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第96回 効果量とは何ですか?【統計のそこが知りたい!】

第96回 効果量とは何ですか?効果量(effect size)は、統計解析において、「ある処置や介入の効果の大きさを数量的に示す指標」です。これは、単に「差があるかどうか」を示す有意確率(p値)とは異なり、その差が「どれほど大きいのか」を明確にするために用いられます。今回は、「効果量」について解説します。■効果量の意味効果量は、研究における2つのグループ間の差や、変数間の関連性の強さを定量的に評価するための指標です。たとえば、新薬の効果を評価する際、治療群と対照群の平均値の差だけでなく、その差がどの程度の大きさであるかを知ることが重要です。効果量は、この差の大きさを標準化し、他の研究や異なる測定尺度間で比較可能にします。例として2群の差の程度を表す効果量を考えてみましょう。一般にばらつき(標準偏差)の大きいデータでは、平均の差も大きくなったり小さくなったり変動しやすくなります。また、単位が異なる場合は、単純比較はできません。そこで、両者の標準偏差を標準化して同じ値(標準偏差=1)とし、その標準化した標準偏差を考慮した平均の差を求めるのが効果量です。ただ単に平均そのものを比較するのではなく、データのばらつきや単位を比べられるように標準化して、平均の差の程度を比較します。つまり、「差の効果量は、標準化した差の程度」を表しています。■効果量の種類効果量には多様な種類があり、研究の目的やデータの性質に応じて適切な指標を選択します。主な効果量として、以下のものがあります。(1)Cohenのd:2つのグループ間の平均値の差を、標準偏差で割った値です。主に平均値の差を評価する際に用いられます。一般的な解釈として、0.2は小さい効果、0.5は中程度の効果、0.8は大きい効果とされています。(2)Hedgesのg:Cohenのdに似ていますが、小さいサンプルサイズに対して補正を加えた効果量です。サンプルサイズが50例未満の場合に使用が推奨されます。(3)相関係数(r):2つの変数間の関連の強さを示す指標で、-1から1の範囲を取ります。0に近いほど関連が弱く、1または-1に近いほど強い関連を示します。(4)決定係数(R2):回帰分析において、独立変数が従属変数の変動をどの程度説明できるかを示す指標です。0から1の値を取り、1に近いほどモデルの説明力が高いことを示します。■効果量のd族とr族効果量は、その性質に応じて「d族(d family)」と「r族(r family)」の2つに大別されます。d族の効果量主に平均値の差に関する指標であり、グループ間の差の大きさを評価します。「Cohenのd」や「Hedgesのg」がこれに該当します。d族の効果量は、上限・下限が無限であるため、効果の大きさを解釈する際には基準値(たとえばCohenの基準)を参考にします。r族の効果量相関の強さや、モデルで説明される分散の割合に関する指標です。相関係数(r)や決定係数(R2)、η(イータ)、Φ(ファイ)、Cramer(クラメール)のVなどが含まれます。r族の効果量は0から1の範囲を取り、値が大きいほど効果の大きさが強いことを示します。■効果量の重要性効果量は、以下の点で重要な役割を果たします。実質的な意義の評価統計的に有意であっても、効果量が小さい場合、その差や関連性が実際の臨床や実践において重要でない可能性があります。効果量を確認することで、結果の実質的な意義を評価できます。メタ分析での比較効果量は、異なる研究間での結果の比較や統合を可能にし、総合的な結論を導く際に有用です。サンプルサイズの設計研究計画の段階で、期待される効果量を基に必要なサンプルサイズを算出することで、適切な検出力を確保できます。■効果量の解釈効果量の解釈には、一般的な基準が存在しますが、研究分野や文脈によって異なる場合があります。たとえば、Cohenのdでは0.2を小さい効果、0.5を中程度の効果、0.8を大きい効果と解釈しますが、これはあくまで目安であり、各研究の文脈に応じて判断することが重要です。効果量を判断する際には、以下の点に注意が必要です。(1)研究の文脈を考慮する:効果量の大きさは、研究の目的や分野によってその意味合いが異なります。たとえば、医療分野では小さな効果量でも臨床的に重要な意味がある場合があります。効果量の解釈には、研究の背景や目的を十分に考慮する必要があります。(2)サンプルサイズの影響を理解する:効果量はサンプルサイズの影響を受けにくい指標ですが、サンプルサイズが極端に小さい場合、効果量の推定に不確実性が生じる可能性があります。一方、サンプルサイズが大きいと、統計的に有意な結果が得られやすくなりますが、効果量が小さい場合、その実質的な意義を慎重に評価する必要があります。(3)効果量の種類を適切に選択する:効果量にはd族(平均差の指標)やr族(相関の指標)など、さまざまな種類があります。研究のデザインやデータの性質に応じて、適切な効果量の指標を選択することが重要です。(4)効果量の解釈における基準値の限界:「Cohenのd」など、効果量には一般的な基準値がありますが、これらはあくまで目安であり、すべての研究に当てはまるわけではありません。各研究の特性や分野の基準に応じて、効果量の大きさを解釈することが求められます。(5)効果量のみで判断しない:効果量は効果の大きさを示す指標ですが、統計的有意性や信頼区間と併せて評価することで、より総合的な判断が可能となります。効果量だけでなく、他の統計指標とも組み合わせて解釈することが重要です。以上の注意点を踏まえることで、効果量の適切な解釈と研究結果の正確な評価が可能となります。このように効果量は、統計解析において効果の大きさを定量的に評価するための重要な指標です。d族とr族の効果量を適切に使い分け、研究結果の実質的な意義を正確に評価することが求められます。d族の効果量は、グループ間の平均値の差を標準化したものであり、「Cohenのd」や「Hedgesのg」が代表的です。一方、r族の効果量は、相関の大きさを表す指標であり、相関係数(r)や決定係数(R2)などが含まれます。論文を読む際には、これらの効果量を理解し、適切に解釈することが大切です。■さらに学習を進めたい人にお薦めのコンテンツ統計のそこが知りたい!第11回 リスク比とオッズ比の違いは?第12回 オッズ比は、なぜ臨床研究で使われるのか?第50回 クラメール連関係数とは?第51回 期待度数がわかれば簡単! クラメール連関係数の計算法

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問題ばかり起こす人との関係は生物学的老化の加速と関連

 問題ばかり起こす人と一緒に過ごすことは、単に気分を台無しにするだけではないかもしれない。最近の研究によると、そのようなストレスの多い人間関係は、時間の経過とともに健康に影響を及ぼし、さらに生物学的老化の進行を早める可能性が示された。米国立老化研究所の資金提供を受けて、米インディアナ大学社会学教授のBrea Perry氏らが実施したこの研究結果は、「Proceedings of the National Academy of Sciences(PNAS)」に2月18日掲載された。 人に面倒やストレスをもたらす人のことを、英語では「hassler(ハスラー)」と呼ぶ。Perry氏らは今回、米国インディアナ州で行われた健康調査に参加した18~103歳の2,345人(平均年齢46.24歳)のデータを用いて、ハスラーとの関係が健康や生物学的老化にどう関係するかを調査した。参加者の生物学的年齢は、唾液からDNAメチル化を測定し、エピジェネティッククロック(age-accelerated GrimAge2、DunedinPACE)を用いて評価した。GrimAge2は生物学的老化がどれくらい進んでいるか、DunedinPACEは生物学的老化がどれくらいの速度で進んでいるかを反映する指標である。また、参加者の社会的ネットワークの中にいる人のうち、その人を「頻繁に」困らせる人をハスラーと見なした。参加者のネットワークの構成人数は平均5.07人(最大25人)で、その中に平均0.43人のハスラーがいた。 解析の結果、ハスラーが1人増えるごとに老化速度が約1.5%速くなることが示された。これは、暦年齢で1年進む間に生物学的年齢が1.015年進むことを意味する。この影響が累積すると、10年間で約1.8カ月分の生物学的老化の進行に相当する。また、生物学的年齢の加速についても、ハスラーが1人増えるごとに生物学的年齢が約9カ月高いことも推定された。 論文の上席著者であるPerry氏は、「生物学的老化の観点では小さな影響でも、積み重なれば大きくなり得る」とワシントン・ポスト紙に語っている。 ただし、研究グループは、この研究はハスラーの存在が老化を引き起こすことを証明したわけではないと強調している。論文の筆頭著者で、米ニューヨーク大学社会学教授のByungkyu Lee氏は、「ハスラーが実際に老化を引き起こすのかどうかは分かっていない。今回観察されたのは、ハスラーが身近にいることと老化速度との間に関連が見られたという点だ」と述べている。 またこの研究では、ハスラーがネットワーク内にいると報告する傾向が高い人についても明らかになった。例えば、女性は男性よりも、ハスラーが身近にいると答える割合が高かった。この結果について検討した米テキサス大学オースティン校のDebra Umberson氏は、「全く驚きはない」と話す。同氏によると、これまでの研究でも、女性は良くも悪くも人間関係の影響を男性より強く受けやすいことが示されているからだ。 さらに、健康状態があまり良くない人や、幼少期に困難な経験をしてきた人ほど、ハスラーが身近にいると報告する傾向が強かった。また、そうしたハスラーの多くは家族であり、親や子どもがストレスの原因として挙げられることが多いことも分かった。 専門家によると、ハスラーに対する最も分かりやすい対処法は、常にストレスをもたらす相手との接触を減らすことだという。しかし、それが簡単でない場合も多い。家族や職場の同僚は、日常生活の中で接触が避けられない存在だからだ。Perry氏は、「私にとって重要なのは、境界線を引くことだ。その人があなたに生物学的な悪影響を及ぼす可能性があると分かったら、その人との関係にどれだけ労力を注ぐかに上限を設けるべきだ」と助言している。また専門家は、支えや安心感を与えてくれる人と過ごす時間を増やすことも勧めている。

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医師のアルバイト、10年で「していない」が激減、収入は増加傾向/医師1,000人アンケート

 ケアネットでは、2026年3月に会員医師1,000人(男性883人、女性117人)を対象として「年収に関するアンケート」を実施した。その結果、医師のアルバイト事情において、10年前の調査と比較して顕著な変化が生じていることが明らかとなった。「アルバイトをしていない医師」は10年前から半減 今回の調査で最も際立ったのは、「アルバイトをしていない」と回答した医師が大幅に減少した点である。「アルバイトをしていない」医師は2016年の調査では52%だったのが、2026年調査では29%と10年間で約半数にまで減少しており、現在、医師にとってアルバイトがきわめて一般的な収入源となっていることが示された。アルバイト収入の分布:二極化と底上げ 2025年度のアルバイト年収は、全体として上昇傾向にあった。最多層は「200万円未満」の28%だが、これは2016年の16%から増加しており、少額でもアルバイトを行う医師の裾野が広がっていることを示している。一方で、アルバイト収入が「1,200万円以上」の層も5%存在し、2016年の2%から倍増した。大学病院勤務者の9割以上がアルバイトに従事 勤務形態別の分析では、大学病院勤務者の実態が顕著であった。大学病院などで働く医師のうち、アルバイトをしていない割合はわずか8%にすぎなかった。大学病院勤務者ではアルバイト年収が「1,000万円以上」に達する割合が23%(1,000~1,200万円未満:11%、1,200万円以上:12%)であり、ほかの勤務先(一般診療所・一般病院)に比べて圧倒的に高い傾向にあった。年代・診療科・地域によっても格差 年代別では、最も積極的にアルバイトを行っているのは「46~55歳」(「していない」割合が23%)であった。対して66歳以上では38%が「していない」との回答だった。 地域別では、北海道・東北では約半数(49%)が「200万円未満」の収入帯に属し、従事者は多いものの単価が低い傾向にあった。一方、九州・沖縄では約半数(49%)が「していない」という結果だった。 診療科別では、アルバイトに従事している医師の割合が最も高かったのは放射線科(「していない」割合が16%)であり、次いで整形外科、精神科、糖尿病・代謝・内分泌科などが続いた。総所得とアルバイト収入の相関 総所得が高い医師ほど、高額のアルバイトに従事している傾向も確認された。総所得2,500万円以上の層では、アルバイト収入だけで「1,200万円以上」を得ている割合が4分の1に達しており、高所得医師においてはアルバイトが所得を押し上げる大きな要因となっていることが裏付けられた。アンケート概要対象:ケアネット会員医師1,000人(男性883人、女性117人)実施日:2026年3月2〜9日手法:インターネット調査 その他、詳細な結果については、以下のページに掲載している。医師の年収に関するアンケート2026【第2回】アルバイト代

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高齢者のがん薬物療法GLの改訂ポイント【消化管】/日本臨床腫瘍学会

 『高齢者のがん薬物療法ガイドライン 改訂第2版』が2026年3月25日に発刊され、第23回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2026)のシンポジウムで全17項目のクリニカルクエスチョン(CQ)が解説された。消化管領域からは、胃がんに関する2項目(CQ4、CQ5)、大腸がんに関する2項目(CQ6、CQ7)の計4つのCQが設定された。CQ4 高齢者では切除不能進行・再発胃がんに対して、オキサリプラチンの併用は推奨されるか?推奨:高齢者では切除不能進行・再発胃がんに対して、オキサリプラチン併用療法を行うことを弱く推奨する。推奨のタイプ:当該介入の条件付きの推奨エビデンスの強さ:C 胃癌治療ガイドラインでは、切除不能進行・再発胃がんの1次治療としてオキサリプラチンを含むレジメンが推奨されている。高齢者においては末梢神経障害や骨髄抑制といった有害事象が懸念されるため、条件付きの推奨としてオキサリプラチンを含まないレジメンを使用することもある。そこで本CQでは、高齢の根治切除不能胃がんの1次治療として、オキサリプラチンを併用する化学療法(減量投与を含む)(介入群)とオキサリプラチンを併用しない化学療法(対照群)のアウトカムを評価した。2件のランダム化比較試験(RCT)(1件はシスプラチン併用)において、無増悪生存期間(PFS)は併用群で有意に良好で、全生存期間(OS)と奏効率は併用群で良好な傾向を示した。オキサリプラチン通常量と減量投与を評価したRCTでは、減量群では奏効率の低下を認めた。治療関連死は併用群で0%、非併用群で3.8%であった。Grade3以上の有害事象は併用群で多いという報告と少ないという報告があり、結果は一貫しなかった。末梢神経障害は併用群66.7%、非併用群7.7%であり、併用群において有意な増加がみられた。しかし、4サイクル後のglobal QOLは併用群のほうが良好であり、有害事象よりもがんの病勢制御ができることのメリットがより大きいと考えられた。OSは併用群で良好で望ましい効果は大きく、治療関連死は両群で差がないため望ましくない効果は小さいと評価された。CQ5 高齢者では切除不能進行・再発胃がんに対して、バイオマーカーに基づいた治療は推奨されるか?推奨:高齢者の切除不能進行・再発胃がんに対して、バイオマーカーに基づいた化学療法を行うことを弱く推奨する。推奨のタイプ:当該介入の条件付きの推奨エビデンスの強さ:C 近年、胃がんの治療では、HER2、CLDN18.2、CPS、MSI(MMR)といったバイオマーカーに基づいて治療レジメンの選択を行うことが推奨されているが、高齢者における分子標的薬の有効性・安全性は十分に評価されていない。そこで本CQでは、高齢の根治切除不能胃がんの1次治療として、バイオマーカーに基づいた化学療法(トラスツズマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ゾルベツキシマブの併用)を行う群(介入群)とバイオマーカーに基づいた化学療法を行わない群(対照群)のアウトカムを評価した。13件の研究が対象となった。トラスツズマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブ併用はRCTの高齢者サブグループ解析でOSの有意な改善が確認できたが、ゾルベツキシマブは明らかなOS改善効果を認めなかった。PFSは、ATTRACTION-4でニボルマブ併用による良好な傾向を認めたが、ゾルベツキシマブは良好な傾向を認める試験(SPOTLIGHT)と認めない試験(GLOW)があった。治療関連死、Grade3以上の有害事象、QOLについてはRCTで高齢者集団に限定した解析は存在しなかった。RCTの高齢者サブ解析において一部の薬剤ではOSの有意な改善が示されて益は大きいものの、高齢者に限定した安全性のデータがないことからエビデンスの強さは「C(弱い)」と評価された。CQ6 結腸がん術後(R0切除、StageIII)の70歳以上の高齢者に対して、術後補助化学療法を行う場合、どのような治療が推奨されるか?推奨:結腸がん術後(R0切除、StageIII)の70歳以上の高齢者に対して、術後補助化学療法を行う場合には、フッ化ピリミジン単独療法もしくはオキサリプラチン併用の補助化学療法を行うことを弱く推奨する。推奨のタイプ:当該介入または比較対照のいずれかについての条件付きの推奨エビデンスの強さ:C 大腸癌治療ガイドラインにおいて、StageIIIの大腸がんに対してオキサリプラチン併用療法は強く推奨、フッ化ピリミジン単独療法は弱く推奨されている。しかし、70歳以上の高齢者に対するオキサリプラチンの上乗せ効果については議論がある。そこで本CQでは、結腸がん術後(R0切除、StageIII)の70歳以上の高齢者を対象に、フッ化ピリミジンとオキサリプラチンの併用療法を6ヵ月施行する群(介入群)とフッ化ピリミジン単独療法を6ヵ月施行する群(対照群)のアウトカムを比較した。3件のRCTではいずれもオキサリプラチン併用による有意なOSの改善効果は示されなかったが、4件の観察研究ではいずれも併用群で良好であった。3件のRCTではいずれも無病生存期間(DFS)の改善効果は示されなかったが、1件の観察研究では併用群で有意に良好であった。Grade3/4の有害事象およびGrade3/4の末梢神経障害は併用群で有意に多かった。RCTではOS・DFSの有意な延長効果は示されないことから益は小さく、Grade3以上の有害事象は増加することから害は中であると評価された。CQ7 切除不能進行再発大腸がんの高齢患者の初回化学療法においてオキサリプラチンまたはイリノテカンの使用は推奨されるか?推奨:切除不能進行再発大腸がんの高齢患者の初回化学療法において、オキサリプラチンやイリノテカンの併用は一律には行わず、患者の状態に応じて判断することを弱く推奨する。推奨のタイプ:当該介入に反対する条件付きの推奨エビデンスの強さ:B 切除不能進行再発大腸がんの1次治療では、オキサリプラチンおよび/またはイリノテカンを併用した強力なレジメンが推奨されているが、忍容性に問題のある患者ではオキサリプラチンやイリノテカンを併用しないレジメンが推奨されている。そこで本CQでは、切除不能進行再発大腸がんの高齢患者を対象に、オキサリプラチンまたはイリノテカンを併用する化学療法を行う群(介入群)とこれらを併用しない化学療法を行う群(対照群)のアウトカムを比較した。日本で行われた第III相のRCT(JCOG1018)において、70歳以上の高齢者に対するオキサリプラチン併用による有意なOSの延長は認められず、その他の5件のRCTでもオキサリプラチンまたはイリノテカン併用による有意なOSの延長は確認されなかった。JCOG1018を含む5件のRCTにおいて、オキサリプラチンまたはイリノテカン追加による有意なPFSの延長は認めなかったが、NORDIC-9ではS-1単独群(標準用量)よりも減量SOX療法のほうがPFSは有意に延長した。Grade3以上の有害事象はNORDIC-9では併用群で有意に少なかったが、その他の試験ではいずれも併用群で有害事象の頻度が高かった。有害事象による治療中止は、NORDIC-9を除くRCTでは併用群で高い傾向を認めた。併用群ではOS・PFSともに有意な改善効果を示していないことから益はわずかである一方、Grade3以上の有害事象の頻度は併用群で高く、治療中止の割合も高い傾向を示したことから害は大きいと評価された。

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心血管疾患2次予防、目標LDL-C値55mg/dL未満でリスク低下/NEJM

 動脈硬化性心血管疾患患者において、目標LDL-C値は55mg/dL未満が70mg/dL未満よりも、3年時点の心血管イベントリスクの低下に結び付いたことを、韓国・延世大学校医科大学のYong-Joon Lee氏らEz-PAVE Investigatorsが行った非盲検無作為化優越性試験の結果で報告した。ガイドラインでは動脈硬化性心血管疾患患者におけるLDL-C値低下を推奨しているが、これらの患者の2次予防のための適切な目標LDL-C値について評価した無作為化試験からのエビデンスは限定的なままであった。NEJM誌2026年4月9日号掲載の報告。主要エンドポイントは、3年時点の心血管死等の複合 研究グループは、19~80歳の動脈硬化性心血管疾患患者(次のいずれか1つ以上の既往または現有で定義:急性冠症候群[心筋梗塞または不安定狭心症]既往、画像検査または機能検査で確認された安定狭心症、冠動脈血行再建術またはその他の動脈血行再建術、脳卒中または一過性脳虚血発作、末梢動脈疾患あり)を、目標LDL-C値を55mg/dL(1.4mmol/L)未満とする群(強化群)または70mg/dL(1.8mmol/L)未満とする群(従来群)に1対1の割合で無作為に割り付け追跡評価した。 主要エンドポイントは、3年時点の心血管死、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中、あらゆる血行再建術、または不安定狭心症による入院の複合であった。安全性も評価した。イベントの累積発生率は強化群6.6%、従来群9.7%で有意な差 2021年1月~2022年7月に韓国17施設で3,048例が無作為化された(強化群1,526例、従来群1,522例)。両群の患者特性はバランスが取れており、平均年齢は64.4±9.0歳、女性が638例(20.9%)で、LDL-C中央値は76mg/dL(四分位範囲[IQR]:61~96)であった。1,694例(55.6%)が急性冠症候群既往で、1,474例(48.4%)が画像検査または機能検査で確認された安定狭心症を、2,049例(67.2%)が冠動脈血行再建術またはその他の動脈血行再建術を有していた。 追跡期間中央値は3.0年(IQR:3.0~3.0)。試験期間中のLDL-C中央値は、強化群56mg/dL(1.4mmol/L)、従来群66mg/dL(1.7mmol/L)であった。 主要エンドポイントのイベント発生は、強化群100例(推定Kaplan-Meier累積発生率6.6%)、従来群147例(9.7%)であった(ハザード比:0.67、95%信頼区間[CI]:0.52~0.86、p=0.002)。 事前に規定した安全性エンドポイントの発生は、強化群でクレアチニン値上昇の発現割合が有意に低かったこと(1.2%vs.2.7%、群間差:-1.5%ポイント、95%CI:-2.5~-0.5、p=0.004)を除き、両群で同程度であった。

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2025年の医療事故発生報告、手術で多いのは/日本医療安全調査機構

 医療事故調査制度(医療法)における医療事故調査・支援センターの業務を行う日本医療安全調査機構は、2026年3月18日に2025年の年報を公表した。この調査は医療法第6条の16に基づき医療事故調査の相談・支援、院内調査結果の整理・分析を行い、医療事故の再発防止の普及・啓発などの取り組みのために行っている。 主な概要は以下のとおり(主要項目から抜粋)。【相談の状況】・相談件数は2025年2,161件(前年2,043件)だった。・相談者別の相談件数では医療機関は266件(前年273件)、遺族等は231件(前年284件)だった。【医療事故発生報告の状況】・医療事故発生報告の状況では2025年は375件(前年349件)だった。・都道府県別医療事故発生報告件数では、東京都が457件、神奈川県が244件、愛知県が237件の順で多かった。その一方で、福井県が8件、和歌山県と高知県が15件の順で少なかった。・都道府県別人口100万人当たりの医療事故発生報告件数(1年換算)では、京都府と大分県が4.9件、三重県が4.6件の順で多かった。その一方で、福井県が1.1件、埼玉県が1.6件、和歌山県が1.7件の順で少なかった。【院内調査結果報告の状況】・院内調査結果報告件数は360件(前年329件)だった。・起因した医療(疑いを含む)の分類別院内調査結果報告件数では、「手術(分娩を含む)」が158件、「処置」が39件、「医療機器の使用」が28件だった。・手術(分娩を含む)の内訳では、「経皮的血管内手術」が29件、「その他の内視鏡下手術」が28件、「開腹手術」が27件の順で多かった。また、2016~24年の平均値は145.3件、2025年は158件だった。・患者死亡から院内調査結果報告までの期間(中央値)は400日(前年374日)、患者死亡から医療事故発生報告までの期間(中央値)は39.5日(前年42日)だった。・解剖の実施状況について院内調査結果報告件数は360件のうち「実施あり」が100件(前年114件)、「実施なし」が257件(前年211件)、「不明」が3件(前年4件)だった。・解剖実施ありの100件の内訳として「病理解剖」が68件(前年75件)、「司法解剖」が29件(前年36件)、「行政解剖」が2件(前年2件)、「死因身元調査解剖」が1件(前年1件)だった。・死亡時画像診断(Ai)の実施状況について、院内調査結果報告件数の360件のうち「実施あり」が120件(前年105件)、「実施なし」が233件(前年215件)、「不明」が7件(前年9件)だった。・解剖とAiの実施状況の内訳では「解剖のみ」が58件(前年74件)、「解剖とAiの両方」が42件(前年40件)、「Aiのみ」が78件(前年65件)だった。【医療事故調査・支援センター調査の状況】・医療事故調査・支援センター調査対象件数と依頼者の内訳では、「医療機関からの依頼」が13件(前年8件)、「遺族からの依頼」が28件(前年32件)だった。

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AIスクライブ技術の導入、EHR対応の負担軽減に/JAMA

 臨床医は、電子健康記録(EHR)の記録作成に患者ケア8時間当たり2.3時間を費やし、とくに入力作業が勤務時間外の場合は燃え尽き症候群と関連するとの報告があり、EHRの負担は診療能力や患者の受診機会、医療の質を損なう可能性が指摘されている。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のLisa S. Rotenstein氏らは、拡張性の高い代替手段とされる人工知能(AI)を活用した環境型記録補助ツール(AIスクライブ)の導入により、わずかとはいえEHRの操作時間および文書作成時間が短縮し、週当たりの診察件数が増加することを示した。研究の成果はJAMA誌オンライン版2026年4月1日号に掲載された。米国5施設の外来医を導入の有無で比較 研究グループは、AIスクライブの導入と、EHRへの時間の負担および診察件数の変化との関連を評価する目的で、縦断的コホート研究を実施した(Advancing a Healthier Wisconsin Endowmentの助成を受けた)。 2023年6月~2025年8月に、臨床医向けにAIスクライブを導入した米国の5つの学術的医療機関で外来診療に従事する臨床医を対象とした。 AIスクライブの導入とは、AIスクライブへのアクセス権の取得を意味し、導入の可否は5施設のうち4施設で、対象となる医師による事前承認に基づき決定した。 EHRの操作に費やした時間、文書作成に費やした時間、および勤務時間外または勤務日以外にEHRの操作に費やした時間を、予定された患者の診察時間8時間当たりに標準化し、週当たりの受診件数を評価した。勤務時間外のEHR操作時間には変化がない 8,581人の臨床医を対象とした。AIスクライブ導入者は1,809人、非導入者は6,772人だった。参加者の57.1%が女性であった。専門分野の内訳は、プライマリケアが24.4%、内科系が62.4%、外科系が13.2%であった。また、74.1%が指導医(フェローを含む)、18.1%がAPC(Advanced Practice Clinicians)、7.8%が研修医だった。 差分の差分法による解析の結果、予定された患者の診察時間8時間当たりに標準化すると、AIスクライブ導入により、EHRの操作時間が13.4分(95%信頼区間[CI]:9.1~17.7)短縮し、文書作成時間は16.0分(95%CI:13.7~18.3)短縮しており、週当たりの受診件数は0.49(95%CI:0.17~0.81)増加した。 一方、勤務時間外のEHR操作時間は3.1分(95%CI:-0.50~6.80)短縮したが、この変化は有意ではなかった。また、AIスクライブ導入による変化が最も顕著だったのは、プライマリケア医、上級医、女性臨床医のほか、診察の50%以上でAIスクライブを利用した医師であった。 さらに、AIスクライブの導入は、医師1人当たり月に167.37ドル(95%CI:86.52~248.21)の収益の増加をもたらした。節約時間を他の患者ケア活動に振り向けた可能性 著者は、「診療時間の半分以上をAIスクライブの使用に費やした医師は格段に大きな利益を得たものの、これほど頻繁に利用した導入者は約32%にとどまっており、導入者に対する充実した研修と支援の必要性が明らかとなった」「今後は、本試験の結果の持続性と再現性の評価とともに、この技術の利点を高めることができる具体的な診療の手順と支援策について検討すべきと考えられる」としている。 また、「注目すべきは、AIスクライブの導入による文書作成時間の短縮が、EHRの総所要時間の短縮を上回ったこと、および最終的に勤務時間外の業務に有意な変化をもたらさなかった点である。これは、医師が、節約できた時間を他の患者ケア活動に振り向けた可能性を示唆する。AIスクライブはEHRに費やす時間を大幅には削減しない可能性があるが、この技術が燃え尽き症候群の軽減に有効とのエビデンスを考慮すると、医師は文書作成から解放された時間の再配分を価値あるものと捉え、これが医師の満足度の向上に寄与している可能性がある」と指摘している。

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脳卒中データバンク2026

ビッグデータからしか得られない興味深い解析結果を満載日本脳卒中データバンク(JSDB)は、コロナ禍の間も順調に登録数を延ばし、2019年以降の5年間に10万例近くが登録され、2024年にはついに30万例を突破した。本書は2023年末までの29.4万例をもとに、計58編の脳卒中に関する話題を、非専門家、非医療者の方にもわかりやすく説明。今後は、急速に発展するAIを利用したビックデータの活用が益々期待される。脳卒中診療の実態とエビデンスを満載した類のないデータブック!画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。目次を見るPDFで拡大する目次を見るPDFで拡大する脳卒中データバンク2026定価8,250円(税込)判型AB判(並製)頁数304頁発行2026年3月編集一般社団法人日本脳卒中データバンクご購入はこちらご購入はこちら

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「調剤の概念」が新たに提唱、薬剤師業務はどう変わる?【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第168回

2026年3月26~29日に開催された日本薬学会第146年会において、「調剤の概念」が新たに提唱されました。なぜ今、調剤の概念が取りまとめられたのでしょうか?【調剤の概念】調剤の概念とは、薬剤師が医薬品情報と患者情報を用いて薬学的観点から処方の意図を評価し、必要に応じ照会・提案した上で、処方に基づいて患者に対して個別最適化された薬物療法を提供する一連の行為である。このプロセスは継続的に行われるものである。同時にその他の薬剤師の業務についても再定義されており、以下のようになっています。処方内容の監査:処方内容について、患者情報および医薬品情報に照らし、薬学的観点から確認する行為薬剤調製:処方箋の内容およびそれまでに得られている患者情報と最新の医薬品情報に照らし合わせ、薬学的観点から医薬品を患者が使用できる状態にすること薬剤等の監査:薬剤、薬剤情報提供書等、患者に提供される物品および情報について、最終的に患者にとって最適であるかを確認する行為これらの概念の作成については、2025年夏に日本薬剤師会の岩月 進会長が日本薬学会に依頼し、2025年の秋に日本薬学会内にワーキンググループを設置して検討を開始、この春に策定となりました。今回策定されたこれらの概念や定義は、調剤指針の改訂版に掲載予定とのことです。「なぜ今?」「そもそも調剤の概念とか定義ってなんだったっけ?」と思う人も少なくないかもしれません。調剤は薬剤師のみが病院や薬局で行うことができる、ということが決められているのみで、はっきりした概念・定義はありませんでした。そのせいもあってか、患者さんには、「調剤=薬剤師=薬を作っている(だけの)人」と認識されている節はなんとなく感じていて、「薬剤師は病院や薬局でお薬を作る作業をしているけれど、それ以外は何をしているの?」というぼんやりとしたイメージのように思います。昨今の薬剤師の業務は多岐にわたり、調剤や監査、服薬指導、薬歴管理、医師やほかの医療者との連携や情報提供、地域医療、医療安全などには科学的な知識や技術、経験などが欠かせません。それらの業務全体を調剤と思っている薬剤師側と、ただただお薬をつくる作業をしていると思っている患者さん側との間にイメージのギャップがあり、この度、その言葉の定義を構築しなおす必要があったのだと思います。今回の日本薬学会第146年会の会頭講演において、同会会頭である千葉大学医学部附属病院の石井 伊都子氏は「近年の薬剤師に求められる調剤業務を可視化し、薬剤師の行動目標を示すだけでなく、社会に対して説明責任を果たすことを目的としている」と述べています。上記の調剤の概念や薬剤師の役割の再定義には、「医薬品情報と患者情報を用いて薬学的観点から処方の意図を評価」「患者情報と最新の医薬品情報に照らし合わせ」という文言があるように、個人的には、処方箋や医師の指示をそのまま作業に移すというのではなく、薬剤師が薬学的観点を用いてしっかりと考えるという意図を感じます。この定義にあった考えと行動を実践しなければならないと背筋が伸びる思いです。今回の「調剤の概念」の策定については、単純な言葉の再定義という枠を超えて、薬剤師の業務全体を意味づける大きな一歩のような気がします。「薬局のガラスの向こうでお薬を作っている人」というイメージが払拭できないでいた薬剤師の業務について、今後変化がありそうな気がします。

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第111回薬剤師国家試験の合格率は?【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第167回

3月26日に第111回薬剤師国家試験の合格発表が行われ、新しく8,749人の薬剤師が誕生しました。しかし、不安になるような流れも顕著で…。厚生労働省は26日までに、第111回薬剤師国家試験について、合格率は68.49%(前年度比0.36ポイント減)だったと発表した。合格者数は8749人で、前年から415人減。新卒に限った合格率は86.25%、合格者数は6711人だった。新卒と既卒を合わせた合格率の最下位は、前年に引き続き姫路獨協大学の22.32%。同大は、すでに25年度から薬学部の入学募集を停止している。次いで合格率が低かったのは、第一薬科大学の35.16%、青森大学の35.53%だった。(2026年3月27日付 RISFAX)全体の合格率が68.49%、新卒の合格率は86.25%でした。おおむね最近の合格率の推移と同様の合格率となりました。一方、今回の合格者は8,749人で、9,000人を切りました。今後も合格者が極端に増えることは考えづらく、また急に薬局などが減ることもないと思われるため、薬局をはじめとする薬剤師争奪戦は、今後もっと厳しい戦いになると想像できます。この状況に追い打ちをかけるように、城西国際大学は薬学部医療薬学科の2027年度以降の学生募集を停止すると発表しました。ここ最近、薬学部への志願者数の減少により、薬学部の定員削減や募集停止の動きが相次いでいます。すでに姫路獨協大学と医療創生大学の薬学部は新入生募集を停止しています。単なる少子化、薬剤師合格者数減少、また薬学部の志望者減少というだけでは終わらず、この流れは薬剤師数の確保や質の担保にも影響してくると思われます。薬局の業務や採用にも影響してくると考えると、時給や働き方、極端なところは開業時間や店舗展開など、皆さんの業務そのものにも関わってくると想像できます。ここ20年ほどずーっと薬剤師が足りないと言われていましたが、その足りなさとはちょっと違う流れが始まった感じがします。ここ何年かで在宅業務や地域医療などへの薬剤師の関わりが増えてきて、地域医療における薬剤師の活躍の話題が耳に入ってくることが増えてきました。国家試験の問題でも、最近の地域医療や実際の臨床業務を意識した出題が目立ったそうです。ここで流れが止まったり、変わったりするとどうなるかとちょっと心配になります。皆さんが行っている薬剤師業務は魅力的なものでしょうか。また、身近な中学生や高校生に「こうなりたい!」と思われる薬剤師になっているでしょうか。総力戦で考える必要がありそうです。

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リアルワールドにおけるチルゼパチドの減量効果

 減量治療を行っている肥満患者への薬物治療において、チルゼパチドの効果はどのくらいあるのであろうか。このテーマについて米国・Weill Cornell MedicineのSarah R. Barenbaum氏らの研究グループは後ろ向きコホート研究を実施し、チルゼパチド治療を受けた成人の6ヵ月間の減量の転帰を分析した。その結果、チルゼパチドは全群において有意な体重減少をもたらすことがわかった。この結果はObesity誌オンライン版2026年3月28日号で公開された。減量停滞時に治療薬の切り替えを行うと効果が上がる可能性 研究グループは、2022年5月~2023年1月の間にチルゼパチド治療を受けた成人の6ヵ月間の減量転帰を後ろ向きコホート研究として分析した。チルゼパチド開始前に総体重(TBW)が10%以上減少していた患者を「減量済み」と分類し、セマグルチド(週1.7mg以上を1ヵ月以上投与)から切り替えた患者については、切り替え理由を「無効(3ヵ月以上経過後の減量率5%未満)」、「停滞(5%以上の減量後に体重が安定)」、または「その他」に分類した。 主な結果は以下のとおり。・941例のカルテのうち、293例(31.1%)が選択基準を満たした(女性65%、平均年齢52歳、平均BMI値36.1)。・チルゼパチド開始前にすでに減量していた患者133例のTBW減少率は7.2%であったのに対し、減量していなかった患者160例では10.3%だった(p<0.001)。・2型糖尿病の有無で層別化して解析した結果、糖尿病を有しない患者群においても体重減少の差は統計的に有意であった。・無効または停滞を理由にセマグルチドから切り替えを行った61例の患者ではTBWが5.3%減少した。・停滞時に切り替えを行った患者28例では8.1%の減少がみられたのに対し、無効例33例では2.9%の減少にとどまった(p<0.001)。 以上の結果から研究グループは、「チルゼパチドは全群において有意な体重減少をもたらしたが、その効果は減量状況、2型糖尿病の有無、およびセマグルチドへの過去の反応性によって異なる」と結論付けている。

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KRAS p.G12D変異あり既治療進行固形がん、setidegrasibの安全性確認/NEJM

 KRAS p.G12D変異を有する既治療進行非小細胞肺がん(NSCLC)および膵管腺がん(PDAC)の患者において、開発中のsetidegrasib(KRAS G12D変異体を標的とするファーストインクラスの標的タンパク質分解誘導薬)は抗腫瘍活性を示し、治療中止に至った有害事象の発現は低頻度であったことが、米国・Memorial Sloan Kettering Cancer CenterのWungki Park氏らによる、第I相試験の結果で報告された。KRAS p.G12D変異は、NSCLC患者の5%にみられる。PDAC患者では40%にみられ、最も頻度の高い変異型であるが、KRAS p.G12D変異を標的とする承認薬は現状では存在していない。NEJM誌オンライン版2026年3月25日号掲載の報告。5ヵ国28施設で、NSCLCおよびPDAC患者を対象に実施 研究グループは、KRAS p.G12D変異を有する既治療の進行固形がん患者において、setidegrasibの安全性、薬物動態、薬力学、および抗腫瘍活性を評価する国際共同非盲検多施設共同第I相試験(用量漸増コホートおよび用量拡大コホートを含む)を実施した。setidegrasibは、10~800mgの用量で週1回静脈内投与された。 本試験の主要目的は、安全性プロファイル(主要評価項目とした用量制限毒性および有害事象)の評価、および第II相の試験用量を確定することであった。 2022年6月21日~2025年4月24日に、日本を含む5ヵ国28施設で203例(NSCLC 59例、PDAC 124例、その他固形がん20例)が登録された。2025年10月9日(安全性評価のデータのカットオフ日)時点で、計24例(NSCLC 20例、PDAC 4例)が治療を継続していた。治療中止の理由としては病勢進行が最も多かった(152/179例[85%])。第II相の推奨試験用量は600mg、Grade3以上の有害事象の発現は42% 安全性、薬物動態、薬力学および有効性の解析に基づき、第II相の推奨試験用量として選択されたのは、76例(NSCLC 45例、PDAC 31例)が受けていた週1回600mg静脈内投与であった。76例の年齢中央値は、NSCLC群68歳(範囲:36~81)、PDAC群65歳(36~79)であり、NSCLC群の30%、PDAC群の57%がアジア人であった。前治療ライン数中央値は、両群とも2(範囲:1~5)であった。前治療として、NSCLC群の93%がプラチナベース化学療法+免疫チェックポイント阻害薬を、PDAC群では84%がゲムシタビン+パクリタキセルまたはnab-パクリタキセルを、52%がmFOLFIRINOXを受けていた。 週1回600mg静脈内投与された76例の安全性解析の結果、Grade3以上の有害事象は32例(42%)に発現した。治療関連有害事象は71例(93%)で報告され、最も多くみられたのは注入に伴う反応(80%)および悪心(30%)であった。治療中止に至った有害事象は2例であった。 600mgの投与を受けたNSCLC患者45例において、36%(95%信頼区間[CI]:22~51)が部分奏効を示し、無増悪生存期間(PFS)中央値は8.3ヵ月(95%CI:4.1~推定不能)、推定12ヵ月全生存率は59%(95%CI:40~74)であった。 2次治療または3次治療として600mgの投与を受けた転移のあるPDAC患者21例(うち67%が3次治療)において、24%(95%CI:8~47)で部分奏効が認められ、PFS中央値は3.0ヵ月(95%CI:1.4~6.9)、全生存期間中央値は10.3ヵ月(95%CI:4.2~13.0)であった。

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初期研修を終えた今みなさんに伝えたい大切なこと【研修医ケンスケのM6カレンダー】第12回

初期研修を終えた今みなさんに伝えたい大切なことさて、お待たせしました「研修医ケンスケのM6カレンダー」。この連載は、普段は初期臨床研修医として走り回っている私、杉田研介が月に1回配信しています。私が医学部6年生当時の1年間をどう過ごしていたのか、月ごとに振り返りながら、皆さんと医師国家試験までの1年をともに駆け抜ける、をテーマにお送りして参ります。医師国家試験後1本目は研修生活が始まる前に準備すること、というタイトルで、「学生」という立場をフル活用してほしい、準備するなら初期臨床研修医向けの書籍を活用せよ、という2つのメッセージをお届けしました。2本目となる今回は、研修が始まるに当たって何を大切にしてほしいか、をテーマに進めて参ります。前提として、私が初期臨床研修を行った環境は、313床/救急車台数10台/日(もっと来ていた気がする…)の2次救急病院でした。同期は6名、2学年で合計12名の初期臨床研修医がいます。日当直は月4〜5回。総合診療科の研修を十分に行うことができること、主治医制で自分の裁量権が多いため様々なスキル獲得を見込むことができたこと、比較的自由に自分の休みをコントロールできることなどが選んだ理由でした。上記のような環境で過ごした2年間と、他の病院で研修を終えた同級生たちからの話も含めて、振り返りたいと思います!ぜひ2本目もお楽しみください!自分のバリューを意識しよう!(上手に休むこともお忘れなく!)前回も書きましたが、初期臨床研修医とは何かにつけて初期の状態です。臨床も初心者なことはもちろん、社会人としても初期の人がほとんどだと思うのですが、何科の研修であれ「自身のバリューをいかに出すか」を意識することが大事です。初期臨床研修医、というよりも社会人基礎に近い話で、よく自己啓発本にも取り上げられていることですね。初期臨床研修医は皆さんが思っている以上に大事に、重宝されていると思います。初期臨床研修は大学生活:学校生活とは異なるため、現場で実際に戦力となることが求められますが、一方で医療者として未熟な初心者であるため、何かと教えてもらえる機会に恵まれます。実感が湧きにくいかもしれませんが、実際の症例を通して、指導医からのフィードバックのみならず、同期や先輩後輩が経験した症例、そして何より他職種から学ぶことが多くあるのです。学部学生の講義や国家試験対策の中では医学を中心に学んできましたが、これから皆さんが関わることは医学を実践する場としての医療です。教科書通りに物事が進むわけでもなく、また、教科書で学んだ知識を実践するにはどれだけの人やリソースが関わるのか、それが体感できます。やや話が逸れましたが、医療は皆さん個人のみでは決して成立しません。医学部入学の際にたくさん練習したチームワークや協調性が試されます。組織やチームの一員として動くのに、自分がどんなバリューを提供できるか、を意識することは非常に重要です。例えば、転倒後の圧迫骨折の症例を担当することになったとしましょう。正直、心不全急性増悪や脳血管障害などと比較すると、医学的にできることは地道で、面白みにやや欠けるかもしれません。多くの併存疾患の慢性管理を見直す、なども、初期臨床研修医成り立ての頃は知識・スキル不足から気付けないことも多いでしょう。皆さんならこんな症例を担当した時に、チームにどのように貢献したいと思いますか?一例ですが、私なら、スムーズな退院調整を進めるのに、どんな情報が必要か、どんな連携が必要かを考えます。初期臨床研修医は指導医ほどの経験・スキルはないですが、比較的時間にゆとりがあります。研修医室で暇を持て余すのではなく、本人のリハビリの様子を見学したり、面会時間に病棟へ待機して家族から情報収集をしたり。医学的なスキル不足を、自分の足で稼いだ情報資源として還元できる余地は大いにあるはずです。上記は臨床現場の一例ですが、もともと持っているスキルを活かして研修体制を見直したり、そもそも研修医だからこそ気づくことができる研修環境へのフィードバックなど、バリューを見出す場面は探せばいくらでもあります。ぜひ積極的に自分を売り込みましょう!経験した症例からの学びを最大化する(同期、先輩後輩はプライスレスな宝物です)初期臨床研修では入院症例、外来症例、救急外来症例など、さまざまな患者さんに出会うことでしょう。そして1人1人の患者さんから学ぶことは多いです。その機会を無駄にせず、ぜひ最大化することに努めてください。最大化するには振り返る仕組みを作ることが有効です。手段は自身で運用しやすいようにカスタマイズして良いですが、どんな症例であったのか、何を意識して臨んだか、気づいたことや感想が一目で見たときに思い出すことができる症例ログを作っておくと、後々振り返りやすいです。初めのうちは医学的な視点ばかり追いかけてしまいますが、タイムマネジメントやチームワークという観点も学びになります。診察をしながら問診をする、カルテ上でショートカットを活用する、というのも立派な学びの1つです。医学的なこと以外の仕事に慣れてくると、余裕が生まれるからでしょうか、不思議と医学的な視点もより広がってきます。この病態をより早く察知するには、この疾患で入院になるならのちにこんな項目が必要になるな、など、診療の厚みが増していきます。私自身は医学的な学びと、それ以外のマネジメント術のようなことで分けてまとめていました。初めは何をまとめたら良いのか、上手くデザインすることができませんが、知識・スキルの向上とともに徐々に自分の軸が作られていくので、その都度柔軟にまとめ方も変えていけば良いです。この連載の1番初めにお伝えした内容でしたが、研修医になっても学習会をすることは非常に有用です。自分1人だと経験できる症例が限られるほか、他の人の視点も取り入れることができる分、学びが深くなるのは学生と同様です。自分で学んだことをぜひ積極的に同期や先輩後輩にもシェアしてくださいね。そして慣れてきた方はぜひ他職種にも共有して、それぞれの立場からどんなケアが必要なのか、といったことを学び合いましょう!感染症と医療安全はどの診療科に行っても必要な座学初期臨床研修医の大きな特徴の1つは、様々な診療科をローテーションすることです。専攻医以降で外科や産婦人科、はたまた眼科や耳鼻咽喉科の現場に立つことはありません。その中で、臓器横断的な感染症と医療安全の2つは、どの診療科へ行っても確実に必要なことで、医師だからこそ知っておくと、コマンダーとしての厚みが増す大事な知識です。感染症も医療安全も、単科として研修することはない、そんな病院が多いと思います。ここでは、それぞれの専門を極める、ではなく、知識を座学として学びやすく、かつ、専門家でなくてもある程度の知識は知っておく必要があることに注目していただきたいです。イメージしやすいのは感染症でしょうか。国試対策でもそうだったように、診療科ごとに感染症のカテゴリーがあったはずです。そして必ず細菌感染を鑑別する必要がありました。細菌感染症では関与する細菌の種類は多いものの、グラム染色上で分けると4つにしか分類されません。代表的な菌を覚えて、どの臓器でメジャーな感染症を引き起こすのかを押さえておきましょう。骨折の診断で整形外科に入院していても、入院期間中に肺炎を発症してしまった、なんてことは珍しくありません。医療安全は注目されにくいですが、スーパーローテーションをする初期臨床研修医という立場を大いに活かすチャンスです。医療安全の基本概念の1つですが、Human is Error、人間同士が仕事をしている限りどうしてもエラーは付きものです。その上でいかにエラーを減らすことができるか、起きたエラーから何を学ぶかが重要です。初期臨床研修医はさまざまな診療科へ足を運ぶため、その科ごとにエラーを探知することができます。どの診療科にも共通することだけでなく、この診療科ではこのフローで行うが、ここでは違う、だからコミュニケーションエラーに繋がる、という発見は、色んな診療科を経験できる初期臨床研修医だからこそ気付きやすいと思います。上記の考え方は、冒頭に述べたバリューを出す、に繋がる話ですね。勘づかれた方、鋭いです。最後に(連載をお楽しみいただきありがとうございました!)いかがだったでしょうか。初期臨床研修医は何かと板挟みになったり、スキル・経験不足で打ちひしがれることも多いですが、伸びしろが大きい分、成長が実感できたときはとても嬉しいものです。社会人として自分で稼いだお金で、自分の人生やキャリアを拡張できるのも面白みの1つです。そして、今回がこの連載の最終回です。これまで応援いただいた皆さま、制作の方々、この場をお借りしてお礼申し上げます。連載企画という初めての機会をこうしていただけたことが嬉しいですし、企画を通して自分自身の振り返りとなり、少しでも皆さまのお役に立つことができたら本望です。今後の皆さまのご活躍を心よりお祈り申し上げます。ぜひ学会やイベントでお会いしたときはよろしくお願いいたします!

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テストステロン補充療法は膝関節全置換術後の合併症リスクを高める?

 米国でテストステロン補充療法(TRT)の利用者が急増する中、膝関節全置換術(TKA)を受ける患者にとっては、このホルモンがより高いリスクをもたらす可能性があるようだ。新たな研究で、手術前の1年以内にTRTを受けていた患者は、術後に感染症、血栓、腎障害、肺炎、膝関節の不安定性などの合併症の発症リスクが高いことが示された。米Hospital for Special Surgeryの整形外科医であるBrian Chalmers氏らによるこの研究結果は、米国整形外科学会(AAOS)年次総会(AAOS 2026、3月2〜6日、米ニューオーリンズ)で発表された。 研究グループによると、テストステロン補充療法の処方件数は2019年の730万件から2024年には1100万件超へと増加している。男女ともに、健康的な老化の促進、筋肉・骨の増強、性欲の改善を目的としてこのホルモンを使用しているという。一方で、テストステロンは、血栓形成や免疫機能、骨代謝にも影響するため、手術後の回復を複雑にする可能性がある。Chalmers氏は、「テストステロンを使用する人がかつてないほど増えており、また、TKAの件数は2030年までに年間100万件を超えると予測されている。そこでわれわれは、TRTが術後の患者に与える影響についてより深く調べることにした」とニュースリリースでコメントした。 今回の研究では、米国の電子カルテ全国データベース(TriNetX)のデータを用いて、2020年2月以前にTKAを受け、術後5年間の追跡データがそろう成人1万3,250人を対象に、TKA前のTRTと術後合併症との関連を検討した。 その結果、術後90日時点において、TRTを受けた群と受けていない群の合併症の発生率は、肺塞栓症で1.6%と1.2%、肺炎で3.3%と1.9%、急性腎障害で4.2%と2.9%、敗血症で1.9%と1.1%であった。また、術後1年時点では、肺塞栓症で2.6%と2.0%、深部静脈血栓症で4.5%と3.3%、心血管関連イベントで3.0%と2.4%、肺炎で6.0%と4.0%、急性腎障害で7.9%と5.2%、敗血症で2.4%と0.9%であり、TRT群での合併症の発生率は高いままだった。さらに、人工関節そのものに関わる合併症のリスクも高まっており、術後5年にわたって関節感染症、骨折、インプラントの緩み、膝の不安定性、再手術の発生率が高いことが示された。 研究グループは、「テストステロンは血栓リスクの上昇と関連することが知られているが、このホルモンがTKAにどのように影響するかを解明するには、さらなる研究が必要だ」と指摘している。研究グループの一員である米ワイル・コーネル・メディスンのArsen Omurzakov氏は、「本研究から、テストステロンは、骨が時間をかけて自然に再構築される過程にも影響を与えることが示唆された」とプレスリリースで述べている。Arsen Omurzakov氏の双子の兄弟で、同じく研究グループの一員である米ケース・ウェスタン・リザーブ大学のArgen Omurzakov氏は、「テストステロン値は免疫系だけでなく、免疫系・治癒・その他の重要な生体機能に関わるマイクロバイオームにも影響する可能性がある」と付け加えている。 なお、学会発表された研究結果は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは一般に予備的なものと見なされる。

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HER2陽性乳がんの新規経口薬「ツカイザ錠50mg/150mg」【最新!DI情報】第60回

HER2陽性乳がんの新規経口薬「ツカイザ錠50mg/150mg」今回は、HER2チロシンキナーゼ阻害薬「ツカチニブ(商品名:ツカイザ錠50mg/150mg、製造販売元:ファイザー)」を紹介します。本剤は、化学療法歴のあるHER2陽性の手術不能または再発乳がんの治療薬であり、抗HER2療法に抵抗性を示した患者や脳転移のある患者の新たな治療選択肢として期待されています。<効能・効果>化学療法歴のあるHER2陽性の手術不能または再発乳がんの適応で、2026年2月19日に製造販売承認を取得しました。<用法・用量>トラスツズマブ(遺伝子組換え)およびカペシタビンとの併用において、通常、成人にはツカチニブとして1回300mgを1日2回経口投与します。なお、患者の状態により適宜減量します。<安全性>重大な副作用として、重度の下痢(10.6%)、肝機能障害(高ビリルビン血症[21.9%]、AST増加[20.0%]、ALT増加[20.0%])、間質性肺疾患(頻度不明)があります。その他の副作用(5%以上のもの)として、下痢(72.6%)、手足症候群(64.9%)、悪心(52.1%)、疲労(36.0%)、口内炎(26.8%)、嘔吐(25.3%)、食欲減退(20.9%)、感染症(眼、耳、上咽頭、上気道、気管支、皮膚、爪、爪床、尿路、膣、限局性)、貧血、好中球減少症、白血球減少症、血小板減少症、低カリウム血症、末梢性ニューロパチー(末梢性運動ニューロパチー、末梢性感覚ニューロパチー)、味覚障害(味覚不全)、頭痛、鼻出血、腹痛、消化不良、口腔障害(口腔内出血、口腔内痛、口腔内不快感、口内乾燥)、爪の障害(爪甲脱落症、爪甲剥離症、爪線状隆起、爪破損、陥入爪、爪変色、爪ジストロフィー、爪痛、爪毒性)、皮膚乾燥、皮膚色素過剰、爪囲炎、そう痒症、脱毛症、斑状丘疹状皮疹、筋骨格痛(筋肉痛、骨痛、関節痛、顎痛、頚部痛、胸痛、背部痛、四肢痛)、血中クレアチニン増加、無力症、体重減少(いずれも5%以上)があります。<患者さんへの指導例>1.この薬は、HER2チロシンキナーゼ阻害薬であり、化学療法歴のあるHER2陽性の手術不能または再発乳がんに用いられます。2.トラスツズマブ(遺伝子組換え)およびカペシタビンと併用して使用されます。3.咳、息切れ、息苦しさ、発熱などが現れた場合は、速やかに医療機関を受診してください。4.妊婦または妊娠している可能性のある人は医師に相談してください。5.妊娠する可能性のある女性は、この薬の投与期間中および最終投与後1週間は適切に避妊してください。<ここがポイント!>乳がんは、日本人女性において最も発生頻度の高いがんであり、そのうちHER2陽性乳がんは全体の約15~20%を占めています。HER2陽性乳がんは、HER2陰性乳がんと比較して、診断時に進行した病期で発見されることが多く、若年者に多く認められるほか、進行が速く、転移や再発のリスクが高いことが知られています。HER2は膜貫通性のチロシンキナーゼ受容体であり、その過剰発現や遺伝子増幅は腫瘍細胞の増殖を促進する重要な因子です。近年、抗HER2抗体薬やチロシンキナーゼ阻害薬などHER2を標的とした医薬品の開発により、HER2陽性乳がんの予後は大きく改善されました。しかしながら、多くの症例において抗HER2療法後に疾患の進行(PD)を認め、進行後の標準的な治療戦略はいまだ確立されていないのが現状です。ツカチニブエタノール付加物は、HER2を選択的に阻害する低分子チロシンキナーゼ阻害薬です。本剤は、HER2チロシンキナーゼのリン酸化を選択的かつ可逆的に阻害することで、腫瘍細胞の増殖・生存に関与する下流のシグナル伝達経路を抑制すると考えられています。化学療法歴のあるHER2陽性の手術不能または再発乳がんを適応症とし、既存の抗HER2療法に抵抗性を示す患者や脳転移を有する患者に対する新たな治療選択肢となります。本剤は、トラスツズマブおよびカペシタビンと併用して使用します。治療歴のある切除不能な局所進行または転移・再発HER2陽性乳がん患者を対象とした海外第II相試験(HER2CLIMB:ONT-380-206試験[カペシタビンとトラスツズマブを併用、脳転移がある患者を含む])において、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)の中央値は、本剤群7.8ヵ月(95%信頼区間[CI]:7.5~9.6)、対照群5.6ヵ月(95%CI:4.2~7.1)であり、本剤群では対照群と比較してPFSが延長し、統計的に有意にPDまたは死亡のリスクが46%減少しました(層別ハザード比:0.54[95%CI:0.42~0.71]、p<0.00001[有意水準(両側):0.05])。また、治療歴のある切除不能な局所進行または転移・再発HER2陽性乳がん患者66例(日本人患者53例)を対象とした国際共同第II相試験(HER2CLIMB-03:MK-7119-001試験[カペシタビンとトラスツズマブを併用])において、主要評価項目である日本人集団の奏効率は35.4%(90%CI:24.0~48.3)で、90%CIの下限が事前に規定した閾値である20%を上回っていたことから帰無仮説は棄却され、日本人に対する本剤+トラスツズマブ+カペシタビン併用療法の有効性が示されました。

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子どものこころの診療-小児科医が挑む子どものこころの臨床

「子どものこころ」の問題に小児科医、精神科医が連携して挑む「小児診療 Knowledge & Skill」第4巻「子どものこころ」の問題は社会状況の変化に伴い、年々その重要性が高まっている。小児科外来では「こころ」の健康に関する臨床機会が増加しているが、「こころ」の診療は専門性が高く多岐にわたる知識と技術が求められる。小児科、精神科の連携は必須であり、本書は「子どものこころ」の臨床に携わる小児科医と精神科医のエキスパートによる、それぞれの専門性を活かした最新の知見を詳解。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。目次を見るPDFで拡大する目次を見るPDFで拡大する子どものこころの診療-小児科医が挑む子どものこころの臨床定価8,800円(税込)判型B5判(並製)頁数320頁発行2026年3月総編集加藤 元博(東京大学)専門編集田中 恭子(順天堂大学)共同編集者岡田 俊(奈良県立医科大学)/金生 由紀子(全国療育相談センター)/石﨑 優子(関西医科大学)/永光 信一郎(福岡大学)ご購入はこちらご購入はこちら

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KRAS G12C変異陽性大腸がん、ソトラシブ+パニツムマブのアジア人・長期の有用性(CodeBreaK 300/101)/日本臨床腫瘍学会

 既治療のKRAS G12C変異陽性の転移大腸がん(mCRC)において、選択的KRAS G12C阻害薬ソトラシブと抗EGFR抗体パニツムマブの併用療法は、第III相CodeBreaK 300試験および第Ib相CodeBreaK 101試験において有用性が示され、すでに米国と日本において承認されている。今回、本レジメンのアジア人に対する有用性と、長期にわたる臨床的ベネフィットが確認された。第23回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO 2026)において九州がんセンターの江崎 泰斗氏がアジア人サブグループ解析の結果を、国立がん研究センター東病院の久保木 恭利氏が両試験を統合した長期生存解析の結果を報告した。 江崎氏らは、ソトラシブ960mg(連日)+パニツムマブ6mg/kg(2週間ごと)の投与を受けた両試験のアジア人15例(アジア人群)とその他地域の参加者(その他群)78例を対象に、有効性と安全性を比較する事後解析を実施した。試験デザインは、CodeBreaK 300試験が治療歴を有するKRAS G12C変異陽性mCRC患者を対象にソトラシブ+パニツムマブと既存治療を比較したランダム化試験であり、CodeBreaK 101試験が用量探索と有効性、安全性を評価した多施設共同試験である。評価項目には、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、奏効率(ORR)、安全性が含まれた。 主な結果は以下のとおり。・ORRはアジア人群で33%(95%信頼区間[CI]:12~62)、その他群で29%(95%CI:20~41)であり、アジア人においても高い奏効が示された。・病勢コントロール率(DCR)はアジア人群で87%(95%CI:60~98)、その他群で79%(95%CI:69~88)であった。・PFS中央値はアジア人群で8.3ヵ月(95%CI:2.8~推定不能)、その他群で5.7ヵ月(95%CI:4.2~7.4)であった。・OS中央値はアジア人群で15.2ヵ月(95%CI:8.7~推定不能)、その他群で12.6ヵ月(95%CI:10.7~18.4)であった。・Grade3以上の治療関連有害事象(TRAE)の発現率はアジア人群で20%、その他群で39%であり、アジア人において低い傾向が認められた。アジア人群における主なTRAE(20%以上)は、ざ瘡様皮膚(53%)、発疹(40%)、低マグネシウム血症(33%)、下痢(27%)であった。 久保木氏らは、両試験においてソトラシブ+パニツムマブによる治療を受けた患者93例を対象に、2年OS、後治療、安全性の解析を行った。CodeBreaK 300試験の追跡期間中央値は28ヵ月、CodeBreaK 101試験は38ヵ月だった。 主な結果は以下のとおり。・統合解析におけるOS中央値は13.2ヵ月(95%CI:10.8~15.2)であり、既存の標準治療であるトリフルリジン・チピラシルやレゴラフェニブと比較して臨床的に意義のある改善が示された。・2年OS率は23%(95%CI:14.5~32.3)で、生存曲線は後方でプラトーを形成しており、一部の患者で長期生存が得られる可能性が示唆された。・長期フォローアップにおいても新たな安全性の懸念は認められず、毒性は管理可能であった。・後治療を受けた患者は53%であり、患者の3分の1は、試験終了後にトリフルリジン・チピラシルまたはレゴラフェニブを投与された。 江崎氏は「以上の結果から、ソトラシブ+パニツムマブ併用療法は、アジア人を含むKRAS G12C変異陽性の既治療mCRC患者に対して、一貫して良好な有効性と安全性を示すことが確認された」。久保木氏は「本レジメンは長期にわたって有用であり、化学療法抵抗性KRAS G12C変異大腸がん患者における標準治療としての位置付けが確認された。現在、本レジメンの1次治療としての有効性を検証する第III相試験(CodeBreaK 301試験)が進行中であり、さらなる治療の進展に期待する」とまとめた。

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年収2,000万円以上の割合は? 地域・診療科による違いは?/医師1,000人アンケート

 ケアネットでは、2026年3月に会員医師1,000人(男性883人、女性117人)を対象として「年収に関するアンケート」を実施した。その結果、1,000万~2,000万円の割合は58.0%、2,000万円以上の割合は24.0%であり、8割超が1,000万円以上であった。最も多い年収帯は2,000万~2,500万円 全体で最も多い年収帯は2,000万~2,500万円(全体の13.7%)で、次点が1,400万~1,600万円(13.3%)であった。2016年に実施した調査結果と比較すると、1,000万円以下、1,000万~2,000万円、2,000万円以上の割合は、2016年がそれぞれ21.2%、58.8%、20.0%であったのに対し、2026年がそれぞれ18.0%、58.0%、24.0%であり、やや年収の上昇傾向がみられたが、大きな変化はなかった。 年代別にみると、46~55歳、56~65歳のうち2,000万円以上と回答した割合は、いずれも35.0%となった。35歳以下で1,000万円以上の割合は75.0%であった。2,000万円以上は男性26.0%、女性8.5% 男女別にみると、昨年度の年収が1,000万円以上と回答した割合は男性が84.4%であったのに対し、女性は63.2%であった。2,000万円以上に絞ると、それぞれ26.0%、8.5%であった。地域別の傾向は? 地域別にみた昨年度の年収が2,000万円以上の割合は、以下のとおり。・北海道・東北(113人):31.0%・関東(298人):24.8%・中部(161人):24.8%・近畿(214人):23.8%・中国(61人):18.0%・四国(34人):11.8%・九州・沖縄(119人):21.0%診療科別の傾向は? 診療科別にみた昨年度の年収が2,000万円以上の割合は、以下のとおり(30人以上の回答が得られた診療科を抜粋)。・脳神経外科(37人):40.5%・循環器内科(67人):38.8%・消化器外科(34人):32.4%・精神科(78人):29.5%・消化器内科(53人):28.3%・放射線科(32人):28.1%・整形外科(55人):23.6%・神経内科(30人):23.3%・内科(197人):21.8%・呼吸器内科(34人):20.6%・糖尿病・代謝・内分泌科(31人):16.1%・小児科(52人):11.5% その他、詳細な年収分布については、以下のページで結果を発表している。医師の年収に関するアンケート2026【第1回】昨年度の年収

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EGFR変異NSCLC、アミバンタマブ+ラゼルチニブがアジア人でもOS良好(MARIPOSA)/日本臨床腫瘍学会

 EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療として、アミバンタマブ+ラゼルチニブは、国際共同第III相無作為化比較試験「MARIPOSA試験」において、無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)を改善することが示されている1)。第23回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2026)において、本試験のアジア人集団におけるOSなどのアップデート解析結果が、林 秀敏氏(近畿大学医学部内科学腫瘍内科部門 主任教授)により発表され、アミバンタマブ+ラゼルチニブは、アジア人集団においてもオシメルチニブ単剤と比較してOSが良好であることが示された。なお本演題は、欧州臨床腫瘍学会アジア大会(ESMO Asia2025)のアンコール演題であったが、日本人集団のpost-hoc解析結果が追加された。・試験デザイン:国際共同第III相無作為化比較試験・対象:未治療のEGFR遺伝子変異(exon19欠失またはL858R)陽性の進行・転移NSCLC患者・試験群1(ami+laz群):アミバンタマブ(体重に応じ1,050mgまたは1,400mg、最初の1サイクル目は週1回、2サイクル目以降は隔週)+ラゼルチニブ(240mg、1日1回) 429例・試験群2(laz群):ラゼルチニブ(240mg、1日1回) 216例・対照群(osi群):オシメルチニブ(80mg、1日1回) 429例・評価項目:[主要評価項目]盲検下独立中央判定に基づくPFS[主要な副次評価項目]OS[その他の評価項目]PFS2(2次治療開始後のPFS)、治療中止までの期間、頭蓋内PFS(icPFS)、頭蓋内奏効率(icORR)、頭蓋内奏効期間(icDOR)、症状進行までの期間(TTSP)、安全性など 今回は、アジア人集団(ami+laz群250例、osi群251例)の比較結果が報告された。主な結果は以下のとおり。・ベースラインの患者背景は両群でバランスがとれており、年齢中央値は63歳であった。EGFR遺伝子変異の内訳はexon19欠失が55%、L858Rが45%であり、脳転移を有する割合は44%であった。・追跡期間中央値38.7ヵ月時点におけるOS中央値は、ami+laz群が未到達、osi群38.4ヵ月であり、ami+laz群で延長がみられた(ハザード比[HR]:0.74、95%信頼区間[CI]:0.56~0.97、名目上のp=0.026)。3年OS率はami+laz群61%、osi群53%で、42ヵ月OS率はそれぞれ59%、46%であった。・OSのサブグループ解析において、一貫したOSのベネフィットが示された。日本人を対象としたpost-hoc解析においても一貫した傾向がみられた(HR:0.77、95%CI:0.34~1.77)。・病勢進行後に後治療を受けた患者の割合はami+laz群71%、osi群75%であり、いずれも多くが化学療法またはチロシンキナーゼ阻害薬を含む治療を受けていた。・PFS2中央値はami+laz群が未到達、osi群34.2ヵ月であり、ami+laz群が良好であった(HR:0.70、95%CI:0.54~0.91、名目上のp=0.007)。・治療中止までの期間中央値はami+laz群27.9ヵ月、osi群23.2ヵ月であり、ami+laz群が長かった(HR:0.74、95%CI:0.59~0.93、名目上のp=0.008)。・icPFS中央値はami+laz群が23.5ヵ月、osi群が23.9ヵ月であった(HR:0.79、95%CI:0.57~1.09)。3年icPFS率はami+laz群が36%、osi群が18%であった。・icORRはami+laz群が78%、osi群が79%であった。icDOR中央値はそれぞれ未到達、27.4ヵ月であった。・TTSP中央値はami+laz群が未到達、osi群が30.8ヵ月であった(HR:0.65、95%CI:0.51~0.84、名目上のp<0.001)。・安全性プロファイルは既報および全体集団と一貫していた。静脈血栓塞栓症(VTE)はami+laz群の34%、osi群の7%で発現したが、追跡期間の延長による意義のある増加はみられなかった。なお、ベースライン時に抗凝固薬を使用していたのは3%であった。肺臓炎の発現割合はいずれの群も2%と低かった。・ami+laz群における注目すべき有害事象の多くは投与初期(0~4ヵ月)に発現しており、長期の観察において安全性に関する新たなシグナルはみられなかった。このことから、長期的な治療継続が実現可能であることが示唆された。 本結果について、林氏は「アミバンタマブ+ラゼルチニブはオシメルチニブ単剤と比較して、全体集団と同様にアジア人集団でも死亡リスクを有意に低下させ、アジア人集団における新たな標準治療としての位置付けがさらに強固なものとなった」とまとめた。なお、日本人集団のOS解析結果について、同氏は「日本人集団のOS解析結果はpost-hoc解析であり、サンプルサイズやイベント数が少なかった。アジア人は層別化因子であったことを考慮すると、アジア人集団の解析結果のほうがより重要なデータである」と述べた。

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