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最重症肺炎患児に対するアンピシリン+ゲンタマイシンの有効性を確認

種々のバクテリアによって引き起こされる最重症市中肺炎は死亡率が高く、クロラムフェニコールの注射が標準治療とされるが厳格な検証はなされていない。Rai Asghar氏(パキスタン、ラワルピンディ総合病院)らは、医療資源が乏しい状況において最重症市中肺炎に罹患した生後2~59ヵ月の患児に対しては、アンピシリン+ゲンタマイシンがクロラムフェニコールよりも有効なことを明らかにした。BMJ誌2008年1月12日号(オンライン版1月8日号)掲載の報告。7ヵ国が参加した無作為化試験SPEAR(Severe Pneumonia Evaluation Antimicrobial Research)studyは、生後2~59ヵ月の最重症肺炎患児(WHO判定規準)を対象にクロラムフェニコールとアンピシリン+ゲンタマイシンの有効性を比較する無作為化試験。2000年8月~2004年4月の間にバングラデシュ、エクアドル、インド、メキシコ、パキスタン、イエメン、ザンビアの3次病院に入院した958例が登録され、クロラムフェニコール群に479例が、アンピシリン+ゲンタマイシン群に479例が無作為に割り付けられた。5日、10日、21日目の治療無効率はクロラムフェニコール群で高い主要評価項目である5日目における治療無効率は、クロラムフェニコール群の16%に対しアンピシリン+ゲンタマイシン群は11%と有意に低かった[相対リスク(RR):1.43)]。副次評価項目である10日目(19% vs. 14%、RR:1.37)および21日目(22% vs. 16%、RR:1.34)も、同様にアンピシリン+ゲンタマイシン群で優れていた。110例(11.5%)の血液および肺吸引物から112のバクテリアが単離され、そのうち黄色ブドウ球菌が47ともっとも多く、次いで肺炎球菌が22であった。菌血症はクロラムフェニコール群で21日目の治療無効のリスクを増大させたが(RR:2.09)、アンピシリン+ゲンタマイシン群では増大しなかった(RR:1.12)。同様に、肺炎球菌はクロラムフェニコール群において21日目の治療無効(RR:4.06)および死亡(RR:5.80)のリスクを増大させた。多変量解析では、治療無効の独立の予測因子として低酸素血症、クロラムフェニコール治療、女児、免疫抑制状態が挙げられた。以上により、Asghar氏は「医療資源が乏しい状況では、最重症肺炎患児の治療としてクロラムフェニコールよりもアンピシリン+ゲンタマイシンの効果が優れる」と結論し、「これらの知見は、最重症肺炎の第一選択薬としてクロラムフェニコールを推奨しているWHOガイドラインの改定時に大きな影響を及ぼす可能性がある」と指摘している。(菅野 守:医学ライター)

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入院患者心停止への除細動の遅れは日常茶飯事

心肺蘇生法に関する国際ガイドラインでは、院内で心室性不整脈による心停止が起きた場合、2分以内に除細動を行うことを推奨している。しかしこれまで、その現場レベルの実証データは、ほとんど報告されていない。本研究は米国心臓協会(AHA)が、米国内の医療機関の実態について報告したもので、処置の遅れはどれぐらいあるのか、処置の遅れと生存率との関係について報告している。NEJM誌2008年1月3日号より。全米369病院で心停止患者6,789例を調査本研究は、米国心臓協会(AHA)の米国心肺蘇生登録に参加している369の医療機関から、心室細動または無脈性心室頻拍で心停止を起こした患者6,789例を同定して行われた。多変量ロジスティック回帰を用いて除細動の遅れに伴う影響を確かめ、さらに、患者・病院特性の違いを補正したうえで、除細動が2分以上経ってから行われた場合と、生存退院率との関連性を検討している。3割で除細動実施に遅れ心停止から除細動実施までの時間の中央値は1分(四分位範囲:1分未満~3分)だったが、一方で除細動の遅れは全体の30.1 %(2,045例)で起きていた。患者の生存退院率は、除細動が推奨時間以内なら39.3%、遅れた場合は22.2%で、有意な差がみられた(補正オッズ比0.48、95%信頼区間:0.42~0.54、P

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小児の重症肺炎は高用量経口アモキシシリンにより家庭で治療可能

開発途上国では、毎年、下部気道の急性感染症により5歳以下の小児が200万人以上の死亡している。WHOのガイドラインでは、重症肺炎は非経口抗生物質による病院での治療が推奨されている。パキスタン医科学研究所小児病院のTabish Hazir氏は、重症肺炎小児の治療において、高用量アモキシシリンを用いた家庭での治療の有用性を確認、Lancet誌2008年1月5日号で報告した。肺炎小児2,037例を入院治療と家庭治療に無作為に割り付け本試験はパキスタンの5都市7施設で実施された無作為化試験である。対象は、2005年2月~2006年8月の間に咳、呼吸困難あるいはその両方のために小児科を受診した生後3~59か月の小児2,037例。入院にてアモキシシリン(100mg/kg/日)を48時間静注投与したのち経口薬(シロップ80~90mg/kg/日)を3日間投与する群(入院治療群:1,012例)あるいは家庭で経口アモキシシリン(シロップ80~90mg/kg/日)を5日間投与する群(家庭治療群:1,025例)に無作為に割り付けた。フォローアップは登録後第1、3、6、14日に行い、主要評価項目は第6日までに確認された治療無効(臨床的増悪)とした。両群で効果は同等、WHO勧告は改訂すべきper-protocol解析では、入院治療群の36例および家庭治療群の37例がおもにプロトコール違反あるいはフォローアップ不可を理由に除外された。第6日までの臨床的増悪は、入院治療群の87例(8.6%)に、家庭治療群では77例(7.5%)に認められた(リスク差:1.1%、95%信頼区間:-1.3~3.5)。登録後14日までに5例(0.2%)が死亡した(入院治療群:4例、家庭治療群:1例)。いずれの症例も死亡の前に臨床的増悪が確認されており、抗生物質が変更されていた。治療関連死はみられず、重篤な有害事象も報告されなかった。以上の結果により、Hazir氏は「合併症のない重症肺炎小児の治療において、高用量アモキシシリンを用いた家庭治療は現在の標準治療として推奨されている入院によるアモキシシリン治療と同等の効果を示すことが明らかとなった」と結論し、「重症肺炎の治療に関するWHO勧告は改訂する必要がある」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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製薬会社スポンサー付きのメタ解析は解釈に疑問が

単独の製薬会社と経済的つながりを持つメタ解析では、解析結果は影響を受けないが、結論はその会社に好ましい内容になる傾向があるという。スタンフォード大学のVeronica Yank氏らによる検討で、BMJ誌オンライン版11月16日付けで早期公開、本誌12月8日号で報告されている。単独スポンサー付きメタ解析では、結果と結論の不一致が37%にYank氏らは2004年12月までに出版された降圧薬臨床試験のメタ解析から、重複を除いた124解析を抽出した。40%にあたる49解析が単独の製薬会社から資金提供を受けていた。まず製薬会社に好ましい「解析結果」をもたらす要因を単変量解析で求めると、「試験の高品質」、「バラツキ検定の実行」、「感度解析の実行」が有意な因子であり、「単独製薬会社との経済的つながり」は有意な因子となっていなかった。製薬会社に好ましい「結論」をもたらす因子は、唯一「単独製薬会社との経済的つながり」だけが有意だった。事実、単独製薬会社と経済的つながりのあるメタ解析では、当該会社製品の有用性を示す結果が得られていたのは27解析(55%)だったにもかかわらず、45解析(92%)がその薬剤が有用であると結論しており、結果と結論の不一致が18解析(37%)に認められた。スポンサーなしの場合の不一致はゼロ一方、複数製薬会社と経済的につながりのあるメタ解析14件では不一致率21%、経済的つながりの明記されていない25試験では12%、製薬会社以外と経済的つながりを持つ36解析では、結果と結論の不一致は1つもなかった。Yank氏らは結果と結論が一致していないメタ解析を掲載した編集者とピアレビュアーを指摘している。「データの解釈に問題がある」のであれば、いわゆる「総説」さらに「ガイドライン」も同様の問題を内包している可能性がある。元New England Journal of Medicine編集長だったJerome P. Kassirer氏は著書「On The Take(買収の危機)」(Oxford Press、2005)において、具体的事例を挙げながら警告を発している。(宇津貴史:医学レポーター)

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心肺フィットネスは高齢者の死亡予測因子

身体活動および有酸素能力のレベルは年齢と共に減少し、一方で肥満症の有病率は年齢と共に増大する傾向がある。それにもかかわらず高齢者の心肺フィットネスおよび肥満と、死亡との関連についてはこれまで十分に調査検討されていない。そこで、サウスカロライナ大学アーノルド公衆衛生学校(アメリカ)運動科学部門のXuemei Sui氏らが調査を行い報告した。JAMA誌12月5日号より。60歳以上2,603人の心肺フィットネス、肥満と死亡との関連を調査研究対象は、1979~2001年の間に基線健康診査を受けエアロビクスセンター縦断研究に登録された60歳以上の2,603人。平均年齢64.4歳(SD 4.8)、女性が19.8%を占める。心肺フィットネスの評価は最大運動負荷試験にて行い、性特異的分布による最低5分位を低心肺フィットネスと定義した。肥満症の評価はBMI、腹囲、体脂肪率で行い、臨床ガイドラインに従ってグループ分けされた。主要評価項目は、2003年12月31日までの全死亡。死亡率は低心肺フィットネス群32.6、高心肺フィットネス群8.1平均追跡期間12年、31,236人年のうち死亡数は450人だった。1,000人年の死亡率(年齢、性、検査年補正後)は、BMI 18.5~24.9群、25.0~29.9群、30.0~34.9群、35.0以上群でそれぞれ13.9、13.3、18.3、31.8であった(P=0.01)。正常腹囲群では13.3、高腹囲群(女性88 cm以上、男性102 cm以上)では18.2(いずれもP=0.004)、標準体脂肪率群では13.7、高体脂肪率群(女性30%以上、男性25%以上)では14.6(いずれもP=0.51)だった。心肺フィットネスでは5分位増加ごとに32.6、16.6、12.8、12.3、8.1(P

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一般医への1日集中トレーニングで患者の服薬コンプライアンス改善

一般医を対象に高血圧治療に関する集中トレーニングを1日行うだけで、患者の服薬コンプライアンスが有意に改善することが初めて、地域住民を対象とした無作為化試験により確認された。Aga Khan University(パキスタン)のNudrat Noor Qureshi氏らによる報告として、BMJ誌オンライン版11月8日付け早期公開、本誌11月17日号で掲載された。治療アルゴリズムと診療態度を指導本研究では、一般医にて高血圧治療を受けているカラチ住民178例を、受診しているクリニックを基準にクラスター無作為化により、医師「トレーニング」群(81例)と「対照」群(97例)に割り付けた。両群の患者背景に有意差はない。「トレーニング」群に割り付けられた医師たちは1日かけて集中講義を受け、各国高血圧ガイドラインに沿った治療アルゴリズムと、患者に対する十分かつ適切な態度と説明方法を解説された(外務省の情報によると、パキスタンではまだ「『患者を診てやる!』という姿勢が主流」とのこと)。また降圧治療のマニュアル並びにポスターが配布された。一方、対照群の医師は何ら特別な講習は受けていない。降圧薬服薬率はトレーニング群48%、対照群32.4%その結果、受診6週間後の降圧薬服用率は、「トレーニング」群の医師を受診した患者では48%(95%信頼区間:35.8~60.4%)で、32.4%(95%信頼区間:22.6~42.3%)の「対照」群に比べ有意に高かった(p=0.048)。両群で処方された薬剤の詳細は不明だが、降圧薬にかかるコストに有意差はなかった。「指示通りの服薬」に影響を与える有意な因子を多変量解析で探ったところ、医師側の要因としては「服薬の目的を患者に説明」という項目が残った。確かに「トレーニング」群では服薬目的を患者に説明する医師が「対照」群に比べ有意に多かったが、それでも37%のみだった(p=0.01、vs 「対照」群:17%)。著者はこれらより、医師からの患者へのコミュニケーションの重要さを訴え、特に人的資源が限られている発展途上国ではこのようなアプローチが必要だろうと結論している。なお社会経済的にパキスタンの対極に位置する米国では,薬剤師による指導が服薬コンプライアンスを改善するという無作為化試験が報告されている (FAME Study. JAMA 2006; 296: 2563)。 (宇津貴史:医学レポーター)

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上気道感染症、咽頭炎、中耳炎に対する抗生物質投与は正当か

プライマリケア医は、一般的な気道感染症に対して、それに続発する重篤な合併症への配慮から予防的に抗生物質を処方しがちだ。イギリスのガイドラインでは、耐性菌の発現を考慮して上気道感染症、咽頭炎、中耳炎には抗生物質をルーチンに使用すべきでないとされる。また、肺感染症は急性気管支炎に分類され抗生物質は推奨されないが、肺炎には推奨されている。 I. Petersen氏(ロンドン大学ユニバーシティーカレッジ感染症疫学センター)らは、抗生物質の使用により一般的な気道感染症に続発する重篤な合併症のリスクをどの程度低下させられるかについて検討した。BMJ誌10月18日付オンライン版、11月11日付本誌掲載の報告。重篤な合併症発症リスクを抗生物質投与群と非投与群で比較本試験は、1991年7月~2001年6月までにUK General Practice Research Databaseに登録されたデータをレトロスペクティブに解析したコホート研究である。336万件の気道感染症のデータを用い、診断後に重篤な合併症を発症するリスクを抗生物質投与群と非投与群において比較した。主要評価項目は、中耳炎に続発する乳様突起炎、咽頭炎後の化膿性扁桃腺炎、上気道感染症後の肺炎のリスク、および個々の合併症の予防に要する抗生物質による治療コース数とした。重篤な合併症の続発はまれ、高齢者の肺炎リスクは高い中耳炎、咽頭炎、上気道感染症に重篤な合併症が続発することはまれであり、個々の合併症を予防するには4,064~4,407コースもの抗生物質治療が必要であった。肺感染症後の肺炎のリスクは特に高齢患者で高く、肺炎の予防に要する抗生物質治療コース数は、65歳未満の96~119コースに対し65歳以上では39コースと高齢者で実質的な予防効果が認められた。肺炎の予防を除き、気道感染症への抗生物質の使用は正当化されないPetersen氏は、「中耳炎、咽頭炎、上気道感染症後の重篤な合併症のリスク軽減を目的に抗生物質を使用することは正当化されない」と結論している。また、「市中肺炎は重篤な病態で死亡率も高い。イギリスのプライマリケア医はすでに肺感染症患者に抗生物質の投与を行っており、今回のわれわれの検討は特に高齢患者におけるその正当性を明らかにした」と指摘している。(菅野 守:医学ライター)

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急性腰痛では第一選択治療に第二選択治療を併用しても回復は早まらない

国際的な急性腰痛治療ガイドラインでは、プライマリケア医(GP)は第一選択の治療法として患者へのアドバイス(活動性を維持、ベッド安静を避ける、予後は良好と話して安心させる)およびパラセタモール(アセトアミノフェン)の投与が推奨されている。非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)および脊椎手技療法(spinal manipulative therapy; SMT)は回復が遅い場合の第二選択治療とされる。 Mark J. Hancock氏(オーストラリア・シドニー大学背部痛研究グループ)らは、推奨される第一選択治療を受けた急性腰痛患者において、NSAID、SMTもしくはその両方の追加治療により回復が迅速化するかを検討する無作為化対照比較試験を行った。11月10日付Lancet誌掲載の報告から。第一選択治療を受けた急性腰痛240例を4つの治療群に無作為割り付け2005年6月~2006年10月までに14施設19名のGPから240例の急性腰痛患者が登録された。これらの対象患者は、アドバイスとパラセタモールの投与を受け、以下の4つの治療群に無作為に割り付けられた。1)ジクロフェナク50mg(1日2回)+プラセボSMT(60例)、2)SMT+プラセボ薬(60例)、3)ジクロフェナク50mg(1日2回)+SMT(60例)、4)プラセボ薬+プラセボSMT(60例)。主要評価項目は腰痛からの回復に要する日数とし、評価にはlog-rank検定を用いintention-to-treat解析を行った。NSAID、SMTを追加しても、回復は早まらないジクロフェナク、SMTはともに、それぞれのプラセボに比べ回復までの日数を短縮しなかった(ジクロフェナクのハザード比:1.09、p=0.516、SMTのハザード比:1.01、p=0.955)。240例中237例(99%)は無作為化後12週の時点で回復あるいは打ち切りとなった。22例に胃腸障害、めまい、動悸などの有害事象がみられ、これらの半数はジクロフェナク、残り半数はプラセボ薬の投与を受けていた。ジクロフェナク投与を受けた1例では過敏反応が疑われたため治療を中止した。第一選択治療が有効な場合は、GPは自信をもって治療を進めてよいHancock氏は、「推奨される第一選択治療を受けた急性腰痛患者に、ジクロフェナクもしくはSMTを併用しても回復は迅速化しない」と結論している。同氏はまた、「本試験の結果はNSAID、SMTがもたらすリスクおよびコストの点でも重要」とし、「第一選択治療の有効性が高い場合には、GPは患者をこれらのリスクやコストの上昇にさらすことなく、自信をもって治療を進めることができる」と指摘している。(菅野 守:医学ライター)

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世界初の選択的アルドステロンブロッカー「セララ」発売

ファイザー株式会社(東京都渋谷区)は、11月13日(火)に、選択的アルドステロンブロッカー「セララ錠25mg/50mg/100mg」(一般名:エプレレノン)を発売する。アルドステロンの受容体であるミネラロコルチコイド受容体に選択的に結合することにより、アルドステロンの有害作用をブロックして、血圧降下や臓器保護を示す。単独、併用双方で優れた降圧効果を示すほか、1日1回投与で、24時間良好な降圧効果を発揮する。また、長期投与でも安定した血圧コントロールを可能とするという。日米欧の診療ガイドライン(GL)で、心疾患に伴う高血圧治療薬として紹介されており、現在、すでに日本を含めて世界64カ国で承認されている。詳細はプレスリリースへhttp://www.pfizer.co.jp/pfizer/company/press/2007/2007_11_07.html

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高血圧性心肥大の除外に心電図は不適

大規模試験おける一般的な左室肥大検出法である心電図だが、臨床において左室肥大の「除外」に用いるのは必ずしも妥当ではない可能性が出てきた。University of Bern(スイス)のDaniel Pewsner氏らが体系的レビューとしてBMJ誌HPにて早期公表した(8月28日付、その後本誌10月6日号に掲載)。感度は最高で21%Pewsner氏らは高血圧患者を対象に左室肥大を心電図と心エコーの両方で評価している21試験、5,608例のデータを用い、心電図による左室肥大検出の正確さを検討した。心電図上左室肥大の指標としては Sokolow-Lyon index、Cornell voltage indexなど6種、それぞれ別個に検討された。すると心電図による左室肥大検出は、特異度こそ高い(中央値:89~99%)が、感度は低かった(中央値:10.5~21%)。陽性尤度比は最低で1.90という低値もまた陰性尤度比(特異度/偽陰性率)は0.85~0.91(中央値)とバラツキが小さい一方、陽性尤度比(感度/偽陽性率)は Romhilt-Estes scoreの5.90からSokolow-Lyon indexの1.90まで多様にわたった(中央値)。ちなみに最も古いSokolow-Lyon indexよりも明らかに優れている規準は、存在しなかった。JNCはどう変わるかこれらよりPewsner氏らは「左室肥大の除外に心電図を用いるべきではない」と結論する。現在の米国高血圧ガイドラインJNC7では治療開始前のルーチンな心電図検査は推奨しているが心エコーには言及がないため、心電図による心肥大評価を推奨しているようにも読める。次回改訂でこの点に変化があるか興味深いところである。(宇津貴史:医学レポーター)

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グリタゾン系薬により心不全増加するも心血管系死亡率は不変:メタ解析

AHA・ADAによるコンセンサスガイドライン(2003年)では、「インスリン療法例」と「多リスクファクター例」以外では「心不全発症リスクが極めて低い」とされたグリタゾン系薬剤だが、約20,000例を対象としたメタ解析の結果、プラセボ・他剤に比べ心不全発症リスクの有意な増加が確認された。ただし心血管系死亡の有意な増加は認められていない。Lancet誌9月29日号に米国Lahey Clinic Medical CenterのRodrigo M Lago氏らが報告した。心不全発症は有意に増加対象となったのは前糖尿病・2型糖尿病患者においてグリタゾン系薬剤が検討された無作為化二重盲検試験。7試験、20,191例(rosiglitazone:5試験、14,491例、ピオグリタゾン:2試験、5,700例)で解析が行われた。平均29.7ヵ月の追跡期間中、360例の心不全発症が報告されており、グリタゾン系群における発症リスクは対照群の1.72(95%信頼区間:1.21-2.42)倍と有意に増加していた。Rosiglitazone群、ピオグリタゾン群に分けて解析しても同様で、心不全発症リスクの増加は有意だった。心血管系死亡は減少傾向しかし心血管系死亡のリスクはrosiglitazone、ピオグリタゾン群いずれも、対照群に比べ低下傾向を示していた。このため筆者らは「グリタゾン系により増加する心不全が左室リモデリングを伴う通常の心不全と異なる可能性」を示唆するとともに「心不全から死に至るには追跡期間が短すぎる」点も認めている。なお現在、rosiglitazoneによる心血管系イベントへの影響を検討する大規模試験RECORDが進行中である。(宇津貴史:医学レポーター)

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うつ病労働者への治療プログラムは職場アウトカムをもたらす

ガイドラインに沿ったうつ病治療の有効性は明らかだが、しばしば根拠に基づいた勧告から外れた治療が行われている。うつ病治療プログラムは有意に治療の質を向上させるが、雇用者たちは、対費用効果という点でエビデンスに乏しいとこれらプログラムの採用を後回しにしてきた。 そこで、うつ病治療プログラムの効果が職場に与える影響および雇用者の懸念を評価する無作為化対照試験が、アメリカ国立精神保健研究所(NIMH)のPhilip S. Wang氏らによって行われた。JAMA誌9月26日号より。介入6ヵ月毎にうつ重症度と作業能力を評価試験は、行動保健プランでカバーされる604例の労働者を対象に行われ、うつ病は2段階スクリーニングで同定された。患者の治療割当と、6・12ヵ月後のうつ重症度と作業能力の評価結果は公表されず、難治性の躁うつ病や薬物依存症の者、最近精神専門治療を受けた者、また自殺傾向のある労働者は除外された。電話アウトリーチとケア管理プログラムでは、労働者に外来治療(精神療法および/または薬物療法)を受診するよう促し、治療の質を連続モニターして医療提供者に忠告を与えることで、治療が向上するよう試みた。外来治療を嫌がる対象者には、電話による体系的な認知行動精神療法が提供された。主要評価項目は、うつ重症度(QIDSによる評価:Quick Inventory of Depressive Symptomatology)と作業能力(HPQによる評価:WHO Health and Productivity Questionnaire。労働継続率、労働から外れた時間、作業能力、職場で起こしたインシデントを自己評価で報告する方法)。系統的治療プラグラムで労働生産性が向上6ヵ月後と12ヵ月後の評価データを組み合わせると介入群は、QIDSの自己報告スコアは有意に低く(回復の相対確率1.4、95%信頼区間:1.1-2.0、P=0.009)、維持率は有意に高く(同1.7、1.1-3.3、P=0.02)、介入期間を通して通常ケア群より有意に多くの時間労働したことが明らかになった(β=2.0、P=0.02、年換算では2週間分の労働に等しい)。研究グループはこれらから、うつ病を同定し系統的プログラムを行うことは、臨床的な予後改善ばかりでなく職場アウトカムをも有意に改善すると報告。雇用復帰と訓練、給与コストに関する後者の財政的価値は多くの雇用者に、うつ病治療プログラムは投資収益を生むものであると認識させ、治療に前向きに取り組むようになるだろうとまとめている。(朝田哲明:医療ライター)

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B型慢性肝疾患治療薬バラクルードの投薬期間制限解除

B型慢性肝疾患治療薬バラクルード錠0.5mgは、2007年10月1日より投薬期間の制限が解除された。 B型肝炎キャリアは約150万人とされ、肝がんの原因の第2位を占めている。B型肝炎は、無症候性キャリアからも肝がんを発症することがあり、常に注意が必要な疾患である。バラクルードは、従来の治療薬に比べ、高い抗ウイルス活性と低い耐性出現率を示す。このことから、バラクルードは既に35歳以上のB型慢性肝炎の治療ガイドラインでは第一選択薬として推奨されており、ラミブジン投与中であっても、治療期間の短い症例では変更可能な薬剤として推奨されている。今回の投薬期間の制限解除により、B型慢性肝疾患の患者さんに、より投与しやすくなると予想される。(ケアネット 鈴木渉)

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「正常高値」血圧は中年女性でもリスク:WHSサブ解析

「正常高値」血圧の中年女性は、「正常血圧」の同年代女性に比べ、10年間の心血管系イベントリスクが2倍近く有意に増加することが、米国における約4万人の女性を追跡した結果、明らかになった。Harvard Medical School(米国)のDavid Conen氏らによるWomen’s Health Studyのサブ解析。BMJ誌オンライン版8月19日付で早期公開された。本誌では9月1日号で掲載。「正常高値」群では「正常血圧」群に比べ有意にイベントが増加本解析に含まれたのは。45歳以上で心血管系疾患やその他重篤な疾患を有さない医療従事者の女性39,322例である。平均年齢は約55歳、喫煙者が15%弱、40%前後がホルモン補充療法を受けていた。28,863 例(73.4%)では高血圧を認めなかったが、そのうち17.3%(4,988例)は血圧130~139/85~89mmHgの「正常高値」血圧だった。一方、「正常血圧」(120~129/80~84mmHg)は39.2%(11,326例)、至適血圧(120/75mmHg未満)は43.5%だった(血圧分類は1999年WHO-ISH規準)。次に10.2年間の主要心血管系イベント発生リスクを上記血圧カテゴリー別に、多変量解析で年齢や肥満度などの背景因子を補正して比較した。「正常高値」群では「正常血圧」群に比べ有意にリスクが増加していた。すなわち、「正常高値」群のリスクを1とした場合、「正常血圧」群のリスクは0.61(95%信頼区間:0.48~0.76)だった。「正常血圧」群と「至適血圧」群のリスクには有意差はなかった。なお、主要心血管系イベントとされたのは「心筋梗塞、脳卒中、心血管死、死亡」である。「高血圧」移行後は2年間でイベントリスクが50%上昇観察期間中の「高血圧」への移行リスクも同様で、「正常血圧」群に比べ「正常高値」群では2倍近く、有意に上昇していた。ここで興味深いのは、「至適血圧」群では「正常血圧」群に比べ、高血圧移行リスクが有意に低い点である。「正常高値」群の移行リスクを1とすると、背景因子補正後の「正常血圧」群におけるリスクは0.42(95%信頼区間:0.40~0.44)だったのに対し、「至適血圧」群では0.17(95%信頼区間:0.16~0.18)となっていた。また、ひとたび「高血圧」に移行すると、48ヵ月以内の主要心血管系リスク発生のイベントは「非移行」群の約1.5倍へ有意に増加することも本研究では明らかになっている。筆者らは「正常血圧」と「正常高値」を「preheypertension(前高血圧)」と分類する現在の米国高血圧ガイドライン(JNC7)を批判し、「正常高値」群を特に高リスクとして予防に努める必要があると述べている。(宇津貴史:医学レポーター)

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受動喫煙は、喫煙未経験者におけるCOPD発症のリスク因子

慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、2020年には世界的な死亡原因の第3位になると予想されている。喫煙がCOPDの主要なリスク因子であることはすでに明らかだが、受動喫煙の影響については情報がほとんどない。 イギリス・バーミンガム大学公衆衛生学・疫学科のP. Yin氏らは、中国の中高年者において受動喫煙がCOPDおよび呼吸器症状に及ぼす影響を調査、その関連性が明らかになるとともに深刻な事態が浮き彫りにされた。9月1日付Lancet誌掲載の報告。喫煙未経験者の受動喫煙状況とCOPDの関連を調査「広州バイオバンクコホート試験」は、中国南部地域における環境要因と呼吸器疾患の遺伝的因子の関連を調査する疫学研究で、2003~2006年に50歳以上の20,430人が登録された。Yin氏らは、今回、このうち15,379人(女性13,602人、男性1,777人)の喫煙未経験者のデータをもとに受動喫煙とCOPD、呼吸器症状の関連について解析を行った。在宅時および就業時の受動喫煙の曝露状況[曝露の程度(住居、職場の喫煙者数)および曝露期間]を自己申告によって記録した。COPDの診断は、スパイロメトリーを用いてGOLDガイドラインに基づいて行った。受動喫煙者に向け緊急対策を講じるべき高度曝露群(40時間/週、5年以上)は、軽度曝露群(40時間/週、2年未満)に比べCOPDのリスクが有意に増大していた(補正オッズ比1.48、 95%信頼区間1.18-1.85、p=0.001)。また、呼吸器症状全般の発現頻度も有意に増加していた(同1.16、1.07-1.25、p <0.0001)。Yin氏は、「受動喫煙はCOPDおよび呼吸器症状発現の有意なリスク因子である」と結論したうえで、「中国では、受動喫煙によって1,900万人の喫煙未経験者がCOPDで死亡していると推計されるが、これはきわめて深刻な事態だ」と指摘、「今回の知見は、受動喫煙者に向けた緊急対策を促す強力なエビデンスをもたらすものだ」と警鐘を鳴らしている。(菅野 守:医学ライター)

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敗血症性ショックの昇圧治療、ノルアドレナリン+ドブタミンとアドレナリンの有用性は同等

敗血症性ショックは敗血症の最も重篤な病態であり、フランスではICU治療の約9%を占め、短期的な死亡率は40~60%に達する。本症では、敗血症に起因する低血圧を正常化するために昇圧治療を要する。最近の国際的ガイドラインでは、ドパミンあるいはノルアドレナリンを第一選択薬とし、奏効が得られない場合はアドレナリンが推奨されているが、これらの薬剤の大規模な比較試験は実施されていない。 フランス研究・高等教育拠点パリ南大学 UVSQレイモン・ポアンカレ病院のDjillali Annane氏らは、敗血症性ショックにおいてノルアドレナリンと必要に応じてドブタミンを併用する治療法とアドレナリン単独の有効性と安全性を比較する試験を実施、その結果を8月25日付Lancet誌上で報告した。28日目の全原因死亡率は両治療群間で同等本研究はプロスペクティブな二重盲検多施設共同無作為化試験であり、フランス国内の19のICUに収容された敗血症性ショック330例がアドレナリン単独群(161例)あるいはノルアドレナリン+ドブタミン必要時併用群(169例)に無作為に割り付けられた。投与量は平均血圧70mmHg以上を維持するように調整された。主要評価項目である28日目の全原因死亡率は、単独群40%(64/161例)、併用群34%(58/169例)と、両治療群間で同等であった(p=0.31、相対リスク:0.86)。重篤な有害事象の発症率も、両治療群間に差はない両治療群間で、ICU死亡率(p=0.69)、退院時死亡率(p=0.51)、90日死亡率(p=0.73)、血行動態回復までの期間(log-rank検定:p=0.67)、昇圧治療中止までの期間(log-rank検定:p=0.09)、SOFAスコア(敗血症に伴う臓器障害の指標)の推移に有意な差は認めなかった。重篤な有害事象の発症率についても、両治療群間に差はなかった。以上により、Annane氏は「敗血症性ショックの管理において、アドレナリン単独治療とノルアドレナリン+ドブタミン必要時併用治療の有効性および安全性は同等」と結論している。また、「臨床の場では、心係数が低下している敗血症性ショックに対する昇圧治療としては、アドレナリン、ノルアドレナリン、ノルアドレナリン+ドブタミンのいずれを施行してもよい。今後は、アドレナリン、ノルアドレナリン、ドパミンの単独治療の有効性と安全性を比較し、敗血症性ショックにおける昇圧治療の最適な血行動態目標値を明確にすべき」と指摘している。(菅野 守:医学ライター)

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小児高血圧症の診断見落としは74%

小児肥満の蔓延に伴って小児高血圧症の有病率が増加している中、診断未確定の高血圧症と高血圧前症の頻度がどれくらいあるのか、また診断見落としはどんな患者因子が原因になっているのかを同定するコホート研究が、米国オハイオ州にあるCase Western Reserve 大学医学部のMatthew L. Hansen氏らによって行われた。JAMA誌8月22日号より。3~18歳児1万4,000例をスクリーニング研究対象は、1999年6月から2006年9月までの間に最低3回、定期健診でオハイオ州北東部の総合医療システム附属クリニックを訪れた3~18歳の14,187例。主要評価項目は定期健診時の血圧測定で、年齢および身長による補正後も高値を3回以上示した小児の割合と、高血圧または高血圧前症と診断され電子カルテに記載された割合。診断に関連する患者因子は多変量ロジスティック回帰分析によって同定された。3回以上の定期健診で高血圧または高血圧前症の判定基準を満たしたとされる小児は、診断リスト、問題リスト、病歴リストにおける高血圧関連のICD9コードとの比率で判定された。早めの適切な診断が重要高血圧症の小児は507例(3.6%)いたが、実際に高血圧症または血圧上昇の診断を受け電子カルテに記録されていたのは131例(26%)だった。高血圧症診断の補正オッズ比を高めた患者因子は、1年ごとの上昇値(3歳以降の)(オッズ比1.09)、血圧上昇の記録が3回を超えた頻度(同1.77)、身長-年齢パーセンタイル値の1%の増加(同1.02)、肥満に関連した疾患の診断(同2.61)、ステージII高血圧症に該当する血圧記録の数(1.68)だった。一方、高血圧前症の小児は485例(3.4%)で、55例(11%)は適切に診断され電子カルテに記載されていたが、それ以外は見落とされていた。高血圧前症診断の補正オッズ比を高めた患者因子は、1年ごとの上昇値(3歳以降の)(オッズ比1.21)、血圧上昇の記録が3回を超えた頻度(同3.07)だった。Hansen 氏らは、「今回の研究対象(平均年齢8.8歳、50%がアフリカ系アメリカ人)では診断見落としが頻繁に起きていた。診断確率の上昇には、年齢、身長、肥満関連の疾病の診断、血圧の異常記録およびその記録頻度とすべてが関係していた」と述べ、小児の血圧の正常値および異常値は年齢、性別、身長によって異なり基準を覚えるのは難しいが、異常血圧の確立された評価ガイドラインおよび効果的治療が存在するので、早めの適切な診断は重要であると結んだ。(朝田哲明:医療ライター)

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インスリン不使用2型糖尿病患者では血糖値自己測定の有用性に疑問符

血糖値を自己測定しても血糖コントロールは改善されない可能性が示唆された。イギリス・オックスフォード大学のAndrew Farmer氏らが無作為化オープン試験であるDiGEM(Diabetes Glycemic Education and Monitoring)スタディの結果としてBMJのサイトにて早期公表した(6月25日付オンライン版、本誌掲載は7月21日号)。 血糖値の自己測定を推奨している米国糖尿病学会(ADA)による2007年ガイドラインなどを見直す必要性が示唆された形となった。1週間に2回血糖値を自己測定本スタディでは、インスリンを使用していない2型糖尿病患者を対象に、通常の血糖コントロール(通常治療群:152例)と、1週間に2日、3回/日(空腹時×1、食事2時間前・食後2時間値のいずれか×2)の血糖自己測定がHbA1cに及ぼす影響が比較された。血糖自己測定群はさらに、血糖測定後に低血糖または高血糖が認められた時に医師とコンタクトをとる「単純自己測定群」(150例)と、血糖値に応じた対処法を指導される「積極的自己測定群」(151例)に無作為化されている。対象患者の平均年齢は65.7歳、罹病期間中央値は3年間、HbA1c平均値は7.5%だった。1年後のHbA1cに有意差なし1次評価項目である1年後のHbA1c値は、しかし、3群間に有意差はなく、通常治療群7.49%、単純自己測定群7.28%、積極的自己測定群7.36%という結果だった(p=0.12)。試験開始時からの変化率で比較しても、3群間に有意差はなかった(p=0.38)。本試験の対象のように、すでにかなり良好な血糖コントロールが得られているインスリン不使用の2型糖尿病患者では、コスト等を考えるとルーチンな血糖自己測定は推奨できない──と筆者らは結論している。(宇津貴史:医学レポーター)

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SSRI治療を受けている大うつ病若年患者に、認知行動療法の併用は有効か

若年者の大うつ病に対する至適治療法は確立されていない。選択的セトロニン再取り込み阻害薬(SSRI)は、若年者のうつ病において自殺傾向を招く恐れがあるが、短期的には有効な可能性がある。NICE(National Institute for Health and Clinical Excellence)ガイドラインは、認知行動療法(CBT)などの特異的な心理療法とSSRIの併用を提唱している。 イギリス・ケンブリッジ大学精神科発達精神医学のIan Goodyer氏らは、中等度~重症の大うつ病の若年者において、臨床的ケアとSSRIによる治療にCBTを併用する群としない群を比較する無作為化試験を実施した。BMJ誌6月7日付オンライン版、7月21日付本誌掲載の報告から。11~17歳の中等度~重症の大うつ病患者でSSRIとSSRI+CBTを比較対象は、初回の簡易的介入に反応しなかった11~17歳の中等度~重症の大うつ病あるいは大うつ病に進展する可能性のある若年うつ病患者208例。自殺傾向や行為障害のあるものも対象に含めた。2000~2004年の間に、SSRIとルーチンのケアを受ける群(SSRI群:103例)あるいはSSRI、ルーチンのケアとCBTを受ける群(SSRI+CBT群:105例)に無作為に割り付け、12週間の治療ののち16週間の経過観察を行った。SSRIに認知行動療法を併用しても短期的ベネフィットは得られない12週の治療終了時におけるHealth of the Nation outcome scales for children and adolescentsのスコアの変化(主要評価項目)は-0.64[95%信頼区間-2.54~1.26、p=0.50]であり、有意差は認めなかった。副次評価項目(mood and feelings questionnaire、children’s depression rating scale改訂版、children’s global assessment scale、clinical global impression improvement scale)は、いずれも有効性に関する有意差は示せなかった。全体として自殺念慮や自傷行為には減少傾向が見られたが、CBTによる自殺念慮、自殺行動の予防効果は確認できなかった。治療終了後16週までに、SSRI群の61%、SSRI+CBT群の53%が、「たいへんよい」「きわめてよい」まで症状が改善していた。Goodyer氏は、「SSRIとルーチンの臨床ケアを受けている大うつ病の若年患者にCBTを併用しても短期的なベネフィットは得られなかった」と結論している。(菅野 守:医学ライター)

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糖尿病性神経障害による疼痛に、経口三環系抗うつ薬と従来の抗けいれん薬が有効

糖尿病性神経障害は糖尿病の主な合併症であり、一般に神経障害性の疼痛を伴う。厳格な血糖値のコントロールにより糖尿病性神経障害の進行が遅くなることが示されており、現在のガイドラインでは疼痛の治療には抗うつ薬および新世代の薬剤(SSRI、SSNI)を含む抗けいれん薬の使用が推奨されている。 香港・キリスト教総合病院看護部のMan-chun Wong氏らは、糖尿病性神経障害による疼痛の治療効果に関する体系的なレビューを行い、BMJ誌6月11日付オンライン版、7月14日付本誌において報告した。選出したプラセボ対照無作為化試験のデータを体系的に解析Wong氏らは、いくつかのキーワードに基づいてMedlineなど4つのデータベースから二重盲検無作為化試験の論文を抽出した。さらに、糖尿病性神経障害による疼痛を有する成人を対象とした局所適用製剤および経口薬に関するプラセボ対照無作為化試験を選出した。主要評価項目は疼痛の50%の減少(中等度改善)とし、副次評価項目は疼痛の30%の減少および有害事象による投与中止とした。それぞれの疼痛緩和効果および投与中止のオッズ比を算出した。選出された25編の論文で使用されていた薬剤は、抗けいれん薬(1,270例)、抗うつ薬(94例)、オピオイド(329例)、イオンチャンネル遮断薬(173例)、N-methyl-D-aspartate(NMDA)拮抗薬(14例)、duloxetine(805例)、カプサイシン(277例)、二硝酸イソソルビドスプレー(22例)であった。新世代薬剤は50%疼痛緩和のオッズ比が低い、治療アルゴリズムを提唱50%疼痛緩和のオッズ比は、従来の抗けいれん薬が5.33(95%信頼区間1.77-16.02)、新世代の抗けいれん薬が3.25(同2.27-4.66)、三環系抗うつ薬が22.24(同5.83-84.75)であった。有害事象に関連した投与中止のオッズ比は、それぞれ1.51(同0.33-6.96)、2.98(同1.75-5.07)、2.32(同0.59-9.69)であった。以上の結果から、短期的な疼痛の緩和には、経口三環系抗うつ薬と従来の抗けいれん薬による治療のほうが新世代の抗けいれん薬よりも優れることが示された。Wong氏は、「これらの薬剤の長期的効果は明らかにされていない。今後は、オピオイド、NMDA拮抗薬、イオンチャンネル遮断薬などのさらなる検討が必要」とした上で、これまでの知見に基づいて糖尿病性神経障害による疼痛の治療アルゴリズムを提唱している。(菅野 守:医学ライター)

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