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高血糖を指摘されても4割以上が再検査せず

 MSD株式会社は、2型糖尿病の疑いのある人や高血糖を指摘された人、治療を中断している人など、糖尿病の発症・進行リスクがあると考えられる40歳以上の男女4,700人(各都道府県100名ずつ:男性70人、女性30人)に、糖尿病に関する意識や行動に関するインターネット調査を2017年6月に実施した。調査結果から、糖尿病の発症や進行のリスクを持つ人の43.2%が、リスクを指摘されながらも再検査を受診していないことがわかった。また、44.1%が自身の糖尿病の発症や進行のリスクについて「低い」と答えた。薬物療法については、57.5%が抵抗感を感じているが、服用頻度によって心理的負担が軽減される傾向があった。発症や進行のリスクがあっても、健康診断や検査受診に消極的 医療機関や健康診断で高血糖と指摘された人の43.2%が糖尿病の再検査を受診しておらず、40代では半数以上(50.7%)が未受診であった。未受診の理由は、「放っておいても、再検査の受診についてとくに何も言われないから」(44.0%)が最も多い。続いて、「とくに気になる症状がないから」(22.7%)であった。 健康診断を毎年受診していない人も21.9%存在している。会社員では、毎年受診していない人は10.1%と少ないが、自営業では36.8%、働いていない人では30.9%と、会社員に比べ3倍以上となった。また、毎年受診していない理由は「面倒だから」(35.3%)が最も多かった。自身の発症や進行のリスクを過小評価 糖尿病の発症や進行のリスクがあるにもかかわらず、44.1%がその「リスクは低い」と回答した。リスクが低い理由として「症状を感じていないから」(44.7%)、「太っていないから」(20.0%)との回答もあった。糖尿病は初期には自覚症状がほとんどなく、やせ型でもなり得るという、糖尿病の特徴に関する認識不足が浮き彫りになった。 一方、糖尿病の主な症状(「のどが渇くことが多い」「多尿・頻尿である」「疲れやすい、だるい」)のうち、1つでも実感している人は75.6%に及んだ。働いている場合、自分の健康よりも仕事を優先する人が65.5%に上った。半数以上が薬物療法に抵抗感、心理的負担の少ない治療法には期待 糖尿病未治療者の糖尿病治療に対するイメージには「厳しい食事制限」(64.7%)や「毎日服薬が必要」(59.1%)のほか、「毎日インスリン注射を打つ」(56.5%)という思い込みや先入観が存在することがわかった。糖尿病治療への抵抗感は薬物療法が57.5%と最も多く、食事療法は40.8%、運動療法は27.7%であった。治療薬が週1回服用タイプの場合、63.2%が「心理的負担が減る」と回答した。患者さんのニーズにあった治療薬が選択可能 本調査結果から、東京医科大学病院 主任教授の小田原 雅人氏は、「自身の健康に対する過剰な自信がみられたり、糖尿病に関する知識・関心が低かったりと、糖尿病の発症や進行のリスクがある人たちが適切な対処を十分に行っていない実態が示された」と指摘した。 また、63.2%の人が「飲み薬の頻度が週1回なら、治療の心理的負担が減る」と回答していたことを取り上げ、「週1回治療の選択肢が増えたことで、患者さんのさまざまなライフスタイルやニーズにあった治療薬が選択できるようになっている」とコメントしている。■参考MSD株式会社ニュースリリース

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若年1型糖尿病にポンプ療法 vs.注射療法、安全なのは?/JAMA

 平均年齢14.1歳の1型糖尿病患者3万579例を対象とした検討において、インスリンポンプ療法はインスリン注射療法と比べて、重症低血糖症、糖尿病性ケトアシドーシスの発現リスクは低く、直近の血糖コントロールもより良好であることが示された。ドイツ・アーヘン工科大学のBeate Karges氏らによる住民ベースコホート研究の結果で、著者は「示された結果は、1型糖尿病の小児、青少年、若年成人において、インスリンポンプ療法はインスリン注射療法と比べて、臨床的アウトカムの改善と関係するとのエビデンスを提示するものである」とまとめている。インスリンポンプ療法は、若い1型糖尿病患者の代謝コントロールを改善することが示唆される一方で、短期的な糖尿病性合併症との関連が明らかになっていなかった。JAMA誌2017年10月10日号掲載の報告。ドイツ、オーストリア、ルクセンブルクで20歳未満患者を対象に検討 研究グループは2011年1月~2015年12月に、ドイツ、オーストリア、ルクセンブルクの糖尿病センター446施設で参加者を募ったDiabetes Prospective Follow-up Initiativeを行い、小児、青少年、若年成人の1型糖尿病患者において、インスリンポンプ療法はインスリン注射療法よりも、重症低血糖症と糖尿病性ケトアシドーシスの発現頻度が低いかどうかを調べた。 対象は、20歳未満で罹病期間が1年以上、インスリンポンプ療法またはインスリン注射療法(1日4回以上投与)を受ける1型糖尿病患者。年齢、性別、糖尿病罹病期間、患者の出生地(ドイツまたはオーストリア以外の生まれ)、BMI値、糖化ヘモグロビン値を共変量とし、傾向スコア適合法と治療の逆確率重み付け法(inverse probability of treatment weighting:IPTW)を用いて解析した。 主要アウトカムは、直近の治療年間の重症低血糖症と糖尿病性ケトアシドーシスの発現頻度とした。副次アウトカムは、糖化ヘモグロビン値、インスリン投与量、BMI値などであった。重症低血糖症と糖尿病性ケトアシドーシスの発現頻度、ポンプ療法が有意に低い 被験者3万579例(平均年齢14.1歳[SD 4.0]、男子53%)のうち、1万4,119例がポンプ療法を(期間中央値3.7年)、1万6,460例が注射療法(同3.6年)を受けていた。ポンプ療法群の患者9,814例を注射療法群の患者9,814例と適合して解析した。 ポンプ療法群は注射療法群と比べて、重症低血糖症(9.55 vs.13.97/100患者年、差:-4.42[95%信頼区間[CI]:-6.15~-2.69]、p<0.001)、糖尿病性ケトアシドーシス(3.64 vs.4.26/100患者年、差:-0.63[95%CI:-1.24~-0.02]、p=0.04)ともに発現頻度が有意に低かった。 糖化ヘモグロビン値も、ポンプ療法群が注射療法群よりも有意に低値であった(8.04% vs.8.22%、差:-0.18[95%CI:-0.22~-0.13]、p<0.001)。また、1日インスリン投与量も、ポンプ療法群が注射療法群よりも有意に少なかった(0.84U/kg vs.0.98U/kg、差:-0.14[95%CI:-0.15~-0.13]、p<0.001)。 BMI値は、両療法群間で有意差はみられなかった。 同様の結果は、全コホートで傾向スコア・治療の逆確率重み付け法で解析後も得られた。

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1型糖尿病妊婦のCGM、新生児にも有益?/Lancet

 1型糖尿病の妊婦に対する持続血糖モニタリング(CGM)は、新生児アウトカムを改善することが、カナダ・Sinai Health SystemのDenice S. Feig氏らによる多施設共同非盲検無作為化試験「CONCEPTT試験」の結果、示された。著者らは、「CGMは、インスリン強化療法を受ける1型糖尿病の全妊婦に推奨すべきである」と提言している。1型糖尿病妊婦はリスクが高く、至適血糖コントロールに努めることが推奨される。しかし、母体の高血糖により新生児アウトカムは良好には至らない状況であった。なお今回の検討は、CGM使用による血糖以外の健康アウトカムについて、改善の可能性を示唆した初の試験であったという。Lancet誌オンライン版2017年9月14日号掲載の報告。妊婦と妊娠計画女性を対象にCGM使用、非使用の効果を調査 研究グループは、カナダ、英国、スコットランド、スペイン、イタリア、アイルランド、米国の31病院において、1型糖尿病に12ヵ月以上罹患しておりインスリン強化療法を受けている18~40歳の、妊婦(13週6日目以下)または妊娠を計画している女性を集めて、母体血糖コントロール、産科アウトカムおよび新生児アウトカムに対するCGMの効果を調べた。検討は、妊婦を対象とした試験と妊娠計画女性を対象とした試験を同時並行で行った。 各試験の被験者は、自己血糖測定モニタリング(capillary glucose monitoring)とCGMを行う群、または自己血糖測定モニタリングのみを行う群に、無作為に割り付けられた。インスリン療法(ポンプまたは注射)、ベースライン糖化ヘモグロビン(HbA1C)値による層別化も行った。 主要アウトカムは、妊婦対象試験は無作為から妊娠34週までのHbA1C値の変化とし、妊娠計画女性対象試験は無作為から24週または懐胎までのHbA1C値の変化とした。評価は、無作為化を受けベースラインで評価を受けた全参加者について行った。 副次アウトカムは、産科および新生児の健康アウトカムなどで、入手データのみで評価を行った。新生児健康アウトカムが有意に改善 2013年3月25日~2016年3月22日に、325例(妊婦試験215例、妊娠計画女性試験110例)が、CGM使用群(各試験108例、53例)またはCGM非使用群(107例、57例)に無作為に割り付けられた。 主要アウトカムについて、妊婦試験ではCGM使用が好ましいことを示す、わずかだが有意なHbA1C値の変化に関する群間差を示す結果が認められた(平均差:-0.19%、95%信頼区間[CI]:-0.34~-0.03、p=0.0207)。また、妊婦試験においてCGM使用群は非使用群よりも、血糖目標値達成期間が有意に延長し(68% vs.61%、p=0.0034)、高血糖期間が有意に短縮した(27% vs.32%、p=0.0279)。また、重篤な高血糖エピソードが少なく(18件 vs.21件)、低血糖期間は短かった(3% vs.4%、p=0.10)。 さらにCGM使用群では、新生児健康アウトカムの有意な改善が認められた。LGA(large for gestational age)例は少なく(オッズ比:0.51、95%CI:0.28~0.90、p=0.0210)、24時間超NICU滞在例(0.48、0.26~0.86、p=0.0157)および新生児低血糖例も少なく(0.45、0.22~0.89、p=0.0250)、総入院期間は1日短かった(p=0.0091)。 一方、CGMの有益性について、妊娠計画女性試験の参加者では見当たらなかった。 有害事象の発現は、妊婦試験ではCGM使用群51例(48%)、非使用群43例(40%)であり、妊娠計画女性試験ではそれぞれ12例(27%)、21例(37%)であった。重篤有害事象の発現は、妊婦試験で13例(6%)(CGM使用群8例[7%]、非使用群5例[5%])、妊娠計画女性試験で3例(3%)(各群2例[4%]、1例[2%])報告された。 最も頻度の高かった有害事象は皮膚反応であり、妊婦試験ではCGM使用群49/103例(48%)、非使用群8/104例(8%)、妊娠計画女性試験ではそれぞれ23/52例(44%)、5/57例(9%)報告された。最も頻度の高かった重篤有害事象は消化器系で認められた(悪心および嘔吐が、妊婦試験で4例、妊娠計画女性試験で3例)。

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点から線の血糖管理で7%クリアへ

 2017年9月22日、アボット ジャパン株式会社は、フラッシュグルコースモニタリングシステム 「FreeStyle リブレ」(以下「リブレ」)の保険収載を受け、都内でプレスカンファレンスを開催した。当日は、本機の機能説明のほか、糖尿病患者からも使用経験が語られた。リブレの基本概要 リブレは、組織間質液中のグルコース値を記録するセンサーと、その測定値を読み取って表示するリーダーから構成される。500円玉大のセンサーを上腕後部に装着し、そこから極細のフィラメントが皮下に挿入され、グルコース値を毎分測定する。センサーは防水性で、最長14日間装着できる。そして、リーダーをセンサーにかざしスキャンするだけで、痛みを伴わず1秒でグルコース値を測定することができる。 さらに、測定されたデータを専用ソフトウェアで読み込むことで、グルコース値や変動データはAGP(Ambulatory Glucose Profile)と呼ばれるレポートとして、パソコン上で確認することができる。 本機は、国内では2017年9月1日より保険適用となった。患者の血糖動態を「見える化」して診療に活かす 講演では西村 理明氏(東京慈恵会医科大学 糖尿病・代謝・内分泌内科 准教授)が、「糖尿病ケアは次の時代へ」と題して、糖尿病診療における「見える化の重要性」について語った。 厚生労働省が発表した「平成28年 国民健康・栄養調査」によると、糖尿病有病者と糖尿病予備群はいずれも約1,000万人と推計されることに触れ、患者数と医療費の増加に懸念を示した。とくに糖尿病合併症では医療費が高額になることが多く、合併症予防のためにも、日本糖尿病学会提唱のHbA1c 7.0%未満は、治療の目標として重要である。そして、血糖コントロールの大切なポイントは、血糖レベルの改善、低血糖の回避、血糖変動の最小化の3点だという。 近年の研究では、平均血糖変動幅(MAGE)と心血管イベントの相関(MAGEが大きいほど心血管イベントも多い)や低血糖と不整脈、心筋虚血の合併症も報告されている。低血糖の予防では血糖自己測定(SMBG)が行われ、インスリン量の調節や糖の摂取などの目安とされる。 ここで、2016年に西村氏が報告した「アンケートによる血糖自己測定の満足度と患者ニーズの調査」(n=1,050)が紹介された。その中で患者さんの半数以上が現在のSMBGは満足と答え、8割以上が低血糖対策としてのSMBGに満足と回答しているものの、低血糖発生の予防には必ずしも寄与していないことが示された。その原因として、測定回数の少なさ、血糖変動が見えないなどの得られる情報の少なさのほか、採血の痛さ、測定の煩雑さなど利用の際の手間もあると氏は指摘する。 こうした課題に応えるように開発されたリブレは、ほぼ痛みもなく、時間・場所を選ばずに着衣の上から1秒で測定ができる。従来の持続血糖測定(CGM)では測定記録が複雑で傾向がわかりにくかったが、リブレではわかりやすく視覚化されているため、血糖の日内変動を可視化でき、医療者もこれを診療に役立てることができるという。 実際、リブレの臨床試験では、1型糖尿病患者(n=239)を対象としたIMPACT試験1)と2型糖尿病患者(n=224)を対象としたREPLACE試験2)が行われ、両試験ともHbA1cの低下、低血糖発現時間の減少など血糖コントロールの質を改善することが示された。 最後に西村氏はリブレについて、「患者さんや医療従事者の負担を軽減しながら、豊富な血糖関連データを簡単に『見える化』する機器であり、広く普及すると思われる。この見える化で良質な血糖コントロールの達成を実現する患者さんが増え、糖尿病診療にパラダイムシフトをもたらすのではないかと感じている」と展望を語り、講演を終えた。MBGは患者にとって大きなストレス 次に患者視点から大村 詠一氏(日本IDDMネットワーク 専務理事)が、「FreeStyleリブレで変わった血糖管理」をテーマに、本機登場の意義、患者のメリットなどを語った。 エアロビックの演者・指導者である大村氏は1型糖尿病患者であり、インスリンを1日5回注射しているため、必要量の把握のためSMBGを余儀なくされている。しかし、SMBGの針は大きく痛みを伴うだけでなく、測定が煩雑であり、時間と場所の制約を受けることが多い。一方、リブレでは、こうした課題が解決されるうえ、自身の早朝における血糖上昇に気付くことができ、血糖動態改善につなげることができたという。 「リブレには、患者側から厚生労働省に承認要望を出し、適用となった経緯がある。この新ツールを活用することで、患者のライフスタイルの変化や治療の改善に寄与することを希望する」と大村氏は語る。 続いて、自身も2型糖尿病患者である華道家の假屋崎 省吾氏と西村氏の対談となった。SMBGについて假屋崎氏は、「指先が痛く、仕事柄、指に影響するのでストレスを感じる」と語り、リブレの使用感については、「痛みもなく、日常生活にまったく問題がない。運動もできる。1日平均10回くらい食前食後、運動前に測定して日常生活に役立てている。血糖測定についての悩みがなくなった」と感想を語った。 最後に、假屋崎氏は糖尿病患者さんに向けて「糖尿病の進行を防ぐ努力をしよう。病気とは友達付き合いで、プラス思考で生きよう」とメッセージを送り、西村氏が「リブレで合併症を防ぐことができたり、血糖測定のストレスから解放されるかもしれない。今後の普及を見守りたい」と述べてセミナーは終了した。●参考文献1) Bolinder J, et al. Lancet. 2016;388:2254-2263.2) Haak T, et al. Diabetes Ther. 2017:8;55-73.■参考FreeStyleリブレ オフィシャルサイト

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SGLT1/2阻害薬は1型糖尿病治療に有用か/NEJM

 インスリン療法中の1型糖尿病患者において、経口ナトリウム・グルコース共輸送体(SGLT)1/2阻害薬sotagliflozinを投与した群ではプラセボ群と比較し、重症低血糖または糖尿病性ケトアシドーシスを発症することなくHbA1c 7.0%未満を達成した患者の割合が高率であった。ただし、糖尿病性ケトアシドーシス発症率のみをみるとsotagliflozin群で高率であった。米国・コロラド大学デンバー校のSatish K. Garg氏らが、19ヵ国133施設にて、インスリン療法へのsotagliflozin上乗せの安全性と有効性を評価した無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験「inTandem3」の結果を報告した。1型糖尿病患者の多くは、インスリン療法のみでは十分な血糖コントロールは得られない。しかし、これまでに1型糖尿病に対してインスリン療法との併用が認められた経口薬はなかった。NEJM誌オンライン版2017年9月13日号掲載の報告。約1,400例で、インスリン単体 vs.インスリン+sotagliflozinを検討 研究グループは、インスリン療法(ポンプまたは注射)を受けている1型糖尿病患者1,402例(HbA1c:7.0~11.0%)を、sotagliflozin(400mg/日)またはプラセボを併用する群に1対1の割合で無作為に割り付け、24週間投与した。 主要エンドポイントは、無作為化後24週時における、重症低血糖または糖尿病性ケトアシドーシスの発症を伴わずHbA1c 7.0%未満を達成した患者の割合。副次エンドポイントは、HbA1c、体重、収縮期血圧、インスリン投与量のベースラインからの変化であった。血糖コントロール改善、sotagliflozin群がプラセボ群の約2倍 主要エンドポイントの達成率は、sotagliflozin群(28.6%[200/699例])がプラセボ群(15.2%[107/703例])より有意に高かった(p<0.001)。また、副次エンドポイントのベースラインからの変化(最小二乗平均値)も、sotagliflozin群がプラセボ群より有意に大きかった。それぞれの群間差は、HbA1cが-0.46%、体重-2.98kg、収縮期血圧-3.5mmHg、インスリン平均1日ボーラス投与量-2.8単位/日であった(いずれもp≦0.002)。 重症低血糖の発現頻度は、sotagliflozin群とプラセボ群で類似していた(それぞれ3.0%[21例] vs.2.4%[17例])。また、血糖値55mg/dL(3.1mmol/L)以下の低血糖の発現頻度は、sotagliflozin群がプラセボ群より有意に低かった。一方、糖尿病性ケトアシドーシスの発現頻度は、sotagliflozin群がプラセボ群より高率であった(3.0%[21例]vs.0.6%[4例])。 なお著者は研究の限界として、長期的な有効性は評価できていないことや持続血糖測定値は解析していないことなどを挙げている。

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カナリア配合錠の相乗効果で期待したい血糖値降下

 2017年8月31日、田辺三菱製薬株式会社と第一三共株式会社は、都内において合同による「Diabetes Update Seminar」を開催した。その中で、DPP-4阻害薬テネリグリプチン(商品名:テネリア)とSGLT2阻害薬カナグリフロジン(商品名:カナグル)の配合錠である「カナリア配合錠」(7月3日に製造販売承認を取得)について説明が行われた。カナリア配合錠は患者アンケートなどを参考に錠剤の大きさを設計 はじめに石崎 芳昭氏(田辺三菱製薬株式会社)が、テネリグリプチンとカナグリフロジン両剤の堅調な売上推移を説明。今後「カナリア配合錠が販売されることで、糖尿病領域におけるNo.1のプレゼンス構築を目指していきたい」と意欲をみせた。 次に広川 毅氏(田辺三菱製薬株式会社)が、カナリア配合錠の概要を説明した。本剤は、テネリグリプチン(20mg)とカナグリフロジン(100mg)を含有した配合錠であり、開発では、患者アンケートなどを参考に錠剤の大きさを円形直径8.6mm(厚さ4.5mm)、単層二群錠を採用して設計した。適応は両剤の併用による治療が適切と判断される場合に限られ、用法・用量は、成人で1日1回1錠を朝食前または朝食後に経口投与する。薬価は、1錠当たり300.3円となる。同氏は「本錠の登場により、患者さんの服薬アドヒアランスの向上と長期にわたる安定した血糖コントロールを期待する」と語り、説明を終えた。カナリア配合錠に含まれるDPP-4阻害薬とSGLT2阻害薬の特徴や効果 続いて門脇 孝氏(東京大学大学院 医学系研究科 糖尿病・代謝内科 教授)が、「国内初のDPP-4阻害剤とSGLT2阻害剤の配合剤の意義」をテーマに講演を行った。 講演では、わが国の糖尿病患者の現況に触れ、高齢や肥満型の糖尿病患者が増えていること、臨床現場では隠れ肥満への対応が不足し、患者増加の歯止めに難渋していることなどが説明された。そして、糖尿病治療の最終目標は、健康な人と変わらない日常生活の質(QOL)の維持と寿命の確保であり、そのための前段階として血管合併症発症阻止が必要であり、合併症阻止のためにはHbA1cを7%以下に抑えることが重要だという。 次に今回のカナリア配合錠に含まれるDPP-4阻害薬とSGLT2阻害薬の特徴や効果を簡潔に説明した。 DPP-4阻害薬は、内因性のGLP-1を確保する働きを持ち、インスリン分泌促進、β細胞アポトーシス阻害、グルカゴン分泌抑制などに働く特性を持つ。テネリグリプチンのHbA1cの変化量では、投与前平均値から−0.67の血糖値の降下作用を示したほか、体重も変化せず増加もなかった(承認時評価資料)。また、最近の研究ではDPP-4阻害薬には、動脈硬化進展の抑制1)と退縮の可能性2)も示唆されるなど、その潜在性も期待されている。 SGLT2阻害薬は、糖の再吸収を抑制し、糖の排泄を増加することで、血糖値を下げる特性を持つ。カナグリフロジンのHbA1cの変化量では、テネリグリプチンと同程度の効果作用を示したほか、2kg超の体重減少を示した(承認時評価資料)。また、心臓、腎臓の保護作用3)も期待されている。 そして、これらの機能がうまく作用し合えば、高血糖によるインクレチン作用の減弱、インスリンの分泌低下、グルカゴン分泌増加などの解決ができるのではないかと示唆されている。カナリア配合錠の国内臨床試験でHbA1cに有意な結果 カナリア配合錠の国内臨床試験では、24週にわたり、テネリグリプチンへのプラセボ上乗せ群(プラセボ群/n=68)とテネリグリプチンへのカナグリフロジン上乗せ群(配合剤群/n=70)とを比較した。プラセボ群のHbA1cが−0.10%に対し、配合剤群が−0.97%と有意な結果を示し、体重減少については、プラセボ群が−0.78kgに対し配合剤群が−2.29kgと有意な変化がみられた。副作用は、300例中47例(15.7%)が報告され、多い順に頻尿(10例)、便秘、口渇、外陰部膣カンジダ症(いずれも5例)などであり、重篤なものは報告されていない。その一方でSGLT2阻害薬が配合されているため、「SGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendation」(日本糖尿病学会策定)の内容(たとえば、インスリンやSU薬併用時の低血糖への注意、高齢者への慎重投与、脱水予防など)や「糖尿病診療ガイドライン2016」記載のシックデイ時の中止対応には、配慮する必要があると同氏は注意を喚起する。また、同氏は私見としながらも、本剤は第1選択薬として選ばれるものではなく、患者さんの背景を考慮しつつ治療を進めながら用いられる治療薬であり、モデルとしては働き盛りの肥満型糖尿病患者などが考えられると語る。 最後に、第3次5ヵ年計画(診療の先端研究、超高齢化社会への基盤整備など)を説明、「さらなる研究の推進により糖尿病とその合併症を[治らない疾患]から[治せる疾患]へと変容させ、糖尿病解決先進国としてリードしていきたい」と抱負を述べ、レクチャーを終えた。 なお、カナリア配合錠のプロモーションは田辺三菱製薬株式会社と第一三共株式会社の両社で、販売は第一三共株式会社が担当する。■関連記事特集 糖尿病 インクレチン関連薬特集 糖尿病 SGLT2阻害薬

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ケアネット白書~糖尿病編2017

インデックスページへ戻る1.調査概要本調査の目的は、糖尿病診療に対する臨床医の意識を調べ、その実態を把握するとともに、主に使用されている糖尿病治療薬を評価することである。調査はインターネット上にてアンケート形式。2017年3月1~8日に、ケアネットの医師会員約13万人のうち、2型糖尿病患者を1ヵ月に10人以上診察している医師500人を対象に実施した。2.結果(1)回答医師の背景回答医師500人の主診療科は、糖尿病・代謝・内分泌科が234人(46.8%)で最も多く、一般内科167人(33.4%)、循環器科42人(8.4%)などが続いた。医師の所属施設は、一般病院が190人(38.0%)で最も多く、以下、医院・診療所・クリニック134人(26.8%)、大学病院92人(18.4%)、国立病院機構・公立病院83人(16.6%)など。医師の年齢層は50代が159人(31.8%)で最も多く、次いで40代(135人、27.0%)、30代(128人、25.6%)が続いた。(2)薬剤の処方状況(1stライン)糖尿病治療薬をSU薬、α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)、ビグアナイド(BG)薬、チアゾリジン薬、速効型インスリン分泌促進薬(グリニド)、DPP-4阻害薬、インスリン、GLP-1、SGLT2阻害薬、その他に分類し、食事・運動療法に加えて薬物療法を実施する際の1stラインの処方状況を聞いた(図1)。図1を拡大する処方が最も多かったのはDPP-4阻害薬で、回答した医師全体の38.4%が1stラインで使っている。しかしながらその割合は、昨年と比べて6.1ポイント減少し、過去5年間において最も少ない。次いで多かったのはBG薬(26.3%)で、昨年(26.6%)とほぼ横ばいであった。<糖尿病・代謝・内分泌科での1stライン>回答医師の属性が糖尿病・代謝・内分泌科の場合、1stラインでの処方割合が最も多かったのはDPP-4阻害薬(35.9%)だが、これに続くBG薬が33.4%であり、割合は拮抗している。一方、SU薬とα-GIは過去5年の推移をみても一貫して減少傾向にあるようだ(図2)。図2を拡大する<その他の診療科(糖尿病・代謝・内分泌科以外)での1stライン>回答医師の属性がその他の診療科の場合、1stラインの処方割合はDPP-4阻害薬が最も多いものの、前年より7%減少し、その分、その他(併用など)が増加した。BG薬(20.1%)とSU薬(6.9%)は、前年と比べほぼ横ばいであった(図3)。図3を拡大する(3)薬剤の処方状況(2ndライン)DPP-4阻害薬単剤処方例からの治療変更1stラインでDPP-4阻害薬を単剤投与しても血糖コントロールが不十分だった場合、2ndラインではどのような治療変更を行うかについて、1.SU薬を追加、2.速効型インスリン分泌促進薬を追加、3.α-GIを追加、4.GU薬を追加、5.チアゾリジン薬を追加、6.GLP-1を追加、7.インスリンを追加、8.SGLT2阻害薬を追加、9.他剤への切り替え、10.その他―の分類から処方状況を聞いた(図4)。図4を拡大する最も多かったのはBG薬の追加で、回答した医師の40.3%に上った。過去5年の推移を見ると一貫して増加傾向にありSGLT2阻害薬の追加も9.9%に増加した。一方、SU薬の追加やα-GIの追加は減少傾向にある。回答医師の属性が糖尿病・代謝・内分泌科とその他の診療科を比較すると、専門医ではBG薬の追加が全体平均よりも高い傾向にあり、逆にSGLT2阻害薬の追加を選ぶ医師は少ない傾向があった。専門医以外では、SGLT2阻害薬の追加やα-GIの追加を選択する割合が多い傾向があるようだ(図5)。図5を拡大するBG薬単剤処方例からの治療変更また、1stラインでBG薬を単剤投与しても血糖コントロールが不十分だった場合2ndラインではどのような治療変更を行うかについて、1.SU薬を追加、2.速効型インスリン分泌促進薬を追加、3.α-GIを追加、4.チアゾリジン薬を追加、5.DPP-4阻害薬を追加、6.GLP-1を追加、7.インスリンを追加、8.SGLT2阻害薬を追加、9.他剤への切り替え、10.その他―の分類から処方状況を聞いた(図6)。図6を拡大する最も多かったのは前年に引き続きDPP-4阻害薬の追加(55.6%)であった。SGLT2阻害薬の追加(8.0%)を選択する医師の割合は、前年比で2.2ポイント増となり、SU薬の追加(8.3%)と拮抗する結果となった。回答医師の属性が糖尿病・代謝・内分泌科とその他の診療科を比較すると、専門医で最も多かったのはDPP-4阻害薬の追加(56.4%)で、次いでSGLT2阻害薬の追加(9.3%)、SU薬の追加(8.3%)となっていた。その他の診療科と比べると、SGLT2阻害薬の追加が多かった(図7)。図7を拡大する(4)薬剤選択の際に重要視する項目本調査では、薬剤を選択する際に重要視する項目についても聞いている(複数回答)。最も多いのは昨年に続き「低血糖を来しにくい」で、75.2%の医師が挙げている。以下、「重篤な副作用がない」(68.48%)、「血糖降下作用が強い」(66.4%)などが続いた(図8)。図8を拡大する<糖尿病・代謝・内分泌科での重要視項目>回答医師の属性が糖尿病・代謝・内分泌科の場合も、薬剤選択で重要視する項目として最も多かったのは「低血糖を来しにくい」で、81.6%の医師が挙げている。次いで多かったのが、「体重増加を来しにくい」(73.5%)で、他科も含めた全体では56.4%だったのと比べると顕著に割合が高く、専門医に特徴的な傾向といえる。<その他の診療科(糖尿病・代謝・内分泌科以外)での重要視項目>回答医師の属性がその他の診療科の場合も、薬剤選択で重要視する項目として最も多かったのは「低血糖を来しにくい」であった(69.5%)。以下、「重篤な副作用がない」(65.4%)、「血糖降下作用が強い」(63.9%)などが続いた。インデックスページへ戻る

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インスリン療法開始後のスタチンの影響

 スタチンは、糖尿病の新規発症リスクを増大させ、血糖コントロールに悪影響を及ぼす可能性があるが、2型糖尿病患者のインスリン療法開始後の血糖応答および転帰への影響は不明である。今回、英国・ノッティンガム大学のUchenna Anyanwagu氏らの研究で、通常治療中の2型糖尿病患者のインスリン療法開始後、スタチン併用者の短期血糖コントロールはあまり良好ではなかったものの、主要心血管イベントリスクは大幅に低かったことが報告された。Cardiovascular diabetology誌2017年8月22日号に掲載。 本研究は、英国のHealth Improvement Network(THIN)UKデータベースを使用し、インスリン療法を開始した2型糖尿病患者1万2,725例での後ろ向きコホート研究。6、12、24、36ヵ月でのHbA1cの変化、死亡および3-point MACE(心血管死、非致死的心筋梗塞、非致死的脳梗塞)の5年リスクを、新たにインスリン療法を開始した患者において、スタチン使用者(1万682例)と非使用者(2,043例)で比較した。Cox比例ハザードモデルを用いて、異なるアウトカムのハザード比を推定した。 主な結果は以下のとおり。・コホートの平均年齢は58.7±14.0歳(男性51%)であり、ベースラインHbA1cの平均値は8.7±1.8%であった。・インスリン療法開始後初期に、スタチン使用者に比べて非使用者でHbA1c値の大きな減少がみられ、その減少は短期で有意であった(6ヵ月で-0.34% vs.-0.26%、平均差:-0.09%、p=0.004)が、長期では有意ではなかった(3年で-0.31% vs.-0.35%、平均差:0.05%、p=0.344)。・スタチン使用者と非使用者の心血管イベント(3-point MACE)は、それぞれ878件と217件であった(1,000人年当たり20.7 vs.30.9、調整ハザード比:1.36、95%CI:1.15~1.62、p<0.0001)。・各スタチンでのサブグループ解析では、スタチン非使用者に比べて、すべてのスタチンで試験期間を通じてHbA1cが高かった(p<0.05)。・アトルバスタチン、シンバスタチン、ロスバスタチン、プラバスタチンにおける3-point MACEの調整ハザード比は、それぞれ0.82(95%CI:0.68~0.98)、0.67(同:0.55~0.82)、0.56(同:0.39~0.81)、0.78(同:0.60~1.01)であった。

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出産前搾乳は低リスク糖尿病妊婦において安全に実施できる(解説:住谷哲氏)-720

 肥満人口の増大に伴い糖尿病妊婦も増加している。糖尿病妊婦からの出生児は子宮内で高血糖の環境にあるため高インスリン状態にあり、分娩後は一過性低血糖を来すことがある。そのため分娩後NICUでの管理が必要になることが少なくない。初乳(colostrum)は通常の乳汁に比べてグルコース濃度が高く、出生児の低血糖を予防するために適切である。そこで、わが国ではあまりないと思われるが、欧米の一部では糖尿病妊婦に対する出産前搾乳が推奨されている。一方で、妊娠後期の搾乳はオキシトシン分泌を介して子宮収縮を促進することから、出生児の合併症を増加させる可能性も懸念されている。そこで糖尿病妊婦における出産前搾乳の有益性に関するコクランのシステマティックレビューが実施されたが、エビデンスが存在しないため有益性は不明とされていた1)。 本試験はこの「糖尿病妊婦の出産前搾乳は出生児に対して有益かつ安全か?」との臨床的疑問に回答を試みたものである。対象は9割以上が妊娠糖尿病(GDM)であり、残りが妊娠前糖尿病(pre-existing diabetes、1型糖尿病および2型糖尿病の両者を含む)である。多くの除外基準が設定されており(詳細は論文を参照されたい)、低リスク妊婦のみが対象となっている。対象患者は妊娠36週から搾乳する群と対照群に無作為に分けられたが、試験デザインから盲検化は不可能であり、データ回収、解析などを盲検化したPROBE(Prospective Randomized Open Blinded-Endpoint)法に近い方法が用いられた。 その結果、出生児のNICUへの入院率は両群に有意差はなく、出産前搾乳は低リスク糖尿病妊婦において安全に実施できると考えられた。ただし著者らが強調しているように、この試験の結果は多くの除外基準をクリアした低リスク妊婦のみに適用可能であり、すべての糖尿病妊婦に適用できるかは現時点では不明である。 本試験は、これまで慣習として広く実施されてきた医療行為(糖尿病妊婦における出産前搾乳)を臨床的疑問として定式化し、因果関係を証明するのに最も適切であるRCTを用いてその有益性を明らかにした。臨床的疑問の定式化はEBMの第一歩であるが、これは既存のエビデンスに基づいて眼前の臨床的疑問を解決する第一歩であるのみならず、自ら新たなエビデンスを創造するための第一歩でもある。本論文を読んで筆者はそれを再認識させられた。

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第11回 GLP-1受容体作動薬による治療のキホン【糖尿病治療のキホンとギモン】

【第11回】GLP-1受容体作動薬による治療のキホン―どのような患者さんが良い適応になりますか?また導入の判断となる指標があれば教えてください。 食事から吸収された糖質などの刺激により、消化管から消化管ホルモンであるGIP(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド)、GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)が血中に分泌されると、血行性に膵β細胞上のGIP受容体とGLP-1受容体にそれぞれ結合し、インスリン分泌が促進されます。その作用を応用したのがインクレチン関連薬と呼ばれるDPP-4阻害薬とGLP-1受容体作動薬で、GLP-1受容体作動薬は、膵β細胞上にあるGLP-1受容体に結合して、インスリン分泌を促進させます。 インクレチン関連薬は、膵β細胞内で代謝されたグルコースによるインスリン分泌の惹起経路を増幅させることで、インスリン分泌を促進させます。つまり、グルコースによるインスリン分泌惹起経路が働いて初めて、インクレチンによる増幅作用が働くことになります。そのため、GLP-1受容体作動薬のインスリン分泌作用は、グルコース濃度依存性であり、単独では低血糖を起こさないという特徴があります。 GLP-1受容体作動薬のもう1つ大きな特徴は「体重減少」です。GLP-1受容体は食欲をつかさどる視床下部にもあり、GLP-1受容体作動薬により、食欲が抑制されることで、体重減少効果が得られます。また、胃内容物の排泄抑制作用もあり、それによる体重減少効果、さらには、食後血糖の上昇抑制も期待できます。GLP-1受容体作動薬は、非肥満、肥満のいずれでも血糖低下効果は得られますが、とくに「体重減少」については、他の薬剤を上回る効果が得られるため、肥満の患者さんが良い適応であると考えています。ただ、GLP-1受容体作動薬は注射薬であるため、抵抗を示す患者さんも少なくありません。高用量のSU薬を含むいくつかの経口薬を使用しているにもかかわらず、良好な血糖コントロールが得られない患者さんで、体重減少も期待したいような場合に検討するとよいのではないでしょうか。―DPP-4阻害薬との作用機序や適応の違いについて教えてください。 GLP-1受容体作動薬が、膵β細胞上にあるGLP-1受容体に結合してインスリン分泌を促進させる、直接的に作用する薬剤であるのに対し、DPP-4阻害薬は、GIPおよびGLP-1が分泌された後に、それらを急速に分解する酵素であるDPP-4の活性を阻害して、GIPとGLP-1の不活化を抑制する、すなわち、間接的に作用する薬剤です。いずれも、前述のように、グルコース濃度依存性であり、単独では低血糖を起こさない薬剤ですが、DPP-4阻害薬は“生理的レベル”で効果を発揮するのに対し、GLP-1受容体作動薬は“非生理的レベル”で効果を発揮するため、DPP-4阻害薬は「体重増加を来さない」という効果が得られ、GLP-1受容体作動薬は「体重を減少させる」という効果が期待できます。“体重増加を来さない”で血糖を低下させる、“体重を減少させて”血糖を低下させる、という目的で使い分けるのがよいと思います。 ただ、DPP-4阻害薬は経口薬で、GLP-1受容体作動薬は注射薬です。導入のしやすさという点でも違いはありますが、今は、週1回投与のGLP-1受容体作動薬もあります。「週に1回なら」「自分で打つのはいやだけど、医療従事者に打ってもらうのであれば」という患者さんもいらっしゃいます。週1回製剤の中には、針の取り付けが不要なものもあり、取り扱いが非常に簡便なものもありますし、「“週に1回だけ”ならどうですか?」「ご自分で打つのが難しければ、週に1回、病院に来て打つのはどうですか?」というやり方で導入するのも良い方法です。―投与量の調整方法について教えてください。 GLP-1受容体作動薬はインスリン製剤と同じ注射薬ですが、インスリン製剤のような細やかな投与量の調整をする必要はありません。ただし、副作用としてみられる下痢や便秘、嘔気などの消化器症状が投与初期に認められるため1)、1回の投与量が決められている週1回の製剤ではなく、1日1回もしくは2回注射の製剤の場合は、最小用量から始め、様子をみながら、各製剤の添付文書に従って、増量していくのがよいでしょう。―適切な併用薬について教えてください。 前述のように、GLP-1受容体作動薬では、血糖低下以外に、体重減少効果が期待できます。さらなる体重減少という点で、体重減少効果のあるSGLT2阻害薬との併用※も効果的です。 (※2017年8月現在、日本でSGLT2阻害薬との併用が認められているのは、「リラグルチド(商品名:ビクトーザ)」、「リキセナチド(商品名:リスキミア)」と「デュラグルチド(商品名:トルリシティ)」のみ。) また、SGLT2阻害薬を使っていて、体重が増加してしまう場合に、体重減少を期待して、GLP-1受容体作動薬を上乗せするのもよいでしょう。実際に、海外で行われた、GLP-1受容体作動薬「エキセナチド(商品名:ビデュリオン)」と、SGLT2阻害薬「ダパグリフロジン(商品名:フォシーガ)」の併用の効果をみた「DURATION-8試験」で、それぞれの単独療法よりも、血糖低下および体重減少において効果が認められたことが示されました2)。 また、GLP-1受容体作動薬には、半減期の長い長時間作用型と、半減期の短い短時間作用型があり、短時間作用型では、高濃度のGLP-1が維持されないため、胃排泄の遅延作用に対するタキフィラキシー(効果減弱)が起こりにくいという特徴があります。胃排泄の遅延作用が継続するため、体重減少に加え、「食後高血糖の抑制作用」が期待できますが、空腹時高血糖の改善は得意ではないため、空腹時血糖値を低下させるSU薬やチアゾリジン薬、ビグアナイド(BG)薬、SGLT2阻害薬との併用が効果的です。一方、長時間作用型では、高濃度のGLP-1が維持されるため、空腹時の血糖低下作用が期待できます。食後高血糖を改善する速効型インスリン分泌促進薬やα-グルコシダーゼ阻害(GI)薬との併用がよいでしょう。ただし、SU薬や速効型インスリン分泌促進薬のように、インスリン分泌を直接惹起する経路に働く薬剤とそれを増幅させるGLP-1受容体作動薬を併用することはより効果的ではありますが、SU薬や速効型インスリン分泌促進薬の効果を増幅させることで、低血糖リスクが増加する恐れがあるため、慎重に投与する必要があります。―長期使用における安全性について教えてください。 インクレチン関連薬は、SU薬など古くから使われる糖尿病治療薬に比べると比較的新しい薬剤ですので、長期の安全性を懸念される方も多いと思います。GLP-1受容体作動薬では、DPP-4阻害薬と同様、膵炎や膵がんといった膵疾患との関連がいわれていますが、現時点で、GLP-1受容体作動薬においても、これら膵疾患への関連について、前向きに検討した報告はありません。ただ、GLP-1の薬理効果について、まだ十分解明されていない部分も多いため、長期安全性を含め、今後、未知な生理作用や副作用について、みていく必要はあります。1)日本糖尿病学会編・著. 糖尿病治療ガイド2016-2017. 文光堂;2016.2)Frias JP, et al. Lancet Diabetes Endocrinol. 2016;4:1004-1016.

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デグルデクはグラルギンU100と比較して低血糖の発現リスクを低下(解説:小川 大輔 氏)-717

 先日このコラムでDEVOTE試験のコメントを執筆した。集めた資料を眺めていると、「DEVOTE試験でデグルデクが低血糖の発現を低下させることが証明された」という記事や専門家のコメントが多いことに気付いた。 確かに間違いではないのだが、本来この試験はFDAから心血管への安全性に対して懸念を示されたこともあり、心血管イベントの発現をグラルギンU100と比較した試験である。低血糖の発現は主要評価項目ではないし、論文を読めばすぐにわかることだが、アブストラクトの結語やディスカッションの結論に低血糖の発現に関する記載は一切ない。それなのに副次評価項目である低血糖ばかり取り上げられている。DEVOTE試験とまったく関連はないのだが、ふとPROactive試験1)を思い出したのは私だけだろうか。 一方、1型糖尿病患者を対象としたSWITCH 1試験と2型糖尿病患者を対象としたSWITCH 2試験は、いずれもデグルデクをグラルギンU100と比較した、主要評価項目が低血糖の発現件数の試験である。デグルデクまたはグラルギンU100に、ボーラスインスリンとしてインスリンアスパルト(SWITCH 1試験)または経口血糖降下薬(SWITCH 2試験)を併用する治療を、デグルデクとグラルギンU100をクロスオーバーして32週間ずつ、計64週間行われた。 その結果、SWITCH 1および2試験において、デグルデクはグラルギンU100と比較して、主要評価項目である治療維持期間における重大なまたは血糖値確定症候性低血糖の発現件数を有意に低下させた。また、全治療期間を通じても、デグルデクはグラルギンU100と比較して低血糖の発現件数を有意に低下させた。 このSWITCH試験でデグルデクとグラルギンU100をクロスオーバーして、デグルデクのほうが低血糖の頻度が少ないことが示された。では、もう1つの持続時間の長い持効型インスリンであるグラルギンU300とデグルデクを比較したらどうなるか。現時点ではSWITCH試験と同様の検討はなく、どちらがより低血糖の発現が少ないかは不明である。次はぜひ持続時間の長いインスリン同士、デグルデクとグラルギンU300をクロスオーバーして効果と低血糖を比較する試験を行ってほしい。

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心血管への悪影響の懸念を払拭したインスリン デグルデク(解説:小川 大輔 氏)-713

 持効型インスリンであるグラルギンの登場により、糖尿病の治療は以前よりも安全に、また十分に行えるようになった。そして、より作用時間の長いインスリン デグルデクは、さらに低血糖を回避しながら確実に血糖コントロールを行う手段として期待されていた。 デグルデクは日本では2012年に承認されたが、米国では2013年にFDAが心血管への悪影響の懸念があるとして承認を見送った経緯がある。FDAからの「宿題」に対して行われた試験がこのDEVOTE試験である。 心血管疾患または慢性腎臓病を有する50歳以上、または心血管危険因子を有する60歳以上の2型糖尿病患者7,637例を対象とした、ランダム化二重盲検試験であり、標準治療にデグルデクを追加する群またはグラルギン U100を追加する群に1:1でランダムに割り付け、空腹時血糖値71~126mg/dLを目標に治療を行い、主要評価項目の発生が633例以上に達するまで継続する試験デザインであった。主要評価項目は心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中の複合心血管イベント(3ポイントMACE)が最初に発現するまでの時間である。また副次評価項目は重大な低血糖の発現件数とされた。 主要評価項目である3ポイントMACEのイベント発生は、デグルデク群とグラルギン群の間で有意差は認められず、グラルギン U100に対するデグルデクの非劣性が示された。副次評価項目に関しては両群間に有意差が認められ、デグルデク群はグラルギン U100群に比べて重大な低血糖の発現件数が有意に低下した。 グラルギン U100は、2012年に発表されたORIGIN試験で心血管への安全性が証明されている1)。今回の試験結果により、心血管イベントのリスクが高い2型糖尿病患者において、デグルデクはグラルギン U100に比べて心血管イベント発生に関して非劣性が確認され、当初FDAから疑問を呈されていた心血管への悪影響の懸念はようやく払拭されたことになった。ただ、心血管イベントのリスクが低い糖尿病患者での安全性、またより長い期間使用した場合の安全性(DEVOTEの試験期間は約2年)はまだ不明であり、今後の検討に期待したい。■参考1) ORIGIN Trial Investigators, et al. N Engl J Med. 2012; 367: 319-328.

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グラルギンU100使用中の1型糖尿病患者は低血糖を回避するためにデグルデクにSWITCHすべきか?(解説:住谷 哲 氏)-711

 DCCTおよびその後の延長試験であるEDICにおいて、厳格な血糖管理が1型糖尿病患者の細小血管障害および長期的には動脈硬化性心血管病(ASCVD)さらには総死亡を減少させることが明らかにされた1)。つまり1型糖尿病患者においては可能な限り正常血糖を目指す厳格なコントロールが望ましいといえる。しかし厳格な血糖管理は低血糖とのtrade-offであり、現実には可能な限り低血糖(とくに第三者の介助を必要とする重症低血糖 severe hypoglycemia)を生ずることなく血糖をコントロールすることが目標となる。将来的にclosed-loop insulin delivery systemまたは膵β細胞の再生が現実となればこの問題は解決するであろうが、当面は基礎インスリン(basal insulin)と食事インスリン(bolus insulin)からなるbasal-bolus therapy(BBT)を用いて、インスリン量を患者に応じて調節していくことになる。 本試験はより半減期の長い基礎インスリンであるデグルデクが、最も普及している基礎インスリンであるグラルギンU100に比べて低血糖が少ないかを検証したものである。理論上はグラルギンU100と比較して半減期が長く、より平坦な血糖降下作用を示すデグルデクのほうがより低血糖が少ないと考えられる。試験デザインは二重盲検無作為化クロスオーバー非劣性試験であり、クロスオーバー試験の弱点であるcarryoverの影響を最小にするように工夫された。主要評価項目は重症低血糖とBG<56mg/dLを伴う症候性低血糖の複合評価項目とされた。さらに2次評価項目は夜間低血糖(午前0時から6時までに生じた主要評価項目)である。 その結果、グラルギンU100に対するデグルデクの主要評価項目のrate ratio(RR)は0.89(95%CI:0.85~0.94、優位性検定p<0.001)であり、デグルデク群で有意に少なかった。同様に重症低血糖、夜間低血糖はそれぞれ0.65(0.48~0.89、優位性検定p=0.007)、0.64(0.56~0.73、優位性検定p<0.001)であり、両者ともにデグルデク群で有意に少なかった。 RCTの結果を実臨床に適用するときに常に問題となるのが一般化可能性 generalizabilityの問題である。おそらく本試験も例外ではないと思われる。対象患者は(1)1年以内に重症低血糖の既往がある、(2)腎機能異常がある(eGFR:30~59mL/min/1.73m2)、(3)低血糖無自覚症がある、(4)罹病期間が15年以上、(5)12週間以内に低血糖発作がある、以上のいずれかに該当する、低血糖を生じやすい患者が選ばれている。さらにTreat to targetを用いて、空腹時血糖が71~90mg/dL、毎食前血糖が71~108mg/dLになるようインスリンの増量が必要とされた。この血糖管理目標はきわめて厳格であり、あえて低血糖が容易に生じやすい状況下で試験が行われたともいえる。試験終了時のFPGがデグルデク、グラルギンU100両群ともに>130mg/dLであったことからも、低血糖に阻まれてインスリンが目標血糖値を達成するまで増量できなかった可能性が示唆される。したがって、本試験で得られたのと同じ結果が、上述した(1)~(5)に該当しない患者に対して、より緩やかな目標血糖値に基づいてインスリン投与を実施した場合に、得られるかは明らかではない。しかし本試験は、デグルデクがグラルギンU100に比べて、より少ない低血糖で同様の血糖管理を達成可能であることを明らかにした。グラルギンU100使用中で低血糖の壁に阻まれて目標血糖値を達成できない患者に対しては、グラルギンU100からデグルデクへのSWITCHを考慮するのも選択肢の1つであると思われる。

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治療抵抗性統合失調症、クロザピン+フルボキサミンの効果は

 多くの研究において、フルボキサミンは、クロザピンとの著しい薬物動態および薬理学的相互作用を有することが報告されている。台湾・台北医学大学のMong-Liang Lu氏らは、統合失調症患者へのクロザピン治療における代謝パラメータや精神病理に対するフルボキサミンの効果を評価するため、12週間の無作為化二重盲検プラセボ対照試験を行った。Schizophrenia research誌オンライン版2017年7月5日号の報告。 対象は、DSM-IVで統合失調症と診断された85例。フルボキサミン50mg/日+クロザピン100mg/日またはクロザピン300mg/日の2群に無作為に割り付けた。ベースラインおよび介入後4、8、12週目の代謝パラメータ、精神病理、薬物レベルを評価した。クロザピン、ノルクロザピン、クロザピンN-オキシドおよびフルボキサミンの血中レベルは、紫外検出高速液体クロマトグラフィーを用いて測定した。 主な結果は以下のとおり。・ベースライン特性は、両群間で有意な差は認められなかった。・クロザピンとフルボキサミンの併用療法は、クロザピン単独療法と比較し、体重、インスリン抵抗性およびインスリン、グルコース、トリグリセリドレベルの増加を有意に減少させた。・両群ともに、PANSS総スコア、陰性尺度スコアの有意な改善が認められた。・併用療法群は、単独療法群と比較し、PANSS総合精神病理尺度スコアの有意な改善が認められた。・血中クロザピンレベルは、両群間で差異は認められなかった。・単独療法群は、併用療法群と比較し、ノルクロザピンおよびクロザピンN-オキシドレベルが高かった。 著者らは「統合失調症患者に対するクロザピンとフルボキサミンの12週間併用療法は、クロザピン単独療法と比較し、臨床効果を減弱させることなく、体重増加や代謝異常を緩和することが可能である。これらの所見は、短期間の研究であるため、慎重に解釈する必要がある」としている。■関連記事治療抵抗性統合失調症は、クロザピンに期待するしかないのかクロザピン誘発性代謝系副作用への有効な介入は統合失調症患者に対するフルボキサミン併用療法は有用か:藤田保健衛生大学

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デグルデクvs.グラルギン、2型糖尿病低血糖リスクに違い/JAMA

 2型糖尿病患者において、基礎インスリン デグルデク(以下、デグルデク)はインスリン グラルギンU100(以下、グラルギン)と比較して、低血糖発現頻度の低下と関連することが示された。米国・ワシントン大学のCarol Wysham氏らによる無作為化試験「SWITCH 2」の結果で、JAMA誌2017年7月4日号で発表された。インスリン治療を受ける2型糖尿病患者において、低血糖は重大なリスクであり血糖コントロールに負の影響を及ぼす。デグルデク→グラルギン投与またはグラルギン→デグルデク投与に1対1の割合で割り付け SWITCH 2試験は2014年1月~2015年12月に、米国152施設において、2×32週間の治療期間(それぞれ、至適用量調整期16週+維持期16週)で実施された二重盲検無作為化クロスオーバーtreat-to-target試験。被験者は、低血糖リスクを1つ以上有する基礎インスリン治療を受ける2型糖尿病患者で、経口血糖降下薬の服用の有無は問わなかった。 被験者は721例で、デグルデク→グラルギン投与(361例)またはグラルギン→デグルデク投与(360例)に1対1の割合で、およびそれぞれ投与時期を朝1回投与または夕方1回投与に1対1の割合で、無作為に割り付けられた。 主要評価項目は、維持期におけるすべての重大な(米国糖尿病学会の定義に基づく)、または血糖値(<56mg/dL)で確定した、症候性低血糖の発現頻度(件/曝露患者年[patient-years of exposure:PYE])。副次評価項目は、夜間の症候性低血糖(0:01 am~5:59 amに発現した重大なまたは血糖値確定症候性低血糖)の発現頻度、維持期に重大な低血糖を発現した患者の割合などであった。デグルデクのほうがグラルギンより症候性低血糖の発現頻度が低い 無作為化された721例(平均年齢61.4[SD 10.5]歳、男性53.1%)のうち、580例(80.4%)が試験を完遂した。 維持期におけるすべての症候性低血糖の発現頻度は、デグルデク群185.6件/100PYE、グラルギン群265.4件/100PYEで、デグルデク群が有意に低かった(率比[RR]:0.70[95%信頼区間[CI]:0.61~0.80]、p<0.001、差:-23.66件/100PYE[95%CI:-33.98~-13.33])。同エピソードを発現した患者の割合は、デグルデク群22.5%、グラルギン群31.6%であった(差:-9.1%、95%CI:-13.1~-5.0)。 夜間の症候性低血糖の発現頻度は、デグルデク群55.2件/100PYE、グラルギン群93.6件/100PYEで、デグルデク群が有意に低かった(RR:0.58[95%CI:0.46~0.74]、p<0.001、差:-7.41件/100PYE[95%CI:-11.98~-2.85])。同エピソードを発現した患者の割合は、デグルデク群9.7%、グラルギン群14.7%であった(差:-5.1%、95%CI:-8.1~-2.0)。 維持期において重大な低血糖を発現した患者の割合は、デグルデク群1.6%(95%CI:0.6~2.7)、グラルギン群2.4%(95%CI:1.1~3.7)であった(McNemar検定のp=0.35、リスク差:-0.8%[95%CI:-2.2~0.5])。 なお、全治療期間においても、すべてのおよび夜間の症候性低血糖の発現頻度について、デグルデク群がグラルギン群よりも有意に低かったことが認められた。

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1型糖尿病の低血糖リスク、デグルデク vs.グラルギン/JAMA

 1型糖尿病患者において、低血糖は良好な血糖コントロールの大きな障壁であり、重大な低血糖は昏睡や死亡につながるおそれがある。米国・Mountain Diabetes and Endocrine CenterのWendy Lane氏らは、1型糖尿病患者における症候性低血糖の発現について、インスリン デグルデク(以下、デグルデク)とインスリン グラルギンU100(以下、グラルギン)を比較した無作為化試験「SWITCH 1」で、デグルデクによる32週間の治療はグラルギンと比較して、症候性低血糖の発現を低下させることを明らかにした。JAMA誌2017年7月4日号掲載の報告。低血糖の発現についてデグルデクのグラルギンに対する非劣性を検証 SWITCH 1試験は2014年1月~2016年1月12日に、米国84施設およびポーランド6施設において、低血糖のリスク因子を1つ以上有する1型糖尿病成人患者501例を対象に、2×32週間の治療期間(それぞれ、至適用量調整期16週+維持期16週)で実施された二重盲検無作為化クロスオーバー非劣性試験であった。 被験者は、デグルデク→グラルギン投与(249例)およびグラルギン→デグルデク投与(252例)に1対1の割合で、かつそれぞれ投与時期を朝1回投与または夕方1回投与に1対1の割合で、無作為に割り付けられた。 主要評価項目は、維持期におけるすべての重大な(米国糖尿病学会の定義に基づく)、または血糖値(<56mg/dL)で確定した、症候性低血糖の発現頻度(件/曝露人年[person-years’ exposure:PYE])。副次評価項目は、夜間の重大なまたは血糖値確定症候性低血糖の発現頻度、重大な低血糖を経験した患者の割合(どちらも維持期)などであった。主要評価項目などの非劣性マージンは、発現頻度の率比(RR)の両側95%信頼区間の上限値が1.10以下とし、非劣性が認められた場合は優越性を検証する両側検定を実施した。デグルデクのほうが全症候性低血糖の発現頻度が低い 無作為化された501例(平均年齢45.9歳、男性53.7%)のうち、395例(78.8%)が試験を完遂した。 維持期におけるすべての症候性低血糖の発現頻度は、デグルデク群2,200.9件/100PYE、グラルギン群2,462.7件/100PYEで、デグルデク群が有意に低かった(発現頻度のRR:0.89[95%信頼区間[CI]:0.85~0.94]、非劣性のp<0.001、優越性のp<0.001、発現頻度の差:-130.31件/100PYE[95%CI:-193.5~-67.16])。 維持期における夜間の症候性低血糖の発現頻度も、デグルデク群が有意に低いことが認められた(デグルデク群277.1件/100PYE、グラルギン群428.6件/100PYE、発現頻度のRR:0.64[95%CI:0.56~0.73]、非劣性のp<0.001、優越性のp<0.001、発現頻度の差:-61.94件/100PYE[95%CI:-83.85~-40.03])。 維持期に重大な低血糖を経験した患者の割合も、デグルデク群が低かった(デグルデク群10.3%[95%CI:7.3~13.3%]、グラルギン群17.1%[95%CI:13.4~20.8%]、McNemar検定のp=0.002、リスク差:-6.8%[95%CI:-10.8~-2.7])。

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DEVOTE 試験の臨床的意義

 2型糖尿病治療、とくにインスリン治療において低血糖管理は重要な問題だ。重症低血糖は心血管イベントリスク増加に関与し、患者さんの心理的負担も大きい。臨床でも、低血糖リスクの低いインスリン製剤を選択することが重要となる。これに関して今後の薬剤選択に影響を与えるデータが先日、ADAで発表された。心血管系リスクの高い2型糖尿病患者を対象にしたDEVOTE試験である。 DEVOTE試験の発表を受け、2017年7月4日都内にて、「インスリン治療の最新動向と今後の展望~第77回米国糖尿病学会の最新報告より~」と題するセミナーが開かれた(主催:ノボ ノルディスク ファーマ株式会社)。演者は、門脇 孝氏 (東京大学大学院医学系研究科糖尿病・代謝内科教授)。 以下、セミナーの内容を記載する。二重盲検CVOT試験であるDEVOTE 試験 DEVOTE試験は、基礎インスリンインスリン デグルデクとインスリン グラルギンU100の2製剤を比較した二重盲検CVOT(心血管アウトカム)試験である。インスリン注射の臨床試験はオープンラベルで行われるものが多いが、本試験はバイアルを用いた二重盲検試験だ。この点について、門脇氏は「グラルギンかデグルデクか医療者側もわからない、という点は試験結果を評価するうえでも重要な点だ」とコメントした。 試験対象は、心血管リスクが高い2型糖尿病の成人患者7,637例(デグルデク群3,818例、グラルギン群3,819例)で、1日1回夕食~就寝の間に、デグルデク群またはグラルギン群に1対1の割合で無作為に割り付けられた。デグルデク群はグラルギン群に対して、MACEで非劣性を示した 主要評価項目として、3-point MACE(心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中)が設定された。その結果、デグルデクのグラルギンに対する非劣性が検証され(ハザード比:0.91、95%信頼区間[CI]:0.78~1.06、非劣性のp<0.001)、デグルデクはグラルギンと比較して心血管リスクを増加させないことが示された。 24ヵ月時点での2群の平均HbA1c値に有意差はなく、平均空腹時血糖値は、デグルデク群がグラルギン群よりも有意に低下していた(128±56 vs.136±57mg/dL、p<0.001)。重大な低血糖発現では、デグルデク群が優越性を示した 副次評価項目である重大な低血糖の発現件数に関しては、デグルデク群が優越性を示した(率比:0.60、95%信頼区間[CI]:0.48~0.76、優越性のp<0.001)。さらに、デグルデク群は夜間の重大な低血糖の発現件数を53%有意に低下させた。その他の有害事象の発生については、両群で差はなかった。 今回のDEVOTE試験では、心血管系リスクの高い2型糖尿病患者においてデグルデクが対照薬よりも重大な低血糖リスクが低いことが示された。これはデグルデクの他の臨床試験(BEGIN、SWITCH2)とも一貫性のある結果であった。「低血糖の心配がなければ、もっと積極的に治療する」と考える医師は多い インスリン治療において低血糖管理は重要な問題である。インスリン療法に対する医師の考えを調査した結果によると、「低血糖の心配がなければもっと積極的に治療する」との回答が7割を占めるという。医学的アウトカムも重要だが、低血糖への懸念が払拭され、患者さんのQOLが保たれるという、心理的アウトカムも同時に達成されることは、インスリン治療では重要といえるだろう。 門脇氏は、この点を踏まえ「DEVOTE試験で、デグルデクのMACEに関する非劣性と重大な低血糖リスクの有意な減少が検証されたことは、今後の治療選択においても意義深い結果である」と述べ、講演を終えた。

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インスリン デグルデク vs.グラルギン、心血管転帰は?/NEJM

 2つの基礎インスリン製剤デグルデク(商品名:トレシーバ)とグラルギン(同:ランタスほか)について、心血管イベントリスクが高い2型糖尿病患者を対象に有効性および安全性を比較検討した結果、デグルデクはグラルギンに対して、主要な心血管イベントの発生に関して非劣性であることが示された。米国・リサーチメディカルセンターのSteven P. Marso氏らが行った「DEVOTE」試験の結果で、NEJM誌オンライン版2017年6月12日号で発表された。デグルデクは1日1回投与の持効型インスリンで、小児~成人への使用が承認されている。先行研究では非盲検試験において、デグルデクはグラルギンよりも血糖降下の日内・日差変動が小さく低血糖の発生頻度も低いことが示されていたが、心血管安全性についてはデータが示されていなかった。20ヵ国438施設で7,637例について二重盲検無作為化試験 DEVOTE試験は20ヵ国438施設で、二重盲検無作為化、treat-to-target、心血管アウトカムevent-driven法にて行われた。対象は、心血管リスクが高い2型糖尿病の成人患者で、1日1回夕食~就寝の間に、インスリン デグルデクまたはインスリン グラルギン U100を投与する群に1対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要評価項目は、主要な心血管イベント(心血管死、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中)の初発の複合で、評価はtime-to-event解析にて行われた。事前に規定された非劣性マージンは1.3であった。また、副次評価項目として重大な低血糖(米国糖尿病学会の定義で判定)、その夜間発生の頻度、イベント発現頻度などについて評価した。 2013年11月~2014年11月の間に、7,637例の患者が無作為化を受けた(デグルデク群3,818例、グラルギン群3,819例)。このうち6,509例(85.2%)が、心血管疾患または慢性腎臓病(CKD)と診断されていた。被験者のベースライン時の平均年齢は65.0歳、糖尿病の平均罹病期間は16.4年、平均糖化ヘモグロビン値は8.4±SD 1.7%。また、83.9%(6,409例)がベースラインでインスリン投与を受けていた。主要心血管イベントの発生、デグルデクはグラルギンに対し非劣性 主要アウトカムの発生は、デグルデク群325例(8.5%)、グラルギン群356例(9.3%)であった(ハザード比:0.91、95%信頼区間[CI]:0.78~1.06、非劣性のp<0.001)。 24ヵ月時点で、平均糖化ヘモグロビン値は、各群で7.5±1.2%で有意差はなかった(事後解析において推定治療差0.01%、95%CI:-0.05~0.07、p=0.78)。一方で、平均空腹時血糖値は、デグルデク群がグラルギン群よりも有意に低下した(128±56 vs. 136±57mg/dL、p<0.001)。 事前規定の重症低血糖の発生頻度は、デグルデク群187例(4.9%)、グラルギン群252例(6.6%)、絶対差は1.7%であった(率比:0.60、優越性のp<0.001、オッズ比:0.73、優越性のp<0.001)。 有害事象の発生について、両群で差はなかった。

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2017年度認定内科医試験、直前対策ダイジェスト(前編)

【第1回 膠原病/アレルギー】 全13問膠原病/アレルギー領域は、アップデートが頻繁な分野でキャッチアップしていくのが大変だが、それだけに基本的なところで確実に得点することが重要となってくる。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)これらの疾患とCoombsとGell分類の組み合わせで正しいものはどれか?1つ選べ(a)血清病 ― I型(b)クリオグロブリン血症 ― II型(c)特発性血小板減少性紫斑病 ― III型(d)アレルギー性接触皮膚炎 ― IV型(e)過敏性肺臓炎 ― I+IV型例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【第2回 感染症】 全9問感染症領域については、時事問題や感染対策、予防に関する問題がよく出題される傾向がある。代表的な感染症に加え、新興・再興感染症の感染対策についてもしっかり押さえておきたい。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)感染症について正しいものは次のうちどれか?1つ選べ(a)中東呼吸器症候群(MERS)は2類感染症であり、致死率は50%を超えるとされている(b)重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は4類感染症に指定されており、マダニを媒介としヒト-ヒト感染の報告はない(c)デング熱は4類感染症に指定されており、前回と異なる血清型のデングウイルスに感染した場合、交差免疫により不顕性感染となることが多いと報告されている(d)ジカ熱は4類感染症に指定されており、デングウイルス同様ネッタイシマカやヒトスジシマカを媒介とし、ギラン・バレー症候群のリスクとなる(e)カルバぺネム耐性腸内細菌科細菌は5類全数把握疾患に指定されており、保菌者も届出が必要とされる例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【第3回 呼吸器】 全10問呼吸器の分野については、レントゲンやCTなどの画像から診断を回答させる問題が増えている。アトラス等で疾患別の画像所見をしっかりと確認しておきたい。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)次の記載で正しいものはどれか?1つ選べ(a)成人の急性上気道炎の原因として最も多いものはRSウイルスである(b)Centor criteriaは次の通りである1)38℃以上の発熱、2)基礎疾患なし、3)圧痛を伴う前頸部リンパ節腫脹、4)白苔を伴う扁桃腫脹で行う溶連菌感染スコアリング(c)Ludwig’s anginaは菌血症による感染性血栓性頸静脈炎のことである(d)レミエール症候群は、Fusobacterium necrophorumなど嫌気性菌によるものが多い(e)初診外来で白苔を認める急性化膿性扁桃腺炎患者にアモキシシリンで治療した例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【第4回 腎臓】 全7問腎臓領域については、ネフローゼ症候群に関する出題が多く、細部まで問われる傾向がある。とくにネフローゼ症候群に関してはしっかりと押さえておきたいところである。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)急性腎不全(ARF)と急性腎障害(AKI)について正しいものはどれか?1つ選べ(a)「急性腎障害のためのKDIGO診療ガイドライン」ではAKIの定義として、24時間以内に血清Cr値が0.3mg/dL以上上昇、尿量<0.5mL/kg/時の状態が12時間以上持続する、という項目がある(b)FENa(Na排泄率)2.0%は腎前性腎不全を考える(c)急性尿細管壊死では、多尿が1~2週間持続し、尿中Naは20mEq/L以下であることが多い(d)急性尿細管壊死は消化管出血を合併することが多く、貧血になりやすい(e)尿中好酸球は、薬剤性急性尿細管間質性腎炎で検出され、その診断に有用なバイオマーカーである例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【第5回 内分泌】 全10問内分泌領域については、診断のための検査についての出題が多い。とくに甲状腺と副腎について問われることが多く、知識の整理が必要である。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)グレーブス病(バセドウ病)について正しいものはどれか?1つ選べ(a)バセドウ病に認めるMerseburg3徴は、甲状腺腫・眼球突出・限局性粘液水腫である(b)アミオダロン、インターフェロン製剤は、誘発因子として報告されている(c)甲状腺眼症を合併している患者の治療の第1選択は131I内用療法である(d)抗甲状腺薬にはチアマゾール(MMI)とプロピルチオウラシル(PTU)があり、妊娠・授乳中の患者はMMIの使用が推奨されている(e)131I内用療法の効果は早く、開始後1週間以内に治療効果を認める例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【第6回 代謝】 全10問代謝領域については、治療薬について細部まで聞かれる傾向がある。メタボリックシンドロームとアディポカインは毎年出題されるので、しっかり押さえておきたい。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)1型糖尿病について正しいものはどれか?1つ選べ(a)家族歴は2型糖尿病より1型糖尿病に多く認める(b)1型糖尿病の死因で最多は感染症によるものである(c)緩徐進行1型糖尿病は、できるかぎり経口糖尿病薬で治療を行い、インスリン導入を遅らせるべきである(d)劇症1型糖尿病は、膵島関連自己抗体陽性の小児に発症することが多い(e)劇症1型糖尿病は、血中膵外分泌酵素(アミラーゼ、リパーゼなど)の上昇を認めることが多い例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【例題の解答】第1回:(d)、第2回:(d)、第3回:(d)、第4回:(d)、第5回:(b)、第6回:(e)

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メトホルミン長期投与が1型糖尿病の心血管リスク削減か: REMOVAL試験

 メトホルミンが1型糖尿病患者においても血糖値を改善し、インスリン必要量を減少させる可能性が報告されているが、心血管系のベネフィットについては明らかになっていない。心血管リスクがある成人1型糖尿病患者を対象に、メトホルミンの心血管障害の軽減作用を評価したREMOVAL試験の結果、ADAのガイドラインで提案されている血糖コントロールに対する効果は持続的なものではなく、むしろLDLコレステロール削減や動脈硬化予防など、心血管系のリスク管理において役割を果たす可能性が明らかとなった。この結果は第77回米国糖尿病学会(ADA)年次集会で報告され、論文がLancet Diabetes & Endocrinology誌オンライン版に6月11日同時掲載された。 REMOVAL試験は、5ヵ国(オーストラリア、カナダ、デンマーク、オランダ、英国)、23の病院または診療所で、5年以上の1型糖尿病罹患歴があり、10の特定の心血管リスク因子(BMI≧27kg/m2、HbA1c値> 8.0%、強いCVDの家族歴等)のうち少なくとも3つを持つ、40歳以上の1型糖尿病患者を対象に行われた二重盲検プラセボ対照試験である。被験者は1日2回経口メトホルミン1,000mg投与群(点滴によるインスリン治療と併用)またはプラセボ群に無作為に割り付けられ、メトホルミンがアテローム性動脈硬化症を減少させるかどうかについて、頸動脈内膜中膜肥厚(CIMT)の変化によって評価する3年間の追跡調査が行われた。 主要アウトカムは1年ごとの平均Far Wall CIMT値の変化で、反復測定に基づく修正intention-to-treat解析が行われた。副次アウトカムは、HbA1c値、LDLコレステロール、推定糸球体濾過量(eGFR)、体重、インスリン必要量、微量アルブミン尿(報告なし)、網膜症、および内皮機能とされた。 主な結果は以下のとおり。・3ヵ月間のリスク因子と血糖値の最適化期間を経て、428例の患者のうち、219例がメトホルミン投与群、209例がプラセボ群に無作為に割り付けられた。・平均CIMT値はメトホルミンによる有意な減少はなかったが(約-0.005mm/年、95%信頼区間[CI]:-0.012~0.002、p=0.1664)、最大CIMT値(3次アウトカム)は有意に減少した(-0.013mm/年、95%CI :-0.024~0.003、p=0.0093)。・メトホルミン投与群で、3年後のHbA1c値(ベースラインでのメトホルミン投与群:平均8.1%[SD 0.9]、プラセボ群:8.0%[SD 0.8])は減少していたが(-0.13%、95%CI:-0.22 ~-0.037、p=0.0060)、これは最初の3ヵ月以内の減少によるもので(-0.24%、-0.34~-0.13、p<0.0001)、その後は減少しなかった(p=0.0163 for visit-by-treatment interaction)。・メトホルミン投与群で、3年後の体重(-1.17kg、95%CI:-1.66~-0.69、p<0.0001)およびLDLコレステロール(-0.13mmol/L、95%CI:-0.24~-0.03、p=0.0117)が減少したが、eGFRは増加した(4.0mL/分/1.73m2、95%CI:2.19~5.82、p<0.0001)。またインスリン必要量の低下はみられなかった(体重1kg当たり-0.005単位、95%CI:-0.02~0.012、p=0.545)。・反応性充血指数または網膜症の有無により評価された内皮機能に影響はなかった。・治療中止はメトホルミン投与群59例(27%)、プラセボ投与群26例(12%)であり、主な原因は消化器系副作用の増加によるもので、メトホルミンによる低血糖症の増加はみられなかった(p=0.0002)。・メトホルミン投与群で5例、プラセボ群で2例が死亡したが、主任研究者により、本研究における治療との関連は判断されなかった。■参考ADA2017 Press ReleaseREMOVAL試験(Clinical Trials.gov)

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