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マクロファージ免疫CP阻害薬、再発・難治性リンパ腫に有望/NEJM

 中悪性度および低悪性度のリンパ腫の治療において、マクロファージ免疫チェックポイント阻害薬Hu5F9-G4(以下、5F9)は、リツキシマブとの併用で有望な抗腫瘍活性をもたらし、臨床的に安全に投与できることが、米国と英国の共同研究で示された。米国・スタンフォード大学のRanjana Advani氏らが、NEJM誌2018年11月1日号で報告した。5F9は、マクロファージ活性化抗CD47抗体であり、腫瘍細胞の貪食を誘導する。CD47は、ほぼすべてのがんで過剰発現している抗貪食作用(“do not eat me[私を食べないで]”)シグナルであり、マクロファージなどの食細胞からの免疫回避を引き起こす。5F9は、リツキシマブと相乗的に作用してマクロファージが介在する抗体依存性の細胞貪食を増強し、B細胞非ホジキンリンパ腫細胞を除去するとされる。3+3デザインを用い3種の用量で漸増する第Ib相試験 研究グループは、再発または難治性の非ホジキンリンパ腫患者を対象に、5F9+リツキシマブの安全性と有効性を明らかにし、第II相試験の推奨用量の提示を目的とする第Ib相試験を行った(Forty Sevenと米国白血病・リンパ腫協会の助成による)。 対象は、CD20の発現がみられるB細胞リンパ腫(びまん性大細胞型B細胞リンパ腫[DLBCL]または濾胞性リンパ腫)で、再発または2ライン以上の前治療歴のある難治性の患者であった。全身状態(ECOG PS)は0~2とした。3+3デザインを用いて、3種の用量にそれぞれ最少3例を登録した。用量制限毒性の評価は投与開始から28日まで行った。 5F9は、全例に初回用量1mg/kg体重を静脈内投与し、1週間後からの維持用量を10、20、30mg/kg(週1回)と増量した。リツキシマブは、1サイクル目は第2週から毎週375mg/m2体表面積を静脈内投与し、2~6サイクル目は毎月1回投与した。推奨維持用量は30mg/kg、36%で完全奏効 2016年11月~2017年10月の期間に、再発・難治性のDLBCL患者15例と、濾胞性リンパ腫患者7例の合計22例が登録された。5F9の維持用量別の症例数は、10mg/kgが3例、20mg/kgが6例、30mg/kgが13例となった。 全体の年齢中央値は、59歳(範囲:44~82)、男性が12例(55%)で、21例(95%)がECOG PS 0/1、4例(18%)が自家幹細胞移植を受けていた。前治療数中央値は4(範囲:2~10)であり、21例(95%)がリツキシマブ抵抗性で、14例(64%)は直近の治療レジメンに抵抗性であった。 治療期間中央値は22週(範囲:1.7~70.7、治療中の患者を含む)で、22例全例が2剤の投与を受けた。1例が、治療開始から約2週時に有害事象(特発性血小板減少性紫斑病)により投与中止となり、有効性の評価ができなかったが、非奏効例として解析に含まれた。3例が死亡し、全死因死亡率は14%だった。 有害事象は、主としてGrade1または2であった。頻度の高い有害事象は、悪寒、頭痛、貧血、およびinfusion-related reactionsであった。貧血(予測された標的作用)は、5F9の初回投与と維持投与を調節することで軽減された。 用量制限副作用は3例(20mg/kg群の1例[Grade3の肺塞栓症]、30mg/kg群の2例[Grade4の好中球減少、Grade3の特発性血小板減少性紫斑病])に認められたが、最大耐用量には到達せず、第II相試験の5F9の推奨用量は30mg/kgとした。 5F9の初回用量1mg/kgと維持用量30mg/kgにより、循環血中の白血球と赤血球のCD47受容体占有率はほぼ100%となった。 11例(50%)で客観的奏効(完全奏効+部分奏効)が得られ、8例(36%)で完全奏効が達成された。客観的奏効率と完全奏効率は、DLBCL患者でそれぞれ40%と33%、濾胞性リンパ腫患者では71%と43%であった。奏効までの期間中央値は1.7ヵ月(範囲:1.6~6.6)で、フォローアップ期間中央値がDLBCL患者6.2ヵ月、濾胞性リンパ腫患者8.1ヵ月の時点で、奏効例の91%(10/11例)で奏効が持続しており、奏効期間中央値には未到達だった。 著者は、「新たなマクロファージ活性化抗CD47抗体は、リツキシマブとの併用で安全に投与が可能であり、持続的な完全奏効をもたらすことが示された」としている。現在、第II相試験が進行中だという。

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本庶 佑氏が語るがんと共生する未来

 ノーベル生理学・医学賞受賞が決まった、本庶 佑氏(京都大学高等研究院副院長/特別教授)が、2018年11月1日、都内の日本医師会館で、「驚異の免疫力」と題して特別講演を行った。本講演では、がん免疫療法の現状と課題、そして将来への展望が語られた。PD-1阻害薬への期待と現状の課題 本庶氏が発見した抗PD-1抗体とその応用による「免疫療法」は、ヒト個人の免疫力・体力によってがん細胞を殺す新たな治療法だ。ノーベル賞受賞のきっかけとなったPD-1阻害によるがん免疫治療は、1)すべての種類のがんに効く可能性が高い、2)投与を止めても数年以上有効なので再発が少ない、3)がん細胞を直接攻撃せず、免疫系を活性化するので副作用があっても軽い、という理由から画期的な治療法だと、本庶氏は自信を持って紹介した。 また、今後の展望として「PD-1抗体による治療はこれからのがん治療法の第1選択になるだろう」と期待を語った。免疫療法は、がん治療の初期に使うほうが効果が高く、副作用も少ない可能性があり、従来行われている化学療法・放射線療法・外科手術は、患者の免疫力を弱めてしまうため、導入のタイミングには注意が必要だという。 免疫療法の基礎研究における当面の課題としては、メラノーマなど著効するがん種もあるが、一般的な有効率は30%程度であるため、有効率を向上させることや、有効例・無効例を投与前・直後に判定する方法の開発などが残されている。また、臨床現場の課題としては、がん専門医の免疫分野における知識不足を指摘し、「ときどき重大な副作用を見逃したり、死ななくてもいい患者さんを救えなかったりするという問題が起こる」と、とくに副作用対応プロトコルの充実が急務だと強調した。有効性に対する免疫系の影響と進行中の試験 PD-1阻害療法の有効性予測マーカーとしては、腫瘍遺伝子の変異率が高いことが1つ挙げられるが、必ずしも高いとは限らないという。「最も重要なのは、個人の間の免疫力の違い。しかし、これに関しては非常に幅があり、遺伝子を解析しただけでわかるほど免疫系は単純でない。われわれの知識はまだまだ不足している」と語った。 有効性に関して、「キラーT細胞が腫瘍細胞にどれだけ集まるか、キラーT細胞の活力がどれだけ高いかという2つの問題がある」と課題を呈した。腫瘍細胞に存在するキラーT細胞は、PD-1阻害薬によって活性化され、その結果、腫瘍細胞自身が放出したケモカインに、さらにリンパ節で活性化されたキラーT細胞が引き寄せられる。「PD-1阻害薬は、リンパ節から腫瘍細胞へキラーT細胞が移入することで能力が発揮されるので、リンパ節を取れば取るほどいい、という認識は間違っている」と指摘した。 次に、現在行っている試験として、「低分子薬とPD-1阻害薬を組み合わせると、さらに強力ながん免疫治療の開発が可能になるかもしれない。たとえば、抗体の用量を減らしたり、有効性を向上させたりできるのではないかと考えている」と一部を紹介した。「希望的観測として、現在がん免疫療法の割合は全体からみるとわずかだが、これから次第に免疫療法が増えていき、2024年にはPD-1阻害薬関連の売上高は4兆円を超えるといわれている。将来的に、がん治療の主流になり、がんは完全になくさなくてもよく、自分の体力とのバランスで共存することも、がん治療の1つの目標になるかもしれない」と展望を語った。 現在、PD-1阻害薬との組み合わせによるがん治療は、米国だけで1,000件以上の試験が行われている1)。最も多いのは、CTLA-4抗体と組み合わせたもので、ほかにも、化学療法、放射線療法などと組み合わせた試験が行われている。本庶氏は、「今世紀中にがん死はなくなる可能性が出てきた」と期待を表し、講演を終えた。

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免疫CP阻害薬、心血管障害スクリーニングの結果/腫瘍循環器学会

 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の免疫関連有害事象(irAE)としての心血管障害は、報告数は少ないものの、発症すると重篤化する。しかし、真の発生頻度や種類、発生時期については明らかになっていない。国際医療福祉大学三田病院の古川 明日香氏らは、腫瘍循環器学会において、同院の腫瘍循環器外来におけるICI使用時における心血管障害イベントのスクリーニングの意義について発表した。 スクリーニングの検証は、Active Screening Protocolを作成して行われた。このProtocolは、ICI投与開始前に腫瘍循環器外来を予約。ベースライン(投与開始前)、投与開始後、定期的に、血液学的検査(CK、CK-MB、トロポニンI、BNP、D-dimerなど)、心電図、胸部レントゲン、心エコー検査のフォローアップを行うというもの。 対象は2018年10月31日までに同院でICIの投与を受けたがん患者。対象患者は、Passive Consultation群(ICI投与後、心血管障害出現時に同科紹介となったケース)と、Active Screening群(投与開始前からプロトコールに準じてモニタリングしたケース)に分けて評価された。評価項目は、イベント(症候性で循環器治療介入を要するもの)、心血管関連検査異常(循環器特異的治療介入を要しない検査値のみの異常のもの)であった。 主な結果は以下のとおり。・同院でICI投与を受けた症例は91例。そのうちPassive Consultation群は28例、Active Screening群は63例であった。・Passive Consultation群では、2例7.1%に致死的イベントを認めた。・Active Screening群では、27例42.9%に心血管関連検査異常を認めたが、致死的イベントは認めなかった。・検査異常出現までの日数は、平均30.4日と比較的早期の発現が多かった。・治療開始前の心血管疾患既往・合併の有無による心血管関連検査異常の発生に差は認めなかった。・重篤化した症例では、症状に出現に先行してCK上昇を認めており、CK上昇を放置すると、その後 心筋傷害が進行する可能性が示唆された。 Active Screeningにより、心血管関連検査異常を確認できた。また、CK上昇の早期発見と介入により、致死的イベントを回避できる可能性が示唆された。治療開始前の心血管疾患合併の有無にかかわらず、プロトコール化されたモニタリングが重要であると考えられる。

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免疫チェックポイント阻害薬の再投与は有効か?【忙しい医師のための肺がんササッと解説】第1回

第1回 免疫チェックポイント阻害薬の再投与は有効か?免疫チェックポイント阻害剤(ICI)が標準治療の一部となり、今後プラチナ併用療法との3~4剤併用がPD-L1発現レベルにかかわらず検討されるようになる。一方で、根治に導かれる対象はまだまだ少なく、増悪後の治療戦略は今後の検討課題である。前治療で有効性の高い薬剤の再投与はre-challengeと称され、小細胞肺がんにおけるプラチナ併用療法のre-challenge(Inoue A, Lung Cancer 2015)や遺伝子変異陽性例に対するチロシンキナーゼ阻害剤の再投与(Asahina H, Oncology 2010)が第II相試験レベルで行われてきた。ICIについて、先行する悪性黒色腫では単群第II相試験が複数報告され、初回治療と遜色のない効果のみならず安全性も忍容可能であることが報告されているものの、肺がんを含んだ報告はこれまでcase report(Hakozaki T, BMC Cancer 2018)が散見される程度であった。しかしながら2018年に入って徐々に新規の報告が増えてきており、今回その中から2報を取り上げる。1)Fujita K, et al. Retreatment with pembrolizumab in advanced non-small cell lung cancer patients previously treated with nivolumab: emerging reports of 12 cases.Cancer Chemotherapy and Pharmacology.2018;81:1105-1109.2)Bernard-Tessier A, et al. Outcomes of long-term responders to anti-programmed death 1 and anti-programmed death ligand 1 when being rechallenged with the same anti-programmed death 1 and anti-programmed death ligand 1 at progression.Eur J Cancer.2018;101:160-1641)について本邦から、12例の後方視的ケースシリーズニボルマブ(Nivo)既治療例に対するペムブロリズマブ(Pembro)の効果:ORR 8.3%と、やや期待外れではあるものの、約4割で病勢制御が得られている。2例が12ヵ月以上の長期奏効を呈しており、1例は前治療NivoでもPRが得られている一方、2例目は前治療Nivoの最良効果はPDであった。2)についてフランスから、ICI(PD-1/L1阻害剤)の第I相試験に参加した13例に同じICIを再投与したもの(プロトコール規定による前向き研究)。ORRは25%、PFS中央値は12ヵ月。1)、2)いずれも少数例の研究であり、これらをすぐさま実臨床に援用はできない。悪性黒色腫の報告も含めて、現時点では「再投与の安全性は問題なさそう」というのが最も明らかなことと思われる。今後、標準的な細胞障害性化学療法との比較試験が必要になってくると思われるが、下記のようないくつかの議論が必要である。どのような対象で再投与が有効なのか。有効例を対象にした2)の方が再投与の有効性は高いようにもみえるが、1)では初回不応例に再投与が有効性を示している。同じICIがよいのか、もしくはPD-1→PD-L1阻害剤のように変更したほうがよいのか。免疫関連有害事象(以下、irAE)を生じていても再投与は可能なのか。この点については、1)、2)とも詳細が不明である。ICIの再投与については国内外で臨床試験が進行中である(たとえばWJOG9616L:試験事務局 寺岡 俊輔@和歌山県立医科大学)。今後の情報集積が期待される。

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ニボルマブ・イピリムマブ併用、MSI-H/dMMR大腸がん1LでORR60%(CheckMate-142)/ESMO2018

 MSI-H/dMMの転移を有する大腸がん(mCRC)患者の1次治療として、抗PD-1抗体ニボルマブと抗CTLA-4抗体イピリムマブの併用療法が持続的な治療効果を示したことが明らかになった。ドイツ・ミュンヘンで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO2018)で、米国・USC Norris Comprehensive Cancer CenterのHeinz-Josef Lenz氏により第II相CheckMate-142試験の新たな解析結果が発表された。 なお、米国では同試験別コホートからのデータに基づき、化学療法歴のある上記患者対象にニボルマブ単剤療法が2017年8月、ニボルマブとイピリムマブの併用療法が2018年7月に、米国食品医薬品局(FDA)からそれぞれ承認されている。 今回結果が発表されたコホートでは、治療歴のないMSI-H/dMMのmCRC患者において、病勢進行、死亡、または忍容できない毒性が認められるまで、ニボルマブ(3mg/kgを2週間間隔)とイピリムマブ(1mg/kgを6週間間隔)が投与された。主要評価項目は治験担当医評価による奏効率(ORR)で、副次評価項目は盲検独立中央委員会(BICR)評価によるORR、病勢コントロール率(DCR)、奏効期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、安全性などであった。 主な結果は以下のとおり。・45例の患者が組み入れられ、51%が男性、年齢中央値は66歳であった。ECOG PSは0(56%)/1(44%)、診断時の臨床病期はI~III期(62%)/IV期(38%)、リンチ症候群の患者が18%含まれ、PD-L1発現率は≧1%(27%)/<1%(58%)/不明(16%)。変異の有無についてはBRAF/KRAS野生型が29%、BRAF変異型が38%、KRAS変異型が22%、その他は不明であった。・追跡期間中央値13.8ヵ月(9~19ヵ月)で、治験担当医評価によるORRは60%、DCRは84%であり、3例(7%)で完全奏功(CR)、24例(53%)で部分奏功(PR)が確認された。PD-L1発現状態やBRAF/KRAS変異、リンチ症候群の有無によらず、奏功が得られていた。・データカットオフ時点で、DOR中央値は未達であった。奏効が得られた患者の82%で効果が持続中であり、74%で6ヵ月以上奏功が持続していた。 ・PFS中央値、OS中央値はともに未達であり、12ヵ月PFS率は77%(95%信頼区間[CI]: 62.0~87.2)、12ヵ月OS率は83%(95%CI:67.6~91.7)であった。・全Gradeの治療関連有害事象(TRAE)は78%の患者で発現し、多くみられた項目は、そう痒症(24%)、甲状腺機能低下症(18%)、無力症(16%)、関節痛(13%)であった。Grade3/4のTRAEは16%の患者で発現したが、治療中止に至ったのは7%と低く、忍容可能と考えられた。■参考CheckMate142試験(Clinical Trials.gov)■関連記事ニボルマブ・イピリムマブ併用、MSI-H/dMMR大腸がんに迅速承認/BMSニボルマブ・イピリムマブ併用、MSI-H大腸がんで有効性/ASCO-GI2018ニボルマブ、MSI-H転移性大腸がんに承認/FDA※医師限定肺がん最新情報ピックアップDoctors’Picksはこちら

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第66回 ノーベル生理学・医学賞の米国での反響と免疫CP阻害薬の致死的副作用【侍オンコロジスト奮闘記】

第66回:ノーベル生理学・医学賞の米国での反響と免疫CP阻害薬の致死的副作用キーワードノーベル生理学・医学賞免疫チェックポイント阻害薬Daniel Y,et al. Fatal Toxic Effects Associated With Immune Checkpoint Inhibitors.JAMA Oncol. 2018 Sep 13.[Epub ahead of print]

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ESMO2018 会員レポート

2018年10月19日から23日までESMO2018が開催される。この重要な会議における、実用的な情報をニュートラルに提供するため、ケアネットでは会員現役ドクターによる聴講レポートを企画。現在そして今後のがんの診療トレンドを順次紹介していく。現地ミュンヘンからオンサイトレビューレポート一覧レポーター

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免疫CP阻害薬の治療効果と便秘の関係

 近年、腸内細菌叢にある宿主免疫制御が報告され、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の治療効果との相関が注目されている。また、腸内細菌叢は排便習慣により変化することが報告されている。非小細胞肺がん(NSCLC)患者における便通異常と、ICIの治療効果の関連性について後ろ向きに検討した京都府立医科大学の研究結果が、片山 勇輝氏らにより第16回日本臨床腫瘍学会で報告された。 対象は京都府立医科大学附属病院でICI治療を行ったNSCLC40例。ICI投与前後1週間で3日以上の便秘もしくは緩下剤の内服歴を有する患者を便秘群と定義し、便秘群と非便秘群においてICIの治療効果を評価した。 主な結果は以下のとおり。・治療成功期間(TTF)中央値は便秘群で31.5日、非便秘群で204日と、便秘群で有意な短縮を示した(p=0.0032)。・病勢制御率(DCR)は便秘群で20.0%、非便秘群で78.8%と、便秘群で低い結果であった(p=0.00083)。・全生存期間(OS)は便秘群で79日、非便秘群で511日と、便秘群で有意な短縮を示した(p=0.0017)。 片山氏は、NSCLCのICIの治療効果や予後と患者の便通異常に有意な相関を認めた。このことは、ICI治療開始時の便通異常がICIの治療効果を予測しうる新たなバイオマーカーの1つである可能性を示した、としている。 以下、発表者 片山 勇輝氏(現在は京都鞍馬口医療センター)との一問一答この試験の実施背景として排便習慣に着目した理由はどのようなものですか? 2016~17年にかけて、悪性黒色腫において腸内細菌叢と免疫治療の効果についてのデータが発表されてきました。免疫チェックポイント阻害薬が奏効したメラノーマ患者では、腸内細菌叢が多様性に富んでいたという報告もあります。 一方、免疫チェックポイント阻害薬の使用機会が多いものの、肺がんでは、腸内細菌叢との関係は明らかではありません。ただ、腸内細菌叢の測定にコストがかかることもあり、まだ現実的ではありません。腸内細菌叢と排便習慣は関連性も示されていることから、簡便なマーカーとして排便習慣が使えないかと考え、このような研究を行いました。免疫チェックポイント阻害薬治療成功期間(TTF)全生存期間(OS)とも非便秘群で有意に長いという結果でしたが、これは臨床でどう考えるべきでしょうか。 従来、EGFR変異陽性例や、悪液質も含め全身状態の悪い例では免疫チェックポイント阻害薬が効きにくいといわれていましたが、便秘もそういったマーカーの1つなのではないかと考えられます。非便秘、つまり排便良好は腸内細菌叢が良好だということでしょうか。 排便習慣といっても、カルテで回数を追跡したにとどまりますので、単純に非便秘イコール良好な腸内細菌叢の形成とはいえないと思います。今後の研究はどのようにお考えですか? 今回の研究は後ろ向きですが、今後は、前向きに排便習慣を確認しながら腸内細菌叢の関連も一緒に調査したいと考えています。ただ、がんではオピオイド誘発性の便秘になりがちですし、殺細胞性抗がん剤により腸内細菌叢も乱れますので、こういった交絡因子を除外することが必要だと思います。この点を明らかにためにも、今後のさらなる検討が必要だと思います。※医師限定肺がん最新情報ピックアップDoctors’ Picksはこちら

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アテゾリズマブ、小細胞肺がんのOS、PFS改善(IMpower133)/NEJM

 進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)患者の1次治療はプラチナ化学療法とエトポシドの併用だが、20年以上大きな進歩はみられておらず、全生存期間(OS)中央値は10ヵ月程度である。一方で、小細胞肺がんは腫瘍変異負荷が高いことから、免疫チェックポイント阻害薬の効果が期待されている。そこで、小細胞肺がんに対する、カルボプラチン・エトポシドへの免疫チェックポイント薬アテゾリズマブ(商品名:テセントリク)の追加効果を評価する第III相試験IMpower133が行われている。同試験の中間解析の結果がNEJM誌2018年9月25日号で発表された。アテゾリズマブ群のOSが有意に改善 IMpower133は、未治療のES-SCLC患者403例を対象とした無作為化プラセボ対照二重盲検第I/III相試験。・対象:全身治療未実施のES-SCLC患者(症状がない既治療のCNS病変を有する患者を含む)・試験薬:アテゾリズマブ+カルボプラチン+エトポシド、21日ごと4サイクル・対照薬:プラセボ+カルボプラチン+エトポシド、21日ごと4サイクル・評価項目:治験医師評価による無増悪生存期間(PFS)およびOS 主な結果は以下のとおり。・201例がアテゾリズマブ群に、202例がプラセボ群に無作為に割り付けられた。・追跡期間中央値は13.9ヵ月であった。・OSはアテゾリズマブ群12.3ヵ月、プラセボ群10.3ヵ月と、有意にアテゾリズマブ群で良好であった(HR:0.70、95%CI:0.54~0.91、p=0.007)。・1年OS率はアテゾリズマブ群52.7%、プラセボ群38.2%であった。・PFSはアテゾリズマブ群5.2ヵ月、プラセボ群4.3ヵ月と、有意にアテゾリズマブ群で良好であった(HR:0.77、95%CI:0.62~0.96、p=0.02)。・サググループをみてもこのアテゾリズマブ群で良好な結果であった。・安全性プロファイルは、すでに個々の薬剤で報告されているものと同様であった。 ES-SCLC患者の1次治療において、カルボプラチン・エトポシドへのアテゾリズマブの追加はOSおよびPFSを有意に改善した。 なお、この試験結果は、同時に第19回世界肺癌学会(WCLC2018)で発表された。

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ノーベル賞受賞、がん治療を劇変させたPD-1とCTLA-4

 2018年のノーベル医学・生理学賞を、京都大学高等研究院特別教授の本庶 佑氏とMDアンダーソンがんセンター教授のJames P. Allison氏が共同受賞することが決まった。両氏はともにがんに対する免疫応答の制御に関連するタンパク質を発見し、がん免疫療法の近年の急速な進歩に寄与したことが受賞理由となっている。本稿では、ノーベル財団のプレスリリースから、2人の研究の足跡を紹介する。ほぼ同時期に、2つの発見 1992年、本庶氏ら京都大学の研究者が、T細胞の細胞死誘導時に発現が増強される遺伝子としてPD-1(Programmed cell death 1)を発見。その機能が明らかになるまでには時間を要したが、1998年、マウスによる実験でPD-1がT細胞のブレーキとして機能し、その働きを制御していることが明らかとなった。その後に続く同氏らおよび他の研究グループによる動物実験の結果、PD-1に結合してT細胞の活性化を抑制する PD-L1やPD-L2との結合をブロックする抗PD-1抗体が、がんとの戦いにおいて有望な戦略であることが示された。 2012年には、非小細胞肺がん(NSCLC)、悪性黒色腫、腎細胞がん(RCC)といった複数のがん腫における抗 PD-1抗体ニボルマブの臨床試験結果が発表され、その結果は全生存期間および奏効率の双方で臨床的に大きく改善するものであった。 一方、カリフォルニア大学バークレー校の研究所では、Allison氏が同じくT細胞のブレーキとして機能する細胞傷害性Tリンパ球抗原-4(CTLA-4)を研究していた。彼は、CTLA-4の阻害がT細胞ブレーキを解除し、免疫細胞の抑制を解くことで、がん細胞を攻撃できる可能性があるのではないかと考えていた。 そして1994年の年末、マウスを使った最初の実験を行い、抗CTLA-4抗体による治療で、腫瘍を持つマウスが治癒することが確認された。当初、製薬業界の関心が向けられることはほとんどなかったが、間もなくして、いくつかの研究グループから有望な結果がもたらされるようになった。2010年には重要な臨床試験結果が発表され、悪性黒色腫の患者に対し、抗CTLA-4抗体イピリムマブが顕著な効果を示した。 PD-1とCTLA-4は同様にT細胞のブレーキとして機能するが、その作用機構は異なる。 がん治療を根本的に変えた 現在、多くのがん腫において多数の臨床試験が進行中であり、ニボルマブとイピリムマブ以外の新たな免疫チェックポイント阻害薬による治療法の開発も進んでいる。また、抗CTLA-4抗体と抗PD-1抗体の併用療法がさらに効果的である可能性も、悪性黒色腫に対する臨床試験によって示されている。 100年以上もの間、多くの研究者ががんとの闘いに免疫システムを結び付けようとしてきたものの、その臨床的進歩はほとんどみられなかった。しかし、2人の受賞者による発見の後、治療法の開発とその成果は劇的なものだった。免疫チェックポイント阻害薬による治療はがん治療に革命をもたらし、がんの管理方法を根本的に変えるものであった。■参考ノーベル財団プレスリリース■2つの発見に関する主要な論文Ishida Y. et al. EMBO J. 1992 Nov;11:3887~3895.Leach DR et al. Science. 1996 Mar 22;271:1734~1736.Kwon ED et al. Proc Natl Acad Sci U S A. 1997 Jul 22;94:8099~8103.Nishimura H et al. Immunity. 1999 Aug;11:141~151.Freeman GJ et al. J Exp Med. 2000 Oct 2;192:1027~1034.Hodi FS et al. Proc Natl Acad Sci U S A. 2003 Apr 15;100:4712~4717.Iwai Y et al. Int Immunol. 2005 Feb;17:133~144.

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ニボルマブ、胸膜中皮腫の予後改善に期待

 2018年9月14日、小野薬品工業とブリストル・マイヤーズスクイブが行ったプレスセミナーで、アスベスト疾患研究・研修センター所長の岸本 卓巳氏が「胸膜中皮腫の病態・疫学・診断・治療変遷」と題して講演した。増加している中皮腫 中皮腫は中皮細胞由来または中皮細胞への分化を示す腫瘍で、胸膜、腹膜、心膜、精巣鞘膜に発生する。日本における中皮腫の発生および死亡者数は増加傾向である。2016年の中皮腫死亡者は1,550人であり、集計データの存在する1995年からみると、その数は3倍となっている。これは、戦後の経済成長期のアスベストの輸入の増加と相関しており、アスベスト曝露から40~50年経過して中皮腫死亡者数が増加したと考えられる。今後の傾向として、職業曝露による中皮腫は減少してくものの、アスベスト自体は存在しており、ビル解体などによる低濃度曝露は今後も続くため、患者数は減少しないのではないか、と岸本氏は述べる。予後不良な胸膜中皮腫、その治療がニボルマブで進化 胸膜中皮腫の予後は不良で、無治療だと生存期間(OS)は4ヵ月程度である。胸膜中皮腫の薬物治療は、80年代のアドリアマイシン・シクロホスファミド併用、90年代のシスプラチンと変遷してきたが、いずれも芳しい成績は示していない。2003年にシスプラチン・ペメトレキセド併用が登場し、OS中央値は、それ以前の9ヵ月から、12ヵ月程度に改善する。しかし、その差は3ヵ月であり、さらにシスプラチン・ペメトレキセドで進行した後の有効な治療手段が存在しなかった。胸膜中皮腫の治療がニボルマブで進化? そのようななか、胸膜中皮腫の2次治療でニボルマブの有効性が示された。国内第II相ONO-4538-41試験では、ペメトレキセド・プラチナ併用治療で進行した2次治療以降の悪性中皮腫に、ニボルマブ240mg/日単剤を2週ごと投与し、安全性と有効性を評価した。 結果、部分奏効(PR)は34例中10例(29.4%)に認められた。病型別にみると、上皮型のみならず、シスプラチン・ペメトレキセド併用が無効な肉腫型、二相型(上皮型と肉腫型が混在するもの)でも効果がみられている。OSはまだ中央値に達しておらず、無増悪生存期間(PFS)も6.1ヵ月と従来と比べ良好である。「今までの治験では、ほとんどが良くても不変(SD)。PRが10例も出ることは画期的」と岸本氏は言う。今後、シスプラチン・ペメトレキセドへの上乗せ効果、また、術前・術後補助療法への応用、CTLA-4など他の免疫治療薬との併用など、難渋してきた胸膜中皮腫治療に対し、ニボルマブのエビデンス創出が待たれる。中皮腫が抱える問題 中皮腫が抱える問題として、確定診断や病型鑑別といった診断の難しさがある。そのためか、現在でも10数%程度の誤診が報告されているという。それらの問題の解決策として、今後は、臨床医と病理医のスキルアップ、病理医の増員が重要な要素になりそうである。

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ニボルマブ・イピリムマブ併用療法、メラノーマ脳転移への効果/NEJM

 ニボルマブ+イピリムマブ併用療法は、悪性黒色腫患者の未治療の脳転移に対して臨床的に意義のある有効性を示し、頭蓋外での効果と一致した。米国・テキサス州立大学MDアンダーソンがんセンターのHussein A. Tawbi氏らが、CheckMate-204試験の結果を報告した。脳転移は、転移を有する悪性黒色腫患者の神経合併症および死亡の原因として多いものの、転移を有する悪性黒色腫患者を対象としたニボルマブ+イピリムマブ併用療法のこれまでの臨床試験では、未治療の脳転移患者は除外されていた。NEJM誌2018年8月23日号掲載の報告。神経症状のない未治療脳転移を有する悪性黒色腫患者が対象 研究グループは、未治療の脳転移を有する悪性黒色腫患者における、ニボルマブ+イピリムマブ併用療法の有効性および安全性を評価する目的で、米国の28施設で多施設共同非盲検第II相臨床試験を実施した。対象は、神経症状がなく、1つ以上の測定可能な放射線未照射の脳転移病変(腫瘍径0.5~3cm)のある、転移を有する悪性黒色腫患者である。ニボルマブ(1mg/kg)+イピリムマブ(3mg/kg)を3週間ごとに最高4回まで投与し、続いてニボルマブ(3mg/kg)を2週間ごとに疾患進行または忍容できない毒性がみられるまで投与した。 主要評価項目は、頭蓋内の臨床的有効率(6ヵ月以上の安定、完全奏効または部分奏効が得られた患者の割合)である。 2015年2月~2017年6月に患者登録が行われ、2017年11月15日時点で治療中の101例のうち、追跡期間が6ヵ月以上の94例を解析対象とした。ニボルマブ+イピリムマブで、26%は頭蓋内病変が消失、臨床的有効率は57% 追跡期間中央値14.0ヵ月において、頭蓋内の臨床的有効率は57%(54/94例)(95%信頼区間[CI]:47~68)であった。このうち、頭蓋内の完全奏効が26%(24/94例)、部分奏効が30%(28/94例)、6ヵ月以上の安定が2%(2/94例)であった。頭蓋外の臨床的有効率は56%(53/94例)(95%CI:46~67)であり、頭蓋内の臨床的有効率と同程度であった。 Grade3/4の治療関連有害事象発現率は55%(52/94例)で、Grade3/4の中枢神経系有害事象は7%(7/94例)にみられた。また、免疫関連心筋炎による死亡が1例認められた。安全性プロファイルは、脳転移がない悪性黒色腫患者における報告と類似していた。

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進行肝細胞がんに対する多標的チロシンキナーゼ阻害薬療法(解説:中村郁夫氏)-903

 本論文は、既治療の進行肝細胞がん(HCC)症例に対する、cabozantinibの治療効果および安全性に関するランダム化・二重盲検・多施設で行われた第III相試験の結果の報告である。対象は、ソラフェニブ(商品名:ネクサバール)による治療を受けた進行肝細胞がん症例で、さらに、少なくとも1回のHCCに対する全身的治療を受けた後に進行を呈した症例(HCCに対する全身的治療は2回まで)とした。707例を無作為に2対1に割り付けて、実薬群はcabozantinib(60mg/日)の内服を行い、経過をフォローした。結果として、全生存期間(OS)は、cabozantinib投与群10.2ヵ月、プラセボ群8.0ヵ月と有意な延長(p=0.005)を認めた。また、副次評価項目である、無増悪生存期間(PFS)は、cabozantinib投与群5.2ヵ月、プラセボ群1.9ヵ月と有意な延長(p<0.001)を認めた。しかし、一方で、Grade3/4の有害事象の頻度がcabozantinib投与群では68%であり、プラセボ群の36%と比較して頻度が2倍近いことも報告された。頻度の高い有害事象は、手足症候群、高血圧、肝機能障害、疲労、下痢などであった。 本邦における切除不能の進行肝細胞がん(HCC)に対する多標的チロシンキナーゼ阻害薬として、まず2009年5月にソラフェニブが承認された。次に、2017年6月にレゴラフェニブ(商品名:スチバーガ)が承認され、続いて、2018年3月にレンバチニブ(同:レンビマ)が承認された。 ソラフェニブ治療後の進行HCC症例を対象とした治療法の研究報告として、すでに、レゴラフェニブ投与によりプラセボ群と比較して生存期間が有意に延長することが2016年にLancetに報告された。cabozantinibは、VEGFR、MET、AXLなどのチロシンキナーゼを阻害する多標的チロシンキナーゼ阻害薬の1つであり、本論文はレゴラフェニブに続いてのcabozantinibに関する報告である。 今後の進行HCCに対する治療において、多標的チロシンキナーゼ阻害薬を用いる際には、薬剤の合理的選択、さらにそれぞれの薬剤による有害事象に対する対応をしっかり見極めながら治療することが重要であると考える。 本年6月に行われた米国臨床腫瘍学会(ASCO)では、多標的チロシンキナーゼ阻害薬と免疫チェックポイント阻害薬の併用療法に関しての報告が行われた。進行HCCに対する治療法は著しく進歩しており、今後の治療法開発の動向にも注目したい。

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FDA、小細胞肺がんにニボルマブ承認。20年ぶり新薬/BMS

 Bristol-Myers Squibb社は、2018年8月17日、ニボルマブ(商品名:オプジーボ)が、プラチナベース化学療法と1つ以上の他の治療ライン後に進行した、転移を有する小細胞肺がん(SCLC)の治療薬として、米国食品医薬品局(FDA)から承認を受けたと発表した。この承認は、ニボルマブの第I/II相CheckMate-032試験の結果に基づくもの。 CheckMate-032試験は、プラチナベースの化学療法後に疾患進行したSCLC患者245例をニボルマブで治療した、進行中の多施設共同複数コホート非盲検試験。これらの患者は、PD-L1発現状態にかかわらず、ニボルマブ3mg/kgを2週間ごと、疾患進行または忍容できない毒性が発現するまで投与された。主要有効性評価項目は盲検化された独立中央評価委員会(BICR)評価による包括的奏効率(ORR)であった。ニボルマブ治療患者の治療期間中央値は1ヵ月(範囲:0〜44.2+ ヵ月)で、17%の患者が6ヵ月以上、9%の患者が1年以上ニボルマブの投与を受けた。 有効性は、プラチナベース化学療法と1つ以上の他の治療ラインの後に疾患進行した109例で評価された。この109例のBICR評価によるORRは12%(109例中13例)、部分奏効12例(11%)、完全奏効1例(0.9%)であった。奏効期間中央値は17.9ヵ月であった。安全性は245例全例で評価され、頻度の高い(20%以上)一般的な有害事象は、疲労(45%)、食欲減退(27%)、筋骨格痛(25%)、呼吸困難(22%)、悪心(22%)、下痢(21%)、便秘(20%)、咳嗽(20%)であった。頻度の高い(2%以上)重篤な有害事象は、肺炎、呼吸困難、胸水貯留および脱水であった。■参考Bristol-Myers Squibb社ニュースリリース■関連記事ニボルマブ、小細胞肺がんに単独およびイピリムマブ併用で有望な効果:CheckMate-032

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ニボルマブ・イピリムマブ併用、MSI-H/dMMR大腸がんに迅速承認/BMS

 Bristol-Myers Squibb社は、2018年7月11日、ニボルマブ(商品名:オプジーボ)3mg/kgとイピリムマブ(商品名:ヤーボイ)1mg/kgの併用療法が、フルオロピリミジン、オキサリプラチンおよびイリノテカンによる治療後に病勢進行したMSI-HまたはdMMRの転移を有する大腸がん(mCRC)患者(成人および12歳以上の小児)の治療薬として、米国食品医薬品局(FDA)の承認を取得したことを発表。 この承認は、フルオロピリミジン、オキサリプラチン、またはイリノテカンを含む化学療法による治療歴を有するMSI-Hまたは dMMRのmCRC患者を対象に、ニボルマブとイピリムマブの併用療法を評価した進行中の第II相CheckMate-142試験のデータに基づくもの。同併用療法は、FDAのブレークスルーセラピーに指定され、優先審査の対象となっていた。 CheckMate-142試験の同併用療法コホートには、1ライン以上の治療が行われたMSI-H/dMMRのmCRC患者が組み入れられ、ニボルマブ3mg/kgとイピリムマブ1mg/kgを3週ごと4回投与され、その後ニボルマブ単剤3mg/kgを2週間ごと、病勢進行または忍容できない有害事象が認められるまで投与された。有効性解析は、フルオロピリミジン、オキサリプラチンおよびイリノテカンによる治療歴を有する患者(全119例中82 例)および全登録患者の両方において実施された。 フルオロピリミジン、オキサリプラチンおよびイリノテカンによる治療歴を有する患者82例の、独立放射線評価委員会(IRRC)の評価によるニボルマブ・イピリムマブ併用療法のORRは46%(82 例中38 例、CRは3例3.7%、PRは35例43%)であった。全登録患者119例でのORRは、49%(119例中58例、CR5例4.2%、PRは53例45%)であった。奏効が得られた58例のDOR中央値は未達(1.9~23.2+ヵ月)、奏効患者の83%で6ヵ月以上、19%で12ヵ月以上奏効が持続した。 なお、ニボルマブ単剤療法についても、同様の対象患者に対し、2017年8月に迅速承認されている。■参考Bristol-Myers Squibb社プレスリリースCheckMate-142試験(JCO)CheckMate-142試験(Clinical Triakls.gov)■関連記事ニボルマブ・イピリムマブ併用、MSI-H大腸がんで有効性/ASCO-GI2017ニボルマブ、MSI-H転移性大腸がんに迅速承認/FDA いよいよ臨床へ、がん種を問わないMSI-H固形がんをどう診断し、治療していくか

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ASCO2018レポート 消化器がん(肝胆膵)

レポーター紹介2018年度のASCOも例年と同様に、コーミックプレイス@シカゴにて開催された。消化器がんの中でも肝胆膵領域における注目演題についていくつか報告する。肝細胞がん肝細胞がんにおいて、最も注目された演題は、肝細胞がんにおける2次治療としてラムシルマブとプラセボを比較した第III相試験のREACH-2試験である。ラムシルマブは、以前にも肝細胞がんのソラフェニブ不応・不耐の症例を対象としてプラセボと比較した第III相試験を行い、主要評価項目である生存期間は達成しなかったが、AFPが400ng/mL以上の症例で良好な生存期間の延長が示され、今回、AFPが400ng/mL以上の症例を対象としたやり直しの第III相試験を行った。あまり例のない第III相試験であるが、今回は生存期間の有意な延長(生存期間の中央値:ラムシルマブ群8.5ヵ月 vs.プラセボ群7.3ヵ月、ハザード比0.710(95%CI:0.531~0.959)を認め、主要評価項目を達成した。しかも、全体で292例、ラムシルマブ群197例、プラセボ群97例と、比較的少ない患者数で、ポジティブな結果が得られている。また、生存期間のサブグループ解析を見ても、女性以外ではほぼラムシルマブで良好であり、ソラフェニブの2次治療として有用性が示された。無増悪生存期間もラムシルマブで有意に良好(中央値:2.8ヵ月 vs.1.6ヵ月、ハザード比0.452、95%CI:0.339~0.603、p<0.0001)であり、奏効割合もラムシルマブ群4.6%、プラセボ群1.1%と良好で、病勢制御割合もそれぞれ59.9%と38.9%であり、有意に良好であった。Grade3以上の有害事象はラムシルマブ群で高血圧を高率に認めたが(ラムシルマブ群10.7% vs.プラセボ群3.2%)、忍容性は良好であった。ラムシルマブは、肝細胞がんにおいてバイオマーカーでセレクトした患者を対象として、初めて延命効果を示した薬剤であり、また、マルチキナーゼ阻害薬以外の抗体薬である。そのほか、注目された演題としては、Poster Presentationではあるが、切除不能な肝細胞がんに対するVEGFR阻害薬と抗PD-1抗体/抗PD-L1抗体の併用療法で、ベバシズマブとアテゾリズマブの併用療法とレンバチニブとペムブロリズマブの併用療法である。ベバシズマブとアテゾリズマブの併用療法は、まだ23例と限られた対象での解析であるが、奏効割合(RECIST1.1)が65%と驚異的な成績が示されている。これまでの標準治療であるソラフェニブの奏効割合5~10%と比べると、約10倍の奏効割合である。また、全Gradeの有害事象も食欲減退33%、疲労33%、蛋白尿26%、高血圧21%と、他剤と比べて忍容性も良好であった。これらの有望な結果から、現在、肝細胞がんの初回化学療法例を対象として、ベバシズマブとアテゾリズマブの併用療法とソラフェニブを比較した第III相試験(NCT03434379)が進行中である。レンバチニブとペムブロリズマブの併用療法は、さまざまながん腫において有効性が期待され開発が進行中である。腎細胞がんではBreakthrough TherapyとしてFDAでも取り上げられており、肝細胞がんに対しても期待されて、第Ib試験が行われた。第I相パートにおいて、6例の患者で投与量規制毒性がないことを確認し、拡大コホートで、初回化学療法の患者24例に投与された。主な有害事象は食欲減退、高血圧であった。最良効果判定にて、増悪と判定された例はなく、ほとんどすべての症例で縮小傾向であった。また、多くの症例で、奏効が長期間続いており、いわゆる“durable response”も認められた。このように、これまでの標準治療であるソラフェニブでは、延命効果は得られるが、なかなか腫瘍縮小効果が得られないと言っていた時代から、約半数の症例で縮小が期待できる時代に突入した。今後の肝細胞がんの化学療法は、これらのVEGF阻害薬と免疫チェックポイント阻害薬の併用療法が中心に開発が進んでいくことが予測されている。胆道がん進行胆道がんに対する1次化学療法のゲムシタビン+シスプラチン併用療法(GC)とゲムシタビン+S-1併用療法(GS)を比較した第III相試験(JCOG1113)がPoster Discussionで日本から報告された。生存期間(中央値)は、GC療法13.4ヵ月、GS療法15.1ヵ月(ハザード比0.945、95%CI:0.777~1.149、p=0.0459 非劣性)と非劣性が示され、胆道がんの初回化学療法の1つのoptionとして位置付けられた。そのほか、胆道がんの初回化学療法例を対象として、GC+ナブパクリタキセルとGC療法を比較する第III相試験がSWOGで進行中であり、今後の有望な併用療法として注目されていた。膵がん膵がん術後の補助療法として、modified FOLFIRINOXとGEMを比較した第III相試験、切除可能膵がんとBorderline resectable(切除可能境界)膵がん患者における術前化学療法と術前化学放射線療法の有用性を検討した第III相試験、転移性膵がんの1次治療としてFOLFIRINOXを増悪まで継続するか、FOLFIRINOX後5-FU+ロイコボリンの維持療法に移行するか、ゲムシタビンとFOLFIRIの逐次治療のどれが良いかを検討するランダム化第II相試験の3演題がOral Presentationとして報告された。術後補助療法としては、海外では、ゲムシタビンが標準治療として行われている。今回は、R0切除が行われた膵がん切除後の患者を対象として、modified FOLFIRINOX(イリノテカンの投与量を150mg/m2に減量したレジメン)とゲムシタビンを比較した第III相試験の結果が報告された。主要評価項目である無病生存期間(中央値)は、modified FOLFIRINOX群で21.6ヵ月、ゲムシタビン群で12.8ヵ月(ハザード比0.58、95%CI:0.46~0.73、p<0.0001)であり、有意に良好な結果が示された。また、生存期間(中央値)もmodified FOLFIRINOX群で54.4ヵ月とゲムシタビン群で35.0ヵ月(ハザード比0.64、95%CI:0.48~0.86、p=0.003)であり、有意に良好な結果であった。有害事象に関して、下痢、末梢神経障害、疲労、嘔吐、口内炎、手足症候群やG-CSFの使用率はmodified FOLFIRINOX群で高率に認められていたが、忍容性はあり、十分に管理可能であった。したがって、全身状態の良好な膵がん切除後の患者に対する補助療法として、modified FOLFIRINOXは標準治療として位置付けられるであろうと報告された。では、日本でも術後補助療法はmodified FOLFIRINOXが標準治療になるだろうか? 日本では、術後補助療法として、S-1とゲムシタビンを比較した第III相試験が行われており、S-1群で、有意に良好な無再発生存期間(中央値:S-1 22.9ヵ月、ゲムシタビン11.3ヵ月、ハザード比0.60、95%CI:0.47~0.76、p<0.0001)と生存期間(中央値:S-1 46.5ヵ月、ゲムシタビン25.5ヵ月、ハザード比0.57、95%CI:0.44~0.72、p<0.0001)が報告されている。S-1単剤でもmodified FOLFIRINOXと同様の成績が得られていること、有害事象はS-1が良好であることを考慮すると、日本において標準的な補助療法がmodified FOLFIRINOXにすぐに置き換わることはないと思われる。しかし、今後、切除不能膵がんにしか適応がないFOLFIRINOXを切除後の補助療法として使用できるように試みることは必要かもしれない。切除可能膵がんとBorderline resectable膵がん患者における術前化学療法と術前化学放射線療法の有用性を検討した第III相試験(PREOPANC)が報告された。切除可能膵がんとBorderline resectable膵がんが約半数ずつ含まれるような対象に対して、まず切除を行い、術後補助化学療法としてゲムシタビン6サイクルを行う群(immediate surgery群)127例と、術前にゲムシタビンを2回投与後、ゲムシタビン併用放射線療法(ゲムシタビン1,000mg/m2にて3投1休、放射線36Gy/15 fraction)を行い、再度ゲムシタビンを2回投与して切除し、術後に補助化学療法としてゲムシタビンを4サイクル行う群(術前療法群)119例を比較した第III相試験である。切除割合は、それぞれ72%と60%であり、immediate surgery群でやや高率であったが、R0切除割合は、それぞれ31%と63%であり、術前療法群で有意に高率であった(p<0.001)。無病生存期間、遠隔転移再発までの期間、局所再発までの期間も、術前療法群で良好であった。生存期間はまだpreliminaryな結果ではあるが、それぞれ13.7ヵ月と17.1ヵ月であり、ハザード比0.74、p=0.074と術前療法群で良好な傾向が示されており、最終解析が期待される結果であった。ただし、本試験では、切除可能膵がんとBorderline resectable膵がんが混在した試験であり、評価が難しい。Borderline resectable膵がんに対しては、すでに第II/III相試験の結果、術前治療の有用性も報告されているが(Jang JY, et al. Ann Surg. 2018;215-222.)、切除可能膵がんにおける術前治療の有用性は明らかにされていない。今後、切除可能膵がんとBorderline resectable膵がんのそれぞれのコホートでの解析も行われると思われるが、切除可能膵がんにおける術前治療の有用性に関して十分な回答が得られない可能性もある。転移性膵がんの1次治療としてFOLFIRINOX 12サイクル後、経過観察する群(FOLFIRINOX群)、FOLFIRINOX 8サイクル後5-FU+ロイコボリンの維持療法に移行し、増悪時にFOLFIRINOXを再開する群(FOLFIRINOX/5-FU群)、ゲムシタビンとFOLFIRI3を2ヵ月ごとに交互に投与する群(FOLFIRI3/Gem群)のいずれが良いかを検討するランダム化第II相試験(PANOPTIMOX)がOral Presentationとして報告された。この試験のコンセプトは、大腸がんでのオキサリプラチンの“stop and go”の投与方法が膵がんでも示すことができるかどうかを検討したものである。主要評価項目である6ヵ月の無増悪生存割合は、FOLFIRINOX群47.1%、FOLFIRINOX/5-FU群44.0%、FOLFIRI3/Gem群34.1%で、FOLFIRINOX群とFOLFIRINOX/5-FU群は同等であり、FOLFIRI3/Gem群は有効性が低いことが示された。また、Grade3~4の末梢神経障害は、FOLFIRINOX群で10.2%に対して、FOLFIRINOX/5-FU群で18.7%と高率であったが、結果的にFOLFIRINOX/5-FU群でオキサリプラチンの投与量が増え、治療強度が強くなったためと考察されている。進行膵がんの1次治療として、FOLFIRINOXによる導入化学療法を4ヵ月行い、5-FU+ロイコボリンの維持療法を行うことは、実施可能で有効な可能性が示され、今後、FOLFIRINOXとFOLFIRINOX+5-FU+ロイコボリンの維持療法を比較する第III相比較試験が必要であると結論付けられた。この試験の結果、FOLFIRINOXにおけるオキサリプラチンの“stop and go”の投与方法は、今後、検討されるべき課題の1つだと思われた。膵神経内分泌腫瘍テモゾロマイドとカペシタビンの併用療法(CAPTEM)とテモゾロマイド単独(TEM)を比較したランダム化比較第II相試験が報告された。これまでに、CAPTEMは30~70%と非常に高い奏効割合が報告され、注目されてきたレジメンである。標準治療であるエベロリムスやスニチニブ以外の化学療法歴がなく、12ヵ月以内に進行が確認された切除不能膵神経内分泌腫瘍の患者142例が対象として行われた。主要評価項目である無増悪生存期間(中央値)は、CAPTEM群22.7ヵ月、TEM群で14.4ヵ月、ハザード比0.58(95%CI:0.36~0.93)、p値も0.023と有意に良好であった。生存期間もCAPTEM群で有意に良好であった(中央値:CAPTEM群 未到達、TEM群38.0ヵ月、ハザード比0.41(95%CI:0.21~0.82、p=0.012)。この試験は、有望視されていたCAPTEM療法が、ランダム化比較試験において、無増悪生存期間の延長のみならず、生存期間の延長まで示されたものであり、今後、膵神経内分泌腫瘍の治療の重要な選択肢の1つとなるものと思われる。まとめASCO2018では、肝細胞がんの2次化学療法におけるラムシルマブ、膵がん切除後の補助療法としてのmodified FOLFIRINOXが、今後、標準治療として位置付けられてくることが予測される。また、そのほかにも有望な治療法の開発も進行中であり、肝胆膵領域の化学療法の開発も活気づいている。

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