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ペムブロリズマブのNSCLC1次治療、3パターンが国内承認/MSD

 MSD株式会社は、2018年12月21日、抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)について、非小細胞肺がんにおける以下の国内製造販売承認事項一部変更の承認を取得した。・PD-L1発現にかかわらず切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌(非扁平上皮癌)に対する初回治療としてペメトレキセド+プラチナ製剤(シスプラチンまたはカルボプラチン)との併用療法としての適応拡大・PD-L1発現にかかわらず切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌(扁平上皮癌)に対する初回治療としてカルボプラチン+パクリタキセルまたはnab-パクリタキセルとの併用療法としての適応拡大・PD-L1陽性(TPS1≧1%)の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌に対する初回治療としての単独療法としての適応拡大3パターンの試験でペムブロリズマブの有効性および安全性が示された 今回の適応拡大にあたっては、未治療の転移のある非小細胞肺がん(非扁平上皮がん)患者を対象とした国際共同第III相KEYNOTE-189試験、未治療の転移のある非小細胞肺がん(扁平上皮がん)患者を対象とした国際共同第III相KEYNOTE-407試験、およびPD-L1陽性(TPS≧1%)の未治療の非小細胞肺がん患者を対象とした国際共同第III相臨床試験KEYNOTE-042試験のそれぞれにおいて、ペムブロリズマブの有効性および安全性が示された。 KEYNOTE-189試験では、PD−L1発現にかかわらず、未治療の転移を有する非小細胞肺がん(非扁平上皮がん)患者616例において、ペムブロリズマブとペメトレキセド+プラチナ製剤(シスプラチンまたはカルボプラチン)の併用療法が、標準化学療法であるペメトレキセド+プラチナ製剤(シスプラチンまたはカルボプラチン)の併用療法と比較して、全生存期間(OS)を有意に改善した(HR=0.49、95%CI:0.38~0.64、p<0.00001)。ペムブロリズマブとペメトレキセド+プラチナ製剤の化学療法併用群の91.9%に副作用が認められ、主な副作用(20%以上)は、悪心46.2%、貧血38.0%、疲労33.1%、好中球減少症24.9%および食欲減退20.7%であった。 KEYNOTE-407試験では、PD−L1発現にかかわらず、未治療の転移を有する非小細胞肺がん(扁平上皮がん)患者559例において、ペムブロリズマブとカルボプラチン+パクリタキセルまたはnab-パクリタキセルとの併用療法が、プラセボとカルボプラチン+パクリタキセルまたはnab-パクリタキセルの併用療法と比較して、OSを有意に改善した(HR=0.64、95% CI:0.49~0.85、p=0.0008)。ペムブロリズマブと化学療法の併用群の95.3%に副作用が認められ、主な副作用(20%以上)は、脱毛症45.3%、貧血44.2%、好中球減少症34.9%、悪心30.6%、血小板減少症29.1%および下痢21.9%であった。 KEYNOTE-042試験では、PD-L1陽性(TPS≧1%)の未治療の非小細胞肺がん患者1,274例において、ペムブロリズマブ単独療法がプラチナ製剤併用化学療法(カルボプラチン+パクリタキセルまたはカルボプラチン+ペメトレキセド)と比較してOSを有意に延長した(HR=0.81、95%CI:0.71~0.93、p=0.002)。ペムブロリズマブ群の62.7%に副作用が認められ、主な副作用(10%以上)は甲状腺機能低下症10.8%であった。 今回の適応拡大により、ペムブロリズマブは、PD-L1発現にかかわらず切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん患者に対する初回治療(PD-L1発現にかかわらず化学療法との併用療法。PD-L1陽性[TPS≧1%]の場合は単独療法も使用可能)に使用できる抗PD-1抗体となる。

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免疫チェックポイント阻害薬であるアテゾリズマブとnab-PTXの併用は未治療の進行/転移性乳がんの予後を改善する(解説:矢形寛氏)-962

 乳がん領域での免疫チェックポイント阻害薬の有効性に関する初のP3 RCTの報告である。化学療法は腫瘍抗原の放出と免疫チェックポイント阻害薬の抗腫瘍効果を高めるようであり、とくにタキサンはToll様受容体の活性化と樹状細胞の活動性を促進するため、併用効果が期待されてきた。 本試験ではnab-PTXとヒト型抗ヒトPD-L1モノクローナル抗体アテゾリズマブの併用効果が検証され、追跡期間約1年でPFSの有意性が示された。また、PD-L1が免疫染色にて腫瘍浸潤免疫細胞の1%以上発現がみられるものは、より有効性があるようであった。Grade3以上のアテゾリズマブに関連する有害事象はとくにないようであった。OSはmarginalであったが、症例数の設定とTNBCという一般的に予後が短い特殊な集団であることを考えると、OSへの寄与も十分見込めるのではないかと考えられる。 コストの問題は常につきまとうが、乳がん領域への重要な知見である。PD-L1の免疫染色の臨床的有用性だけでなく、マイクロサテライト不安定性や遺伝子変異数(Tumor Mutation Burden:TMB)との関連も検証してほしい。■「nab-PTX(ナブパクリタキセル)」関連記事進行膵がんのnab-PTX+GEM療法、新たな標準治療のエビデンス/NEJMnab-パクリタキセル+アテゾリズマブ、トリプルネガティブ乳がんでPFS延長(IMpassion130)/ESMO 2018

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アテゾリズマブ+CBDCA+nab-PTX、進行肺がん1次治療でPD-L1発現によらずPFS延長(IMpower130)/ESMO2018

 StageIV非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)1次治療におけるカルボプラチンとnab-パクリタキセルの併用療法へのPD-L1阻害薬アテゾリズマブの上乗せ効果を検討した第III相IMpower130試験の結果、アテゾリズマブ併用群でPD-L1発現状態にかかわらず、無増悪生存期間(PFS)を有意に延長したことが発表された。ドイツ・ミュンヘンで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO2018)で、AUSL della Romagna-RavennaのFederico Cappuzzo氏が発表した。 IMpower130試験は、化学療法未治療の進行非扁平上皮NSCLC患者を対象とし、カルボプラチンとnab-パクリタキセル併用+アテゾリズマブ→アテゾリズマブ維持療法群(atezo+CnP群)とカルボプラチンとnab-パクリタキセル併用→BSCあるいはペメトレキセドによる維持療法群(CnP群)を比較したオープンラベル多施設共同無作為化第III相試験。患者は、atezo+CnP群とCnP群に2:1の割合で無作為に割り付けられた。 主要評価項目は、EGFRまたはALK陽性患者を除くITT解析集団(ITT-WT)における治験担当医評価による無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)。副次評価項目は、全集団におけるPD-L1発現状態に応じたPFSおよびOS、客観的奏効率(ORR)、安全性であった。 主な結果は以下のとおり。・全体で723例(ITT-WT:679例)が登録された。・ITT-WTにおけるatezo+CnP群は451例/CnP群は228例。<65歳:50.3%/50.0%、男性:59.0%/58.8%、登録時点での肝転移有症例:15.3%/13.6%、ECOG PS 0:42.0%/39.9%、PD-L1高発現(TC3またはIC3):19.5%/18.4%、PD-L1低発現(TC1/2またはIC1/2):28.4%/28.5%、PD-L1陰性:52.1%/53.1%。・データカットオフ(2018年3月15日)時点の追跡期間中央値は19.0ヵ月であった。・ITT-WTにおけるPFS中央値は、atezo+CnP群7.0ヵ月に対しCnP群5.5ヵ月と、atezo +CnP群で有意に改善した(ハザード比[HR]:0.64、95%信頼区間[CI]:0.54~0.77、p<0.0001)。・ITT-WTにおけるOS中央値は、atezo+CnP群18.6ヵ月に対しCnP群13.9ヵ月と、atezo +CnP群で有意に改善した(HR:0.79、95%CI:0.64~0.98、p=0.033)。・全集団におけるPFS中央値は、atezo+CnP群7.0ヵ月に対しCnP群5.6ヵ月と、atezo +CnP群で有意に改善した(HR:0.65、95%CI:0.54~0.77、p<0.0001)。・全集団におけるOS中央値は、atezo+CnP群18.1ヵ月に対しCnP群13.9ヵ月と、atezo +CnP群で有意に改善した(HR:0.80、95%CI:0.65~0.99、p=0.039)。・PD-L1発現状態ごとのサブグループ解析では、PD-L1高発現(88例/42例):PFS中央値は6.4ヵ月 vs. 4.6ヵ月(HR:0.51、95%CI:0.34~0.77)、OS中央値は17.3ヵ月 vs. 16.9ヵ月(HR:0.84、95%CI:0.51~1.39)。PD-L1低発現(128例/65例):PFS中央値は8.3ヵ月 vs. 6.0ヵ月(HR:0.61、95%CI:0.43~0.85)、OS中央値は23.7ヵ月 vs. 15.9ヵ月(HR:0.70、95%CI:0.45~1.08)。PD-L1陰性(235例/121例):PFS中央値は6.2ヵ月 vs. 4.7ヵ月(HR:0.72、95%CI:0.56~0.91)、OS中央値は15.2ヵ月 vs. 12.0ヵ月(HR:0.81、95%CI:0.61~1.08)。と、PD-L1発現状態に関わらず、PFS、OSにおけるベネフィットが確認された。・EGFR / ALK陽性患者におけるサブグループ解析では、PFS中央値は7.0ヵ月 vs. 6.0ヵ月(HR:0.75、95%CI:0.36~1.54)、OS中央値は14.4ヵ月 vs. 10.0ヵ月(HR:0.98、95%CI:0.41~2.31)であった。・Grade3/4の治療関連有害事象(TRAE)は、atezo+CnP群で73.2%、CnP群で60.3%の患者に発現した。 ディスカッサントを務めたフランス・Institute of Gustave Roussy のBenjamin Besse氏は、IMpower-150試験の結果とともに本結果を解説し、EGFR / ALK陽性患者を対象とした場合にベバシズマブが役割を果たす可能性があると指摘した。■参考IMpower130試験(Clinical Trials.gov)■関連記事アジア人でより有効、進行肺がんへのプラチナ+ペメトレキセド+アテゾリズマブ(IMpower132)/ESMO2018アテゾリズマブ併用療法、進行肺がん1次治療でPD-L1発現、遺伝子ステータスに関わらずPFSの改善示す(IMpower-150)/AACR2018進行膵がんのnab-PTX+GEM療法、新たな標準治療のエビデンス/NEJMnab-パクリタキセル+アテゾリズマブ、トリプルネガティブ乳がんでPFS延長(IMpassion130)/ESMO 2018※医師限定ASCO2018最新情報ピックアップDoctors’ Picksはこちら

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ESMO2018レポート 消化器がん

レポーター紹介胃がんに対する後方ライン治療(1)-ATTRACTION-2試験長期成績-切除不能胃がんに対する標準治療は1次治療フルオロピリミジン+白金製剤(HER2陽性の場合にはさらにトラスツズマブ併用)、2次治療パクリタキセル+ラムシルマブである。3次(後方ライン)治療以降は、ニボルマブもしくはイリノテカンが治療選択肢である。ニボルマブは、2レジメン以上の化学療法不応の切除不能胃がん(胃食道接合部がん含む)を対象としたプラセボ群との比較第III相試験(ATTRACTION-2)で有効性が示され、本邦でも2017年9月に胃がんへと適応拡大された。ESMO2018では、ATTRACTION-2のアップデート結果が報告された。2018年2月までの2年間の長期追跡でも、ニボルマブ群はプラセボ群と比較して有意なOS延長が確認され、2年全生存(OS)割合は、ニボルマブ群10.6%、プラセボ群3.2%、2年無増悪生存(PFS)割合は、ニボルマブ群3.8%、プラセボ群0%であった。奏効例のOS中央値26.61ヵ月、2年OS割合61.3%であった。また、SD症例におけるOS中央値は、ニボルマブ群8.87ヵ月、プラセボ群7.62ヵ月(ハザード比[HR]:0.80、95%信頼区間[CI]:0.52~1.23)であり、有意差はないもののニボルマブ群で良好であった。本結果は、実施臨床でのニボルマブ使用においても実感できる。奏効例では長期奏効が得られることも多く、まさにノーベル賞受賞の最近の報道でなされる“奇跡の薬”との表現にも同意する。一方で胃がんでのニボルマブの奏効率はわずか10%程度であり、治療のメリットが実感できない場面が多いのも事実である。さらに、最近は約10%にhyperprogressionが認められ、むしろdetrimentalに働く集団の存在も示唆されている。抗PD-1抗体薬の効果予測バイオマーカーが必要であり、有効もしくは無効のバイオマーカーがないと、1次・2次治療や補助療法での抗PD-1抗体薬の使用は困難であろう。胃がんに対する後方ライン治療(2)-新たな治療選択肢の登場-TAGS試験(TAS-102 Gastric Study)は、2レジメン以上の前治療歴のある切除不能胃がんに対するTAS-102の有効性を検証したプラセボ対照第III相試験である。結果はすでに本年の世界消化器癌学会議(ESMO-GI)で発表されているが、ESMO2018ではサブグループ解析と腫瘍縮小効果の結果が追加された(TAS-102群:337例、プラセボ群:170例)。主要評価項目であるOS(中央値/12ヵ月OS割合)は、プラセボ群3.6ヵ月/13%に対して、TAS-102群5.7ヵ月/21%(HR:0.69、95%CI:0.56~0.85、p=0.0003)であり、TAS-102群が有意に良好であった。サブグループ解析でも、各サブグループにおいてTAS-102群が良好な結果であった。腫瘍縮小効果はTAS-102群で1例の完全奏効(CR)と部分奏効(PR)12例を認め、奏効割合(ORR)は4%であった。安定(SD)も含めた病勢制御割合(DCR)はTAS-102群44%であり、プラセボ群14%に比べ有意に良好であった。有害事象は、TAS-102群においてgrade 3以上の有害事象が多くみられ(TAS-102 80% vs.プラセボ58%)、好中球数減少(38% vs.0%)や白血球減少(21% vs.0%)、貧血(19% vs.7%)、血小板数減少(6% vs.0%)などの血液毒性が主であった。これら有害事象によるTAS-102の減量・休薬は58%で、13%の症例は試験治療中止となり、16%の症例でG-CSFが投与されていた。本試験より、TAS-102は胃がん後方ライン治療の新たな選択肢として、本邦においても使用可能となるだろう。位置付けはニボルマブと同様になると思われる。有害事象も大腸がんでの報告と同程度であり、胃がんでも比較的スムーズに臨床導入できるだろう。一方で、胃がんと大腸がんの病態の違いには注意が必要である。つまり、胃がんの方がよりaggressiveな病態を呈する患者が多く、経口摂取が困難となるケースも多い。本試験でもTAS-102後の後治療移行率は、TAS-102群25%、プラセボ群26%と両群ともきわめて低率であった。ニボルマブ、TAS-102、イリノテカンをすべて単剤療法として使い切るストラテジーよりも、併用療法の開発が期待される。大腸がん1次治療としてのTriplet療法の再検証-TRIBE2試験-大腸がん1次治療においてFOLFOXIRI+ベバシズマブ療法は、本邦におけるガイドラインでも推奨されるレジメンの1つである。その根拠となったTRIBE試験は、FOLFOXIRI+ベバシズマブ療法(Triplet)とFOLFIRI+ベバシズマブ療法との第III相試験であり、ORR 65% vs.53%(p=0.006)、PFS中央値12.1ヵ月vs.9.7ヵ月(ハザード比[HR]:0.75、p=0.003)、OS中央値29.8ヵ月vs.25.8ヵ月(HR:0.80、p=0.030)と、いずれもTriplet群が有意に良好であった。しかし本試験では、FOLFIRI群の後治療のオキサリプラチン導入割合が低く、本邦の実地臨床への外挿に疑問の声もあった。ESMO2018では、続編としてTriplet+ベバシズマブ療法を1次治療および2次治療で使用する群(triplet群)と1次治療FOLFOX+ベバシズマブ療法→2次治療FOLFIRI+ベバシズマブ療法を逐次的に行う群(doublet群)を比較した第III相試験(TRIBE2試験)の結果が報告された。すべての治療は最大8コースの施行とされ、その後は、増悪まで5-FU+ベバシズマブ療法継続が実施された。679例が登録され、患者背景は両群に大きな差はなく、RAS変異型60%程度、BRAF変異型10%、右側結腸38%と、一般的な大腸がんのpopulationよりも多い傾向であった。主要評価項目であるPFS2(2次治療終了までの無増悪生存期間)中央値は、doublet群16.2ヵ月、triplet群18.9ヵ月(HR:0.69、95%CI:0.57~0.83、p<0.001)とtriplet群で有意に良好であった。1次治療PFSはdoublet群9.9ヵ月、triplet群12.0ヵ月(HR:0.73、p<0.001)、2次治療PFSの中央値はdoublet群5.5ヵ月、triplet群6.0ヵ月(HR:0.86、95%CI:0.70~1.05、p=0.120)と有意差を認めなかった。doublet群の86%(248/288例)、triplet群の74%(194/261例)が2次治療に移行し、規定された2次治療が、doublet群では88%(FOLFIRI±Bmab)、triplet群では76%(FOLFOXIRI±Bmab)に行われていた。有害事象は既報のとおりで、1次治療における安全性は、grade 3以上の有害事象のうち、下痢(doublet群5% vs.triplet群17%、以下同様)、好中球減少(21% vs.50%)、発熱性好中球減少症(3% vs.7%)で群間差を認めた。本発表は、初回治療におけるtripletの有効性を再現したものと考えられる。doublet群の88%で2次治療に移行できているにもかかわらずtriplet群でPFS2が良好であったことはインパクトが大きいが、その理由は明らかではない。治療早期に強いレジメンを実施し、腫瘍縮小を達成することが生存延長につながっているのであろうか。とくに本試験の対象として多く含まれているRAS/BRAF変異型や右側結腸原発症例で有用である。今後発表されるOS結果にも注目したい。大腸がんに対する免疫療法の明暗-Checkmate142試験とMODUL試験-大腸がんに対する免疫チェックポイント阻害剤は、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)やミスマッチ修復(mismatch repair:MMR)タンパク発現消失を示すMMR機能欠損(deficient MMR:dMMR)がんとMMR機能欠損を示さないproficient MMR(pMMR)がんに分けて治療開発が行われている。dMMR例は遺伝子変異数(tumor mutation burden:TMB)が多く、腫瘍浸潤性リンパ球(tumor infiltrating lymphocyte:TIL)の強い免疫腫瘍環境を有することから、免疫チェックポイント阻害薬の効果が期待できる。CheckMate142試験は抗PD-1抗体薬ニボルマブ(NIVO)単剤療法、NIVOと抗CTLA-4抗体薬イピリムマブ(IPI)との併用療法を検討した第II相試験であり、ESMO2018では1次治療としてのNIVO+IPI併用療法コホートの結果が報告された。本コホートは、dMMR例を対象に、NIVO(3mg/kgを2週間隔)と低用量IPI(1mg/kgを6週間隔)の併用療法であり、既報の同薬剤併用の既治療コホート(NIVO 3mg/kg+IPI 1mg/kgを3週間隔×4回→その後はNIVO 3mg/kgを2週間隔)とは異なったスケジュールである。今回のコホートには45例が登録され、BRAF変異型38%、Lynch症候群18%が含まれていた。主要評価項目である担当医判定によるORRは60%(完全奏効[CR]:3例[7%]を含む)、DCRは84%であった。BRAF変異例17例でも、ORR 71%、DCR 88%と良好だった。解析時点において82%の症例が効果継続中であり、12ヵ月PFS割合77%、OS割合83%と、長期の生存延長効果が期待された。Grade 3以上の重篤な有害事象割合は16%であり、治療中止に至る有害事象も7%と低かった。今回の報告は既治療例通常用量のNIVO+IPIコホートと比較して有効性は同程度、重篤な有害事象は少ない傾向であった。これが、低用量IPIのおかげなのか、それとも初回治療例を対象としたものかはランダム化比較試験でないため確証はないが、個人的には有害事象と有効性のバランスが良い本投与法を実地臨床では使用したい。とくにBRAF変異型も含めた高い有効性は魅力的である。dMMRがんに対するpembrolizumabは本年度中に適応拡大予定であるが、NIVO+IPI療法もdMMR大腸がんに必要なレジメンと考えられる。一方でpMMR大腸がんに対する免疫チェックポイント阻害薬の治療開発は、いまだ成功していない。MODUL試験は、大腸がんにFOLFOX+ベバシズマブ導入化学療法後の維持療法に関するランダム化比較試験で、バイオマーカーに基づくアンブレラ型試験である。今回、BRAF野生型コホート(コホート2)としてフッ化ピリミジン系薬剤+Bevacizumab(Bmab)とAtezolizumabの併用療法との比較パートの結果が発表された。患者背景はRAS変異型60~65%、dMMR2%であり、本試験はpMMR大腸がんへの免疫チェックポイント阻害剤の有効性を探索する試験と言える。追跡期間中央値18.7ヵ月時点におけるupdate analysisでのPFS中央値は試験治療群7.20ヵ月、標準治療群7.39ヵ月(HR:0.96、95%CI:0.77~1.20、p=0.727)、OS中央値は試験治療群22.05ヵ月、標準治療群21.91ヵ月(HR:0.86、95%CI:0.66~1.13、p=0.283)と、有意差は認められなかった。ESMO-GIでは後方ラインでのAtezolizumab(+cobimetinib)の第III相試験(COTEZO)もnegativeな結果が報告された。pMMR大腸がんへの免疫療法は、まだまだ暗い闇の中といったところである。

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ESMO2018レポート 肺がん

レポーター紹介ESMO(European Society for Medical Oncology)2018はドイツのミュンヘンで、2018年10月19~23日の期間に行われた。今年は9月に世界肺癌学会がカナダのトロントで行われたこともあり、昨年のESMOと比べると少しトピックスが少ない印象ではあったが、2万8千人が参加し、多くの演題が報告された。肺がん領域でのトピックスをいくつか紹介する。分子標的治療薬のトピックスオシメルチニブの耐性機序EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がん患者で、1次治療としてEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(EGFR-TKI)で治療された後、耐性遺伝子の1つであるT790M変異が陽性であった場合に、第3世代EGFR-TKIであるオシメルチニブもしくはプラチナ製剤+ペメトレキセドに割り付けられる第III相試験であるAURA3の試験における、耐性メカニズムについて報告された。ベースラインの血漿サンプルでEGFR遺伝子変異陽性であり、耐性後に血漿検体の評価ができた73例の検討では、49%でT790Mの消失を認め、C797Sが14%で認められた。(Papadimitrakapoulou V, et al, LBA51)また、EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がん患者で、1次治療として第1世代のEGFR-TKIとオシメルチニブを比較する第III相試験であるFLAURA試験における耐性メカニズムについても報告された。第1世代のEGFR-TKIで治療され、ベースラインの血漿でEGFR遺伝子変異が陽性であった129例の検討では、T790M陽性が47%と最も多く、METの増幅が4%、PIK3CAの変異が3%で認められた。また、オシメルチニブ群で血漿のEGFR遺伝子変異が陽性であった91例の検討では、METの増幅が15%で最も多く、C797X変異が7%、PIK3CA変異が7%で認められた(Ramalingam SS, et al LBA50)。血漿での検討ではあるが、オシメルチニブの耐性メカニズムの検討として重要な報告であったと考える。ALESIAアジアで行われた、ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺がんの初回治療として、クリゾチニブとアレクチニブを比較する第III相試験の結果が報告された。本試験には187例が登録され、125例がアレクチニブ(600mgを1日2回内服)群に、62例がクリゾチニブ群に割り付けられた。主要評価項目である研究者による評価の無増悪生存期間(PFS)は、アレクチニブ群で有意に良好であった(PFS中央値、アレクチニブ群:未到達、クリゾチニブ群:11.1ヵ月、ハザード比[HR]:0.22、95%信頼区間[CI]:0.13~0.38、p<0.0001)。また、Grde3以上の毒性においても、アレクチニブ群では28.8%でみられたのに対し、クリゾチニブ群で48.8%であり、毒性においてもアレクチニブ群で軽いことが3つ目の第III相試験でも確認された(Zhou C, et al. LBA10)。ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺がんにおけるアレクチニブの有効性が改めて確認された一方で、日本のみアレクチニブの用量が異なることが、今後のALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺がんの治療開発において、問題となることが危惧される。免疫チェックポイント阻害薬のトピックスPACIFIC試験の全生存期間に関する探索的検討III期の非小細胞肺がんに対し、化学放射線療法後にデュルバルマブとプラセボを比較する第III相試験であるPACIFIC試験において、SP263で評価したPD-L1の発現によるサブグループ解析の結果が報告された。PFSにおいては、PD-L1が1%以上の集団、PD-L1が1%未満の集団ともにデュルバルマブ群で良好な結果であった。しかし、全生存期間(OS)においては、PD-L1が1%以上の集団ではデュルバルマブ群で良好な結果であったが、PD-L1が1%未満の集団ではプラセボ群で生存曲線が上回る結果であった(Faivre-Finn C, et al. 1363O)。PD-L1の発現評価が可能であったのは全体の60%強であり、またそのうちのサブグループ解析であるため、この結果の解釈には注意が必要であり、この結果をもってPD-L1が1%未満にはデュルバルマブの効果が低いという結論には至らない。しかし、化学放射線療法施行例において、PD-L1発現と予後の結果については今後も検討を行う必要があることが示唆されると考える。IMpower130IV期の非扁平上皮非小細胞肺がんの初回治療として、カルボプラチン+ナブパクリタキセル+アテゾリズマブの3剤併用療法後にアテゾリズマブの維持療法(Atezo+CnP)とカルボプラチン+ナブパクリタキセル併用療法後に支持療法もしくはペメトレキセドの維持療法(CnP)を比較する第III相試験の結果が報告された。主要評価項目の1つである研究者評価のPFS(遺伝子変異陰性患者での)はAtezo+CnPで有意に良好であった(PFS中央値、Atezo+CnP:7.0ヵ月、CnP:5.5ヵ月、HR:0.64[95%CI:0.54~0.77]、p<0.0001)。またもう1つの主要評価項目であるOS(遺伝子変異陰性患者での)においても、Atezo+CnPで有意な改善を認めた(OS中央値、Atezo+CnP:18.6ヵ月、CnP:13.9ヵ月、HR:0.79[95%CI:0.64~0.98]、p=0.033)。EGFRもしくはALK陽性の患者において、PFSとOSともにカルボプラチン+ナブパクリタキセル併用療法に対するアテゾリズマブの上乗せ効果は認められなかった。遺伝子変異陰性の非小細胞肺がんに対する、初回治療としての、プラチナ製剤を含む併用療法に対するアテゾリズマブの上乗せ効果が再確認された結果であった。一方で、遺伝子変異陽性の患者に対する、プラチナ製剤を含む併用療法に対する免疫チェックポイント阻害薬の効果については、いまだ不明のままである。大規模な比較試験の結果が待たれる。(Cappuzzo F, et al. LBA53)B-F1RST局所進行または転移性非小細胞肺がん患者における、アテゾリズマブ単剤の単群第II相試験の結果が報告された。本試験の主解析として、血液検体を用いたtumor mutation burden(bTMB)のカットオフを16とした解析が含まれている。152例のITT集団のうち、バイオマーカーの評価可能でmaximum somatic allele frequency≧1%の患者が119例であり、bTMB≧16の患者は28例であった。bTMB≧16の患者での奏効割合が28.6%に対し、bTMB<16の患者では奏効割合4.4%であった。また、PFSはbTMB≧16群でよい傾向であったものの、統計学的な有意差は認めなかった(PFS中央値、bTMB≧16:4.6ヵ月、bTMB<16:3.7ヵ月、HR:0.66[95%CI:0.42~1.02]、p=0.12)。本試験のみで、bTMBのバイオマーカーとしての有効性の評価は難しいが、高い期待が持てる結果とはいえない。現在、bTMBが高い集団に対する第III相試験が進行中であり、その結果が待たれる。(Kim ES, et al. LBA55)

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大腸がん原発巣部位に関連する遺伝子、およびセツキシマブの治療効果に関するバイオマーカー【消化器がんインタビュー】第2回

第2回 大腸がん原発巣部位に関連する遺伝子、およびセツキシマブの治療効果に関するバイオマーカー出演:聖マリアンナ医科大学 臨床腫瘍学 砂川 優氏Sunakawa Y, et al. Tumor sidedness and enriched gene groups for efficacy of first-line cetuximab treatment in metastatic colorectal cancer. Clin Colorectal Cancer. 2018 Oct 1.[Epub ahead of print]

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DCS vs.DES:大腿動脈領域はパクリタキセル戦争(解説:中野明彦氏)-948

【EVTとPCI】 同じインターベンションでも冠動脈領域(PCI)と末梢動脈領域(EVT)には似て非なる点が多い。まずは両者の違いを列挙してみる。・対象血管の太さ:冠動脈と比較すると腸骨動脈は2~3倍、浅大腿~膝窩動脈は1.5~2倍、膝下動脈は同程度。・病変の長さ:末梢動脈のほうが数倍長い。・ステントプラットホーム:冠動脈では菲薄化と強い支持力を可能とするCoCrやPtCrを用いたballoon-expandable(バルーン拡張型)が、末梢動脈では屈曲・伸展・捻れのストレスにさらされるため柔軟性と支持力を兼ね備えたNitinolを用いたself-expandable(自己拡張型)が主体。・再狭窄のピーク:冠動脈では半年程度だが、自己拡張型ステントにより血管へのストレスが遷延するためか末梢動脈では1年以降も緩徐に再狭窄が進行する。・対象症例・マーケットの大きさ:最新の循環器疾患診療実態調査報告書では国内の症例数はPCI:EVT=4:1である。したがってEVT分野では大規模な臨床試験が遂行しにくい。【大腿~膝窩領域は群雄割拠】 さらに、病変部位によって治療戦略や成績が異なるのがEVTの大きな特徴である。腸骨動脈ではbare metal stentとくにbare nitinol stent(BNS)が5年開存率80~90%と安定した結果を残しているのとは対称的に、重症下肢虚血のみが適応となる膝下領域では閉塞性病変も多く、とくにバルーン治療しか適応されない本邦においては、その高い再狭窄率を打開する糸口が見いだせていないのが現状である。 そして大腿~膝窩動脈は最もホットな領域で、デバイスの進化と相まってガイドラインが改定されるたびに適応病変も拡大している。デバイスは従来のバルーン・BNSに加え、薬剤コーティングステント(DCS)・薬剤溶出性ステント(DES)・薬剤コーティングバルーン(DCB)、さらにはステントグラフト・アテレクトミーまで多岐に渡る。進化の過程はPCIのそれに類似するが、再狭窄予防に用いられる薬剤はlimus系が席巻しているPCIと異なり、冠動脈では一線を退いたパクリタキセルが主役を演じている。この分野にも依然として残るデバイスラグにより、本邦ではバルーン・BNS・DCS・ステントグラフトのみが使用可能であったが、新たに2017年12月からDCB:Paclitaxel-coated balloon(IN. PACT Admiral)が保険適用となった。【IMPERIAL studyについて】 本試験は大腿~膝窩動脈領域のEVTにおいて、非吸収ポリマー被覆・パクリタキセル溶出性ステント(Eluvia)の非ポリマー・パクリタキセル被覆ステント(Zilver PTX)に対する非劣性を検証した多施設単盲検無作為試験である。Eluvia stentはPCI領域(Xience stent / Promus stent)と同じポリマーにより薬剤溶出スピードがコントロールされ、再狭窄のピークとされる1年後までパクリタキセルを放出し続ける。対してポリマーのないZilver PTX stentは24時間で95%のパクリタキセルが放出され、約2ヵ月で血管壁からも消失する。すなわち前者はDrug-Eluting Stent(DES)であり、後者はDrug-Coated Stent(DCS)なのである。 試験の詳細は別項に譲るが、病変長8cm台と長くはないものの、完全閉塞が3割、高度石灰化30~40%のリアルワールドに近い病変が対象で、1年後の有効性・安全性のエンドポイントにおいてEluviaの非劣性が示されただけではなく、1次開存率はEluviaが勝り、再治療率・ステント血栓症もZilver PTXのおよそ半分だった。【Eluvia stentへの期待と懸念】 DESの優劣にはステントプラットホーム、ポリマー、薬剤とその溶出期間などが複合的に影響する。PCI領域でのCypher stent(Sirolimus-eluting stent)に少し遅れ、EVT領域で2000年代に相次いで登録されたlimus系DES:Sirolimus-eluting stent(SIROCCO I・II study)やEverolimus-eluting stent(STRIDES study)は、BNSへの優位性が示せず早々に表舞台から姿を消した。その後のZilver PTXの登場はCypher stentの時のような期待感を抱かせたが、今回のEluvia stentはPCI領域での第2世代DESのイメージである。 しかしまだ1年間の結果であり、課題も多い。たとえばパクリタキセルが溶出し終えた1年以降の長期成績が未確定である。現時点ではfirst-in-manのMAJESTIC試験(n=57、病変長:7cm、完全閉塞:46%、高度石灰化:65%)が3年次までを報告、TLR回避率85.3%と悪くない結果だった。一方、薬剤長期溶出の懸念についてはMunster all-comers registry(n=62、病変長:20cm、完全閉塞:79%、中~高度石灰化:42%)が1年後に8%の動脈瘤形成(あるいは高度の陽性リモデリング)を報告している。 いまだこのDESを持たない日本では、ステントを留置しない「leave nothing behind」の概念が注目されDCB市場がにわかに活気付いている。冠動脈とは比較にならないほどの大量の新生内膜への対応策が確立していないためである。臨床試験もIN. PACT AdmiralによるIN. PACT SFA試験(n=220、病変長:8.9cm)の3年間1次開存率は69.5%、TLR回避率84.8%と良好である。しかし完全閉塞:26%、高度石灰化:8%と重症病変は少なく、7%でステントの追加留置が必要だった。当然のことながらステント(DES・DCS)とDCBは競合的ではなく補完的に使い分けるべきなのだろう。 2016年2月にCEマークを取得、本年9月FDAに認可されたEluvia stentは、おそらく来年にはわれわれの手元に届く。今後の長期成績を見据えながら、各デバイスをどう使い分けていくのかが問われることになる。 Eluviaが“帝国”を築けるかどうか、今後も大腿~膝窩動脈領域のパクリタキセル戦争に注目である。

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IV期扁平上皮がんへの免疫療法+化学療法併用について(解説:小林英夫氏)-950

 肺がんの組織型は非小細胞がんが多くを占め、とりわけ扁平上皮がんと腺がんが中心となっている。1980年代までは扁平上皮がん、なかでも肺門型(中枢型)の扁平上皮がんが多かったが、その後徐々に腺がんが多数となり、扁平上皮がんを診療する機会が減少していた。ところが近年になり、以前の肺門型扁平上皮がんではなく、肺野末梢に発生する扁平上皮がんを経験する機会が増加してきている。なぜ再増加しているのか理由は定かではない。また、切除不能であるIV期の非小細胞肺がんの治療面では、2000年代以降になり遺伝子変異陽性の腺がんに対しチロシンキナーゼ阻害薬などの分子標的治療薬が急速に普及し、腺がんの標準治療は大きく変化してきた。一方で、IV期扁平上皮がん治療に有効な分子標的薬は導入できておらず、細胞障害性抗腫瘍薬または免疫チェックポイント阻害薬が現時点における治療の主役だが、まだまだ十分な効果は得られていない状況にある。 本論文は、非扁平上皮がんに対する治療としてプラチナ製剤を含む化学療法+ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)が生存期間延長をもたらす可能性が示された既報を受けて、扁平上皮がんへの同併用療法の効果を検証した二重盲検無作為化第III相試験である。全例がカルボプラチンをベースにした化学療法を受け、その半数にペムブロリズマブ、残りの群はプラセボが投与され、両群が比較検討された。主要エンドポイントである全生存期間中央値は、ペムブロリズマブ群15.9ヵ月がプラセボ群11.3ヵ月に比べ有意に延長した。無増悪生存期間中央値もペムブロリズマブ群が6.4ヵ月で、プラセボ群4.8ヵ月に比し良好であった。ペムブロリズマブ群がプラセボ群を上回ることはある程度予想された結果と考えられる。一方、投与薬剤が増えるため有害事象発現も重要課題で、有害事象による治療中止はペムブロリズマブ群が高かった(13.3 vs.6.4%)。治療関連死はそれぞれ3.6%、2.1%にみられた。 2018年ノーベル生理学・医学賞受賞により、がんの免疫療法、チェックポイント阻害薬がますます脚光を浴びている。かつて日本で話題になった丸山ワクチンのような免疫療法と現在の免疫チェックポイント阻害薬はまったく別の機序で作用しており、チェックポイント阻害薬が著効する症例も数多く報告されている。しかし同薬が万能薬ではないことも事実であり、今後、扁平上皮がん治療のキードラッグとしてどのような投与法が最適なのか、まさに研究が進行している。

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大腸がんにおける好中球・リンパ球比と免疫関連遺伝子のバイオマーカー研究【消化器がんインタビュー】第1回

第1回 大腸がんにおける好中球・リンパ球比と免疫関連遺伝子のバイオマーカー研究出演:聖マリアンナ医科大学 臨床腫瘍学 砂川 優氏Sunakawa Y, et al. Immune-related Genes to Dominate Neutrophil-lymphocyte Ratio (NLR) Associated With Survival of Cetuximab Treatment in Metastatic Colorectal Cancer. Clin Colorectal Cancer. Aug 23. 2018.[Epub ahead of print]関連記事好中球・リンパ球比により異なる大腸がんセツキシマブ・化学療法レジメンの生存期間/Clin Colorectal Cancer

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FOLFOXIRI+BV、大腸がん1~2次治療で優越性(TRIBE2)/ESMO2018

 切除不能大腸がんにおいて、1~2次治療でのFOLFOXIRI+ベバシズマブ(BV)の併用療法が、FOLFOX+BV→FOLFIRI+BVの治療シークエンスと比較して良好なアウトカムを示したことが明らかになった。ドイツ・ミュンヘンで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO2018)で、イタリア・ピサ大学のChiara Cremolini氏が発表した第III相TRIBE2試験の中間解析結果より。 TRIBE2試験は、切除不能大腸がんの1~2次治療における3剤併用+BVと2剤併用+BVの有効性を比較する非盲検無作為化第III相試験。被験者は、Arm A:FOLFOX+BV→維持療法として5-FU+BV(PDまで)→FOLFIRI+BV→5-FU+BV(PDまで) Arm B:FOLFOXIRI+BV→5-FU+BV(PDまで)→FOLFOXIRI+BV→5-FU+BV(PDまで)に1:1の割合で無作為に割り付けられた(各併用療法はそれぞれ最大8サイクル)。 主要評価項目は、「無作為化から、2次治療のPD(2次治療なし、あるいは1次治療でのPDから3ヵ月以内に2次治療が開始されなかった場合は1次治療のPD)または死亡のいずれかが最初に生じるまでの期間」として定義される無増悪生存期間2(PFS2)。Arm AにおけるPFS2中央値を15ヵ月と推定し、Arm Bとのハザード比(HR)が0.77となるためには、466イベント、654例の患者が必要とされた(両側αエラー:0.05、両側βエラー:0.20)。中間解析は2/3のイベント(303イベント)発生時に計画され、O'Brien Fleming法にしたがって、中間解析では0.0131、最終解析では0.0455の両側αレベルが定義された。 主な結果は以下のとおり。・2015年2月~2017年5月までの間に、イタリアの58施設で、18~75歳、ECOG PS ≦2の679例(Arm A / B:342例/337例)の切除不能大腸がん患者が組み入れられた。年齢中央値:61歳/60歳、ECOG PS 0:86%/87%、右側原発:38%/38%、アジュバント化学療法歴有:2%/2%、肝限局転移:29%/32%、RAS変異型:65%/63%、BRAF 変異型:10%/10%。・追跡期間中央値22.8ヵ月で、547例(286/261)の患者が進行し、423イベント(235 /188)についてPFS2が報告された。・Arm BではArm Aと比較して、1次治療後のPD(PD1)までの期間であるPFS1(9.9ヵ月 vs. 12.0ヵ月、HR:0.73、95%信頼区間[CI]:0.62~0.87、p<0.001)およびRECISTによる奏効率(50% vs.61%、オッズ比[OR]:1.55、95%CI:1.14~2.10、p=0.005)を有意に改善した。・Arm Aで248例(86%)、Arm Bで194例(74%)がPD1後に2次治療を受けた。Arm BではArm Aと比較して、PFS2を有意に延長した(16.2ヵ月 vs. 18.9ヵ月、HR:0.69、95%CI:0.57~0.83、p<0.001)。・1次治療におけるGrade3/4の有害事象のうち、Arm Bで多くみられた項目は、下痢(5% vs.17%、p<0.001)、好中球減少症(21% vs.50%、p<0.001)、発熱性好中球減少症(3% vs.7%、p<0.050)であった。 ■参考TRIBE2試験(Clinical Trials.gov)※医師限定肺がん最新情報ピックアップDoctors’Picksはこちら

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転移のある前立腺がん、前立腺への放射線療法は?/Lancet

 新たに診断された転移を有する前立腺がんについて、前立腺への放射線療法は、全生存率(OS)を改善しないことが、英国・王立マーズデン病院のChristopher C. Parker氏らによる第III相無作為化対照試験の結果、示された。本検討は、これまでに得られた所見に基づき、「転移を有する前立腺がん患者における前立腺放射線療法はOSを改善し、そのベネフィットは転移負荷が低い患者で最大になる」との仮説を検証する目的で行われた。Lancet誌オンライン版2018年10月21日号掲載の報告。スイスと英国の117病院で無作為化試験、照射スケジュール・転移負荷別検討も 転移を有する前立腺がんに対する、標準治療(対照群)と標準治療+放射線療法(放射線療法群)の比較試験は、スイスと英国の117病院で行われた。適格患者は、新たに転移を有する前立腺がんが診断された患者で、1対1の割合で対照群もしくは放射線療法群に無作為に割り付けられた。無作為化では、病院、無作為化時の年齢、リンパ節転移、WHOパフォーマンスステータス、アンドロゲン遮断療法の予定、ドセタキセル投与の予定(2015年12月から)、アスピリン標準量もしくは非ステロイド性抗炎症薬の使用による層別化も行われた。 標準治療は、持続的アンドロゲン遮断療法で、2015年12月からはドセタキセル併用が許容された。放射線療法群の被験者は、無作為化前に決められていたスケジュールにのっとり、連日照射(4週間で55Gy/20回)、または週1回照射(6週間で36Gy/6回)を受けた。 主要評価項目(intention-to-treat解析)は、死亡数で評価したOSであった。解析は、検出力90%、片側α値2.5%で行い、ハザード比(HR)は0.75を目標とした。副次評価項目は、治療無失敗生存(failure-free survival)、転移を有する無増悪生存、前立腺がん特異的生存、症候性局所無病生存などであった。解析はCox比例ハザード・フレキシブルパラメトリックモデルを用い、層別化因子の補正を行った。また、ベースラインの転移負荷と放射線治療スケジュールによる前立腺放射線療法の効果を調べる2つの事前に規定したサブグループ解析を行った。OSを改善せず 2013年1月22日~2016年9月2日に、男性2,061例が無作為化を受け、1,029例が対照群に、1,032例が放射線療法群に割り付けられた。割付はバランスが取れており、年齢中央値は68歳(IQR:63~73)、前立腺特異抗原量中央値は97ng/mL(33~315)。また、初期にドセタキセルを受けた患者は367例(18%)であった。連日照射は1,082例(52%)、週1回照射は979例(48%)で、低転移負荷819例(40%)、高転移負荷1,120例(54%)、転移負荷不明122例(6%)であった。 放射線療法は、治療無失敗生存を改善したが(HR:0.76、95%信頼区間[CI]:0.68~0.84、p<0.0001)、OSは改善しなかった(0.92、0.80~1.06、p=0.266)。 放射線療法の忍容性は良好であった。有害事象(Radiation Therapy Oncology Group、Grade3~4)の報告は、療法中48例(5%)、療法後37例(4%)であった。1つ以上の重篤な有害事象(Common Terminology Criteria for Adverse Events、Grade3以上)の報告率は、安全性評価集団において、両群間で同程度であった(対照群398例[38%]、放射線療法群380例[39%])。

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切除不能TN乳がん1次治療でのアテゾリズマブ+nab-パクリタキセル/NEJM

 未治療の転移を有する/切除不能な局所進行トリプルネガティブ乳がん患者に対し、アテゾリズマブ+アルブミン懸濁型パクリタキセル(nab-パクリタキセル)併用療法は、intention-to-treat(ITT)集団およびPD-L1陽性サブグループのいずれにおいても無増悪生存期間(PFS)を延長することが認められた。有害事象は、各薬剤の既知の安全性プロファイルと一致していた。英国・ロンドン大学クイーン・メアリー校のPeter Schmid氏らが、第III相の国際多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照臨床試験「IMpassion130試験」の結果を報告した。エストロゲン受容体陰性、プロゲステロン受容体陰性およびHER2陰性のトリプルネガティブ乳がん(TNBC)は予後不良の悪性疾患だが、nab-パクリタキセルはアテゾリズマブの抗腫瘍活性を高める可能性が示されていた。NEJM誌オンライン版2018年10月20日号掲載の報告。41ヵ国246施設902例について、プラセボ対照試験 IMpassion130試験は、41ヵ国246施設で実施された。2015年6月~2017年5月までに、転移を有する/切除不能な局所進行TNBCと診断され化学療法または全身療法歴のない患者902例を、アテゾリズマブ+nab-パクリタキセル(アテゾリズマブ)群と、プラセボ+nab-パクリタキセル(プラセボ)群に1対1の割合で無作為に割り付け(層別化因子:タキサン系薬剤投与歴、ベースライン時の肝転移の有無およびPD-L1発現状態)、疾患増悪または許容できない有害事象が発現するまで投与を継続した。 主要評価項目は2つで、ITT集団およびPD-L1陽性サブグループにおけるPFSならびに全生存期間(OS)であった。アテゾリズマブ+nab-パクリタキセルでPFSが有意に延長 追跡期間中央値12.9ヵ月において、PFS中央値はITT集団でアテゾリズマブ群7.2ヵ月、プラセボ群5.5ヵ月(病勢進行または死亡のハザード比[HR]:0.80、95%信頼区間[CI]:0.69~0.92、p=0.002)、PD-L1陽性サブグループでそれぞれ7.5ヵ月、5.0ヵ月(同HR:0.62、95%CI:0.49~0.78、p<0.001)であった。 OS中央値は、ITT集団でアテゾリズマブ群21.3ヵ月、プラセボ群17.6ヵ月(死亡のHR:0.84、95%CI:0.69~1.02、p=0.08)、PD-L1陽性サブグループでそれぞれ25.0ヵ月、15.5ヵ月(同HR:0.62、95%CI:0.45~0.86)であった。 新規の有害事象は確認されず、投与中止に至った有害事象の発現率はアテゾリズマブ群15.9%、プラセボ群8.2%であった。

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高齢NSCLCに、有効かつFNのない化学療法を 第20回【肺がんインタビュー】

第20回 高齢NSCLCに、有効かつFNのない化学療法を高齢者の非小細胞肺がん(NSCLC)では、化学療法による発熱性好中球減少症(FN)が大きな問題となる。そのような中、高齢者肺がん患者を対象にドセタキセル・ラムシルマブ併用レジメン(以下、ドセタキセル・ラムシルマブ)にPEG-G-CSFを併用した、西日本がん研究機構(WJOG)による第II相試験DRAGON study(WJOG9416L)1)が実施される。同試験の研究事務局である神戸低侵襲がん医療センターの秦 明登氏に、同研究の狙いを聞いた。試験を行った背景はどのようなものですか。わが国では、ドライバー遺伝子変異のない高齢者肺がんに対する1次治療のスタンダードは、ドセタキセル単剤です。このドセタキセル単独に対し、ドセタキセル・ラムシルマブは、2次治療以降で、奏効率、無増悪生存期間、そして全生存期間を有意に延ばしています2)。この試験は年齢を問わず行われましたが、高齢者においても有力な治療選択肢となる可能性があります。しかし、このレジメンの課題はFNの頻度が高いことで、日本人の第II相試験では、34%、つまりおよそ3例に1例がFNを発症するという報告があります3)。一方、わが国の後ろ向きの報告では、ドセタキセル・ラムシルマブにPEG-G-CSF製剤であるペグフィルグラスチムを併用することで、FN発症をゼロに抑えたという報告があります4)。そのほかにも、ペグフィルグラスチムの化学療法との併用によるFN発症抑制については、しっかりしたエビデンスが示されています。このようなことから、ドセタキセル・ラムシルマブにペグフィルグラスチムの1次予防を併用することで、FNを防ぎつつ、有効性を確保した治療を高齢NSCLC患者に提供できるのではないかという仮説を立て、この試験を実施しています。プライマリ・エンドポイントは全奏効率(ORR)ですが、FN発症抑制についても評価されるのですか。有効性を評価するために第II相試験の一般的な評価項目として、ORRをプライマリ・エンドポイントに設定しています。FNの発症率についても、副次評価項目の安全性で評価する予定です。FNの1次予防としてG-CSFを用いることについては?改訂されたG-CSF使用に関するASCOのガイドラインでは、FN発症リスク20%以上の患者ではG-CSFの1次予防が推奨されています5)。ドセタキセル・ラムシルマブのFN発症率はおよそ3分の1ですので、十分その対象となります。さらに、PEG製剤を用いることによる、実臨床でのメリットもあります。現在の化学療法はほとんど外来で実施します。従来のG-CSFは連日投与が必要ですが、PEG-G-CSFは半減期が長く、3週に1回の投与で効果を発揮し、また化学療法の翌日から予防的に投与できます。実際の治療として、3週間サイクルの1日目にドセタキセル・ラムシルマブを、翌日にペグフィルグラスチムを投与するだけで済みますので、患者さんの受診負担も減らすことが可能になるのです。今後の研究の方向性はどのようなものですか。高齢者NSCLCの化学療法の効果は十分とはいえませんし、進化もプラトーに達しているといえます。しかし、分子標的薬は高齢者にも有効性が期待できます。その中の1つが、ベバシズマブやラムシルマブなどのVEGF阻害薬です。ただ、わが国の高齢者肺がんにおけるラムシルマブの使用については十分なデータがあるとはいえません。その意味でも、前向きに65例を検証する、この試験は意義があると思います。この第II相試験で、FNの発症抑制など安全性を確保しつつ、有効性を示すことができたら、次は、ドセタキセル・ラムシルマブ+ペグフィルグラスチムと現在の標準治療ドセタキセル単剤とを比較する第III相試験に進む計画です。DRAGON(WJOG9416L)studyデザイン多施設前向きシングルアーム第II相試験対象:75歳以上のNSCLC患者(化学療法未治療、ドライバー遺伝子変異陽性例はTKI治療で進行した患者)介入:ドセタキセル60mg/m2、ラムシルマブ10mg/kg day1、ペグフィルグラスチム3.6mg day2、3週ごと主要評価項目:全奏効率(ORR)副次評価項目:無増悪生存期間、全生存期間、奏効期間、安全性ORR:閾値20%、期待値35%サンプルサイズ:65例※DRAGON Study:Docetaxel plus Ramucirumab with primary prophylactic pegylated granulocyte-colony stimulating factor support for elderly patients with advanced non-small-cell lung cancer: A multicenter prospective single arm phase II trial1)Hata A, et al. Clin Lung Cancer. 2018 Aug 7.[Epub ahead of print]2)Garon EB, et al. Lancet. 2014;384:665-673.3)Yoh K, et al. Lung Cancer. 2016;99:186-193.4)Hata A, et al. Oncotarget. 2018;12:27789-27796.5)Smith TJ, et al. J Clin Oncol. 2006;24:3187-3205.

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FTD/TPI、3次治療以降の胃がんでOS、PFSを延長(TAGS)/ESMO2018

 転移を有する胃がん(mGC)の予後は不良で、5年OS率は4%とされる。また、3次治療の選択肢が限られており、高度の前治療を受けた患者における課題は多い。トリフルリジン・チピラシル(FTD/TPI)(商品名:ロンサーフ)は、治療歴のあるmGC患者を対象にしたわが国の第II相EPOC1201試験で、全生存期間(OS)中央値8.7ヵ月、病勢コントロール率(DCR)65.5%という成績が報告されている。ドイツ・ミュンヘンにおける欧州臨床腫瘍学会(ESMO2018)では、3次治療以降の転移を有する胃・胃食道接合部がん(mGC/GEJC)患者を対象に、FTD/TPIとプラセボを比較したTAGS試験の結果が報告された。 TAGS試験は、世界17ヵ国110施設で実施された、多施設無作為化二重盲検プラセボ対照第III相無試験。・対象:2ライン以上の治療歴(フルオロピリミジン、プラチナ、タキサン、イリノテカン、HER2阻害薬)のある、転移を有するmGC/GEJC患者。ECOG PSは0および1。・試験群:FTD/TPI (35mg/m2 BID、day1~5と8~12、28日サイクル)+BSC・対象群:プラセボ(BID 、day1~5と8~12、28日サイクル)+BSC・評価項目:[主要項目]全生存期間(OS)、[副次項目]無増悪生存期間(PFS)、安全性、全奏効率(ORR)、DCR、PSが2以上に悪化するまでの期間、QOL。 治療は、増悪、不耐、患者の脱落が起こるまで行われた。クロスオーバーは許容されていない。 主な結果は以下のとおり。・507例が登録され、FTD/TPI群337例、プラセボ群170例に2対1に無作為に割り付けられた。・66%の患者が3ライン以上の治療歴を有する、高度治療集団であった。・OS中央値は、FTD/TPI群5.7ヵ月、プラセボ群3.6ヵ月、12ヵ月OS率は、FTD/TPI群21%、プラセボ群13%で、FTD/TPI群が有意に良好であった(HR:0.69、95%CI:0.56~0.85、片側p=0.0003、両側p=0.0006)。・OSのサブグループ解析では、ほとんどの項目でFTD/TPIが優れていた。・PFS中央値は、FTD/TPI群2.0ヵ月、プラセボ群1.8ヵ月で、FTD/TPI群が有意に良好であった(HR:0.57、95%CI:0.47~0.70、両側p=0.0001)。・ORRは、FTD/TPI群4%、プラセボ群2%、DCRは、FTD/TPI群44%、プラセボ群14%で、FTD/TPI群が有意に良好であった(両側p<0.0001)。・PSが2以上に悪化するまでの期間は、FTD/TPI群4.3ヵ月、プラセボ群2.3ヵ月で、FTD/TPIで有意に長かった(HR:0.69、95%CI:0.56~0.85、両側p=0.0005)。・全原因による有害事象(AE)の発現は、FTD/TPI群97%、プラセボ群93%、Grade3以上のAE発現はFTD/TPI群80%、プラセボ群58%であった。

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乳児血管腫(いちご状血管腫)〔infantile hemangioma〕

1 疾患概要■ 概念・定義乳児血管腫(infantile hemangioma)は、ISSVA分類の脈管奇形(vascular anomaly)のうち血管性腫瘍(vascular tumors)に属し、胎盤絨毛膜の微小血管を構成する細胞と類似したglucose transporter-1(GLUT-1)陽性の毛細血管内皮細胞が増殖する良性の腫瘍である1,2)。出生時には存在しないあるいは小さな前駆病変のみ存在するが、生後2週間程度で病変が顕在化し、かつ自然退縮する特徴的な一連の自然歴を持つ。おおむね増殖期 (proliferating phase:~1.5歳まで)、退縮期(消退期)(involuting phase:~5歳ごろ)、消失期(involuted phase:5歳以降)と呼ばれるが、経過は個人差が大きい1,2)。わが国では従来ある名称の「いちご状血管腫」と基本的に同義であるが、ISSVA分類にのっとって乳児血管腫が一般化しつつある。なお、乳幼児肝巨大血管腫では、肝臓に大きな血管腫やたくさんの細かい血管腫ができると、血管腫の中で出血を止めるための血小板や蛋白が固まって消費されてしまうために、全身で出血しやすくなったり、肝臓が腫れて呼吸や血圧の維持が難しくなることがある。本症では、治療に反応せずに死亡する例もある。また、まったく症状を呈さない肝臓での小さな血管腫の頻度は高く、治療の必要はないものの、乳幼児期の症状が治療で軽快した後、成長に伴って、今度は肝障害などの症状が著明になり、肝移植を必要とすることがある。■ 疫学乳児期で最も頻度の高い腫瘍の1つで、女児、または早期産児、低出生体重児に多い。発生頻度には人種差が存在し、コーカソイドでの発症は2~12%、ネグロイド(米国)では1.4%、モンゴロイド(台湾)では0.2%、またわが国での発症は0.8~1.7%とされている。多くは孤発例で家族性の発生はきわめてまれであるが、発生部位は頭頸部60%、体幹25%、四肢15%と、頭頸部に多い。■ 病因乳児血管腫の病因はいまだ不明である。腫瘍細胞にはX染色体の不活性化パターンにおいてmonoclonalityが認められる。血管系の中胚葉系前駆細胞の分化異常あるいは分化遅延による発生学的異常、胎盤由来の細胞の塞栓、血管内皮細胞の増殖関連因子の遺伝子における生殖細胞変異(germline mutation)と体細胞突然変異(somatic mutation)の混合説など、多種多様な仮説があり、一定ではない。■ 臨床症状、経過、予後乳児血管腫は、前述のように他の腫瘍とは異なる特徴的な自然経過を示す。また、臨床像も多彩であり、欧米では表在型(superficial type)、深在型(deep type)および混合型(mixed type)といった臨床分類が一般的であるが、わが国では局面型、腫瘤型、皮下型とそれらの混合型という分類も頻用されている。superficial typeでは、赤く小さな凹凸を伴い“いちご”のような性状で、deep typeでは皮下に生じ皮表の変化は少ない。出生時には存在しないあるいは目立たないが、生後2週間程度で病変が明らかとなり、「増殖期」には病変が増大し、「退縮期(消退期)」では病変が徐々に縮小していき、「消失期」には消失する。これらは時間軸に沿って変容する一連の病態である。最終的には消失する症例が多いものの、乳児血管腫の中には急峻なカーブをもって増大するものがあり、発生部位により気道閉塞、視野障害、哺乳障害、難聴、排尿排便困難、そして、高拍出性心不全による哺乳困難や体重増加不良などを来す、危険を有するものには緊急対応を要する。また、大きな病変は潰瘍を形成し、出血したり、2次感染を来し敗血症の原因となることもある。その他には、シラノ(ド・ベルジュラック)の鼻型、約20%にみられる多発型、そして他臓器にも血管腫を認めるneonatal hemangiomatosisなど、多彩な病型も知られている。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)臨床像などから診断がつくことが多いが、画像診断が必要な場合がある。造影剤を用いないMRIのT1強調画像と脂肪抑制画像(STIR法)の併用は有効で、増殖期の乳児血管腫は微細な顆粒が集簇したような形状の境界明瞭なT1-low、T2-high、STIR-highの病変として、脂肪織の信号に邪魔されずに描出される。superficial typeの乳児血管腫のダーモスコピー所見では、増殖期にはtiny lagoonが集簇した“いちご”様外観を呈するが、退縮期(消退期)になると本症の自然史を反映し、栄養血管と線維脂肪組織の増加を反映した黄白色調の拡がりとして観察されるようになる。病理診断では、増殖期・退縮期(消退期)・消失期のそれぞれに病理組織像は異なるが、いずれの時期でも免疫染色でグルコーストランスポーターの一種であるGLUT-1に陽性を示す。増殖期においてはCD31と前述のGLUT-1陽性の腫瘍細胞が明らかな血管構造に乏しい腫瘍細胞の集塊を形成し、その後内皮細胞と周皮細胞による大小さまざまな血管構造が出現する。退縮期(消退期)には次第に血管構造の数が減少し、消失期には結合組織と脂肪組織が混在するいわゆるfibrofatty residueが残存することがある。鑑別診断としては、血管性腫瘍のほか、deep typeについては粉瘤や毛母腫、脳瘤など嚢腫(cyst)、過誤腫(hamartoma)、腫瘍(tumor)、奇形(anomaly)の範疇に属する疾患でも、視診のみでは鑑別できない疾患があり、MRIや超音波検査など画像診断が有用になることがある。乳児血管腫との鑑別上、問題となる血管性腫瘍としては、まれな先天性の血管腫であるrapidly involuting congenital hemangiomas(RICH)は、出生時にすでに腫瘍が完成しており、その後、乳児血管腫と同様自然退縮傾向をみせる。一方、non-involuting congenital hemangiomas(NICH)は、同じく先天性に生じるが自然退縮傾向を有さない。partially involuting congenital hemangiomas(PICH)は退縮が部分的である。これら先天性血管腫ではGLUT-1は陰性である。また、房状血管腫(tufted angioma)とカポジ肉腫様血管内皮細胞腫(kaposiform hemangioendothelioma)は、両者ともカサバッハ・メリット現象を惹起しうる血管腫であるが、乳児血管腫がカサバッハ・メリット現象を来すことはない。房状血管腫は出生時から存在することも多く、また、痛みや多汗を伴うことがある。病理組織学的に、内腔に突出した大型で楕円形の血管内皮細胞が、真皮や皮下に大小の管腔を形成し、いわゆる“cannonball様”増殖が認められる。腫瘍細胞はGLUT-1陰性である(図1)。カポジ肉腫様血管内皮細胞腫は、異型性の乏しい紡錘形細胞の小葉構造が周囲に不規則に浸潤し、その中に裂隙様の血管腔や鬱血した毛細血管が認められ、GLUT-1陰性である。画像を拡大する3 治療 (治験中・研究中のものも含む)多くの病変は経過中に増大した後は退縮に向かうものの、機能障害や潰瘍、出血、2次感染、敗血症の危険性、また将来的にも整容的な問題を惹起する可能性がある。これらの可能性を有する病変に対しては、手術療法(全摘・減量手術)、ステロイド療法(外用・局所注射・全身投与)、レーザー、塞栓/硬化療法、イミキモド、液体窒素療法、さらにはインターフェロンα、シクロホスファミド、ブレオマイシン、ビンクリスチン、becaplermin、シロリムス、放射線療法、持続圧迫療法などの有効例が報告されている。しかし、自然消退傾向があるために治療効果の判定が難しいなど、臨床試験などで効果が十分に実証された治療は少ない。病変の大きさ、部位、病型、病期、合併症の有無、整容面、年齢などにより治療方針を決定する。以下に代表的な治療法を述べる。■ プロプラノロール(商品名:ヘマンジオル シロップ)欧米ですでに使われてきたプロプラノロールが、わが国でも2016年に承認されたため、本邦でも機能障害の危険性や整容面で問題となる乳児血管腫に対しては第1選択薬として用いられている3,4)。局面型、腫瘤型、皮下型とそれらの混合型などすべてに効果が発揮でき、表面の凹凸が強い部位でも効果は高い(図2)。用法・容量は、プロプラノロールとして1日1~3mg/kgを2回に分け、空腹時を避けて経口投与する。投与は1日1mg/kgから開始し、2日以上の間隔を空けて1mg/kgずつ増量し、1日3mg/kgで維持するが、患者の状態に応じて適宜減量する。画像を拡大する副作用として血圧低下、徐脈、睡眠障害、低血糖、高カリウム血症、呼吸器症状などの発現に対し、十分な注意、対応が必要である5)。また、投与中止後や投与終了後に血管腫が再腫脹・再増大することもあるため、投与前から投与終了後も患児を慎重にフォローしていくことが必須となる。その作用機序はいまだ不明であるが、初期においてはNO産生抑制による血管収縮作用が、増殖期においてはVEGF、bFGF、MMP2/MMP9などのpro-angiogenic growth factorシグナルの発現調節による増殖の停止機序が推定されている。また、長期的な奏効機序としては血管内皮細胞のアポトーシスを誘導することが想定されており、さらなる研究が待たれる。同じβ遮断薬であるチモロールマレイン酸塩の外用剤についても有効性の報告が増加している。■ 副腎皮質ステロイド内服、静注、外用などの形で使用される。内服療法として通常初期量は2~3mg/kg/日のプレドニゾロンが用いられる。ランダム化比較試験やメタアナリシスで効果が示されているが、副作用として満月様顔貌、不眠などの精神症状、骨成長の遅延、感染症などに注意する必要がある。その他の薬物治療としてイミキモド、ビンクリスチン、インターフェロンαなどがあるが、わが国では本症で保険適用承認を受けていない。■ 外科的治療退縮期(消退期)以降に瘢痕や皮膚のたるみを残した場合、整容的に問題となる消退が遅い血管腫、小さく限局した眼周囲の血管腫、薬物療法の危険性が高い場合、そして、出血のコントロールができないなど緊急の場合は、手術が考慮される。術中出血の危険性を考慮し、増殖期の手術を可及的に避け退縮期(消退期)後半から消失期に手術を行った場合は、組織拡大効果により腫瘍切除後の組織欠損創の閉鎖が容易になる。■ パルス色素レーザー論文ごとのレーザーの性能や照射の強さの違いなどにより、その有効性、増大の予防効果や有益性について一定の結論は得られていない。ただ、レーザーの深達度には限界がありdeep typeに対しては効果が乏しいという点、退縮期(消退期)以降も毛細血管拡張が残った症例ではレーザー治療のメリットがあるものの、一時的な局所の炎症、腫脹、疼痛、出血・色素脱失および色素沈着、瘢痕、そして潰瘍化などには注意する必要がある。■ その他のレーザー炭酸ガスレーザーは炭酸ガスを媒質にしたガスレーザーで、水分の豊富な組織を加熱し、蒸散・炭化させるため出血が少ないなどの利点がある。小さな病変や、気道内病変に古くから用いられている。そのほか、Nd:YAGレーザーによる組織凝固なども行われることがある。■ 冷凍凝固療法液体窒素やドライアイスなどを用いる。手技は比較的容易であるが、疼痛、水疱形成、さらには瘢痕形成に注意が必要で熟練を要する。深在性の乳児血管腫に対してはレーザー治療よりも効果が優れているとの報告もある。■ 持続圧迫療法エビデンスは弱く、ガイドラインでも推奨の強さは弱い。■ 塞栓術ほかの治療に抵抗する症例で、巨大病変のため心負荷が大きい場合などに考慮される。■ 精神的サポート本症では、他人から好奇の目にさらされたり、虐待を疑われるなど本人や家族が不快な思いをする機会も多い。前もって自然経過、起こりうる合併症、治療の危険性と有益性などについて説明しつつ、精神的なサポートを行うことが血管腫の管理には不可欠である。4 今後の展望プロプラノロールの登場で、乳児血管腫治療は大きな転換点を迎えたといえる。有効性と副作用に関して、観察研究に基づくシステマティックレビューとメタアナリシスの結果、「腫瘍の縮小」に関してプロプラノロールはプラセボと比較し、有意に腫瘍の縮小効果を有し、ステロイドに比しても腫瘍の縮小傾向が示された。また、「合併症」に関しては、2つのRCTでステロイドと比し有意に有害事象が少ないことが判明し、『血管腫・血管奇形診療ガイドライン2017』ではエビデンスレベルをAと判定した。有害事象を回避するための対応は必要であるが、今後詳細な作用機序の解明と、既存の治療法との併用、混合についての詳細な検討により、さらに安全、有効な治療方法の主軸となりうると期待される。5 主たる診療科小児科、小児外科、形成外科、皮膚科、放射線科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報「難治性血管腫・血管奇形・リンパ管腫・リンパ管腫症および関連疾患についての調査研究」班(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)『血管腫・血管奇形・リンパ管奇形診療ガイドライン2017』(医療従事者向けのまとまった情報)日本血管腫血管奇形学会(医療従事者向けのまとまった情報)国際血管腫・血管奇形学会(ISSVA)(医療従事者向けのまとまった情報:英文ページのみ)ヘマンジオル シロップ 医療者用ページ(マルホ株式会社提供)(医療従事者向けのまとまった情報)乳児血管腫の治療 患者用ページ(マルホ株式会社提供)(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)患者会情報混合型脈管奇形の会(患者とその家族および支援者の会)血管腫・血管奇形の患者会(患者とその家族および支援者の会)血管奇形ネットワーク(患者とその家族および支援者の会)1)「難治性血管腫・血管奇形・リンパ管腫・リンパ管腫症および関連疾患についての調査研究」班作成『血管腫・血管奇形診療ガイドライン2017』2)国際血管腫・血管奇形学会(ISSVA)3)Leaute-Labreze C, et al. N Engl J Med. 2008;358:2649-2651.4)Leaute-Labreze C, et al. N Engl J Med. 2015;372:735-746.5)Drolet BA, et al. Pediatrics. 2013;131:128-140.公開履歴初回2018年10月23日

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nab-パクリタキセル+アテゾリズマブ、トリプルネガティブ乳がんでPFS延長(IMpassion130)/ESMO 2018

 進行トリプルネガティブ乳がん(TNBC)への1次治療として、nab-パクリタキセルと抗PD-L1抗体アテゾリズマブの併用療法が、無増悪生存期間(PFS)を有意に改善した。日本も参加している第III相ランダム化比較試験IMpassion130の結果に基づき、英国・ロンドン大学クイーン・メアリー校のPeter Schmid氏がドイツ・ミュンヘンにおける欧州臨床腫瘍学会(ESMO2018)で報告した。同患者対象の1次治療の第III相試験で、免疫療法についてポジティブな結果が出たのは初となる。nab-パクリタキセルとアテゾリズマブ併用を評価 IMpassion130では、ECOG PS 0~1、転移性または切除不能な局所進行TNBC患者を対象に、アテゾリズマブ併用群(28日を1サイクルとして、アテゾリズマブ840mgを1日目と15日目に、nab-パクリタキセル100mg/m2を1日目、8日目、15日目に投与)とプラセボ群(プラセボ+nab-パクリタキセル100mg/m2を1日目、8日目、15日目に投与)に1:1の割合で無作為に割り付けた。層別化因子は、タキサン系薬剤による治療、肝転移の有無、PD-L1ステータス。主要評価項目は、ITT解析集団およびPD-L1陽性患者におけるPFSと全生存期間(OS)、副次評価項目は、客観的奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、安全性などであった。 主な結果は以下のとおり。・2018年4月17日のデータカットオフ時点で、追跡期間中央値は12.9ヵ月。・全体で902例が組み入れられ、ITT解析対象はnab-パクリタキセル+アテゾリズマブ併用群/nab-パクリタキセル+プラセボ群ともに451例、うち41%(185例/184例)がPD-L1陽性であった。・年齢中央値はアテゾリズマブ併用群が55歳、プラセボ群が56歳。(ネオ)アジュバント療法歴有は63%(284例/286例)、タキサン系薬剤は51%(231例/230例)、アントラサイクリン系薬剤は54%(243例/242例)であった。・PFS中央値はITT解析対象でnab-パクリタキセル+アテゾリズマブ併用群7.2ヵ月に対しnab-パクリタキセル+プラセボ群5.5ヵ月(ハザード比[HR]:0.80、95%信頼区間[CI]:0.69~0.92、p=0.0025)。PD-L1陽性患者でアテゾリズマブ併用群7.5ヵ月に対し5.0ヵ月(HR:0.62、95%CI:0.49~0.78、p<0.0001)といずれも併用群で有意に改善した。・中間解析時点でのOS中央値はITT解析対象で21.3ヵ月 vs.17.6ヵ月(HR:0.84、95%CI:0.69~1.02、p=0.0840)。PD-L1陽性患者で25.0ヵ月 vs. 15.5ヵ月(HR:0.62、95%CI:0.45~0.86)であった。・ORRはITT解析対象で56% vs.46%、PD-L1陽性患者で59% vs.43%。完全奏効率はアテゾリズマブ併用群で高く、ITT解析対象で7% vs.2%、PD-L1陽性患者で10% vs.1%であった。・DOR中央値はITT解析対象で7.4ヵ月 vs. 5.6ヵ月、PD-L1陽性患者で8.5ヵ月 vs. 5.5ヵ月であった。・安全性プロファイル(452例/438例が解析対象)について、Grade 3 以上の有害事象で多くみられたのは好中球減少症(両群とも8%)、好中球数減少(5%/3%)、末梢神経障害(6%/3%)、倦怠感(4%/3%)、貧血(両群とも3%)であった。 オランダ・Netherlands Cancer InstituteのMarleen Kok氏は本結果について、「PFSのベネフィットは比較的小さく約2~3ヵ月であったが、PD-L1陽性患者におけるOSを約10ヵ月延長している点が印象的である。抗PD-(L)1抗体とどの化学療法の組み合わせが最適かについて多くの臨床試験が進行中であり、本結果はその疑問に答えを出すのに役立つだろう」と話している。

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扁平上皮NSCLCの1次治療、ペムブロリズマブ併用でOS、PFS延長/NEJM

 未治療の転移を有する扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)患者の治療において、ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)を化学療法と併用すると、化学療法単独に比べ全生存(OS)期間および無増悪生存(PFS)期間がいずれも有意に延長することが、スペイン・Hospital Universitario 12 de OctubreのLuis Paz-Ares氏らが行った「KEYNOTE-407試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2018年9月25日号に掲載された。転移を有する扁平上皮NSCLCの現在の標準的1次治療は、プラチナ製剤ベースの化学療法またはペムブロリズマブ(腫瘍細胞の≧50%がPD-L1を発現している患者)とされる。一方、非扁平上皮NSCLCでは、最近、プラチナ製剤ベース化学療法とペムブロリズマブの併用により、OS期間の有意な延長が報告されていた。化学療法との併用の効果をプラセボと比較 本研究は、日本を含む17ヵ国137施設が参加した二重盲検無作為化第III相試験(Merck Sharp & Dohmeの助成による)。今回は、2回目の中間解析の結果が報告された。 対象は、年齢18歳以上、病理学的にStageIVの扁平上皮NSCLCと確認され、転移病変に対する全身療法が行われておらず、全身状態(ECOG PS)が0または1の患者であった。 被験者は、ペムブロリズマブ(200mg)またはプラセボを、3週を1サイクルとしてDay 1に投与する群に1対1の割合で無作為に割り付けられた。全例が、1~4サイクルまで、カルボプラチンと、パクリタキセルまたはナブパクリタキセルの投与を受けた。5サイクル以降は、ペムブロリズマブまたはプラセボのみが投与され、最大で合計35サイクルまで治療が行われた。 主要エンドポイントはOSおよびPFSの2つとし、盲検化された独立の中央判定委員会により画像の評価が行われた。2016年8月~2017年12月の期間に559例が登録され、ペムブロリズマブ群に278例、プラセボ群には281例が割り付けられた。OS期間が4.6ヵ月、PFS期間は1.6ヵ月延長し、リスクが36%、44%低減 ベースラインの年齢中央値は、ペムブロリズマブ群が65歳(範囲:29~87歳)、プラセボ群も65歳(36~88歳)、男性がそれぞれ79.1%、83.6%であった。全体の63.1%がPD-L1発現率(tumor proportion score: TPS)≧1%であり、60.1%でパクリタキセルが選択され、19.0%が東アジア人であった。フォローアップ期間中央値は7.8ヵ月だった。 OS期間中央値は、ペムブロリズマブ群が15.9ヵ月(95%信頼区間[CI]:13.2~未到達)と、プラセボ群の11.3ヵ月(9.5~14.8)に比べ有意に延長した(ハザード比[HR]:0.64、95%CI:0.49~0.85、p<0.001)。1年OS率はペムブロリズマブ群が65.2%、プラセボ群は48.3%であった。PD-L1の発現状況(TPS<1%、≧1%、1~49%、≧50%)を含む、事前に規定された主なサブグループのすべてにおいて、ペムブロリズマブ群のほうがOSが良好であった。東アジア人のHRは0.44(95%CI:0.22~0.89)、その他の地域は0.69(0.51~0.93)だった。 PFS期間中央値は、ペムブロリズマブ群が6.4ヵ月(95%CI:6.2~8.3)であり、プラセボ群の4.8ヵ月(4.3~5.7)に比し有意に良好であった(HR:0.56、95%CI:0.45~0.70、p<0.001)。事前に規定された主なサブグループのすべてにおいて、ペムブロリズマブ群のほうがPFSが良好であり、PD-L1の発現が増加するにしたがってPFSの改善度が大きくなった(TPS<1%:6.3 vs.5.3ヵ月[HR:0.68、95%CI:0.47~0.98]、1~49%:7.2 vs.5.2ヵ月[0.56、0.39~0.80]、≧50%:8.0 vs.4.2ヵ月[0.37、0.24~0.58])。東アジア人のHRは0.49(95%CI:0.30~0.82)、その他の地域は0.58(0.46~0.73)だった。 奏効率は、ペムブロリズマブ群が57.9%(95%CI:51.9~63.8)、プラセボ群は38.4%(32.7~44.4)、奏効期間中央値は、それぞれ7.7ヵ月、4.8ヵ月であり、いずれもペムブロリズマブ群で良好だった。 両群とも、貧血(53.2 vs.51.8%)、脱毛(46.0 vs.36.4%)、好中球減少(37.8 vs.32.9%)の頻度が高かった。Grade3~5の有害事象の発症率は、ペムブロリズマブ群が69.8%、プラセボ群は68.2%であった。有害事象による治療中止の頻度は、ペムブロリズマブ群のほうが高かった(13.3 vs.6.4%)。免疫関連有害事象とinfusion reactionの発症率は、それぞれ28.8%(そのうちGrade3~5は10.8%)、8.6%(3.2%)であった。治療関連死はそれぞれ3.6%、2.1%にみられ、免疫関連有害事象による死亡は両群に1例ずつ認められた(いずれもGrade5の肺臓炎)。 著者は、「2回目の中間解析の結果であるため、フォローアップ期間が短いが、他の長期フォローアップ試験の結果から、ペムブロリズマブ群のベネフィットは、今後も維持または増大すると期待される」としている。

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大腿膝窩動脈PAD、Eluvia vs.Zilver PTXステント/Lancet

 大腿膝窩動脈の末梢動脈疾患(PAD)のステント治療について、ポリマー被覆・パクリタキセル溶出ステント(Eluvia)は、非ポリマー・パクリタキセル被覆ステント(Zilver PTX)に対し、12ヵ月時点の1次開存率および主要有害事象に関して非劣性であることが確認された。米国・Lankenau Heart InstituteのWilliam A. Gray氏らによる「IMPERIAL試験」の結果で、これまで大腿膝窩動脈部位の薬剤溶出ステントの臨床的有効性について、最新デバイスの比較は行われていなかった。Lancet誌オンライン版2018年9月24日号掲載の報告。EluviaステントとZilver PTXステントの安全性と有効性を7ヵ国65施設で比較 IMPERIAL試験は、大腿膝窩動脈部位病変の治療について、EluviaステントとZilver PTXステントの安全性と有効性の比較を試みた単盲検無作為化非劣性試験。オーストリア、ベルギー、カナダ、ドイツ、日本、ニュージーランド、米国の65施設で、間欠性跛行(Rutherford分類2、3または4)を認める症候性の下肢虚血を有し、未治療の浅大腿動脈または近位膝窩動脈のアテローム硬化症病変がある患者を登録した。 患者は、地域特異的ウェブベースの無作為化スケジュールを用いて、EluviaステントまたはZilver PTXステントを受けるよう、2対1の割合で無作為に割り付けられた。全患者、各地域の関係者および研究者は、全患者が12ヵ月のフォローアップを完了するまで、治療割り付けをマスキングされた。 主要有効性評価項目は、1次開存(最大収縮期速度比[SVR]≦2.4、臨床的な標的病変血行再建術または標的病変バイパス術がないことと定義)の患者割合として、主要安全性評価項目は、主要有害事象(1ヵ月間の全死因死亡、12ヵ月間の標的下肢の切断、12ヵ月間の標的病変血行再建術など)の発現頻度とした。 非劣性マージンは、12ヵ月時点で-10%。主要非劣性解析は、十分な統計的検出率に必要とされる最小限のサンプルサイズが12ヵ月のフォローアップを完了した時点で行われた。主要安全性非劣性解析は、12ヵ月のフォローアップを完了した全患者を包含して、または12ヵ月間の主要有害事象を有した全患者を包含して行われた。EluviaステントはZilver PTXステントに対して有効性も安全性も非劣性 2015年12月2日~2017年2月15日に、465例の患者がEluviaステント群(309例)またはZilver PTXステント群(156例)に無作為に割り付けられた。 非劣性は、12ヵ月時点で有効性および安全性のエンドポイントの両者について示された。1次開存率は、Eluviaステント群86.8%(231/266例)、Zilver PTXステント群81.5%(106/130例)であった(両群差:5.3%[95%信頼下限:-0.66]、p<0.0001)。 12ヵ月時点で主要有害事象の回避率は、Eluviaステント群94.9%(259/273例)、Zilver PTXステント群91.0%(121/133例)であった(両群差:3.9%[95%信頼下限:-0.46]、p<0.0001)。 死亡例は、両群ともに報告されなかった。標的下肢の切断はEluviaステント群1例で、標的病変血行再建術が必要とされたのは各群13例ずつであった。〔11月6日 記事の一部を修正いたしました〕

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