サイト内検索|page:9

検索結果 合計:4585件 表示位置:161 - 180

161.

2型糖尿病患者のメトホルミン服用中止は認知症リスクを高める?

 2型糖尿病患者が、長期的な使用が前提とされている血糖降下薬のメトホルミンの服用を早期に中止すると、加齢に伴い、思考力や記憶力に問題の生じるリスクが高まる可能性のあることが、新たな研究で示唆された。論文の上席著者である、米ボストン大学の疫学者Sarah Ackley氏は、「メトホルミンの服用を続けることが、認知症発症の予防や遅延につながることが分かった。これは大きな励みとなる結果だ」と述べている。この研究の詳細は、「JAMA Network Open」に10月25日掲載された。 Ackley氏によると、メトホルミンには幅広い効能があるため、通常、糖尿病治療の第一選択肢とされており、特定の理由がない限り服用を継続することが推奨されている。メトホルミンの服用により腎障害などの副作用が生じた患者や、薬に頼らない血糖コントロールを希望する患者では、メトホルミンの服用が中止されることがある。 今回の研究では、米カイザーパーマネンテ北カリフォルニアのサービス利用者から抽出した2型糖尿病患者4万1,346人を対象に、腎障害を理由としないメトホルミンの服用中止と認知症の発症との関連が検討された。対象者はいずれも1955年以前の出生で、メトホルミンの服用開始時に腎臓病の診断歴はなかった。認知症発症については、電子健康記録が導入された1996年から2020年まで追跡された。対象者のうち、1万2,220人(メトホルミン服用開始時の平均年齢59.4歳、女性46.2%)はメトホルミンの服用を途中で中止し(服用中止群)、残りの2万9,126人(同61.1歳、46.6%)は服用を継続していた(服用継続群)。 解析の結果、服用中止群では服用継続群に比べて認知症の発症リスクが21%高いことが明らかになった(ハザード比1.21、95%信頼区間1.12〜1.30)。媒介分析で、この関連性にHbA1c値やインスリン使用の変化が及ぼす影響を検討したところ、有意な影響は確認されなかった。 メトホルミンの服用中止後の血糖値の上昇やインスリンの使用増加が認知症の発症に影響を及ぼさない可能性が示された点について、論文の筆頭著者である米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)の疫学者Scott Zimmerman氏は、「メトホルミンの血糖降下作用以外の他の作用が、認知症の発症予防に関与している可能性が高い。この洞察は、今後の研究において、効果的な介入策や予防策を特定する際に役立つだろう」と述べている。 Zimmerman氏は、メトホルミンを服用中だがその中止を考えている人は、まずは主治医に相談するべきだと助言する。同氏は、「患者ごとに、認知症の発症リスクやメトホルミンの副作用の程度、患者の希望などの多くの要素を考慮してバランスを取る必要がある。糖尿病合併症の予防だけでなく、メトホルミンの利点も、検討材料の一つだ」と説明している。 米アルツハイマー病創薬財団の加齢・アルツハイマー病予防部長を務めているYuko Hara氏は、「この結果は、メトホルミンが認知症の発症リスクを低下させることを示唆する既存の研究報告と一致している」と話す。同氏は、「2型糖尿病とアルツハイマー病には、脳へのグルコース取り込み障害など共通の特徴がいくつかある。加えて、両疾患ともインスリン抵抗性と高レベルの酸化ストレスに関連している。したがって、2型糖尿病患者は、メトホルミンやその他の糖尿病治療薬で血糖値をコントロールし、生活習慣を是正することで、認知症の発症リスクを低減させられる可能性がある」と話している。 一方、米ノースカロライナ大学チャペルヒル校糖尿病ケアセンター所長のJohn Buse氏は、「メトホルミンの服用を中止することで認知症の発症リスクが高まると結論付けるには時期尚早だ」との見方を示す。同氏は、メトホルミンが、記憶力や思考力の低下をもたらすビタミンB12の濃度低下を招いている可能性など、今回の結果をもたらした要因が他にもある可能性を指摘。「この研究結果は、掘り下げて検討する価値はあるものの、メトホルミンの服用中止が悪い考えであることを明示するものでないことは確かだ。メトホルミンが現存する薬物の中で最も有効で安全な薬物であることは明らかであり、腎臓の問題などメトホルミンの服用を中止すべき正当な理由がないのであれば、使用を継続すべきだ」と強調している。

162.

緊急避妊薬の処方箋なしの試験販売が開始【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第121回

緊急避妊薬の処方箋なしの試験販売が開始11月28日より、一部薬局で緊急避妊薬を処方箋なしで販売する試験が始まります。緊急避妊薬の販売対応の大きな一歩で、私個人としてはとても急な展開に驚いています。望まない妊娠を防ぐために性交後に服用する「緊急避妊薬(アフターピル)」について、医師の処方箋なしでの試験的な薬局販売を28日から開始すると、厚生労働省が17日、発表した。業務委託を受けた日本薬剤師会が20日開始に向けて準備していたが、調整に時間がかかった。日本薬剤師会によると、各都道府県に2〜3店ずつ、全国145薬局で順次販売する。対象は16歳以上で、18歳未満は保護者の同伴が必要になる。販売価格は7千〜9千円程度。事前の電話連絡が必要で、試験販売開始時に薬局一覧を同会がウェブサイトで公表する。(2023年11月17日付 日本経済新聞)現在、いわゆる緊急避妊薬を入手するには産婦人科などの医師が発行した処方箋が必要です。オンライン診療でも処方可能ですが、避妊失敗や性暴力などによる望まない妊娠を防ぐには早急な入手・服用が必要であるため、市販化を要望する声が高まっていました。そこで、厚生労働省が長年議論を重ね、調査研究として薬局販売することを決めました。今回販売が可能となった緊急避妊薬はレボノルゲストレル(商品名:ノルレボ錠)とその後発医薬品で、性交後72時間以内に服用することで妊娠を8割程度阻止できます。試験販売の薬局は原則、以下の要件を満たすことと発表されています。(1)研修を受けた薬剤師がいる。(2)夜間や土日祝日の対応が可能。(3)近くの産婦人科などと連携できる。(4)個室があるなどプライバシーが確保できる。今回は適正な販売を確保できるかなどを調べる調査研究を目的とした試験販売ですので、この調査研究に同意した16歳以上の女性(18歳未満は保護者の同意が必要)にしか販売できません。なお、薬剤師の目の前で服薬してもらう必要がありますが、これは日本だけの要件のようです。試験販売の期間は2024年3月までで、調査結果を踏まえてスイッチOTC化して市販化が検討されるようです。実質4ヵ月間の試験販売で、しかも全国で150軒弱の薬局という非常に少ない参加ですので、販売経験が集まるかなどの問題があると思います。しかし、手軽とはとてもいえない要件ですが、緊急避妊薬を市販するうえでの課題が明確になり、1人でも多くの女性が安全にそしてできるだけ不安が少なく緊急避妊薬を服用できる時代になることが望まれます。

163.

第191回 リドカインが苦味にまつわる仕組みでがん細胞を死なす

リドカインが苦味にまつわる仕組みでがん細胞を死なす良薬口に苦しとはよく言ったもので、苦い薬リドカインに備わると思しき別の効能がその苦味にまつわる仕組みに端を発するらしいことが米国・ペンシルバニア大学のチームの研究で示されました1)。その別の効果とは抗がん作用です。20年ほども前の観察試験で局所麻酔が乳がん手術患者の再発や転移を減らしうることが示唆されています2)。リドカインは言わずもがな局所麻酔薬の1つであり、外来での外科処置でよく使われます。乳がん以外のがんへのリドカインの検討もいくつかあり、化学療法を助けたり転移を抑制したりするなどの効果を有するらしいことが示唆されています。リドカインは電位依存性ナトリウム(Nav)チャネルを阻害して感覚神経からの痛み信号を遮断します。リドカインが担いうる抗がん作用がそのNavチャネル阻害によるのかその他の仕組みによるのかはよくわかっていませんでした。リドカインは苦いだけに、25種類ある苦味受容体T2Rの1つT2R14を活性化します。T2R14を含むいくつかのT2R受容体の活性化は核内やミトコンドリアのCaイオン上昇を介して気道上皮細胞や頭頸部扁平上皮がん(HNSCC)細胞を死なすことがわかっています。そこでペンシルバニア大学のチームはリドカインがT2R14への作用を介してHNSCC細胞、もっというとそれ以外のがん細胞を死なすのではないかと考えました。その予想はどうやら正しく、リドカインはHNSCC細胞のT2R14活性化によってCaイオンを動かしてHNSCC細胞を弱らせ、やがては死に至らしめました。ヒトパピローマウイルス(HPV)と関連するHNSCCではT2R14遺伝子の発現が盛んなことも示され、リドカインによるT2R14活性化が最も有益かもしれません。そこで研究チームはHPV関連HNSCCの標準治療に加えてリドカインも投与する試験を計画しています3)。試験はペンシルバニア大学医学部のがん治療部門Abramson Cancer Centerが担当します。ペンシルバニア大学のチームはHNSCCを題材に研究を進めていますが、乳がんへのリドカインの効果の検討はより年季が入っています。欧州臨床腫瘍学会(ESMO)での昨年の発表に続いて今年4月に論文になった大規模無作為化試験の結果、乳がんの手術に際してリドカインを手術前に腫瘍に直接注射したところ非注射の対照群に比べて生存が改善しました4)。試験はリドカインがNavチャンネル阻害を介して転移促進経路を食い止めるとの想定で実施されました。実際のところ生存の改善に加えて転移の減少も認められており、仕組みがどうあれ乳がん細胞の転移手段に手出しすることでリドカインは転移を減らし、手術後の経過を改善する働きがあるらしいと試験の担当者は述べています5)。乳がんもHNSCCと同様にT2R14を発現します。よって同試験で認められたリドカイン注射の生存改善にはT2R14への作用も寄与しているかもしれません1)。参考1)Miller ZA, et al. Cell Rep. 2023 Nov 16. [Epub ahead of print]2)Exadaktylos AK, et al. Anesthesiology. 2006;105:660-664. 3)Lidocaine may be able to kill certain cancer cells by activating bitter taste receptors / Eurekalert4)Badwe RA, et al. J Clin Oncol. 2023 Apr 6. [Epub ahead of print]5)Lidocaine Presurgery May Improve Survival in Early Breast Cancer / Medscape

165.

「遺伝子パネル検査で治療法が見つからない」は誤解?/日本肺癌学会2023

 肺がん遺伝子検査は、「コンパニオン診断→標準治療→CGP検査(遺伝子パネル検査)」という流れで行われる。CGP検査は、標準治療が終了あるいは終了見込みとなった段階で保険診療での使用が可能とされている。しかし、検査が受けられる病院が限られていたり、保険適用となるのは生涯で1回のみということもあったりすることから、肺がん患者においては十分に普及しているとは言い難い。そこで、近畿大学病院における肺がん患者のCGP検査の実態が調査された。その結果、非小細胞肺がん(NSCLC)患者では、想定以上にCGP検査後に遺伝子検査結果に基づく次治療へ到達していたことが明らかになった。高濱 隆幸氏(近畿大学医学部腫瘍内科/近畿大学病院ゲノム医療センター)が、本研究の詳細を第64回日本肺癌学会学術集会で報告した。NSCLC患者の約2割がCGP検査で次治療に到達 高濱氏らの研究グループは、2019~22年に近畿大学病院において保険診療でCGP検査を受けた肺がん患者100例(NSCLC 76例[腺がん58例、扁平上皮がん10例、大細胞神経内分泌がん3例、その他5例]、小細胞肺がん[SCLC]24例)を対象として、CGP検査の実態を調査した。CGP検査の検体は92%の患者が組織検体を利用しており、そのうち70%は生検検体であった。 調査の結果、NSCLC患者の17%(13/76例)はCGP検査後にエキスパートパネル推奨に基づく次治療へ到達していた。13例の治療薬の内訳は、承認薬5例、治験薬7例、患者申出療養1例であった。SCLC患者では、次治療へ到達した患者はいなかった。 また、CGP検査でドライバー遺伝子変異が認められた患者のうち、10%以上の患者は次治療に到達できなかった。主な理由は、PS不良、治験の適格基準不適合、患者の意思(治験施設が遠方で不可など)であった。 がんゲノム情報管理センター(C-CAT)の調査では、CGP検査後に次治療へ到達した患者の割合は9.4%(エキスパートパネル推奨に基づく治療薬の提示は44.5%)と報告されている1)。これらのことから、高濱氏は今回の結果について、単施設での調査という限界は存在するものの、NSCLC患者において想定よりも高い割合でCGP検査が次治療に結びついたのではないかとまとめた。どのようにCGP検査を活用すべきか? 肺がんCGP検査は組織型を限定するべきであろうか? これについて、今回の調査で扁平上皮がんや大細胞神経内分泌がんでも次治療に到達した患者がいたこと、生検検体と手術検体では組織型が一致しない場合があること2)、西日本がん研究機構(WJOG)の調査(REVEAL試験)では非腺がんの8.5%にドライバー遺伝子変異を認めたことを例に挙げ、NSCLCについては腺がんだけでなく、非腺がんでもCGP検査の実施を検討する余地があると述べた。 また、マルチコンパニオン診断でドライバー遺伝子変異が認められた患者にCGP検査を行う意義はあるのか、考察されていた。分子標的薬に対する耐性変異の発見に有用な場合があること、コンパニオン診断では報告対象外のバリアントがCGP検査で発見されて次治療につながる可能性があることを高濱氏は指摘した。 とくに、EGFR遺伝子については、マルチ遺伝子検査で検出ができないがCGP検査で検出できるバリアントが多く存在する。欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)でも、uncommon変異に対するアファチニブの有用性が報告されており(ACHILLES/TORG1834試験)3)、uncommon変異の検出も今後は重要となっていくものと思われる。いつ、誰にCGP検査を実施すべきか? 最後に、高濱氏はCGP検査をすべき患者と実施タイミングについて以下のとおりまとめた。<対象>・とくに腺がん、ドライバー遺伝子変異がみつかっていない患者・長期生存の患者(過去のバイオマーカー検査が不十分な可能性がある患者)・初回生検検体が不足していた患者、IHCでの検体が不十分な患者、腫瘍マーカーで腺がんの要素が考えられる患者は、非腺がんでも考慮<タイミング>・NGS検査が可能なクオリティー・量の生検検体を最初に採取し、CGP検査が出せるようにしておく・CGP検査には時間がかかるため、1次治療開始時から相談を開始し、標準治療終了「見込み」の時点で検査をオーダーする・がんゲノム医療が提供できる病院以外で治療を受けている患者は、CGP検査が受けられる病院への紹介が必要となるため、早くから主治医の先生と相談していくことが重要

166.

既治療の転移TN乳がんへのペムブロリズマブ、健康関連QOLへの影響(KEYNOTE-119)

 既治療の転移を有するトリプルネガティブ乳がん(TNBC)に対してペムブロリズマブを化学療法と比較したKEYNOTE-119試験では、主要評価項目である全生存期間がペムブロリズマブは化学療法と同等であったが、ペムブロリズマブの治療効果はPD-L1発現レベルが高いほど大きかったことが報告されている。今回、本試験における健康関連QOLを解析した結果、臨床アウトカムと一致しており、PD-L1陽性スコア(CPS)10以上の患者の結果に左右されるようであると英国・Barts Cancer Institute, Queen Mary University of LondonのPeter Schmid氏らが報告した。European Journal of Cancer誌2023年12月号に掲載。 本試験は、対象患者をペムブロリズマブ群(3週ごと200mgを静脈内投与、最大35サイクル)と医師選択治療群に1対1で無作為に割り付けた。事前に規定された探索的評価項目は、健康関連QOL(EORTC QLQ-C30、QLQ-BR23)のベースラインからの変化と有用性(EQ-5D-3L)であった。悪化するまでの期間(time to deterioration:TTD)は、治療開始から最初に10点以上悪化するまでの期間とした。 主な結果は以下のとおり。・健康関連QOLはPD-L1 CPSが10以上の187例を解析した。・ベースラインから6週時点(主要解析時)までの変化は、QLQ-C30 GHS/QoL(最小二乗平均スコアの群間差:4.21、95%信頼区間:-1.38~9.80)、QLQ-C30の機能尺度(身体、役割、認知、社会)、QLQ-C30の症状尺度/項目(疲労、悪心/嘔吐、呼吸困難、食欲不振)、QLQ-BR23の症状尺度/項目(全身療法による副作用、脱毛による動揺)において、化学療法よりペムブロリズマブで良好だった。・TTD中央値は、QLQ-C30のQHS/QoL(4.3ヵ月vs.1.7ヵ月)、QLQ-C30の悪心/嘔吐(7.7ヵ月vs.4.8ヵ月)、QLQ-BR23の全身療法による副作用(6.1ヵ月vs.3.4ヵ月)において、化学療法よりペムブロリズマブのほうが長かった。・その他の健康関連QOLの評価項目は、治療による差がほとんど認められなかった。

167.

口腔癌診療ガイドライン 2023年版 第4版

4年ぶりの改訂で総説とCQを徹底的にブラッシュアップ!口腔癌診療に関わる医療者必携の診療ガイドライン、4年ぶりの改訂版出来。2019年版およびNCCNガイドラインを骨格とした診療アルゴリズムに添う内容に総説をブラッシュアップし、すべての診療指針を詳細に解説します。また、新たなクリニカルクエスチョン(CQ)も、GRADEアプローチをはじめ各種の方法でエビデンスを精密に解析しました。保険診療を基本とした口腔癌診療全体をカバーする、臨床でさらに使いやすくなった決定的最新版です。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。    口腔癌診療ガイドライン 2023年版 第4版定価4,620円(税込)判型B5判頁数252頁(図数:17枚)発行2023年11月編集口腔癌診療ガイドライン改訂合同委員会

168.

難問・奇問、古めの問題には要注意【医学生お悩み相談ラヂオ】第18回

動画解説第18回は、医学部6年生の男性から、過去問を完璧に覚えてしまったので、手を出さない方が良いとは聞く、更に昔の問題や難問に手を出していこうか悩んでいるというご相談。思わぬ落とし穴があることや試験への戦略を民谷先生が的確にアドバイスします。

169.

認知症の進行抑制に難聴治療がカギとなる可能性/難聴対策推進議員連盟

 国会議員で組織する難聴対策推進議員連盟が、「難聴対策で認知症の進行抑制-補聴器を用いた聴覚介入の有用性を」テーマに、メディアセミナーを開催した。セミナーでは、難聴と認知症の関係や難聴と社会的孤立や受傷リスクの増大、難聴患者の声などの講演が行われた。認知症のリスクが高いグループに聴覚機能介入は効果あり はじめにフランク・リン氏(ジョンズ・ホプキンス大学教授)が「認知症の進行抑制における聴覚介入の有用性-ACHIEVE試験の結果より-」をテーマに研究内容と今後の展望について説明した。 全世界で高齢化による認知症の患者が増加している。そんな中、中年期および老年期の難聴は、認知症の深刻なリスク因子であることが明らかになっている1)。 難聴になると、認知的負荷、脳への刺激減少、社会的孤立が進み、認知機能の低下や認知症をもたらすとされている。そこで、リン氏らの研究グループは、高齢者の加齢と認知機能の健康評価について研究するACHIEVE試験を行った2)。 本試験は、70~84歳の被験者977例について、認知症のリスクが高いグループ(ARICコホート)238例とリスクが低いグループ(De novoコホート)739例に分け、補聴器の装着とその教育についての介入を2018~22年に行い、その結果を解析したもの。 その結果、ARICコホートでは聴覚介入により3年後の全般的な認知機能の低下は48%抑制された。一方、De novoコホートでは効果は認められなかったが、その理由として認知機能の変化速度が遅いために3年の研究期間では効果観察が難しいことが推定された。  そのほか、全参加者で自己認識によるコミュニケーション能力の低下、孤独感、社会性にプラスの効果がみられた。 リン氏は、これらの結果を受けて、「米国では『聴力検査と聴覚介入への保険適用』『補聴器市場の発展とコスト削減促進の法規制』『啓発キャンペーンの実施』などを政府に求めていく」と展望を語った。難聴になると社会的孤立が進む つぎに内田 育恵氏(愛知医科大学 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学講座 教授)が、「認知症だけじゃない! 難聴を放っておいてはいけない理由」をテーマに、難聴と就労、社会交流、受傷リスクの増加など3つの視点でレクチャーを行った。 「難聴と就労・雇用」について、アメリカとノルウェーの研究から難聴があると低所得、失業、非雇用などと有意な関連があったこと、また、難聴が仕事のパフォーマンスと有意な関連があることを示した。その一方で、英国や日本、デンマーク、フランスなど8ヵ国の調査から補聴器を使用すると難聴による就業上のデメリットをサポートできるという肯定的な回答がいずれも8割を超えていたという結果も示した。 「難聴と社会的交流」について、アメリカとわが国の研究から、難聴者は社会的ネットワークのサイズが小さく、人との交流に不利であることが示された。そこで、内田氏らは全国7つの大学と共同し、高齢者で補聴器装着初心者の6ヵ月の追跡調査を行った(HA-ProA study)。本研究は、平均年齢76.9歳(±6.6歳)の補聴器初心者94例を対象に行い、その結果、補聴器の導入前後で周囲との社会性が有意に変化していた。たとえば、86歳男性では家族や友人、医師などとの心理的距離は近くなるなど補聴器導入後に変化を起こしていた3)。 「難聴と転倒・事故受傷リスク」について、米国の研究では難聴があると転倒での受傷頻度や事故受傷のリスクが高かったことが説明された。とくに重度難聴者では事故全般のオッズ比は1.9倍、運転関連では2.4倍になるという報告も示された4)。 その一方で、補聴器を使用するとアルツハイマー病・認知症のハザード比は0.824、うつ・不安症では0.894、負傷をともなう転倒では0.871となる報告もある5)と紹介し、難聴には早期からの対応が必要だとレクチャーを終えた。 その他、難聴により人工内耳術を受け、補聴器を使用している患者さんの声として周囲の負担を軽減できたこと、仕事を続けることができたことなどが患者自身から語られた。 最後に総括として山岨 達也氏(日本聴覚医学会 理事長/東京逓信病院 病院長)が、難聴対策の重要性として聴覚障害者と災害について触れた。災害の際、聴覚障碍者は情報弱者となるとして、宮城県の災害事例を示し、被災死亡率が1.03%であったのに対し、障害者の死亡率は2.06%と2倍だったことを説明した。 そして、課題として、補聴器使用の段階ではすでに認知症が進んでいる可能性があり、高齢者の難聴スクリーニングが行われていないことが問題と指摘。今後自治体を中心に高齢者の聴覚検査を行うべきだと提案した。

170.

ソーシャルメディアの閲覧が子どものスポーツ離れの一因に

 TikTokやInstagramなどのソーシャルメディアに投稿された写真には、体型が大幅に加工された非現実的なものが少なくない。70人の子どもを対象にした予備的な研究で、そのような理想化されたアスリートの写真を目にした子どもは、自分の体型がそのスポーツには適していないと思い込んでやめてしまう可能性のあることが示された。米Nemours小児病院のスポーツドクターであるCassidy M. Foley Davelaar氏らによるこの研究結果は、米国小児科学会(AAP)のNational Conference & Exhibition(AAP Experience 2023、10月20〜24日、米ワシントン)で発表された。 スポーツをすることは、子どもが心身ともに健全に育つ上で有用なことが知られている。しかし、現実には、70%の子どもが13歳までにスポーツをやめてしまう。また、14歳になるまでにスポーツをやめる女子の割合は男子の2倍以上といわれている。 この研究では、スポーツからの離脱に、ボディイメージ、ソーシャルメディア、ジェンダーと文化的なバイアスなどの因子が及ぼす影響について検討された。Davelaar氏らは、地域のスポーツ団体に所属するか、スポーツクリニックを受診した8〜18歳の子ども70人に調査を実施し、その回答の分析を行った。対象者には、現在スポーツを行っている者だけでなく、過去にスポーツを行っていた者も含まれていた。 その結果、調査参加者がスポーツをやめた理由として挙げたものの中で最も多かったのはコーチング(指導者との関係性の問題)であったが、そのほかの理由として、ソーシャルメディア閲覧を通じたボディイメージの低下とスポーツの競争性によるプレッシャーも多いことが明らかになった。競争性を理由にスポーツをやめた参加者の割合は、女子の方が男子よりも多かった(35.5%対10.3%)。また、ソーシャルメディアで目にした他者の競技能力と自分の能力を比較することとスポーツからの離脱との間には強い相関があることが示され、スクリーンタイム、運動、ボディイメージはスポーツからの離脱と統計学的に有意に関連することが明らかになった。例えば、自分の競技能力にあまり自信のない参加者は、自分自身のボディイメージをそのスポーツに「あまり向いていない」と評価していた。 この研究には関与していない、米ネイションワイド小児病院の小児心理学者であるErin McTiernan氏は、「子どもというものは、フィルターがかけられたり加工されたソーシャルメディア上の非現実的な顔や体型の写真を見て、気付かないうちに自分と比較してしまいがちだ。実生活での活動や人間関係が自尊心を育むのに役立っている子どもなら、その影響を払いのけることができるが、全ての子どもがそうできるわけではない」と話す。同氏は、「この研究は小規模ではあるが、ソーシャルメディアが原因で子どもが健康的な活動をやめてしまう頻度はどの程度なのかという重要な問題を提起した」との見方を示す。 McTiernan氏は、ティーンエイジャーの生活の中でソーシャルメディアの使用を禁じるのは現実的ではないが、時間制限やその他のルールを設けることはできると話す。同氏は、「何より重要なのは、スポーツやその他の活動、友人や家族と顔を合わせる時間など、子どもに実生活でたくさんの経験を積ませることだ」と言う。さらに、子どもがソーシャルメディア上で閲覧しているコンテンツや、それが子どもに抱かせる感情を親が把握する必要性についても強調している。 なお、学会発表された研究結果は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは一般に予備的なものと見なされる。

171.

第71回 セフトリアキソンとランソプラゾール併用で死亡リスク上昇?

にわかに話題となった併用Unsplashより使用X(旧Twitter)で「セフトリアキソンとランソプラゾールを併用すると死亡リスクが上昇する」という話が注目を集めました。なぜバズったかというと、この組み合わせが結構臨床で多いからです。セフトリアキソンは、呼吸器系などで頻繁に使用されるβラクタム系抗菌薬です。もともと内服していたり、消化器系の症状があったり、ステロイドが併用されていたりすると、プロトンポンプ阻害薬(PPI)が併用されることが多くなります。代表的なPPIが、ランソプラゾールです。バズり元の論文は、カナダのオンタリオ州からの後ろ向き研究です1)。すでにセフトリアキソンとランソプラゾールの併用により、心電図上の補正QT間隔が延長することが示されているため、これが実臨床的にどう影響するかという検証になります。傾向スコア重み付け(IPTW法)を用いて解析したところ、ランソプラゾール群とその他のPPI群の調整後リスク差は、心室性不整脈または心停止で1.7%(95%信頼区間[CI]:1.1~2.3)、院内死亡で7.4%(95%CI:6.1~8.8)でした。NNH(number needed to harm)に換算すると、それぞれ58.8、13.5という結果でした(表)。表. セフトリアキソンとPPIの併用リスク(文献1より引用)結局どうする?セフトリアキソンとランソプラゾールがhERGカリウムチャネルを阻害してQT延長を起こす、というメカニズムとされています2)。これが心筋細胞の活動電位時間を規定する因子であることが知られています。今回の報告は、質の高いランダム化比較試験ではなく、後ろ向きコホート研究である点は解釈に注意が必要です。ランソプラゾールは各病院のフォーミュラリの推奨度が高い薬剤でもあるので、今後の動向には注意したいところです。参考文献・参考サイト1)Bai AD, et al. Ceftriaxone and the Risk of Ventricular Arrhythmia, Cardiac Arrest, and Death Among Patients Receiving Lansoprazole. JAMA Netw Open. 2023;6(10):e2339893.2)Lorberbaum T, et al. Coupling data mining and laboratory experiments to discover drug interactions causing QT prolongation. J Am Coll Cardiol. 2016;68(16):1756-1764.

172.

次の報酬改定は調剤基本料、地域支援体制加算が狙い撃ち?【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第120回

朝晩が涼しくなり、年末の気配がしてきました。来年度の2024年度は診療報酬・調剤報酬改定の年です。今回の調剤報酬改定の目玉は、「調剤基本料と地域支援体制加算の見直し」になりそうです。次の改定にあたって、11月1日に財政制度等審議会・財政制度分科会が開催されました。国全体の予算のうち、社会保障にいくら充てられるかを財務省が発表したあと、それがこの財政制度等審議会で議論されます。その社会保障の資料から調剤基本料と地域支援体制加算の見直しがポイントだと読み取れますので、資料と議論をみていきましょう。まず、今回の改定について、「薬局に求められる機能を踏まえた調剤報酬の見直し」をすると記載されています。その理由として、「薬局数・薬剤師数が増えていること」「薬局は病院・診療所の近隣が大半であること」「薬剤師技術料がおおむね維持されていること」が挙げられています。なにやら、薬局を取り巻く状況はコロナ禍を除いておおむね良好であると捉えられているようです。そして、今後は「対人業務への真の意味でのシフトが必要」とされています。ここは重要なので抜粋して紹介します。【「対人業務」への真の意味でのシフトの必要性】かねてより厚生労働省は薬剤師について、医師に処方された薬の調製・交付などの「対物中心の業務」から、処方内容を確認し、医師への疑義照会などにより重複投薬・相互作用等の防止、患者への服薬指導など、「対人業務」へのシフトを目指してきた。対人業務については、医療機関等への情報提供や在宅訪問への関与のように伸びているものもある一方で、多剤・重複投薬に係る患者や医師との調整を評価する点数といった算定回数が少ないものも存在する。また、2022年度改定では対人業務の評価体系の見直しが行われたが、既存の点数の一部を表面上対人業務と整理するにとどまっている。結構厳しい評価ですが、前向きに解釈すれば、「まだまだできる!」と言ってくれている気もします。そして、これらの結果を踏まえ、今回の見直しは以下の2点としています。【調剤基本料の見直し】調剤基本料は、薬局の運営維持に要するコストを、処方せんの集中率と受付回数の側面を含めた効率性の観点も含め、経営の実態を踏まえて評価したもの。実際に集中率が高い薬局は備蓄している医薬品目数が少ない傾向にあり、その点においては集中率の低い薬局に比べ低コスト。なお、いわゆる敷地内薬局については、誘致が過熱するなどの課題が生じている。令和2年度診療報酬(調剤報酬)改定では、一部の処方せん集中率が高い薬局を調剤基本料2や調剤基本料3イの対象とする見直しを行っているが、その影響は極めて限定的であり、見直しは不十分である。予算執行調査によれば、処方せん集中率が高い薬局であっても、集中率が低く小規模な薬局と同様に調剤基本料1が算定されている。【地域支援体制加算の見直し】地域支援体制加算は、地域包括ケアシステムの中で地域医療に貢献する薬局を評価するもの。調剤基本料1の薬局を対象とした地域支援体制加算1・2は、それ以外の調剤基本料の薬局を対象とした地域支援体制加算3・4に比べ、実績に係る要件が大きく緩和されている。これらの結果を総合すると、調剤基本料1および地域支援体制加算1・2は狙い撃ち間違いなしと思われます。前回の2022年度の改定の際、地域支援体制加算が従来の一律38点から4つの区分に分かれ、地域支援体制加算1・2と地域支援体制加算3・4の点数と要件の違いに驚きましたが、この2年間はあくまでも猶予期間であり、その間に実績を積みましょう、ということだったのでしょう。これから2月あたりまで議論が続きますが、どのような実態や議論が出てくるのでしょうか。薬局や薬剤師への期待を感じられる議論になるといいなと思いつつ見守っていきます。

173.

研修医になると悪い大人が寄ってくる?【医学生お悩み相談ラヂオ】第17回

動画解説第17回は、医学部5年生の男性から医学部に伝わるある怖い噂話についてご相談。社会人1年目でもある研修医時代に気を付けておきたいウソのようなホントの怖い話を実体験とともにえど先生に教えていただきます。

174.

NSCLCへのニボルマブ+イピリムマブ±化学療法、実臨床の安全性・有効性は?(LIGHT-NING)/日本肺癌学会2023

 進行・再発非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療として、2020年11月にニボルマブ+イピリムマブ±化学療法が保険適用となり、実臨床でも使用されている。また、国際共同第III相試験CheckMate 9LA試験、CheckMate 227試験の有効性の成績は、非常に少数例ではあるものの日本人集団が全体集団よりも良好な傾向にあった一方、Grade3以上の治療関連有害事象(TRAE)の発現割合は、日本人集団が全体集団よりも高い傾向にあったことが報告されている。そこで、ニボルマブ+イピリムマブ+化学療法(CheckMate 9LAレジメン)、ニボルマブ+イピリムマブ(CheckMate 227レジメン)を使用した患者のリアルワールドデータを収集するLIGHT-NING試験が実施された。本試験の第3回中間解析の結果について、山口 哲平氏(愛知県がんセンター呼吸器内科部)が第64回日本肺癌学会学術集会で発表した。試験デザイン:後ろ向き観察研究対象:未治療の進行・再発NSCLC患者525例試験群1:ニボルマブ(360mgを3週ごと)+イピリムマブ(1mg/kgを6週ごと)+化学療法(3週ごと、2サイクル)(CM 9LA群:308例)試験群2:ニボルマブ(240mgを隔週または360mgを3週ごと)+イピリムマブ(1mg/kgを6週ごと)(CM 227群:217例)評価項目:[主要評価項目]治療状況、全生存期間(OS)、Grade3以上の免疫関連有害事象(irAE)、治療中止に至ったTRAEなど[副次評価項目]irAEの発現時期とirAEに対する治療内容および症状改善までの期間、irAEの有効性への影響など 主な結果は以下のとおり。・対象患者の年齢中央値は70歳、女性が18.7%、PS 0~1/2/3以上が89.1%/6.5%/1.5%、扁平上皮がんが27.0%、PD-L1発現状況が1%未満/1~49%/50%以上/不明は46.5%/34.7%/9.1%/9.7%であった。・治療別にみた年齢中央値はCM 9LA群が67歳、CM 227群が73歳、75歳以上の割合はそれぞれ11.7%、40.1%であり、高齢の患者では化学療法を含まないニボルマブ+イピリムマブが多く選択される傾向にあった。・解析時点において、イピリムマブのみを中止した患者の割合は2.5%、ニボルマブとイピリムマブの両剤を中止した患者の割合は85.3%で、イピリムマブ中止の内訳は病勢進行が43.6%、有害事象が38.3%、その他が5.9%であった。・Grade3/4のTRAEは40.2%(CM 9LA群:49.7%、CM 227群:26.7%)に発現し、いずれかの薬剤の中止に至ったTRAEは37.9%(それぞれ41.9%、32.3%)に発現した。・治療関連死は3.4%(CM 9LA群:3.6%[11例]、CM 227群:3.2%[7例])に認められ、間質性肺疾患(9例)が最も多かった。・OS中央値は、CM 9LA群が24.3ヵ月、CM 227群が21.9ヵ月であり、1年OS率はそれぞれ69.1%、62.8%であった。・無増悪生存期間(PFS)中央値は、CM 9LA群が6.4ヵ月、CM 227群が6.2ヵ月であり、1年PFS率はそれぞれ32.2%、37.5%であった。・医師判定に基づく奏効率は、39.6%(CM 9LA群:40.7%、CM 227群:37.8%)であった。 本結果について、山口氏は「安全性に関する新たなシグナルは観察されず、安全性プロファイルはCheckMate 9LA、227試験と同様であった。治療関連死の原因としては肺臓炎関連が多かった。有効性に関して、CM 9LA群とCM 227群は同様の結果であり、PD-L1発現割合によっても治療効果に大きな差はみられなかった」とまとめた。

175.

「産業医資格」、超人気の取得講座を受けるには…【実践!産業医のしごと】

産業医を始めるのに必要な資格とは産業医を始めるには、産業医の資格が必要です。最も知られているのは「日本医師会認定産業医」の資格ですが、産業医資格の取得にはそのほかにもいくつかの方法があります。産業医は、医師であり以下のいずれかの要件を備えた者であればよいとされています。産業医の要件(1)厚生労働大臣の指定する者(日本医師会、産業医科大学)が行う研修を修了した者(2)産業医の養成課程を設置している産業医科大学その他の大学で、厚生労働大臣が指定するものにおいて当該過程を修めて卒業し、その大学が行う実習を履修した者(3)労働衛生コンサルタント試験に合格した者で、その試験区分が保健衛生である者(4)大学において労働衛生に関する科目を担当する教授、准教授、常勤講師又はこれらの経験者この要件だけを見てもわかりにくいですね。結論から言えば、臨床を中心に働いている医師の方が産業医として働きたいと考えたら、日本医師会や産業医科大学が行う研修や講座を受けることをお勧めします。労働衛生コンサルタントは、実務経験を問われることが多く、産業医経験なしで挑むにはハードルが高いでしょう。数年の実務を経て受験するのがよいと思います。産業医資格を取得できる研修・講座について日々の仕事に忙しい医師にとって、自由に休みを取ることは難しく、産業医資格の取得では「研修のためのスケジュールを確保できるか」が一番の重要なポイントです。産業医研修の受講の仕方には、2つのパターンがあります。1)集中研修合宿のような集中研修で、トータル6~7日間(連続または数日間×複数回の分割)に産業医の資格を取得する方法です。短期間で取得できることから、夏休みなどをうまく利用し連続して研修を受ける医師が多いようです。そのようなスケジュールの確保が難しければ、数時間~1日など細かく分けて研修を受講し、必要な単位数を取得していきます。最近では産業医の人気も高まってきており、受講の募集が早期に締め切られてしまう傾向にあるようです。とくに、短期間で集中的に産業医資格を取得する研修は、人気チケットのように、参加枠を確保できるのかが一番の勝負となっています。以下に、短期間で取得できる集中研修を主催している施設を挙げました。スケジュールのめどが付いたら、募集開始初日に申し込むのがよいでしょう。産業医資格の集中研修を行っている施設一覧産業医科大学11月と2月に連続6日間(2023年度の場合)東京医科歯科大学8月頃に連続7日間帝京大学夏期(3日間)、冬期(4日間)の計7日間獨協医科大学8~9月の週末の合計6日間東北大学11月(2日間)、12月(2日間)、1月(2日間)の計6日間岡山大学7月(3日間)、9月(3日間)の計6日間2)産業医学基本講座集中研修以外では、「産業医学基本講座」という、東京と北九州で行われる産業医を体系的かつ集中的に講義と実習で学べる講座があります。たとえば、東京での開講は6~10月の約5ヵ月で、火・木曜日の夜間および隔週土曜日に行われます。受講を修了すると産業医資格の取得はもちろん、労働衛生コンサルタントの筆記試験の免除など多くのメリットがあるため、本気で産業医として働くことを考えている方にはこちらをお勧めします。産業医研修・講座の探し方についてここまでに紹介したように、産業医研修・講座はさまざまな時期や場所で行われるため、目的とする研修を効率よく探すことも重要です。以下のような情報源から受けたい研修を探し、スケジュールを確認して申し込みを行うとよいでしょう。1)日本医師会サイト(研修会検索)日本医師会のホームページから、産業医研修に関する情報を得られます。都道府県や研修種別で検索できるので便利です。2)都道府県医師会サイト医師会の研修会日程は、各都道府県の医師会サイトに記載されています。東京都は、東京都医師会のサイトで詳細を確認できます。3)その他産業医学振興財団や各都道府県の産業保健総合支援センターのサイトでも、産業医研修が案内されています。産業医学振興財団では、メールマガジンを使って財団が開催する産業医研修をタイムリーに知らせてくれます。今回は、産業医資格の取得の仕方について解説しました。先日、日本医師会認定の産業医研修を受けたことを証明する「単位シール」が、フリマサイトで販売されていたことがニュースになりました。産業医研修は、産業医に求められる幅広い知識を効率的に学べる貴重な機会であり、残念な話です。企業の産業医への期待値は高く、産業医の重要性と役割は年々増しています。産業医資格さえあればよかった時代は昔のこと。学んだことは、今後の実務にも役立つものばかりですので、最大限に研修を活用して、価値の高い産業医を目指しましょう。参考産業医について~その役割を知ってもらうために~/厚生労働省

176.

RET変異甲状腺髄様がん、セルペルカチニブvs.マルチキナーゼ阻害薬/NEJM

 RET変異甲状腺髄様がん治療において、セルペルカチニブはカボザンチニブまたはバンデタニブに比べて、無増悪生存期間(PFS)および治療成功生存期間(FFS)の延長をもたらすことが、米国・マサチューセッツ総合病院のJulien Hadoux氏らが行った第III相無作為化試験の結果で示された。セルペルカチニブは、選択性が高く強力なRET阻害薬で、第I・II相試験で進行RET変異甲状腺髄様がんに対する有効性が示されていたが、マルチキナーゼ阻害薬と比較した場合の有効性については明らかになっていなかった。NEJM誌オンライン版2023年10月21日号掲載の報告。切除不能の局所進行、転移のあるキナーゼ阻害薬未治療の患者を対象に試験 本試験の対象は、病理学的に確認された切除不能の局所進行または転移のあるRET変異甲状腺髄様がんで、キナーゼ阻害薬未治療であり、試験登録前14ヵ月間に病勢進行が認められた12歳以上の患者とした。1次治療として、セルペルカチニブ(160mg、1日2回)と医師の選択によるカボザンチニブ(140mg、1日1回)またはバンデタニブ(300mg、1日1回)を非盲検で比較した。 被験者はセルペルカチニブ群または医師の選択によるカボザンチニブ/バンデタニブ群(対照群)に2対1の割合で無作為に割り付けられた。対照群の患者は、病勢進行後にセルペルカチニブ群へのクロスオーバーが認められた。 プロトコル規定の中間有効性解析での主要評価項目は、盲検下独立中央判定で評価したPFSだった。なお、PFSの有意性が認められた場合にのみ、FFSを副次評価項目として検証した。その他の副次評価項目は、全奏効率および安全性だった。セルペルカチニブ群はPFS、FFSとも未到達 2020年2月~2023年3月に19ヵ国176施設で、合計291例が無作為化された(セルペルカチニブ群193例、対照群98例[うちカボザンチニブ73例])。 追跡期間中央値12ヵ月時点で、PFS中央値は、セルペルカチニブ群は未到達、対照群は16.8ヵ月(95%信頼区間[CI]:12.2~25.1)だった(病勢進行または死亡に関するハザード比[HR]:0.28、95%CI:0.16~0.48、p<0.001)。12ヵ月時点のPFS率は、セルペルカチニブ群86.8%(95%CI:79.8~91.6)、対照群65.7%(51.9~76.4)だった。 FFS中央値は、セルペルカチニブ群は未到達、対照群は13.9ヵ月だった(病勢進行や治療関連有害事象または死亡による治療中止に関するHR:0.25、95%CI:0.15~0.42、p<0.001)。12ヵ月時点のFFS率は、セルペルカチニブ群86.2%(95%CI:79.1~91.0)、対照群62.1%(48.9~72.8)だった。 全奏効率は、セルペルカチニブ群69.4%(95%CI:62.4~75.8)、対照群38.8%(29.1~49.2)だった。 減量に至った有害事象の発現割合は、対照群77.3%に対してセルペルカチニブ群は38.9%だった。治療中止に至ったのは対照群26.8%に対してセルペルカチニブ群は4.7%だった。

177.

肝臓と腎臓の慢性疾患の併存で心臓病リスクが上昇する

 狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患(IHD)のリスク抑制には、肝臓と腎臓の病気の予防が肝腎であることを示唆する研究結果が報告された。代謝異常関連脂肪性肝疾患(MAFLD)と慢性腎臓病(CKD)が併存している人は、既知のリスク因子の影響を調整してもIHD発症リスクが有意に高いという。札幌医科大学循環器・腎臓・代謝内分泌内科学講座の宮森大輔氏、田中希尚氏、古橋眞人氏らの研究によるもので、詳細は「Journal of the American Heart Association(JAHA)」に7月8日掲載された。 MAFLDとCKDはどちらも近年、国内で患者数の増加が指摘されている慢性疾患。MAFLDは、脂肪肝とともに過体重/肥満、糖尿病もしくはその他の代謝異常(血糖や血清脂質、血圧の異常など)が生じている状態で、最近では動脈硬化性疾患の新たなリスク因子と位置付けられている。一方、CKDは腎機能の低下を主徴とする疾患だが、腎不全のリスクというだけでなく、動脈硬化性疾患のリスクとしても重視されている。肝臓と腎臓はともに生体の恒常性維持に重要な役割を担っており、動脈硬化性疾患に関しても、MAFLDとCKDが存在した場合にはリスクがより上昇する可能性がある。ただし、そのような視点での研究はこれまで報告されていない。古橋氏らの研究グループは、健診受診者のデータを用いた縦断的解析により、この点を検討した。 解析対象は、2006年に渓仁会円山クリニック(札幌市)で定期健診を受けた人のうち、2016年までに1回以上、再度健診を受けていて追跡が可能であり、ベースライン時(2006年)にIHDの既往がなく、解析データに欠落のない1万4,141人(平均年齢48±9歳、男性65.0%)。このうち、ベースライン時点でMAFLDは4,581人(32.4%)、CKDは990人(7.0%)に認められ、両者併存は448人(3.2%)だった。 平均6.9年(範囲1~10年)の追跡で、479人がIHDを発症。1,000人年当たりの発症率は、男性6.3、女性2.4だった。IHD発症リスクとの関連の解析に際しては、年齢と性別の影響を調整する「モデル1」、モデル1に現喫煙とIHDの家族歴を追加する「モデル2」、モデル2に過体重/肥満(BMI23以上)、糖尿病、脂質異常症、高血圧を追加する「モデル3」という3通りで検討した。なお、モデル3で追加した調整因子は、一般的にIHD発症に対して調整される必要があるが、MAFLDの診断基準と重複していることにより多重共線性の懸念(有意な関連を有意でないと判定してしまうこと)があるため、最後に追加した。 ベースライン時点でMAFLDとCKDがともにない群を基準とすると、MAFLDのみ単独で有していた群のIHD発症リスクは、モデル1〔ハザード比(HR)1.42〕とモデル2(HR1.40)では有意な関連が示された。ただし、モデル3では非有意となった。ベースライン時点でCKDのみを有していた群は、全てのモデルで関連が非有意だった。それに対して、MAFLDとCKDの併発群は、モデル1〔HR2.16(95%信頼区間1.50~3.10)〕、モデル2〔HR2.20(同1.53~3.16)〕、モデル3〔HR1.51(1.02~2.22)〕の全てで、IHD発症リスクが高いことが示された。 なお、性別の違いは上記の結果に影響を及ぼしていなかった(モデル3での交互作用P=0.086)。また、モデル3において、MAFLDの有無、およびCKDの有無で比較した場合は、いずれもIHDリスクに有意差がなかった。 続いて、IHDリスクの予測に最も適したモデルはどれかを、赤池情報量規準(AIC)という指標で検討した。AICは値が小さいほど解析に適合していることを意味するが、モデル1から順に、8585、8200、8171であり、モデル3が最適という結果だった。 次に、IHDの古典的なリスク因子(年齢、性別、現喫煙、IHDの家族歴)にMAFLDとCKDの併存を追加した場合のIHD発症予測能への影響をROC解析で検討。すると、古典的リスク因子によるAUCは0.678であるのに対して、MAFLDとCKDの併存を加えると0.687となり、予測能が有意に上昇することが分かった(P<0.019)。 著者らは本研究の限界点として、食事・運動習慣やがんの既往などが交絡因子に含まれていないこと、脂肪肝の重症度が考慮されていないことなどを挙げている。その上で、「日本人一般集団においてMAFLDとCKDの併存は、それらが単独で存在している場合よりもIHD発症リスクが高いことが示された」と結論付け、「MAFLD、CKD、IHDの相互の関連の理解を進めることが、IHDの新たな予防戦略につながるのではないか」と述べている。

178.

日本人乳がん患者におけるHER2低発現の割合・特徴(RetroBC-HER2L)/日本癌治療学会

 HER2低発現(IHC 1+またはIHC 2+/ISH-)の乳がん患者に対する治療薬の臨床的ベネフィットが示され、その割合や治療パターン、転帰などについて理解を深めることが求められる。HER2陰性転移乳がんにおけるHER2低発現患者の割合を10ヵ国13施設で評価したRetroBC-HER2L試験の日本人解析結果を、昭和大学病院の林 直輝氏が第61回日本癌治療学会学術集会(10月19~21日)で発表した。日本からは3施設が参加している。・対象:2014年1月~2017年12月に切除不能および/または転移を有するHER2陰性(IHC 0、1+、2+/ISH-)乳がんと診断され治療を受けた患者・評価項目:[主要評価項目]過去のHER2固定組織スライドを実施医療機関の検査室で(ベンタナ4B5または他の検査法を用いて)再評価した結果に基づくHER2低発現の割合、ベースライン特性、治療パターン、アウトカム(治療成功期間[TTF]、最初の後治療開始または死亡までの期間[TFST]、全生存期間[OS])[副次評価項目]HER2低発現の病理組織学的・臨床病理学的特徴、過去のHER2検査と再検査結果の一致状況など 主な結果は以下のとおり。・日本人サブセットには155例が組み入れられ、ホルモン受容体陽性(HR+)が120例/陰性(HR-)が35例、HER2再検査にベンタナ4B5が用いられたのが130例/その他の検査法が25例だった。・再評価の結果、過去にHER2陰性と評価された患者におけるHER2低発現の患者の割合は61.3%(155例中95例)だった(全体集団では67.2%)。ホルモン受容体の状態ごとにみると、HR+患者の68.3%(120例中82例)、HR-患者の37.1%(35例中13例)が該当した。なお検査法別にみると、ベンタナ4B5で63.8%(130例中83例)、その他の検査法で48.0%(25例中12例)だった。・HER2低発現とHER2 IHC 0の患者の間で、年齢中央値(HR+:56.5歳vs.55.0歳、HR-:50.0歳vs.47.0歳)、閉経状態(閉経後がHR+:63.4% vs.65.8%、HR-:53.8% vs.40.9%)のほか、ベースラインでの転移箇所や転移個数について有意な差はみられなかった。・治療パターンについては、一次治療としてHR+では内分泌療法単独が53.4% vs.66.7%、HR-では単剤化学療法が45.5% vs.38.9%用いられていた。・アウトカムについて、TTF中央値(HR+:5.6ヵ月vs.6.0ヵ月、HR-:3.7ヵ月vs.3.8ヵ月)およびTFST中央値(HR+:8.3ヵ月vs.6.0ヵ月、HR-:4.1ヵ月vs.5.0ヵ月)はホルモン受容体の状況によらずHER2発現による顕著な差はみられなかったが、OS中央値はHER2 IHC 0かつHR-(トリプルネガティブ乳がん)で短い傾向がみられた(HR+:38.7ヵ月vs.32.4ヵ月、HR-:29.8ヵ月vs.14.4ヵ月)。・過去のHER2検査と再検査結果の一致率は82.6%(κ=0.636)。過去にHER2 IHC 0と診断された症例の陽性一致率は76.2%(63例中48例)、過去にHER2低発現と診断された症例の陽性一致率は87.0%(92例中80例)となり、IHC 0がHER2低発現と再評価される頻度よりもHER2低発現がIHC 0と再評価される頻度のほうが低いという点で、全体集団と同様の傾向がみられた。・ベンタナ4B5が用いられた症例についてみると、過去にHER2 IHC 0と診断された症例の陽性一致率は72.4%(54例中39例)、過去にHER2低発現と診断された症例の陽性一致率は89.5%(76例中68例)となり、過去にHER2 IHC0と診断された約3人に1人がトラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)の治療適応になりうるHER2低発現と再評価される可能性があり、適切な治療選択のためにHER2発現の再評価を考慮すべきことが示された。

179.

STEMI、中医薬tongxinluoの上乗せで臨床転帰改善/JAMA

 中国・Chinese Academy of Medical Sciences and Peking Union Medical CollegeのYuejin Yang氏らは、ST上昇型心筋梗塞(STEMI)におけるガイドライン準拠治療への上乗せ補助療法として、中国伝統医薬(中医薬)のTongxinluo(複数の植物・昆虫の粉末・抽出物からなる)は30日時点および1年時点の両方の臨床アウトカムを有意に改善したことを、大規模無作為化二重盲検プラセボ対照試験「China Tongxinluo Study for Myocardial Protection in Patients With Acute Myocardial Infarction(CTS-AMI)試験」の結果で報告した。Tongxinluoは有効成分と正確な作用機序は不明なままだが、潜在的に心臓を保護する作用があることが示唆されている。中国では1996年に最初に狭心症と虚血性脳卒中について承認されており、心筋梗塞についてはin vitro試験、動物実験および小規模のヒト試験で有望であることが示されていた。しかし、これまで大規模無作為化試験では厳密には評価されていなかった。JAMA誌2023年10月24・31日合併号掲載の報告。対プラセボの大規模無作為化試験でMACCE発生を評価 CTS-AMI試験は2019年5月~2020年12月に、中国の124病院から発症後24時間以内のSTEMI患者を登録して行われた。最終フォローアップは、2021年12月15日。 患者は1対1の割合で無作為化され、STEMIのガイドライン準拠治療に加えて、Tongxinluoまたはプラセボの経口投与を12ヵ月間受けた(無作為化後の負荷用量2.08g、その後の維持用量1.04g、1日3回)。 主要エンドポイントは、30日主要有害心脳血管イベント(MACCE)で、心臓死、心筋梗塞の再発、緊急冠動脈血行再建術、脳卒中の複合であった。MACCEのフォローアップは3ヵ月ごとに1年時点まで行われた。 3,797例が無作為化を受け、3,777例(Tongxinluo群1,889例、プラセボ群1,888例、平均年齢61歳、男性76.9%)が主要解析に含まれた。30日時点、1年時点ともMACCEに関するTongxinluo群の相対リスク0.64 30日MACCEは、Tongxinluo群64例(3.4%)vs.プラセボ群99例(5.2%)で発生した(相対リスク[RR]:0.64[95%信頼区間[CI]:0.47~0.88]、群間リスク差[RD]:-1.8%[95%CI:-3.2~-0.6])。 30日MACCEの個々のエンドポイントの発生も、心臓死(56例[3.0%]vs.80例[4.2%]、RR:0.70[95%CI:0.50~0.99]、RD:-1.2%[95%CI:-2.5~-0.1])を含めて、プラセボ群よりもTongxinluo群で有意に低かった。 1年時点でも、MACCE(100例[5.3%]vs.157例[8.3%]、ハザード比[HR]:0.64[95%CI:0.49~0.82]、RD:-3.0%[95%CI:-4.6~-1.4])および心臓死(85例[4.5%]vs.116例[6.1%]、HR:0.73[0.55~0.97]、RD:-1.6%[-3.1~-0.2])の発生は、Tongxinluo群がプラセボ群よりも依然として低かった。 30日脳卒中、30日および1年時点の大出血、1年全死因死亡、ステント内塞栓症(<24時間、1~30日間、1~12ヵ月間)など、その他の副次エンドポイントでは有意差はみられなかった。 薬物有害反応(ADR)は、Tongxinluo群がプラセボ群よりも有意に多く(40例[2.1%]vs.21例[1.1%]、p=0.02)、主に消化管症状であった。 今回の結果を踏まえて著者は、「STEMIにおけるTongxinluoの作用機序を確認するため、さらなる研究が必要である」とまとめている。

180.

教えて先輩! 皮膚科診療の困りごと

日常診療で生じる疑問をエキスパートが解説「皮膚科の臨床」65巻6号(2023年5月臨時増刊号)「皮膚科の用語ってとにかくわかりにくい!」「臨床写真はスマートフォンで撮影してもいい?」など、日常で生じるそんな“もやもや”を、名だたる皮膚科のエキスパートたちがあなただけの特別指導医となってやさしく解説します。外来診療の基本からキャリアデザインまで網羅した、専攻医の先生におすすめの1冊。すでに専門医を取得している先生にとっても、新薬の使用法など最新知識のアップデートに役立つ内容が満載です。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。    教えて先輩! 皮膚科診療の困りごと定価8,800円(税込)判型B5判頁数360頁発行2023年5月編集「皮膚科の臨床」編集委員会電子版でご購入の場合はこちら

検索結果 合計:4585件 表示位置:161 - 180