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出生前後のプロバイオティクス投与がアトピーの一次予防の可能性

 一般集団およびアレルギーリスクがある集団のいずれにおいても、生誕前後にプロバイオティクスを与えることが、アトピー性皮膚炎(AD)の発症予防に役立つ可能性が、ルーマニアのキャロル・デイビラ・ユニバーシティ・オブ・メディスン・アンド・ファーマシーのM. Panduru氏らにより報告された。AD発症率は上昇しているが、ADという疾患の真の原因は明らかになっていない。プロバイオティクスは、AD予防に関与している可能性が示唆されているが、その役割については議論の的となっていた。Journal of the European Academy of Dermatology and Venereology誌オンライン版2014年4月4日号の掲載報告。 研究グループは、AD発症におけるプロバイオティクスの役割評価を目的としたレビューを行った。国際的なデータベース(PubMed、Scopus、Web of Knowledge、EBSCO、ARTO、Google Scholar、ClinicalTrials.gov)を用いて、同トピックについて広範囲に検索し、分析が行われていた試験だけを選択。それらの試験について、オッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を算出し評価した。 主な結果は以下のとおり。・データベースの検索により1,513本の論文をみつけた。そのうち26本が適格条件を満たしていたが、同一集団の試験を除外し、最終的に16本の試験を分析に含んだ。・メタ解析の結果、プロバイオティクスを与えることは、AD発症を予防することが明らかになった(OR:0.56、p=0.0001)。・サブグループメタ解析の結果、一般集団およびアレルギー高リスク集団において、乳酸菌のみを与えること(OR:0.76、p=0.04)、および乳酸菌+ビフィズス菌を与えること(OR:0.54、p=0.001)が、ADの発症を予防することが示された。・さらなるサブグループ解析で、プロバイオティクスの出生前投与と出生後投与が有効であることが示された(OR:0.54、p=0.001)。出生後投与だけの場合は有効性は有意ではなかった(OR:0.89、p=0.59)。・最後に、投与タイプ別に行ったサブグループ解析で、乳酸菌のみを与えること(OR:0.75、p=0.03)、および乳酸菌+ビフィズス菌を与えること(OR:0.54、p=0.0001)のいずれもが、ADを予防することが示された。

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肺炎・気管支喘息で入院した乳児が低酸素血症となって死亡したケース

小児科最終判決判例時報 1761号107-114頁概要2日前からの高熱、呼吸困難を主訴として近医から紹介された2歳7ヵ月の男児。肺炎および気管支喘息の診断で午前中に小児科入院となった。入院時の医師はネブライザー、輸液、抗菌薬、気管支拡張薬、ステロイドなどの指示を出し、入院後は診察することなく定時に帰宅した。ところが、夜間も呼吸状態は改善せず、翌日早朝に呼吸停止状態で発見された。当直医らによってただちに救急蘇生が行われ、気管支内視鏡で気管分岐部に貯留した鼻くそ様の粘調痰をとりのぞいたが低酸素脳症に陥り、9ヵ月後に死亡した。詳細な経過患者情報気管支喘息やアトピーなどアレルギー性疾患の既往のない2歳7ヵ月男児。4歳年上の姉には気管支喘息の既往歴があった経過1995年1月24日38℃の発熱。1月25日発熱は40℃となり、喘鳴も出現したため近医小児科受診して投薬を受ける。1月26日早朝から息苦しさを訴えたため救急車で近医へ搬送。四肢末梢と顔面にチアノーゼを認め、β刺激薬プロカテロール(商品名:メプチン)の吸入を受けたのち総合病院小児科に転送。10:10総合病院(小児科常勤医師4名)に入院時にはチアノーゼ消失、咽頭発赤、陥没気味の呼吸、わずかな喘鳴を認めた。胸部X線写真:右肺門部から右下肺野にかけて浸潤影血液検査:脱水症状、CRP 14.7、喉にブドウ球菌の付着以上の所見から、咽頭炎、肺炎、気管支喘息と診断し、輸液(150mL/hr)、解熱薬アセトアミノフェン(同:アンヒバ坐薬)、メフェナム(同:ポンタールシロップ)、抗菌薬フルモキセフ(同:フルマリン)、アミノフィリン静注、ネブライザーメプチン®、気道分泌促進薬ブロムヘキシン(同:ビソルボン)、内服テレブタリン(同:ブリカニール)、アンブロキソール(同:ムコソルバン)、クロルフェニラミンマレイン(同:ポララミン)を指示した(容態急変まで血液ガス、経皮酸素飽和度は1回も測定せず)。10:30体温39.5℃、陥没気味の呼吸(40回/分)、喘鳴あり。11:15喘鳴強く呼吸苦あり、ステロイドのヒドロコルチゾン(同:サクシゾン)100mg静注。14:00体温36.7℃、肩呼吸(50回/分)、喘鳴あり。16:30担当医師は看護師から「喉頭部から喘鳴が聞こえる」という上申を受けたが、患児を診察することなく17:00に帰宅。19:30喉頭部の喘鳴と肩呼吸(50回/分)、夕食を飲み込めず吐き出し、内服薬も服用できず、吸入も嫌がってできない。22:00体温38.3℃、アンヒバ®坐薬使用。1月17日02:20体温38.1℃、陥没気味の呼吸(52回/分)、喘鳴あり。サクシゾン®100mg静注。06:30体温37.1℃、陥没気味の呼吸、咳あり。07:20ネブライザー吸入を行おうとしたが嫌がり、機器を手ではねつけた直後に全身チアノーゼが出現。07:30患児を処置室に移動し、ただちに酸素吸入を行う。07:40呼吸停止。07:55小児科医師が到着し気管内挿管を試みたが、喉頭部がみえにくくなかなか挿管できず。マスクによる換気を行いつつ麻酔科医師を応援を要請。08:10ようやく気管内挿管完了(呼吸停止後30分)、この時喉頭部には異常を認めなかった。ただちにICUに移動して集中治療が行われたが、低酸素脳症による四肢麻痺、重度意識障害となる。10:00気管支鏡で観察したところ、気管および気管支には粘稠な痰があり、とくに気管分岐部には鼻くそ様の固まりがみられた。10月26日約9ヵ月後に低酸素脳症により死亡。当事者の主張患者側(原告)の主張肺炎、気管支喘息と診断して入院し各種治療が始まった後も、頻呼吸、肩呼吸、陥没呼吸、体動、喘鳴がみられ呼吸障害は増強していたのだから、気管支喘息治療のガイドラインに沿ってイソプレテレノールの持続吸入を追加したり気管内挿管の準備をするべきであったのに、入院時の担当医師は入院後一度も病室を訪れることなく、午後5:00過ぎに帰宅して適切な指示を出さなかった。夜間帯の当直医師、看護師も、適切な病状観察、病態把握、適切な治療を怠ったため、呼吸不全に陥った。病院側(被告)の主張小児科病棟は主治医制ではなく3名の小児科医による輪番制がとられ、入院時の担当医師は肺炎、気管支喘息の患者に対し適切な治療を行って、起坐呼吸やチアノーゼ、呼吸音の減弱や意識障害もないことを確認し、同日の病棟担当医であった医師へきちんと申し送りをして帰宅した。その後も呼吸不全を予測させるような徴候はなかったので、入院翌日の午前7:00過ぎに突発的に呼吸不全に陥ったのはやむを得ない病態であった。裁判所の判断入院時の担当医師は、肺炎、気管支喘息の診断を下してそれに沿った注射・投薬の指示を出しているので、ほかの小児科医師に比べて格段の差をもって病態の把握をしていたことになる。そのため、小児科病棟では主治医制をとらず輪番制であったことを考慮しても、患者の治療について第一に責任を負うものであり、少なくとも夜間の当直医とのあいだで綿密な打ち合わせを行い、午後5:00に帰宅後も治療に遺漏がないようにしておくべきであった。ところが、入院後一度も病室を訪れず、経皮酸素飽和度を測定することもなく、ガイドラインに沿った治療のグレードアップや呼吸停止に至る前の気管内挿管の機会を逸し、容態急変から死亡に至った。患者側1億545万円の請求に対し6,950万円の判決考察1. 呼吸停止の原因について裁判では呼吸停止の原因として、「肺炎や気管支喘息に起因する気道閉塞によって、肺におけるガス交換が不十分となり呼吸不全に陥った」と判断しています。そのため、小児気管支喘息のガイドラインを引用して、「イソプロテレノールの持続吸入をしなかったのはけしからん、気道確保を準備しなかったのは過失だ」という判断へとつながりました。ところが経過をよくみると、容態急変後の気管支鏡検査で「気管および気管支には粘稠な痰があり、とくに気管分岐部には鼻くそ様の固まりがみられた」ため、気管支喘息の重積発作というよりも、粘調痰による気道閉塞がもっとも疑われます。しかも、当直医が気管内挿管に手間取り、麻酔科医をコールして何とか気管内挿管できたのは呼吸停止から30分も経過してからでした。要するに、痰がつまった状態を放置して気道確保が遅れたことが致命的になったのではないかと思われます。裁判ではなぜかこの点を重視しておらず、定時の勤務が終了し午後5:00過ぎに帰宅していた入院時の担当医師が(帰宅後も)適切な指示を出さなかった点をことさら問題としました。2. 主治医制をとるべきか当時この病院では部長医師を含む小児科医4名が常駐し、夜間・休日の当直は部長以外の医師3名で輪番制をとっていたということです。昨今の情勢を考えると、小児医療を取り巻く状況は大変厳しいために、おそらく4名の小児科医でもてんてこ舞いの状況ではなかったかと推測されます。入院時の担当医師は、肺炎、気管支喘息と診断した乳児に対し、血管確保のうえで輸液、抗菌薬、アミノフィリン持続点滴を行い、ネブライザー、各種内服を指示するなど、中~大発作を想定した気管支喘息に対する処置は行っています。それでも呼吸状態が安定しなかったので、ステロイドのワンショット静注を2回くり返しました。通常であれば、その後は回復に向かうはずなのですが、今回の患児は内服薬を嫌がってこぼしたり、ネブライザーの吸入をさせようとしてもうまくできなかったりなど、医師が想定した治療計画の一部は実施されませんでした。そして、当直帯は輪番制をとっていることもあって、入院時にきちんとした指示さえ出しておけば、後は当番の病棟担当医がみてくれるはずだ、という認識であったと思われます。そのため、11:00過ぎの入院から17:00過ぎに帰宅するまで6時間もありながら(当然その間は外来業務を行っていたと思いますが)一度も病室に赴くことなく、看護師から簡単な報告を受けただけで帰宅し、自分の目で治療効果を確かめなかったことになります。もし、帰宅前に患者を診察し、呼吸音を聴診したり経皮酸素飽和度を測るなどの配慮をしていれば、「予想以上に粘調痰がたまっているので危ないぞ」という考えに至ったのかも知れません。ところが、本件では血液ガス検査は行われず、急性呼吸不全の徴候を早期に捉えることができませんでした。そして、裁判でも、「入院時の担当医師はほかの小児科医師に比べて格段の差をもって病態の把握をしていたため、小児科病棟では主治医制をとらず輪番制であったことを考慮しても、患者の治療について第一に責任を負うものであり、少なくとも夜間の当直医とのあいだで綿密な打ち合わせを行い、午後5:00に帰宅後も治療に遺漏がないようにしておくべきであった」という、耳が痛くなるような判決が下りました。ここで問題となるのが、主治医制をとるべきかどうかという点です。今回の総合病院のように、医師個人への負担が大きくならないようにグループで患者をみる施設もありますが、その弊害としてもっとも厄介なのが無責任体制に陥りやすいということです。本件でも、裁判では問題視されなかった輪番の小児科当直医師が容態急変前に患者をみるべきであったのに、申し送りが不十分なこともあってほとんど関心を示さず、いよいよ呼吸停止となってからあわてて駆けつけました。つまり、入院時の担当医師は「5:00以降はやっと業務から解放されるので早く帰宅しよう」と考えていたでしょうし、当直医師は「容態急変するかも知れないなんて一切聞いてない。入院時の医師は何を考えているんだ」と、まるで責任のなすりつけのような状況ではなかったかと思われます。そのことで損をするのは患者に他なりませんから、輪番制をとるにしても主治医を明確にしておくことが望まれます。ましてや、「輪番制であったことを考慮しても、(入院指示を出した医師が)患者の治療について第一に責任を負う」という厳しい判決がおりていますので、間接的ではありますが裁判所から「主治医制をとるべきである」という見解が示されたと同じではないかと思います。小児科

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重症アトピー性皮膚炎にステロイド外用剤ウェットラップ療法は有効な選択肢

 重症アトピー性皮膚炎(AD)に対して、少なくとも4週間にわたる、ステロイド外用剤を塗布後にラップで覆う「ウェットラップ療法(WWT)」は有効な治療選択肢であることが明らかにされた。オランダ・エラスムス大学医療センターのSherief R. Janmohamed氏らが、前向き無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、報告した。WWTは、小児の重症ADに対する有効な治療となることが支持され、しばしばADの緊急処置として用いられるようになっていた。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2014年3月31日号の掲載報告。 研究グループは、ステロイド外用剤WWT(治療期間4週間で塗布量を徐々に減量)について評価する無作為化二重盲検プラセボ対照試験を行った。被験者は、6ヵ月齢~10歳までの小児で、重症AD(SCORADスコア40±5以上)であった。 被験者をステロイド外用剤WWT群(1:3モメタゾンフランカルボン酸0.1%軟膏、顔面については1:19モメタゾンフランカルボン酸0.1%軟膏)、または皮膚軟化薬WWT群(ワセリン20%入りクリーム)に無作為に割り付けて評価した。 主要アウトカムは、SCORADの改善。副次アウトカムは、Patient-Oriented Eczema Measure評価やQOL指数などであった。 主な結果は以下のとおり。・ステロイド外用剤WWT群は、皮膚軟化薬WWT群よりも急速かつより有効であった。・最善の結果は、6~9歳群と0~3歳群で得られた。・SCORADで評価した有効性についての差は、すべての測定ポイントで有意差が認められた。・また、QOL指数も同様であった。・本検討は比較数が少なく限定的である。

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小児時のアトピーは大人になっても治らない?

 米国・ペンシルベニア大学のJacob S. Margolis氏らは、全米から長期にわたり被験者を募って行われている前向き観察コホート研究のPediatric Eczema Elective Registry(PEER)登録患者について分析し、アトピー性皮膚炎(AD)の自然経過を評価し、症状の持続性について明らかにする検討を行った。その結果、すべての年齢(2~26歳)で、登録被験者の80%超がADの症状を有しているか治療を受けていたことが判明したという。ADは小児のありふれた疾患の1つであり、2歳までに発症し、増悪と寛解(waxing and waning)を繰り返し、多くは10歳までに治癒すると報告されていた。JAMA Dermatology誌オンライン版2014年4月2日号の掲載報告。 ADは遺伝的素因と環境的要因が複雑に作用して発症すると考えられているが、これまで、ADの自然経過や、遺伝的または環境的要因と「増悪と寛解」という性質とがどのように関連しているかについてはほとんど研究されていなかった。 一方で10年前にアトピー性皮膚炎の治療薬として承認された局所免疫抑制薬について、米国食品医薬品局(FDA)および欧州医薬品庁(EMA)は製薬メーカーに対して、長期の市販後安全性試験を行うことを義務づけた。PEERは、その1つピメクロリムス(国内未承認)の試験。 研究グループはPEERが軽度~中等度ADの自然経過の評価に適していることから同研究参加者を対象に検討を行った。主要評価項目は、6ヵ月ごとに評価した自己報告に基づくアウトカムで、6ヵ月間AD症状がなかったことであった。 主な結果は以下のとおり。・PEERは2004年に開始され(登録時の適格年齢は2~17歳)、現在まで約10年間参加者を追跡している前向き観察コホート研究である。・分析時点において7,157例登録されており、総観察人年は2万2,550人年であった。4,248例が2年以上、2,416例が5年以上追跡を受けていた。・被験者のAD発症時の平均年齢は1.7歳、試験登録時の平均年齢は7.4歳であった。6ヵ月間隔のサーベイを中央値5回受けていた。・複数の人口統計学的および曝露変数が、ADの持続と関連していた。・すべての年齢(すなわち2~26歳)で、PEER参加者の80%超がAD症状を有していたおよび/またはADの薬物治療を受けていた。・6ヵ月間の無症状または無治療期間を1回以上有した患者の割合が、50%に達することは、20歳前はなかった。 今回の大規模長期コホート研究により、ADに関連した症状は、20歳までの小児期およびそれ以上の長期にわたり持続する可能性が示唆された。著者は、「アトピー性皮膚炎は、おそらく生涯にわたる疾患であると思われる」とまとめている。

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アトピー性皮膚炎児に多い併存疾患は?

 フランス・ブレスト大学のLaurent Misery氏らは、一般開業医を受診するアトピー性皮膚炎小児患者と適合対照者を9年間追跡し、頻度の高い併存疾患や医療費などを調べた。その結果、呼吸器および眼系の臓器に疾患を伴う頻度が高いことを報告。また医療費はアトピー性皮膚炎患者で高かったが、年齢とともにその差は縮小することも明らかになった。これまでアトピー性皮膚炎患者における併存疾患と治療コストとの関連について、プライマリ・ケア設定での検討はほとんど知られていなかった。Dermatology誌オンライン版2014年3月20日号の掲載報告。 研究グループは、アトピー性皮膚炎患者における併存疾患と治療コストとの関連を調べるため、フランスの一般開業医を受診した患者の電子カルテデータベースを用いて、後ろ向きコホート研究を行った。 生後1歳未満でアトピー性皮膚炎を診断された全乳児と、疾患の有無を問わず性別で適合した乳児を対象に分析した。 主な結果は以下のとおり。・被験児(患児群、適合対照群とも1,163例ずつ)を、9年間追跡した。・分析により、関連疾患、薬剤費、治療費が判明した。・患児群と適合対照群を比較した結果、患児群のほうが併存疾患をより多く有しており、とくに呼吸器系、眼系の臓器に関する疾患が多かった。・皮膚科疾患領域における処方を伴う治療件数および全体的な医療費(一般開業医の診察および治療薬処方)は、アトピー性皮膚炎患者において高かった。しかし、その差は年齢とともに縮小していた。

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小児のアトピーにも低用量メトトレキサート治療は有効

 ニュージーランド・ワイカトホスピタルのManeka Deo氏らは、同国内で行われた小児および若者のアトピー性皮膚炎に対するメトトレキサート治療について、後ろ向きレビューを行った。31例(平均年齢10歳)を対象とした分析の結果、著者は、「低用量投与では安全性/忍容性は良好であり、有効であると思われた」と発表し、今後の公式の比較試験の必要性を提言した。International Journal of Dermatology誌オンライン版2014年3月6日号の掲載報告。 低用量メトトレキサート治療は、成人のアトピー性皮膚炎ではセカンドラインの治療として確立されるようになっている。 一方でその投与について、小児への導入も支持する一部のデータがあることから、著者らは、ニュージーランドの病院の皮膚科部門をベースに、18歳未満の患者で、メトトレキサート治療を受けた患者について後ろ向きにレビューを行った。対象期間は2005年1月~2010年4月の間であった。 主な結果は以下のとおり。・レビュー対象となったのは、31例(女子17例、平均年齢10歳、範囲3~18歳)であった。・メトトレキサートが有効であった(effective)または非常に有効であった(very effective)は、75%で認められた。25%は、無効例(ineffective)であった。・最も頻度の高い有害事象は、軽度の悪心で報告は4例(14%)であった。肝酵素の増加は4例報告があったが有意ではなかった。・重篤な副作用は報告がなかった。

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アトピー性皮膚炎に紫外線療法は有効な選択肢

オランダ・アムステルダム大学のF M Garritsen氏らは最新のシステマティックレビューを行い、アトピー性皮膚炎に対する紫外線療法は有効な治療オプションとなりうることを発表した。また著者は、今回のレビュー結果に基づき、紫外線(UV)A1およびナローバンド(NB)-UVBが有用であると述べている。一方で、今後さらによりよくデザインされた、検出力が十分な無作為化試験の必要性についても 言及した。紫外線療法はアトピー性皮膚炎患者において一般的に行われているが、その効果のエビデンスについて、直近の系統的なレビューは行われていなかった。British Journal of Dermatology誌2014年3月号の掲載報告。 本レビューは、アトピー性皮膚炎患者の紫外線療法の有効性を評価すること、エビデンスベースに基づく治療勧告を提言することを目的に行われた。 MEDLINE、EMBASE、Cochrane Central Register of Controlled Trials (CENTRAL)、Global Resource of EczemA Trials(GREAT)の電子的文献検索と、前向き試験レジスター、さらにPubMed検索で直近の試験を検索した。 アトピー性皮膚炎治療としての紫外線療法に関するすべての無作為化試験を、データ抽出対象とみなし評価を行った。 主な結果は以下のとおり。・検索の結果、19試験・被験者905例が包含された。・無作為化試験は概して、臨床的および質的に不均一なものであった。そのため、正式なメタ解析はできなかった。・包含されたエビデンスに基づき(サンプルサイズが小さく、試験の質にばらつきがあり、直接比較は小数ではあったが)、UVA1、NB-UVBは、臨床的徴候および症状の減少に最も有効な治療法と思われた。・高用量UVA1と、中程度UVA1には差がみられなかった。・UVABは、UVAおよびブロードバンドUVBよりも、臨床的症状改善について、より効果的であることが示唆された。なおUVA1との比較は行われていなかった。・その他有効な治療オプションとしては、フルスペクトラムライト、ソラレン+UVA、balneophototherapyなどがあった。・重篤な副作用は報告されていなかった。

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アトピー性皮膚炎、自家血療法の効果に迫る

 先行研究において、アトピー性皮膚炎(AD)患者における自家血療法(ABT)の臨床的有効性が無作為化二重盲検プラセボ対照試験によって示されているが、韓国・亜洲大学校のSu-Mi Cho 氏らによる検討の結果、同効果をもたらしている血液成分は、高分子量の血漿蛋白分画に存在する可能性が示唆された。Dermatology誌2014年2月号(オンライン版2013年12月10日号)の掲載報告。 研究グループは本検討において、先行研究で示されたADに対するABTの有効性をもたらした血液成分を明らかにすることを目的とした。また、自家血漿療法(APT)と自家高分子血漿蛋白分画療法(AHPT)の臨床的効果について評価した。 難治性のAD患者について、7週間で計8回の筋注によるAPTもしくはAHPTを行った。投与は、0~3週目の4回は2mL、4~7週目の4回は5mLであった。 主要有効性アウトカムは、ADの臨床的重症度の変化で、SCORAD測定により評価した。 主な結果は以下のとおり。・被験者は、APT群11例(男性8例、26.6±7.3歳)、AHPT群11例(男性8例、26.5±4.7歳)の計22例であった。SCORAD 50点超の重症AD患者は両群とも10例ずつであった。また、APT群の5例、AHPT群の3例が、試験登録より3ヵ月超前にシクロスポリン療法を受けていた。・結果、AHPT群の治療を完了した患者11例は、SCORADが有意に低下した。ベースライン時79.7±17.0点から、6週時点65.8±16.4点、7週時点60.1±16.0点であった(Wilcoxon signed-rank検定p<0.05)。・一方、APT群で治療を完了した10例は、SCORADの変化は有意ではなかった。ベースライン時74.2±19.6点から、6週時点66.3±23.6点、7週時点67.5±20.8点であった(p>0.05)。・治療反応(臨床的重症度スコアがベースライン時から30%以上減少した患者の割合)については、両群で有意差はみられなかった(p=0.08)。・以上を踏まえて著者は、「本検討において、難治性ADについてAHPTは有意な臨床的改善をもたらすことが示された。このことは、AD患者のABTにおける効果をもたらしている血液成分は高分子量血漿蛋白分画であることを示唆する。さらなる検討により、ABT治療の作用機序を明らかにする必要がある」とまとめている。

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鼻炎患者のPADリスク、4.63倍

 イタリア・ヴェローナ大学のM. Ferrari氏らによる成人1,174例を対象とした住民ベースの多症例コントロール研究の分析から、鼻炎が、将来の脳・心血管イベントを予測する末梢動脈疾患(PAD)と関連していることが示された。対象者は呼吸器疾患サーベイの参加者で、呼吸器疾患と間欠跛行との関連を調べた結果、鼻炎と間欠跛行の有意な関連がアトピー性皮膚炎とは独立してみられたという。喘息のみ患者や、喘息と鼻炎の併発患者では関連は有意ではなかったことも示されている。Allergy誌オンライン版2014年1月21日号の掲載報告。 先行研究において、慢性の炎症性気道疾患は心臓や脳の血管系疾患と関連していることが報告されたが、PADとの関連は検討されていなかった。そこで研究グループは、喘息や鼻炎と、PADの典型的症状である間欠跛行との関連を調べた。 住民ベースの多症例コントロール研究であった呼吸器疾患サーベイから、遺伝子‐環境因子を連関してデータを集め分析した。被験者は、面談、皮膚プリックテスト、肺機能検査を受けていた。 呼吸器疾患と間欠跛行(歩行中に痛みを感じ、休むと10分以内に消えるなど)の関連を、多項ロジスティック回帰モデルによる相対リスク比(RRR)により推定した。 主な結果は以下のとおり。・1,174例(20~64歳、女性52%)が臨床検査を受け、喘息のみ群(81例)、喘息と鼻炎の併発群(292例)、鼻炎のみ群(299例)、対照群(345例)の4グループに分類された。・各群の間欠跛行有病率は、喘息のみ群2.5%、喘息‐鼻炎群3.4%、鼻炎のみ群6.4%、対照群2.3%であった。・喫煙習慣、複数の血管リスク因子(確立された潜在因子)で補正後、鼻炎のみと間欠跛行との関連がみられた(RRR:4.63、95%信頼区間[CI]:1.72~12.5)。一方で、喘息のみ(同:1.45、0.27~7.76)、喘息‐鼻炎(同:2.89、0.91~9.18)では有意な関連がみられなかった。・鼻炎と間欠跛行の関連は、アトピー性皮膚炎を考慮しても変わらなかった。・鼻炎は、将来的な脳血管・心血管疾患を予測するPADと関連していることが示され、その関連はアトピー性皮膚炎の存在とは独立したものであった。

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アトピー性皮膚炎のかゆみの評価に期待される「ひっかき音検出システム」

 三重大学大学院工学研究科物理工学科准教授・野呂雄一氏、同医学系研究科皮膚科学教授・水谷仁氏らは、アトピー性皮膚炎など、かゆみ(そう痒)の定量的な分析法について、腕時計型の機器を用いて夜間に数分間記録するだけで評価が可能な、「ひっかき音検出システム」を開発した。ADやかゆみの治療法開発において、新たな客観的評価ツールになりうるという。Journal of Dermatology誌オンライン版2014年2月10日号の掲載報告。 ADを含む皮膚そう痒症患者において、かゆみの定量的分析は、疾患活動性や治療反応を評価するために不可欠なものである。しかし、現状のかゆみの客観的評価システムは限定的なものである。 研究グループは、腕時計型音声検出による、新たな客観的・定量的ひっかき行動検出システムを開発した。 主な開発に関する報告は以下のとおり。・新たに開発したシステムは、手首上で検出したひっかき音を、特異的装置でフィルタリングし、雑音を低減化したのちPCへと記録するものである。・記録された音声データはその後自動的に、周期性とエネルギーをベースとした特異的ソフトウェアで、ひっかき行動について処理・判定されるというものである。・このシステムについて、健常ボランティアとAD患者計24例を対象に、同時に記録したビデオ分析評価システムとの比較を行った。・結果、両者で比較した睡眠時のひっかき行動の割合は、ほぼ同一であった。・健常被験者のひっかき行動は、6時間中約2分間であった。一方、AD患者は24分間であった。・これらの結果を踏まえて著者は、「ビデオ分析システムは時間がかかるが、対照的にわれわれの開発したシステムは夜間記録について数分で処理が可能である。かゆみの新たな客観的評価ツールとして、ADやかゆみ治療の開発に役立つことが期待できる」とまとめている。

271.

アトピー性皮膚炎、ブドウ球菌がバイオフィルム形成に関与

 アトピー性皮膚炎(AD)において、ブドウ球菌がバイオフィルム形成に関与しており、汗腺の閉塞に重要な役割を果たすことで炎症およびそう痒につながることが、米国・ドレクセル大学医学校のHerbert B. Allen氏らにより明らかにされた。ADにおける黄色ブドウ球菌の存在は20年以上前に報告されていたが、ADとの関連についてはなかなか確認されなかった。著者は、「これまでADは未知の環境要因とのダブルヒット現象であり、フィラグリン遺伝子に遺伝的異常が集約していると考えられてきた。今回の知見は、ADの環境的要因にはブドウ球菌と、そのバイオフィルムが関連しており、これが汗腺を閉塞していると確信する」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2014年1月22日号の掲載報告。 研究グループは本検討において、AD病変部でバイオフィルムを形成するバクテリア、およびそれらバイオフィルムの免疫システムが汗腺閉塞を引き起こす反応を、とくにToll様受容体2を評価して調べることを目的とした。 大学病院の皮膚科部門で、ADの特徴、ブドウ球菌との相関性および影響、バイオフィルムと関連している影響要因を検討した。AD患者の病変部と非病変部でルーチンの皮膚スワブを行い擦過標本作成と生検を行った。また、対照検体も入手し評価した。グラム染色、明視野顕微鏡、ヘマトキシリン・エオジン染色、過ヨウ素酸シッフ反応、コンゴレッド染色、光学顕微鏡検査などを行った。 主要評価項目は、ブドウ球菌性バイオフィルムとAD病因との関連であった。 主な内容は以下のとおり。・検討したAD患者は40例、対照検体は20例(炎症皮膚標本10例、健常皮膚標本10例)であった。・すべてのAD検体は、多剤耐性ブドウ球菌を有していた。黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)42.0%、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)20.0%が優勢種属であった。・すべての分離株は、細胞外多糖とバイオフィルムに対して陽性反応を示した。85.0%が強力なバイオフィルム形成者であり、陽性反応がわずかであったものは15.0%であった。・PCR法によりバイオフィルム媒介遺伝子としてicaD遺伝子(93.0%)と、aap遺伝子(12.5%)が明らかになった。・検討では、皮膚組織における微生物同定、細胞外バイオマス生成、バイオフィルム形成、ブドウ球菌性バイオフィルムの存在についても調べた。過ヨウ素酸シッフ反応陽性、コンゴレッド染色陽性であった汗腺閉塞は、顕微鏡的組織検査で観察された。・Toll様受容体2は、AD病変皮膚(汗腺に最も近い)において活性化が認められた。同部位は、プロテアーゼ活性化受容体2を介したそう痒と、MyD88を介した海綿状態の発生に関与している可能性が示唆された。

272.

米国住民の7.6%が食物アレルギー

 米国・マウントサイナイ医科大学のScott H. Sicherer氏らは、アレルギー性皮膚疾患とアナフィラキシーに関する最新の研究進捗状況を、2013年に発表された報告を基に概観した。食物アレルギーの研究から、米国住民の7.6%がその影響を受けていることが明らかになったこと、またアトピー性皮膚炎については、表皮細胞の分化における遺伝子や免疫メディエーターの欠損が重症度と関連していることが明らかになるなどの成果がみられたことを報告している。Journal of Allergy and Clinical Immunology誌2014年2月号(オンライン版2013年12月27日号)の掲載報告。 Sicherer氏らは本レビューにおいて、アナフィラキシー(食物、薬物、昆虫に対する過敏反応)およびアレルギー性皮膚疾患研究の進捗状況を明らかにすることを目的とした。2013年に雑誌に発表された論文をレビューした。 主な内容は以下のとおり。・食物アレルギーに関する研究によって以下の7点が示唆された。(1)米国住民の7.6%が食物アレルギーをもっている。(2)“ヘルシー”な朝食は食物アレルギーを予防する可能性がある。(3)皮膚は重要な感作ルートの可能性がある。(4)アレルゲン成分テストは、診断に役立つ可能性がある。(5)牛乳アレルギーは、早めの検査により予測できる可能性がある。(6)経口あるいは舌下免疫療法は、有望であるが注意も必要である。(7)プレ臨床研究により免疫療法と減感作の有望な代替法が示唆された。・好酸球性食道炎の研究において、成人における結合組織疾患との関連および食事管理が治療に影響を与えることが示唆された。・アナフィラキシー重症度マーカーが明らかになり、潜在的な診断および治療ターゲットが判明する可能性が示唆された。・薬物、昆虫アレルギーの血清検査における洞察が、診断の改善に結びつく可能性が示唆された。・アトピー性皮膚炎の重症度に、表皮細胞の遺伝子および免疫メディエーターの欠損が関与していることが示唆された。

273.

アトピー性皮膚炎患者が避けるべきスキンケア用品

 アトピー性皮膚炎(AD)患者は、ホルムアルデヒド放出防腐剤が使われているスキンケア用品の使用は避けるべきであることが明らかにされた。米国・ルイビル大学医学部のCristin N. Shaughnessy氏らがAD患者の皮膚の遅延型過敏反応として、局部的な防腐剤の反応を調べた結果、報告した。AD患者では乾燥肌が慢性化しているが、その多くが防腐剤入りのスキンケアを使用しており、遅延型過敏反応を呈する温床となっている。Journal of the American Academy of Dermatology誌2014年1月号(オンライン版2013年11月9日号)の掲載報告。 研究グループは、AD患者と非AD患者について、北米接触性皮膚炎共同研究班(North American Contact Dermatitis Group:NACDG)標準のアレルゲンパッチテストの陽性率を比較し、AD患者が防腐剤に陽性を示しやすいかについて検討した。 主な結果は以下のとおり。・合計2,453例の患者が、NACDG標準スクリーニングシリーズのパッチテストを受けた。AD患者は342例、非AD患者は2,111例であった。・解析(カイ二乗検定)の結果、AD患者は非AD患者と比較して、パッチテストで陽性反応を示す割合が統計学的により多い傾向がみられた。・ADと接触性過敏症との関連が示された防腐剤は、クオタニウム-15、イミダゾリジニル尿素、DMDMヒダントイン、2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオール(ブロノポール)であった。・パラベン、ホルムアルデヒド、ジアゾリジニル尿素とは関連がみられなかった。・本検討は、被験者が疑い例を含むアレルギー性の接触性皮膚炎のみを有する患者であった点、検討地域がカンザスシティとミズーリ州、およびニューヨークの都市部に限られていた点で限定的であった。・以上を踏まえて著者は、「AD患者は、ホルムアルデヒド放出防腐剤が使われているスキンケア用品の使用は避けるべきである」と結論している。

274.

ビタミンD不足の成人、アトピー性皮膚炎罹患が1.5倍

 韓国の一般成人において、ビタミンD不足の人にはアトピー性皮膚炎が多くみられる傾向が判明した。ビタミンD値が十分な人と比較して約1.5倍であった。同関連は、喘息やアレルギー性鼻炎、IgE感作とのあいだではみられなかった。オーストラリア・ロイヤル・パース病院のHui Mei Cheng氏らが報告した。アレルギー性疾患におけるビタミンDの影響は明らかではなく、とくに成人アジア人について大規模住民ベースで検討された研究はなかったという。Journal of Allergy and Clinical Immunology誌オンライン版2013年12月30日号の掲載報告。 韓国の一般成人におけるビタミンDとアレルギー性疾患との関連の評価は、断面調査にて行われた。具体的には、2008~2010年に国民健康栄養調査に参加した19歳以上の1万5,212人のデータを分析した。 交絡因子補正後血清25-ヒドロキシビタミンD[25(OH)D]値とアレルギー性疾患(アトピー性皮膚炎、喘息、アレルギー性鼻炎と、増大した総血清IgEおよびアレルゲン特異的血清IgE値を含む)との関連を、重回帰分析法を用いて比較した。 血清25(OH)D値が十分、不十分、不足であるかを、交絡因子補正後の多重ロジスティック回帰分析を用いた推定オッズ比(OR)を算出して評価した。 主な結果は以下のとおり。・交絡因子補正後、平均血清25(OH)D値は、アトピー性皮膚炎と診断されている被験者が同診断をされていない被験者よりも、有意に低値であった(平均±SE値:18.58±0.29ng/mL対19.20±0.15ng/mL、p=0.02)。・ビタミンD値が十分であった被験者と比較して、アトピー性皮膚炎の補正後ORは、不十分であった被験者(12~19.99ng/mL、OR:1.50、95%CI:1.10~2.06)、不足していた被験者(<12 ng/mL、同:1.48、1.04~2.12)で有意に高値であった(いずれもp=0.02)。・これらの関連は、他のアレルギー性疾患を有する被験者ではみられなかった。

275.

超早産児のアトピー性皮膚炎発症リスクは?

 超早産児(在胎期間29週未満)は、後期(29~34週)および満期で生まれた子供と比べて、アトピー性皮膚炎(AD)発症リスクが低いことが、フランス・ナント大学病院のS.Barbarot氏らによるコホート調査の結果、明らかになった。これまで、AD発症リスクが早産によって影響を受けるかどうかは不明であった。また、AD発症リスクについて、超早産児の大規模サンプルでの検討は行われたことがなかった。British Journal of Dermatology誌2013年12月号の掲載報告。 研究グループは、AD発症リスクの早産による影響を明らかにすることを目的に、2つの独立した住民ベースコホート(Epipageコホート、LIFTコホート)のデータを用いて、在胎期間とADとの関連を調べた。コホートの早産児は計2,329例で、そのうち479例が超早産児であった。 主な結果は以下のとおり。・より後期に生まれた子供と比べて、超早産児群におけるAD発症の割合は低かった。・Epipageコホート(2年アウトカム)でのAD発症率は、24~28週:13.3%、29~32週:17.6%、33~34週:21.8%(p=0.02)であった。・LIFTコホート(5年アウトカム)でのAD発症率は、同11%、21.5%、19.6%であった(p=0.11)。・交絡変数で補正後、在胎期間が短い(29週未満)こととAD発症率が低いことが、有意に関連していることが認められた。Epipageコホートにおける補正オッズ比(aOR)は0.57(95%信頼区間[CI]:0.37~0.87、p=0.009)であり、LIFTコホートでは同0.41(同:0.18~0.90、p=0.03)であった。

276.

アトピー性皮膚炎重症度、黄色ブドウ球菌と多様なミクロフローラとの拮抗が関連?

 フランス・パリ第6大学のMuriel Bourrain氏らは、水治療中のアトピー性皮膚炎(AD)患者の生体内評価を行い、有益なミクロフローラと黄色ブドウ球菌コロニー形成とのバランスについて調べた。296検体を調べた結果、2つの異なる細菌群生と、多様なミクロフローラの存在を特定し、両者間でバランスを保とうとすることが、AD重症度と関連するキー要素であるように思われたことを報告した。European Journal of Dermatology誌オンライン版2013年11月26日号の掲載報告。 重症のAD病変において、黄色ブドウ球菌と共生細菌叢(フローラ)とのバランスが果たす役割は十分に解明されていない。本検討において研究グループは、AD患者の皮膚細菌群生の構造と、18日間の水治療コースの間におけるその変化を調べること、黄色ブドウ球菌と細菌コロニー形成、局所皮膚疾患、AD重症度との関連を評価することを目的とした。 中等度~重症のAD患者25例において、3つの皮膚部位(乾燥、炎症、健常)を特定し、治療前、治療開始直後(1日目)、10日後、18日後にサンプリングを行った。 検体の細菌群生の構造を、分子生物学アプローチである16S rRNA遺伝子プロファイリングを用いて評価し、外来受診時に毎回、AD重症度をSCORAD(SCORing Atopic Dermatitis)で測定した。 主な結果は以下のとおり。・296検体のクラスター解析の結果、2つの異なる細菌群生プロファイルが示された。1つは、黄色ブドウ球菌に対応する2つのピークを有するもので、もう1つは、多様なミクロフローラの存在を見分ける複数のピークを示すものであった。・ベースライン時に、乾燥部位は炎症部位よりも、黄色ブドウ球菌によるコロニー形成が少ないように思われた。・水治療18日後、主に炎症部位と湿潤部位で、黄色ブドウ球菌によるコロニー形成数(p<0.05)とSCORAD(p<0.00001)が有意に減少し、多様なミクロフローラの出現が促進されていた。・以上の結果を踏まえて著者は、「今回の検討において、2つの細菌群生プロファイルと多様なミクロフローラを特定した。両者間でバランスを保とうとすることが、AD病変の重症度と関連するキー要素であるように思われた」と結論している。

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Dr.倉原の 喘息治療の不思議:知られざる喘息のリスク因子

はじめに喘息の患者さんを診療する場合、発作を起こさないようにコントロールすることが重要です。そのため、喘息治療薬を使いこなすだけでなく、患者さんの喘息発作の誘発因子を避ける必要があります。喘息発作のリスク因子として有名なのは、アレルギー性鼻炎やアトピー性皮膚炎と同様のアレルゲンです。たとえば、スギ花粉、ブタクサ、ハウスダスト、ダニなどが挙げられます。しかし、世の中にはこんな因子によって喘息を起こすことがあるのか?という“軽視されがちなもの”や“知られざるもの”があります。教科書的なリスク因子はさておき、少し「へぇ」と思えるようなものを紹介しましょう。ストレス呼吸器内科医以外には実はあまり知られていませんが、ストレスは喘息のリスク因子として教科書的に重要です。これには炎症性サイトカインの産生亢進が関与していると考えられています。呼吸器疾患を診療している医師の間でも、ストレスは意外と軽視されがちなリスク因子だと思います。Busse WW, et al. Am J Respir Crit Care Med. 1995;151:249-252.徹夜明けや過労などの身体的ストレスによっても喘息発作が起こりやすいことが知られています。受験前、面接前、入社前、五月病といった精神的ストレスによっても喘息発作を起こすことがあります。私もそういった患者さんを何人か外来で診ています。世界的にも最大規模のストレスとして数多くの研究がなされたアメリカ同時多発テロ事件では、心的外傷後ストレス障害(PTSD)と喘息の関連が指摘されています。Shiratori Y, et al. J Psychosom Res. 2012;73:122-125.Centers for Disease Control and Prevention (CDC). MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2002;51:781-784.水泳喘息に対する呼吸リハビリテーションの一環として水泳が知られていますが、その反面、水泳そのものが喘息のリスクではないかと考える研究グループもあります。しかしながら、メタアナリシスではその関連は強いとは結論づけられていません。私の外来にも、ある水泳競技をしていた喘息患者さんがいました。その患者さんが引退後に吸入ステロイド薬のステップダウンができたのは、水泳をやめたからなのかどうか、いまだに答えは出ていません。Paivinen MK, et al. Clin Respir J. 2010;4:97-103.Goodman M, et al. J Asthma. 2008;45:639-647.ちなみにスキューバダイビングは喘息のリスク因子ではないかという議論もありますが、現時点では明らかな答えは出ていません。スキューバダイビングでは、温度や呼吸動態の急激な変化が呼吸機能上よくないと考えられています。Koehle M, et al. Sports Med. 2003;33:109-116.感情負の感情(怒り、悲しみなど)は前述のストレスと同じ機序で喘息のリスク因子と考えられていますが、これにはあまりエビデンスはありません。自宅で怒りを爆発させて喘息発作を起こし救急搬送されてきた患者さんを一度診たことがあります。これはおそらく怒鳴り散らしたことが主な原因でしょうが。ちなみに、面白い映像を見た場合と面白くない映像を見た場合を比較すると、面白い映像を見た場合に気道過敏性が有意に改善したという報告もあります。Kimata H. Physiol Behav. 2004;81:681-684.その一方で、あまり笑うと喘息発作を誘発するのではないかという報告もありますので、あまり感情の起伏は喘息にとってよくないものかもしれませんね。Liangas G, et al. J Asthma. 2004;41:217-221.排便トイレできばりすぎて、喘息発作を起こすことがあるそうです。これについてもリスク因子といえる研究はありません。個人的には一度も排便喘息を診たことはありません(問診が甘かったのかもしれませんが)。排便によってアセチルコリンの分泌が誘発され、これによって気管支攣縮を惹起するのではないかと考えられています。Rossman L. J Emerg Med. 2000 ;18:195-197.Ano S, et al. Intern Med. 2013;52:685-687.鼻毛これもリスク因子として書くにはかなり強引な気もしますが、結論からいうと鼻毛は長いほうがよいです。アレルギー性鼻炎の患者さんにおける喘息の発症に鼻毛の密度が与える影響について解析した論文があります。これによれば、鼻毛の密度の低さは喘息発症の有意な因子であると報告されています。厳密には鼻毛の“長さ”と“密度”は異なるのかもしれませんが……。Ozturk AB, et al. Int Arch Allergy Immunol. 2011;156:75-80.おわりにこれ以外にも、症例報告レベルも含めると、アイスクリーム、くしゃみ、温泉、オリンピックなど数多くの喘息のリスク因子や喘息発作を誘発する因子があります。本稿でなぜ珍しい因子を記載したかといいますと、実は喘息診療においては多くのヒントが患者さんとの会話の中にあるのです。「実は最近インコを飼い始めたんです」、「おととい引っ越ししたばかりなんです」、「そういえば先月からシャンプーを東洋医学系の製品に変えたんです」・・・などなど。実はアレルゲンが明らかな喘息の場合、原因を回避すればよくなることがあります。何年も吸入ステロイド薬を使わなくても済むケースもあります。

278.

アトピー性皮膚炎、FLG変異があるとアレルギー感作リスクが高い

 ハンガリー・デブレツェン大学のG. Mocsai氏らは、皮膚バリア機能と皮膚の炎症の重症度が関連していることを報告した。炎症が重症でフィラグリン(FLG)遺伝子変異と野生型アトピー性皮膚炎(AD)を有する患者では関連が弱まる可能性があり、FLG変異を有する患者のほうが、野生型AD患者よりもアレルギー感作のリスクが高い可能性があることが示唆されたという。British Journal of Dermatology誌オンライン版2013年11月20日号の掲載報告。 FLG欠乏がAD発症のリスク因子であることはよく知られている。また、FLGの減少は、ハプロ不全や重症炎症が起因する可能性があり、さらに重症炎症が後天性のFLG変異を生じる可能性がある。FLG変異は、ADのいくつかの臨床パラメーターまたは検査パラメーターと関連しているが、最近の報告でこれらの関連を否定するデータが報告されるようになっていた。 そこで研究グループは、臨床または生化学検査パラメーターとFLGハプロ不全との関連について調べるとともに、AD患者で重症炎症に起因する後天性FLG変異と、どのパラメーターが関連しているのかについて明らかにすることを目的に検討を行った。 まず、FLG変異の有無とSCORAD(SCORing Atopic Dermatitis)に基づく新たな分類を作成し、AD患者を(A)軽症~中等症-野生型AD、(B)重症-野生型AD、(C)重症-FLG変異の3つに層別化して、全群被験者の検査・臨床パラメーターの評価を行った。また、免疫組織化学的分析も行った。 主な結果は以下のとおり。・(B)重症-野生型ADと、(C)重症-FLG変異の患者の重症度は、SCORADに基づき同等であった。・これら2つの重症群は、皮膚バリアの特異的パラメーターに関しては有意差がみられなかった。・一方で、(A)軽症~中等症-野生型ADの、皮膚バリア機能測定値は有意に良好であった。・アレルギー感作の特異的パラメーターに関して、(B)群と、(C)群の患者で有意差は検出されなかった。・上記の所見は、皮膚バリア機能は、皮膚炎の重症度と関連していることを示唆した。・そして、皮膚の炎症が重症でFLG変異および野生型AD患者においては、皮膚バリア機能との関連は弱い可能性が示唆された。・そのうえで、FLG変異の患者は、野生型AD患者と比べて、アレルギー感作のリスクが高い可能性も示唆された。

279.

アトピー性皮膚炎や喘息がてんかんの有病率に影響

 小児において、アトピー性皮膚炎や喘息などのアレルギー性疾患の有無はてんかんの既往と関連しており、また、アレルギー性疾患の数が増えると、てんかんの有病率や生涯有病率が高まることが、米国ノースウェスタン大学のJonathan I Silverberg氏らの調査によって報告された。Allergy誌オンライン版2013年11月20日掲載の報告。 試験動物を用いた先行研究により、アレルギー性疾患とてんかんの関連性が示唆されている。Silverberg氏らは、小児におけるてんかんとアレルギー性疾患(喘息、アトピー性皮膚炎/湿疹、花粉症、食物アレルギー)有病率との関連を調査することを目的とした。調査には2007年~2008年に実施された人口ベースの小児の健康調査が用いられ、対象者は0~17歳の9万1,642人であった。解析にはロジスティック回帰分析を用い、交絡変数で補正後、データを分析した。 主な結果は以下のとおり。・米国の小児期におけるてんかんの生涯有病率は1.03%であった。また、その発症には、より年長である男児、低い世帯収入、家族構成、過去の脳損傷または脳震盪の既往が関与していた。・少なくとも1つ以上のアレルギー性疾患を有する小児では、アレルギー性疾患がない小児に比べて、てんかんの生涯有病率が高かった(補正後オッズ比[aOR]:1.79 [95%CI:1.37~2.33])。・これまでにてんかんの診断歴がある場合、各種アレルギーの有病率が高かった(喘息の生涯有病率aOR:2.30[95%CI:1.50~3.52]、喘息の1年有病率:2.00[1.41~2.84]、アトピー性皮膚炎/湿疹1.73[1.17~2.56]、花粉症aOR:1.93[1.41~2.65]、食物アレルギーaOR:2.69[1.38~4.01])。・てんかんの現病歴についても同様の結果が得られた。・アトピー性皮膚炎/湿疹または花粉症がそれぞれ重度である場合、軽度~中等度の場合と比べて、てんかんの有病率が高かった。

280.

軽~中等症アトピー治療にピメクロリムスの選択肢も

 ドイツ・ミュンスター大学のThomas Luger氏らは、アトピー性皮膚炎(AD)に対するピメクロリムス1%クリーム(国内未承認)の公表された臨床データのレビューを行った。その結果、小児および成人の軽症~中等症ADの治療において、とくに敏感肌の部分について、ピメクロリムスは治療選択薬の一つとなりうる可能性があることを報告した。European Journal of Dermatology誌オンライン版2013年11月4日号の掲載報告。 ピメクロリムス1%クリームは、ADに有効な非ステロイド局所抗炎症治療薬だが、研究グループは、AD患者の医療ニーズに、ピメクロリムスはどのように当てはまるのか、レコメンデーションを明らかにすることを目的にレビューを行った。 主な所見は以下のとおり。・臨床試験において、ピメクロリムスを早期に用いることが病状再燃への進行を抑制し、迅速にかゆみを改善し、QOLを有意に高めることが実証されていた。・患者は、塗布が容易な薬剤を求めていた。そしてそのことが治療アドヒアランスを改善することに結びついていた。・局所ステロイド薬とは対照的に、ピメクロリムスは皮膚萎縮や表皮バリア機能障害を引き起こさず、敏感肌のAD治療において高い有効性を示した。・また、ピメクロリムスは局所ステロイド薬と比べて皮膚感染症を抑制し、そのほかのステロイド関連の副作用(皮膚線条、末梢血管拡張、視床下部・下垂体・副腎系抑制など)がなかった。・さらに、ピメクロリムスには、相当量のステロイド用量減量効果があることが、付加的ベネフィットとして示された。・著者は、「これらのデータに基づき、軽症~中等症のAD患者(疾患徴候や症状が軽症ADと確認された患者)の新たな治療アルゴリズムとして、ピメクロリムスは第一選択薬として推奨される」、また「局所ステロイド薬の治療後の軽症~中等症ADに対してもピメクロリムスは推奨される」と提案した。・そのほかにも、病変消退後のピメクロリムスによる維持療法は、病状再燃予防に効果がある可能性も示唆されていた。・以上を踏まえ著者は、「ピメクロリムスの臨床プロファイルは、小児および成人の軽症~中等症AD(とくに敏感肌部分)の第一選択薬となりうる可能性を示唆していた」と結論している。

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