サイト内検索|page:239

検索結果 合計:5046件 表示位置:4761 - 4780

4761.

治験、臨床研究データをリアルタイム入力 EDCシステム開発

先端医療振興財団 臨床研究情報センター(以下、TRI)は24日、治験、臨床研究の症例データを、インターネットを介してリアルタイムで入力することで、スピードアップと効率化を図れるEDC(Electronic Data Capture)システム『eClinical Base』を独自に開発し、提供を開始したことを発表した。『eClinical Base』の大きな特徴は、症例報告書に関する内容を記載した設定仕様書(エクセル)をシステムにインポートすることにより試験設定が完了すること。つまり、試験設定が非常に簡便であり、症例報告書の変更等にも迅速に対応することができるという。登録割付機能や、SASデータセット出力機能のほか、「Part11(21CFR Part11)システム仕様対応」「GCP(Good Clinical Practice)システム仕様対応」「ERES(Electronic Records and Electronic Signature)準拠」さらに国際共同治験に適合するため、「CDISC(Clinical Data Interchange Standards Consortium)」や多言語での運用も可能だ。 これらもすべてTRIが開発し、運用している。TRIでは2003年の発足以来、一貫してアカデミアの臨床研究の立ち上げと運営を支援し、その数は2012年8月現在で165件に達している。また、EDCシステムを積極的に活用することで効率化を進め、現在稼動している研究の70%以上でEDCを利用している。今後『eClinical Base』を利用し、100%EDCにて実施する予定とのこと。詳細はプレスリリースへ(PDF)http://www.tri-kobe.org/news/pdf/20120824_PressRelease.pdf

4762.

薬物依存PTSD患者、PE法による統合治療でPTSD症状がより大きく改善

外傷後ストレス障害(PTSD)で薬物依存を有する患者に対して、PTSDの認知行動療法の1つである持続エクスポージャー法(prolonged exposure therapy:PE)を用いたPTSD・薬物依存の併用治療は、薬物依存の重症度を増大することなくPTSD症状をより大きく改善することが明らかにされた。オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のKatherine L. Mills氏らが、103人の患者について行った無作為化対照試験の結果報告したもので、JAMA誌2012年8月15日号で発表した。薬物依存を有するPTSD患者は少なくないが、そうした患者に対するPE法の適切性については明らかでなかったという。治療9ヵ月後に、PTSDと薬物依存症の重症度変化を評価研究グループは2007~2009年に、オーストラリア・シドニーの医療機関で、精神疾患の診断基準「DSM-IV-TR」によりPTSDと薬物依存症の診断を受けた患者103人について試験を開始した。被験者を無作為に2群に分け、一方には、PE法によるPTSDと薬物依存症の併用治療(COPE)と、薬物依存症に対する通常の治療を行った。もう一方の対照群には、薬物依存症に対する通常の治療のみを行った。主要エンドポイントは、治療開始9ヵ月後の臨床診断面接尺度(CAPS)によるPTSD重症度の変化と、国際比較診断用構造化面接(CIDI)による薬物依存症の重症度の変化だった。CAPSでは15ポイント、CIDIでは1ポイント以上の変化を臨床的に有意な変化とした。PTSD重症度はCOPE群でより大きく改善、薬物依存症重症度改善幅は両群で同等その結果、両群ともに、試験開始9ヵ月後までにPTSD重症度の有意な改善が認められた。CAPS変化の平均値は、COPE群が-38.24(95%信頼区間:-47.93~-28.54)、対照群は-22.14(同:-30.33~-13.95)だった。両群の平均格差は-16.09(同:-29.00~-3.19)で、COPE群のPTSD重症度改善幅が対照群に比べて有意に大きかった。薬物依存症の重症度についても、両群ともに9ヵ月間で有意な改善が認められたが、その改善幅は、COPE群が0.43に対し対照群が0.52と、両群に有意な差は認められなかった(罹患率比:0.85、同:0.60~1.21)。その他、薬物使用、うつ症状、不安症状の変化幅についても、両群で有意な差は認められなかった。

4763.

プライマリ・ケアでの女性へのパートナーの暴力に関するスクリーニング、QOLは改善せず

プライマリ・ケアで行われている、女性に対するパートナーの暴力に関するスクリーニングや関連プログラムの紹介は、身体的・精神的QOLスコアの改善にはつながらないことが報告された。米国疾病予防管理センター(CDC)のJoanne Klevens氏らが、約2,700人の女性について行った無作為化比較試験の結果で、JAMA誌2012年8月15日号で発表された。パートナーの暴力に関するスクリーニングは、多くの医療機関で実施されているが、患者のアウトカムに与える影響についてのエビデンスは乏しかったという。パートナー暴力のスクリーニングとプログラムを紹介、1年後のQOLスコアを比較研究グループは、2009年5月~2010年4月にかけて、米国イリノイ州クック郡のプライマリ・ケア医療機関10ヵ所を通じて、2,708人の女性患者について試験を開始した。被験者は18歳以上で、英語またはスペイン語を話し、パートナーと一緒に来院した人は除外した。同グループは被験者を無作為に3群に分け、第1群には「パートナーの暴力判定尺度」を用いたスクリーニングを行い、結果が陽性の場合には地域のパートナーの暴力に関するプログラムを紹介した(909人)。第2群には、スクリーニングを行わずに、同プログラムのみを紹介した(893人)。第3群は対照群として、スクリーニングもプログラム紹介も行わなかった(898人)。主要アウトカムは、1年後の生活の質(QOL)質問票短縮版(SF-12)による、身体的・精神的QOLスコアだった。身体的・精神的QOLスコアはいずれの群でも同等被験者のうち、2,364人(87%)が1年後に追跡可能だった。被験者の平均年齢は39歳で、55%が非ラテン系アフリカ系アメリカ人で、教育歴が高校以下だった人は57%だった。結果、試験開始1年後の身体的QOLスコア平均値は、スクリーニング/プログラム紹介群(801人)で46.8(95%信頼区間:46.1~47.4)、プログラム紹介群(772人)で46.4(同:45.8~47.1)、対照群(791人)で47.2(同:46.5~47.8)と、3群間で有意な差は認められなかった。精神的QOLスコア平均値についても、それぞれ48.3(同:47.5~49.1)、48.0(同:47.2~48.9)、47.8(同:47.0~48.6)と有意な差は認められなかった。また、仕事を休んだり家事を遂行できなかった日数や、入院日数、救急室や外来ケアを訪れた件数、パートナーの暴力に関するプログラムへの問い合わせ率などについても、3群間で有意な差は認められなかった。

4764.

成人T細胞白血病リンパ腫におけるモガムリズマブ欧米第2相臨床試験開始

協和発酵キリン株式会社は23日、治療経験のある成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)を対象としたモガムリズマブ(一般名、開発コード: KW-0761)の欧米第2相臨床試験を開始したことを発表した。モガムリズマブは、ATLを対象疾病とした希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)の指定を、米国食品医薬品局および欧州委員会から受けている。モガムリズマブは、ATL細胞など、様々な悪性T細胞に過剰発現しているCCR4に対するヒト化モノクローナル抗体。同剤は、同社独自の強活性抗体作製技術「POTELLIGENT(ポテリジェント)」を応用した抗体で、ADCC活性による抗腫瘍効果を示すという。国内では、「ポテリジオ点滴静注20mg」という製品名で、再発又は難治性のCCR4陽性のATLの治療薬として、2012年5月29日から販売されている。同剤は、当社初の抗体医薬で、ポテリジェント技術を応用した抗体医薬としては、世界初である。今回の欧米第2相臨床試験の対象疾患は、治療経験のあるATL患者で、多施設ランダム化オープン比較試験(被験者をモガリズムマブ群と治験担当医師選択的治療群にランダムに割り付け、非盲検で比較を行う試験)を実施するという。予定試験期間 は、2012年7月~2015年6月。実施場所は米国、イギリス、フランス、ベルギーおよびその他の国で、目標症例数は70。主要評価項目は、全奏効率。詳細はプレスリリースへhttp://www.kyowa-kirin.co.jp/news/2012/20120823_01.html

4765.

〔CLEAR! ジャーナル四天王(7)〕 はたして運動療法は慢性心不全患者に潜む「うつ症状」を改善しえるのか?

慢性心不全はその病態が重症になれば心拍出量の低下から「労作時の息切れ」や「全身倦怠感」など、うつ病とよく似た症状が出現する。また慢性心不全の治療は根治することがなく長期にわたり、患者は塩分コントロールによる食事制限や飲水量制限が厳しく科せられることが多く、抑うつ状態となる場合も少なくない。実際、慢性心不全患者の20~40%にうつ病が合併するという報告がなされている。 左室収縮障害をもつ慢性心不全患者を対象とした最近の研究では、急性増悪時の症状の32%が「全身倦怠感」であり、その患者の25%にうつ病に対する薬物治療がなされており、その他の症状を主訴とする患者よりもその割合が有意に高いことが報告されている1)。 さらに、この「全身倦怠感」は心不全の病態悪化のみならず、うつ症状による影響があるという報告もある2)。つまり「全身倦怠感」を主訴に入院する心不全患者には少なからず「うつ症状」の関与があり、心不全の病態のみならず「うつ病」の有無の確認やそのケアも必要となる。 それを受けて、これまで慢性心不全治療によるうつ症状の改善効果を検証するべく、いくつもの臨床試験がなされてきたが、エビデンスレベルの高い研究では、残念ながらよい結果は報告されていない。その意味で、慢性心不全患者、約2300人を対象とした、多施設参加のRandomized研究「The HF-ACTION」3)のテーマである「慢性心不全患者に対する有酸素運動療法が、うつ症状を改善するか否か?」は、臨床的に大変興味のある研究であった。 結果は、有酸素運動群において、運動開始から3ヵ月後および12ヵ月後におけるうつ症状の改善については統計学的な有為差は得られたものの、残念ながら臨床的に「有酸素運動療法が心不全患者のうつ症状を改善した」とはいえなかった。さらに心不全関連の死亡については有酸素運動群で成績が良かったが、再入院については有酸素運動群でより悪い成績となっている。慢性心不全に対する有酸素運動療法の予後改善効果については一定のエビデンスが得られているため、それを差し引いて考えると、(1)有酸素運動のうつ症状改善効果、および、(2)うつ症状を有する心不全患者の予後改善効果、は、ともに否定的であった。 ただ、本試験のInclusion criteriaはEFが35%以下の慢性心不全患者すべてを対象にしており、その主訴や病態ごとの細かい層別解析は、今回は報告されていない。先に述べた通り「全身倦怠感を主訴として訴える慢性心不全患者のみ」を対象として解析を行った場合に、どのような結果が得られるのか、大変興味のあるところである。

4766.

高血圧患者さんの食塩摂取量への意識を高めるiPhone アプリ

 食塩の過剰摂取が血圧上昇と関連していることは古くから知られており、減塩による降圧効果も証明されている。メタアナリシスの結果によると、1gの減塩によって収縮期血圧1mmHgの降圧が期待できる。しかし、6g/日前半まで食塩摂取量を落とさなければ有意な降圧は達成できていない。このことを根拠にわが国では高血圧患者の減塩目標として6g/日未満を推奨している。 しかし、健康増進法に基づく食品の栄養成分表示のうち、塩分については現在、ナトリウム量で表示することになっている。食塩はナトリウムと塩素が結合したもので、ナトリウムの原子量は23、塩素の原子量は35.5である。すなわちがナトリウム1gは、食塩2.54gに相当する。日本高血圧学会は2011年に、食塩量での表示を義務化するよう、消費者庁などに要望書を提出している。 さて、昨今、iPhoneなどいわゆるスマートフォンが普及し、iPhoneを持っている高血圧患者さんも珍しくはない。そんな患者さんにオススメしたいのが『塩分とりすぎ計算機』というアプリ。栄養成分表示の中のナトリウムを入力するだけで、食塩に換算すると何グラム摂取したのかを簡単に計算してくれる。計算結果は一般成人の一日目標摂取量に対する割合として、円グラフで分かりやすく表示される。 ただ、前述の目標摂取量はWHOが一般成人に推奨している「5g」に対する割合であり、日欧米で高血圧患者の目標として推奨されている「6g」に対する割合ではない。さらに個々の食品における食塩量を計算するだけで、1日の累積食選摂取量が記録されていくわけではないのが残念。常にナトリウム量が明らかなものを食しているわけではないから食べたメニューを選択すると標準的な含有食塩量が記録されるなどの機能があると利用機会が増えるのでは。 まだまだ実践的ではないが、高血圧患者さんの食塩摂取量への意識を高める方法の一つとしては検討してみてもよいかも。塩分摂り過ぎ計算機 (App Store)http://itunes.apple.com/jp/app/yan-fentorisugi-ji-suan-ji/id544655976?mt=8&ign-mpt=uo%3D4

4767.

スタチンによるLDL-C低下療法、低リスク集団でも血管イベントを低減

 スタチンによるLDLコレステロール(LDL-C)低下療法は、血管イベントの低リスク集団においても主要血管イベント(MVE)の抑制効果を発揮することが、Cholesterol Treatment Trialists’(CTT)Collaboratorsによる検討で示された。スタチンはLDL-Cを低下させることで血管イベントを予防するが、血管イベントのリスクが低い集団における効果は、これまで明らかにされていなかった。血管疾患の既往歴のない集団は血管イベントの絶対リスクが低いものの、血管イベントの半数以上はこの集団で発生しているため、とくにスタチン治療の1次予防効果は解明すべき重要な課題とされる。Lancet誌2012年8月11日号(オンライン版2012年5月17日号)掲載の報告。低リスク集団におけるスタチンの効果をメタ解析で評価研究グループは、血管イベントの低リスク集団におけるスタチンの効果を評価するために、27件の無作為化試験のメタ解析を行った。27試験のうち、22件は標準用量のスタチンと対照を比較し[13万4,537例、ベースラインの平均LDL-C値:3.70mmol/L(≒143mg/dL)、1年後のLDL-C値の差:1.08mmol/L(≒41.8mg/dL)、追跡期間中央値:4.8年]、5件は強化スタチン療法と低強化スタチン療法の比較試験[3万9,612例、2.53mmol/L(≒97.8mg/dL)、0.51mmol/L(≒19.7mg/dL)、5.1年)であった。MVEは、主要冠動脈イベント(非致死的心筋梗塞、冠動脈死)、脳卒中、冠動脈血行再建術の施行とした。ベースラインにおける血管イベントの5年発生リスクで5つの群(<5%群、5~<10%群、10~<20%群、20~<30%群、≧30%群)に分け、LDL-C値1.0mmol/L(≒38.67mg/dL)低下当たりのMVE発生リスクの率比(RR)を算出した。<5%群と5~<10%群を低リスク群とした。ガイドラインの再考が必要スタチンのLDL-C低下効果により、年齢、性別、ベースラインのLDL-C値や血管疾患の既往歴にかかわらず、MVEのリスクが有意に低下した[LDL-C値1.0mmol/L低下当たりのMVE発生リスクのRR(以下、単にRRと表記):0.79、99%信頼区間(CI):0.77~0.81、p<0.0001]。スタチンによるMVEの低下効果は、低リスク群(RR:<5%群0.62、5~<10%群0.69)と高リスク群(同:10~<20%群0.79、20~<30%群0.81、≧30%群0.79)でほぼ同等だった(傾向性検定:p=0.04)。これは、主に低リスク群における主要冠動脈イベント(RR:<5%群0.57、p=0.0012、5~<10%群0.61、p<0.0001)および冠動脈血行再建術(同:<5%群0.52、p<0.0001、5~<10%群0.63、p<0.0001)のリスクの有意な低減を反映するものであった。10%未満の2つの低リスク群を合わせた集団における脳卒中の発生リスクのPRは0.76(p=0.0012)と良好だったが、10%以上の集団も同様に良好であったため差は認めなかった(傾向性検定:p=0.3)。血管疾患の既往歴のない集団では、スタチン治療によりMVE(RR:0.85、95%CI:0.77~0.95)および全死因死亡(RR:0.91、95%CI:0.85~0.97)のリスクが有意に低下した。スタチンによるLDL-C低下療法が、がんの発生率(RR:1.00、95%CI:0.96~1.04)やがん死亡率(RR:0.99、95%CI:0.93~1.06)、その他の非血管死亡率を増加させるとのエビデンスは認めなかった。著者は、「MVEの5年発生リスクが10%未満の低リスク群では、LDL-C値が1.0mmol/L低下するごとに、絶対値で5年間に1,000人当たり約11人の血管イベントを抑制することが示された。このベネフィットは、既知のスタチン治療の有害性を大きく上回るものである」と結論し、「現行のガイドラインでは、このような低リスク集団はスタチン治療の適応ではない。今回の知見は、ガイドラインの再考の必要性を示唆するもの」と指摘している。

4768.

血漿HDL-C高値、心筋梗塞のリスクを低下させない可能性が

 血漿HDLコレステロール(HDL-C)値の上昇が、必ずしも心筋梗塞のリスクを低減しない可能性があることが、米国・ペンシルバニア大学のBenjamin F Voight氏らの検討で明らかとなった。血漿HDL-C高値は心筋梗塞のリスク低減と関連するとされるが、その因果関係は不明である。遺伝子型は、減数分裂時にランダムに決定され、非遺伝子的な交絡因子の影響を受けず、疾患過程の修飾も受けないことから、バイオマーカーと疾患の因果関係の検証にはメンデル無作為化(mendelian randomization)解析が有用だという。Lancet誌2012年8月11日号(オンライン版5月17日号)掲載の報告。因果関係を2つのメンデル無作為化解析で評価研究グループは、血漿HDL-C高値と心筋梗塞のリスク低下の因果関係を検証するために、2つのメンデル無作為化解析を実施した。まず、20試験(心筋梗塞2万913例、対照9万5,407例)のデータを用いて、内皮リパーゼ遺伝子(LIPG Asn396Ser)の一塩基多型(SNP)の評価を行った。次いで、心筋梗塞1万2,482例および対照4万1,331例のデータを使用し、HDL-Cと関連する14の頻度の高いSNPから成る遺伝子型スコアについて検討した。また、陽性対照(positive control)として、LDLコレステロール(LDL-C)に関連する13のSNPの遺伝子型スコアの評価も行った。遺伝子型スコアによるHDL-C値上昇はリスクと関連なしLIPG 396Ser対立遺伝子の保有率は2.6%であった。LIPG 396Ser対立遺伝子保有群は、非保有群に比べHDL-C値が0.14mmol/L(≒5.4mg/dL)有意に高かった[p=8×10(-13)]が、心筋梗塞リスクに関連するその他の脂質および非脂質因子は両群間に差を認めなかった。このHDL-C値の差により、LIPG 396Ser対立遺伝子保有群では心筋梗塞のリスクが13%低下すると予測された[オッズ比(OR):0.87、95%信頼区間(CI):0.84~0.91]。しかし、対立遺伝子保有群における心筋梗塞のリスク低下は有意ではなかった(OR:0.99、95%CI:0.88~1.11、p=0.85)。観察疫学試験では、HDL-C値の1 SDの上昇により心筋梗塞リスクが有意に低下した(OR:0.62、95%CI:0.58~0.66)。しかし、遺伝子型スコアに基づくHDL-C値の1 SDの上昇は心筋梗塞のリスクとは関連しなかった(OR:0.93、95%CI:0.68~1.26、p=0.63)。一方、観察疫学試験におけるLDL-C値の1 SDの上昇により心筋梗塞リスクが有意に上昇し(OR:1.54、95%CI:1.45~1.63)、遺伝子型スコアによるLDL-C値の1 SDの上昇も心筋梗塞リスクの有意な上昇と有意な関連を示した[OR:2.13、95%CI:1.69~2.69、p=2×10(-10)]。著者は、「血漿HDL-C値の上昇をもたらす遺伝子的メカニズムが、必ずしも心筋梗塞のリスクを低減しない可能性が示唆される」と結論し、「これらの知見は、血漿HDL-C値の上昇が一律に心筋梗塞のリスク低下をもたらすとのコンセプトに疑問を呈するもの」としている。

4769.

痛みの治療薬をどう選択するか 「抗てんかん薬」

「抗てんかん薬の使い方」広島大学病院 手術部 大下恭子氏鎮痛薬としての抗てんかん薬の歴史は、1960年代のジフェニルヒダントイン、カルバマゼピンの三叉神経痛に対する報告から始まっている。その後、コントロールスタディや動物実験の疼痛モデルにおいて、鎮痛効果が次々と報告されるようになった。 1998年にRCTで帯状疱疹後神経痛に対するガバペンチンの有効性が報告され、米国でもガバペンチンの帯状疱疹後神 経痛への適応が承認され、国際疼痛学会でのアルゴリズムでも第一選択薬として発表されるに至っている。本邦の日本ペインクリニック学会の薬物治療アルゴリズムにおいても、Caチャネルα2σリガンドであるプレガバリンとガバペンチンが第一選択薬となっており、ほかの抗てんかん薬も、第一選択、第二選択、第三選択で効果が出ない場合に考慮してもよいオプションとして、その他に分類されている。それらガイドラインのアルゴリズムのもとになったのは、多くのRCTとNNTの指標であるが、ガバペンチン、プレガバリンはオピオイドや三環系抗うつ薬と並んでNNTが低く、有効性の高い薬物として分類されている。しかしながら、そのガイドラインにも問題点が指摘されている。RCTの対象疾患が限られた疾患であること、2剤の効果の直接的比較研究が少ないこと、長期予後を評価したものが少ないこと、臨床を反映したコンビネーション処方による研究が少ないことである。今回、当施設麻酔科外来において、抗てんかん薬のうちプレバカリンとクロナゼパムについて3年間の処方状況調査を行った。痛みの種類を持続痛・発作痛・誘発痛の3つに分け、投薬開始直前と投薬後の2点で患者に聴取しNRSで評価、同時に痛みの性状についても別の評価を行った。まず処方状況であるが、プレガバリン処方開始前はクロナゼパムが多かったが、プレガバリン処方開始後は、プレガバリンの処方件数が伸びている。プレガバリン処方患者数は、2012年3月までで114名。そのうち73名でプレガバリン開始後に痛みの改善を自覚している。投薬疾患は、帯状疱疹後神経痛、帯状疱疹の急性期の痛み、各種の神経障害を呈する疾患が多い。プレガバリン処方全症例でのNRSの変化をみると、持続痛・発作痛・誘発痛、いずれも開始後に有意差をもって低下している。他剤との併用も含め64%の症例で鎮痛効果を認めた。プレガバリンとの併用薬は、ほかの抗てんかん薬が26%、抗うつ薬が37%、オピオイドが31%であった。痛みの性状別でみると、ほとんどの痛みの性状で軽減を示しているが、しびれるような痛みを訴える患者では有効率が低く出ている。クロナゼパムについては、他剤との併用例を含め48%、約半数の症例で鎮痛効果を認めた。クロナゼパム処方症例全体ではNRSは減少傾向にあるものの、有意な変化はみられなかった。ただし、有効症例に限って変化をみると、持続痛、発作痛、誘発痛いずれも有意にNRSの低下をみている。痛みの性状と治療効果を検討すると、灼けるような痛み、電気が走るなどの発作性痛みや誘発痛に対して高い有効性を示していた。ただ、プレガバリンと同様にしびれるような痛みに関しては有効症例が少なかった。副作用はプレガバリン、クロナゼバムともに眠気やふらつきの副作用が他剤と比較して高い頻度で出ていた。副作用による中止症例はプレガバリンで6例、クロナゼバムで2例だった。抗てんかん薬とひとくくりにいっても、さまざまな作用機序がある。今後、作用機序の異なる薬物の併用が有効である可能性が考えられる。

4770.

寄稿 線維筋痛症の基本

廿日市記念病院リハビリテーション科戸田克広痛みは原因の観点から神経障害性疼痛(神経障害痛)と侵害受容性疼痛(侵害受容痛)およびその合併に分類され、世界標準の医学では心因性疼痛単独は存在しないという考えが主流である。通常、日本医学ではこれに心因性疼痛が加わる。線維筋痛症(Fibromyalgia、以下FM)およびその不全型は日本医学の心因性疼痛の大部分を占めるが、世界標準の医学では神経障害痛の中の中枢性神経障害痛に含まれる。医学的に説明のつかない症状や痛みを世界の慢性痛やリウマチの業界はFMやその不全型と診断、治療し、精神科の業界は身体表現性障害(身体化障害、疼痛性障害)と診断、治療している。FMの原因は不明であるが、脳の機能障害が原因という説が定説になっている。器質的な異常があるのかもしれないが、現時点の医学レベルでは明確な器質的異常は判明していない。脳の機能障害が原因で生じる中枢性過敏症候群という疾患群があり、うつ病、不安障害、慢性疲労症候群、FM、むずむず脚症候群、緊張型頭痛などがそれに含まれる。先進国においてはFMの有病率は約2%であるが、その不全型を含めると少なくとも20%の有病率になる。FMおよび不全型の診断基準は「「正しい線維筋痛症の知識」の普及を目指して! - まず知ろう診療のポイント -」に記載されている1)。医学的に説明のつかない痛みを訴える場合には、FMあるいはその不全型を疑うことが望ましい。FMもその不全型も治療は同一であるため、これらを区別する意義は臨床的にはほとんどない。薬物治療のみならず、禁煙、有酸素運動、患者教育、認知行動療法などが有効である。ただし、認知行動療法は具体的に何をすればよいかわからない部分が多く、それを行うことができる人間が少ないため、実施している施設は少ない。人工甘味料アスパルテームによりFMを発症した症例が報告されたため、その摂取中止が望ましい1)。当初は必ず一つの薬のみを上限量まで漸増し、有効か無効かを判定する必要がある。副作用のために増量不能となった場合や、満足できる鎮痛効果が得られた場合には、上限量を使用する必要はない。つまり、上限量を使用せずして無効と判断することや、不十分な鎮痛効果にもかかわらず上限量を使用しないことは適切ではない(副作用のために増量不能の場合を除く)。一つの薬の最適量が決まれば、患者さんが満足できる鎮痛効果が得られない限り、同様の方法により次の薬を追加する。これは国際疼痛学会が神経障害痛に一般論として推奨している薬物治療の方法である。2、3種類の薬を同時に投与することは望ましくない。どの薬が有効か不明になり、同じ薬を漫然と投与することになりやすいからである。世界標準のFMでは有効性の証拠の強い順に薬物を使用することが推奨されているが、その方法は臨床的にはあまり有用ではない。投薬の優先順位を決定する際には有効性の証拠の強さのみならず、実際に使用した経験も考慮する必要がある。さらに論文上の副作用、実際に経験した副作用、薬価も考慮する必要がある。FMは治癒することが少ない上に、FMにより死亡することも少ないため、30年以上の内服が必要になることがしばしばあるからである。FMの薬物治療においては適用外処方は不可避であるが、保険請求上の病名も考慮する必要がある。さらに、日本独特の風習である添付文書上の自動車運転禁止の問題も考慮する必要がある。抗痙攣薬、抗不安薬、睡眠薬、ほとんどの抗うつ薬を内服中には添付文書上自動車の運転は禁止されているが、それを遵守すると、少なくない患者さんの生活が破綻するばかりではなく、日本経済そのものが破綻する。以上の要因を総合して、薬物治療の優先順位を決めている1)。これにより医師の経験量によらず、ほぼ一定の治療効果を得ることができる。ただし、それには明確なエビデンスはないため、各医師が適宜変更していただきたい。副作用が少ないことを優先する場合や自動車の運転が必須の患者さんの場合には、眠気などの副作用が少ない薬を優先投与する必要がある。すなわち、ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液(ノイロトロピン) 、メコバラミンと葉酸の併用、イコサペント酸エチル、ラフチジン、デキストロメトルファンを優先使用している。痛みが強い場合には、有効性の証拠が強い薬、すなわちアミトリプチリン、プレガバリン、ミルナシプラン、デュロキセチンを優先使用している。抗不安薬は常用量依存を引き起こしやすいため、鎮痛目的や睡眠目的には使用せず、パニック発作の抑制目的にのみ使用し、かつ3ヵ月以内に中止すべきである。FMにアルプラゾラムが有効と抄録に書かれた論文2)があるが、本文中では有効性に関して偽薬と差がないという記載があるため、注意が必要である。ステロイドはFMには有害無益であり、ステロイドが有効な疾患が合併しない限り使用してはならない。昨年、日本の診療ガイドラインが報告された。筋緊張亢進型、腱付着部炎型、うつ型、およびその合併に分類する方法および各タイプ別に優先使用する薬は世界標準のFMとは異なっており、私が個人的に決めた優先順位と同様に明確なエビデンスに基づいていない。たとえば、腱付着部炎型にサラゾスルファピリジンやプレドニンが有効と記載されているが、それはFMに有効なのではなく、腱付着部炎を引き起こすFMとは異なる疾患に有効なのである。糖尿病型FMにインシュリンが有効という理論と同様である。薬を何種類併用してよいかという問題があるが、誰も正解を知らない。私は睡眠薬を除いて原則的に6種類まで併用している。1年以上投薬すると、中止しても痛みが悪化しないことがある。そのため、1年以上使用している薬は中止して、その効果が持続しているかどうかを確かめることが望ましい。引用文献1) CareNetホームページ カンファレンス Q&A:戸田克広先生「「正しい線維筋痛症の知識」の普及を目指して! - まず知ろう診療のポイント-」2)Russell IJ et al: Treatment of primary fibrositis/fibromyalgia syndrome with ibuprofen and alprazolam. A double-blind, placebo-controlled study. Arthritis Rheum. 1991;34:552-560.

4771.

〔CLEAR! ジャーナル四天王(2)〕 運動不足解消の微妙な効果

運動不足の解消が0.68年寿命を延ばす。確かにそうかもしれない。日本人の摂取エネルギーは減少傾向にあり、正すべきは食事より運動不足の解消である、それは日本人にとってもあてはまるだろう。しかしちょっと待て、と思う。 40歳の人が毎日1時間運動して、16年間続けると約0.68年を運動に費やすことになる。さらに運動を24年間続けると、運動に費やす期間の合計は1年となってしまい、寿命の延びを相殺してしまうかもしれない。その1時間の運動の時間を、もっと自分の好きなことに使えば、0.32年長生きしたのと同じかもしれない。 1時間の運動を16年間続けて寿命が0.68年延びるのと、その1時間をのんびりソファで本でも読んで暮らすのと、どちらがいいかはほとんど好みの問題だ。寿命が延びるというコトバはわかりやすく魅力的だが、寿命を延ばすためにかける労力とのバランスで考えると、意外にその効果は大したことないのかもしれない。

4772.

インフルエンザワクチン優先接種戦略、高齢化と獲得免疫が鍵

 世界各国にインフルエンザパンデミックへの対策プランがあり、ワクチン供給が不足した場合の優先接種方法が決められている。大半の国のプランは、他国やWHOの計画を基に作成されているが、オランダ・感染症疾病対策センターのAnna K Lugner氏らは、「各国の事情(人口構造、社会的接触パターン、医療システム、医療費構造)が異なるなかで、どのような優先接種方法が最も費用対効果に優れるのかは、これまで検証されていなかった」として、ドイツ、オランダ、イギリス3ヵ国を対象に4つの異なるワクチン戦略の費用対効果について比較検討する経済的疫学モデル研究を行った。BMJ誌2012年8月4日号(オンライン版2012年7月12日号)掲載報告より。想定パンデミック下で4つの戦略について3ヵ国の費用/QALYを算出し比較研究グループが検証したのは、異なる国で想定されるあらゆるインフルエンザパンデミックにおいても単一のインフルエンザワクチン接種戦略が費用対効果に優れるのかどうか、どの年齢群が資源注入によるベネフィットが最も高くワクチン接種を受けるべきか、また異なる国では異なる戦略が適用されるのかどうかについてだった。近接するが社会・文化的背景の異なるドイツ、オランダ、イギリス各国の社会的接触パターンや人口構造データを入手し、数理モデルを作成して解析した。各国で想定されるインフルエンザAウイルス伝播が描出された、ウイルス感受性・曝露・感染・リカバリー伝播を加味して作成した年齢群モデルを用いて、4つのワクチン接種戦略[ワクチン非接種、全員へワクチン接種、65歳以上高齢者へ接種、高伝播群(5~19歳)へ接種]を比較した。4つの戦略は、ワクチンがパンデミックの早期に接種可能だったかピーク時となったか、また全員がウイルス感受性が高く感染しやすい状態だったか、高齢者は免疫を獲得していたかについても評価された。主要評価項目は、1QALY(生活の質を調整した生存年)獲得に要する費用(費用/QALY)だった。高齢社会が顕著なドイツは65歳以上に、オランダとイギリスは5~19歳への接種戦略に軍配解析の結果、すべてのワクチン接種戦略が費用対効果に優れており、費用/QALYは非介入群と比較して介入群のほうが大きかった。費用/QALYの割合が大きかったのは、ワクチン接種がパンデミックピーク時となった場合、また高齢者が免疫を獲得していた場合だった。各国の1QALY獲得に要する費用は、ドイツが7,325ユーロ、オランダ1万216ユーロ、イギリス7,280ユーロだった。最も費用対効果に優れる至適戦略は、想定シナリオによってばかりでなく国によっても異なった。特にワクチンがパンデミック早期に接種可能な場合、また獲得免疫がなかった場合、最も費用効果に優れる接種戦略は、ドイツでは高齢者への接種戦略だったが(1QALY獲得に940ユーロ)、オランダとイギリスでは高伝播群への接種戦略だった(各国同525ユーロ、163ユーロ)。この違いは、ドイツでは高齢者の割合がオランダとイギリスに比べて有意に高いという各国人口構造の違いによるものだった。結果を踏まえLugner氏は、「どの国においても費用対効果に優れるという単一のワクチン接種戦略はなかった。今後、インフルエンザパンデミック緩和のための費用対効果に優れる選択肢の決定には、特に高齢者割合と獲得免疫が重要になるだろう」と結論している。

4773.

東京大学高齢社会総合研究機構 在宅医療推進総合研修プログラム 動機付けコース

千葉県柏市で実施された、東京大学高齢社会総合研究機構在宅医療推進総合研修プログラム動機付けコースの1日目(2012年3月25日実施)の模様をお送りします。開業医の先生方が在宅医療に参入する動機付けに主眼をおいたコースとなっており、在宅医療を導入するにあたって必要な知識とノウハウ、専門職連携協働(IPW:Interprofessional Work)の意義など、多職種でのワークショップを通じて疑似体験していただいています。辻哲夫先生の今後の見通しと在宅医の果たすべき役割、川越正平先生、平原佐斗司先生による「疼痛緩和」「認知症」の講義とワークショップ、最後に川越正平先生からの診療報酬・制度から見た実務面の講義で成り立っています。将来、在宅医療を視野に入れておられる開業医の先生必見のコースです。講師2日目 番組一覧 【全4回】番組10 第10回 在宅ケアにおいて何故IPW(専門職連携協働)が必要なのか?番組11 第11回 在宅療養を支える医療・介護資源番組12 第12回 グループ討論1:在宅医療への期待(同職種)番組13 第13回 グループ討論2:地域で求められる在宅医療とは(多職種)1日目 番組一覧 【全9回】番組1 第1回 21世紀前半の社会と医療、在宅医の果たすべき役割番組2 第2回 在宅医療の導入番組3 第3回 がん疼痛緩和に必要な知識番組4 第4回 事例検討:がんの症状緩和と多職種による在宅療養支援(前半)番組5 第5回 事例検討:がんの症状緩和と多職種による在宅療養支援(後半)番組6 第6回 認知症の基本的理解~アルツハイマー型認知症を中心に番組7 第7回 事例検討:認知症患者の行動心理微候(BPSD)へのアプローチ番組8 第8回 事例検討:認知症の緩和ケア番組9 第9回 これから在宅医療に取り組むにあたって~やりがい・実務・報酬・制度

検索結果 合計:5046件 表示位置:4761 - 4780