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ニボルマブ、進行肝細胞がんへの挑戦/ASCO2017

 進行肝細胞がん(HCC)における1次治療薬の選択肢はソラフェニブ(商品名:ネクサバール)だけである。本年(2017年)レゴラフェニブ(商品名:スチバーガ)が2次治療薬として米国食品医薬品局(FDA)に承認されたが、免疫チェックポイント阻害薬ニボルマブはこれらの患者集団における新たな選択肢となるのだろうか。 Checkmate040試験は進行HCC患者に対するニボルマブ(製品名:オプジーボ)の第I/II相試験。シカゴにて開催された米国臨床腫瘍学会年次大会(ASCO2017)で、米国Providence Cancer CenterのTodd S. Crocenzi氏らが発表した。 Checkmate040試験ではニボルマブ投与患者を、ソラフェニブ非治療群とソラフェニブ治療群に分け、さらに各群を用量漸増アーム(ニボルマブ投与量0.1~10mg/kg)と拡大アーム(ニボルマブ投与量3mg/kg)に分けて効果と安全性を評価している。今学会ではソラフェニブ非治療群と治療群の生存と効果の持続性の成績が発表された。主要評価項目は用量漸増アームでは安全性と忍容性、拡大アームでは奏効率(ORR)。副次的評価項目はORR(用量漸増アームのみ)、病勢コントロール率(DCR)、初回奏効までの期間、奏効期間(DOR)、全生存期間(OS)であった。 合計264例の患者が登録された。Child-Pughスコアは全例が5以上。多くの患者が重度の治療を受け、肝外転移を有していた。 盲検下独立中央判定(BICR)によるORRは、ソラフェニブ非治療群で20%、ソラフェニブ治療群の漸増アームで19%、同群の拡大アームでは14%であった。DCRは、ソラフェニブ非治療群で54%、ソラフェニブ治療群で55%であった。効果の発現は早く、客観的奏効を達成した患者のうち、ソラフェニブ非治療群の56%、ソラフェニブ治療群の64%が3ヵ月以内に奏効した。DORはソラフェニブ非治療群で17ヵ月、ソラフェニブ治療群では19ヵ月。OSはソラフェニブ非治療群で28.6ヵ月、ソラフェニブ治療群漸増アームでは15.0ヵ月、拡大アームでは15.6ヵ月であった。ニボルマブの効果は、ソラフェニブ治療経験の有無、HCCの病因またはPD-L1発現の有無とは無関係であった。また、ニボルマブの安全性プロファイルは、いずれの群でも既知のものであった。 現在、1次治療でのニボルマブとソラフェニブの第III相比較試験CheckMate459試験が進行中である。■参考 ASCO2017 Abstract Checkmate040試験(Clinical Trials.gov)■関連記事肝細胞がんに対するニボルマブの優先審査を受理:FDA

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肝細胞がんに対するニボルマブの優先審査を受理:FDA

 ブリストル・マイヤーズスクイブ社は2017年5月24日、米国食品医薬品局(FDA)が、ソラフェニブ治療歴のある肝細胞がん(HCC)を対象としたニボルマブ(商品名:オプジーボ)の適応拡大を求める生物学的製剤承認一部変更申請(sBLA)を受理したと発表した。FDAは、以前にHCC治療薬としてニボルマブを希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)に指定しており、今回、本申請を優先審査の対象として受理した。FDAによる審査完了期日は、2017年9月24日である。 この申請は、B型肝炎ウイルスまたはC型肝炎ウイルス感染および非感染進行HCC患者に対するニボルマブの第I/II相試験CheckMate-040の結果に基づいている。この試験データは、Lancet誌に最近掲載され、本年(2017年)の米国臨床腫瘍学会(ASCO)総会ポスターディスカッションセッションで発表される。■参考 ブリストル・マイヤーズスクイブ株式会社ニュースリリース El-Khoueiry AB, et al. Lancet. 2017 Apr 20. [Epub ahead of print] Checkmate-040試験(Clinical Trials.gov)

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頭頸部がん領域で求められる体制整備

 2017年4月27日、都内にて“頭頸部がん治療とがん免疫療法薬「オプジーボ」”と題するセミナーが開かれた(主催:小野薬品工業株式会社/ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社)。演者である田原 信氏 (国立がん研究センター東病院 頭頸部内科長)は、「今後、免疫療法は頭頸部がん治療に新たな展望をもたらすだろう」と期待を述べた。 以下、セミナーの内容を記載する。頭頸部がんにおける治療課題 頭頸部がんは、口腔、咽頭、喉頭、甲状腺など、頭頸部領域に発生するがんの総称である。本邦の年間推計患者数(甲状腺がんを除く)は4万7,000人。Stage III、IV期の進行がんが約6割で、その半数は再発に至る。再発後は化学放射線療法などが施行されるが、頭頸部が対象のため、「ご飯が飲み込めない」「皮膚がただれる」といった急性毒性で苦しむ患者も多い。 さらに、晩期毒性による死亡リスクの増大も問題であった。頭頸部がんへの新たな標準治療オプション 新たな治療手段が求められるなか、2017年3月24日、抗PD-1抗体「オプジーボ(一般名:ニボルマブ)」が、「再発又は遠隔転移を有する頭頸部がん」に対する適応を取得した。 オプジーボは、プラチナ抵抗性の再発・転移頭頸部がん患者361例を対象としたCheckMate-141試験で、全生存期間7.49ヵ月(95%CI:5.49~9.10)と、対照群の5.06ヵ月(95%CI:4.04~6.05)に対して有意な延長を示した(HR:0.70、97.73%CI:0.51~0.96、p=0.01011 [層別 log-rank検定])。安全性プロファイルは、これまでの臨床試験の結果と一貫しており、プラチナ抵抗性の再発・転移頭頸部がんへの新たな標準治療オプションになると予想される。頭頸部がんは免疫抑制腫瘍 とくに、頭頸部がんの微小環境内では、さまざまな段階で免疫調節が生じているとの報告もある。オプジーボのような免疫チェックポイント阻害薬は、免疫抑制腫瘍である頭頸部がんに高い抗腫瘍効果をもたらすと期待される。実際、頭頸部がんを対象に複数の免疫チェックポイント阻害薬が開発段階にある。今後も免疫療法は、頭頸部がん治療に新たな展望をもたらすだろう。他科連携、診療連携プログラムの構築で緊密な連携を目指す その一方で、副作用管理、バイオマーカー探索などの課題も存在する。とくに、頭頸部がんはがん全体からみればマイナーながん種ということもあり、頭頸部がんに精通した医師自体が少なく、これまで集学的治療が実践されてこなかった。頭頸部がんの専門医は主に、耳鼻咽喉科・頭頸部外科を中心とする「頭頸部外科専門医」、口腔外科が中心の「口腔外科専門医」、腫瘍内科医が中心の「がん薬物療法専門医」と、複数の診療科にまたがっている。今後は医科歯科連携、頭頸部がん薬物療法診療連携プログラムの構築といった、緊密な連携による対策が求められるだろう。 また、肺がんでの「SCRUM-Japan」のような無償での検索体制構築はなく、Precision Medicineに向けた課題は存在する。今後、頭頸部がん領域でも体制整備が進み、さらなる治療成績向上が実現することを期待したい。

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ニボルマブの恩恵を受けるのは腫瘍変異が高い症例?:CheckMate-026探索的研究

 残念ながらポジティブな結果とはならなかった、転移・再発非小細胞肺がん(NSCLC)1次治療のニボルマブ(商品名:オプジーボ)の無作為化試験CheckMate-026だが、探索的研究では、ニボルマブの恩恵は、腫瘍変異負荷(tumor mutation burden:TMB)の高い患者において引き出されるという結果を明らかにした。 この探索的研究は、エクソーム配列決定に十分なサンプルを有する患者を対象に行われ、TMBの三分位分布に基づいて患者を低TMB(0~99)、中TMB(100~242)、高TMB(243以上)に等しく分割して解析した。高TMB患者ではニボルマブORR、PFSを改善 主な結果は以下のとおり。・無作為化された患者541例中312例(57.7%)が評価可能なTMBデータを有していた(患者のベースライン特性、PFS、OSは、全患者と同等)。・高TMB患者の割合はニボルルマブ群で低かった(化学療法群39.0% vs.ニボルマブ群29.7%)。・高TMB患者におけるPFSは、ニボルマブ群9.7ヵ月に対し、化学療法群5.8ヵ月と、ニボルマブ群でより改善されていた(HR:0.62、95%CI:0.38~1.00)。・高TMB患者における奏効率(ORR)は、ニボルマブ群46.8%に対し、化学療法群28.3%と、ニボルマブ群で高かった。・OSは両治療群で同等であった。・化学療法群からニボルマブへのクロスオーバー率は65%であった。(ケアネット 細田 雅之)参考AACR 2017 abstract非小細胞肺がん1次治療、ニボルマブ単剤と化学療法の比較:CheckMate026

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ニボルマブによるNSCLCの5年全生存率が明らかに

 ニボルマブ(商品名:オプジーボ)の非小細胞肺がん(NSCLC)の5年全生存率(5年OS)が、ジョンズ・ホプキンスBloomberg–Kimmel Institute for Cancer ImmunotherapyのJulie Brahmer氏らにより、米国がん学会年次総会(AACR2017)で明らかになった。この研究はニボルマブの第Ib相臨床試験CA209-003のコホートデータを解析したものであり、免疫チェックポイント阻害薬による転移性NSCLCの長期生存率に関する初めての報告である。5年OSは16%。3年目以降はプラトーに CA209-003試験では、高度な前治療歴のある進行NSCLC患者が、PD-L1状態に関係なく登録された。ニボルマブが有望な有効性を示し、その後の米国食品医薬品局(FDA)による進行NSCLCの2次治療の承認につながっている。 5年(最低期間58.25ヵ月)のフォローアップの結果、全体の5年OSは16%であった。組織別にみると、扁平上皮がんでは16%、非扁平上皮がんでは15%であった。経時的にみると、1年42%、2年24%、3年18%、5年16%と、3年目以降は横ばい傾向であった。 5年以上生存した16例の患者における、PRは12例、SD、PDは各2例であった。この16例中12例では、さらなる治療を必要としなかった(8例は副作用なしに2年間治療、4例は副作用のため早期に中止)。 PD-L1発現状況と5年OSの関連をみると、PD-L1発現1%未満では20%、1%以上50%未満23%、50%以上43%と、発現が高くなると共に生存率が上昇する傾向にあった。しかし、対象患者の47%にあたる61例はPD-L1測定不能であった。従来の数倍の5年OSだが、予測にはさらなる研究が必要 米国国立がん研究所(NCI)のSEERデータによると、転移性NSCLC患者の5年OSは4.9%。この研究での5年OSは標準治療を受けている患者集団の数倍となる。しかし、5年以上の生存を予測する一貫したパターンは明らかにならなかった。効果の持続性は証明されたものの、免疫システムが、がんを完全に排除して治療が不要になったのか?治療が持続的に免疫記憶を呼び覚ましているのか?さらなる研究が必要である、とBrahmer氏は述べている。(ケアネット 細田 雅之)参考AACRニュースリリースブリストル・マイヤーズ スクイブ(グローバル)プレスリリース

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ニボルマブ、胆道がんの先駆け審査対象品目に

 小野薬品工業株式会社(本社:大阪市、代表取締役社長:相良暁)とブリストル・マイヤーズ スクイブ社は2017年4月24日、ヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体ニボルマブ(商品名:オプジーボ)が、4月21日付で「胆道がん」を対象に、厚生労働省が定める「先駆け審査指定制度」の対象品目として指定を受けたと発表した。 本邦においてオプジーボは、根治切除不能な悪性黒色腫の治療薬として2014年9月に発売され、2015年12月に切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん、2016年8月に根治切除不能または転移性の腎細胞がん、同年12月に再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫、2017年3月には再発又は遠隔転移を有する頭頸部がんに対する承認を取得している。承認申請中は胃がん、臨床試験実施中には食道がん、胃食道接合部がん、小細胞肺がん、肝細胞がん、膠芽腫、尿路上皮がん、悪性胸膜中皮腫、卵巣がん、胆道がんなどがある。(ケアネット 細田 雅之)参考ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社プレスリリース

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医師主導で進むプレシジョン・メディシン―第15回 肺がん医療向上委員会

 4月13日(木)、都内で日本肺癌学会主催の第15回 肺がん医療向上委員会が開催され、「肺がん領域におけるプレシジョン・メディシン:その影響と将来」をテーマに後藤 功一氏(国立がん研究センター東病院 呼吸器内科)が講演を行った。自身が研究代表者を務める希少肺がん領域の遺伝子スクリーニングネットワーク「LC-SCRUM-Japan」の取り組みを中心に、日本におけるプレシジョン・メディシン(精密医療)の進展と今後の展望について論じた。希少肺がんの治療薬開発を医師主導で 患者数の多いEGFR遺伝子変異やALK融合遺伝子に対しては分子標的薬の開発が進んでいるが、希少な遺伝子変化に対する製薬会社主導の積極的な治療薬開発、臨床試験の実施は難しい。しかし、非小細胞肺がんの1~2%で希少といわれる遺伝子変化であっても、年間約7万人が亡くなる肺がん患者数を考えれば決して小さな数字ではない、と後藤氏。 そこで2013年2月、全国の医療機関で対象患者を集めるための遺伝子スクリーニングを行い、医師主導の臨床試験を実施して治療薬開発を目指すプロジェクト「LC-SCRUM-Japan」が発足。非扁平上皮非小細胞がん患者を対象にスタートし、2015年には扁平上皮がん、小細胞がん患者にも対象が拡大され、2017年3月時点で4千例超の肺がん患者が登録されている。 2015年2月からは、消化器がん領域の遺伝子スクリーニングネットワーク「GI-SCRUM-Japan」と統合し、アカデミアと臨床現場、企業が一体となって進める大規模プロジェクト「SCRUM-Japan」として始動。全国約240の医療機関と製薬企業15社が参加している(2017年3月時点)。 これまでに実施された臨床試験によって、RET 融合遺伝子陽性肺がんに対するバンデタニブの有効性が確認され、現在適応拡大申請の準備が進んでいる。また、マルチプレックス遺伝子診断薬の臨床応用にも取り組んでおり、複数の遺伝子を一度に解析できる診断薬の承認申請に向けて準備中だ。地域差なく臨床試験にアクセス可能 後藤氏は、希少肺がん患者がこのネットワークを活用して病院・地域を超えて自分に合った臨床試験に参加するチャンスが生まれることが非常に重要、と話す。「LC-SCRUM-Japan」に全国の参加医療機関を通じて登録した患者は、まず検体(新鮮凍結組織+プレパラートあるいは胸水のどちらか)を提供する。提供された検体は検査会社で一元的に遺伝子解析され、結果が各医療機関に報告される。併せて、診断された遺伝子変化をターゲットとした企業治験を含む臨床試験の情報が提供されるという流れで、遺伝子検査費用は企業が負担するため、遺伝子検査費用について患者の自己負担は発生しない。日本ならではの「プレシジョン・メディシン」確立に向けて 2017年4月からは、「SCRUM-Japan」の第2期として2年計画のプロジェクトを開始。遺伝子解析結果と臨床データを紐づけた臨床ゲノムデータベースの構築や、血液を用いた解析が可能なマルチプレックス遺伝子診断薬の導入、肺がん免疫療法におけるバイオマーカー探索のための観察研究などに取り組む予定だという。 最後に後藤氏は、日本ならではの良質なサンプルに基づいた効率のよい遺伝子スクリーニング、臨床試験情報・患者情報の共有による試験登録や海外との統合解析等を引き続き推進しながら、より多くの患者に有効な治療薬を届けるための仕組みを構築し、世界に先駆けてプレシジョン・メディシンを確立していきたい、と結んだ。

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にきび治療のイソトレチノイン、うつ病リスクは?

 ざ瘡(にきび)のisotretinoin治療と、うつ病リスクの増加に関連はあるのか。これまで定量分析は行われていなかったが、台湾・台北医学大学のYu-Chen Huang氏らはシステマティックレビューとメタ解析を行い、両者に関連性はなく、むしろざ瘡の治療は抑うつを改善する可能性があることを示した。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2017年3月10日号掲載の報告。 研究グループは、isotretinoin治療を受けているざ瘡患者15例以上を対象にした対照試験または前向き非対照試験について、2016年9月30日までに公表された論文を検索し、うつ病の有病率ならびに抑うつスコアの変化を算出した。 主な結果は以下のとおり。・31試験がレビューに組み込まれた(無作為化試験はなし)。・対照試験では、isotretinoin治療群と他の治療群との間で、ベースラインからの抑うつスコアの変化に有意差はなかった(標準化平均差[SMD]:-0.334、95%信頼区間[CI]:-0.680~0.011)。・うつ病の有病率は、isotretinoin治療後に有意に低下した(相対リスク:0.588、95%CI:0.382~0.904)。・平均抑うつスコアは、ベースラインから有意に低下した(SMD:-0.335、95%CI:-0.498~-0.172)。・なお、試験間で大きなばらつきが観察された。

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2016年世界肺癌学会の動画レポートを公開:肺がん医療向上委員会

 特定非営利活動法人 日本肺癌学会「肺がん医療向上委員会」は、昨年(2016年)12月にオーストリアのウィーンで開催された第17回世界肺癌会議(WCLC/IASLC 2016)を取材し、全16本の動画レポートを制作し、公開した。 IASLC の「ペイシェント・アドボカシーアワード(Patient Advocacy Awards)」を受賞し、WCLC/IASLC 2016 に招待された「日本肺がん患者連絡会」代表の長谷川 一男氏の協力を得て、アドボカシーの視点から世界肺癌学会を取材し、最先端の学術的発表、世界各国のアドボカシー活動の現状などをまとめたもの。 第3世代TKI、免疫チェックポイント阻害薬、新ステージ分類など最新の発表の模様と、日本肺癌学会理事長の光冨徹哉氏の解説も収録されている。(ケアネット 細田 雅之)参考日本肺癌学会ニュースリリース(PDF)世界肺癌学会レポート:アドボカシーの視点から(動画サイト)

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これで良いのかPD-L1測定…22C3と28-8の違いは?

 非小細胞肺がん(NSCLC)において、PD-L1阻害薬のバイオマーカーPD-L1免疫組織化学染色(IHC)は薬剤ごとに固有のアッセイが対応しているが、どのアッセイで判定してもPD-L1染色の結果は同じなのか? 承認済および臨床試験を含め、米国におけるPD-L1アッセイは、ニボルマブの28-8、ペムブロリズマブの22C3 、atezolizumabの SP142、durvalumabのSP263 という4種がある。Blueprint PD-L1 IHC Assay Comparisonプロジェクトは、この4種のPD-L1 のIHCアッセイを分析し、臨床的に比較し情報提供する初めての産学協同の試みである。22C3、28-8、SP263ではPD-L1染色陽性腫瘍細胞の割合は同等 合計39例のNSCLC腫瘍標本を、臨床試験と同様に上記4種のPD-L1 IHCアッセイで染色した。3名の専門家が、各々のアッセイの染色陽性強度を独立評価した。さらに各アッセイの固有カットオフを用いて患者を分類し、臨床的診断性能を比較した。各アッセイのカットオフ値は、28-8と22C3は腫瘍細胞1%(TC1%)、SP263は腫瘍細胞25%(TC25%)、SP142は腫瘍細胞1%そして/または免疫細胞1%(TC/IC 1%)であった。 ニボルマブの28-8、ペムブロリズマブの22C3 、atezolizumabの SP142、durvalumabのSP263 という4種のPD-L1アッセイを比較した主な結果は以下のとおり。・PD-L1染色陽性腫瘍細胞の割合は、22C3、28-8、SP263では同等であったが、SP142はそれら3種よりも低かった。・4種のアッセイでの染色のばらつきは、免疫細胞のほう腫瘍細胞よりも高かった。 ・38例中19例(50.0%)はすべてのアッセイで共通してカットオフ値以上に、5例(13%)はすべてのアッセイで共通してカットオフ以下に分類された。 ・38例中14例(37%)は、アッセイによってカットオフ値以上か以下か異なる結果となった。・各アッセイのカットオフ値以上の割合は、28-8では60.5%、22C3では60.5%、SP263では52.6%、SP142では78.9%と、SP142で高かった。 この試験では、3つのアッセイについてPD-L1発現の分析性能は同等ではあるものの、アッセイとカットオフ値を替えることで、PD-L1ステータスの誤分類につながる可能性が示された。 異なる特異的なPD-L1カットオフを踏まえた上での代替染色アッセイの活用については、多くのデータが必要である、と筆者は述べている。

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ニボルマブ、再発・転移頭頸部がんに承認

 小野薬品工業株式会社とブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社は2017年3月24日、抗PD-1抗体ニボルマブ(商品名:オプジーボ)が「再発又は遠隔転移を有する頭頸部癌」に対する国内製造承認事項一部変更の承認を得たと発表。 頭頸部がんの国内における年間患者数(甲状腺がんを除く)は2万4,000人と推定されている。再発または遠隔転移を有する頭頸部がんに対しては、プラチナ製剤による化学療法が第1選択として推奨されているものの、大多数の患者で局所に病勢進行が、50%以上の患者で3年以内の再発が認められている。プラチナ製剤投与後、早期に再発または遠隔転移が認められた患者に対しては、既存治療のなかで全生存期間(OS)の延長が検証されている薬剤はなく、新たな治療選択肢が期待されている。 日本人を含む再発または転移性頭頸部がん患者を対象とした国際共同試験(ONO-4538-11/CA209141)において、対照群のOSが5.06ヵ月であったのに対し、ニボルマブは7.49ヵ月(95%CI:5.49~9.10)であり、ニボルマブが有意にOSを延長した(HR:0.70、97.73%CI:0.51~0.96、p=0.0101)。また、当試験におけるニボルマブの安全性プロファイルは、これまでの臨床試験の結果と一貫していた。(ケアネット 細田 雅之)参考小野薬品工業株式会社プレスリリースブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社ニュースリリースONO-4538-11/CA209141(CHECKMATE-141)試験(Clinical Trials.gov)

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日本人の扁平上皮NSCLCにおけるニボルマブの評価

 扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)の2次治療におけるニボルマブ(商品名:オプジ-ボ)の有用性は、先行するCheckMate-017で示されている。本研究は、扁平上皮NSCLCの日本人患者におけるニボルマブの有効性および安全性を検討した、愛知県がんセンター中央病院 樋田 豊明氏らの研究。 この多施設第II相試験では、プラチナ含有化学療法後に進行した進行・再発扁平上皮がん患者に、ニボルマブ3mg/kgを、進行(PD)となるか忍容されない毒性が認められるまで、2週間ごとに投与した。主要評価項目は、独立放射線審査委員会(IRC)評価による全奏効率(ORR)、副次的評価項目は、試験実施施設評価によるORR、全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)、奏効期間、初回奏効までの時間、最良総合効果(BOR)、および安全性である。この調査には、日本の17施設からの35例の患者が登録された。 主な結果は以下のとおり。・IRC評価のORRは25.7%(95%CI:14.2~42.1)であった。・試験実施施設評価のORRは20.0%(95%CI:10.0~35.9)、OSは16.3ヵ月(95%CI:12.4~25.4)、PFSは4.2ヵ月(95%CI:1.4~7.1)、初回奏効までの期間は2.7ヵ月(範囲:1.2~5.5)であった。 ・IRC評価のBORは、部分奏効(PR)25.7%、安定(SD)28.6%、進行(PD)45.7%であった。・治療関連有害事象は24例(68.6%)で報告され、大部分はステロイド療法またはニボルマブの中止を含む治療によって解決した。 ニボルマブはプラチナ含有化学療法後に増悪した進行・再発扁平上皮NSCLCの日本人患者において有効であり、十分な忍容性も示した。

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ペムブロリズマブ、進行性尿路上皮がんの2次治療でOS延長/NEJM

 進行性尿路上皮がんの2次治療において、免疫チェックポイント阻害薬ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)は化学療法に比べ全生存(OS)期間を延長し、治療関連有害事象も少ないことが、米国・ダナ・ファーバーがん研究所のJoaquim Bellmunt氏らが実施したKEYNOTE-045試験で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2017年2月17日号に掲載された。本症の標準的1次治療はプラチナ製剤ベースの化学療法であるが、国際的に承認された標準的な2次治療はなく、2次治療のOS期間中央値は6~7ヵ月にすぎない。ペムブロリズマブはPD-1のヒト型モノクローナルIgG4κアイソタイプ抗体であり、第Ib相試験(KEYNOTE-012試験)および第II相試験(KEYNOTE-052試験)で本症への腫瘍縮小効果が確認されている。542例を対象とする国際的な無作為化試験 KEYNOTE-045試験は、進行性尿路上皮がんの2次治療におけるペムブロリズマブの有用性を評価する国際的な非盲検無作為化第III相試験(Merck社の助成による)。 対象は、年齢18歳以上、腎盂・尿管・膀胱・尿道の尿路上皮がんと診断され、進行病変に対するプラチナ製剤ベースの化学療法施行後の進行例、または筋層浸潤性局所病変に対する術前あるいは術後のプラチナ製剤ベースの化学療法施行後の再発例で、全身状態(ECOG PS)が0~2の患者であった。 被験者は、ペムブロリズマブ(200mg、3週ごと)を投与する群または担当医の選択による化学療法(パクリタキセル、ドセタキセル、ビンフルニンのいずれか)を施行する群に無作為に割り付けられた。 主要評価項目は、全患者および腫瘍のPD-L1発現率(腫瘍に占める、PD-L1を発現している腫瘍細胞と腫瘍浸潤免疫細胞の割合)が10%以上の患者におけるOSおよび無増悪生存(PFS)の複合エンドポイントとした。 2014年11月5日~2015年11月13日に、29ヵ国120施設で患者登録が行われた。542例が登録され、ペムブロリズマブ群に270例、化学療法群には272例が割り付けられた。実際に治療を受けたのはそれぞれ266例、255例(パクリタキセル84例、ドセタキセル84例、ビンフルニン87例)だった。OS期間が約3ヵ月延長 ベースラインの年齢中央値は、ペムブロリズマブ群が67歳(範囲:29~88歳)、化学療法群は65歳(同:26~84歳)、男性がそれぞれ74.1%、74.3%を占めた。PD-L1発現率≧10%の患者の割合は、28.5%、33.8%だった。 全患者のOS期間中央値は、ペムブロリズマブ群が10.3ヵ月と、化学療法群の7.4ヵ月に比べ有意に延長した(ハザード比[HR]:0.73、95%信頼区間[CI]:0.59~0.91、p=0.002)。また、PD-L1発現率≧10%の患者のOS期間中央値も、ペムブロリズマブ群が8.0ヵ月と、化学療法群の5.2ヵ月に比し有意に長かった(0.57、0.37~0.88、p=0.005)。 PFS期間中央値は、全患者(ペムブロリズマブ群:2.1ヵ月 vs.化学療法群:3.3ヵ月、HR:0.98、95%CI:0.81~1.19、p=0.42)およびPD-L1発現率≧10%の患者(0.89、0.61~1.28、p=0.24)とも、両群に差を認めなかった。 全患者の客観的奏効率はペムブロリズマブ群が有意に高く(21.1% vs.11.4%、p=0.001)、奏効までの期間中央値は両群とも2.1ヵ月であった。奏効期間中央値は、ペムブロリズマブ群が未到達、化学療法群は4.3ヵ月だった。奏効期間が12ヵ月以上の患者の推定割合は、それぞれ68%、35%だった。PD-L1発現率≧10%の患者でも、ほぼ同様の結果であった。 治療関連有害事象の発現率は、全Grade(60.9% vs.90.2%)およびGrade 3~5(15.0% vs.49.4%)とも、ペムブロリズマブ群が少なく、治療関連の治療中止(5.6% vs.11.0%)も少なかった。治療関連死は、ペムブロリズマブ群が1例(肺臓炎)、化学療法群は4例(敗血症2例、敗血症性ショック1例、その他1例)に認められた。 ペムブロリズマブ群で頻度の高い全Gradeの治療関連有害事象として、そう痒(19.5%)、疲労(13.9%)、悪心(10.9%)がみられたが、Grade 3~5の有害事象で発現率が5%を超えるものはなかった。2例以上に発現したGrade 3~5のとくに注目すべき有害事象は、肺臓炎(2.3%)、腸炎(1.1%)、腎炎(0.8%)であり、Grade 5は1例(肺臓炎)に認められた。 著者は、「ペムブロリズマブのベネフィットは、腫瘍および腫瘍浸潤免疫細胞のPD-L1発現にかかわらず認められた。バイオマーカーとしてのPD-L1の役割は、現在進行中のより早期の治療ラインの無作為化試験で明らかとなる可能性がある」としている。

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悪性黒色腫〔malignant melanoma〕

1 疾患概要■ 概念・定義悪性黒色腫(メラノーマ:malignant melanoma)は、メラノサイト(メラニン色素産生細胞)ががん化して生じる悪性腫瘍である。表皮基底層部のメラノサイトが、がん化して皮膚に生じることが多いが、粘膜(口腔、鼻腔、肛門部など)や眼内(脈絡膜など)に生じることもある。■ 疫学人種によって発生頻度が大きく異なる。日本人では1~2/10万人年と見積もられている。白人では15~30/10万人年、黒人では0.5/10万人年程度の発生率である。■ 分類表皮に沿った悪性黒色腫細胞の組織学的増殖様式の特徴によって、以下の4型に分けるClark分類が用いられている(図1)1)。(1)表在拡大型: 白人の悪性黒色腫の70~80%を占める病型で、男性の背部や女性の下肢などに好発する(図1a)。日本人では全悪性黒色腫の20%程度を占め、近年増加している。(2)末端黒子型: 掌蹠や爪部を侵す病型であって(図1b)、日本人の悪性黒色腫の最多病型で50%程度を占める。(3)悪性黒子型: 高齢者の顔面に好発する病型で(図1c)、日本人、白人のいずれでも10%程度を占める。(4)結節型: 病変周囲に色素斑を伴わない病型で(図1d)、全身各所に生じうる。日本人の悪性黒色腫の15~20%を占める。なお最近、Bastianらによる新たな分類法が提案され、遺伝子変異を反映する分類として注目されている2)。■ 病因日光からの紫外線が主要発がん因子であり、表在拡大型は強い紫外線への間欠的曝露が、悪性黒子型は長年月にわたる慢性的な紫外線曝露が発生に関与するとされている。ただし、末端黒子型の発生には紫外線は関与せず、機械的刺激の関与が推定されている。■ 症状腫瘍細胞によるメラニン色素産生のために黒褐色調の病変としてみられることが多い1)。臨床的には濃淡不整な不規則形状の黒褐色斑として生じてくる。その後、一部に隆起性結節が生じ、さらに進行すれば潰瘍化を来す。■ 予後Tumor thickness(表皮顆粒層から最深部の悪性黒色腫細胞までの垂直距離をmm単位で表すもの)が最も重要な予後因子であり、T分類もこれによって規定される。AJCC(American Joint Committee on Cancer)の病期別の5年生存率は(同一病期でも亜病期によってかなり大きな差があるが)、病期Iが90%以上、病期IIが50~80%、病期IIIが25~60%程度、病期IVが10%程度である3)。後掲の表に各病期の概要を示した。なお、AJCCの予後予測ツールがネット上に公開されているので参考にされたい(http://www.melanomaprognosis.net/)。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)■ 臨床診断悪性黒色腫の原発巣は、臨床的には大型で不整形状の黒褐色病変としてみられ、多くは色調に無秩序な濃淡差が認められる(図2a)。黒褐色調を呈する皮膚病変は悪性黒色腫以外にも多数存在するので、慎重に鑑別しなければならない1)。主要な鑑別診断と鑑別のポイントは、以下のとおりである。(1)色素細胞母斑: 径7mm程度までの小型の病変で、形状・色調に不規則、不整は目立たない(図2b)。ただし、先天性母斑は大きなことがある。(2)脂漏性角化症: 境界きわめて明瞭な隆起性結節としてみられ、表面が角化性で規則的な顆粒状凹凸を示すことが多い(図2c)。(3)基底細胞がん: 高齢者の頭頸部に好発し、青黒色調の局面、結節としてみられ、潰瘍化することも多い。周囲に色素斑を伴わないこと、病変表面が平滑で、透明感を呈することが特徴である(図2d)。■ ダーモスコピー診断近年、皮膚科診療に導入された診断法であり、乱反射を防止したうえで病変部に白色光を照射しながら10~20倍の拡大像を観察する。肉眼的に認識できないさまざまな所見を明瞭に観察することができ、とくに色素性皮膚病変の診断に有用である。その詳細は成書に譲るが4)、一点だけ日本人に多い掌蹠の悪性黒色腫の診断への有用性を記載する。掌蹠の悪性黒色腫は、ダーモスコピーにて早期段階から皮野(指紋)の隆起部(皮丘)に一致する色素沈着(parallel ridge pattern)を呈するのに対し、良性の母斑は皮野の溝(皮溝)に一致する色素沈着(parallel furrow pattern)を呈する(図3)。この所見の差異は両者の鑑別にきわめて有用であり、掌蹠の悪性黒色腫の早期検出と診断確定に役立つ4、5)。■ 病理組織診断臨床所見やダーモスコピー所見にて診断が確定できない場合は、生検して病理組織学的に診断を確定する。生検は可能ならば全摘生検が望ましい。生検することにより、もっとも重要な予後因子であるtumor thicknessを計測することもできる。悪性黒色腫は病理組織診断も難しいことが知られている。悪性黒色腫早期病変と良性のClark母斑の鑑別、結節型などの悪性黒色腫とSpitz母斑(良性の母斑の一種で、増殖するメラノサイトが顕著な核異型を示す)との鑑別がしばしば問題になる。疑わしい症例は、この方面のエキスパートにコンサルテーションすることが望ましい。■ 画像検査と病期の確定悪性黒色腫と診断されたら、AJCCの病期を決定する。原発巣のtumor thicknessを評価するとともに、理学的に所属リンパ節やその他の部位・臓器への転移がないかを検討する。必要に応じてCTやMRIなどの画像検査も施行する。PETも悪性黒色腫の転移の検出に、きわめて有用である。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)AJCCの病期に対応して表のような治療を施行することが推奨されている。病期I、IIの段階ならば、原発巣の外科的切除を施行する。切除マージンはtumor thicknessによって規定されるが、早期病変は0.5~1cmのマージン、進行病変は2~3cmのマージンが推奨されている。症例によってはセンチネルリンパ節生検の実施を考慮する。病期IIIには原発巣の切除に加えて、所属リンパ節の郭清術を施行する。メラノーマは化学療法に抵抗性で、標準薬とされてきたダカルバジン(商品名:同)でも奏効率は15%程度に過ぎない。近年、分子標的薬が病期IVあるいは外科的根治術不能な病期IIICのメラノーマ患者に有効なことが明らかにされ、治療方針が激変した。病期IVにはMAPK経路の阻害薬や免疫チェックポイント阻害薬が選択される6)。現在、わが国で保険適用となっているのは、MAPK阻害薬では変異BRAF阻害薬のベムラフェニブ(同:ゼルボラフ)、ダブラフェニブ(同:タフィンラー)とMEK阻害薬のトラメチニブ(同:メキニスト)である。免疫チェックポイント阻害薬ではニボルマブ(抗PD-1抗体、同:オプジーボ)、ペムブロリズマブ(抗PD-1抗体、同:キイトルーダ)とイピリムマブ(抗CTLA-4抗体、同:ヤーボイ)である。いずれの薬剤も特有の強い有害反応を有するので、施設内で治療チームを設けて対応することが望ましい。薬剤の選択順位は、確定的な推奨ではないが、増殖スピードの速いメラノーマにはまずベムラフェニブ単独またはベムラフェニブとトラメチニブの併用療法を考える。増殖スピードの遅いメラノーマには当初から抗PD-1抗体(ニボルマブまたはペムブロリズマブ)あるいはイピリムマブを用いる。抗PD-1抗体はイピリムマブよりも奏効率、有害反応の点から臨床的意義が高い可能性がある。ただし、腫瘍細胞がPD-L1陰性の場合はイピリムマブを選択する。これらの治療に抵抗性となった高度進行例には、適切な緩和療法を施行する。4 今後の展望ニボルマブとイピリムマブの併用療法の治験が進んでいる。また、上記以外の分子標的薬も続々と開発され、わが国においても臨床治験が進められている。術後補助療法としてニボルマブとイピリムマブの有用性の比較やペムブロリズマブの有用性も治験が実施されている。5 主たる診療科皮膚科が主たる診療科であり、診断から治療まで一貫した対応ができる。病理組織診断には病理科が、切除後の外科的再建などには形成外科が対応することもある。分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬の使用にあたっては施設内に多職種診療チームを発足させることが望ましい。※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報日本皮膚悪性腫瘍学会が作成した日本皮膚科学会皮膚悪性腫瘍診療ガイドライン(ほぼ同じものがMindsと日本がん治療学会のホームページにも掲載されている)(医療従事者向けのまとまった情報)米国NCCNの診療ガイドライン(リスト中“Melanoma”の項を参照)(医療従事者向けの英文のまとまった情報)国立がん研究センターがん情報サービス:「悪性黒色腫」患者用解説冊子(一般利用者向けのまとまった情報)1)斎田俊明ほか編. 1冊でわかる皮膚がん. 文光堂;2011.p.220-237.2)Curtin JA, et al. N Engl J Med. 2005;353:2135-2147.3)Balch CM, et al. J Clin Oncol. 2009;27:6199-6206.4)斎田俊明編. ダーモスコピーのすべて 皮膚科の新しい診断法.南江堂;2012.5)Saida T, et al. J Dermatol. 2011;38:25-34.6)宇原 久. 癌と化学療法. 2016;43:404-407.公開履歴初回2014年02月27日更新2017年02月21日

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尿路上皮がんにニボルマブ承認:FDA

 米国食品医薬品局(FDA)は2017年2月2日、プラチナベースの化学療法中および後、あるいは白金含有化学療法によるネオアジュバントまたはアジュバント療法12ヵ月以内に増悪した局所進行・転移性尿路上皮がん患者の治療に、ニボルマブ(商品名:オプジーボ)を迅速承認した。 この承認は、上記の尿路上皮がん患者270例を対象にしたシングルアーム試験の結果に基づく。患者は、疾患進行が認められるか忍認できない毒性が認められるまで、2週間ごとにニボルマブ3mg/kgの投与を受けた。RECIST1.1評価基準を用いた独立した放射線学的レビュー委員会によって確認された客観的奏効率は、19.6%(270例中53例、95%CI:15.1~24.9)であった。 7例の患者がCRを示し、46例がPRを示した。カットオフ時の推定奏効期間中央値は10.3ヵ月であった。 多く見られた副作用(20%以上)は、疲労、筋骨格痛、悪心、および食欲低下であった。 ニボルマブに起因する肺炎や心血管障害で死亡した4例の患者を含め、14例の患者が疾患進行以外の原因で死亡した。副作用は患者の17%において用量の中断をもたらした。 FDAは、このニボルマブの申請にブレークスルーセラピー指定と優先審査資格を与え、目標日の約1ヵ月前に承認に至った。ニボルマブは昨年のatezolizumabに続き、尿路上皮がんにおいてFDAの承認を受けた2つ目の免疫チェックポイント阻害薬となった。米国食品医薬品局(FDA)Approved Drugs

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侍オンコロジスト奮闘記~Dr.白井 in USA~ 第36回

第36回:肺がん免疫チェックポイント阻害薬 最近のまとめキーワードatezolizumabペムブロリズマブニボルマブイピリムマブN Engl J MedASCO-GIReck M, et al. N Engl J Med. 2016; 375: 1823-1833.2017 GI Cancers Symposium:Nivolumab Demonstrated Efficacy and Improved Survival in Patients With Previously Treated Advanced Gastric Cancer

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ニボルマブ 標準治療不応の胃がんに良好な効果(ONO-4538-12 試験):ASCO-GI 2017

 小野薬品工業株式会社とブリストル・マイヤーズ スクイブ社は2017年1月20日、標準治療が不応または不耐の切除不能な進行または再発胃がん患者を対象に実施したニボルマブ(商品名:オプジーボ)の無作為化二重盲検第III相臨床試験(ONO-4538-12試験)の結果が、2017 Gastrointestinal Cancer Symposium(ASCO-GI 2017)で発表されたことを明らかにした。 ONO-4538-12 試験は、日本、韓国、台湾において、標準治療が不応または不耐の切除不能な進行または再発胃がん(食道胃接合部がんを含む)患者を対象にONO-4538(ニボルマブ)の有効性および安全性について、プラセボ群を対照として実施された多施設共同第III相臨床試験である。主要評価項目は全生存期間(OS)。副次的評価項目は、無増悪生存期間(PFS)、奏効率(ORR)、安全性等が含まれた。本試験では、過去に2回以上の化学療法後に不応であり、ECOG PS 0~1で20歳以上の上記患者493例を3mg/kgのニボルマブ(n=330)とプラセボ(n=163)に2:1 の比率で無作為に割り付け、病勢進行、もしくは高度な有害事象などの発現が認められるまで2週間ごとに投与された。 本臨床試験の最終解析において、ニボルマブ群がプラセボ群に対して主要評価項目である全生存期間(OS)の有意な延長を示した(HR:0.63、95%CI:0.50~0.78、p<0.0001)。最後に患者が無作為化されてから5.6ヵ月後のOS中央値はニボルマブ群で5.32ヵ月、プラセボ群で4.14ヵ月であった。12ヵ月全生存率は、ニボルマブ群で26.6%、プラセボ群で10.9%、6ヵ月全生存率は、ニボルマブ群で46.4%、プラセボ群で34.7%であった。副次的評価項目であるORRは、ニボルマブ群で11.2%(95%CI:7.7~15.6)、プラセボ群で 0%(95%CI:0.0~2.8)(p<0.0001)であった。PFS中央値は、ニボルマブ群で1.61ヵ月、プラセボ群で1.45ヵ月であった(HR:0.60、95%CI:0.49~0.75、p<0.0001)。Grade3 以上の薬剤関連有害事象(AE)は、ニボルマブ群の11.5%、プラセボ群の5.5%で発現した。薬剤関連AE(Gradeを問わず)による投与中止は、ニボルマブ群で2.7%、プラセボ群の2.5%であった。本臨床試験のデータは、米国サンフランシスコで開催された 2017 GastrointestinalCancer Symposium(ASCO-GI 2017)にて発表された。(ケアネット 細田 雅之)参考ブリストルマイヤーズスクイブ社・小野薬品工業:ニューススリリース(PDF)ASCO-GI 2017の発表ONO-4538-12試験(ClinicalTrials.gov)

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侍オンコロジスト奮闘記~Dr.白井 in USA~ 第34回

第34回:脳転移、せん妄…緩和ケアの話キーワード脳転移せん妄LancetJAMA Intern MedMulvenna P, et al. Dexamethasone and supportive care with or without whole brain radiotherapy in treating patients with non-small cell lung cancer with brain metastases unsuitable for resection or stereotactic radiotherapy (QUARTZ): results from a phase 3, non-inferiority, randomised trial. Lancet. 2016; 388: 2004-2014. Agar MR, et al. Efficacy of Oral Risperidone, Haloperidol, or Placebo for Symptoms of Delirium Among Patients in Palliative Care: A Randomized Clinical Trial. JAMA Intern Med. 2016 Dec 5. [Epub ahead of print]

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サン・アントニオ2016 レポート-3

レポーター紹介オランダから乳房温存手術(BCS:breast conserving surgery)後の放射線治療(以下、RT)のタイミングがおよぼす10年生存率への影響に関する報告があった。グループ1:BCS→RT→+/-CT(2,759例)<42日、 42~55 日、 >55 日、グループ2:BCS→CT→RT(1,120例)<112日、 112~140日、 >140日、に分けて検討している。グループ1(-CT)では>55 日が<42日と比較して無病生存率、無遠隔再発率共に有意に良好であり、+CTでは>55 日と42~55 日が<42日と比較して無病生存率が有意に良好であった。グループ2では再発率は>140日で有意に高かった。しかし交絡因子(年齢、グレード、転移リンパ節個数、ホルモン受容体の状況、内分泌療法の使用、他院RT施設への紹介)で調整すると、グループ1(-CT)でのみ>55 日が<42日と比較して無遠隔再発率が良好であった。結論としてRTをBCSの後にすぐに行う必要はないと述べている。過去の報告では、BCSからRTまでの期間と生存率との関連についてはcontroversialであり、早い方が良いというものもあれば、むしろ遅らせた方が生存率は高いという報告もある。現状では期間にあまりこだわりすぎず、がんの性質や術後の状況に応じて柔軟に対応するのがよいだろう。きわめて増殖率の高い一部の乳がんではどの治療も遅らせないのが賢明であろうと考える。KAMILLA研究という、すでにHER2標的薬と化学療法をしっかり受けた患者に対するT-DM1の安全性と有効性をみる第III b相試験から、脳神経系(CNS)転移の有無でのT-DM1の安全性と有効性を確認し、またCNS転移への効果を評価した結果が報告されていた。安全性と有効性に関してはあまり参考にならないが、CNS転移への効果は大変興味のあるところである。測定可能なCNS転移を持つ患者26例のうち、CRが3例、PRが24例、6ヵ月以上のSDが27例であった(CBR43%)。またCNS病変において最大径が30%以上減少したのは54例(43%)であった( CNS以外がSDまたはPDであった症例も含む)。全身の転移状況にかかわらずCNS転移の減少が4割程度にみられるというのは非常に大きな効果である。しかし、CNS転移以外がPDでCNS転移がPRであった場合の治療方針が難しいところである。通常T-DM1とペルツズマブの併用による生存率向上効果は認められていないが、このような症例には試す価値があるかもしれない。乳がんの既往を持つ女性患者におけるサーベイランスとしてのマンモグラフィと乳房MRIの効果について評価した報告があったので紹介する。米国5地域の乳がんサーベイランスコンソーシアムレジストリーからのデータで、マンモグラフィのみ33,938件、乳房MRI 2,506件であった。データはプロペンシティスコアマッチングで調整されており、無作為化比較試験に近似させたものとなっている。欠損値は5件と非常に少ないうえに補正も行われている。第2がんのリスクが最も高い女性は含まれていないようである。マンモグラフィと乳房MRIとで乳がん発見率は変わらなかったが、MRI施行例では乳房生検率が有意に高かった。このことから乳がん術後の女性に乳房MRIをルーチンに行ってもよい効果は及ぼさないようである。このデータは非常に重要だと考えている。BRCA1/2遺伝子変異保有者には年1回の乳房MRIが推奨されているが、そのような乳がん発症の大きなリスクを持っていない方には、サーベイランスとしての乳房MRIは有用性が確認されないということである。遺伝子検査をしなくても乳房MRIを希望する方を時々みかけるが、やはりリスクに基づいてサーベイランス法を決定することが大切であり、重要な個別化医療の1つである。

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