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1.

腹部肥満とビタミンD欠乏の併存で中年期以降の死亡リスクが2倍以上に

 腹部脂肪が多くてビタミンDレベルが低い中高年者は、死亡リスクが最大で2倍以上高いことを示すデータが報告された。サンカルロス連邦大学(ブラジル)のTiago da Silva Alexandre氏らの研究の結果であり、「Diabetes, Obesity and Metabolism」に5月6日付で論文が掲載され、7月29日に同国のサンパウロ州研究財団からリリースが発行された。 論文の上席著者であるAlexandre氏は、「腹部肥満はよく知られた健康上のリスク因子だ。またビタミンDはさまざまな臓器にホルモンとして作用しており、その欠乏により多くの身体機能が損なわれる。これら2つが併存すると互いに悪影響を増幅させ、死亡リスクをいっそう高める」と説明している。 この研究では、英国の高齢者対象縦断研究(ELSA)のデータを用いて、5,520人(平均年齢66.6±8.9歳、女性55.2%)を6年間追跡した。ウエスト周囲長が男性は102cm超、女性は88cm超を腹部肥満と定義し、ビタミンDについては50nmol/L以上を充足、30~50nmol/Lを不十分、30nmol/L未満を欠乏と分類した。死亡リスクの解析に際しては、影響を及ぼし得る因子(年齢、性別、民族、喫煙・飲酒・運動習慣、BMI、教育歴、婚姻状況、経済状態、コレステロール値、うつ症状、握力、併存疾患〔高血圧、糖尿病、心臓病、脳卒中、がん、骨粗鬆症ほか〕、採血検査の季節など)を統計学的に調整した。 解析の結果、腹部肥満がなくビタミンDが充足している群を基準とすると、死亡リスクは、腹部肥満のないビタミンD欠乏群で1.81倍(ハザード比〔HR〕1.81〔95%信頼区間1.25~2.62〕)、腹部肥満のあるビタミンD充足群で1.47倍(HR1.47〔同1.02~2.14〕)であり、腹部肥満のあるビタミンD欠乏群で2.23倍(HR2.23〔1.50~3.33〕)であることが分かった。 Alexandre氏によると、腹部脂肪が過剰に蓄積しているとそれがビタミンDを吸収してしまうため、血液中のビタミンDの循環が妨げられるのだという。「つまり、脂肪にビタミンDが存在していても、血液中の利用できる状態のビタミンDは減っているため、諸臓器の働きの調節に関わることができないということだ。ビタミンDの欠乏は免疫機能を低下させ、肥満に伴う慢性炎症を悪化させ、死亡リスクを大幅に高める可能性がある」と同氏は述べている。 もともと軽度の慢性炎症状態であることの多い高齢者では、特にこの問題が顕著になりやすいという。「ビタミンDレベルが低く、腹部に過剰な脂肪があると、心血管疾患や代謝性疾患、そして筋肉量の減少を加速させる、好ましくない状態が形成される」とAlexandre氏は解説。なお、同氏らの研究グループではこれまでに、ビタミンD欠乏が筋力低下や脳の老化のリスクを高める可能性を報告してきている。 ビタミンDは日光を浴びることによって体内で生成される。ただし、ビタミンDが不足している場合には、サプリメントやビタミンDが豊富な魚、牛レバー、きのこ、卵黄などの摂取が勧められる。

2.

在胎不当過小児、生後14日以内開始の多面的介入が発育を改善/JAMA

 在胎不当過小(SGA)児において、生後14日以内に開始した多面的介入が、12ヵ月齢時の体重および年齢別体重Zスコアの改善に結びついたことが、インド・Society for Applied StudiesのRanadip Chowdhury氏らSmall Babies Trial Study Groupによる無作為化試験の結果で示された。世界中で年間約2,300万児がSGA児として生誕しており、南アジアにおける有病率は40%だという。SGA児は低栄養や発達遅滞のリスクが高く、成長や神経発達を促す多面的介入が必要と示唆されており、研究グループは、正期産SGA児の乳児期に実施する、母子への多面的介入の有効性を検証した。JAMA誌オンライン版2026年7月27日号掲載の報告。インド・南デリーの低・中所得地域で無作為化試験 研究グループは、インド・南デリーの低・中所得地域で、個人単位の無作為化試験を行った。正期産SGA児を出生日から14日以内に登録し、多面的介入群または通常ケア群に1対1の割合で無作為に割り付け、12ヵ月間追跡評価した。 多面的介入群には、健康・栄養・刺激・心理社会的支援をパッケージ化した介入(例:フィールドワーカーによる定期的な複数回かつ必要に応じた頻回の家庭訪問調査、ビタミンD、鉄製剤などの提供、改訂WHO/UNICEF Care for Child Developmentを用いた月齢に応じた遊び、responsive care[応答的ケア]など)が提供された。通常ケア群には、既存の公的プログラム(ルーチンの産後の経過観察、成長モニタリング、予防接種など)が提供された。 2023年1月14日~2024年7月31日に対象の募集を行い、追跡評価を完了したのは2025年8月6日であった。 主要評価項目は、12ヵ月時の体重および年齢別体重Zスコアであった。副次評価項目は、線形成長、神経発達(Bayley乳幼児発達検査スコア[第3版]を用いて評価)、貧血、死亡などであった。評価者は、割り付けについて盲検化されていた。12ヵ月時の平均体重、介入群8.0kg、通常ケア群7.8kg 1,300例(介入群647例、通常ケア群653例)が無作為化され、1,261例(97%、それぞれ633例と628例)が12ヵ月間の追跡評価を完了した。無作為化時のベースラインの特性は両群で類似しており、平均日齢6日、男児が48.1%であった。 12ヵ月時で、平均体重は介入群8.0kg(SD 0.9)、通常ケア群7.8kg(SD 0.9)であった(平均群間差:0.22kg、95%信頼区間[CI]:0.11~0.32)。平均年齢別体重Zスコアは、それぞれ-1.3(SD 0.9)と-1.6(SD 1.0)であった(平均群間差:0.24、95%CI:0.14~0.35)。 介入群のほうが以下の有病率が低かった。低体重(23.9%vs.32.6%、リスク群間差:-8.75%ポイント、95%CI:-13.70~-3.80)、発育阻害(20.1%vs.27.2%、リスク群間差:-7.17%ポイント、95%CI:-11.85~-2.49)、消耗症(13.9%vs.19.4%、リスク群間差:-5.52%ポイント、95%CI:-9.63~-1.41)および貧血(34.0%vs.72.5%、リスク群間差:-38.49%ポイント、95%CI:-44.36~-32.61)。 また、介入群のほうが、以下のスコアがより高かった。認知機能スコア(平均群間差:1.73、95%CI:0.32~3.14)、言語スコア(平均群間差:2.74、95%CI:1.51~3.98)、運動機能統合スコア(平均群間差:2.32、95%CI:1.25~3.38)。 死亡は、介入群では5例、通常ケア群では9例報告された。

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転移大腸がん1次治療への高用量ビタミンD3上乗せ、PFSを延長せず/JAMA

 未治療の転移を有する大腸がん(mCRC)の1次治療において、高用量ビタミンD3の補充は標準用量のビタミンD3の補充と比較して無増悪生存期間(PFS)を延長しないことが、米国・ダナファーバーがん研究所のKimmie Ng氏らによる第III相「SOLARIS(Alliance A021703)試験」の結果で示された。前臨床研究および疫学研究により、大腸がんにおけるビタミンDの抗悪性腫瘍薬としての役割が示され、第II相SUNSHINE試験では、標準用量と比較して高用量ビタミンD3の補充はPFSを改善する可能性が示唆されていた(13ヵ月vs.11ヵ月、多変量補正後ハザード比[HR]:0.64、片側95%信頼区間[CI]:0~0.90、p=0.02)。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2026年8月3日号に掲載された。米国の無作為化第III相試験 SOLARIS試験は、米国の151施設で実施した二重盲検無作為化第III相試験である(米国国立がん研究所[NCI]の助成を受けた)。2019年10月~2022年12月に、年齢18歳以上で、未治療の切除不能な局所進行または転移を有する大腸がん患者を登録した。 被験者455例(年齢中央値59歳[四分位範囲[IQR]:50.0~68.0]、女性181例[39.8%])に、血管新生阻害薬ベバシズマブ(2週ごと)とともに、標準化学療法としてmFOLFOX6(5-フルオロウラシル/ロイコボリン+オキサリプラチン)またはFOLFIRI(5-フルオロウラシル/ロイコボリン+イリノテカン)を投与した。 これらの患者を、高用量ビタミンD3(負荷用量:8,000 IU/日×14日間投与後、4,000 IU/日)(228例)または標準用量ビタミンD3(400 IU/日)(227例)を投与する群に無作為に割り付け、病勢進行、耐用不能な毒性、同意の撤回のいずれかが発生するまで継続投与した。 主要評価項目はPFS(log-rank検定で評価)であった。副次評価項目は、客観的奏効率、全生存期間(OS)および毒性などであった。奏効率、OSにも差はない 原発巣は、左結腸が高用量群38.2%、標準用量群39.8%、右結腸がそれぞれ35.1%および33.6%、直腸が21.5%および20.4%であった。多くの患者が、基礎化学療法としてmFOLFOX6を受けた(高用量群85.8%、標準用量群84.2%)。 追跡期間中央値20ヵ月の時点で、PFS中央値は高用量群が11.8ヵ月(95%CI:10.3~13.3)、標準用量群は10.3ヵ月(95%CI:9.4~12.2)であり、両群間に有意な差を認めなかった(片側log-rank検定のp=0.25)。 また、客観的奏効率(高用量群51%[95%CI:44~58]vs.標準用量群44%[37~50]、p=0.12)およびOS中央値(25.6ヵ月vs.27.0ヵ月、HR:1.05、95%CI:0.81~1.36、片側log-rank検定のp=0.66)にも、両群間に有意差はみられなかった。Grade3以上の好中球減少、高血圧が高頻度 Grade3以上の毒性の発生に関して、両群間に臨床的に意義のある差を認めなかった。Grade3の有害事象は高用量群で115例(54.2%)、標準用量群で109例(52.2%)、Grade4はそれぞれ34例(16.0%)および31例(14.8%)、Grade5は5例(2.4%)および6例(2.9%)に発現した。高用量群におけるGrade5の有害事象のうち試験治療に関連したものはなかった。 最も頻度の高いGrade3以上の有害事象は、好中球減少(高用量群67例[31.6%]vs.標準用量群62例[29.7%])、高血圧(42例[19.8%]vs.49例[23.4%])、白血球減少(19例[9.0%]vs.9例[4.3%])、末梢性感覚神経障害(19例[9.0%]vs.7例[3.3%])、下痢(16例[7.5%]vs.10例[4.8%])であった。 ビタミンD関連の有害事象(全Grade)として、高カルシウム血症(高用量群7例[3.3%]vs.標準用量群3例[1.4%])、高リン血症(7例[3.3%]vs.10例[4.8%])、腎結石(3例[1.4%]vs.0例)などがみられた。 著者は、「これらの知見に基づき、未治療のmCRC患者に対し、標準化学療法に高用量のビタミンD3を追加することは推奨できない」としている。また、SUNSHINE試験との間に結果の相違がみられたことの説明の1つとして、ベースラインの血漿25(OH)Dが本試験で高かった点(両群中央値21.8ng/mL vs.17.6ng/mL)を挙げ、「ベースラインの25(OH)D値が低いほど、ビタミンD3補充に対する反応が大きいことが知られており、したがって本試験の患者は高用量ビタミンD3補充療法から、それほど大きな恩恵を受けなかった可能性がある」と指摘している。

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スタチン使用に伴う重篤な筋障害はまれ

 スタチンによる重篤な筋障害への懸念は過大視されている可能性があるようだ。英オックスフォード大学の研究グループが開発した新たなリスク予測モデルでスタチン治療の適応となる成人の重篤な筋障害リスクを推定したところ、98%超が低リスクであることが示された。この研究結果は、「The Lancet Digital Health」に6月25日掲載された。筆頭著者である同大学のTing Cai氏はニュースリリースで、「重篤な筋障害は、スタチンに関して最も広く懸念されている副作用の一つである。しかし今回の結果から、スタチン治療の効果を期待できる大多数の人では、そのリスクは極めて低いことが示唆された」と述べている。 スタチン使用に伴う副作用として最も多いのは筋肉痛であり、インターネット上では「スタチンは活動的な中高年や高齢者の活動を妨げるのではないか」といった懸念が広がっている。そこで研究グループは、こうした懸念に根拠があるのかを検証するため、1998年1月1日から2018年12月31日の間にイングランドで収集された178万5,207人分の電子健康記録(EHR)を用いて、スタチン使用に伴う入院または死亡に関連する重篤な筋障害の1年・5年・10年間の発症リスクを予測するモデルを開発した。このモデルでは、年齢、性別、筋障害の既往、ビタミンD欠乏、併用薬など、日常診療で記録される22項目の情報を用いてリスクを評価する。さらに別の388万9,504人の検証コホートでこのモデルの予測精度を確認した。 その結果、検証コホートの99.6%で10年間の重篤な筋障害の発症リスクは10%未満と予測され、スタチン使用に伴う重篤な筋障害の発生は極めてまれであることが示された。また、臨床的にスタチン治療の適応が確認された患者でも98.1%は10年間の重篤な筋障害リスクが10%未満であり、大半が低リスクと推定された。 Cai氏は、「個々の患者のリスクを把握することは、スタチンにまつわる懸念を適切にとらえることにつながり、十分な情報に基づく治療方針の決定を支え、患者に安心感を与えることができる。リスクが比較的高い少数の患者においては、経過観察や検査、あるいは代替治療について医師と相談するための、より明確な判断材料になる」と述べている。 本研究では重篤な筋障害に焦点を当てているが、研究グループは、筋肉痛や筋肉の違和感といった軽度の症状の多くは、通常、スタチンが原因ではないことにも言及している。また、スタチン治療の適応がある患者の62.5%が、心血管疾患リスクが高いにもかかわらず、実際にはスタチンを処方されていないことも明らかになった。 論文の上席著者であるニコシア大学(キプロス)医学部医療統計学分野のConstantinos Koshiaris氏はニュースリリースで、「治療方針は治療効果の予測に基づいて決定されることが多いが、潜在的な有害事象を理解することも同様に重要である。このモデルは、個々の患者のリスクを定量的に評価できるため、治療選択肢に関するバランスの取れた話し合いを支援するものとなる」と述べている。

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8月4日 栄養の日【今日は何の日?】

【8月4日 栄養の日】〔由来〕「えい(8)よう(4)」(栄養)と読む語呂合わせから、栄養を学び、体感することをコンセプトに、食生活を考える日とすることを目的に日本栄養士会が制定。同会では、この日を中心に「栄養週間」として、全国の管理栄養士・栄養士とともに「栄養をたのしむ」生活を応援している。関連コンテンツすぐに使える!糖尿病の食事指導スライドビタミンAってなあに?【患者説明用スライド】心房細動/心房粗動の発症リスク、低亜鉛が影響認知症発症リスク、亜鉛欠乏で30%増骨折・転倒予防、CaとビタミンDに効果認めず~メタ解析/BMJ

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高用量ビタミンDでがん治療関連皮膚障害が改善する可能性

 化学療法や放射線療法に伴う皮膚障害は、疼痛や灼熱感、紅斑などによって患者のQOLを大きく低下させるだけでなく、抗がん治療の減量や中断の原因となる。今回、高用量ビタミンD内服により、化学療法・放射線療法関連皮膚障害が改善する可能性が示された。イリノイ大学(米国)のMihir K. Patil氏らによる本研究結果は、JAMA Dermatology誌オンライン版2026年7月15日号に掲載された。 本研究は2021年12月~2024年1月に米国の3つの医療機関で実施された後ろ向きケースシリーズだった。対象は化学療法誘発性紅斑(toxic erythema of chemotherapy:TEC)または急性放射線皮膚炎(acute radiation dermatitis:ARD)に対して高用量ビタミンDの経口投与を受け、10日以上追跡された33例だった。患者は平均年齢60.9歳、女性58%、TECが28例(85%)、ARDが5例(15%)で、コレカルシフェロールまたはエルゴカルシフェロール10万IUを1回または2回経口投与された。 主要評価項目は患者報告による症状改善までの期間、および医師評価による5段階リッカート紅斑スコアの改善とした。副次評価項目として血清カルシウム値の変化や抗がん治療継続の可否を評価した。 主な結果は以下のとおり。・症状評価が可能であった30例中26例(87%)で、投与後10日以内に自覚症状の改善が認められた。・症状改善までの期間中央値は5日(範囲:1~28日)であり、入院患者では3日(1~16日)と、より早期の改善がみられた。・客観的評価でもリッカート紅斑スコアが改善し、ベースラインの4.36±0.60から10日後には2.21±1.36へ低下した。・病型別では、好中球性エクリン汗腺炎およびスティーブンス・ジョンソン症候群/中毒性表皮壊死症様サブタイプの患者でとくに速やかな反応が認められた。・血清カルシウム値に有意な変化は認められず、33例中24例(73%)が抗がん治療を中断することなく継続した。 著者らは、高用量ビタミンDの経口投与は症状および皮膚所見の速やかな改善と関連し、研究期間中に治療関連有害事象は報告されなかったと結論付けた。一方、本研究は後ろ向きのケースシリーズであり、症例数も33例と限られているため、有効性や最適な投与タイミング、対象患者の選択については前向き無作為化比較試験での検証が必要だとした。

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ビタミンA高値は喘息患者の良好な肺機能と関連

 ビタミンAは、喘息を有する人の肺機能の改善に役立つ可能性がある。ビタミンAおよびビタミンDの肺機能に対する影響を検討した新たな研究で、血液中のビタミンA濃度が高いことは、喘息を有する小児と成人の双方において良好な肺機能と関連することが示された。一方、ビタミンDについては、効果が見られたのは成人の喘息患者のみであった。米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院のMichael McGeachie氏らによるこの研究結果は、「Thorax」に6月30日掲載された。 ビタミンAおよびDは遺伝子発現を調節し、肺の発達に影響すると考えられている。喘息患者ではビタミンA欠乏症が多く見られ、これは気道の過敏性と関連していることが報告されている。一方、ビタミンD欠乏症は、特に喘息患者において肺機能の低下や喘息増悪、病状コントロールの悪化と関連することが示されているが、食事や年齢、日照時間などの因子の影響が研究間で異なるため、一貫した結果が得られていない。ビタミンAは、ニンジン、サツマイモ、ほうれん草などの野菜のほか、卵、牛乳、魚にも含まれている。ビタミンDは、主に日光によって体内で合成されるが、食品やサプリメントからも摂取できる。 この研究でMcGeachie氏らは、ビタミンAおよびDと喘息患者の肺機能、生物学的老化、および遺伝子発現(マイクロ〔mi〕RNA、DNAメチル化)との関連を検討した。対象は、GACRS(Genetic Epidemiology of Asthma in Costa Rica Study)の小児コホート1,165人と、ODOLLFA(Omic Determinants of Longitudinal Lung Function in Asthma)の成人コホート1,041人であった。肺機能は、1秒量(FEV1)、努力肺活量(FVC)、1秒率(FEV1/FVC)で評価した。FEV1は最大吸気後に思い切り息を吐き出したときの最初の1秒間の呼気量、FVCは最大吸気後に可能な限り吐き出せる総呼気量を示す。FEV1/FVCは気道閉塞の指標であり、一般に0.70未満の場合に閉塞性換気障害が示唆される。 解析の結果、小児では血液中のビタミンA濃度が高いほどFEV1およびFVCは高値であった一方、FEV1/FVCは低値だった。ビタミンDと肺機能の指標との関連はいずれも統計学的に有意ではなかった。一方、成人では、いずれのビタミンもFEV1およびFVCと関連していたが、FEV1/FVCとの間に関連が認められたのはビタミンAのみであった。さらに、ビタミンDの充足は、成人では生物学的老化の進行が遅いことと関連していた。 さらに、ビタミンAおよびDと遺伝子発現調節機構との関連も示された。解析から、両ビタミンの血中濃度と関連する複数のmiRNAが同定され、その標的遺伝子は炎症・免疫関連の経路に集積していた。また、DNAメチル化解析では、ビタミンAおよびDの血中濃度と関連するDNAメチル化部位が多数同定され、特に免疫制御に関与するIRF5遺伝子では、ビタミンAおよびD濃度が高いほどDNAメチル化が低い傾向が、小児・成人の両コホートで一貫して認められた。媒介解析では、miRNAやDNAメチル化がビタミンAおよびDと肺機能および生物学的老化との関連を媒介することが示された。 研究グループは、「本研究は、ビタミン濃度と肺機能、さらにmiRNA発現やDNAメチル化といったエピジェネティック指標を、喘息の小児と成人の両方で統合的に解析した初めての研究である」と述べている。 これらの結果は、食事が喘息コントロールの一つの手段となり得る可能性を示唆している。研究グループは、「栄養が遺伝子発現をどのように変化させるかというエピジェネティックな機構が、喘息におけるビタミンAおよびDの影響を媒介している可能性があり、個別化栄養や治療戦略の標的となり得る」と結論付けている。

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第70回 あなたの体は何歳ですか?「老化時計」が明かす、臓器ごとに進む老いの正体

この100年で人間の平均寿命はおよそ2倍になりました。ところが、健康に過ごせる期間(健康寿命)は同じペースでは延びておらず、心臓病やがん、認知症、身体の障害などを抱えて暮らす人はむしろ増えています。この「長生きするけれど健康ではない」というギャップを埋める鍵として注目されているのが、老化の速さそのものを数値で測る「生物学的時計」です。今回はそんな概念を取り扱った論文をもとに最新の知見をシェアしていきます1)。老化は「一定のスピード」では進まないかつて老化は、誰の体でも年齢とともに一定の速さで進むものと考えられてきました。しかし近年の大規模な研究で、その常識は覆されつつあります。血液中のタンパク質やDNAの変化を数万人規模で追跡すると、老化は一定ではなく、人生のなかで何度か「波」となって加速することがわかってきたのです2)。論文の中では、成人期におよそ3つの大きな転換期があると指摘されています。目安は「30~40歳ごろ」「60~70歳ごろ」「80歳前後」。この時期に体内の分子レベルの変化が一気に進むことが、複数の独立した研究で繰り返し確認されています。つまり老化は坂道をなだらかに下るというより、階段を数段まとめて下りるようなイメージに近いのです。この転換期は、生活を見直したり対策を打ったりする「介入の窓」にもなりうると期待されています。脳と免疫の「若さ」が寿命を左右するもう1つの重要な発見が、同じ人の体の中でも臓器ごとに老化のスピードが違うということです。心臓は実年齢より若いのに、肝臓は老けている、といったことが実際に起こります。英国の大規模データを用いた研究では、ある臓器が実年齢より「老けている」人ほど、その臓器に関連する病気や死亡のリスクが高いことが示されました。とくに3つ以上の臓器で老化が進んでいる人では、その傾向がはっきりと強まります。また、脳の生物学的な老化が進んでいる人では、アルツハイマー病を発症するリスクが約3.1倍に上ったと報告されています。逆に、脳や免疫が「若い」状態を保っている人は長生きしやすい傾向がありました3)。老化時計を活用することで、症状が出るより何年も前に、リスクの高い人を見つけ出せる可能性もあるわけです。老化時計は遅らせられる?では、この時計の進み方は変えられるのでしょうか。論文によれば、運動、適度なカロリー制限、オメガ3脂肪酸やビタミンDの摂取などが、DNAの老化の指標をわずかに遅らせる可能性が報告されています4)。また、少し有名な話になりましたが、帯状疱疹ワクチンの接種者で認知症が少なく、老化が緩やかだったという研究も複数あります5)。糖尿病や肥満の治療に使われるGLP-1受容体作動薬にも、老化を遅らせる働きの可能性が指摘されています。ただし、過度な期待は禁物です。これらの効果は示されているとしてもまだ「わずか」で、長期的に寿命や健康寿命を本当に延ばすのかは未確認です。また、市販されている老化測定検査は測定方法がバラバラで標準化されておらず、同じ人が受けても結果が大きく食い違うことがあります。現時点では、個人が一度の検査結果に一喜一憂する段階にはありません。大切なのはおそらく、特別な検査を受けることよりも、運動・睡眠・食事といった昔から知られた生活習慣が、体の「老化時計」の進み方に確かに影響するという事実です。ただし、ここでご紹介した「老化時計」は、病気になってから治す「後追いの医療」から、リスクを早期に見つけて防ぐ「先手の医療」へと転換する、次の大きな一歩になろうとしているのもまた事実だと思います。1)Wyss-Coray T, et al. Biological aging clocks in health and disease. Nat Med. 2026;32:2383-2394.2)Oh HS, et al. Organ aging signatures in the plasma proteome track health and disease. Nature. 2023;624:164-172.3)Balachandran A, et al. Pace of aging associations of healthspan and lifespan in older adults in the US and UK. Nat Aging. 2025;5:1132-1142.4)Belsky DW, et al. DunedinPACE, a DNA methylation biomarker of the pace of aging. eLife. 2021;11:e73420.5)Kim JK, et al. Association between shingles vaccination and slower biological aging: evidence from a U.S. population-based cohort study. J Gerontol A Biol Sci Med Sci. 2026;81:glag008.

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サプリ「メーカー推奨量超え」約2割、長期使用や錠剤タイプで多い可能性

 健康維持のために利用されることの多いサプリメントだが、摂取量によっては栄養素の過剰摂取につながる可能性もある。今回、日本の成人を対象とした調査で、サプリメント利用者の約2割がメーカーの表示する推奨摂取量(メーカー推奨量)を超えて摂取していることが明らかになった。長期使用や錠剤タイプの製品で多い傾向もみられ、過剰摂取の実態と関連要因が示された。研究は、東邦大学医学部社会医学講座衛生学分野の杉本南氏、同予防医療学分野の朝倉敬子氏らによるもので、詳細は3月19日付の「Interactive Journal of Medical Research」に掲載された。 近年、健康維持や栄養補給を目的としたサプリメントの利用は世界的に増加している。一方で、食事に加えてサプリメントから栄養素を摂取することで耐容上限量(UL)を超える可能性があり、過剰摂取による健康リスクが懸念されている。これまでにもサプリメント利用者における上限量超過の実態は報告されているが、メーカー推奨量を利用者が実際に守っているかについての研究は限られている。また、多くの研究は自己申告によるサプリメント使用情報に依存しており、製品特定や摂取量の正確性に課題があった。本研究では購入履歴データを活用し、メーカー推奨量を超えるサプリメント摂取の関連要因と、栄養素のUL超過の実態について検討した。 著者らは2024年11~12月にかけて、日本の成人を対象とした横断研究としてオンライン調査を実施した。消費者モニターを利用し、主要25種類のサプリメント製品のいずれかの購入履歴があり、直近1カ月以内に使用している、または日常的に使用している18~74歳の成人2,002人を対象とした。質問票で1日当たりのサプリメント摂取量を把握し、製品パッケージに記載されたメーカー推奨量と比較した。さらに、日本人の食事摂取基準に基づくULを基準とし、サプリメント由来のビタミンおよびミネラル摂取量のみからUL超過の有無を評価した。多変量ロジスティック回帰分析を用いて、推奨量を超える摂取と社会人口学的要因との関連を検討した。 参加者の平均年齢は43.7歳で、女性が75.6%を占め、平均BMIは21.6であった。調査対象2,002人のうち371人(18.5%)が、メーカー推奨量を上回ってサプリメントを摂取していた。 推奨量を超える摂取は、中年層、パートタイムまたはフルタイムで就労している人、錠剤型のサプリメント使用者(特に水溶性ビタミンの単剤錠)、サプリメントを6カ月以上継続している人、さらに意図的にメーカー推奨量を超えて摂取していることとも関連していた。メーカー推奨量を超えて摂取していた人のうち15.4%は、自ら過剰摂取であると認識していた。一方で57.1%は推奨量と同程度、10.8%は推奨量以下と認識しており、過剰摂取の自覚がないケースも多かった。 メーカー推奨量を超えて摂取していた群では、実際の摂取量がメーカー推奨量の数倍に達する例もみられ、平均すると水溶性ビタミン単剤では実際の摂取量がメーカー推奨量の3.9倍、葉酸や鉄を含む錠剤型サプリメントでは5.4倍に達していた。 ULが設定されている栄養素を含むサプリメントを摂取していた1,705人のうち、17.4%(297人)がメーカー推奨量を超えて摂取していた。このうち61.9%(184/297)は、少なくとも1種類の栄養素でULを上回っていた。特にビタミンA、ナイアシン、葉酸、マグネシウム、亜鉛では、メーカー推奨量を超えて摂取している人の40~60%がULを超過していた。 著者らは、中年層や長期使用者などでメーカーの表示するサプリメントの推奨量超過が多くみられたと指摘する。こうした摂取は栄養素の過剰摂取につながる可能性があり、過剰摂取の健康リスクについて認識を高める必要があるとしている。 なお、著者らは本研究の限界として、オンライン調査モニターを対象とした点や、摂取量が自己申告である点、複数サプリメントの併用を評価していない点などを挙げている。

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骨折・転倒予防、CaとビタミンDに効果認めず~メタ解析/BMJ

 これまでの系統的レビューでは、カルシウムおよびビタミンDは、単独では骨折の減少をもたらさず、これらを併用しても結果に一貫性はなく、転倒に対するビタミンDの効果にもばらつきがみられる。それにもかかわらず、ガイドラインなどは筋骨格系の健康維持にビタミンD(±カルシウム)の補充を推奨し、2000年代初頭以降、これらの処方量は大幅に増加しているという。カナダ・CIUSSS du Nord-de-l’Ile-de-MontrealのOlivier Masse氏らは、骨折および転倒の予防において、カルシウム、ビタミンD、またはこれらを併用した栄養補充製品の有益性はほとんど、あるいはまったく認められないことを示した。研究の成果は、BMJ誌2026年5月20日号で報告された。骨折・転倒の予防効果をメタ解析で評価 研究グループは、成人における骨折および転倒に対する、カルシウム、ビタミンD、またはこれらを併用した栄養補充製品の効果を評価する目的で、関連文献の系統的レビューとメタ解析を行った(特定の助成は受けていない)。 対象は、骨粗鬆症の薬物治療を受けていない成人(18歳以上)において、骨折または転倒の予防法として、カルシウム、ビタミンD、またはこれらの併用補充製品を、プラセボまたは無治療と比較した無作為化比較試験とした。全骨折の予防効果はほとんどない 69件の試験(参加者15万3,902例)を解析の対象とした。60試験(87%)は地域在住の高齢者のみ、26試験(38%)は女性のみを対象とし、50試験(72%)の参加者は骨折や転倒のリスクが高いグループには属していなかった。全体の年齢中央値は71.2歳(四分位範囲:63.8~76.9)だった。 主要アウトカムである全骨折に関して、カルシウム補充製品(11試験、参加者9,067例、リスク比:0.91[95%信頼区間[CI]:0.81~1.01]、エビデンスの確実性:中)や、ビタミンD補充製品(36試験、9万2,415例、1.00[95%CI:0.95~1.06]、高)、併用栄養補充製品(15試験、5万1,126例、0.91[95%CI:0.84~0.99]、高)のいずれにおいても、予防効果はほとんど、あるいはまったく認めなかった。 大腿骨近位部骨折、非脊椎骨折、脊椎骨折についても、3つの補充製品とも、ほとんど予防効果はなかった。転倒の予防にも効果はない、他の介入法の可能性を 転倒の予防に関しても、カルシウム補充製品(2試験、参加者2,966例、リスク比:0.91[95%CI:0.78~1.06]、エビデンスの確実性:中)、ビタミンD補充製品(32試験、6万5,234例、1.01[95%CI:0.98~1.04]、高)、併用栄養補充製品(10試験、1万1,068例、0.92[95%CI:0.84~1.00]、中)のすべてで、予防効果はみられなかった。 また、複数のサブグループ解析により、異質性に関して広範な検討を行ったが、上記の知見の頑健性は保持されていた。 一方、高リスク例や在宅看護を要する患者については、カルシウム単独療法および併用補充療法の多くのアウトカムに関して、エビデンスは十分ではなかった。 著者は、「これらの知見は、骨折や転倒の予防を目的とするカルシウム、ビタミンD、これらを併用した栄養補充製品の日常的な摂取を支持しない」としている。また、「本研究の結果は、特定の骨疾患を有する患者、あるいは骨粗鬆症の薬物治療や、長期にわたりコルチコステロイドを使用している患者には一般化できない可能性がある」「今後は、骨折や転倒の予防に、これら以外の介入法の評価が行われる可能性があり、検討が期待される分野として、食事療法、医薬品の再評価、教育や行動変容へのアプローチ、多面的な介入、および転倒予防のためのデジタルツールなどが挙げられる」と指摘している。

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小児のアトピー性皮膚炎、確実な予防方法はないが治療の選択肢は豊富

 小児のアトピー性皮膚炎の発症を予防するために親ができることは極めて少ないことが、新たなガイドラインで示された。特別な食事療法、入浴を控えること、母乳育児、プロバイオティクスのサプリメントといった広く知られている対策が小児のアトピー性皮膚炎の予防に有効であることを示すエビデンスは見つからなかったという。一方、既にアトピー性皮膚炎を発症している小児には、皮膚のかゆみを和らげるための効果的な治療法が多くあるとしている。米国皮膚科学会(AAD)が作成したこのガイドラインは、「Journal of the American Academy of Dermatology」に4月7日掲載された。 AADによると、これは同学会が発表した初めての小児のアトピー性皮膚炎に関するガイドラインであるという。AAD会長のMurad Alam氏は、「アトピー性皮膚炎に罹患している小児は極めて多いが、症状の現れ方や経過は必ずしも成人と同じではない。アトピー性皮膚炎は小児や家族の生活の質(QOL)を低下させる可能性があるため、最善の治療が確実に行われるようにするためには、小児に特化したガイドラインが必要である」とニュースリリースで述べている。 ガイドラインを作成した研究グループが既存の医学的エビデンスを検討した結果、小児のアトピー性皮膚炎の発症を予防できる真に有効な方法はないとの結論に至った。ただし、保湿剤のみは生後6カ月~3歳の小児のアトピー性皮膚炎の発症を減少させるという目的で「条件付き推奨」の治療法として位置付けられた。条件付き推奨は、その治療法のベネフィットとリスクが拮抗している場合に示される。一方、食事療法や入浴を控えること、ビタミンDやプロバイオティクスのサプリメント、離乳食の早期導入、母乳育児、硬水の軟化、ダニなどのアレルゲンへの曝露を減らすといった他の予防法に関しては、十分なエビデンスがないと結論付けられた。 一方で、小児のアトピー性皮膚炎の治療に関しては、多くの治療法が「強い推奨」として位置付けられた。有効性が明らかにされている治療法には以下が含まれる。・皮膚の乾燥やかゆみの軽減を目的とした保湿剤・再燃時の第一選択薬となるステロイド外用薬・再燃の管理を目的としたカルシニューリン阻害外用薬(pimecrolimus〔国内未承認〕またはタクロリムス軟膏)・かゆみ軽減と再燃頻度の抑制を目的としたホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害薬(crisaborole軟膏、roflumilastクリーム〔いずれも国内未承認〕)・軽症~中等症の患者の乾燥やかゆみの重症度の軽減を目的とした外用ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬(ルキソリチニブクリーム〔日本ではアトピー性皮膚炎に対する適応は未承認〕、タピナロフクリーム)・軽症〜重症患者における炎症軽減、皮膚バリア機能の改善、乾燥やかゆみを伴う皮膚症状の軽減を目的とした局所用アリル炭化水素受容体(AhR)アゴニスト(タピナロフクリーム)・中等症~重症の患者の症状の重症度低下、再燃の減少、かゆみの軽減を目的としたモノクローナル抗体(デュピルマブ、トラロキヌマブ、レブリキズマブ、ネモリズマブ〔外用薬と併用〕)・中等症~重症の患者の症状の重症度低下、かゆみの軽減を目的としたJAK阻害薬(ウパダシチニブ、アブロシチニブ、バリシチニブ) ガイドラインではまた、入浴、ウェットラップ療法、光線療法についても小児のアトピー性皮膚炎の治療法として条件付きで推奨している。一方で、ステロイドの経口薬や注射薬の使用については急激で重度の再燃が見られた患者に限定すべきであり、長期的には使用しないことを強く推奨するとされている。さらに、外用抗菌薬の使用や薬剤と光線療法を組み合わせたPUVA療法についても実施しないことが条件付きで推奨された。 AADのアトピー性皮膚炎ガイドライン作業部会の共同委員長であるDawn Davis氏は、「このガイドラインは、患者やケア提供者、そして医学会を教育し、彼らを支援することで、アトピー性皮膚炎の小児ができる限り最善の治療を受けられるようにするために作成された。早期からの積極的な介入によって、患者やその家族は症状やQOLの改善が期待できる」と述べている。

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心血管リスクが高い女性は骨折リスクも高い

 女性では心臓の健康状態が骨折のリスクと関連していることを示すデータが報告された。米テュレーン大学のRafeka Hossain氏らの研究によるもので、詳細は「The Lancet Regional Health-Americas」に3月27日掲載された。心血管イベントリスクが高い女性は、大腿骨近位部骨折のリスクもほぼ2倍に上るという。 論文の筆頭著者であるHossain氏は、「これまでの研究でも心血管疾患と骨折リスクの関連性が示唆されていたが、大腿骨近位部骨折のリスクとの関連の強さに驚いた」と述べている。また、「心血管イベントと骨折はいずれも非常に発生頻度が高く、治療費も高額となる」とし、「両者のリスクを抑制することで高齢者の生活の質(QOL)を向上させられるのではないか」と語っている。 この研究では、現在進行中の閉経後の女性を対象とする大規模観察研究「女性の健康イニシアチブ(WHI)」の参加者2万1,300人を、心血管イベントリスクの高さに基づき4群に分類し、骨折の新規発生との関連を検討した。心血管イベントリスクの評価には、米国心臓協会(AHA)が2023年に発表した、向こう10年間または30年間の心血管イベントリスクの高さを予測するツール「PREVENT」という計算式を用いた。 その結果、心血管イベントのリスクが最も高い(向こう10年で20.0%以上)と予測された群は、最もリスクが低い(同5.0%未満)群と比較して、大腿骨近位部骨折のリスクが93%高いことが明らかになった(ハザード比〔HR〕1.93〔95%信頼区間1.55~2.42〕)。心血管イベントリスクが2番目に高い(向こう10年で7.5~19.9%)群も、大腿骨近位部骨折リスクが33%高かった(HR1.33〔95%信頼区間1.14~1.56〕)。また、大腿骨近位部骨折発生までの期間が、心血管イベントリスクが最も低い群は中央値20.3年であるのに対して、心血管イベントリスクが最も高い群は同15.0年と短かった。 これらの結果に基づきHossain氏は、「心臓のための健康管理と骨のための健康管理は、切り離して考えるべきではない」と述べている。研究者らによると、慢性炎症、カルシウム代謝の変化、動脈硬化による骨の血流低下など、心臓と骨に悪影響を及ぼす可能性のある生物学的プロセスが数多く存在するという。閉経後のエストロゲンレベルの低下も、心血管疾患と骨量減少のリスクの双方を高め得るとのことだ。 一方、心血管イベントや骨折の予防についてHossain氏は、「心血管に対して保護的に働く多くの因子、例えば習慣的な運動、カルシウムとビタミンDを豊富に含む、バランスの取れた食事、禁煙、糖尿病や高血圧などの治療は、骨を守るのにも役立つ」と解説。また、「骨折リスクを抑制する効果的な治療法は多々ある。よって、心血管イベントリスクが中等度以上と判定された場合、特に閉経後の女性では、骨の健康状態に関するスクリーニング検査を受ける必要性について、医師に相談してみる価値があるのではないか」と付け加えている。ただし研究者らは、心血管イベントのリスクスコアを骨折リスク評価の標準的ツールに組み込むには、さらなる研究による検証が必要であることを強調している。

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在宅医療・介護の場で見逃してはいけない骨粗鬆症/日本シグマックス

 整形外科領域などで衛生材料や診療機器、サポーターなどの開発・販売を行う日本シグマックスは、2026年3月24日に都内で「在宅医療・介護で見過ごされがちな『骨粗鬆症』リスクと転倒・骨折予防の重要性」をテーマにメディアセミナーを開催した。 骨粗鬆症は自覚症状に乏しく、発見が遅れがちな疾患であり、転倒・骨折をきっかけに要介護へ移行するケースも多く、医療・介護双方で課題となっている。同社の代表取締役社長の鈴木 洋輔氏は、これらの課題の解決に「超音波医療機器の開発や機械の小型化といった知識の導入により、治療に貢献する製品を研究開発していく」と展望を述べている。 セミナーでは、骨粗鬆症の病態と予防の解説のほか、在宅医療の視点から骨折リスクとしての骨粗鬆症と在宅でできる予防法などが講演された。骨粗鬆症検診率は全国平均でまだ5% 「骨粗鬆症と骨折予防の意義」をテーマに山本 智章氏(新潟リハビリテーション病院 院長)が、骨粗鬆症の病態、高齢者と骨折、骨折予防などについて講演した。 ヒトの最大骨量は20~40代であり、男性は女性に比べてやや多い骨量となっている。とくに女性では閉経後に急激な骨量の減少がみられ、骨粗鬆症の1番の原因は閉経と老化とされる。若いときに最大骨量をいかに高められるかが、将来の骨粗鬆症の予防につながると近年の研究から判明し、生涯にわたり骨の健康を考えることが重要な時代となっている。 わが国は超高齢社会となり、2000年以降、骨折の概念は外傷性ではなく、脆弱性骨折へと変化している。実際、病院で受診する骨折患者のほとんどが脆弱性骨折であり、骨折はけがではなく、慢性疾患の中で起きる1つのイベントという認識が必要となる。 脆弱性骨折は、椎体や上腕骨、大腿骨近位部などさまざまな部位で発生する。とくに高齢者では、脊椎椎体と大腿骨頸部の骨折が多く、大腿骨近位部骨折の患者数は年々増加し、1980年代と比較すると5~6倍となり、2017年には約19万3,000例となっている1)。 大腿骨近位部骨折は、フレイル、骨粗鬆症、低栄養などさまざまな症状が併存した結果起こり、治療では手術が第1選択となる。また、骨折を起こすと医療費の増加、介護の発生、再発のリスクがあるほか、受傷1年後の患者の日常生活動作(ADL)を調査した研究によると1年以内の死亡が20%、永続的な能力障害が30%、歩行不能が40%、限定的な生活動作が80%と大きな生活上のリスクとなることが報告されている2)。そのため海外では、早期治療が有効であり、徹底して予防し、優先的に治療すべきとされている。 最近、社会的認知が広がっている「いつの間にか骨折」の椎体骨折の発生数について、ROAD研究から形態椎体骨折は420万件、臨床的椎体骨折は118万件と報告されている。多発脊椎圧迫骨折が進行すると脊柱後弯症となり、ADLの障害、慢性背部痛、呼吸換気不全などのQOLの低下を来す。また、体型バランスが変わることで転倒リスクが高くなり、さらなる転倒・骨折などを来す原因となる。 骨折について医療経済や介護環境についてみると、医療費の面で2018年の新潟県の後期高齢者入院の医療費では、「脆弱性骨折」が9.25%と1番高く、脳卒中が7.50%、そのほかの心疾患が7.40%の順で高かった。また、介護の主要因について厚生労働省の調査では、認知症が23.6%で1番高く、脳血管疾患が19.0%、骨折・転倒が13.0%と上位の3要因に入っている。骨折で介護が必要となった場合の5年間の自己負担額の試算では1,540万円と試算するデータもあり、これら介護の負担は、患者本人だけでなく、家族を巻き込み、社会的にも医療的にも問題となる。 骨折の原因となる骨粗鬆症治療を受けるべきターゲットは、「(1)(50歳以降に)骨折を起こした人、(2)骨密度の低下した人(若いときの70%以下の骨密度)のどちらかに該当する人は骨粗鬆症の治療を始めたほうがよい」と山本氏は提言する。 その一方で骨粗鬆症検診の現状は、全国平均で約5%と低く、地域によってはゼロというところもある。「健康日本21」では、「骨粗鬆症の検診率を15%まで引き上げる」という目標が設定され、今後積極的な取り組みがなされる。 わが国の高齢者の転倒発生率は80歳以上で11.1%、85歳以上で13.6%であり、その20%が治療適用となり、5~10%が骨折となる。転倒では、筋力の低下、バランス障害、歩行障害などが大きく寄与しており、正常なバランスの指標として「片足立ちができるかどうか」がある。片足でしっかり立てるということは、歩行も安定し、さまざまな場面でバランスも取れるということが転倒予防に重要となる。また、もう1つ重要なことが「環境」である。屋外はもちろん、屋内でも浴室や居間、階段などさまざまな場での転倒リスクをいかに低下させるかということを高齢者に指導していくことが重要となる。 最後に山本氏は「第28回 日本骨粗鬆症学会が新潟で開催される。『女性医学と整形老年病学』という若いときから女性がいかに元気でいられるかというテーマで開催されるので、多くの医療者に参加してもらいたい」と述べ、講演を終えた。病診連携では「再骨折予防手帳」を活用 「在宅だからこそ見逃される骨折リスクと地域連携の重要性」をテーマに山口 正康氏(医療法人社団 山口クリニック 院長)が、オンラインで在宅患者の骨粗鬆症リスクをいかに見つけ、どのように予防し、地域で支えていくかを講演した。 山口氏は、新潟市内で消化器内科を専門に、地域の在宅医療も行っている。往診先には寝たきりの患者、独居の認知症患者など、さまざまな患者が自宅で自分らしい生活を続けている中で、通院できない患者について骨折予防のため定期的に骨粗鬆症の治療も行っているという。 在宅医療患者の特性と骨折リスクとしては、身体的要因として転倒リスクが高い疾患が多いこと、服用薬の影響、加齢による骨・筋肉の脆弱化、通院できないことによる治療の放置がある。また、社会的要因として見守りの目が届きにくい住環境などに転倒誘因が多いほか、身体機能に合わない杖などの補助具の使用、閉じこもりによる身体の廃用性萎縮などがある。さらに在宅特有の診断困難性として、「DXA検査へのアクセス制限」「無症候骨折の看過」「既存骨折の未評価」「検査の遅れ」などもあり、骨折の診断・評価の機会損失が潜在化すると山口氏は警鐘を鳴らす。 骨粗鬆症財団の行った「診療所に通院する骨粗鬆症患者の合併症」の調査では、高血圧(55%)、脂質異常症(27%)、眼病(19%)、糖尿病と循環器疾患(13%)の順で多く、生活習慣病と骨粗鬆症は悪循環を形成し、心血管イベントのリスク因子となることも知られている3)。そのため在宅診療時には動脈硬化の進行度や心肺機能の検査も必要となる。 山口氏のクリニックでは、患者向けの骨粗鬆症の啓発に、疾患の説明や検査の内容を提示するとともに、待ち時間などの間に超音波測定法を用いた骨量測定器で測定なども行っている。そのほか骨粗鬆症の予防について万歩計を活用した1日8,000歩以上の励行や日常動作でのちょっとした運動の勧め、骨に関連するカルシウム、ビタミンD・Kなどの摂取について栄養士による指導も行っている。 高齢者が骨折や寝たきりの状態にならないためには、病診連携、多職種間、医療と介護、市町村と行政、患者(家族)と地域など幅広い連携が必要になる。とくに再骨折の予防のためには病診連携が重要であり、「正確な骨密度検査の結果と治療方針を病院、クリニック、患者と共有することが治療継続のための出発点となる」と山口氏は語る。 病診連携のメリットは専門医の診断により、治療方針が明確になることであり、病院の専門医と地域のかかりつけ医がそれぞれの役割を果たすことで地域全体による骨粗鬆症治療が活発化する。また、山口氏の地域では患者が病院からの紹介で受診される際、必ず「再骨折予防手帳」を持参するという。この手帳により患者の退院後の状態が容易に把握でき、病院の医師とかかりつけ医の情報共有ができ、患者の安心感につながっていく。 最後に山口氏は、「在宅医療における骨粗鬆症対策は、骨折する前に見つけることが最も重要な役割だと考えている。在宅特有の見逃されるリスクに目を向け、地域全体で骨折予防を支える体制作りを目指したい」と思いを述べ、講演を終えた。

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ベジタリアン家庭の幼児の成長が阻害される可能性は低い

 菜食主義(ベジタリアン)の家庭に生まれた子どもに、発育上の問題が現れる可能性は高くないことが報告された。出生体重は非菜食主義(雑食)の家庭の新生児よりも低く有意差が認められるものの、2歳時点での体重の差は有意ではなくなるという。ネゲヴ・ベン・グリオン大学(イスラエル)のKerem Avital氏らの研究によるもので、詳細は「JAMA Network Open」に2月5日掲載された。論文の筆頭著者である同氏は、「われわれの研究結果は、適切な環境であれば、植物性食品中心の食事は乳児の発育を損なわないことを示している」と述べている。 この研究の背景として著者らは論文の中で、植物性食品を重視する食生活は西側諸国で一般的になりつつあり、心臓病やその他の健康リスクの低下と関連付けられていると指摘。しかし、その一方で、特にビタミンB12、鉄分、ヨウ素、ビタミンD、カルシウム、長鎖オメガ3脂肪酸に関しては、妊娠中や乳幼児期に十分な量を摂取できているのかという懸念が依然として指摘されている。 研究には、イスラエルの子どもの約70%の発育状況が記録されている同国保健省の追跡データのうち、2014~2023年の記録が用いられた。在胎32週以降に出生した単胎児119万8,816人(平均在胎期間39.2±1.5週、男児53.2%)を解析対象とした。なお、重度の先天性疾患を有する子どもや極低出生体重児は対象から除外されている。 全体として98.5%の乳幼児は雑食の家庭で育てられ、1.2%はベジタリアンの家庭、0.3%はビーガン(完全菜食主義)の家庭で育てられていた。解析の結果、食事スタイルにかかわらず、どの家庭の子どもの成長パターンも類似したものだった。 具体的には、出生体重については雑食家庭の新生児が3.3±0.5kgであるのに対して、ベジタリアンやビーガン家庭の新生児はいずれも3.2±0.5kgであり有意に低かった。また生後60日時点で低体重であることの調整オッズ比(aOR)は、雑食家庭を基準としてベジタリアン家庭では1.21(95%信頼区間1.11~1.32)、ビーガン家庭では1.37(同1.15~1.63)だった。 しかし、この差は時間とともに縮小し、2歳時点での発育不全の割合は、雑食3.1%、ベジタリアン3.4%、ビーガン3.9%であり、有意差はなかった。また2歳時点では、低体重や過体重の有意差も認められなかった(低体重のaORはベジタリアンが0.80〔0.55~1.15〕、ビーガンは1.06〔0.50~2.23〕、過体重は同順に1.01〔0.86~1.18〕、0.91〔0.61~1.35〕)。 著者らは、「これらの研究結果はビーガン食であっても乳児の成長を阻害しないことを示唆している。しかし、妊娠中の母親や乳児期の子どもの栄養に関する指導が、子どもたちの発育をどのようにサポートし得るかを明らかにするために、さらなる研究が必要とされる」と結論付けている。

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PCOS、体外受精前のビタミンD補充で出生率は向上せず/BMJ

 体外受精を予定している多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)患者において、ビタミンD補充(4,000 IU/日)の最長90日間の継続は、プラセボと比較して血清中25-ヒドロキシ(OH)ビタミンD濃度(25-OHD)を上昇させるものの、初回胚移植後の出生率は改善しなかった。中国・浙江大学のKai-Lun Hu氏らVitD-PCOS trial groupが、同国の不妊治療センター24施設において実施した無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験の結果を報告した。観察研究では、PCOSの女性におけるビタミンD欠乏と生殖アウトカム不良との関連が一貫して示されており、先行研究でビタミンD補充が体外受精に有益な効果をもたらす可能性があることが小規模な検出力不足の臨床試験において示唆されていた。今回の結果は、体外受精を受けるPCOSの女性における補助療法としてのビタミンD補充の日常的な使用に疑問を投げ掛けるものである。BMJ誌2026年2月17日号掲載の報告。体外受精を予定しているPCOS患者が対象、ビタミンD補充とプラセボに無作為化 研究グループは、ロッテルダム基準に基づきPCOSと診断され、自己卵子での体外受精を予定している20~42歳の患者を、ビタミンD群またはプラセボ群に1対1の割合で無作為に割り付けた。3回以上の体外受精失敗歴がある女性などは除外した。 ビタミンD群では、体外受精開始前からトリガー日まで最大90日間、ビタミンDを 4,000 IU/日(1カプセル当たり800 IU、1日1回5カプセル)投与した。プラセボ群では同期間、プラセボカプセルを1日1回5カプセル投与した。 主要アウトカムは初回胚移植後の生児出生、副次アウトカムはトリガー日および妊娠検査日における血清25-OHDおよび妊娠アウトカムなど、安全性アウトカムは中等度または重症卵巣過剰刺激症候群などであった。生児出生率は52.0%vs.50.2%で有意差なし 2020年10月15日~2022年2月19日に1,272例がスクリーニングされ、876例が無作為化された。このうち、同意撤回などを除く865例が解析対象集団となった(ビタミンD群435例、プラセボ群430例)。 ベースラインの血清25-OHD平均値はビタミンD群16.5±7.2ng/mL、プラセボ群16.1±6.7ng/mLで、トリガー日にはビタミンD群がプラセボ群より有意に高値であった(32.3±11.2ng/mL vs.18.2±7.6ng/mL、補正後平均群間差:13.6、95%信頼区間[CI]:10.9~16.3)。 主要アウトカムである生児出生数は、ビタミンD群で226例(52.0%)、プラセボ群で216例(50.2%)であった(補正後リスク比:1.03、95%CI:0.91~1.18)。 妊娠検査陽性率、臨床妊娠率、妊娠継続率、ならびに無作為化後6ヵ月時および12ヵ月時の累積生児出生率に、両群間で統計学的な有意差は認められなかった。 重症の卵巣過剰刺激症候群は、ビタミンD群で3例、プラセボ群で6例に発生した(補正後リスク群間差:-0.7%、95%CI:-2.0~0.6)。

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多発性硬化症〔MS:multiple sclerosis〕

1 疾患概要■ 定義多発性硬化症(multiple sclerosis:MS)は、脳・脊髄・視神経からなる中枢神経系に炎症性脱髄が生じる慢性疾患である。病変は時間的多発性(再発)と空間的多発性(中枢神経系のさまざまな場所に病変が生じる)であることを特徴とする。自己免疫機序が病態の中心であると考えられているが、近年は神経変性機序の関与も推定されている。■ 疫学MSは若年成人に多く、20~40代で発症することが多い。女性に多く、高緯度地域で発症率が高い(わが国では北海道に多く、沖縄では少ない)。世界中で約300万人の患者が存在すると推定されている。従来は欧米に多い疾患とされてきたが、近年はアジア地域でも患者数が増加しており、わが国でも有病率は上昇している。診断技術の進歩に加え、環境因子の変化が背景にあると考えられている。■ 病因MSは遺伝的要因と環境因子が組み合わさって発症する多因子疾患である。特定の免疫関連遺伝子が発症リスクに関与する一方で、遺伝要因のみで発症が決まるわけではない。環境因子としては、ビタミンD不足、喫煙、肥満などが知られている。近年、Epstein-Barr virus(EBV)感染がMS発症と強く関連することが示され、免疫異常を引き起こす重要な因子と考えられている。■ 症状MSの症状は多彩であり、病変部位によって異なる。代表的な症状には、視力低下や眼痛(視神経炎)、手足のしびれや脱力、歩行障害、ふらつき、排尿障害などがある。また、易疲労感、疼痛、抑うつ、集中力低下など、外見からわかりにくい症状も多く、患者の日常生活や就労に大きな影響を与える。これらは看護師や薬剤師が関わるケアの場面でとくに重要な視点である。■ 分類MSは臨床経過により以下に分類される。1)再発寛解型(RRMS)再発と寛解を繰り返しながら少しずつ後遺症が蓄積する病型で、最も頻度が高い2)2次進行型(SPMS)RRMSの経過の後に、徐々に再発とは無関係の障害進行(progression independent of relapse activities:PIRA)が生じるようになった病型3)1次進行型(PPMS)発症初期からPIRAを認める病型、まれである以上の病型の理解は、治療方針を考えるうえで重要である。■ 予後現在は治療薬の進歩により、MSの長期予後は大きく改善している。しかし、PIRAの治療は開発途上にあるために、早期診断と治療介入が予後改善には重要である。近年は、治療初期から高い有効性を有する薬剤を導入する“early high-efficacy treatment(eHET)”の考え方が広まっている1)。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)MSの診断は除外診断が基本である。とくに視神経脊髄炎スペクトラム障害やMOG抗体関連疾患は臨床像が類似するため、鑑別が重要である。ほかにも鑑別すべき疾患は多岐にわたり、悪性リンパ腫などの腫瘍性疾患、脳血管障害、膠原病、神経サルコイドーシスや神経ベーチェット病といった炎症性疾患、感染症(梅毒、進行性多巣性白質脳症など)、さらに頸椎症性脊髄症や脊髄空洞症などの脊髄疾患、ミトコンドリア病、HTLV-1関連脊髄症(HAM)、脊髄小脳変性症などが挙げられる。診断には臨床経過、MRI検査、脳脊髄液検査を総合的に評価するMcDonald診断基準が用いられる。本基準の本質は「炎症性脱髄病変が時間的・空間的に多発していること」を確認する点にある。2024年改訂では早期診断を支援する内容が加えられたが、診断はあくまで臨床判断を補助するものであり、慎重な運用が求められる2)。3 治療MSの治療は、再発時に行う急性期治療と、再発や進行を予防する病態修飾療法に大別される。急性期には副腎皮質ステロイドの大量静注療法(ステロイドパルス療法)が行われる。効果が不十分な場合には血漿交換療法が選択されることもある。再発や障害進行を抑えるため、維持期には病態修飾薬が使用される。近年では有効性の高い薬剤が増えており、早期から治療を開始することの重要性が強調されている。わが国で承認されている主要な病態修飾薬を表にまとめる。服薬管理、副作用モニタリング、多職種による支援が治療継続に不可欠である。表 MSの主要な病態修飾薬画像を拡大する4 今後の展望現在、新しい作用機序をもつ治療薬や、より精度の高い画像診断・血液バイオマーカーの研究が進行している。また、EBVを標的とした治療やワクチン研究も注目されており、将来的には個別化医療の実現が期待される。近年、MSの診療は、再発抑制を主目的とした治療から、PIRAの抑制を含む長期的な機能予後改善を目指す方向へと大きく変化している。この流れの中で、治療および診断の両面で新たなアプローチが研究・開発されている。治療分野では、Bruton型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬が新たな病態修飾療法として注目されている。BTK阻害薬は、B細胞の活性化や抗原提示機能を抑制するだけでなく、中枢神経内のミクログリア活性化を抑制する作用を併せ持つ点が特徴である。現在、RRMSに加え、SPMSやPPMSを対象とした第III相臨床試験が進行中であり、既存治療では十分に抑制できなかった進行性病態への効果が期待されている。とくに、PIRAに対する治療選択肢としての位置付けが注目されている。診断分野においては、疾患特異性や病勢評価を高める新たなバイオマーカーの研究が進展している。MRIでは、central vein sign(CVS)やparamagnetic rim lesion(PRL)といった所見が、MSに特徴的な病態を反映する補助的画像指標として注目されている。これらは鑑別診断や慢性活動性病巣の評価に有用である可能性が示されている。一方、体液バイオマーカーとしては、血清・髄液中の神経フィラメント軽鎖(NfL)やκフリーライトチェーン(κFLC)が、疾患活動性や予後予測の指標として臨床応用に近付いている。今後は、これらの新規治療薬および診断技術を組み合わせることで、疾患活動性・進行リスクに基づく層別化医療や個別化治療がより現実的になると考えられる。MS診療は、再発を抑制する医療から、長期的な障害蓄積を最小限に抑える医療へと進化しており、今後も基礎研究と臨床研究の橋渡しが重要となる。5 主たる診療科主な診療科は脳神経内科であるが、眼科、泌尿器科、リハビリテーション科、精神科などとの連携が重要である。看護師・薬剤師を含めた多職種チーム医療が不可欠である。※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト診療、研究に関する情報難病情報センター 多発性硬化症/視神経脊髄炎  (一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)日本神経学会(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)医薬品医療機器総合機構(PMDA)(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)MSキャビン(MSCABIN)(多発性硬化症の総合情報サイト:情報共有、患者・支援者向け知識ベース)MS International Federation(国際疫学、研究動向、教育・啓発リソースなど医療従事者向けのまとまった情報)患者会情報日本多発性硬化症協会(患者とその家族および支援者の会)1)Rotstein D, et al. Nat Rev Neurol. 2019;15:287-300.2)Montalban X, et al. Lancet Neurol. 2025;24:850-865.公開履歴初回2026年2月20日

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ホールフード食、食べる量は増えても摂取カロリーは減少

 未加工の食品を丸ごと食べる「ホールフード食」は、たくさん食べても体重を減らせる可能性の高いことが、新たな研究で示された。2週間にわたりホールフードのみで構成された食事(以下、ホールフード食)を取った人は、超加工食品を中心とする食事(以下、超加工食品食)のみを食べていた人と比べて食事の摂取量が57%も多かったが、食事からの摂取カロリーは1日当たり平均330kcal少なかったという。英ブリストル大学実験心理学教授のJeff Brunstrom氏らによるこの研究の詳細は、「The American Journal of Clinical Nutrition」に12月29日掲載された。 この研究では、超加工食品食とホールフード食の影響を比較した2019年の画期的な臨床試験のデータが再解析された。この試験の参加者は、2週間にわたって超加工食品食とホールフード食のいずれかを取り、その後、もう片方の食事を2週間にわたって取った。その結果、いずれの食事もカロリーが同じになるよう調整されていたにもかかわらず、超加工食品食を取っていた期間には1日の総カロリー摂取量が平均508kcal多いことが示された。また、同期間には体重が約0.9kg増えていたが、ホールフード食の期間には約0.9kg減少していた。 今回の事後解析でBrunstrom氏らは、ホールフード食の期間に参加者が実際に何を食べていたのかを詳しく調べた。その結果、ホールフード食に割り付けられていた期間には、全ての参加者が大量の果物や野菜を食べることを選び、1食で数百グラム食べることもあったことが分かった。ホールフード食の期間には超加工食品食の期間と比べて、飲料を除く食事の摂取量が1日当たり平均57%(726gに相当)多かった一方で、飲料を除く食事からのカロリー摂取量は平均15.3%(330kcalに相当)少なかった。 Brunstrom氏らによると、参加者が摂取したさまざまな種類の大量の果物や野菜には、より高カロリーのホールフードを選んでいた場合には十分に得られなかった必須ビタミンやミネラルが含まれていたという。共著者の1人であるマギル大学(カナダ)のMark Schatzker氏は、「もし参加者が高カロリー食品だけを食べていたら、いくつかの必須ビタミンやミネラルが不足し、最終的には微量栄養素欠乏に陥っていたかもしれない。その微量栄養素の不足は、低カロリーの果物や野菜によって補われていたのだ」と述べている。 研究グループは、「この結果は、人間には生来、食品の選択に影響する『栄養知能』が備わっている可能性を示唆している」と説明している。Brunstrom氏は、「今回の研究から、未加工の食品の選択肢が与えられると、人々は直感的に食べる喜びと栄養、満腹感のバランスが取れた食品を選び、同時に全体的なエネルギー摂取量は減ることが示された。これは極めて興味深い」と言う。 栄養知能は超加工食品の中から食品を選ぶ場面でも働いていたが、悪い方向に影響していた。研究参加者は、しばしばビタミン強化食品を通じて微量栄養素の必要量を満たす食品を選んでいたが、そのような食品は同時にカロリーも極めて高かった。例えば、ビタミンAを最も豊富に含む超加工食品は、フレンチトースト・スティックやパンケーキといった高カロリー食品だった。一方、ホールフード食の場合には、多くの参加者が低カロリーのニンジンやホウレンソウからビタミンAを摂取していた。 論文の上席著者であるブリストル大学のAnnika Flynn氏は、「このことは、超加工食品から大量のエネルギー(カロリー)と微量栄養素が同時に提供されることで、カロリーと栄養素の間の有益なトレードオフが無効になり、カロリー過多を引き起こす可能性があることを示している。対照的に、ホールフードはこの健康に有益なバランスを保つ働きを促し、パスタや肉といった高エネルギーの食品よりも、果物や野菜のような微量栄養素が豊富な食品を優先して選ぶよう人々を導くのだ」と述べている。(HealthDay News 2026年1月20日)

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食事からの重金属摂取は2型糖尿病の発症因子か/国立環境研

 糖尿病の発症には、遺伝、環境、生活習慣因子などさまざまな原因がある。とくに食生活において海産物を多く摂取する日本人は、魚介類からごく微量の重金属も摂取している可能性がある。こうした重金属の摂取が、2型糖尿病の発症のリスク因子となるのであろうか。このテーマに関し、国立健康危機管理研究機構 臨床研究センター 疫学・予防研究部の伊東 葵氏らの研究グループは、健康診断の血液サンプルを用いて、水銀、鉛などと2型糖尿病発症との関連性を検討した。その結果、血清水銀濃度が高いほど2型糖尿病のオッズ比が高いことが判明した。この結果は、Clinical Nutrition誌2026年2月号に掲載された。水銀が2型糖尿病発症のリスク因子になる可能性 研究グループは、血清中の水銀、鉛、カドミウム、ヒ素と2型糖尿病発症との関連性を明らかにすることを目的に、2008~09年に人間ドックを受けた日本人勤労者4,754例を対象としたネステッドケースコントロール研究を行った。研究では、カドミウム、鉛、水銀、ヒ素濃度を誘導結合プラズマ質量分析法で測定した。2型糖尿病の発症は、5年間の追跡期間中に血漿グルコースやHbA1cが基準を満たした場合、または自己申告により判断した。発生密度法を用い、各症例に対し年齢、性別、ドック受診時期を基準に2例の対照群を無作為にマッチングした結果、2型糖尿病を発症した325例と対照群611例が得られた。その後、条件付きロジスティック回帰モデルを用いて、各重金属濃度の四分位群ごとに2型糖尿病のオッズ比と95%信頼区間を推定した。 主な結果は以下のとおり。・職業区分、交代勤務、喫煙、飲酒、余暇の身体活動、糖尿病家族歴、BMI、高血圧、および血清中長鎖ω3脂肪酸、ビタミンD、マグネシウム、セレン、鉛、カドミウム、ヒ素濃度を調整後も、血清水銀濃度が高いほど2型糖尿病のオッズ比は高かった。・血清水銀濃度の最低から最高四分位におけるオッズ比(95%信頼区間)は、それぞれ1(基準値)、1.15(0.70~1.90)、 1.41(0.85~2.36)、1.98(1.13~3.47)だった(P=0.01)。・カドミウム、鉛、ヒ素と2型糖尿病発症との間に関連は認められなかった。 なお、研究グループは、「血中水銀濃度が食事からの摂取量を直接反映するものではなく、水銀曝露あるいは魚摂取と2型糖尿病との関連についてはさらなる研究が必要」と述べている。

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紅茶は高齢女性の骨の健康に良い可能性

 足の付け根の周辺(大腿骨近位部)の骨折をできる限り防ぎたいという女性が自分で用意できる「処方箋」があるとすれば、それは「コーヒーではなく、紅茶を飲むこと」かもしれない。高齢女性を対象とした10年間にわたる研究で、紅茶を飲む人はコーヒーを飲む人に比べて、わずかながら骨密度(BMD)が高く、骨が強いことが示されたのだ。フリンダース大学(オーストラリア)医学・公衆衛生学部のEnwu Liu氏とRyan Liu氏らによるこの研究の詳細は、「Nutrients」に2025年11月23日掲載された。 この研究では、65歳以上の女性9,704人が10年間追跡され、コーヒーまたは紅茶の摂取とBMDの縦断的な関連が検討された。BMDは、骨がもろくなる病気である骨粗鬆症のリスクを評価するための重要な指標である。コーヒーおよび紅茶の摂取量は、2、4、5、6回目の訪問時に自記式質問票によって繰り返し評価された。また、大腿骨頸部および股関節全体のBMDは、二重エネルギーX線吸収測定法によって繰り返し測定された。 その結果、紅茶を飲む女性では、飲まない女性と比べて股関節全体のBMDがわずかに高いことが明らかになった。一方、紅茶の摂取と大腿骨頸部のBMDとの間に有意な関連は認められなかった。また、コーヒーの摂取と大腿骨頸部および股関節全体のBMDとの間にも有意な関連は認められなかったが、1日5杯を超えるコーヒーの摂取はBMDの低下と関連する可能性が示唆された。さらに、生涯のアルコール摂取量が多い女性はコーヒーの悪影響を受けやすい可能性があることや、紅茶の有益な効果は肥満の女性でより強く現れる可能性があることも示された。 研究グループは、紅茶の摂取と非摂取との間で見られたBMDの差はわずかであったことを認めつつも、統計学的には有意であったと説明。そのため、わずかな差でも、より大きな人口集団の健康を考慮すると重要な意味を持つ可能性があるとの見解を示している。 Enwu Liu氏は、「適量のコーヒーは安全であると考えられるが、摂取量が多過ぎるのは理想的とはいえないかもしれない。特に飲酒の習慣がある女性では注意が必要だ」とニュースリリースの中で述べている。 骨粗鬆症は年間数百万件の骨折を引き起こす原因となる疾患で、50歳以上の女性の3人に1人が罹患していると推定されている。Enwu Liu氏らは、何十億人もの人がコーヒーや紅茶を飲むことを毎日の習慣にしているため、これらの飲み物が骨に与える影響を理解することは重要であると指摘している。なお、同氏らによると、先行研究では相反する結果が示されているという。また、これほど多くの女性を10年という長期間にわたって追跡した研究は、これまでほぼなかったことも同氏らは付け加えている。 Ryan Liu氏は、お茶には骨量の減少の抑制や骨形成の促進に役立つ可能性のあるカテキンと呼ばれる化合物が豊富に含まれていると説明。「一方、コーヒーに含まれるカフェインは、実験室での研究でカルシウムの吸収や骨代謝を妨げることが示されている」とニュースリリースの中で述べている。ただし、その影響はわずかであり、ミルクを加えることで相殺される可能性があるとも付け加えている。 Enwu Liu氏は、今回の研究の結果について、「女性はコーヒーをやめたり、お茶を大量に飲み始めたりする必要があることを意味しているわけではない」と強調している。その上で同氏は、「カルシウムとビタミンDが骨の健康に不可欠なものであることに変わりはないが、普段飲んでいるカップの中身も影響する可能性がある。高齢女性にとって、いつもの1杯のお茶は単なる心安らぐ習慣にとどまらず、骨を強くするための小さな1歩になるかもしれない」と述べている。

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1月9日 風邪の日【今日は何の日?】

【1月9日 風邪の日】〔由来〕寛政7(1795)年の旧暦の今日、第4代横綱で63連勝の記録を持つ谷風 梶之助が風邪で亡くなったことに由来して制定。インフルエンザや風邪が流行する季節でもあることから、医療機関や教育機関で風邪などへの予防啓発で周知されている。関連コンテンツ今冬のインフルエンザ診療のポイント【診療よろず相談TV】急性呼吸器感染症の5類位置付けに関するQ&A【患者説明用スライド】風邪や咳症状に対する日本での市販薬使用状況は?「風邪のときのスープ」に効果はある?風邪予防にビタミンDは効果なし?~メタ解析

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