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医師・医療従事者向け情報サービスサイトを運営する株式会社ケアネット(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:大野元泰、証券コード:2150)は2013年11月22日、当社医師会員1,000人に対し、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)に対する意識調査を実施しました。TPP最終合意へ向けて日米両政府の交渉が進む中で、TPPが医療へ及ぼす影響を医師はどのように考えているのか、詳細をご報告致します。コメントはこちら結果概要医師の7割以上がTPPに賛成全面的に賛成(9.4%)に、参加はやむを得ない(64.8%)を加えると、74.2%と、医師の7割以上が賛成する結果になった。フリーコメントでは、「日本の経済全体を考えるとTPPは避けられない」「グローバル化の中で、鎖国の様な政策を取りつづけるのは現実的ではない」というものが散見された。8割以上の医師が、TPPは日本の医療制度に影響を及ぼすと回答TPP参加により、「国民皆保険制度」や「混合診療の禁止」、「営利企業(株式会社)の参入」はどうなると考えているか尋ねたところ、すべての項目に対して、今まで通り維持されると回答した医師は2割を切り、8割以上の医師がTPPへの参加には賛成するが、日本の医療制度に影響を及ぼすことは避けられないと考えていることがわかった。政府はもっと具体像を示して欲しいISD条項を知っているか尋ねたところ、内容を理解していると答えたのは7.0%と少なく、だいたいの内容は知っている(21.3%)を加えても、3割にも満たない結果となった。フリーコメントには、「正確な内容を国民に知らせずに進んでいることが恐い」、「TPP参加でどのように変化するのか十分に理解できていない。政府はもっと具体像を示して欲しい」などの情報不足を指摘するコメントが複数見られた。画像を拡大する調査タイトル:医師のTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)に対する意識調査調査方法:インターネットリサーチ調査対象:医師・医療従事者向け専門サイト「CareNet.com」医師会員有効回答数:1,000サンプル調査日時:2013年11月22日(金)画像を拡大する設問設定TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)ついてお尋ねします。安倍晋三首相は11月12日、ルー米財務長官と首相官邸で会談し、TPPの年内妥結に向け協力する方針を確認しました。以前より日本政府はTPPによる国民皆保険制度への影響はないと発表していますが(*1)、日本医師会では、公的な医療給付範囲を将来にわたって維持すること、混合診療を全面解禁しないこと、営利企業(株式会社)を医療機関経営に参入させないこと、の3つが保証されない限り、国民皆保険制度は維持されないと表明しています(*2)。そこで先生にお尋ねします。*1)『TPP協定交渉について:平成25年6月内閣官房TPP政府対策本部、p.66』1.政府が現時点で得ている情報では、TPP 交渉においては、公的医療保険制度のあり方そのものなどは議論の対象になっていません。また、これまで日本が締結してきた経済連携協定においても、公的医療保険制度については、金融サービスの自由化について定める規定等から除外しています。2.政府としては、日本が誇る国民皆保険制度を維持し、安全・安心な医療が損なわれることのないよう、しっかりと主張していきます。国民皆保険制度は、日本の医療制度の根幹であり、この制度を揺るがすことはありません。*2) 日本医師会『TPP交渉参加について【2013.3.15】』「日本医師会は、世界に誇る国民皆保険を守るために、第1に公的な医療給付範囲を将来にわたって維持すること、第2に混合診療を全面解禁しないこと、第3に営利企業(株式会社)を医療機関経営に参入させないこと、の3つが絶対に守られるよう、厳しく求めていきます。もし、日本の国益に反すると判断された場合は、TPP交渉から速やかに撤退するという選択肢も持つべきです。」Q1.TPPへの参加をどのようにお考えですか?(必須)全面的に賛成参加はやむを得ない参加しないほうがよい全面的に反対Q2.TPPに参加したら、国民皆保険制度はどうなるとお考えですか?(必須)今まで通り維持されるなんらかの影響を受けるが、維持される国民皆保険制度は維持されないわからないQ3.TPPに参加したら、混合診療の禁止はどうなるとお考えですか?(必須)今まで通り、一部の例外を除き禁止のまま混合診療の是認範囲が広がる混合診療は解禁されるQ4.TPPに参加したら、営利企業(株式会社)の参入はどうなるとお考えですか?(必須)今まで通り認められない部分的に参入が認められるようになる営利企業(株式会社)の参入が認められるようになるQ5.TPPにおける、ISD条項についてご存知ですか?(必須)内容を理解しているだいたいの内容は知っている名称だけは知っている知らないQ6.TPPに対するご意見・ご感想等何でも結構ですので、お知らせください。(任意)[ ]コメント抜粋(一部割愛、簡略化しておりますことをご了承下さい)交渉をするかが肝心です。(40代,内科,診療所・クリニック(19床以下))一次産業は大きな影響を受ける可能性が高いと思うので、しっかりした対応が必要。 医療業界はそんなに大きな影響はないと思うし、そう願いたい。(50代,内科,診療所・クリニック(19床以下))日本の経済が立ち行かなければ医療費そのものが払えなくなるので変えられない流れだと思います。(40代,精神科,診療所・クリニック(19床以下))医療のレベルに関して、日本は高度であるのでTTPに参加しても問題ない。(60代,外科,上記以外)TPP参加は日本にとってもビジネスチャンスだと思う。(30代,麻酔科,一般病院(20床以上))見通しが不透明すぎて議論の対象にならない。そういう状況でも話を進めて行く政府のやり方に大いなる不信感がある。(50代,呼吸器内科,大学病院)日常診療にどのような変化が生じるのか、不安が強い。(30代,呼吸器内科,一般病院(20床以上))医療関係の情報が少ない。(50代,皮膚科,一般病院(20床以上))保険医療の適応範囲の縮小につながり賛成である。(30代,整形外科,大学病院)TPPで既存の勢力は痛手をこうむると思うが、逆に良くなるところもあるのではないかと期待する。(50代,泌尿器科,一般病院(20床以上))いずれ営利目的の企業が参入してくるでしょうね。そうなれば、皆保険も潰れるでしょう。 (60代,小児科,一般病院(20床以上))日本の法律の上に来るような条項の導入など許されない。(30代,腎臓内科,一般病院(20床以上))時代の流れとして受け止めないといけないし既得権は放棄すべき。(50代,神経内科,一般病院(20床以上))デンマークのハーモナイズウップの原則などを参考にした交渉や規制の緩和を進めることも一つの方策かと思います。(60代,循環器内科,一般病院(20床以上))TPP反対だが、もう政府は決めてしまっているのだろう。(40代,外科,一般病院(20床以上))日本医師会の主張はもっともだと思うが、たとえ政府が医師会の主張を受け入れてTPP参加したとしても、いずれ約束は反故にされると思う。ISD条項は大変な曲者である。(40代,精神科,一般病院(20床以上))TPP参加は少なくとも医師の既得権益を脅かすものにはなると思うが、ある程度医療が自由化されれば医師が淘汰され診療のレベル自体は上がると思う。(40代,小児科,大学病院)どういう話が進められるのか、逐一情報がほしいし、国民がそれに対し、反対か賛成かある程度意見が言えるぐらいにあってほしいなと思います。(30代,神経内科,大学病院)報道では主として農産物など関税障壁に関することが取り上げられているが、ISD条項も含めて非関税障壁のほうが日本の社会を大混乱に陥れるものとしてもっとしっかりと知らしめるべきだと考える。(50代,その他,上記以外)正確な内容を国民に知らせずに、進んで行っていることが怖い。 誰の意思で進んで行っているのか分からない。 (40代,循環器内科,診療所・クリニック(19床以下))制度としての「国民皆保険」は維持されたとしても、実際に受けられる医療や介護の質と量が患者の経済状況によって左右される「米国型」にシフトさせられる。 (50代,整形外科,一般病院(20床以上))保険システムにおいては費用がかかる割に効果の無いアメリカシステム。費用がかからない割にアメリカより効果を出している日本システム。これで何故システムまでアメリカ型に追従しなければならないのか。(30代,循環器内科,大学病院)現在、世界的な経済競争の中で日本が取り残される可能性が強く感じられるためTPPは必ず締結してほしい。(60代,呼吸器内科,一般病院(20床以上))一旦TPP交渉の場についた以上、医療の場の変化は避けられない。ましてや、現在の政策で医療費を確保しようとするより如何に削減するかを重要視している以上、混合診療の規制緩和等はほぼ決定的と言っていいだろう。アメリカをはじめとする諸外国の圧力に日本が外交的に抗しきれるとはとても思えない。(50代,外科,一般病院(20床以上))TPP参加でどのように変化するのか、十分に理解できていない。政府はもっと具体像を示してほしい。(60代,整形外科,一般病院(20床以上))