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1.

納豆が心房細動リスクを下げる?~日本人前向き研究

 大豆食品の摂取量が多いと心血管疾患を予防する可能性があることが報告されているが、心房細動予防においては解明されていない。今回、国立循環器病研究センターのParamita Khairan氏らが、都市部の日本人一般集団を対象とした前向きコホート研究で、大豆食品およびその栄養素(イソフラボン、ビタミンK)における心房細動発症率との関連を調査したところ、女性でのみ、納豆およびビタミンKの摂取量が多いと心房細動リスクが低いことが示された。The Journal of Nutrition誌2026年1月号に掲載。 本研究はベースライン調査時に食物摂取頻度質問票を回答した30~90歳の男女5,278人が対象で、心房細動は12誘導心電図検査、健康診断、医療記録、死亡診断書を用いて診断した。多変量調整Cox回帰分析を用いて、大豆食品(納豆、味噌、豆腐)、大豆、イソフラボン、ビタミンKの残差法によるエネルギー調整摂取量の三分位群における心房細動発症率のハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・6万6,487人年(平均12.6年)の追跡期間中、心房細動発症が222例であった。・女性では、納豆摂取量が最も少ない群(T1)と比べ、最も多い群(T3)で心房細動リスクが低かった(HR:0.44、95%CI:0.24~0.80)が、男性では関連は認められなかった(T1に対するT3のHR:0.97、95%CI:0.65~1.43)。・味噌については、男性でのみ中程度の摂取量と低い心房細動リスクが関連していた。・ビタミンK摂取量が最も多い三分位群の女性は、最も少ない三分位群と比較して、心房細動リスクが67%減少した(HR:0.33、95%CI:0.15~0.71)。・男女とも、大豆食品全体、豆腐、大豆、イソフラボンの摂取量と心房細動リスクとの関連は認められなかった。

2.

新生児に対するビタミンK投与を拒否する親が増加傾向

 米国では、1961年に全ての新生児に対するビタミンKの筋肉内投与が開始されて以来、ビタミンK欠乏性出血症がほぼ解消された。ビタミンKは、血液凝固を助ける目的で投与される薬剤であり、ワクチンではない。しかし新たな研究で、近年、新生児へのビタミンK注射を拒否する親が増えていることが明らかにされた。研究グループは、注射の拒否により新生児が深刻な出血リスクにさらされる可能性があると警告している。米フィラデルフィア小児病院の新生児専門医であるKristan Scott氏らによるこの研究結果は、「The Journal of the American Medical Association(JAMA)」に12月8日掲載された。 この研究でScott氏らは、2017年から2024年の間に米国50州にある403カ所の病院で、妊娠35〜43週で生まれた509万6,633人の新生児の医療記録を調べた。その結果、全体の3.92%に当たる19万9,571人がビタミンKの注射を受けていないことが明らかになった。注射を受けていない新生児の割合は、2017年の2.92%から2024年の5.18%へと有意に増加しており、特に新型コロナウイルス感染症パンデミック以降に急増していた。この結果についてScott氏は、「増加自体は驚くことではないが、増加の大きさには驚いた」とNBCニュースに語っている。 新生児のビタミンK体内濃度は非常に低い。米疾病対策センター(CDC)によると、ビタミンKの投与を受けない場合、危険な出血を起こす可能性が80倍以上高くなるという。出血は、生後6カ月までの間にあざや内出血などの形で現れる可能性があり、最も重篤な場合には障害や死亡につながる脳出血が生じることもある。 このことを踏まえてScott氏は、「われわれは、出血リスクのある新生児の集団を作り出しているに等しい。本当に心配なのは脳出血、つまり脳卒中だ。脳出血が起こると、最終的には死に至る可能性がある」と話している。 専門家らは、オンライン上の誤情報やビタミンK注射とワクチンの混同が、こうした傾向の根底にあるのではないかと疑っている。この研究には関与していない米テキサス小児病院の新生児科医であるTiffany McKee-Garrett氏は、「親は、ビタミンK注射をワクチン接種と同等に捉えている」とNBCニュースに語っている。 一部の国では、新生児に経口ビタミンKを投与している。しかし医師らは、経口ビタミンKは信頼性が低く、場合によっては複数回投与する必要があるのに対し、ビタミンKの注射は1回の投与で効果があるとしている。 米NYC Health + Hospitalsの新生児科医であるIvan Hand氏は、「ビタミンK欠乏性出血症は予防可能であり、そもそも発生していること自体が問題だ」と話す。医師らは、現状のようなビタミンK投与が拒否される状態が続けば、出血イベントの発生数が増加する可能性が高いとの見方を示している。Hand氏は、「ビタミンK投与は極めて効果的であるが、人々はそのことを十分に理解していない。重度の出血を起こした乳児を見たことがないため、そのようなことは起こらないと思っているのだ。しかし、それが見られないのは、われわれがそうした乳児の治療をしているからだ」と話している。

3.

DES留置後1年以上の心房細動、NOAC単剤vs.NOAC+クロピドグレル併用/NEJM

 1年以上前に薬剤溶出ステント(DES)の留置を受けた心房細動患者において、非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬(NOAC)単剤療法はNOAC+クロピドグレルの併用療法と比較し、全臨床的有害事象(NACE)に関して非劣性であることが認められた。韓国・Yonsei University College of MedicineのSeung-Jun Lee氏らが、同国32施設で実施した研究者主導の無作為化非盲検非劣性試験「Appropriate Duration of Antiplatelet and Thrombotic Strategy after 12 Months in Patients with Atrial Fibrillation Treated with Drug-Eluting Stents trial:ADAPT AF-DES試験」の結果を報告した。ガイドラインの推奨にもかかわらず、DES留置後の心房細動患者におけるNOAC単剤療法の使用に関するエビデンスは依然として限られていた。NEJM誌オンライン版2025年11月8日号掲載の報告。第2または第3世代DES留置後1年以上の高リスク心房細動患者が対象 研究グループは、心房細動と診断され、登録の1年以上前に第2世代または第3世代のDESを留置するPCIを受け、CHA2DS2-VAScスコアが2以上の19~85歳の患者を、NOAC単剤療法群またはNOAC+クロピドグレル併用療法群に1対1の割合で無作為に割り付けた。 NOACは担当医師の選択としたが、試験ではアピキサバンまたはリバーロキサバンのみを使用した。 主要エンドポイントは、無作為化後12ヵ月時点における全死因死亡、心筋梗塞、ステント血栓症、脳卒中、全身性塞栓症または大出血もしくは臨床的に重要な非大出血の複合であるNACEで、非劣性マージンは主要エンドポイント発現率の群間差の片側97.6%信頼区間(CI)の上限が3.0%とし、ITT解析を行った。なお、非劣性が認められた場合、主要エンドポイントにおけるNOAC単剤療法の優越性を第1種過誤率4.8%(両側)として検定することが事前に規定された。12ヵ月時のNACE発現率、単剤群9.6%vs.併用群17.2% 2020年4月~2024年5月に計1,283例がスクリーニングされ、このうち960例が無作為化された(単剤療法群482例、併用療法群478例)。平均年齢は71.1歳、女性が21.4%であった。 主要エンドポイントのイベントは単剤療法群で46例(Kaplan-Meier推定値9.6%)、併用療法群で82例(17.2%)に発現し、絶対群間差は-7.6%(95.2%CI:-11.9~-3.3、非劣性のp<0.001)、ハザード比(HR)は0.54(95.2%CI:-0.37~0.77、優越性のp<0.001)であった。 大出血もしくは臨床的に重要な非大出血は、単剤療法群で25例(5.2%)、併用療法群で63例(13.2%)に発現した(HR:0.38、95%CI:0.24~0.60)。大出血の発現率はそれぞれ2.3%および6.1%(HR:0.37、95%CI:0.18~0.74)、臨床的に重要な非大出血の発現率は2.9%および7.1%(0.40、0.21~0.74)であった。

4.

骨粗鬆症、予防には若年からの対策が重要/J&J

 ジョンソン・エンド・ジョンソン メディカル カンパニーは、10月20日の世界骨粗鬆症デーに関連し、疾患啓発イベント「親子で話す骨のこと」を開催した。慶應義塾大学 整形外科 教授の中村 雅也氏、歌手の早見 優氏が登壇し、若年期からの骨粗鬆症予防の重要性を伝えた。 骨粗鬆症の患者数は毎年増加傾向にあり、2023年のデータで受診者数は138万人、うち9割以上を女性が占める1)。中村氏は「女性は閉経後から骨密度が急速に低下し、70代以降では骨折リスクが大幅に上昇する。患者数増加は高齢化に加え、疾患への意識向上による受診増加も要因だと考えられる」と解説した。さらに中村氏は、「骨粗鬆症は進行するまで自覚症状が乏しいため、注意を払われにくい。高齢になって転倒や骨折を経験してから骨の健康を考えるのでは遅い。閉経期を迎える40~50代から骨密度変化に関心を持ち、早期に介入することが重要」と強調した。 そして、さらに早期からの介入の重要性についても言及。「骨の健康は中年~高齢期だけの問題ではない。骨密度のピークは10〜20代で形成されるが、20代で骨量が低い人は、その後の減少がより顕著になる傾向がある」と指摘。若い時期の十分な栄養、運動、日光浴によるビタミンD合成といった生活習慣が、将来の骨折リスクを左右するとした。「若い女性は過度なダイエットで十分な栄養素を摂れていないケースが多く、これが骨密度のピークを下げている可能性がある」と指摘した。さらに、運動と日光曝露の重要性も指摘、「日焼けを気にして屋内に閉じこもる人もいるが、少しの時間でも日光に当たり、体を動かすことが大切だ」とした。2人の娘の親である早見氏も「10代のしっかりとした食生活や運動による“骨貯金”が、40~50代になって効いてくるということですね」と応じた。骨粗鬆症に関する最新のエビデンスと推奨事項・40~50代では閉経後に骨密度が低下しやすくなる一方、10~20代の骨密度にも注目が集まっている。20代は骨密度のピークを迎える時期だが、生活習慣によってそのピーク値は変動し、将来の骨密度に影響を与えるとされる。若い時期の過度なダイエットや運動が骨密度低下の引き金になる可能性もある。・国内の大学による20年以上の追跡調査では、20代で骨密度が低かった人は、40代でより骨密度が低下しやすい傾向があることが明らかになっている。・骨への機械的刺激が骨形成を促進するため、骨密度を高めるためには、負荷のかかる下肢運動(階段昇降、かかと上げ、軽いジャンプなど)などが効果的。・運動環境にも注意が必要。日光を浴びない屋内ジムだけで運動していると、骨を強くするために必要なビタミンDの生成が不足する可能性がある。紫外線を気にする人が多いが、朝15分程度の日光浴でも十分な効果が期待できる。・カルシウムだけでなく、ビタミンD、ビタミンK、タンパク質、ミネラルなどをバランスよく摂取することが骨の健康維持には不可欠。 中村氏は、臨床現場での課題として「骨粗鬆症は診断の機会が限られている」ことを指摘。とくに閉経前後や長期ステロイド使用中の女性、低BMI、家族歴を有する患者など、ハイリスク群への骨密度測定(DXA)の積極的実施を推奨した。中村氏は「骨粗鬆症の予防は、家庭での会話から始まる」とし、親世代が自身の骨の健康に関心を持ち、子供世代と共に学ぶことで、ライフコースを通じた骨粗鬆症予防の文化が形成されることの重要性を訴えた。

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肺機能に有利なビタミンはどれ?【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第277回

肺機能に有利なビタミンはどれ?ここで、問題です。肺機能に最も有利なビタミンは何でしょうか。「うーん、ビタミンCかビタミンBかなあ…」……違います!Chen YC, et al. Associations between vitamin A and K intake and lung function in the general US population: evidence from NHANES 2007-2012. Front Nutr . 2024 Sep 20;11:1417489.1つ目の研究は、ビタミンAとKの摂取と肺機能の関係を評価することを目的としたものです。この横断的研究は、20~79歳の成人を対象とし、2007~12年の米国国民健康栄養調査(NHANES)のデータを利用しました。肺機能は、1秒量(FEV1)、努力肺活量(FVC)、そしてこれらの比である1秒率(FEV₁/FVC)を測定することで評価しました。ビタミンAとKの摂取と結果の関連性を判断するために回帰モデルが用いられました。1万34人の参加者(米国の成人1億4,296万5,892人)のデータが分析された。関連する交絡因子を調整した後、多変量解析により、ビタミンA摂取量の1µg/日の増加ごとに、FEV1が0.03mL増加(p=0.004)し、FVCが0.04mL増加すること(p<0.001)と関連していることが明らかになりました。さらに、ビタミンK摂取量の1µg/日の増加ごとに、FEV1の0.11mL増加と有意に関連していました(p=0.022)。1秒率や気道閉塞とは関連していませんでした。以上のことから、アメリカの比較的健康な集団では、ビタミンAまたはKの摂取量が多いと、スパイロメトリーで評価した肺機能の向上と独立して関連していることが示されました。Mongey R, et al. Effect of vitamin A on adult lung function: a triangulation of evidence approachThorax. 2025 Feb 12. [Epub ahead of print]2つ目の研究は、観察データと遺伝子データの両方から得たエビデンスから、成人の肺機能に対するビタミンAの影響を調査することを目的とした、UKバイオバンクの解析です。食事によるビタミンA摂取量(総ビタミンA、カロチン、レチノール)とFVC、1秒率との関連性を調査しました。次に、メンデルランダム化を使用してこれらの関連性の因果関係を評価し、ビタミンAに関連する39の遺伝子が成人の肺機能に与える影響と、ビタミンA摂取量との相互作用を調査しました。その結果、観察分析では、カロチン摂取量とFVCのみ(100µg/日増加ごとに13.3mL、p=2.9×10-9)の間に正の相関が見られ、喫煙者では相関が強いものの、レチノール摂取量とFVCまたは1秒率との相関は見られませんでした。メンデルランダム化でも同様に、血清βカロチンがFVCのみに有益な効果を示し、血清レチノールがFVCにも1秒率にも影響を与えないことが示されました。―――というわけで、上記2つの研究からは、ビタミンAのカロチンが最も肺にイイ!ということになりますね。

6.

TAVI周術期の経口抗凝固薬、継続vs.中断/NEJM

 経口抗凝固療法の適応を有する経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)施行患者において、周術期の経口抗凝固薬継続は中断と比較し、TAVI後30日以内の心血管死、全脳卒中、心筋梗塞、主要血管合併症または大出血の複合アウトカムに関する非劣性は認められなかった。オランダ・St. Antonius HospitalのDirk Jan van Ginkel氏らが、欧州22施設で実施された医師主導の無作為化非盲検非劣性試験「Periprocedural Continuation versus Interruption of Oral Anticoagulant Drugs during Transcatheter Aortic Valve Implantation trial:POPular PAUSE TAVI試験」の結果を報告した。TAVIを受ける患者の3分の1は、併存疾患のため経口抗凝固薬の適応がある。TAVI中の経口抗凝固薬中断は出血リスクを軽減する可能性がある一方で、継続は血栓塞栓性イベントのリスクを軽減する可能性があった。NEJM誌オンライン版2024年8月31日号掲載の報告。約869例を無作為化、主要アウトカムは心血管死、全脳卒中、心筋梗塞等の複合 研究グループは、長期間経口抗凝固薬の投与を受けており大腿動脈または鎖骨下動脈アプローチによるTAVIを受ける予定の患者を、周術期に経口抗凝固薬を継続する群または中断する群に、施設および経口抗凝固薬の種類(ビタミンK拮抗薬、直接経口抗凝固薬)で層別化して1対1の割合で無作為に割り付けた。 中断群では、ダビガトラン投与中の腎不全合併患者を除き、直接経口抗凝固薬を投与中の患者はTAVIの48時間前、ダビガトラン投与中でeGFRが50~80mL/分/1.73m2の患者は72時間前、同30~50mL/分/1.73m2未満の患者は96時間前に中断した。ビタミンK拮抗薬投与中の患者では、acenocoumarolはTAVIの72時間前、phenprocoumonおよびワルファリンは120時間前に中断した。ヘパリンまたは低分子ヘパリンによるブリッジングは開始しなかった。TAVI後は、いずれも術者または担当医が安全と判断した時点で再開した。 継続群では、TAVI当日も含めて経口抗凝固薬を継続した。 主要アウトカムは、TAVI後30日以内の心血管死、全脳卒中、心筋梗塞、主要血管合併症、または大出血(VARC-3基準の2以上)の複合であった。主要解析は、無作為割り付けされた全患者のうち、TAVIが予定日の5日以上前にキャンセルされた患者を除いた修正ITT集団を対象とした。 2020年11月~2023年12月に計869例が無作為に割り付けられ(継続群435例、中断群434例)、858例が修正ITT集団となった(それぞれ431例、427例)。16.5% vs.14.8%、継続群の非劣性は示されず 主要アウトカムの複合イベントは、継続群で71例(16.5%)、中断群で63例(14.8%)に発生した。絶対群間差(リスク差)は1.7%ポイント(95%信頼区間[CI]:-3.1~6.6、非劣性のp=0.18)で、事前に設定した非劣性マージン(4.0%)を満たさなかった。 副次アウトカムである血栓塞栓性イベントは、継続群で38例(8.8%)、中断群で35例(8.2%)に発生した(群間リスク差:0.6%ポイント、95%CI:-3.1~4.4)。また、全出血は、それぞれ134例(31.1%)、91例(21.3%)に認められた(9.8%ポイント、3.9~15.6)。 なお、著者は、非盲検試験であること、神経学的検査や神経画像検査は行われなかったこと、血栓塞栓症と出血の2つのアウトカムではなく主要複合アウトカムとして非劣性の検出力が設定されたこと、ほぼ全例で大腿動脈アプローチが用いられたため本結果をTAVIの他の血管アクセスアプローチに一般化できないことなどを、研究の限界として挙げている。

7.

完全磁気浮上LVAD装着の重症心不全、アスピリンは不要?/JAMA

 完全磁気浮上の左心補助人工心臓(LVAD)を装着した重症心不全患者において、ビタミンK拮抗薬(VKA)による抗血栓療法は、VKA+アスピリンと比較して血栓塞栓症のリスクが増加することはなく、出血イベントを減少させる。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のMandeep R. Mehra氏らが、北米、欧州、オーストラリアなど9ヵ国の51施設で実施された多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験「Antiplatelet Removal and Hemocompatibility Events With the HeartMate 3 Pump trial:ARIES-HM3試験」の結果を報告した。LVADは重症心不全患者の生活の質と生命予後を向上させるが、非外科的出血イベントは最も一般的な合併症である。連続流LVADでは、抗血小板薬としてのアスピリンをVKAとともに使用することが義務付けられているが、有効性と安全性に関して決定的なエビデンスはないままであった。JAMA誌オンライン版2023年11月11日号掲載の報告。VKA+プラセボvs. VKA+アスピリンで無イベント生存と出血を比較 研究グループは、完全磁気浮上のLVADであるHeartMate 3(HM3)を装着し、その後はHM3以外の機械的循環補助を必要としない重症心不全患者を、装着後2~7日目にプラセボ群とアスピリン(100mg/日)群に1対1の割合で無作為に割り付け、VKA療法(目標国際標準比[INR]:2.0~3.0)とともに投与した 主要エンドポイントは、HM3装着後14日以内に投与中止を要する外科的合併症またはイベントが発生した患者を除いた主要解析対象集団における、12ヵ月時の非外科的血液適合性関連主要有害イベント(脳卒中、ポンプ血栓症、非外科的大出血、または末梢動脈血栓塞栓症など)のない生存(無イベント生存)の複合で、プラセボ群のアスピリン群に対する非劣性マージンは片側97.5%信頼限界の下限-10%とした。また、重要な副次エンドポイントを、主要解析対象集団における非外科的出血イベントの発生頻度とした。VKA+プラセボで1年無イベント生存率は6%高く、出血イベントは減少 2020年7月~2022年9月の期間に、628例が無作為化された(プラセボ群314例、アスピリン群314例)。このうち、主要解析対象集団は589例(プラセボ群296例、アスピリン群293例)で、患者背景は77%が男性、61%が白人で、追跡期間中央値は14ヵ月であった。 12ヵ月時点の無イベント生存率は、プラセボ群74.2%、アスピリン群68.1%であり、プラセボ群が高く、プラセボ群のアスピリン群に対する非劣性が示された(群間差:6.0%、片側97.5%信頼限界の下限:-1.6%、p<0.001)。 非外科的出血イベントの発生頻度はプラセボ群25.9/100患者年、アスピリン群39.5/100患者年で、アスピリンの回避は非外科的出血イベントの減少と関連していた(相対リスク:0.66、95%信頼区間:0.51~0.85、p=0.002)。 プラセボ群で脳卒中またはその他の血栓塞栓性イベントの増加は認められず、この結果は患者のサブグループ間で一致していた。

8.

急性脳梗塞の血栓除去術、術前ビタミンK拮抗薬は出血リスク?/JAMA

 急性期脳梗塞で血管内血栓除去術(EVT)を受けた患者では、術前のビタミンK拮抗薬(VKA)の使用と術後の症候性頭蓋内出血(sICH)には関連がないが、国際標準比(INR)が1.7を超えるサブグループではVKAの使用はsICH発生のリスクを高めることが、米国・デューク大学医学大学院のBrian Mac Grory氏らの調査で示された。研究の成果は、JAMA誌2023年6月20日号で報告された。米国594病院の後ろ向きコホート研究 研究グループは、EVTを受ける脳梗塞患者における術前のVKAの使用とアウトカムとの関連を明らかにする目的で、後ろ向きコホート研究を行った(ARAMIS registry[Daiichi Sankyo、Genentech、Janssenの助成で運営]の支援を受けた)。 解析には、米国心臓協会(AHA)のGet With the Guidelines-Stroke(GWTG-Stroke) Programの2015年10月~2020年3月のデータを用いた。対象は、米国の594の病院に入院し、最終健常確認時刻から6時間以内にEVTの施行が選択された大血管閉塞による急性期脳梗塞患者であった。VKA以外の抗凝固薬や抗凝固薬の併用療法を受けた患者は除外した。 主要エンドポイントはsICHの発生であり、病院到着前7日以内のVKAの使用の有無別に評価した。5つの副次エンドポイントにも有意差なし 3万2,715例(年齢中央値72歳[四分位範囲[IQR]:60~82]、女性50.7%)が登録された。このうち3,087例(9.4%)(INR中央値:1.5[IQR:1.2~1.9])が病院到着前にVKAを使用しており、2万9,628例(90.6%)(1.1[1.0~1.1])は使用していなかった。 sICHの発生率は、VKA使用群6.8%(211/3,087例)、非使用群6.4%(1,904/2万9,628例)であり、両群間に有意な差は認められなかった(補正後オッズ比[OR]:1.12[95%信頼区間[CI]:0.94~1.35]、補正後リスク差:0.69%[95%CI:-0.39~1.77])。 また、次の5つの副次エンドポイントにも有意差はみられなかった。(1)36時間以内の生命を脅かす重篤な全身性出血(VKA使用群1.2% vs.非使用群1.0%)、(2)その他の重篤な合併症(5.1% vs.5.0%)、(3)再灌流療法の合併症(12.8% vs.12.2%)、(4)院内死亡(16.2% vs.13.1%)、(5)院内死亡またはホスピスへの転院(27.1% vs.20.6%)。 入院時INRが記録された2,415例のうち、1,585例はINRが1.7以下(INR中央値:1.3[IQR:1.1~1.5])、830例は1.7以上(2.1[IQR:1.9~2.5])であった。sICHのサブグループ解析では、INR 1.7以上の830例におけるsICHの発生率は、VKA使用群が8.3%と、非使用群の6.4%に比べ有意に高率であった(補正後OR:1.88[95%CI:1.33~2.65]、補正後リスク差:4.03%[95%CI:1.53~6.53])のに対し、1.7以下の1,585例では、それぞれ6.7%、6.4%であり、両群間に有意差はなかった(1.24[0.87~1.76]、1.13%[95%CI:-0.79~3.04])。 著者は、「本研究では、EVTを受けることが決まった患者のみを対象としており(EVTを受ける可能性があり、VKA治療を受けている患者全体ではない)、そのため指標イベントバイアス(index event bias)や合流点バイアス(collider bias)が生じる可能性がある。したがって、試験デザインによるバイアスの影響を受けやすく、解釈には注意を要する」としている。

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リウマチ性心疾患AF、ビタミンK拮抗薬がリバーロキサバンより有効/NEJM

 リウマチ性心疾患のAF(心房細動)患者において、ビタミンK拮抗薬治療はリバーロキサバン治療よりも、心血管イベントまたは死亡の複合発生率が低く、出血の発生率は両群で有意差はないことが、カナダ・マックマスター大学のStuart J. Connolly氏らによる4,565例を対象とした非盲検無作為化試験の結果、示された。リウマチ性心疾患の心房細動患者における心血管イベントの予防について、第Xa因子阻害薬の試験は限られていた。NEJM誌オンライン版2022年8月28日号掲載の報告。リバーロキサバンのビタミンK拮抗薬に対する非劣性を検証 研究グループは、心エコーでリウマチ性心疾患が確認された心房細動で、CHA2DS2VAScスコアが2以上(スコア範囲0~9、高スコアほど脳卒中リスクが高い)、僧帽弁口面積2cm2以下、左心房もやもやエコー、左房血栓のいずれかが認められた患者を登録し試験を行った。 被験者を無作為に2群に分け、一方にはリバーロキサバン標準量を、もう一方には用量調節にてビタミンK拮抗薬を投与した。 有効性に関する主要アウトカムは、脳卒中、全身性塞栓症、心筋梗塞、血管疾患(心臓性、非心臓性)または原因不明による死亡の複合だった。安全性に関する主要アウトカムは、国際血栓止血学会(ISTH)の定義による大出血。 研究グループは、リバーロキサバンがビタミンK拮抗薬に対し、非劣性であると仮説を立て検証した。死亡率もリバーロキサバン群がビタミンK拮抗薬群より高率 被験者は4,565例で、うち4,531例(リバーロキサバン群2,275例、ビタミンK拮抗薬群2,256例)を対象に最終解析を行った。被験者の平均年齢は50.5歳、72.3%が女性だった。 試験薬を完全に中止した割合は、すべての評価時点でリバーロキサバン群がビタミンK拮抗薬群より高率だった。 ITT解析では、主要複合アウトカムの発生は、リバーロキサバン群2,275例中560例、ビタミンK拮抗薬群2,256例中446例で認められた(比例ハザード比:1.25、95%信頼区間[CI]:1.10~1.41)。生存曲線は非比例であったため、境界内平均生存期間(RMST)分析を行った。主要複合アウトカムのRMSTは、ビタミンK拮抗薬群が1,675日に対し、リバーロキサバン群は1,599日で有意差が認められた(群間差:-76日、95%CI:-121~-31、p<0.001)。 死亡率は、リバーロキサバン群がビタミンK拮抗薬群より高かった(RMST:リバーロキサバン群1,608日vs.ビタミンK拮抗薬群1,680日、群間差:-72日、95%CI:-117~-28)。 大出血発生率は、両群で有意差は認められなかった。リバーロキサバン群40例、ビタミンK拮抗薬群56例で発生が認められ(比例ハザード比:0.76、95%CI:0.51~1.15)、RMSTはそれぞれ1,965日、1,954日だった(群間差:11、95%CI:-5~28、p=0.18)。

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第124回 ワルファリン解毒酵素が半世紀超を経てついに判明

1936年にデンマークの生化学者Henrik Dam氏が発見したビタミンKは同氏の母国語で凝固を意味するkoagulationにちなんで名付けられ、その由来の通り血液凝固を促します1)。ビタミンKがとる姿はいくつかありますが、血液凝固に携わるのは1つで、ビタミンKヒドロキノン(VKH2)と呼ばれる還元型です。VKH2へのビタミンKの還元には世界で最もよく使われている抗凝固薬ワルファリンによって阻害されるビタミンKエポキシド還元酵素(VKOR)またはワルファリンに邪魔されない別の還元経路が携わります。ワルファリンに阻害されない(warfarin-resistant)ビタミンK還元酵素は半世紀以上前にその存在が予想されましたが今までわからずじまいでした。ドイツ・ミュンヘンのヘルムホルツ研究所のチームによる新たな研究でVKH2の抗酸化作用がフェロトーシスと呼ばれる細胞死を防ぐ役割を担い、VKH2を維持してそのフェロトーシス阻止作用を支えるビタミンK還元酵素FSP1が同定されました。そしてその還元酵素FSP1こそ半世紀以上前にその存在が予想されたワルファリンに阻害されないビタミンK還元酵素であることが判明しました2,3)。高用量のビタミンKはワルファリン過剰による脳出血などの副作用(ワルファリン中毒)を食い止める解毒作用があります。そのビタミンKのワルファリン中毒解消作用をFSP1が介することもマウス実験で示されています。ワルファリン過剰投与FSP1欠損マウスをビタミンK治療してもプロトロンビン時間は非常に長いままであり、ほぼ全頭が主に脳出血により死なねばなりませんでした。一方、FSP1遺伝子があるマウスは高用量ビタミンK治療で救われ、FSP1はワルファリン中毒の解毒作用に携わることが裏付けられました。フェロトーシスの新たな抑制因子FSP1を発見した今回の成果はアルツハイマー病や急な臓器損傷などのフェロトーシスと関連するらしい病気の数々の新規治療の開発に役立つでしょう。また、フェロトーシスは原核生物や植物から哺乳類に至る種々の生物に備わり、どうやら最古の細胞死の一つらしく、ゆえにそのフェロトーシス阻止を担うビタミンKは自然界で最初に誕生した抗酸化成分の一つかもしれません3)。 参考1)Long-sought mediator of vitamin K recycling discovered / Nature2)Mishima E, et al. Nature. 2022 Aug 3. [Epub ahead of print]3)Vitamin K prevents cell death: a new function for a long-known molecule / Eurekalert

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原因不明の小児急性肝炎、英国44例の臨床像/NEJM

 2022年1月~3月に、英国・スコットランドの中部地域で小児の原因不明の急性肝炎が10例報告され、世界保健機関(WHO)は4月15日、Disease Outbreak Newsでこれに言及した。WHOはさらに、4月5日~5月26日までに33ヵ国で診断された同疾患の可能性例が少なくとも650例存在するとし、このうち222例(34.2%)は英国の症例であった。同国・Birmingham Women’s and Children’s NHS Foundation TrustのChayarani Kelgeri氏らは、今回、同施設に紹介された原因不明の急性肝炎44例の臨床像、疾患の経過、初期のアウトカムについて報告した。研究の詳細は、NEJM誌オンライン版2022年7月13日号に掲載された。3つのカテゴリーの臨床アウトカムを評価 研究グループは、2022年1月1日~4月11日の期間に、同施設に紹介された原因不明の急性肝炎の小児について後ろ向きに検討を行った。 対象は、年齢10歳以下で、英国健康安全保障庁(UKHSA)による確定例の定義(2022年1月1日以降に10歳以下の小児で発症し、A~E型肝炎ウイルスや代謝性・遺伝性・先天性・機械的な原因に起因しない肝炎で、血清アミノトランスフェラーゼ値>500 IU/L)を満たした急性肝炎の患児であった。 これらの患児の医療記録が精査され、人口統計学的特性や臨床的特徴のほか、肝生化学検査、血清検査、肝臓指向性およびその他のウイルスの分子検査の結果と共に、画像上のアウトカムと臨床アウトカムが記録された。 治療は、同施設の急性肝不全プロトコールに準拠して実施され、広域スペクトル抗菌薬、抗真菌薬、プロトンポンプ阻害薬、ビタミンKの投与などが行われた。 臨床アウトカムは、(1)病態の改善(ビリルビン値およびアミノトランスフェラーゼ値の持続的な低下と、血液凝固能の正常化)、(2)肝移植、(3)死亡の3つのカテゴリーについて評価が行われた。90%でヒトアデノウイルスを検出、14%で肝移植、死亡例はない 急性肝炎で紹介された50例のうち、44例(年齢中央値4歳[範囲:1~7]、女児24例[55%])が確定例の定義を満たす肝炎を有していた。このうち13例が同施設に転院し、残りの患児は地元の施設で治療を受けた。2022年1月~4月の同施設への原因不明の急性肝炎による入院数および原因不明の急性肝不全による肝移植数は、いずれも2012~21年における年間症例数よりも多かった。 医療記録が入手できた患児(80%)は全例が白人であった。受診の主な理由は黄疸(93%[41/44例])が最も多く、次いで嘔吐(54%[24例])、下痢(32%[14例])、白色便(30%[13例])、腹痛(27%[12例])、嗜眠(23%[10例])の順だった。 ヒトアデノウイルスの分子検査を受けた30例では、27例(90%)が陽性であった。サイトメガロウイルス(CMV)は全例が陰性で、エプスタイン-バーウイルス(EBV)のカプシド抗原は2例が陽性で、核抗原は1例が陽性だった。 腹部超音波検査では、胆嚢壁肥厚が45%(20例)、軽度肝腫大が27%(12例)、軽度脾腫が18%(8例)で認められた。 38例(86%)は自然回復した。残りの6例(14%)は肝機能が持続的に悪化して急性肝不全に進展し、全例が肝移植を受けた。この6例中5例は急速に進行性の脳症を来し、黄疸発生から脳症発現までの間隔は6~7日だった。死亡例はなかった。肝移植を受けた6例を含む全例が自宅退院した。 UKHSAは、血液と肝組織のメタゲノム解析を行い、アデノ随伴ウイルス2やヘルペスウイルスを検出した。これらの所見の重要性については、現在、さらなる評価が進められている。 著者は、「多くの患児でヒトアデノウイルスが分離されたが、この疾患の病因におけるその役割は確立されていない」としている。

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NVAF患者における経皮的左心耳閉鎖術の有効性~初の全国規模データ(Terminator Registry)/日本循環器学会

 非弁膜症性心房細動(NVAF)患者において、長期的な抗凝固療法に代わる治療法として経皮的左心耳閉鎖術(LAAC)が世界的に行われている。ビタミンK拮抗薬と比較して、死亡率と出血イベントは有意に少なく、QOLは大きく改善されているが、欧米からのデータが中心で、日本におけるデータは十分ではない。第86回日本循環器学会学術集会(2022年3月11日~13日)で原 英彦氏(東邦大学医療センター大橋病院)が国内23施設による初の大規模観察研究TERMINATOR Registryから最初の集計結果を報告した。 2019年にLAAC用デバイス「WATCHMAN」が日本で承認され、現在はその後継となる新型デバイス「WATCHMAN FLX」が登場している。そこで本研究は、NVAFで血栓塞栓リスクの高い日本人患者を対象に、左心耳閉鎖デバイス(WATCHMAN generation-2.5、WATCHMAN FLX)によるLAACの長期実臨床成績を明らかにすることを目的に実施された。主要評価項目は死亡、虚血性脳卒中、出血性脳卒中、後遺症を残す脳卒中、全身性塞栓症または開心術や重大な血管内インターベンションを要する左心耳閉鎖デバイスもしくは手技関連事象とされた。 主な結果は以下の通り。・2019年9月~2021年8月に各施設でLAACを受けた743例が対象。平均年齢:74.9(±8.8)歳、持続性/永続性心房細動:61.9%、平均CHA2DS2スコア:3.2(±1.2)、平均CHA2DS2-VAScスコア:4.7(±1.5)、平均HAS-BLEDスコア:3.4(±1.0)、Clinical Frailty Scale:3.4(±1.3)、DOACの不適切低用量処方が11.2%で確認された。・植込み成功率は98.9%、4.2%でデバイスリリースの基準であるPASSクライテリアを満たしていなかった。37.3%でpartial recaptureが行われた。・術後の有害事象については、心タンポナーデ:0.9%、心嚢液貯留:1.1%、デバイス脱落:0.2%、仮性動脈瘤:0.1%と全体的に低発生率だった。・デバイスごとの留置手技時間はWATCHMAN gen2.5:53±36分、WATCHMAN FLX:57±30分とほぼ同等で、両デバイスとも30mm以上のサイズが多く使用されていた。・死亡(原因不明)は0.9%、脳卒中は2.2%、出血イベントは5.7%、デバイス関連血栓(DRT)は2.8%で発生。ただし、DRTによる脳卒中はすべてmRS<2であった。・経口抗凝固薬の使用量は、退院時と比較し45日後には減少し、6ヵ月後にはさらに減少していた。 原氏は日本におけるLAACのリアルワールドデータは高い成功率を示し、6カ月間のフォローアップデータにおいてDRTなどの有害事象は他の研究と同等の低い発生率を示したとして、今後はより長期のフォローアップにより、この治療法が心房細動による心原性脳塞栓症を防ぎ、かつ出血イベントを減らすことができるかどうかを示していく必要があるとした。

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TAVR後の心房細動へのエドキサバン、日本人での解析(ENVISAGE-TAVI AF)/日本循環器学会

 経カテーテル大動脈弁留置術(TAVR)成功後の心房細動患者に対するエドキサバンとビタミンK拮抗薬の有効性と安全性を比較したENVISAGE-TAVI AF試験の日本人サブ解析の結果、臨床アウトカムにおけるエドキサバンとビタミンK拮抗薬の違いはごくわずかだったことを、帝京大学の渡邊 雄介氏が第86回日本循環器学会学術集会(2022年3月11~13日)のLate Breaking Clinical Trialsで報告した。 ENVISAGE-TAVI AF試験は、日本を含む14ヵ国173施設が参加した非盲検無作為化比較試験。TAVR成功後の心房細動患者においてエドキサバン(60mg/日もしくは30mg/日)とビタミンK拮抗薬の有効性と安全性を最大3年間比較した。有効性に関する主要アウトカムは有害臨床イベント(全死因死亡、心筋梗塞、虚血性脳卒中、全身性塞栓イベント、人工弁血栓症、大出血)の複合、安全性に関する主要アウトカムは大出血だった。全体集団ではエドキサバン群がビタミンK拮抗薬群に対し非劣性を示すこと、および大出血発生率が高いことが報告されているが、わが国ではTAVRを受ける患者は小柄な女性が多く、抗血栓療法による出血リスクに影響する可能性がある。そこで、日本人においても全体の結果と一致するか評価するべくサブ解析を実施した。 主な結果は以下のとおり。・日本人患者は159例(エドキサバン群82例、ビタミンK拮抗薬群77例)で、エドキサバン群とビタミンK拮抗薬群における平均年齢は84.3±4.7歳と83.4±4.0歳、体重は53.8±10.1kgと53.1±10.3kg、BMIは22.1±3.4と22.3±3.2、投与量を減量した患者の割合は85.4%と85.7%であった。・有害臨床イベントの累積発生率は日本人集団のほうが全体集団より低かった。エドキサバンのビタミンK拮抗薬に対するハザード比(HR)は、全体集団が1.05(95%CI:0.85~1.31)、日本人集団が0.85(同:0.38~1.90)と同様だった。・大出血の累積発生率は全体集団と日本人集団で同程度だった。エドキサバンのビタミンK拮抗薬に対するHRは、全体で1.41(95%CI:1.03~1.91)、日本人集団で1.17(同:0.45~3.05)と日本人集団で若干低かった。・消化管の大出血は、全体集団ではエドキサバン群で多かったが(5.4%/人年vs.2.7%/人年、HR:2.03、95%CI:1.28~3.22)、日本人集団ではエドキサバン群3例(2.8%/人年)、ビタミンK拮抗薬群4例(4.1%/人年)だった。 これらの結果から、渡邊氏は「エドキサバンがTAVR施行後の日本人心房細動患者に対するビタミンK拮抗薬の代替治療となりうることが示唆される」とまとめた。

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急性期脳梗塞へのアルテプラーゼ、発症前NOAC服用でもリスク増大なし/JAMA

 アルテプラーゼ静注治療を受けた急性虚血性脳卒中患者において、発症前7日以内の非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬(NOAC)服用者の頭蓋内出血リスクは、抗凝固薬非服用者と比べて大きく増大しないことが示された。米国・デューク大学のWayneho Kam氏らが、16万例超の患者を対象に行った後ろ向きコホート試験の結果を報告した。現行のガイドラインでは、急性虚血性脳卒中発症前にNOACを服用していた場合、原則的にはアルテプラーゼ静注を使用しないよう勧告されている。JAMA誌オンライン版2022年2月10日号掲載の報告。米国内1,752ヵ所の医療機関、約16万3,000例を対象に試験 研究グループは2015年4月~2020年3月に、脳卒中診療の質改善プログラム「Get With The Guidelines-Stroke」(GWTG-Stroke)に登録する米国内1,752ヵ所の医療機関で、急性虚血性脳卒中発症後4.5時間以内にアルテプラーゼ静注治療を受けた16万3,038例を対象に、後ろ向きコホート試験を行った。 被験者は、脳卒中発症前のNOAC服用者、抗凝固薬の非服用者であった。補完的に、抗凝固薬服用中に急性虚血性脳卒中や頭蓋内出血を発症した患者レジストリ「Addressing Real-world Anticoagulant Management Issues in Stroke」(ARAMIS)のデータも活用。脳卒中発症前NOAC服用患者への、アルテプラーゼ静注治療の安全性と機能性アウトカムについて、抗凝固薬の非服用者と比較した。 主要アウトカムは、アルテプラーゼ静注後36時間以内の症候性頭蓋内出血の発生だった。副次アウトカムは、院内死亡を含む安全性に関する4項目と、自宅への退院率を含む退院時に評価した機能性アウトカム7項目だった。症候性頭蓋内出血の発生率、NOAC服用群3.7%、抗凝固薬非服用群3.2% 被験者16万3,038例の年齢中央値は70歳(IQR:59~81)、女性は49.1%だった。このうち、脳卒中発症前のNOAC服用者(NOAC服用群)は2,207例(1.4%)、抗凝固薬の非服用者(非服用群)は16万831例(98.6%)だった。 NOAC服用群の年齢中央値は75歳(IQR:64~82)で、非服用群(同70歳、58~81)よりも高齢で、心血管系の併存疾患の罹患率が高く、脳卒中の程度もより重症だった(NIH脳卒中スケールの中央値、NOAC服用群:10[IQR:5~17]vs.非服用群:7[4~14])。 症候性頭蓋内出血の補正前発生率は、NOAC服用群3.7%(95%信頼区間[CI]:2.9~4.5)、非服用群3.2%(3.1~3.3)だった。ベースラインの臨床要因で補正後の症候性頭蓋内出血の発生リスクは、両群で同等だった(補正後オッズ比[OR]:0.88[95%CI:0.70~1.10]、補正後群間リスク差[RD]:-0.51%[95%CI:-1.36~0.34)。 副次アウトカムの安全性に関する項目は、院内死亡率(NOAC服用群6.3% vs.非服用群4.9%、補正後OR:0.84[95%CI:0.69~1.01]、補正後RD:-1.20%[-2.39~-0])を含めいずれも有意差はなかった。 機能性アウトカムについては、自宅への補正後退院率(NOAC服用群53.6% vs.非服用群45.9%、補正後OR:1.17[95%CI:1.06~1.29]、補正後RD:3.84%[1.46~6.22])など、7項目中4項目でNOAC服用群がより良好だった。

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エドキサバン、TAVR後の心房細動でビタミンK拮抗薬に非劣性/NEJM

 経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)の成功後に心房細動がみられる患者(主に慢性心房細動)の治療において、経口直接第Xa因子阻害薬エドキサバンは、ビタミンK拮抗薬に対し有効性の主要アウトカムが非劣性であるが、優越性は不明であり、消化管出血が多いことが、オランダ・エラスムス大学医療センターのNicolas M. Van Mieghem氏らが実施した「ENVISAGE-TAVI AF試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2021年8月28日号で報告された。14ヵ国173施設の非盲検無作為化試験 本研究は、日本を含む14ヵ国173施設が参加した非盲検無作為化試験であり、2017年4月~2020年1月の期間に参加者の登録が行われた(Daiichi Sankyoの助成による)。 対象は、年齢18歳以上、重症大動脈弁狭窄症に対するTAVRが成功した後に、30秒以上持続する慢性または初発の心房細動がみられる患者であった。被験者は、エドキサバン(60mgまたは30mg、1日1回)またはビタミンK拮抗薬(ワルファリン、フェンプロクモン、アセノクマロール、フルインジオン)の投与を受ける群に無作為に割り付けられた。 有効性の主要アウトカムは、臨床的な有害イベント(全死因死亡、心筋梗塞、虚血性脳卒中、全身性血栓塞栓症、人工弁血栓症、大出血)の複合とされた。安全性の主要アウトカムは大出血であった。アウトカムの判定者には、割り付け情報が知らされなかった。 階層的検定計画に基づき、有効性および安全性の主要アウトカムの非劣性検定が連続的に行われた。ハザード比(HR)の95%信頼区間(CI)の上限値が1.38を超えない場合に、エドキサバンの非劣性が確定された。大出血に関してエドキサバンの非劣性と優越性が確認された場合に、引き続き有効性の優越性検定を行うこととされた。有効性の主要アウトカム:100人年当たり17.3 vs.16.5 1,426例が登録され、エドキサバン群とビタミンK拮抗薬群に713例ずつが割り付けられた。全体の平均年齢は82.1歳、47.4%が女性であった。99%でTAVR施行前から心房細動がみられ、初発心房細動は15例のみだった。試験期間中に、エドキサバン群の30.2%(215例)、ビタミンK拮抗薬群の40.5%(289例)が投与を中止した。 有効性の主要アウトカムは、エドキサバン群の170例(17.3/100人年)、ビタミンK拮抗薬群の157例(16.5/100人年)で認められ(HR:1.05、95%CI:0.85~1.31、非劣性検定のp=0.01)、エドキサバン群のビタミンK拮抗薬群に対する非劣性が確定された。 大出血は、エドキサバン群の98例(9.7/100人年)、ビタミンK拮抗薬群の68例(7.0/100人年)でみられ(HR:1.40、95%CI:1.03~1.91、非劣性検定のp=0.93)、非劣性は確認されなかった。この差の原因は、主にエドキサバン群で消化管の大出血が多いためであった(56例[5.4/100人年]vs.27例[2.7/100人年]、HR:2.03、95%CI:1.28~3.22)。プロトンポンプ阻害薬が投与されていた患者の割合は、両群で同程度だった(71.7%、69.0%)。 この段階で、階層的検定が不成功となったため、エドキサバン群の優越性に関する正式な検定は行われなかった。 100人年当たりでみた全死因死亡の発生は、エドキサバン群が7.8、ビタミンK拮抗薬群は同9.1(HR:0.86、95%CI:0.64~1.15)であり、虚血性脳卒中はそれぞれ2.1および2.8(0.75、0.43~1.30)、心筋梗塞は1.1、0.7(1.65、0.65~4.14)、全身性血栓塞栓症は0.2、0.3(ハザード比は算出していない)であった。人工弁血栓症は両群で発現しなかった。また、100人年当たりでみた全死因死亡または脳卒中の発生は、エドキサバン群が10.0、ビタミンK拮抗薬群は11.7(HR:0.85、95%CI:0.66~1.11)だった。 著者は、「ビタミンK拮抗薬群では、投与中止例の割合が高かったことなどが、出血のアウトカムに影響を及ぼした可能性がある」としている。

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アジア人がん関連VTE、NOAC vs.低分子ヘパリン

 これまで不明であった、アジア人のがん関連静脈血栓塞栓症(VTE)に対する非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬(NOAC)と低分子ヘパリン(LMWH)の臨床的有益性は、同等であることが示された。台湾・長庚大学のDong-Yi Chen氏らが、台湾のデータベースを用いたコホート研究により、実臨床下でがん関連VTE患者におけるVTE再発および大出血のリスクはNOACとLMWHで同等であり、さらにNOACでは胃腸出血のリスクが有意に低いことを明らかにした。なお著者は、「今回の解析結果を確認するためには、前向き研究が必要である」としている。JAMA Network Open誌2021年2月1日号掲載の報告。 研究グループは、台湾の多施設電子カルテデータベースであるChang Gung Research Databaseを用い、2012年1月1日~2019年1月31日に新たに診断されたがん関連VTE患者1,109例を特定し解析した。 主要評価項目は、VTE/肺塞栓症(PE)再発または大出血。対象患者を、インデックス日(NOACまたはLMWHの最初の処方日)から初回イベント発生、1年間、死亡または追跡終了(2019年1月)のいずれか早い時点まで追跡した。Cox比例ハザードモデルを用い、NOAC(リバーロキサバン、アピキサバン、エドキサバン、ダビガトラン)またはLMWHのエノキサパリン投与におけるVTE再発または大出血のリスクを比較。加えて、死亡を競合リスクと見なしたFine-Gray部分分布ハザードモデルを用いた解析も行った。 解析は、2019年3月~2020年12月に実施された。 主な結果は以下のとおり。・1,109例の患者背景は、女性578例(52.1%)、インデックス日の平均年齢66.0歳、NOAC投与が529例(47.7%)、エノキサパリン投与が580例(52.3%)であった。・VTE再発または大出血は、NOAC群75例(14.1%)、エノキサパリン群101例(17.4%)に認められた(加重ハザード比[HR]:0.77、95%信頼区間[CI]:0.56~1.07、p=0.11)。・両群で、12ヵ月時点でのVTE再発(HR:0.62、95%CI:0.39~1.01、p=0.05)ならびに大出血(HR:0.80、95%CI:0.52~1.24、p=0.32)のリスクも同様であった。・ただし、NOAC群はエノキサパリン群と比較して、胃腸出血のリスクが有意に低かった(10例[1.9%]vs.41例[7.1%]、HR:0.29、95%CI:0.15~0.59、p<0.001)。・主要評価項目の結果はいずれも、競合リスク解析と一致していた(VTE再発のHR:0.68[95%CI:0.45~1.01、p=0.05]、大出血のHR:0.77[95%CI:0.51~1.16、p=0.21])。

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シランを知らんと知らんよ!新薬開発の潮流を薬剤名から知る!【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第26回

第26回 シランを知らんと知らんよ!新薬開発の潮流を薬剤名から知る!「肉納豆」と聞いて、すぐに「ワルファリン」を思いつく方も多いと思います。ワルファリンはビタミンKに拮抗して作用する薬剤です。ビタミンK依存性凝固因子は医師国家試験の頻出課題です。これを記憶する呪文が「肉納豆」で、「2・9・7・10」の4つの番号の凝固因子が該当します。この語呂合わせは、納豆というワルファリン使用者には薦められない食品も記憶できることが長所です。小生が医学生であった30年以上も昔から、このような語呂合わせは沢山ありました。β遮断薬は交感神経を抑制しますから、脈拍が遅くなります。「プロプラノロール」という代表的なβ遮断薬を記憶するために、「プロプラノロール」は、プロプラノローくなると覚えなさいと、薬理学の講義で聞いたことが妙に頭に残っています。確かに、脈がノロくなるので、「~ノロール」を「~ノローく」と変換するとピッタリきます。現在も「カルベジロール」や「ビソプロロール」などのβ遮断薬をしばしば処方します。どのβ遮断薬も語尾に「~ロール」とあるのはなぜでしょうか。薬剤の名前に共通な部分が多いことには皆さんお気づきでしょう。このように薬剤名の根幹となるものを「ステム(共通語幹)」といい、「stem:幹・茎」に由来します。カルシウム拮抗薬のステムは「~ジピン」です。ニフェジピンやアムロジピンなどが思い浮かびます。プロトンポンプ阻害による抗潰瘍薬では「~プラゾール」です。分子標的薬として注目される、モノクローナル抗体薬は「~マブ」で、抗悪性腫瘍剤のリツキシマブなどがあります。ステムは、世界保健機関(WHO)によって、医薬品の化学構造や標的分子および作用メカニズムなどに基づいて定義されます。今、一番の話題は「~シラン(siran)」をステムに持つ薬剤です。シランはsiRNAからの造語でsmall interfering RNAを意味します。この薬剤は遺伝情報に関係するRNAがターゲットです。ゲノム(全遺伝情報)はDNAの塩基配列として記録されています。これがメッセンジャーRNA(mRNA)に転写され、タンパク質に翻訳されます。このDNA→mRNA→タンパク質の流れを、セントラルドグマといい分子生物学の根幹とされます。この過程のどこかを妨害すれば、遺伝子が機能しなくなるはずです。標的タンパク質のmRNAに対して相補的な塩基配列をもつ一本鎖RNA(アンチセンス鎖)と、その逆鎖である一本鎖RNA(センス鎖)からなる短い二本鎖RNAで、RNA干渉を誘発します。RNA干渉とは、RNAどうしが邪魔し合って働かなくなるようにする技術で、標的タンパク質の発現を抑制し、治療効果を発揮します。病気の原因となる遺伝子の発現を封じ、疾患の発現に関わるタンパク質の合成を抑制することができれば、医療は一変する可能性があることは理解できると思います。抗体医薬品がタンパク質をターゲットにするのに対し、siRNA医薬品は、その上流のRNAをターゲットにします。アミロイドーシス治療薬のパチシラン(patisiran)、脂質異常症へのインクリシラン(inclisiran)をはじめとして、「~シラン」という薬剤は目白押しで開発が進行しています。siRNA医薬品を含む核酸医薬品は、100種類以上の薬剤が開発の俎上にあり、この流れに日本の製薬企業が乗り遅れていることは懸念材料です。皆さん、「~シラン」を知らんのは残念です。語呂合わせから始めた話が、世界の新薬開発の潮流を紹介する方向にそれてきました。パソコンに向かって真面目に原稿を打っていると、猫がすり寄ってきて邪魔をします。膨大な記憶を要する医師国家試験対策では、語呂合わせがありがたいです。語呂合わせよりも、もっと素晴らしいのは、猫さまが発するゴロゴロ音です。摩訶不思議な音で、ゴロゴロと鳴らしている猫の首元に耳を寄せると振動しているのがよくわかります。これは猫と暮らす醍醐味で、まさに究極のゴロ合わせです。この至福を「~シラン」のは残念すぎます。

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心房細動後1年間の出血リスク、AIによる新予測モデルが有望(GARFIELD-AF)

 脳卒中リスクを有する心房細動患者において、ビタミンK拮抗薬(VKA)治療開始後1ヵ月のPT-INR連続測定値を使用したAIによる新予後予測モデルが、至適範囲内時間(TTR)による予測と比較して高い精度を有する可能性が示唆された。東海大学の後藤 信哉氏らが、GARFIELD-AFレジストリのデータにより検討した。Eur Heart J Cardiovasc Pharmacother誌オンライン版2019年12月10日号掲載の報告。 GARFIELD-AFレジストリは、脳卒中リスクのある心房細動患者における抗血栓療法のアウトカムを検討する、最大規模の国際的な多施設共同前向き観察研究。今回、研究者らは同レジストリのデータにおける、登録後30日以内のPT-INRの連続測定値を用いて、31日目から1年までの臨床転帰を予測するための新たなAIモデルを開発した。従来の多くの臨床リスク層別化モデルは、連続測定ではなく単一時点での測定に基づいているが、AIは多次元データセットから1次元の結果を予測することができる。このモデルは、長・短期記憶と1次元の畳み込み層を含む多層ニューラルネットワークで構築されている。 本解析では、VKAで治療され、処方が確認されてから最初の30日間に少なくとも3回PT-INRの測定が行われた、AFと新たに診断された患者が対象。アウトカムとして、31~365日の間に発生した大出血、脳卒中/全身性塞栓症(SE)、全死因死亡が用いられた。 主な結果は以下の通り。・ニューラルネットワークは、治療開始後0〜30日以内のPT-INR測定値によりトレーニングされ、解析コホート(3,185例)で31〜365日にわたって臨床アウトカムが得られた。・AIモデルの精度は、検証コホートで評価された(1,523例)。・大出血、脳卒中/SE、および全死因を予測するためのAIモデルのC統計量は、それぞれ0.75、0.70、および0.61であった。TTRでは、有意な差がみられなかった。

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術後管理は手術を救えるか?―CABG編(解説:今中和人氏)-1156

 「人間、左前下行枝さえ保たれていれば何とかなる」とはいうものの、冠動脈バイパス手術の中・長期的便益は、ひとえに開存グラフトによってもたらされるのであり、グラフトの開存維持はまさに死活問題。その重要因子の1つは内服薬で、何をどのくらい処方すべきか、いろいろと考案されてきた。古くはアスピリン、ビタミンK拮抗薬と、それらの併用に始まり、近年ではチエノピリジン系(クロピドグレル、チカグレロル)やOACの中でもリバーロキサバンの、単剤ないし併用といったところである。 大伏在静脈グラフト(SVG)の開存性と内服薬に関するメタ解析である本論文は、3,266の候補論文を1979年から2018年の間に発表されたランダム化試験21本に絞り込み、1次アウトカムをSVG閉塞と出血イベント、2次アウトカムを全死因死亡と遠隔期心筋梗塞と定義して解析している。対象患者数は4,803例で、年齢は44~83歳、男性が83%、待期手術が83%、SVG本数は1患者当たり1.14~3.60本であった。 40年もの期間から容易に想像できるように、プロトコル、つまり処方薬剤・投与量・コンビネーション・投与期間はまったくバラバラだし、placebo対照の研究もあれば投与薬剤間の比較研究もある。この恐ろしく不統一なプロトコルを、薬剤とそのコンビネーションのみに基づいて群分けし、群間比較をしているのだが、絞りに絞った21論文とはいいながら、とくに2次アウトカムは書かれていない論文も多く、さらにたとえば流量が乏しかったのでDAPTに変更したが、群分けは当初のplacebo群のまま、といったintention to treat法に伴うbiasなどが目立ち、科学的公正性が高いのはわずか5論文とのことである。そのため、結果の信頼性はmoderate・low・very lowに3区分(highがない!)され、図表を見ると緑・黄色・赤に塗り分けられてキレイといえばキレイだが、めまいがするほど複雑である。読む側でさえそう感じるのだから、書いた側の苦労がしのばれる。 結論は、SVG閉塞に関しては、対placeboで、クロピドグレル単剤を除くすべての薬剤(単剤・併用)で有意に良好、アスピリン単剤に比し、アスピリン+クロピドグレル、アスピリン+チカグレロルの併用が有意に良好で、その他の出血イベント、全死亡、遠隔期心筋梗塞は有意差がなかった。著者らはこの知見を本メタ解析の収穫として強調している。その他、SVG閉塞に関して、アスピリンへのリバーロキサバンの併用は、クロピドグレル、チカグレロルを併用した症例に有意に劣るという結果が出ているが、あまり詳述されていない。この薬剤については他の疾患や治療でも多様な結果が出ているようで、なかなか難しい。なお、古い論文も多く、スタチンをはじめ血液凝固関係以外の薬剤は検討対象外となっている。 読者として注意を要すると思われるのは、SVG閉塞の評価時期がとても早く、全4,800例のうち、3ヵ月以内の評価が600例もおり、平均観察期間が1年を超えているのは1論文216例のみであること、薬剤投与期間が観察期間未満で、やはりとても短いことである。とくに1ヵ月や50日後のSVG評価が250例もいて、これでは薬剤の効果をみているのか、吻合の質をみているのか、はたまた「術後管理は手術を救えるのか」をみているのか、かなり疑問である。ところが、これら観察期間の短い論文の多くが、著者らが収穫と強調するチエノピリジン併用に関する論文なので、どうも釈然としない。いずれにせよ、もっと長期の観察でないと、薬剤の効果をみたことになりにくいと考える。 もう1つは単剤でも併用でも、どの薬剤も対placeboで出血を有意に増やさない、という結論である。実はオッズ比2.53~5.74ながら95%信頼区間が恐ろしく広く、有意差なしということだが、理論的に大いに疑問である。ちなみにこれらのデータの信頼度はvery lowだそうで、図表は真っ赤っ赤。対placeboの疑義はともかく、アスピリンに上述の諸薬剤を併用しても、アスピリン単剤に比して出血イベントはさして増えていないようだが、何せ観察期間が短い論文ばかり。安全と鵜呑みにするのは危険である。 引き続き、あまり術後管理頼みにならない手術を心掛けて参りましょう。

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CABG後のグラフト不全の予防に、抗血小板薬2剤併用が有効/BMJ

 冠動脈バイパス術(CABG)を受けた患者では、アスピリンへのチカグレロルまたはクロピドグレルの追加により、アスピリン単独に比べ術後の大伏在静脈グラフト不全の予防効果が大きく改善されることが、カナダ・ウェスタン大学のKarla Solo氏らの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2019年10月10日号に掲載された。アスピリンは、CABG後の大伏在静脈グラフト不全の予防に推奨される抗血小板薬である。一方、アスピリンへのP2Y12阻害薬または直接経口抗凝固薬の追加の利点については不確実性が残るという。グラフト不全と出血を評価するネットワークメタ解析 研究グループは、CABGを受けた患者の大伏在静脈グラフト不全の予防における経口抗血栓薬の有用性を評価する目的で、系統的レビューとネットワークメタ解析を行った(特定の研究助成は受けていない)。 2019年1月25日現在、医学関連データベース(Medline、Embase、Web of Science、CINAHL、the Cochrane Library)に登録された文献を検索した。 対象は、CABG後の大伏在静脈グラフト不全の予防として、経口抗血栓薬(抗血小板薬または抗凝固薬)の投与を受けた年齢18歳以上の患者が参加する無作為化対照比較試験であった。 有効性の主要エンドポイントは大伏在静脈グラフト不全、安全性の主要エンドポイントは大出血とされた。副次エンドポイントは、心筋梗塞と死亡であった。2種の抗血小板薬2剤併用で、中等度の確実性を有するエビデンス 1979~2019年に発表された20件の無作為化対照比較試験に関する21編の論文が、ネットワークメタ解析に含まれた(4,803例、9種の介入[8種の実薬とプラセボ])。8種の実薬は、クロピドグレル、アスピリン、ビタミンK拮抗薬、チカグレロル、リバーロキサバン、アスピリン+チカグレロル、アスピリン+リバーロキサバン、アスピリン+クロピドグレルであった。 アスピリン単独と比較して、アスピリン+チカグレロル(オッズ比[OR]:0.50、95%信頼区間[CI]:0.31~0.79、治療必要数[NNT]:10例)、アスピリン+クロピドグレル(0.60、0.42~0.86、19例)の2種の併用療法は、大伏在静脈グラフト不全を有意に抑制することを支持する、中等度の確実性を有するエビデンスが得られた。 大出血、心筋梗塞、および死亡については、アスピリン単独と個々の抗血栓療法の差に関して、強力なエビデンスは認められなかった。 非推移性(intransitivity)の可能性を排除できないものの、試験間の異質性(heterogeneity)と非整合性(incoherence)は、すべての解析で低かった。また、グラフトごとのデータを用いた感度分析では、有効性の推定値に変化はなかった。 著者は「CABG後の抗血小板薬2剤併用療法は、重要な患者アウトカムへの安全性と有効性プロファイルのバランスをみながら、患者に合わせて調整する必要がある」とし、「今後のガイドラインの改訂では、CABGを受けた患者の抗血栓療法による管理を最適化する必要があり、2種の抗血小板薬2剤併用療法は、多くの患者で考慮されるべきであろう」と指摘している。

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