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重度精神疾患患者における第2世代抗精神病薬の心代謝プロファイルの安全性比較

 重度の精神疾患のマネジメントにおけるアリピプラゾールの心代謝への安全性および有効性の比較に関するエビデンスは限られており、その結果は一貫していない。英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのAlvin Richards-Belle氏らは、他の第2世代抗精神病薬と比較したアリピプラゾールの心代謝プロファイルおよび有効性を調査した。PLoS Medicine誌2025年1月23日号の報告。 英国・プライマリケアにおけるアリピプラゾールとオランザピン、クエチアピン、リスペリドンを直接比較した観察エミュレーションを実施した。データは、Clinical Practice Research Datalinkより抽出した。対象は、2005〜17年に新たに抗精神病薬を使用した重度の精神疾患(双極症、統合失調症、その他の非器質性精神病)成人患者。2019年までの2年間、フォローアップを行った。主要アウトカムは、1年後の総コレステロール値(心代謝安全性)とした。主な副次的アウトカムは、精神科入院(有効性)とした。その他のアウトカムには、体重、血圧、すべての原因による治療中止、死亡率などを含めた。分析では、人口統計、診断、併用薬、心血管代謝パラメータなどのベースライン交絡因子で調整を行った。 主な結果は以下のとおり。・対象患者数は2万6,537例。その内訳は、アリピプラゾール群3,573例、オランザピン群8,554例、クエチアピン群8,289例、リスペリドン群6,121例。・年齢中央値は53歳(四分位範囲:42〜67)、女性の割合は55.4%、白人の割合は82.3%、統合失調症の割合は18.0%。・アリピプラゾール群における1年後の総コレステロール値は、オランザピン群(調整平均[aMD]:−0.03、95%信頼区間[CI]:−0.09〜0.02、p=0.261)、クエチアピン群(aMD:−0.03、95%CI:−0.09〜0.03、p=0.324)、リスペリドン群(aMD:−0.01、95%CI:−0.08〜0.05、p=0.707)と同等であった。・体重や血圧などの他の心代謝パラメータは、とくにオランザピン群と比較し、アリピプラゾール群のアウトカムが良好であることが示唆された。・入院歴で調整した後、アリピプラゾール群の精神科入院率は、オランザピン群(調整ハザード比[aHR]:0.91、95%CI:0.82〜1.01、p=0.078)、クエチアピン群(aHR:0.94、95%CI:0.85〜1.04、p=0.230)、リスペリドン群(aHR:1.01、95%CI:0.91〜1.12、p=0.854)と同等であった。 著者らは「重度の精神疾患患者に対するアリピプラゾール治療は、他の第2世代抗精神病薬と比較し、1年後の総コレステロール値は同等であったが、体重や血圧などの他の心代謝パラメータは良好であり、有効性の違いも認められなかった」とし「本結果は、新規の重度精神疾患患者に対する抗精神病薬の選択時において、臨床意思決定の根拠となるであろう」と結論付けている。

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2024年12月期 決算説明

2024年12月期業績について      :代表取締役社長 CEO 藤井勝博中期経営“ビジョン2026”の進捗について:代表取締役社長 CEO 藤井勝博※IRページは こちら からお戻りいただけます※タイトルを選ぶとお好きなチャプターからご覧いただけます。※IRページは こちら からお戻りいただけます.banAdGroup{display:none;}

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Dr.民谷「最強の国試塾」

国試に向き合って15年。これが合格への結論こんにちは! CareNetプログラムディレクター民谷 健太郎です。医師国家試験対策予備校講師の経験、国試対策書籍の出版などを通じて、臨床医を続けながら15年以上医師国家試験と向き合っています。2024年度は、CareNetで『サマーセミナー』『医学生お悩み相談ラヂオ』『ケアネットまつり』『動画カフェ』『十分の一コクシ』などのコンテンツを医学生にお届けしました。いずれも大好評でしたので、2025年度はより本格的な国試対策に踏み出します。まず第1弾として、face to faceで双方向性のある直接指導のサービスを開始します。その名もDr.民谷の「最強の国試塾」です。学習習慣づくりの仕掛けから、効率を追求した演習カリキュラム、そしてWeb個別指導など、私“民谷”だからできる“最高の学習環境”を提供。4月から国試直前までしっかり伴走します。第120回受験生の皆様、是非とも一緒に来年の合格を目指しましょう!!国試に向き合って15年。これが合格への結論こんにちは! CareNetプログラムディレクター民谷 健太郎です。医師国家試験対策予備校講師の経験、国試対策書籍の出版などを通じて、臨床医を続けながら15年以上医師国家試験と向き合っています。2024年度は、CareNetで『サマーセミナー』『医学生お悩み相談ラヂオ』『ケアネットまつり』『動画カフェ』『十分の一コクシ』などのコンテンツを医学生にお届けしました。いずれも大好評でしたので、2025年度はより本格的な国試対策に踏み出します。まず第1弾として、face to faceで双方向性のある直接指導のサービスを開始します。その名もDr.民谷の「最強の国試塾」です。学習習慣づくりの仕掛けから、効率を追求した演習カリキュラム、そしてWeb個別指導など、私“民谷”だからできる“最高の学習環境”を提供。4月から国試直前までしっかり伴走します。第120回受験生の皆様、是非とも一緒に来年の合格を目指しましょう!!「最強の国試塾」であなたが走り続けるために1.Dr.民谷との過去問徹底演習5カ年分の過去問を徹底的に演習します。何周回も演習を重ねることになりますが、これこそが合格への王道です。効率的に周回し、かつ各周回で確かな成長を感じられる独自のカリキュラムと講義設計で、受講生の皆様が実感できる学力の向上をお約束します。2.“ちょっとだけ先の”先輩医師によるチュータリング日々の学習の進み具合、その時その時の気持ち…そういった日常の小さなモヤモヤ、少し先に同じ経験をした先輩医師チューターと一対一で分かち合う時間を提供します。3.オンラインでも孤独にさせない学習環境「最強の国試塾」は講義開催日以外も受講生に付き添います。オンラインだからこそ、同じように学習している他の受講生やそれを見守るスタッフの存在を感じられる仕組みを提供します。「最強の国試塾」であなたが走り続けるために1.Dr.民谷との過去問徹底演習5カ年分の過去問を徹底的に演習します。何周回も演習を重ねることになりますが、これこそが合格への王道です。効率的に周回し、かつ各周回で確かな成長を感じられる独自のカリキュラムと講義設計で、受講生の皆様が実感できる学力の向上をお約束します。2.“ちょっとだけ先の”先輩医師によるチュータリング日々の学習の進み具合、その時その時の気持ち…そういった日常の小さなモヤモヤ、少し先に同じ経験をした先輩医師チューターと一対一で分かち合う時間を提供します。3.オンラインでも孤独にさせない学習環境「最強の国試塾」は講義開催日以外も受講生に付き添います。オンラインだからこそ、同じように学習している他の受講生やそれを見守るスタッフの存在を感じられる仕組みを提供します。講義スケジュール全てのコースは、原則毎月月曜日に講義を行います。月次の講義に加え、夏冬模試後の特別回も月曜日に開催となります。最終的な開催日・講義時間の確定は受講者の決定後となりますので、検討にあたってはこの件ご留意ください。※9月以降の講義日は8月に決定となります。コース紹介「最強の国試塾」は、個別指導コースと少人数ライブ指導コースの2パターンで開講します。お申し込みご興味を持たれた方はまずはお気軽にメールでお問い合わせください。お問い合わせいただいた方に対して、説明会や本申込みのご案内をお送りいたします。メールアプリが起動します。うまく動作しない場合は、別途igakusei-prj@carenet.co.jpまで件名に「国試塾」と記載して送信してください。\医学生専用LINEからもご相談受け付けています/https://lin.ee/2HPJ6jf送信元のメールアドレスは、株式会社ケアネットからDr.民谷の「最強の国試塾」に関する案内を送るためにのみ利用します。株式会社ケアネットの個人情報保護方針は以下のページをご参照ください。https://www.carenet.com/info/personal.html

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肺聴診による成人急性肺疾患の診断精度は限定的【論文から学ぶ看護の新常識】第2回

肺聴診による成人急性肺疾患の診断精度は限定的肺聴診による成人の急性肺疾患への診断精度は、感度が37%と低いことから、診断能力が限定的であることが示された。Luca Arts氏らの研究で、Scientific Reports誌の2020年4月30日号に掲載された。急性肺疾患を有する成人患者における肺聴診の診断精度:メタアナリシス研究グループは、成人の呼吸器症状を対象に肺聴診の診断精度をメタアナリシスで評価した。34件の研究から総計1万4,814例のデータを解析。主要アウトカムは、異なる肺病変および呼吸音に対する感度と特異度、尤度比、肺聴診の曲線下面積(AUC)の統合再解析値。観察された不均一性を低減するためにメタ回帰分析が実施された。34の研究全体で再解析された肺聴診の感度は37%(95%信頼区間[CI]:30~47%)、特異度は89%(95%CI:85~92%)だった。うっ血性心不全、肺炎、閉塞性肺疾患に対する尤度比とAUCは低かったが、陰性尤度比と特異度は許容できるものだった。異常呼吸音は、外傷患者における血気胸の診断に対して高い特異度を示した。結果は有意な不均一性により限定的であるが、肺聴診はもとより異なる臨床環境や患者集団で感度が低く、臨床での有用性が妨げられている。精度の高い診断手段が利用可能な場合には、肺聴診に代わるべきである。ただし、資源が限られ、疾患の有病率が高く、経験豊富な医師が行う場合には、肺聴診は依然として一定の役割がある。急性肺疾患が疑われる成人患者における肺聴診の診断精度を評価したメタアナリシスの結果です。今回の論文では、肺聴診の感度は37%、特異度は89%という値が示されました。つまり、肺聴診は、異常がない人を「異常なし」と比較的的確に判断できる一方で、疾患を抱える人を「見逃す」可能性が高いことを示唆しています。さらに、うっ血性心不全や肺炎、閉塞性肺疾患などに対する尤度比やAUCも低めであったため、これらの疾患の有無を肺聴診だけで判断することにはリスクがあると考えられます。外傷患者における(血)気胸など、明らかな異常呼吸音が高い特異度を示したという報告もありましたが、全体的に研究ごとの不均一性が大きく、結果を単純に一般化するには注意が必要とされています。そもそも肺聴診は、聴診器を用いて呼吸音を確認する基本的かつ伝統的な方法であり、その他の医療機器を必要としない点が強みです。一方で、それだけで判断するには情報が足りない場合があります。これらの結果から、肺聴診は、患者の訴えや、症状発現までの経過、検査結果などさまざまなデータとともに、患者の状態を把握する上での情報の一つとして位置付けるのがよいでしょう。今回のメタアナリシスで示された感度の低さを念頭に置き、安易に「聴診で異常がなかったから大丈夫」とするのではなく、症状の推移やバイタルサイン、追加の検査などを総合的に活用することが大切です。論文はこちらArts L, et al. Scientific Reports. 2020;10(1):7347.

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日本人乾癬患者へのデュークラバシチニブ、年齢やBMIごとの有効性

 TYK2阻害薬デュークラバシチニブの乾癬に対する有効性は確認され、本邦においても2022年に承認・発売されているが、年齢およびBMIによる層別解析を含む長期的な実臨床での有効性の検討は十分ではない。日本医科大学千葉北総病院の萩野 哲平氏らは、日本人乾癬患者におけるデュークラバシチニブの実臨床における52週時での有効性を、年齢およびBMIにより層別化して評価する前向き研究を実施。結果をThe Journal of Dermatology誌オンライン版1月28日号に報告した。 本研究は、2022年12月~2024年8月に実施された。中等症~重症の乾癬を有する15歳以上の日本人患者107例を対象とし、デュークラバシチニブ6mgを1日1回、52週間投与した。治療効果は、Psoriasis Area and Severity Index(PASI)75、PASI 90、PASI 100の達成率およびその他の主要な臨床指標により評価。データは年齢(<65歳 vs.≧65歳)およびBMI(<25 vs.≧25)により層別化された。 主な結果は以下のとおり。・PASIスコアの平均値は、年齢およびBMIにより層別化されたいずれのグループにおいても、52週までに同様の減少がみられた。・52週時点でのPASI 75、PASI 90、PASI 100の達成率は、65歳未満の患者ではそれぞれ86.36%、65.22%、39.13%であった。65歳以上の患者ではそれぞれ86.36%、59.09%、13.64%であり、65歳以上の患者ではPASI 100の達成率がやや低い傾向がみられた。・52週時点でのPASI 75、PASI 90、PASI 100の達成率は、BMI<25の患者ではそれぞれ88.24%、82.86%、29.41%であった。BMI≧25の患者では81.82%、73.33%、18.18%であり、4週、16週、24週、40週時点においてもこれらの達成率がやや低い傾向がみられた。 著者らは、デュークラバシチニブが年齢およびBMIにより層別化された全患者群において、52週時の乾癬の臨床指標を改善したとまとめている。そのうえで本研究結果は、デュークラバシチニブが高齢の乾癬患者に対しても若年〜中高年患者と同様に有効である可能性を示唆した一方で、BMI≧25の患者では、BMI<25の患者と比較して効果がやや低い可能性を示唆したと考察している。

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日本薬剤師会からカスハラに備えた保険が登場!? 【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第145回

前回のコラムで、薬局薬剤師に対するカスタマーハラスメント(以下「カスハラ」)の調査結果を紹介しました。その調査は東京都薬剤師会で行われたもので、カスハラを受けたことが「ある」と回答した薬剤師は約7割にものぼりました。私もカスハラを経験したうちの1人で、全国レベルでも多くの薬剤師がカスハラを経験していると想像できます。今回、日本薬剤師会がカスハラなどに対する対応として、新たな保険の取り扱いを開始すると発表しました。日本薬剤師会は、薬局を利用する住民からのクレーム行為に備えた独自の保険として、2月15日から会員薬局向けに「クレーム対応費用保険」の取り扱いを開始する。補償期間は1年間で保険料は1店舗当たり年間9000円。1事故当たりの弁護士への相談料や着手金、報酬金など補償限度額は100万円、保険期間中1店舗当たり補償限度額は200万円となる。14日から加入対象となる薬局へ薬剤師賠償責任保険等の募集案内として送付する。(2025年1月10日付 薬事日報)今回の保険は薬剤師個人で入るのではなく、加入者は薬局開設者(法人代表者)または管理薬剤師となっており、薬剤師賠償責任保険の加入が条件とのことです。薬局の店舗ごとに入るというイメージでしょう。気になるのは、「どういったトラブルの際にどうやって助けてくれるの?」という補償の内容ですが、補償対象者が患者さんや近隣住民などの第3者から過大な要求を受けた場合、法律にのっとった円満解決を支援してくれます。保険会社設置の専門相談窓口「クレームコンシェル」による無料相談、アドバイスなどのサービスも受けることができます。クレームコンシェル常駐の弁護士との1回の相談時間は15分で、一般的な法律相談や法制度上の助言を行ってくれるとのことです。薬局業務においては、患者さんとの間に薬に関することだけでなく、待ち時間や在庫、コミュニケーションなど、多岐にわたるトラブルが発生します。最近では薬の在庫がないというシチュエーションが多いかと思いますが、調達時間だけでなく連絡やお渡し方法など、芋づる式にトラブルが広がる可能性もあります。また、患者さんだけではなく、医師や病院職員、薬に関係のない近隣住民とも店舗の外装などでトラブルが起こる可能性があります。大きな問題になった際に弁護士に相談できるというのは心強いですよね。2025年2月~2026年2月までの1年間の保険加入を希望する場合の新規加入の申し込みを2月14日まで受け付けています。開設者と管理薬剤師のどちらか1人の申込みでその店舗が補償されるので、どちらかの申し込みでよいとのことです。補償期間は1年間、保険料は1店舗当たり年間9,000円です。個人的には、思ったより安いかもと思いました。東京都薬剤師会は、相談窓口の設置やハラスメント防止を啓発するポスターの薬局内掲示なども推奨しています。本来はクレームやハラスメントがなく、本保険の利用が少ないことが望ましいですよね。ましてや弁護士の助言を求める事例なんてないほうがよいに決まっています。ポスター掲示から保険加入まで、さまざまな「サービス」が出てきましたが、現代の薬局業務においてカスハラは大きな問題の1つになっているため今後も増えていくでしょう。まずはこの保険の加入薬局用に「カスハラを弁護士に相談する体制が整っている薬局です」などのポスターが登場するかもしれません。

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食物アレルギーの原因食物

食物アレルギーの原因として多いのは?マカデミア ソバナッツ1.1%1.1%0歳大豆 1.3%キウイ1.3%エビ3.0%年齢別にみると…ピスタチオ0.8%1~2歳その他鶏卵 61.8%鶏卵10.6%牛乳 20.9%クルミ 19.6% イクラ 14.1%小麦 13.1%イクラ鶏卵26.7%カシューナッツ4.6%28.7% クルミ 34.5%13.0% 落花生 11.6%カシューナッツ落花生 7.4%9.2%カシューナッツ6.5%7~17歳イクラ5.7%小麦18.9%エビエビ16.5%大豆9.1%12.4%クルミイクラ 7.9%7.0%15.2%カシューナッツ 6.3%※各年齢群で5%以上を占めた原因食物※初発例のみ(n=3,981人)小麦n=6,033人※初発および誤食例を含む18歳以上クルミ 18.7%落花生8.1%3~6歳牛乳13.4%消費者庁「令和6年度食物アレルギーに関連する食品表示に関する調査研究事業報告書」掲載「即時型食物アレルギーによる健康被害に関する全国実態調査」から「即時型食物アレルギーの原因食物(品目別)」・「年齢群別原因食物(初発例)」を基に作成Copyright © 2025 CareNet,Inc. All rights reserved.

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第249回 フジテレビの第三者委員会設置で改めて考える、医療界の第三者機関、医療事故調査・支援センターが抱える”アキレス腱”(前編)

東京女子医大への私学助成金、全額不交付が決定こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。先月の本連載、「第247回 どこか似ているフジテレビと女子医大、大学に約1億1,700万円の損害を与えた背任の疑いで女子医大元理事長逮捕、特定機能病院の再承認も遠のいた病床利用50%の医科大学に未来はあるか?」で書いた、フジテレビと東京女子医大、ともに大きな動きがありました。まず、東京女子医大ですが、1月30日、日本私立学校振興・共済事業団は2024年度分の同大学への私学助成金を全額不交付にすると決めました。2023年度は約20億円が支給されていましたので、大学運営に及ぼす影響は甚大と考えられます。また、元理事長が所得税法違反罪で有罪判決を受けた事件やアメリカンフットボール部での違反薬物問題などで不交付が続いていた日本大学も2024年度の全額不交付が決定しています(同大への直近の交付額は2020年度で約90億円)。そして、2月3日には、東京女子医大の元理事長、岩本 絹子容疑者が再逮捕されました。理由は、別の新病棟建築工事でも報酬など約1億7,000万円を不当に支払わせたという背任容疑です。フジテレビも「日弁連ガイドラインに沿った第三者委員会」に調査を委ねる一方、フジテレビは中居 正広氏の女性とのトラブルに編成局の幹部社員が関与していたとされる報道や、ガバナンスが問題となっています。社会からのさまざまな批判などを背景に企業のCM見合わせが起こる中、1月23日、同社は日本弁護士連合会(日弁連)のガイドラインに沿った第三者委員会を設置し、調査を全面的に委ねることを決めました。さらに1月27日には出席メディアの制限をしない2回目の記者会見を開きました。10時間を超える2回目の記者会見のグダグダ振りは、改めてフジテレビにおけるガバナンス不在を世間に知らしめることとなりました。とは言え、当初フジテレビ側が言っていた「第三者の弁護士を中心とする調査委員会」という曖昧かつ会社寄りの組織から、完全に独立した「日弁連ガイドラインに沿った第三者委員会」に調査が委ねられた点は評価できるでしょう。もっともなぜ最初からそうしなかったか、とも思いますが。これによって、中居氏の女性とのトラブル(人権侵害があったと報道されています)の概要や、誰が誘ったのか、フジテレビ社員の関与の度合い、事件後も中居氏の番組を続けたフジテレビにおいてどんな経営判断がなされていたか、経営陣の責任なども明らかにされると思われます。ちなみに、この第三者委員会の委員長を務めるのは、東京女子医大の第三者委員会の副委員長を務めた竹内 朗弁護士です。第三者委員会による調査・報告のプロ中のプロがこの問題に対処することになったわけで、その報告が待たれるところです。内部関係者も入れた“なんちゃって第三者委員会”は企業・組織寄りの報告になりがちさて、日弁連のガイドラインにおいて第三者委員会は当該企業・組織などと利害関係がなく完全に独立した委員のみで構成し、調査で判明した事実やその評価については経営陣に不利となる場合でも報告書に記載すると定めています。また、報告書の内容を提出前に当該企業・組織に開示しないともされています1)。つまり、問題を起こした企業・組織にまったく忖度することなく、調査を進め、報告・提言ができるわけで、極めて独立性が高い調査組織です。記憶に新しいところでは、旧ジャニーズ事務所のジャニー喜多川氏による性加害問題を調査した外部専門家による再発防止特別チームがあります。同チームは日弁連のガイドラインに沿って組織されていました。この問題については、2023年、同チームが多数の被害者へのヒアリングを実施し、同氏が「性加害を長期にわたり繰り返していたことが認められる」と認定しました。この調査結果をきっかけにジャニーズ事務所は、社名変更、補償問題の検討に入ることになりました。一方で、内部関係者も入れた中途半端な“なんちゃって第三者委員会”は、企業・組織寄りの報告になりがちでトラブルをさらに混乱させてしまうケースが少なくありません。その典型例は2023年に発覚した宝塚歌劇団におけるパワハラ問題でしょう。劇団員の自殺は上級生からのパワハラが原因ではなかったか等について調査した弁護士チームは、同劇団主導で組織されたものでした。当初、弁護士チームがまとめた報告書ではパワハラの認定をしていませんでした。その後、さまざまな批判が巻き起こり、再調査が行われ、最終的に劇団側がパワハラを認め謝罪するという展開になりました。元理事長のさまざまな所業を暴き、退任、逮捕へとつながった東京女子医大第三者委員会では、医療の世界における第三者委員会はどうでしょう。記憶に新しいのは、東京女子医大の元理事長を追い詰めた東京女子医大第三者委員会です。その報告書の内容については、本連載の「第226回 東京女子医大 第三者委員会報告書を読む(前編)『金銭に対する強い執着心』のワンマン理事長、『いずれ辞任するが、今ではない』と最後に抗うも解任」、「第227回 同(後編)『“マイクロマネジメント”』と評された岩本氏が招いた『どん底のどん底』より深い“底”」で詳しく書きました。この報告書は、元理事長の医科大学トップとしてあるまじき、さまざまな所業を暴き、結果として退任、逮捕へとつながりました。しかし一方で、「大甘」な第三者委員会もあります。その一例が、私も取材した滋賀県の地方独立行政法人・市立大津市民病院の医師大量退職に関連して組織された調査委員会です。(この項続く)参考1)企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン/日本弁護士連合会

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非機器的早期運動療法はDVT発生率を低減【論文から学ぶ看護の新常識】第1回

非機器的早期運動療法はDVT発生率を低減非機器的早期運動療法は、入院患者における深部静脈血栓症(DVT)の発生率を低減する効果があることが示された。Julia Raya-Benitez氏らによる研究で、International Journal of Nursing Studies誌の2025年1月号に掲載された。入院患者における深部静脈血栓症発生率低減のための非機器的早期運動療法の有効性:システマティックレビューとメタアナリシス研究グループは、非機器的早期運動療法のDVT発生率低減効果を、システマティックレビューとメタアナリシスで評価した。7つのランダム化比較試験(RCT)が含まれ、対象者は1,774例。主要な評価指標をDVTの発生率とし、全身的、局所的、遠隔的な非機器的早期運動療法の有効性を比較した。研究の結果、非機器的早期運動療法は、通常ケアと比較してDVT発生率を有意に低下させた(リスク比[RR]:0.55、95%信頼区間[CI]:0.41~0.73、p<0.0001)。とくに、全身的運動療法(RR:0.54、95%CI:0.38~0.78、p=0.001)および遠隔運動療法(RR:0.25、95%CI:0.07~0.86、p=0.03)が効果的であることが確認された。一方で、局所運動療法は、通常ケアとの比較で統計的に有意な効果は示されなかった(RR:0.68、95%CI:0.42~1.12、p=0.13)。運動は1日2~3回、各セッション10~30分程度で行われ、実施期間は6日から6週間だった。この方法は患者のDVT予防だけでなく、入院期間の短縮や合併症のリスク低減にも効果があることが期待されている。看護では最高峰の雑誌への投稿です。非機器的早期運動療法とは、特別な機器を使わずに行う運動療法を指し、本研究では患者が入院してから24時間以内に開始されるものと定義されています。これはまさに急性期における看護師の介入時期と方法に合致しているといえます。この療法には3つの種類があります。まず1つ目は、足首の屈伸などリスク部位周辺を動かす局所運動療法です。静脈ポンプ作用を活性化して血流を直接促進する効果が見込まれます。次に、歩行訓練など全身を動かす全身的運動療法があります。これは血液循環を改善し、心拍出量を増やして血流の停滞を防ぐ効果が期待できます。最後に、上肢や体幹のストレッチのようにリスク部位以外を動かす遠隔運動療法があります。こちらは間接的に全身の血流を増加させる可能性があります。本研究では、こうした運動の効果がデータによって裏づけられ、とくに全身的運動療法や遠隔運動療法がDVTの予防に有効であることが示されました。つまり、足首などのリスクの高い部位を十分に動かせない場合でも、全身的あるいは遠隔の運動を取り入れることで同様の効果が得られるため、ベッドサイドでも実用性の高い介入法といえます。一方で、今回解析対象の文献には、疼痛管理など複合的介入を行っているものも含まれており、今後さらに質の高い研究が求められます。ただし少なくとも本研究の結果をみる限り、看護師が日常的に実施している関節可動域訓練などの非機器的早期運動療法の重要性を再確認するものといえます。論文はこちらRaya-Benitez J, et al. Int J Nurs Stud. 2025;161:104917.

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心房細動、abelacimab月1回投与で出血イベント改善/NEJM

 脳卒中リスクが中~高の心房細動患者の抗凝固療法において、リバーロキサバンと比較してabelacimab(不活性型の第XI因子に結合してその活性化を阻害する完全ヒトモノクローナル抗体)の月1回投与は、遊離型第XI因子濃度を著明に低下させ、出血イベントを大幅に少なくすることが、米国・ハーバード大学医学大学院のChristian T. Ruff氏らAZALEA-TIMI 71 Investigatorsが実施した「AZALEA-TIMI 71試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2025年1月22日号で報告された。7ヵ国の無作為化実薬対照比較第IIb相試験 AZALEA-TIMI 71試験は、心房細動患者の抗凝固療法におけるabelacimabの安全性と忍容性の評価を目的とする無作為化実薬対照比較第IIb相試験であり、2021年3~12月に7ヵ国の95施設で患者を登録した(Anthos Therapeuticsの助成を受けた)。 年齢55歳以上、心房細動または心房粗動の既往歴があり、抗凝固療法が計画され、CHA2DS2-VAScスコアが4点以上、またはCHA2DS2-VAScスコアが3点以上で抗血小板薬の併用が計画されているか推定クレアチニンクリアランスが50mL/分以下の患者を対象とした。 これらの患者を、盲検下にabelacimab 150mgまたは90mgを月1回皮下投与する群、または非盲検下にリバーロキサバン20mgを1日1回経口投与する群に、1対1対1の割合で無作為に割り付けた。 主要エンドポイントは、大出血または臨床的に重要な非大出血とした。出血イベントが予想以上に減少、試験は早期中止に 1,287例(年齢中央値74歳、女性44%)を登録し、abelacimab 150mg群に430例、同90mg群に427例、リバーロキサバン群に430例を割り付けた。CHA2DS2-VAScスコア中央値は5点で、ベースラインで患者の92%が60日以上の抗凝固薬の投与を受けており、66%が直接経口抗凝固薬(DOAC)であった。 abelacimabの月1回の皮下投与により、遊離型第XI因子の値はベースラインと比較して持続的に低下し、3ヵ月後の遊離型第XI因子の減少の中央値は、150mg群で99%(四分位範囲:98~99)、90mg群で97%(51~99)であった。 abelacimabによる出血イベントの減少が予想を超えていたため、独立データモニタリング委員会の勧告に基づき試験は早期中止となった。 大出血または臨床的に重要な非大出血の発生率は、abelacimab 150mg群が3.22件/100人年、同90mg群が2.64件/100人年であったのに比べ、リバーロキサバン群は8.38件/100人年と高い値を示した。リバーロキサバン群に対するabelacimab 150mg群のハザード比(HR)は0.38(95%信頼区間[CI]:0.24~0.60、p<0.001)、リバーロキサバン群に対する同90mg群のHRは0.31(0.19~0.51、p<0.001)であった。有害事象の頻度は同程度 副次エンドポイントである大出血(リバーロキサバン群に対するabelacimab 150mg群のHR:0.33[95%CI:0.16~0.66]、リバーロキサバン群に対する同90mg群のHR:0.26[0.12~0.57])および大出血、臨床的に重要な非大出血、小出血の複合(0.68[0.51~0.91]、0.46[0.33~0.64])についても、リバーロキサバン群に比べ2つのabelacimab群で良好であった。また、大出血のうち消化管大出血(0.11[0.03~0.48]、0.11[0.03~0.49])はabelacimab群で顕著に少なかったが、頭蓋内大出血やその他の大出血にはこのような差はなかった。 全有害事象、重篤な有害事象、試験薬の投与中止に至った有害事象の発現率は、3群で同程度であった。abelacimab群における注射部位反応は、150mg群で2.8%、90mg群で1.6%に認めた。抗薬物抗体を発現した患者はいなかった。 著者は、「本試験は症例数が少ないため、abelacimabの臨床的有効性を評価することはできず、より大規模な試験が必要である。現在、利用可能な抗凝固療法を使用できない高リスク心房細動患者を対象に、脳梗塞および全身性塞栓症の予防におけるabelacimabの有効性をプラセボと比較する第III相試験(LILAC-TIMI 76試験)が進行中である」としている。

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GIP/GLP-1受容体に作用する週1回の肥満症治療薬「ゼップバウンド皮下注」【最新!DI情報】第32回

GIP/GLP-1受容体に作用する週1回の肥満症治療薬「ゼップバウンド皮下注」今回は、持続性GIP/GLP-1受容体作動薬「チルゼパチド(商品名:ゼップバウンド皮下注2.5mg/5mg/7.5mg/10mg/12.5mg/15mgアテオス、製造販売元:日本イーライリリー)」を紹介します。本剤は、週1回投与の肥満症治療薬であり、食欲を調節すると同時に、脂質などの代謝を亢進させることによって体重を減少させることが期待されています。<効能・効果>肥満症を適応として、2024年12月27日に製造販売承認を取得しました。本剤は高血圧、脂質異常症または2型糖尿病のいずれかを有し、食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られず、以下に該当する場合に使用されます。BMIが27kg/m2以上であり、2つ以上の肥満に関連する健康障害を有するBMIが35kg/m2以上<用法・用量>通常、成人には、チルゼパチドとして週1回2.5mgから開始し、4週間の間隔で2.5mgずつ増量し、週1回10mgを皮下注射します。患者の状態に応じて適宜増減し、週1回5mgまで減量、または4週間以上の間隔で2.5mgずつ週1回15mgまで増量することができます。なお、本剤は週1回投与する薬剤であり、同一曜日に投与します。<安全性>重大な副作用として、低血糖、胆嚢炎、胆汁うっ滞性黄疸、アナフィラキシー、血管性浮腫(いずれも頻度不明)、急性膵炎、胆管炎(いずれも0.1%未満)が報告されています。胃腸障害が現れた場合は急性膵炎の可能性を考慮し、必要に応じて画像検査などによる原因の精査が行われることがあります。また、下痢や嘔吐が続くことで脱水となり、急性腎障害を起こす恐れがあるため、適度な水分補給が必要です。その他の副作用は、悪心、嘔吐、下痢、便秘、腹痛、消化不良、食欲減退、注射部位反応(紅斑、そう痒感、疼痛、腫脹など)(いずれも5%以上)、腹部膨満、胃食道逆流性疾患、おくび、鼓腸、疲労、浮動性めまい、脱毛症(いずれも1~5%未満)、心拍数増加、低血圧、血圧低下、胆石症、糖尿病網膜症、過敏症(湿疹、発疹、そう痒性皮疹など)、味覚不全、異常感覚、膵アミラーゼ増加、リパーゼ増加、体重減少(いずれも1%未満)があります。<患者さんへの指導例>1.この薬は肥満症の患者さんのうち、高血圧や脂質異常症、または2型糖尿病のいずれかを有し、食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られない人に用いられます。2.この薬は食欲を調節すると同時に、脂質などの代謝を亢進させることによって体重を減少させる作用があります。3.美容やダイエットの目的で使用しないでください。4.この薬の使用中も食事療法・運動療法を継続してください。5.週1回の投与で効果が持続するように製剤的な工夫をした注射薬です。毎週、同じ曜日に注射してください。6.のどの渇きや立ちくらみなどの脱水症状が現れた場合は、十分な水分摂取を行い、速やかに主治医に相談してください。<ここがポイント!>ゼップバウンドは、持続性のグルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)およびグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)の2つの受容体に作用する持続性GIP/GLP-1受容体作動薬です。本剤の成分であるチルゼパチドは、2023年4月より2型糖尿病の治療薬としてマンジャロの商品名で販売されていますが、今回新たに肥満症の治療薬として承認を取得しました。肥満症は個人の生活習慣のみによって引き起こされるという誤解がありますが、遺伝的、心理的、社会的なさまざまな要因が複合的に影響し発症する慢性疾患です。チルゼパチドは中枢神経系においてGIP/GLP-1受容体に作用して食欲を調節すると同時に、脂肪細胞のGIP受容体に作用して脂質などの代謝を亢進し、体重を減少させる効果があります。本剤は、食事療法や運動療法を行っても十分に効果が得られない高血圧、脂質異常症または2型糖尿病のいずれかを有する患者を対象にしています。美容や痩身、ダイエットなど肥満症治療以外の目的で使用することはできません。投与には1回使い切りのオートインジェクター型注入器(商品名:アテオス)を使用し、週1回皮下注射します。適切な在宅自己注射教育を受けた患者または家族は自宅で自己注射が可能です。日本人肥満症患者を対象とした国内第III相試験(GPHZ試験:SURMOUNT-J)において、投与72週時の体重のベースラインからの平均変化率は、プラセボ群が-1.8%であったのに対し、チルゼパチド10mg群では-18.4%、チルゼパチド15mg群では-22.6%であり、チルゼパチド両群でプラセボ群に対する優越性が示されました。また、5%以上の体重減少を達成した試験参加者の割合は、プラセボ群が21.2%であったのに対し、チルゼパチド10mg群では94.9%、チルゼパチド15mg群では96.9%であり、チルゼパチド両群でプラセボ群に対する優越性を示しました。

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血清ビタミンDレベルと片頭痛との関連

 ビタミンDは片頭痛の発症と関連していると考えられているが、その関連の本質は、十分に解明されているとはいえない。いくつかの研究において、ビタミンD欠乏と片頭痛との関連が示唆されているが、一貫性はなく、決定的な結果が得られていない。中国・河南中医薬大学のShunfa Hao氏らは、ビタミンDと片頭痛の関連をより深く理解するため、本研究を実施した。その結果、血清ビタミンDレベルと片頭痛有病率との間に、負の相関が認められたことを報告した。PloS One誌2025年1月3日号の報告。 対象患者は、2001〜04年の米国国民健康栄養調査(NHANES)データより抽出した9,142人。血清ビタミンDレベルの定義は、25(OH)D2+25(OH)D3(nmol/L)とした。片頭痛に関する情報は、NHANES質問票のその他の頭痛の項より、自由記入に基づき収集した。ビタミンDと片頭痛リスクとの関連性の評価には、多重ロジスティック回帰、smoothed curve fitting、層別化解析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・片頭痛の有病率は20.53%であった。・血清ビタミンDレベルが低い人は、片頭痛の有病率が高かった。・完全に調整したモデルにおいて血清ビタミンDレベルの最高四分位群は、最低四分位群と比較し、片頭痛の有病率が16%低かった(オッズ比:0.84、95%信頼区間:0.71〜0.99)。・この結果は、層別化解析、smoothed curve fittingでも同様であった。

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とくに注意すべき血液検査のパニック値とは?死亡事例の分析と提言~医療安全調査機構

 日本医療安全調査機構(医療事故調査・支援センター)は、血液検査パニック値が関与していた死亡事例の分析を実施し、事故防止のための提言(医療事故の再発防止に向けた提言 第20号)を公表した(2024年12月)1)。パニック値とは「生命が危ぶまれるほど危険な状態にあることを示唆する異常値」とされ、緊急異常値や緊急報告検査値などとも呼ばれる。今回、死亡に至った過程で血液検査パニック値が関与していた12事例が分析対象とされ、分析を基に5つの提言が示された。 今回の提言では、医療事故調査・支援センターに届けられた医療事故報告(2015年10月~2023年8月)のうち院内調査結果報告書2,432件の中から、死亡に至った過程で血液検査パニック値が関与していた17例を抽出。パニック値は検査項目や閾値が医療機関により異なるため、今回の分析では、日本臨床検査医学会『臨床検査「パニック値」運用に関する提言書(2024年改定版)』2)で示された“パニック値の例”(今回の提言書では資料1として掲載、32の検査項目のパニック値の例が示されている)に該当した9例と、医療機関内で設定されていたパニック値に該当していた事例3例の計12例を対象としている。その他の5例は化学療法前の検査値に関連した2例と、パニック値の項目として取り扱うか議論があるD-dimerに関連する3例で、今回の分析では参考事例とされている。 12例中、カリウム(K)がパニック値として検出された事例は5例あり、4例で致死的な不整脈の出現を認めた。また、プロトロンビン時間-国際標準比(PT-INR)がパニック値であった事例は2例あり、脳出血に至っていた。 5つの提言は以下の通り。提言1(パニック値の項目と閾値の設定):医療機関は、診療状況に応じてパニック値の項目(グルコース[Glu]、K、ヘモグロビン[Hb]、血小板[Plt]、PT-INRなど)と閾値を検討し、設定する。※今回の提言書では、日本臨床検査医学会『臨床検査「パニック値」運用に関する提言書(2024年改定版)』2)からパニック値の例を示しており、上記とくに優先して設定することが望ましいとした5項目については、以下の数値が例示されている。Glu:低値50mg/dL、高値350mg/dL(外来)・500mg/dL(入院)K:低値1.5mmol/L、高値7.0mmol/LHb:低値5g/dL、高値20g/dLPlt:低値3万/μL、高値100万/μLINR:高値2.0(ワルファリン治療時は4.0)提言2(パニック値の報告):パニック値は、臨床検査技師から検査をオーダーした医師へ直接報告することを原則とする。また、臨床検査部門は報告漏れを防ぐため報告したことの履歴を残す。提言3(パニック値への対応):パニック値を報告された医師は、速やかにパニック値への対応を行い、記録する。また、医師がパニック値へ対応したことを組織として確認する方策を検討することが望まれる。提言4(パニック値の表示):パニック値の見落としを防ぐため、臨床検査情報システム・電子カルテ・検査結果報告書において、一目で「パニック値」であることがわかる表示を検討する。提言5(パニック値に関する院内の体制整備):パニック値に関する院内の運用を検討する担当者や担当部署の役割を明確にし、定期的に運用ルールを評価する体制を整備する。さらに、決定した運用ルールを院内で周知する。 提言書では、各事例の概要やパニック値検出時の対応フローのほか、D-dimerをパニック値項目として扱う際の課題などについてもまとめられている。

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成人ADHDに対するさまざまな治療の有用性比較〜ネットワークメタ解析

 成人の注意欠如多動症(ADHD)に対する利用可能な介入のベネフィットとリスクの比較は、これまで十分に行われていなかった。英国・オックスフォード大学のEdoardo G. Ostinelli氏らは、これらの重要なギャップを解消し、将来のガイドライン作成に役立つ入手可能なエビデンスを包括的に統合するため、システマティックレビューおよびコンポーネントネットワークメタ解析(NMA)を実施した。The Lancet Psychiatry誌2025年1月号の報告。 2023年9月6日までに公表された、成人ADHDに対する薬理学的および非薬理学的介入を調査した発表済みおよび未発表のランダム化比較試験(RCT)を複数のデータベースより検索した。ADHDと診断された18歳以上の成人に対する症状改善を目的とした治療介入群と対照群またはその他の適格な積極的介入群を比較したRCTの集計データを含めた。薬理学的介入は、国際ガイドラインに従い最大計画投与量が適格であると判断された研究のみを対象とした。薬理学的介入は1週間以上、心理学的介入は4セッション以上、神経刺激的介入は適切とみなされる任意の期間であったRCTを分析に含めた。薬物療法、認知機能トレーニング、神経刺激単独療法のRCTについては、二重盲検RCTのみを対象に含めた。2人以上の研究者により、特定された研究を独立してスクリーニングし、適格なRCTよりデータを抽出した。主要アウトカムは、有効性(12週間に最も近い評価時点における自己評価および臨床医評価尺度によるADHDの中核症状の重症度変化)および受容性(すべての原因による治療中止)とした。介入を特定の治療要素に分解し、ペアワイズランダム効果およびコンポーネントNMAを使用して、標準化平均差(SMD)およびオッズ比(OR)を推定しました。研究および執筆には、成人ADHDの実体験を有する人が関与した。 主な結果は以下のとおり。・3万2,416件の研究のうち、113件のRCT、1万4,887例(女性:6,787例[45.6%]、男性:7,638例[51.3%]、性別不明:462例[3.1%])を分析対象に含めた。・113件のRCTには、薬理学的介入63件(55.8%、参加者:6,875例)、心理学的介入28件(24.8%、1,116例)、神経刺激的介入およびニューロフィードバック10件(8.8%、194例)、対照群97件(85.8%、5,770例)が含まれた。・12週時点でのADHD中核症状の軽減は、自己評価および臨床医評価の両方において、アトモキセチンと神経刺激薬が、プラセボよりも高い有効性を示した(NMAの信頼性[CINeMA]:非常に低い〜中程度)。【アトモキセチン】自己評価尺度SMD:−0.38(95%CI:−0.56〜−0.21)、臨床医評価尺度SMD:−0.51(95%CI:−0.64〜−0.37)【神経刺激薬】自己評価尺度SMD:−0.39(95%CI:−0.52〜−0.26)、臨床医評価尺度SMD:−0.61(95%CI:−0.71〜−0.51)・認知行動療法、認知機能改善療法、マインドフルネス認知療法、心理教育、経頭蓋直流電気刺激法は、臨床医評価尺度のみでプラセボよりも優れていた。【認知行動療法】臨床医評価尺度SMD:−0.76(95%CI:−1.26〜−0.26)【認知機能改善療法】臨床医評価尺度SMD:−1.35(95%CI:−2.42〜−0.27)【マインドフルネス認知療法】臨床医評価尺度SMD:−0.79(95%CI:−1.26〜−0.29)【心理教育】臨床医評価尺度SMD:−0.77(95%CI:−1.35〜−0.18)【経頭蓋直流電気刺激法】臨床医評価尺度SMD:−0.78(95%CI:−1.13〜−0.43)・許容性に関しては、アトモキセチンとグアンファシン以外は、プラセボと同等であった。【アトモキセチン】OR:1.43、95%CI:1.14〜1.80、CINeMA:中程度【グアンファシン】OR:3.70、95%CI:1.22〜11.19、CINeMA:高い・受容性は、プラセボよりも低かった。・自己評価によるADHD中核症状のベースライン重症度、公表年、男性の割合、ADHDと他の精神疾患を併発している患者の割合は、自己評価によるADHD中核症状の未調整非構成要素モデルで観察された異質性を説明できなかった。・治療期間の異質性には、ほとんど影響を及ぼさなかった。 著者らは「短期的に成人ADHD患者の中核症状を軽減する点で、神経刺激薬およびアトモキセチンによる薬理学的介入は、自己評価および臨床医評価の両方においてその有効性が裏付けられた。しかし、アトモキセチンは、プラセボよりも許容性が不良であった」とし「ADHD治療薬は、QOLなどの追加の関連アウトカムに対し効果が実証されておらず、長期的なエビデンスは不十分である。また、非薬理学的介入の効果は、評価者により一貫性が認められていない」としている。

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重大な副作用にアナフィラキシー追加、アルギニン含有製剤など/厚労省

 2025年1月29日、厚生労働省はアルギニン含有注射剤などに対して、添付文書の改訂指示を発出した。副作用の項に重大な副作用としてアナフィラキシーの追記がなされる。 対象医薬品は以下のとおり。◯プラスアミノ輸液(混合アミノ酸・ブドウ糖製剤)◯ツインパル輸液(混合アミノ酸・ブドウ糖・無機塩類製剤)◯ビーフリード輸液(その他の配合剤)◯アルギU点滴静注(一般名:L-アルギニン塩酸塩)◯アルギニン点滴静注(同) 今回、アルギニン含有注射剤についてアナフィラキシー関連症例を評価して専門委員の意見も聴取した結果、アナフィラキシーとの因果関係が否定できない症例が集積した品目について、使用上の注意を改訂することが適切と判断された。 また、検討の過程で、アルギニンのみを有効成分とし、添加剤を含まない注射剤投与後のアナフィラキシー関連症例の集積を踏まえ、アルギニンによるアナフィラキシー発現の可能性に関して専門委員及び関連学会の意見を聴取したところ、アルギニンがマスト細胞を直接刺激しヒスタミンなどの化学伝達物質を遊離させる可能性1)の指摘があったことから、調査対象はアルギニン含有注射剤のうち、「副作用」の重大な副作用の項にアナフィラキシーの記載がない品目とした。しかしながら、その後の専門協議において、マスト細胞を直接刺激する機序については仮説に過ぎないとの意見があったこと、高浸透圧製剤の静脈内投与に起因する可能性があること、アルギニンは体内で生合成されるアミノ酸であることから、現時点でアルギニンそのものによりアナフィラキシーが発現し得るかは明確でないと判断し、アルギニン含有注射剤を一律に措置対象とするのではなく、措置の要否については、各品目の副作用症例の評価を基に検討された。 なお、他の品目については、専門協議にてアナフィラキシーとの因果関係が否定できないと評価された症例があるものの、集積が少なくかつこれらの症例ではアナフィラキシー発現の原因として併用薬等も考えられることから、集積がない品目も含め、現時点では使用上の注意の改訂は不要と判断されたが、アルギニンを添加剤として含有する注射剤についても、上記と同様に、添付文書の記載状況を踏まえた上で、必要に応じてアナフィラキシー関連症例の確認・評価を実施するとしている。

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患者からのハラスメント、受けたことのある薬剤師は何割?【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第144回

顧客からの暴言・暴力などの迷惑行為(カスタマーハラスメント、以下「カスハラ」)が社会問題になっています。最近、タクシーなどにもカスハラ防止のシールが貼られているのを目にします。今回、薬局薬剤師に対するカスハラの実態が明らかになりました。業務中にカスタマーハラスメントを受けた経験がある薬局薬剤師が約7割に上ることが、東京都薬剤師会が昨年11月に実施したアンケート調査で明らかになった。「過去のハラスメント経験が現在も業務に影響を残している」と回答したのは約3割あった。そのうち出荷調整などの医薬品流通に起因していた事例が一定数あり、薬剤師が休職に追い込まれる事例があることも判明した。都薬は今後の対応策として、ハラスメントの相談窓口の設置やハラスメント防止を啓発するポスターの薬局内掲示などを検討する。(2025年1月15日付 薬事日報)東京都薬剤師会が薬局薬剤師に対して、業務中のカスハラについてアンケートを実施しました。薬剤師489人から回答があり、カスハラを受けたことが「ある」は69.1%、「直接受けた経験はないが見たことはある」は7.2%、「ない」は23.7%という結果でした。カスハラを受けた経験や業務中にそれを見た頻度では、「年に1回程度」が44.5%、「月に1回程度」が26%でした。カスハラの内容としては、「暴言」が圧倒的に多く、次いで「謝罪等の執拗な強要」「金銭などを投げ渡すなどの侮辱」「執拗な電話」などが挙がりました。なかにはSNSを用いたものなどもありました。東京都のみの500人足らずの調査ですので、全国的にはものすごい人数になるのではないかと思います。カスハラについては、2022年4月に「労働施策総合推進法」が改正され、すべての事業所においてパワーハラスメントの雇用管理上の措置が義務化されています。これを踏まえ、東京都では全国に先駆けてカスタマーハラスメントの防止条例が成立し、医療者の在宅業務中におけるハラスメント相談窓口も開設されました。実は、私も薬局勤務中にカスハラにあったことがあるうちの1人です。薬局内で慰め合って終わる軽いものから、10年以上経っているのに思い出して嫌な気持ちになるものまで多々あります。個人的には、面薬局での勤務よりも、大きな病院の門前薬局勤務の際に多かったような気がします。「こちらが悪くないのに、感情をぶつけてくる患者さんに謝ったり対応したりしたくない」という理由で、管理薬剤師になりたくないと言っている後輩もいたくらいです。患者さんは病院でも待たされ、薬局でも待たされ…という状況でお疲れなのかもしれませんが、やはり許せるものではありません。今回、薬剤師に対するカスハラが明らかになったということで、東京都薬剤師会は相談窓口の設置やハラスメント防止を啓発するポスターの薬局内掲示を検討するとしています。多少の抑止力にはなるかもしれません。こういう取り組みは全国に広まるとよいなと思います。

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抗インフル薬、非重症者で症状改善が早いのは?~メタ解析

 重症ではないインフルエンザ患者に対する抗ウイルス薬の効果を調査した結果、バロキサビルは高リスク患者の入院リスクを低減し、症状改善までの時間を短縮する可能性があったものの、その他の抗ウイルス薬は患者のアウトカムにほとんどまたはまったく影響を与えないか不確実な影響であったことを、中国・山東大学のYa Gao氏らが明らかにした。JAMA Internal Medicine誌オンライン版2025年1月13日号掲載の報告。 インフルエンザは重大な転機に至ることがあり、高リスク者ではとくに抗ウイルス薬が処方されることが多い。しかし、重症でないインフルエンザの治療に最適な抗ウイルス薬は依然として不明である。そこで研究グループは、重症ではないインフルエンザ患者の治療における抗ウイルス薬の有用性を評価するため、系統的レビューとネットワークメタ解析を行った。 研究グループは、MEDLINE、Embase、CENTRAL、CINAHL、Global Health、Epistemonikos、ClinicalTrials.govをデータベース開設から2023年9月20日まで検索した。対象は、重症ではないインフルエンザ患者の治療として、直接作用型インフルエンザ抗ウイルス薬をプラセボ、標準治療(各施設のプロトコールに準拠またはプライマリケア医の裁量)、他の抗ウイルス薬と比較したランダム化比較試験であった。ペアのレビュワーが独立して試験をレビューしてデータを抽出し、バイアスリスクを評価した。頻度論に基づく変量効果モデルを用いたネットワークメタ解析でエビデンスを要約し、GRADEアプローチでエビデンスの確実性を評価した。主要アウトカムは死亡率、入院、集中治療室入室、入院期間、症状緩和までの時間、抗ウイルス薬耐性の発現、有害事象などであった。 主な結果は以下のとおり。・3万4,332例が参加した73件の試験が適格となった。平均年齢の中央値は35.0歳、男性が49.8%であった。・評価された抗ウイルス薬は、バロキサビル、オセルタミビル、ラニナミビル、ザナミビル、ペラミビル、umifenovir、ファビピラビル、アマンタジンであった。・すべての抗ウイルス薬は、標準治療またはプラセボと比較して、低リスク患者と高リスク患者の死亡率にほとんどまたはまったく影響を与えなかった(エビデンスの確実性「高」)。・抗ウイルス薬(ペラミビルとアマンタジンはデータなし)は、低リスク患者の入院にほとんどまたはまったく影響を与えなかった(エビデンスの確実性「高」)。・高リスク患者の入院については、オセルタミビルはほとんどまたはまったく影響を与えず(リスク差[RD]:-0.4%、95%信頼区間[CI]:-1.0~0.4、エビデンスの確実性「高」)、バロキサビルはリスクを低減した可能性があった(RD:-1.6%、95%CI:-2.0~0.4、エビデンスの確実性「低」)。他の抗ウイルス薬は効果がほとんどないか不確実な影響である可能性があった。・バロキサビルは症状持続期間を短縮した可能性が高く(平均差[MD]:-1.02日、95%CI:-1.41~-0.63、エビデンスの確実性「中」)、umifenovirも症状持続期間を短縮した可能性があった(MD:-1.10日、95%CI:-1.57~-0.63、エビデンスの確実性「低」)。オセルタミビルは症状持続期間に重要な影響をもたらさなかった(MD:-0.75日、95%CI:-0.93~-0.57、エビデンスの確実性「中」)。・治療に関連する有害事象については、バロキサビルでは有害事象がほとんどまたはまったくなかった(RD:-3.2%、95%CI:-5.2~-0.6、エビデンスの確実性「高」)。オセルタミビルでは有害事象が増加した可能性が高かった(RD:2.8%、95%CI:1.2~4.8、エビデンスの確実性「中」)。 これらの結果より、研究グループは「この系統的レビューとメタ解析により、バロキサビルは重症でないインフルエンザ患者の治療に関連する有害事象を増加させることなく、高リスク患者の入院リスクを低減し、症状改善までの時間を短縮する可能性があることが判明した。他のすべての抗ウイルス薬は、アウトカムにほとんどまたはまったく影響を与えないか、または不確かな影響しかなかった」とまとめた。

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