サイト内検索|page:6

検索結果 合計:110件 表示位置:101 - 110

101.

血中ホモシステインの低減、主要冠動脈イベントや脳卒中リスク減少につながらず

血中ホモシステインの低減は、主要な血管・冠動脈イベント、脳卒中や非冠動脈血管再生のリスク減少には、結びつかないようだ。がん発症との関連も認められなかったという。これまでの観察研究から、血管疾患を発症した人の血中ホモシステイン値は、そうでない人に比べ、高いことは知られていたが、この点が心血管疾患の原因となるかどうかは不明だった。英国オクスフォード大学のJane M. Armitage氏ら研究グループが、心筋梗塞歴のある1万2,000人超について、二重盲無作為化プラセボ対照試験を行って明らかにしたもので、JAMA誌2010年6月23/30日号で発表した。葉酸2mg+ビタミンB12 1mgを毎日投与研究グループSEARCH(Study of the Effectiveness of Additional Reductions in Cholesterol and Homocysteine)は1998~2008年にかけて、英国の病院を通じ、非致死の心筋梗塞を発症した1万2,064人を対象に試験を行った。同グループは被験者を無作為に二群に分け、一方には葉酸2mgとビタミンB12 1mgを毎日(ビタミン群)、もう一方にはプラセボを投与した。主要評価項目は、初回主血管イベントの発生、主冠動脈イベントの発生(冠動脈死、心筋梗塞、冠動脈血管再生のいずれか)、致死・非致死の脳卒中、非冠動脈血管再生だった。追跡期間の平均値は、6.7年(標準偏差:1.5)だった。イベント発生、死亡率、がん発症率などいずれも両群で有意差なしビタミン群のホモシステイン減少幅の平均値は、3.8μmol/L(28%)だった。追跡期間中の主血管イベント発生は、ビタミン群が6,033人中1,537人(25.5%)、プラセボ群が6,031人中1,493人(24.8%)と、有意差はみられなかった(リスク比:1.04、95%信頼区間:0.97~1.12、p=0.28)。主冠動脈イベントについても、ビタミン群が1,229人(20.4%)に対しプラセボ群が1,185人(19.6%)と、有意差はなかった(リスク比:1.05、同:0.97~1.13)。さらに脳卒中についても、それぞれ269人(4.5%)と265人(4.4%)でリスク比は1.02(同:0.86~1.21)、非冠動脈血管再生もそれぞれ178人(3.0%)と152人(2.5%)でリスク比は1.18(同:0.95~1.46)と、両群で有意差はなかった。さらに、血管疾患が原因の死亡[ビタミン群578人(9.6%)対プラセボ群559人(9.3%)]、非血管疾患が原因の死亡[同405人(6.7%)対392人(6.5%)]、がん発症率[同678人(11.2%)対639人(10.6%)]についても、それぞれ両群で有意差はなかった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

102.

血中ビタミンB6とメチオニン値が高濃度だと、肺がんリスクは大幅減少

血中ビタミンB6とメチオニン値が高濃度だと、低濃度の人に比べ、肺がん発症リスクはおよそ半減するようだ。フランスInternational Agency for Research on CancerのMattias Johansson氏らが行ったケースコントロール試験で明らかになったもので、JAMA誌2010年6月16日号で発表した。これまで、ビタミンBのがん発症予防に関する研究は、主に葉酸塩値の大腸がん発症予防効果について行われ、ハイリスク集団についてその抑制効果を前向きに示すことはできなかったという。肺がん発症の約900人とコントロール群約1,800人を分析同研究グループは、1992~2000年にかけて、10ヵ国51万9,978人を対象に行った前向きコホート試験、European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition(EPIC)のうち、血液採取データがある38万5,747人について追跡した。結果、2006年までに肺がんを発症した人は899人いた。そのコントロール群として、国や性別、誕生日、血液採取日をマッチングした1,770人を選び、両群の血中の4種のビタミンB(B2、B6、葉酸塩のB9、B12)とメチオニン、ホモシステイン濃度を調べ、肺がん発症率との関連を分析した。ビタミンB6濃度の最高四分位範囲の肺がん発症リスク、最低四分位範囲の0.44倍、メチオニンは同0.52倍喫煙の有無を補正した上で、血中ビタミンB6濃度が最も高い四分位範囲の最も低い同範囲に対する、肺がん発症に関するオッズ比は、0.44(95%信頼区間:0.33~0.60、傾向に関するp

103.

2型糖尿病でメトホルミン服用患者、ビタミンB12値の管理が強く勧められる

2型糖尿病患者へのメトホルミン長期投与は、ビタミンB12欠乏症のリスクを増大すると、オランダ・Academic Medical Center眼科部門のJolien de Jager氏らが、無作為化プラセボ対照試験を行い明らかにした。「ビタミン12欠乏症は予防可能で、試験の結果は、ビタミンB12値の定期的な測定が強く考慮されなければならないことを示唆するもの」と結論している。BMJ誌2010年5月29日号(オンライン版2010年5月10日号)掲載より。無作為化プラセボ対照試験で、メトホルミン長期投与の提供を検証Jager氏らは、2型糖尿病でインスリン治療を受けている患者で、メトホルミン(商品名:メトグルコ、メルビンほか)長期投与によるビタミンB12欠乏症(150pmol/L未満)、ビタミンB12不足(150~220pmol/L)の発症率の影響と、血中葉酸濃度、血中ホモシステイン濃度について検討を行った。被験者は、オランダの3つの非大学病院外来クリニックから、390例が集められ、メトホルミン850mgを1日3回服用群と、プラセボ服用群に無作為化され、4.3年治療を受けた。主要評価項目は、基線から4、17、30、43、52ヵ月時点の、ビタミンB12、葉酸、ホモシステインの各変化%値とした。4.3年でビタミンB12は19%低下プラセボ群と比べてメトホルミン治療群は、ビタミンB12、葉酸の低下との関連が認められた。平均低下%値は、ビタミンB12が-19%(95%信頼区間:-24~-14、P

104.

糖尿病性腎症への高用量ビタミンB投与、尿細管濾過率低下、血管イベントリスクも増加

高用量ビタミンBを投与した糖尿病性腎症患者群は、非投与群に比べ、3年後の尿細管濾過率の低下幅が増大、血管イベントリスクも増加することが明らかになった。カナダ・西オンタリオ大学腎臓病部門のAndrew A. House氏らが、200人超を対象に行った試験の結果報告したもので、JAMA誌2010年4月28日号で発表した。糖尿病性腎症238人を無作為化、36ヵ月後に放射性核種を用い尿細管濾過率変化を測定同氏らは、2001年5月~2007年7月にかけて、カナダ国内5ヵ所の大学付属メディカルセンターで、合わせて238人の糖尿病性腎症が認められる1型および2型糖尿病患者について、無作為化プラセボ対照二重盲検試験「DIVINe」(Diabetic Intervention with Vitamins to Improve Nephropathy)を行った。研究グループは被験者を2群に分け、一方には葉酸(2.5mg/日)、ビタミンB6(25mg/日)、ビタミンB12(1mg/日)を、もう一方の群にはプラセボを投与した。第1エンドポイントは、試験開始時点と36ヵ月後の放射性核種を用いて測定した尿細管濾過率の変化だった。濾過率減少幅はビタミンB群で大、血管イベントリスクはビタミンB群が2倍追跡期間の平均値は31.9(標準偏差:14.4)ヵ月だった。36ヵ月後の放射性核種による尿細管濾過率の試験開始時点に比べた減少幅は、ビタミンB群では平均16.5(標準偏差:1.7)mL/min/1.73m2で、プラセボ群の平均10.7(標準偏差:1.7)mL/min/1.73m2に比べ有意に大きかった(格差平均:-5.8、95%信頼区間:-10.6~-1.1、p=0.02)。心筋梗塞、脳卒中、血管再生術、総死亡を合わせた統合イベント発生率は、ビタミンB群がプラセボ群の約2倍だった(ハザード比:2.0、95%信頼区間:1.0~4.0、p=0.04)。36ヵ月後の血漿総ホモシステイン値は、ビタミンB群の方が平均2.2(標準偏差:0.4)μmol/Lで、プラセボ群の平均2.6(標準偏差:0.4)μmol/Lより低かった(格差平均:-4.8、95%信頼区間:-6.1~-3.7、p<0.001)。なお透析実施率については、両群で有意差はなかった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

105.

葉酸、ビタミンB12の摂取はがん・総死亡率などを増加:ノルウェー虚血性心疾患患者調査

 ノルウェーの虚血性心疾患患者を対象に行った調査で、葉酸とビタミンB12の摂取ががんの発症率・死亡率と、総死亡率の増加につながることが報告された。これまでの研究で、葉酸摂取と大腸がんリスク増加との関連は示されていたが、他のがんとの関連は明らかにされていない。報告はノルウェーHaukeland大学病院心臓病部門のMarta Ebbing氏らの調べによるもので、JAMA誌2009年11月18日号で発表された。なおノルウェーでは、葉酸を強化した食品は販売されていないという。葉酸投与を受けた人の葉酸血中濃度は6倍に 研究グループは、1998~2005年にかけて行われたビタミンB摂取を伴うがん治療の影響を評価した2つの無作為化プラセボ対照二重盲検試験について、分析を行った。被験者は、葉酸(0.8mg/日)とビタミンB12(0.4mg/日)とビタミンB6(40mg/日)を投与された人が1,708人、葉酸(0.8mg/日)とビタミンB12(0.4mg/日)投与が1,703人、ビタミンB6(40mg/日)のみ投与が1,705人、プラセボ群が1,721人だった。結果、試験期間中に葉酸を投与された被験者の血中葉酸値の中央値は、6倍に増大した。葉酸+ビタミンB12を投与した群の肺がん罹患率が増加 中央値39ヵ月の治療期間と、同38ヵ月の観察期間の後、がんの診断を受けたのは、葉酸+ビタミンB12を投与した2つの群の341人(10.0%)だったのに対し、葉酸を投与しなかった2つの群では288人(8.4%)に留まった(ハザード比:1.21、95%信頼区間:1.03~1.41、p=0.02)。 がんで死亡した人は、葉酸+ビタミンB12を投与した2群の136人(4.0%)に対し、葉酸を投与しなかった2群では100人(2.9%)だった(ハザード比:1.38、同:1.07~1.79、p=0.01)。 総死亡率について見てみると、葉酸+ビタミンB12を投与した2群のうち死亡したのは548人(16.1%)だったのに対し、葉酸を投与しなかった2群では473人(13.8%)だった(ハザード比:1.18、同:1.04~1.33、p=0.01)。 こうした結果の主な原因は、葉酸+ビタミンB12を投与した群の肺がん罹患率の増加だった。なお、ビタミンB6群については、がんアウトカムや死亡率に有意な差は見られなかった。

106.

ペメトレキセドによる維持療法、進行非小細胞肺がんに対する有用性を確認

進行非小細胞肺がんに対するペメトレキセド(商品名:アリムタ)による維持療法は良好な耐用性を示し、プラセボに比べ無進行生存期間(PFS)および全生存期間(OS)を有意に改善することが、ルーマニアIon Chiricutaがん研究所のTudor Ciuleanu氏らが実施した無作為化第III相試験で明らかとなった。ペメトレキセドは葉酸代謝拮抗薬であり、欧米ではシスプラチンとの併用で悪性胸膜中皮腫の1次治療として、単剤で非扁平上皮型の進行非小細胞肺がんの2次治療として、またシスプラチンとの併用で非扁平上皮型の進行非小細胞肺がんの1次治療として承認されている。本試験は2009年米国臨床腫瘍学会(ASCO)で最終報告が行われ、注目を集めた。Lancet誌2009年10月24日号(オンライン版2009年9月20日号)掲載の報告。20ヵ国83施設が参加した二重盲検無作為化第III相試験研究グループは、進行非小細胞肺がんに対するペメトレキセドを用いた維持療法の有効性および安全性を評価する二重盲検無作為化第III相試験を行った。20ヵ国83施設から、1次治療としてプラチナ製剤ベースの2剤併用療法を4コース施行後に増悪が見られなかったIIIB/IV期病変を有する663例が登録された。これらの患者が、21日を1コースとしてペメトレキセド500mg/m2(第1日)+対症療法(BSC)を施行する群(441例)あるいはプラセボ+BSCを施行する群(222例)に無作為に割り付けられた。治療は病勢が進行する(PD)まで継続することとした。患者と研究者には治療の割り付け情報は知らされなかった。全例にビタミンB12、葉酸、デキサメタゾンが投与された。主要評価項目はPFS、副次評価項目はOSとし、intention-to-treat解析を行った。PFSが1.7ヵ月、OSは2.8ヵ月延長、特に非扁平上皮がんで優れる無作為割り付けされた全例が解析の対象となった。PFSは、ペメトレキセド群が4.3ヵ月と、プラセボ群の2.6ヵ月に比べ有意に優れた(ハザード比:0.50、p<0.0001)。OSはそれぞれ13.4ヵ月、10.6ヵ月であり、ペメトレキセド群で有意に延長した(ハザード比:0.79、p=0.012)。薬剤関連毒性による治療中止率は、ペメトレキセド群が5%(21/441例)と、プラセボ群の1%(3/222例)に比べ多かった。薬剤関連のgrade 3以上の毒性は、それぞれ16%(70/441例)、4%(9/222例)であり、ペメトレキセド群で有意に頻度が高かった(p<0.0001)。特に、ペメトレキセド群で疲労感[5%(22/441例) vs. 1%(1/222)、p=0.001]と好中球減少[3%(13/441例) vs. 0%、p=0.006]が有意に高頻度に見られた。ペメトレキセドによる治療関連死は認めなかった。治療中止後の後治療としての全身療法の施行率は、ペメトレキセド群が51%(227/441例)と、プラセボ群の67%(149/222例)に比べ有意に低かった(p=0.0001)。著者は、「進行非小細胞肺がんに対するペメトレキセドによる維持療法は良好な耐用性を示し、プラセボに比べPFS、OSを有意に改善した」と結論している。また、組織型によるサブ解析では扁平上皮がんに比べ非扁平上皮がん(特に腺がん)でPFS、OSが有意に優れたことをふまえ、「本療法は、初回導入療法後に病勢が進行しなかった非扁平上皮型の進行非小細胞肺がんに対する新たな治療選択肢となるだろう」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

107.

ビタミンEには心血管イベントの予防効果はない

 アスピリン、抗酸化サプリメントを、単独もしくは組み合わせて服用しても、心血管イベントの減少には結びつかないことが報告された。スコットランドの16病院・188開業医グループが参加して行われたPOPADAD試験(prevention of progression of arterial disease and diabetes trial)からの報告。BMJ誌2008年11月1日号(オンライン版2008年10月16日号)にて掲載された。糖尿病患者1,276例を2×2無作為化 POPADAD試験は多施設共同無作為化二重盲検2×2プラセボ対照試験で、「1型もしくは2型糖尿病」「40歳以上」「上腕血流比0.99未満」「無症候性末梢動脈疾患」に該当する患者1,276例が参加し行われた。 被験者は、「アスピリン100mg/日+抗酸化サプリ」(320例)、「アスピリン100mg/日+プラセボ」(318例)、「プラセボ+抗酸化サプリ」(320例)、「プラセボ+プラセボ」(318例)のいずれかに割り付けられ、プライマリエンドポイントは(1)虚血性心疾患あるいは脳卒中による死亡、無症候性心筋梗塞あるいは脳卒中、虚血による上下肢切断、(2)虚血性心疾患あるいは脳卒中による死亡、の2階層を指標に評価が行われた。 投与された抗酸化サプリメントは、ビタミンE 200mg、ビタミンC 100mg、ビタミンB6 25mg、亜鉛10mg、ニコチンアミド10mg、脂質9.4mg、ナトリウム0.8mgを成分とする。アスピリン、抗酸化サプリの単独・組み合わせいずれも効果を見いだせず 主要イベントの発生は、アスピリン投与群で18.2%(116/638例)、非アスピリン投与群では18.3%(117/638)、両群間のハザード比は0.98倍(95%信頼区間:0.76~1.26)だった。虚血性心疾患あるいは脳卒中による死亡は、アスピリン投与群6.7%(43/638例)、非アスピリン投与群5.5%(35/638)、ハザード比は1.23倍(0.79~1.93)。 一方、抗酸化サプリ投与群間では、投与群18.3%(117/640例)、非投与群18.2%(116/636例)で、ハザード比は1.03倍(95%信頼区間:0.79~1.33)。虚血性心疾患あるいは脳卒中による死亡は、投与群6.6%(42/640例)、非投与群5.7%(36/636例)で、ハザード比は1.21倍(0.78~1.89)であった。 本試験では、アスピリンと抗酸化サプリの相互作用を示すエビデンスを見出すこともできなかった。研究グループは、「糖尿病患者の心血管イベント発症および死亡の一次予防としてのアスピリン、抗酸化サプリ服用を推奨するエビデンスを本試験では得られなかった」と結論している。

108.

ビタミンBはアルツハイマー病の認知低下抑制の効果なし

アルツハイマー病(AD)ではホモシステインの血中濃度が高まり、高ホモシステイン血症が血管や神経に毒性に作用し発病に至る可能性がある。しかしホモシステイン濃度は、葉酸とビタミンB6、B12の高用量サプリメント投与で低下させることができる。このため、アメリカ・アルツハイマー病協同研究グループ(Alzheimer Disease Cooperative Study Group)のPaul S. Aisen氏(カリフォルニア大学サン・ディエゴ校)らは、AD治療におけるビタミンB群サプリメントの有効性と安全性を検証していたが、「認知機能の低下を遅らせる効果はない」と報告した。JAMA誌2008年10月15日号より。中軽度AD 患者409例を18ヵ月間試験し効果を比較本研究は2003年2月20日~2006年12月15日にかけて、全米で行われた多施設共同無作為化二重盲検臨床試験で、AD患者601例をスクリーニングし、認知機能検査(MMSE)スコアが14~26の中程度から軽度の409例を、全体の60%は高用量サプリメント処方群(葉酸塩を5mg/d、ビタミンB6を25mg/d、ビタミンB12を1mg/d)、残る40%はプラセボ処方群に無作為に割り付けた。投与期間は18ヵ月。主要評価項目は、アルツハイマー病評価尺度(ADAS-cog)の認知サブスケールの変化とした。ホモシステイン濃度は低下するが認知機能は改善せず試験を完了できたのは合計340例(高用量処方群202例とプラセボ群138例)だった。ビタミンB群のサプリメント投与はホモシステイン濃度の低下に効果的[平均値(SD)比較:高用量処方群-2.42(3.35) vs. プラセボ群-0.86(2.59)、P<0.001]だったにもかかわらず、主要な認知尺度である18ヵ月後のADAS-cogスコアの変化率には、何の有益効果も認められなかった。高用量処方群:0.401ポイント/月 vs. プラセボ群:0.372ポイント/月(P=0.52、比率差の95%信頼区間:-0.060~0.12、intention-to-treat解析の一般化方程式モデルに基づく)。副次的尺度にも、いかなる効果も認められなかった。うつ病を含む有害事象は、ビタミン・サプリメント処方群で、より多く観察された。これら結果からAisen氏は「高用量ビタミンB群サプリメントの処方計画は、中程度から軽度のアルツハイマー病の認知機能低下を遅らせる効果はない」と結論付けている。(朝田哲明:医療ライター)

109.

冠動脈疾患患者の2次予防にビタミンBは無効

総ホモシステイン濃度と心血管疾患とのリスクの関連性は観察研究によって報告されている。血漿総ホモシステイン濃度は、葉酸+ビタミンB12の内服によって低下させることができるが、Haukeland大学病院心臓疾患部門(ノルウェー)のMarta Ebbing氏らは、冠状動脈疾患もしくは大動脈弁狭窄症患者の2次予防として、葉酸+ビタミンB12の服用効果と、葉酸+ビタミンB6の服薬効果を、無作為化試験で比較評価した。JAMA誌2008年8月20日号より。冠動脈造影を受けた3,096例を群無作為化二重盲検対照試験1999~2006年に、ノルウェー西部の2つの大学病院で行われた無作為化二重盲検対照試験で、参加者は冠動脈造影を受けた計3,096例の成人(女性20.5%、平均年齢61.7歳)。基線で、59.3%が2種または3種の血管疾患があった。83.7%は安定性狭心症があり、14.9%が急性冠動脈症候群を有していた。22通りの要因を有する参加者は、「葉酸(0.8mg)+ビタミンB12(0.4mg)+ビタミンB6(40mg)」(n=772)、「葉酸+ビタミンB12」(n=772)、「ビタミンB6単独投与」(n=772)、「プラセボ投与」(n=780)の4つの経口投与群のうちの1つにランダムに割り当てられた。主要エンドポイントは、全死因、非致死性の急性心筋梗塞、不安定狭心症による緊急入院、非致死性の脳梗塞の複合とした。葉酸効果は認められるがビタミンB効果は確認できなかった「葉酸+ビタミンB12」を受けていた群では、服用1年後の血漿総ホモシステイン濃度の平均値は30%減少していた。本試験は、同時期に行われたNorwegian trialで介入による有害事象の報告がされたため早期に終了され、追跡調査は38ヵ月間だった。その間に主要エンドポイントが確認された参加者は計442例(13.7%)。このうち219例(14.2%)が「葉酸+ビタミンB12」の投与を受けており、203例(13.1%)がそれらの投与を受けていなかった。ハザード比は1.09(95%信頼区間:0.90~1.32、P=0.36)。また「ビタミンB6」の投与を受けていたのは200例(13.0%)、受けていなかったのは222例(14.3%)。ハザード比は0.90(0.74~1.09、P=0.28)だった。これら結果からEbbing氏は、「本試験では、葉酸+ビタミンB12あるいは+ビタミンB6の総死亡率、心血管イベントへの治療効果の違いを見いだすことはできなかった。我々の調査結果では、冠動脈疾患患者の2次予防にビタミンBを用いることを支持しない」と結論している。(朝田哲明:医療ライター)

110.

血漿ホモシステイン濃度低下は慢性腎臓病と末期腎不全の死亡率低下に有効か

血漿ホモシステイン濃度の上昇が死亡率と血管疾患の危険因子であることは慢性腎臓病患者の観察研究で明らかになっている。ホモシステイン濃度を下げる葉酸とビタミンB群の投与が、慢性腎臓病と末期腎不全患者の予後を改善するか否かをテーマに無作為化対照試験が実施され、その結果がJAMA誌9月12日号に掲載された。葉酸40mg、ビタミンB6100mgなどを毎日投与高用量葉酸とビタミンB群の毎日投与が慢性腎臓病患者の死亡率を減少させるかどうかを判定するため、Rex L. Jamison氏らのグループは米国退役軍人省医療センターの36病院で二重盲検無作為化対照試験(2001~2006年)を行った。追跡期間の中央値は 3.2年、21歳以上の進行性慢性腎臓病(推算クレアチニンクリアランス30mL/分以下、n=1,305)あるいは末期腎不全(n=751)で、かつ高ホモシステインレベル(15μmol/L)の患者計2,056例。参加者は葉酸40mg、ピリドキシン塩酸塩(ビタミンB6)100mg、シアノコバラミン(ビタミンB12)2mgを含むカプセルまたはプラセボを毎日投与された。主要評価項目は全原因死亡率。第2評価項目は心筋梗塞、脳卒中、下肢の全部または一部の切断、そしてこれら3つと複合死亡率、透析開始までの期間と血液透析患者の動静脈アクセスの血栓症に至る期間とした。生存率、血管系疾患発病率減少のいずれも効果なし平均のホモシステイン濃度は、ビタミン投与群が24.0μmol/L、プラセボ投与群は24.2μmol/L。3ヵ月で、ビタミン投与群は 6.3μmol/L(25.8%、P<0.001)、プラセボ投与群は0.4μmol/L(1.7%、P=0.14)低下したが、死亡率に明らかな影響はなかった(ビタミン投与群448対プラセボ投与群436、ハザード比:1.04、95%信頼区間:0.91-1.18)。第2 評価項目または有害事象においても明らかな影響は示されなかった。心筋梗塞はビタミン投与群129例対プラセボ群150例(同0.86、0.67- 1.08)、脳卒中はビタミン群37対プラセボ群41(同0.90、0.58-1.40)、そして下肢切断はビタミン群60対プラセボ群53だった(同 1.14、0.79-1.64)。さらに、死亡率を加えた心筋梗塞、脳卒中、切断の複合、透析に至る期間(P=0.38)と、血液透析患者の血栓症に至る期間(P=0.97)は、ビタミン群とプラセボ群で違いがなかった。これらから、高用量葉酸とビタミンB群の投与は生存率の向上、あるいは進行性慢性腎臓病と末期腎不全患者の血管疾患の発病率低下のいずれにも効果がなかったと結論づけている。(朝田哲明:医療ライター)

検索結果 合計:110件 表示位置:101 - 110