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中年期の健康的な生活様式は平均余命にどう影響?/BMJ

 中年期の健康的な生活様式の順守は、主要慢性疾患(がん、心血管疾患、2型糖尿病)のない平均余命を延長することが、米国・ハーバード大学公衆衛生大学院のYanping Li氏らによる検討の結果、示された。これまで、修正可能な生活様式因子(喫煙、身体活動、アルコール摂取、体重、食事の質)が、平均余命および慢性疾患発症の両者に影響することは知られていた。しかし、複数の生活様式因子の組み合わせと、主要な疾患(糖尿病、心血管疾患、がんなど)のない平均余命との関わりについて、包括的に検討した研究はほとんどなかったという。BMJ誌2020年1月8日号掲載の報告。5個の様式の組み合わせと主要慢性疾患のない平均余命の関連を調査 研究グループは、米国で行われた前向きコホート研究「Nurses' Health Study」(1980~2014年、女性7万3,196人)と「Health Professionals Follow-Up Study」(1986~2014年、男性3万8,366人)の参加者データを分析し、健康的な生活様式が主要な慢性疾患のない平均余命とどのように関連するかを調べた。 「非喫煙」「BMI 18.5~24.9」「中強度~高強度(30分/日以上)の身体活動」「適度なアルコール摂取(女性5~15g/日、男性5~30g/日)」「食事の質のスコア(Alternate Healthy Eating Index:AHEI)が高い(各コホートで上位40%に属する)」の5個を「低リスク生活様式因子」と定め、その実践数別(0、1、2、3、4/5個)に、糖尿病、心血管疾患、がんのない平均余命年を算出して評価した。低リスク生活様式が多いほど平均余命は延長 女性227万411人年、男性93万201人年のフォローアップ中に、3万4,383人(女性2万1,344人、男性1万3,039人)の死亡が記録された。 低リスク生活様式因子の実践数が多い被験者は、マルチビタミンサプリメントおよびアスピリンの服用者が多い傾向がみられた。 50歳時点での総平均余命(慢性疾患の有無を問わず集計)は、低リスク生活様式因子が多いほど長く、女性は31.7年(0個)~41.1年(4/5個)、男性は31.3年(0個)~39.4年(4/5個)にわたっていた。 50歳時点での糖尿病、心血管疾患、がんのない平均余命は、女性においては低リスク生活様式因子の実践が0個の場合は23.7年(95%信頼区間[CI]:22.6~24.7)であったが、4/5個実践の場合は34.4年(33.1~35.5)であった。男性においては、実践が0個の場合は23.5年(22.3~24.7)であったが、4/5個実践の場合は31.1年(29.5~32.5)であった。 50歳時の総平均余命に対する慢性疾患のない平均余命の割合は、重度の現行男性喫煙者(紙巻きタバコ15本/日以上)や、肥満(BMI 30以上)の男性および女性で最も低く、いずれも75%以下であった。

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第3世代セフェムを愛用する医師への処方提案【うまくいく!処方提案プラクティス】第11回

 今回は、蜂窩織炎に対する抗菌薬の処方提案を紹介します。広域抗菌薬はカバーが広くて使いやすいのですが、薬剤耐性菌が世界的に懸念されている昨今ではターゲットを絞って適正な抗菌薬を適正量用いることが求められています。薬剤師も医師の治療方針を確認しつつ、積極的に処方設計に参画して適正使用を推進しましょう。患者情報70歳、女性(施設入居)体  重:42kg基礎疾患:高血圧症、鉄欠乏性貧血、慢性便秘症、骨粗鬆症、足白癬既 往 歴:68歳時に腰椎圧迫骨折(手術)主  訴:左下肢腫脹、痛みあり直近の採血結果: 血清クレアチニン0.8mg/dL処方内容1.アムロジピン錠5mg 1錠 分1 朝食後2.アルファカルシドール錠0.5μg 1錠 分1 朝食後3.酪酸菌配合錠 3錠 分3 毎食後4.酸化マグネシウム錠330mg 3錠 分3 毎食後5.リセドロン酸17.5mg 1錠 起床時 毎週月曜日6.クエン酸第一鉄ナトリウム錠 2錠 分2 朝夕食後本症例のポイント施設の担当看護師さんから、患者さんが左下肢の腫脹と痛みを訴えたため、臨時往診が行われたという電話連絡がありました。その際、「蜂窩織炎を発症しているようで、医師が抗菌薬をどうするか迷っている」という話を聞きました。そこで、すぐに医師に電話すると、「左下肢の蜂窩織炎を疑っているけれど、セフジニル100mg 3錠 分3でいいかな?」と相談されました。抗菌薬の処方提案においては、(1)感染臓器、(2)想定される起炎菌(ターゲット)、(3)感受性良好な抗菌薬の理解が必要不可欠です。蜂窩織炎は、真皮〜皮下組織を感染部位とした皮膚軟部組織感染症で、想定される起炎菌はβ溶血性連鎖球菌(A、B、C、G群)と黄色ブドウ球菌(メチシリン感受性:MSSA)です。医師が処方を検討しているセフジニルは第3世代セフェム系抗菌薬で、一部の口腔内連鎖球菌や大腸菌、肺炎桿菌もカバーする広域スペクトラムの抗菌薬です。本症例において、セフジニルも選択肢として挙げることは可能ですが、広域抗菌薬のため耐性菌産生の懸念があり、ターゲットを絞って治療を開始することが望まれます。また、バイオアベイラビリティーが25%程度と低く、この患者さんの場合は服用中のクエン酸第一鉄ナトリウムとの相互作用により、キレートが形成されて吸収が著しく低下することから、有効抗菌薬量としては高用量が必要なため適切ではないと判断しました。皮膚への移行性と起炎菌を考慮すると、アモキシシリンかセファレキシンが有効かつ適正と考え、処方提案することにしました。また、患者さんの腎機能がCCr:43.4mL/minと低下していることから、処方設計も併せてお伝えすることにしました。処方提案と経過医師に重症度や想定している起炎菌を確認したところ、軽症の蜂窩織炎で溶連菌群をカバーして治療したいという希望を聞き取りました。そこで、アモキシシリン250mg 6錠 分3 毎食後の内服を提案しました。しかし、セフェム系でなんとかできないかとの返答がありました。この医師は、普段は広域をカバーして安全性も高いと考える第3世代セフェムをよく処方しており、経口ペニシリン系の治療経験が少なくて不安だったようです。次に、患者さんの腎機能低下を考慮して、第1世代セフェムであるセファレキシン錠250mg 4錠 分2 朝夕食後の処方を提案し、承認を得ることができました。その後、患者さんは10日間の服薬を終了し、蜂窩織炎は軽快しました。1)Gilbert DNほか編. 菊池賢ほか日本語版監修. <日本語版>サンフォード 感染症治療ガイド2019. 第49版. ライフサイエンス出版; 2019年.2)セフゾンカプセルインタビューフォーム

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海洋由来オメガ3脂肪酸と大腸がん予防効果/JAMA Oncol

 オメガ3脂肪酸には植物由来と海洋由来があるが、本稿は海洋由来オメガ3脂肪酸の話題。米国・ハーバード公衆衛生大学院のMingyang Song氏らは、「Vitamin D and Omega-3 Trial:VITAL試験」で事前に設定された補助的研究において、海洋由来オメガ3脂肪酸(1日1g)の摂取は大腸がん前がん病変リスクの減少と関連しないことを明らかにした。ただし副次解析で、ベースラインのオメガ3濃度が低い参加者やアフリカ系米国人に関しては有益性を示す結果がみられ、筆者は、これらの対象についてはサプリメントの有益性についてさらなる調査が必要であると述べている。JAMA Oncology誌オンライン版2019年11月21日号掲載の報告。 研究グループは2011年11月~2014年3月に、がんおよび心血管疾患の既往がない米国の一般集団2万5,871例(うちアフリカ系米国人5,106例)を登録し、海洋由来オメガ3脂肪酸1g/日(エイコサペンタエン酸[EPA]460mgとドコサヘキサエン酸[DHA]380mgを含む)およびビタミンD3(2,000 IU/日)を投与する群と、プラセボ群に無作為に割り付けた。 主要評価項目は、大腸の通常型腺腫(管状腺腫、管状絨毛腺腫、絨毛性腺腫および高度異形成腺腫など)または鋸歯状病変(serrated polyp:SP)(過形成性ポリープ、鋸歯状腺腫およびsessile serrated polypなど)のリスクとした。追跡調査のアンケートでポリープの診断を受けたと報告した参加者(ポリープサブグループ)については、内視鏡および病理学的記録にて診断を確認。ロジスティック回帰分析を用い、年齢、性別、ビタミンD3治療群および内視鏡検査の使用について補正後、オッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を算出して評価した。 主な結果は以下のとおり。・投与群とプラセボ群で患者背景は類似していた。女性50.6%、50.5%、黒人19.7%、19.8%、平均年齢は67.2歳、67.1歳。・介入は予定どおり2017年12月31日に終了。追跡期間中央値5.3年において、通常型腺腫が投与群294例、対照群301例(多変量OR:0.98、95%CI:0.83~1.15)、鋸歯状病変がそれぞれ174例、167例(OR:1.05、95%CI:0.84~1.29)が記録された。・ポリープサブグループにおいて、大きさ、位置、多発性または組織型で関連はなかった。・副次解析において、ベースラインの血漿中オメガ3指数が低い参加者で、海洋由来オメガ3脂肪酸の投与が通常型腺腫のリスク低下と関連していた(OR:0.76、95%CI:0.57~1.02、オメガ3指数による相互作用のp=0.03)。・サプリメントによる有益性は、アフリカ系米国人集団で示されたが(OR:0.59、95%CI:0.35~1.00)、他の人種/民族集団ではみられなかった(相互作用のp=0.11)。

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第21回 コンビニで価格を抑えながら野菜を増やすコツ【実践型!食事指導スライド】

第21回 コンビニで価格を抑えながら野菜を増やすコツ医療者向けワンポイント解説血糖値を考える上でも、健康的な食生活を考える上でも野菜の摂取は重要です。厚生労働省が策定した、「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」の栄養・食生活では、成人の野菜の摂取について「平均350g以上を目標とする」と定めています。野菜を摂取することは、1)血糖値の上昇を緩やかにする、2)ボリュームを増し満足度を高める、3)噛む回数を増やす、4)ビタミンやミネラル、食物繊維の摂取を増やす、5)水分摂取量を増やすなど、さまざまな働きとメリットがあります。野菜を食事の最初に食べる「ベジファースト」も、食事療法ではお薦めしたい方法です。しかし、野菜は「調理が必要」「外食では価格が高め」「よく行くお店にあまりメニューがない」とハードルが高いと感じる方も多く、摂取量を増やすことに対し難易度が高い面があります。そこで今回は、コンビニで価格を抑えながら手軽に野菜を増やすコツについて解説をします。野菜摂取を増やす習慣を身に付けましょう。●カップスープにはトマトジュース(無塩)手軽な野菜としてトマトジュース(無塩)があります。コンビニやスーパーで手軽に購入でき、間食などの飲料として利用することも良いでしょう。トマトジュースが少し苦手という方は、食事への応用がお薦めです。カップスープやカップ麺などを食べる際、湯ではなくレンジで温めたトマトジュースを加えます。とろみや風味が増しておいしく、食べ応えのあるスープ、汁物が出来上がります。また、栄養バランスも単体のカップ麺などに比べ、整えることができます。そのほか、トマトジュースをヨーグルトや甘酒(それぞれ1:1がおすすめ)と組み合わせることでトマトの酸味が抑えられ風味豊かなドリンクになります。●冷凍野菜をうまく活用最近のコンビニでは冷凍野菜が充実しています。とくに多いのはブロッコリーやオクラ、ほうれん草などの緑黄色野菜です。コンビニのサラダや袋入りカット野菜では緑黄色野菜が比較的少ないため、冷凍野菜で緑黄色野菜をとることは有効な方法です。コンビニのメニューはしっかりと味が付いているものが多いため、冷凍野菜はそのまま合わせるだけで味のバランスを整えることができます。たとえば、購入してきたパスタや麺に冷凍野菜をのせ、そのままレンジで温めれば、野菜たっぷりパスタ・麺に変えることができます。そのまま混ぜれば味わいも十分楽しむことができ、サラダを買ってドレッシングをかけるよりも減塩につなげることができます。●おつまみ系を組み合わせる。コンビニの野菜は、「サラダを買う」ことをつい考えがちですが、お惣菜にも目を向けてみることが大切です。パック惣菜のほか、1食分に小分けにされた惣菜などもありバリエーションが豊富です。惣菜の野菜を組み合わせ、主食をパック入り米飯にしてみることもお薦めです。パック入り米飯は、雑穀入り、玄米入りなどバリエーションが豊富に揃っており、ここでも食物繊維をプラスすることができます。上記以外にも、袋入りカット野菜を利用する方法もあります。安価で、カットされた野菜が入っているため、そのままサラダとして食べられるほか、レンジで加熱して(温める際は袋を少し開けておく)野菜をしんなりさせてから、カップスープや麺類などに加えるのも一つの方法です。なかなか「野菜を増やすことができない」「食べる機会がない」「調理が面倒」という方には、こうした方法で野菜を食べる機会を作ってみてもらうことはいかがでしょうか?

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2型DMの腎機能維持、ビタミンDとオメガ3脂肪酸の効果は?/JAMA

 2型糖尿病患者において、ビタミンD3あるいはオメガ3脂肪酸の補給は、プラセボと比較し、5年時の推定糸球体濾過量(eGFR)のベースラインからの変化に有意差は認められないことが示された。米国・ワシントン大学のIan H. de Boer氏らが、「Vitamin D and Omega-3 Trial:VITAL試験」の補助的研究として実施した2×2要因デザイン無作為化臨床試験の結果を報告した。結果を踏まえて著者は、「腎機能維持のためのビタミンDまたはオメガ3脂肪酸サプリメントの使用は支持されないことが示された」と述べている。慢性腎臓病(CKD)は2型糖尿病でよくみられる合併症で、末期腎不全につながり心血管高リスクと関連があるが、2型糖尿病でCKDを予防できる治療はほとんどないとされている。JAMA誌オンライン版2019年11月19日号掲載の報告。約1,300例で、ビタミンD3とオメガ3脂肪酸の有効性をeGFRの変化で評価 研究グループは、2011年11月~2014年3月の期間に全米50州から募集した2型糖尿病患者1,312例を、ビタミンD3(2,000 IU/日)+オメガ3脂肪酸(エイコサペンタエン酸とドコサヘキサエン酸:1g/日)群370例、ビタミンD3(+プラセボ)群333例、オメガ3脂肪酸(+プラセボ)群289例、プラセボ群320例のいずれかに無作為に割り付け、5年間毎日投与した。 主要評価項目は、血清クレアチニンとシスタチンCから算出したeGFRのベースラインから5年時までの変化とした。5年後のeGFR変化量、プラセボと有意差なし 無作為化された1,312例(平均年齢67.6歳、女性46%)のうち、934例(71%)が試験を完遂した。ベースラインのeGFRは85.8(SD 22.1)mL/分/1.73m2であった。 5年時におけるeGFRのベースラインからの平均変化は、ビタミンD3群で-12.3mL/分/1.73m2(95%信頼区間[CI]:-13.4~-11.2)、対するプラセボ群で-13.1mL/分/1.73m2(95%CI:-14.2~-11.9)(群間差:0.9mL/分/1.73m2、95%CI:-0.7~2.5)であった。同様に、オメガ3脂肪酸群で-12.2mL/分/1.73m2(95%CI:-13.3~-11.1)、プラセボ群で-13.1mL/分/1.73m2(95%CI:-14.2~-12.0)(群間差:0.9mL/分/1.73m2、95%CI:-0.7~2.6)であり、2つの介入に有意な相互作用は確認されなかった。 有害事象は、腎結石が58例(ビタミンD3群32例、プラセボ群26例)、消化管出血が45例(オメガ3脂肪酸群28例、プラセボ群17例)発生した。

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ゲノム医療時代、医師はどう学ぶべきか【Doctors' Picksインタビュー】第5回

国立がん研究センター東病院で消化器がんの専門医としてキャリアを積んだ高橋 秀明氏。キャリアの初期にゲノム医療に関わったことをきっかけに、がん領域における横断的アプローチや情報収集の有用性に気付いた、という氏に、その独自の視点の持ち方と日々の学びについて聞いた。私は昔から「変わっている」と言われることが多くて。変わり者が多い医師の世界ですが、その中にあっても「医師らしくない」と言われることがよくあります。自分ではあまりわからないのですが、「わからないことがあれば、すぐ人に聞く」「知らないことを恥ずかしがらない」というあたりが大きいようです。今年の5月から医師向けの情報サイトDoctors’Picksで記事を選定する役割である「Expert Picker」の任を受け、毎日気になった記事を皆さんにシェアしています。私はFacebookやTwitterでの情報発信はやっていないので、ネットでの情報発信はこの活動だけですね。選ぶ記事の種類は自分の専門である消化器がん(肝胆膵がん)の話題が中心ですが、ほかのがんや医療一般の記事や論文も、面白いものがあればどんどんアップしています。医師の仕事は専門性が高く、私はしかも国立がん研究センターという、ことに専門性を求められる職場で働いています。そんな環境にあって、ほかの領域にも関心を持つようになったきっかけは、私のこれまでのキャリアにあるのかもしれません。ゲノム医療で他科への目が開かれたがん研究センターは、2012年からがんゲノム医療への取り組みを始めました。当時、私はその担当になっていました。入職して日の浅い若手でしたから、完全に実働部隊となり、多くのことを勉強させてもらいました。当時は、「がんの部位を横断した治療」という発想は現実的なものではありませんでした。そもそもの遺伝子検査が、臨床で使えるものとしては、肺がんや大腸がんで一つひとつの遺伝子を調べているくらいで、ほかのがんでは遺伝子検査の結果を治療選択に役立てることができていませんでした。一方、海外では50以上の遺伝子変異を同時に調べる検査が一般化しはじめており、「これを日本でもできるようにしないと」という強い思いを持つ先生の旗振りの下、院内のチームで取り組みを進めてきたのです。とはいえ、当時の状況からすれば、本当に小さな生検検体から複数の遺伝子異常を調べられるのか、検査室や病理部などの対応は可能なのか、誰がどのように評価して担当医に結果を返すのか、まさに手探りでした。現在、リキッドバイオプシーの時代が訪れようとしていることを考えると、この10年の間にがん臨床は大きな変貌を遂げた、という思いを新たにしています。ゲノム医療は、まさに「ほかの領域のがんに効いた薬が、自分の領域のがんにも効くかもしれない」という可能性を追究する分野です。もちろん、「何でもいい」というわけではなく、遺伝子異常のタイプ、種類、ほかのがん種と同じことが言えるのか、という点を常に考察しながらの医療になります。がんゲノム医療は2019年から保険適用となり、一気に広がりつつあります。そしてさらに前述のリキッドバイオプシーを含めて医療環境は劇的に変貌を遂げると想像されます。がん治療に関わる医師としては、常に最新の情報に目を光らせねばならない時代になった、と言えるでしょう。横串×専門=「がん」という疾病の特殊性一方で、「がん」という分野の特殊性は、言って言い過ぎることはないでしょう。もともとは臓器別で手術を中心とした研究・治療をしてきたものが、1990年代後半から有効な抗がん剤が多数出現し、同時に内視鏡を使った低侵襲手術、粒子線など放射線治療の局所療法も進歩しました。現在はゲノム検査を筆頭とした個別化によってそれらを組み合わせ、最大の治療効果を出すことが大きなテーマとなっています。米国で先行していた動きに追いつこうと、日本でも2000年代から「腫瘍内科」が生まれ、薬物療法を専門とする内科医が誕生しました。こうした複雑化・高度化した治療に対し、臓器別に横串を刺したうえで、がんという共通テーマで専門的な研究・臨床を行う。こうしたスタイルはほかの疾病にはない、独特なアプローチです。がん薬物療法専門医、がん治療認定医などの腫瘍内科の専門医はがん全般を勉強しているため、この知識が議論の土台となります。このような歴史と状況を踏まえ、「ほかの部位のがんについても学ばなければ」という機運が高まっている、と感じます。それは、あるがんの薬や療法が別のがんにも応用できることが実証されてきたためです。「肺がんで効いたあの薬が使えるのでは」「乳がんでやっているあの組み合わせが応用できるのでは」といった具合に、他領域における新しい薬や治療法の情報が非常に参考になります。いきなり臨床の場で使えなかったとしても、勉強会や論文のネタになりますし、そこから何かが生まれるかもしれません。このように、がん領域は、専門以外の部分も聞きかじっておくと役立つことが随分とあるのです。各分野の専門情報サイトはありますが、「肺がんの専門医だが、別領域のがんについてちょっと知っておきたい」というときに情報収集・交換ができる場があると助かります。Doctors’Picksではそのような視点から記事を選んでいます。加えて、がん治療の精度が上がるにつれ、再発や転移、働きながらの治療や患者の高齢化など、これまでは周辺的な位置付けだった問題の比重も大きくなっています。ここでも部位を横串にした知識や経験が役立つはずです。他科の医師を肌感覚で理解する普段から他科の医師とコミュニケーションをとっておくことは、直接的な情報収集以外にもメリットがあります。同じがん専門医でも、部位によって治療の選択肢やその困難度は大きく異なります。私が専門とする膵臓がんは、早期発見が困難かつ治療の選択肢が少ない、難しいがんです。そうなると、たとえば「2~3割の患者さんに効果がある治療法」があった場合に、私たち膵がんの医師は「おお、それは期待できる治療法だ」と反応します。一方、効果が見込める治療の選択肢が多い肺がんや乳がんの専門医の場合であれば、「2~3割? ふーん、あんまりたいしたことがないね」という反応になる。こうした肌感覚の差異を知っておくことは重要です。例を挙げましょう。がん遺伝子パネル検査を行う際には「エキスパートパネル」という専門家チームを設置して、解析結果を読み解き、具体的な治療方針を決定し、主治医とコミュニケーションを図る必要があります。こうした活動の際にも、専門ごとの感覚の違いを知ったうえでコミュニケーションをとることが非常に重要だと感じます。今後は、さらに他院の医師やコメディカル、ゲノムを専門とする検査薬メーカーやその他スペシャリストとチームを組んで動く場面も増えることでしょう。ゲノムに少しでも関わるならば、他科の動きを勉強しておくことは避けて通れない、と感じます。加えて、私は膵臓がんという難しいがんが専門なので、脳腫瘍や小児がんなど、がんの中でも治療が困難な希少がんを専門とする医師にシンパシーを抱いています。いずれも患者数は少なく、診療情報は貴重で、病状が重篤になりやすい。「きっと、あちらの先生も苦労されているはず。そうした方にも情報が届けばいいな」と思って情報を発信しています。専門外の医師の方も、メジャーながんの情報は日々届くでしょうが、希少がんの情報は手に入りにくいですから、積極的に情報を発信していくことで「ああ、今はそんなに治療が進んでいるんだ。それなら患者を紹介してみようかな」と思ってもらえるとありがたいですね。肺がんが、がん領域を引っ張る日々目を通しているがん関連の論文・記事の中でも、飛び抜けてトピックスが多く、更新頻度も高いのが「肺がん」の分野です。新薬が続々と開発され、臨床に結び付く研究が非常に多い。肺がんが、最近のがんの世界をリードしていると感じます。私の専門である消化器、肝胆膵がんの分野ではなかなかこうはいきません。最近では、肝内胆管がんで、IDH1遺伝子バイオマーカーになりそう、進行膀胱がんと同様にFGFR阻害薬が有効かもしれない、というトピックスがありましたが、やはり腫瘍の特性によるところは大きく、肺がんのトピックスの豊富さには到底かないません。ドラスティックに動く肺がん治療の世界を追いつつ、消化器の分野に応用させられないか、日々動向を追っています。学び続けるために必要な力最近はとくに発表される論文数が膨大になり、ジャーナルも追いきれないほど多数あります。専門だからといってそのすべてを読んでいては、いくら時間があっても足りません。私が情報収集のために一番使っているのはTwitterです。フォローしているのは海外の研究者や関心のある領域の医師。数は70人程度にとどめる代わり、彼らが発信する情報や推薦する論文は欠かさずチェックしています。あとはジャーナルや医学メディアから来るメールを流し読みして、気になったものを読んでいます。最初の段階で、いかに自分にとって価値ある情報だけに接触するか。そのためには他者の視点が欠かせませんし、それを取り入れるためのフィルターも必要。そうした今の時代に合った情報収集力が大切だと感じます。情報は山のようにある時代ですから、それをどうひも付け、自分の中に蓄積していくか、という学び手の編集力も大切です。関連したサイトを集積できたり、用語に自動的に解説が付いたり、医学情報サイトも、そうしたユーザー自らが編集できるような機能を充実させてくれるとうれしいですね。そして、冒頭でもお話ししましたが、わからないことはどんどん他人に聞けばいい。「あいつ、こんなことも知らないのか」と思われるかもしれませんが、別にいいじゃないですか。多くの双方向ツールのある素晴らしい時代なのですから、専門外のことは自分で調べるよりも聞いちゃえばいい、と思います。いわゆる質問力ですね。その代わり、私も自分の専門についての質問には、できる限り答えていきたいと思っています。このインタビューに登場する医師は医師専用のニュース・SNSサイトDoctors’ PicksのExpertPickerです。Doctors’ Picksとは?著名医師が目利きした医療ニュースをチェックできる自分が薦めたい記事をPICK&コメントできる今すぐこの先生のPICKした記事をチェック!私のPICKした記事ビワの種子を使用した健康茶等に、「がんに効果がある」成分は含まれていません!さまざまな記事をご紹介していますが、一番反応があるのはどの科にも共通する話題。疼痛緩和のサプリや禁煙指導、健康食品などのトピックスは反応が良いですね。この記事は、日本医師会が声明で「ビワの種に抗がん作用はない。実は毒性もある」と発信した、というもの。こうした注意喚起のシェアも重要だと思います。今後も、ジェネラルな話題と専門的な話題のバランスをとりながら発信していきたいと思います。

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甘草の重複から偽アルドステロン症を疑い、ただちに医師に電話【うまくいく!処方提案プラクティス】第9回

 今回は、整形外科領域で処方頻度の高い芍薬甘草湯による副作用の初期徴候と経過を把握することがキーとなった症例を紹介します。普段から症状や併用薬を確認することが副作用の早期発見に功を奏しました。処方提案後には、副作用が軽減したかモニタリングすることも重要です。患者情報80歳、女性(外来)、体重:70kg基礎疾患:腰部脊柱管狭窄症、高血圧症、脂質異常症血  圧:おおよそ130/70台を推移月1回整形外科を受診しており、薬剤は薬袋で自己管理している。処方内容(すべて継続処方薬)1.アムロジピン錠5mg 1錠 分1 朝食後2.フロセミド錠20mg 1錠 分1 朝食後3.リマプロストアルファデクス錠5μg 3錠 分3 毎食後4.メコバラミン錠500μg 3錠 分3 毎食後5.芍薬甘草湯7.5g 分3 毎食後6.ロスバスタチン錠5mg 1錠 分1 夕食後7.酸化マグネシウム錠500mg 2錠 分2 朝夕食後本症例のポイントこの患者さんは、腰部脊柱管狭窄症による下肢の痛みや冷えのため芍薬甘草湯が処方されていました。投薬対応中に普段と何か変わったことはないか確認したところ、「最近、手足がだるくて、筋肉痛やこむら返りが起きる。市販薬を購入して服用しているけれど、むしろひどくなっている気がする」と聴取しました。市販薬の内容を確認すると、こむら返りや筋肉の痙攣に良いと聞いて購入した芍薬甘草湯エキス2.4g(商品名:コムレケア)であり、処方されている芍薬甘草湯と重複(甘草として12.0g/日)していました。市販薬の名称からは同じ漢方薬であるとは思わなかったようです。処方薬の芍薬甘草湯を服用中に手足のだるさや筋肉痛、こむら返りなどの症状が生じていることから偽アルドステロン症の可能性が疑われ、さらに市販薬を追加服用したことで症状の増悪に至ったと考察しました。さらに、双方の芍薬甘草湯によって降圧コントロールで服用しているフロセミドによる低カリウム血症が生じて、筋力低下や筋肉痛が生じている可能性もあると考え、医師への連絡が必要と考えました。<偽アルドステロンの注意点>偽アルドステロン症は甘草に含まれるグリチルリチンの活性代謝物であるグリチルリチン酸が、ナトリウム貯留や血圧上昇などのミネラルコルチコイド様作用を発揮することにより生じる。主な初期徴候は、手足のだるさ、しびれ、ツッパリ感、こわばり、筋肉痛、四肢脱力など。甘草2.5g/日以上、グリチルリチン100mg以上で発生リスクが高まるが、それ未満でもリスクはあるので注意が必要。利尿薬(とくにカリウム排泄型)が投与されている場合には、低カリウム血症を生じやすく、重篤化しやすい。処方提案とその後の経過患者さんに事情を話して投薬対応を一旦待っていただき、医師へ電話連絡することにしました。継続処方されている芍薬甘草湯による偽アルドステロン症の可能性があり、市販薬の芍薬甘草湯を購入して服用したことでさらに症状を助長させている可能性について報告し、今後の対応を相談しました。また、フロセミド服用で低カリウム血症が生じている可能性も考えられるため、血清カリウムの採血も提案しました。その結果、医師より処方薬と市販薬の芍薬甘草湯を中止するよう指示があったうえで、患者さんはすぐに再診となり、血清カリウムの評価のため採血検査が行われました。その2週間後に診察フォローがありましたが、予想どおり血清カリウム値が2.6mEq/Lと低カリウム血症でした。血圧推移は安定しており、浮腫もないことからフロセミドも中止となりました。今回問題となった手足のだるさや筋肉痛、こむら返りについては、芍薬甘草湯を中止して症状は改善し、再燃なく経過しています。ポケット医薬品集2019年版重篤副作用疾患別対応マニュアル 偽アルドステロン症

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ピロリ除菌と栄養サプリメントの胃がん抑制効果:世界最長の経過観察(解説:上村直実氏)-1137

 H. pyloriは幼児期に感染し半永久的に胃粘膜に棲息する細菌であるが、胃粘膜における持続的な感染により慢性活動性胃炎を惹起し、胃がん発症の最大要因であることが明らかとなっている。さらに除菌により胃粘膜の炎症が改善するとともに、胃がんの抑制効果を示すことも世界的にコンセンサスが得られている。しかしながら、実際の臨床現場では除菌後に胃がんが発見されることも多く、除菌による詳細な胃がん抑制効果を検証する試みが継続している。今回、除菌治療のみでなくビタミン補給やニンニク摂取により、胃がん発症および胃がん死の抑制効果を示す介入試験の結果がBMJ誌に発表された。 この報告の最大の特徴は、胃がんの発生を内視鏡的に確認している点と、除菌や食品補給による介入後の観察期間が22.3年間という世界最長である点である。このコホート研究に関する以前の報告1)では14.7年の経過観察で除菌による抑制効果のオッズ比が0.61(95%CI:0.38〜0.96)であったが、今回の22年経過時点でのオッズ比は0.48(95%CI:0.32〜0.71)となり、経過が長くなるにつれて除菌による胃がん抑制効果が増加することを明確に示している点は特記すべきである。さらに、胃がん死亡者が増加するにつれて、介入後22.3年で胃がん死亡率の減少が統計学的に有意になっており、胃がん予防効果はできるだけ早期に除菌を行うほうが効果的であるというスナネズミの実験結果を支持する成績であり、日本で推進されつつある中学生に対するピロリ検診に追い風となる研究結果といえる。さらに、胃粘膜萎縮が進んだ状態でも除菌による胃がんの発生抑制効果を認めたことから、萎縮性胃炎が進行した患者や高齢者に対してもリスクベネフィットを考慮したうえで除菌治療が推奨されるべきと思われた。 一方、ビタミン補助群とニンニク補助群が胃がんの発生率や胃がんによる死亡の抑制効果を示した結果には正直驚いた。胃がんの抑制効果を示すとされる食品が多数報告されているが、実際の診療現場で本気で使用できるものは皆無である。今後、大規模な介入試験により長期間の経過観察が必要と述べられているが実現は困難と思われ、本研究の経過に関する定期的な報告が期待される。一方、使用されたビタミンとニンニクの成分を用いた遺伝子変異などの基礎研究による抑制機序の解明努力も必要であろう。

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認知症予防の可能性、カマンベールチーズvs.運動

 東京都健康長寿医療センター、桜美林大学、株式会社 明治(以下、明治)の共同研究グループは、高齢者女性を対象としたランダム化比較試験(RCT)において、カマンベールチーズの摂取による認知機能低下抑制を示唆し、認知症予防の可能性を見いだすことに成功した1)。 2019年11月6日、明治主催のメディアセミナー「人生100年時代に考える認知症予防について~カマンベールチーズの新たな可能性~」が開催。鈴木 隆雄氏(桜美林大学老年学総合研究所 所長)が「人生100年時代~認知症予防とBDNF」を、金 憲経氏(東京都健康長寿医療センター研究所 研究部長)が「カマンベールチーズがBDNFに及ぼす影響~ランダム化比較試験」について講演した。BDNF濃度が認知症予防に影響 国内外の研究報告によると、高齢者の認知症の中で最も多くの患者数を占めるのがアルツハイマー病である。現在の日本では、認知症は高齢者人口の約15%を占め、その前駆状態である軽度認知障害(MCI)すなわち認知症予備軍は約13%を占めている。MCIの高齢者の約半数が5年以内にアルツハイマー病に移行することが報告されていることから、鈴木氏は「MCIの段階で予防対策を講じることが極めて重要」と述べた。さらに、「エビデンスの質、科学的根拠のレベルの高さが重要となる中で、これまでの認知症予防の視点での食品研究はほとんどが観察研究だった。今回の試験結果は介入試験からの結果であり、信頼性は高い」と、過去の研究とエビデンスレベルが異なる点を強調し、Journal of the American Medical Directors Association 9月号1)に掲載された研究について解説した。 今回の研究で一番の焦点となったのは、BDNF(脳由来神経栄養因子)の上昇である。BDNFとは、神経細胞の発生・成長・維持・再生を促進させる、いわば“脳の栄養分”とも呼ばれる重要なタンパク質で、脳内、とくに記憶の中枢である海馬に高濃度に存在している。BDNFの血中濃度は加齢や糖代謝異常、そして認知症に伴い減少することが示されており、臨床的に広く評価されている指標でもある。 BDNFの変動については、運動が血中BDNF濃度の増加に寄与していることがこれまでいくつかの研究で示されている。しかし、同氏は「食品とBDNFの関連性についてのエビデンスレベルの高い研究は少なく、今回の研究の意義は大きい」と、述べた。カマンベールチーズで血中BDNF濃度が有意に上昇 以前、65歳以上の高齢女性を対象にチーズ摂取と認知機能に関する観察研究を行い、チーズ摂取の有無と認知機能の関連性を明らかにした金氏は、「国内では、アルツハイマー病マウスでのカマンベールチーズの作用が示唆2)されていたことから、今回、実際のヒトを対象として、70歳以上のMCIの高齢女性を対象としたRCTを行った」と述べた。 次に、同氏はチーズの利用価値について説明。チーズは栄養価が非常に高く、タンパク質、ミネラル、ビタミンを効率よく補うことができる食品であり、世界で1,000種類以上も存在する。なかでも、カマンベールチーズには、デヒドロエルゴステロールという神経細胞において抗炎症作用を示す成分が含まれるほか、白カビの作用によりトリグリセリドからオレイン酸が、タンパク質からアンモニアが生じる。 このような過程で生じたオレイン酸とアンモニアが反応し、オレアミドが産生される。これが脳内のミクログリアに作用することで、アミロイドβの除去2)やミクログリアの過剰な炎症を抑制2、3)すると考えられている。 今回の研究では、カマンベールチーズ群と対照チーズ群でオレアミドの含有量を比較。その結果、カマンベールチーズ群の含有量は対照チーズ群の10倍以上であった。また、今回のRCTの結果、血中BDNF濃度がカマンベールチーズ群では対照チーズ群と比較して有意に増加し、ベースラインから変化率が6.18%も増加した。これらの結果を踏まえて、金氏は「血中BDNF濃度が約6.2%も増加するということは、フレイル高齢者が1回あたり60分の運動を2回/週、3ヵ月継続したもの(変化率:7.6%)4)とほぼ同等の効果であり、注目に値する」と述べ、「来年に発表される長期追跡試験のデータから認知機能改善作用が確認できるかどうかが今後の課題である」と、締めくくった。

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第20回 脂質が多い食べ物を見直してみよう【実践型!食事指導スライド】

第20回 脂質が多い食べ物を見直してみよう医療者向けワンポイント解説外食が増えると糖質や脂質の量は、気付かないうちに増えていきます。普段、無意識に選んでいる食品をもう一度意識して見直してみることが大切です。●スナック菓子スナック菓子とは、原料にイモ、トウモロコシ、米粉や豆類といった炭水化物系を油で揚げている菓子類を指します。軽い食感のものが多いですが、高カロリー、高脂質です。●から揚げ・天ぷら揚げ物は油で揚げる料理のため、「脂質量が多い」と想像しやすい食品の一つです。衣が厚くなるほど吸油率が高くなるため、素揚げ<から揚げ<天ぷら<フリットの順に油脂量が多くなると考えると良いでしょう。また、素材によっても吸油率が変わり、とくにかき揚げやクルトン、野菜揚げは油脂量が多くなります。たとえば、かき揚げは74%、クルトンは99%の吸油率です。野菜の中でも吸油率の高いナスは、素材量に対して素揚げで14%、天ぷらで18%ほどの吸油率です。●ラーメン麺類の中では油脂が多く含まれるメニューです。動物性油脂は加熱されると溶けるため、想像以上の油脂を摂取しているかもしれません。スープを残すことは、油脂と塩分の摂取量を減らすことにつながります。また、種類によっても脂質量は変わります。塩や醤油ラーメンに比べ、とんこつラーメン、坦々麺、背脂系ラーメンなどは油脂量が高くなります。●ナッツナッツにはビタミンEなどのビタミンやミネラルが豊富に含まれるため、健康食材として食べている方も多くいますが、アーモンドオイル、くるみオイルなど搾油ができるほど高脂質です。たとえば100gあたりアーモンドは54g、くるみは68.8g、マカダミアナッツは76.7gの油脂を含みます。食べ過ぎには注意したい食材です。●チーズ種類によって脂質量が異なります。平均的には25〜35g/100gほどの脂質が含まれます。脂質が少ないチーズは、カッテージチーズ(4.5g/100g)、リコッタチーズ(11.5g/100g)などです。●フライドポテトじゃがいもを油で揚げた料理です。太いフライドポテトよりも、細いフライドポテトのほうが吸油率は高くなります。●カレー市販されているカレールゥの原材料は、動物性油脂と小麦粉が主です。●コーヒーフレッシュ「コーヒーミルク」とも呼ばれるため、牛乳から作られていると勘違いしがちですが、これは“植物性油脂食品”です。つまり“油と水と食品添加物で作られた液体”です。●ウインナー・ベーコンウインナーはひき肉などを調味加工して腸に詰めたもの、ベーコンは豚バラ肉などを塩漬けにし、燻製にしたものを指します。どちらも使用する材料に動物性脂質が多く含まれます。●アイスクリーム厚生労働省が定めた分類では、アイスクリームは乳固形分15.0%以上(乳脂肪8.0%以上)のものを指します。アイスミルクは乳固形分10.0%以上(乳脂肪3.0%以上)、ラクトアイスは乳固形分3.0%以上入っているものを指します。そのほかに氷菓があります。アイスクリームは、一番多く脂質量を含みます。●牛丼牛肉のどの部位を使っているかによって異なりますが、一般的には、ばら肉の部位を使うため脂質量が多くなります。●市販のカフェラテ・カフェオレ市販のカフェラテには生乳以外が使われていることも多く、乳脂肪を意識する必要があります。●ココナッツミルクココナッツは果実ですが、ココナッツオイルなどの原料となるほど脂質が多く含まれています。バナナの脂質は0.2g/100gに対して、ココナッツは1.9g/100gと9.5倍の脂質を含みます。1)松本仲子 編. 調理のためのベーシックデータ 第4版. 女子栄養大学出版部;2012.2)乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(昭和26年12月27日) (厚生省令第52号)

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多価不飽和脂肪酸に糖尿病の予防効果はあるか?(解説:小川大輔氏)-1115

 多価不飽和脂肪酸(PUFA)にはオメガ3脂肪酸(魚油に多く含まれるドコサヘキサエン酸[DHA]やエイコサペンタエン酸[EPA]、また植物油に含まれるαリノレン酸など)とオメガ6脂肪酸(リノール酸、アラキドン酸など)が含まれる。PUFAには中性脂肪を低下する効果があることが知られている。一方、糖代謝や糖尿病の発症を防止する効果については有効と無効のどちらの報告もあり、一定の見解が得られていない。今回著者らはシステマティックレビューの研究を検索し、オメガ3脂肪酸、オメガ6脂肪酸、総PUFAの増加と2型糖尿病の予防および治療に対する効果をメタ解析により検討した1)。 著者らは、PUFAの摂取による影響を検討した無作為化比較試験83件、12万1,070例の症例を対象とし、長鎖オメガ3脂肪酸、αリノレン酸、オメガ6脂肪酸、総PUFAの摂取量と糖尿病の診断、ヘモグロビンA1c、血糖値、空腹時インスリン、HOMA-Rなどに関するデータを解析した。その結果、長鎖オメガ3脂肪酸の摂取増加と糖尿病の診断、ヘモグロビンA1c、血糖値、空腹時インスリン、HOMA-Rにほとんど影響がないことが示された。またαリノレン酸、オメガ6脂肪酸、総PUFAの増加も長鎖オメガ3脂肪酸と同様の結果であった。さらに、サプリメントによる高用量の長鎖オメガ3脂肪酸の摂取やαリノレン酸の摂取増加は、むしろ糖代謝に悪影響を及ぼす可能性が示唆された。 今回の検討により、多価不飽和脂肪酸、なかでも「体に良い」といわれるDHAやEPAといった長鎖オメガ3脂肪酸に糖尿病の発症を予防する効果はないことが明らかになった。また、多量のオメガ3飽和脂肪酸摂取による糖代謝悪化の機序は不明であるが、日常診療で高血糖の鑑別に健康食品やサプリの多量摂取も念頭に置く必要があると考えられる。

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日本人の海藻摂取と脳・心血管リスク

 海藻に含まれるミネラルやビタミン、可溶性食物繊維、フラボノイドは、心血管疾患予防に役立つが、海藻摂取と心血管疾患リスクとの関連は明らかになっていない。今回、わが国の多目的コホート(JPHC)研究で、筑波大学の村井 詩子氏らが海藻摂取と脳卒中および虚血性心疾患リスクとの関連を調査したところ、虚血性心疾患リスクとの逆相関が認められた。一方、脳卒中とは有意な関連はみられなかった。The American Journal of Clinical Nutrition誌オンライン版2019年9月13日号に掲載。 本研究は、2つの大規模コホート(40~69歳)における男性4万707人と女性4万5,406人が対象。ベースライン時(1990~94年)、食事摂取頻度調査票(FFQ)で海藻摂取について調査した。脳卒中および虚血性心疾患の発症率は、2009年末(コホートI)または2012年末(コホートII)まで調査した。地域による層別化と心血管疾患リスクおよび食事因子の調整後、Cox比例ハザードモデルを使用して男女別の心血管疾患のハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を推定した。 主な結果は以下のとおり。・149万3,232人年の経過観察中に、脳卒中4,777例(虚血性脳卒中2,863例、脳実質内出血1,361例、くも膜下出血531例)、虚血性心疾患1,204例が確認された。・男性では、海藻をほとんど摂取しない群に対する、ほぼ毎日摂取する群の多変量HRは、虚血性心疾患で0.76(95%CI:0.58~0.99、傾向のp=0.04)、心血管疾患全体で0.88(同:0.78~1.00、傾向のp=0.08)であった。女性では、虚血性心疾患で0.56(同:0.36~0.85、傾向のp=0.006)、心血管疾患全体で0.89(同:0.76~1.05、傾向のp=0.10)であった。・海藻摂取と脳卒中全体および脳卒中の各タイプとのリスクとの間には、男女とも有意な関連はみられなかった。

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がん悪液質に対する早期の栄養・運動介入…NEXTAC試験 シリーズがん悪液質(5)【Oncologyインタビュー】第11回

初回化学療法開始時からがん悪液質に対する栄養・運動介入を行うNEXTAC試験が始まった。同試験の実務をリードする静岡県立静岡がんセンター 呼吸器内科の内藤 立暁氏に、同試験の内容を聞いた。がん悪液質の臨床研究試験について、がん治療の臨床研究とは異なる点を教えていただけますか。がん悪液質の患者に対する臨床試験の実施には、通常の抗がん剤の臨床試験と異なり、いくつかの障壁があることがわかっています。1つ目は単独介入の壁です。栄養療法、運動療法、薬物療法のいずれか単独で介入する臨床研究では、一貫した成果を証明できていません。多要因によって発生するがん悪液質にはこれらを組み合わせた治療が必要と考えられています。2つ目は脆弱性の壁です。たとえば、がん悪液質に対する栄養介入や薬物治療の臨床研究では、がんの増悪や病状悪化により治療の遵守率が悪化し、研究の脱落者が多発します。運動介入の研究においても、やはり病状悪化や骨転移による症状などで治療が中断してしまう症例が多く、多くの臨床試験がその脆弱性により妨げられてきました。3つ目は機能回復の壁です。いくつかの薬物治療の臨床研究では骨格筋を増加させることはできたものの、身体機能の回復は得られませんでした。現在も、さまざまな治療法が研究されていますが、現在のところ身体機能を改善した薬物治療は存在しません。そのような中、NEXTAC試験が開始されたのですね。NEXTAC(Nutrition and Exercise Treatment for Advanced Cancer)-ONEならびに-TWO試験は京都府立医科大学の高山浩一先生を研究代表者とした臨床研究であり、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の助成を受けて実施しています。前述の単独介入の壁、脆弱性の壁、機能回復の壁、この3つの悪液質の臨床研究を妨げる壁を乗り越えるために計画されました。NEXTACプログラムは、身体機能の回復を目的とし、進行がんの診断後に早期から運動療法と栄養療法を導入する集学的介入です。運動療法については、脆弱な高齢者のがん患者さんにもやり遂げられる低強度の在宅プログラムとし、下肢筋トレーニングと身体活動を促進するカウンセリングを取り入れています。栄養療法については、栄養カウンセリングを中心とし、分子鎖アミノ酸(BCAA)を含有したサプリメントを用いています。またいずれの治療においても、動機を維持し、行動変容を促進するような教育的なアプローチを取り入れています。第I相試験としてNEXTAC-ONE試験が行われましたが、どのようなものか具体的に教えていただけますか。NEXTAC-ONE試験は、NEXTACプログラムの実現可能性をみる前向き単群の第I相試験です。70歳以上の進行膵がんと肺がん患者さん30例に対し、初回化学療法と同時に、栄養・運動介入を開始し、試験期間は8週間です。海外の類似した集学的治療の研究では、多数の脱落者を出していたため、NEXTAC-ONE試験の実現可能性の主要評価は8週間のNEXTACプログラムへの参加割合としました。栄養・運動の介入が化学療法の開始時から始まるというのは従来では考えられないような早いタイミングではありませんか。従来は、化学療法開始の時期から始めるとは考えなかったかもしれないですね。しかし、進行肺がんや膵がんの患者さんは、診断の時点で半数以上が、すでにがん悪液質を有していることが疫学データで明らかになっており、その後は時間と共に悪液質の割合は増加します。従って、化学療法の開始時が最も適切な開始時期と考えました。NEXTAC-ONE試験の概要対象:1次治療としての化学療法を実施予定の進行期非小細胞肺がん、または膵臓がん患者。年齢70歳以上、PS 0~1、介護を要しない患者(Barthel Index 95点以上)介入:標準化学療法の開始とともに、BCAA含有サプリメント摂取(大塚製薬:インナーパワー®)と管理栄養士による栄養カウンセリング、理学療法士による低強度の在宅での下肢筋力トレーニングの指導、主に看護師による、身体活動量促進のカウンセリングを行う。8週間の治療期間で、3回の運動指導と3回の栄養指導の計6回のセッションで構成される。評価項目:[主要評価項目]実現可能性(治療期間の6回のセッションのうち4回以上参加した患者の割合[副次評価項目]安全性、コンプライアンス、アドヒアランスなど画像を拡大するNEXTACプログラムの詳細栄養介入:栄養カウンセリングでは自宅での食事の栄養組成と摂取量を調査し、体格から計算されたカロリー、蛋白、水分の一日所要量と比較して充足しているか否か評価し、不足分をいかに補うかを指導します。また化学療法中に生じる口腔粘膜炎、味覚障害、や下痢など「摂食に影響を及ぼす症状」Nutrition Impact Symptoms(NIS)に対する対策を指導します。サプリメントは骨格筋の材料となるBCAA含有の製品(大塚医薬:インナーパワー®)を提供しました。低強度下肢筋力トレーニング:がんの治療では、遠方より通院されている方も多いですので、運動療法のために通院が必要となる方法は参加率を低下させます。従って運動処方は自宅で実施できる内容となっています。過去の研究では、上肢・下肢を含めた総合的な筋力トレーニングが用いられてきたのですが、進行がん患者の臨床試験では脱落者が多発します。従って、NEXTACプログラムの運動介入では、歩行に関連した下肢筋力トレーニング絞った低強度の介入としています。画像を拡大する身体活動促進プログラム:身体活動量促進プログラムは、加速度計付き歩数計を用い、歩数目標のゴールを決めて、毎日達成することを目指すものです。その際、抗がん剤の皮疹など外見的要因、下痢などの身体的要因といった外出を妨げる症状のコントロールや転倒防止の指導もカウンセリングプログラムの中に含めています。NEXTAC-ONE試験の結果について教えていただけますか。主要評価項目の参加率(栄養・運動3回ずつのセッションのうち4回以上参加した患者)は30人中29人で参加率は97%と良好でした。コンプライアンスは、サプリメントの服用、筋トレ実施、歩数計装着日はいずれも9割を超えており良好でした。また、介入の成果は行動変容にも出ており、約7割の患者さんが屋外活動を増やし、約8割の患者さんが屋内活動を増やしました。6分間歩行、握力などの身体機能について、化学療法中も維持されている傾向がありました。従って、NEXTACプログラムは実現可能性があり、安全性の問題もなく、身体機能についても効果が期待されるということから、現在はNEXTAC-TWO試験を実施中です。NEXTAC-Two試験はどのようなものか教えていただけますか。NEXTAC-TWO試験は、対象患者の選択基準はNEXTAC-ONE患者とほぼ同じですが、無作為化試験であり、コントロール群と、NEXTAC介入群の各群65名の計130名に参加いただきます。治療期間は12週間です。主要評価項目は介護不要生存期間(Disability-free Survival)、つまり要介護にならずに生存している期間としています。NEXTAC-TWO試験の概要対象:1次治療として化学療法実施予定の進行期非小細胞肺がん(NSCLC)または膵臓がん患者。年齢70歳以上、PS 0~2で、介護を要しない患者(Barthel Index 95以上)介入群:標準化学療法の開始とともに、BCAA含有サプリメント摂取(大塚製薬:インナーパワー®)と管理栄養士による栄養カウンセリング、理学療法士による低強度の在宅での下肢筋力トレーニングの指導、主に看護師による、身体活動量促進のカウンセリングを行う。12週間の治療期間で、4回の運動指導と4回の栄養指導の計8回のセッションで構成される。対照群:標準化学療法のみでNEXTAC介入なし。評価項目:[主要評価項目]無障害生存期間(Disability-free Survival)[副次評価項目]栄養状態、除脂肪体重、運動機能、ADL、QOL、全生存期間、安全性など画像を拡大する本試験は2019年3月に全予定症例の登録が完了しました。現在は追跡期間中であり、2021年に主要評価項目に関する解析を予定しています。参考NEXTAC-ONE試験1.Naito T, et al. J Cachexia Sarcopenia Muscle. 2019;10:73-83. 2.Mouri T, et.al. Asia Pac J Oncol Nurs. 2018;5(4):383-390.3.立松典篤他. 日本緩和医療学会誌 2018;13(4):373-381.NEXTAC-TWO試験1.Miura S, et.al. BMC Cancer. 2019;19(1):528.

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高用量ビタミンD補充に関する検討:わが国の現状には参考にならない(解説:細井 孝之 氏)-1112

 ビタミンDは骨代謝のみならず、免疫系などにも作用する重要なビタミンである。血中25水酸化ビタミンD濃度はビタミンDの充足度を反映する指標であり、日本内分泌学会が基準値を定め、その測定は最近骨粗鬆症にも保険適用となった。一方で、いまだにビタミンD不足(血中濃度30ng/mL以下)の方は非常に多く、少なくとも成人の食事摂取基準における1日摂取量の目安である5.5μgを確保したいところである。なお、骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版では1日10~20μgの摂取を推奨している。 この論文で報告されている研究では55~70歳の男女を3群に分け、ビタミンD 1日10μg、100μg、または250μgを3年間摂取させ、「体積骨密度」の変化を比較している。ベースラインの25水酸化ビタミンD濃度は、12~50ng/mLと幅広い。このような高用量ビタミンDの介入研究は欧米ではこれまでも報告されてきたが、本研究の新規性は「面積骨密度」(通常のDXA)ではなく、「体積骨密度」で評価したことにある。結果としては、より高用量のビタミンDによるbenefitはなかったことが示唆されている。わが国でのビタミンD摂取許容上限値は成人で100μgであり、100μgをサプリメントで摂取することはまずないことを考えると、研究結果はわが国の現状に対しては直接的に参考になるものではない。高用量のビタミンD摂取時に脱水などの体調変化が加わると、高カルシウム血症のリスクが高まることは注意すべきである。また、ビタミンDを含む脂溶性ビタミンの体内分布を考えると、脂肪組織への蓄積なども考慮しなければならない用量のレベルもあろう。

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ダパグリフロジン、HFrEF患者でCV死・心不全悪化リスク26%低下(DAPA-HF)/ESC2019

 2型糖尿病合併の有無を問わず、SGLT2阻害薬ダパグリフロジン(商品名:フォシーガ)が、左室駆出率が低下した心不全(HFrEF)患者における心血管死と心不全悪化の発現率を有意に低下させた。フランス・パリで開催された欧州心臓病学会(ESC2019)で、グラスゴー大学循環器リサーチセンターのJohn McMurray氏が、第III相DAPA-HF試験の結果を発表した。 DAPA-HF試験は、2型糖尿病合併および非合併の成人HFrEF患者を対象に、心不全の標準治療(アンジオテンシン変換酵素[ACE]阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬[ARB]、β遮断薬、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬[MRA]およびネプライシン阻害薬を含む薬剤)への追加療法としてのダパグリフロジンの有効性を検討した、国際多施設共同無作為化二重盲検並行群間比較試験。 HFrEF患者(NYHA心機能分類IIからIV、LVEF;40%以下、NT-proBNP≧ 600pg/mL)に対し、標準治療への追加療法としてダパグリフロジン10mgを1日1回投与し、その有効性をプラセボとの比較で評価した。主要複合評価項目は、心不全イベント発生(入院または心不全による緊急受診)までの期間、または心血管死であった。 主な結果は以下のとおり。・ダパグリフロジン群に2,373例、プラセボ群に2,371例が無作為に割り付けられた。・ベースライン特性は、両群ともに平均LVEF:31%、平均eGFR:66mL/分/1.73m2、2型糖尿病罹患率:45%でバランスがとれていた。・心不全治療薬の使用状況は、レニン・アンジオテンシン系(RAS)阻害薬:ダパグリフロジン群94% vs.プラセボ群93%、β遮断薬:両群ともに96%、MRA:両群ともに71%。・心血管死または心不全悪化の主要複合評価項目は、ダパグリフロジン群において有意に低下した(ハザード比[HR]:0.74、95%信頼区間[CI]:0.65~0.85、p=0.00001)。各項目の解析をみると、心不全悪化の初回発現リスク(HR:0.70、95%CI:0.59~0.83、p=0.00003)、心血管死のリスク(HR:0.82、95%CI:0.69~0.98、p=0.029)ともにダパグリフロジン群で低下した。主要複合評価項目におけるダパグリフロジンの影響は、2型糖尿病の有無を含む、検討された主要サブグループ全体でおおむね一貫していた。・全死亡率においても、100患者・年当たり1イベント換算で患者7.9例 vs.9.5例とダパグリフロジンで名目上有意な低下を示した(HR:0.83、95%CI:0.71~0.97、p=0.022)。・Kansas City Cardiomyopathy Questionnaire (カンザスシティ心筋症質問票:KCCQ)の総合症状スコアに基づいた、患者報告アウトカムの有意な改善が確認された。・安全性プロファイルについて、心不全治療において一般的な懸念事項である体液減少の発現率は7.5% vs.6.8%、腎有害事象の発現率は6.5% vs.7.2%、重症低血糖の発現率はともに0.2%であった。

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第18回 コンビニでバランスUP! 目的別カップスープ活用法【実践型!食事指導スライド】

第18回 コンビニでバランスUP! 目的別カップスープ活用法医療者向けワンポイント解説小腹が空いている時、中途半端な時間に食事をしたい時、食欲がない時など、コンビニに入っても何を買おうか悩むことが多いはずです。夜遅くにコンビニでお弁当を買うのは量が多すぎるし、重たい。でも、ヨーグルトでは物足りない。カップラーメンでは後ろめたさを感じる。そんな葛藤の際にオススメなのが、即席スープ類です。「湯を入れるだけの手軽さ」「カロリーが比較的低い」「買い置きができる」などの利点があります。また、温かい汁物、油脂や塩の味わいは、満足度を高める効果があり、食べ過ぎを抑える効果もあります。しかし、スープだけでは物足りなさも残る、バランスも良くないと感じる方のために、目的別カップスープ活用法をご紹介します。1)タンパク質を増やしたい食事がご飯やパンなどに偏りがちな場合、タンパク質を増やす意識は大切です。タンパク質にはバランスを整え、筋肉維持の働きがあり、また食欲を抑える働きもあります。スープに合うおすすめの「タンパク質食品」として、温泉卵、ゆで卵、豆腐、納豆、豆乳などがあります。温泉卵はスープにコクを出し、ゆで卵は入れることでボリュームを増やします。豆腐や納豆は低カロリーで良質なタンパク質です。お好みのスープを選び、蓋を開け、湯を注ぎ入れる前に食材を入れることで、食べるときに程よい温度にできます。豆乳を温め、湯の代わりに入れることもオススメです。2)野菜を増やしたい野菜を増やすことで、食物繊維やビタミン、ミネラルの摂取ができるほか、血糖値の急上昇を抑える働きもあります。また、噛みごたえが増し、食べた満足度が上がります。コンビニで野菜を入れるならカット野菜が便利です。 オススメの組み合わせとして、濃厚なスープには、大根系のミックス、緑黄色野菜ミックスポタージュスープやあっさりとしただしスープには、レタスやキャベツなどのカット野菜がオススメです。カット野菜は、生のままでは入りきりません。袋の口を開け(破裂の予防)、電子レンジで600w 50〜60秒加熱します。かさが減った野菜は、1袋分をカップに入れることができ、ボリューム満点のスープが出来上がります。3)体調が悪い/食欲がない体調が悪い時や食欲がない時にも、スープは比較的喉を通りやすい食品です。湯を入れたスープに海苔の付いたおにぎりを入れると、海苔の風味で食欲をそそるリゾットが出来上がります。オススメとして和風だしスープ:梅干しや昆布、雑穀系のおにぎりポタージュスープ:昆布、サケ、ツナ中華スープ、濃厚スープ:辛子高菜、おかか、鶏五目などの相性が良いです。コンビニでスープを買う際には、『そのままで食べるよりも1品プラスする意識を持つ』と栄養バランスが整いやすくなります。

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ダパグリフロジンがHFrEF患者で主要評価項目達成、同クラスで初/AstraZeneca

 AstraZeneca(本社:英国ケンブリッジ、最高経営責任者:パスカル・ソリオ)は2019年8月26日までに、ダパグリフロジン(商品名:フォシーガ)の心不全に対する有効性を検討した第III相DAPA-HF試験において、主要評価項目を達成したことを発表した。2型糖尿病合併の有無を問わず、心不全患者の標準治療への追加治療として、SGLT2阻害薬の有効性および安全性が実証されたのは初となる。 第III相DAPA-HF試験は、2型糖尿病合併および非合併の成人HFrEF(左室駆出率が低下した心不全)患者を対象に、心不全の標準治療(アンジオテンシン変換酵素[ACE]阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬[ARB]、β遮断薬、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬[MRA]およびネプライシン阻害薬を含む薬剤)への追加療法としてのダパグリフロジンの有効性を検討した、国際多施設共同無作為化二重盲検並行群間比較試験。 HFrEF(NYHA心機能分類IIからIV、LVEF;40%以下)患者に対し、標準治療への追加療法としてダパグリフロジン10mgを1日1回投与し、その有効性をプラセボとの比較で評価した。主要複合評価項目は、心不全イベント発症(入院または心不全による緊急受診)までの期間、もしくは心血管死であった。 ダパグリフロジン群ではプラセボ群と比較して、統計学的に有意かつ臨床的に意義のあるリスク低下を示し、主要複合評価項目を達成した。本試験におけるダパグリフロジンの安全性プロファイルは、これまでに確立された同剤のプロファイルと一貫していた。AstraZenecaはプレスリリースの中で、同試験の全結果は、今後の学術集会において発表予定としている。 なお、ダパグリフロジンについては、HFpEF(左室駆出率が保持された心不全)患者対象の第III相DELIVER試験、HFrEFおよびHFpEF患者対象の第III相DETERMINE試験も進行中である。

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アドヒアランス不良のカリウム薬の中止提案【うまくいく!処方提案プラクティス】第3回

 今回は、長期間にわたってカリウム薬を服用していたことに着目した症例です。患者さんより聴取した不満を契機に医師へ血液検査結果を基にした中止提案を行い、中止後の検査値や自覚症状に問題がないことを医師および患者さんと確認し、無事に中止することができました。患者情報外来患者、70歳、女性、身長:154cm、体重:52kg現病歴:高血圧、骨粗鬆症投薬時に、毎食後の服薬が苦痛で、L−アスパラギン酸カリウムの服用をよく忘れるとの相談あり(医師には伝えていない)。市販薬やサプリメントの使用はなし。食事は規則正しく1日3食で、食事摂取量にむらはなし。処方内容(1、3の内科からの処方薬は10年以上服用中)1.テルミサルタン錠20mg 1錠 分1 朝食後2.アルファカルシドールカプセル0.25μg 1カプセル 分1 朝食後3.L−アスパラギン酸カリウム錠300mg 3錠 分3 毎食後症例のポイント患者さんは上記1と3の処方薬を長年服用していますが、L−アスパラギン酸カリウムを毎食後に服用することを苦痛に感じていました。たびたびあった服用忘れを医師には伝えていなかったため、アドヒアランスが良好だということを前提に処方が継続されている可能性がありました。L−アスパラギン酸カリウムは、薬剤性低カリウム血症のカリウム補給に用いられることが多くあります。低カリウム血症の原因となる薬剤として、漢方薬(芍薬甘草湯など市販薬にも成分として含まれるので要注意)や利尿薬(とくにループ利尿薬)、グリチルリチン酸、インスリンが挙げられますが、この患者さんの処方内容からは薬剤性の低カリウム血症が生じている可能性は低いと考えられました。患者さんから聞き取った範囲では、1日3食しっかりと食事を摂取していることから、食事でカリウムが著しく不足しているとも考えにくいです。直近の血液検査結果を持参してもらうと、アドヒアランス不良であったにもかかわらず、血清カリウム値は4.5mEq/Lと充足しており、中止しても大きな影響はないと推察しました。医師に血液検査結果と患者さんの希望について話をしてみたところ、そもそもL−アスパラギン酸カリウムの処方を開始したのは前医のため処方意図がわからないこと、血清カリウムなどのL−アスパラギン酸カリウムの評価を失念されていたことが発覚し、L−アスパラギン酸カリウムの処方が中止となりました。その際、次回診察の際にカリウム値の採血を提案しました。低カリウム血症とは、血清カリウム値が3.5mEq/L未満の場合であり、2.5~3.0mEq/Lが中等症、2.5mEq/L未満は重症と定義されている。2.5mEq/L未満の重症ないし急速な低下時には、心臓(不整脈)、筋肉(筋力低下・倦怠感・麻痺・筋痙攣)、消化管(イレウス・食欲不振・嘔気)、腎臓(多尿・腎機能障害)などに症状が出現する。とくにジギタリス製剤服用中の患者では致死的不整脈が起こりやすいので、血清カリウム値のモニタリングが重要となる。処方提案と経過L−アスパラギン酸カリウムの中止から1ヵ月後に患者さんが再来局されました。血液検査で血清カリウム値は4.1mEq/Lと基準値内であり、食欲不振や倦怠感・筋力低下による症状などの低カリウム血症に基づく症状もありませんでした。患者さんは薬局に相談したことで負担となっていた薬剤を中止できたことを喜んでくださり、信頼関係の構築にもつながって血圧・血液検査の提示や相談の機会も増えました。

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鉄剤と葉酸の漫然投与を見抜き中止提案【うまくいく!処方提案プラクティス】第2回

 処方提案をする際には、副作用や相互作用による影響を検討するだけでなく、患者さんの希望を聞き取り、前向きに治療を受けられるようにすることも重要です。今回は、多剤併用に悲観的な患者さんに漫然投与されていた薬剤の中止提案を行った症例を紹介します。患者情報施設入居、70歳、女性、身長:140cm、体重:50kg現病歴:関節リウマチ、高血圧、骨粗鬆症処方内容アムロジピン錠2.5mg 1錠 朝食後エソメプラゾールカプセル20mg 1カプセル 朝食後クエン酸第一鉄ナトリウム錠50mg 2錠 朝食後アルファカルシドール錠0.5μg 2錠 朝食後センナ・センナ実顆粒1g 朝夕食後葉酸錠5mg 2錠 朝夕食後アレンドロン酸錠35mg 1錠 起床時・木曜日症例のポイントこの患者さんは、「処方される薬が多いのは自分が重い病気だからであり、これ以上楽になることはない」と考え、悲観的になっていました。多剤併用が苦痛だったようです。上記の薬剤を継続することによって、心理的負荷の増加、鉄剤継続に伴う便秘や肝機能障害、胃腸障害などの懸念もありました。そこで、薬剤の削減ができないか見直しました。関節リウマチなどの炎症性疾患の患者さんでは貧血が比較的多くみられますが、それらによる二次性貧血の場合は原疾患の治療の見直しが必要になることがあります。また、葉酸錠とクエン酸第一鉄ナトリウム錠が長期間投与されていますが、メトトレキサートの副作用予防のための葉酸というわけでもないため患者さん自身はあまりメリットを感じておらず、投与量の見直しも行われていないようです。そこで、鉄欠乏性貧血もしくはリウマチに伴う二次性貧血の見極めの必要性、そして葉酸錠とクエン酸第一鉄ナトリウム錠の漫然投与の可能性を考え、血液検査からのアプローチを行いました。鉄欠乏性貧血は、貯蔵鉄が枯渇することでHb(ヘモグロビン)合成材料の血清鉄が不足して起こる。鉄の貯蔵と血清鉄の維持を行うフェリチンは鉄の貯蔵状態を反映しており、鉄剤治療を行う際の重要なモニタリング項目となる。貯蔵鉄を運搬するTIBC(トランスフェリン)は鉄欠乏の状態で増加することから、TIBCの増加は鉄の全体量としての不足を意味する。本来、鉄欠乏性貧血は、Hb:男性12g/dL未満・女性11g/dL未満、フェリチン:12ng/dL未満、TIBC:360μg/dL以上が治療対象となる。処方提案と経過往診同行の際に、医師に葉酸錠とクエン酸第一鉄ナトリウム錠の評価を提案しました。葉酸錠については葉酸、クエン酸第一鉄ナトリウム錠についてはフェリチンとTIBCの検査オーダーを依頼し、下記の血液検査結果(1)の結果が得られました。TIBCが正常であり、葉酸は充足過剰かつフェリチンが十分であることからリウマチの二次性貧血が疑われますが、めまい・ふらつき・倦怠感などの自覚症状もないことから、葉酸錠とクエン酸第一鉄ナトリウム錠の処方中止を医師に提案し、中止となりました。血液検査結果(1)(介入時提案)MCV:97、Hb:9.9g/dL(↓)、Alb:3.0g/dL、AST:13U/L、ALT:4U/LBUN:14.0mg/dL、Scr:0.61mg/dL、Na:139mEq/L、K:3.5mEq/L、Ca:9.1mg/dLFe:35μg/dL(↓)、TIBC:420μg/dL、フェリチン:203.5ng/mL、葉酸:706.0ng/mL(↑)両剤を中止後、自覚症状の出現や増悪などもなく2週間が経過し、服用錠数が減ったことで気持ちも楽になったことを患者さんより聞き取りました。フォロー中の血液検査結果(2)でも血清鉄こそ基準値に満たないものの、フェリチンは充足しており、自覚症状の出現もなく安定した体調を維持しています。本症例は、関節リウマチによる二次性貧血の可能性が高く、原疾患の治療コントロールを目標に現在もフォローを継続しています。血液検査結果(2)(処方変更3ヵ月後の検査結果)MCV:96、Hb:11.6g/dL、Alb:3.7g/dL、AST:16U/L、ALT:5U/L、BUN:16.2mg/dL、Scr:0.55mg/dL、Na:137mEq/L、K:4.0mEq/L、Ca:9.0mg/dLFe:30μg/dL(↓)、TIBC:385μg/dL、フェリチン:192.5ng/mL、葉酸:4.7ng/mL日本鉄バイオサイエンス学会治療指針作成委員会 編. 鉄剤の適正使用による貧血治療指針 改訂第3版. 響文社;2015.

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ミネブロ錠:3剤目のミネラルコルチコイド受容体(MR)拮抗薬

2019年5月13日、ミネラルコルチコイド受容体(MR)拮抗薬、ミネブロ錠(一般名:エサキセレノン)が高血圧治療薬として新たに販売開始となった。高血圧治療に残された課題日本の高血圧患者は4,300万人と推計され、そのうち治療によって適切に血圧がコントロールされているのはわずか1,200万人。残りの3,100万人は治療をしていてもコントロール不良、もしくは治療を行っていないという。このような状況の中、日本高血圧学会は2019年に、5年ぶりの改訂となる「高血圧治療ガイドライン2019(JSH2019)」を発表し、高血圧対策を進めていく必要性を訴えた。今回の改訂では合併症のない75歳未満の成人、脳血管障害患者、冠動脈疾患患者は130/80mmHg未満に、75歳以上の高齢者は140/90mmHg未満に、それぞれ降圧目標値が10mmHgずつ引き下げられている。降圧目標達成のためには個人レベルでの取り組みだけでなく、社会全体での積極的な取り組みが必要であることが強調されており、降圧目標達成率や疾患啓発など、高血圧治療に課題が残されていることがうかがえる。新しく登場したミネブロ錠は高血圧治療の新しい選択肢となり、課題解決に寄与する可能性がある。MR拮抗薬の作用機序について尿細管に存在するMRへ、アルドステロンが過剰に結合し続けると、尿中のナトリウム再吸収とカリウム排泄を促進させ、循環血量の増加により、血圧が上昇する。ミネブロ錠はMRをブロックし、ナトリウム排泄を促進することで血圧低下効果を発揮する。このMRをブロックするという作用機序から、食塩感受性高血圧の患者さんや原発性アルドステロン症の患者さんで有効性を示すことが期待されている。国内臨床試験成績:中等度腎機能障害に使えるMR拮抗薬国内第III相試験において、I度またはII 度の本態性高血圧症患者を対象に、単剤および他の降圧薬との併用の両方で試験が行われた。単剤投与では2.5mgを1日1回、12週間投与した結果、収縮期血圧は13.7mmHg低下し、エプレレノン(投与量:50mg)に対する非劣性が検証された。また、長期投与試験では52週を通して安定した降圧効果の持続が確認されただけでなく、ARBやCa拮抗薬との併用でも観察期に比べて有意な降圧効果を示している。さらに、中等度腎機能障害を合併した患者やアルブミン尿を有する2型糖尿病を合併した患者を対象とした試験では1.25mgを1日1回投与し、どちらの患者でも収縮期血圧は10mmHg以上低下している。ARBやCa拮抗薬を用いても降圧目標を達成できず、あと10mmHg程度を下げたいケースに追加する薬剤として良いだろう。そして、最大の特徴の1つは、これまでのMR拮抗薬では禁忌であった中等度腎障害の患者にも使用できるようになっている点である。ただし、副作用である高カリウム血症には注意が必要であり、とくに腎機能が低下している患者では、注意を払いながら使用していくことが求められる。カリウム値のモニタリングを行うなどして、患者に合わせて投与量を調整しながら使用していくことが重要となってくる。今後の可能性ミネブロ錠は単独投与、併用投与どちらでも10mmHg以上の血圧低下効果を示している。今後は、あともう少し血圧を下げたい場合や、これまでMR拮抗薬を使いたいが使えなかった症例において、新しい選択肢の1つとなるのではないか。さらに、MR拮抗薬はアルドステロンの作用を阻害するため、腎臓や心臓などの臓器保護効果を示す可能性があり、ミネブロ錠は高血圧症以外の適応拡大を目指して、糖尿病性腎症患者を対象とした第III相臨床試験が進められている。

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