サイト内検索|page:18

検索結果 合計:399件 表示位置:341 - 360

341.

摂食障害、成人期と思春期でセロトニン作動系の特徴が異なる!

 摂食障害の発症にセロトニン作動系が関与していることは、確立した知見である。ただし、これまでの血小板セロトニン・トランスポーターに関する研究で示されている結論は、平均年齢20歳以上の患者を対象とした検討結果に基づくものであった。スウェーデン・ウメオ大学のJeanette Sigurdh氏らは、思春期の摂食障害患者におけるセロトニン作動系の関わりについて検討した。その結果、成人患者で得られている知見とは異なり、思春期の患者では同年代の健常対照と比べ血小板セロトニン・トランスポーター密度が高く、5-HT2A受容体密度が低いことを報告した。International Journal of Neuroscience誌オンライン版2013年2月19日号の掲載報告。 本研究での目的は、成人の摂食障害患者における従来の知見が、摂食障害を発症してまもない思春期の患者にも当てはまるかどうかを検討することである。摂食障害を認める思春期女性15例(神経性無食欲症11例、神経性無食欲症の基準を満たさないものの、明らかに拒食症の摂食行動を示す患者4例)ならびに健常対照32例を対象とし、血小板セロトニン・トランスポーターに結合する[3H]パロキセチンおよび5-HT2A受容体に結合する[3H]リゼルグ酸ジエチルアミド([3H]LSD)について検討を行った。主な結果は以下のとおり。・摂食障害患者におけるセロトニン・トランスポーター密度は、同年齢の健常対照に比べて有意に高かった([3H]パロキセチン結合タンパク:775±165 vs. 614±111 fmol/mg、p=0.003)。・摂食障害患者における5-HT2A受容体密度は、同年齢の健常対照に比べて有意に低かった([3H]LSD結合タンパク:215±59 vs. 314±151 fmol/mg、p=0.005)。・これら血小板セロトニン・トランスポーター密度の増加、5-HT2A受容体密度の低下は、成人患者で示されている結果とは異なるものであった。・結果が異なった要因として、本研究の被験者(低年齢で罹病期間が短い)における、ストレスに関連する精神的および生物学的要因の多様性が考えられる。・既知の知見とは異なるものであったが、本結果は摂食障害におけるセロトニン作動性要因に関わる情報の厚みを増し、本疾患におけるセロトニン作動系の制御に患者特性および経過に関連する因子が影響を及ぼす可能性を示唆するものである。関連医療ニュース ・EPA/DHAはADHD様行動を改善する可能性あり? ・摂食てんかんの特徴が明らかに ・双極性障害とADHDは密接に関連

342.

てんかん患者、脳内ネットワークの一端が明らかに

 てんかん症状を呈する脳内ネットワークの特性の一端が明らかにされた。チェコ共和国・Central European Institute of TechnologyのIvan Rektor氏らが、てんかん患者と健常者の脳内を機能的MRIにて比較検証した結果で、てんかん患者では脳中央部にある被殻と表面部にある皮質との機能的結合(FC)が阻害されていることが明らかになったという。Rektor氏は「このことが大脳基底核(BG)機能の変質に反映している可能性がある」と示唆した。Brain Topography誌オンライン版2013年2月12日号の掲載報告。 てんかんは、安静時においても被殻と皮質の間の結合性に影響を及ぼす可能性が指摘されていた。被殻は、大脳基底核安静時ネットワーク(BG-RSN)の一部であり、健常被験者ではデフォルト・モード・ネットワーク(DMN)と逆相関の関連がみられる。研究グループは、DMNに関与する皮質領野である被殻、およびBG-RSNに関与する皮質領野の主要な体運動性皮質における、脳の機能的結合を調べることを目的とした。てんかんを有する患者と健常対照者の入手データを用いて比較した。 主な解析手順、結果は以下のとおり。・てんかん患者24例(外側頭葉てんかん14例、側頭葉てんかん10例)と健常対照者10例について、機能的MRI(fMRI)を行った。・1.5 T Siemens Symphonyスキャナーを用いて安静時fMRIデータを入手し、独立的成因分析のためにGroup ICA of fMRI Toolbox(GIFT)プログラムを用いて解析した。被殻と主要な体運動性皮質との機能的結合について、BG-RSN内の被殻の結合性を評価した。・また第2レベル解析では、SPMソフトウエアを使用しグループ間の差異を評価した。・てんかん患者では健常対照者と比較して、DMNでの被殻と脳領域との逆相関性が有意に低かった。・相関性は、健常対照者では陰性方向へと結びつくものであったが、外側頭葉・側頭葉てんかん患者では陽性方向への結びつきがみられた。・てんかん患者の大脳基底核の機能的結合の阻害は、健常対照者と比較して、左右の被殻と左右の体運動性皮質との結合性、すなわちBG-RSNに関与している部位との結合性が有意に減少していることによって例証された。関連医療ニュース ・側頭葉てんかんでの海馬内メカニズムの一端が明らかに ・摂食てんかんの特徴が明らかに ・妊娠可能年齢のてんかん女性にはレベチラセタム単独療法がより安全?

343.

結節性硬化症に伴う腎血管筋脂肪腫の治療に新たな選択肢

 結節性硬化症は、遺伝子(TSC1、TSC2)の異常により、全身に良性の腫瘍が形成され、それに伴い、さまざまな症状が引き起こされる遺伝性の希少疾患である。胎児期から成人まで、年齢に応じて特徴的な腫瘍がさまざまな部位に発生するため、それぞれの腫瘍に対してすべて1つの科で診療することはできず、小児から成人に至る過程で発生する腎血管筋脂肪腫などを見逃す可能性がある。その現状と課題について、ノバルティス ファーマ メディアフォーラム(2013年2月26日開催)にて、大阪大学泌尿器科 教授 野々村 祝夫氏が講演した。その内容をレポートする。■結節性硬化症は症状の個人差が大きい 結節性硬化症は、脳(上衣下巨細胞性星細胞腫、脳室上衣下結節、大脳皮質結節、てんかん発作、発達遅延、自閉症など)、眼(網膜過誤腫)、心臓(心横紋筋腫)、肺(肺リンパ脈管筋腫症など)、腎臓(腎血管筋脂肪腫、腎嚢胞など)、皮膚(白斑、顔面血管線維腫など)など、全身性に腫瘍が形成され、さまざまな症状が現れる疾患である。潜在患者数は、日本では1~2万人とされる。問題となる症状の発症時期は年齢期ごとに異なり、心臓や脳の腫瘍は10歳未満、腎臓の腫瘍は10~40歳、肺の腫瘍は20歳以上に注意する必要がある。また、症状の個人差が大きく、多くの症状が現れる場合もあれば、生涯を通じて症状が現れない場合もある。 これまで対症療法しかなかったこれらの腫瘍のうち、腎血管筋脂肪腫と上衣下巨細胞性星細胞腫に対して、2012年11月、mTOR阻害薬であるエベロリムス(商品名:アフィニトール)が承認された。■結節性硬化症に伴う腎血管筋脂肪腫の治療 腎血管筋脂肪腫は浸潤・転移をしない良性腫瘍であるが、次第に大きくなること、出血などのさまざまな症状が出現すること、腎機能が低下することが問題となる。腫瘍径が4cmを超えると出血や側腹部痛などの臨床症状が呈することが多く、また、破裂した腫瘍は4cmをすべて超えていたという報告がある。 腎血管筋脂肪腫のマネージメントの基本方針は、腎機能を温存しつつ出血のリスクを減らすことであり、出血した場合は速やかに止血する必要がある。 治療は、腫瘍径が4cm以上であれば症状が出る前に予防的に、4cm未満なら症状が出てから行う。この治療介入の必要性を判断するために、野々村氏は、定期的なモニタリングの重要性を指摘した。治療には、血管内治療である塞栓術と手術(腎摘、腎部分切除)が施行されている。塞栓術は効果的でよく施行されるようになってきたが、壊死に伴う発熱や痛みなどの合併症や、再発(約30%)の問題がある。■薬物治療が治療選択肢の1つに このような状況のなか、昨年、初めて薬物治療としてエベロリムスが承認され、新たな選択肢が加わった。結節性硬化症においては、TSC1またはTSC2遺伝子の変異によりmTORの活性を制御するTSCタンパクが抑制され、mTORが過剰に活性化することにより腫瘍の形成や症状が発生する。エベロリムスはmTOR活性を阻害することにより、腫瘍の増大や症状を抑制する。 結節性硬化症あるいは孤発性リンパ脈管筋腫症における腎血管筋脂肪腫患者に対するエベロリムスの効果をプラセボと比較したEXIST-2試験では、エベロリムス群(79例、うち日本人7例)の奏効率が41.8%(95%信頼区間:30.8~53.4)と、プラセボ群(39例、うち日本人3例)の0%(95%信頼区間:0.0~9.0)に対して、有意(p<0.0001)に高い結果が得られた。 有害事象は、口内炎、ざ瘡、高コレステロール血症などがエベロリムスに特徴的であり、これまでの忍容性プロファイルと一致していた。また、野々村氏は、22歳女性の症例で腫瘍の縮小とともに自閉症の症状も改善したことを紹介し、結節性硬化症の他の症状にも効果が期待できることを示した。■どのように組み合わせて治療するかが課題 結節性硬化症に伴う腎血管筋脂肪腫の今後の治療戦略として、野々村氏はまず、4cm以上の腫瘍では症状がなくても、動脈瘤などからの出血リスクが高い場合には、エベロリムスあるいは塞栓術による積極的治療を実施することを提唱し、どちらを先に行うかはこれから解決すべき課題であると述べた。また、4cm以下の腫瘍でも症状があれば、エベロリムスあるいは塞栓術による何らかの治療が必要であり、手術は、塞栓術あるいはエベロリムスが無効な場合に考慮するとした。 一方、エベロリムスが治療の選択肢に加わったとはいえ、課題として、長期投与のデータが乏しいこと、高価(約70万円/月)であること、投与方法に関する工夫の必要性などを挙げ、今後、実際の臨床の場で情報を出して行く必要があると述べた。 最後に野々村氏は、結節性硬化症に伴う腎血管筋脂肪腫の治療に薬物療法という選択肢が増えたが、今後、これをどのように組み合わせて治療していくか、課題として投げかけられていると述べ、講演を締めくくった。関連ページ ケアネット 希少疾病ライブラリ(毎週木曜日更新)

344.

てんかん患者の50%以上が不眠症を合併!

 てんかん患者では睡眠障害が頻繁にみられるものの、不眠症とてんかんとの関係はほとんど明らかとなっていない。ボストン大学のMartina Vendrame氏らは、てんかん患者における睡眠状態に関して調査した。Journal of clinical sleep medicine誌オンライン版2013年2月1日号の報告。 対象はてんかん患者152例(平均年齢:46歳)。目的は(1)てんかん患者における不眠症の有病率や程度を分析する(2)臨床的特徴と不眠症との相関を調査する(3)質の低い睡眠がQOLに及ぼす影響を検討する。調査項目は不眠重症度評定尺度、ピッツバーグ睡眠質問票、ベック抑うつ質問票、てんかん患者用QOL質問票(QOLIE-31)によるQOL評価とした。除外対象は閉塞性睡眠時無呼吸症候群など他の睡眠障害を有する患者。年齢、てんかんの罹病期間、抗てんかん薬の数、併存疾患、抑うつスコアで調整し、回帰分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・てんかん患者の半数以上(55%)は不眠症であった。また、70%以上の患者は睡眠の質が低下していた。・不眠症や睡眠の質の低下は、抗てんかん薬の数や抑うつスコアと有意な相関が認められた。・不眠症や睡眠の質の低下は、QOL低下の有意な予測因子であった(共変量にて調整)。・これらの結果から、てんかん患者では、不眠症や睡眠の質の低下を有しており、QOLに悪影響を与えることが示唆された。・さらなる研究により、てんかん患者における睡眠の改善が発作のコントロールやQOL向上につながるかを検討する必要がある。関連医療ニュース ・検証!統合失調症患者の睡眠状態とは ・不眠症の人おすすめのリラクゼーション法とは ・睡眠薬、長期使用でも効果は持続

345.

摂食てんかんが食事中に起こる種々のメカニズムが明らかに

 摂食てんかん(Eating Epilepsy)は、食事摂取によりてんかん発作が誘発される反射性てんかんの一つであるが、その病態はまだ十分に認識されていない。今回、この摂食てんかんについて、大半が最初の誘発刺激から長い期間を経て発症し、治療抵抗性の経過をたどるという特徴があることが、トルコ・イスタンブール大学のUlgen Kokes氏らにより明らかにされた。Clinical EEG and Neuroscience誌オンライン版2013年2月6日号の掲載報告。摂食てんかんは食事中に種々のメカニズムを介して起こる 本研究では、摂食てんかんの特徴を明らかとするため、てんかん患者8,996例のカルテファイルをレトロスペクティブに調べた。その結果、摂食てんかん患者は6例のみ(0.067%)で認められた。男性が4例、女性が2例であり、年齢は20~63歳であった。 摂食てんかん患者6例に認められた所見は以下のとおり。・6例には焦点発作がみられ、大半が食事により誘発された認知不全または経験的前兆があり、自発性の発作であった。・全例で、初期にてんかん発作の誘発刺激(頭部/分娩時外傷または脳炎)があった。・4例は食事の途中または食事直後にてんかん発作が起こり、2例は食事開始時にてんかん発作が起きた。このことから、2つの異なる摂食てんかんメカニズムの存在が示唆された。・MRI所見は2例で正常であったが、その他の症例では異常がみられた。・脳波所見において、5例で左側頭領域の広い範囲で頻繁なスパイク(棘波)が認められ、1例は右側頭領域で同所見がみられた。また、左側頭に由来する発作が3例で記録された。・2例において、脳波所見とPET検査所見が一致していた。・1例を除き、治療抵抗性の経過をたどった。 ・以上より著者は、摂食てんかんの特徴を以下のようにまとめた。  ・頻度が少なく、きわめてまれである。  ・初期の誘発刺激から長い期間を経た後に起こる。  ・大半が認知不全または経験的前兆を伴い、通常、発作は左側頭領域に由来する。  ・多くが治療抵抗性の経過をたどる  ・食事中に種々のメカニズムを介して起こる。関連医療ニュース ・妊娠可能年齢のてんかん女性にはレベチラセタム単独療法がより安全? ・検証!抗てんかん薬の免疫グロブリン濃度に及ぼす影響 ・うつ病患者の食事療法、ポイントは「トリプトファン摂取」

346.

話せばわかる?通報する?“モンスターペイシェント”

“困った患者さん”を通り越して“モンスターペイシェント”なんて言葉さえ見られる昨今。法外な要求、目を剥くような行動、ついには暴力の果てに負傷、うつ状態に追い込まれる医師・スタッフも…。皆さんどうやって対処していますか?モンスター化させないコツは?医師1,000人から聞いた“モンスターペイシェント事情“、必見です!コメントはこちら今すぐできる対策はこちら結果概要7割近くの医師が“モンスターペイシェント”の対応経験あり、うち1割は『月に1度以上』全体で7割近くの医師がそうした患者・家族に対応した経験があり、勤務施設別では診療所の57.4%に比較して一般病院では70.7%という結果となった。頻度を尋ねたところ、うち7割強が『半年に1度』以下であったが、一方で『月に1度』以上との回答が1割、中には『週に2~3度以上』という医師も。治療費不払い、脅迫、暴力…「犯罪では?」「病院内では不当に軽く扱われることがある」内容として『スタッフの対応へのクレーム』が60.5%、『自分を優先した診察ほか待ち時間に関する要求・暴言』が47.1%、次いで『不要/過剰な投薬の要求』が37.6%と続く。『治療費の不払い』も3割に上り、「無銭飲食と同様に罪に問うべきだ」といったコメントも寄せられた。暴力を受けた経験があるとの回答は16.2%、脅迫に関しては27.6%に上った。また「個室での診察中に監禁された」といった声も。全体の16.2%が『警察OBを雇用』、担当者を定めない施設では医師個人に負担がそうした患者への最終的な対応として、3人に1人が『以後の診察を拒否した』と回答。次いで『転院させた』『担当医を交代した』と続く。警察への連絡に関しては『出動を要請した』16.4%、『相談した』11.5%となった。一方『特に対応をとったことがない』との回答は22.5%。「キャリアの浅い頃は、怖さのあまりに従ってしまったことがあった」といった声も。その他、施設内で通常取られている対策としては『担当者を決めている』が最も多く約3割に上った。次いで『対応マニュアル』『事例の共有』と続く。『警察OBを雇用している』の回答は16.2%であり、その存在は非常に有効との声が多かった。担当者を定めず医師・スタッフ個人の対応に任せている施設においては「対応に疲れ果てうつ病になった」「退職した」といった経験談が寄せられ、個人ではなく施設としての対応が必要だとのコメントも複数見られた。設問詳細医療従事者や医療機関に対して、自己中心的で理不尽な要求、果ては暴言・暴力を繰り返す患者や、その保護者・家族等を指し、「モンスターペイシェント」といった言葉が使われることがあります。そこで先生にお尋ねします。Q1.患者・家族から暴言・暴力、その他“通常の域を超えている、診察に著しく影響を及ぼすレベル”の行動・要求・クレームを受けたことがありますか。あるない(Q1で「ある」と回答した方のみ)Q2.その内容について当てはまるものを全てお答え下さい。(複数回答可)診察をしないで投薬のみ要求する不要な投薬・過剰な投薬を要求する自分を優先した診察ほか、待ち時間に関する要求・暴言を吐く「空いている」などの理由で、時間外・夜間診療を繰り返すスタッフの対応が気に食わない、とクレームをつける治療法・薬剤を指定するなど、自分の見立てを強硬に主張する事実と異なることを吹聴して回る検査・診察・食事・内服等を拒否する治療費・入院費を払わない入院を強要する退院を拒否する土下座ほか度を越した謝罪を要求する「訴える」「刺す」「暴力団関係者を連れてくる」「マスコミに流す」などと脅迫するご自身・スタッフに暴力を振るうその他(Q1で「ある」と回答した方のみ)Q3.上記のような患者・家族への対応に関しご経験があるものをお答え下さい。(複数回答可)他の医師と担当を交代した転院させた以後の診察を拒否した弁護士・司法書士等に相談した警察に相談した警察に通報した、出動を要請した患者の対応に参って体調を崩した退職したその他特に対応をとったことがない(Q1で「ある」と回答した方のみ)Q4.上記のような患者・家族に遭遇する頻度について最も近いものをお答え下さい。週に2~3度以上週に1度半月に1度月に1度2~3ヶ月に1度半年に1度1年に1度それ以下Q5.院内で設けられている対応策について当てはまるものをお答え下さい。(複数回答可)対応マニュアルがある対策システムがある防犯・対策セミナーを実施している院内で事例を共有している対応担当者を決めている担当部署を設置している警察OBを雇用している弁護士・司法書士に相談する体制をとっている「警察官立寄所」のステッカー・看板を掲げているICレコーダー・カメラ等を設置しているその他    (               )特に対応策をとっていないQ6.コメントをお願いします(具体的なエピソードや解決方法、対策ノウハウ、院内の体制などなんでも結構です)2013年2月12日(火)~13日(水)実施有効回答数1,000件調査対象CareNet.com会員コメント抜粋(一部割愛、簡略化しておりますことをご了承下さい)「混雑時に自分だけ早く診ろ、と要求して来るケースが多い。」(40代,呼吸器科,一般病院)「女性医師というだけで高飛車な態度をとる患者さんがおられます。自分で対応しようとしても困難な場合もあり、その時は患者さんが興奮して手がつかなくなる前に他の職員に助けを求めます。」(40代,その他,大学病院)「一般なら暴行罪や脅迫罪なのに、病院内だと不当に軽く扱われることがある。」(40代,内科,一般病院)「警察OB,弁護士の関与は有効だと思います。患者の度を超えたクレームは警察OBの立ち合いで、殆ど問題化しません(患者の言いがかりの場合)。」(50代,外科,大学病院)「モンスターペイシェントの対応に心身ともに疲れはて、うつ病になってしまい半年間入院しました。」(40代,内科,一般病院)「今後医師は、モンスターペイシェントに対する対応を必須講座として受講すべきだと思う。」(70代以上,内科,一般病院)「セクハラの要素もあるが、循環器内科であるにもかかわらず局所を出して『腫れているので触ってくれ』となんども強要する。毎週土曜日に遠方からやってくる。事務長に泌尿器科に行くよう指示してもらったが、今度は看護師に座薬、浣腸を強要するので、こわもての男性薬局長にきてもらい浣腸してもらったら、二度と来なくなった。」(40代,循環器科,診療所・クリニック)「厄介なのは身内が次々と来て同じ説明を求める家族です。 最後は長男を代表者と決めて1回だけにしました。」(50代,循環器科,診療所・クリニック)「医療安全対策室で対応してもらうようになっています。」(70代以上,外科,一般病院)「本当にモンスターだらけで、善意が消えていくのが分かります」(30代,内科,一般病院)「特に自分が被害をこうむったことはないが、対象事例が起こった場合は全館放送で起こったことを知らせ、対処することとなっている。」(40代,整形外科,一般病院)「まず十分に言いたい事を相手がもう疲れたというまで黙って傾聴する。時々『そうですか…』と言いつつメモしたりし、『今までのことは一応録音してますが一緒に聞き直して間違いないか確認していきましょうか』と伝えると大体お帰りになられる。」(40代,内科,診療所・クリニック)「とにかくすぐ医師会の顧問弁護士に相談して、初期対応のアドバイスをもらう。」(50代,内科,診療所・クリニック)「モンスターペイシェントに対してほとんどの病院は弱腰である。もっと毅然とした対応をすべきである。治療費不払いなどは無銭飲食と変わらないので即警察に通報すべきだ。」(40代,整形外科,一般病院)「30年医師をしているが、自分にはモンスターペイシェントの経験はない。丁寧に対応すれば問題となるような事態は起きないと思う。」(50代,内科,診療所・クリニック)「モンスターなどという曖昧な表現ではなく、 暴行、脅迫、業務妨害、食い逃げならぬ不払い、 詐欺等々、積極的に警察と連携し、刑事及び民事で罪に問うべきであり、 医療機関間で情報共有し、診療不可として出入り禁止にすべき」(40代,内科,一般病院)「精神科の病院とクリニックなので,モンスターなのか精神障害かの区別は難しい」(60代,精神・神経科,一般病院)「危険が予測される場合には、眼鏡やポケットの中身などを外すようにしています。」(30代,精神・神経科,一般病院)「小児科なのでモンスターペアレントが多いです」(40代,小児科,一般病院)「俺の言うとおりの薬だけを出せと強要する。血圧を測ろうとすると断固拒否する。」(60代,内科,診療所・クリニック)「公立病院に勤務しておりますが、モンスターペイシェントを警察に届けた例を見たことがありません。どの程度で届出をしたほうがいいのか。その際の罪の重さはどの程度なのか。」(50代,内科,一般病院)「変な権利意識が強くなってきて、増えているような印象 病院をホテルとかのサービス業と勘違いしている人も増えている」(40代,循環器科,一般病院)「逃げ場のない個室で診察しているときに、監禁されたことあり。 逃げられるドアのある部屋で診察するようにしている」(40代,内科,診療所・クリニック)「脅迫を受けましたが謝ることはしませんでした」(50代,内科,診療所・クリニック)「マニュアルは最低必要.300床以上では専門部署の設置が望ましい」(60代,外科,大学病院)「対策ガイドラインが策定されると、判断基準が定まり、対応がしやすくなる。 厚生労働省など公式な機関からの公示を期待したい。」(30代,内科,診療所・クリニック)「ターゲットにされている医師・看護師などをできるだけ担当から外し、事務系のもので対処するようにしている。場合により、警察OBの方に前面に出ていただくようにしている。記録を取らしていただくように宣告する・・・などです。」(60代,外科,一般病院)「クレームを言わせないような暖かな雰囲気のクリニックにしています。幸い今のところありません。」(50代,代謝・内分泌科,診療所・クリニック)「いくら患者さん御本人と良好にコミュニケーションを取れていても、事態を把握していない第三者のクレームが入ることもあり、閉口しました。」(50代,内科,一般病院)「患者の自分本位な要求に応じなかったら、激昂して殴られたことがある。精神科の診療であるし(情動障害を主とする適応障害)軽いかすり傷を負った程度なので不問にした。度量が大きいと映ったのか、以後関係改善し特別扱いを求めなくなったが、後日他科の医師にも暴力を振るってしまい診療科間の問題にまで発展した。初回から暴行事件として刑事告訴すべきだったと反省している。」(40代,精神・神経科,診療所・クリニック)「正直、モンスターペイシェントに対する院内での明確な対応マニュアルはない。他院では警察OBを雇用するなど、毅然とした対応を行っているところも多いと聞くが、当院ではひたすら事務の人が謝るなど、こちらが下手に出て患者と対話をしている。個人的には、明らかなモンスターに対しては謝る必要はなく病院を出て行ってもらうなど、強い態度を示してほしいと考えている。」(30代,代謝・内分泌科,一般病院)「受付の対応時の言葉の前後を組み合わせて、勝手に自分の中で解釈し、こちらが言ってもいないようなことを言ったとのクレーム。夜間に自宅側のインターホンを執拗に鳴らし、出ないとなるとポストに苦情の手紙を投函。何日までに自宅まで謝罪に来いとの期限付きで一方的に求めてきた。」(40代,内科,診療所・クリニック)「中絶手術に付き添ってきた男性が『なんでこんなに高い料金なんだ』と怒鳴りつけてきて火災報知器を鳴らし、消防署への対応、火災報知器の修繕は自前で対応した。男性は右翼関係者だったらしく、破門されていて荒れていた状態だと分かり、まもなく自殺した連絡が入り、それで事案が終了した。」(50代,産婦人科,診療所・クリニック)「義務を果たさず、権利ばかりを主張する世の中になってしまった為と、諦めています。個人の対応には限度がありますので、とにかく、病院全体で対応することに尽きます。 」(60代,内科,一般病院)「『診療でなく話だけだ」と言って保険証提示を拒否し、順番も無視して割り込んで、症状を言って、診断名の可能性だけ聞くと無料で帰っていくことを繰り返す人がいました。保険証の提示をしつこく求めると『俺は話だけで来たので診察を受けにきたのではない!』と言い張りました。『それも診察です!』と強く言ってからは来院していません。」(40代,内科,診療所・クリニック)「これまではラッキーなことにモンスターと言うほどの患者には当たっていませんが、それでも対応に苦慮する様な方はいらっしゃいますね。」(50代,外科,一般病院)「医師になって25年間で初めてのものすごいモンスター患者さんに遭遇したが、土下座して謝れなどの脅しに屈しなかったら、矛先が保健所など違う相手に向いた。有名なクレーマー患者だったと後で知ったが、前医への悪口が尋常ではなかったので、前医に問い合わせをしてから診療に応じればよかったかなと思う。」(50代,内科,診療所・クリニック)「理不尽な要求をする患者の診察は、ICレコーダーで録音している」(30代,内科,診療所・クリニック)「患者や家族の理不尽な要求に腹立たしい思いを何度もしているが、よりよい病院にしていくための改善や対策のヒントが隠れている場合もある。大変ではあるが、理不尽な要求をするようになったその背景を探ることで勉強になることもあった。」(60代,精神・神経科,一般病院)「生活保護の患者が、『薬が足りない』『無くした』と再三取りにくる。自費でというと『殺す気か』と怒鳴り散らす。 」(30代,内科,一般病院)「会計踏み倒しなど、日常にある。」(40代,内科,診療所・クリニック)「地域医師会と所轄署とで定期的に講習会を開いている」(50代,泌尿器科,診療所・クリニック)「自己負担分の踏み倒しが多々ある。更に市町村の福祉医療制度を悪用し、病院に掛かって自己負担分を稼ごうとする輩もいる。自己負担分を払わないので福祉医療の請求書を出さなかったら、後日『自己負担金の還付が無い』と文句の電話が来て唖然とした。 大学生の踏み倒しも増えている。この場合は実家に連絡すると大体片付く。どうしても払わず、実家の祖母に振り込ませたこともある。」(50代,内科,診療所・クリニック)「特に医療関係者の家族が、クレームをつけて『保健所や医師会に訴える』などと脅してくる。」(40代,整形外科,一般病院)「けいれん重積を治療後、てんかんの診断名が気に入らない。点滴を入れたせいで、指の動きに問題が出たとクレーム。頭痛を治せと暴れる。ソセゴンを打てと脅す。ぜんそく発作が夜出た場合、点滴後、(タクシーではなく)バスで帰れるように、真夜中すぎまで待って救急車を呼ぶ。順番が遅い、とスタッフを怒鳴る。MRIで異常がないとわかった後、支払いをせず逃走。救急で入院した患者の具合を早く良くしろと家族に詰め寄られるなどなど、書ききれないほどのエピソードがあり、疲れて退職しました。もう、二度と救急対応はやりたくありません。」(50代,神経内科,診療所・クリニック)「酔っ払いが最悪です。処置をしようとすると『痛い』だのと騒ぎ暴れたり物を投げる。帰りのタクシー代がないから救急車を呼べと騒ぐ。『今は金がない』と帰って医療費を払わない。酔っ払いを診ない病院が増えてこっちに回ってくることが多くなったが、断れるものなら断りたい。」(40代,脳神経外科,一般病院)「ブラックリストがあり、時間外受診の問い合わせがあった際には、必ずそれに目を通すようにしています。」(30代,精神・神経科,一般病院)「投薬強要には毅然と拒否するように心がけていますが、キャリアの浅いときは、怖くて従ってしまったこともありました。薬物中毒疑いの暴力団風の患者が夜間の救急外来に現れ殴られそうになったことがありますが、警察に連絡したら逃げていき事なきを得ました。診察費、入院費を払わない患者家族にも何回か遭遇しましたが、事務方と相談し対処、退院させたり、大変な思いをしたこともあります。」(50代,内科,一般病院)「クレームが発生する主な原因は、医療機関側にもあると思われます。 当院では自己防衛のため、定期的に接遇の院内勉強会を実施しています。これだけでクレームは防げる訳ではありませんが、最小限に止める事は出来ると思います。事実、当院は開業7年目ですが、殆ど大きなトラブルは経験しておりません。 上記のことから、患者応対のスキルアップが一番のクレーム対策になると考えます。」(40代,内科,診療所・クリニック)「窓口金を一切払わない。順番待ちが長い、自分の方が先に来ていたなど大声で騒ぐ。 受診後、看護師の態度が悪いと電話でクレームをうける。」(50代,循環器科,診療所・クリニック)「見つければすぐにつまみだし、暴れれば警察を呼び、顧問弁護士を通して法的に厳正に対処する。また院内の男性スタッフに柔道や極真空手の有段者がいるので、暴れる者への対応を躊躇しないことにしています。」(40代,皮膚科,診療所・クリニック)「最近暴力マニュアルを作成し、院内にて異常が起った場合コードブルーにて院内スタッフを直ちに招集するシステムを構築した。」(40代,循環器科,一般病院)「受付デスクにセコムの非常ボタンを設置している。」(50代,外科,診療所・クリニック)「問題のある患者が発生した場合には、担当部署(医療安全室)に連絡し、警察OBの方にお越し頂いて対応しています。その他問題発生時には医療安全室に相談する体制となっています。」(50代,内科,大学病院)「精神科専門で30年も臨床をやっていれば、この手のエピソードに遭遇しない訳がありません。重篤な精神疾患に罹患している患者自身よりも、むしろ家族がモンスターであることの方が対応に苦慮します。」(50代,精神・神経科,一般病院)「警察OB雇用の話はありますが、大病院以外は費用が高すぎるとの理由で、非採用。」(60代,整形外科,一般病院)「入院費を踏み倒した患者家族には、何度も説明を求められ職員の疲弊とトータルの時間喪失は非常に大きかった。この患者はブラックリストに載せておいたので夜間救急要請時は受けることなく更なるトラブルを回避できた。」(50代,外科,一般病院)「年に一度程度なので、運が悪かったとあきらめが半分。違法なことに関しては毅然とした対応を心がけている。」(40代,眼科,診療所・クリニック)今すぐできる対策をCheck!一般医療機関における暴言・暴力の予防と対策医療従事者に向けられる理不尽な暴言・暴力。その場しのぎの場当たり的な対応、していませんか?一貫した取り組みをしていかないと、スタッフの心身を損ねてしまうだけでなく一般の患者さんも逃げてしまいます。土下座など過度な謝罪を要求する母親、暴言がエスカレートする男性患者…暴言・暴力の実例を通して、予防・対策のあり方や進め方についてわかりやすく解説。

347.

妊娠可能年齢のてんかん女性にはレベチラセタム単独療法がより安全?

 アイルランド・Royal Victoria HospitalのEllen Mawhinney氏らが、被験者670例を対象とした調査研究を行い、妊娠中のレベチラセタム単独療法は、重大先天奇形(MCM)に対するリスクは低いことを報告した。先行研究でも低リスクが示されていたが、小規模試験での報告であった。Neurology誌2013年1月22日号(オンライン版2013年1月9日号)の掲載報告。 調査は、英国とアイルランドで被験者が登録された前向き観察レジストリ追跡研究「UK and Ireland Epilepsy and Pregnancy Registers」のデータを解析して行われた。同研究は、妊娠中に服用したすべての抗てんかん薬の安全性について相対的な評価を行うことを目的としたものであった。研究グループは、2000年10月~2011年8月に、レベチラセタムを妊娠第1期に服用した被験者について検証した。 主な結果は以下のとおり。・アウトカムデータが入手できたのは671例であった。304例はレベチラセタム単独療法を、367例はその他1種類以上の抗てんかん薬との併用療法を受けていた。・MCMは、単独療法群では2例の報告であった(0.70%、95%CI:0.19~2.51)。・一方、併用療法群では19例が報告された(6.47%、95%CI:4.31~9.60)。・併用療法群のMCM発生は、抗てんかん薬の組み合わせによって異なった。+ラモトリギン(1.77%、95%CI:0.49~6.22)が、+バルプロ酸(6.90%、95%CI:1.91~21.96)や、+カルバマゼピン(9.38%、95%CI:4.37~18.98)よりも低率であった。・以上の結果から、MCMのリスクは、レベチラセタムを併用療法で用いた場合に高まることが示唆された。・特定の組み合わせのリスクについてはさらなる検証が必要である。・MCMに関してレベチラセタムの単独療法は、てんかんを持つ妊娠可能年齢の女性にとって、バルプロ酸よりも安全な選択肢とみなすことができる。関連医療ニュース ・検証!抗てんかん薬の免疫グロブリン濃度に及ぼす影響 ・レベチラセタムは末梢性の鎮痛・抗浮腫作用を示す ・妊娠中のSSRI服用と死産、新生児・0歳時死亡には有意な関連みられず

348.

SMSを活用した教育介入で、てんかん患者の健康関連QOLが改善

 てんかん患者における健康関連QOL(HRQoL)の改善は、さまざまな治療プログラムおよび行動介入において着目すべき課題となっている。マレーシア・Sultan Zainal Abidin大学のPei Lin Lua氏らは、SMS(Short Message Service)を活用した教育プログラムのてんかん患者のHRQoLに及ぼす影響の検討、ならびに良好なHRQoLの予測因子を明らかにすることを試みた。Quality of Life Research誌オンライン版2013年1月18日号の掲載報告。 マレーシア半島東海岸にある3つの公立病院のてんかん外来患者を適格症例とし、印刷物による教育資材のみが提供された群(対照群)と、印刷物に加えてモバイルてんかん教育システム(Mobile Epilepsy Educational System:MEES)によりSMSを受信した群(介入群)に無作為化した。HRQoLはThe Malay Quality of Life in Epilepsy Inventory-30(QOLIE-30のマレー語版)を用いて評価した。統計解析ソフトSPSS 16を使用し、記述統計、ペアt検定、共分散分析および多重ロジスティック回帰分析などによりデータを解析した。 主な結果は以下のとおり。・登録されたのは、てんかん患者144例であった。・患者背景は、年齢が30.5±11.8歳、未婚者が60.4%、教育レベルはマレーシア教育検定〔Sijil Pelajaran Malaysia:SPM、ケンブリッジシステムのOレベル(中等課程)〕以下が76.4%、罹病期間5年を超える例が51.1%であった。・想定される交絡因子調整後、介入群は対照群と比べて「発作への不安」「全般的QOL」「情緒的健康」「社会的役割」「総スコア」をはじめ、HRQoLプロファイルの改善が認められた(p<0.05)。・共変量調整後、SMSを追加したてんかん教育プログラムは、てんかん患者における良好なHRQoLの有意な予測因子であることが示された。・著者は、「SMSによる継続的な情報提供は、てんかん患者のHRQoLに好影響を及ぼすようである」と結論するとともに、「本研究は将来的なイノベーションの礎となるものであり、てんかん患者・家族がウェルフェアおよびHRQoLを確保するための努力を後押しするものである」と成果を強調した。関連医療ニュース ・てんかん患者のうつ病有病率は高い ・側頭葉てんかんでの海馬内メカニズムの一端が明らかに ・抗てんかん薬、神経膠腫術後患者の言語記憶を改善

349.

うつ病患者の食事療法、ポイントは「トリプトファン摂取」

 うつ病では悲哀感、希望喪失、易刺激性、身体機能障害などの特徴がみられ、数週間にわたり重症の症状を呈する。また、気分変調症は軽度の抑うつ気分が漫然と続いた状態である。うつ病の治療には、精神療法、薬物療法、光線療法などがあるが、これまでの臨床的および経験的エビデンスから、適切な食事が抑うつ症状を軽減しうることが示唆されている。オランダ領アンティル・Saint James School of MedicineのFaisal Shabbir氏らは、食事が抑うつに及ぼす影響について考察した。神経伝達物質であるセロトニンの低下はうつ病の一因であるが、セロトニンの前駆体であるトリプトファンを多く含む食事の摂取が抑うつ症状の軽減に有用であることを示唆した。Neurochemistry international誌オンライン版2013年1月7日号の報告。トリプトファンの含有量が少ない食事を摂取しているとうつに陥る可能性 トリプトファンを多く含む食事が抑うつ症状の軽減に有用であることを示唆した主な知見は以下のとおり。・脳内で合成される神経伝達物質のセロトニン(5-HT)は、気分緩和、満足感、睡眠の調節などに重要な役割を果たしている。5-HTを多く含む果物や野菜があるが、血液脳関門の存在により5-HTは中枢神経系に容易に到達できない。しかしながら、5-HTの前駆体であるトリプトファンは容易に血液脳関門を通過できる。・トリプトファンは、ビタミンB6誘導体であるピリドキサールリン酸存在下で、トリプトファンハイドロキシダーゼおよび5-HTPデカルボキシラーゼにより5-HTに変換される。・タンパク質の多い食品であっても、必須アミノ酸は体内でつくることができないため、トリプトファンの含有量が少ない食事を摂取しているとうつに陥る可能性がある。・たとえば月経前後の女性、心的外傷後ストレス障害、慢性疼痛、がん、てんかん、パーキンソン病、アルツハイマー病、統合失調症、薬物依存など、うつに陥りやすい状況にある患者ではトリプトファンを多く含む食事の摂取が重要である。・中枢神経におけるトリプトファンのバイオアベイラビリティは炭水化物の欲求に関連するが、炭水化物を多く含む食事はインスリン反応の引き金となりトリプトファンのバイオアベイラビリティを高める。・セロトニン再取り込み阻害薬は(SSRI)は、抑うつ症状を呈する肥満患者に処方されるが、これらの患者ではセロトニン濃度が厳格に調節されず、モノアミンオキシダーゼ阻害薬と併用した際には生命を脅かす有害事象が発現する可能性がある。しかし、トリプトファンを多く含む適切な食事を摂取することでセロトニン合成が調節されうる。・以上より、さまざまな神経変性疾患で観察される抑うつ症状に対し、セロトニン神経伝達を助ける上でトリプトファンを多く含む食事とビタミンB6は臨床的に重要と言える。ただし、うつに対するセロトニン神経伝達を修飾する薬理学的介入は、従来と変わらず臨床的に重要な事項である。また、うつの病態にはその他にもいくつかの分子メカニズムが関わっている可能性がある。関連医療ニュース ・うつ病予防に「脂肪酸」摂取が有効? ・うつ病補助療法に有効なのは?「EPA vs DHA」 ・認知症の進行予防に有効か?「ビタミンE」

350.

新型インフルエンザワクチン、てんかん発作のリスクを増大しない/BMJ

 パンデミックA/H1N1インフルエンザ、いわゆる新型インフルエンザのワクチンについて、てんかん発作のリスクを増大するエビデンスはみられなかったことが、スウェーデン・カロリンスカ研究所のLisen Arnheim-Dahlstrom氏らによる検証の結果、報告された。同ワクチンについては先行研究で、ギラン・バレー症候群など神経学的イベントのリスク増大およびナルコレプシーのリスク増大の可能性が報告されていた。また、百日咳ワクチンの接種後のてんかん発作が報告されており、研究グループは、新型インフルエンザワクチンのてんかん発作リスクの増大について調査した。BMJ誌2013年1月5日号(オンライン版2012年12月18日号)掲載より。てんかんあり・なし含む接種者37万人超について調査 研究グループは自己対照ケースシリーズ研究にて、新型インフルエンザの単価AS03アジュバンドワクチン(商品名:パンデムリックス〔国内未承認〕)のてんかん発作リスクを評価した。 評価の対象は、スウェーデンの3つの州(人口約75万人)で2009年10月~2010年5月にワクチン接種を受けた、てんかんの有無を問わない37万3,398人(0~106歳、年齢中央値41.2歳)だった。 それらのうち、接種前90日間および接種後90日間に、入院患者あるいは外来患者としててんかん発作を診断された人を調べた。エンドポイントは、てんかん発作を主病として入院または外来治療を受けたこととした。 評価は、ワクチン接種後のてんかん発作の発生率とワクチン接種前後の2つの期間におけるてんかん発作の発生とを比較して算出した推定エフェクト相対発生率にて行った。てんかん既往者のリスクも、増大はみられず 試験期間中にてんかん発作を認めた人は859人だった。 1~7日のリスク期間中(1日目がワクチン接種日)において、てんかん既往者の発作のリスク増大は認められなかった(相対発生率:1.01、95%信頼区間:0.74~1.39)。 また、非既往者の発作リスクの有意な低下は認められなかった(同:0.67、0.27~1.65)。 8~30日のリスク期間においては、非既往の人の発作リスクの有意な増大はみられず(同:1.11、0.73~1.70)、既往者のリスクは増大しなかった(同:1.00、0.83~1.21)。

351.

検証!抗てんかん薬の免疫グロブリン濃度に及ぼす影響

 抗てんかん薬は免疫グロブリンに影響を与えると言われている。ノルウェー・オスロ大学病院のS. Svalheim氏らは、レベチラセタム、カルバマゼピン、ラモトリギンなどの抗てんかん薬がてんかん患者の免疫グロブリン濃度に及ぼす影響を検討した。Acta neurologica Scandinavica誌2013年1月号の掲載報告。 被験者は、てんかん患者211例および対照80例(18~45歳の男女)であった。てんかん患者は抗てんかん薬単独による治療を最低6ヵ月施行されていた。治療薬の内訳はレベチラセタムが47例、カルバマゼピンが90例、ラモトリギンが74例であった。免疫グロブリンG (IgG)、IgG サブクラス(IgG1、IgG2、IgG3、IgG4)、免疫グロブリンA(IgA)および免疫グロブリンM(IgM)の総濃度を測定し、患者群と対照群で比較した。なお、患者背景として喫煙、飲酒習慣、身体活動性の記録とともに、BMIを算出した。 主な結果は以下のとおり。・ラモトリギンの治療を受けている男女、カルバマゼピンの治療を受けている男性において、IgG濃度およびIgG1濃度は有意に低値であった。・ラモトリギンの治療を受けている女性において、IgG2濃度およびIgG4濃度はより低値であった。・ラモトリギンの治療を受けている男性において、IgA濃度およびIgM濃度はより低値であった。・レベチラセタムの治療を受けている患者では、対照群との間で免疫グロブリン濃度に差はみられなかった。・以上の結果から、ラモトリギンおよびカルバマゼピンはてんかん患者の免疫グロブリン濃度を低下させることが示された。・本検討における対象患者が健康若年成人でなかったことを考えると、たとえば免疫不全症例などの特定の患者集団においては、抗てんかん薬が免疫グロブリン濃度に影響を及ぼしうることを特に認識しておく必要がある。そして、ラモトリギンやカルバマゼピンを服用中で感染症を繰り返しているような患者については、免疫グロブリン濃度を測定し、薬剤の変更を考慮すべきである。関連医療ニュース ・神経ステロイド減量が双極性障害患者の気分安定化につながる? ・側頭葉てんかんでの海馬内メカニズムの一端が明らかに ・レベチラセタムは末梢性の鎮痛・抗浮腫作用を示す

352.

てんかん薬、神経膠腫術後患者の言語記憶を改善

 抗てんかん薬投与を受ける悪性度の高い神経膠腫(high-grade glioma、HGG)の患者について、認知機能の低下などさまざまな有害事象が報告されている。しかし従来薬、新薬ともに抗てんかん薬の認知機能への影響について、これまで大部分が不明であった。オランダ・VU University Medical CenterのMarjolein de Groot氏らは、HGG術後患者に対する抗てんかん薬の認知機能への影響を調べた。その結果、バルプロ酸、レベチラセタムともに認知機能を障害することはなく、むしろ言語記憶に関する薬効がみられさえしたことを報告した。Neuro Oncology誌オンライン版2012年12月11日号の掲載報告。 評価は、抗てんかん薬について従来薬を受ける群、新薬を受ける群、非投与群の異なる3コホートのHGG患者を選択し行われた。3群の患者はいずれも、術後治療の開始前6週以内に手術を受け評価対象に包含された。認知機能の評価は、包括的な神経心理学的評価によって、6つの認知機能の領域(注意、実行機能、言語記憶、ワーキングメモリ、精神運動機能、情報処理速度)を対象に行われた。 主な結果は以下のとおり。・包含基準を満たしたのは、117例の患者であった。・35例が新しい抗てんかん薬(全例がレベチラセタム)の単独療法を、38例が従来薬(バルプロ酸またはフェニトイン)の単独療法を受けた。44例は非投与であった。・レベチラセタム群および従来薬群の患者は、非投与群と同程度の評価となった。・レベチラセタム群の患者は言語記憶テストで、非投与群と比べて、より良好な認知機能を示した。・事後解析において、従来薬群では、バルプロ酸服用群のほうがフェニトイン服用群よりも、認知機能が良好であることが明らかになった。・レベチラセタムもバルプロ酸も、HGG患者における付加的な認知障害との関連はみられなかった。両抗てんかん薬は、HGG患者の言語記憶に関する薬効を有するようである。関連医療ニュース ・側頭葉てんかんでの海馬内メカニズムの一端が明らかに ・レベチラセタムは末梢性の鎮痛・抗浮腫作用を示す ・てんかん発作時の脳炎がPET画像診断活用で明らかに

353.

EPA/DHAはADHD様行動を改善する可能性あり?

 ノルウェー・オスロ大学のKine S Dervola氏らが行ったラット試験の結果、ADHDに対し、ω3(n-3系)多価不飽和脂肪酸(PUFA)のサプリメントを投与することにより、挙動や神経伝達物質代謝について、性特異的な変化をもたらすことが示された。先行研究において、n-3系PUFAサプリメントがADHD様行動を減じる可能性が示唆されていた。Behavioral and Brain Functions誌オンライン版2012年12月10日号の掲載報告。 本研究の目的は、ADHD動物モデルにおけるn-3系PUFA投与の影響を調べることであった。高血圧自然発症ラット(SHR)を用いて、n-3系PUFA(EPAとDHA)強化飼料(n-6系 対 n-3系の割合1:2.7)を妊娠期間中、およびその産児に死亡するまで投与し続けた。SHRコントロール群とWistar Kyoto(WKY)ラットのコントロール群には、対照飼料(n-6系 対 n-3系の割合7:1)が与えられた。産児は生後25~50日の間、強化-依存的な注意力、衝動性、多動性および自発運動について検査を受けた。その後、55~60日時点で処分し、モノアミン、アミノ酸神経伝達物質に関して、高速液体クロマトグラフィーにて解析した。 主な結果は以下のとおり。・n-3系PUFA給餌により、オスのSHRでは強化-依存的な注意力の改善が認められたが、メスではみられなかった。・同一ラットでの新線条体の解析において、オスのSHRでは、ドパミンとセロトニン代謝率の有意な上昇が示されたが、メスのSHRでは、セロトニン分解代謝が上昇したことを除き、変化はみられなかった。・対照的に、オスとメスの両方のSHRで示されたのが、非強化の自発運動の低下と、グリシン値およびグルタミン代謝の性非依存的変化であった。・n-3系PUFAはADHDラットモデルにおいて、強化刺激行動において性特異的な変化をもたらし、非強化関連行動において性非依存的な変化をもたらすことが示された。それらは、シナプス前部線条体モノアミンとアミノ酸伝達シグナルとそれぞれ関連があった。・以上のことから、n-3系PUFAの摂取は、ADHD様行動(男性では強化誘発メカニズム、男女ともでは強化無反応メカニズム)をある程度改善する可能性が示された。関連医療ニュース ・うつ病予防に「脂肪酸」摂取が有効? ・統合失調症患者の脳組織喪失に関わる脂肪酸、薬剤間でも違いが ・抗てんかん薬の処方、小児神経科医はどう使っている?

354.

レベチラセタムは末梢性の鎮痛・抗浮腫作用を示す

 セルビア・ベオグラード大学のRadica M. Stepanovic-Petrovic氏らは、ラット炎症性疼痛モデルを用いて、レベチラセタムの末梢局所における鎮痛・抗浮腫作用とその作用機序について検討した。その結果、レベチラセタムはオピオイド受容体、アドレナリン受容体、アデノシン受容体、5-HT受容体を介して末梢性の鎮痛作用を示すことが明らかになった。Anesthesia & Analgesia誌2012年12月号(オンライン版2012年11月9日号)の掲載報告。 本研究は、ラット炎症性疼痛モデルにおいて、レベチラセタムの炎症局所における鎮痛・抗浮腫作用ならびにその作用機序を検討することを目的とした。ラット足底(paw)皮下にカラゲナンを注射して炎症性浮腫を惹起させ、レベチラセタム(200~1,000nmol/paw)および各種受容体アンタゴニストの鎮痛作用を足圧痛法により評価した。さらに、レベチラセタムの浮腫に及ぼす影響を体積変動測定法により測定した。検討した各種受容体アンタゴニストは以下。オピオイド受容体アンタゴニスト:ナロキソン(75~300nmol/paw)、CTAP(1~5nmol/paw)アドレナリン受容体アンタゴニスト:ヨヒンビン(130~520nmol/paw)、BRL 44408(50~200nmol/paw)、MK-912(5~20nmol/paw)アデノシン受容体アンタゴニスト:カフェイン(500~1,500nmol/paw)、DPCPX(3~30nmol/paw)5-HT受容体アンタゴニスト:メチセルギド(10~100nmol/paw)、GR 127935(50~200nmol/paw)GABA受容体アンタゴニスト:ビククリン(400nmol/paw) 主な結果は以下のとおり。・レベチラセタムは、用量依存的かつ有意な疼痛閾値の低下、足浮腫抑制作用を示した。・レベチラセタム(1,000nmol/paw)の鎮痛作用は、GABA受容体アンタゴニストのビククリンで抑制されなかった。一方で、オピオイド受容体アンタゴニスト、アドレナリン受容体アンタゴニスト、アデノシン受容体アンタゴニスト、5-HT受容体アンタゴニストにより有意に抑制された。・ラットの対側後足にレベチラセタム、各種受容体アンタゴニストを投与した場合に効果が観察されなかったことから、これらの作用は末梢性であると考えられた。・以上のことから、レベチラセタムは末梢局所で鎮痛ならびに抗浮腫作用を示し、その作用はオピオイド受容体、アドレナリン受容体、アデノシン受容体、5-HT受容体を介したものであることが示唆された。レベチラセタムは、全身性の副作用および薬物相互作用の出現を低く抑え、炎症性疼痛を改善させうる。■関連記事とくにうつ病患者は要注意?慢性疼痛時のオピオイド使用レベチラセタム、部分てんかん患者に対する1年間の使用結果レビュー疼痛治療「プラセボでも一定の効果が」臨床試験に課題も抗てんかん薬レベチラセタム、日本人小児に対する推奨量の妥当性を検証

355.

側頭葉てんかんでの海馬内メカニズムの一端が明らかに

 てんかん重積状態(SE)およびその後のてんかん発作を誘発するため、ラットの全身または脳内(海馬や扁桃体など)へのカイニン酸投与が広く行われている。しかし脳内投与では、特発性再発性てんかん発作が認められるラットの割合は低く、再発頻度も比較的低い。ドイツ・ハノーバー獣医科大学のMarta Rattka氏らは、ラットモデルにおける再発側頭葉てんかん発作時の、海馬内のカイニン酸の作用機序について明らかにした。Epilepsy Research誌2012年11月26日号の掲載報告。 特発性再発性てんかん発作の発現や頻度が低いという問題について、最近、カイニン酸を覚醒ラットの背側海馬に投与することで解決できるのはないかということが示唆されており、先行研究が報告されていた。Rattka氏らは、さらにこのモデルの特徴を詳述するため、覚醒ラットの片側の後側海馬のCA3にカイニン酸(0.4μg)を投与した。 主な内容は以下のとおり。・すべてのラットで、死亡例なく、辺縁系SE(範囲:4~20時間)が発生した。・SE後1~8ヵ月の1~2.5週の期間において、再発てんかんビデオ脳波モニタ(24時間/日、7日/週)を行った結果、91%のラットでてんかんが発症し、発作の頻度も有意に増大した。・てんかん発作は、興奮性を増し水迷路試験における学習記憶害を増大することが認められた。海馬の病理学的影響(同側海馬のCA3、歯状回門の広範囲のニューロン欠損や顆粒細胞の拡散によって特徴づけられる)によるものと思われた。・本試験のラットを用いたフェノバルビタールの試験では、すべてのラットが、特発性再発性てんかん発作の抑制に対する治療に反応を示した。・以上の結果より、覚醒ラットの脳内へのカイニン酸投与は、ヒト側頭葉てんかんの優れたモデルを提供するものであり、とくに抗てんかん薬や抗てんかん発作治療のターゲットとしての外傷性てんかんや共存症のメカニズムを検討するモデルとして優れている可能性があることが示された。関連医療ニュース ・てんかん患者のうつ病有病率は高い ・てんかん発作時の脳炎がPET画像診断活用で明らかに ・てんかんを持つ人のうつ病発症を理解することが急務

356.

てんかん患者のうつ病有病率は高い

 てんかんはうつ病と有意に関連しており、うつ病はてんかんを持つ人(PWE)において高頻度に認められることが、カナダ・カルガリー大学のKirsten M Fiest氏らによるシステマティックレビューとメタ解析の結果、示された。著者は、「この所見は、PWEでのうつ病の適切な診断と治療の重要性を強調するものである」と結論している。Neurology誌オンライン版2012年11月21日号の掲載報告。てんかんを持つ人のうつ病有病率は23.1% 研究グループは、MEDLINE(1948~2012年)、EMBASE(1980~2012年)、PsycINFO(1806~2012年)をデータソースに、てんかんとうつ病について報告した住民ベースのオリジナル研究を包含基準としたシステマティックレビューを行った。関連論文の文献リスト、カンファレンスアブストラクトも検索対象とし、その他に専門家への聞き取りも行った。要約の検索とデータ抽出は2人の独立したレビュワーにより行われ、PWEにおけるうつ病の有病率と、てんかんとうつ病の関連を推定した[報告された推定オッズ比(OR)]。 てんかんとうつ病の関連を解析した主な内容は以下のとおり。・7,106件のアブストラクトがスクリーニングされ、14の特色あるデータソースにおいて23件の論文が報告されていた。・9試験・PWE 2万9,891例の報告において、アクティブなうつ病(現在あるいは昨年)有病率は23.1%(95%CI:20.6~28.31)であった。・14試験・121万7,024例のうち5試験で報告されていたPWEにおけるアクティブなうつ病のオッズ比は、2.77(95%CI:2.09~3.67)であった。・生涯うつ病について、4試験・PWE 5,454例の報告では有病率13.0%(95%CI:5.1~33.1)であり、3試験・被験者4,195例で報告されたPWEの生涯うつ病オッズ比は2.20(95%CI:1.07~4.51)であった。

357.

Step By Step!初期診療アプローチ 【神経症候シリーズ(前編)】

第9回「めまい」第10回「失神」第11回「痙攣」第12回「意識障害」 第9回「めまい」めまいの患者さんを診たときに即、頭部CTを行っていませんか?でもそれは間違いです。また、ただ「めまい」と診断したのでは医師として失格でしょう。めまいは人によって、また原因疾患によって症状が異なり、そのために疾患ごとのアプローチも全く違ってきます。その極意をstep by stepで解説します。三半規管の中に隠れて判り難かった「めまいを起こすメカニズム」とその根治療法を、仕掛けを使った実習で体得します。辛い症状の患者さんにスッキリ解説するための知識が満載です。第10回「失神」失神も日常診療でよく遭遇する症状です。前回の「めまい」と同様、失神の患者さんをみた時に即CTという認識は間違っています。失神の場合は、原因検索以外に外傷検索も行うべきであり、決してどちらかのみに偏らず両方を同時に行いながら診断していくのがプライマリ・ケア医の腕の見せどころ。失神患者の予後を予測しながら診断してゆくことも非常に重要です。また、検査としてはCTよりも優先させるべきものが他にありますが、それは一体何でしょう?診察のポイントや失神を診た時の鉄則、アプローチのためのアルゴリズム等をご紹介します。検査についての最新の情報も加えて失神を正しく鑑別し、マネジメントしてゆくための基礎知識が盛りだくさんです!第11回「痙攣」痙攣している患者さんが来院した場合、医療者として慌てずに落ち着いて対処すべきですが、実際に目の当たりにすると、やはりプレッシャーを感じる事も多いのではないでしょうか。思わず逃げ出してしまう、すぐに別の先生を呼んでしまう・・・そんな事態に陥らないよう自信をつけておきたいものです。まずは基本が大切。「痙攣の定義」をきちんと把握しましょう。痙攣と、てんかん・失神を見極めるコツ、痙攣発作を起こす多くの原因疾患からルールアウトすべき疾患、なすべき検査も押さえておくべきです。そして痙攣にアプローチするためのアルゴリズムを用いれば、step-by-stepで正確に痙攣を治療できるようになります。また、同時にてんかん発作の診断と治療についても理解できる内容です。第12回「意識障害」「意識障害」は、これまでの「めまい」や「失神」とも相関関係にあり、救急でも病棟でもよく遭遇する症候ですので、自信をもってマネジメントが出来るようになりましょう。近代以前は哲学の問題であった「意識」も、今日では脳における意識の座が確定され、発症のメカニズムも解明されています。それを基にした意識についての3つの鉄則を押さえ、アプローチのための田中流アルゴリズムを活用すれば、基本的なマネジメントは自ずと見えてきます。応用編の「特別なケース」も覚えておけば、更にStep upできます!これも是非、習得してください。

358.

夢遊病にビペリデンは有望!?

 青年および成人の夢遊病は重大外傷に結びつく可能性があり治療が必要とされる。クロアチア・University Psychiatric Clinic VrapceのDanilo Hodoba氏らは、青年・成人の夢遊病(てんかんの有無を含む)に対するビペリデンの有効性と安全性に関する臨床観察研究を行った。著者らは、「確信を得ることはできなかったが、必要に応じて使用を考慮する価値はありそうだ」と結論し、さらなる無作為化試験の実施の必要性を提言した。事例に基づき推奨されている治療薬は、ベンゾジアゼピン系薬(鑑別診断として重要である前頭葉の焦点性発作に作用する)、イミプラミン、アミトリプチリンなどがある。Progress in Neuro-Psychopharmacology & Biological Psychiatry誌オンライン版2012年11月12日号の掲載報告。 研究グループは、抗コリン薬ビペリデンの夢遊病に対する有用性を評価するフォローアップ研究を行った。ビペリデンは、ムスカリンM1型レセプターに高親和性のアセチルコリン拮抗薬である。対象は4例の青年および成人の連続症例で、てんかんの有無にかかわりなく、夢遊病やせん妄を伴う覚醒障害を有し、ジアゼパム、クロナゼパム、アミトリプチリンによる治療には反応を示さなかった症例である。 主な結果は以下のとおり。・フォローアップ期間は、中央値4年間(範囲:2~7年)であった。・ビペリデンの補助的療法により、4例ともに夢遊病エピソードが減少あるいは寛解した。・一方でビペリデンは、レム睡眠時の行動障害には効果を示さなかった。・本研究でビペリデンの有効性あるいは安全性を確立できなかったが、必要に応じ夢遊病治療としてビペリデンを考慮することは有用となる可能性がある。・夢遊病を含む覚醒障害で示唆されているコリン作動性メカニズムは、抗コリン薬ビペリデンが効果をもたらす可能性があるという仮説の根拠となる。今回の予備的研究の知見を確認するために無作為化試験による有効性と安全性のエビデンス検証が必要である。関連医療ニュース ・がん患者の悪夢に有効な治療法は? ・がん患者のせん妄治療に有効な抗精神病薬は… ・せん妄を有する高齢入院患者の死亡リスクは高い!

359.

認知症の前駆症状は?うつ病との関係

 うつ病はアルツハイマー型認知症(AD)の前駆症状であるが、超高齢者におけるうつ病発症は他の病因による認知症の前駆症状ではない可能性が示された。高齢期でのうつ病は年齢とともに低下した認知機能への懸念が積み重なって出現したもので、予測可能であるという。これまで高齢期うつ病が認知症のリスクとなるのか、あるいは認知症の前駆症状については不明なままであった。ドイツ・ボン大学のHeser K氏らがAgeCoDe研究の参加者(平均年齢81.2歳)を対象に調査した結果、報告した。著者は「うつ病の徴候と主観的記憶障害は、客観的な認識とは独立したADの予測因子である。臨床家はその点を考慮しなくてはならない」と結論している。Psychological Medicine誌オンライン版2012年11月9日号の報告。 研究グループは、ドイツで行われたAgeCoDe研究(German Study on Ageing, cognition, and dementia in Primary Care Patients)に参加した一般開業医の受け持つ高齢患者(2,663例、平均年齢81.2歳)を対象に、抑うつ傾向ならびに、うつ病の早期発症vs.高齢での発症によるその後の認知症への影響について調べた。被験者のフォローアップ(各病歴18ヵ月ずつ)をもとに、うつ病の病歴(とくに、うつ病発症年齢と現在の抑うつ傾向)による認知症リスク、比例ハザードモデルを用いて推定した。また、認知障害を除くうつ病の、認知症発症に関する付加的予測についても調べた。 主な結果は以下のとおり。・高齢で発症したうつ病は、年齢カットオフ値が高いほど認知症リスクの増加がみられた。・年齢、性、学歴、アポリポ蛋白E4遺伝子型について調節した解析において、70歳以上でのうつ病発症と現在の抑うつ傾向は、それぞれ独立して、全要因の認知症を予測することが認められた。・現在の抑うつ傾向を伴う非常に高齢でのうつ病発症は、その後のADを特異的に予測した(補正後ハザード比:5.48、95%CI:2.41~12.46、p<0.001)。・この関連性は、認知機能尺度で調整後も有意なままであった。しかし、さらなる解析で、被験者の主観的な記憶障害によって変動することが示された。関連医療ニュース ・認知症患者が車で徘徊、発見方法は? ・てんかんを持つ人のうつ病発症を理解することが急務 ・双極性障害では短期間の強いうつ症状が高頻度に出現

360.

てんかん発作時の脳炎がPET画像診断活用で明らかに

 PET画像診断により、てんかん発作時に関連する脳病変として脳炎が有意に認められることがラット試験において実証された。近年、てんかん治療のターゲットとして炎症カスケードが注目されている。本研究を行ったStefanie Dedeurwaerdere氏らは、「この結果は、てんかん発作時の脳炎の役割とてんかん発作に対する抗炎症薬の評価を、さらに長期的に進めていく後押しとなった」と報告している。EJNMMI Research誌オンライン版2012年11月8日号の掲載報告。 KASE(カイニン酸誘発てんかん重積状態)ラットモデルにおける、早期てんかん発作時の脳炎について、剖検による病理組織学的所見とin vivoでのPETで測定した[18F]-PBR111により調べた。研究は、てんかん重積状態(SE)モデルラット13例と対照群ラット9例を比較して行われた。SE後7日間の輸送体蛋白質(TSPO)の発現とミクログリアの活性化を、[125I]-CLINDEオートラジオグラフィとOX-42免疫組織化学的方法で評価した。またサブグループでは、剖検前に代謝物補正入力関数による[18F]-PBR111 PET測定を行った。 関心領域(VOIs)の[18F]-PBR111分布容量(Vt)を、反応速度モデリングとVOI/代謝物補正血漿濃度で定量化した。 主な結果は以下のとおり。・SEモデルラットの多くがin vivoにおいて、海馬や扁桃体といった関連する脳病変部位でTSPOの非常に過剰な発現を示した(p<0.001)。・症状が軽度のラットでは、扁桃体でのみTSPOのわずかな増大がみられた(p<0.001)。・TSPOの発現はOX-42シグナルと関連していたが、明らかな細胞の消失はみられなかった。・同様に、in vivoにおいて、海馬(p<0.005)や扁桃体(p<0.001)といったキー病変で、[18F]-PBR111の容量増大と濃度の上昇がみられた。・剖検およびin vivoいずれにおいても、てんかん発作において重要な脳の部位で、てんかん発作中に有意な脳炎が認められることがKASEモデルにおいて実証された。関連医療ニュース ・PETでみるアリピプラゾール薬理作用「なぜ、EPSが少ないのか」 ・てんかんを持つ人のうつ病発症を理解することが急務 ・SPECT画像診断による前頭部脳血流評価で、大うつ病高齢者のSSRI有効性を予測

検索結果 合計:399件 表示位置:341 - 360