サイト内検索|page:66

検索結果 合計:2893件 表示位置:1301 - 1320

1301.

レジ袋有料化は薬局でも義務?薬袋代わりのポリ袋は?【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第50回

2020年7月1日より、プラスチック製買い物袋(いわゆるレジ袋)の有料化が義務付けられました。薬局では薬を交付する際に、領収証やその他の商品などもまとめてレジ袋に入れてお渡しすることが多いのではないかと思いますが、このレジ袋の有料化はスーパーやコンビニ同様に薬局でも義務なのでしょうか。まず、レジ袋が有料化の対象となる事業者ですが、経済産業省のサイトにある制度概要を確認してみると、「プラスチック製買物袋を扱う小売業を営むすべての事業者」とあり、その例として医薬品・化粧品小売業も明記されているため、薬局やドラッグストアも対象であることがわかります。「え、もしかして薬袋も有料!?」と思ったのは私だけではないはずです。どういった袋が対象になるのでしょうか。薬局によっては、紙の薬袋に薬を入れている薬局や、チャック付きのポリ袋に用法用量などを記載した紙を薬と一緒に入れている薬局など、さまざまな対応があります。紙の薬袋はそもそも対象外ですが、薬袋として使用しているチャック付きのポリ袋は、「薬剤師法・獣医師法に基づき、調剤された薬剤の被包(薬袋)」に該当することがガイドラインに明記されており、今回の有料化の対象からは除外されています。おおむね有料化は避けられないが例外ありその薬袋やその他の医療材料などを入れるレジ袋についての規制を見ていきましょう。今回の有料化の対象となるレジ袋は、「購入した商品を持ち運ぶために用いる、持ち手のついたプラスチック製買物袋」です。ただし、この規制は環境へ配慮することが目的であるため、以下3点のように環境性能が認められ、その旨の表示があるレジ袋は対象外となっています。(1)プラスチックのフィルムの厚さが50μm以上のもの(繰り返し使用が可能であるため)(2)海洋生分解性プラスチックの配合率が100%のもの(海洋環境下で自然界へ循環するため)(3)バイオマス素材の配合率が25%以上のもの(CO2総量を変えない素材の割合が多いため)薬局で使用するレジ袋は、おおむね有料化が義務付けられることになりそうですが、普段何げなくもらっているものなので、「薬局も!?」「薬をそのまま持って帰るの?」と思われる患者さんもいるかと思います。上記の有料化対象外の素材のレジ袋は、従来の素材のレジ袋よりも高価ですので薬局の負担は大きくなりますし、在庫の問題からもすぐに切り替えは難しいかもしれませんが、大きい・重い製剤の場合だけでも有料化対象外のレジ袋にしたり、紙袋に変更したりするという選択肢もアリかもしれません。また、薬局などへ向けて、2020年6月30日付で厚生労働省保険局医療課から疑義解釈が出されています。「療養の給付とは直接関係のないサービスなどについて患者から実費を徴収することは、保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則(いわゆる薬担)に抵触しないのか?」という疑問に対して、レジ袋代は、「療養の給付と直接関係ないサービスなどの費用に該当するため抵触しない」とされています。コロナ禍のどさくさに紛れてスタートした感が否めないレジ袋有料化ですが、現時点で薬局でのトラブルは耳にしておらず、ホッとしています。せっかくの機会ですので、目の前のことだけでなく、先のことを考えて患者さんに寄り添うサービスを少し広い視野で見直してみてはいかがでしょうか。参考1)プラスチック製買物袋有料化実施ガイドライン(経済産業省、環境省)2)事務連絡 疑義解釈資料の送付について(その20)(厚生労働省保険局医療課)

1302.

緑茶は乳がんの予防になる?【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第166回

緑茶は乳がんの予防になる?ぱくたそより使用最近緑茶にハマッてまして、個人的にもいろいろ調べているんです。緑茶って万物の長かっていうくらいたくさんの臨床試験が実施されています。PubMedで「Green Tea」で検索してみてください。恐ろしい数の文献がヒットしますから。もちろん、論文の質自体は玉石混交なのですが、乳がんに対するメタアナリシスを報告したのがこちら。Yu S, et al.Green tea consumption and risk of breast cancer: A systematic review and updated meta-analysis of case-control studies. Medicine (Baltimore). 2019 Jul;98(27):e16147. doi: 10.1097/MD.0000000000016147. なんでもかんでも論文を登録するとワケがわからなくなるので、オッズ比やリスク比を報告している中国語か英語の症例対照研究で、緑茶と乳がんリスクの低減効果を調べたものを対象としました。14研究がメタアナリシスの選択基準を満たし、計1万4,058人の乳がん患者と1万5,043人の対照被験者が登録されました。結果、緑茶を飲む習慣のある個人は、将来の乳がんリスクと負の関連があることが判明しました(オッズ比:0.83、95%信頼区間:0.72~0.96)。ただ、異質性がかなり高いことが、本メタアナリシスのリミテーションです(P<0 .00001、I2=84%)。Newcastle-Ottawa Scale(NOS)、研究実施地域、登録患者数などで層別化したサブグループ解析でも、同様の結果が得られました。なお、日本の乳癌診療ガイドライン1)においては、「これまでの研究結果にばらつきがあり、近年の信頼性の高い論文はその関連を否定するものが多く、日本人の研究に限ってもそれは同様である。以上より、緑茶の摂取が乳癌発症リスクを減少させるかどうかは、結論付けられないと判断した。」と記載されており、今回のメタアナリシスが、今後のガイドラインに影響を与えるのかどうかは不明です。いずれにしても、保護的な効果は臨床で実感するほどのものではないと確信しています。1)日本乳癌学会. 乳癌診療ガイドライン.

1303.

大学での人事評価、教授への昇進で重視されるのは?/BMJ

 大学における研究者の評価は従来型の基準を重視していることが、世界各国より抽出された大学の横断研究の結果、明らかになった。カナダ・マギル大学のDanielle B. Rice氏らが報告した。教授の評価や在職期間の付与に用いる基準については変更することが推奨されているが、世界で適用されている昇進や在職期間の基準について、これまで系統的な評価は行われていなかった。結果を踏まえて著者は「大学は、非従来型の基準を奨励することを考慮すべきである」とまとめている。BMJ誌2020年6月25日号掲載の報告。論文数などの従来型基準と、被引用数等の非従来型基準について調査 研究グループは、世界大学ランキングのライデン・ランキングから無作為に選んだ170大学を対象に、助教(assistant professor)、准教授(associate professor)および教授(professor)の評価と終身在職権付与に用いるガイドラインについて調査した。 従来型基準5項目(査読論文数、論文における著者名の記載順位、論文掲載誌のインパクトファクター、助成金獲得、国内外での研究の認知)、および非従来型基準7項目(論文被引用数、データ共有、オープンアクセスの論文掲載、研究登録、論文発表ガイドラインの順守、研究の影響に関するオルトメトリクス、研究休暇制度)についてガイドラインへの記述状況などを調べた。従来型基準の中でも論文数を重視する大学がほとんど 170大学中、生命医科系学部のある大学は146校で、92校に適格なガイドラインが存在した。 ガイドラインに従来型基準5項目が記載されていた割合は、査読論文数95%(87校)、論文における著者名の記載順位37%(34校)、論文掲載誌のインパクトファクター28%(26校)、助成金獲得67%(62校)、国内外での研究の認知48%(44校)であった。 一方、非従来型基準については、論文被引用数(26%、24校)および休暇制度(37%、34校)については記載されている大学が多かったが、研究の影響に関するオルトメトリクス(3%、3校)とデータ共有(1%、1校)についてはまれで、他の3項目(オープンアクセスの論文掲載、研究登録、論文発表ガイドラインの順守)のガイドラインへの記載は確認できなかった。 教授への昇進評価に関するガイドラインでは、従来型基準が非従来型基準より多かった(従来型基準54.2% vs.非従来型基準9.5%、平均群間差:44.8%、95%信頼区間[CI]:39.6%~50.0%、p=0.001)。ガイドラインが利用可能かどうかについては、地域によるばらつきが観察された(オーストラリア100%[6/6校]、北米97%[28/29校]、欧州50%[27/54校]、アジア58%[29/50校]、南米17%[1/6校])。

1304.

Dr.増井の心電図ハンティング

第1回 心電図のグレーゾーン第2回 心電図を3次元化する裏技第3回 ミラーイメージ使えていますか?第4回 STEMIとSTEmimic第5回 脚ブロックの虚血判断 解説編第6回 左脚ブロックの虚血判断 実践編第7回 右脚ブロックの虚血判断第8回 陰性T波の鑑別とアクション 心電図の判読に迷って「もっと早く呼べよ! 」「これは緊急じゃないよ! 」と上級医や循環器医から言われたことのある人は多いのではないでしょうか。当シリーズでは、非循環器医が即座に判断できないビミョーな症例を取り上げ、その心電図判読のコツを解説します。2次元の心電図を紙コップで3次元化させるなど、視覚的に楽しく学べる工夫も満載。この番組を見ると、すぐに心電図を読みたくなること間違いなし!そして、自信をもって、心電図を判読し、次のアクションがとれるスキルが身に付きます。さあ、心電図ハンティングに出かけましょう。この番組は中外医学社から刊行されている「心電図ハンター 胸痛/虚血編」を映像化したものです。書籍を読んで当番組を見ていただいたり、当番組を見て書籍を読んでいただければ、理解が深まります。ぜひ書籍「心電図ハンター 胸痛/虚血編」を片手に番組をご覧ください。書籍はこちら ↓ ↓【心電図ハンター 胸痛/虚血編】第1回 心電図のグレーゾーン胸痛患者の心電図を手にしたとき、30秒以内に次のアクションを決めましょう!白黒はっきりしている心電図、すなわちST上昇のある、なしがすぐさまわかる心電図であれば、すぐ決めることができます。しかし、臨床では、ST上昇ありかなしかを判読できず困る心電図があふれています。その「迷う」心電図で、どうやって異常をハンティングするのか。今回は、Case0からCase2までの3症例を判読していきます。STEMIなのか、そうでないのか?そして次へつなげるアクションは?第2回 心電図を3次元化する裏技「連続した誘導でSTの上昇」が見られたらSTEMI!と誰もが反射的に判読できます。そう、心電図でも解剖学的でも連続していれば、そんなに悩むことはありません。もともと立体である心臓を平面の心電図に落とし込んでいることが、電図を判読しにくくしている原因の1つです。それではどうすればいいのでしょうか?そうです。心電図を立体的にもどしてやることです。そのために必要なものは「紙コップ」と「ペン」だけ。この2つを用意してこの番組ご覧ください!平面的な心電図がだんだん立体的にイメージングされて、心電図を読むのが楽しくなってきますよ。第3回 ミラーイメージ使えていますか?対側誘導でのST低下、すなわちミラーイメージをどこまでハンティングできていますか。ミラーイメージは心筋梗塞を示唆する重要な所見。今回は下壁梗塞、後壁梗塞のミラーイメージを確認していきましょう。後壁梗塞のミラーイメージを見つけたら、後壁誘導のV7~V9誘導を確認!そのやり方についても解説します。第4回 STEMIとSTEmimic一見ST上昇に見えて実はSTEMIではない“擬態”ST上昇心電図。これを擬態(mimic)STEMIを略して、STEmimicと命名。このSTEmimicをハンティングできるようになれば、オーバートリアージも減り、コールされる循環器医も、コールする非専門医も、みんなハッピーになります。今回は、STEmimicの中で早期再分極やStrain Patternについて解説します。でも、STEmimicに見えて、実はSTEMIということもあるので、しっかりと確認してください。第5回 脚ブロックの虚血判断 解説編今回は脚ブロックにについて解説します。心電図のST変化、実は脚ブロックの影響かもしれません。脚ブロックの心電図では、右脚か左脚かによって、評価の方法が異なります。右脚と左脚の違いは、細かい病態生理は抜きにして、パターン認識で判断できるようになりましょう。そして、右脚か左脚かがわかれば、虚血判断です。とくに難しい、左脚ブロックの判断に方法について、フローチャートにて解説します。これで、左脚ブロックの心電図での判断に迷うことは少なくなるはず!脚ブロックの虚血判断は臨床の場では必須項目なので、正しくマスターしましょう!第6回 左脚ブロックの虚血判断 実践編今回は左脚ブロック心電図特集です!実際の臨床で、左脚ブロックだということがわかったところで、その先どう判読すればいいのか、なかなか学ぶ機会がありません。そこで千本ノックのごとく、左脚ブロック心電図を次々と出していきます。それを受けてどんどん読んでいきましょう!そうすれば、左脚ブロックの心電図が来ても、慌てることなく読影できるようになりますよ。第7回 右脚ブロックの虚血判断今回は右脚ブロック心電図特集!前回の左脚ブロック千本ノック!と同様に、右脚ブロックの心電図をどんどん読んでいきましょう!右脚ブロックの心電図を読むコツをしっかりとお教えします。脚ブロックに惑わされることなく、通常通りSTEMIをハンティングしていくことが重要です。そして右脚ブロックならではのポイントをしっかりと確認しましょう。第8回 陰性T波の鑑別とアクション陰性T波で考えられる鑑別診断は大きく3つ!それらをどのように鑑別し、次につなげるアクションは?見分けるポイントとコツをしっかりとお教えします。そして、最後に、虚血判断できない場合の対応について、今一度考えてみましょう。まずは、本当に判断できないのか?まずは、このシリーズで学んだことをしっかりと確認してみましょう!そこれまでできなかった判断ができるようになっているはずです。さらには日米欧のガイドラインも参考にし、現場でできるアクションをしっかりと身に付けてください。

1306.

第14回 新型コロナウイルス拡大、日本の超過死亡は?

<先週の動き>1.新型コロナウイルス拡大、日本の超過死亡は?2.新型コロナウイルス感染症対策分科会、専門家会議副座長の尾身茂氏が分科会長に3.相次ぐオンライン診療の初診での恒久化を求める声4.医療機関のインターネット広告違反、美容・歯科で数多く5.医師少数区域経験認定医師の広告が許可へ1.新型コロナウイルス拡大、日本の超過死亡は?6月26日、厚生労働省より2020年4月までの人口動態統計が発表された。これによると、今年4月の死亡者数は11万3,362人で前年度4月の11万2,939人と比べると423人・0.4%の増加だった。今年1~4月の累積死亡者数を前年同時期と比較すると、1万444人・2.1%の減少となり、コロナウイルス感染拡大に伴う超過死亡は、欧米と比較してほぼなかったと考えられる。海外、とくに欧米においてはコロナウイルス感染拡大による超過死亡が報告されているが、我が国ではPCRの実施体制の不備が懸念されていたものの、幸いにも超過死亡が記録されることはなく、第1波の感染拡大が収束した。今後、第2波の襲来や冬場のインフルエンザウイルスの流行期での感染拡大が懸念されるだけに早期の感染防御やPCRの検査体制拡充が求められる。(参考)人口動態統計速報Excess Deaths Associated with COVID-19(CDC)2.新型コロナウイルス感染症対策分科会、専門家会議副座長の尾身茂氏が分科会長に政府は、7月3日の新型コロナウイルス感染症対策本部(持ち回り形式で開催)において、「新型コロナウイルス感染症対策専門家会議」の廃止を決定し、新たに特別措置法に基づいて「新型コロナウイルス感染症対策分科会」を設置することを正式決定した。この初会合は7月6日に開かれることとなっており、構成員は18人、医師や保健所の代表、全国知事会、メディアの代表などが含まれ、専門家会議で副座長を努めた尾身 茂・地域医療機能推進機構理事長がトップを務める。初回は、東京都を中心とした感染状況や PCR検査の拡充、感染者データの取り扱いなどが取り上げられる予定。(参考)政府のコロナ対策分科会メンバー一覧 経済学者や知事、マスコミも産経新聞3.相次ぐオンライン診療の初診での恒久化を求める声7月2日に開催された第8回規制改革推進会議にて、「規制改革推進に関する答申」が取りまとめられ、デジタル分野の規制改革の提言を提出された。答申案では、新型コロナウイルスの感染拡大の中、新しい生活様式への転換が求められるため、デジタル技術を徹底的に活用できるよう規制改革を行う必要があるとしたうえでデジタル時代の規制・制度のあり方や書面・押印・対面規制の見直しを求めている。医療・介護分野では、初診も含めたオンライン診療の全面解禁やスイッチOTC化の促進に向けた推進体制の充実、介護アウトカムを活用した科学的介護の推進を求めており、今後、議論を重ねていく見込み。また、同日、自民党の行政改革推進本部(塩崎 恭久本部長)が首相官邸を訪れ、菅 義偉官房長官にデジタル分野の規制改革の提言を提出した。デジタル規制改革を求める中で、オンライン診療及び遠隔教育についての効果検証を行い、恒久化していくことが求められる。(参考)第8回規制改革推進会議 規制改革推進に関する答申自民党 行政改革推進本部 デジタル規制改革ワーキンググループ4.医療機関のインターネット広告違反、美容・歯科で数多く7月2日に開かれた「医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会」において、厚生労働省は医療機関のホームページに起因する美容医療サービスに関する消費者トラブルが発生し続けているのに対して2017年から行っているネットパトロールの結果を報告した。この中で、1万300サイトについて通報受付を受け、1,253施設の974サイトが審査対象となり、919サイトを運営する医療機関に対して、通知を行い、717サイトが改善したことを報告された。さらに、2018年6月の改正医療法施行後の医療法における広告規制の改正施行後の現状を踏まえ、全国一律の基準で運用できるよう監視指導体制の強化が必要としている。(参考)医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会5.医師少数区域経験認定医師の広告が許可へ7月2日に開催された「医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会」において、医師偏在対策の一環として「医師少数区域等で一定期間勤務した医師」を厚生労働大臣が認定し、認定された医師である旨を広告することを可能とする、医療広告ガイドライン指針の追記について合意した。これは今年の4月1日から施行された改正医療法・医師法に伴う関係政令等の整備の一環で、地域の医師偏在の解消を目指して、医師少数区域(人口10万対医師数に地域住民や医師の年齢構成などを加味した新たな指標を用いて、医師配置が下位3分の1となる地域)等での勤務にインセンティブを付与し、医師偏在の解消を狙うもの。若手医師の場合、4月1日以降に初期臨床研修を開始した医師が対象となり、総合的な診療能力の獲得のために地域医療への参画が求められるなど、即効性は期待できない。一方、医師免許を取得から9年以上経過した医師については、断続する勤務合計が180日に達すれば条件を満たすため、医師偏在解消のきっかけとなることが期待される。(参考)医療法及び医師法の一部を改正する法律の施行について(通知)

1308.

COVID-19重症化リスクのガイドラインを更新/CDC

 6月25日、米国疾病予防管理センター(CDC)はCOVID-19感染時の重症化リスクに関するガイドラインを更新し、サイトで公開した。 CDCは、重症化リスクの高い属性として「高齢者」「基礎疾患を持つ人」の2つを挙げ、それぞれのリスクに関する詳細や感染予防対策を提示している。また、今回からリスクを高める可能性がある要因として、妊娠が追加された。高齢者のリスクと推奨される対策 米国で報告されたCOVID-19に関連する死亡者の8割は65歳以上となっている。・他人との接触を避け、やむを得ない場合は手洗い、消毒、マスク着用などの感染予防策をとる。・疑い症状が出た場合は、2週間自宅に待機する。・イベントは屋外開催を推奨、参加者同士で物品を共有しない。・他疾患が進行することを防ぎ、COVID-19を理由に緊急を要する受診を遅らせない。・インフルエンザ、肺炎球菌ワクチンを接種する。・健康状態、服薬状況、終末期ケアの希望などをまとめた「ケアプラン」を作成する。基礎疾患を持つ人のリスクと推奨される対策【年齢にかかわらず、重症化リスクが高くなる基礎疾患】・慢性腎疾患・慢性閉塞性肺疾患(COPD)・臓器移植による免疫不全状態(免疫システム減弱)・肥満(BMI:30以上)・心不全、冠動脈疾患、心筋症などの深刻な心臓疾患・鎌状赤血球症・2型糖尿病【重症化リスクが高くなる可能性がある基礎疾患】・喘息(中等度~重度)・脳血管疾患(血管と脳への血液供給に影響を与える)・嚢胞性線維症・高血圧または高血圧症・造血幹細胞移植、免疫不全、HIV、副腎皮質ステロイド使用、他の免疫抑制薬の使用による免疫不全状態・認知症などの神経学的状態・肝疾患・妊娠・肺線維症(肺組織に損傷または瘢痕がある)・喫煙・サラセミア(血液疾患の一種)・1型糖尿病 上記の基礎疾患を持つ人は高齢者同様の感染予防対策をとるほか、疾患治療を中断せず、1ヵ月分の処方薬を常備することが推奨されている。

1309.

長期の生物学的製剤使用、メラノーマのリスクを増大?

 炎症性疾患に対する長期にわたる生物学的製剤の使用は、メラノーマのリスクを増大するのか。英国・マンチェスター大学のShamarke Esse氏らは、システマティック・レビューとメタ解析の結果、「その可能性を否定できない」とする所見が得られたことを報告した。生物学的製剤は、炎症性疾患の治療薬として幅広く処方されるようになっている一方で、免疫が介在した炎症性疾患である炎症性腸疾患(IBD)、関節リウマチ(RA)、乾癬の患者において、長期にわたる生物学的製剤治療は従来の全身治療と比べてメラノーマのリスクを増大するのではないか、との懸念が出ている。今回の結果を踏まえ、著者は「生物学的製剤による治療の長期安全性の問題を解決するためにも、主要なリスク因子を調整した大規模な研究が必要だ」と提言している。JAMA Dermatology誌オンライン版2020年5月20日号掲載の報告。 検討では、Embase、MEDLINE、Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)をデータソースとして、1995年1月1日~2019年2月7日に公開された論文を検索した。適格条件は、無作為化臨床試験、コホート試験、IBD・RA・乾癬患者におけるメラノーマリスクについて生物学的製剤治療群と従来の全身治療群を比較し定量化したネステッド・ケースコントロール試験とした。 2人のレビュアーがそれぞれ主要な試験特性とアウトカムデータを抽出。試験に特異的な推定リスクをプールし、ランダム・固定効果モデルを用いてメタ解析を行った。不均一性はI2統計法で評価した。レビューは、疫学分野における観察研究のメタアナリシス報告のためのガイドライン(MOOSE)に準じて作成された。 主要評価項目は、IBD・RA・乾癬患者における、従来全身治療群と比較した生物学的製剤治療群のメラノーマ発生のプール相対リスク(pRR)であった。 主な結果は以下のとおり。・7コホート試験が適格基準を満たし、生物学的製剤治療群3万4,029例と、同未治療の従来全身治療群13万5,370例が包含された。・生物学的製剤治療は、各疾患患者のメラノーマ発生と正の相関がみられた。ただし、統計的有意差は認められなかった。・pRRは、IBD患者群1.20(95%信頼区間[CI]:0.60~2.40)、RA患者群1.20(同:0.83~1.74)、ハザード比は乾癬患者群で1.57(95%CI:0.61~4.09)だった。・ほかのリスク因子の調整は、ほとんどの研究で行われていなかった。

1310.

日本における抗精神病薬の使用調査~JMDC Claimsデータベース

 日本における臨床ガイドラインとヘルスケアの実践とのギャップを明らかにするため、大阪医科大学附属病院のHata Takeo氏らは、抗精神病薬の使用状況について調査を行った。Journal of Psychiatric Research誌オンライン版2020年5月13日号の報告。 2005~16年のJMDC Claimsデータベースよりデータを使用した。ATC分類でN05Aと分類された薬剤を抗精神病薬として定義した。抗精神病薬を処方された患者数に基づき、年間変化率を算出した。 主な結果は以下のとおり。・408万1,102人のデータベースより、除外基準(抗精神病薬未使用、処方日または用量のデータなし、入院患者、抗精神病薬の頓服処方、長時間作用型[LAI]を除く抗精神病薬注射剤のみの処方、主疾患が統合失調症以外、クロルプロマジン換算75mg/日未満、18歳未満)に該当した患者を除く1万2,382人のデータを抽出した。・第2世代抗精神病薬の使用が増加しており、第1世代抗精神病薬の使用は減少していた。・2016年の時点で、最も処方された抗精神病薬はアリピプラゾール(31.9%)であった。・クロザピンの処方率は、0.2%であった。・LAIが処方された割合は、5%未満であった。 著者らは「日本の統合失調症に対する抗精神病薬の使用は、さまざまな臨床ガイドラインに対応しているが、クロザピンおよびLAIの使用は限定的であった。活用が不十分なこれらの抗精神病薬の処方に影響する要因に焦点を当てた研究が、統合失調症に対する薬理学的治療の進歩に役立つであろう」としている。

1311.

ダイエット目的の不適切な糖尿病薬使用は「医の倫理に反する」/日本医師会

 6月17日、日本医師会の記者会見で、今村 聡副会長は自由診療における糖尿病治療薬の不適切使用について言及した。「GLP-1ダイエット」などと称した自由診療が横行 近年、糖尿病治療薬の一部が、個人輸入や美容クリニックにおいて、“痩せ薬”として不適切使用されている実態がある。今村氏は、具体的な事例として、近年承認されたGLP-1受容体作動薬を用いた自由診療が、「GLP-1ダイエット」などと称されている例を挙げた。これに対し、「健康な方が医薬品を使用することのリスクおよび医薬品適正使用の観点からも、このような行為を禁止すべきである」と強い懸念を示した。 同薬には重大な副作用リスクや禁忌があることについても説明し、医薬品を投与する前提として、「リスクがあるとしてもなお、治療が必要で効果が期待される方に対して投与されるべきであり、国民の健康を守るべき医師が、治療の目的を外れた使い方をすることは“医の倫理”にも反する」と厳しく指摘した。医薬品流通業界や医療広告の取り締まり強化を GLP-1受容体作動薬のほかにも、経口服用できるメトホルミンやSGLT-2阻害薬が、ダイエット目的に不適切使用される事例もある。今村氏は、医薬品の卸売業者や製薬企業など、流通業界における対応にも課題があるとの見方を示し、厚生労働省による医薬品の適正な流通確保を要望する姿勢を示した。医療広告のあり方に関しても、とくにインターネット上でガイドラインの規定を外れた表記が散見されることから、日医として取り締まりの強化を関係部局へ申し入れていく方針だという。

1312.

第11回 GLP-1製剤の自由診療問題と教科書的な生活習慣改善指導との共通点

痩せてスリムな体になりたいというのは比較的万人に共通した願望ではないだろうか。とりわけ年齢を経れば代謝が低下し、太りやすくなるため、中年太りを解消したいという人は私の周りでも少なくない。ところが食事療法、運動療法は大変だから、なるべく楽に痩せたい。そんな「夢」を逆手に取る行為に日本医師会がご立腹のようである。6月17日の定例会見で、日本医師会(以下、日医)副会長の今村 聡氏が、一部の医療機関においてダイエット向けに糖尿病治療薬のGLP-1受容体作動薬を自由診療で処方していることを問題視し、そのことが報じられた。確かに好ましい話ではない。だが、こうした適応外処方の自由診療、あるいは薬の個人輸入代行業はかなり前から跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)している。実際、私も知人から個人輸入代行で痩せる薬を入手したと見せられたことがある。この時、見せられたのは抗てんかん薬のトピラマート(商品名:トピナ)である。てんかん専門医から肥満傾向のてんかん患者には使いやすいと聞いたことがあるが、こんな難しい薬が医師の管理もなく、ダイエット目的で入手できるのだと改めて驚いたものだ。これ以外にも同じく糖尿病で使われるSGLT2阻害薬も痩せ薬としてアンダーグラウンドで取引されていると聞いたことがある。GLP-1受容体作動薬の場合、既に海外で肥満症治療薬として承認されているのは事実であり、日本国内でも臨床試験中。ちなみにGLP-1受容体作動薬をダイエット目的で処方している自由診療クリニックのホームページを見ると、海外で承認済みであることを強調しながら、「日本では製薬メーカーで治験が行われず、日本では未承認です(原文ママ)」と事実とは異なる記載をしている。記事中ではGLP-1受容体作動薬の副作用として下痢が記述されているが、むしろ私が危惧するのは低血糖発作のほうだ。そもそもダイエットをしている人は、言っちゃ悪いが極端な糖質制限など偏った食事をしている人が通常集団よりも多いと推察される。そんなところにGLP-1受容体作動薬を投与しようものならば、低血糖発作リスクは高いはずである。その辺を会見で今村氏が言及したかどうかは個人的に気になる。というのも、痩せたい願望が強い人にとっては、下痢レベルの副作用を無視することは十分に考えられる。結果として、逆にこの記事が「寝た子を起こす」がごとく、痩せたい願望を持つ人への誘因になってしまう可能性すらある。(ちなみに日本医師会の定例記者会見は決まった企業メディアにしか参加が認められていない。企業メディアの場合は新たに参加が認められるケースもあるが、フリーランスは実績にかかわらず参加不可。私も過去に広報部門に参加を希望したが一蹴されている)問題のある自由診療はGLP-1だけじゃないしかし、このニュースに私は割り切れないものを感じてしまう。確かに今回のGLP-1受容体作動薬の自由診療による処方は問題ありだし、警告すべきものとは思う。しかし、従来から自由診療では、問題がある治療が行われていることをまさか日医執行部が知らぬわけはないだろう。代表例ががん患者に対する細胞免疫療法。要は患者から採取したT細胞などを増やし、活性化させて体内に戻してがんと戦わせるという「治療」だ。だが、これらは科学的エビデンスが確立されていないのは周知のこと。近年、血液がんを対象に承認されたキメラ抗原受容体T細胞療法(CAR-T細胞療法)のキムリアなどの成り立ちを見ても分かるように、ヒトのT細胞を抽出してちょっとやそっと増やしたりして体内に戻しても生存期間延長や治癒など得られないことは医師ならばわかるはずだ。しかし、がん終末期の患者が藁をもすがる思いで1回数十万円から百万円超ものこの「治療」に貴重なお金を注ぎ、期待したであろう効果を得られず患者が亡くなっている現実はもう30年以上横行している。むしろ例え事実上「糠に釘」でも日医が警鐘を鳴らし続けることが望ましいのではないだろうか。生活習慣改善指導は教科書的でいいのか?それ以上に割り切れないと思う点もある。それは痩せたい人への事実上の医療不在である。ちなみにここでいう痩せたい人とは、単に美容のために痩せたい人を意味するのではなく、疾患あるいはその予備群、代表例を挙げると生活習慣病で肥満傾向を持つ人などだ。患者の立場ならば、医師からなるべく体重を減らすため、過食を止め、運動するよう「指導」された経験のある人はいるだろう。だが、誤解を恐れずに言えば「そう言われただけ」の人がほとんどのはずだ。具体的にどんな運動をどれだけやればいいか、過食を止めるためにどうすれば良いか、何をどのように食べるべきか、単に教科書的文章の読み上げではなく、自分の生活に合わせてどのようにすればよいかを具体的に指導を受けた経験がある人は稀ではないだろうか?そのことをうかがわせる実例として、日本糖尿病学会の「糖尿病診療ガイドライン2019」を挙げよう。同ガイドラインは書籍として総ページ数は約380ページだが、食事療法、運動療法に関する記述ページはその1割弱。内容はほぼ国内外のエビデンスをさらりと紹介している程度である。多くの経口糖尿病治療薬の添付文書には判で押したように「本剤の適用はあらかじめ糖尿病治療の基本である食事療法、運動療法を十分に行ったうえで効果が不十分な場合に限り考慮すること」という記載がありながら、医師による食事療法、運動療法の指導も判で押したような教科書的なものばかりだ。もちろん個々の患者に合った運動療法、食事療法を指導することも、それを患者が継続することも容易でないことは分かるが、現状はあまりに受け皿がなさすぎるなかで、自由診療だけをとがめるのは穴の開いたバケツで水をくむようなものである。実際、私も経験がある。血液検査の結果、中性脂肪が若干正常上限値を上回っていた時のことだ。医師から次のように言われ、ポカン口状態になった。「肉、魚、卵はできるだけ控えるように」は? 何食べればいいんですか? 大豆? 豆腐? 納豆? 肉、魚、卵はできるだけ控えたら外食では食べるものがない。私たちが聞きたいのは、たとえば「お肉は脂身を残して量は少なめにして、その代わりに豆腐などを副菜に取り入れて」などより具体的なことである。幸いこの中性脂肪高値は一時的なものだったが、後に尿酸値の8.1mg/dLという検査結果に飛び上がらんばかりに驚いたことがある。この時の医師も某ジェネリック医薬品メーカーが作った高尿酸血症・痛風患者向けの冊子の内容を棒読みするだけだった。体重を減らす飲酒を控えるプリン体摂取を控える毎日2Lの飲水唯一棒読みではなかったのは、「体重を減らす」と言った後に「フフッ」と笑ったことぐらい。要はみんなできないんだよねという意味だろう。しかし、私はこれにややカチンときた。さらに飲酒は好きだし、控えるのは限界がある。プリン体をとりわけ多く含む食品はそもそも日常的にそれほど摂取機会がない。ということで体重減少と2L飲水に取り組んだ。いわば「おいしく楽しく酒を飲み続けるため」にそうしたのだ。詳細は省くが1年7ヵ月で14kg減。尿酸値も正常化している。だが、この間、運動をどう習慣化すればいいのか、その内容をどう変化させるかなど試行錯誤の連続。ちなみに一見簡単そうな飲水2Lのほうが楽しくもなく、習慣化までに苦労した。今この原稿を執筆中の傍らに1.5Lと600mLのペットボトルがある。こうしたことで医師などから工夫の伝授や励ましがあれば、どれだけ助けになっただろうと今も時々思う。こうした医療不在の隙を自由診療の囁きが埋めてしまっているのが現実ではないだろうか。このように書くと、「医師に何でも求めないで欲しい」と言われるかもしれないが、ならば医師から対応可能な職種へ繋ぐシステムが欲しいと思う。もちろんそうした職種への報酬の財源は医科診療報酬のプラス幅をやや抑えて捻出する。まあ、日医執行部が最も反発しそうではあるが。

1313.

新型コロナ抗原検査、発症2~9日は陰性でもPCR不要に/厚労省

 新型コロナウイルス感染症への感染を調べる抗原検査について、厚生労働省は6月16日付でガイドラインを改定した。この改定による大きな変更点は、発症2~9日目の患者に限り、抗原検査で陰性となった場合でも、追加のPCR検査が不要となったことだ。 抗原検査は、検査キットを使い、わずか30分程度で感染の有無を判断できる迅速性がメリットだが、偽陰性が生じるリスクがある。このため従来のガイドラインでは、陽性の場合は診断が確定できるものの、陰性の場合には確定診断のために改めてPCR検査を実施することになっていた。この煩雑なフローにより、当初はPCR検査の不足分を補う検査として期待されていたものの、実際には抗原検査が診療現場に広がったとは言い難い状況だった。 しかし今般、川崎市健康安全研究所や東邦大学医療センター大森病院、国立国際医療研究センター、それに自衛隊中央病院において、院内陽性者の発症後日数と PCR検査および抗原検査の結果を調査したところ、いずれも発症2~9日以内の症例では保有するウイルス量が多く、PCR検査と抗原検査の結果の一致率が高いとの研究結果が示された。このため改定ガイドラインでは、「新型コロナウイルス感染症を疑う症状発症後2日目から9日目以内の者(発症日を1日目とする)については、本キットで陰性となった場合は追加の検査を必須とはしない」と変更された。

1314.

オリゴ転移乳がん、局所併用療法 vs.全身療法(OLIGO-BC1)/ASCO2020

 日本、中国、韓国によるアジア圏での国際後ろ向きコホート研究の結果、オリゴ転移乳がんに対する局所療法と全身療法併用の生存に対するベネフィットが示された。米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で、がん研究会有明病院の上野 貴之氏がOLIGO-BC1試験の結果を発表した。・対象:ABCガイドラインで定義されたオリゴ転移を有する乳がん患者(転移個数が少なく[5個以下]、サイズが小さい、腫瘍量の少ない転移疾患。転移臓器の数は定義されていない)・主な除外基準:脳、胸膜、腹膜への転移、あるいは切除不能な皮膚および胸壁への再発症例/胸水貯留を認めた症例/生理的腹水を超えて腹水貯留を認めた症例/心外膜液貯留を認めた症例/同側乳房内再発症例/他臓器の浸潤がんの既往がある症例/重篤な併存症(心筋梗塞、脳梗塞、糖尿病、自己免疫疾患など)を有する再発症例・試験群:局所療法(外科的切除、放射線療法、焼灼療法および経カテーテル動脈(化学)焼灼療法など)と全身療法(化学療法、内分泌療法、抗HER2療法など)の併用・対象群:全身療法のみ・評価項目:[主要評価項目]全生存期間(OS) ※以前の報告から5年OSを50%、40%とそれぞれ仮定した場合、両側の有意水準で併用療法の優位性を検出するために、少なくとも698例、検定力80%が必要とされた[副次評価項目]無増悪生存期間(PFS)、長期的なPFSおよびOSを定義する臨床的、解剖学的および病理学的分析、局所療法に関連する重篤な有害事象 主な結果は以下のとおり。・2018年2月~2019年5月に1,295例が登録され、除外基準に基づき1,200例が分析対象(中国、日本、韓国からそれぞれ573、529、98例)とされた。・HR+HER2-が526例(44%)、HR+HER2+が189例(16%)、HR-HER2+が154例(13%)に、HR-HER2-が166例(14%)、その他は161例(13%)であった。・オリゴ転移数1が578例(48%)、2が289例(24%)、3が154例(13%)、4が102例(9%)、5が77例(6%)であった。・内臓転移のみが387例(32%)、骨転移のみが301例(25%)、局所再発のみが83例(7%)、局所領域再発は25例(2%)、複数部位の転移が404例(34%)であった。・局所療法および全身療法は495例、全身療法は705例で行われた。・追跡期間中央値4.9年における、5年OS率は併用療法59.6%、全身療法41.9%(p<0.01)。調整後のハザード比(HR)は0.60(95%信頼区間[CI]:0.51~0.71)であった。・多変量解析の結果、全身療法の種類(化学療法-内分泌療法:HR0.59[0.44~0.78])、若年(20~39歳:HR0.72[0.59~0.88]、40~49歳:HR0.72[0.60~0.86])、ECOG PS0(HR0.68[0.55~0.86])、ステージI(HR0.72[0.54~0.96])、非トリプルネガティブ乳がん(HR+HER2-:HR0.82[0.64~1.04]、HR+HER2+:HR0.68[0.52~0.90]、HR-HER2+:HR0.76[0.57~1.02])、転移部位の少なさ(1:HR0.71[0.59~0.86]、2:HR0.95[0.78~1.18])、局所再発(HR0.69[0.49~0.97])、無病生存期間の長さ(≦1:HR2.01[1.52~2.68]/4≦:HR1)が、予後良好因子であった。

1315.

MRワクチン【今、知っておきたいワクチンの話】各論 第1回

ワクチンで予防できる疾患(疾患について・疫学)ワクチンで予防できる疾患、VPD(Vaccine Preventable Disease)は、数えられるほどしかない。しかし、世界ではいまだに多くの子供や大人(時に胎児も)が、ワクチンで予防できるはずの感染症に罹患し、後遺症を患ったり、命を落としたりしている。わが国では2012~2013年の風疹大流行(感染者約17,000人)に引き続き1)、2018~2019年にも流行した(感染者5,000人以上)。その影響もあり、日本は下記期間において世界3位の風疹流行国となっている2)(図1、表1)。風疹ワクチンのもっとも重要な目的は先天性風疹症候群(Congenital Rubella Syndrom:CRS)の予防である。それには、風疹が流行しないよう、風疹含有ワクチン接種により集団免疫を高めることが何より重要である。図1 2019年3月~2020年2月(1年間)の風疹発生数と発生率(100万人当たり)画像を拡大する表1 風疹患者数(上位10ヵ国)Global Measles and Rubella Monthly Update (Accessed on April 24, 2020)より引用画像を拡大する一方、麻疹は、世界で約14万人の命を奪う(2018年推計)ウイルス感染症である。麻疹の死亡率は先進国でさえも約1,000人に1人といわれており、重症度の高い感染症である。感染力も強いため、風疹と同様、予防接種により高い集団免疫を獲得する必要がある。しかし、日本国内での麻疹の散発的流行はいまだ絶えない。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に係る緊急事態宣言が解除された今なお、予防接種は不要不急だと考え接種を控えるケースが見受けられる。しかし「ワクチンと新型コロナウイルスと検疫」でも述べられているように、予防接種(特に小児)は適切な時期に受けることが重要であり、接種を延期する必要はない。過度な制限や自粛により、予防できるはずの感染症に罹患してしまうことは避けなければならない3)。麻疹・風疹の概要VPDの第1弾として、「麻疹・風疹」を取り上げる。麻疹・風疹ワクチンともに、経済性、安全性、有効性に優れており費用対効果も高い。日本国内における麻疹・風疹の感染流行の首座は、小児よりも青年・成人である。そのため、あらゆる年代、あらゆる受診機会に触れるプライマリケア医からの啓発が、非常に重要かつ効果的である。麻疹について1)麻疹の概要感染経路:空気感染、飛沫感染、接触感染潜伏期:10~12日周囲に感染させうる期間:症状出現1日前~解熱後3日間感染力(R0:基本再生産数):12-18感染症法:5類感染症(全数報告、直ちに届出が必要)学校保健安全法:第2種(出席停止期間:解熱後3日経過するまで)注)R0(基本再生産数):集団にいるすべての人間が感染症に罹る可能性をもった(感受性を有した)状態で、一人の感染者が何人に感染させうるか、感染力の強さを表す。つまり、数が多い方が感染力は強いということになる。2)麻疹の臨床症状麻疹の特徴は、感染力の強さと重症度の2つである。空気感染する感染症は、麻疹以外では結核と水痘がある。感染力を表すR0(アールノート)は、インフルエンザが1-2、COVID-19が1.3-2.5(5月時点)なので、麻疹はこれらの約10倍に相当する極めて強い感染力をもつ。典型的な麻疹の臨床経過は、10~12日程度の潜伏期ののち、3つの病期を経る。感染力がもっとも強いカタル期(2~4日間)には、高熱、上気道症状、目の充血、コプリック斑などが出現する。その後、一旦解熱し、再度高熱(二峰性発熱)と全身性の紅斑(発疹期)が拡がる(3~5日間)。発疹が出て3~4日後に徐々に解熱し回復する(回復期)。麻疹に対する免疫をもたない人が感染すると、約3割に合併症が生じ、肺炎や脳炎、中耳炎、心筋炎などを来す。肺炎や脳炎は2大死亡原因と言われ、乳児では麻疹による死亡例の6割が肺炎に起因する。まれではあるが罹患してから数年後に発症する亜急性硬化性全脳炎(SSPE)という重篤な合併症を来すこともある。病歴や臨床症状から疑い、血清学的検査(IgM抗体、IgG抗体など)やPCR検査(咽頭、尿など)などにより確定診断をする(詳細は「医療機関での麻疹対応ガイドライン 第7版」4)を参照)。特異的な治療法はないため、対症療法が中心である。3)麻疹の疫学麻疹の感染者は、全数報告が開始された2008年が約1万1,000例だったが、2009年以降は、毎年数十~数百例の報告数である。2016年は165例、2017年は186例、2018年282例と続き、2019年は744例と多かった。かつては5歳未満の小児が主な感染者であったが、2011年頃からは20~30代の患者が半数以上占めている5)。2019年は感染者の56%が20~30代であり、主な感染者は接種歴のない乳児を除いて、30代をピークとした成人であることがわかる(図2、3)。図2 年齢群別接種歴別麻疹累積報告数 2019年第1~52週(n=744)画像を拡大する図3 年齢別麻疹累積報告数割合 2019年第1~52週(n=744)国立感染症研究所 感染症発生動向調査 2020年1月8日現在より引用画像を拡大する4)麻疹の抗体保有率抗体保有率は麻疹の感受性調査として、ほぼ毎年国立感染症研究所より報告されている。抗体価はあくまで免疫能の一部を表しているに過ぎないため、抗体価が基準を満たせば良い、という単純な話ではない(総論第4回 「抗体検査」参照)。しかし、年代と抗体保有率との相関性をみることで、ある程度の傾向が把握できるため紹介する。麻疹の抗体保有率(PA法16倍以上:図4赤線)は1歳以上の全年代で95%以上を維持しているが、修飾麻疹を含めた発症予防可能レベルは128倍以上が望ましい6)(図4:緑線)。10代と60代以上で128倍の抗体価を下回る人が多く、注意が必要である。また、すべての年代で128倍未満のものがいることから、輸入麻疹による感染拡大の危機は常につきまとうことになる。図4 麻疹の抗体価保有状況 2019年感染症流行予測調査より(2020年2月暫定値)国立感染症研究所 2019年感染症流行予測調査(2020年2月暫定値)より引用画像を拡大するわが国は2015年3月27日にWHOによる麻疹排除認定を受けた。麻疹排除認定の定義とは「質の高いサーベイランスが存在するある特定の地域、国等において、12ヵ月間以上継続した麻疹ウイルスの伝播がない状態」とされている。これは土着の麻疹ウイルスが国内流行しなくなった状態を意味するだけであり、土着でない、海外から持ち込まれた“輸入麻疹”は、麻疹排除認定後も、2020年現在まで国内で散発的にみられている(図5)。近年の代表的な事例として、2018年には海外からの旅行者を発端とした沖縄での集団感染(101例)や、2019年にはワクチン接種率の低い三重県の宗教団体関係者を中心とした集団感染(49例)などがある。その感染力の高さから4次や5次感染を来した事例も複数報告されている7)。その他、医療関係者、教育関係者、空港職員などが感染した事例も多く、不特定多数の人に接触しうる職種は特に、あらかじめワクチン接種により免疫を獲得しておくことが重要である。図5 麻疹累積報告数の推移 2013~2020年第15週 (2020年4月15日現在)国立感染症研究所 感染症発生動向調査より引用画像を拡大する麻疹はアジア・アフリカ諸国を始め、世界各国で流行が続いており、2019年は40万人以上が罹患したと報告されている。一方で、わが国への出入国者数は年々増加し、年間5,000万人を超えている。つまり、日本全体が麻疹に対する強固な集団免疫を獲得しないと、世界各国とのアクセスが容易な現代においては、“ふと”やってくる輸入麻疹を防げないのである。風疹について1)風疹の概要感染経路:飛沫感染、接触感染潜伏期:14~21日周囲に感染させうる期間:発疹出現前後1週間感染力(R0:基本再生産数):5-7感染症法:5類感染症(全数報告、直ちに届出が必要)学校保健安全法:第2種(出席停止期間:発疹が消失するまで)2)風疹の臨床症状風疹は、比較的予後の良い急性ウイルス感染症である。しかし、妊婦が風疹に罹患すると、その胎児に感染し、先天性風疹症候群(Congenital Rubella Syndrome:CRS)が発生する可能性がある(後述)。風疹の主な感染様式は、風邪やインフルエンザと同様に飛沫感染であり、感染力は比較的強い(R0は5-7)。風疹の臨床経過について。2~3週間の潜伏期の後、軽い発熱と淡い全身性発疹が同時に出現する。その他、耳下や頸部リンパ節腫脹も特徴的で、関節痛を伴うこともある。発疹は3~5日程度で消失するため、風疹は“三日はしか”とも言われる。風疹ウイルスに感染した成人の約15%は不顕性感染(感染していても症状がでない)であり、たとえ症状がでても軽度なことも多い。そのため、自分が感染していることに気付かず、他人に感染させてしまう可能性がある。診断方法:臨床症状から疑い、血清検査(IgMやIgGなど)にて確定診断を行う。治療:CRSも含め、風疹に特異的な治療法はなく対症療法が中心となる。そのため、ワクチンがもっとも有効な予防方法となる。予後は基本的には良好だが、時に血小板減少性紫斑病や脳炎を合併することがある。3)先天性風疹症候群(Congenital Rubella Syndrome:CRS)冒頭で述べたように、日本では2012~13年および2018~19年に風疹が流行した。2012~13年には17,000人以上の風疹感染者と45人のCRSが、2018~19年には5,000人以上の風疹感染者と5人のCRSが届出された。妊婦の風疹感染により流産や胎児死亡が起こりうることから、より多くの妊婦と胎児が風疹感染の犠牲となった可能性がある。CRSとは、風疹に対する免疫が不十分な妊婦が、妊娠中に風疹に罹患し、経胎盤感染により胎児が罹患する症候群である。3大症状は難聴、先天性心疾患、白内障であり、その他、肝脾腫、糖尿病、精神運動発達遅滞などを来す。妊婦(風疹に対する免疫が不十分な場合)の風疹感染によるCRS発生率は妊娠週数によって異なり、妊娠初期の感染は80%以上と非常に高率である(妊娠4~6週で100%、7~12週で約80%、13~16週で45~50%、17~20週で6%、20週以降で0%8))。2012~13年に発生したCRS45人の追跡調査で、11人が死亡していたことがわかり、致死率は24%と報告された。そのほとんどが重度の先天性疾患が死因となった1)。一方、CRS児の母親の年代は14~42歳と幅広く、風疹含有ワクチン接種歴が2回確認された母親はいなかった(接種歴1回が11例、なしが19例、不明が15例)。妊娠可能年齢の女性に対する風疹ワクチンの2回接種がいかに重要であるかがわかる。また、4例の母親には妊娠中に感染症状がなかった(31例は症状あり、10例は不明)ことから、不顕性感染によるCRSであったことが推測される。CRSもワクチンで予防できるVPDである。また、風疹流行は、妊婦にとって脅威である。妊娠可能年齢の女性やそのご家族には、積極的に風疹ワクチン2回の接種歴を確認し、不足回数分の接種を推奨いただきたい。4)風疹の疫学と抗体保有率近年の風疹流行の首座は成人(感染者の9割以上)であり、中でも20~50代の男性が約7~8割を占める9)。これらの年代は働き盛り、かつ子育て世代でもあることから、職場や家族内感染が主な感染源と推定された10)。一方、女性の感染者では妊娠可能年齢の20~30代が女性感染者全体の6割を占め、CRS予防の観点からも、憂慮すべきデータである。抗体保有率も上記の年代で低いことがわかる(図6)。風疹抗体価についてはHI法8倍以上(図6:赤線)で陽性とされるが、感染予防には16倍以上(図6:黄線)、さらにはCRS予防には32倍以上(図6:青線)が望ましい。男性については30~50代において抗体価が低いことがよくわかる。近年の風疹流行の首座の年代である。この年代で抗体価が低いのは、後述する過去の予防接種制度の煽りを受けたことが原因であり、昨年度から全国で開始された「風疹第5期定期接種」の対象年齢(1962~1979年生まれ)が含まれる。一方、女性では、HI法8、16倍以上の抗体保有率は高いものの、CRS予防に望ましい32倍以上(図6:青線)の抗体保有率は妊娠可能年齢(10~40代)では7~8割にとどまる。やはり小児期に2回の定期接種が義務付けられていなかった年代が含まれており、男性のように成人に対する定期接種制度はないため、日常診療における接種歴の確認が重要となる。図6 男女別の風疹抗体保有率 2018年画像を拡大する国立感染症研究所 年齢別/年齢群別の風疹抗体保有状況、2018年より引用画像を拡大する妊娠可能年齢の女性やその家族には、あらかじめ風疹ワクチンでの予防措置を講じておくことが非常に重要である。ワクチンの概要(効果・副反応、生または不活化、定期または任意、接種方法) 1)麻疹・風疹ワクチン(表2)画像を拡大する効果(免疫獲得率)麻疹ワクチン:1回接種により免疫獲得率93~95%以上、2回接種で97~99%3)風疹ワクチン:1回接種による免疫獲得率は95%、2回接種では約99%11)副反応:一部(10~30%)に軽度の麻疹様発疹や風疹様症状(発熱、発疹、リンパ節腫脹、関節痛など)を伴うことがあるが、いずれも軽度で数日中に消失する一過性のものである。その他、ワクチン接種による一般的な副作用以外に、MRワクチンに特異的な副反応報告はない。禁忌:発熱や急性疾患に罹患中の人、妊婦、明らかな免疫抑制状態にある人、このワクチンによる重度のアレルギー症状(アナフィラキシーなど)を呈した既往がある人注意事項:生ワクチン接種後は、2ヵ月間は妊娠を避ける。ただし、この期間に妊娠しても、母体や胎児に問題が生じた報告はない。また、輸血製剤またはガンマグロブリン製剤投与後は6ヵ月の間隔をあけてから接種する。麻疹風疹(MR)ワクチンは、2006年から小児に対して2回の定期接種(1期、2期)が定められた。1期(1歳)の接種率は目標の95%以上を維持しているが、2期(5~6歳)についてはいまだ93~94%で推移している12)。あらゆる機会を利用してキャッチアップを行うことにより、すべての人が生涯で計2回のワクチン接種が受けられるような啓発や取り組みが喫緊の課題である。2)麻疹の緊急ワクチン接種麻疹患者との接触者で、麻疹に対する免疫がない人は、接触後72時間以内に麻疹含有ワクチンを接種することで、発症を予防できる可能性がある(緊急ワクチン接種)4)。1歳未満の乳児でも、生後6ヵ月以降であれば曝露後接種は可能である(自費)。しかし、この場合は母親からの移行抗体によりワクチンウイルスが中和されてしまう可能性もあるため、必ず1歳以降で2回の定期接種を受ける必要がある。3)接種のスケジュール(小児/成人)麻疹・風疹ワクチンは、いずれも1歳以上で生涯計2回接種することで、麻疹・風疹ウイルスに対する免疫能を高率に獲得できる。血清検査で診断された罹患歴がなければ、不足回数分の接種を推奨する。ウイルス抗体価の測定は必須ではない。理由は前述の「抗体検査」で述べられたとおりであり、改定された日本環境感染学会のワクチンガイドラインでも同様の考えに基づくアルゴリズムが提示されている13)。抗体価は参考値として測定することはあっても、あくまで接種歴の方が重要度としては高い。よって、抗体価を測定せずに、接種歴の情報を元に接種回数を決めてよい。接種歴がわからない(もしくは、接種した記憶はあるが、記録がない)場合は、接種しすぎることによる害はないため「接種歴なし」として、1ヵ月以上の間隔をあけて、2回の接種を推奨する。4)小児期に2回の麻疹・風疹ワクチン接種が定期接種となった年代麻疹・風疹(それぞれ単独)ワクチン:2000年4月2日生まれ以降の人(表3)は、小児期に麻疹・風疹含有ワクチンが定期接種化されている年代である。ただし、1990年4月2日生まれ~2000年4月1日生まれまでの人(特例措置の年代)の接種率は80%台と低かった。どの年代においても接種歴の確認が重要である。特例措置:麻疹または風疹ワクチンの2回目を、中学1年生(第3期)と高校3年生相当(第4期)に対象者を拡大して5年間の期間限定で接種が行われた。表3 出生年月日および性別別の早見表:麻疹(上段)、風疹(下段)画像を拡大する5)成人に対する風疹第5期定期接種14)1962年4月2日生まれ以降~1979年4月1日生まれの年代(41~58歳)は、小児期の予防接種制度の影響で、小児期に風疹含有ワクチンを2回接種する機会がなかった。そのため、先述したように風疹抗体保有率が低く、風疹流行の首座となってしまった。この世代に対して、2019年度から全国で該当者(風疹含有ワクチンの接種歴がなく罹患歴もないなど)には無料で風疹の抗体価測定を行い、抗体価が不足している場合(HI法8倍以下)は、無料でMRワクチンを接種できる“風疹第5期定期接種”が開始された。しかし、2020年4月時点でクーポン券を使用した抗体検査実施率は16.2%、予防接種実施割合は3.4%と低迷している15)。プライマリケア医による能動的な情報提供、啓発が望まれる。日常診療で役立つ接種のポイント(例:ワクチンの説明方法や接種時の工夫)繰り返しになるが、麻疹・風疹ともに、罹患歴がなければ1歳以上で生涯2回の接種が必要である。接種歴がないまたは不明の場合は、接種しすぎることによる害はないため、任意接種であれば、1ヵ月あけて2回の接種を推奨する。麻疹または風疹のいずれか一方のみの接種を希望する人がいた場合、2回の接種歴が記録で確認できなければ、MRワクチンでの接種を推奨する。下記、MRワクチン接種を負担なく啓発できる工夫について何点かご紹介する。1)外来における工夫(1)小児の受診時受診理由に関わらず、母子手帳の提出をルーチン化する。電話予約時に一言添える、受付時や看護師の予診時などに提出をお願いする。これを習慣化すると、受診者全体に徐々にその文化が根付いていく。医師が診療前後に母子手帳の接種記録を確認し、不足しているものがあれば推奨する。ワクチンスケジュールの知識がある看護師などが担当してもよい。(2)カルテ記録プロブレムリストに「ヘルスメンテナンス」または「予防接種歴」を追加する。医師自身がリマインドできるシステムを作る。外来で扱う主要なプロブレムが落ち着いたときに、患者さんに一言接種歴の確認をするだけでも良い。余裕ができたときに、不足しているワクチンについて紹介、接種の推奨をする。(3)ポスターを掲示するワクチン接種についてのポスターを待合室に掲示する。リーフレットとして配布してもよい15)。2)積極的にワクチン接種を推奨したい対象者(1)妊娠可能年齢の女性とその家族あらゆる感染症は、妊婦の流産早産に関連しうる。CRSを含めたVPDとそのワクチンについて情報提供する。特に、妊娠中は接種が禁忌となる生ワクチン(風疹・麻疹・水痘・ムンプス)について、妊娠前にあらかじめ免疫をつけておくことが重要であることを情報提供する。妊娠希望の女性に対して、MRワクチン接種の助成がある自治体も多い。自治体によっては、そのパートナーにも助成を出しているところもある。あらかじめ自身の自治体の助成制度の確認を行い、該当者がいれば渡せるように当該ページを印刷しておくとよい。(2)風疹第5期定期接種の対象者(41~58歳:2020年4月中旬時点)接種率の低さから、自宅に風疹対策のクーポン券(無料で受けられる風疹抗体検査の受診券)が届いていても、それに気付いていない、またはその重要性を知らず放置している例も多いことが考えられる。定期接種の対象である年代については、受付などで、対象者であることを示す札や目印を作成し、受診時に医療スタッフから制度利用の推奨・案内をできるようにしておくとよい。自宅に定期接種のクーポン券が届いていないかどうか事前に確認し、検査を推奨する。届いていなければ地域の保健所に問い合わせるよう促せば対応してくれる。(3)海外渡航予定のある人海外では麻疹流行国が多数ある。渡航先に関わらず、海外渡航時はルーチンワクチンをキャッチアップする良い機会である。あれば母子手帳をもとに、なければ麻疹を含めたVPDについてしっかり話し合う。長期出張の場合は会社からの補助がでないか、家族同伴の場合は家族の予防接種状況も含めて、安心かつ安全な海外渡航となるよう、サポートする。(4)不特定多数の人と接触する職業(空港など)・医療職・教育関係者などこれらの職業の人は、感染リスクが高く、感染した場合の公衆衛生学的なインパクトも大きい。これらの職業に携わる人には、積極的にワクチン接種歴の確認をし、不足回数分の接種を推奨する。今後の課題・展望世界では、世界保健機関(WHO)などにより、麻疹および風疹排除を加速させる活動が進められている(Global Vaccine Action Plan 2011-2020)。わが国では、2015年に認定された麻疹排除認定を取り消されることがないよう、小児定期接種の高い接種率(1、2期ともに95%以上)を目指すと同時に、海外から麻疹ウイルスを持ち込まれても、国内流行につながらない高い集団免疫を目標にしなければいけない。風疹については、2014年3月に厚生労働省が「風疹に関する特定感染症予防指針」を策定した。この指針は、早期にCRSの発生をなくし、2020年度までに風疹排除(適切なサーベイランス制度のもと、土着株による感染が1年以上確認されないこと)を達成することを目標としている(なお、2020年1~4月の風疹感染者数は73人とCRSが1人、4~5月は3人、CRSは0人15,17))。プライマリケア医には、既存の制度(自治体の助成制度や風疹第5期定期接種など)の積極的利用の促進、また、日常診療内で幅広い年代に対する能動的な啓発および接種歴の確認・推奨を行うことが望まれる。参考となるサイト(公的助成情報、主要研究グループ、参考となるサイト)こどもとおとなのワクチンサイト予防接種啓発ツール 厚生労働省1)2012~2014年に出生した先天性風疹症候群45例のフォローアップ調査結果報告(IASR;Vol.39:p33-34.)2)Global Measeles and Rubella Monthly Update(pptx). Measeles and Rubella Surveillansce Data WHO (Accessed on March,2020)3)新型コロナウイルス感染症に対するQ&A 日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会(2020年4月20日更新)4)医療機関での麻疹対応ガイドライン第7版 国立感染症研究所 感染症疫学センター (2018年4月17日)5)国立感染症研究所 病原微生物検出情報 麻疹[2019年2月現在](IASR Vol.40.p.49-51.)6)国立感染症研究所 病原微生物検出情報 麻疹の抗体保有状況2018年(IASR.Vol.40.p.62-63.)7)多屋馨子. モダンメディア. 2019;65:29-37.8)Ghidini A,et al. West J Med. 1993;159:366-373.9)風疹および先天性風疹症候群の発生に関するリスクアセスメント第3版(国立感染症研究所 2018年1月24日)10)風疹流行に関する緊急情報:2019年12月25日現在(国立感染症研究所 感染症疫学センター)11)風疹Q&A[2018年1月30日改定](国立感染症研究所)12)麻疹風疹予防接種の実施状況(厚生労働省)13)医療関係者のためのワクチンガイドライン 第3版(日本環境感染学会)14)風疹の追加的対策 専用ページ(厚生労働省)15)風疹に関する疫学情報 2020年4月8日現在(国立感染症研究所 感染症疫学センター )16)予防接種啓発ツール(厚生労働省)17)風疹に関する疫学情報 2020年6月3日現在(国立感染症研究所 感染症疫学センター)講師紹介

1316.

降圧治療と認知症や認知機能障害の発症の関連―システマティックレビュー、メタ解析(解説:石川讓治氏)-1245

 中年期の高血圧が晩年期の認知症の発症と関連していることがいくつかの観察研究において報告されてきた。しかし、降圧治療と認知症や認知機能障害の発症の関連を評価した過去の研究においては、降圧治療が認知症の発症を減少させる傾向は認められたものの、有意差には至っていなかった。本論文では14の無作為介入試験の結果を用いてメタ解析を行い、平均年齢69歳、女性42.2%、ベースラインの血圧154/83.3mmHgの対象者において、降圧治療によって、平均49.2ヵ月間の追跡期間で7%の認知症もしくは認知機能障害の相対的リスク減少、および平均4.1年の追跡期間の間で7%の認知機能低下の相対的リスク減少があり、これらが有意差をもって認められたことを報告した。以前の無作為介入試験の結果は副次エンドポイントであったため有意差には至っていなかったが、メタ解析によって統計学的なパワーを増加させることで有意差を獲得したものと思われる。 SPRINT-MIND試験においても、積極的な降圧治療が通常治療よりも深部白質病変を減少させることが報告されており、降圧治療が脳血管性の認知機能障害を抑制することは予想できる。しかし、認知機能障害を生じる病態はさまざまであり、脳血管性認知症、アルツハイマー型認知症、前頭側頭葉型認知症、レビー小体型認知症などの病態が複雑に重なり合って臨床像をなしているため、完全に分けて考えることは困難である。降圧治療が、アルツハイマー型のアミロイドβやレビー小体型認知症におけるαシヌクレインといった代謝性物質にどのような影響を与えているのかは不明な点が多い。 本研究における無作為介入試験の参加者はインフォームドコンセントのための難解な同意文書を理解しサインできる、登録時には比較的認知機能が良好に保たれていた患者である。このような認知機能が良好に保たれた高血圧患者においては、降圧治療が将来の認知症や認知機能障害の発症を抑制するものと思われる。しかし、高齢者の日常臨床においては認知機能障害が進行するにつれて、栄養障害、サルコペニア、カヘキシア、併存疾患の存在などとともに体重減少や生活の質の低下が認められ、自然経過で血圧が低下してくる患者が認められる。そして、このような患者は介入試験からは除外されている。その一方で、観察研究における超高齢者においては、血圧が低く治療されていた対象者においてより死亡率が高く認知機能障害の進行が認められたことも報告されている。 これらの結果から、認知機能障害が起こる前には積極的に降圧治療を行って認知機能障害を予防し、残念ながら認知機能が低下してしまった段階では徐々に降圧治療を緩和していく必要があるものと思われる。しかし、この降圧治療のターニングポイントに関する明らかな指針は少ない。日本高血圧学会の『高血圧治療ガイドライン2019』においては自力で外来通院困難としか記載されておらず、降圧治療のターニングポイントとなる認知機能のレベルも明らかにはなっていない。今後の課題であると思われる。

1317.

亜鉛欠乏症診療ガイドライン、味覚障害など症例別の治療効果が充実

 亜鉛欠乏症は世界で約20億人いるものの、世界的に認知度が低い疾患である。そして、日本も例外ではないー。日本臨床栄養学会ミネラル栄養部会の児玉 浩子氏(帝京平成大学健康メディカル学部健康栄養学科教授・学科長)が委員長を務め、2018年7月に発刊された『亜鉛欠乏症診療ガイドライン2018』の概要がInternational Journal of Molecular Sciences誌2020年4月22日号に掲載された。 亜鉛欠乏症診療ガイドライン2018にて、同氏らは亜鉛欠乏症の診断基準を以下のように示した。(a)症状(皮膚炎、口内炎、味覚障害など)/検査所見(ALP:血清アルカリホスファターゼ低値)のうち、1項目以上を満たす(b)他の疾患が否定される(c)血清亜鉛が低値-血清亜鉛値60μg/dL未満:亜鉛欠乏症、血清亜鉛値60~80μg/dL未満:潜在性亜鉛欠乏とする。(d)亜鉛補充により症状が改善する。亜鉛欠乏症診療ガイドラインは亜鉛投与による治療効果、基礎疾患ごとの症例を豊富に記載 亜鉛欠乏症はさまざまな病態で併発する。その症状はさまざまで、とくに皮膚炎や味覚障害、貧血、易感染などを訴える患者については血清亜鉛濃度の測定が望ましい。一方、慢性肝疾患、糖尿病、慢性炎症性腸疾患、腎不全では、しばしば血清亜鉛値が低値であるにも関わらず、前述のような症状を訴えない場合もある。亜鉛投与により基礎疾患の所見・症状が改善する場合があることから、亜鉛欠乏症診療ガイドライン2018には「これら疾患を有する患者では亜鉛欠乏症状が認められなくても、亜鉛補充を考慮してもよい」と記載されている。 亜鉛欠乏症診療ガイドライン2018の一番の特徴は、投与前後の血清亜鉛値や改善率などが書かれているため処方時に有用である点だ。治療効果を“亜鉛欠乏の症状がある患者に対する亜鉛投与の治療効果”と“基礎疾患の改善を目的に行う亜鉛投与の治療効果”に区分し、表で示している。 前者には低身長症、皮膚炎、口内炎、骨粗鬆症などの症例を提示、後者では慢性肝疾患、糖尿病などの症例を挙げている。 このほか、亜鉛補充時の注意事項として「亜鉛投与の効果はすぐには現れないため、治療は少なくとも3ヵ月間の継続が必要」「亜鉛投与による有害事象として、消化器症状(嘔気、腹痛)、血清膵酵素(アミラーゼ、リパーゼ)上昇、銅欠乏による貧血・白血球減少、鉄欠乏性貧血が報告されているため、これらの臨床症状や検査値が見られた場合には亜鉛投与量の減量・中止、銅や鉄補充などの対処が必要」などが盛り込まれている。  亜鉛欠乏症診療ガイドライン2018では、2016年版からの改訂にあたり、炎症性腸疾患(IBD)と肝硬変にも焦点が当てられた。研究者らは「亜鉛欠乏症はマクロファージの活性化を介して腸の炎症を促進するので、IBDでの炎症や亜鉛欠乏症の病理学的メカニズム検討している」とし、「肝硬変患者の窒素代謝障害にも影響している可能性がある。亜鉛補給は、アンモニア代謝だけでなく、タンパク質の代謝も改善することができる」とも述べている。

1318.

COVID-19血漿療法試験、中国103例の報告/JAMA

 重症/重篤の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の治療において、標準治療に回復期血漿療法を併用するアプローチは標準治療単独と比較して、28日以内の臨床的改善(生存退院、重症度の低減)を増加させなかったとの研究結果が、中国医学科学院のLing Li氏らによって報告された。研究の詳細は、JAMA誌オンライン版2020年6月3日号に掲載された。回復期の患者の血漿を使用する回復期血漿療法は、これまでにもさまざまな感染症の治療に用いられており、COVID-19の治療選択肢となる可能性があるが、その使用を支持するエビデンスは十分でない。また、ドナーの選択や血漿の質の管理、レシピエントの適応などは標準化されておらず、これらについてもエビデンスに基づく根拠はないという。7施設が参加の無作為化試験、患者登録が進まず早期中止 本研究は、中国武漢市の7つの医療センターが参加した非盲検無作為化試験であり、2020年2月14日~4月1日の期間に実施された(中国医学科学院 技術革新基金などの助成による)。最終フォローアップ日は2020年4月28日だった。 対象は、年齢18歳以上、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)検査で確定されたCOVID-19で、重症(呼吸困難または低酸素血症、あるいは双方)または重篤(ショック状態、臓器不全、機械的換気を要する病態)の患者であった。 被験者は、標準治療+回復期血漿療法(血漿療法群)または標準治療のみを行う群(対照群)に無作為に割り付けられた。標準治療は、症状コントロールや支持療法から成り、中国のCOVID-19治療ガイドラインに準拠した。血漿療法では、ABO式血液型適合回復期血漿が、患者の体重によって4~13mL/kg投与された。 主要アウトカムは、28日以内の臨床的改善(生存退院または疾患重症度尺度[1~6点、1点は退院、6点は死亡]の2点の低下)とした。 本試験は200例の登録を予定していたが、COVID-19流行の封じ込めにより、3月下旬には患者数が減少したため登録が進まず、2020年4月1日、103例を登録した時点で早期中止となった。重症例では有意差あり、PCR陰性化率は高い 103例の年齢中央値は70歳(IQR:62~78)、男性が60例(58.3%)であった。血漿療法群に52例(重症例23例、重篤例29例)、対照群には51例(22例、29例)が割り付けられた。101例(98.1%)が試験を完遂した。 試験参加時に89.2%の患者が平熱で、体温の中央値は36.5℃(IQR:36.2~36.7)だった。血漿療法群の注入血漿量中央値は200mL(IQR:200~300)で、96%が1回で注入された。 28日以内の臨床的改善の割合は、血漿療法群が51.9%(27/52例)、対照群は43.1%(22/51例)であり、両群間に有意な差は認められなかった(群間差:8.8%、95%信頼区間[CI]:-10.4~28.0、ハザード比[HR]:1.40、95%CI:0.79~2.49、p=0.26)。 重症例における28日以内の臨床的改善の割合は、血漿療法群が91.3%(21/23例)と、対照群の68.2%(15/22例)に比べ有意に良好であった(HR:2.15、95%CI:1.07~4.32、p=0.03)のに対し、重篤例ではそれぞれ20.7%(6/29例)および24.1%(7/29例)であり、有意な差はみられなかった(0.88、0.30~2.63、p=0.83)(交互作用のp=0.17)。 28日死亡率には両群間に差はなかった(血漿療法群15.7% vs.対照群24.0%、オッズ比[OR]:0.65、95%CI:0.29~1.46、p=0.30)。また、無作為割り付けから死亡までの期間にも差がなかった(HR:0.74、0.30~1.82、p=0.52)。重症例では、血漿療法群に死亡例はなく、対照群では2例が死亡した。重篤例ではそれぞれ8例(28.6%)および10例(35.7%)が死亡した。 無作為割り付け時から28日までの退院例の割合(51.0% vs.36.0%、HR:1.61、95%CI:0.88~2.93、p=0.12)にも、両群間に有意な差はなかった。重症例の28日退院率は、血漿療法群で91.3%に達したが、対照群の68.2%との間に有意な差はなかった(p=0.07)。 一方、PCR検査の結果が陰性化した患者の割合は、24時間後(44.7% vs.15.0%、OR:4.58、95%CI:1.62~12.96、p=0.003)、48時間後(68.1% vs.32.5%、4.43、1.80~10.92、p=0.001)、72時間後(87.2% vs.37.5%、11.39、3.91~33.18、p<0.001)のいずれにおいても、血漿療法群で高かった。重症例では、24時間後と48時間後に有意な差はなかったが、72時間後には有意差が認められ(p<0.001)、重篤例ではいずれの時間にも有意差がみられた(p=0.01、p=0.003、p<0.001)。 血漿療法群の2例で注入関連の有害事象が発現した。重症例の1例では、注入から2時間以内に悪寒と発疹が、重篤例の1例では、6時間以内に息切れ、チアノーゼ、重症呼吸困難がみられたが、いずれも支持療法により改善した。 著者は、「本試験は早期に中止となったため、臨床的に重要な差の検出力が低い可能性があり、これらの知見の解釈には限界がある」としている。

1319.

血栓溶解療法のドアから針までの時間が短いほど1年後の死亡と再入院は少ない(解説:内山真一郎氏)-1244

 この高齢者向け医療保険制度(Medicare)の受益者を対象とした全米の後方視的コホート研究は、発症後4.5時間以内のtPAの静注療法を行った65歳以上の脳梗塞患者において、病院への到着(ドア)から注射(針)までの時間が短いほど1年後の死亡率と再入院率が低いことを明らかにした。これまでも、ドアから針までの時間が短いほど、院内死亡、出血性梗塞、90日後の転帰不良が少ないことはわかっていたが、1年後という長期の転帰との関係が明らかにされたのは初めてである。 日本脳卒中学会による『脳卒中治療ガイドライン2015[追補2019]』でも、「発症後4.5時間以内であっても、治療開始が早いほど良好な転帰が期待できる。このため、患者が来院した後、少しでも早く(遅くとも1時間以内に)アルテプラーゼ静注療法を始めることが強く勧められる」とされている。ただし、脳主幹動脈閉塞例に関しては、機械的血栓回収療法前の血栓溶解療法はスキップしても転帰は変わらないという成績が中国や日本から発表されている。

1320.

アジアの肺がんのためのガイドライン、局所進行肺がんPan-Asian ESMOガイドライン【肺がんインタビュー】 第47回

第47回 アジアの肺がんのためのガイドライン、局所進行肺がんPan-Asian ESMOガイドライン出演:九州がんセンター 呼吸器腫瘍科 瀬戸 貴司氏アジアの肺がん治療の特性や現状に適合した初めてのガイドラインである、局所進行肺がんPan-Asian ESMOガイドラインが本年(2020年)1月、Annals of Oncology誌に発表された。このガイドラインはどう作られ、どう読み、どう活用するべきか、作成委員の一人である九州がんセンター瀬戸 貴司氏に聞いた。参考K Park, et al. Pan-Asian Adapted ESMO Clinical Practice Guidelines for the Management of Patients With Locally-Advanced Unresectable Non-Small-Cell Lung Cancer: A KSMO-ESMO Initiative Endorsed by CSCO, ISMPO, JSMO, MOS, SSO and TOS.An Oncol.2020;31:191-201P E Postmus, et al. Early and Locally Advanced Non-Small-Cell Lung Cancer (NSCLC): ESMO Clinical Practice Guidelines for Diagnosis, Treatment and Follow-Up.Ann Oncol. 2017 Jul 1;28(suppl_4):iv1-iv21.

検索結果 合計:2893件 表示位置:1301 - 1320