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経管投与時の投与負担軽減のため、バイアスピリンからダイアルミネート製剤への変更を提案【うまくいく!処方提案プラクティス】第67回

 在宅医療では、薬学的な有効性・安全性に加えて、実際の投与場面での実用性も重要な要素です。とくに、同等の効果を有する製剤間で投与負担の違いがある場合、患者・介護者の負担軽減を考慮した製剤選択が求められます。しかし、このような製剤特性の違いを理解し、個々の患者さんの状況に応じて最適な選択を行うためには、薬剤師の専門的な判断が不可欠です。患者情報89歳、女性、要介護4基礎疾患脳梗塞、アルツハイマー型認知症、高血圧症服薬管理娘による管理、経管栄養(胃瘻)にて投与月1回の往診あり処方内容(簡易懸濁法での投与)1.バイアスピリン錠100mg 1錠 朝食後2.タケキャブOD錠10mg 1錠 朝食後3.ビオフェルミン配合散 3g 朝昼夕食後4.アムロジピン錠5mg 1錠 朝食後5.フロセミド20mg 1錠 朝食後6.アジルサルタン錠20mg 1錠 朝食後7.塩化ナトリウム 3g 朝昼夕食後8.ラコールNF配合経腸用半固形剤 900g 毎食後(300-300-300)症例のポイントこの患者さんは、同居の娘さんが主に簡易懸濁法を実施していました。ある日、「懸濁時に熱湯を使用すると懸濁時に薬剤がスムーズに流れないため、錠剤をすべて潰して投与している」と相談をいただきました。粉砕した薬剤は保管時の安定性や取り出しにくさの問題もあり、介護者にとって大きな負担となります。さらに、ICTの情報連携において、下記の要望が寄せられていました。医師「簡易懸濁できるかどうか判断がつかない。処方箋にはどのように入力したらよい?」訪問看護師「懸濁時にお湯でドロドロになることがあるが、何か適さない薬はある? チューブ径の問題? 娘さんも不安そう」ケアマネジャー「同居の娘さんが懸濁は大変、と漏らしている。もっとよい方法があれば娘さんも助かると思う」薬学的な観点から分析すると、まず、熱湯投与していたというビオフェルミン配合散は、お湯で崩壊・懸濁するとチューブ閉塞の要因となる可能性があります(第31回参照)。さらに、バイアスピリン錠は腸溶性製剤であり、簡易懸濁法には不適切な製剤でした。腸溶性コーティングのため崩壊前に亀裂を入れる必要があり、フィルム残渣が残存して完全な懸濁が困難です。崩壊に時間がかかることで投与作業が煩雑になり、粉を取り出しにくいという物理的な問題も介護者の負担を増大させていました。そこで、バイアスピリン錠100mgからバファリン配合錠A81へ変更することで、単に剤形変更ではなく、患者さんの服薬環境を根本的に改善することができると考えました。バファリン配合錠はダイアルミネート製剤であり、亀裂を入れる必要がなく、残渣も残りません。胃酸による刺激を緩和しつつ簡易懸濁法にも適応するため、経管投与患者にとって理想的な選択肢です。画像を拡大する医師への相談と経過バイアスピリンの簡易懸濁法での技術的課題に加え、ビオフェルミン配合散の澱粉による懸濁困難も合わせて説明するため、訪問診療への同行の機会を活用して、医師へ情報共有を行いました。まずは「ドロドロになってしまう薬」の正体が澱粉であることを明確にし、製剤選択による根本的解決の必要性を説明しました。また、バイアスピリンとバファリン配合錠の簡易懸濁法の違いを具体的に説明し、投与負担軽減による服薬コンプライアンス向上への期待について提案することで、医師の理解を得ることができました。その結果、提案のとおりバファリン配合錠A81および酪酸菌製剤への変更が決定されました。処方箋備考欄には「簡易懸濁法で投与」と明記され、家族や看護師に変更内容と投与方法の詳細な説明を実施しました。本症例でとくに重要であったのは、医師、薬剤師、看護師、ケアマネジャーという多職種の連携により、各々の専門性を活かした包括的な問題解決が実現できたことです。各職種の強みが統合されることで、患者・介護者のQOL向上につながる実践的な解決策が見出されました。経管投薬支援料の算定が可能にこの一連の経管投与に関する薬学的管理指導により、経管投薬支援料の算定が可能になりました。経管投薬支援料は、経管投与患者に対する薬剤師の専門的関与を評価する診療報酬項目であり、適切な簡易懸濁法の指導や製剤変更提案などの薬学的管理が算定要件となります。経管投薬支援料の算定は、体系的で継続的な薬学的関与が評価される仕組みです。単発の処方変更提案ではなく、問題の発見から解決、そして効果の検証まで一貫した薬学的管理を提供することで、診療報酬の適正算定と患者利益の向上を両立させることが可能になると実感した症例でした。バファリン配合錠A81販売中止への対応このようにうまくいった処方提案でしたが、バファリン配合錠A81は2025年7月頃に販売が中止されました(経過措置期間は2026年3月末日まで)。この歴史ある製剤の販売終了は、経管投与患者にとって大きな影響を与えます。メーカーは代替候補としてバイアスピリン100mgを案内していますが、本症例のように腸溶性製剤からの変更を目的とした場合には、同じダイアルミネート製剤を選択する必要があります。そこで代替品としては、同じくダイアルミネート製剤である他の後発医薬品(ニトギス配合錠A81、バッサミン配合錠A81、ファモター配合錠A81など)が候補となります。これらの製剤も同様に簡易懸濁法に適応するため、バファリン配合錠で得られた投与負担軽減効果を維持することが可能です。1)藤島一郎監修, 倉田なおみ編集. 内服薬 経管投与ハンドブック〜簡易懸濁法可能医薬品一覧〜 第4版. じほう;2020.2)バファリン配合錠添付文書情報3)バファリン配合錠販売中止情報

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看護師人数の改善は「患者の命」と「現場」を救う!【論文から学ぶ看護の新常識】第29回

看護師人数の改善は「患者の命」と「現場」を救う!オーストラリアで導入された「看護師の最低配置基準政策」。その効果を調べた研究により、適正な人員配置と患者の安全性、そして看護師自身の幸福度の間に、明確な因果関係があることが示された。Karen B. Lasater氏らの研究で、International Journal of Nursing Studies誌オンライン版2025年8月6日号に掲載された。オーストラリア・クイーンズランド州の看護師最低配置基準政策の導入が、看護師のウェルビーイングと患者安全を改善:準実験的介入研究研究チームは、看護師の最低配置基準政策の導入が、看護師のウェルビーイング、離職意向、および患者安全を改善したかを評価する目的で準実験的介入研究を実施した。最低配置基準政策の対象となった27病院(介入病院)では、内科・外科病棟における平均の看護師(准看護師を含む)対患者比を、日勤帯(朝・午後シフト)では看護師1人あたり患者4人以下、夜勤帯では看護師1人あたり患者7人以下とすることが義務付けられた。この介入病院と、対象とならなかった41病院(比較病院)を、政策導入前と導入2年後の2つの時点で比較。看護師のアウトカム、患者安全指標、ケアの質指標、運営上の失敗(インシデントなど)について評価した。主な結果は以下の通り。介入病院では、導入前と比べて明確な改善が確認された。重度の燃え尽き状態になる確率が24%低下(オッズ比:0.76、95%信頼区間[CI]:0.61〜0.94、p<0.05)職務不満足になる確率が27%低かった(オッズ比:0.73、95%CI:0.59〜0.91、p<0.01)業務量、専門能力開発、職務上の自律性、および勤務スケジュールに対する職務不満足度がすべて有意に低下し、看護師の労働環境スコアも改善した。(一方、比較病院ではこれらの項目は時間とともに悪化した。)介入病院では、ケアの質、患者安全、および運営上の失敗が著しく改善した。(比較病院では概して悪化した。)この研究は、政策立案者や病院管理者に、最低配置基準政策の導入が、看護師にとってより好ましい労働環境、看護師の燃え尽きや職務不満足度の低下を含むより良い職務成果、そして患者ケアの質と安全性の向上をもたらし得るという、強い確信を与えるものである。この研究で最も興味深いのは、もしこの政策がなければ、事態は悪化の一途を辿っていたという衝撃の事実です。実際に、政策が導入されなかった病院では、この調査期間中に看護師たちが自院のケアの質を「悪い」と評価する確率が増加していました。現場は、静かに、しかし確実に疲弊し、質が低下する負のスパイラルに陥っていくことがデータで示されました。この「比較病院の姿」こそ、多くの医療現場が直面している「現在の姿」であり、何もしなかった場合の「現場の未来」だとも言えるのではないでしょうか。この状況に対し、最低配置基準政策は、悪化する流れを完全に断ち切るだけでなく、状況を劇的に好転させる効果を持っていました。具体的には、ケアの質が「悪い」と評価される確率を42%も引き下げるという、明確な効果を示したのです。まさに流れを逆転させる「ゲームチェンジャー」であり、現場を救う「救世主」とも言える一手となっています。さらに、この研究の素晴らしい点は、長年「そうに違いない」と信じられてきた「看護師配置の改善が、現場と患者を救う」という仮説を、信頼性の高い準実験デザインによって、科学的に証明した点です。これにより、両者の関係は単なる「相関関係」から明確な「因果関係」のレベルにまで引き上げられました。看護師の適正な配置が、現場と医療の質を守るための最も確実で強力な一手であると揺るぎない根拠をもって示された、私たち看護師にとって大変希望的な研究です。論文はこちらLasater KB, et al. Int J Nurs Stud. 2025 Aug 6. [Epub ahead of print]

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起立時のめまいや動悸に心不全治療薬が有効かも

 立ち上がったときに動悸やめまい、ふらつきを感じたことはないだろうか。これは、体位性頻脈症候群(POTS)と呼ばれる症状で、上記の症状に加え、疲労感や運動障害、胸痛、ブレインフォグ、吐き気などを伴うこともある。新たなパイロット研究の結果によると、イバブラジンと呼ばれる心不全治療薬が、POTS患者の心拍数の増加を抑え、血圧には影響を与えずに他の症状を大幅に改善する可能性のあることが示された。米バージニア大学保健学部のAntonio Abbate氏らによるこの研究結果は、「Journal of Cardiovascular Pharmacology」7月号に掲載された。 Abbate氏は、「これらの結果は、不適切な心拍数の増加こそが不調の原因であり、血圧に影響しない薬により心拍数を減らすことで生活の質(QOL)に違いをもたらすことができることを示唆している」とバージニア大学のニュースリリースの中で述べている。 研究グループによると、POTSの有病率は一般人口の1%以下と極めて低いが、近年、TikTokやその他のソーシャルメディアでPOTSが話題になっているという。POTSの原因は明らかになっていないため、POTSと診断してもらうことの難しさを訴える患者は多い。「患者は、かかりつけ医がPOTSに関する詳しい知識を持ち合わせていなかったり、治療方法が分からなかったりするため、別の専門医の診察を受けに行く。ところが、心臓専門医は心臓の問題ではないと判断する。実際にその通りだ。また、神経科医は脳に問題はないと言うが、それも正しい。POTSは『ハードウェア』の問題というより、『ソフトウェア』の問題なのだ」と話す。 イバブラジンは、心臓にある過分極活性化環状ヌクレオチド依存性(HCN)チャネルを阻害することで心拍数の増加を抑える薬で、心不全の悪化予防のために使用される。POTSの主な特徴は心拍数の増加であることから、研究グループは、イバブラジンがPOTSの症状改善に効果を発揮する可能性があると考えた。 そこで研究グループは、POTS患者10人(平均年齢28歳、女性8人)にイバブラジンを投与した。その結果、起立時の1分当たりの心拍数の増加幅は、イバブラジン投与前は平均40回であったのが、投与後は平均15回に減少したことが示された。また、研究参加者は心拍数以外の症状が改善したことも報告した。なかでも改善度が高かったのは、失神感(69%減)と胸痛(66%減)であった。 Abbate氏らは、「この全体的な症状の改善は、心拍数の増加がPOTSの他の症状を引き起こすことを示唆している」と述べている。同氏は、「POTS患者では、起立時に心拍数を制御するメカニズムが機能不全に陥り、心拍数が過度に増加する。すると、脳がこれを危険信号と感知し、ストレスホルモンであるノルアドレナリンの放出を促す。その結果、不安やパニック発作に似た症状が引き起こされる。イバブラジンで心拍数をコントロールすることによりこのループが抑制され、患者の気分が改善するのではないか」との見方を示している。 ただし研究グループは、これらの研究結果を確認し、POTSの原因をより深く理解するためには、さらなる研究が必要だと述べている。Abbate氏は、「かつては低血圧に起因する代償メカニズムとしか考えられていなかった高い心拍数自体が症状の原因となっている可能性がある。心拍数がどのように調節され、症状にどのように影響するかをより深く理解することが、POTS患者に対するより良い治療法の開発につながる可能性がある」と話している。

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ギャンブル依存の“やめられない”、複数の脳領域が連動か

 「なぜギャンブルをやめられないのか?」。最新の研究から、その背景には“脳の複数の領域”と“気分の落ち込み”が関わっていることがわかってきた。扁桃体と腹側線条体という脳の領域が連動すると、「ギャンブルをしたい」という強い欲求が生まれ、この関係にはうつ症状が関与しているという。研究は京都大学大学院医学研究科(当時)の石川柚木氏、同大学附属病院精神科神経科/デイ・ケア診療部の鶴身孝介氏らによるもので、詳細は「Addiction Biology」に7月17日掲載された ギャンブル障害(GD)は、持続的なギャンブル行動とその悪影響を特徴とする精神疾患であり、強い欲求(渇望)が中心的な役割を担う。ギャンブルへの渇望は多面的なプロセスであり、楽しいと認識する「期待(Anticipation)」、強い衝動を表す「欲求(Desire)」、ネガティブな気分からの逃避を意味する「解放(Relief)」の3側面から構成される。この構造はコカインやたばこの渇望とも類似している。報酬が存在する際の渇望は、報酬追求行動に関与する扁桃体と腹側線条体(VS)の機能的結合によって調整されると考えられるが、報酬が存在しない際の渇望と両者の安静時機能的結合(rs-FC)との関係は未解明である。さらに、うつ症状がこの関係を仲介する可能性も示唆されている。本研究では、GD患者において扁桃体-VSのrs-FCが渇望と関連するという仮説を立て、うつ症状がその媒介因子として機能するかを検討することを目的とした。 本研究には、日本人のギャンブル障害(GD)患者51名(うち男性48名)と健常者45名(うち男性41名)が参加した。全GD患者はDSM-5-TRのGD診断基準を満たしていた。ギャンブルへの渇望は、スコアが高いほど渇望が強いことを示すリッカート尺度であるギャンブル渇望尺度(GACS)を用いて評価した。GACSは「期待」「欲求」「解放」の3つの下位尺度に分ける尺度であり、それぞれ対応する項目の合計点を算出した。うつ症状はベック抑うつ評価尺度II(BDI-II)により評価した。扁桃体と腹側線条体のrs-FCは、安静時fMRIで取得した両領域のBOLD信号の時系列データ間の相関係数を計算することで評価した。 GD患者では、右扁桃体‐右腹側線条体のrs-FCはGACSの「欲求」スコアと有意な負の相関を示した(相関係数ρ=−0.377、95%信頼区間〔CI〕〔−0.591~-0.113〕、P=0.006)。その他のrs-FC値はいずれのGACS下位尺度とも有意な相関を示さなかった。また、右扁桃体‐右腹側線条体のrs-FCはBDI-IIスコアとも有意な負の相関を示した(ρ=−0.390、95%CI〔−0.616~−0.130〕、P=0.005)。 次に、GD患者を対象に、右扁桃体‐右腹側線条体のrs-FCを独立変数、BDIを媒介変数、GACSサブスケール(欲求)を従属変数とする因果媒介分析を実施した。その結果、有意な全体効果(−0.341、95%CI〔−0.617~−0.069〕、P=0.017)と平均因果媒介効果(ACME)(−0.137、95%CI〔−0.306~−0.018〕、P=0.015)が認められた。 男性GD患者(48名)に限定した感度分析では、右扁桃体‐右腹側線条体のrs-FCとGACS「欲求」スコアとの相関は依然として有意であった(ρ=−0.353、95%CI〔−0.634~−0.070〕、P=0.016)。一方で、ACMEは有意ではなかった(−0.110、95%CI〔−0.278~0.010〕、P=0.069)。 本研究について著者らは、「本研究では、扁桃体‐腹側線条体のrs-FCとギャンブルへの渇望との関連が示された。さらに、因果媒介分析により、うつ症状が渇望に対して媒介的な役割を果たす可能性が示唆された。これらの結果は、ギャンブル障害における渇望に関する重要な知見を提供し、その基盤となる神経メカニズムを標的とした効果的な介入法の開発に寄与すると考えられる」と述べている。(HealthDay News 2025年8月25日)

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東海大学医学部 乳腺・腫瘍科学【大学医局紹介~がん診療編】

新倉 直樹 氏(教授)寺尾 まやこ 氏(講師)清原 光 氏(助教)講座の基本情報医局独自の取り組み・特徴当科は乳腺の悪性疾患から良性疾患まで対応し、東海大学医学部付属病院(伊勢原・神奈川)では乳腺専門医5名を中心に乳がんの診療をし、2023年の当科の年間手術症例数は355件(全身麻酔での乳がん手術322例)でした。がん薬物療法専門医3名が所属しており、その他の悪性腫瘍の患者さんも積極的に受け入れ、薬物療法も行っています。遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)に対しては遺伝子診療科と連携し、BRCA検査、その他の家族性腫瘍に対する検査にも対応しています。乳房再建においては形成外科と連携し腹直筋、広背筋皮弁再建やインプラント再建も行っております。独自の取り組みとしては、乳腺・腫瘍科の中に外科専門医と内科専門医が混在しているチームとなり、外科医が薬物治療を行うのと同時に、内科出身であっても、診断・手術を行っています。医師の育成方針当科では外科系以外に、2008年より内科系の乳腺専門医を目指す医師を育成しており、今後も外科・内科問わずさまざまなバックグラウンドを持つ乳腺専門医を目指す医師を募集しています。乳腺・腫瘍科として診断から外科的手術、薬物療法まで行える医師の育成を行っております。さらには研究については、基礎研究、データベース研究、新規薬剤の開発治験、留学制度など本人のやりたいことをサポートできる環境を整えてあります。同医局でのがん診療/研究のやりがい、魅力東海大学乳腺・腫瘍科学は、外科系・内科系を問わず乳がん診療全般に関わることができること、「がん薬物療法専門医」が複数名おりオンコロジストとして乳がん以外の悪性疾患の臨床や研究に携わることができるのが大きな魅力です。複雑な症例の相談や、原発不明がんの治療など自施設に限らず地域の医療機関の患者さんたちに適切な治療を提供することは、医師としてやりがいを感じられます。次世代オンコロジストの育成にも力を入れ、幅広く腫瘍学を学ぶことができる環境が整っており、基礎研究に関心のある方にも、多様なテーマに取り組める機会があります。復職・キャリア再開を考えている医師へのメッセージ当教室では、3年目専攻医でなくても、結婚・出産・家庭の事情などで一度離職された先生方や、過去に他の医療機関に在籍していた方の復職も可能です。東海大学医学部には「復職支援室」を設けており、復職支援、長期離職予防、キャリア支援などを積極的に行っています。復職にあたって不安をお持ちの方には、診療科を問わず個別相談や研修の提案なども可能です。まずは相談だけでも、ぜひお気軽にご連絡ください。これまでの経歴宮崎大学を卒業後、神奈川県内の市中病院で初期臨床研修を行いました。現在の医局に入局し、医師7年目になります。初期研修中に乳腺診療の魅力を知り、この分野を選びました。同医局を選んだ理由乳腺外科を選んだ理由は、1)診断から手術、周術期治療、再発転移の治療まで一貫して携わることができること、2)患者さんの多くが女性であり女性医師の需要が高いこと、3)ワークライフバランスも大切にできることの3点です。東海大学では、乳腺専門医取得に向けて外科系だけでなく内科系ローテーションを選択することができました。とくに薬物療法に興味があった私は、この点を魅力に感じ、東海大学に入局を決めました。現在学んでいること医師3~5年目は当院の内科系と乳腺外科で専攻医として勤務し、うち1年間は国立がん研究センター東病院で腫瘍内科を中心に研修させていただきました。その後内科専門医を取得し、現在は外来や手術を中心に乳腺診療全般を学んでいます。また、研究にも取り組み、学会発表や論文執筆を進めています。さらに、がん薬物療法の理解を深めるため、遺伝子パネル検査のエキスパートパネルにも参加し、他がん種についても学んでいます。東海大学医学部 乳腺・腫瘍科学住所〒259-1193 神奈川県伊勢原市下糟屋143問い合わせ先mamma@tokai.ac.jp医局ホームページ東海大学医学部 乳腺・腫瘍科学専門医取得実績のある学会日本外科学会日本内科学会日本乳癌学会日本臨床腫瘍学会日本癌治療学会日本遺伝性腫瘍学会研修プログラムの特徴(1)東海大学では、大学院に進学する場合、臨床助手・ハイブリッドコースを選択し、学位を取得することができます。また、臨床助手の7割の給与が支給されます。(2)男女を問わず、結婚・出産後の待遇について相談に応じます。産休・育休制度を活用し、最大産後1年間の休職が可能です。短時間勤務制度(20~28時間勤務/週、子供が9歳になるまで、最大3年間)を利用することもできます。この制度を利用し、復帰後も他医師と同様に臨床・研究・教育を継続することができる体制を整えております。本院(伊勢原)、八王子病院ともに院内保育所を併設しており、利用時間は7:00~22:00です。詳細はこちら

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2型糖尿病治療薬、国際的持続評価システムの最新結果/BMJ

 中国・四川大学のKailei Nong氏らは、2型糖尿病治療薬の無作為化比較試験についてリビングシステマティックレビュー(living systematic review:LSR)とネットワークメタ解析(NMA)を用いて評価するシステムを開発。SGLT2阻害薬、GLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)、フィネレノンおよびチルゼパチドは、死亡、心血管疾患、慢性腎臓病および体重減少に関してリスク依存的に異なる有益性をもたらすが、薬剤特有の有害事象があることを明らかにした。著者は、「本評価システムは、最新のエビデンスを随時統合できるよう設計されている。エビデンスを持続的に更新する国際的なシステムとして、政策立案者、臨床医および患者の情報に基づく意思決定を支援し、研究の無駄を減らす可能性がある」と述べている。BMJ誌2025年8月14日号掲載の報告。869試験、49万3,168例のデータを解析 研究グループは、MedlineおよびEmbaseを用い、2型糖尿病治療薬を相互に、またはプラセボあるいは標準治療と比較した24週以上の無作為化並行群間比較試験について、毎月検索を実施し(本報告では2024年7月31日までの検索を対象)、頻度(frequentist)ランダム効果モデルとGRADEアプローチを用いたLSRおよびNMAを行った。 LSRとNMAは、少なくとも年2回更新。本報告のLSRとNMAには、869試験(2022年10月以降に53試験を追加)の計49万3,168例の患者が含まれ、13の薬剤クラス(63種類の薬剤)と26の重要なアウトカムに関するデータが報告された。薬剤ごとに有益性が異なり、薬剤特有の有害事象も確認 有益性は、SGLT2阻害薬、GLP-1受容体作動薬、およびフィネレノン(慢性腎臓病を有する患者に限る)について、心血管および腎臓へのベネフィットが確認された(エビデンスの確実性:中~高)。 体重減少に最も有効な薬剤は、チルゼパチド(平均差[MD]:-8.63kg[95%信頼区間[CI]:-9.34~-7.93]、エビデンスの確実性:中)、およびorforglipron(-7.87kg[-10.24~-5.50]、エビデンスの確実性:低)の順で、次いで他の8種類のGLP-1受容体作動薬(エビデンスの確実性:高~中)であった。 薬剤の絶対的有益性は、心血管および腎アウトカムに対するベースラインのリスクによって大きく異なっていた。リスク層別化された薬剤の絶対効果は、インタラクティブツールにまとめている。 薬剤特有の有害事象については、SGLT2阻害薬は性器感染症(オッズ比[OR]:3.29[95%CI:2.88~3.77]、エビデンスの確実性:高)、糖尿病性ケトアシドーシス(2.08[1.45~2.99]、エビデンスの確実性:高)、切断(1.27[1.01~1.61]、エビデンスの確実性:中)を、チルゼパチドとGLP-1受容体作動薬は重度胃腸障害(チルゼパチドで最もリスクが増加、OR:4.21[95%CI:1.87~9.49]、エビデンスの確実性:中)、フィネレノンは重度高カリウム血症(OR:5.92[95%CI:3.02~11.62]、エビデンスの確実性:高)を、チアゾリジン系薬剤は主要な骨粗鬆症性骨折および心不全による入院、スルホニル尿素薬とインスリンおよびDPP-4阻害薬は重度低血糖のリスクをそれぞれ増加させる可能性が示された。 神経障害や視覚障害などその他の糖尿病関連合併症に対する効果については、エビデンスの確実性が低または非常に低の結果しか得られなかった。また、関心が高い認知症に関しても、GLP-1受容体作動薬が認知症を軽減するかどうかは不確実であった(OR:0.92[95%CI:0.83~1.02]、エビデンスの確実性:低)。

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「Pontaポイント コード」交換レート変更および交換受付停止期間のお知らせ

このたび、ケアネットポイントの交換先である「Pontaポイント コード」につきまして、2025年10月1日(水)12:00より、交換レートを以下のとおり変更いたします。【変更前】9月17日(水)13:59まで100pt=100ポイント分【交換受付停止期間】9月17日(水)14:00~10月1日(水)11:59※Pontaポイント コードの交換受付を一時停止いたします。【変更後】10月1日(水)12:00より100pt=95ポイント分※2025年9月17日(水)13:59までにお申し込みいただいた分は、現行のレート(100pt=100ポイント分)で交換いたします。※2025年9月17日(水)14:00~10月1日(水)11:59 は、Pontaポイント コードの交換受付を一時停止いたします。状況により、交換受付停止期間は前後する場合がございます。 ご利用中の皆さまにはご不便をおかけしますが、何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。ケアネットポイントの交換はこちらよりお手続きください。https://point.carenet.com/exchange※ログインが必要です

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米国の小児におけるインフルエンザ関連急性壊死性脳症(IA-ANE)(解説:寺田教彦氏)

 本報告は、米国2023~24年および2024~25年シーズンにおける小児インフルエンザ関連急性壊死性脳症(IA-ANE)の症例シリーズである。 IA-ANEは、インフルエンザ脳症(IAE)の重症型で、米国2024~25年シーズンのサーベイランスにおいて小児症例の増加が指摘されていた(MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2025 Feb 27)。同レポートでは、小児インフルエンザ関連死亡例の9%がIAEによる死亡と報告され、早期の抗ウイルス薬使用と、必要に応じた集中治療管理、インフルエンザワクチン接種が推奨されていた。 本研究では、2024~25年シーズンで大規模小児医療センターの医師からIA-ANEが増加していると指摘があり、主症状、ワクチン接種歴、検査結果および遺伝学的解析結果、治療介入、臨床アウトカム(修正Rankinスケールスコア)、入院期間、機能的アウトカムを主要アウトカムとして調査結果が報告された。詳細は「インフルエンザ脳症、米国の若年健康児で増加/JAMA」に記載のとおりである。 本研究のdiscussionでは、サーベイランス結果と同様に、速やかな診断と集中治療管理、ならびにインフルエンザワクチン接種の有用性が強調されている。前者については、死亡例の多くが入院後1週間以内(中央値3日)に発生し、主因が脳浮腫に伴う脳ヘルニアであった点から指摘されている。後者については、米国における2023~24年および2024~25年シーズンの小児インフルエンザワクチン接種率がそれぞれ55.4%、47.8%であったのに対し、本研究に登録されたIA-ANE患者で接種歴を有したのは16%にとどまっていた点から指摘されている。 また、本研究では、アジア系の子供で急性壊死性脳症(ANE)が多かった。日本を中心としたアジアではANEが多い可能性が指摘されており、日本では2015~16年シーズン以降、IAEは新型コロナウイルス感染症の世界的な流行期間を除き毎年約100~200例が報告されており、2023~24年シーズンは189例が報告されていた(「インフルエンザ流行に対する日本小児科学会からの注意喚起」日本小児科学会)。本研究でもアジア人が登録された割合は高かったが、ANEに関連する可能性があるRANBP2やその他の遺伝的変異はアジア系の子供で多いわけではなく、非遺伝的要因が関与している可能性がある。 ANEは健康な小児でも発症することがあり、頻度は低いが壊滅的な神経学的合併症を来し、死亡することもある疾患である。日本での急性脳症の予後の報告でも、平成22年度の報告書では、急性脳症全体/急性壊死性脳症(ANE)で治癒56%/13%、後遺症(軽・中)22%/2%、後遺症(重)14%/33%、死亡6%/28%、その他・不明1%/3%だった。 本報告は米国におけるANEの臨床像と深刻さを明確に示すとともに、日本においても適切なワクチン接種の実施、IA-ANEの早期診断と集中管理、治療プロトコルの標準化が急務であることを再確認させられた。

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安物椅子の効能【Dr. 中島の 新・徒然草】(595)

五百九十五の段 安物椅子の効能暦の上ではもう秋、朝夕は少しばかり過ごしやすくなりました。それでも日中に水道の蛇口を捻るとお湯が出てきます。「あれっ? 給湯になっているのかな」と思うのは、こんな時ですね。もちろんそんなはずもなく、暑さのせいで水がお湯になっているわけですが。さて、言うまでもなく、われわれが追求しているのは西洋医学。東洋医学や民間医療に比べると、生死を左右する病気の診断や手術を含む治療では絶大な威力を発揮します。しかし、日常生活の中で生じるちょっとした不調、たとえば頭痛や腰痛、不眠、倦怠感といった愁訴に対しては、私自身もなかなか本気になれません。先日、私の外来を訪れた70代の女性。背筋の伸びたダンスインストラクターでした。主訴は歩行障害です。3ヵ月ほど前から右足が動きにくくなったのだとか。実際に歩いてもらうと、確かに右足を軽く引きずっています。それだけでなく、右の腰と臀部の軽い痛み、右膝窩部から下腿前面にかけての違和感も訴えていました。すでに他の医療機関で撮影した頭、頚椎、腰椎のMRIでは、これといった異常が見当たらなかったとのこと。私はいろいろな問診と身体所見を取った結果、最終的に坐骨神経痛、それも梨状筋症候群が歩行障害の主たる原因ではないかと思うに至りました。これは坐骨神経が梨状筋によって圧迫され、下肢の運動障害や感覚障害を呈する疾患です。当然のことながら、患者さんの次の疑問は治療です。正直なところ、私自身は坐骨神経痛とか梨状筋症候群についてはまったくの素人。そこで汗だくになってネット検索をしたのです。患者さんの前でスマホをあれこれ触るのもカッコ悪いのですが、他に方法はありません。苦し紛れの説明をせざるを得ませんでした。 中島 「治療は大きく分けて3つ。外科的治療、内科的治療、その他といったところです」 患者 「外科的治療というのは手術のことですか?」 中島 「そういうことになりますね」 患者 「とんでもない、手術なんかしません!」 そりゃそうでしょうね。どう考えても「圧迫している梨状筋を切ろう」などというのは単純すぎる発想です。 患者 「内科的治療というのは薬ですか?」 中島 「薬とか湿布とかブロック注射あたりだと思います」 患者 「どんな薬を使うのでしょうか」 中島 「鎮痛剤とかかな」 患者 「そんなに痛いわけじゃないのに?」 痛くない人に痛み止めを使っても意味ないですよね。同じ理屈で、湿布もブロック注射も却下。「痛みさえ取れればスムーズに歩ける」という状況でもないわけだし。となると、次は「その他」の治療か?実は診察中、自発痛や圧痛を調べるために、この患者さんの臀部を押したり引いたりしたのです。そのことが結果的に梨状筋をマッサージすることになったのでしょうか。直後に、患者さんが軽快に歩けるようになりました。スムーズに歩けたのは、わずか2〜3メートルだけで、すぐに元に戻ってしまったわけですが。でも、このことは大切なヒントになっているかもしれません。つまり、アプローチとしてはマッサージやストレッチ、エクササイズの方向性も考えられるということです。それ以上のことは私にはわからなかったので、梨状筋症候群をホームページで熱く語っている整形外科クリニックを探し出し、そちらを受診するようお勧めしました。帰宅後に「梨状筋症候群 ストレッチ」で検索すると、YouTubeに大量の動画が存在することに気付きました。もちろん玉石混交だろうとは思いますが、その中には彼女に適したものもあるはず。幸い、1ヵ月後にフォローの再診予約を入れているので、その後の状況をお伺いしようと思います。後で聞いたところ、同僚の中には梨状筋症候群になったという医師もいました。彼女の場合、転勤して椅子が立派になってから、次第にこの患者さんと同じような症状に苦しめられたそうです。それまで愛用していた安物の椅子に変えると、徐々に元に戻ったのだとか。そう考えると、ひょっとして今回の患者さんも、椅子が変わった類のエピソードがあるのかもしれません。再診の時に確認してみましょう。さらに、この患者さんがダンスインストラクターであることを考えても、身体を動かす系の治療法を提案したほうが、納得感が得られるのではないかという気がします。これまで私は、マッサージ、ストレッチ、エクササイズといった方法をあまり重視してきませんでしたが、そういったものも有力な治療オプションの1つではないかと思うようになりました。日々、西洋医学を実践する一方で、少しばかり視野の広がる思いをした次第です。引き続き、この患者さんの経過を見守ることといたしましょう。最後に1句 秋の日々 あれこれ考え また試す

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富裕層の医師はどれくらい?/医師1,000人アンケート

 野村総合研究所が2025年2月に公開したレポート1)によると、2023年の日本の富裕層・超富裕層の世帯数は前回調査(2021年)から11.3%増加し、合計約165万世帯となった。これは全体の約3%に当たる。では、医師のなかに富裕層・超富裕層はどれくらいいるのだろうか。そこで、CareNet.comでは20~60代の医師1,005人を対象に、世帯年収・純金融資産額に関するアンケート調査を実施した(2025年7月27日~8月2日実施)。本アンケート調査では、世帯年収と純金融資産額を調査し、富裕層・超富裕層の割合を算出した。また、資産運用の成功/失敗のエピソードも募集した。世帯年収1,400万円以上は53.1%、3,000万円以上は16.1% 野村総合研究所が2025年2月に公開したレポート1)では、共働きで世帯年収1,500万円以上の家庭を「パワーファミリー」、都市部居住の共働きで世帯年収3,000万円以上の家庭を「スーパーパワーファミリー」としている。 では、医師の世帯ではどうだろうか。CareNet.comが実施したアンケート調査では、世帯年収1,400~3,000万円が49.8%、3,000万円以上が10.8%であった。この数字には、既婚かつ片働きの世帯(431人)や独身世帯(177人)が含まれている。そこで、共働き世帯(397人)に絞ってみると、世帯年収1,400~3,000万円が53.1%、3,000万円以上が16.1%であった。すなわち、共働き世帯のうちパワーファミリー相当は7割近くに上り、スーパーパワーファミリー相当も2割弱ということになる。富裕層・超富裕層は約13% 次に、世帯の純金融資産保有額※について聞いた。富裕層・超富裕層は純金融資産保有額に基づいて定義され、富裕層は「1億円以上5億円未満」、超富裕層は「5億円以上」である。野村総合研究所のレポート1)では、日本の富裕層は153.5万世帯(2.8%)、超富裕層は11.8万世帯(0.2%)とされている。 こちらも医師の世帯をみてみると、富裕層に当たる「1億円以上5億円未満」は11.2%、超富裕層に当たる「5億円以上」は2.0%であった。富裕層と超富裕層を合わせると13.2%に上り、日本全体の3.0%を大きく上回った。 富裕層・超富裕層の割合を開業医・勤務医別にみると、開業医では19.3%、勤務医では7.2%であり、開業医が高かった。また、共働き世帯は富裕層・超富裕層の割合が高く17.2%であった。片働き世帯は10.4%、独身世帯は11.3%であった。年代別にみると、年代が上がるほど富裕層・超富裕層の割合が高く、60代では18.3%に上った。※ 純金融資産は、現金・預金や株式などの金融資産総額から住宅ローンなどの負債総額を差し引いたものを指す。不動産や車などは含まない。資産運用の実施、20~40代は7割超 資産運用の実施状況を聞いた。その結果、運用中と回答した割合は、全体では64.7%であった。しかし、年代別にみると20代、30代、40代がそれぞれ71.4%、78.5%、75.6%と高かった一方で、50代、60代はそれぞれ55.1%、54.7%と低い傾向にあった。また、50代、60代の3割超が、資産運用を一度も実施したことがないと回答した。日本株、オルカンやS&P500などの投資信託が人気 資産運用の内訳をみると、運用対象は「日本株」が最も多く(60.0%)、次いで「投資信託/ETF(全世界):オールカントリーなど」(46.7%)、「投資信託/ETF(米国):S&P500など」(43.8%)であった。不動産(12.4%)、金・プラチナ(12.4%)、暗号資産(8.4%)なども一定数を占めた。 また、「投資・資産運用の成功/失敗エピソード」を募集したところ、成功例として「新型コロナ流行期の押し目買い」「S&P500の長期積立」「ドルコスト平均法」などが挙げられた。一方、失敗例としては「証券会社や銀行の勧誘で購入した商品の暴落」「FXなどでの大損」「株式を保有していた会社の倒産」などが目立った。【成功エピソード】・コロナショックの時、日本株を買いあさって、5,000万円の含み益がある(50代、腎臓内科)・駅直結の新築マンションを購入したら、期待通りに値上がりした(50代、その他)・S&P500を堅実に積み立てており、元本の倍くらいになっている(40代、精神科)・2022年ごろから、ひたすらドルコスト平均法。失敗は感じていない(20代、眼科)【失敗エピソード】・証券会社に勤める患者さんに勧められて人生で初めて購入した株があっという間に値下がりし、現在は100分の1になっている。その患者さんは来なくなった(50代、内科)・投資会社に勧められた株を買ったあと暴落した。すぐに損切りしてしまったが、その後10年経って株価が上がった。塩漬けでも持っておけばよかったと思った(60代、糖尿病・代謝・内分泌内科)・FXなどで一瞬で5,000万円くらい溶かしたことがあるので、リスクの高い投資は行わないようにしている(50代、産婦人科)・トルコリラの投資をしたら1/3になった(50代、泌尿器科)・株式を保有していた会社が倒産した(60代、内科)・研修医時代にワンルームマンションに投資。売却したがとんとんだった。苦労のほうが多い(40代、皮膚科)・最近株を盗まれた(60代、腎臓内科)・かなり前に株で大損して(2,000万円くらい)以後株の世界から足を洗った(60代、内科)・いつも損ばかり(60代、内科)【その他のエピソード】・知らないものには手を出さない(40代、内科)・投資信託に現金を使い過ぎて、給料日まで現金がギリギリとなり、ひもじい日々を過ごした(30代、放射線科)・株を買ったら買いっぱなし。その後の株価を見ることもない(60代、泌尿器科)・損失が怖くて大きなお金は株式投資できない(40代、脳神経外科)アンケート結果の詳細は以下のページに掲載中。医師の世帯年収・資産はどれくらい?/医師1,000人アンケート(ケアネット 佐藤 亮)■参考文献・参考サイトはこちら1)株式会社野村総合研究所ニュースリリース(2025年2月13日)

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ChatGPTで英語革命!ChatGPTの「いろは」【タイパ時代のAI英語革命】第3回

ChatGPTの種類前々回、前回でAIに関しての知識を深めたところで、ようやくChatGPTを使っていきましょう。ChatGPTは、OpenAIが提供する対話型AIツールで、ブラウザバージョンとアプリが存在します。質問や指示を入力することで、まるで人と話すように自然な文章で回答を得ることができます。まずはChatGPTを使用する際に、無料か有料かで使えるバージョンが異なり、大きく2つのプランがあることを知っておきましょう。1)無料プラン使用できるモデルGPT-5、使用超過時はGPT-5 miniに切り替えGPT-5は2025年8月に登場し、以前のGPT-4oからさまざまな機能が改良されました。無料版でも時間当たり制限付きで有料版の機能を使えます。ただ、これが一定回数を超えるとGPT-5 miniにダウングレードされます。2)有料(ChatGPT Plus)プラン 月額20ドル(約3,000円)使用できるモデルGPT-5 / GPT-5 Thinking / GPT-4o / GPT-4.1 / GPT-4.1 mini / その他Legacyモデル先ほど説明したものに加えて、有料版では以下のような性能が備わっています。下の図を参考にしていただければと思います。画像を拡大するこのように、機能が大きく異なります。1日数回程度しか使わない場合は無料版の使用範囲内でも事足りるかもしれませんが、私はいつも作業の際に常にスクリーンの1つにChatGPTを開いておくほど頻繁に使用しています。今後の回で医療英語におけるさまざまなChatGPTの使い方を紹介するに当たり、ストレスなく無制限&最大限の機能を使えるよう、いったん有料版を契約することを強くお勧めします。月額制なので、使ってみて必要ないと思えば翌月に解約することもできます。ChatGPTの設定サインアップせずに使うと、使える機能が限りなく狭められるのと、チャットの記録が残らず不便なので、まずはアカウント登録とサインアップから始めましょう(すでにアカウントを持っている方は飛ばしてください)。まずはChatGPTの画面を開き、出てきた画面の右上の「無料でサインアップ」をクリックして指示に従い、アカウントを作成します。これで登録が完了すれば、ChatGPTを開いた時に自動的に自分のアカウントが開くようになるはずです。登録後は左にタブ画面が出るようになります。画像を拡大する左タブの「新しいチャット」をクリックすると、新しいチャットボックスが出て、新たな会話ができるようになります。新たなボックスを開くたびに以前のチャットは消え、左下に履歴として残ります。チャットボックスの左にある「+」を押すと、画像や動画をアップロードできます。ツールをクリックするといくつかの機能(Deep Search、画像を作成する、ウェブ検索、canvasなど)が表示され、それをクリックすると各機能に特化した専用チャットボックスが作られます。本連載では、これらのツール単体を直接使用することはあまりないので、「こんなものもあるんだな」程度に理解しておいていただければOKです。基本的にはチャットボックスにすべての指示を書き出すことで、上記の機能を使うこともできます。右にはマイクボタンがありますが、これを使うとタイピングの代わりに音声認識をして文字起こしをしてくれます。そして一番右にある4本線を押すと音声モードに切り替わります。こちらをクリックすると、タイピングなしでChatGPTと会話ができます。驚くほど自然なトーンで話し掛けてきます。この機能は今後の活用術でたくさん使うことになりますので、ぜひ覚えておいてください。ChatGPTのメモリ機能有料版にすると、過去のチャットボックスを保存するメモリ機能があると記載しましたが、デフォルトではメモリ機能がオンになっています。見た目には過去のチャットの学習履歴が消えてしまっていても、実はチャット内容はデータとして残されており、ある程度たまってくると、新しいチャットボックスであっても使用者の過去のチャットの深い記憶が引き継がれています。一例を挙げると、私が1年以上メモリ機能をオンのまま使用しており、新しいチャットボックスを開いた際に、「私の仕事が何だったか忘れました。何でしたっけ?」と聞いてみたところ、私の職場、職歴、自分の研究内容、発表内容など、詳細に情報が出てきて驚きました。便利なようですがこの機能は一長一短です。たとえば、自分の英語学習の進捗やレベルの推移などをGPTに記憶させたい際には、この機能を使って「今の自分のスピーキングにおけるアクセントは1週間前と比べてどれくらい成長しましたか?」と書くと、過去の記憶を引っ張り出して比較してくれます。ただ、先ほどのように個人情報が自分のGPTに詳細に記憶され、そのデータが利用される可能性も否定はできません。また、自分の思考の特性なども記憶されるため、ChatGPTが生み出してくれる情報が自分好み、つまりバイアスがかかった回答になることもありえます。こうした点を避けるために、メモリ機能をオフにしたい際には以下の方法で設定が可能です。まずは→チャットボックスの右上にある「アカウント」のマークをクリック→「設定」をクリック→「パーソナライズ」をクリック→「保存されたメモリを参照する」「チャット履歴を参照する」をオフこの設定でメモリに残らなくなります。また、特定のチャットボックスのみ履歴を残したくないときは、アカウントマークの横にある吹き出しマークをクリックすると、履歴に残ったり、ChatGPTのメモリを使用または更新したり、モデルの学習に使用されたりすることのない一時チャットモードに切り替えることができます。

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第278回 いよいよ本格化するOTC類似薬の保険外し議論、日本医師会の主張と現場医師の意向に微妙なズレ?(後編)

「調査対象に偏りが見受けられるため、調査結果については詳細な分析が必要」と日本医師会こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。いろいろあった夏の甲子園(全国高校野球選手権大会)も終わり、野球はNPBとMLBのポストシーズン進出争いにその焦点が移ってきました。気になるのはMLBのロサンゼルス・ドジャースの夏に入ってからの失速ぶりです。この週末のサンディエゴ・パドレスとの3連戦では1勝2敗と負け越し、結果、パドレスにナショナル・リーグ西地区首位に並ばれました(現地8月24日現在、25日には再び首位に)。投手陣、とくにリリーフ陣の弱さがポストシーズンに向けて最大の弱点になっています。大谷 翔平選手で視聴率を稼いできたNHKも気が気でないでしょう。開幕時はワールドシリーズ出場間違いなしと言われたスター軍団のあと1ヵ月余りの戦いぶりと、ダルビッシュ 有投手擁するパドレスのさらなる追い上げに注目したいと思います。さて、今回も前回に引き続き、三党合意(自民・公明・維新)で決まったOTC類似薬の保険外しについて書いてみたいと思います。前回は、日本医師会が8月6日の記者会見で、OTC類似薬の保険外しの動きに対し強い反対の意向を改めて表明、その理由として「経済的負担の増加」と「自己判断・自己責任での服用に伴う臨床的なリスク」を挙げたこと、その一方で、今年7月、日本経済新聞社と日経メディカル Onlineが共同で医師に対して行った調査では「OTC類似薬の保険外しに医師の賛成6割」という意外な結果が出たことについて書きました。日本医師会は、記者会見でこの結果に対し、「調査対象に偏りが見受けられるため、調査結果については詳細な分析が必要」と苦言を呈したのですが、そんなに”偏った”調査だったのでしょうか。もう少しその内容を見てみましょう。「保険適用から外してもよい」と考える薬効群分類は「総合感冒薬」「湿布薬」「ビタミン剤」など日経メディカル Onlineは7月30日付けで「医師7,864人に聞いたOTC類似薬の保険適用除外への賛否」という記事を配信しました。対象は日経メディカル Onlineの医師会員で総回答者数は7,864人、調査期間は参議院選挙前の2025年7月1~6日です。同記事によれば、調査に回答した医師の過半数である62%が「OTC類似薬の保険適用除外」に対し賛成(「賛成」20%、「どちらかと言えば賛成」42%の合計)でした。なお、回答した医師の内訳は、病院勤務医70.1%、診療所勤務医15.2%、病院経営者1.5%、診療所開業医10.8%、研究者・行政職1.1%、その他2.4%です。病院勤務医が7割と最も多く、診療所開業医が実際の割合(病院長含め開業医の割合は医師全体の約2割程度)よりも若干低かったのですが、大きな「偏り」というほどのものではないでしょう。立場別での賛否では、病院勤務医が「賛成」の率が最も高く(69%)、次いで診療所勤務医(54%)、病院経営者(51%)の順でした。診療所開業医は「賛成」36%、「反対」が63%でした。「反対」が多いとはいえ約4割が保険適用除外に「賛成」とは、ある意味意外な結果でした。OTC類似薬のうち、「保険適用から外してもよい」と考える薬効群分類について聞いた質問では、「総合感冒薬」(51%)、「外用消炎鎮痛薬(湿布薬)」(41%)、「ビタミン剤」(37%)、「外用保湿薬(ヘパリン類似物質など)」(31%)が上位を占めました。保険適用から除外してよいと考える理由については、「増え続ける国民医療費を抑制するため」52%、「医薬品目的で受診する人を減らすため」31%、「OTC薬と効果に大きな違いがないため」27%、「多忙な診療業務の負担を軽減するため」16%という結果でした。つまり、勤務医を中心に現場の医師たちの実に半数が、増え続ける医療費をなんとかせねばと考えており、さらに、医師の働き方改革や医師偏在によって多忙を極める医師たちの一定数が、OTC類似薬の保険適用除外は医薬品目的で受診する人を減らし、診療業務を効率化するためにプラスになると考えているわけです。日本医師会の主張と現場の医師の意向のズレは、「軽症でも患者を手放さず、初診料・再診料を柱に診療報酬を確保する」ことを第一義とする(診療所開業医中心の)日医と、「本当に診療が必要な患者だけを効率的に診たい」現場医師との間にある、”診療方針のズレ”といえるかもしれません。OTCよりも危険な処方薬ですらきちんと説明が行われず、ポリファーマシーによる健康被害も起こっている日本医師会は「自己判断・自己責任での服用に伴う臨床的なリスク」を反対の理由に挙げ、「OTC類似薬の保険適用除外は、重複投与や相互作用の問題等、診療に大きな支障を来たす懸念がある」とその危険性を指摘していますが、現実問題として重複投与や相互作用を常に気にしながら処方箋を書いている医師はどれくらいいるのでしょうか。以前(第270回 「骨太の方針2025」の注目ポイント[後編])にも書いたことですが、そもそも現状、処方箋を発行する医師は薬の説明をほぼ薬局薬剤師に丸投げし、その薬局薬剤師も印刷された薬剤情報提供書を右から左へ受け流しているだけ、というところが少なくありません(私や家族の経験からも)。OTCよりも危険な処方薬ですらきちんと説明が行われず、ポリファーマシーによる健康被害も起こっている状況はそのままに、「OTC類似薬の保険適用除外は、診療に大きな支障を来たす懸念がある」とはやや言い過ぎではないでしょうか。「経済的負担の増加」は税制などの制度変更とマイナ保険証を活用したDXで改善できるのでは?OTC類似薬の保険適用除外のもう一つの問題と言われる患者の「経済的負担の増加」ですが、こちらは税制などの制度変更とマイナ保険証を活用したDXで改善できるのではないでしょうか。今年5月の三党協議の場で、使用額が大きいOTC類似薬の上位6品目と湿布薬1品目について、通常の使用日数で患者負担額がどれくらい違うかについての厚生労働省の試算が示されています。それによれば、「ヘパリン類似物質クリーム」で市販薬はOTC類似薬の5.4倍、その他の薬でも1.1〜3.4倍という結果でした。日本医師会の江澤 和彦常任理事は8月6日の記者会見でOTC類似薬を保険適用外にすることで、患者の自己負担額で比較すると30倍以上になると指摘、「経済的な問題で国民の医療アクセスが絶たれる」と懸念を示しています。しかし、患者負担の面からみれば増加ですが、国の医療費負担の面からは削減になるわけで、セルフメディケーション税制(特定市販薬を年1万2,000円超購入した場合、超過分を8万8,000円まで控除できる制度)の限度額や対象薬剤を拡充したり、医療費控除との併用を認めるような改革を行ったりすれば、患者の経済的負担増はいくらでも軽減できると思います。セルフメディケーション税制は現行の医療費控除の「特例」のため、重複控除を避ける必要があるため「選択適用」となっていますが、それこそ今の時代に合っていない制度と言えるでしょう。なお、セルフメディケーション税制については2026年12月に制度の期限を迎えるものの、国は制度の恒久化と対象薬剤(インフルエンザ検査を追加など)の拡大を検討しています。3党合意と骨太の方針でOTC類似薬の保険適用除外が決まっているのですから、それに合わせて同制度の抜本的な見直しを期待したいところです。セルフメディケーション推進で職能の重要性が増すと考えられる薬剤師、しかし日本薬剤師会はOTC類似薬の保険適用除外になぜか「反対」また、薬局等でOTCを購入しているのが患者本人なのか、家族など第三者用なのか、というチェック等もマイナンバーカードを活用し、お薬手帳の情報などと紐付けることで、より効率的に行うことができるのではないでしょうか。さらに、セルフメディケーション税制に基づく所得控除の申告もe-Tax(国税電子申告・納税システム)で簡単にできるようにすれば、OTCの活用は今まで以上に進むはずです。要はそうした制度・仕組みをつくろう、セルフメディケーションを推進しようという意欲や熱意が国や各ステークホルダーにあるかどうかだと思います。その意味では、診療と処方権を絶対に手放したくない日本医師会はさておいて、セルフメディケーション推進でその職能の重要性が増すと考えられる薬剤師を束ねる日本薬剤師会が、OTC類似薬の保険適用除外に対して「今までの仕組みを壊すことになる」(岩月 進・日本薬剤師会会長)などとして「反対」の立場を表明(2025年2月段階)しているのがまったく解せません。薬剤師は自分たちの職能を高めたり、仕事を増やしたりすることが嫌いなのでしょうか。AIやロボットに仕事を奪われてもいいのでしょうか。OTC類似薬の保険適用除外は、2025年末までの予算編成過程を通じて具体的な検討を進め、早期に実現可能なものは2026年度から実行される予定です。そうした動きを阻止するべく日本医師会、日本薬剤師会など守旧派勢力が今後、どんなアクション起こすかが注目されます。

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看護師の燃え尽きがインシデントを招く?データが示す実態【論文から学ぶ看護の新常識】第28回

看護師の燃え尽きがインシデントを招く?データが示す実態看護師の燃え尽き症候群(バーンアウト)が、患者の転倒や投薬エラーといったインシデントの発生と関連していることが、最新の大規模メタアナリシスで示された。Lambert Zixin Li氏らによる研究で、JAMA Network Open誌2024年11月4日号に掲載された。看護師のバーンアウトと患者の安全、満足度、ケアの質との関連:システマティックレビューとメタアナリシス研究チームは、看護師のバーンアウトと、患者の安全、満足度、ケアの質との関連の大きさと、その調整因子を評価することを目的に、システマティックレビューとメタアナリシスを実施した。Web of Scienceなどの7つのデータベースを用いて、1994年1月1日から2024年2月29日までの研究を検索した。主な結果は以下の通り。32ヵ国、28万8,581名の看護師を含む85件の研究が対象となった。患者の安全への影響:看護師のバーンアウトは、患者の安全に関する以下の指標の悪化と関連していた。安全文化・風土の低下(標準化平均差[SMD]:−0.68、95%信頼区間[CI]:−0.83~−0.54)患者安全評価グレードの低下(SMD:−0.53、95%CI:−0.72~−0.34)院内感染の増加(SMD:−0.20、95%CI:−0.36~−0.04)患者の転倒の増加(SMD:−0.12、95%CI:−0.22~−0.03)投薬エラーの増加(SMD:−0.30、95%CI:−0.48~−0.11)有害事象や患者安全インシデントの増加(SMD:−0.42、95%CI:−0.76~−0.07)看護ケアの未実施の増加(SMD:−0.58、95%CI:−0.91~−0.26)(褥瘡の頻度との有意な関連はなかった)患者満足度への影響:看護師のバーンアウトは、患者満足度の評価の低下と関連していた(SMD:−0.51、95%CI:−0.86~−0.17)。(患者からの苦情や患者虐待の頻度とは有意に関連しなかった。)ケアの質への影響:看護師のバーンアウトは、看護師自身が評価したケアの質の低下と関連していた(SMD:−0.44、95%CI:−0.57~−0.30)。(標準化死亡率とは有意に関連しなかった。)関連の強さ:上記の関連は、看護師の年齢、性別、職務経験、地域によらず一貫しており、年数が経過しても持続していた。患者安全のアウトカムでは、バーンアウトの「個人的達成感の低さ」は、「情緒的消耗感」や「脱人格化」よりも関連が小さく、また「大学教育を受けた看護師」においても関連が小さかった。看護師のバーンアウトは、医療の質と安全性の低下、そして患者満足度の低下と関連していることが明らかになった。最新のシステマティックレビューとメタアナリシスから、看護師のバーンアウトが患者の安全、満足度、そしてケアの質に直接影響を与えることが明らかになりました。これは、看護師個人の情緒的消耗や脱人格化といった問題にとどまらず、医療現場における安全文化の低下、院内感染の増加、転倒、投薬エラー、看護ケアの未実施など、具体的なインシデントに直結することがデータで示されています。この「バーンアウトと、患者安全・満足度・ケアの質の低下」という重要な関連は、看護師の年齢や性別、職務経験、働く国や地域によらない、普遍的な課題であることが示されました。さらに、バーンアウトによる患者安全への悪影響は過去30年間改善されることなく続いており、ケアの質への悪影響は、時代と共に強まっているという深刻な実態も明らかになりました。これらの結果は、臨床現場でインシデントが増加している場合、その原因を看護師個人の問題として叱責したり、表面的な要因の追求だけで終わらせるべきではないことを示しています。むしろ、スタッフの精神的な疲労やバーンアウトが根底にある可能性をぜひ考慮してみてください。この視点を持つことで、問題への介入方法が大きく転換し、看護師のウェルビーイング向上だけでなく、患者さんへの安全で質の高いケアの提供に直接繋がることが、本研究でも示唆されています。さらには、本研究結果を通して、エッセンシャルワーカーである私たち看護師の労働環境や待遇の改善について、組織や行政が改めて考える一つのきっかけになることを願います。論文はこちらLi LZ, et al. JAMA Netw Open. 2024;7(11):e2443059.

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医師の終末期の選択、95%が延命治療を拒否

 医師が進行がんや末期アルツハイマー病になった場合、どのような終末期医療を希望するのか? ベルギー・ブリュッセルのEnd-of-Life Care Research GroupのSarah Mroz氏らによる研究結果が、Journal of Medical Ethics誌オンライン版2025年6月10日号に掲載された。 研究チームは2022年5月~2023年2月に一般開業医、緩和ケア専門医、その他臨床医の1,157人を対象に横断的調査を実施した。ベルギー、イタリア、カナダ、米国(オレゴン州、ウィスコンシン州、ジョージア州)、オーストラリア(ビクトリア州、クイーンズランド州)の8エリアで、参加した医師に進行がんと末期アルツハイマー病という2つの仮想の臨床シナリオを提示し、終末期医療の意向に関する情報を収集した。 主な結果は以下のとおり。・出身国に関係なく、進行がんとアルツハイマー病の両ケースで90%以上の医師が症状緩和のための薬物療法を希望し、95%以上が心肺蘇生、人工呼吸器、経管栄養を避けることを希望した。・医師が心肺蘇生、人工呼吸器、経管栄養の延命治療を「良い選択肢」だと考えることはまれだった(心肺蘇生:がんの場合0.5%・アルツハイマー病の場合0.2%、人工呼吸器:同0.8%・0.3%、経管栄養:同3.5%・3.8%)。・医師の約半数が安楽死(積極的安楽死・医師幇助による自殺)を良い選択肢だと考えていた(がんの場合54.2%、アルツハイマー病の場合51.5%)。安楽死を良い選択肢だと考える医師の割合は、がんの場合はイタリアの37.9%からベルギーの80.8%、アルツハイマー病の場合は米国・ジョージア州の37.4%からベルギーの67.4%と幅があった。・安楽死の法的選択肢がある地域で開業している医師は、がん(オッズ比[OR]:3.1)とアルツハイマー病(OR:1.9)の両方に対して、安楽死を良い選択肢だと考える傾向が強かった。 研究者らは「医師の多くは、終末期における症状の緩和を強化し、延命治療を避けることを好む傾向があった。進行がんやアルツハイマー病の場合、半数以上の医師が安楽死を希望した。安楽死の希望は地域によって大きなばらつきがあり、安楽死の合法化が、地域ごとの希望に影響を与えているようだ」としている。

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PPIがOTC薬として発売!OTC類似薬の保険適用除外の布石か【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第157回

2026年度の法改正や報酬改定まであと半年。OTC医薬品界隈では大きな動きがあり、医療用医薬品として長年使用されてきたプロトンポンプ阻害薬(PPI)が、要指導医薬品としてドラッグストアなどで発売されました。OTC類似薬の保険適用除外にも関連してくるかもしれません。久々のプロトンポンプ阻害薬(PPI)という大型品のスイッチ化に、OTCメーカー各社が期待を懸けて拡大へ注力している。6月から他社に先行して発売中のエーザイ「パリエットS」(有効成分=ラベプラゾール)に加え、1日にはアリナミン製薬の「タケプロンs」(ランソプラゾール)、5日には佐藤製薬の「オメプラールS」(オメプラゾール)が発売。16年越しの業界要望が認められ、ようやくスイッチ化されたPPI3成分が揃い踏みとなった格好だ。(2025年8月19日付 RISFAX)PPIはOTC医薬品としてはかなりの大型商品であり、かつ複数製品の発売でもあることから広告などで話題になっています。皆さんの薬局でも患者さんからの問い合わせなどはありましたでしょうか?これらのPPIについては、2009年にスイッチ候補成分に入ったものの各方面からの反対などがあり、何度かOTC化が見送られてきました。しかし、胃がんなどの重大な消化管疾患を見過ごす恐れがないようにするため、「短期使用の徹底」を条件にラベプラゾール、ランソプラゾール、オメプラゾールの3成分が要指導医薬品としてスイッチ化され、要指導医薬品として承認されました。今まではOTC医薬品のうち、胃痛や胸やけなどの症状では、H2ブロッカーであるガスターが最も売れていたと思います。一般の人が胃痛や胸やけなどの症状緩和を目的として服用する場合、ガスターとPPIでどう使い分けをするのでしょうか。胃痛や胸やけなどの症状緩和という市場をガスターとPPIで取り合うのだとすると、実際に市場の拡大はそれほど見込めないのではないかと思ってしまいますが、各社は広告などにも力を入れているようですので、楽しみに様子をみたいと思います。OTC類似薬を段階的に保険給付から除外一方で、医療用医薬品のOTC類似薬については、保険適用除外の議論が引き続き交わされています。日本医師会は、2025年8月の定例会見で「OTC類似薬の保険適用除外は反対」と再度表明しました。医療用医薬品に比べて価格が10倍以上高いことが多いこと、それにより経済的な問題で国民の治療アクセスが絶たれ、自己判断や自己責任で服用しなければならず、臨床的なリスクが伴うなどと主張しています。2025年6月に基本方針が三党で合意され閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2025」(骨太方針2025)に「OTC類似薬の保険外しの政策は、OTC類似薬(市販薬と成分や用量が同等の処方薬)を段階的に保険給付から除外する」という方針が盛り込まれています。2025年度末までに検討を進め、2026年度から実現可能なものは実行される予定ですので、これから半年ほどで議論が活発化されるはずです。それほど時間はありません。今後のOTC医薬品、医療用医薬品のOTC類似薬の取り扱いの議論に注目していきたいと思います。

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音声で日本人の軽度認知障害を検出可能か?

 軽度認知障害(MCI)では、発声パターンやテンポの変化がみられることがあるため、音声は認知機能障害の潜在的なバイオマーカーとなる可能性がある。音声バイオマーカーの予測特性をタイムリーかつ非侵襲的に検出するうえで、人工知能(AI)を用いたMCIの検出は、費用対効果に優れる方法であると考えられる。国立循環器病研究センターの清重 映里氏らは、日本の地域住民における非構造的な会話の音声データからAIで生成した音声バイオマーカーを用いて、MCIを検出する予測モデルを開発し、その効果を検証した。The Lancet Regional Health. Western Pacific誌2025年6月12日号の報告。 日本の地域在住成人1,461人を対象に横断的デザインによる観察研究を実施した。アウトカムは、MCIスクリーニングの記憶パフォーマンス指数スコアにより評価した認知機能障害とした。音声データは、3分間の自由解答式インタビューより収集し、音声生成器Wav2Vec2を用いて、音響的特徴と韻律的特徴に基づき、512次元の個々の音声情報ベクトルとして音声バイオマーカーを抽出した。その他の重要な予測因子として、年齢、性別、教育歴を含めた。979人の参加者を対象に、極度勾配ブースティング決定木アルゴリズムとディープニューラルネットワークモデルを適用し、認知障害予測モデルを開発した。モデル開発に含まれなかった482人の参加者において、曲線下面積(AUC)を用いて予測性能を検証した。 主な結果は以下のとおり。・対象者の内訳は、女性が967人(66.2%)であり、認知障害が526人(36.0%)でみられた。・平均年齢は79.5±6.3歳、平均教育年数は11.6±2.2年であった。・音声バイオマーカーの導入により、年齢・性別モデルでは、AUCが0.80(95%信頼区間[CI]:0.76〜0.84)から0.88(0.84〜0.91)へ有意な改善が認められた(DeLong検定:p<0.0001)。・また、年齢・性別・教育モデルでは、AUCが0.78(95%CI:0.73〜0.82)から0.89(0.86〜0.92)へ有意な改善が認められた(DeLong検定:p<0.0001)。 著者らは「音声バイオマーカーを用いた認知障害の予測モデルは、MCIスクリーニングにかかる時間を大幅に短縮し、高い予測性能示すことが明らかとなった。音声バイオマーカーは、予測性能の向上に大きく貢献することが示唆された」とまとめている。

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早期乳がん、5年以上の内分泌療法後にAI投与5年で遠隔再発27%減/Lancet

 術後内分泌療法を5年以上施行した患者にアロマターゼ阻害薬療法(AIT)を追加で5年間実施することにより、順守率がかなり低かったにもかかわらず、その後の遠隔再発率は約25%減少した。英国・オックスフォード大学のJeremy Braybrooke氏らEarly Breast Cancer Trialists' Collaborative Group(EBCTCG)がメタ解析で明らかにした。エストロゲン受容体(ER)陽性早期乳がんの閉経後女性において、5年間のタモキシフェン術後内分泌療法は15年再発率と死亡率を大幅に低下させ、AITはさらに効果的である。研究グループは、少なくとも5年間の内分泌療法後に再発のない女性を対象に、AIT追加の有効性を評価した。著者は、「死亡への影響を直接評価するには、より長期の追跡調査が必要と考えられる」とまとめている。Lancet誌2025年8月9日号掲載の報告。5年以上の内分泌療法後の患者をAIT追加と追加治療なしに無作為化した試験をメタ解析 研究グループは、いずれも5年以上のタモキシフェン単独、AIT単独、またはタモキシフェン後AITの投与を完了した閉経後ER陽性早期乳がん患者を、さらに数年間のAITを追加した群(AIT群)と追加治療なし群(無治療群)に無作為化した2010年1月1日より前に開始された試験について、患者個人レベルのメタ解析を行った。 主要評価項目は、浸潤性乳がんの再発(局所再発、遠隔転移、対側新規発症)、乳がん死亡、その他の原因による死亡、および全死因死亡とし、ITT解析(割り付け順守の有無にかかわらず、年齢、リンパ節転移の有無、試験で層別化し、非関連死時点で打ち切り)によりイベント率比(RR)を算出した。 1995年12月15日~2014年5月21日に2万5,100例が登録された無作為化試験12件が解析対象となり、このうち適格患者2万2,031例が解析に組み込まれた。AIT後に5年間のAIT追加で、再発および遠隔再発が最も減少 AIT群は無治療群と比較して、再発率が27%低下した(RR:0.73、95%信頼区間[CI]:0.67~0.80、p<0.0001)。この低下は、タモキシフェン単独療法歴のある患者のほうがAIT治療歴のある患者より大きく、また、AITを5年追加した試験のほうが2~3年追加した試験より無治療群との差が大きかった。 AIT治療歴のある患者でAITを5年追加した患者(追加試験開始後の追跡期間中央値:8.1年、四分位範囲:6.0~10.0)では、再発(RR:0.71[95%CI:0.61~0.81、p<0.0001]、診断後5~15年のリスク:11.6%vs.15.2%)、ならびに遠隔再発(0.73[0.61~0.88、p=0.0010]、6.6%vs.8.6%)が有意に減少し、乳がん死は有意ではないものの減少した(RR:0.90[0.70~1.15、p=0.40]、4.4%vs.5.0%)。 腫瘍の特性は、5~15年までの再発率の相対的減少に明確な影響を及ぼさなかったが、AIT 10年間とAIT 5年間の再発率の絶対減少は、リンパ節転移陽性例(リスク:16.3%vs.20.1%)のほうがリンパ節転移陰性例(9.1%vs.11.8%)より大きかった。 AITの5年間追加により、5年後の骨折リスクが増加した(RR:1.35[95%CI:1.13~1.61、p=0.0009]、4.6%vs.3.4%)。 割り付けられた治療の非順守率は高かった(プラセボ対照試験の場合に、AIT追加群39.0%vs.プラセボ群37.6%)。

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認知症の診断までにかかる時間は平均3.5年

 典型的な認知症の症状が現れてから診断に至るまでには平均で3年半かかっていることが、新たな研究で示された。若年性認知症の場合には、診断までにかかる年数はさらに長くなることも少なくないという。論文の上席著者である英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)精神医学教授のVasiliki Orgeta氏らによるこの研究結果は、「International Journal of Geriatric Psychiatry」に7月27日掲載された。 Orgeta氏は、「認知症のタイムリーな診断は、治療へのアクセスを改善し、人によっては、症状が悪化する前の軽度の状態で過ごす期間を延ばすことにもつながる」と述べ、診断プロセスの迅速化の重要性を強調している。初期段階で投与すれば、アルツハイマー病の進行を遅らせることができる可能性のある薬剤が開発されたことで、認知症の早期診断はこれまで以上に重要になっていると同氏らは指摘する。 Orgeta氏らは、ヨーロッパ、米国、オーストラリア、中国で実施された13件の研究を対象にメタアナリシスを実施し、認知症の症状発現から診断までにかかる時間(time to diagnosis;TTD)と、TTDに影響を与える因子について検討した。13件の研究は、ヨーロッパ、米国、オーストラリア、中国で実施されたもので、解析対象者は合計で3万257人、認知症の発症年齢は54〜93歳であった。 13件中10件の研究を統合して解析した結果、全てのタイプの認知症における平均TTDは3.5年であった。また、65歳未満で発症する若年性認知症に関する6件の研究を用いた解析では、平均TTDは4.1年とやや長くなることが示された。TTDに影響を与える因子については研究間で一貫していなかったものの、若年性認知症や前頭側頭型認知症では、TTDが長くなる傾向が一貫して認められた。さらに、1件の研究では、黒人ではTTDが長い傾向が示されていた。 では、TTDがこれほど長くなる理由は一体何なのだろうか。共著者であるUCL精神医学部門のPhuong Leung氏は、「認知症の症状は正常な老化と間違われることが多い。また、恐怖や偏見、世間の認知度の低さから助けを求めるのを躊躇する人もいる」と述べている。研究グループによると、その他にも認知症が疑われる症例に対する非効率的な医師紹介システム、患者と医師の間の言語の壁、メモリークリニックのスタッフ不足なども、TTDが長くなる要因として挙げられるという。 Orgeta氏は、「認知症の診断を迅速化するために多方面からのアプローチが必要だ。啓発キャンペーンは、初期症状に対する理解を深め、偏見を減らし、人々がより早く助けを求めるよう促すのに役立つだろう。臨床医の研修も早期発見と紹介には欠かせない。さらに、早期介入と個別支援へのアクセスを向上させて、認知症患者とその家族が必要な支援を受けられるようにすることも不可欠だ」と話している。

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「術後にアニメ」だけで効果あり?小児の覚醒時せん妄ケア【論文から学ぶ看護の新常識】第27回

「術後にアニメ」だけで効果あり?小児の覚醒時せん妄ケア「麻酔から覚めた直後にアニメを見せる」だけで、幼児の覚醒時せん妄の発生率が有意に低下することが示された。Chen Wen氏らの研究で、International Journal of Nursing Studies誌オンライン版2025年6月7日号に掲載された。術後のカートゥーン視聴が幼児の覚醒時せん妄に与える影響:ランダム化比較試験研究チームは、手術後麻酔からの覚醒時にカートゥーン(子供向けアニメーション)を視聴することが、幼児の覚醒時せん妄の発生率を低下させるかを調査することを目的に単施設ランダム化比較試験を実施した。対象は、セボフルラン麻酔下で扁桃摘出術および/またはアデノイド切除術を受ける2歳から7歳の小児138例。術後回復室(PACU)で麻酔から覚醒した後、カートゥーンを視聴する群(カートゥーン群)と、標準的なケアを受ける群(標準ケア群)に無作為に割り付けた。主要評価項目は、覚醒時せん妄の発生率。副次評価項目には、PAEDスケール、Watchaスケール、FLACCスケール(表情、下肢、活動性、啼泣、安静度)のスコア、副作用、滞在期間、PACUで測定された前頭部脳波の非対称性の差、外来手術後の退院後行動質問票のスコアが含まれた。主な結果は下記の通り。覚醒時せん妄発生率:カートゥーン群(69例)の発生率が8.7%であったのに対し、標準ケア群(69例)は26.1%と、カートゥーン群で有意に低かった(p=0.012)。せん妄の重症度(PAEDスケールのスコア):PAEDスケールのスコアも、カートゥーン群の方が標準ケア群よりも有意に低かった。覚醒5分後:中央値差=2(95%信頼区間[CI]:1~3、p<0.001)覚醒15分後:中央値差=1(95%CI:0~2、p<0.001)覚醒25分後:中央値差=1(95%CI:0~1、p<0.001)最大スコア:中央値差=2(95%CI:1~3、p<0.001)脳波所見:80例の脳波データから、覚醒前後での前頭部脳波の非対称性の差が明らかになった。その差はカートゥーン群(39例)よりも標準ケア群(41例)の方が小さく(中央値差=−1.208、95%CI:−1.450~−0.965、p<0.001)、覚醒時せん妄と中等度の負の相関を示した(r=−0.30、p=0.014)。セボフルラン麻酔からの覚醒後にPACUでカートゥーンを視聴した幼児は、覚醒時せん妄の発生率がより低いことが示された。この効果は、前頭部脳波の非対称性における大きな差によって説明できる可能性がある。本研究は、セボフルラン麻酔を受けた幼い子どもにおける覚醒時せん妄に対し、アニメ視聴というシンプルで安全な介入の有効性を検証した、非常に示唆に富む内容です。研究の結果、術後のアニメ視聴が覚醒時せん妄の発生率を有意に減少させることが明らかになりました。この介入の大きな利点は、薬物療法と異なり、副作用のリスクが非常に少ない点です。さらに、アニメ視聴が前頭部脳波非対称性の差を増加させ、この変化が覚醒時せん妄と負の相関を示した点は、この非薬理学的介入の神経生理学的メカニズムを理解するための新たな視点を提供するものです。これまで、せん妄予防策の多くは術前の準備に焦点が当てられてきましたが、本研究は覚醒直後の介入だけで効果があることを示しました。このシンプルで安全、かつ実用的なアプローチは、臨床現場の業務の流れを大きく変えることなく導入できる可能性を秘めています。単一施設での実施や特定の外科手術と麻酔に限定されているという限界はあるものの、その成果は注目に値します。今後、この知見をきっかけに、看護師が日常的に行っている遊びの提供などの非薬理学的介入の効果を実証する研究が、さらに進むことが期待されます。論文はこちらChen W, et al. Int J Nurs Stud. 2025 Jun 7. [Epub ahead of print]

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