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第76回 二項分布とは?二項分布は、結果が起こるか起こらないか(成功か失敗か)のいずれかであるn回の試行を行ったときの、起こった数(成功数)で表される確率分布です。■二項分布(binomial distribution)とはたとえばコイントスのように、ある行動や試行に対して結果が2つしかないときに生じる分布を「二項分布」と呼びます。「ある行動や試行に対して結果が2つしかない」ということが、二項分布では重要になります。オモテの出る確率が50%のコインを3回投げたとき、オモテが2回以上出る確率を例に二項分布を考えてみましょう。コインを3回投げたとき起こり得る組み合わせは、表1に示す8つです。表1 コイントスの組み合わせの例表1を集計して、オモテの出る個数をX、その個数の出現率を全体の8で割った確率をP(X)として確率分布表を作成します。「起こる・起こらない」の二項を取り扱って作られた確率分布が「二項分布」です。表2はオモテの出る確率が50%のコインを3回投げたときの二項分布です。表2 二項分布の表表2の二項分布をグラフで示します(図)。図 表2の二項分布グラフ■二項分布における確率の求め方ある事象の起こる確率をPとします。この事象をn回試行し、X回起こる確率をP(X)で表すと、P(X)は次の公式によって求められます。コイントスの例題のP(X)は下記のようになります。この式にX=0,1,2,3を代入し、二項分布の表3を作成すると次のようになります。表3 二項分布の表オモテ・ウラの組合わせ数と組合わせ別のオモテの個数を調べて、二項分布を作成しましたが、P(X)を求める式からも求められます。この式の確率はExcelの関数で簡単に求められるので、こちらでの求め方をお勧めします。コイントスの例題である、オモテの出る確率が50%のコインを3回投げたとき、オモテが2回以上出る確率をExcel関数で求めてみました。表3よりオモテが2回以上出る確率は0.375、オモテが3回出る確率は0.125より2回以上の確率は0.375+0.125=0.5(50%)となります。では、サイコロの出る目の事例でExcel関数を使って確率を求めてみましょう。1の目が出る確率が1/6のサイコロを20回振ったとき、1の目が4回以上出る確率はどうなるでしょうか?1の目が4回以上出る確率は、0.4335(約43%)ということになります。■感染症罹患の事例で試してみる医療分野での事例でも試してみましょう。全住民の5%がある感染症に罹患しており、その中から無作為に500例を抽出したとします。このとき、抽出された集団の中に罹患者が30例以上いる確率は何%になるでしょうか?こちらもExcel関数で簡単に求めることができます。以上の結果から罹患者が30例以上いる確率は0.1765(約18%)となります。このように、医学論文の分野においても二項分布は、さまざまな場面で利用されています。次回は「ポワソン分布」を解説いたします。■さらに学習を進めたい人にお薦めのコンテンツ統計のそこが知りたい!第56回 正規分布とは?第57回 正規分布の面積(確率)の求め方は?第58回 標準正規分布とは?第76回 二項分布とは?二項分布は、結果が起こるか起こらないか(成功か失敗か)のいずれかであるn回の試行を行ったときの、起こった数(成功数)で表される確率分布です。■二項分布(binomial distribution)とはたとえばコイントスのように、ある行動や試行に対して結果が2つしかないときに生じる分布を「二項分布」と呼びます。「ある行動や試行に対して結果が2つしかない」ということが、二項分布では重要になります。オモテの出る確率が50%のコインを3回投げたとき、オモテが2回以上出る確率を例に二項分布を考えてみましょう。コインを3回投げたとき起こり得る組み合わせは、表1に示す8つです。表1 コイントスの組み合わせの例表1を集計して、オモテの出る個数をX、その個数の出現率を全体の8で割った確率をP(X)として確率分布表を作成します。表2はオモテの出る確率が50%のコインを3回投げたときの二項分布です。表2 二項分布の表表2の二項分布をグラフで示します(図)。表2 二項分布の表■二項分布における確率の求め方ある事象の起こる確率をPとします。この事象をn回試行し、X回起こる確率をP(X)で表すと、P(X)は次の公式によって求められます。コイントスの例題のP(X)は下記のようになります。この式にX=0,1,2,3を代入し、二項分布の表3を作成すると次のようになります。表3 二項分布の表オモテ・ウラの組合わせ数と組合わせ別のオモテの個数を調べて、二項分布を作成しましたが、P(X)を求める式からも求められます。この式の確率はExcelの関数で簡単に求められるので、こちらでの求め方をお勧めします。コイントスの例題である、オモテの出る確率が50%のコインを3回投げたとき、オモテが2回以上出る確率をExcel関数で求めてみました。表3よりオモテが2回以上出る確率は0.375、オモテが3回出る確率は0.125より2回以上の確率は0.375+0.125=0.5(50%)となります。では、サイコロの出る目の事例でExcel関数を使って確率を求めてみましょう。1の目が出る確率が1/6のサイコロを20回振ったとき、1の目が4回以上出る確率はどうなるでしょうか?1の目が4回以上出る確率は、0.4335(約43%)ということになります。■感染症罹患の事例で試してみる医療分野での事例でも試してみましょう。全住民の5%がある感染症に罹患しており、その中から無作為に500例を抽出したとします。このとき、抽出された集団の中に罹患者が30例以上いる確率は何%になるでしょうか?こちらもExcel関数で簡単に求めることができます。以上の結果から罹患者が30例以上いる確率は0.1765(約18%)となります。このように、医学論文の分野においても二項分布は、さまざまな場面で利用されています。次回は「ポワソン分布」を解説いたします。■さらに学習を進めたい人にお薦めのコンテンツ統計のそこが知りたい!第56回 正規分布とは?第57回 正規分布の面積(確率)の求め方は?第58回 標準正規分布とは?