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パーキンソン病診療ガイドライン」7年ぶりに改訂

 2011年以来の改訂版となる「パーキンソン病診療ガイドライン 2018」が5月15日に発行された。今回のガイドライン改訂では、パーキンソン病診療における最も重要な臨床課題として「早期パーキンソン病治療」と「運動合併症治療」を設定し、GRADEシステムに基づいてエビデンスレベルと推奨レベルの2軸による治療の推奨度が示された。「Minds診療ガイドライン作成の手引き(2014年版)」に準拠して作成され、治療だけでなく診断基準や病因、画像所見などについても幅広く解説されていることから、「治療ガイドライン」から「診療ガイドライン」に名称を変更している。 「パーキンソン病診療ガイドライン 2018」は日本神経学会を中心に、日本神経治療学会、日本脳神経外科学会、日本定位・機能神経外科学会、日本リハビリテーション医学会の協力のもとで作成された。また、看護師や薬剤師、患者らが参加するパネル会議を開催し、多職種による議論を経たうえで、推奨文の内容が決定されている。パーキンソン病診療ガイドラインはGRADEシステムに基づく2つのCQと50のQ&Aで構成 「パーキンソン病診療ガイドライン 2018」は、各抗パーキンソン病薬、手術療法やリハビリテーションについてそれぞれ有効性と安全性をまとめた第I編、早期および進行期の2つのCQについて推奨度、治療アルゴリズムを示した第II編、診断・治療における50の臨床課題についてQ&A方式でまとめた第III編で構成される。 第I編では、ドパミンアゴニスト徐放剤、アポモルヒネ皮下注射、イストラデフィリン、L-ドパ持続経腸療法など、前版「パーキンソン病治療ガイドライン2011」発行後の新しい治療法について情報が追加された。第II編では、「CQ1:早期パーキンソン病の治療はどのように行うべきか」、「CQ2:運動合併症に対する治療について」の2つのCQを設定。CQに対する推奨文には、1(強い:確実に行うことが強く推奨される場合)もしくは2(弱い:条件を選べば推奨できる場合)の推奨レベル、およびA~Dの4段階(最も高いものがA)のエビデンスレベルが明記されている。 第III編は、「パーキンソン病治療ガイドライン2011」における第II編の内容を改訂したもの。重要ではあるが、エビデンスが少ない臨床課題として、GRADEシステムに基づくCQとは区別する意味で、「パーキンソン病診療ガイドライン 2018」ではQ&Aとしてまとめられている。パーキンソン病診療ガイドラインでは早期はL-ドパを中心にドパミンアゴニストもしくはMAOB阻害薬 以下、「パーキンソン病診療ガイドライン 2018」での大きな改訂点である、第II編の2つのCQの概要を紹介する。■早期パーキンソン病は、診断後できるだけ早期に薬物療法を開始すべきか[CQ1-1] 推奨:特別の理由のない限りにおいて、診断後できるだけ早期に治療開始することを 提案する(2C:弱い推奨/エビデンスの質「低」) 付帯事項:早期介入による不利益に関する十分なエビデンスがないことから、治療を 開始する際は効果と副作用、コストなどのバランスを十分考慮する。■早期パーキンソン病の治療はL-ドパとL-ドパ以外の薬物療法(ドパミンアゴニストおよびMAOB阻害薬)のどちらで開始すべきか[CQ1-2] 推奨:運動障害により生活に支障をきたす場合、早期パーキンソン病の治療はL-ドパで 開始することを提案する(2C) 付帯事項:運動合併症リスクが高いと推定される場合はドパミンアゴニストもしくは MAOB阻害薬を考慮する。抗コリン薬やアマンタジンも選択肢となりえるが十分な根拠 がない。パーキンソン病診療ガイドラインでは進行期にどの治療法をアドオンするか推奨度を明示 「パーキンソン病診療ガイドライン 2018」のCQ2では、ウェアリングオフ(L-ドパを1日3回投与しても、薬の内服時間に関連した効果減弱がある)を呈する進行期パーキンソン病患者に追加する治療法について、それぞれ推奨度が示された。各推奨度と、付帯事項の概要については以下の通り。■ドパミンアゴニスト[CQ2-1] 推奨度:2A 付帯事項:60代前半対象のエビデンスに基づくため、高齢者への使用には注意を要 する。L-ドパとの併用によるオフ時間の短縮効果、L-ドパ減量効果、UPDRS partIII スコアの改善効果があり、副作用の発現に注意しながら使用することを提案する。■ドパミン付随薬・COMT阻害薬[CQ2-2-1] 推奨度:2B 付帯事項:なし・MAOB阻害薬[CQ2-2-2] 推奨度:2C 付帯事項:セレギリンのRCTが少なく、ラサギリンについては現時点で本邦における エビデンスが公開されていない・イストラデフィリン[CQ2-2-3]、ゾニサミド[CQ2-2-4] 推奨度:2C 付帯事項:本邦のみでの承認薬剤のため、海外での評価が定まっていない点に注意が 必要■脳深部刺激療法 推奨度:2 C 付帯事項:オフ時の運動症状改善、L-ドパ換算用量の減量効果があるが、認知 機能への影響のほか、合併症も起こりうるため、慎重に適応を判断する なお、「パーキンソン病診療ガイドライン 2018」のCQ1およびCQ2では、それぞれ章末に資料として、推奨度をもとにした治療アルゴリズムがフロー図の形で示されている。

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若年者の無症候性WPW症候群における致死的なイベントリスクは?【Dr.河田pick up】

 WPW(ウォルフ・パーキンソン・ホワイト)症候群を持つ若年者は突然死のリスクがあり、無症候の若年WPW症候群患者のマネージメントについては長い間議論されてきた。 この研究では、WPW症候群を持つ若年者のリスクの特性を調べるために、致死的なイベントを経験した患者とそうでない患者を比較している。米国・ユタ大学のSusan P. Etheridge氏らによる国際多施設共同研究で、JACC.Clinical Electrophysiology誌2018年4月号に掲載。 この後ろ向きの多施設共同研究では、21歳以下のWPW症候群患者でEPS(電気生理学的検査)が行われた912人を同定した。症例群は致死的なイベント(LTE)を有した患者で、LTEは突然死、回避された突然死、そして心房細動中の最も短いRR間隔 (shortest pre-excited RR interval in atrial fibrillation:SPERRI)が250ms以下、もしくは心房細動中に血行動態が保てなくなったもの、と定義されている。対照群はそれらのイベントのない患者であり、両群の臨床的な特徴とEPSのデータを比較した。致死的なイベントが起きた患者では、65%でLTEが初発症状 症例群(96例)は年齢が高く、症状や頻拍の既往が少ない傾向にあった。LTEが起きた際の平均年齢は14.1±3.9歳であった。LTEが初発症状であったのが65%であり、そのうち早期興奮を伴った心房細動が49%、回避された突然死が45%、そして突然死が6%であった。EPSで同定された3つのリスクは最も短いRR間隔、副伝導路の有効不応期 (accessory pathway effective refractory period:APERP) 、そして心房ペーシング中の早期興奮が見られる最短のペーシング間隔 (shortest paced cycle length with pre-excitation during atrial pacing:SPPCL) であり、これら3つはいずれも症例群で、対照群より短かった。致死的なイベントが起きた患者でも、37%でEPSのハイリスクな特徴を示さず 多変量解析の結果、致死的なイベントのリスク因子は、男性、Ebstein奇形、早い順行伝導が可能な副伝導路(APERP、SPERRI、あるいはSPPCL≤250ms)、複数の副伝導路、心房細動が誘発されることであった。症例群の86例中60例(69%)がEPSの際に少なくとも2つ以上のリスク項目の評価を受けた。そして、そのうち22例(37%)がEPSでのハイリスクな特徴を示さず、15例(25%)ではリスクが高い副伝導路およびAVRT(房室回帰性頻拍)のいずれも有していなかった。無症候の若年WPW患者でも突然死を起こす可能性有 本研究では、若年WPW患者は症状やハイリスクな特徴を有さずとも、突然死を起こす可能性があると結論付けている。WPW症候群のマネージメントは有症候、無症候に分けて行われてきたが、このマネージメントが必ずしも適切とは言えないかもしれない。EPSは症状よりもリスク評価において正確であるが、完璧なツールではない。また、EPSと同時にアブレーションを行うのが一般的であり、EPS後に無作為化した前向き研究を行うことは現実的ではない(副伝導路をEPSのみ行い放置するのは、一般的に極めてまれである)。アブレーションのリスクは一般的に高くはないが、若年者の場合は全身麻酔等も必要で、心臓が成長することも考慮しなければならず、症例ごとに評価、家族との話し合いのうえで管理していくことが必要と考えられる。(カリフォルニア大学アーバイン校 循環器内科 河田 宏)関連コンテンツ循環器内科 米国臨床留学記

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抗コリン作用は認知症リスクを高める…となると現場は大変だ!(解説:岡村毅氏)-854

 言うまでもなく、さまざまな薬に抗コリン作用がある。とりわけ腹痛、鼻汁、頻尿などを止める効果があるので、風邪薬などの非常に身近な薬にも多く含まれるのである。 一方で抗コリン作用を持つ薬と認知症の関係が長年いわれている。アセチルコリン系は脳内の覚醒に関わるので、抗コリン作用を持つ薬剤を内服している間は認知機能が低下するといわれる。加えて、抗コリン作用を持つ薬を長年飲み続けると認知症発症のリスクが上がるともいわれている。それを検証したのが今回の論文である。 しかし、真の因果関係を検証するのは難しい。たとえば多くの抗うつ薬には抗コリン作用がある。そして、老年期のうつは認知症の危険因子あるいは初期症状でもある。したがって認知症になる前に内服していた薬を調べて、抗うつ薬などの抗コリン作用の強い薬剤を内服していた人が多いからといって、すぐに抗コリン作用が悪さをしたとも言い切れない。認知症の初期症状としてのうつ症状であったかもしれないからだ。 この論文は調整因子を幅広く取り、当該薬の(1)抗コリン作用の程度、(2)量、(3)薬効、(4)曝露時期で分けて詳細に検討しているので、臨床的価値が大きい。多くの薬剤が持つ抗コリン作用と認知症発症が関係するなら、多剤併用を避ける大きな根拠にもなろう。 多剤併用の弊害が広く知られるようになった。以前は「先生、これとこれとあれの症状もあるので、薬ください」などと大量の薬の処方を求められたものである。もちろん、いちいち諭すわけだが、こわもての患者さんに「症状があると言ってんだよ!」とか「言われたとおり処方しろよ!」などと悪態をつかれたことは皆さんもあることだろう。こういう経験を重ねると、プライマリケアの現場では、心折れて何も考えずに処方することになってしまう方もいるだろうなと思う。最近は「ダマされるな! 医者に出されても飲み続けてはいけない薬」(週刊現代2016年6月11日号)などといった記事のためか、受診はしたものの、かたくなに処方を拒絶する患者さんもいる。 人生の黄昏時には、体は思うようにならないものである。治らない症状を持つ人も多いことだろう。意味のない多剤併用は論外だが、命が有限であり、体は衰えていくものだということがわからずに焦燥に駆られた患者さんや家族に、一応症状はあり、何とか薬をくださいなどと言われては、こちらも困ってしまう。人間の弱さも引き受けた診療をするしかない、と言うと怒られてしまうだろうか。 さて、あらためて本論文を見てみよう。・まず単純な解析では、抗コリン作用が強いもの(ACB score of 3)では確かに認知症発症と関連している。・しかし認知症発症の15年以上前の曝露では、ほとんどの薬では関連は消え、三環系抗うつ薬等と泌尿器薬でははっきり残る。これらの薬が危険ともいえるし、たとえ15年以上前であっても、うつや頻尿は認知症の微細な初期症状なのかもしれない。・さらに、15年以上前の解析で、抗うつ薬の中でも抗コリン作用が弱いSSRIなど(ACB score of 1)では因果関係は明らかではなく、抗コリン作用が強い三環系抗うつ薬(ACB score of 3)では関係がある。となるとやはり抗コリン作用が悪さをしている可能性は大である。・とはいえ「強い抗うつ薬」を使う病態と「弱い抗うつ薬」を使う病態は明らかに異なる。前者のみが認知症発症と関連する可能性も、やや苦しいが、まだある。・抗パーキンソン薬は、直近の使用のみが関連している。認知症発症は、抗パーキンソン薬の影響ではなく、脳内の神経変性の進行を反映しているかもしれない。 まとめるとこうなる。抗コリン作用と認知症発症は、まだ解明されたとはいえない。ざっくり見れば関連はある。専門的に眺めると、事態はまだ複雑だ。三環系抗うつ薬や泌尿器系薬は、可能性は高い。とはいえ「臨床現場で処方ができない」とパニックになる必要はまったくない。同時に、なるべく少ない処方でマネジメントすることは常に心掛けねばならない。

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病気があっても働き続けられる職場作り

『事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン』を更新 厚生労働省は、2018年4月24日に『事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン』(2016年2月作成)に、難病に関する留意事項、企業・医療機関連携のためのマニュアルなどを追加・更新したガイドラインを発表した。 このガイドラインは、事業場が、がん、脳卒中などの疾病を抱える患者に対し、適切な就業上の措置や治療に対する配慮を行い、治療と職業生活が両立できるようにするため、事業場における取組などをまとめたもの。「勤務状況を主治医に提供する際の様式例」などの様式例集のほか、支援制度、支援機関の情報、「企業・医療機関連携マニュアル」などが掲載されている。がん、脳卒中、肝疾患に難病を追加 今回、従来の留意事項の疾患である、がん、脳卒中、肝疾患に難病が追加された。「難病」については、「発病の機構が明らかでなく、治療法が確立していない希少な疾病であって、当該疾病にかかることにより長期にわたり療養を必要とすることとなる疾病を指す」と定義し、就労世代に多い主な難病として「潰瘍性大腸炎、クローン病」「全身性エリテマトーデス」「パーキンソン病」を挙げ、疾患概要を説明している。 また、難病に共通してみられやすい症状として「全身的な体調の崩れやすさ-気力・体力の低下、疲れやすさなど」「発熱」「労作時の動悸・息切れ、筋力低下など」を示すとともに、これらに対して本ガイドラインでは、「難病治療の特徴を踏まえた対応」「メンタルヘルスへの配慮」「難病に対する不正確な理解・知識に伴う問題への対応」を企業などに求め、啓発している。■参考厚生労働省 治療と仕事の両立について■関連記事希少疾病ライブラリ 

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抗コリン薬、認知症発症と強く関連/BMJ

 英国・イースト・アングリア大学のKathryn Richardson氏らによる症例対照研究の結果、うつ病、泌尿器系およびパーキンソン病の治療に用いられる抗コリン薬の使用が、将来的な認知症発症と強く関連していることが明らかとなった。この関連は、認知症と診断される15~20年前の曝露でさえ観察されたという。ただし、消化器および心血管系の抗コリン薬では認知症との明らかな関連は認められなかった。これまで、抗コリン作用のある薬剤の使用が、短期的な認知障害と関連があることは知られていた。しかし、報告されている抗コリン薬の使用と将来的な認知機能低下や認知症発症との関連が、抗コリン作用に起因するかどうかは不明であった。BMJ誌2018年4月25日号掲載の報告。認知症患者約4万例と対照約28万例で抗コリン薬の曝露認知症リスクを評価 研究グループは、さまざまなクラスの抗コリン薬の曝露期間および曝露量と、その後の認知症発症との関連を評価する目的で、症例対照研究を行った。英国プライマリケア医の電子カルテを含むデータベース(Clinical Practice Research Datalink:CPRD)を用い、2006年4月~2015年7月に認知症と診断された65~99歳の患者4万770例と、認知症と診断されていない対照28万3,933例を特定し、Anticholinergic Cognitive Burden(ACB)スケールで分類された抗コリン薬の1日投与量について、曝露期間中全体およびサブクラス別に比較した。認知症と診断される4~20年前の抗コリン薬の処方が含まれた。 主要評価項目は、患者背景等の共変量について調整した認知症発症のオッズ比とし、多変量条件付きロジスティック回帰分析を用いて解析した。うつ病、泌尿器系、パーキンソン病治療の抗コリン薬で認知症リスクが増大 曝露期間中、ACBスコア3(明らかな抗コリン作用)に分類される抗コリン薬を1つ以上処方されていたのは、認知症患者1万4,453例(35%)、対照8万6,403例(30%)で、ACBスコア3の抗コリン薬の調整オッズ比は1.11(95%信頼区間[CI]:1.08~1.14)であった。認知症は、ACBスコアの平均値の増加と関連していた。 薬剤のクラス別では、ACBスコア3および1の消化器系薬や、ACBスコア1の心血管系薬の使用においては、認知症との明確な関連はみられなかった。 一方、ACBスコア3に分類される抗うつ薬・泌尿器系治療薬・抗パーキンソン病薬は、曝露が大きいほど認知症のリスクの増大がみられ、その関連性は認知症発症の15~20年前の抗コリン薬の曝露でも認められた。

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日本人の学歴・職歴と認知症の関連に糖尿病は関与するか

 欧米では、低い社会経済的地位(SES)と認知症との関連は生活習慣病(糖尿病)を介すると報告されている。しかし、わが国では低SESと認知症の関連は研究されていない。今回、敦賀看護大学(福井県)の中堀 伸枝氏らの研究から、低SESと認知症の間のメディエーターとして、生活習慣病の役割はきわめて小さいことが示唆された。BMC Geriatrics誌2018年4月27日号に掲載。 本研究は、富山県認知症高齢者実態調査のデータを用いた後ろ向き症例対照研究である。富山県在住の65歳以上(入院および非入院)の人をサンプリングレート0.5%で無作為に選択、うち1,303人が参加に同意した(回答率84.8%)。全体として、認知症137人および認知症ではない対照1,039人を同定した。必要に応じて、参加者と家族または代理人との構造化インタビューを実施し、参加者の病歴、生活習慣(喫煙および飲酒)、SES(学歴および職歴)を調査した。Sobel検定を用いて、低SESが生活習慣病を介した認知症の危険因子である可能性を調べた。 主な結果は以下のとおり。・認知症のオッズ比(OR)は、低学歴(6年以下)の参加者で高学歴の参加者より高く(年齢・性別での調整OR:3.27、95%CI:1.84~5.81)、また、事務の職歴より肉体労働の職歴を持つ参加者で高かった(年齢・性別での調整OR:1.26、95%CI:0.80~1.98)。・職歴について調整後、低学歴の参加者における認知症のORは3.23~3.56であった。・以前の習慣的な飲酒歴および糖尿病・パーキンソン病・脳卒中・狭心症/心血管疾患の病歴が、認知症リスクを増加させることが認められた。・学歴は、飲酒、喫煙、糖尿病、パーキンソン病、脳卒中、心血管疾患に関連していなかった。・職歴は、糖尿病および脳卒中に関連していた。・低学歴と認知症の関連における糖尿病の役割は、きわめて限られていることが示された。

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血栓回収ハンズオン【Dr. 中島の 新・徒然草】(218)

二百十八の段 血栓回収ハンズオン「血栓回収のハンズオンをやるから興味ある方は参加してください」と大学の脳外科医局から関連病院に呼びかけがあったので、ある土曜日に出かけてきました。血栓回収というのは、脳梗塞の急性期に血管内治療により主幹動脈から血栓を機械的に除去して脳血流の再灌流を図る治療法です。これまでは t-PA を静脈注射して血栓溶解を図っていたのですが、次第に血栓回収療法がメインになりつつあるように思います。脳外科医を名乗るからにはこの治療ができなくてはならない、ということで昨年から大学の医局主催で練習会が始まりました。昨年は70人の参加、今年はそれ以上の参加者数だということで、その人気ぶりというか皆の感じている必要性がよく分かります。昨年は70代の先生も参加して周囲を驚かせていましたが、今年の最年長は60代、某病院の副院長先生でした。また医学生や初期研修医向けのブースもあり、シミュレーターやゲームを使って血管内治療の面白さを体感してもらい、できればリクルートにつなげようという試みがなされていました。会場は、とあるビルの1フロアです。現役の脳外科医用には、ガイディングカテーテルのシステム組立て用のテーブルと模型から血栓回収を行うテーブルの2種類があり、順に練習するようになっていました。私なんかは血管内治療どころか血管造影すら何年もやっていないので、三方活栓やらインサーターやらトルクデバイスやら、わけのわからないモノに囲まれて戸惑ってしまいました。それでも若いインストラクターに教えてもらいながら練習しているうちに、徐々にサマになってきたような気がします。昭和とか平成初期卒業の先生の中には遠巻きにして眺めているだけの人も大勢居たので、「取り残されているのは自分だけじゃないんだ」と、何となく安心しました。練習会の後半はガイディングカテーテルのシステム組み立てのタイムトライアルです。完全にバラバラにした部品を使ってシステムを組み立てるというものです。単に時間を測るのも面白くないので、2人で向かいあっての対決方式でした。当院のレジデント達が対決しましたが、雑談しながら2人とも手慣れた感じで組み立てていきます。感心して見ていたところに現れた某先生。ミもフタもない一言を放ちました。某先生「タイム・イズ・マネーとか言われているのに、1から組み立てるのって無駄やんか。最初から組み立ててあるパッケージとか無いわけ?」この先生は日頃パーキンソン病やてんかんなどを専門にしているだけあって、血管内治療医の汗と涙にはあまり理解がありません。でも正論といえば正論です。つい私も言ってしまいました。中島「いくらゴルゴ13だって、相手に攻撃されてからM16を組み立てているようではアカンやろ」インストラクター「確かに最初から組み立ててあるシステムがあったら便利ですよね。どうしてそういうものがないのかな?」レジデント「こうやって組み立てるのも無駄といえば無駄な気がしてきました」中島「まあまあ、若者は要らんこと考えずに頑張っといたらエエんや」そんなこんなで晴れた休日の午後、血栓回収の練習でいい汗をかくことができました。ハンズオンの後は最年長先生の挨拶です。最年長「われわれが若い時にこんな練習会があったら良かったのに、と思います。心から今の若い人が羨ましい!」まったくその通りだわい、と私も思います。ところで、ちょっと気になって調べてみたところ、急性期脳梗塞治療の場合は「タイム・イズ・マネー」じゃなくて、「タイム・イズ・ブレイン」が正しいようです。まあ、マネーでもブレインでも大事なものには違いありませんが。というわけで最後に1句血栓を 老いも若きも 回収す

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民谷式 内科系試験対策ウルトラCUE Vol.1

第1回 腎臓 第2回 代謝 第3回 内分泌 第4回 血液 内科系試験に対応した全3巻の基本講座の第1巻です。試験内容が異なる認定内科医と総合内科専門医試験ですが、学生の頃に学んだことを復習するというスタートラインは同じ。全13領域で出題頻度の高いテーマを、わかりやすいシェーマと明快な講義で総復習しましょう。題名の「CUE」は放送業界用語の「キュー」、『臨床的有用性』(Clinical Utility)、そしてパーキンソン病医療における「CUE」から来ています。つまり、「動こうとしてもはじめの一歩が踏み出せない状態」に対して、このレクチャーが試験勉強を始める一歩を踏み出すきっかけになってほしいという思いです。講師の民谷先生の実臨床経験を組み込んだクリアな解説は、とても役に立ちます。専門外や苦手科目からチェックして、次のステップへ進んでください。第1回 腎臓 疾患をしっかり区別するためには解剖生理が非常に重要です。とくに腎の場合は、どこの部位で起こる障害かということをしっかり整理する必要があります。民谷式オリジナルのアニメーションでは腎疾患を大きく3つに分類。疾患を振り分けるコツをしっかりとレクチャーします。第2回 代謝 代謝のセクションではまず、物質が体内に入って分解・合成される流れをしっかりとおさらいします。物質の流れをもう一度理解すると、機能低下している箇所に必要な治療や薬剤といった知識がすんなりと頭に入ります。民谷式オリジナルのシェーマを参考に、代謝領域攻略のポイントをしっかりとつかんでください。第3回 内分泌 内分泌領域ではまず、それぞれの臓器の解剖生理をしっかり覚えることが、試験攻略の近道です。民谷式オリジナルのシェーマはわかりやすく簡略化してあるので、物質の流れが阻害されるとどんな病態になりどんな症状になるのか、すんなりと頭に入ります。第4回 血液 血液分野では、どこでなにが起こっているのかを考えるのが、頭を整理するうえで非常に大切です。また、日常診療では、骨髄標本と血液標本を間違えることはありませんが、ペーパーテストでは起こり得ることです。必ず、何を見ているかを確認する癖をつけましょう。

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民谷式 内科系試験対策ウルトラCUE Vol.2

第5回 膠原病/アレルギー 第6回 神経 第7回 循環器1 第8回 循環器2  内科系試験に対応した全3巻の基本講座の第2巻です。試験内容が異なる認定内科医と総合内科専門医試験ですが、学生の頃に学んだことを復習するというスタートラインは同じ。全13領域で出題頻度の高いテーマを、わかりやすいシェーマと明快な講義で総復習しましょう。題名の「CUE」は放送業界用語の「キュー」、『臨床的有用性』(Clinical Utility)、そしてパーキンソン病医療における「CUE」から来ています。つまり、「動こうとしてもはじめの一歩が踏み出せない状態」に対して、このレクチャーが試験勉強を始める一歩を踏み出すきっかけになってほしいという思いです。講師の民谷先生の実臨床経験を組み込んだクリアな解説は、とても役に立ちます。専門外や苦手科目からチェックして、次のステップへ進んでください。第5回 膠原病/アレルギー 膠原病の領域は、類縁疾患を含めると疾患が非常に多く、症状が多彩なのが特徴です。民谷式では疾患を大きく3つに分類し、それぞれの特徴をオリジナルのシェーマと症例問題をもとに解説していきます。第6回 神経 神経の疾患は非常に多岐にわたりますが、どこが障害してどんな症状が出るかを理解するためには、まずは正常な状態を理解するのが得策。わかりやすく簡略化してある民谷式のオリジナルシェーマで重要疾患の病態生理を再整理してください。第7回 循環器1 出題範囲が広い循環器領域で、まず押さえるべき疾患は虚血性心疾患と心不全。狭心症と心筋梗塞の病態の違いや心電図の見方、エコーの基本となる解剖生理など、基礎をしっかりと復習します。第8回 循環器2 出題範囲が広い循環器領域。循環器の後半は弁膜症と心筋症、そして不整脈について復習します。心臓で起こったことが、心電図ではどう見えるのか?民谷式のシェーマを用いてわかりやすく解説しているので、知識の整理に役立ちます。

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民谷式 内科系試験対策ウルトラCUE Vol.3

第9回  消化器(肝胆膵) 第10回 消化器(消化管) 第11回 感染症 第12回 呼吸器 内科系試験に対応した全3巻の基本講座の第3巻です。試験内容が異なる認定内科医と総合内科専門医試験ですが、学生の頃に学んだことを復習するというスタートラインは同じ。全13領域で出題頻度の高いテーマを、わかりやすいシェーマと明快な講義で総復習しましょう。題名の「CUE」は放送業界用語の「キュー」、『臨床的有用性』(Clinical Utility)、そしてパーキンソン病医療における「CUE」から来ています。つまり、「動こうとしてもはじめの一歩が踏み出せない状態」に対して、このレクチャーが試験勉強を始める一歩を踏み出すきっかけになってほしいという思いです。講師の民谷先生の実臨床経験を組み込んだクリアな解説は、とても役に立ちます。専門外や苦手科目からチェックして、次のステップへ進んでください。第9回 消化器(肝胆膵)出題数の多い消化器領域は、まずは民谷式の解剖図を用いて肝臓の病態や疾患を解説します。ミクロの視点で疾患を整理していくと、長い臨床問題を論理的な筋道を追いながらスムーズに解いていけるようになります。また、この領域でとくに出題が多いのはIgG関連疾患。試験に役立つポイントが丸わかりです。第10回 消化器(消化管) 出題数の多い消化器領域の消化管領域について取り上げます。まずは消化管の壁断面をおさらいしてから、それぞれの疾患について掘り下げていきます。クローン病と潰瘍性大腸炎、マロリー・ワイス症候群と特発性食道破裂。症状が似たの疾患の区別も、民谷式オリジナルシェーマを用いた解説ですんなりと頭に入ります。第11回 感染症 感染症の領域では、原因微生物・薬理学・臨床症状を総合して理解することが大切になります。民谷式でわかりやすくまとめた表で一つひとつ整理していくと、長い臨床問題を短い時間で解くためのポイントがわかっていきます。さらにどの抗菌薬がどこまでカバーしているかをまとめた表は、試験に必ず役に立ちます。第12回 呼吸器 呼吸器領域では、肺の疾患を中心におさらいしていきます。民谷式オリジナルの簡略化したシェーマでまずは全体の流れを掴みます。臨床問題では、低酸素血症と二酸化炭素が不足している状態をしっかり分けて考えることが、問題文を読み解くヒントになります。

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簡単な便秘対策は、トイレを我慢しない

 2018年3月27日、株式会社ツムラ後援による第4回Kampo Academiaプレスセミナーが都内において開催された。今回のテーマは「便秘における漢方薬の再認識」。セミナーでは、日常診療で見過ごされやすい便秘の機序、影響、治療での漢方薬の役割、対策についてレクチャーが行われた。思い当たる? 7~8人に1人は便秘症状 セミナーでは、中島 淳氏(横浜市立大学大学院医学研究科 肝胆膵消化器病学教室 主任教授)を講師に迎え、「~腸内環境は気になるけれど、“たかが便秘”と自己流の対策で悪化させていませんか?~便秘における漢方薬の再認識」をテーマに講演が行われた。 便秘の中でも、慢性の便秘は日本人の7~8人に1人は症状があるとされている(厚生労働省「平成25年(2013年)国民生活基礎調査」)。 そして、便秘とは、「排便回数の減少」と「排便困難症」が相まった病態であるとされ、ホルモンの関係から患者は女性で圧倒的に多い(ただし高齢になるにつれ性差は縮小)。長期間にわたり罹患し、治癒することは難しいとされる。その原因として、一番問題となるのは「便意の我慢」であり、そのほか間違えたダイエットや加齢による大腸運動の低下、薬剤によるものなどがあるという。 便秘が日常生活に及ぼす影響として、放置により疾患の原因となる可能性があり、便秘が続くと腸内環境はどんどん悪化する。また、便秘はQOLを下げるので、日常活動性や労働生産性の低下を招き、職場の欠勤率を上昇させるという報告もある。 慢性便秘症の分類には、「便秘型IBS」「機能性便秘」「薬剤性便秘」「症候性便秘」「器質性便秘」の5つがあり、薬剤性では抗うつ薬や抗コリン薬など、症候性では糖尿病、パーキンソン病など、器質性では大腸がん、炎症性腸疾患などに、とくに注意が必要だという。患者が満足する便秘治療とは 便秘の治療としては、かかりつけ医、消化器内科、胃腸科、肛門科、内科が主診療科となるが、「医療者の意識改革も必要であり、便秘の治療では、単に排便ができるようになるだけでなく、患者満足度の高い治療を行うことが重要」と中島氏は指摘する。たとえば、刺激性下剤により排便がされたとしても、水様便で下痢のままでは、患者満足度は低いままである。そうならないためには、「完全排便を目指す」「便形状の正常化(ブリストルスケールで“4”)」「初診で刺激性下剤を出さない」の3点に加え、便形状の聞き取りなどの外来でのフォローが重要だという。 現在、便秘で処方される治療薬としては、緩下剤(便をやわらかくし、排便促進作用)、刺激性下剤(腸を刺激し、強制的に排便させる作用)、漢方薬(体質や症状に合わせて選択できる)の3種類がある。緩下剤では、酸化マグネシウムがわが国では広く処方されているが、高マグネシウム血症への注意や併用注意薬の多さが短所であり、刺激性下剤であるセンノシドなどでは、連用することで習慣性、依存性が生じ、効果が低下することが指摘されている(海外では頓用で使用される)。 その点、漢方薬は、患者の安心感が高く、作用の強弱が選択でき、便秘周辺症状(腹部膨満など)にも対応できることで最近見直されているという。 具体的には、「大黄甘草湯(ダイオウカンゾウトウ)」「麻子仁丸(マシニンガン)」「潤腸湯(ジュンチョウトウ)」「桂枝加芍薬大黄湯(ケイシカシャクヤクダイオウトウ)」「防風通聖散(ボウフウツウショウサン)」「大建中湯(ダイケンチュウトウ)」の6種類が、便秘の治療で使われる代表的な漢方薬である。 各漢方薬の特徴として、次の点が挙げられる。「大黄甘草湯」は、比較的作用が強くエビデンスもあるが、高齢者には注意が必要である。「麻子仁丸」は、高齢者に適している。「潤腸湯」は効果がマイルドで軽症から中等症の患者や高齢者に適している。「桂枝加芍薬大黄湯」は、腹部膨満感や腹痛、ガス排出など便秘周辺症状にも効果がある。「防風通聖散」は、作用が弱いもののゆっくりと効果を発揮し、中高年に適している。「大建中湯」は、作用が弱いものの、下腹部の重さ、痛みなどの便秘周辺症状にも適している。「このように多種の漢方薬をうまく使いこなすことで、患者のさまざまな訴えに対応することができる。ただし、妊婦、産婦、授乳婦への投与について安全性が確立されていないので処方には慎重な判断が必要」と、同氏は注意を促す。便秘対策は生活習慣の改善と排便姿勢から 便秘対策としては、食物繊維・運動・水分不足といった生活習慣の是正が重要であり、子供のころからトイレを我慢しない行動も大事だという。また、排便の姿勢について、和式トイレのしゃがんだ姿勢が理想だが、洋式トイレが主流の現代では、前かがみ35度の前傾姿勢で排便するのが望ましいとしている。 まとめとして同氏は、「患者の半分以上が便秘治療に不満足の今、満足度の向上が必要である。自己流ではなく自分に適した対策のため、便秘は放置せずに医師に相談する。漢方薬を服用する際は、正しく理解して服用し、自己判断せずに専門医に処方してもらうことが大切だ」と語り、レクチャーを終えた。■参考日本東洋医学会漢方のお医者さん探し

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パーキンソン病におけるエキセナチド週1回投与の効果(解説:山本康正 氏)-736

【目的】 2型糖尿病に使用されているglucagon-like peptide-1(GLP-1)の受容体作動薬であるエキセナチドには、げっ歯類において神経毒により作成されたパーキンソン病モデルで神経保護作用・神経修復作用があることが示されている。著者らは以前に、少数例のオープンラベル試験でエキセナチドがパーキンソン病患者の運動・認知機能障害を改善した結果を得ており、今回パーキンソン病患者に対するエキセナチドの効果を、single-centre, randomized, double-blind, placebo-controlled trialによって確認する試験を行った。【方法】 25~75歳のQueen Square Brain Bank criteriaで評価された特発性パーキンソン病患者で、ドーパミン治療がなされているがwearing offを有し、治療下においてYahl分類が2.5以下の患者を対象とした。通常のドーパミン系治療に加えて、エキセナチド2mgとプラセボの週1回皮下注射を48週間行い、12週間のwash out期間の後、評価を行った。患者は12週ごとに受診し、抗パーキンソン病薬服用後8時間以上あけたoff-medication stateにおいて、運動・非運動症状や認知機能、心理テスト等の総合的評価がなされた。最初と60週目にドーパミンの働きを見る検査であるDaTscan(ダットスキャン)を行った。1次エンドポイントは、60週目にMovement Disorders Society Unified Parkinson's Disease Rating Scale(MDS-UPDRS)のmotor subscale part3を用いて評価したスコアの差である。【結果】 62例がエントリーされ、32例がエキセナチド、30例がプラセボに割り付けられた。最終60週目において、MDS-UPDRS-part3はプラセボ群で2.1点悪化し、エキセナチド群で1.0点改善した。調整後の差は-3.5点で、エキセナチド群で有意に改善した(p=0.031)。ちなみに48週目の時点では、-4.3点の差でエキセナチド群が勝っていた(p=0.0026)。認知機能、非運動症状、QOL、気分、ジスキネジア等に差はなかった。DaTscan imagingでは、1回目に比べて2回目は両群とも低下傾向にあったが、エキセナチド群で低下はより軽度であった。【考察】 48週目のみならず12週間のwash out期間の後もエキセナチドの効果が持続していたことは注目すべきであり、これはエキセナチド持続の長い症候改善作用を有するためなのか、あるいは、疾患の病態生理に影響を与えた結果なのかは今後の検討が待たれる。【解説】 パーキンソン病は年月とともに進行性で、進行期には、不随意運動、幻覚、起立性低血圧や頑固な便秘など自律神経障害も出現して難渋することが多い。ドーパミン受容体作動薬やモノアミン酸化酵素阻害薬に神経保護作用が期待されているが、さらに新規の神経保護作用を有する薬剤が待たれている。エキセナチドは2型糖尿病に使用されているGLP-1の受容体作動薬であるが、今回の試験では従来の抗パーキンソン病薬に追加することで、運動症状の改善のみならず12週間のwash out期間の後も効果が持続していた。このことは、単に持続作用が長いことを示しているのかもしれないが、疾患の病態生理に作用し神経保護作用を有する可能性があり期待される。

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国立国際医療研究センター総合診療科presents 内科インテンシブレビュー2017 (2枚組)

第1回 リンパ腫の臨床診断 “Internist's lymphoma” 第2回 パーキンソン病の話 第3回 大血管炎~IgG4関連疾患も含めて~第4回 Young Doctor’s Case Report 第5回 感染症診療のロジック~常に丹念に病態を詰め切る~ 第6回 呼吸器内科医から見た心不全 第7回 小腸疾患 Update 2017 第8回 NEJMへの道~2017 飛翔編~ 第9回 陰性感情を考える第10回 つつが虫病 シマからみる、シマでみる ~過去と現在、日本、沖縄、世界に眼をむけて~ 第11回 低K血症をスッキリ理解する Keep It Simple, Stupid. 第12回 “元気で長生き”を維持するために 科学的根拠に基づくヘルスメンテナンス 2017年1月14~15日の2日間にわたって開催された集中型セミナー「国立国際医療研究センター総合診療科 presents内科インテンシブレビュー」。臨床の最前線に立ち、若手医師教育にも熱意を注ぐ12医師の熱いレクチャーを一挙公開します。「学生・初期研修医向け」のレクチャーに飽きてしまった専門後期研修医、これを機に知識をアップデートしたいシニア医師、ちょっと背伸びしたい初期研修医の方々、有名講師による集中講義を堪能してください!第1回 リンパ腫の臨床診断 “Internist's lymphoma” 国立国際医療研究センター病院 総合診療科 國松淳和先生によるレクチャーは、病理で診断されるリンパ腫の"臨床診断”について。リンパ腫においては、診断確定が早いことは患者の予後やQOLに大いに関わります。臨床症状によって診断に迫ることができる"Internist's Lymphoma”の特徴や具体的な診断への道筋について解説します。第2回 パーキンソン病の話 外科医であり、化石学者でもあった英国のジェイムズ・パーキンソンパーキンソン病に関する論文を発表して今年で200年!神経内科医の井口正寛先生がその発見の歴史をひも解き、現在の臨床現場から、パーキンソン病を再評価します。スペシャリストならではの問診や身体所見による診断のコツや、井口先生が発見した驚きのマニアック論文は必見です!第3回 大血管炎~IgG4関連疾患も含めて~CareNeTV講師Dr.ハギーこと萩野昇先生が大血管炎を解説します!2016年欧州リウマチ学会で発表された最新情報など、アップデート満載な講義内容は、日々リウマチ学を研究する萩野先生ならでは。大血管炎は日常診療でよく診る疾患ではありませんが、2015~2016年にかけて新たな治療成果が発表されており、今、リウマチ・膠原病領域で注目されています。Dr.ハギーの軽妙なトークは必見!第4回 Young Doctor’s Case Report Young Doctor’s Case Reportとして九鬼隆家先生が腎機能障害の症例を紹介します。緊急外来で透析が施行された50代女性。問診によって23歳の娘にも血尿があることがわかり、母娘2人を診ることになりました。3世代にわたる家族歴の聴取などから、透析に至ったその原因疾患に迫ります!第5回 感染症診療のロジック~常に丹念に病態を詰め切る~ 感染症が疑われる場合、その患者がどこでどんな生活を送り、どのような経緯で病院にやってきたのか、患者の背景を探ることが大変重要です。とくに海外からの渡航者の場合は居住地であるその国をも理解しなければなりません。国際感染症センター長の大曲貴夫先生がここ1年で診られた数多くの症例のなかでもとくに「厳しかった」「考えさせられた」という2例を紹介。「あなたは常に病態を詰めきれているか?」大曲先生の熱いメッセージを御覧ください。第6回 呼吸器内科医から見た心不全 心不全診療における診療科間の押し相撲はもうやめたい!循環器内科に見送った心不全疑いの患者がブーメランのように返ってくる。本当に心不全ではないの?しかし本当に大切なのは、できるかぎり病態を確認して、患者にどのような治療が優先されるのかを判断すること。心不全にも呼吸器疾患が関与している場合もあります。すべての内科医に向けた櫻井隆之先生の熱いメッセージ!第7回 小腸疾患 Update 2017 第7回では、小腸疾患Updateとして、不明熱の原因疾患ともなるクローン病に関する知識をレクチャー。1970年代から罹患者数が300倍にまで増加し続けているクローン病。国立国際医療研究センター病院の櫻井俊之先生が消化器内科医の立場から、クローン病の疾患概念、好発年齢、診断基準、最新治療について解説。常識とは異なるクローン病診療の“実情”もホンネで語ります。第8回 NEJMへの道~2017 飛翔編~ NEJMへの掲載を目指して!NEJM掲載の経験を持つ忽那賢志先生がアクセプトされるコツを伝授します。「Clinical Pictureの投稿コーナーは挑戦しやすい」「コモンな疾患のレアな所見が狙い目」など、自身の経験から、症例選択や写真撮影のポイントを解説!日頃の臨床で、Clinical Pictureを撮るように心がけることが大事です。病態診断のため、知識の蓄積・共有のため、そしてNEJM投稿のため。これだと思う症例に出会ったら、ぜひ投稿してみてください!第9回 陰性感情を考える「この患者さん苦手だな…」アルコール依存や、ボーダー患者、はたまた普通の患者に対しても、「嫌だな」という感情はどんな医師でも起こりうるものです。そんな陰性感情はどう対処するべきかを、加藤温先生が精神科医の視点でレクチャーします。陥りやすい危ないケースからの回避方法や、明日から実践できる基本の対応方法を伝授。「本物は本物の顔をしていない」などドキっとする文句が満載です!第10回 つつが虫病 シマからみる、シマでみる ~過去と現在、日本、沖縄、世界に眼をむけて~ 「つつが虫病」はまだ終わっていない!かつて「死の風土病」と恐れられたつつが虫病。現在でも、毎年400人以上が日本各地で罹患し、依然として生命を脅かす疾病です。成田雅先生曰く、つつが虫病診療で重要な患者背景への認識を深めること、患者の全身を入念に診ることは総合診療医のスキルアップにつながる!多くの症例とダニハンティングの結果からわかるつつが虫病の実態を、ぜひ御覧ください。第11回 低K血症をスッキリ理解する Keep It Simple, Stupid. 須藤博先生の明快レクチャーで腎生理学の基本をマスターしましょう!キーワードは「タテとヨコ」「尿血血」の2つ、これさえ覚えれば簡単に低K血症の鑑別診断ができます。引き込まれる名講義と、個性的な5つの低K症例は必見!須藤先生を30分間罵倒した30代女性とは!?そのとき先生は…第12回 “元気で長生き”を維持するために 科学的根拠に基づくヘルスメンテナンス がん・心疾患・感染症・メンタルヘルスなど、さまざまなカテゴリーについての予防医療のエビデンスを総括した米国のUSPSTF(U.S. Preventive Services Task Force)。予防医療、すなわち適切なスクリーニングと予防知識の普及は、現代日本における必須項目の1つです。熱き指導医、佐田竜一先生がUSPSTFをもとに予防医療の大切さとがん種別検診の妥当性について解説します!

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GLP-1製剤、パーキンソン病の運動機能を改善/Lancet

 GLP-1受容体作動薬エキセナチドを中等度のパーキンソン病患者に投与すると、運動機能が改善する可能性があることが判明した。英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのDilan Athauda氏らが、62例を対象に行った無作為化プラセボ対照二重盲検試験の結果で、Lancet誌オンライン版2017年8月3日号で発表した。エキセナチド2mgを48週間投与、60週後の運動機能変化を比較 Athauda氏らは2014年6月18日~2015年3月13日にかけて、25~75歳の中等度パーキンソン病の患者62例を無作為に2群に分け、通常服用している薬に加え、一方にはエキセナチド2mgを(32例)、もう一方にはプラセボを(30例)、それぞれ週1回48週にわたり皮下投与した。その後、試験薬を中止し12週間のウォッシュアウト後(60週時点)に最終評価を行った。 被験者は、Queen Square Brain Bank基準で特発性パーキンソン病の診断を受け、ドーパミン療法によるウェアリング・オフ現象を伴い、治療下の症状はホーン・ヤール重症度分類で2.5以下だった。患者および研究者は、治療割り付けについてマスキングされていた。 主要アウトカムは、実質的に非薬物治療下と定義される時点(60週)で評価したベースライン(0週)からの、国際運動障害学会が作成したパーキンソン病統一スケール「MDS-UPDRS」の運動機能サブスケール・パート3の変化値に関する両群間の補正後差だった。エキセナチド群で運動機能サブスケールは1.0ポイント改善 有効性解析には、無作為化後の追跡評価を完遂したエキセナチド群31例、プラセボ群29例が含まれた。 0~60週時のMDS-UPDRS・パート3スコアの変化値は、エキセナチド群が-1.0点(95%信頼区間[CI]:-2.6~0.7)と改善を示したのに対し、プラセボ群は2.1点(同:-0.6~4.8)と悪化が示された。両群の補正後平均差は-3.5点(同:-6.7~-0.3、p=0.0318)で有意差が認められた。 有害事象は、注射部位反応と消化器症状の発現が両群で最も頻度が高かった。重篤な有害事象は、エキセナチド群で6件、プラセボ群では2件報告されたが、いずれも試験による介入とは関連がないと判断された。 なお結果について著者は、「エキセナチドの陽性効果は、投与期間を過ぎてからも示されたが、エキセナチドがパーキンソン病の病態生理に影響を及ぼすのか、それとも単に持続的な症候性の作用が引き起こされただけなのかは不明である」と述べ、長期の検討を行い、エキセナチドの日常的な症状への効果を調べる必要があるとしている。

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悪性黒色腫とパーキンソン病、相互に発症リスク高

 米国・メイヨークリニックのLauren A. Dalvin氏らは、ロチェスター疫学プロジェクト(Rochester Epidemiology Project:REP)のデータを解析し、悪性黒色腫(皮膚および結膜、ブドウ膜)患者はパーキンソン病(PD)の、PD患者は悪性黒色腫の発症リスクが高く、両者に関連があることを明らかにした。著者は、「さらなる研究が必要であるが、今回の結果に基づき医師は、悪性黒色腫患者にはPDのリスクについてカウンセリングを行い、PD患者に対しては皮膚および眼の悪性黒色腫についてサーベイランスを行うことを検討すべきだろう」とまとめている。Mayo Clinic Proceedings誌2017年7月号掲載の報告。 研究グループは、REPのデータを用いて次の2つの解析(フェーズ1、フェーズ2)を行った。 フェーズ1は、1976年1月1日~2013年12月31日におけるミネソタ州オルムステッド郡のPD患者、および同患者1例当たりのマッチング対照3例を特定し、JMP統計ソフトウェアを用いたロジスティック回帰分析により、先行して悪性黒色腫を有するリスクをPD患者と対照とで比較した。 フェーズ2は、1976年1月1日~2014年12月31日におけるすべての悪性黒色腫患者と、同患者1例当たりのマッチング対照1例を特定し、Cox比例ハザードモデルにてインデックス日以降のPD発症リスクについて対照と比較するとともに、カプランマイヤー法によりPDの35年累積発症リスクを算出した。さらに、Cox比例ハザードモデルを用い、悪性黒色腫患者における転移性悪性黒色腫による死亡のリスクを、PDの有無で比較した。 主な結果は以下のとおり。・フェーズ1解析において、PD患者は対照と比較し、先行して悪性黒色腫を有するリスクが3.8倍高かった(95%信頼区間[CI]:2.1~6.8、p<0.001)。・フェーズ2解析において、悪性黒色腫患者は、PDの発症リスクが4.2倍高かった(95%CI:2.0~8.8、p<0.001)。・カプランマイヤー法によるPDの35年累積発症率は、悪性黒色腫患者11.8%、対照2.6%で、悪性黒色腫患者で高かった(p<0.001)。・転移性悪性黒色腫による死亡の相対リスクは、PDを有していない悪性黒色腫患者が、PDを有する悪性黒色腫患者と比較して10.5倍高かった(95%CI:1.5~72.2、p=0.02)。

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低LDL-Cが認知症リスクを低減する可能性/BMJ

 PCSK9遺伝子およびHMGCR(HMG-CoA reductase)遺伝子のバリアントに起因するLDLコレステロール(LDL-C)の低下は、認知症やパーキンソン病の発症リスクを増加させず、LDL-C値の低下によりアルツハイマー型認知症のリスクが低減する可能性があることが、デンマーク・コペンハーゲン大学病院のMarianne Benn氏らの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2017年4月24日号に掲載された。コレステロールは脳のニューロンを取り囲むミエリンの主成分であるため、低LDL-C値はアルツハイマー型認知症やパーキンソン病などの神経疾患のリスクを増大させる可能性が指摘されている。11万例以上のメンデル無作為化試験 本研究は、LDL-Cの代謝および生合成に関与する遺伝子(それぞれ、PCSK9遺伝子、HMGCR遺伝子)の遺伝的変異に起因するLDL-C値の低下が、一般人口におけるアルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、全認知症およびパーキンソン病のリスクを高めるとの仮説を検証するメンデル無作為化試験である(Danish Council for Independent Researchなどの助成による)。 デンマークの一般人口を対象とした類似する2つの前向き試験(Copenhagen General Population Study:9万9,993例、Copenhagen City Heart Study:1万1,201例)の参加者11万1,194例について解析を行った。 全体の年齢中央値は56歳(IQR:46~66)、55%(6万1,310例)が女性であった。LDL-C値別の内訳は、<1.8mmol/L(≒69.66mg/dL)が3.7%(4,087例)、1.8~2.59mmol/L(≒69.66~100.233mg/dL)が18%(2万0,335例)、2.6~3.99mmol/L(≒100.62~154.413mg/dL)が52%(5万7,847例)、≧4.0mmol/L(≒154.8mg/dL)は26%(2万8,925例)であった。1mmol/L低下による発症リスクへの影響はない 観察的な解析では、フォローアップ期間中央値8.2年における<1.8mmol/Lの集団の≧4.0mmol/Lの集団に対するパーキンソン病の多因子で補正したハザード比(HR)は1.70(95%信頼区間[CI]:1.03~2.79、傾向検定:p=0.01)と有意であったのに対し、アルツハイマー型認知症(0.93、0.62~1.40、p=0.35)、脳血管性認知症(0.46、0.15~1.48、p=0.56)、全認知症(1.04、0.79~1.38、p=0.18)には有意な差を認めなかった。 PCSK9遺伝子とHMGCR遺伝子のバリアントを統合すると、LDL-C値が9.3%低下した(傾向検定:p<0.001)。 また、年齢、性別、出生年で補正した遺伝的な因果分析では、LDL-C値が1mmol/L(≒38.7mg/dL)低下した場合のリスク比は、アルツハイマー型認知症が0.57(95%CI:0.27~1.17、p=0.13)、脳血管性認知症が0.81(0.34~1.89、p=0.62)、全認知症が0.66(0.34~1.26、p=0.20)、パーキンソン病は1.02(0.26~4.00、p=0.97)であり、いずれもLDL-C値低下による発症リスクへの影響はみられなかった。 Egger Mendelian randomisation(MR Egger)解析を用いたInternational Genomics of Alzheimer’s Project(IGAP)の要約データでは、LDL-C値の1mmol/Lの低下による、PCSK9遺伝子とHMGCR遺伝子の26のバリアントを統合した場合のアルツハイマー型認知症のリスク比は0.24(95%CI:0.02~2.79、p=0.26)と有意な差はなかったが、低LDL-C値に関連する380の遺伝的バリアントのMR Egger解析によるリスク比は0.64(0.52~0.79、p<0.001)であり、低LDL-C値はアルツハイマー型認知症のリスクの抑制において因果効果を持つ可能性が示唆された。 著者は、「進行中のPCSK9阻害薬の無作為化臨床介入試験に加えて、今回のわれわれの研究よりも統計学的検出力を高めたメンデル無作為化試験を行う必要がある」と指摘している。

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抗精神病薬多剤併用大量療法と関連するペントシジン:順天堂大

 統合失調症患者におけるカルボニルストレスは、末梢ペントシジンレベルの増加により反映されることが報告されている。順天堂大学の三戸 高大氏らは、ペントシジンの蓄積が疾患の重症度または治療(抗精神病薬高用量投与)と関連しているかをコホート研究により検討した。Progress in neuro-psychopharmacology & biological psychiatry誌オンライン版2017年3月7日号の報告。 独自調査より得た急性期統合失調症患者137例と健常対照者45例および2つのコホート研究よりプールした合計274例について分析を行った。血清ペントシジンレベル、ピリドキサールレベルと教育期間、推定投与期間、症状重症度および抗精神病薬、抗パーキンソン病薬、抗不安薬の1日投与量との関連を、重回帰分析を用い評価した。 主な結果は以下のとおり。・ペントシジンは、異常に高い血清レベルが示され、診断の統計学的有意性なく抗精神病薬の1日投与量の高さと推定投与期間の長さと関連していた。・これは、抗精神病薬の多剤併用療法患者においても観察されたが、第1または第2世代抗精神病薬の単剤療法で治療された患者の血清ペントシジンレベルでは、関連が認められなかった。 著者らは「高血清ペントシジンレベルは、抗精神病薬の多剤併用療法患者において、抗精神病薬の高用量投与、薬物療法期間の長さと関連していた」としている。関連医療ニュース 統合失調症の新たなバイオマーカー:順天堂大学 カルボニルストレス、統合失調症との関連を解析:都医学研 日本のDPCデータより統合失調症診断患者を分析

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パプリカ【夢と精神症状の違いは?】

今回のキーワードせん妄レム睡眠行動障害ナルコレプシーデフォルトモードローカルスリープマインドフルネスEMDRオプトジェネティクスみなさんは昨夜どんな夢を見ましたか?怖い夢?追われる夢?それとも飛んでいる夢?展開が速くて突飛な夢?なんでそんな夢ばかりなのでしょうか?何か意味ありげではないでしょうか。それは予知夢?正夢?逆夢?そんなふうに考えて、現実の生活を見つめ直すこともあります。このように、夢は、とても不思議で、私たちを魅惑します。なぜ夢にはいろいろな特徴があるのでしょうか? そもそもなぜ私たちは夢を見るのでしょうか? なぜ眠るのでしょうか? 逆に起きているとはどういうことなのでしょうか? さらに、夢に似ているせん妄、解離性障害、統合失調症などの精神障害とはどんな関係や違いがあるのでしょうか? そして、夢をどう利用できるでしょうか?今回は、夢をテーマにしたSFファンタジーのアニメ映画「パプリカ」を取り上げ、これらの謎に進化医学的な視点で、みなさんといっしょに迫っていきたいと思います。主人公の敦子は、精神医学研究所の医師であり研究員。同僚の時田の発明した夢を共有する装置「DCミニ」を駆使するサイコセラピスト、またの名はパプリカです。ある日、そのDCミニが研究所から盗まれてしまいます。犯人はそれを悪用して他人の夢に勝手に入り込み、悪夢を見せて、意識を乗っ取り、支離滅裂にさせる事件が発生していきます。敦子たちは、夢の中でその犯人を見つけ出し、終わりのない悪夢から抜け出す方法を探っていきます。夢の特徴は?パプリカがクライエントの粉川警部の夢に入り込んでいる冒頭のシーン。粉川は、サーカスのショーの中で、「奴はこの中にいる」「やつは裏切り者だ」とパプリカに言い、捜査をしています。ところが、急に展開が変わり、逆に得体の知れない人たちに追いかけられます。さらに、また展開が変わって、今度は自分が追いかけようとします。しかし、そのうちに床が上下に大きくうねって、前に進みません。そして、最後には床が抜けて落ちていきます。そこで目が覚めて、パプリカに「ひどく怖かった」とつぶやきます。粉川警部の夢は、とても典型的です。その特徴は、まず、感情が強いことです。統計的には、特に「不安」「高揚感」「怒り」の3つで、70%を占めています。逆に、残念なことに楽しい夢や性的な夢は少ないです。また、体の動きが多いことです。特に、追われる夢が圧倒的に多く、その追ってくる相手は、見知らぬ人か動物がほとんどです。また、動いているのに進まない、浮遊感、そして落下も多いです。そして、何よりも、展開が突飛であることです。その他の夢の一般的な特徴としては、夢の中では夢だと気付かないことです。どんなにありえなくても当然だと思い必死になっています。また、夢の中では常にその瞬間の自分の視点だけです(現在一人称)。逆に、他人、過去、未来、仮定の視点はありません。そして、夢は見るだけがほとんどです(視覚優位)。聞こえたり、触れたり、嗅いだり、味わったりすることは稀です。粉川警部のように、同じような夢を繰り返し見ることもよくあります。その割に、夢はすぐに忘れやすいです。なぜ夢を見るの? ―レム睡眠の働きー図1パプリカは、粉川警部に「同じレム睡眠でも明け方の夢は長くて分析しやすいの。深夜の夢が芸術的な短編映画だとしたら、明け方は長編娯楽映画ってとこかな」と説明します。レム睡眠とは、睡眠中に急速眼球運動(REM)が出現している状態のことです。周期的に3、4回あり、この時に夢を見ていることが多いです。そもそもなぜ夢を見るのでしょうか? その答えを探るために、レム睡眠の主な3つの働きを整理してみましょう。1)記憶を送る1つ目は、その日の記憶を海馬から大脳皮質に送ることです。そうすることで、長期記憶として保存されていきます。この働きは、特に寝入った直後の初回のレム睡眠で高まります。その時に見える夢は、その日に見たままのものとその時の自分の体の動きです。また、寝入り端(ばな)には、夢に似たような鮮明な映像(入眠時幻覚)や幾何学模様(入眠時心象体験)が一時的に見えます。そのほとんどはその後の深い眠りで忘れてしまいます。断片的で短く、まさに「芸術的な短編映画」です。パソコンに例えると、その日に得たデータをデスクトップから、保存用の大容量のハードディスクに送っている状態です。それでは、夢に自分の体の動きが多いのはなぜでしょうか? その答えを進化医学的に考えることができます。太古の昔から、生存競争において、特に追ってくる動物から逃げ切るなど体をうまく動かすことは、最も必要な能力です。つまり、答えは、その運動の学習(手続き記憶)が次の日に生き延びるために役立つからです。そうする種がより生き残り、子孫を残したでしょう。その子孫が現在の私たちです。さらに、夢で飛ぶ、浮く、落ちることが多いのはなぜでしょうか? その答えは、レム睡眠中に体を動かす筋肉(骨格筋)が脱力しているからです(睡眠麻痺)。踏ん張れず、地に足が着いていない感覚になります。それでは、なぜ脱力しているのでしょうか? その答えも進化医学的に考えることができます。それは、逆に脱力していなければ、見ている夢と同じ動きをしてしまい、自然界では天敵に気付かれ、生き残れないからです。実際に、パーキンソン病や加齢などによって、この脱力モードが働きにくくなると、睡眠中に夢と同じ動きをしてしまい、ベッドパートナーを叩いたり蹴ったりしてしまいます(レム睡眠行動障害)。逆に、疲労などで、この脱力モードが目覚めても残っていると、体が動かないことを自覚できてしまい、いわゆる「金縛り」になります。2)記憶をつなげる2つ目は、海馬から新しく送られた記憶と大脳皮質にすでにある古い記憶をつなぎ合わせることです。そうすることで、記憶が関連付けられ、整理されていきます。この働きは、目覚める直前の最後のレム睡眠で高まります。その時に見える夢は、先ほどの粉川の夢のように、感情的で、ストーリーが次々と展開していきます。詳細な描写があり長く、まさに「長編娯楽映画」です。パソコンに例えると、デスクトップから送られてきたデータを、ハードディスクのそれぞれのフォルダに照合し、上書きをしている状態です。それでは、夢に感情が強いのはなぜでしょうか? その答えは、レム睡眠中に、海馬と隣り合わせの扁桃体(情動中枢)も同時に活性化しているからです。だからこそ、レム睡眠中の心拍、血圧、呼吸などの自律神経は不安定になります。では、なぜ扁桃体が活性化しているのでしょうか? その答えも進化医学的に考えることができます。それは、不安や怒りなどのネガティブで強い感情は、「逃げるか戦うか」を動機付ける心理として、生存するために、より必要だからです。扁桃体によって、より生存に有利な記憶の重み付けがなされて、優先してつなぎ合わされるからです。ちなみに、現代版の追われる恐怖は、試験勉強や仕事の締め切りなどの時間に追われることであると言えるでしょう。また、夢の展開が突飛なのはなぜでしょうか? これが最も夢らしい特徴です。その答えは、レム睡眠中はものごとを論理的に考えたり、同時並行で記憶(ワーキングメモリー)したりする前頭葉(特に背側前頭前野)の働きが弱まっているからです。では、なぜ前頭葉が働いていないのでしょうか? その答えも進化医学的に考えることができます。それは、前頭葉は起きている時の記憶の「司令塔」であり、記憶の保存や整理をする「労働」そのものには必要がないからです。また、夢を見るレム睡眠中に特に活性化する脳の部位は、主に脳幹や大脳辺縁系です。そして、胎児期や乳児期は、レム睡眠がほとんどを占めています。つまり、解剖学的にも発生学的にも、そもそもレム睡眠はとても原始的な脳活動であることが分かります。夢とは、レム睡眠中の記憶をつなぐ脳活動をたまたま垣間見ただけの主観的な体験のつぎはぎであり、客観的なストーリーになっている必要がないということです。ちなみに、先ほど紹介した「金縛り」は、前頭葉が抑制されて、扁桃体が活性化される状態でもあり、恐怖で冷静な判断ができなくなって、霊的な意味付けをしてしまいやすくなります。同じように、統合失調症でも、前頭葉の働きが弱まっていることが分かっており、論理の飛躍から、被害妄想などが出やすくなります。まさに目が覚めていながら、夢を見ているような状態です。夢は原始的であるからこそ、見るという視覚がほとんどだということが分かります。触覚、嗅覚、味覚も原始的ではありますが、生存競争にそれほど必要がないことから、夢に出てこないと理解できます。また、言葉を聞き取る聴覚は、より知的に高い精神活動であるため、出てきにくいと言えるでしょう。ちなみに、身体的な原因で意識レベルが低下している状態(せん妄)では、夢と似たような幻視や錯覚が多く、幻聴は少ないと言えます。逆に、統合失調症では、意識は保たれているので、幻聴が多く、幻視は少ないと言えます。また、レム睡眠中に前頭葉が働いていないからこそ、夢の中では常にその瞬間の自分の視点だけになってしまいます。そのわけは、前頭葉の重要な働きであるメタ認知は、自分から離れた他人の視点、現在から離れた過去や未来の時間軸の視点、そして現実から離れた仮定の視点も同時に持つ能力だからです。この働きが夢ではないのです。さらに、メタ認知ができないからこそ、夢の中では夢だと気付かないのです。よって、そもそもメタ認知ができない動物やメタ認知が未発達の4歳未満の人間の子どもは、夢を見ても現実との区別ができないと言えます。3)記憶を繰り返す3つ目は、つなぎ合わせのバリエーションを少しずつ変えながら記憶を繰り返すことです。そうすることで、記憶が強化され、記憶の引き出しから出てきやすくなります。それは、まるで反復練習によるリハーサルです。パソコンに例えると、出力をよりスムーズにするため、ハードディスクのプログラムを日々バージョンアップしている状態です。それでは、同じような夢を繰り返し見るのはなぜでしょうか? その答えは、自分にとって気になってしまったことだからです。粉川警部にとって、それはやり残したことでした。さらに進化医学的に考えれば、次に同じ状況になったらどうするかという学習を促し、より環境に適応して生き残るために必要だからです。夢を見るレム睡眠は、安全な状況で脅威をシミュレーションする手段として進化した精神活動であるとも言えます。この働きが過剰になってしまうと、例えば、生存が脅かされる体験(トラウマ)によるストレス障害(PTSD)のように、その時の体験を悪夢として繰り返し見て、うなされます(悪夢障害)。また、白昼夢に似たフラッシュバックも出てきます。まさに花粉症を初めとする自己免疫疾患のように、本来は防御のために備わった機能が過剰になったり、誤作動を起こして、逆に自分を苦しめるというわけです。夢が繰り返されると言っても、それはすぐではありません。その日の出来事の夢はその夜の最初のレム睡眠時に記憶の断片として出てきます。しかし、その後はしばらく出てこなくなり、1週間後以降に再び出てくるようになります。この理由は、海馬から大脳皮質への転送が完了されるまでにタイムラグがあるからです(夢のタイムラグ効果)。そして、より強いインパクトやストレスを伴う場合は、より時間がかかるということです。これは、PTSDはすぐには発症しないということを説明できます。最近の研究では、トラウマ体験直後の6時間以内にコンピューターゲームのテトリスをやり続けることで、PTSDの発症を有意に予防できる可能性が示唆されています。これは、レム睡眠中にゲームの体験の学習を多く占めることで、逆にトラウマ体験の学習をある程度阻害することができるからでしょう。ここから分かることは、つらいことがあったときは、そのことばかりに思い悩まずに、代わりに別のことをやるのが悪夢の予防になるということです。夢は繰り返されることがある一方で、忘れてしまいやすいのはなぜでしょうか? その答えも進化医学的に考えれば、生存にとって覚えている必要がないからです。言い換えれば、夢を覚えていてもいなくても、生存の確率は変わらないからです。逆に、全てをはっきり覚えていたら、動物や4歳未満の人間の子どもは、夢を現実と認識するので、毎朝起きて怯えてつらい思いをして、現実の生活に差し障りがあるでしょう。むしろ、覚えていない方が適応的です。実際に、小さい子どもほど、大人よりもレム睡眠が多いにもかかわらず、夢を覚えていないことが多く、思い出せても短かったり、単純です。ここまでで分かったことは、レム睡眠には大きな意味があることです。しかし、夢を覚えておく必要がない点では、進化医学的に夢を見ることには意味がないです。つまり、「なぜ夢を見るの?」というこの章の質問には、「見えたから」と答えるのが正解でしょう。「夢」のない話だと思われたかもしれません。しかし、果たしてそうでしょうか? そうとも限らない可能性を後半に考えてみましょう。なぜ眠るの? ―睡眠の進化―グラフ1これまで、夢をよく見るレム睡眠の働きについて整理してきました。レム睡眠と交互に出てくるノンレム睡眠、特に深睡眠も含めると、そもそもなぜ眠るのでしょうか? ここからは、その答えを探るために、生物の睡眠の進化の歴史を通して、睡眠の主な3つの働きを整理してみましょう。1)夜だから眠る―概日リズム1つ目の答えは、夜だから眠るということです。約10億年前に進化した原始的な菌類などの植物からは、日中に光合成をして、紫外線のない夜に細胞分裂をして、日中と夜の活動を分けるようになりました(概日リズム)。約5億年前に進化した最初の動物の魚類からは、暗くて捕食の行動が難しくなる夜はあまり動かないようになりました(行動睡眠)。約3億年前に進化した最初の陸生動物である両生類やその後の爬虫類は、まだ気温差によって体温が変わる変温動物であったため、冷え込む夜はエネルギーが足りないためずっと動かないようになりました。このように、日中に活動して、夜に活動しないという概日リズム(体内時計)が進化しました。この概日リズムを日中の光によって調節する代表的なホルモンがメラトニンです。例えば、夜勤や時差ぼけや夜更かしなどによって起きている時間が変わった場合、ひきこもりや視覚障害によって光を浴びるのが減っている場合、もともと遺伝的(時計遺伝子)に睡眠時間がずれやすい場合は、1日の決まった時間に眠れず起きにくくなくなります(概日リズム睡眠覚醒障害)。よって、多く光を浴びたり(高照度光療法)、メラトニン受容体作動薬(ラメルテオン)による薬物療法が有効です。2)疲れたから眠る―恒常性2つ目の答えは、疲れたから眠るということです。約2億年前に進化した最初の恒温動物である哺乳類やその後の鳥類は、夜に脱力して筋肉を弛緩させることで産熱を抑え、深部体温や代謝を下げてカロリー消費を抑えました。同時に栄養の消化吸収や筋肉の修復などをして、体調を回復させました。実際に、日中代謝量が多い動物ほど睡眠が多いです。また、そんな睡眠中であっても、外界の脅威に瞬時に反応できるように、脳の活動レベルは起きている時に近い状態を保っていました。これがレム睡眠の始まりです。このように、夜に成長ホルモンなどの様々なホルモンが働くことで、体温を含めた体調の恒常性を維持しました。例えば、休日に平日と違って何もせずに過ごした場合は、運動不足で疲れていないので、恒常性が維持されなくなり、眠りにくくなります。よって、あえて体を動かして疲れさせるという運動療法が有効です。逆に、翌日に試験やプレゼンが控えている場合も、過度の緊張で恒常性が維持されなくなり、眠りにくくなります。よって、適量の晩酌やベンゾジアゼピン系の睡眠薬・抗不安薬による薬物療法が有効です。3)覚えるために眠る―学習3つ目の答えは、覚えるために眠るということです。約1億年前に進化した最初の胎生出産の哺乳類は、卵生出産よりも未熟に生まれてくる分、出生後により多くの学習をして成長する必要がありました。この時から、その記憶の学習のために、レム睡眠が利用されていました。レム睡眠中は、脳から外界への出力(運動)だけでなく、外界から脳への入力(感覚)も遮断されており、記憶の学習のためだけに脳が使われているため、とてもはかどります。例えるなら、パソコンが、インターネットに接続されていない機内モード(オフラインモード)になっている状態です。約6500万年前に進化した最初の霊長類は、脳が高度に発達していった分、脳を休める必要がありました。それが、いわゆる熟睡です。これは、ノンレム睡眠中で徐波という脳波が多く出ている深睡眠(徐波睡眠)に当たります(睡眠段階3と4)。この時、大脳皮質では神経細胞が同期して発火することが分かっています(長期増強)。これは、脳内の神経細胞のつながり(シナプス)で、強いものをますます強め、弱いものをますます弱めているものと考えられています。こうして、過剰なエネルギー消費や細胞へのストレスを抑えて、脳の神経回路を元の強度に戻しています(シナプス恒常性仮説)。つまり、不要な記憶をなくして整理することで、必要な記憶を際立たせて残し、より脳から引き出しやすくしているということです。例えるなら、パソコンが、デスクトップで入力も出力もできないスリープモード中に、重複したデータや使わないデータを消去することで最適化をしている状態です。このように、レム睡眠で脳を活性化させ、深睡眠で脳を休めることを繰り返すことで、記憶の学習の効率を上げました。つまり、最適な学習には、ぐっすり寝ることが重要であるということです。逆に言えば、睡眠時間を削った学習や、徹夜でのプレゼンの準備は、逆効果であるということです。また、加齢によって、睡眠時間は減っていきますが、中でも特にレム睡眠と深睡眠が減っていき、浅睡眠(睡眠段階1と2)だけになっていきます。この場合、もともと加齢により海馬の神経が新しく生まれ変わること(神経新生)が少なくなることで溜まった不要な脳の老廃物(アミロイドβ)を取り除ききれなくなることと相まって、記憶の学習がますます困難になっていき、反復されていない際立ちの弱い直近の記憶から徐々に失われていきます(アルツハイマー型認知症)。よって、この場合は、より若い時の記憶しか残らなくなっていくので、進行すればするほど、年齢をより若く答えるようになります(若返り現象)。よって、認知リハとして最近に注目されているのは、体を動かすなどの運動をしながらおしゃべりをするなどの学習をすることです(デュアルタスク)。これは、運動により、その刺激で神経新生が高まると同時に、より良い睡眠が得られるからでしょう。さらに、最近の研究では、起きている時にストレスのかかった脳、つまりより学習が必要な脳の領域ほど深い睡眠になることが分かってきています。また、レム睡眠以外の睡眠(ノンレム睡眠)でも夢を見ていることが分かっています。つまり、睡眠は、脳全体で一様ではなく、局所で多様に行われているということです(ローカルスリープ)。その極端な例として、イルカや渡り鳥は大脳半球を交互に眠らせることで、泳いだり飛びながら睡眠をとることができます(半球睡眠)。このローカルスリープの考え方によっても、様々な精神障害を説明することができます。例えば、脳が未発達の子どもでは、深い睡眠中に、一部の脳機能が局所的に覚醒してしまう状況が考えられます。扁桃体(情動中枢)のみ覚醒すれば、泣いたり(いわゆる夜泣き)、叫んだりするでしょう(睡眠時驚愕症)。また、運動中枢のみで覚醒すれば、寝言、歯ぎしり、おねしょをしたり、極端な場合は動き回ります(睡眠時遊行症)。同じようなことは、身体的な原因や加齢などによっても起こります(夜間せん妄)。また、てんかん発作によって、脳の活動電位が局所的に活性化すると、意識を失っていながら、動き回ります(自動症)。起きているとは? ―グラフ2これまで、「なぜ眠るの?」という問いへの答えを通して、眠っている状態について解き明かしてきました。それでは、逆に、起きているとはどういう状態なのでしょうか? ここから、その答えを探るために、起きている状態を3つの要素に分けて、整理してみましょう。1)自分と周りが分かる―意識敦子は、夢の中で見た「妄想パレード」を現実の世界で見てしまい、それに圧倒されます。もはや夢と現実の境目がなくなっていました。敦子は起きているのか寝ているのか私たちも分からなくなりかけます。1つ目は、起きているとは自分と周りが分かることです。厳密に言えば、脳が脳自体の活動を認識することです(意識)。例えば、今がいつで、ここがどこで、自分が誰かと見当を付け(見当識)、周りは何かと注意を払うことです(注意力)。つまり、周りの世界と自分の関係を認識できることです。このためには、さきほどにも触れた前頭葉の働きであるメタ認知が必要です。メタ認知が進化したのは、300、400万年前の原始の時代と考えられます。当時、ヒトは森から草原に出て、天敵から身を守り、獲物を手に入れるために、血縁の集団になって協力していくようになりました。そのために、相手の気持ちや考えを推し量る、つまり相手の視点に立つというメタ認知が生まれました。やがて、この能力は、他人だけでなく、自分自身を振り返る視点としても、そして時間軸、空間軸、仮定軸の視点としても使われるようになっていきました。逆に言えば、300、400万年前より以前のヒト、ヒト以外の動物、そして脳が未発達な4歳未満の子どもは、メタ認知ができないので、今ここでというその瞬間を、まるで夢を見ているのと同じように、反射的に生きているだけであると言えます。睡眠生理学的に言えば、起きている状態(覚醒)では、脳内の「活動ホルモン」(ノルアドレナリン)と「気分安定ホルモン」(セロトニン)であるアミン系の神経伝達物質が活発に出て、交感神経を優位にしています。また、「リラックスホルモン」(アセチルコリン)であるコリン系の神経伝達物質も出ていて、副交感神経に作用して、交換神経との綱引きをしています。体を休めている夢見状態(レム睡眠)では、アミン系が出なくなる一方、コリン系が活発に出るようになり、副交感神経が優位になります。この時にセロトニンが出ていないので、不安や恐怖の夢が出やすいことが理解できます。頭(脳)を休めている熟睡の状態(深睡眠)では、アミン系とコリン系の両方が少くなって出ています。もう1つ脳内で重要な「快感ホルモン」(ドパミン)は、覚醒時にも、レム睡眠や深睡眠などの睡眠時にも変わらず出ており、睡眠や夢と直接関係がないことが分かります。ちなみに、アミン系が増えたままだと躁病になり、眠りたくなくなります。逆に、アミン系が減ったままだとうつ病になり、眠れなくなったり眠りすぎたりして睡眠が不安定になります。また、特にアミン系のセロトニンが減れば不安障害や強迫性障害になり、やはり睡眠は不安定になります。さらに最近の研究では、この覚醒を安定化させるためには、オレキシンというホルモンが大きくかかわっていることが分かっています。オレキシンは、もともと摂食中枢(視床下部)にあることから、満腹で眠くなり、空腹で眠れなくなったり目が冴えてしまうのも納得がいきます。まさに「ハングリー精神ホルモン」とも言えます。このオレキシンが体質的(遺伝的)に足りない場合、覚醒と睡眠の切り替えが不安定になります。よって、起きている時に、急に気絶するように眠ってしまい(睡眠発作)、日常生活に支障をきたします(ナルコレプシー)。特に笑ったり喜んだりして感情の高ぶり(緊張)の後に安堵(弛緩)が起きると、副交感神経が優位となり、アセチルコリンが誘発されて、脱力してしまいます(情動脱力発作)。また、脳の覚醒が残っていて夢見状態(レム睡眠)になると、先ほどにも紹介した白昼夢(入眠時幻覚)や金縛り(睡眠発作)が出てきます。治療薬としては、覚醒作用が強いドパミン作動薬(メチルフェニデート)が適応になっています。ただし、根本治療のためには、オレキシンの作用を高めるオレキシン作動薬の開発が今後に期待されます。逆に、このオレキシンの作用を低めるオレキシン受容体拮抗薬(スボレキサント)は、最新の不眠症の治療薬として、すでに販売されています。夜寝る前だけ、薬で「ナルコレプシー」になるわけです。より自然な睡眠作用があるので、先ほどに紹介した晩酌やベンゾジアゼピン系の睡眠薬・抗不安薬よりも副作用が少ないという利点があります。2)自分が自分であると分かる―自我意識現実の世界の敦子の目の前に、敦子が夢の中でなりきっていたパプリカが現れます。敦子は「時田くんを助けなきゃ」と言いますが、パプリカは「放っときなさい。あんな肥満の無責任」と挑発します。敦子が「パプリカは私の分身でしょ」と叱りつけると、パプリカは「敦子が私の分身だって発想はないわけ?」と言い返します。2つ目は、起きているとは自分が自分であると分かることです。厳密に言えば、知覚や思考などの意識が統合されていることです(自我意識)。例えば、自分は、いつでもどこでも変わらず自分であるということです。逆に、ストレスや恐怖で、起きていながらもぼんやりとしている半覚醒の状態になる場合、意識が統合されず分離している病的な状態になることがあります(解離性障害)。例えば、敦子が扮するパプリカのように、自分の心が、時間や場所によって入れ替わります(人格交代)。同時にもう1人の自分が出てきます(二重心)。敦子の上司の所長のように意識が乗っ取られた感覚になり、自分が意図せずに急に支離滅裂になります(トランス、憑依)。また、脳血管障害などの器質的な原因がある場合、例えば自分の意思とは別に手が勝手に動いてしまいます(エイリアンハンド、分離脳)。睡眠生理学的には、半覚醒の状態では脳内のアミン系が減りつつも出ていて、コリン系が活発化しています。夢見(レム睡眠)に近い状態です。アセチルコリンは、副交感神経に作用する「リラックスホルモン」であるだけでなく、脳内の視覚中枢、感情中枢、運動中枢を活性化する「夢見ホルモン」とも言えます。この時、レム睡眠に近い状態になるので、前頭葉の働きが弱まるにもかかわらず、記憶中枢(海馬)は活性化します。最近の研究では、この半覚醒の状態は、「デフォルトモード」と呼ばれます。この時に、記憶の整理や学習が進むので、もの分かりが良くなり、言われたことをすんなり受け止めやすくなります。これは、かつて「無意識」として、催眠療法や精神分析療法で「暗示」に利用されていました。3)自分の動き、感覚、想起が思いのままである―自律性3つ目は、自分の動き、感覚、想起が思いのままであることです。厳密に言えば、運動機能、感覚機能、記憶機能が全うされていることです(自律性)。逆に、ストレスや恐怖で、起きている時に、先ほど紹介したローカルスリープがある脳領域で過剰になる場合、その脳の機能が部分的に喪失している病的な状態になります(転換性障害)。例えば、立位・歩行機能の喪失なら、腰が抜けて立てなくなったり(失立)、膝が抜けて歩けなくなります(失歩)。発声機能の喪失なら、声が出なくなります(失声)。協調運動機能の喪失なら、手が震えたり(心因性振戦)、字が書けなくなったりします(書痙)。嚥下機能の喪失なら、喉の違和感が出てきます(ヒステリー球)。聴覚機能の喪失なら、突然に聞こえなくなります(突発性難聴)。視覚機能の喪失なら、突然に目が見えなくなります(心因性視力障害)。また、記憶機能の喪失なら、特定の記憶が思い出しにくかったり(抑圧)、思い出せなかったり(選択的健忘)、重度の場合は自分の生活史の全てを思い出せなかったりします(全般性健忘)。これらは、あくまで脳が局所的に「失神」をしているローカルスリープが原因であるため、現代の身体的な精密検査においては明らかな異常とならないのが特徴です。夢に何ができる?これまで、夢を見ている状態、眠っている状態、起きている状態の正体を解き明かしてきました。それでは、夢に何ができるでしょうか? ここから、夢の利用の可能性について、3つご紹介しましょう。1)夢から気付きを得る―ひらめき敦子がパプリカに「言うことを聞きなさい」と叱りつけると、「自分も他人もそうやって思い通りにできると思うなんて」と言い返されます。そこで敦子は我に返り、「時田くんを放っておけない。だって私・・・」と言い、どうしようもない時田を愛しているという自分の抑え込んでいた本当の気持ちに気付くのです。敦子が自分を抑えてクールで知性的な大人の女性であるのに対して、パプリカはまさにスパイスの利いた赤い野菜のように、無邪気で開放的な少女です。性格がとても対照的です。パプリカは、敦子が普段、意識せずに抑えていたもう1人の自分だったのです。1つ目は、夢から気付きを得ることです。それは、起きてる時には思いも付かなかった発想、生きるヒント、さらにはひらめきです。例えば、世紀の科学的な発見、商業的な発明、名曲や名画などは、夢に出てきたという逸話をよく聞きます。そのわけは、起きている時は緊張して堂々巡りの頭でっかちの脳が、前頭葉の働きが弱まることで、連想性や創造性が柔軟になり、情感、発想力、そして直感力が高まるからです。ただし、私たちが夢について話をする時に注意することは、夢はあくまでポジティブな気付きを得るきっかけとして利用するのみとすることです。かつての夢分析のように、不安などのネガティブな感情を煽ったり、性的な関心事に結び付けるなどの過剰な解釈をしないことです。なぜなら、先ほどにも説明したように、夢は突飛で、そもそも内容の解釈にエビデンスがないからです。2)夢をコントロールする―明晰夢粉川警部は、夢の中に登場するバーテンダーの質問によって、繰り返す不快な夢のわけが、過去にやり残したことであることに気付きます。そして、再び同じ夢を見た時、その夢の続きをハッピーエンドにして完成させるのです。また、敦子が犯人と直接対決をするラストシーン。敦子は、無意識の幼児の姿で立ち向かい、犯人の欲望のイメージを丸ごと飲み込み、清々しい爽やかな大人の姿へと成長します。これらは、夢の中ではネガティブな内容をポジティブな内容に変えられることを象徴的に描いています。2つ目は、夢をコントロールすることです。本来、夢を見ている時はその自覚がないので、コントロールすることはできません。そこで、自覚ができるように訓練するのです。いわゆる明晰夢です。そのために必要なのは、起きている時に夢についての意識を高めることです。例えば、夢の内容を細かく記録することです(夢日記)。そして、繰り返し見るネガティブな夢を、ポジティブな筋書きに書き変えて、起きている時に想像することです(イメージリハーサル)。これはちょうど認知行動療法で、ネガティブな思考パターンにポジティブな思考パターンを増やしてバランスを変えていくアプローチに似ています(認知再構築)。また眠る前に、「明晰夢を見る」と念じることです。これはちょうど翌朝に起きる時間を意識したら(注意睡眠)、その時間の少し前に自然に目が覚めることに通じています(自己覚醒)。また、起きている時に、普段よりも五感を研ぎ澄まして全身で世界を感じ取れるように注意力を高めることです(マインドフルネス)。これは、言うなれば「超覚醒」の状態です。そうすることで、もともと夢を見るレム睡眠時に抑制される機能である前頭葉のメタ認知が活性化される可能性があります。さらに、最近の研究では、夢を見ている時に、経頭蓋交流電気刺激(tACS)によって、前頭葉を直接刺激して、明晰夢にすることが可能になってきています。3)夢を変える―オプトジェネティックス冒頭のシーンで、パプリカは粉川警部に「DCミニ。これは夢の扉を開く科学の鍵なの」と説明します。粉川がさっきまで見ていた夢の内容は全てパソコンで映像化され、録画されています。まさにこの映画はSFファンタジーだと思いきや、近い将来にこの「DCミニ」が現実のものになる可能性があります。3つ目は、夢を変えることです。これに近い手法としては、かつて催眠療法で、クライエントに振り子を追わせてまどろみを引き起こし、半覚醒の状態で、セラピストがトラウマ体験の意味付けや解決のための指示をしていました。現在は、眼球運動脱感作再処理法(EMDR)として、クライエントに左右を往復するライトを追わせるなどして目を左右に動かさせながらトラウマ体験を語らせ、セラピストがそれに対してのポジティブな意味付けを促します。ちなみに、EMDRに、新しい技術である仮想現実(VR)を取り入れた手法も今後は可能になるでしょう。催眠療法もEMDRも、眼球運動により半覚醒の状態を引き起こします。これは、眼球運動とアセチルコリンの誘発は連動しているので、レム睡眠で急速眼球運動が出てきますが、逆に眼球運動をするとレム睡眠に近い状態になるということです。つまり、寝付きが良くない時に、眼球を動かすと眠気が来やすくなるということです。ちなみに、アセチルコリンを減らす抗コリン薬の副作用が、眼球上転という眼球が動かなくなる症状であるのも納得がいきます。催眠療法やEMDRが、セラピストのコントロールによって、覚醒状態から意識レベルを下げます。一方、先ほどの明晰夢は、自分のコントロールによって夢見状態から意識レベルを上げます。両者は、スタートは違いますが、トラウマ体験の記憶の上書きがしやすい状態になるという意味でゴールは同じです。そして、最近、人工知能による解析によって、どんな夢を見ているかまで分かるようになりました(夢の可視化)。さらに、最新の研究では、光ファイバーによる脳への刺激によって、別々の記憶をつなぎ合わせたり、引き離したりすることができる可能性が出てきました(オプトジェネティクス)。これは、夢を直接変えることに応用できそうです。例えば、トラウマ体験の夢を見ている時に、楽しい体験の記憶のパターンを刺激することで、トラウマ体験自体の辛さが緩和されるということです。さらに、近未来には、眠って夢を見ているときだけでなく、起きている時も、「DCミニ」のような装置によって、私たちの意識が仮想現実の空間で共有される日が来るかもしれません。夢には「夢」があり「夢中」になれる今回、進化医学的に夢を見ることに意味がないと説明しました。しかし、夢を利用することには限りない可能性が秘められていることが分かってきました。これこそまさに「夢」のある話です。そのことを知った今、私たちは夢についてもっと「夢中」になることができるのではないでしょうか?1)筒井康隆:パプリカ、中公文庫、19972)櫻井武:睡眠の科学、講談社、20103)三島和夫編:睡眠科学、科学同人、20164)アラン・ホブソン:ドリームドラッグストア 意識変容の脳科学、創造出版、20075)アンソニー・スティーブンズほか:進化精神医学、世論時報社、2011

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日本の外来患者、抗精神病薬の処方傾向を分析:京都大

 京都大学の河内 健治氏らは、精神科医療のコミュニティベースのアプローチに重点を置き、日本の外来患者に対する抗精神病薬処方の傾向を評価した。Pharmacoepidemiology and drug safety誌オンライン版2017年3月7日号の報告。 本研究は、全国の調剤薬局1,038施設からの処方箋データを用いた記述的疫学論文。2006~12年に、初めて抗精神病薬を処方された18歳以上の外来患者を評価した。単剤処方、多剤併用処方、抗精神病薬の用量、向精神薬の併用処方について年間の傾向を分析した。 主な結果は以下のとおり。・外来患者は、15万2,592例であった。そのうち、18~64歳は10万1,133例(成人群:66%)、65歳以上は5万1,459例(高齢者群:34%)であった。・成人群における2006年と2012年の処方傾向は以下のとおりであった。 ●第2世代抗精神病薬単剤処方:49%から71%へ増加 ●第1世代抗精神病薬単剤処方:29%から14%へ減少 ●抗精神病薬多剤併用処方:23%から15%へ減少・高齢者群における2006年と2012年の処方傾向は以下のとおりであった。 ●第2世代抗精神病薬単剤処方:64%から82%へ増加 ●第1世代抗精神病薬単剤処方:29%から12%へ減少 ●抗精神病薬多剤併用処方:7%から6%へ減少・研究期間中の抗精神病薬の用量は、成人群の80%超、高齢者群の90%超において、リスペリドン等価換算量6mg/日未満であった。・各種向精神薬の併用処方率は以下のとおりであった。 ●抗不安/鎮静薬:成人群70%、高齢者群43% ●抗うつ薬:成人群33%、高齢者群16% ●抗パーキンソン薬:成人群20%、高齢者群19% ●気分安定薬:成人群20%、高齢者群8% ●抗認知症薬:成人群0.3%、高齢者群16% 著者らは「大規模処方箋データより、日本の外来患者における抗精神病薬の高用量処方と多剤併用処方は、これまで考えられていたよりも広く行われていない」としている。関連医療ニュース 日本のデータベースから各種抗精神病薬のEPS発現を分析 抗精神病薬のスイッチング、一括置換 vs.漸減漸増:慶應義塾大 各抗精神病薬、賦活系と鎮静系を評価

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VR(仮想現実)はパーキンソン病のリハビリに有効か【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第87回

VR(仮想現実)はパーキンソン病のリハビリに有効か 足成より使用 バーチャルリアリティ(VR)システムPlayStation VRが登場し、ハマっている医師も多いかもしれません。バイオハザード7が発売されたので、私もぜひとも欲しいところですが、子供が家にいるので、お父さんはなかなかゲームなんてできません。さて、医療にVRを利用しようという試みは、すでに複数の研究グループによって検証されていますが、とくに脳卒中や神経疾患のリハビリテーションの分野で盛んです。 Dockx K, et al.Virtual reality for rehabilitation in Parkinson's disease.Cochrane Database Syst Rev. 2016;12:CD010760.昨年末にコクランからパーキンソン病のリハビリテーションにVRが応用できるかどうかを検討したシステマティックレビューが発表されました。VRが歩行や平衡に有意な影響を与えるかどうかを調べたものです。そのほか、運動機能、ADL、QOL、認知機能など複数の項目を調べました。とはいっても、PlayStation VRのようなタイプのVRとは限りません。論文で「virtual reality」と記載されたランダム化比較試験すべてを対象にしています。8研究・263例のパーキンソン病の症例が対象となりました。いずれもサンプルサイズは小さい研究で、エビデンスの質も低いと言わざるを得ないものばかりでした。VRは主に理学療法と比較され、歩幅・重複歩長(step and stride length)に関して中等度の改善をもたらしました(標準化平均差[SMD]:0.69、95%信頼区間[CI]:0.30~1.08[3試験106例])。また、歩行(gait)については理学療法と同様の効果をもたらしました(SMD:0.20、95%CI:-0.14~0.55[4試験129例])。平衡(SMD:0.34、95%CI:-0.04~0.71[5試験155例])、QOL(平均差:3.73単位、95%CI:-2.16~9.61[4試験106例])についても、VRは理学療法と同等の効果でした。VRを利用したことによる有害事象は報告されませんでした。エビデンスの質は低いものの、歩幅・重複歩長の改善が見込める可能性を残してはいます。ただ現時点で、通常の理学療法ではなくVRを用いなければならないほどの説得力はなさそうです。インデックスページへ戻る

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