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うつ病労働者への治療プログラムは職場アウトカムをもたらす

ガイドラインに沿ったうつ病治療の有効性は明らかだが、しばしば根拠に基づいた勧告から外れた治療が行われている。うつ病治療プログラムは有意に治療の質を向上させるが、雇用者たちは、対費用効果という点でエビデンスに乏しいとこれらプログラムの採用を後回しにしてきた。 そこで、うつ病治療プログラムの効果が職場に与える影響および雇用者の懸念を評価する無作為化対照試験が、アメリカ国立精神保健研究所(NIMH)のPhilip S. Wang氏らによって行われた。JAMA誌9月26日号より。介入6ヵ月毎にうつ重症度と作業能力を評価試験は、行動保健プランでカバーされる604例の労働者を対象に行われ、うつ病は2段階スクリーニングで同定された。患者の治療割当と、6・12ヵ月後のうつ重症度と作業能力の評価結果は公表されず、難治性の躁うつ病や薬物依存症の者、最近精神専門治療を受けた者、また自殺傾向のある労働者は除外された。電話アウトリーチとケア管理プログラムでは、労働者に外来治療(精神療法および/または薬物療法)を受診するよう促し、治療の質を連続モニターして医療提供者に忠告を与えることで、治療が向上するよう試みた。外来治療を嫌がる対象者には、電話による体系的な認知行動精神療法が提供された。主要評価項目は、うつ重症度(QIDSによる評価:Quick Inventory of Depressive Symptomatology)と作業能力(HPQによる評価:WHO Health and Productivity Questionnaire。労働継続率、労働から外れた時間、作業能力、職場で起こしたインシデントを自己評価で報告する方法)。系統的治療プラグラムで労働生産性が向上6ヵ月後と12ヵ月後の評価データを組み合わせると介入群は、QIDSの自己報告スコアは有意に低く(回復の相対確率1.4、95%信頼区間:1.1-2.0、P=0.009)、維持率は有意に高く(同1.7、1.1-3.3、P=0.02)、介入期間を通して通常ケア群より有意に多くの時間労働したことが明らかになった(β=2.0、P=0.02、年換算では2週間分の労働に等しい)。研究グループはこれらから、うつ病を同定し系統的プログラムを行うことは、臨床的な予後改善ばかりでなく職場アウトカムをも有意に改善すると報告。雇用復帰と訓練、給与コストに関する後者の財政的価値は多くの雇用者に、うつ病治療プログラムは投資収益を生むものであると認識させ、治療に前向きに取り組むようになるだろうとまとめている。(朝田哲明:医療ライター)

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B型慢性肝疾患治療薬バラクルードの投薬期間制限解除

B型慢性肝疾患治療薬バラクルード錠0.5mgは、2007年10月1日より投薬期間の制限が解除された。 B型肝炎キャリアは約150万人とされ、肝がんの原因の第2位を占めている。B型肝炎は、無症候性キャリアからも肝がんを発症することがあり、常に注意が必要な疾患である。バラクルードは、従来の治療薬に比べ、高い抗ウイルス活性と低い耐性出現率を示す。このことから、バラクルードは既に35歳以上のB型慢性肝炎の治療ガイドラインでは第一選択薬として推奨されており、ラミブジン投与中であっても、治療期間の短い症例では変更可能な薬剤として推奨されている。今回の投薬期間の制限解除により、B型慢性肝疾患の患者さんに、より投与しやすくなると予想される。(ケアネット 鈴木渉)

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「正常高値」血圧は中年女性でもリスク:WHSサブ解析

「正常高値」血圧の中年女性は、「正常血圧」の同年代女性に比べ、10年間の心血管系イベントリスクが2倍近く有意に増加することが、米国における約4万人の女性を追跡した結果、明らかになった。Harvard Medical School(米国)のDavid Conen氏らによるWomen’s Health Studyのサブ解析。BMJ誌オンライン版8月19日付で早期公開された。本誌では9月1日号で掲載。「正常高値」群では「正常血圧」群に比べ有意にイベントが増加本解析に含まれたのは。45歳以上で心血管系疾患やその他重篤な疾患を有さない医療従事者の女性39,322例である。平均年齢は約55歳、喫煙者が15%弱、40%前後がホルモン補充療法を受けていた。28,863 例(73.4%)では高血圧を認めなかったが、そのうち17.3%(4,988例)は血圧130~139/85~89mmHgの「正常高値」血圧だった。一方、「正常血圧」(120~129/80~84mmHg)は39.2%(11,326例)、至適血圧(120/75mmHg未満)は43.5%だった(血圧分類は1999年WHO-ISH規準)。次に10.2年間の主要心血管系イベント発生リスクを上記血圧カテゴリー別に、多変量解析で年齢や肥満度などの背景因子を補正して比較した。「正常高値」群では「正常血圧」群に比べ有意にリスクが増加していた。すなわち、「正常高値」群のリスクを1とした場合、「正常血圧」群のリスクは0.61(95%信頼区間:0.48~0.76)だった。「正常血圧」群と「至適血圧」群のリスクには有意差はなかった。なお、主要心血管系イベントとされたのは「心筋梗塞、脳卒中、心血管死、死亡」である。「高血圧」移行後は2年間でイベントリスクが50%上昇観察期間中の「高血圧」への移行リスクも同様で、「正常血圧」群に比べ「正常高値」群では2倍近く、有意に上昇していた。ここで興味深いのは、「至適血圧」群では「正常血圧」群に比べ、高血圧移行リスクが有意に低い点である。「正常高値」群の移行リスクを1とすると、背景因子補正後の「正常血圧」群におけるリスクは0.42(95%信頼区間:0.40~0.44)だったのに対し、「至適血圧」群では0.17(95%信頼区間:0.16~0.18)となっていた。また、ひとたび「高血圧」に移行すると、48ヵ月以内の主要心血管系リスク発生のイベントは「非移行」群の約1.5倍へ有意に増加することも本研究では明らかになっている。筆者らは「正常血圧」と「正常高値」を「preheypertension(前高血圧)」と分類する現在の米国高血圧ガイドライン(JNC7)を批判し、「正常高値」群を特に高リスクとして予防に努める必要があると述べている。(宇津貴史:医学レポーター)

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受動喫煙は、喫煙未経験者におけるCOPD発症のリスク因子

慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、2020年には世界的な死亡原因の第3位になると予想されている。喫煙がCOPDの主要なリスク因子であることはすでに明らかだが、受動喫煙の影響については情報がほとんどない。 イギリス・バーミンガム大学公衆衛生学・疫学科のP. Yin氏らは、中国の中高年者において受動喫煙がCOPDおよび呼吸器症状に及ぼす影響を調査、その関連性が明らかになるとともに深刻な事態が浮き彫りにされた。9月1日付Lancet誌掲載の報告。喫煙未経験者の受動喫煙状況とCOPDの関連を調査「広州バイオバンクコホート試験」は、中国南部地域における環境要因と呼吸器疾患の遺伝的因子の関連を調査する疫学研究で、2003~2006年に50歳以上の20,430人が登録された。Yin氏らは、今回、このうち15,379人(女性13,602人、男性1,777人)の喫煙未経験者のデータをもとに受動喫煙とCOPD、呼吸器症状の関連について解析を行った。在宅時および就業時の受動喫煙の曝露状況[曝露の程度(住居、職場の喫煙者数)および曝露期間]を自己申告によって記録した。COPDの診断は、スパイロメトリーを用いてGOLDガイドラインに基づいて行った。受動喫煙者に向け緊急対策を講じるべき高度曝露群(40時間/週、5年以上)は、軽度曝露群(40時間/週、2年未満)に比べCOPDのリスクが有意に増大していた(補正オッズ比1.48、 95%信頼区間1.18-1.85、p=0.001)。また、呼吸器症状全般の発現頻度も有意に増加していた(同1.16、1.07-1.25、p <0.0001)。Yin氏は、「受動喫煙はCOPDおよび呼吸器症状発現の有意なリスク因子である」と結論したうえで、「中国では、受動喫煙によって1,900万人の喫煙未経験者がCOPDで死亡していると推計されるが、これはきわめて深刻な事態だ」と指摘、「今回の知見は、受動喫煙者に向けた緊急対策を促す強力なエビデンスをもたらすものだ」と警鐘を鳴らしている。(菅野 守:医学ライター)

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敗血症性ショックの昇圧治療、ノルアドレナリン+ドブタミンとアドレナリンの有用性は同等

敗血症性ショックは敗血症の最も重篤な病態であり、フランスではICU治療の約9%を占め、短期的な死亡率は40~60%に達する。本症では、敗血症に起因する低血圧を正常化するために昇圧治療を要する。最近の国際的ガイドラインでは、ドパミンあるいはノルアドレナリンを第一選択薬とし、奏効が得られない場合はアドレナリンが推奨されているが、これらの薬剤の大規模な比較試験は実施されていない。 フランス研究・高等教育拠点パリ南大学 UVSQレイモン・ポアンカレ病院のDjillali Annane氏らは、敗血症性ショックにおいてノルアドレナリンと必要に応じてドブタミンを併用する治療法とアドレナリン単独の有効性と安全性を比較する試験を実施、その結果を8月25日付Lancet誌上で報告した。28日目の全原因死亡率は両治療群間で同等本研究はプロスペクティブな二重盲検多施設共同無作為化試験であり、フランス国内の19のICUに収容された敗血症性ショック330例がアドレナリン単独群(161例)あるいはノルアドレナリン+ドブタミン必要時併用群(169例)に無作為に割り付けられた。投与量は平均血圧70mmHg以上を維持するように調整された。主要評価項目である28日目の全原因死亡率は、単独群40%(64/161例)、併用群34%(58/169例)と、両治療群間で同等であった(p=0.31、相対リスク:0.86)。重篤な有害事象の発症率も、両治療群間に差はない両治療群間で、ICU死亡率(p=0.69)、退院時死亡率(p=0.51)、90日死亡率(p=0.73)、血行動態回復までの期間(log-rank検定:p=0.67)、昇圧治療中止までの期間(log-rank検定:p=0.09)、SOFAスコア(敗血症に伴う臓器障害の指標)の推移に有意な差は認めなかった。重篤な有害事象の発症率についても、両治療群間に差はなかった。以上により、Annane氏は「敗血症性ショックの管理において、アドレナリン単独治療とノルアドレナリン+ドブタミン必要時併用治療の有効性および安全性は同等」と結論している。また、「臨床の場では、心係数が低下している敗血症性ショックに対する昇圧治療としては、アドレナリン、ノルアドレナリン、ノルアドレナリン+ドブタミンのいずれを施行してもよい。今後は、アドレナリン、ノルアドレナリン、ドパミンの単独治療の有効性と安全性を比較し、敗血症性ショックにおける昇圧治療の最適な血行動態目標値を明確にすべき」と指摘している。(菅野 守:医学ライター)

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小児高血圧症の診断見落としは74%

小児肥満の蔓延に伴って小児高血圧症の有病率が増加している中、診断未確定の高血圧症と高血圧前症の頻度がどれくらいあるのか、また診断見落としはどんな患者因子が原因になっているのかを同定するコホート研究が、米国オハイオ州にあるCase Western Reserve 大学医学部のMatthew L. Hansen氏らによって行われた。JAMA誌8月22日号より。3~18歳児1万4,000例をスクリーニング研究対象は、1999年6月から2006年9月までの間に最低3回、定期健診でオハイオ州北東部の総合医療システム附属クリニックを訪れた3~18歳の14,187例。主要評価項目は定期健診時の血圧測定で、年齢および身長による補正後も高値を3回以上示した小児の割合と、高血圧または高血圧前症と診断され電子カルテに記載された割合。診断に関連する患者因子は多変量ロジスティック回帰分析によって同定された。3回以上の定期健診で高血圧または高血圧前症の判定基準を満たしたとされる小児は、診断リスト、問題リスト、病歴リストにおける高血圧関連のICD9コードとの比率で判定された。早めの適切な診断が重要高血圧症の小児は507例(3.6%)いたが、実際に高血圧症または血圧上昇の診断を受け電子カルテに記録されていたのは131例(26%)だった。高血圧症診断の補正オッズ比を高めた患者因子は、1年ごとの上昇値(3歳以降の)(オッズ比1.09)、血圧上昇の記録が3回を超えた頻度(同1.77)、身長-年齢パーセンタイル値の1%の増加(同1.02)、肥満に関連した疾患の診断(同2.61)、ステージII高血圧症に該当する血圧記録の数(1.68)だった。一方、高血圧前症の小児は485例(3.4%)で、55例(11%)は適切に診断され電子カルテに記載されていたが、それ以外は見落とされていた。高血圧前症診断の補正オッズ比を高めた患者因子は、1年ごとの上昇値(3歳以降の)(オッズ比1.21)、血圧上昇の記録が3回を超えた頻度(同3.07)だった。Hansen 氏らは、「今回の研究対象(平均年齢8.8歳、50%がアフリカ系アメリカ人)では診断見落としが頻繁に起きていた。診断確率の上昇には、年齢、身長、肥満関連の疾病の診断、血圧の異常記録およびその記録頻度とすべてが関係していた」と述べ、小児の血圧の正常値および異常値は年齢、性別、身長によって異なり基準を覚えるのは難しいが、異常血圧の確立された評価ガイドラインおよび効果的治療が存在するので、早めの適切な診断は重要であると結んだ。(朝田哲明:医療ライター)

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インスリン不使用2型糖尿病患者では血糖値自己測定の有用性に疑問符

血糖値を自己測定しても血糖コントロールは改善されない可能性が示唆された。イギリス・オックスフォード大学のAndrew Farmer氏らが無作為化オープン試験であるDiGEM(Diabetes Glycemic Education and Monitoring)スタディの結果としてBMJのサイトにて早期公表した(6月25日付オンライン版、本誌掲載は7月21日号)。 血糖値の自己測定を推奨している米国糖尿病学会(ADA)による2007年ガイドラインなどを見直す必要性が示唆された形となった。1週間に2回血糖値を自己測定本スタディでは、インスリンを使用していない2型糖尿病患者を対象に、通常の血糖コントロール(通常治療群:152例)と、1週間に2日、3回/日(空腹時×1、食事2時間前・食後2時間値のいずれか×2)の血糖自己測定がHbA1cに及ぼす影響が比較された。血糖自己測定群はさらに、血糖測定後に低血糖または高血糖が認められた時に医師とコンタクトをとる「単純自己測定群」(150例)と、血糖値に応じた対処法を指導される「積極的自己測定群」(151例)に無作為化されている。対象患者の平均年齢は65.7歳、罹病期間中央値は3年間、HbA1c平均値は7.5%だった。1年後のHbA1cに有意差なし1次評価項目である1年後のHbA1c値は、しかし、3群間に有意差はなく、通常治療群7.49%、単純自己測定群7.28%、積極的自己測定群7.36%という結果だった(p=0.12)。試験開始時からの変化率で比較しても、3群間に有意差はなかった(p=0.38)。本試験の対象のように、すでにかなり良好な血糖コントロールが得られているインスリン不使用の2型糖尿病患者では、コスト等を考えるとルーチンな血糖自己測定は推奨できない──と筆者らは結論している。(宇津貴史:医学レポーター)

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SSRI治療を受けている大うつ病若年患者に、認知行動療法の併用は有効か

若年者の大うつ病に対する至適治療法は確立されていない。選択的セトロニン再取り込み阻害薬(SSRI)は、若年者のうつ病において自殺傾向を招く恐れがあるが、短期的には有効な可能性がある。NICE(National Institute for Health and Clinical Excellence)ガイドラインは、認知行動療法(CBT)などの特異的な心理療法とSSRIの併用を提唱している。 イギリス・ケンブリッジ大学精神科発達精神医学のIan Goodyer氏らは、中等度~重症の大うつ病の若年者において、臨床的ケアとSSRIによる治療にCBTを併用する群としない群を比較する無作為化試験を実施した。BMJ誌6月7日付オンライン版、7月21日付本誌掲載の報告から。11~17歳の中等度~重症の大うつ病患者でSSRIとSSRI+CBTを比較対象は、初回の簡易的介入に反応しなかった11~17歳の中等度~重症の大うつ病あるいは大うつ病に進展する可能性のある若年うつ病患者208例。自殺傾向や行為障害のあるものも対象に含めた。2000~2004年の間に、SSRIとルーチンのケアを受ける群(SSRI群:103例)あるいはSSRI、ルーチンのケアとCBTを受ける群(SSRI+CBT群:105例)に無作為に割り付け、12週間の治療ののち16週間の経過観察を行った。SSRIに認知行動療法を併用しても短期的ベネフィットは得られない12週の治療終了時におけるHealth of the Nation outcome scales for children and adolescentsのスコアの変化(主要評価項目)は-0.64[95%信頼区間-2.54~1.26、p=0.50]であり、有意差は認めなかった。副次評価項目(mood and feelings questionnaire、children’s depression rating scale改訂版、children’s global assessment scale、clinical global impression improvement scale)は、いずれも有効性に関する有意差は示せなかった。全体として自殺念慮や自傷行為には減少傾向が見られたが、CBTによる自殺念慮、自殺行動の予防効果は確認できなかった。治療終了後16週までに、SSRI群の61%、SSRI+CBT群の53%が、「たいへんよい」「きわめてよい」まで症状が改善していた。Goodyer氏は、「SSRIとルーチンの臨床ケアを受けている大うつ病の若年患者にCBTを併用しても短期的なベネフィットは得られなかった」と結論している。(菅野 守:医学ライター)

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糖尿病性神経障害による疼痛に、経口三環系抗うつ薬と従来の抗けいれん薬が有効

糖尿病性神経障害は糖尿病の主な合併症であり、一般に神経障害性の疼痛を伴う。厳格な血糖値のコントロールにより糖尿病性神経障害の進行が遅くなることが示されており、現在のガイドラインでは疼痛の治療には抗うつ薬および新世代の薬剤(SSRI、SSNI)を含む抗けいれん薬の使用が推奨されている。 香港・キリスト教総合病院看護部のMan-chun Wong氏らは、糖尿病性神経障害による疼痛の治療効果に関する体系的なレビューを行い、BMJ誌6月11日付オンライン版、7月14日付本誌において報告した。選出したプラセボ対照無作為化試験のデータを体系的に解析Wong氏らは、いくつかのキーワードに基づいてMedlineなど4つのデータベースから二重盲検無作為化試験の論文を抽出した。さらに、糖尿病性神経障害による疼痛を有する成人を対象とした局所適用製剤および経口薬に関するプラセボ対照無作為化試験を選出した。主要評価項目は疼痛の50%の減少(中等度改善)とし、副次評価項目は疼痛の30%の減少および有害事象による投与中止とした。それぞれの疼痛緩和効果および投与中止のオッズ比を算出した。選出された25編の論文で使用されていた薬剤は、抗けいれん薬(1,270例)、抗うつ薬(94例)、オピオイド(329例)、イオンチャンネル遮断薬(173例)、N-methyl-D-aspartate(NMDA)拮抗薬(14例)、duloxetine(805例)、カプサイシン(277例)、二硝酸イソソルビドスプレー(22例)であった。新世代薬剤は50%疼痛緩和のオッズ比が低い、治療アルゴリズムを提唱50%疼痛緩和のオッズ比は、従来の抗けいれん薬が5.33(95%信頼区間1.77-16.02)、新世代の抗けいれん薬が3.25(同2.27-4.66)、三環系抗うつ薬が22.24(同5.83-84.75)であった。有害事象に関連した投与中止のオッズ比は、それぞれ1.51(同0.33-6.96)、2.98(同1.75-5.07)、2.32(同0.59-9.69)であった。以上の結果から、短期的な疼痛の緩和には、経口三環系抗うつ薬と従来の抗けいれん薬による治療のほうが新世代の抗けいれん薬よりも優れることが示された。Wong氏は、「これらの薬剤の長期的効果は明らかにされていない。今後は、オピオイド、NMDA拮抗薬、イオンチャンネル遮断薬などのさらなる検討が必要」とした上で、これまでの知見に基づいて糖尿病性神経障害による疼痛の治療アルゴリズムを提唱している。(菅野 守:医学ライター)

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torcetrapib、混合型高脂血症の頸動脈肥厚抑制でも有用性示せず

昨年12月に開発が中止されたHDL増加剤torcetrapibは、混合型高脂血症患者の頸動脈壁肥厚抑制においてもスタチンに追加する有用性が認められなかった。オランダ・University Medical Center UtrechtのMichiel L Bots氏らがLancet誌7月14日号においてRADIANCE 2試験の結果として報告した。 CETP阻害薬torcetrapibの抗動脈硬化作用を否定する臨床試験はILLUSTRATE、RADIANCE 1に次いで本報告で3つ目となる。 2年間弱の頸動脈壁肥厚抑制作用はプラセボと同等本試験の対象患者は、トリグリセライド(TG)が150mg/dL以上、LDLコレステロール(LDL-C)値が米国脂質ガイドライン(NCEP ATP III)において薬物治療対象となる18~70歳の男女。4週間の脂質低下薬中止導入期間後、全例がアトルバスタチンを服用し、原則としてLDL-CがATP III目標値を達成するまで増量した。この導入期間を完遂できた752例をアトルバスタチン服用のまま、torcetrapib群(377例)とプラセボ群(375例)に無作為化した。平均22ヵ月の追跡期間後、1次評価項目である「頸動脈壁内膜・中膜最大厚」はtorcetrapib群で「0.025mm/年」増加しており、プラセボ群の「0.030mm/年」と有意差はなかった(p=0.46)。HDL-Cが著明増加、血圧は軽度上昇試験が早期終了したため平均追跡期間は22ヵ月となったが、24ヵ月追跡できた681例で検討すると、torcetrapib群のHDLコレステロール(HDL-C)値は47.6mg/dLから77.4mg/dLに増加し、プラセボ群(46.8mg/dL)よりも有意に高値となっていた。またLDL-Cの変化率もプラセボ群が4.4%増加したのに対しtorcetrapib群では13.3%低下していた(群間差:p<0.0001)。一方、血圧はこれまでに報告されているILLUSTRATEやRADIANCE 1と同様、torcetrapib群で有意に上昇していた(127.9/77.1mmHg、プラセボ群:121.2/75.4mmHg、p<0.0001)。研究者らはこの血圧の差が、torcetrapibによる脂質代謝改善がもたらす頸動脈肥厚抑制を相殺した可能性を指摘している。他社が現在開発中とされる2つのCETP阻害薬には昇圧作用がないと言われており、それらを用いた臨床試験の結果が待たれる。(宇津貴史:医学レポーター)

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心臓マッサージは何歳児から可能か?

心肺蘇生術を学校で教える動きは、ノルウェーでの先駆的な取り組み以降広がりを見せ、イギリスではBritish Heart財団の訓練プログラム「Heartstart UK」を学校で履修することになっている。11歳時で心臓マッサージの手法を会得するが、労力を要する心マが腕力的に不可能な生徒もおり、いったい何歳から効果的な心マが可能なのかという研究報告が、BMJ誌6月9日号で紹介された。ウェールズの首都にあるカーディフ大学のIan Jones氏らによる観察研究報告。9~14歳児の心マ能力(深度、速度、部位)を評価この種の先行研究は高学年対象のものがほとんどで、推奨年齢は9~13歳と報告されている。Jones氏らは、「何歳から」という点に焦点を置いて研究を行った。対象は、カーディフの4つの学校の5年生(9~10歳)、7年生(11~12歳)、9年生(13~14歳)の生徒計159例。生徒らは一次救命処置技術を1レッスン20分間学んだ。主要評価項目は、人体模型への3分間にわたる心マ効果。学年ごとに胸部への圧迫深度、速度、部位の正確さを測り、年齢、体重、身長と照らし合わせて解析した。年齢と体重が鍵、低学年でも原則を学ぶことは可能心マは全員実行することはできたが、5年生は、ガイドラインで推奨される圧迫深度(38~51mm)まで胸部を圧縮することができなかった。7年生の19%および9年生の45%の生徒は、十分な深度を圧迫することができた。9年生については、成人とほぼ変わりない心マが可能だった。圧迫深度は、年齢、体重、身長との有意な関係を示し(P

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急性心筋梗塞治療にP4Pの効果なし

医療の質を向上させるツールとして促進された「治療成績に応じた医療費の支払い(Pay for Performance:P4P)」だが、急性心筋梗塞の治療プロセスとアウトカムの質向上に、P4Pの影響は見られなかったとの報告が、米国デューク大学Center for Clinical and Genetic EconomicsのSeth W. Glickmanらの研究グループによって報告された。本論文の詳細は、JAMA誌6月6日号に掲載されている。治療プロセスとアウトカム向上を判定メディケア・メディケイド・サービスセンター(CMS)は2003年に、急性心筋梗塞治療の指標づくりを視野に入れた、米国で最大級のパイロット版P4Pプロジェクトに着手している。Glickmanらは、P4Pが急性心筋梗塞の治療プロセスとアウトカムの向上に結びつくかどうかを判定した。対象は、米国心臓学会(ACC)と米国心臓協会(AHA)のガイドライン「CRUSADE」で登録された、ST非上昇型心筋梗塞患者10万5,383人。2003年7月から2006年6月にかけて治療を受けた者を、P4Pプロジェクトに参加する54病院(P4P参加病院群)あるいは参加していない446の対照病院に分け、重症度分析と観察的手法を用いて分析した。主要評価項目は、(1)ACC/AHAが推奨するクラスIの治療ガイドラインの順守、(2)院内死亡率、の2つが用いられた。P4P参加病院とそれ以外で有意差は認められずP4Pプロジェクトでは6つの療法にインセンティブをつけている。そのうち、退院患者のアスピリン服用コンプライアンスと、禁煙カウンセリングの2つについて、P4P参加病院群の改善率がわずかに高かったものの、有意差は認められなかった。インセンティブ対象外の療法においても改善率に有意差は認められず、院内死亡率の改善割合についても、P4P参加病院群が対照病院と比べて有意に高いとの証拠は得られなかった(オッズ比0.91 vs 0.97, P=0.21)。研究グループは、医療の質向上のプロジェクトに自発的に参加した病院において、P4Pプログラムと急性心筋梗塞の治療プロセスまたはアウトカムの質の向上に明らかな相関は見られず、逆相関があるという証拠も見つからなかったと報告し、プロジェクトにおけるP4Pの役割を規定するには、さらなる研究が必要と結論づけた。(朝田哲明:医療ライター)

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