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新型インフルエンザ対策の最前線

 2017年11月5日、厚生労働省は都内において、「新型インフルエンザ対策に関する研修」を開催した。当日は、新型インフルエンザの疫学、治療ガイドライン、感染対策、行政の動向について4名の演者による講演が行われた。急がれるH7N9ワクチン はじめに「鳥インフルエンザの疫学について」をテーマに小田切 孝人氏(国立感染研インフルエンザウイルス研究センター WHOインフルエンザ協力センター センター長)が、鳥インフルエンザの動向、最新の知見を解説した。 インフルエンザAタイプは人獣共通感染症であり、野生のツルやカモなどの水禽類が宿主となっている。このタイプは、ヒト、トリ、ブタ間でも感染し、現在トリではH5N1、H5N6、H7N9、H9N2が、ブタではH1N2v、H3N2vがヒトに感染することがわかっている。とくに患者数が多かったH5N1は、その数が減少する傾向にあるものの、高病原性ゆえに致命率は53%と高いという。 問題は、突然変異によるパンデミックポテンシャルをウイルスが持っていることであり、トリがこうしたウイルスを獲得していないかどうか、常に監視する必要があると警告する。 ワクチンについては、世界保健機関(WHO)がインフルエンザウイルスのリスト化とワクチン株の保存を行い、日本、米国、英国の施設で新型インフルエンザワクチン製造株を作製・提供を実施しており、中国でも開発中であるという。 その中国では、2013年より鳥インフルエンザ H7N9が流行。2017年8月31日時点で、1,531例の感染例(うち死亡604例)と高い致命率(39.5%)が報告された。また、旅行など人の移動が感染拡大を助長したこと、高齢者の感染例が多いことも報告された(H5N1は青年に多かった)。 H7N9は、飛沫感染する例も動物実験で報告され、ワクチンの開発が急がれているが、予防接種の免疫獲得が低いことや免疫細胞に認識されないなどの問題があり、現在も研究が続けられている。 最後に、日本で中国のようなアウトブレイクが起きるかどうかについて、「わが国の検疫対応をみると発生しないだろう」と現状からの予測を語り、レクチャーを終えた。新型インフルエンザには抗ウイルス薬の使用をためらわない 次に川名 明彦氏(防衛医科大学校 感染症・呼吸器内科 教授)が、「成人の新型インフルエンザ治療ガイドライン改訂の方向性について」をテーマに解説を行った。 2014年3月に現在の治療ガイドラインが発行され、現在は改訂(第2版)の最終段階であり、12月中には最新のガイドラインが発行されるとの見通しを述べた。 ガイドラインで示される治療の範囲は、入院診療の治療がメインとなり、とくに意識障害、肺炎の有無別による治療にページが割かれるという。また、予想される新型インフルエンザの臨床像は、過去のインフルエンザの事例、鳥インフルエンザの重症例、季節性インフルエンザの重症例などから検討され、インフルエンザ肺炎の中でも原発性、混合性、二次性の大きく3つに分けた治療が記されるという。 現在、日本で使用できる抗ウイルス薬には、オセルタミビル(商品名:タミフル)、ザナミビル(同:リレンザ)、ラニナミビル(同:イナビル)、ペラミビル(同:ラピアクタ)の4種がある。治療では、米国疾病管理予防センター(CDC)の原則に沿い、早期投与が勧められているほか、入院患者、2歳以下の小児、65歳以上の高齢者、循環器や代謝異常などの既往症、免疫抑制状態、妊婦(出産後2週間以内も含む)、病的肥満(BMI 40以上)、長期療養施設に入所など、ハイリスク患者には可能な限り早期に投与するとしている。 症状が、軽症、中等症、肺炎合併がない場合の新型インフルエンザの治療では、季節性インフルエンザと同じ治療としつつ、肺炎を合併した場合は、できるだけ早く抗ウイルス薬の投与を示している。とくに重症例ではペラミビルの選択、増量や投与期間の延長、ファビピラビル(同:アビガン)との併用も考慮するとしている(ただしファビピラビルは妊婦または妊娠している可能性のある婦人へは投与しない)。 新型インフルエンザ肺炎への細菌感染の合併例については、頻度の高いものとして肺炎球菌、黄色ブドウ球菌などのウイルス細菌混合性肺炎と、緑膿菌、アシネトバクターなどの二次性細菌性肺炎を挙げ、入院を要する症例ではただちに抗菌薬療法を開始する。そして抗菌薬の選択はガイドラインを参考に行い、病原体確定後に、より適切な抗菌薬へde-escalationすることとしている。その他の薬物療法として副腎皮質ステロイド薬は、ウイルス性肺炎では喘息合併に限り重症化を抑制するほか、細菌性肺炎では敗血症性ショック時の相対的副腎不全に低容量で有効とされている。また、マクロライド系薬は、細菌性肺炎の重症化例で予後を改善するとの報告がある。 肺炎時の呼吸管理では、人工呼吸を躊躇しないで使用するほか、悪化または改善がみられない場合は、特殊な人工呼吸法(ECMO)の導入やより専門的な施設への転送をするとしている。 インフルエンザ肺炎の重症度評価では、PSI、A-DROP、CURB-65などの市中肺炎の重症度評価法よりも、重症度が過小評価されることに注意が必要と指摘する。 最後に、川名氏は「“新型インフルエンザ”の病態は未知であるが、病原性の高いインフルエンザの出現を想定し、準備する必要がある。ガイドラインも、出現時にはウイルスの特徴に応じてただちに再検討する必要がある」とまとめ、レクチャーを終えた。感染対策は手指衛生と予防接種が大事 次に加藤 康幸氏(国立国際医療研究センター 国際感染症センター国際感染症対策室 医長)が、「感染対策について」をテーマに解説を行った。 インフルエンザの院内感染の特性は、新型も季節性も、新生児、骨髄移植患者、長期療養型病棟で致死率の高い流行を起こすことがあり、医療従事者においては患者からの感染と患者の感染源になるという2つのリスクがあると説明する。そして、新型インフルエンザ流行時には、感染被害の軽減と封じ込めの同時進行が必要であり、過去の拡大例を検証すると、医療従事者から患者への飛沫感染対策は重要であるという。 そして、医療機関における具体的な感染対策としては、「感染源対策」「患者・職員の健康管理」「感染経路の遮断」の3つが必要とされ、CDCの推奨でも予防接種、患者との接触を減らす、標準予防策の順守、飛沫予防策の順守、訪問者の制限なども掲げられ、実践されることが期待される。 とくに飛沫感染対策・咳エチケットとして、医療機関の入口での注意の掲示、1m以上の距離を隔てた待合用の座席、待合室の手近な場所への手指衛生設備の設置などが必要となる。同様に、医療スタッフへの指導では、個人防護具(手袋、ガウン、シールド付きサージカルマスクなど)の装着・脱着の研修は有効であるという。 最後に加藤氏は「院内感染対策では、手指衛生と(患者、医療従事者の)予防接種の2つが有効とされている。新型インフルエンザの対策も、季節性インフルエンザの延長にあると考え、流行に備えてもらいたい」と語り、解説を終えた。新型インフルエンザではWeb情報も活用を! 最後に、厚生労働省の海老名 英治氏(健康局結核感染症課 新型インフルエンザ対策推進室 室長)が「行政動向について」をテーマに、新型インフルエンザ対策の法令、ワクチンの備えに関して説明を行った。 新型インフルエンザへの対策は、水際での侵入阻止と早期封じ込めによる感染拡大の抑制と流行規模の平坦化、それと同時にワクチンの開発、生産、接種によって流行のピークを下げること、医療への負荷を減らすことであるという。 2012年5月に「新型インフルエンザ等対策特別措置法」が公布され(施行は2013年6月)、流行時の各種対策の法的根拠が明確化された。具体的には、体制整備として国・地方公共団体の行動計画や訓練、国民への啓発のほか、流行発生時の対策本部の設置、特定接種の指定などが決められ、「新型インフルエンザ等緊急事態」発生の際の措置では、外出自粛要請、興行場等の制限などの要請・指示、住民への予防接種の実施、医療提供体制の確保、緊急物資の運送の要請・指示などの規定が挙げられる。 また、国のインフルエンザ対策として、時間軸で海外発生期、国内発生早期、国内感染期、小康期の4つに区切り、各段階で(1)実施体制、(2)サーベイランス・情報収集、(3)情報提供・共有が行われると説明を行った。 現行の被害想定はいずれも最大数で、罹患者を人口の25%、医療機関受診者を約2,500万人、入院者を約200万人、死亡者を約64万人、欠勤者を従業員の約40%とし、抗インフルエンザウイルス薬の備蓄は人口の45%を目標としている(2017年7月時点の有識者会議で、全人口の25%が罹患するとして再検討されている)。また、「これら抗ウイルス薬の備蓄方針、季節性インフルエンザとの同時流行時の規模や重症患者への倍量・倍期間治療、予防投与についても、省内の厚生科学審議会で継続的に審議されている」と説明する。 最後に海老名氏は、「審議会などの新しい情報も厚生労働省のウェブサイトなどを通じて日々発信しているので、新型インフルエンザの対策ではこれらも参考に準備をしていただきたい」と述べ、説明を終えた。■参考厚生労働省 インフルエンザ(総合ページ)内閣官房 新型インフルエンザ等対策厚生労働省 セミナー当日の配布資料

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フルーツ摂取量が多いほど喘息や鼻炎を予防:日本の小学生

 日本の小学生を対象とした研究で、フルーツの摂取量が多いほど、呼吸器アレルギー症状を予防できる可能性があることが、滋賀県立小児保健医療センターの楠 隆氏らによる研究で明らかになった。Pediatric allergy and immunology誌オンライン版2017年10月11日号の報告。 食事パターンがアレルギー予防と関連するという報告がある。そのため、著者らは、滋賀県近江八幡市のすべての小学校において、前向きコホート研究を実施した。 対象は、7歳児(2011年時点)の759人。2011~14年までの4年連続で、アレルギー症状および食事に関するアンケートを両親に配布し、記入を依頼した。10歳時に、吸入アレルゲンに対する特異的免疫グロブリンEを測定した。調査期間中、参加者は4つの食品群(フルーツ、野菜、魚、豆)の低摂取群、中摂取群、高摂取群に分類された。オッズ比および95%信頼区間を推定するためにロジスティック回帰分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・両親が4年連続でアンケートに回答した合計520人の子供(68.5%)が分析対象となった。・10歳時の喘息、鼻炎、その他アレルギー症状の有病率は、フルーツ摂取量の増加に伴って有意に減少した。・さらに、調査期間中のアレルギー症状の発症は、フルーツ摂取量の増加に伴い、有意に減少した(低摂取群33.3%、中摂取群28.3%、高摂取群14.3%、p for trend=0.01)。・10歳時のブタクサに対する感作率は、フルーツ摂取量の増加に伴って有意に減少した(p for trend=0.046)。・魚摂取と喘息の新規発症との関連を除き、他の3つの食品群に有意な影響は観察されなかった。

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ER陽性乳がん、5年内分泌療法後の再発のリスクは?/NEJM

 エストロゲン受容体(ER)陽性で5年間の内分泌療法を実施後に無病状態にあった女性患者の、5~20年の乳がん再発は、期間を通して一定の割合の発生であったことが明らかにされた。また、遠隔再発リスクは、当初の腫瘍径とリンパ節転移の状態(TN分類)と強く関連しており、10~41%の範囲にわたっていた。英国・オックスフォード大学のHongchao Pan氏らが、88試験(被験者総数6万人超)のデータに基づき行ったメタ解析の結果で、NEJM誌2017年11月9日号で発表した。これまでの検討で、ER陽性早期乳がん女性患者は5年間の内分泌療法によって、治療中および治療後の再発率が大きく低下することが示されていた。治療期間を5年以上延長すると、再発率はさらに低下するが副作用の発現も増大する。研究グループは、5年間で中断した場合のその後の遠隔再発の絶対リスクのデータを入手することは、治療を延長すべきかどうかの判断に寄与する可能性があるとして検討を行った。TN分類、腫瘍悪性度などと5~20年アウトカムの関連を分析 研究グループは、ER陽性の乳がん患者で、予定した5年間の内分泌療法を実施後、無病状態にあった6万2,923例を被験者とする88試験の結果を基にメタ解析を行った。 試験と治療による層別化を行い、Kaplan-Meier法とCox回帰分析を用いて、TN分類、腫瘍悪性度、その他の因子と、5~20年のアウトカムについての関連を分析した。腫瘍悪性度とKi-67値も中等度の予測因子として有用か 追跡した5~20年間を通して、乳がん再発は一定の割合で発生し、遠隔再発リスクは当初のTN分類と強い関連が認められた。 具体的には、T1の患者で、リンパ節転移がないT1N0の患者では、遠隔再発リスクは13%、リンパ節転移が1~3のT1N1~3の同リスクは20%、リンパ節転移が4~9のT1N4~9では34%だった。同様にT2の患者でも、T2N0患者の同リスクは19%、T2N1~3で26%、T2N4~9で41%だった。 乳がん死亡リスクも、TN分類に依存していたが、対側乳がんリスクとは関連がみられなかった。 同じTN分類では、互いに強い関連のある腫瘍悪性度(4万3,590例で確認)とKi-67値(7,962例で確認)が、遠隔再発リスクに関する中等度の独立予測因子だった。一方で、プロゲステロン受容体(5万4,115例で確認)とヒト上皮成長因子受容体2(HER2)(トラスツズマブ非使用試験の1万5,418例で確認)は、いずれも予測因子とは認められなかった。 遠隔再発絶対リスクについて乳がんの重症度別にみてみると、T1N0乳がん患者の5~20年の遠隔再発リスクは、低悪性度乳がんで10%、中悪性度乳がんは13%、高悪性度乳がんでは17%だった。また、全再発または対側乳がんの絶対リスクはそれぞれ17%、22%、26%だった。 なお研究グループは、「今回の試験の主な目的として、遠隔再発リスクが低く、5年超の内分泌療法の有益性が低いと考えられるサブグループを特定することがあった。しかしながら、T1N0乳がんの患者でも遠隔再発リスクが13%であった。確かなエビデンスは得られていないが、そのような低リスクの患者についても5年超の内分泌療法により遠隔再発リスクは数%低下する可能性が考えられた」と考察している。

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思春期1型糖尿病に、ACE阻害薬やスタチンは有用か/NEJM

 ACE阻害薬およびスタチンは、思春期1型糖尿病患者のアルブミン/クレアチニン比(ACR)の経時的な変化に影響を及ぼさないことが、英国・ケンブリッジ大学のM Loredana Marcovecchio氏らが行ったAdDIT試験で示された。研究の成果は、NEJM誌2017年11月2日号に掲載された。青少年期の1型糖尿病患者では、腎疾患や心血管疾患の長期的なリスク因子である微量アルブミン尿や顕性アルブミン尿の発現に先立って、思春期のアルブミン排泄量の急速な増加がみられる。成人1型糖尿病患者では、ACE阻害薬およびスタチンが頻用されているが、思春期患者での評価は十分でないという。ACR上位3分の1の患者を2×2要因デザイン試験で評価 研究グループは、アルブミン排泄量の多い思春期1型糖尿病患者は、ACE阻害薬およびスタチンによりベネフィットが得られるとの仮説を立て、これを検証するために2×2要因デザインによる二重盲検プラセボ対照無作為化試験を行った(国際若年性糖尿病研究財団[JDRF]などの助成による)。 10~16歳の思春期1型糖尿病患者4,407例をスクリーニングの対象とし、ACRが上位3分の1の1,287例を同定した。このうち443例が、4つのレジメン(ACE阻害薬+プラセボ[111例]、スタチン+プラセボ[112例]、ACE阻害薬+スタチン[111例]、プラセボ+プラセボ[109例])の1つに無作為に割り付けられ、年齢、性別、糖尿病罹病期間などのベースラインの患者背景の差が最小となるよう調整が行われた。 2つの介入の主要評価項目はアルブミン排泄量の変化とし、2~4年間、6ヵ月ごとの受診時に早朝尿検体を3回採取してACRを算出し、曲線下面積(AUC)で表した。 主な副次評価項目は、微量アルブミン尿の発現、網膜症の進行、糸球体濾過量の変化、脂質値、心血管リスクの指標(頸動脈内膜中膜厚、高感度C反応性蛋白値、非対称性ジメチルアルギニン値)などであった。主要評価項目を達成できず 2009年5月~2013年8月の期間に、3ヵ国(英国、カナダ、オーストラリア)の32施設で患者登録が行われた。フォローアップ期間中央値は2.6年だった。 ACRのAUCに及ぼすACE阻害薬(効果:-0.01、95%信頼区間[CI]:-0.05~0.03)およびスタチン(効果:0.01、95%CI:-0.02~0.05)の効果は有意ではなかった。2剤の併用にも有意な効果を認めなかった。 ACE阻害薬は、プラセボと比較して微量アルブミン尿の発症率が低かった(p=0.046)が、主要評価項目に関する結果が陰性であったことと、統計解析の計画にも有意差はなかったことから、この発症率の低さは有意ではないと判定した(補正ハザード比[HR]:0.57、95%CI:0.35~0.94、p=0.03[有意水準:p<0.01])。 スタチンの使用により、総コレステロール値、LDLコレステロール値、非HDLコレステロール値、トリグリセライド値、アポリポ蛋白B/A1比が有意に低下した。一方、ACE阻害薬、スタチンともに、頸動脈内膜中膜厚、その他の心血管マーカー、糸球体濾過量、網膜症の進行には有意な影響を及ぼさなかった。 服薬レジメンへのアドヒアランスは全体で75%であった。重篤な有害事象の頻度は全群でほぼ同様で、予想外のものは報告されなかった。 著者は、「ACE阻害薬とスタチンによる早期介入のベネフィットの可能性を評価するには、これらのコホートのフォローアップを今後も行う必要があるだろう」としている。

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アトピー性脊髄炎〔AM:atopic myelitis〕

1 疾患概要■ 概念・定義中枢神経系が自己免疫機序により障害されることは、よく知られている。中でも最も頻度の高い多発性硬化症は、中枢神経髄鞘抗原を標的とした代表的な自己免疫疾患と考えられている。一方、外界に対して固く閉ざされている中枢神経系が、アレルギー機転により障害されるとは従来考えられていなかった。しかし、1997年にアトピー性皮膚炎と高IgE血症を持つ成人で、四肢の異常感覚(じんじん感)を主徴とする頸髄炎症例がアトピー性脊髄炎(atopic myelitis:AM)として報告され1)、アトピー性疾患と脊髄炎との関連性が初めて指摘された。2000年に第1回全国臨床疫学調査2)、2006年には第2回3)が行われ、国内に本疾患が広く存在することが明らかとなった。その後、海外からも症例が報告されている。2012年には磯部ら4)が感度・特異度の高い診断基準を公表し(表)、わが国では2015年7月1日より「難病の患者に対する医療等に関する法律」に基づき「指定難病」に選定されている。画像を拡大する■ 疫学平均発症年齢は34~36歳で、男女比1:0.65~0.76と男性にやや多い。先行するアトピー性疾患は、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、気管支喘息の順で多く、アトピー性疾患の増悪後に発症する傾向にあった。発症様式は急性、亜急性、慢性のものが約3割ずつみられ、症状の経過は、単相性のものも3~4割でみられるものの、多くは、動揺性、緩徐に進行し、長い経過をとる。■ 病因図1のようにAMの病理組織学的検討では、脊髄病巣は、その他のアトピー性疾患と同様に好酸球性炎症であり、アレルギー性の機序が主体であると考えられる。さまざまな程度の好酸球浸潤を伴う、小静脈、毛細血管周囲、脊髄実質の炎症性病巣を呈する(図1A)5)。髄鞘の脱落、軸索の破壊があり、一部にspheroidを認める(図1B)5)。好酸球浸潤が目立たない症例においても、eosinophil cationic protein(ECP)の沈着を認める(図1C)6)。浸潤細胞の免疫染色では、病変部では主にCD8陽性T細胞が浸潤していたが(図1D)6)、血管周囲ではCD4陽性T細胞やB細胞の浸潤もみられる。さらに、脊髄後角を中心にミクログリアならびにアストログリアの活性化が認められ(図1E、F)7)、アストログリアではエンドセリンB受容体(endothelin receptor type B:EDNRB)の発現亢進を確認している(図1G、H)7)。図1 アトピー性脊髄炎の病理組織所見画像を拡大する■ 臨床症状初発症状は、約7割が四肢遠位部の異常感覚(じんじん感)、約2割が筋力低下である。経過中に8割以上でアロディニアや神経障害性疼痛を認める。そのほか、8割で腱反射の亢進、2~3割で病的反射を生じ、排尿障害も約2割に生じる。何らかの筋力低下を来した症例は6割であったが、その約半数は軽度の筋力低下にとどまった。最重症時のKurtzkeのExpanded Disability Status Scale(EDSS)スコアは平均3.4点であった。■ 予後第2回の全国臨床疫学調査では、最重症時のEDSSスコアが高いといずれかの免疫治療が行われ、治療を行わなかった群と同等まで臨床症状は改善し、平均6.6年間の経過観察では、症例全体で平均EDSS 2.3点の障害が残存していた。全体的には大きな障害を残しにくいものの、異常感覚が長く持続し、患者のQOLを低下させることが特徴といえる。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)■ 検査所見末梢血所見としては、高IgE血症が8~9割にあり、ヤケヒョウヒダニやコナヒョウヒダニに対する抗原特異的IgEを85%以上の症例で有し、約6割で末梢血好酸球数が増加していた。前述のAMの病理組織において発現が亢進していたEDNRBのリガンドであるエンドセリン1(endothelin 1:ET1)は、AM患者の血清で健常者と比較し有意に上昇していた7)。髄液一般検査では、軽度(50個/μL以下)の細胞増加を約1/4の症例で認め、髄液における好酸球の出現は10%未満とされる。蛋白は軽度(100mg/dL以下)の増加を約2~3割の症例で認める程度で、大きな異常所見はみられないことが多い。髄液特殊検査では、IL-9とCCL11(eotaxin-1)は有意に増加していた。末梢神経伝導検査において、九州大学病院症例では約4割で潜在的な末梢神経病変が合併し、第2回の全国調査では、検査実施症例の25%で下肢感覚神経を主体に異常を認めていた3)。また、体性感覚誘発電位を用いた検討では、上肢で33.3%、下肢では18.5%で末梢神経障害の合併を認めている8)。図2のように脊髄のMRI所見では、60%で病変を認め、その3/4が頸髄で、とくに後索寄りに多い(図2A)。また、Gd増強効果も半数以上でみられる。この病巣は、ほぼ同じ大きさで長く続くことが特徴である(図2B)。画像を拡大する■ 診断・鑑別診断脊髄炎であること、既知の基礎疾患がないこと、アレルギー素因があることを、それぞれを証明することが必要である。先に磯部ら6)による診断基準を表で示した。この基準を脊髄初発多発性硬化症との鑑別に適用した場合、感度93.3%、特異度93.3%、陽性的中率は82.4%、陰性的中率は97.7%であった。鑑別として、寄生虫性脊髄炎、多発性硬化症、膠原病、HTLV1関連脊髄症、サルコイドーシス、視神経脊髄炎、頸椎症性脊髄症、脊髄腫瘍、脊髄血管奇形を除外することが必要である。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)第2回の全国臨床疫学調査の結果では、全体の約60%でステロイド治療が行われ、約80%で有効性を認めている。血漿交換療法が選択されたのは全体の約25%で、約80%で有効であった。AMの治療においてほとんどの症例はパルス療法を含む、ステロイド治療により効果がみられるが、ステロイド治療が無効の場合には、血漿交換が有効な治療の選択肢となりうる。再発、再燃の予防については、アトピー性疾患が先行して発症、再燃することが多いことから、基礎となるアトピー性疾患の沈静化の持続が重要と推測される。4 今後の展望当教室ではAMの病態解明を目的とし、アトピー性疾患モデルマウスにおける神経学的徴候の評価と中枢神経の病理学的な解析を行い、その成果は2016年に北米神経科学学会の学会誌“The Journal of Neuroscience”に掲載された7)。モデル動物により明らかとなった知見として、(1)アトピー性疾患モデルマウスでは足底触刺激に対しアロディニアを認める、(2)脊髄後角ではミクログリア、アストログリア、神経細胞が活性化している、(3)ミクログリアとアストログリアではEDNRBの発現が亢進し、EDNRB拮抗薬の前投与により脊髄グリア炎症を抑制すると、神経細胞の活性化が抑えられ、アロディニアが有意に減少したというもので、AMに伴う神経障害性疼痛に脊髄グリア炎症ならびにET1/EDNRB経路が大きく関わっていることを見出している。5 主たる診療科神経内科6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター アトピー性脊髄炎(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)患者会情報アトピー性脊髄炎患者会 StepS(AM患者と家族向けの情報)1)Kira J, et al. J Neurol Sci. 1997;148:199-203.2)Osoegawa M, et al. J Neurol Sci. 2003;209:5-11.3)Isobe N, et al. Neurology. 2009;73:790-797.4)Isobe N, et al. J Neurol Sci. 2012;316:30-35.5)Kikuchi H, et al. J Neurol Sci. 2001;183:73-78.6)Osoegawa M, et al. Acta Neuropathol. 2003;105:289-295.7)Yamasaki R, et al. J Neurosci. 2016;36:11929-11945.8)Kanamori Y, et al. Clin Exp Neuroimmunol. 2013;4:29-35.公開履歴初回2017年11月14日

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ビタミンDはがんを予防するのか?/BMJ

 ビタミンDの血中濃度とがんリスクに因果関係は存在するのか。ギリシャ・University of IoanninaのVasiliki I Dimitrakopoulou氏らは、同関連を明らかにするため、大規模遺伝子疫学ネットワークのデータを用いたメンデルランダム化試験にて検討を行った。その結果、評価を行った7種のがんいずれについても、線形の因果関係を示すエビデンスはほとんどなかったという。ただし、臨床的に意味のある効果の関連を、完全に否定はできなかった。BMJ誌2017年10月31日号掲載の報告。大規模遺伝子疫学ネットワークを用いて、7種のがんについて関連を評価 検討は、がんにおける遺伝的関連とメカニズム(Genetic Associations and Mechanisms in Oncology:GAME-ON)、大腸がんの遺伝的研究・疫学コンソーシアム(Genetic and Epidemiology of Colorectal Cancer Consortium:GECCO)、前立腺がんのゲノム変異に関する研究グループ(Prostate Cancer Association Group to Investigate Cancer Associated Alterations in the Genome:PRACTICAL)とMR-Baseプラットホームを通じて、がん患者7万563例とその対照8万4,418例のデータを入手し評価を行った。 がん患者の内訳は、前立腺がん2万2,898例、乳がん1万5,748例、肺がん1万2,537例、大腸がん1万1,488例、卵巣がん4,369例、膵臓がん1,896例、神経芽細胞腫1,627例であった。 ビタミンDと関連する4つの一塩基遺伝子多型(rs2282679、rs10741657、rs12785878、rs6013897)を用いて、血中25-ヒドロキシビタミンD(25(OH)D)のマルチ多型スコアを定義し評価した。 主要アウトカムは、大腸がん、乳がん、前立腺がん、卵巣がん、肺がん、膵臓がん、神経芽細胞腫の発生リスクで、逆分散法を用いて特異的多型との関連を評価した。尤度ベースアプローチでの評価も行った。副次アウトカムは、性別、解剖学的部位、ステージ、組織像によるがんサブタイプに基づく評価であった。関連を示すエビデンスはほとんどない 7種のがんおよびそのサブタイプすべてにおいて、25(OH)Dマルチ多型スコアとの関連を示すエビデンスは、ほとんどなかった。 具体的に、25(OH)D濃度を定義した遺伝子の25nmol/L上昇当たりにおけるオッズ比は、大腸がん0.92(95%信頼区間:0.76~1.10)、乳がん1.05(0.89~1.24)、前立腺がん0.89(0.77~1.02)、肺がん1.03(0.87~1.23)であった。この結果は、その他2つの解析アプローチの結果と一致していた。なお、試験の相対的効果サイズの検出力は中程度であった(たとえば、大部分の主要がんアウトカムについて、25(OH)Dの25nmol/L低下当たりのオッズ比は1.20~1.25であった)。 著者は、「これらの結果は、既報文献と合わせて、がん予防戦略として、ビタミンD不足の広範な集団スクリーニングとその後の広範にわたるビタミンDサプリメントの推奨をすべきではないとのエビデンスを提供するものであった」とまとめている。

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わかる統計教室 第4回 ギモンを解決!一問一答 質問19

インデックスページへ戻る第4回 ギモンを解決!一問一答質問19 ロジスティック回帰分析の判別スコアと判別精度とは?前回は、ロジスティック回帰分析について、その概要をご説明しました。今回は、ロジスティック回帰分析の判別スコアと判別精度についてご説明いたします。■ロジスティック回帰分析の判別スコア関係式に説明変数のデータをインプットして求めた値を「判別スコア」といいます。判別スコアの求め方を表1のNo.1の例で示します。表1 事例における目的変数と説明変数(再掲)まず、関係式にNo.1の例の喫煙本数、飲酒日数を代入します。自然対数eの計算をExcelの関数で行います。e-5.846の求め方任意のセルに「=EXP(-5.846)」を入力し、Enterキーを押す。→ 0.00289が出力される。表2ですべての例の判別スコアを求めます。表2 事例の判別スコアこの例題に判別分析を行い、判別得点を算出しました。判別分析は、こちらを参照してください。次に両者の違いを調べてみます。判別スコアは、0~1の間の値で息切れ症状となる確率を表します。判別得点は、およそ-5~+5の間に収まる得点で、プラスは息切れ症状あり群、マイナスは息切れ症状なし群であることを示しています。息切れ症状なし群のNo.9の例について解釈してみます。判別スコアは0.702で、息切れ症状なし群なのに、息切れ症状あり群となる確率は70.2%でした。判別得点は1.0で、息切れ症状なし群なのに、息切れ症状あり群だと判定されます。■ロジスティック回帰分析の判別精度ロジスティック回帰分析を判断する指標には、判別的中率と相関比があります。〔判別的中率〕各個体について判別スコアが0.5より大きいか小さいかで、どちらの群に属するかを調べます。この結果を「推定群」、息切れ症状あり群と息切れ症状なし群を「実績群」と呼ぶことにします。例題の各個体の実績群と推定群を表3に示します。表3 事例の実績群と推定群表4で実績群と推定群とのクロス集計表(判別クロス集計表という)を作成し、 実績群と推定群が一致している度数、すなわち、「実績群1かつ推定群1」の度数と「実績群2かつ推定群2」の度数の和を調べます。「判別的中率」は、この和の度数の全度数に占める割合で求められます。表4 実績群と推定群とのクロス集計表判別的中率は、となります。判別的中率は、いくつ以上あればよいという統計学的基準はありませんが、筆者は75%以上あれば、関係式は予測に適用できると判断しています。〔相関比〕カテゴリーデータと数量的データの関連性を調べる解析手法として「相関比」があります。群はカテゴリーデータ、サンプルスコアは数量的データなので、この例題に相関比を適用すると、相関比は0.657でした。表5に相関比の求め方を示します。表5 カテゴリーデータと数量的データの相関比群内変動=(6)の計+(9)の計=0.133+0.384=0.517相関比は0~1の値となります。相関比は判別的中率と同様に、いくつ以上あればよいという基準はありませんが、筆者は0.5を基準値としています。 この例題の相関比は0.657で0.5を上回ったので、関係は予測に適用できると判断します。■ロジスティック回帰分析での予測表6に「息切れ症状の有無」のデータを再度示します。表6 事例における目的変数と説明変数(再掲)この例題の判別的中率は89%>75%、相関比は0.657>0.5より、関係式は予測に適用できると判断し、Wさんについて予測します。予測するWさんの 喫煙本数は25本、飲酒日数は15日です。Wさんの予測値は、よって、Wさんの息切れ症状あり群の確率は94%です。次回は、ロジスティック回帰分析のオッズ比について、ご説明いたします。今回のポイント1)ロジスティック回帰分析の関係式に、説明変数のデータをインプットして求めた値を「判別スコア」という!2)ロジスティック回帰分析における判別精度を判断する指標は、判別的中率と相関比の2つがある!3)統計学的基準はないが、筆者は経験的に、判別的中率は75%以上、相関比は0.5以上あれば、この関係式は予測に適用できると判断している!インデックスページへ戻る

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資産形成、目標や目的を明確に【医師のためのお金の話】第2回

資産形成、目標や目的を明確にこんにちは、自由気ままな整形外科医です。前回は、資産形成の第一歩はタネ銭から始まることを説明しました。すでに、本多 静六博士を見習って「給与天引き貯金」を始めた方もいるかもしれませんね。さて、「給与天引き貯金」を始めてみたものの、ただ盲目的に行っているだけでは挫折する可能性が高いです。やはり長期にわたって継続していくには、目標を設定することや、何を目的に資産を作るのかを考えておく必要があります。タネ銭の目標金額は1,000万円繰り返しますが、資産形成の第一歩は「タネ銭を貯める」ことです。そして、まずクリアするべき金額は「1,000万円」だと考えています。一般的に1,000万円は高い壁ですが、物理的に乗り越えることが不可能なほど高い金額ではありません。多くの医師の年収は、1,000万円を超えています。もちろん、実際に貯蓄することのできる可処分所得は、額面の年収よりもかなり低いです。しかし、意識の持ち方次第で、乗り越えることは十分に可能な金額だと考えています。医師としての目標は?夢を持って医学を志したものの、実際の医療現場に身を置くと、当初の夢や目標は変化していくものです。あなたの医師としての目標は何でしょうか? 医師のキャリアプランを考えるうえで、卒後7~10年目は1つの節目になると思います。65歳まで働くと仮定しても、第一線でがんばれるのは50代半ばまでであることが多いです。そこから逆算すると、30代半ばには医師としての目標を掲げておく必要があります。勤務医として臨床で腕を振るうのか、開業して地域医療に貢献するのか、それとも大学に残って研究者を目指すのか…。資産形成と医師のキャリアプランは一見、無関係にみえますが、実は密接に絡み合っています。研究者や大学教員としてやっていくには、経済的な基盤が必要なのです。自分の置かれている状況を客観的に観察したうえで、本当に実現可能なキャリアプランなのかを冷静に判断する必要があります。目的は有意義な人生医師としての目標を実現するためには、経済的な安定が必要です。しかし、医師のキャリアプランにも濃淡があり、全身全霊で取り組む必要があるものから、ワーク・ライフ・バランスを考えながら、自分のペースでやれば良いものまでさまざまあります。たとえば、あなたが大学教授を目指すのであれば、資産形成にかける労力は最小限にするべきでしょう。一方、自分や家族の人生の幅を広げるため、資産形成に本腰で取り組むという選択肢もあります。私の場合は後者ですが、志向するキャリアプランによって、タネ銭を貯めた後に、どのような資産形成手法を選択するのかが大きく異なってきます。ただ1点いえることは、医師としての目標も、究極的には有意義な人生を送るための1つの要素にすぎないということです。このように目的から目標設定を行い、それに適した資産形成を行うという逆算思考が重要だと思います。

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がん治療の末梢神経障害、皮膚障害に指針/日本がんサポーティブケア学会

 Supportive care。日本では支持療法と訳されることが多い。しかし、本来のSupportive careは、心身の異常、症状の把握、がん治療に伴う副作用の予防、診断治療、それらのシステムの確立といった広い意味であり、支持療法より、むしろ支持医療が日本語における適切な表現である。2017年10月に行われた「第2回日本がんサポーティブケア学会学術集会」のプレスカンファレンスにおいて、日本がんサポーティブケア学会(JASCC)理事長 田村和夫氏はそう述べた。『がん薬物療法に伴う末梢神経障害マネジメントの手引き』発刊 JASCC神経障害部門部会長である東札幌病院 血液腫瘍科 平山泰生氏が『がん薬物療法に伴う末梢神経障害マネジメントの手引き』発刊について紹介した。 がん薬物療法の進化によるがんの治療成績向上と共に、抗がん剤による副作用も対処可能なものが増えてきている。しかし、本邦における4,000例以上のがん患者の追跡調査では、化学療法終了後1ヵ月以内の神経障害の発生頻度は7割、6ヵ月以降でも3割であった。神経障害はいまだに患者を苦しめているのが現状である。 この神経障害に対する有効な薬物は明らかではない。JASCCが行った調査では、がん専門医の神経障害に対する処方は、抗けいれん薬(97%)、ビタミンB12(78%)、漢方薬(61%)、その他抗うつ薬、消炎鎮痛薬、麻薬など、さまざまな薬剤を用いており、薬剤の有効性かわからない中、医療現場の混乱を示唆する結果となった。 一方、米国では2004年にASCOによる「化学療法による末梢神経障害の予防と治療ガイドライン」が発行されている。しかし、ビタミンB12、消炎鎮痛薬などの記載がないなど日本の状況とは合致していない。そのため、本邦の現状を反映した臨床指針が望まれていた。 Mindsの作成法に準じて作られた『がん薬物療法に伴う末梢神経障害マネジメントの手引き』では、この分野のエビデンスが少ないため、ガイドラインとは銘打たず"手引き"としている。同書には薬物の有効性に関するクリニカルクエスチョンも掲載されており、ビタミンB12、漢方、消炎鎮痛薬、麻薬など、日本でしか使われていないような薬剤についても記載がある。「がん薬物用法に伴う皮膚障害アトラス&マネジメント」出版を目指す JASCC皮膚障害部門部会長である国立がん研究センター中央病院皮膚腫瘍科の山崎直也氏が「がん薬物用法に伴う皮膚障害アトラス&マネジメント」の出版について紹介した。 がん治療の外来への移行、抗がん剤開始時期の早期化、生存期間の延び、長期間にわたり社会と触れ合いながら治療を受けるがん患者が増えている。一方で、分子標的薬をはじめ、皮膚有害事象を発現する薬剤も増えている。このような社会で生きるがん患者にとって、アピアランスケアは非常に重要な問題である。 皮膚障害の治療に対するエビデンスは少なく、世界中が医療者の経験値で対応しているのが現状である。そのような中、昨年(2016年)がん患者の外見支援に関するガイドラインの構築に向けた研究班により「がん患者に対するアピアランスケアの手引き」が作成された。さらに、目で見てすぐわかる多職種の医療者に伝わるようなものをという考えから、JASCC皮膚障害部門を中心に「がん薬物用法に伴う皮膚障害アトラス&マネジメント」を作成している。 その中では、最近の分子標的薬の皮膚障害を中心に取り上げているが、治療進歩の速さを鑑み、免疫チェックポイント阻害薬についても収載。総論、発現薬剤といった基本的事項に加え、重要な重症度評価およびそれに対する診断・治療のポイントを、症状ごとに症例写真付きで具体的に説明している。年内には発売できる見込みだという。

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第12回 これであなたもレセプトマスター!【医師が知っておきたいレセプトの話】

本連載もいよいよ最終回となりました。苦手な方も多く、わかりにくいレセプトをできるだけわかりやすくお伝えしてきました。最終回をお読みいただき「レセプトマスター」になりましょう。レセプトはズバリ“請求書”診療報酬制度の枠組み(図1)の中で、「医療機関」が提供した医療サービスの対価として支払われる料金である「診療報酬」の一部を「審査支払機関」に対して請求する「診療報酬明細書」を「レセプト」と呼びます。先生方が行った医療行為をきちんと請求する不可欠なステップですので、診療報酬の大枠と併せて覚えておきたいですね。画像を拡大する参考

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AHA 2017開催地、カリフォルニア州アナハイムのおすすめスポット

ケアネットでは、AHA2017に参加される先生方に開催地アナハイムを楽しんでいただけるよう、カリフォルニア州在住の河田 宏氏(カリフォルニア大学アーバイン校 循環器フェローシップ)に、おすすめの観光名所やレストランなどの情報をお聞きしました。AHA 2017 注目の演題はこちらLA(ロサンゼルス) でのAHAに行かれたことはあっても、アナハイムは初めてという方もいらっしゃるでしょう。アナハイムはLAから約1時間のところにあり、ディズニーランドで有名です。学会場のアナハイムコンベンションセンターもディズニーランドのすぐ近くにあります。家族でディズニーランドへ行くという先生もいらっしゃるかと思いますが、多くの方は家族連れでないでしょうし、とくに男性の場合はディズニーランドには行かない可能性が高いと思いますので、今回はディズニーランド以外を中心にご紹介します。西海岸に6年住んでおりますが、かなり独断と私見が入っていますことはご了承ください。おすすめの観光スポットおすすめのレストランショッピング情報アナハイムの気候朝方、少し曇りますが、ほとんど毎日晴れです。日中は半袖で過ごせますが、11月の開催時期には、夜は長袖かジャケットがあれば大丈夫だと思います。雨はまず降りませんし、仮に降ってもすぐやみます。ちなみに、過去3年間で傘を使ったことは一度もありません。アナハイムでの移動手段レンタカーはこちらでの運転に慣れていないと、少し抵抗があるかもしれません。関西出身で大阪の運転に慣れている私でも、カリフォルニアでの運転はいまだに難しいと思うことがあります。赤信号で右折できるといった交通ルールの違いもそうですが、高速道路は6車線以上ということもよくありますし、制限スピードが日本より早いため、事故が起きると大きいものになります。タクシーはホテルや高級レストランからの移動には使えますが、日本のように道で拾うことは非常に難しいです。個人的には断然UberやLyft(一般の人が自家用車で乗客を運ぶ配車サービス)をおすすめします。Uberを使っていないという友人を探す方が難しいぐらい、われわれは活用していますし、アプリさえあれば英語が使えなくても、目的地まで辿りつけます。ドライバーと現金やカードのやり取りをする必要もありませんし、非常に安全です。おすすめの観光スポット午後から少し時間があるという場合は、South coast PlazaやHuntington beach近辺で買い物をして、それから食事をするのがいいかもしれません。もし丸1日あれば、LA、ディズニーランド、ユニバーサルスタジオ、Huntington Beach、Newport Beachなどにぜひ、足を延ばしてください。Los AngelesLAが初めての場合は、1日かけてLA観光に出かけるのも良いかもしれません。今年話題になった、映画La La Landの名所を巡るツアーもあるようです。HISや多くの会社が現地ツアーを催行しています。テレビや映画によく出てくるSanta Monica Pier周辺もビーチやショッピングができるエリアで、1日過ごすこともできます。ほかにもHollywood周辺、ダウンタウンなど、全部見るのには3~4日はかかると思います。Orange Countyオレンジカウンティーを一番感じることができるのはHuntington BeachやNew Port Beachなどの美しいビーチだと思います。Huntington beachはサーフィンのメッカです。最近は、Pacific Highwayという海沿いの道の前に大きなショッピングセンターもできて、ショッピングも楽しむことができます。Newport Beach周辺はお金持ちのエリアで、おしゃれなレストランも沢山あります。ホエールウォッチングなどの、人気のアクティビティを楽しむことも可能です。なお、スーツでビーチを歩いている人はほとんどいませんし、昼間は暑いので、着替えてから行くことをおすすめします。郊外その他、ユニバーサルスタジオやグランドキャニオンなどへのアナハイム発の日帰りツアーもあるようです。スポーツ観戦残念ながらMajor League Baseballは終了しています。NBAはLA Lakers vs Philadelphia 76ersの試合が、11月15日にLAのStaple Centerで予定されています。アナハイムから車で50分ほどですが、混雑すると1時間半ぐらいかかる可能性もあります。またアナハイムはアイスホッケー(NHL)Anaheim Ducksの本拠地であり、11月12日と15日にHonda Centerで試合があります。アナハイムのコンベンションセンターのすぐ近くです。おすすめのレストランステーキ、シーフード米国で食べる一番無難な食べ物はステーキとロブスターかもしれません。これらのレストランはそこそこ値段が張りますが、満足感はそれなりに高いと思います。The Ranch[住所] 1025 E.Ball Road Anaheim, CA 92805[TEL] 714-817-4200The Catch[住所] 2100 E.Katella Ave Anaheim, CA 92806[TEL] 714-935-0101Ruth's Chris Steak House[住所] 2041 S.Harbor Blvd Anaheim, CA 92802[TEL] 714-750-5466Morton's The Steakhouse[住所] 1895 South Harbor Blvd Anaheim, CA 92802[TEL] 714-621-0101South Coast Plaza 周辺The Capital Grille[住所] 3333 Bristol St Costa Mesa, CA 92626[TEL] 714-432-1140Water Grill[住所] 3300 Bristol St Costa Mesa, CA 92626[TEL] 949-208-7060Bar下記の2軒は、コンベンションセンターから車で10分ほど、BJsは12時ぐらいまでやっているので、遅くまで飲みたい場合におすすめです。BJs[住所] 460 The City Drive S Orange, CA 92868[TEL] 714-787-3925Karl Strauss Brewing Company[住所] 2390 E Orangewood Ave, Ste 100 Anaheim, CA 92806[TEL] 714-940-1772和食Newport Beach Kitayama比較的大きなお店で、大人数でも入れます。[住所] 101 Bayview Pl, Newport Beach, CA 92660[TEL] 949-725-0777Nobu海沿いにある有名店で、雰囲気が良いです。[住所] 3450 Via Oporto Suite 101 Newport Beach, CA 92663[TEL] 949-429-4440Sushi Oshima美味しくてこの辺りでは有名ですが、お店が狭いのでカウンターは開店と同時に一杯になってしまうこともあります。[住所] 1956 N Tustin St, Orange, CA 92865[TEL] 714-998-0098焼き肉下記の2店舗は日本の焼肉屋です。美味しいですし、値段も日本とそれほど変わりません。Manpuku[住所] 891 Baker St #A-2, Costa Mesa, CA 92626[TEL] 714-708-3290Anjin[住所] 3033 Bristol St, Costa Mesa, CA 92626[TEL] 714-979-6700鉄板焼きHawaiiにもあるアメリカ的なTeppanyakiです。Benihana[住所] 2100 East Ball Road, Anaheim, CA 92806[TEL] 714-774-4940ラーメンどうしても日本のラーメンが食べたいという場合、Costa Mesaに数店舗ラーメン屋があります。博多一幸舎[住所] 3033 Bristol St Suite O,Costa Mesa[TEL] 714-540-2066喜多方ラーメン坂内[住所] 891 Baker St B21, Costa Mesa, CA 92626[TEL] 714-557-2947EuropeanFig and Olive[住所] 151 Newport Center Dr, Newport Beach, CA 92660[TEL] 949-877-3005The WineryNobuとともに景色重視の場合は良いと思います。[住所] 3131 West Coast Hwy, Newport Beach, CA 92663[TEL] 949-999-6622番外編Packing District一言で言うとおしゃれなモールという感じで、複数の飲食店が入っています。ハンバーガーやピザ、メキシカンなど選択肢がたくさんあるので、手軽に済ませたい場合に便利です。Barやbreweryもあります。ショッピング情報ダウンタウンディズニーディズニーランドには行かないけれど、ディズニー関係のお土産を買いたい場合は、ダウンタウンディズニーがおすすめです。チケットなしでディズニーの雰囲気が楽しめます。South Coast Plazaオレンジカウンティーで一番大きなショッピングセンター。ほとんどのブランド品が購入できます。時期によってはセール品も出ており、買い物がお好きな方は1日中、楽しめると思います。営業時間も21時までですから、午前中は学会に顔を出し、午後からでも楽しめます。上記でも紹介しましたが、周辺にはレストランもたくさんあります。アナハイムのホテルからはシャトルバスも出ていると思います。Metro Pointe at South Coastおすすめのアウトレット。ブランド物のシャツや靴などが50~70%で手に入ります。South Coast Plazaからは目と鼻の先です。Outlet at Orange周辺で最も大きなアウトレット。アナハイムから車で10分ほどですし、食事ができるレストランも近くに10店舗ほどあります。

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第3回 3台のマイフェラーリ【ドクター クルマ専科】

3台のマイフェラーリクルマは今13台所有しています。所有というのは自動車税を払い登録ナンバーがあり車検を通しており任意保険も加入しているということです。つまりいつでも乗れるクルマということです(笑)。自分が25年間ほどやっているレースの中で耐久レース用の共同所有のレースカーや、自分が海外から取り寄せて現在レストア中のビンテージカーなどは含まれていません。レストア中の何台かはまだ家内に内緒のものもあります(笑)。所有している13台のうち3台がフェラーリです。今回はその3台のフェラーリを紹介させていただこうかと思います。画像を拡大するレースを楽しむ佐藤氏自分が最初のフェラーリを購入したのは今から24年前。1988年の後期モデルのフェラーリ328GTS。これがマイファーストフェラーリです。土浦市のレーシングサービス「ディノ」で購入しました。フェラーリ界のレジェンドでありディノの社長、切替 徹氏とは今も深い深~い間柄にあります(笑)。さすがに勤務医の時はフェラーリには手が出ませんでした。フェラーリ購入は今の医院を開業して2年目のことです。それからはF355、360チャレンジストラダーレ、F40、430スクーデリア、F50、458スペチアーレと7台のフェラーリを乗り継いで来ました。現在ではF40、F50、458スペチアーレの3台のフェラーリが手元にあります。24年間手元にフェラーリを切らしたことはありません。これは、23年間にわたって乗り継いでいるメルセデスよりも長い年月になります。わが家で1番長く乗っているクルマのメーカーがフェラーリということになります(笑)。フェラーリへの憧れ小学校5年生の時でした。世はまさに第1次スロットカーブーム。自分の郷里の静岡県沼津市にもスロットカーのコースがありました。自分が小遣いを貯めて購入したのがアメリカのレベル社製のフェラーリ250GTOでした。それから37歳でフェラーリを購入するまでフェラーリを所有したいという憧れはずっと続きますが、今では250GTOは天変地異でも起こらぬ限り購入できませんね。ご存じの方も多いかと思いますが250GTOのオークション相場は30億円を超えています(笑)。ページTOPへフェラーリF40画像を拡大する愛車のF40自身4台目のフェラーリとして購入したのがF40です。フランスの正規代理店シャルルポッツィのデリバリーでファーストオーナーはジャン・アレジです。1990年モデル。色はロッソコルサ(レーシングレッド)。F40のボディ色はフェラーリクラブイタリーの会長が所有していたジアッロモデナ(黄色)の1台を除き、すべてがこのロッソコルサです。それ以外の色は再塗装車で残念ながらリセールバリューはゼロです。最初に自分がF40を見たのは1989年。バブル真っ只中の幕張でのモーターショーでのことでした。2人の息子を、肩車とだっこで、ごった返す人混みの中を進むこと2時間。ようやく出会えた(笑)F40は神のようなオーラを放っていました。その時の長男もすでに医師になって10年。まさに隔世の感があります。所有して13年が経ちました。当時はまさにF40が底値の時でした。その時はこのようなフェラーリバブルが訪れようとは夢にも思っておりませんでした(笑)。エンジン、ミッション、ターボ、足回り、内装、すべてフルオーバーホール、フルレストアいたしました。一昨年フェラーリ・クラシケ(後で詳しく述べますが、フェラーリ本社が発行する鑑定書です)を取得しました。尊敬するライターY氏が、かつて専門誌でF40を“乗り手を選ぶクルマ”と評したことがあります。まるでジムで下肢をプッシュアップエクササイズしているような重いクラッチ、ノンサーボのブレーキ、重いステアリングは、多くの運転自慢のドライバーたちをも拒否してきました。しかしそれを御した時のドライブ・フィールはまさに人馬一体という表現がピッタリです。もちろん左ハンドルのマニュアル車です。自分は左と右のマニュアル車、左と右のオートマ車すべて所有しておりますが、自分の身体に一番ピッタリくるのは左ハンドルマニュアル車です。現在オートマ車しか乗ることのない方は近づかないほうが賢明かと考えます(笑)。このタフなクルマを、もっと年を取っても涼しい顔をして、転がしていたいと思っています。ページTOPへフェラーリF50画像を拡大する愛車のF50F40はフェラーリ社創立40周年の記念モデル、F50は創立50周年の記念モデルです。生産台数は349台。自分のF50は日本のフェラーリの総代理店コーンズが輸入した第1号車で色はジアッロモデナ(黄色)。1996年製。フェラーリ美術館のオーナーM氏の元へ納車された個体です。F50を購入するなら黄色と思っていました。そして事故歴のないのは当然のこと、ヒストリーがハッキリした黄色のF50はM氏のF50しかありませんでした。何とかそれを譲っていただきたい…あらゆるルートを手繰り寄せての購入劇が始まりました。この手のクルマは店頭に並べて売買するわけではありません。オーナーと購入希望者が直接話し合うわけでもありません。あらためてクルマを見せてもらえるわけでもありません。お互いに仲介者を立てての交渉で、売買が成立します。M氏側から売買オッケーの連絡を受けた時は、大変うれしかったです。24時間以内に全額振り込んでほしいとの連絡がありました。家内にすぐその旨話して、振り込みをしてもらったことを今でも覚えています。やはり一昨年フェラーリ・クラシケを取得しています。F50のアキレス腱であるエンジンとトランスミッションのシールディングを完全に直し、一滴のオイル漏れもないクルマとしました。メーターもイタリアのモデナのデジテックにオーバーホールに出し、完調です。世界で1番美しく非の打ちどころのないF50と自負しています。F40もF50もガレージに飾っておくということはしません。昨年は900kmのツーリングにF50で出掛けました。ページTOPへフェラーリ458スペチアーレ画像を拡大する愛車の458スペチアーレ昨年購入しました。458のいわゆるスペチアーレモデルです。色はビアンコ(白)。フェラーリ社のV8NAモデルの集大成といえるクルマです。とにかく高性能ですね。まさに優等生。ホームサーキットである筑波サーキットでの自分のベストラップは2秒台。タイヤの内圧を調整しただけでこのタイム。リアの車高とアライメントをいじれば、さらに1秒詰めるのは簡単かと思います。ただ現行モデルのフェラーリは金を出せば誰でも買えるということになりましょうか。ページTOPへフェラーリ・クラシケの話画像を拡大するフェラーリ・クラシケフェラーリ本社が発行するフェラーリの鑑定書です。すべてオリジナルであることが要求されます。オークション価格が、クラシケの有る無しで大きく違ってきますし、今ではネオヒストリックフェラーリにはなくてはならないものといえるかと思います。いつまで続くフェラーリバブル先日、中近東筋と中国筋から、ほぼ同時に自分のF40とF50を2台まとめて購入したいというお話をいただきました。シャシーナンバー○○○○○のF50を、今誰がオーナーでどのようなコンディションか、などという情報は世界中知れ渡っています(笑)。どちらも邦貨にして2台まとめて4億円の提示でした。自分は現在どちらも手放す気持ちはないので丁重にお断りしました。自分が購入した価格の約4倍…今が売り時なのかもと魔が差したりもします(笑)。クルマの主治医の存在3台ともメンテナンスは古くからの付き合いのバルチャーオートの渡邊君にやってもらっています。独立前のコーンズ時代一番多くのF40とF50に携わったといわれている凄腕メカニックです。だいたいの作業は自宅ガレージで出張でやってもらっています。大きな作業も医院内の敷地にあるガレージ(リフトなどすべて完備しています)に来て、やはり出張でやってもらっています。信頼のおける主治医がいないと良好な維持は難しいかと思います。See you again@my Facebookこの誌面では伝えきれないことがいっぱいあります。あと自分が携わっているレースの話etc…ご興味のある方は、自分のフェイスブックにお友達申請してください。お待ちしております。もっともっとコアな裏話をお知らせできるかと思います。当方“メッセンジャーでプロフィールを告げてから申請せよ”などと高飛車なことはまったく申しません(^_^)。漢字の佐藤 優(さとう まさる)で検索してみてください。

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lorlatinibのALK/ROS1陽性NSCLCにおける成績発表/WCLC2017

 lorlatinibは、高い選択性と強力な活性を持ち、良好な脳浸透性を示す次世代ALK/ROS1-TKIである。とくにALKキナーゼ領域の変異に対する活性が知られており、第1世代、第2世代ALK-TKI後に発現するG1202Rなどの耐性変異に対し、最も広いスペクトラムを有する。横浜で開催された第18回世界肺がん学会(WCLC)では、オーストラリア・Peter MacCallum Cancer CentreのBenjamin J Solomon氏が、lorlatinibの第II相試験の主要な結果について発表した。 この第II相試験(NCT 01970865)は、6つの拡大コホート(EXP1~6)で行われている。ALK陽性非小細胞肺がん(NSCLC)は前治療歴に応じてEXP1~5で評価され、ROS1陽性NSCLCは前治療歴にかかわらずEXP6で評価された。今回の発表は、EXP6を含む全コホートの解析である。同試験の主要評価項目は、独立評価委員会(IRC)による客観的奏効率(ORR)と頭蓋内ORR(IC ORR)。副次評価項目は、安全性と忍容性、患者報告アウトカム(PRO)などであった。 全体で275例の患者が登録され、ベースライン時に165例が脳転移を有していた。コホート別、またクリゾチニブとその他のTKIによる前治療歴ごとに解析されたORR、IC ORRは以下の通り。・ALK陽性、未治療(EXP1):ORR 90%、IC ORR 75%・ALK陽性、前治療クリゾチニブ±化学療法(EXP2+EXP3A):ORR 69%、IC ORR 68%・ALK陽性、前治療クリゾチニブ以外のTKI±化学療法(EXP3B):ORR 33%、IC ORR 42%・ALK陽性、前治療クリゾチニブ以外のTKIを2~3ライン±化学療法(EXP4+EXP5):ORR 39%、IC ORR 48%・ROS1陽性(EXP6):ORR 36%、IC ORR 56% なお、EXP2~5で19例がG1202R変異を有しており、11 例(58%)で応答が確認された。 全コホートの治療関連有害事象(AE)発現率は、95%。Grade3/4のAEは41%の患者で発現した。AEによる投与延期は30%、減量は22%、治療中止は7例(3%)、死亡例はなかった。発現頻度が高い項目は、高脂血症(81%)、高トリグリセライド血症(60%)であった。 現在、ALK陽性NSCLC の1次治療での有効性をクリゾチニブと比較する、第III相試験(NCT 03052608)が進行中である。■参考NCT 01970865(Clinical Trials.gov)NCT 03052608(Clinical Trials.gov)■関連記事第2世代ALK-TKI既治療のNSCLCにおけるlorlatinibの成績/ESMO2017 第3世代ALK阻害薬lorlatinibの成績発表/ASCO2017 次世代ALK/ROS1阻害剤lorlatinib、ALK肺がんでFDAのブレークスルー・セラピー指定

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第2回 クルマの無い人生なんて【ドクター クルマ専科】

クルマの無い人生なんて皆さんこんにちは。私は循環器内科医として長年病院勤務でカテーテル治療などに携わってきましたが、7年余り前から東京都八王子市でクリニックを開業しています。前回の岩岡先生とは千葉大学の同期で今年9月に62歳になりましたが、彼とは違い、この歳まで未だポルシェは(ましてフェラーリなどは)ハンドルすら握ったことがありません。そんな私がこのようなエッセイを書かせていただくのもおこがましいのですが、クルマ好きには変わりありませんので、現在までの所有車の思い出などを含め、私のきわめて個人的なカーライフを書かせていただこうと思います。医師の先生方にはクルマ好きの方が多いかと思いますので、忙しい診療の合間や当直の夜にでも読んでいただければ幸いです。クルマ好きと言ってもそのスタンスはさまざまです。クルマには3つの楽しみがあると思います。所有する(綺麗に磨き上げる)楽しみ、いじる(自分なりにカスタマイズする)楽しみ、そして運転する楽しみです。それからすると、私を含め周りのクルマ好きたちは、車を運転すること自体が楽しくて仕方ない人がほとんどです。その中には、走りを追及し装備も至れり尽くせりの高級車を所有している人もいれば、Fun to Driveの小型車を所有している人もいます。しかし両者に共通しているのは、所有車が全て「運転して元気になれるクルマ」であることです。クルマを単なる移動手段とは考えていないということです。クルマとの出会い、ラリーとの出会いさて私のカーライフは、大学生が免許を持たない今とは違い、当時は入学とセットのようだった運転免許を取得した所から始まります。家には親のトヨタコロナがありましたが、2年生から下宿を始めたのに合わせ、最初のクルマはイエローの三菱ランサーセレステでした。懇意にしている叔父が三菱自動車勤務だったため、他のメーカーの選択肢は有りませんでした(オーバーフェンダーの27トレノ、レビン…残念でした)。初めてのクルマでまだ運転の楽しみもわからずもっぱら下駄替わりでしたが、当時所属していたスキー部の先輩にクルマ好きが数人いて、その方々の影響が決定的でした。先輩達はラリーが好きで、当時プレイドライブという車雑誌に毎月載っていた「PDラリー」という自主参加型のラリーを走りに行く時に、いつも連れて行ってくれたのです。これで決定的にラリー(特に未舗装路(ダート)走行)が好きになった私と、同期のT君(セリカ1600GT所有、後に37レビン)は、家庭教師のバイト代をつぎ込んでお互いのクルマをラリー用に改造して行きました。当時は、ディーラーでロールバーを装着してくれるようなおおらかな時代でした。サスペンション、ミッション、ノンスリップデフなどを交換装着しましたが、当然お金がないので、近くの修理工場の心優しいご主人に教わりながら、自分達で出来る所は自力でやりました。そのT君と2人で、地元千葉のラリーチームの主宰者の助言を受けながら色々なラリーに参加しました。中級以上のラリーでは、速く走る事だけが目的のスペシャル・ステージという部分が組み込まれていました。一応公道なので、林道を法律上の制限速度60km/hの指示速度で走るというような無謀なものでした。しかし若かったわれわれは、スタートの瞬間から頭の中では一流ラリーストに勝手に変身してしまい、イメージだけはドリフトでダートのコーナーをこなして行くのでした(汗)。しかし、当然のように腕が伴わず、何回も途中でコースアウトを経験しました。横倒しになった車のドアを車内から持ち上げて開けるのが、あんなに重くて大変だという事も初めて知りました。まあこのような訳で、私はクルマの運転の楽しさに惹かれていったのでした。卒業して医者になった後に手に入れた2台目は、当時世界のラリー界で活躍していた三菱ランサーEXターボGSR(通称ランタボ)でした。普通の4ドアセダンですが、かつての初代ニッサン・スカイラインGTRのように“羊の皮をかぶった狼”で、こちらも当然のようにラリー仕様に改造しました(固いサスペンションは、同乗者の評判悪し)。しかし、研修医のわれわれには、なかなかラリーに参加する時間が取れず、時間を見つけては夜中に房総の林道を走りに行きました。夏休みなどにロングドライブに行っても、脇道に素敵なダートがあるとつい道を折れて走ってしまい、目的地に着く予定が遅くなったものです。ページTOPへラテンの外車の虜に千葉での3年間の研修の後、4年目は東京都心の病院での研修でした。当然ダートを走る機会も激減し、そろそろ3台目を考えましたが、やはりラリーが頭から離れませんでした。そこで、当時ラリー界で活躍していたプジョー205T16(ミッドシップ+4WD)のベースである、ガンメタのプジョー205GTIが、わが家にやって来ました。この車は小さいですが元祖ボーイズレーサーと言われ、エンジンも良く回り活発で、車重も軽く、運転していてとても楽しいクルマでした。ダートは卒業して、奥多摩や箱根のワインディングロードを走りに行ってました。ワインディングロードを走る楽しみを教えてくれたのが、この3台目で、私の目を国産車から外車に移らせたエポックメイキングのクルマでした。友人のBMWなども運転させてもらいましたが、なぜかしっくりせず、このクルマ以降ラテン系のクルマばかりになってしまいました(笑)。そんな経緯で4台目は、同じプジョーの濃いグリーンメタリックのプジョー405Mi16 X4(バイ フォーと読みます)になりました。これも普通の4ドアセダンですが、この車種唯一のDOHCエンジンの4WDで、とくに長距離単騎行には最適でした。しかしやはりラテンのクルマ、納車当日に首都高を走りに行った際に右助手席の窓が開かず、クルマから降りて通行料を払いに行った覚えがあります(笑)。高速上でのオーバーヒート等々トラブルもありましたが、忘れられないのはこのクルマで北海道をドライブしたことです。素晴らしい景色の中、気持ち良い運転を堪能しました。毎日いつまでも運転していたいと思ったことを、今でも覚えています。ページTOPへそして、アルファロメオへ画像を拡大する愛車のアルファロメオ155V6この後の5台目で、ついにあこがれのアルファロメオを手に入れました。アルファは常に気になる存在ではありましたが出会いに恵まれませんでした。そんな時、ドイツのツーリングカーレースDTMで活躍するアルファ155の格好良さに一目惚れしてしまいました。何十年振りかでプラモデルも制作してしまいました(笑)。そんな訳でわが家にブラック(ネロ)のアルファロメオ155V6がやって来ました。ラリー用の改造は別としてクルマはほとんどいじらないのですが、この155だけはエグゾーストを憧れのDTMタイプに交換しました。この車は現在も所有しており、すでに21年目です。途中何年もスピードメーターが死んでいたため(どうやって車検通ったのでしょう?)、軽く10万キロは超えていると思いますが、実際の走行距離は分かりません(笑)。画像を拡大する無骨だけれど格好良いV6エンジン20年以上過ごしているため、このクルマとは、さまざまな思い出があります。お年寄りの病気自慢のようになってしまうので、あえて書きませんが、トラブルも多く、随分迷惑も被りました。しかし、1度として手放そうとは思いませんでした。ちょっとしたクルマなら1台買えるくらいの出費をしてからは、ほぼトラブルフリーの優等生になっています。ラテンのクルマ、それもアルファロメオだと思えば、許せてしまいます。ちょっと頭は弱いけど、気立てが良くて放っておけない可愛い女の娘=アルファロメオでしょうか(笑)?高速道路の料金所や流入などで2速で引っ張った時の4,500~6,500回転の自然吸気V6のエンジン音は、本当に官能的です。当時の車雑誌には、「エグゾーストノートは素晴らしく、貧乏人のフェラーリと言っても良い」と書いてありました(笑)。この間に、マニュアルトランスミッションが使えない妻のために(それまでBMW Z3所有)、私の独断でアルファ156スポーツワゴン、次いで159スポ-ツワゴンもやって来て、ガレージには常に2台のアルファロメオがいる、という至福の時を過ごしていました。その後アルファ159の後継車がなかなか発表されず、残念なことに妻のクルマは現在のアウディRSQ3に取って代わられ、ガレージのアルファは1台のみになってしまいました。ページTOPへでも、今は…画像を拡大する愛車のアルファロメオ4Cスパイダーそのタイミングでアルファロメオは、なんと4Cという、何とも魅力的なミッドシップスポーツカーを発表。めったにクルマを誉めない妻の「これ、かっこいいね」というひと言、2シーターとSUVの2台では何かと不便だなと思っていたところに娘の「3台にすればいいじゃん」と言う言葉、親友の「155は十分元とったから4C買ってもバチは当たらないよ」という言葉、これらに背中を押されて(まっ、決めたのは私自身ですが・・・)画像を拡大する浅間山と4Cスパイダー昨年10月に6ヵ月待ってレッド(ロッソ)の4Cスパイダーがやって来ました。この4Cとは、軽井沢の親友を訪れるたびに、毎度色々なワインディングロードを満喫しています。今は155と4Cの2台のアルファ(とアウディ)に挟まれて幸せです。ページTOPへ最後に画像を拡大するアルファロメオのワイン残念ながら紙面が尽きてしまいました。とにかく、この車を運転したいから次の休みはどこへ行こうかな、と後から目的地を考えるのが、クルマ好きの私の思考回路のようです。しようもない超個人的な駄文にお付き合いいただき、ありがとうございました。還暦過ぎても少年のようなクルマ好きがいることを、知っていただければ幸いです。最後に、ワインラヴァーでもある私にとって「No Car or Wine, No Life!!」という事で、今夜は写真のワインを楽しむことにします(笑)。

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治癒切除不能な進行・再発胃がんにニボルマブが有効/Lancet

 化学療法歴のある治癒切除不能な進行・再発の胃がんまたは食道胃接合部がん患者において、ヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体ニボルマブはプラセボに比べ全生存期間(OS)の有意な延長を示し、新たな治療選択肢となることが確認された。韓国・蔚山(Ulsan)医科大学のYoon-Koo Kang氏らが、国際共同第III相試験(ONO-4538-12、ATTRACTION-2)の結果を報告した。2レジメン以上の化学療法に不応/不耐の進行胃がんまたは食道胃接合部がん患者の予後は不良であるが、現在のガイドラインでは推奨される治療がなかった。Lancet誌オンライン版2017年10月6日号掲載の報告。日韓台3ヵ国の49施設で無作為化二重盲検プラセボ対照試験を実施 ONO-4538-12/ATTRACTION-2試験は、日本、韓国および台湾の49施設において実施された。対象は、20歳以上、ECOG PSが1以下、抗PD-1抗体またはその他のT細胞制御を目的とした抗体療法もしくは薬物療法の治療歴がない、2つ以上の化学療法歴を有する標準治療に不応または不耐の、切除不能な進行または再発の胃がんまたは食道胃接合部がん患者である。地域、ECOG PSおよび転移臓器数で層別化し、ニボルマブ(3mg/kg、静脈内投与、2週間間隔)群とプラセボ群に2対1の割合で無作為に割り付け、病勢進行または永続的な中断を必要とする毒性が発現するまで継続した。 主要評価項目は、intention-to-treat集団におけるOSであった。安全性に関しては、治験薬の投与を1回以上受けたすべての患者を解析対象とした。ニボルマブ群でOSが有意に延長 2014年11月4日~2016年2月26日に、計493例がニボルマブ群(330例)とプラセボ群(163例)に無作為に割り付けられた。 データカットオフ時点(2016年8月13日)の追跡期間中央値は、ニボルマブ群8.87ヵ月(IQR:6.57~12.37)、プラセボ群8.59ヵ月(IQR:5.65~11.37)で、OS中央値はそれぞれ5.26ヵ月(95%信頼区間[CI]:4.60~6.37)および4.14ヵ月(同:3.42~4.86)であった(ハザード比:0.63、95%CI:0.51~0.78、p<0.0001)。 12ヵ月OS率は、ニボルマブ群26.2%(95%CI:20.7~32.0)、プラセボ群10.9%(同:6.2~17.0)であった。 Grade3もしくは4の治療関連有害事象は、ニボルマブ群330例中34例(10%)、プラセボ群161例中7例(4%)に発現し、治療関連有害事象による死亡がニボルマブ群で5例(2%)、プラセボ群で2例(1%)確認された。安全性に関する新たな懸念は観察されなかった。 なお試験は、非アジア人の患者を含めて継続中であり、さまざまな臨床設定や早期治療ラインにおけるニボルマブの進行胃がんまたは食道胃接合部がんに対する有益性を検討中である。

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NOAC併用で大出血リスクが増大する薬/JAMA

 非弁膜症性心房細動で非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬(NOAC)を服用する患者において、アミオダロン、フルコナゾール、リファンピシン、フェニトインの併用は、NOAC単独と比較して、大出血リスクの増大と関連する。台湾・桃園長庚紀念医院のShang-Hung Chang氏らが、台湾の全民健康保険データベースを用いて非弁膜症性心房細動患者計9万1,330例について後ろ向きに分析した結果を報告した。NOACは、代謝経路を共有する薬物と併用して処方される頻度が高く、大出血リスクを高める可能性がある。今回の結果を踏まえて著者は、「NOACを処方する臨床医は、他剤との併用によるリスクの可能性を考慮しなければならない」とまとめている。JAMA誌2017年10月3日号掲載の報告。台湾の非弁膜症性心房細動患者9万1,330例について分析 研究グループは、台湾の全民健康保険データベースを用いて、2012年1月1日~2016年12月31日(最終フォローアップ)の間に、ダビガトラン、リバーロキサバン、アピキサバンのNOAC処方を1種以上受けた非弁膜症性心房細動患者9万1,330例を対象に、後ろ向きコホート研究を行った。被験者は、NOAC単独または併用(アトルバスタチン、ジゴキシン、ベラパミル、ジルチアゼム、アミオダロン、フルコナゾール、ケトコナゾール、イトラコナゾール、ボリコナゾール、posaconazole、シクロスポリン、エリスロマイシンまたはクラリスロマイシン、dronedarone、リファンピシン、フェニトイン)投与を受けていた。 主要アウトカムは大出血で、頭蓋内出血、消化管、泌尿器またはその他部位での出血と診断を受けて入院または緊急部門を受診した症例と定義した。 NOAC単独または他剤併用のperson-quarter(暦年の各四半期における各被験者の曝露時間)における大出血の補正後発生率の差を、Poisson回帰分析を用いた推算で評価。また、傾向スコアを用いて治療重み付けの逆数を算出し評価した。アミオダロン、フルコナゾール、リファンピシン、フェニトイン併用で有意に増大 対象の9万1,330例は、平均年齢74.7歳(SD 10.8)、男性55.8%、NOACの処方内訳は、ダビガトラン4万5,347例、リバーロキサバン5万4,006例、アピキサバン1万2,886例であった。 大出血を呈したのは、NOAC処方44万7,037 person-quarterにつき4,770件であった。全person-quarterにおいて、最も併用が多かったのはアトルバスタチン(27.6%)で、ジルチアゼム(22.7%)、ジゴキシン(22.5%)、アミオダロン(21.1%)と続いた。 NOACとアミオダロン、フルコナゾール、リファンピシン、フェニトインとの併用は、NOAC単独と比較し、大出血の補正後発生率比(1,000人年当たり)が有意に増大した。NOAC単独38.09 vs.アミオダロン併用52.04(差:13.94[99%信頼区間[CI]:9.76~18.13])、NOAC単独102.77 vs.フルコナゾール併用241.92(138.46[80.96~195.97])、NOAC単独65.66 vs.リファンピシン併用103.14(36.90[1.59~72.22])、NOAC単独56.07 vs.フェニトイン併用108.52(52.31[32.18~72.44])であった(すべての比較のp<0.01)。 大出血の補正後発生率比は、NOAC単独と比較して、アトルバスタチン(差:-14.38[99%CI:-17.76~-10.99])、ジゴキシン(-4.46[-8.45~-0.47])、エリスロマイシンまたはクラリスロマイシン(-39.78[-50.59~-28.97])の併用群では有意に低下した。 ベラパミル、ジルチアゼム、シクロスポリン、ケトコナゾール、イトラコナゾール、ボリコナゾール、posaconazole、dronedaroneの併用群では有意な差は認められなかった。

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第11回 知っておきたい! レセプト制度の予想される流れと影響【医師が知っておきたいレセプトの話】

いよいよ本連載も今回を含め、残すところ、あと2回となりました。これまではレセプト制度や現状を一緒に学んできましたが、今回はレセプトに関する最新の“流れ”について確認していきます。3つの大きな変化の流れがありますので、その流れに飲み込まれないように、しっかりとつかんでおきましょう(図)。図 支払基金業務効率化・高度化計画 工程表引用:厚生労働省「国民の健康確保のためのビッグデータ活用推進に関するデータヘルス改革推進計画・工程表」及び「支払基金業務効率化・高度化計画・工程表」について支払基金業務効率化・高度化計画・工程表の概要(PDF)審査業務の効率化、高度化の流れ1つ目は、レセプト審査を行っている審査支払基金の業務効率化、高度化の流れです。第9回で紹介しましたように、現在、審査基準が明確ではなく、各都道府県の支部ごとに査定の傾向や査定率に差異があります。今後はこの地域格差をなくすべく、コンピューターのチェックルールや審査基準の統一を順次行っていくことが決定されています。チェックルールが統一化されると、先生方が都道府県を越えて勤務されても、「同じ診療をしているのにこちらの地域では査定された!」といった苦労が減ることが期待されます。また、効率化やIT技術の活用により、審査支払基金の人員体制も見直される予定となっています。審査にかかる費用も医療費の一部ですので、医療費の削減も期待されています。患者情報のさらなる活用の流れ2つ目は、レセプト情報の活用に向けた流れです。2017年9月に開催された中央社会保険医療協議会(中医協)では、レセプト様式に患者さんの郵便番号を追加する方向で議論が行われています。すでにDPCのデータ情報では患者さんの住所情報が提出されていますが、通常のレセプトでも同様に提出されることになり、レセプト情報と患者さんの住所情報がリンクされることになります。このリンクによってこれまで以上に地域の医療ニーズが明確化され、今後の地域医療体制の構築・検討などに活用されることが期待されます。レセプト作成の負担軽減の流れ3つ目は、レセプト作成に関する負担軽減に向けた流れです。とくに先生方には、この影響が大きいかもしれません。現在、レセプト請求の際に「摘要欄への記載」や「症状詳記の添付」を必要とする項目が複数ありますが、業務負担を軽減するために記載要領の見直し、記載必要事項の簡素化などが議論されています。具体的に進められているのは次の2点です。(1)フリーテキスト形式での記載から選択式記載への変更(2)症状詳記の添付からレセプト摘要欄記載への変更たとえば、「両室ペーシング機能付き植込型除細動器」のケースで見てみましょう。現在は算定した際に症状詳記の添付が求められていますが、見直し案では「患者状態」や「検査所見等」の決められた項目に関してのみ、レセプトの摘要欄に記載することで算定が可能になります。これにより、医療事務員や医師の負担軽減も図られ、場合によっては医療事務員がカルテに記載されている内容から必要事項を読み取り、先生方が最終確認するだけでレセプト提出が可能となるケースも増えてくるのではないでしょうか。これらの取り組みは早いものでは、平成30年の診療報酬改定のタイミングで実施される予定となっています。レセプト事務作業を簡略化することができれば、診療に集中できる環境が作られ、先生方にとっても患者さんにとってもWin-Winになると思われます。診療報酬改定同様、今後の動向から目が離せませんね。参考資料厚生労働省「国民の健康確保のためのビッグデータ活用推進に関するデータヘルス改革推進計画・工程表」及び「支払基金業務効率化・高度化計画・工程表」について1)支払基金業務効率化・高度化計画 工程表の概要(PDF)2)支払基金業務効率化・高度化計画(PDF)3)中央社会保険医療協議会 総会(第361回) 議事次第

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突然やってくる!? 外国人患者さん対応エピソード集 第7回

第7回 訪日外国人患者の医療費で未収を発生させないために<Case7>高齢の中国人夫婦が来院。妻が骨折と診断され手術が必要となり、すぐに入院することになりました。医事課職員が概算医療費(約300万円)の提示と支払い方法の確認をしたところ、夫婦が持っているカードは中国国内で主にデビットカードとして発行されている「銀聯(ぎんれん)カード」のみでした。病院の会計では銀聯カードの決済対応はしておらず…。対談相手市立千歳市民病院事務局次長 貫田 雅寿 氏事務局総務課調整係 係長 黒田 尚樹 氏事務局医事課医事係 主任 菊地 真一 氏左から菊地氏、貫田氏、黒田氏JIGH:今回は、北海道千歳市の市立千歳市民病院事務局の貫田さん、黒田さん、菊地さんにお話を伺います。このご夫婦の支払いはどうなったのでしょうか。菊地:支払い方法について相談した結果、コンビニATMで引き出し限度額を毎日引き出してもらうことで、何とか退院日までに全額をお支払いいただくことができました。JIGH:北海道では訪日外国人数が右肩上がりで増加しており、「外国人患者さんの受け入れ」は注目度の高いトピックだと伺っています。この事例では、会計時の支払いについての課題が浮き彫りになっていますね。菊地:私たちの病院は空港のすぐ近くにあるので、患者さんが空港から運ばれてきたり、帰国直前の患者さんが来院したりすることがあります。そういった方々は手元に現金(日本円)がなかったり、この事例のように利用できるクレジットカードを持っていなかったりして、医療費の未払いが発生するリスクがどうしてもあります。JIGH:医療費の未払い防止のため、何か対策は取られているのでしょうか。貫田:今回紹介した事例を受け、銀聯カード決済の導入を決定しました。北海道にはアジア圏からの観光客が多く、実際に銀聯カードしか持っていないという方も多くいらっしゃいます。銀聯カードの決済手数料は少し高いのですが、患者さんに対するサービス向上という側面のほかに、高額となる医療費の未払いリスクを回避するという点でメリットの方が勝るという判断で、導入しました。JIGH:先進的な取り組みですね。導入後の利用状況はいかがですか。黒田:これまで実際に銀聯カードで決済をされた患者さんは、1名です。ただ、この患者さんは脳神経外科での手術が必要で、医療費は700万円と高額でした。利用実績は少ないものの、今後もいつ発生するか分からない高額医療費の未収を防ぐための、体制整備という意味合いが大きいですね。JIGH:銀聯カードへの対応のほか、未収金発生防止のために取り組まれていることがあれば教えてください。菊地:外国人患者さんが受診されたら、まず医事課職員が医療費の概算を事前に提示し、支払い方法について確認します。保険に加入されている外国人患者さんは、肌感覚では4割程度という印象です。ただしほとんどの場合、いったんは患者さんが医療機関に医療費を支払う保険内容になっているので、どうしても患者さんに支払い義務が発生します。そのため事前のオペレーションを徹底し、患者さんに納得していただくことで、未払いリスクを回避するようにしています。JIGH:やはり体制整備が重要ということですね。本日はありがとうございました。<本事例からの学び>訪日外国人患者さんの医療費未払い防止には、多様な支払い方法への対応と、事前の概算確認が重要!

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治療抵抗性うつ病、抗うつ薬併用 vs.抗精神病薬増強

 治療抵抗性うつ病患者は、抗うつ薬の併用療法(ADs)または第2世代抗精神病薬(SGA)の増強療法(SGA+AD)で治療されるが、臨床的特徴、SGA+ADへの治療反応と独立して関連する因子、アウトカムの経過についてはよくわかっていない。カナダ・マギル大学のGabriella Gobbi氏らは、治療抵抗性うつ病に対するADsおよびSGA+ADの治療効果について検討を行った。International clinical psychopharmacology誌オンライン版2017年9月12日号の報告。 2回以上の抗うつ薬治療に抵抗性を示した、治療抵抗性うつ病患者86例(ADs:36例、SGA+AD:50例)を対象に、最近の安定した試験(約3ヵ月間、投薬変更なし)に関して自然主義的研究を行った。MADRS(Montgomery-Asberg Depression Rating Scale)、HAM-D17(ハミルトンうつ病評価尺度)、その他の尺度による評価は、最近3ヵ月間の安定した試験の前(T0)と後(T3)に実施した。 主な結果は以下のとおり。・SGA+ADでは、ADsと比較し、精神病理的特徴を有するうつ病、パーソナリティ障害および物質使用障害の合併、ADsに対し治療抵抗性を示した回数、全尺度におけるT0での抑うつ症状について、それぞれの割合の増加が認められた(p<0.001)。・SGA+AD、ADsともに、T0と比較し、T3におけるMADRSおよびHAM-D17で抑うつ症状の有意な軽減が認められた(p<0.001)。SGA+ADは、平均スコアのより大きな低下を示した。・ロジスティック回帰分析では、精神病理的特徴、パーソナリティ障害、物質使用障害が、SGA+AD療法と独立して関連していることが示された。 著者らは「SGA+AD後にうつ症状の改善がより大きければ、精神病理的特徴、物質使用障害、パーソナリティ障害を伴う重度の治療抵抗性うつ病に対し、SGAによる増強療法は第1選択の治療法とすべきである」としている。■関連記事SSRI治療抵抗性うつ病への効果的な増強療法SSRI治療抵抗性うつ病に対する増強療法の比較治療抵抗性うつ病に対する非定型抗精神病薬の比較治療抵抗性うつ病は本当に治療抵抗性なのかを検証

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