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<先週の動き>1.「モデルナアーム」女性の発症率は男性の5.3倍/自衛隊中央病院2.コロナ後遺症、1年後も1~3割に何らかの症状/アドバイザリーボード3.宿日直許可未申請の病院は6割以上、1割は申請も許可下りず4.DPC病院、参加数・病床数ともに増加、感染症対策の要件新設5.進まぬ病床再編、積み立て基金2,779億円の執行率は約4割6.医療・福祉従事者増加、女性の労働力率も総じて上昇/2020年国勢調査7.コロナ感染拡大で特定健診、受診率が初めて減少/厚労省1.「モデルナアーム」女性の発症率は男性の5.3倍/自衛隊中央病院モデルナ製の新型コロナウイルスワクチン接種後に少し遅れて現れる腕の腫れや痛みについて、大規模調査により女性が男性よりも約5.3倍発症しやすいとわかった。また、30~60代では30歳未満の1~2倍発症しやすいという。自衛隊中央病院の東野 俊英皮膚科医長らの研究グループが2日発表した。論文はJAMAダーマトロジー誌オンライン版に掲載。同研究グループは2021年に開設された自衛隊東京大規模接種センターで、2回目の接種を受けた約5,900人を調査した。1回目の接種から6日目以降に、接種した部分に腫れや痛みなどがあったかを尋ねたところ、女性では約22%が、男性では約5%がモデルナアームを発症していた。接種を避ける必要があると思われる重い症状の報告はなかった。若い人のほうが発症しにくいという特徴はアレルギーの分類の一つ「IV型アレルギー」と似ており、発症メカニズムの解明や今後のワクチン開発につながる結果かもしれない。(参考)「モデルナアーム」の女性、男性の5倍 自衛隊調査(日経新聞)接種後に痛む「モデルナアーム」女性の発症率、男性の5.3倍と推計(毎日新聞)2.コロナ後遺症、1年後も1~3割に何らかの症状/アドバイザリーボード新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の入院患者において、診断から1年後も倦怠感や呼吸困難、睡眠障害など何らかの症状が残ることがわかった。厚労省の2つの研究班による調査結果が1日、「アドバイザリーボード」の会合で報告された。なお、オミクロン型の変異ウイルス流行以前の調査で、最近の傾向とは異なる可能性がある。日本呼吸器学会などの研究グループは、2020年9月~21年9月に入院した中等症以上のCOVID-19患者約1,000人を調査。患者の14%が退院から1年後も何らかの症状を訴えており、睡眠障害が10%、筋力低下が9%、息苦しさが6%に残っていた。慶応大学のグループは、20年1月~21年2月に入院した軽症以上のCOVID-19患者1,000人余りを調べた結果、診断から1年後に患者の3割超が症状を訴えた。疲労感が13%、呼吸困難が9%、筋力低下や集中力低下が8%だった。後遺症は41~64歳で多かった。後遺症については東京都も、都立・公社病院が受け付けた直近の電話相談の分析結果を公表している。オミクロン株流行期の1~4月に陽性となった2,039例の症状では、咳が最多の38.6%、倦怠感が34.0%であり、デルタ株以前(昨年3~10月の電話相談)の3,857例における咳22.2%、倦怠感26.0%から大きく増加した。このほか、栃木県などもコロナ後遺症の実態調査に着手したことを明らかにしている。(参考)コロナ後遺症、1年後も患者の1割超に 厚労省研究班(日経新聞)オミクロン、せき・倦怠感増 新型コロナ、都が後遺症分析―専門医「長期化の傾向」(時事通信)栃木県がコロナ後遺症の実態調査 1000人抽出、693医療機関も(下野新聞)3.宿日直許可未申請の病院は6割以上、1割は申請も許可下りず厚労省は、3日に社会保障審議会医療部会をオンラインで開催した。2024年4月から医師の時間外労働時間の上限規制が導入されるため、厚労省が病院を対象に施行に向けた準備状況(院内の医師の労働時間の把握体制や特例水準の指定取得の意向等)についての調査結果について議論した。年960時間を超える医師がいる529病院のうち宿日直許可を得ているのは、168病院(32%)で、残りの病院の244病院(44%)は宿日直許可を申請予定であり、ほかには申請したが許可が得られなかったと回答した医療機関が40病院あった。現時点で厚労省が時間外・休日労働時間を把握できている病院が4割程度のため、今回の調査では病院の準備状況等、総合的な評価は困難であるとされたが、今後、全国の医療機関に対して業務改善に向けた取り組みが求められる。(参考)宿日直許可、6割の病院が未申請 約1割が申請後に取得できず(CB news)医師の働き方改革の施行に向けた準備状況調査 調査結果(厚労省)資料 労働基準法の宿日直許可のポイント(同)4.DPC病院、参加数・病床数ともに増加、感染症対策の要件新設1日、厚労省は中央社会保険医療協議会(中医協)総会を開催し、2022年度改定を踏まえたDPC/PDPSの現況を公開した。前回の改定以降、DPC病院として新たに14病院が参加、5病院が退出し、2022年4月1日時点では1,764病院となった。また、DPC準備病院は新たに30病院が参加し、同時点では259病院。DPC算定病床総数は約48万床と前年度より約2,000床増加した。またDPC病院の医療提供体制への取り組みを評価する機能評価係数IIの見直しが行われ、6つの係数(保険診療、効率性、複雑性、カバー率、救急医療、地域医療)を基本的評価軸としている。今回の改定では新型コロナウイルス感染症対策に係る要件を新設するなど一部の見直しが行われ、各医療機関の診療実績に対して報酬に反映される方向となっている。(参考)DPC対象1,764病院に、「14増5減」4月時点(CB news)2022年度機能評価係数II内訳、自院と他院との比較が重要だが、「コロナ特例」の影響にも留意を—中医協(2)(Gem Med)資料 令和4年度改定を踏まえたDPC/PDPSの現況(厚労省)5.進まぬ病床再編、積み立て基金2,779億円の執行率は約4割政府が2日、「行政事業レビュー」に提出した資料で、病床再編基金の執行が4割にすぎないことが明らかになった。厚労省が地域医療構想の実現に向け、自主的な病床削減や病院統合による病床廃止を支援する目的で2014~20年度に積み立てた累計2,779億円の病床再編基金のうち、執行されたのは1,221億円(43.9%)だった。都道府県でもばらつきがあり、最も執行率が高い熊本県は83.4%、最低の愛知県は12.0%だった。厚労省は「地域関係者との協議に時間がかかり、新型コロナウイルス対応で協議が困難な事例もあった」としている。(参考)病床再編基金、執行率4割 行政事業レビューで公表(日経新聞)新たな病床機能の再編支援について(厚労省)行政事業レビュー(政府の行政改革)6.医療・福祉従事者増加、女性の労働力率も総じて上昇/2020年国勢調査総務省は、2020年に実施された国勢調査の結果、労働力率は男性が72.4%、女性が54.2%と、2015年に比べて共に上昇しており、女性の労働力率はすべての年齢階級で上昇していることを明らかにした。また「医療、福祉」に従事する者の割合は+1.0ポイントと最も上昇しており、産業別の割合では「製造業」(15.9%)、「卸売業、小売業」(15.8%)、「医療、福祉」(13.5%)の順だった。今後も医療・介護ニーズの増加に伴い、医療機関や福祉介護施設での就業者増加が見込まれる。また、出産や育児のため、30代を中心に働く女性が減る「M字カーブ現象」の解消が進んでいる。35~39歳で働く女性の比率は78.2%と、5年前に比べて5.2ポイント上昇していた。(参考)「医療、福祉」従事者の割合が上昇 総務省が国勢調査の就業状態集計結果概要を公表(CB news)30代女性「M字カーブ」解消進む 2020年労働力率上昇(日経新聞)資料 令和2年国勢調査 就業状態等基本集計 結果の要約(総務省)7.特定健診の受診率、制度開始以来初めての減少/厚労省厚労省は、2020年度の特定健康診査・特定保健指導の実施状況を公表した。その結果、特定健康診査の対象者約5,420万人のうち実施率は53.4%(受診者約2,890万人)と、2019年度と比較して2.2ポイント低下したことが明らかとなった。また、2020年度の特定保健指導の対象者は約522万人だったが、終了した者は22.7%(約119万人)と、2019年度と比較して0.5ポイント低下した。一方、メタボリックシンドロームの該当者および予備群は推計947万人で、前年度から28万人増えた。新型コロナウイルスの感染拡大などにより受診を控えた影響や、コロナ下の自粛生活で運動不足になった可能性がみられる。(参考)メタボ健診、初めて受診率が下がる コロナ禍影響で20年度は53%(朝日新聞)メタボ健診の受診率初低下、受診者100万人減…巣ごもりで「予備軍」は増加(読売新聞)資料 特定健診・特定保健指導の実施状況について(2020年度)(厚労省)