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事例31 処方せん料(7種類以上)への査定【斬らレセプト】

解説事例ではF400「処方せん料(その他)」が、D事由(告示・通知の算定要件に合致していないと認められるもの)として「処方せん料(7種以上)」へと査定となった。レセプトをみてみると月2回来院されているが、処方せん料の算定が1回のみである。処方せんの内容確認用に印字された薬剤すべてが、1回の処方せん発行にて処方されていることがわかる。薬剤の種類を数えてみると8種類が数えられる。処方せん料の第2項には「7種類以上の内服薬の投薬を行なった場合の所定点数」が定められている。そのため今回の処方せん料は、7種類以上の項目を算定することが妥当であるとして査定となったものと推測できる。計算担当者に確認したところ、一包化を指定した場合には一包化の範囲内で1種類と数えると考えていた。F200薬剤の留意事項に7種類の数え方が定められており、そのうちの1項目に「処方料の算定単位となる1処方において剤型が変わらない場合は1銘柄ごとに1種類と計算する」とある。臨時投薬と剤型の区別がつかなくなる散剤などの混合以外は、銘柄ごとに1種類と数えることを説明して査定対策とした。

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抗うつ薬と妊娠中絶との関連は

 抗うつ薬の使用は選択的妊娠中絶と関連するのであろうか。また、薬剤間で差はあるのだろうか。選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)や三環系抗うつ薬、ミルタザピン、ベンラファキシン、その他の抗うつ薬が妊娠後の中絶にどのような影響を与えるかを、スウェーデン・カロリンスカ研究所のH Kieler氏らが評価した。BJOG誌オンライン版2014年11月14日号の報告。 1996年~2007年のデンマーク、フィンランド、ノルウェーの全国レジスターのデータを利用したケースコントロール試験。対象は、妊娠12~23週に人工妊娠中絶を行った女性1万4,902例。コントロール群は、妊娠を継続し、かつ主要な因子をマッチングした14万8,929例。主要評価項目は、妊娠中の抗うつ薬使用と妊娠12~23週における中絶(胎児異常、母体の健康障害、社会経済的問題による)との関連とした。 主な結果は以下のとおり。・少なくとも1つの抗うつ薬が処方されていた女性は、中絶群で3.7%、コントロール群で2.2%であった。・いずれかの抗うつ薬の使用と、母体の健康状態または社会経済的問題による中絶との間に関連が認められた(オッズ比[OR]:2.3、95%CI:2.0~2.5)。・胎児異常による中絶はミルタザピンの使用と関連していた(OR:2.2、95%CI:1.1~4.5)。他の抗うつ薬の使用と胎児異常による中絶との間には関連が認められなかった。関連医療ニュース 統合失調症女性の妊娠・出産、気をつけるべきポイントは 妊娠初期のうつ・不安へどう対処する 新規抗てんかん薬の催奇形性リスクは  担当者へのご意見箱はこちら

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働き盛りを襲う難渋する腰痛の正体

 12月3日、アッヴィ合同会社とエーザイ株式会社は、都内で「長引く腰痛を見過ごさない!」をテーマに共催でプレスセミナーを開催した。セミナーでは、「“怠け病”ともみられがちな男性若年層に潜む難病『強直性脊椎炎』とは?」と題し、疾患に関するレクチャーが行われた。国民病である腰痛を分析する はじめに「国民病の腰痛と知られていない強直性脊椎炎について」と題し、織田 弘美氏(埼玉医科大学医学部整形外科学 教授)より、いわゆる「腰痛」に関する概要と「強直性脊椎炎」に関する説明が行われた。 「腰痛」は、厚生労働省の調査によると、男性では有訴者率の1位、女性では「肩こり」に続く2位となっており、身近な疾患として知られている。ただ、その定義については、確立したものはなく、主に疼痛部位(解剖的な位置)、有症期間(急性、亜急性、慢性)、原因などから総合して診断される。たとえば、原因別分類であれば、脊椎由来、神経由来、内臓由来、血管由来、心因性、その他に分類され、整形外科をはじめとしてさまざまな専門領域で診療されているとのことである。 そして、鑑別診断では、動作に関係ない痛みであれば整形外科以外の疾患が考えられること、動作に関係のある痛みの場合、安静でも痛みがあれば炎症や腫瘍が、動作時だけ痛めば腰痛症、骨粗鬆症、腰椎分離・すべり症などが考えられると説明した。 次に、腰痛を起こす整形外科疾患として、腰痛症、変形性腰椎症、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、腰椎分離症・腰椎すべり症、骨粗鬆症などを紹介、その原因と症状を述べた。そのうえで、腰痛を呈するその他の疾患として、脊椎関節炎、乾癬性関節炎、急性ぶどう膜炎、反応性関節炎などを挙げ、これらを網羅する形で強直性脊椎炎が存在すると解説した。 強直性脊椎炎の診断では、(1)発症年齢40歳未満、(2)潜行性に発症、(3)体操で改善、(4)安静では改善しない、(5)夜間疼痛(起き上がると改善する)の5項目のうち、4項目に該当する場合は本症が疑われる。とくに動作を行うと軽快するのは、他の腰痛と異なるポイントとのことである。 織田氏は「腰痛患者の中に慢性で長引く患者がいた場合、本症も疑ってもらいたい」とレクチャーを終えた。痛みを我慢して仕事を続ける患者像 続いて「長引く腰痛に関連する強直性脊椎炎について」と題し、門野 夕峰氏(東京大学医学部整形外科・脊椎外科 講師)が、強直性脊椎炎の具体的な診療内容や、本症がQOLに及ぼす影響について説明を行った。 強直性脊椎炎は、社会的に広く知られていないことから、初発から確定診断まで9年程度要している現状を紹介。患者は、症状が進行すると外見的に問題が無いようでも脊椎のこわばりから動作が不自然になったり(たとえば首の可動ができないなど)、周囲の期待する動きができなかったりすることで、誤解を受けているといった状況を説明した。 強直性脊椎炎の具体的な症状については、背部痛、関節炎などのほか、画像所見はMRIでの仙腸関節炎陽性やX線での仙腸関節炎が観察されると解説。 また、3ヵ月以上続く腰痛を有する人(n=1,236)へのアンケート調査を紹介し、約8割の人が痛みの程度を「かなりつらい」「つらい」と感じているにもかかわらず、現在、医療機関を受診している人は10%にとどまり、多くの人が「痛み」を我慢しているという状況を指摘した。また、その「痛み」により、約60%の人が仕事のモチベーションが低下したとしており、休職などで労働生産性が低下している現状が明らかになった。 強直性脊椎炎の治療では、痛みにはNSAIDsを使用した対症療法と脊椎病変への運動療法、理学療法が行われているが、近年ではTNF阻害薬も使用されていると説明。CRP正常値群と高値群におけるNSAIDsの効果を比較した試験では、NSAIDs治療継続群のほうが同間欠群よりも予後良好との報告や、TNF阻害薬とNSAIDsの比較では、TNF阻害薬処方群のほうがmSASSS変化で4年目以降に効果発現することなどが報告された。 最後に門野氏は、強直性脊椎炎を疑ったら、まずはリウマチや整形外科の専門医を探すこと、WEBなどで情報を収集することを勧め、早期に治療を受けてもらいたいとレクチャーを終えた。

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【CLEAR!ジャーナル四天王 トップ20発表】鋭い論文解説がラインナップ!

臨床研究適正評価教育機構(J-CLEAR)は、臨床研究を適正に評価するために、必要な啓発・教育活動を行い、日本の臨床研究の健全な発展に寄与することを目指しているNPO法人です。 本企画『CLEAR!ジャーナル四天王』では、CareNet.comで報道された海外医学ニュース『ジャーナル四天王』に対し、鋭い視点で解説します。 コメント総数は280本(2014年11月現在)。今年掲載されたなかからアクセス数の多かった解説記事のトップ20をお届けします。 1位 「降圧薬服用患者が大幅に減る見通し、というより減らした」というほうが正確かもしれない:EBMは三位一体から四位一体へ(解説:桑島 巌 氏) (2014/5/20) 2位 これがなぜLancetに!?(解説:桑島 巌 氏) (2014/9/19) 3位 慢性心不全治療のパラダイムシフト:ACE阻害薬はもはや標準薬ではない!(解説:平山 篤志 氏) (2014/9/8) 4位 脳動静脈奇形(未破裂)の予防的切除や塞栓術などの介入療法では予後を改善できない(解説:中川原 譲二 氏) (2014/1/13) 5位 過度な減塩は死亡率を増やすか? ガイドライン推奨1日6g未満に一石を投じる研究(解説:桑島 巌 氏) (2014/8/21) 6位 患者に「歩け、歩け運動」を勧める具体的なエビデンス(解説:桑島 巌 氏) (2014/1/17) 7位 心臓マッサージは深度5cmで毎分100回:その自動化への課題(解説:香坂 俊 氏) (2014/1/8) 8位 心房細動アブレーションにおける新しいMRI指標:そのメリットとデメリット(解説:山下 武志 氏) (2014/2/18) 9位 DESは生命予後改善効果を持つ!?従来の説に一石(解説:野間 重孝 氏) (2014/7/28) 10位 よいメタ解析、悪いメタ解析?(解説:後藤 信哉 氏) (2014/1/21) 11位 急性心不全治療には新たな展開が必要では?(解説:平山 篤志 氏) (2014/1/10) 12位 大腸腺腫切除後の長期的な大腸がん死亡率(解説:上村 直実 氏) (2014/9/30) 13位 急性静脈血栓塞栓症(VTE)の治療戦略―4万5,000症例メタ解析(解説:中澤 達 氏) (2014/10/29) 14位 期待が大きいと失望も大きい:プラセボをおくことの重要性を教えてくれた試験。(解説:桑島 巌 氏) (2014/4/15) 15位 これでC型肝炎を安全に完全に治せる?(解説:溝上 雅史 氏) (2014/5/29) 16位 スタチン治療はやはり糖尿病を増やすのか?そのメカニズムは?(解説:興梠 貴英 氏) (2014/11/6) 17位 破裂性腹部大動脈瘤に対する開腹手術 vs. 血管内修復術(解説:中澤 達 氏) (2014/2/12) 18位 診察室での血圧測定はもういらない?-高血圧診療は、自己測定と薬の自己調整の時代へ(解説:桑島 巌 氏) (2014/9/17) 19位 小児BCG接種、結核菌への感染を2割予防-(解説:吉田 敦 氏) (2014/9/26) 20位 このテーマまだ興味がわきますか?アブレーション vs. 抗不整脈薬(解説:山下 武志 氏) (2014/3/6) #feature2014 .dl_yy dt{width: 50px;} #feature2014 dl div{width: 600px;}

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低用量アスピリンで心血管イベント一次予防せず~高リスク日本人高齢者/JAMA

 アテローム性動脈硬化症のリスク因子を持つ日本人高齢者への、1日1回低用量アスピリン投与について、心血管イベントの一次予防効果は認められないことが示された。早稲田大学特命教授の池田康夫氏らが、約1万5,000例について行った非盲検無作為化比較試験「JPPP試験」の結果、明らかになった。試験は、追跡期間中央値約5年の時点で中止されている。JAMA誌2014年11月17日号掲載の報告。高血圧症、脂質異常症、糖尿病のある高齢者を対象に試験 研究グループは、アテローム性動脈硬化症のリスク因子を持つ日本人高齢者1万4,464例を対象に、低用量アスピリン1日1回投与と心血管イベントの一次予防効果について試験を行った。 被験者は、2005年3月~2007年6月にかけて国内1,007ヵ所の診療所において、動脈硬化性疾患歴はないが、高血圧症、脂質異常症、糖尿病のいずれかが認められた60~85歳の高齢者であった。追跡期間は最長6.5年。最終追跡調査は2012年5月だった。 研究グループは被験者を無作為に2群に分け、一方には常用の治療薬に加えアスピリン100mg/日を投与し、もう一方の群にはアスピリンを投与しなかった。心血管イベントリスクは低下せず、非致死心筋梗塞リスクは約半減 複合主要評価項目は、心血管死(心筋梗塞、脳卒中、その他の心血管疾患)、非致死的脳卒中(虚血性、出血性、その他脳血管イベントを含む)、非致死的心筋梗塞のいずれかであった。 試験は、追跡期間中央値5.02年(範囲:4.55~5.33年)の時点で、データモニタリング委員会の判断で早期中止となった。 アスピリン群、対照群ともに、試験期間中の致死的イベントの発生は56件だった。 5年累積主要評価イベント発生率は、アスピリン群が2.77%(95%信頼区間:2.40~3.20%)に対し、対照群は2.96%(同:2.58~3.40%)と、両群で同等だった(ハザード比:0.94、同:0.77~1.15、p=0.54)。 低用量アスピリンは、非致死心筋梗塞(HR:0.53、同:0.31~0.91、p=0.02)や一過性脳虚血発作(同:0.57、同:0.32~0.99、p=0.04)の発生リスクを有意に減少した。しかし一方で、輸血または入院を要する頭蓋外出血リスクを有意に増大した(HR:1.85、同:1.22~2.81、p=0.004)。

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ケタミンは難治性うつ病に使えるのか

 難治性うつ病患者において、NMDA受容体拮抗薬ケタミンは迅速な抗うつ効果を示すが、認知機能への有害作用については十分な検討が行われていなかった。米国・マウントサイナイ医科大学のJames W Murrough氏らは、難治性うつ病患者に対するケタミンの使用に関する検討の結果、有害認知作用は治療後7日時点で消失し、ベースラインでの処理速度が緩徐である患者ほどうつ症状の改善効果は大きいことを報告した。結果を踏まえて著者は、「さらなる検討を行い、臨床検体におけるケタミンの認知プロファイルを明らかにし、また臨床的に有用な治療反応モジュレータ―を特定することが求められる」とまとめている。Neuropsychopharmacology誌オンライン版2014年11月6日号の掲載報告。 本検討は、無作為化試験にて、難治性うつ病におけるケタミンの認知機能への影響を調べること、また抗うつ反応のベースラインでの予測因子を調べることを目的とした。被験者は、抗うつ薬を併用していない62例の難治性うつ病患者で、ケタミン(0.5mg/kg)またはミダゾラム(0.045mg/kg)単回静注の前後に、MATRICS Consensus Cognitive Battery(MCCB)の評価項目を用いて、認知機能について評価を受けた。治療後の評価は7日時点で行われた。なお被験者は、2対1の割合でケタミンまたはミダゾラムを二重盲検条件下で受ける群に無作為に割り付けられ、うつ症状の評価は、治療後24、48、72時間および7日時点で、Montgomery-Asberg Depression Rating Scale(MADRS)により評価を受けた。 主な結果は以下のとおり。・被験者62例は、平均年齢46.2±12.2歳であった。・治療条件にかかわらず、認知機能は治療後に改善した。・認知機能への特異的な治療の影響は認められなかった。また、抗うつ反応との関連も認められなかった。・年齢、うつ病重症度、その他の認知領域パフォーマンスで調整したところ、ベースライン時の処理速度がより遅いことが、24時間後の時点におけるうつ症状の改善がより大きくなることを予測する独立因子であった(t=2.3、p=0.027)。関連医療ニュース 難治性うつ病に対する効果的な治療は何か 治療抵抗性うつ病に対し抗精神病薬をどう使う 治療抵抗性うつ病患者が望む、次の治療選択はどれ  担当者へのご意見箱はこちら

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事例30 プラスチックカニューレの査定【斬らレセプト】

解説事例では、プラスチックカニューレ型静脈内留置針がC事由(医学的理由による不適当)で査定となった。同留置針は、特定保険医療材料として算定が認められている。その留意事項には、「おおむね24時間以上にわたって経皮的静脈確保を必要とする場合又は6歳未満の乳幼児、ショック状態もしくはショック状態に陥る危険性のある症例で翼状針による静脈確保が困難な場合に限り算定できる」と記載されている。レセプトを確認してみると29歳の成人であって、ショック症状が含まれる傷病名はない。算定要件のうち2つが否定された。残る算定要件のおおむね24時間の留置から考えると薬剤はソルラクト輸液500mLのみである。外来受診であって、輸液量からみて同留置針がおおむね24時間の留置をされているとは判断されにくい。したがって、算定要件を満たさないとしてC査定となったものであろう。本例では、単純に静脈確保が困難を理由に使用されていたため、再審査は行なっていない。事例のように、レセプトのみで判断がつかない場合には、あらかじめのコメントなどで、医学的に必要があって使用し算定要件も満たしていることを説明しておくと良いであろう。

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ベンゾジアゼピン処方、長時間型は大幅に減少

 ベンゾジアゼピン系薬(BZD)やベンゾジアゼピン受容体アゴニスト(Z薬)の長期投与は、潜在的に生理的および精神的依存性や、その他の有害事象と関連している。デンマークのSophie Isabel Eriksen氏らは、同国における過去10年間の、BZDの処方の変化を調べた。その結果、長時間型は短時間型と比べて減少幅が大きかったことを報告した。Basic & Clinical Pharmacology & Toxicology誌オンライン版2014年11月10日号の掲載報告。 研究グループは、デンマークにおける過去10年間の、長時間型BZD(半減期10時間超)の処方について短時間型BZDと比較して分析した。デンマーク医薬品統計レジスターから、2003~2013年のプライマリヘルスケア分野における、個人に対する全BZDとZ薬の全販売データを記述的に分析した。処方箋データは、国内すべての地域薬局および病院薬剤部を対象としたものであった。 主な結果は以下のとおり。・長時間型BZDの処方は、住民1,000人当たりで2003年の25.8 DDD(defined daily dose:1日投与量)から、2013年は8.8 DDDへと減少していた(相対的減少66%)。・短時間型BZDの処方は、同26.1 DDDから16.4 DDDに減少していた(相対的減少37%)。・本調査の処方データは、治療開始にあたっての適応に関する情報が不明であった。また、コンプライアンス問題のために、処方薬は実際には処方通りに服用されていなかった可能性がある。・処方の減少は、依存性薬物に関する国のガイドライン新規導入に伴ってみられたが、今回の調査はその関連性を検出するようにデザインされておらず、因果関係は不明であった。関連医療ニュース ベンゾジアゼピン使用は何をもたらすのか 急性期精神疾患に対するベンゾジアゼピン系薬剤の使用をどう考える 統合失調症治療、ベンゾジアゼピン系薬の位置づけは  担当者へのご意見箱はこちら

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1分でわかる家庭医療のパール ~翻訳プロジェクトより 第14回

第14回:乗り物酔い(動揺病)の予防監修:吉本 尚(よしもと ひさし)氏 筑波大学附属病院 総合診療科 乗り物酔い(動揺病)の予防方法を、患者さんに聞かれることがあると思います。さまざまな予防法がありますが、基本的には、体調を整えて無理をしないことのようです。予防のための薬物使用としてGrade A1)として挙げられているスコポラミンの貼り薬は、日本では市販・処方箋処方ともに製品として販売していません。酔い止めとして市販されているトラベルミンなどにはスコポラミンが成分として入っていますが、医師が処方箋として処方するトラベルミン(ジフェンヒドラミンサリチル酸塩[第一世代抗ヒスタミン]、ジプロフィリン)には、スコポラミンは入っていません。市販薬を勧めてみることも選択肢の一つといえます。第一世代抗ヒスタミンでは、Cinnarizine(日本販売なし)、プロメタジン(商品名:ヒベルナ、ピレチア/動揺病として保険適用あり)がModerately Effectiveとして挙げられています1)。 以下、American Family Physician.  2014年7月1日号1) より1. 概論乗り物酔いは、ある種の揺れに体が巻き込まれて起こる症状である。前庭部や視覚、その他の感覚受容器での調整不全から起こると考えられている。嘔気が特徴であるが、胃の不快感や倦怠感、眠気、神経過敏がしばしば先に出現する。早くその症状に気づくことは大切であり、動揺病を防ぐための行動や薬での対策をすべきである。2. 非薬物療法乗り物酔いを引き起こしやすい状況を自覚して、天候不順時の移動を避けたり、起伏の激しい地形やカーブの多い路面を避ける。また、乗り物の最も安定した場所にいることにより不快な揺れを減らすべきである。具体的には、飛行機では翼上の座席、自動車では運転席あるいは前席、2階建てバスや電車では前の方の1階席の窓側、船では波の来る面に対して水面近くだが船首は避ける。ゆっくりした断続的な揺れは、症状を軽減する。水平線を眺めたり、自分で乗り物を運転する、動く方向に顔を向ける、目を閉じて横になる、視覚的な作業をしないなどがある(Grade C)。可能な限り、身体的(脱水や疲労、空腹など)、精神的、感情的に不快を及ぼしやすい要因を減らす。体を動かし続けることも試みるべきである。3. 薬物療法スコポラミンは予防の第一選択薬で、数時間前に経皮的に貼るか、1時間前に服用すべきである(Grade A 貼り薬:Most Effective、経口:Moderately Effective)。第一世代抗ヒスタミンは、鎮静的になるが、効果はある(Grade B)。第二世代以降の抗ヒスタミン薬やオンダンセトロン、根生姜などの有効性は乏しい。※本内容は、プライマリケアに関わる筆者の個人的な見解が含まれており、詳細に関しては原著を参照されることを推奨いたします。 1) Andrew Brainard, et al. Am Fam Physician. 2014 Jul 1;90(1):41-46.

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第29回 外科手術に100%を求める裁判所の姿勢への疑問

■今回のテーマのポイント1.整形外科疾患で一番訴訟が多い部位は「脊椎」である2.脊椎疾患に関する訴訟では、手術適応、手技ミス、術後管理、説明義務違反が主として争われている3.脊椎疾患に関する訴訟では、他の診療科の疾患に比し、手技ミスが容易に認められており、大きな問題である■事件のサマリ原告患者X被告Y病院争点手術手技上のミスによる債務不履行責任結果原告勝訴、1,260万円の損害賠償事件の概要55歳女性(X)。平成12年頃から、腰痛ならびに右下肢の痺れおよび疼痛が出現したことから、平成13年に近医受診したところ、第4腰椎と第5腰椎間に脊柱管の狭窄が認められ、腰部脊柱管狭窄症と診断されました。その後Xは、近医にて、理学療法を受けたり、鍼灸院に通院したりしたものの、症状が改善しなかったため、平成16年8月、Y大学附属病院を紹介受診しました。Y大学附属病院にて神経根ブロックを実施したところ、心拍数および血圧が急激に低下したため、Xに対する神経根ブロックは途中で中止となりました。検討の結果、今後も神経根ブロックを実施しないこと、Xに対し除圧手術を行うこととなりました。Xは、平成16年9月24日、除圧手術目的で入院となり、同月30日に内視鏡下で手術が行われました。執刀医であるA医師は、硬膜を露出させるために、エアドリルなどを用いて第4腰椎の椎弓を切除するとともに、ケリソン・ロンジュールなどを用いて、黄色靭帯の切除を開始しました。A医師が黄色靭帯の切除を続けるうちに、硬膜外腔の脂肪層が消滅し、黄色靭帯と硬膜とが広範囲にわたって癒着していることが明らかとなりました。そこで、A医師は、硬膜を直視下に確認できない状態のまま、剥離子を用いて硬膜と黄色靭帯とを剥離しながら、ケリソン・ロンジュールを用いて黄色靭帯を切除していきました。ところが、その後しばらくして、術野に髄液と思われる透明の液体が漏れ出してきました。A医師は、硬膜損傷の可能性を疑いましたが、硬膜を観察することはできなかったため、内視鏡下法から従来法に、術式を変更することとしました。A医師が硬膜を露出させたところ、露出した硬膜の左側において、硬膜およびクモ膜が円状(直径約1cm)に欠損しており、同欠損部分から馬尾が露出していました。また、欠損が生じていない部分についても、硬膜の菲薄化が進行していました。A医師は、狭窄箇所に対する除圧を十分に行った後、Xの傍脊柱筋から縦2cm × 横3cmの筋膜を採取し、上記欠損部分を覆うようにして、椎弓および軟部組織に上記筋膜を逢着し、手術を終了しました。 しかし、Xは、病室に戻った直後から、左下肢の痺れおよび疼痛を訴えるようになり、翌日以降には、左臀部、陰部の痺れおよび疼痛、ならびに膀胱機能障害が認められるようになりました。その後、加療したものの、症状の十分な改善はみられず、Xは、身体障害者福祉法施行規則別表第5号3級の「体幹の機能障害により歩行が困難なもの」に該当する障害と認定され、身体障害者手帳の交付を受けました。なお、Xが従前訴えていた右下肢の痺れ及び疼痛については、本件手術後、その大部分が消失しました。これに対し、Xは、手術手技上のミスなどがあったとして、Y大学附属病院に対し、約2,980万円の損害賠償請求を行いました。事件の判決A医師は、黄色靭帯と硬膜との剥離を開始する前の時点で、L4/5の硬膜外腔の脂肪層が消滅し、硬膜と黄色靭帯とが広範囲にわたって癒着していることを認識していたと認められる。ところで、証人の証言及び鑑定の結果によれば、黄色靭帯と馬尾を保護する硬膜とが癒着している場合、硬膜の菲薄化が進んでいることが多く、黄色靭帯の剥離に伴い、硬膜及び硬膜下に存在する薄いクモ膜に欠損が生じる可能性があることが認められる。また、前記で認定した事実及び鑑定の結果によれば、硬膜及びクモ膜に欠損が生じた場合、これらに保護された馬尾に損傷を生じる可能性があること、また、L4/5に存する馬尾に損傷が生じた場合、下肢の筋力低下、感覚障害並びに膀胱及び直腸の機能障害といった重篤な障害が生じ得ることが認められる。そうすると、A医師は、本件手術において、黄色靭帯を硬膜から剥離して除去する際、硬膜及びクモ膜に欠損を生じさせ、馬尾を損傷することのないよう、慎重に黄色靭帯の剥離を行い、剥離が完了した部分のみをケリソン・ロンジュール等を用いて除去すべき注意義務を負っていたというべきである。また、前記で認定した事実によれば、本件手術が従来法に比べて難易度の高い内視鏡下法により行われていたこと、内視鏡下法で開始された手術であっても、従来法に術式を変更することは比較的容易であることが認められるから、A医師の負っていた上記注意義務は、従来法により手術を実施した場合に比して軽減されるものではないというべきである。A医師は、硬膜を直視下に確認できない状態のまま、剥離子を用いて硬膜と黄色靭帯を剥離しながら、ケリソン・ロンジュールを用いて黄色靭帯を切除していった。その結果、原告の硬膜及びクモ膜に、直径約1cmの欠損を生じさせている。ところで、鑑定の結果によれば、本件手術に用いられたケリソン・ロンジュールは、1回の操作で数mmの組織しか切除することができないものであることが認められる。そうすると、A医師は、硬膜から剥離しきれていない黄色靭帯ないし硬膜そのものを、ケリソン・ロンジュールによって複数回にわたって切除したか、又は、これらをケリソン・ロンジュールによって把持した状態で牽引操作を加え、硬膜を引き裂いて原告の硬膜及びクモ膜に直径約1cmもの欠損を生じさせたと認めることができる。そして、このようなA医師の手技は、前記で判示した慎重に黄色靭帯の剥離を行い、確実に剥離された部分のみをケリソン・ロンジュール等を用いて除去すべき注意義務に反するものといわざるを得ない。したがって、A医師には手技を誤った過失があり、これは、被告の診療契約上の債務不履行に当たる。(*判決文中、下線は筆者による加筆)(鹿児島地判 平成24年4月11日)ポイント解説■整形外科疾患の訴訟の現状今回は整形外科疾患です。整形外科疾患で最も訴訟が多い部位が「脊椎」であり、ほぼ半数を占めています。次いで多い部位が下腿で、以下、大腿、股関節、手関節となっています(表1)。脊椎疾患は、疼痛や痺れなど症状はあるものの、従前、歩行していた患者が、突然、寝たきりとなってしまうことから、訴訟件数が多くなっています。このような背景からか、脊椎疾患に関する訴訟は、他の部位と比し、原告側の勝訴率も高く(76.9% 対 33.3%)、かつ、認容額も高く(1,888万円 対 1,154万円)なっています。 脊椎疾患に関する訴訟で最も多い疾患は、腰部脊柱管狭窄症で、次いで頸椎症性脊髄症となっています。そして、脊椎疾患に関する訴訟において主として争点となるのは、手術適応、手技ミス、術後管理(再手術決断の遅れを含む)、説明義務違反であり、裁判所が過失を認めた争点として最も多いのが術後管理(4/5件)であり、次いで説明義務違反(3/6件)となっています(表2)。画像を拡大する画像を拡大する画像を拡大する画像を拡大する■脊椎疾患における手技ミス脊椎疾患に関する訴訟において特徴的なのは、他の手術と比べ手技ミスが認められやすい(2/5件)点です。第18回でも解説したように、裁判所は、具体的な手術手技に著しい問題があった場合にのみ、手技上の過失を認めることが通常ですが、脊椎疾患については、手技上の過失を厳格に認める傾向があります。本事例においても、「A医師は、本件手術において、黄色靭帯を硬膜から剥離して除去する際、硬膜及びクモ膜に欠損を生じさせ、馬尾を損傷することのないよう、慎重に黄色靭帯の剥離を行い、剥離が完了した部分のみをケリソン・ロンジュール等を用いて除去すべき注意義務を負っていたというべきである。また、前記で認定した事実によれば、本件手術が従来法に比べて難易度の高い内視鏡下法により行われていたこと、内視鏡下法で開始された手術であっても、従来法に術式を変更することは比較的容易であることが認められるから、A医師の負っていた上記注意義務は、従来法により手術を実施した場合に比して軽減されるものではないというべきである」として、厳格に手技ミスを認めています。他の判例においても、「被控訴人が手術前四肢全体としては重度の障害があったというものの、術後は両下肢を全く動かすことができず手指もほとんど動かないといった質的に明らかに異なる四肢不全麻痺が出現していることに加え、前記頸椎後縦靱帯骨化巣の切除のためのエアトーム使用の際の危険性等に照らせば、乙医師が本件第1頸椎手術の際になんらかの原因で脊髄を損傷したものとみるのが自然かつ合理的であるから、控訴人の主張は採用することができない。そうすると、頸椎後縦靱帯骨化巣の前方からの切除術が難易度の高い手術であることを十分に考慮に入れても、上記損傷が不可避であった等の特段の事情について立証のない本件にあっては(なお、乙医師は、本件手術当時、500例を超える頸椎手術を経験していたこと、上記のとおり、本件手術に際しマイクロスコープを用いていたことのみでは上記特段の事情があると認めることはできない。また、損傷が不可避であるとすれば、このような手術方法を選択したこと自体の当否が問題とされるべきであろう)、乙医師が過誤によって脊髄を損傷したものであると推認すべきであって、乙医師は、上記〔1〕ないし〔3〕の際に、細心の注意を用い脊髄を損傷させないようにすべき注意義務があったにもかかわらず、これを怠った過失があるというべきである」(福岡高判平成20年2月15日)といったように損害が発生した以上は過失が推認され、病院側から特段の事情を主張立証する必要があるとするような判決まであります。いくら損害が重大であったとしても、このような裁判所の傾向は問題といえます。法律上、主張立証責任は原告が負っているのであり、原告から具体的な過失を提示されない限り、病院側は防御のしようがありません。あまつさえ、何も問題がなかったことを病院側で立証しろといった悪魔の証明を課すことは、およそ許されることではありません。2000年代に生じた医療バッシングの残骸(可哀想だから金を払え)が、脊椎疾患に関する訴訟に残っているように思われます。医療側は、批判を受け反省し、脊椎内視鏡手術については、現在、認定を受けた脊椎外科医のみが執刀できるようにしています。それでも残念ながら合併症がなくなることはありません。このような過酷な判断が繰り返され、萎縮医療が進むようなことがあれば、結局、不利益を受けるのは国民です。医療の現実を直視し、裁判所は冷静な判断をするよう切望します。(*判決文中、下線は筆者による加筆)※資料作成 森 亘平氏(浜松医科大学医学部医学科2年)裁判例のリンク鹿児島地判平成24年4月11日福岡高判平成20年2月15日本事件の判決については、最高裁のサイトでまだ公開されておりません。

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事例29 ツロブテロール(商品名: ホクナリン テープ)1mgの査定【斬らレセプト】

解説事例では、熱発にて初診を行なった7歳の患者に対して処方したツロブテロール(ホクナリン®)テープ1mgが、A事由(医学的に適応と認められないもの)を理由に査定となった。医師から、コメントで「咳が激しい」と訴えたが査定となった。その理由は何かと問い合わせがあり、調べてみた。レセプトを確認すると、傷病名欄には急性上気道炎のみの記載であった。他には急性上気道炎に対する薬剤が処方されているのみであった。急性上気道炎に対してホクナリン®テープの適応があるかどうか添付文書を精査した。添付文書の効能・効果には、「気管支喘息、急性気管支炎、慢性気管支炎、肺気腫の気道閉塞性障害に基づく呼吸困難など諸症状の緩解に適応する」とある。したがって、レセプトに記載された急性上気道炎のみでは医学的に適用が認められないとしてA事由にて査定となったものであろう。経験則では、インフルエンザなどの医学的に気管支炎を伴う疾病が記載されていれば、急性気管支炎などの適用病名を記載しなくても査定となっていない。しかし、査定が増えている薬剤であるので、留意して算定をお願いしたい。

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【GET!ザ・トレンド】食物アレルギー

定義・病態1)2)食物アレルギーは「原因食物を摂取した後に、免疫学的機序を介して生体に不利益な症状(皮膚、粘膜、消化器、呼吸器、アナフィラキシーなど)が惹起される現象」を指し、食中毒や自然毒、免疫機序を介さない食物不耐症(仮性アレルゲンに伴う不耐症や乳糖不耐症など)は食物アレルギーと分けて区別する。疫学乳幼児期で5~10%、学童期で2~5%と考えられている。発症はそのほとんどが0~1歳であり、病型は即時型がほとんどである。主要原因食物は鶏卵、牛乳、小麦であり、全体の2/3を占める。また、これらの原因食物はほとんどが乳幼児期発症であり、そのうち3歳までにおよそ50%、6歳までに80~90%が耐性を獲得(食べられるようになること)する。原因食物は年齢ごとに異なり、学童期以降になると、甲殻類、果物類、小麦、ソバ、落花生、木の実などの発症が多い。表1を拡大する臨床病型1)新生児乳児消化管アレルギー7)早期新生児期に消化器症状(嘔吐、下痢、血便)を主に発症してくる。ほとんどは牛乳が抗原であるが、まれであるが大豆や米が原因のこともある。表2を拡大する2)食物アレルギーの関与する乳児アトピー性皮膚炎乳児期に顔面から前胸部にはじまり2ヵ月以上の慢性の経過を辿る。乳児の慢性湿疹のすべてが本疾患ではない。環境抗原が原因の古典的アトピー性皮膚炎であったり、乳児湿疹のコントロール不良例であったりするので慎重な鑑別が必要である。3)即時型8)誘発症状は蕁麻疹に代表される皮膚症状が90%程度の症例に認められる。以下、呼吸器、粘膜、消化器、全身症状の順に多い。アナフィラキシー症状も少なくなく、ショックの頻度は、7~10%と考えられている(図1)。図1を拡大する4)口腔アレルギー症候群果物や野菜に頻度が多く、症状は口腔喉頭症状のみであり、具体的には口腔内違和感(舌が腫れた感じ、口蓋のひりひり感など)、口唇周囲の症状が中心である。食品抗原と一部花粉やラテックス抗原との間に交叉性があり、合併しやすい傾向がある。5)食物依存性運動誘発アナフィラキシー9)原因食物(小麦、甲殻類、木の実類など)を摂取して、およそ4時間以内に運動を行ったときに誘発される。再現性は必ずしも高くない。診断されても、運動する前に原因食物を食べなければ良く、また食べたらおよそ4時間は運動をしなければ、除去の必要はない。診断1)2)診断のためのフローチャートを、乳児期に発症の多い、「食物アレルギーの関与する乳児アトピー性皮膚炎」と全年齢層に幅広く分布する「即時型」の2通り示す(図2-1、2-2)。いずれにしても十分な問診の情報を元に、他覚的検査を補助診断材料として用い、最終的には食物経口負荷試験の結果を基本に診断を進める。図2-1を拡大する図2-2を拡大する1)特異的IgE抗体検査(ImmunoCAP®、Skin Prick Test)特異的IgE抗体価の結果のみで、食物アレルギーの診断を行うことはできない。しかし、経口食物負荷試験実施は敷居が高く、検査結果で除去指導が行われている臨床の実態があるのも事実であり、食物アレルギー診療の1つの問題点である。主に行われる検査手法はImmunoCAP®法(Thermo Scientific社)であり、同結果を用いて負荷試験を実施したときの95%以上の陽性的中率となる抗体価の報告がある。とくにわが国からはprobability curveの報告があり(図3)、因子(年齢、原因食物)を考慮しながら本指標を利用することで、食物負荷試験の陽性リスクの確率的な高低を知ることができる10)。Skin Prick Test(皮膚プリックテスト)も同様に感度、特異度とも高いが、陽性的中率が低く、臨床的有用性は特異的IgE抗体検査に劣る11)。一般的には食べられる(耐性獲得)状況になっても、陽性になる傾向があり、耐性獲得の判断には向かない。図3を拡大する2)食物経口負荷試験食物アレルギーの診断は食物負荷試験がgold standardである。経口食物負荷試験は9歳未満の患児に対して、2006年に入院負荷試験、2008年に外来負荷試験に対して診療報酬が認められるようになった。実施には、小児科を標榜している保険医療機関、小児食物アレルギーの診断および治療の経験を10年以上有する小児科を担当する常勤医師が1名以上、急変時などの緊急事態に対応するための体制その他当該検査を行うための体制が整備されている必要がある。食物負荷試験を行うにあたって施行方法、適応、症状出現時の対応、検査結果の見方、その後の経過の追い方を詳しく理解する必要がある。その詳細は、「食物アレルギー経口負荷試験ガイドライン2009(日本小児アレルギー学会刊行)」に詳しい12)。食物アレルギーの治療1)必要最小限の除去と栄養指導食物アレルギーの診療の基本は“正しい診断に基づく必要最小限の除去”と“栄養指導”であり、積極的に治癒を誘導する治療方法や薬物は現状ではない。医師は定期的に特異的IgE値をチェックしながら、時期がきたら経口食物負荷試験を実施し耐性獲得の有無を確認するだけである。食物アレルギー児は、必要最小限ではあるが除去食をしながら耐性の獲得を待つことになる。除去食は、成長発達著しい乳幼児期に栄養学的リスクを取らせることになるため、医師は常に栄養評価を念頭に置き、管理栄養士とともに栄養指導を行いながら経過を追う必要がある。食物アレルギーの栄養指導には、厚生労働科学研究(研究分担者 今井孝成)で作成された「食物アレルギーの栄養指導の手引き2011」が参考になる13)。食物アレルギー研究会のホームページ(www.foodallergy.jp)などで無償ダウンロードできる。2)薬物療法クロモグリク酸ナトリウムは、食物アレルギーに伴う皮膚症状に保険適応があるのであって、耐性を誘導したり、内服することで原因食物が食べられるようになったりするような効果は持たない。第2世代以降のヒスタミン薬やロイコトリエン受容体拮抗薬なども、継続投与することで耐性を誘導するものではない。3)経口免疫療法(減感作療法)14)その効果は一目置くに値するが、治療中のアナフィラキシー症状(時にはショック症状)の誘発リスクがあるため、保護者および患児に対して十分なインフォームドコンセントを得て、かつ食物アレルギーおよびアナフィラキシー症状に十分な経験がある医師の監督下で慎重に行われる必要がある。安易に食物アレルギー患者に本法を導入することは、厳に慎むべきである。減感作のメカニズムは不明な点が多く、今後の研究の進展が期待される。アナフィラキシー15)アナフィラキシー症状は、アレルギー反応が原因で複数の臓器症状が急速に全身性にあらわれる状況を指す。小児における原因は食物が多いが、薬物や昆虫なども原因となる。アナフィラキシーショックは、アナフィラキシー症状のうち血圧低下、それに起因する意識障害などを伴う最重症の状態を指し、生命の危機的状況にある。症状の進行が速く、秒~分単位で進展していく。このため発症早期の発見と対処が重要である。アナフィラキシーの治療は、ショックおよびプレショック状態の場合には、できるだけ迅速にアドレナリン0.01mg/kg(最大0.3mg)を筋肉注射するべきである。アナフィラキシーショックに陥った場合には、発症30分以内のアドレナリン投与が予後を左右する。アドレナリンには自己注射薬(エピペン®)があり、0.3mgと0.15mgの2剤形がある。2009年には救急救命士は、自己注射薬の処方を受けている患者がアナフィラキシーに陥り、アドレナリンを注射すべき状況にあるとき、メディカルコントロールが無くても患者に自己注射薬を注射することが認められている。参考文献1)日本小児アレルギー学会食物アレルギー委員会.食物アレルギー診療ガイドライン2012.協和企画;2011.2)「食物アレルギーの診療の手引き2011」検討委員会編.厚生労働科学研究班による食物アレルギーの診療の手引き2011.3)今井孝成. アレルギー.2004;53:689-695.4)海老澤元宏ほか. アレルギー.2004;53:844.5)長谷川実穂ほか. 日小児アレルギー会誌.2007;21:560.6)今井孝成、板橋家頭夫. 日小児会誌.2005;109:1117-1122.7)Miyazawa T, et al. Pediatr Int. 2009; 51: 544-547.8)今井 孝成.アレルギー.2004;53:689-695.9)相原雄幸. 日小児アレルギー会誌.2004;18:59-67.10)Komata T, et al. J Allergy Clin Immunol. 2007; 119: 1272-1274.11)緒方 美佳ほか.アレルギー.2010;59: 839-846.12)宇理須厚雄ほか監修.日本小児アレルギー学会食物アレルギー委員会 経口負荷試験標準化WG.食物アレルギー経口負荷試験ガイドライン2009.協和企画;2009.13)厚生労働科学研究班(研究分担者:今井孝成).食物アレルギーの栄養指導の手引き2011.14)海老澤 元宏ほか.日小児アレルギー会誌.2012;26:158-166.15)今井 孝成ほか.アレルギー.2008;57:722-727.

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アトピー性感作 周囲の環境が影響

森林や農地など、自然の近くに家があるほど、小児のアトピー性感作が少ないことが、フィンランド・ヘルシンキ大学 のLasse Ruokolainen氏らにより報告された。Allergy誌オンライン版2014年11月11日掲載報告。西洋的なライフスタイルはアレルギーや喘息、その他の慢性炎症性疾患の高い有病率と関連することが知られている。Ruokolainen氏らはこのことを明らかにするため、自然環境とアトピー性感作が関連しているとの仮説を立て、これを検証した。仮説環境微生物叢を含む生物多様性との接触が少ない小児では、ヒト共生微生物叢の構成や免疫寛容に悪影響が生じる。方法●解析には、フィンランドとエストニアの4つのコホート試験を用いた。●6ヵ月~20歳の小児・青年の合計1044人のデータを用いた。●アトピー性感作の有無は、吸入アレルゲンの特異的IgE抗体測定で評価した。●自宅周辺の自然環境はCORINE2006分類(土地被覆データ)により、(1)森林、(2)農地、(3)市街地、(4)湿地、(5)水辺の近く、の5つに分類された。結果●森林または農地から2~5km以内に自宅があることと、アトピー性感作との間に、有意な逆相関の関連が認められた。●この関連は6歳以上の小児でみられた。●土地被覆データにより、健康人の皮膚のプロテオバクテリアの相対存在量には20%ものばらつきがみられることが示された。●上記より、自然環境が共生微生物叢に強い影響を与えるという仮説が支持された。考察●自宅周辺に森林や農地など緑の多い環境があることは、小児アトピー感作リスクと逆相関の関連がある。よって、小児のうちに自然の多い環境にいることは、とくに重要と考えられる。●環境による影響は、免疫寛容に影響を及ぼす共生微生物叢の環境微生物叢によってもたらされる可能性がある。

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未来を担う医療系学生(31)

二階堂 紗恵さん麻布大学獣医学部 獣医学科 4年希望進路:獣医科牛が大好きです。コメントとにかく牛が好きなんです!かわいがり過ぎると、食べられなくなるんじゃないかと思われるかもしれないのですが、食肉として牛肉も大好き。食肉になるということは、畜産家にも、獣医にも、消費者にも一番良い形で牛を育てられた証。だから牛の健康管理は本当に真剣です。1年から当番で乳牛の世話をしていますが、話しかけると何となく意思の疎通ができているようで嬉しいですね。撮影:江上嘉郁

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未来を担う医療系学生(32)

山本 理香子さん島根大学医学部 医学科 4年希望進路:整形外科笑顔を絶やさず患者さんに信頼されるような医師になりたいです。コメント中学時代バスケに夢中だったのですが、膝を傷めて2回手術しました。もちろん試合なども出られなくて、筋肉をつけるためのリハビリに多くの時間を費やしました。いまはすっかり治って、大学ではバドミントン部のキャプテンをしています。中学とか高校で、スポーツに励んでいる人たちが、限られた大事な3年間を思う存分、練習や試合に打ち込めるようにサポートしてあげられるような医師になりたいです。撮影:田里弐裸衣

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未来を担う医療系学生(33)

岡本 美波さん横浜市立大学医学部 看護学科 2年希望進路:産婦人科患者さんの心に寄りそえる看護師になりたいです。コメント幼いころから祖母が入退院を繰り返していたので、お世話になった看護師さんに憧れていたのがきっかけで看護師を目指すようになりました。将来は、産婦人科で活躍したいなと思っています。あと、ワークライフバランスは将来の目標でもあり、大切なことだと思います。夢は、家事も仕事もこなせるかわいい奥さんになることです!撮影:田里弐裸衣

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未来を担う医療系学生(34)

宮本 紗代さん慶應義塾大学看護医療学部 3年希望進路:産科Thank you!コメント10歳年下の妹が生まれる時、帝王切開に臨むお母さんがすごくかっこよくて、自分もお母さんを支えるために何かしたいって思いました。そのための仕事が看護師なんだって気付いたのは中学のときですね。看護師になるからには、進路はもちろん産婦人科。尊敬する助産師さんは山本詩子先生と川島みどり先生。私も素敵な先輩たちの背中を見ながら沢山のことを吸収して、女性の助けになれる看護師になっていきたいです!撮影:田里弐裸衣

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未来を担う医療系学生(35)

岩切 由季さん鹿児島大学医学部 医学科 4年希望進路:外科ありがとうございます!コメント鹿児島からこのイベントのために東京に遊びに来ました。医師だけでなく様々な職種の学生同士で話ができる機会は本当に貴重だなって思います。将来進むのは外科って 決めています。初めから興味があったわけではないんですが、心臓の模擬手術をしてみたとき、とてもやりがいを感じたんです。正確さや手早さが求められるところが自分には合っているのかな・・・なんて思っています。撮影:田里弐裸衣

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事例28 エソメプラゾール(商品名: ネキシウム)20mgの査定【斬らレセプト】

解説事例では、プレドニゾロン錠(ステロイド剤)の投与で発症することがある胃潰瘍または十二指腸潰瘍の予防に、ネキシウム®カプセル20mgを投与していた事例である。レセプトのコメントにもその旨を記載した。しかし、適応外としてC事由(医学的理由による不適当と判断されるもの)で査定となった。査定となったことが突合点検結果連絡書で届いたので、ネキシウム®カプセル20mgに再発抑制の効能があるのか、添付文書を確認した。効能には「非ステロイド性抗炎症薬投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制と、低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制」のみが記載されており、ステロイド剤に対する胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制は記載されていなかった。このことから、適応外を理由に査定となったものであろう。医学的理由にて投与の必要性があったとしても、よほどの必要性がない限り添付文書の記載が優先されるという事例であった。

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Dr.野原のナルホド!摂食・嚥下障害マネジメント ~キュアからケアへ~

第1回「キュアからケアへ!これからの摂食・嚥下障害マネジメント」第2回「おじいちゃん、何で食べられへんの?大事なのは診断と病態把握」第3回「ちょっとした工夫で乗り越えよう 先行期の障害への食事支援」第4回「助けて歯医者さん! 準備期の障害への食事支援」コラム1「頼れる武器、嚥下内視鏡を活用しよう」第5回「そこから先に進めない? 口腔期の障害への食事支援」第6回「食道?気管?運命の分かれ道! 咽頭期の障害への食事支援」第7回「せっかく飲み込んだのに・・・ 食道期の障害への食事支援」第8回「誤嚥してもええじゃないか? 侵襲と抵抗のバランスを考える」第9回「肺炎にならないための抵抗を! 呼吸理学療法・薬剤・ワクチン・栄養」コラム2「その嚥下障害、医師のせい?」第10回「それは誤解です! 胃瘻イコール禁食、ではない」第11回「食べることは生きること 嚥下機能のソフトランディング」 嚥下障害を抱える患者に、どのようなサポートを行っていますか?このコンテンツでは、これまでの概念を覆した食事支援に対する新しい考え方や実践法を盛り込み、摂食・嚥下に関する疑問や悩みを解決します。キーワードは“キュアからケアへ”。「なぜ食べられないのか4大認知症を含めた分析」、「急性期だけではなく慢性期の食事支援がいかに重要か」、「“5つの期”で分けられる食事支援の具体的な方法」、「誤嚥しても肺炎にしない考え方と実践法」、「在宅でも活用できる嚥下内視鏡」、「医学的見地と患者さんのQOLの見地から胃瘻をどう考えるべきか」・・・などを解説します。ナルホド!第1回 キュアからケアへ!これからの摂食・嚥下障害マネジメント 摂食・嚥下障害マネジメントを行う前に納得しておきたい。なぜこれから施設・在宅でのマネジメントが重要となるのか?また、原因疾患の進行期別の患者数の違い、それに伴う病院や在宅での患者層や対応の違い、など事項を解説。“キュアからケア”の考え方を理解しよう。第2回 おじいちゃん、何で食べられへんの?大事なのは診断と病態把握 食事支援で、目指すのはもちろん経口摂取だが、これには、窒息、誤嚥性肺炎という2つの落とし穴がある。第2回は、そんな落とし穴に入らないためのケアのポイント、診断と病態把握について解説する。診断のために押さえておくべき“4大認知症”の復習、そして病態把握のために考えるべき“5つの期”とは・・・?ここを押さえずして次に進むべからず、必見です。第3回 ちょっとした工夫で乗り越えよう 先行期の障害への食事支援 食事支援で必要な“5つの期”で、初めの関門である“先行期”の障害の実態にフォーカスする。シンプルな声かけ、食器の選び方、食事の提供方法、食事内容、といったちょっとした工夫を、患者さんを支えるスタッフ全員が理解することで、乗り越えるハードルは低くなる。4大認知症と照らし合わせながらの考え方も注目したい。第4回 助けて歯医者さん! 準備期の障害への食事支援 “5つの期”のうち2番目、“準備期”。その主な役割は食塊形成であり、それができるかどうかは誤嚥に大きく影響する。第4回目は、どの認知症の種類が食塊形成不良を起こしやすいのか、そしてそれ以上に、口腔機能の状態も大きく影響することを理解していく。歯科医師による口腔機能の改善、口腔機能に合わせた食事内容の工夫、義歯への配慮、改善できることを知り、食塊形成の状態に合わせた食事内容を考えよう。【コラム1】頼れる武器、嚥下内視鏡を活用しよう  “準備期”のチェックに有効な嚥下内視鏡について掘り下げる。内視鏡を入れたときの基本から、口内物がどこに触れると嚥下反射が起こるのか、また、嚥下造影検査と嚥下内視鏡検査それぞれのメリット・デメリットについても解説。野原氏は、施設・在宅には嚥下内視鏡検査をお勧めするが、環境に合わせての使い分けなども考えたい。第5回 そこから先に進めない? 口腔期の障害への食事支援  “5つの期”のうち、食べ物を喉に送り込む3工程目、“口腔期”まで来た。先行期、準備期に異常がなく食事に時間がかかっている患者さんは、口腔期の可能性がある。食べる順番、リクライニングなどの工夫で支援しよう。また、口腔期の障害を持ちやすい認知症の種類も覚えておきたい。第6回 食道?気管?運命の分かれ道! 咽頭期の障害への食事支援  咽頭から食道に食べ物を送り込む“5つの期”のうち最も難所である“咽頭期”。誤嚥や窒息が起こりやすいので注意が必要だ。誤嚥には、咳やむせを伴う“顕性誤嚥”と、誤嚥の自覚がなく本人や介助者も気付きにくい“不顕性誤嚥”があり原因疾患をしっかり覚えておきたい。第6回は誤嚥の種類や仕組み、原因疾患、嚥下を誘発しやすい食事内容や増粘剤を利用した工夫について解説する。第7回 せっかく飲み込んだのに・・・ 食道期の障害への食事支援  “5つの期”のうち最後の期、“食道期”。食道は、飲み込んだ後なので嚥下と関係ないと思ったら大間違い。食べ物の逆流による肺炎を見逃してはならないのだ。第7回は、逆流を起こしやすい姿勢、薬剤、リスク、また、逆流を疑う症状は何かをお伝えする。把握して、患者さんを注意深く観察しよう。第8回 誤嚥してもええじゃないか? 侵襲と抵抗のバランスを考える どんなに食事の支援をしても、誤嚥性肺炎になる患者さんは現実的にいるものだ。では患者さんを救う手だては他にないのだろうか。経口摂取禁止はいたしかたないのか・・・?誤嚥性肺炎に行き詰まってしまったそんな時、考え方を変えてみてほしい。そう、“誤嚥しても、肺炎にならなければいい”と。第8回では、その考え方の仕組みを解説し、そこで言う“侵襲”の量を減らすべく口腔ケアの重要性、そして方法をお伝えする。第9回 肺炎にならないための抵抗を!呼吸理学療法・薬剤・ワクチン・栄養  “侵襲”を減らすことも大事だが、同時に“抵抗”をあげる努力もしていきたい。一口に言っても誤嚥性肺炎を持つ患者さんは年配の方も多く難しいと思いがちだ。だが出来ることがいくつかある。呼吸機能の低下がどれほど嚥下反射に響くか、補助的に使用したい喀出力を高める薬剤、患者さんへのワクチン適用を気にする必要性、老化遅延のための食生活指針、これらを理解してみんなで“抵抗”をあげていこう。【コラム2】その嚥下障害、医師のせい?  誤嚥もあり日常生活動作の著しい低下を認められた在宅療養中の75歳男性。彼は右顔面神経麻痺の認知症と診断されていた。しかし主治医と野原氏が診たところ、9ヶ月後にはぐんぐん改善し、日常生活動作に問題はなく顔面に麻痺は残るが、なんと認知症ではなかったのだ。彼らがしたこと、それは無くても良い薬を切っていくこと。コラム2では、なるべく出したくない薬剤性嚥下障害の原因薬剤をお伝えする。もちろん薬の事だけでなく、口腔ケアや、食事内容の工夫、補液、呼吸理学療法などみんなで支えていくことが大前提だが、出されている薬が本当に必要な薬なのか、見落としたくないところだ。第10回 それは誤解です! 胃瘻イコール禁食、ではない  陥りやすい胃瘻の誤解を一挙公開。この番組でお伝えしてきた食事支援や様々な方法、それらを実践しどんなに手を尽くしても、悲しいかな誤嚥になってしまう患者さんは実際にいるであろう。では、その段階に来たらどう判断すれば良いのか。急性期を乗り越えるための胃瘻?胃瘻があれば経口摂取は危険?ありがちな思い込みを整理し、患者さんや家族の気持ちを考慮して判断に望もう。なんと野原氏が診なおしたところ、全量経口摂取禁止44例のうち、実に39例が経口摂取可能だったのだ。第11回 食べることは生きること 嚥下機能のソフトランディング 人はいつか必ず死ぬ。治療には限界がある。しかし、その人が死ぬまでにいかに生きるかを考えたい。患者さん、家族が、食事に対してどう感じているのか、どのような終末期を望んでいるのかを、私たちは考えなければならない。最後の最後である終末期は、これまでと変わらぬ、いや、これまで以上にキュアよりも“ケア”をモットーに、患者さんと接していきたい。食べることの幸せを、最後まで生ききることの大切さを、スタッフ全員が、患者さん、そのご家族と十分コミュニケーションし分かち合えた時、それが、摂食・嚥下マネジメントのゴールなのかもしれない。

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