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ワルファリンへの反応の違い、遺伝子異型と強く関連

血栓症の抗凝固療法でワルファリン(国内商品名:ワーファリンなど)を服用している患者の反応は、ワルファリン代謝酵素であるチトクロームP-450 2C9(CYP2C9)の遺伝異型と、ワルファリンの薬理学的標的のカギであるビタミンKエポキシド・レダクターゼ(VKORC1)の遺伝異型によって異なることが知られているが、これら異型の初回抗凝固療法で果たす役割についてはわかっていなかった。米国・ヴァンダービルト大学医学部のUte I. Schwarz氏らが報告。NEJM誌2008年3月6日号より。VKORC1ハプロタイプとCYP2C9遺伝子型で反応を比較Schwarz氏らは、ワルファリン療法を開始したばかりの297例の患者について、CYP2C9遺伝子型(CYP2C9*1、*2、*3)、VKORC1ハプロタイプ(Aと非A)、臨床的特徴、治療に対する反応を国際標準比(INR)により判定して出血イベントを評価する臨床試験を実施した。転帰項目は、初めてINRが治療域内に初めて達するまでに要した時間、INR が4以上に達するまでに要した時間、INRが治療域内を上回るまでに要した時間、INR反応の経時的変化、そしてワルファリン投与必要量とした。VKORC1は遺伝的変異性とより強く関連するVKORC1のハプロタイプが非A/非A患者よりもA/A患者で、INRが治療域に初めて達するまでに要した時間は短く(P=0.02)、INRが4以上となるのに要した時間も短かった(P=0.003)。一方CYP2C9遺伝子型は、INRが治療域に達するための有意な予測因子であることはみいだされなかったが(P=0.57)、INRが4以上に達する有意な予測因子であることは示された(P=0.03)。VKORC1のハプロタイプとCYP2C9遺伝子型はいずれも、最初の治療2週間以降に、ワルファリン投与必要量に対して有意な影響を及ぼした。これらの結果から研究グループは、初回療法時のワルファリン反応は、CYP2C9よりもVKORC1の遺伝的多様性が強く関連していると結論づけた。(武藤まき:医療ライター)

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複数の微量栄養素補助剤を摂取した妊婦の子どもは発育がよい

開発途上国では、出生時の低体重が後年の小児の健康に及ぼす悪影響に関する研究が盛んだが、出生時体重の増加と小児の健康改善には明確な相関がないため、この課題を解決するための取り組みには困難がつきまとうという。Anjana Vaidya氏(母子研究所、カトマンズ、ネパール)らは、以前に実施した妊婦の栄養補助剤摂取に関する試験中に出生した子どもを追跡、妊娠中の複数の微量栄養素摂取の胎児への影響はその後も持続していることを確認した。Lancet誌2008年2月9日号掲載の報告。2~3年後に家庭を訪問して体重や体格を測定2005年、Vaidya氏らの研究グループは、妊娠第2~3期に鉄および葉酸(対照群)あるいは15種類の推奨1日摂取量のビタミン、ミネラルを含む栄養補助剤(介入群)を摂取した1,200人の妊婦の無作為化試験についてLancet誌上で報告した。今回の研究は、この試験中に出生した子どもの2~3年のフォローアップ解析であり、子どもの家庭を訪問して体重、身長(主要評価項目)、罹患した疾患、母親の血中ヘモグロビンなどのデータを収集した。介入群で体重が204g重く、体格もわずかに大きい2005年12月~2006年12月に、平均年齢2.5歳の917人の子ども(対照群:455人、介入群:462人)の評価を実施した。出生時の平均体重は介入群が対照群よりも77g多かったが、2.5歳時の平均体重は介入群が10.9kg、対照群が10.7kgと、複数の微量栄養素補助剤を摂取した妊婦の子どもが平均204g重かった。さらに、介入群は対照群に比べ頭囲が2.4mm、胸囲が3.2mm、上腕中部周囲長(MUAC)が2.4mm、上腕背部皮下脂肪厚が2.0mm大きく、収縮期血圧が2.5mmHg低かった。Vaidya氏は、「妊婦が摂取した複数の微量栄養素補助剤の胎児への影響は出生後も持続しており、対照群に比べ子どもの体重、体格が増加していた」と結論している。また、「両群の差は平均2%と小さなものであり、体重や血圧の変化の公衆衛生学的な意義は、さらなるフォローアップによって明らかにすべきである」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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抗酸化物質は、早期の加齢黄斑変性症の一次予防に有効か

 加齢黄斑変性症(AMD)は、先進国の50歳以上の集団における重篤な視力障害の主要原因である。抗酸化物質は、網膜に対する酸化的障害を減弱するとの仮説があるが、AMDの一次予防における食物抗酸化物質の効果は不明である。 メルボルン大学眼疾患研究所(オーストラリア)のElaine W-T Chong氏らは、AMDの一次予防における種々の食物抗酸化物質(αカロテン、βカロテン、βクリプトキサンチン、リコピン)の役割について体系的なレビューおよびメタ解析を行った。BMJ誌10月8日付オンライン版、10月13日付本誌掲載の報告から。選択基準を満たす12試験のデータを抽出して解析 標準化された判定基準に基づいて2名の研究者が別個に7つのデータベースを検索して関連文献を選び出した。抽出された4,192の抄録のうち12試験(プロスペクティブなコホート研究:9試験、無作為化臨床試験:3試験)が選択基準を満たした。 次いでデータ抽出および試験の質の評価が2名の研究者によって別個に行われ、得られた結果はメタ解析の手法を用いて定量的にプールされた。コホート研究、無作為化試験とも抗酸化物質によるAMD予防効果は示せず 9つのプロスペクティブなコホート研究には合計149,203名が登録され、そのうち早期AMDは1,878例であった。検討された食物抗酸化物質は個々の試験で異なっており、必ずしも全試験が個々の抗酸化物質のメタ解析の対象とはならなかった。 これらのコホート研究のプール解析では、ビタミンA、C、E、亜鉛、ルテイン、ゼアキサンチン、αカロテン、βカロテン、βクリプトキサンチン、リコピンは、早期AMDの一次予防においてほとんど効果がないか、あるいは無効であった。 3つの無作為化臨床試験においても、抗酸化物質補助食品の早期AMDに対する予防効果は認められなかった。 Chong氏は、「食物抗酸化物質および抗酸化物質補助食品は、栄養状態が良好な西欧人の早期AMDの一次予防においてほとんど効果がないか、あるいは無効であった」と結論している。なお、今回の解析では、AMDの一次予防に影響を及ぼす可能性があるリスク因子は喫煙のみであったという。

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血漿ホモシステイン濃度低下は慢性腎臓病と末期腎不全の死亡率低下に有効か

血漿ホモシステイン濃度の上昇が死亡率と血管疾患の危険因子であることは慢性腎臓病患者の観察研究で明らかになっている。ホモシステイン濃度を下げる葉酸とビタミンB群の投与が、慢性腎臓病と末期腎不全患者の予後を改善するか否かをテーマに無作為化対照試験が実施され、その結果がJAMA誌9月12日号に掲載された。葉酸40mg、ビタミンB6100mgなどを毎日投与高用量葉酸とビタミンB群の毎日投与が慢性腎臓病患者の死亡率を減少させるかどうかを判定するため、Rex L. Jamison氏らのグループは米国退役軍人省医療センターの36病院で二重盲検無作為化対照試験(2001~2006年)を行った。追跡期間の中央値は 3.2年、21歳以上の進行性慢性腎臓病(推算クレアチニンクリアランス30mL/分以下、n=1,305)あるいは末期腎不全(n=751)で、かつ高ホモシステインレベル(15μmol/L)の患者計2,056例。参加者は葉酸40mg、ピリドキシン塩酸塩(ビタミンB6)100mg、シアノコバラミン(ビタミンB12)2mgを含むカプセルまたはプラセボを毎日投与された。主要評価項目は全原因死亡率。第2評価項目は心筋梗塞、脳卒中、下肢の全部または一部の切断、そしてこれら3つと複合死亡率、透析開始までの期間と血液透析患者の動静脈アクセスの血栓症に至る期間とした。生存率、血管系疾患発病率減少のいずれも効果なし平均のホモシステイン濃度は、ビタミン投与群が24.0μmol/L、プラセボ投与群は24.2μmol/L。3ヵ月で、ビタミン投与群は 6.3μmol/L(25.8%、P<0.001)、プラセボ投与群は0.4μmol/L(1.7%、P=0.14)低下したが、死亡率に明らかな影響はなかった(ビタミン投与群448対プラセボ投与群436、ハザード比:1.04、95%信頼区間:0.91-1.18)。第2 評価項目または有害事象においても明らかな影響は示されなかった。心筋梗塞はビタミン投与群129例対プラセボ群150例(同0.86、0.67- 1.08)、脳卒中はビタミン群37対プラセボ群41(同0.90、0.58-1.40)、そして下肢切断はビタミン群60対プラセボ群53だった(同 1.14、0.79-1.64)。さらに、死亡率を加えた心筋梗塞、脳卒中、切断の複合、透析に至る期間(P=0.38)と、血液透析患者の血栓症に至る期間(P=0.97)は、ビタミン群とプラセボ群で違いがなかった。これらから、高用量葉酸とビタミンB群の投与は生存率の向上、あるいは進行性慢性腎臓病と末期腎不全患者の血管疾患の発病率低下のいずれにも効果がなかったと結論づけている。(朝田哲明:医療ライター)

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カルシウム補助剤は中高年者の骨折、骨塩量減少を予防する

骨粗鬆症が原因の骨折による社会的、経済的な負担は加齢とともに世界規模で増大しており、その予防は公衆衛生学上の最優先事項とされるが、骨折予防薬は治療と同等のコストがかかる。カルシウムあるいはカルシウム+ビタミンDの補助剤は安価で効果的な骨折予防法との報告があるが、これらの知見は確立されていない。 オーストラリア・ウェスタンシドニー大学補完医学研究センターのBenjamin M. P. Tang氏らは、カルシウムあるいはカルシウム+ビタミンD補助剤が中高年者の骨粗鬆症による骨折や骨塩量に及ぼす影響を検討した無作為化試験に関するメタ解析を行った。8月25日付Lancet誌掲載の報告から。29のプラセボ対照無作為化試験に参加した約64,000人のデータを解析2007年1月までにデータベースに登録された報告などから、50歳以上の中高年者を対象とし、カルシウムあるいはカルシウム+ビタミンD補助剤の骨折および骨塩量に及ぼす効果を検討した29のプラセボ対照無作為化試験を抽出した。データは変量モデルを用いてプールした。17 試験が骨折について検討し、24試験が骨塩量の解析を行っていた。合計63,897人が解析の対象となり、そのうち58,785人(92%)が女性、平均年齢は67.8歳であった。13試験がカルシウム+ビタミンD補助剤を、16試験がカルシウム補助剤を用いていた。平均治療期間は3.5年。カルシウム補助剤により、全骨折リスク、骨塩量減少率が有意に改善骨折(52,625人)については、治療群で全骨折リスクが12%低下し有意差が認められた(リスク比:0.88、p=0.0004)。骨塩量(41,419人)については、治療群の骨塩量減少率が大腿骨近位部で0.54%改善され(p<0.0001)、椎骨では1.19%改善された(p <0.0001)。骨折リスクの改善効果はコンプライアンスが高い試験で有意に優れた(p<0.0001)。治療効果は、カルシウムの用量が<1,200mgよりも≧1,200mgで、ビタミンDは<800IUよりも≧800IUで有意に優れていた(それぞれp=0.006、 p=0.03)。Tang氏は、「50歳以上では、骨粗鬆症の予防治療としてカルシウムあるいはカルシウム+ビタミンD補助剤の使用を支持するエビデンスが得られた」と結論し、「優れた治療効果を得るには、少なくともカルシウム1,200mg+ビタミンD 800IU(併用治療の場合)が推奨される」と指摘している。また、「ビタミンDの上乗せ効果は示されなかったが、ビタミン Dの用量による効果の差が観察されている。この乖離は≧800IUのデータの不足による統計学的なアーチファクトと考えられ、高用量でのベネフィットが確認されていることから、併用する場合は≧800IUを使用すべき」と強調している。(菅野 守:医学ライター)

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