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Dr.岩田の感染症アップグレード-抗菌薬シリーズ-

第1回「抗菌薬投与ココがまちがい !」第2回「ペニシリンを知らずして抗菌薬を語るなかれ !」第3回「セファロスポリンの落とし穴に気をつけろ !」 第1回「抗菌薬投与ココがまちがい !」世界標準の感染症マネージメントを知り抜いた岩田先生が、抗菌薬の選び方、使い方、考え方を一から指導します !今回は、現在日本で行われている間違った抗菌薬の使い方を通して、抗菌薬を選ぶときや使うときの基本になる考え方を伝授します。第2回「ペニシリンを知らずして抗菌薬を語るなかれ !」ペニシリンと聞いて「そんな古い薬はもう使わない」と思った方、ちょっと待ってください! ぺニシリンは耐性の問題さえクリア出来れば、今でも抗菌力の強い有用な薬です。「ペニシリンで治せる疾患にニューキノロンを使ってしまうのは、爆弾でハエを殺すようなナンセンスな行為です」と語るのは講師の岩田先生。本来ペニシリンを使用すべき場面に、使用されていないという現状に警鐘を鳴らします。ぺニシリンは他の多くの抗菌薬の基礎となる薬です。使い方、考え方を学ぶことで、多くの抗菌薬に応用でき、これをマスターすれば臨床力が確実にアップします。今回はペニシリンの特性や岩田先生独自の分類の仕方、ファーストチョイスとして使うべき疾患を詳しく解説します。第3回「セファロスポリンの落とし穴に気をつけろ !」副作用も少なく、比較的気軽に処方しやすいセファロスポリン。そのせいか、日本には本当に多くの種類のセファロスポリンがあります。岩田先生は「ある種のペニシリンなど本来あるべき抗菌薬がなく、必要のないセファロスポリンが数多く存在するというのは、日本ならではの忌々しき状況ですね」と嘆きます。さて、そんなセファロスポリンをどう選び、使うべきでしょうか。まず世代でこの薬を分類するのはやめましょう。世代分類ではこの薬の作用をうまく分類することができず、“第○世代のセファロスポリン”と覚えると、致命的な失敗につながりかねません。気軽に使えるというメリットが、実は危険な落とし穴になっているのです。今回は岩田流のセファロスポリン分類、使用法からちょっとしたコツまでをご紹介。あんなにややこしかったことがウソのようにスッキリします!

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Dr.岩田の感染症アップグレード―抗菌薬シリーズ―

第4回「ST合剤とアミノグリコシドで腕を上げろ!」第5回「本当は危ない!ニューキノロンとマクロライド」特典映像「感染症Q&A」 第4回「ST合剤とアミノグリコシドで腕を上げろ!」ST合剤とアミノグリコシド・・・そう聞いてもあまりピンとこない方が多いかも知れません。確かにちょっとプロ向きの抗菌薬。どちらも副作用が多く、アミノグリコシドは血中濃度のモニターが必要です。しかし、少なくとも外来で無造作に出されているニューキノロンなどよりも重要な抗菌薬なのです。まずはこの二つがいかに有用な抗菌薬であるかを学んでください。そして、副作用など煩わしい面もありますが、その特徴的な“クセ”を掴んでしまえばそれほど怖いものではないことを知ってください。またこの二つの薬は、いかに感染症や抗菌薬について熟練しているかを計る手頃な試金石と言ってよいでしょう。是非、マスターして臨床力をアップグレードしてください !第5回「本当は危ない!ニューキノロンとマクロライド」タイトルを見て「えっ」と思った先生はご用心ください。例えばニューキノロン系のレボフロキサシンを、外来で熱のある患者さんに何のためらいもなく出していませんか?あるいは、慢性の咳患者に、マクロライド系のアジスロマイシンを“とりあえず”出していませんか? 実はこれらは全て間違った抗菌薬の使い方なのです。「おそらく現在使われているニューキノロンやマクロライドの8割くらいが間違った使われ方をされているんではないでしょうか」と岩田先生。副作用が少ないから、使い慣れているから、と言って漫然と薬を出してはいけません。 第5回ではニューキノロンとマクロライド、そして、マクロライドの親戚クリンダマイシンとテリスロマイシンの正しい使い方を明解に解説します。特典映像「感染症Q&A」番組に参加していただいた研修医の皆さんからの感染症についての質問に岩田先生が答える、一問一答形式のスペシャル番組。「肺炎を治療しても治らない」「偽膜性腸炎のマネジメントは?」「ドラッグフィーバーを考えるのはどんなとき?」「アミノグリコシドってやっぱり怖い」などなど、現場ならではの疑問に岩田先生が明解回答。明日からすぐに使える感染症マネージメントのノウハウを習得していただけるはずです。

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抗結核薬耐性の最大リスク因子は「2次抗結核薬の投与歴」

 超多剤耐性結核(XDR-TB)を含む抗結核薬耐性の最大のリスク因子は、「2次抗結核薬の投与歴」であることが、米国疾病対策予防センター(CDC)のTracy Dalton氏らの調査(Global PETTS)で示された。多剤耐性結核(MDR-TB)は、Mycobacterium tuberculosisを原因菌とし、少なくともイソニアジドとリファンピシンに対する耐性を獲得した結核で、XDR-TBはこれら2つの1次抗結核薬に加え、2次抗結核薬であるフルオロキノロン系抗菌薬および注射薬の各1剤以上に耐性となった結核と定義される。XDR-TBの世界的発生は実質的に治療不能な結核の到来を告げるものとされ、MDR-TBに対する2次抗結核薬の使用拡大によりXDR-TBの有病率が増大しつつあるという。Lancet誌2012年10月20日号(オンライン版2012年8月30日号)掲載の報告。2次抗結核薬の耐性を前向きコホート試験で評価Global PETTS(Preserving Effective TB Treatment Study)の研究グループは、8ヵ国における2次抗結核薬に対する耐性の発現状況を評価するプロスペクティブなコホート試験を実施した。2005年1月1日~2008年12月31日までに、エストニア、ラトビア、ペルー、フィリピン、ロシア、南アフリカ、韓国、タイにおいて、MDR-TBが確認され、2次抗結核薬治療を開始した成人患者を登録した。CDCの中央検査室で、以下の11種の抗結核薬の薬剤感受性試験を行った。1次抗結核薬であるエタンブトール、ストレプトマイシン、イソニアジド、リファンピシン、2次抗結核薬としてのフルオロキノロン系経口薬(オフロキサシン、シプロフロキサシン)、注射薬(カナマイシン、カプレオマイシン、アミカシン)、その他の経口薬(アミノサリチル酸、エチオナミド)。2次抗結核薬に対する耐性のリスク因子およびXDR-TBを同定するために、得られた結果を臨床データや疫学データと比較した。2次抗結核薬耐性率43.7%、XDR-TB感染率6.7%解析の対象となった1,278例のうち、1つ以上の2次抗結核薬に耐性を示したのは43.7%(559例)であった。20.0%(255例)が1つ以上の注射薬に、12.9%(165例)は1つ以上のフルオロキノロン系経口抗結核薬に耐性を示した。XDR-TBの感染率は6.7%(86例)だった。これらの薬剤に対する耐性発現の最大のリスク因子は「2次抗結核薬の投与歴」で、XDR-TB感染のリスクが4倍以上に増大した(フルオロキノロン系経口薬:リスク比4.21、p<0.0001、注射薬:4.75、p<0.0001、その他の経口薬:4.05、p<0.0001)。フルオロキノロン系抗菌薬耐性(p<0.0072)およびXDR-TB感染(p<0.0002)は男性よりも女性で高頻度であった。2次抗結核注射薬に対する耐性は、失業、アルコール依存、喫煙との間に関連を認めた。その他のリスク因子については、各薬剤間、各国間でばらつきがみられた。著者は、「XDR-TBを含む抗結核薬耐性の一貫性のある最大のリスク因子は、2次抗結核薬の投与歴であった」と結論し、「今回の特定の国における調査結果は、検査体制に関する国内的な施策や、MDR-TBの効果的な治療に関する勧告の策定の参考として他国にも外挿が可能と考えられる」と考察している。

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XDR結核患者へのリネゾリド追加投与、約9割が半年以内に喀痰培養陰性化

 超多剤耐性(XDR)の結核患者に対してリネゾリド(商品名:ザイボックス)を追加投与することで、6ヵ月時点までに87%で喀痰培養陰性化が認められたことが報告された。一方で、リネゾリドを投与した人の8割で、臨床的に明らかな有害事象が認められた。韓国・International Tuberculosis Research CenterのMyungsun Lee氏らが、40人弱について行った無作為化試験の結果で、NEJM誌2012年10月18日号で発表した。リネゾリド600mg/日を投与、4ヵ月以降は半数に300mg/日を投与研究グループは2008~2011年にかけて、喀痰培養陽性の広範囲薬剤耐性の結核患者で、過去6ヵ月間にいずれの化学療法にも反応しなかった41例を対象に試験を行った。被験者を無作為に2群に分け、一方にはリネゾリド600mg/日の投与を即時開始し、もう一方の群には、2ヵ月後から追加投与を開始した。いずれも、それまでの服用レジメンは変更しなかった。主要エンドポイントは、試験登録後4ヵ月間の、喀痰培養の固体培地上での陰性化までの期間だった。陰性化または4ヵ月後のいずれか早い時点で、被験者を再び無作為に2群に分け、一方にはリネゾリド600mg/日を、もう一方の群には300mg/日を、18ヵ月以上投与した。なお、その間毒性に関する検査も行った。リネゾリド投与後6ヵ月以内の陰性化は87%、一方で有害事象82%その結果、投与開始4ヵ月までに喀痰培養が陰性化したのは、リネゾリド即時開始群の19例中15例(79%)に対し、リネゾリド待機開始群は20例中7例(35%)と、即時開始群が有意に高率だった(p=0.001)。38例中34例(87%)がリネゾリド投与後6ヵ月以内に喀痰培養が陰性化した。一方で、リネゾリドを投与した38例中31例(82%)で、リネゾリドに関連する可能性がある、臨床的に明らかな有害事象が認められ、うち3例は投与を中止した。2度目の無作為化でリネゾリド300mg/日を投与した群では、600mg/日投与群に比べ、有害作用発生率は少なかった。また、治療を完了したのは13例で、そのうち治療期間中に再発がみられなかったのは6例、追跡期間6ヵ月以内では4例、同12ヵ月以内では3例だった。リネゾリドへの耐性獲得が認められたのは4例だった。著者は、「リネゾリドは治療抵抗性XDR結核患者の培養陰性化達成に有効である。しかし一方で、有害事象について注意深くモニタリングしなければならない」と結論している。

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〔CLEAR! ジャーナル四天王(6)〕 女性の急性腎盂腎炎、抗菌薬の7日間投与が有効

急性腎盂腎炎の治療は、原因菌に感受性のある抗生物質を10~14日間投与するプロトコールが、本邦で長らく用いられてきた方法であろう。第一選択の薬剤は培養検査の結果が判明するまで、βラクタムあるいはニューキノロンが選択されるが、院内感染症対策部門の意向も取り入れて選ばれることと思う。 女性の単純性腎盂腎炎に関する診療ガイドラインには、Infectious Disease Society of AmericaおよびEuropean Society for Microbiology and Infectious Diseaseによる2010年版ガイドラインがある1)。これによると、フルオロキノロン耐性菌検出率が10%を超えない地域で入院の必要がない症例に対しては、シプロフロキサシン(500mg ×2回/日)を7日間投与というプロトコールが推奨されている。ただしその根拠となる研究は、シプロフロキサシン7日間とST合剤14日間との比較であり、対象症例は平均25歳、血液培養陽性症例は3%と、若年の軽症患者が主体であった2)。本研究はシプロフロキサシンの7日間と14日間投与との比較、しかも中高年症例(平均年齢46歳)、血液培養陽性症例27%と、ある程度対照症例に幅をもたせた研究であったが、7日間投与は14日間投与に劣らない結果となった。治療期間の短縮は患者さんにとって福音だし、医療経済的にもメリットがある。ただし、7日間投与の優良性はほかの抗菌薬にはかならずしも当てはまらないとしている。 この文章を執筆中、1週間程度の急性腎盂腎炎の治療を受け改善したのち、再発して筆者の外来を訪れた患者さんを拝見した。関節リウマチで少量ステロイド投与中の方だった。 今回はしっかり14日間の治療を行い、元気に退院された。シプロフロキサシンではなかったが、discussionの内容に合致していたので印象に残っている。

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抗菌薬と心血管死リスクとの関連

抗菌薬と心血管死リスクとの関連について、米国・ヴァンダービルト医科大学のWayne A. Ray氏らによる検討の結果、治療1~5日目において、マクロライド系のアジスロマイシン(商品名:ジスロマック)使用患者は、ニューキノロン系のシプロフロキサシン(商品名:シプロキサンほか)より有意に増加したがレボフロキサシン(商品名:クラビットほか)とは有意差は認められなかったことが明らかにされた。Ray氏らは「5日間の治療中、アジスロマイシン服用者の心血管死亡の絶対数増加はわずかであるが、基線での心血管疾患リスクが高い患者では顕著に増加した」と結論している。NEJM誌2012年5月17日号掲載報告より。テネシー州のメディケイドコホートを対象に検討研究グループは、薬剤の心臓に与える短期的影響に関連した死亡リスクの上昇を検出するようデザインされた、テネシー州のメディケイドコホートを対象に調査を行った。コホートは、心血管系以外の重篤な疾患で入院した患者、および入院中-入院直後の人・時間を除外した1992~2006年の間のアジスロマイシン服用群34万7,795処方と、傾向スコアマッチングした対照群として、抗菌薬非服用群139万1,180例(対照期間中マッチング例)、ペニシリン系のアモキシシリン(商品名:サワシリンほか)服用群134万8,672処方、シプロフロキサシン服用群26万4,626処方とレボフロキサシン服用群19万3,906処方が含まれた。主要エンドポイントは、心血管死亡と全死因死亡とした。絶対数増加はわずか、心血管疾患リスクが最も高い群で顕著に増加結果、5日間の治療中、アジスロマイシン服用群は、抗菌薬非服用群と比べて、心血管死亡リスクの上昇(ハザード比:2.88、95%信頼区間:1.79~4.63、P<0.001)、全死因死亡リスクの上昇(同:1.85、1.25~2.75、P=0.002)が認められた。同一期間中に、アモキシシリン服用群の死亡リスクでは上昇が認められなかった。アモキシシリン群と比べてアジスロマイシン群は、心血管死亡(同:2.49、1.38~4.50、P=0.002)と全死因死亡(同:2.02、1.24~3.30、P=0.005)のリスク上昇が認められ、100万治療当たり心血管死は約47件増加すると推定された。一方で、心血管疾患リスクスコア別にみると、最も高い十分位群(スコア区分1~5、6~9、10のうちのスコア10該当群)での推定値が約245件増加と最も顕著であった。スコア1~9では9件増加、6~9では45件増加であった。(朝田哲明:医療ライター)

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フルオロキノロン系薬の網膜剥離発症リスクを検討

 経口フルオロキノロン系薬服用中は、網膜剥離発症リスクが約4.5倍に増大することが報告された。一方で1週間以内、1年以内の使用歴は同リスクを増大しないことも示されている。カナダ・Child and Family Research Institute of British ColumbiaのMahyar Etminan氏らが、約99万人を対象としたコホート内症例対照研究の結果、明らかにしたもので、JAMA誌2012年4月4日号で発表した。フルオロキノロン系薬の眼毒性については、多くの症例報告があるものの、網膜剥離発症リスクとの関連についての研究報告はこれまでほとんど行われていなかったという。追跡期間中央値1.7年で網膜剥離は4,384人 研究グループは、2000年1月~2007年12月の間に、カナダのブリティッシュコロンビア州で眼科医の診察を受けた98万9,591人について、コホート内症例対照研究を行った。主要アウトカムは、網膜剥離発症と、経口フルオロキノロン系薬の服薬状況(現在、最近、過去に服用)との関連だった。その結果、網膜剥離を発症したのは、同コホートのうち4,384人だった。発症者とそのコントロール群の平均年齢は、ともに61.1歳(標準偏差:16.6)、うち男性はケース群が58.2%、コントロール群は43.5%だった。追跡期間の中央値は、1.7年だった。フルオロキノロン系薬服用中の膜剥離発症リスク絶対増加は、4人/1万人・年 経口フルオロキノロン系薬を現在服用中の人の網膜剥離発症リスクは、使用していない人に比べ、約4.5倍増大した(補正後発症率比:4.50、95%信頼区間:3.56~5.70)。一方、1~7日前までの服用者(補正後発症率比:0.92、同:0.45~1.87)、また8~365日前服用者(同発症率比:1.03、同:0.89~1.19)については、いずれも網膜剥離発症リスクの増大は認められなかった。 経口フルオロキノロン系薬使用中の網膜剥離発症リスクの絶対増加は、4人/1万人・年だった。有害事象発症必要数は、2,500人だった。

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急性単純性膀胱炎に対するセフポドキシムvs. シプロフロキサシン

急性単純性膀胱炎への抗菌薬投与について、セフェム系のセフポドキシム(商品名:バナンほか)はフルオロキノロン系のシプロフロキサシン(同:シプロキサンほか)に対し、非劣性を示さなかったことが報告された。米国・マイアミ大学のThomas M. Hooton氏らが、女性患者300人を対象に行った無作為化二重盲検試験の結果、明らかにしたもので、JAMA誌2012年2月8日号で発表した。フルオロキノロン系の抗菌薬は単純性膀胱炎に対し最も有効として一般的に使用されている一方で、その耐性大腸菌発生率の上昇が世界的に報告されており、最近公表された米国感染症学会のガイドラインでは、使用の制限が勧告されている。同疾患に対するセフポドキシムの使用については、これまで十分な検討データがなかった。3日間投与し、30日後の治癒率を比較研究グループは、2005~2009年にかけて、18~55歳の急性単純性膀胱炎と診断された女性300人を、無作為に二群に分け検討した。一方にはシプロフロキサシン(250mg、1日2回)を、もう一方にはセフポドキシム(100mg、1日2回)をそれぞれ3日間投与した。治療終了後、5~9日目と、28~30日目に、アウトカムを評価した。主要アウトカムは、30日後の診察時における臨床的治癒とした。副次アウトカムは、治療終了後5~9日目の診察時における、臨床的・微生物学的治癒と、両診察時における膣の大腸菌コロニー形成とされた。30日後臨床的治癒率、5~9日後微生物学的治癒率ともに非劣性示さずその結果、追跡不能を治癒とみなした場合では、30日後の臨床的治癒率は、シプロフロキサシン群が93%(150人中139人)に対し、セフポドキシム群は82%(150人中123人)で、治癒率格差は11%(95%信頼区間:3~18)と、事前に定義した非劣性マージン10%未満の基準を満たさなかった。また、追跡不能を治療に反応しなかったとみなした場合では、30日後臨床的治癒率は、それぞれ83%(150人中124人)と71%(150人中106人)で、治癒率格差は12%(同:3~21)で、非劣性マージン基準を満たさなかった。治療終了後5~9日目の微生物学的治癒率も、各群96%と81%、同率格差は15%で基準を満たさなかった。治療終了後の初回診察時に、膣大腸菌のコロニー形成が認められたのは、シプロフロキサシン群で16%に対し、セフポドキシム群では40%に上った。結果を受けてHooton氏は、「他の広域β-ラクタムへの重大な生態学的影響の懸念は残るが、セフポドキシムを急性単純性膀胱炎に対し、シプロフロキサシンに代わって第一選択薬として使用することは支持できない」と結論している。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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ヨーロッパにおけるC. Difficile感染の現況:34ヵ国106施設の調査から

 ヨーロッパにおけるClostridium difficileの分離株は、北米で多いとされるPCRリボタイプ027よりも014/020、001、078、018、106の頻度が高く、重篤な病態のアウトカムと関連するPCRリボタイプとして018や056が重要なことが、オランダ感染症制御センターのMartijn P Bauer氏らによる調査で明らかとなった。2003年初め、カナダとアメリカでC. Difficile感染の増加と病態の重篤化が報告され、その一因としてPCRリボタイプ027に属するフルオロキノロン系抗菌薬抵抗性株の蔓延が指摘されている。ヨーロッパでは、2005年にイギリスから初めて027の報告がなされ、直後にオランダでも発見されたが、C. Difficileの院内感染の実態はほとんどわかっていないという。Lancet誌2011年1月1日号(オンライン版2010年11月16日号)掲載の報告。C. Difficilee感染の現況を把握し、診断能向上、サーベイランスの確立を目指す研究グループは、ヨーロッパにおけるC. Difficile感染の現況を把握し、診断能の向上およびサーベイランスの確立を目的とした調査を実施した。ヨーロッパ34ヵ国106検査施設を結ぶネットワークを創設した。2008年11月、人口規模に応じて選定された各国1~6施設において、C. Difficile感染が疑われる患者、あるいは入院後3日以上経過してから下痢を発症した患者の糞便検査を行った。糞便サンプル中にC. Difficileトキシンが検出された場合にC. Difficile感染と診断した。詳細な臨床データや糞便サンプルからの分離株は、各施設の最初の10例から収集し、3ヵ月後に臨床データのフォローアップを行った。死亡例の40%にC. Difficile感染が関与C. Difficile感染の発生率は、1施設10,000人・年当たりの加重平均値が4.1、範囲は0.0~36.3であり、施設間のばらつきがみられた。詳細な情報が得られた509例のうち389例で分離株の微生物学的特性が確認され、65のPCRリボタイプが同定された。そのうち最も多かったのはPCRリボタイプ014/020の61例(16%)で、次いで001が37例(9%)、078が31例(8%)の順であった。高頻度かつ予後不良とされるPCRリボタイプ027は19例(5%)と少なかった。ほとんどが、高齢、併存疾患、直近の抗生物質の使用歴などのリスク・プロファイルが事前に同定されている患者であった。3ヵ月後のフォローアップの時点で、22%(101/455例)が死亡しており、そのうち40%(40例)においてC. Difficile感染が何らかの形で関与していた。交絡因子を補正後に「重篤な病態(complicated disease、C. Difficile感染がICU入院や死亡に寄与あるいは直接の原因である場合、もしくは結腸切除術導入の理由である場合)」のアウトカムと有意な関連を示した因子として、65歳以上(補正オッズ比:3.26、95%信頼区間:1.08~9.78、p=0.026)、PCRリボタイプ018感染(同:6.19、同:1.28~29.81、p=0.023)、同056感染(同:13.01、同:1.14~148.26、p=0.039)が確認された。著者は、「ヨーロッパでは027以外のPCRリボタイプのC. Difficileの院内感染の頻度が高かった。これらのデータは、ヨーロッパにおけるC. Difficile感染の検出とそのコントロールには、多数の国によるサーベイランスが重要であることを浮き彫りにするものである」と結論している。(菅野守:医学ライター)

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レボフロキサシン水和物注射剤を国内製造販売承認申請

第一三共株式会社は29日、レボフロキサシン水和物注射剤の国内製造販売承認申請を、10月28日に行ったことを発表した。レボフロキサシン水和物注射剤は、当社が創製したニューキノロン系注射用抗菌剤。これまでの臨床試験成績から、本注射剤は肺炎及び慢性呼吸器病変の二次感染に対して優れた臨床効果を示すことが確認されている。レボフロキサシン水和物の経口剤である「クラビット錠500mg・錠250mg・細粒10%」は、治療現場においてすでに広く認知されている。詳細はプレスリリースへhttp://www.daiichisankyo.co.jp/news/yymmdd_nn.html?b_newsrelease_n1.detail[id]=1231.1&b_newsrelease_n1.year_selector[id]=1231.1&b_newsrelease_n1.category_selector[id]=1231.1

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ニューキノロン系合成抗菌剤「オゼックス細粒小児用15%」製造販売承認取得

富山化学工業株式会社は、10月16日にニューキノロン系合成抗菌剤「オゼックス細粒小児用15%」の製造販売承認を取得したと発表した。オゼックス細粒小児用15%は、1990年より経口剤(錠剤)として販売しているオゼックス錠を小児用細粒剤として開発した薬剤であり、小児の肺炎、中耳炎に適応を有する国内初の小児用ニューキノロン系合成抗菌剤である。ペニシリン耐性菌を含む肺炎球菌やインフルエンザ菌、モラクセラ・カタラーリスなどに優れた抗菌力を示し、他の経口抗菌剤による治療効果が期待できない症例に対しても優れた臨床効果が期待できるという。本剤は薬価収載後、同社が製造し、大正富山医薬品株式会社を通じてプロモーション、販売される。 詳細はプレスリリースへhttp://www.toyama-chemical.co.jp/news/detail/091016.html

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米国で急性気道感染症への抗生物質投与率、過去10年間も継続的に減少

米国で、過去10年間の急性気道感染症への抗生物質投与率が低下してきていることがわかった。米国Vanderbilt大学のCarlos G. Grijalva氏らの調べで明らかになったもので、JAMA誌2009年8月19日号で発表した。同投与率は、1990年代に減少傾向にあったが、その後も同傾向が続いていることが確認された。抗生物質耐性菌の感染症による死亡率が増加する中では朗報と言える。ARTIへの年間抗生物質投与率、5歳未満で36%、5歳以上で18%減少Grijalva氏らは、米国の外来治療に関するデータベース、「National Ambulatory Medical Care Survey」と「National Hospital Ambulatory Medical Care Survey」(1995~2006)をもとに調査を行った。その結果、5歳未満の中耳炎を含む急性気道感染症(acute respiratory tract infection;ARTI)による年間受診率は、1995~1996年と2005~2006年との比較で、人口1,000人当たり1,883件から同1,560件へと、17%(95%信頼区間:9~24)減少していた。これは、中耳炎による診察率が33%(同:22~43)減少したことが主な原因だった。それに伴い、ARTIへの年間抗生物質投与率は前述比較期間で、人口1,000人当たり1,216件から同779件へと、36%(同:26~45)減少した。年齢5歳以上については、ARTIによる年間受診率の減少は見られなかったものの、ARTIへの年間抗生物質投与率は同期間比較で、人口1,000人当たり178件から同146件へと、18%(同:6~29)減少した。アジスロマイシンがARTIと中耳炎の最も一般的処方薬になり投与率増加なかでも、抗生物質投与の適応が稀な、中耳炎以外のARTIに対する抗生物質投与率については、5歳未満では41%(同:22~55)減少し、5歳以上でも24%(同:10~37)減少した。また、抗生物質の種類についてみてみると、ペニシリン、セファロスポリン、サルファ薬やテトロサイクリンの投与率が減少した。一方で、アジスロマイシン(商品名:ジスロマック)はARTIと中耳炎の際の最も一般的な処方薬となり、処方率は増加した。成人投与の中では、キノロン系の処方率も増加していた。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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【書籍紹介】市中感染症診療の考え方と進め方-IDATEN感染症セミナー

日常診療で誰もが遭遇する市中感染症だが、医師は目の前の患者をどう診断し、治療していったらよいのか? 日本における臨床感染症診療と教育の普及・確立・発展を目的として設立された「IDATEN(日本感染症教育研究会)」メンバーが、そのプロセスをわかりやすく解説する。 主な内容第1章 市中感染症へのアプローチ  感染症診療の基本原則(青木 眞)  初期治療に反応しない場合の評価と治療のストラテジー(大野博司) 第2章 臨床でよく出遭う市中感染症のマネジメント  1.肺炎のマネジメント(岩渕千太郎)  2.細菌性髄膜炎のマネジメント(笹原鉄平)  3.皮膚・軟部組織感染症のマネジメント(大曲貴夫)  4.骨・関節・軟部組織感染症のマネジメント(岩田健太郎)  5.感染性心内膜炎のマネジメント(大曲貴夫)  6.胆道系感染症のマネジメント(矢野晴美)  7.急性下痢症のマネジメント(土井朝子)  8.尿路感染症のマネジメント(藤田崇宏)  9.急性腹症のマネジメント(岩田健太郎)  10.STI・骨盤内炎症性疾患のマネジメント(本郷偉元)  11.敗血症のマネジメント(大野博司)  12.急性咽頭炎・急性副鼻腔炎のマネジメント(上田晃弘)  13.深頸部感染症のマネジメント(具 芳明)  14.腹腔内感染症・腸管穿孔のマネジメント(大野博司) 第3章 臨床で重要な微生物  Introduction  グラム陽性球菌(山本舜悟)  グラム陰性桿菌(山本舜悟)  嫌気性菌(岩渕千太郎) 第4章 臨床で重要な抗菌薬  ペニシリン系抗菌薬(大野博司)  セフェム系抗菌薬(大野博司)  マクロライド系抗菌薬(大野博司)  キノロン系抗菌薬(大野博司)  判型 B5 頁 216 発行 2009年08月 定価 3,675円 (本体3,500円+税5%) ISBN978-4-260-00869-3  詳細はこちらへhttp://www.igaku-shoin.co.jp/bookDetail.do?book=63002

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せき症状への抗生剤処方は無意味

カーディフ大学(イギリス・ウェールズ)プライマリ・ケア/公衆衛生部門のC C Butler氏らは、ヨーロッパ13ヵ国における外来患者への抗生剤処方について調査を行った。外来患者で最も多い主訴の1つ、せき症状に対する処方率・種類を調べ、回復との関連性を調べた。これまでもヨーロッパ各国間には、抗生剤処方に大きな違いがあること(下気道感染:オランダ27%、イギリス75%など)は知られていたが、そうした違いが、各国間の患者の回復に違いをもたらしているのかどうかは不明だった。結果は、BMJ誌2009年6月27日号(オンライン版2009年6月23日号)で掲載されている。13ヵ国3,400例のせき症状患者への抗生剤処方と回復状況を調査本研究は、13ヵ国14のプライマリ・ケア研究ネットワークを介して、臨床家(GP、ナース・プラクティショナー)の協力を得て行われた横断観察研究。ネットワークごとに臨床家を介して集約した、患者の症状および治療内容記録と、患者自身に記録してもらった症状日誌(毎日13項目について回復するまで、もしくは最長28日間記録)の情報を検討した。参加13ヵ国は、ベルギー、フィンランド、ドイツ、オランダ、ハンガリー、イタリア、ノルウェー、ポーランド、スロバキア、スペイン(2つのネットワーク)、スウェーデン、イギリス(ウェールズとイングランド)。試験適格患者とされたのは、新規もしくは増悪したせき症状、および下気道感染を示唆する臨床症状を呈した成人。2006年10、11月、2007年1~3月にわたって収集され、3,402例の参加を得た。回復率は、抗生剤処方がされた・されなかったとも同等3,402例の参加者のうち、臨床家からケースレポートが提供されたのは99%(3,368例)、患者日誌提出は80%(2,714例)だった。症状の重症度スコア(0~100点)の各国の平均点は、19点(スペインとイタリア)~38点(スウェーデン)の範囲だったが、抗生剤処方率は、ネットワーク間で20%(スペイン)~90%(スロバキア)と差が大きくあり(全体では53%)、処方された抗生剤の種類もさまざまだった。アモキシシリン(商品名:サワシリンなど)は概して最もよく処方されている抗生剤だったが、ノルウェーでの3%からイギリスでの83%までと違いが見られた。一方、フルオロキノロン(ニューキノロン、商品名:クラビッドなど)は、3つのネットワークでは最もよく処方されていたが(そのうちミラノが最も多く18%)、6つのネットワーク(イギリス・サウサンプストン、スペイン、ポーランド、スウェーデン、ノルウェー、フィンランド)では全く処方されていなかった。各国間の処方率の違いは、臨床症状および人口統計学的補正後も、ノルウェー(0.18)からスロバキア(11.2)まで、かなりの範囲にわたった。しかし回復率は、抗生剤処方がされた・されなかったとも同等だった(係数-0.01、P

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注射用ニューキノロン系抗菌製剤「パズフロキサシンメシル酸塩注射液 1000mg」製造販売承認申請

富山化学工業株式会社と田辺三菱製薬株式会社は15日、国内で共同開発を進めてきた注射用ニューキノロン系抗菌製剤「パズフロキサシンメシル酸塩注射液1000㎎」の製造販売承認申請を、11日に行ったことを発表した。「パズフロキサシンメシル酸塩注射液」は、2002年9月より1物2銘柄(製品名:富山化学「パシル点滴静注液」、田辺三菱製薬「パズクロス」)で並売をしていて、「パズフロキサシン」として300㎎、500㎎含量した2規格を販売している。近年、医療現場で問題となっている重症・難治性感染症に対して、本剤を増量して使用したいとの学会からの要望を受け、臨床試験を実施。今回、試験成績がまとまり、通常は「パズフロキサシン」として1日1000㎎を2回に分けて点滴静注する現在の用法・用量に加え、重症・難治性感染症等では1日2000mgを2回に分けて点滴静注するという用法・用量の取得を目指しているとのこと。詳細はプレスリリースへhttp://www.toyama-chemical.co.jp/news/detail/090615.html(富山化学工業株式会社)http://www.mt-pharma.co.jp/shared/show.php?url=../release/nr/2009/MTPC090615_P.html(田辺三菱製薬株式会社)

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シプロキサン注の用法・用量が一部変更 希釈せずに投与も可能に

バイエル薬品株式会社は5日、同社が販売中のニューキノロン系注射用抗菌剤「シプロキサン注」(一般名:シプロフロキサシン)200mgおよび300mgの「用法・用量」の一部変更承認申請が、6月1日付で承認されたと発表した。これに伴い、同社は添付文書の「用法・用量」および「使用上の注意」を改訂した。国内初のニューキノロン系注射用抗菌剤であるシプロキサン注は2000年11月の上市以後、肺炎をはじめとするさまざまな重症感染症の治療薬として汎用されているが、投与の際の点滴静注局所の血管痛や静脈炎の発現リスクを軽減するため、生理食塩液などで希釈することが用法・用量で定められていた。このため、例えば、心機能や腎機能が低下していて、著しい水分摂取制限下にある患者については、水分管理の観点からシプロキサン注の使用を見送らざるを得ないという問題が、発売当初から医療現場より提起されてきた。そのため、同社が集積されたデータを基に希釈の有無による忍容性について改めて検討を行った。その結果、著しい水分摂取制限により水分負荷がかけられない患者であると医師が判断した場合には、同剤による治療上の有益性を考慮し、シプロキサン注を希釈せずに投与ができるよう、用法・用量の一部変更承認申請を行い、このたび承認された。詳細はプレスリリースへhttp://byl.bayer.co.jp/scripts/pages/jp/press_release/press_detail/?file_path=2009%2Fnews2009-06-05.html

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結核に対するモキシフロキサシン追加の有効性を確認

結核の初期治療として、標準治療へのモキシフロキサシン(国内商品名:アベロックス)の追加投与はエタンブトール(同:エブトール、エサンブトール)の併用に比べ有効性が高く、治療期間の短縮も期待できることが、ブラジルRio de Janeiro連邦大学のMarcus B Conde氏らが実施した第II相試験で確認された。結核の治癒を目指す治療薬の開発では、治療期間の短縮と薬剤耐性菌に対する有効性が求められている。フルオロキノロン系抗菌薬であるモキシフロキサシンは、既存の抗結核薬との併用で相加効果を示すとして有望視されていたという。Lancet誌2009年4月4日号掲載の報告。単一施設における二重盲検ダブルダミー無作為化対照比較第II相試験研究グループは、Rio de Janeiro市の単一施設において、喀痰塗抹陽性の結核患者に対する初期治療としてのモキシフロキサシンの有効性と安全性を評価するための二重盲検ダブルダミー無作為化対照比較第II相試験を実施した。標準用量の標準治療〔イソニアジド(同:イスコチン、アイナーなど)、リファンピシン(同:リマクタン、リファジンなど)、ピラジナミド(ピラマイドなど)〕を受けた170例が、モキシフロキサシン400mg+プラセボを追加投与する群(85例)あるいはエタンブトール15~20mg+プラセボ投与群(85例)に無作為に割り付けられ、5日/週の治療を8週間にわたって施行された。主要評価項目は8週間以内に喀痰培養が陰性化した症例の割合とし、解析はintention-to-treat変法にて行った。ベースライン時に喀痰培養陰性の例、培養に失敗した例、薬剤耐性結核菌が検出された例は解析から除外した。8週間の治療結果が得られない場合は治療不成功とした。喀痰培養陰性化率は、モキシフロキサシン群80%、エタンブトール群63%モキシフロキサシン群の74例、エタンブトール群の72例が解析の対象となった。8週間の治療データは125例(モキシフロキサシン群:64例、エタンブトール群:61例)で得られた。データが得られなかったおもな理由は培養の失敗であった。治療8週の時点で、喀痰培養が陰性化した症例はエタンブトール群が72例中45例(63%)であったのに対し、モキシフロキサシン群は74 例中59例(80%)と有意に優れていた(群間差:17.2%、p=0.03)。薬剤関連の有害事象は、エタンブトール群でgrade 3の皮膚反応が1例に見られたのみであった。著者は、「モキシフロキサシンは結核の初期治療として喀痰塗抹培養の結核菌陰性化効果を改善する」と結論したうえで、「今回の知見は、モキシフロキサシン併用による治療期間短縮の可能性を評価するための臨床試験の実施を正当化するもの」としている。(菅野守:医学ライター)

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北米で抗菌薬シプロフロキサシンの耐性菌が広がっている?

グラム陽性菌はもとよりグラム陰性菌に対しても強い抗菌力を発揮し頻繁に用いられるフルオロキノロン系抗菌薬シプロフロキサシンの耐性菌が、北米で初めて出現したことが報告された。NEJM誌2009年2月26日号でEpidemic Intelligence Service Programに参画するHenry M. Wu氏らの疫学調査の短報が掲載されている。より広範な調査が求められる耐性菌が確認された症例はノースダコタから1例、ミネソタから2例の計3例で、いずれも同じB群株に由来する耐性菌だった。報告されたのは2007年1月~2008年1月の間で、同期間中に報告された髄膜炎死亡症例(33例)の9%を占める。ノースダコタの症例は2006年8月、同州東部にある保育所職員が髄膜炎菌性疾患と見込まれる症状で死亡したもの。髄液培養検査結果は無菌だったが、耐性髄膜炎菌はPCR陽性だった。シプロフロキサシンが同患者および同僚に投与され、子どもたちにはリファンピシンが投与された。二次症例は起きなかったが、患者1例が2007年1月に確認され、入院後セフトリアキソン治療で回復している。2008年1月にさらに2例が確認された。ミネソタの症例は、同州西部の成人死亡例と、セフトリアキソン治療で回復した同じく西部居住の大学生の例。3例には疫学的な関連はなく、またいずれも海外旅行の経験はなかった。一方、耐性菌の保因を調べるため、咽頭保因サーベイを行い、1例の無症候性保菌者からの耐性菌株を分離。耐性菌が遺伝子の突然変異によって起きたことが確認された。また同様の耐性菌は、2007年1月~2008年1月の間に報告された症例のうちカリフォルニアの症例で同定されている。Wu氏は、「耐性髄膜炎菌の感受性試験は、米国ではルーチンに行われていないが、今回のこの報告がより広範にわたるものなのかどうかわからず、まずはより広範な調査を行う必要がある」と提言している。(武藤まき:医療ライター)

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ブルセラ症にはアミノグリコシド系抗生物質を含む併用レジメンの長期投与が有効

ヒトのブルセラ症の治療では、アミノグリコシド系抗生物質を含む3剤あるいは2剤併用レジメンの有効性が高いことが、イスラエルRabin医療センターBeilinson病院のKeren Skalsky氏らが実施したメタ解析で明らかとなった。ブルセラ症は世界で最も多い人獣共通感染症で、新規発症は毎年50万例以上に及ぶ。抗生物質の併用レジメンの無作為化対照比較試験が数多く行われているが、包括的なエビデンスは確立されていない。BMJ誌2008年3月29日号(オンライン版2008年3月5日号)掲載の報告。抗生物質レジメンの無作為化試験を系統的にレビュー研究グループは、ブルセラ症の治療レジメンの有効性の評価を目的に、個々の抗生物質レジメンと治療期間を検討した無作為化対照比較試験の系統的レビューおよびメタ解析を行った。2名の研究者が個々に、データベース(PubMed、CENTRAL、Lilacs)、カンファレンス記録集、文献目録を、言語、研究年、出版形態を問わずに検索した。選択および除外規準に基づいてデータを抽出し、試験方法の質を評価した。主要アウトカムは初期治療の失敗(failure)および再発とした。相対リスク(RR)と95%信頼区間(CI)を算出し、データは固定効果モデル(fixed effect model)を用いてプールした。30試験の77の治療法と治療期間を解析30試験の77の治療法が解析の対象となった。全体の治療失敗率はドキシサイクリン+リファンピシンが、ドキシサイクリン+ストレプトマイシンよりも有意に高く、そのおもな原因は再発率が高いためであった相対リスク(RR:2.80、95%CI:1.81~4.36、13試験)。ドキシサイクリン+ストレプトマイシンは、ドキシサイクリン+リファンピシン+アミノグリコシド系薬剤(3剤併用)よりも治療失敗率が有意に高かった(RR:2.50、95%CI:1.26~5.00、2試験)。ゲンタマイシンがストレプトマイシンに劣ることはなく(治療失敗のRR:1.45、95%CI:0.52~4.00、2試験)、キノロン系薬剤+リファンピシンはドキシサイクリン+リファンピシン、ドキシサイクリン+ストレプトマイシンよりも有意に効果が低かった(治療失敗のRR:1.83、1.11~3.02、5試験)。治療期間に大きな差がない場合は、単剤療法は併用療法よりも治療失敗のリスクが有意に高かった(RR:2.56、95%CI:1.55~4.23、5試験)。治療期間は、6週以上のほうが短期間の場合よりも有効性は高かった。Skalsky氏は、「ブルセラ症の治療では、現在の推奨レジメン間に有効性に関する有意な差が認められた。アミノグリコシド系抗生物質を含む3剤あるいは2剤併用レジメンがより有効と考えられる」と結論し、今回の解析に基づく第1選択レジメンとして、ドキシサイクリン(6週投与)+リファンピシン(6週投与)+ゲンタマイシン(2週投与)、あるいはドキシサイクリン(6週投与)+ゲンタマイシン(2週投与)を推奨し、代替レジメンとしてドキシサイクリン(6週投与)+ストレプトマイシン(2週投与)を挙げている。(菅野守:医学ライター)

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多剤耐性結核患児へのフルオロキノロン投与は侵襲性肺炎球菌疾患を招く

 多剤耐性結核(MDRTB)に罹患した子どもの治療にフルオロキノロンを使用すると、レボフロキサシン(LVFX)非感受性肺炎球菌およびその院内伝搬に起因する侵襲性肺炎球菌疾患(IPD)の発現を招くことが、Anne von Gottberg氏らGERMS-SA(南アフリカ)の研究グループによって明らかにされた。現在、抗生物質に対する肺炎球菌の耐性獲得が世界的な問題となっており、フルオロキノロンなど比較的新しい薬剤に対する耐性菌は、とくに市中肺炎の経験的治療(empiric treatment)において重要とされる。Lancet誌2008年3月29日号(オンライン版2008年3月21日付)掲載の報告。IPD例の中からLVFX非感受性肺炎球菌保有例を同定 南アフリカでは、2000~2006年に全国的な積極的サーベイランスを行っており、2003年には7州に導入された15の拠点病院においてサーベイランスを強化した。その結果、2万1,521例のIPDが同定された。 スクリーニングによりオフロキサシン耐性菌の保菌者1万9,404例(90%)を同定し、これらの患者においてLVFXの最小発育阻止濃度(MIC)を測定した。MIC≧4mg/Lを、LVFX非感受性と定義した。LVFX非感受性肺炎球菌に起因するIPDが検出された2つの結核専門施設で、65例の患児において肺炎球菌の鼻咽頭保菌を評価した。LVFX非感受性菌によるIPDと結核治療歴、院内感染率が関連 15歳以下の子どものうちLVFXに非感受性のIPDは12例であった。すべての分離株がリファンピシンに耐性を示した。このうち11例の転帰が判明し、5例(45%)が死亡した。 LVFXに感受性の肺炎球菌の感染児のうち結核治療歴を有する者の割合は18%(396/2,202例)であったのに対し、非感受性菌感染児では89%(8/9例)であり、非感受性菌によるIPDと結核治療歴の関連が示唆された(相対リスク:35.78、p<0.0001)。 また、感受性菌感染児の院内感染率は4%(109/2,709例)であったのに対し、非感受性菌感染児では80%(8/10例)であり、非感受性菌によるIPDと院内感染にも関連が認められた(相対リスク:88.96、p<0.0001)。 肺炎球菌の保菌者35例のうち31例(89%)がLVFX非感受性の菌を有していた。 これらの知見により、Gottberg氏は「子どものMDRTBの治療にフルオロキノロンを使用すると、LVFX非感受性肺炎球菌およびその院内伝搬に起因するIPDの発現を招くことが示唆された」と結論している。

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