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統合失調症の精神病理および認知機能障害に対する抗認知症薬に関するメタ解析

 藤田保健衛生大学の岸 太郎氏らは、統合失調症に対する抗認知症薬と抗精神病薬の併用(ADD+AP)に関する二重盲検ランダム化プラセボ対照試験のシステマティックレビュー、メタ解析を行った。The international journal of neuropsychopharmacology誌オンライン版2018年5月14日号の報告。 有効性と安全性の主要アウトカムは、それぞれ、全体的な症状改善(PANSS、BPRS)と全原因による治療中止とした。他のアウトカムは、精神病理学的サブスケール(陽性症状、陰性症状、総合精神病理、不安/抑うつ症状)、認知機能(注意/警戒、推論/問題解決、社会的認知、処理速度、言語学習、視覚学習、作業記憶、認知制御/実行機能)、MMSEスコア、有害事象および効果不十分による治療中止、各有害事象とした。ランダムエフェクトモデルを用いて、エフェクトサイズを評価した。 主な結果は以下のとおり。・37研究、1,574例が抽出された。ベースとなった薬剤ごとの内訳は、ドネペジル14件(568例)、ガランタミン10件(371例)、リバスチグミン4件(146例)、メマンチン9件(489例)であった。・プールされたADD+AP治療は、プラセボ+AP治療よりも、以下の項目において優れていた。●全体的な症状改善(24研究、1,069例、標準平均差:-0.34、95%CI:-0.61~-0.08、p=0.01)●陰性症状(24研究、1,077例、標準平均差:-0.62、95%CI:-0.92~-0.32、p=0.00018)●MMSEスコア(7研究、225例、標準平均差:-0.79、95%CI:-1.23~-0.34、p=0.0006)・その他のアウトカムに関して、ADD+AP治療とプラセボ+AP治療の間に、有意な差は認められなかった。 著者らは「統合失調症に対するADD+AP治療は、陰性症状およびMMSEスコアの改善を示唆するが、その効果は、小規模な研究やバイアスの影響を受けている可能性がある。また、MMSEスコアよりも認知障害をよりシステマティックに評価できる複合認知テストスコアの改善は認められなかった。全体として、ADD+AP治療は良好な忍容性を示した」としている。■関連記事統合失調症の認知機能改善に抗認知症薬は有用か日本人統合失調症患者の認知機能に影響を与える処方パターンとは認知機能改善効果が期待される新規抗うつ薬

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第5回 高校野球の熱気【宮本研のメディア×ドクターの視座】

第5回 高校野球の熱気中学・高校を都心の満員電車に乗って通学していたため、混雑する車内での過ごし方は、私にとって大きなテーマでした。母が医療本のライターを始めた時期で、実家には山積みの参考書籍がありましたが、興味があっても通学中にハードカバーを広げられる空間的な余裕はありません。どうしたものかと、放課後は、進学塾近くの大型書店を巡るようになりました。その結果、狭い車内で読める文庫本、しかもJR中央線と山手線の厳しいラッシュを忘れさせてくる面白いジャンルに絞り込み、星新一のショートショートに熱中しました。SF主体ですから現実逃避できるだけでなく、巧妙なストーリー構成、まさかのオチ、軽妙な文体は現代文の勉強にもなる。「ほほう、こんな表現があるんだね」という小さな驚きが積み重なり、文章を書くことへの関心が高まっていきました。医学部志望の理系コースで文系科目がめっぽう強い、将来に向けて良いか悪いか判断できない状況でしたが、これが私の個性を育むことになりました。現在、満員電車での相棒は文庫本ではなく、Kindle Paperwhiteです。実物の本を買うと、幼い子供が無邪気に散らかし、保管場所にも難があります。この電子書籍リーダーはモノクロで、長時間読んでも目が疲れず、片手でも軽い(ケアネットの各種勉強で取得したポイントはAmazonギフト券に交換し、Kindle本の代金を支払うことができます)。そこで私の読書歴から、Kindleで購入できるお薦め電子辞書をご紹介します。今回は、日本社会のスーパーエリートを輩出し続ける都内男子校の御三家、開成高校のノンフィクションです。人気連載『Dr.倉原の“俺の本棚”』ばりに書かせていただくと・・・『弱くても勝てます』 開成高校野球部のセオリー髙橋 秀美/著出版社新潮社定価781円(Kindle版)サイズ6インチ画面刊行年2012年2014年に、嵐の二宮くん主演でテレビドラマ化されたので、そちらをご存じの方が多いかもしれません。「開成高校と二宮くん」=「勉学と芸能のトップスター」による絶妙な取り合わせではありますが、私の場合、この原作があまりも面白かったので、テレビドラマをあえて観ていません。なぜか? それは、作中に登場する開成高校生の思考パターンと発言が“あまりに超人的で示唆に富んでいる”ので、文章を読んだままの脳内イメージとして保っておきたいからです。文章を読み進めるたびに、自分の固定観念がおかしいのか、開成高校野球部の面々があらぬ方向に突き抜けているのか、著者同様に混乱してきます。けれども、何か表現しにくい情熱、常人ではない高校生の将来性に対する畏怖、野球常識の枠を打ち壊す(枠の存在意義すら疑われる)発想の数々が、読者を虜にすることでしょう。芸能人のようなルックスでなくとも、野球部員たちはそれぞれが格好良い。しかも微妙にヘン。長年の伝統を誇る国民的高校野球に対して、スポーツ理論を超越した独自解釈で、若き青春の日々を燃やしているのです。書籍の目次からして1章ではなく、“1回”の表記。どこか抜けた、でも渾身の取材ぶりを読み続けると、出会ってもいないのに開成高校野球部の全体イメージがどんどん膨らみます。もし先生が開成高校の卒業生であれば、山手線の西日暮里駅から校舎までの描写には青春の懐かしさを感じるでしょう。卒業生でなくとも、グラウンドの隅でバットを力ずくで振り回す野球部員たちを実際に取材しているような、抱腹絶倒のVR体験が待っています。ただの野球部員ではないのです。高級官僚や研究者、医師を含めて日本の各分野を相当な確率でリードするであろう、開成高校の野球部員。夏の甲子園で初戦から(相応の無茶をしながら)勝ち上がっていく姿には、淡い感動すら覚えます。全体としてスポーツ取材のノンフィクションでありながら、独創的な監督の発言や指導法を含めて、医療やビジネスのロジックにも通ずる名言が満載です。掛け値なしに面白いと思います。おまけとしては私が、都内の準御三家とされる男子高校出身者につき、山手線で遭遇したときの、開成バッジが思い浮かんでしまうことでしょうか。「うちだって学ランだ。海軍予備校が前身で、中学生から内房での遠泳が義務づけられてきたぞ。ふんどし装着ではなく、スイカ柄の海水パンツを履いていたけど」といった個人的な記憶が、自動的に呼び起こされてしまうのです。そういえば高校野球の東京都大会で勝ち上がったとき、母校でも学内が異様に盛り上がっていました。「今年はエースピッチャーの調子が良いから、創立以来の奇跡が起きて、本当に甲子園に行けるかもしれない!」という長老OBを含めた、あの無邪気な熱気と一体感。皆が等しく夢を描ける選抜大会なのかもしれません。さて、今年の夏の甲子園、開成高校野球部の戦いぶりや、いかに?

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腎がんの分子標的治療に腎切除は必要か/NEJM

 転移を有する腎細胞がん患者において、スニチニブ単独療法は、腎切除後にスニチニブ投与を受ける標準治療に対し、非劣性であることが示された。フランス・ジョルジュ・ポンピドゥー欧州病院のArnaud Mejean氏らによる、第III相の無作為化試験の結果で、NEJM誌オンライン版2018年6月3日号で発表された。この20年の間、転移を有する腎細胞がんの治療は、無作為化試験や大規模後ろ向き試験によって腎切除術が標準とされてきたが、研究グループは、近年の分子標的薬の台頭を受けて、腎切除術の役割について評価を行った。標準治療 vs.スニチニブ単独の無作為化試験 試験は、転移を有する腎細胞がんが生検で確認され腎切除術が至適であった患者を、手術を受けその後にスニチニブ投与を受ける(標準治療)群またはスニチニブ投与のみを受ける群に、無作為に1対1に割り付けて行われた。無作為化では、Memorial Sloan Kettering Cancer Center(MSKCC)分類に基づき予後リスク(中または高)による層別化も行った。 スニチニブの投与は、50mg/日を28日間、その後14日間休薬する6週間サイクルで行われた。主要エンドポイントは、全生存期間(OS)であった。OS中央値がスニチニブ単独群で延長、死亡HRは0.89で非劣性を確認 2009年9月23日~2017年9月8日に、フランス79施設およびその他の欧州の施設から、計450例の患者が登録された(フランス425例、英国14例、ノルウェー10例、スウェーデン1例)。 計画されていた中間解析の時点(2017年12月12日)で、追跡期間中央値50.9ヵ月、男性被験者が大半を占め(74.7%)、intention-to-treat集団(標準治療群226例、スニチニブ単独群224例)の年齢中央値は62歳、56.0%がECOG PSスコア0であった。両群のベースライン特性は均衡がとれており、MSKCC分類に基づく中リスク患者は、標準治療群55.6%、スニチニブ単独群58.5%、高リスク患者はそれぞれ44.4%、41.5%であった。 中間解析の時点で、326例(91.0%ががんに関連)の死亡が観察された。intention-to-treat集団のOS中央値は、スニチニブ単独群(18.4ヵ月、95%信頼区間[CI]:14.7~23.0)が標準治療群(13.9ヵ月、11.8~18.3)に比べて延長が認められた。MSKCCリスクスコアで層別化したOSの解析における死亡に関するハザード比は、0.89(95%CI:0.71~1.10)で、95%CI上限値は非劣性マージン(≦1.20)を満たした。 奏効率や無増悪生存は、両群間で有意な差はみられなかった。有害事象は、両群とも想定内のものであった。

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NIHやメガファーマが資金提供した臨床試験はやはり優れていた(解説:折笠秀樹氏)-873

 臨床試験の世界最大登録サイトであるClinicaltrials.govと医学文献データベースであるPubMedを使って、主にファンディング(財源)と臨床試験の品質との関係が調査された。登録された薬剤臨床試験として、最近の4万5,620件を対象にした。 ファンディングとスポンサリングとはちょっと異なる。ファンディングとは資金の出処(資金源)を指し、試験への関与は問わない。スポンサリング(主宰と訳す)とは資金提供とともに、試験への全面的関与も意味する。日本語では同じ意味で使われているようだが、区別しておきたい。A企業が資金提供して試験も全責任をもつ場合、ファンディングはA企業、スポンサリングもA企業となる。一方、A企業が資金提供するも、試験は研究グループが責任をもって実施する場合、ファンディングがA企業となるだけである。後者は、臨床研究法の中の「特定臨床研究」に該当する。 臨床試験など、いかなる研究にも財源が必須である。研究発表すると、「財源はどこですか」と聞かれる。「とくにない、手弁当だ」と答える日本人がいるが、それは欧米では通じないことが多い。外部資金を確保できない研究者は研究できないことになり、降格してカレッジなどへ移ることがある。もちろん、資金は外部からだけとは限らず、大学や病院から受けることもあるだろう。本調査では、財源を国家予算(NIH)、製薬企業(メガファーマ、中小ファーマ)、その他(財団、大学、病院など)に分けた。製薬企業52%(メガ31%、中小21%)、NIH11%、その他37%という結果であった。これは件数ベースの報告であり、金額ベースだと製薬企業の比率はもっと高いと思われる。 事前登録された臨床試験数は急速に伸びており、2017年には1万件を超えていた。それに伴い、品質の悪い臨床試験報告が増えている印象を持つ。査読の適当な雑誌も増えているのが原因だと思われる。量が増えると、平均的には必ず水準が下がる。統計的には「平均への回帰」と呼んでいる。1期生は優秀だが、どんどん水準が落ちていく例に似ている。だれでも臨床試験を手掛けられるよう、裾野が広がるためと思われる。ちなみに、事前登録はヘルシンキ宣言の35項に書かれている。 ヘルシンキ宣言には、「研究結果は必ず公表する」という研究者の義務についても書かれている(36項)。メガファーマやNIHが試験提供した臨床試験では60%程度の公表率であったが、その他の臨床試験では40%程度と低かった。これは何を意味しているだろうか。メガファーマやNIHの支援で実施された臨床試験のほうが、試験品質の良いことが推測される。品質の悪い試験は、雑誌の査読過程で棄却されがちだからである。 領域別の結果も出ていた。予想に反して、「がん・循環器・脳神経」領域で、ビッグファーマの割合が30%程度と最も低かった。この割合は件数ベースであり、金額ベースでは違うと推測される。これらの3領域は、規模が圧倒的に大きいことも影響していることだろう。

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メガファーマスポンサーの臨床試験は結果公表率が高い?/BMJ

 臨床試験のデザインと結果の公表は、疾患領域だけではなく資金提供組織のタイプや規模によっても大きく異なるという。英国・ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンのMagdalena Zwierzyna氏らが、資金提供組織と専門領域別に臨床試験の実施状況、デザインの特性および公表(dissemination)について調査した記述分析の結果を報告した。登録された臨床試験であっても、試験デザインが最適でなかったり、結果の公開が遅れることはよくあり、全試験のほぼ半数が試験完遂後何年も公表されないままである。現在、さまざまな組織が臨床試験に資金提供を行っており、報告される割合やその他の研究の質は、資金提供組織のタイプによって異なる可能性が指摘されていた。BMJ誌2018年6月6日号掲載の報告。Clinicaltrials.govに登録された臨床試験計4万5,000件を検証 研究グループは、Clinicaltrials.govにおける試験のプロトコール情報、PubMedにおける試験結果に関する学術論文のメタデータ、Scimago Journal & Country Rankのデータベースにおける関連学術誌の品質測定法を用い、2006年1月以降2015年7月以前に完了した全臨床試験相にわたる無作為化試験および非無作為化試験で、分子標的治療、生物学的製剤、アジュバントおよびワクチンを評価した計4万5,620件について記述的分析を行った。大企業やNIHから資金提供を受けた臨床試験、結果の公表率は約6~7割 企業は非営利組織に比べ大規模な国際共同無作為化試験に資金提供しているようであったが、時間とともに資金提供する試験方法に差はみられなくなった。試験を完遂した有効性評価試験(第II~IV相試験)2万7,835件のうち、結果が公表されていたのは1万5,084件(54.2%)であった。 企業は非営利組織よりも試験結果を公表する可能性が高く(59.3%[1万444/1万7,627件]vs.45.3%[4,555/1万66件])、大規模製薬会社は小規模の製薬会社よりも公表率が高かった(66.7%[7,681/1万1,508件]vs.45.2%[2,763/6,119件])。また、米国国立衛生研究所(NIH)から資金提供を受けた試験は、他の非営利組織から資金提供を受けた試験よりも公表率が高かった(60.0%[1,451/2,417件]vs.40.6%[3,104/7,649件])。 大規模製薬会社ならびにNIHから資金提供を受けた試験の結果は、非営利組織から資金提供を受けた試験と比較して、Clinicaltrials.govに掲載されていることが多く、主に学術論文として公表されていた。無作為化試験は非無作為化試験に比べ学術雑誌で公表される可能性が高く(34.9%[6,985/19,711件])vs.18.2%[1,408/7,748件])、学術雑誌で発表される割合は腫瘍学で20%、自己免疫疾患では42%と、疾患領域によって差異があった。 なお著者は、Clinicaltrials.govに登録された臨床試験に限定していること、登録ミスや不適切な登録・不明確な用語といったデータの質に関する要因がある可能性を、研究の限界として挙げている。

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私流、最適な不動産投資【医師のためのお金の話】第9回

私流、最適な不動産投資こんにちは、自由気ままな整形外科医です。前回は、不動産投資の目的によって、最適な不動産投資手法を選択する必要があることについてお話ししました。「いきなり不動産投資の目的を明確にしろと言われても、そんなことは考えたこともないし、なかなか具体的に連想することができないなぁ…」と、実際には、このように感じる方が大半ではないでしょうか。それでは参考までに、私がどのような不動産投資の目的で手法を選択しているのかをご紹介しましょう。当初は売却益(キャピタルゲイン)が目的私は2004年から不動産投資を開始したのですが、その主な理由として、2006年ごろにメガバンクの一角である某銀行が、融資方針を従来の積算法から収益還元法に大転換したことが挙げられます。収益還元法とは不動産の収益性に着目した評価方法であり、その不動産から将来的に生み出される価値を現在価値に割り引いて不動産価格を決定します。たとえば、1年間の収益が1,000万円、経費が200万円、還元利回りが10%と査定される不動産があったと仮定します。この場合、不動産価格は下記のように評価されます。不動産価格=(1,000万円-200万円)÷0.10=8,000万円不動産価格が8,000万円と評価されているため、某メガバンクは借主の属性に関係なく、物件の評価価格のみでフルローンを連発していました。わずか2年間でしたが、私のような資金を持たざる者にもチャンスの窓が開いたのです。この波に乗って、郊外立地の「表面上は」評価価格の高い1棟マンションを購入しました。実際には空室に悩まされて苦しい賃貸経営でしたが、2013年以降のアベノミクスで不動産市場が高騰したおかげで売却。大きな売却益(キャピタルゲイン)を得ることができました。現在のメインは賃料収入(インカムゲイン)が目的2013~16年は、売却益を明確に意識して5物件を売却しました。郊外立地の物件を売却する一方で、手元には都市中心部立地の物件を温存しました。私はドミナント戦略(チェーンストアなどが地域を絞って集中的に出店する経営戦略のこと)を採っているため、半径数kmのエリア内に、1棟マンション、コインパーキング、宿泊施設、月極駐車場など、雑多な物件を所有しています。そして、これらの物件群は、賃料収入(インカムゲイン)目的で所有しています。不動産は立地が良いと、空室に悩まされる可能性が低くなります。賃貸不動産投資の最大のリスクは空室率の上昇なので、この点をクリアできると、不動産投資の自動運転化が近付いてきます。自分の時間や労働力を投入しなくても自動的に入ってくる賃料収入は、人生における大きな選択や決断をする際の大きなセーフティーネットになります。賃料収入を目的にすることは、人生の選択肢の幅を広げ、チャンスを得るための大きな武器になるのです。サブで個人所得税の節税対策前述した賃料収入目的の不動産は、すべて法人名義で所有しています。その一方で、私は勤務医という給与所得者でもあるため、個人所得税や住民税の節税も考えなければなりません。これにうってつけなのが「築古木造戸建を利用した節税法」です。減価償却費や経費を給与所得と損益通算することで、圧倒的な節税効果を生むことができます。とくに、年間個人所得が高ければ高いほど、節税効果が大きくなることが魅力です。世間ではふるさと納税がはやっています。しかし、築古木造戸建で得ることのできる経済的メリットは、ふるさと納税よりもゼロが一桁多いのです!目的を達成する最適の不動産投資を考えよう繰り返しますが、将来の夢や現在の状況に即して、不動産投資の目的を考えるとよいでしょう。不動産投資そのものは目的ではなく、あくまで目的を達成するための手段にすぎません。個々の置かれている状況は千差万別ですから、私の例も参考にしながら、先生方の人生の目的を達成するために、最適の不動産投資を考えてみてはいかがでしょう。

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第5回 地域連携室とつながっています【はらこしなみの在宅訪問日誌】

在宅訪問専任薬剤師のはらこし なみです。担当ケアマネがいない方への訪問指示をもらう先日から、A病院受診の方と契約し訪問しています。要支援ですが、介護サービスを利用していないため、担当ケアマネさんがいません。高齢者専用住宅に入居されており、そこのスタッフさんから相談がありました。息子さんは医薬業界の方だとか・・じいちゃん、お薬は持ってきてもらえるんだよ!と言われたそうです。A病院には地域連携室があり、そちらに連絡するとスムーズに話が進みました。月1回診療情報提供書をもらうこと、報告書の送付は直接医師に、などとともに医師の訪問指示を確認。薬局の書式を見たい、と言われたので「診療情報提供書・訪問依頼書」をFAXしました。人工呼吸器と腸ろうのALS患者さんを担当します話は変わって...。ALSの患者さんが自宅に戻る方向で調整が進んでいます。お薬をお届けする予定です。人工呼吸器を装着し、腸ろう...なかなか目にすることがありません。誤解を恐れずに言えば、とっても不安です...!!病院主催の緩和ケア勉強会で、この患者さんの話になりました。専門用語が飛び交う中、訪問看護師さんが「人工呼吸器を扱ったことがないので...」と発言し、(わたしもです!)と心の中で叫びました。「じゃ、勉強会したら?」と先生。勉強会への参加をお願いしました。気管切開の方を訪問しています訪問しているBさんは気管切開し、カニューレを装着しています。スピーチバルブを装着して喉のふるえで、音にします。私は全然聞き取れません(涙)Cさんも気管切開されており、訪問看護師さんがカニューレ交換をされますが、うぐぐ~ごぼ、ヒュー、ズボッ...。ゴメンナサイ、怖くて見ていられませんでした(涙)

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HER2陽性固形がんに対するDS-8201aの効果/ASCO2018

 HER2標的治療は、HER2陽性の進行乳がんおよび胃がんの生存を改善したが、さらなる改善が必要とされる。DS-8201a(トラスツズマブ・deruxtecan)は、HER2受容体をターゲットとした免疫複合体(ADC)であり、幅広い腫瘍に対して活性を示す。現在、進行固形がんの拡大コホートを用いた大規模な第I相試験が行われている。 米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2018)では、T-DM1治療後のHER2陽性(IHC3+またはISH+)乳がん、トラスツズマブ治療後のHER2陽性(IHC3+またはIHC2+/ISH+)胃がん、HER2低発現(IHC2+/ISH-、IHC1+/ISH-)乳がん、その他のHER2陽性(IHC≧1+またはHER2増幅またはHER2変異)固形がん患者を対象に実施された、この第I相試験の中間解析結果(2018年4月18日データカットオフ)が、愛知県がんセンター 岩田 宏治氏により発表された。 HER2陽性乳がん患者111例、HER2低発現乳がん患者34例、HER2陽性胃がん患者44例、その他のHER2陽性固形がん患者51例が、DS-8201aの推奨用量である5.4または6.4 mg/kgで治療を受けた。 主な結果は以下のとおり。・患者の前治療数の中央値は、HER2陽性乳がん患者7.0、HER2陽性胃がん患者7.5、HER2低発現乳がん患者3.0、その他のHER2陽性固形がん患者3.0であった。・全体として、86.3%の患者で腫瘍縮小効果が確認され、このうち91.5%の患者が6週後の画像評価時に縮小が確認された。全奏効率(ORR)は49.3%であった。・がん種別ORRは、HER陽性乳がん54.5%、HER2低発現乳がん50.0%、HER2陽性胃がん43.2%、その他のHER2陽性固形がん38.7%であった。・病勢コントロール率は、HER陽性乳がん93.9%、HER2低発現乳がん85.3%、HER2陽性胃がん79.5%、その他のHER2陽性固形がんでは83.9%であった。・奏効期間中央値は、HER2陽性乳がんでは未到達、HER2低発現乳がんでは11.0ヵ月、HER2陽性胃がんでは7.0ヵ月、その他のHER2陽性固形がんでは12.9ヵ月であった。・有害事象(Treatment-emergent adverse events)の発現は98.8%、うちGrade3以上は50.2%であった。 DS-8201aは、高度な前治療歴のあるHER2陽性の乳がんおよび胃がん患者に対し、高い抗腫瘍活性を示し、管理可能な安全性プロファイルを示した。■参考DS-8201a第1相試験(Clinical Trials.gov)※医師限定ASCO2018最新情報ピックアップDoctors’ Picksはこちら

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これがMRによる不適切な情報提供の実態【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第2回

医療用医薬品の広告には法的規制や自主規範があり、MRなどから医療者への医薬品の情報提供には制約があります。その医療用医薬品の広告活動が適切に行われているかどうかに関する調査が実施され、報告書が2018年3月に作成、5月11日に公表されました。調査は、厚生労働省により2017年度中に5ヵ月間行われました。全国の医療機関の中からモニター医療機関を選定し、問題がありそうな事例を報告してもらい、それが法令違反に該当するかどうか行政上の判断を行うというものです。今後、行政指導などの必要な対応を図り、また製薬会社や医薬業界の自主的な取り組みを促すことで、医薬品の広告活動の適正化を図るために実施されました。調査対象は、MRなどの情報提供活動や広告資材、講演会だけでなく、専門誌や製薬会社のホームページも含まれており、医療機関における情報収集の実態に沿ったものとなっています。調査の結果、52の医薬品などで適切性に関する疑義報告があり、違反が疑われる項目は67件でした。今回は、健康被害への重大性や悪質性の観点からただちに取り締まりが必要となる事案はなかったため、違反事例に対しての処罰はないものと思われます。クローズドな場で資料配布せず意図的に疑義報告が行われた情報の入手ルートですが、1位が「企業による製品説明会」で34.6%、2位が「MRによる口頭説明」で30.8%でした。疑わしい事例の分類としては、1位が「事実誤認の恐れのある表現を用いた」が41.8%と断トツで多く、次いで「事実誤認のあるデータ加工を行った」が14.9%、「未承認の効能効果や用法用量を示した」が11.9%と続きました。具体的な事例として、以下が挙げられていました。原料の供給が需要に追い付かないため、患者の状態に応じた半量投与など、投与量の適宜増減を依頼する紙面案内があった。根拠となるデータを示すことなく「半量投与でも効果はまったく変わらない」と口頭で説明された。→効能効果について根拠のない情報提供自社のAG(オーソライズド・ジェネリック)と他社の後発医薬品との差異について、「胃炎・胃潰瘍治療剤は胃に直接作用するため、薬剤の溶出性などの動態が重要となる。効果を最大限に得るためには先発医薬品と製剤方法や添加物がすべて同等であるAGが最適である」と説明された。→根拠のない情報提供および他社製品の誹謗中傷発言パンフレットに補助線が引かれるといった加工が行われており、他社製品との差を強調している印象を受けるものであった。→補助線の追加と着色による誇大表現この報告書のまとめには、この調査によって以下の3点が明らかになったとされています。1.企業のMRが行う製品説明会や医療機関を訪問しての情報提供、登録制の企業ホームページといった「クローズドな場」において不適切な情報提供が多く行われている。資料を配布しないなど、意図的に不適切な情報提供を行っている可能性が疑われる事案もあった。2.調査期間の長期化とモニター医療機関の拡大により、不適切事例の把握数が増加した。モニター調査の継続的な実施と拡大は、企業の不適切な情報提供に対して一定の抑止力になる。3.広告監視モニターが広告監視の視点を身につけるうえで、不適切事例の共有が効果的であった。事例の精査には、実際の事例によって、不適切な情報提供のパターンやポイントを学習することが重要。製薬会社側も不適切な情報提供を問題視しているのか、最近では医療機関からの質問をその場でMRが回答することを禁じ、MA(メディカルアフェアーズ)やDI部門から後日回答する会社が複数あると聞きます。今後こうした事例は少なくなっていくのでしょうが、いずれにせよ私たち医療者は、最新の医薬品や医療の勉強を製薬会社に任せっきりにしたり、内容をうのみにしたりせず、客観的に評価する目を持つ必要がありそうです。平成29年度 医療用医薬品の広告活動監視モニター事業報告書

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第2回 信頼区間(confidence interval:CI)とは何か【統計のそこが知りたい!】

第2回 信頼区間(confidence interval:CI)とは何か医学論文などでよく目にする95%CI。今回は信頼区間(confidence interval:CI)について解説します。■抽出データは全体データを表すかある試験を行った結果、毎回同じ結果が出るとは限りません。たとえば、A健診センターで心臓超音波検査を行った成人男性をランダムに100人抽出し、その左室心筋重量の平均が130gだったとしましょう。しかし、このデータをもって日本の成人男性の左室心筋重量を130gと決めるわけにはいきません。異なる100人の結果は135gとなるかもしれませんし、128gかもしれません。そこで統計学の考え方では、ある集団からランダムに何例かを取り出し平均値を出すという作業を何回行っても、平均値はほぼこの範囲に収まるという幅を設定します。それが「信頼区間(confidence interval:CI)」であり、母集団を推定する際の許容誤差範囲とも言えます。信頼区間は下限値(lower limit value)と上限値(upper limit value)で表されます。■データの信頼性を裏付けるのが信頼区間この信頼区間を用いることで、たとえば医療であれば治療効果の大きさや研究の信頼性が同時にわかります。信頼区間が狭いほど、推定値の信頼性は高くなります。最近では、p値とともに併記される場合も多くなりました。とくに医療統計では、治療薬の効果検定や治療成績などの研究で幅広く使用されています。基礎・臨床研究の現場で患者全員の治療成績をデータ化して、検証することは不可能です。そこで、信頼区間を使うことで、小さいグループを抽出して、その値に信頼性があるかどうか統計処理することで、データの有効性を証明します。■具体例で母集団の平均値を推定してみる具体的に簡単な事例でみてみましょう。一定の全体集団から、一部を抽出し、全体を推定した場合、その推定数に信頼があるかどうかをみてみます。【具体例】ある県の成人男性の人口は25万人です。この県の成人男性の左室心筋重量(g)を調べるためにランダムに抽出したn=400の心臓超音波検査データの平均値(標本平均)は135g、標本標準偏差は28gでした。この県の成人男性の左室心筋重量の平均は135gと決めてしまってもよいのでしょうか。抽出された成人男性のデータ「n=400」は、全体(母集団)の中で数値が低いほうかもしれないし、高いほうかもしれません。たまたま抽出されたサンプルの平均値で、全体(母集団)の平均値であると言い切ってしまうのは危険です。そこで、得られた平均値に一定の幅を持たせます。つまり、この県の成人男性全体の左室心筋重量平均は「132~138gの間にある」という言い方で、母集団の平均値を推定します。このように調査平均値に幅を持たせ、母集団の統計量を推定する方法を「区間推定法」と言います。「132~138gの間にある」、すなわち「M1~M2」と言うとき、M1を下限値、M2を上限値と言います。そして、この2つで挟まれた区間を「信頼区間」と言うのです。信頼区間の幅は主に、信頼区間の係数(95%、99%など)、サンプルサイズによって決まります。信頼区間の係数は、実は仮説検定における有意水準に対応する概念です。信頼区間が95%だと有意水準5%(p<0.05)に対応し、99%だと有意水準1%(p<0.01)に対応します。係数が0%に近いほど信頼区間の幅は狭くなり、100%に近いほど広くなります。通常、95%信頼区間(95% confidence interval:95%CI)が用いられることが多く、95%信頼区間は、区間推定の代表的な指標となっています。●95%信頼区間の求め方は次の公式です。下限値=平均値-1.96×標準誤差(SE)上限値=平均値+1.96×標準誤差(SE)上記の具体例の場合、95%信頼区間(95%CI)は、下限値=135-1.96×28÷√400=132上限値=135+1.96×28÷√400=138となります。以上から、この県の成人男性の左室心筋重量の平均値は135gと決めてしまうことはできず、132~138gの間にあると推定され、その信頼度は95%ということになるのです。■さらに学習を進めたい人にお薦めのコンテンツ「わかる統計教室」第3回 理解しておきたい検定セクション7 信頼区間とは?セクション8 信頼区間による仮説検定第4回 ギモンを解決! 一問一答質問2 何人くらいの患者さんを対象にアンケート調査をすればよいですか?

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来年見直される薬機法 注目の論点は“あの話題”【赤羽根弁護士の「薬剤師的に気になった法律問題」】第2回

皆さんは、「薬事法」から「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法)」に名称が変わったのは、いつだったか覚えているでしょうか。この改正が施行されたのは2014年でしたが、最近になってようやく薬機法や医薬品医療機器等法という呼び方が定着してきた印象です。この改正の際、施行後5年をめどとして、必要に応じて、医薬品医療機器等法を見直すことが附則として定められていました。5年後というと来年の2019年になりますので、本年4月から厚生労働省で議論が開始されています。引用:厚生労働省「改正法の施行後5年を目途とした検討」について3番目の議題で検討される、薬局・薬剤師の在り方上記の資料より、2018年4月時点では、以下の3つのテーマについての検討が予定されています。テーマ1:革新的な医薬品・医療機器等への迅速なアクセス確保・安全対策の充実テーマ2:医薬品・医療機器等の適切な製造・流通・販売を確保する仕組みの充実テーマ3:薬局・薬剤師のあり方・医薬品の安全な入手それでは、それぞれのテーマについて考えていきましょう。テーマ1については、「国内で患者に医療上必要な製品をより早く提供するには、技術革新に柔軟かつ効率的に対応した規制の実施が課題となっている。」「一層の制度の見直し・明確化が必要ではないか。」(上記資料4枚目)などという問題意識が挙げられています。これは、医薬品・医療機器などの開発と、安全対策などに関するものであり、希少疾病用医薬品などといった、必要性の高い医薬品の実用化に向けて、より迅速な承認制度などが検討されます。薬局に関わる内容は、医薬関係者からの副作用報告の推進や、高齢者の医薬品適正使用などについて、今後議論される可能性があります。テーマ2は、「近年、承認書と異なる製造方法での医薬品製造、偽造医療用医薬品の流通、チェーン薬局における処方箋付け替えなどの問題事案が発生し、国民の医薬品・医療機器等の品質・安全性に対する国民の信頼が揺らいでいる。薬害の発生及び拡大防止の観点からも、法令に違反する事案の再発防止策が重要であり、各事業者が確実に法令遵守に取り組み、医薬品等が適切に製造・流通・販売されるような仕組みを検討する必要があるのではないか。」(上記資料5枚目)などというのが問題意識ですが、医薬品・医療機器に関わる企業の管理者・責任者の役割・責務の明確化などについて検討されるようです。昨年には、C型肝炎治療薬の偽造品が流通した問題を受けて、偽造品の流通防止策が盛り込まれ、医薬品医療機器等法施行規則などの一部改正が行われました。今後、法令順守違反に対してより厳しい行政措置の導入が検討される可能性もあり、どのような議論がされるのか注目しておきたいところです。遠隔服薬指導が検討内容にテーマ3の問題意識は、「処方箋受取率が70%を超えて医薬分業が進展する一方で、患者が医薬分業の利益を実感できていないとの指摘がある。」「かかりつけ薬剤師・薬局を推進しているが、地域包括ケアシステムの中でかかりつけ薬剤師・薬局が医療・介護の一翼を担い、地域の住民・患者が、品質の確保された医薬品を安全かつ有効に使用できるような取組の強化及び体制作りが一層求められているのではないか。」(上記資料6枚目)として挙げられています。本テーマでは、より患者さんが利益を享受できる医薬分業および、かかりつけ薬剤師・薬局などについて検討されるようです。耳の痛い部分もありますが、地域包括ケアシステムの中でかかりつけ薬剤師・薬局が医療・介護の一翼を担うとして、期待されている部分も多いように思います。興味深いところは、遠隔服薬指導についての検討が明記されている点です。2018年度診療報酬改定で、遠隔診療についての算定項目(オンライン診療料)が新設されたことを受け、遠隔服薬指導は早い段階で一部解禁になるかもしれません。薬剤師の業界では、診療・調剤報酬に着目してしまいがちですが、調剤報酬なども、当然法律にのっとって改定されます。来年の医薬品医療機器等法見直しについて、国が求めている方向性もわかりますし、どのように議論がされるか、注目しておいてもよいのではないでしょうか。「改正法の施行後5年を目途とした検討」に関する当面のスケジュールは、2018年7月までにテーマごとの検討を行い、論点の整理後、秋以降さらに検討を重ね、年内をめどに意見を取りまとめる予定のようです。資料厚生科学審議会 平成30年度第1回医薬品医療機器制度部会 資料1-1「改正法の施行後5年を目途とした検討」について参考厚生科学審議会(医薬品医療機器制度部会)

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降圧療法としての新たな腎除神経法(解説:冨山博史 氏)-867

研究背景 高血圧症例(とくに難治性高血圧)において、腎除神経は有効な降圧療法とする報告が増えている。これまでの報告は、腎動脈内腔側から高周波カテーテルを用いて腎除神経を行う方法であった。現在、経皮的除神経や超音波を用いた除神経など、高周波カテーテル以外の腎除神経法が開発中である。 本研究は、超音波カテーテルを用いた腎除神経法の降圧治療としての有効性を検証する目的で実施された。超音波除神経法 本方法は、腎動脈本幹遠位側をバルーンにて血行遮断し、中枢側に超音波バルーンを留置し超音波にて除神経を実施する方法である。腎動脈本幹では腎神経は腎動脈内腔側でなく外膜側を走行しており、本超音波除神経法は腎動脈内腔より1~6mmの部位の組織挫滅に有効な方法とされ、同部位を走行する腎神経を挫滅させる。研究対象 年齢18~75歳、降圧薬服用数2種類以下、同降圧薬を4週間中止した後の自由行動下血圧(ABPM)が135/85mmHg以上~170/105mmHg未満、かつ適切な腎動脈の解剖学的構造(上述のごとく、本超音波システムは腎動脈本幹中央に超音波カテーテルを留置する必要があり、腎動脈本幹に屈曲が少なく、分枝までに十分な距離が必要となる)を有する症例。研究実施方法 対象は無作為に除神経実施群と対照群(腎動脈造影のみ)に分けられた。Single blind法にて結果は評価された。評価方法 主評価項目は除神経実施2ヵ月後の日中のABPMの変化である。本研究の結果 欧州、米国の21施設で研究が実施され803例が登録された。このうち74例で腎除神経が実施され、72例が対照群となった。2ヵ月後の日中自由行動下収縮期血圧の低下は除神経群で-8.5mmHg、対照群で-2.2mmHg、腎除神経群で有意に大きい降圧を認めた。2ヵ月内では両群とも有意な腎動脈狭窄を認めなかった。研究の限界 本研究で著者らは以下5項目の研究限界を述べている。(1)長期の腎除神経の有効性は評価されていない。(2)腎動脈除神経が十分に実施されたかを手技直後に評価していない(除神経の評価方法として、腎カテコールアミン濃度測定、筋交感神経電位測定、求心神経刺激による血圧変化の評価などが実施されているが、確立された方法はない)。(3)有害事象の発生(安全性)評価には十分な症例数でない。(4)腎除神経のみでは降圧が不十分な症例が55%であった。(5)研究期間中の降圧薬服用状況の確認は、問診で実施され、血中・尿中の降圧薬濃度は測定していない。コメント■症例選択の制約:上述のごとく、超音波除神経法施行には腎動脈本幹の解剖学的構造に制約がある。超音波バルーン留置に必要な解剖学的特性(距離や非湾曲)を有する症例は87%であり、803例中103例(13%)が、超音波除神経困難な腎動脈本幹を有していた。■除神経の有効性・確実性:本研究では超音波腎除神経法の降圧効果は、SPYRAL研究などで報告されている高周波カテーテルで得られる降圧効果と同等としている。すなわち、高周波、超音波、その他、いずれの方法でも腎除神経が有意な降圧効果を示すことを示唆した研究成果である。しかし、SPYRAL研究など高周波カテーテル除神経は腎動脈本幹に加え腎動脈分枝部(腎神経の走行が動脈内腔側に移動する)で実施することで確実な除神経を行っている。しかし、超音波カテーテルでは、その特性から腎動脈本幹のみで除神経が施行され(腎動脈分枝の除神経は困難)、腎除神経の確実性は確認されていない。 今後、高周波カテーテル法と超音波カテーテル法の腎除神経の有効性・安全性を評価する大規模長期経過観察研究が実施されると考えられる。研究実施に際しては、腎除神経の確実性、研究実施期間中の正確な降圧薬服用有無の評価(腎除神経の降圧治療を評価するいずれの研究においても重要な評価課題として指摘されている)が望まれる。

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奥多摩で考える地域医療の将来と展望

 2018年5月19日、西多摩三師会と奥多摩町は「『健康長寿な地域づくりフォーラム』in 奥多摩」を共同で開催した。このフォーラムは、日本の縮図である西多摩地域で、地域の自然・文化・産業・医療資源を生かした「活力ある健康長寿地域づくり」をテーマに、観光・食などのリラクゼーションや健診・運動・湯治・リハビリなどを組み合わせた「ヘルスケアツーリズム」について議論するもの。当日は、西多摩地域の医療者、行政関係者、議会関係者など多数が参集した。本稿では講演の概要をお伝えする(写真は、左上:阿岸 祐幸氏、右上:伴 正海氏、下:武見 敬三氏)。奥多摩で「ヘルスリゾート」 はじめに「観光・湯治・医療資源を生かした健康増進地域づくりに向けて~西多摩ヘルスリゾート構想の可能性~」をテーマに、阿岸 祐幸氏(北海道大学名誉教授)が、奥多摩の自然をドイツやスイスの高原地帯になぞらえ、「ヘルスリゾート」の提案を行った。 自然環境(山、川、海、温泉など)は、健康に良い影響を与える。たとえば温泉について、奥多摩の温泉は、強いアルカリ性泉であり、肌に良い影響を与えるという。欧州では、温泉は「テルメ」と呼ばれ、温泉に付属した療養所は「メディカル・テルメ」と言い、医療の一翼を担うものとして広く利用されている。 また、都心からほどほどの距離にある奥多摩は、気候(転地)療法にも利用でき、「この環境が治癒の促進や健康の増進に役立つ可能性がある」と期待を膨らませた。また、奥多摩の豊富な森林も鎮静殺菌作用があるとされる「森林浴」の効能を高め、「多摩の植生を利用した科学的な遊歩道の設置などが期待できる」とも語る。 そして、同氏は、奥多摩に自然を活用した健康保養地として「Natural capital health resort」の設置を提唱した。「奥多摩地域以外からの療養者はもちろん、地域住民には地域包括ケアシステムへ温泉などの地元の資源を取りこむことで、生活支援や介護などともリンクさせる取り組みができる」と展望を語った。地域医療でできること、できないことの見極め 次に「住民が生きて逝くための地域包括ケアシステムづくりについて~高知のへき地や行政での6年間と国での2年間を踏まえて~」をテーマに伴 正海氏(医師・元厚生労働省 医政局地域医療計画課 医師確保等地域医療対策室)が、地域医療の展望について講演を行った。 伴氏は、地域医療の研修として6年間を過ごした国保梼原病院を例に説明。梼原町の取り組みとして、町立病院と保健福祉支援センターを同じ建物に収容することで、住民を24時間フォローする仕組みやへき地の医療・介護の成功例を紹介した。 たとえば初期認知症の患者であれば、医療者がそのきざしを覚知した時点で、介護の専門職へフォローを依頼することができ、症状が進行した場合、その逆もできることで迅速に、手厚い医療を提供することができるという。 次に「少産多死の時代」の医療について言及し、「今後は『死なせない医療』から『支え看取りの医療』への転換が必要であり、患者の社会背景をくんだ医療・介護の導入のために、地域の役割が大事になる」と語った。そのために地域でできること、できないことの議論と合意の形成が必要になると示唆した。 最後に多摩地域について触れ、「多摩は『地域が医師を育てる場』として最良の場所である。住民が医療者を育てるために教える、体験させるなど医療者を育成し、地域全体が納得する医療を作っていってもらいたい」と思いを語った。労働人口減少の将来の地域の在り方 次に「活力ある健康長寿地域づくりに向けて~西多摩モデルへの期待と行政のリーダーシップ~」をテーマに武見 敬三氏(参議院議員)が、医療、医療経済について解説を行った。 今後の人口動態について厚生労働省などの資料を基に解説。「今後3年間は谷間として一時的に75歳以上上昇率は減る一方で、その後一気に団塊の世代が増加するので上昇率は上がる。その間に国として、どのような政策提言、実行ができるかが試されている」と問題点を示した。 労働人口の減少はこれから全国的な事象であり、「アジア健康構想」の例に代表されるように、アジアの諸国から介護の担い手としての労働者の確保や健康寿命延伸への取り組みにより解決が望まれている。また、社会保険についても「国家財政上の見地から今後は、さまざまなデータベースを作成・活用し、費用対効果の分析を行い、支出を見直すことも国民に理解いただきたい。また、高齢者が活躍できる場を作ることで、働けるうちは元気に働いてもらいたい」と説明を行った。 最後に多摩地区の現状と将来に触れ、「極端に就業人口が少なくなる問題に直面している」と指摘し、医療介護の財政上の問題、住民負担の増大などに対し、地域包括ケアの充実などを活用することで上手に対応してもらいたい。行政と住民がよく話し合い、方針を決め、絶え間なく地域の活性化がされることを期待する」と述べ、講演を終えた。

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FDAに義務付けられた新薬市販後調査の実態/BMJ

 米国・Yale-New Haven HospitalのJoshua D. Wallach氏らが、米国食品医薬品局(FDA)が承認した新薬/生物学的製剤に義務付けられている市販後調査(postmarketing requirements:PMR)について検証した断面解析の結果を報告した。その結果、米国における新薬/生物学的製剤のPMRは、簡潔に述べられていることが多く、研究デザインに関する情報が十分ではないことが、また、前向きコホート研究、登録研究および臨床試験としてPMRの約4分の3はClinicalTrials.govに登録されていたが、結果が公表または論文発表されていたのは完了した試験の約4分の3で、調査が義務付けられている研究の少なくとも4分の1は、公的に発信されていないことが示されたという。FDAは製薬会社に対し、新薬/生物学的製剤の安全性および有効性に関する重要な疑問に回答するためPMRの実施を要求できるが、その遂行やエビデンスの厳密さについて懸念が高まっていた。BMJ誌2018年5月24日号掲載の報告。2009~12年に承認された97製品のPMRを検証 研究グループは、2009年1月1日~2012年12月31日の間にFDAが承認したすべての新薬/生物学的製剤に関するPMRを対象に、承認時に示されていたPMRとその特徴(FDAの規制、研究デザインおよび研究の特徴など)、必須とされる前向きコホート研究・登録研究・臨床試験のClinicalTrials.govへの登録の割合、適時性および結果の報告、ならびに査読誌での発表について調査した(追跡期間は2017年11月15日まで)。 FDAは2009~12年に、PMRの実施を要求した新薬/生物学的製剤97品目(適応症は計106)を承認しており、義務付けられたPMRは総計437件であった。PMRの少なくとも4分の1は結果が公表されていない 調査の結果、PMRの説明は短文で(単語数中央値:44、四分位範囲:29~71)、直近の進捗を明らかにする情報が不足しているものが多かった(131件、30%)。 437件中、220件(50.3%)は新たな動物試験や他の試験(薬物動態試験を含む)、134件(30.7%)は前向きコホート研究・登録研究・臨床試験、83件(19.0%)は二次解析または追跡調査であった。 臨床試験110件のうち、無作為化の方法、対照薬の種類、割り付け、評価項目、登録患者に関する情報が不足していたものがそれぞれ38件(34.5%)、44件(40.0%)、62件(56.4%)、66件(60.0%)、98件(89.1%)あった。 前向きコホート研究・登録研究・臨床試験134件のうち、102件(76.1%)はClinicalTrials.govに登録されていた。さらに登録され完遂していたのは50件で、そのうちClinicalTrials.govに結果が報告されていたのは36件(72.0%)であった。 非公表を含め完遂した65件のうち、結果が報告または論文発表がなされていたのは47件(72.3%)であった。FDA承認から報告・発表までの期間は中央値47ヵ月(四分位範囲:32~67)で、47件中32件(68.1%)はFDAへの最初の報告期限を過ぎていた。

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透析医療の新たなる時代

 2018年5月22日にバクスター株式会社主催のプレスセミナーが開催された。今回は『変革期を迎える透析医療~腹膜透析治療の可能性とQOLを高める「治療法決定プロセス」の在り方とは~』と題し、日本透析医学会理事長 中元 秀友先生(埼玉医科大学病院 総合診療内科 教授)が登壇した。なぜ腹膜透析が浸透しないのか 人工透析患者は2016年時点で32万9,609人に上り、新規透析導入患者は3万9,344人と報告されている。血液透析(HD)導入が増加する一方、他国と比較して日本の腹膜透析(PD)導入率は2.7%と、PDの普及率は世界でも最低レベルである。 PDはHDと比較すると残存腎機能維持、QOL維持、患者満足度が良好であるのに対し、透析効率や除水効率の低さ、継続可能年数が短いことが問題点として挙げられる。なかでも一番の問題点として、「腹膜透析の専門家(医師、看護師)が少ないこと」「患者にとって十分な情報提供の不足」を中元氏は強調した。日本の透析技術に高い評価 「血液透析患者の治療方針と患者予後についての調査(DOPPS)」によると、日本は米国に次いで患者登録数が多く、現在は第7期調査が進められている。 世界12ヵ国の7,226名の透析患者を対象としたDOPPS(第4期調査)研究からの報告では、日本人1人当たりの透析期間は平均8.76年と参加国で最も長いと記されている。それにもかかわらず患者の活動状況の指標であるFunctional Status (FS)が最も良好であるのは、“日本の医療技術が優れ、シャントが計画的に作成される結果、透析導入も計画的に行われているため”とも報告されている。その他にも“保険制度が優れ、透析導入時の金銭的負担が少ない”というメリットがあり、「すべての患者が良好な血液透析を受けることができる。本邦の血液透析の成績が極めて良いことは誇るべきことであるが、これがPDの普及の足かせになっている可能性もある」と中元氏は語った。透析医療の変革期 2000年以降PD液は中性透析液となり、腹膜への侵襲性は大きく改善した。また、ブドウ糖に代わるものとしてイコデキストリンが登場し、緩衝剤へ重曹が使用されるようになったため、より生体に適合する透析液が発売されるようになった。中性液の有用性については、「中性液でEPSの発症率をみたNEXT-PD試験」において、EPSの発症を以前の研究と比較して約1/3まで抑えることが報告されている。 中元氏は、このように腹膜透析の医療技術が飛躍的に躍進しているものの「患者への情報に偏り」があることを、これまでのアンケート結果(全腎協、腎臓サポート協会)から指摘した。2008年の全腎協のアンケートでは「血液透析開始前の患者の6割が、さらに透析開始後も4割の患者は腹膜透析を知らなかった」と報告されている。また腎臓サポート協会の「治療法は医師が決定しそれに従った患者が半数以上だが、実際は、85%の患者が治療法を自身で決定したいと考えている」という結果から、今後、医療従事者の認識不足を解決し、患者がもっと治療の意思決定に参加できる態勢が必要であると説明した。在宅診療や労働人口の社会復帰に寄与 国としても適切な腎代替療法推進を目指している。平成30年度診療報酬改定では、糖尿病性腎症からの透析導入者抑制のため「糖尿病透析予防指導管理料」の対象患者の拡大や、療法選択への診療報酬加算の充実、特に腹膜透析や腎移植の推進評価として「腎代替療法実績加算 100点」算定が開始された。 高齢患者の在宅治療の推進、地域包括ケアの重要性が言われており、高齢者が社会生活を維持しながら透析治療を継続するためにはPDの普及が急がれる。今回、バクスターより発売された自動腹膜用灌流装置「ホームPDシステム かぐや」は医療従事者による遠隔操作により、さらに身近な在宅治療が実現可能となった。また、通院回数を減らすことが可能であり、就業への支障が少なく社会に対する疎外感の抑制にもメリットがある。 最後に中元氏は、「今後はこのシステムに大病院だけが関与するのではなく、在宅治療が増えていくことを見据え、中小病院やクリニックとの連携が重要となる」ことを強調し、PDは地域連携に考慮した治療法であるとPDの普及に期待を示した。■参考バクスターニュースリリース日本透析医学会 わが国の慢性透析療法の現況DOPPS

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第4回 施設内でオペ!流血あり(>_

在宅訪問専任薬剤師のはらこし なみです。褥瘡の外科処置が目の前で・・・!高齢者専用住宅で外科的処置を経験しました...。訪問医のA先生は麻酔科出身。外科的処置も慣れていらっしゃいます。褥瘡の処置+デブリードマン(感染、壊死組織を除去し創を清浄化する)を、その場で行います。「はい、デブリするよ!」麻酔なしで痛くないのだろうか・・・。患者さんは普通の顔しています。新聞紙敷いて、ガーゼ敷いて、「はい、消毒」「はい、メス」。ザクザク皮膚を切っていきます。出血する人もいれば、そうでない人も・・・。(は~終わった。)最近、外科的な褥瘡の処置には慣れてきました。最初の頃はオロオロして見ていられませんでした。次のお部屋・・・足の親指の腫れに外用抗菌薬で様子を見ていた患者さんにオペ!足の親指が腫れて、フロモックス®錠+ゲンタマイシン®軟膏で様子を見ていた患者さんが、一向に良くなりません。点滴は嫌だとおっしゃるので、内服+外用で対応していたのですが、爪の下に膿が溜まっている様子。A先生:こりゃ~切ったほうが早いかな。私:き、切るって?どこを?(私は患者さんと同じ反応・・・汗)A先生:ん?指だよ。爪とっちゃったほうがいいよ私:爪を剥ぐってことですか?(無理です!無理です!)と思いきや、患者さんは意外に、「それでよくなるん?痛くないん?(いやいやいや、痛いだろ~!)A先生:麻酔するし大丈夫。とりあえず爪は残して下から膿み出そう!看護師さんがちゃちゃっと準備し、キシロカイン®注登場。アンプルにシリンジ。「麻酔の注射がちょっと痛いけど・・」。チューとシリンジに吸引して、足の指に何箇所も刺す。爪の周りに6箇所くらい。(ああ、だめ~!あれ?でも、最近注射針が見られるようになったかも)患者さんは口を押さえて我慢。そして、注射が終わってすぐに「消毒・メス!」爪の周りをザクザク切っていく。ひえ~血だらけ・・・どんどん下のガーゼは真っ赤になり「ガーゼだして!」。看護師さんは足を持って補助しているし、ガーゼを出すのは...私ですか!(はい、はい、はい、はい・・・ドキドキドキドキ)処置を見ながら、患者さんに痛くないですか?と聞くと、全然大丈夫と。すごいな~麻酔って。あんなにすぐ効果が出るのかあ。「はい、おしまい。あとは圧迫止血して!」看護師さんに代わり、先生はグローブを取る。お~、ドラマみたいだ。いや~現場ってすごい!先生、看護師さんてすごい!そして、やっぱり血は怖い。この頻脈・・・ケアマネさんに伝達しているときも続いていました。

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AI時代に対応する医療人を目指して

 2018年5月29日、山口大学(学長:岡 正朗)は、都内において4月に設立された「AIシステム医学・医療研究教育センター」(以下「AISMEC」と略す)に関する記者発表会を行った。 冒頭、岡氏があいさつし、今後の医療の拡大にAISMECが果たす役割に期待を寄せた。また、大学では学生全員に数理情報の講座を履修させ、その能力を向上させる人材育成にも取り組んでいることを強調した。 次にセンター長に就任した浅井 義之氏(同大学大学院医学系研究科 教授)が、AISMECの概要、現在の取り組み、今後の展望について説明を行った。 AISMECは、人工知能(AI)とシステムバイオロジーを融和させ、「基礎医学研究の推進」「新しい医療技術の開発」「データサイエンス医学の人材育成」へ展開することを目的に設立されたセンターである。そして、AISMECで使われるAIは「特化型AI」と言われ、膨大なデータの中からヒトの眼では見つけられない特徴を見つけることができ、知識を発見することで「病気の早期発見」「治療効果の予測」が期待されている。また、システムバイオロジーは、膨大な人体の生理データと生理機能をコンピュータシミュレーションを用い、生命機能のダイナミクスを捉えて、知識を広げ、深めることで「発症メカニズムの深い理解」「新治療技術・新薬の開発」が見込まれている。 具体的にAISMECでは、「システムバイオインフォマティクス講座」(システム医学の推進/医用AIでデータ解析)、「医療情報判断学講座」(病院情報システムデータの利活用)、「公衆衛生・予防医学講座」(個別予防医療/先制医療の実践)、「システムズ再生病態医化学講座」(実験システム医学の推進)の4つの講座の技術を核に融合し、所期の目的を達成するとともに、山口大学医学部附属病院の臨床講座、医学系研究科の基礎講座、さらに地方自治体など学内外のエキスパートとも連携していく予定である。次世代のデータサイエンス医師を育成 進行しているプロジェクトとしては、「骨髄移植後の拒絶反応のリスク予測」「薬剤による不整脈発生リスク予測」ほか5つがあり、これらには学生も研究に参加しているほか、すでにバイオマーカーの探索では実用化されたものもあり、複数のマーカーが探索されているという。 浅井氏は、「今後、AISMECでは、データサイエンスに精通した医療人の育成と医療に精通したデータサイエンティストの育成を通じて、世界に貢献できる研究成果の発表、人材の提供を行い、次世代のデータサイエンス医師を世界に羽ばたかせたい」と期待を語った。 最後に同センターの顧問に就任した北野 宏明氏(ソニーコンピュータサイエンス研究所代表取締役社長)が、「多層解析が主流となった現代の医療ではデータを深堀する必要があり、良いデータの集積にすべてがかかっている。AISMECの設立で大学、病院から質、量ともに良いデータの収集に期待を持つことができる。また、データサイエンスに強い人材の育成にも積極的な施策により成功が期待される。世界でもまれな取り組みなので、今後の挑戦を見守っていきたい」と発表会を締めた。■参考山口大学AIシステム医学・医療研究教育センター

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世界初のアレルギー性鼻炎治療貼付薬「アレサガテープ4mg/8mg」【下平博士のDIノート】第2回

世界初のアレルギー性鼻炎治療貼付薬「アレサガテープ4mg/8mg」今回は、「エメダスチンフマル酸塩 経皮吸収型製剤4mg/8mg(商品名:アレサガテープ)」を紹介します。世界初の経皮吸収型アレルギー性鼻炎治療薬で、嚥下困難な患者さんへの安全な使用が可能であり、また、安定した血中薬物濃度の維持により、日中だけでなく、睡眠中や起床時にも効果の持続が期待されます。<効能・効果>アレルギー性鼻炎の適応で、2018年1月19日に承認され、2018年4月24日より販売されています。本剤は、アレルギー反応による肥満細胞からのケミカルメディエーター遊離抑制作用を持つ第2世代抗ヒスタミン薬です。1993年に同成分であるエメダスチンフマル酸塩の経口薬が、アレルギー性鼻炎、蕁麻疹などを適応として発売されましたが、本剤の適応は、2018年5月末時点でアレルギー性鼻炎のみです。<用法・用量>通常、成人には1回4mgを胸部、上腕部、背部または腹部のいずれかに貼付し、24時間ごとに貼り替えます。なお、症状に応じて、1回8mgまで増量可能です。肝障害歴を有する患者さんは、本剤の使用により肝機能異常が発現する恐れがあるので、慎重投与が指示されています。<臨床効果>季節性アレルギー性鼻炎患者1,273例を対象とした、国内第III相二重盲検比較試験において、本剤貼付群(エメダスチンフマル酸塩として4mgまたは8mg)、プラセボ対照群、実薬対照群(レボセチリジン塩酸塩錠5mg)に1日1回2週間投与した結果、主要評価項目である鼻症状(くしゃみ発作、鼻汁、鼻閉)の合計スコア変化量において、本剤貼付群はプラセボ対照群に対し有意な低下が認められ、実薬対照群と同程度でした。<副作用>国内の臨床試験では、臨床検査値異常を含む副作用が1,060例中201例(19.0%)に認められています。主な副作用は、貼付部位紅斑116例(10.9%)、眠気52例(4.9%)、貼付部位掻痒感48例(4.5%)などでした。<患者さんへの指導例>1.くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどのアレルギー症状を改善するテープ製剤です。2.1日1回新しい薬に貼り替えますが、毎回貼る場所を変えてください。なるべく毎日同じ時間帯に貼り替えることが望ましいです。3.胸部、上腕部、背部または腹部で傷や赤みがない部位を選び、乾いたタオルなどでよく拭って清潔にしてから貼りましょう。4.テープが途中で剥がれた場合、すぐに新しいテープを貼り、指示されている貼り替え時間になったら、再度貼り替えてください。5.眠気が生じることがあるので、本剤を使用している間は、車の運転など危険を伴う作業はしないでください。また、眠気が強くなる恐れがあるので、飲酒も避けてください。6.本剤を使用中の授乳は避けてください(ラットで乳汁移行の報告あり)。7.現在服用中のアレルギー薬、ステロイド薬がある場合、自己判断で中止せず、必ず主治医・薬剤師に相談してください。<Shimo's eyes>世界初の経皮吸収型アレルギー性鼻炎治療薬で、1日1回の貼付で安定した血中薬物濃度を維持し、効果を持続させることができます。また、嚥下能力の低下や誤嚥リスクがある患者さんでは経口薬の服用が困難な場合もありますが、本剤であれば安全に使用することができます。家族や介護者が貼付したり、日々の服薬状況を目視で確認したりできるため、アドヒアランスの向上も期待できます。本剤を季節性鼻炎の患者さんに使用する場合は、好発季節を考えて、その直前から使用を開始し、好発季節終了時まで続けることが望ましいです。4mgよりも8mgを使用しているほうが眠気などの副作用が出やすくなるので、増量した直後は生活習慣や副作用の確認をより念入りに行いましょう。アレルギー性鼻炎の適応で承認された本剤のように、従来なかった分野や疾患で貼付薬が発売されています。患者さん個々のライフスタイルに合わせた治療で、生活の質を向上させるための選択肢が増えたのは喜ばしいことです。各剤形の特徴を理解し、必要に応じて処方提案できるとよいでしょう。

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20歳までに多いがんは「白血病」

   2018年5月30日、国立がん研究センター(理事長:中釜 斉)の「がん対策情報センター(センター長:若尾 文彦)」がん統計・総合解析研究部は、2009~11年に新たにがんと診断された小児およびAYA:Adolescent and Young Adult(思春期・若年成人)世代のがん罹患率を人口集団ベースで集計し、同センターのサイト内に統計解説ページを新規に開設した。 これは、厚生労働科学研究費補助金「都道府県がん登録の全国集計データと診療情報等の併用・突合によるがん統計整備及び活用促進の研究」研究班の「地域がん登録」データを活用し、今回初めて小児からAYA世代のがん罹患率を全国規模の人口集団ベースで小児がん国際分類に従い集計したもので、がん種の順位も合わせての公表となった。1年間にがんと診断される予想症例数は20歳までで約3,000例・小児がん(0~14歳)の罹患率は12.3(人口10万人当たり)で、AYA世代では、15~19歳14.2、20代31.1、30代91.1(人口10万人当たり)だった。・罹患率を総人口に当てはめると、1年間にがんと診断される症例数は、小児(0~14歳)で約2,100例、15~19歳で約900例、20代で約4,200例、30代で約1万6,300例と推計された。*集計データ 2009~11年に精度基準を満たした27府県を使用(人口カバー率36.8%)20歳までで罹患率が高いがん種は白血病 世代別の罹患率が高いがん種の順位は下記のとおり([ ]内は全がんに占める割合)。・0~14歳(小児): 第1位 白血病[38%]、第2位 脳腫瘍[16%]、第3位 リンパ腫[9%]・15~19歳: 第1位 白血病[24%]、第2位 胚細胞腫瘍・性腺腫瘍[17%]、第3位 リンパ腫[13%]・20~29歳: 第1位 胚細胞腫瘍・性腺腫瘍[16%]、第2位 甲状腺がん[12%]、第3位 白血病[11%]・30~39歳: 第1位 女性乳がん[22%]、第2位 子宮頸がん[13%]、第3位 胚細胞腫瘍・性腺腫瘍[8%]*1 国際小児がん分類 第3版のグループに基づく悪性腫瘍の順位(ただし「その他のがん」は部位で分類)*2 いずれのがん種も悪性腫瘍のみ

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