決定するためにさらなる検討が必要だ」とまとめている。World Allergy Organization 誌2014年12月31日号の掲載報告。 研究グループは、PubMed、Medline、EMBASE、Biomed Central、The Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)、Wily、OVIDおよびHighwire Pressを用いて2014年5月31日まで(新しい出版物については2014年の9月30日まで延長)のデータを検索し、論文の言語は問わず難治性の慢性特発性蕁麻疹と診断された12歳以上の患者を対象とした無作為化プラセボ対照試験を選択した。 評価項目は週単位の蕁麻疹活動性スコア(UAS7)やかゆみ重症度スコア(ISS)で、2人の研究者が独立してレビューし、論文の質はコクラン共同計画のツールを用いてバイアスリスクを評価した。 主な結果は以下のとおり。・解析対象となった無作為化試験は5試験(合計1,117例)であった。平均年齢は42.07歳。大半が女性、白人種であった。・オマリズマブ投与群は831例(75mg投与183例、150mg投与163例、300mg投与437例、600mg投与21例)で、単回投与または4週ごと最大24週まで投与されていた。・オマリズマブ300mg投与では、3試験で主要評価項目の評価時期におけるUAS7のベースラインからの低下量がプラセボより大きかった(19.9 vs. 6.9、19 vs. 8.5、20.7 vs. 8.01;すべてp<0.01)。・また、4試験で主要評価項目の評価時期におけるISSのベースラインからの変化量がプラセボより大きく(-9.2vs.-3.5、p<0.001/-9.8vs.-5.1、p<0.01/-8.6vs.-4.0および-9.4vs.-3.63、ともにp<0.001)、2試験で血管性浮腫なしの日の割合が高かった(95.5%vs. 89.2%および91.0%vs. 88.1%、ともにp<0.001)。・オマリズマブの用法・用量、投与期間および追跡期間が異なっていたため、メタ解析は行われなかった。

136.

気管支喘息、スピリーバ レスピマットへの期待

 2014年12月3日、日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社によるスピリーバ レスピマット喘息適応追加記者発表会が都内にて行われた。当日は足立 満氏(国際医療福祉大学 臨床医学研究センター山王病院アレルギー内科)が「喘息治療の現状とスピリーバ レスピマットへの期待」と題し講演した。■本邦における喘息コントロールの課題 本邦における喘息死は大きく減少し2012年には1,728人と2000人を下回っている。だが、一見コントロールされているようでも、実際は症状が残る患者は少なくない。 2012年の本邦の報告によれば、ICS(吸入ステロイド薬)またはICS/LABA(吸入ステロイド・長時間作用性β刺激薬合剤)を継続使用しても喘息症状が発現・悪化する患者は86.2%、そのうち31.5%は緊急受診や入院などの喘息増悪を起こしている1)。このように患者のコントロールレベルは万全とはいえない状況である。さらにコントロール不十分・不良患者は重症例だけでなく軽症例でも6~7割みられる2)。■喘息治療薬として見直される抗コリン薬 抗コリン薬は喘息治療薬としては本邦では主流の位置付けとはいえない。しかし、海外では中等症から重症例の救急治療において使用が推奨されるなど、その位置付けは本邦以上に確立しているという。抗コリン薬の作用機序はβ刺激薬をはじめとする気管支拡張薬とは異なる。また気管支拡張による肺機能改善以外にも、入院の減少などの効果も認められることから、近年は治療選択肢の1つとして期待されている。 そのようななか、COPD治療薬の定番である長時間作用性抗コリン薬(LAMA)チオトロピウムについても、気管支喘息の臨床エビデンスが続々と報告されている。ICS/LABAでコントロール不能な中等~重症の喘息患者におけるチオトロピウム(スピリーバ レスピマット)の有用性を明らかにした国際大規模試験PrimoTinA3)に続き、本邦の国内長期試験であるCadenTinA試験の結果が紹介された。本試験は、中用量のICSによっても症状が持続する軽~中等症の喘息患者を対象に行われた無作為化並行群間比較試験である。結果、最も薬剤効果の低下するトラフ値の評価において、ICS/チオトロピウム(レスピマット5μg/日)併用群は、ICS単独群に比べ110mL以上の有意なFEV1の上昇を認め、喘息関連QOLも改善している。■重症持続型喘息とはいえ適応は広い スピリーバ レスピマットの本邦での喘息の適応は重症持続型に限られる。ただし、この重症持続型とは、現在の治療ステップに、その治療による現状の症状を加味した評価である。つまり、ステップ2の軽症持続型の治療を行っていても、「症状が毎日ある」など現治療に対する症状が中等症持続型の基準を満たすほど不良な場合、重症持続型の治療適応となる(詳しくは喘息予防・治療ガイドラインを参照)。重症持続型の治療といっても、その適応範囲は広い。「調査データはないものの、現在の治療ステップに治療を加味した“真の重症持続型”はけっして少なくないであろう」と足立氏は述べた。 最後にレスピマット吸入デバイスのデモンストレーションが行われた。レスピマットは噴霧速度が遅く霧の状態が長く保たれることが、記者にも印象的であった。薬剤の効果以外にも薬剤噴霧と吸気を同調しやすいというメリットもありそうだ。【参考文献】1) 秋山一男. アレルギー・免疫. 2012; 19: 1120-1127.2) 大田健ほか. アレルギー. 2010; 59: 2010-2020.3)Kerstjens HA, et al. N Engl J Med. 2012; 367: 1198-1207.

137.

慢性閉塞性肺疾患(COPD)の内科的治療の選択について(解説:小林 英夫 氏)-261

まず、掲載された本論文の概略にお目通しいただきたい。本論文から読み取るべき点は、どのような薬剤が慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療薬として優れているかについてランダム化試験を実施すべきである、という記述に尽きるというのが筆者の印象である。 Gershon氏らが指摘するように、COPDの内科的治療法には複数の選択肢が存在し、いずれも有効性を支持する報告に裏付けられているものの、最適な治療法がどれなのかについては不明なままである。 本報告では長時間作用性β2刺激薬と吸入ステロイド薬(LABA+ICS)併用群とLABA単独群間で、死亡と入院の発生をアウトカムとして検討を行った。約2年半の追跡によりLABA+ICS併用群において軽度良好な結果が示されたが、この記述をそのまま受け入れるには少なからぬ問題点がある。 本論文は約1万2,000例という多数例を基にした解析であり、それなりの意義があることは間違いない。また、本邦で2薬剤の有効性比較試験を多数例で実行することの困難性を想定すれば、本研究から得られる示唆は重要であろう。しかし、本報告を根拠として今後のCOPD治療を変更することは早計に思う。本報告は薬剤効果を比較する試験デザインではないことを意識していただきたい。 以下、本論文の特徴を列記すると、まず、本研究は後ろ向き観察研究であり、2群の優劣を判定するためのランダム化比較試験ではない。次に、症例はadministrative databasesからの抽出であり、COPDの診断の妥当性や精度について検討できていない。その点について、同著者の既報(1 を引用し、診断精度はsensitivity、specificityともに80%以上としている。しかし、1秒量、1秒率、画像所見など検討されていないのである。さらに25%の症例は呼吸機能検査が実施されていない。 同著者は気管支喘息でも同登録データに基づく診断精度を報告し(2、そちらもsensitivity、specificityがそれぞれ約80%としている。この論文でもピークフロー値などの臨床検査は記述されていない。臨床で重要視する項目と疫学的観察における視点には少なからぬ差異が存在するようである。 上記2点に加え、対象COPD群には糖尿病が25%以上、気管支喘息が約30%、高血圧が70%以上に合併していた点は、本邦症例と比すると近似した集団なのであろうか。 4点目として、集計母集団がLABA単独群3,258例、併用群3万4,289例であり、propensity score matchingを導入した後でもLABA+ICS併用群8,712例、LABA単独群3,160例となっており、対等な2群とは評価しがたい大きな開きが存在している。当初から治療選択にバイアスが存在していることが想定される。 5点目として、サブグループとしての気管支喘息+COPD群はLABA+ICS併用により良好なアウトカムが得られたと報告している。そもそも、気管支喘息合併群をLABA単独で治療するという症例が含まれていることが、行政登録データに基づく症例選択の限界であろう。治療法の優劣を判定する目的では、本研究のような後ろ向き解析には限界があることを前提に、本論文を評価していただきたい。 しかし、疾患歴、入院歴、救急受診歴などの医療情報登録システムが構築され、疫学研究に活用できるカナダの体制を知らされると、本邦でも早急にこのような観察研究が可能となる日を願ってやまない。

138.

ステップ4の気管支喘息患者にできればステロイドを内服させたくない(解説:倉原 優 氏)-258

外来で診ている最重症の気管支喘息患者では、ステロイドの経口投与やIgEをターゲットにしたオマリズマブ(商品名:ゾレア)を使うことがある。それでもコントロールができない患者は多く、さらなる武器に期待している呼吸器内科医は少なくないだろう。その1つが、モノクローナル抗体を用いた抗体医薬品である。メポリズマブは、インターロイキン-5をターゲットとしている。 本試験の登録患者は、少なくとも半年間、ステロイドの全身投与をプレドニゾロン換算で1日当たり5~35mg内服している。すなわち、ステップ4の中でも“やむなく”経口ステロイドを使わざるを得なかった患者が対象となっている。 ご存じの通り、経口ステロイドを長期に続けていると、数々の副作用を起こすだけでなく、日和見感染症によって呼吸器疾患が急性増悪することがしばしばある。そのため、喘息治療においては、できる限り経口ステロイドを減らしたいというのが呼吸器内科医の総意であろう。 今回の結果、メポリズマブによる経口ステロイドの減量効果が認められた。半数以上の患者が50%以上の減量に成功しているが、ただしプラセボにおいても3割の患者が50%以上の減量に成功している。統計学的に有意な差とはいえ、ベースラインとして、本当に経口ステロイドが必要なステップ4の患者だったのかどうか疑問は残る。 ちなみに、ゾレアにもステロイド減量効果があると言われているが、現時点ではまだ結論は出ていない1)。

139.

LABA/ICS vs. LABAの長期有効性を観察/JAMA

 66歳以上慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者を対象とした住民ベースの長期コホート試験の結果、とくに喘息を有しており長時間作用性抗コリン薬(LAMA)の治療を受けていない患者で、長時間作用性β2刺激薬(LABA)+吸入ステロイド薬(ICS)組み合わせ投与はLABA単独投与と比べて、死亡またはCOPD入院の複合アウトカムの発生リスクが有意に低かったことが示された。カナダ・サニーブルックヘルスサイエンスセンターのAndrea S. Gershon氏らが報告した。JAMA誌2014年9月17日号掲載の報告より。66歳以上住民コホートを2.7年、2.5年追跡 LABA/ICS組み合わせ治療の長期ベネフィットを、LABA単独投与と比較した検討は、2003~2011年に、カナダのオンタリオ州で行われた。健康管理データでCOPD症例定義を満たしていた66歳以上の住民を対象とした。傾向スコア適合後、新規投与開始のLABA/ICS治療群8,712例を中央値2.7年、同じく新規LABA単独治療群3,160例を同2.5年、それぞれ追跡した。 主要評価項目は、死亡およびCOPD入院の複合アウトカムだった。LABA/ICS群で死亡・COPD入院リスクが低下 主要アウトカムは、LABA/ICS群5,594例、LABA単独群2,129例について観察された。結果、LABA/ICS群では、死亡3,174例(36.4%)、COPD入院2,420例(27.8%)、LABA単独群では死亡1179 例(37.3%)、COPD入院950例(30.1%)が観察された。 新規LABA/ICS群は新規LABA単独群と比べて、わずかだが死亡・COPD入院のリスクが減少した(5年時点の複合アウトカム差:-3.7%、95%信頼区間[CI]:-5.7~-1.7%、ハザード比[HR]:0.92、95%CI:0.88~0.96)。 両群差は、喘息疾患が併存している患者(同:-6.5%、-10.3~-2.7%、0.84、0.77~0.91)、LAMA治療を受けていない患者で大きかった(同:-8.4%、-11.9~-4.9%、0.79、0.73~0.86)。 著者は、「COPDは管理が可能な呼吸器疾患であるが、世界の主要な死因で3番目に多い。どの処方薬が、COPD患者の健康アウトカム改善に最も効果があるのかを知っておくことが、健康アウトカムを極限まで増すための基本となる」と述べるとともに、今回の所見について無作為化試験で確認すべきであるとまとめている。

140.

新規抗IL-5抗体薬が重症喘息のステロイド低減/NEJM

 喘息コントロールについて経口ステロイド薬を必要とする重症患者に対して、新たな抗IL-5抗体薬メポリズマブは、有意に経口ステロイド薬の服用を節減し、急性増悪の低下および喘息症状を改善したことが、オランダ・アムステルダム大学のElisabeth H. Bel氏らによる無作為化二重盲検試験の結果、報告された。メポリズマブについてはこれまでに、重症の好酸球性喘息患者において、急性増悪を低下したことは示されていた。NEJM誌オンライン版2014年9月8日号掲載の報告より。重症の好酸球性喘息患者135例を対象に経口ステロイド薬併用の低減効果を検討 研究グループが行ったのは、多施設共同無作為化プラセボ対照の二重盲検並行比較にデザインした第IV相試験であった。 重症の好酸球性喘息患者135例を無作為に、メポリズマブ(100mg用量)またはプラセボを投与群に割り付け、4週ごとに20週間皮下注にて投与し、ステロイドの節減効果について比較検討した。 主要アウトカムは、ステロイド用量低下の程度で、90~100%減少、75~90%未満減少、50~75%未満減少、0~50%未満減少、または減少せず、喘息コントロール不良で評価した。評価は、20~24週間または治療中止時に行った。 そのほかに、急性増悪、喘息コントロール、安全性の割合についても評価した。ステロイド用量低下の可能性はプラセボの2.39倍 結果、ステロイド用量低下の可能性は、メポリズマブ群がプラセボ群よりも、有意に2.39倍(95%信頼区間[CI]:1.25~4.56、p=0.008)高かった。 ベースライン時からの割合の減少中央値は、プラセボ群は減少なしであったのに対し、メポリズマブ群は50%(95%CI:20.0~75.0%)であった(p=0.007)。 ステロイド用量が減少したメポリズマブ群の患者について、プラセボ群と比較して、急性増悪の年間発生率は32%減少(1.44対2.12、p=0.04)、喘息症状(喘息コントロール質問票5[ACQ 5]で評価、臨床的に意味のある差は最小で0.5ポイント)に関しては0.52ポイントの減少(p=0.004)であった。 安全性プロファイルは、メポリズマブとプラセボで同等だった。

検索結果 合計:214件 表示位置:121 - 140