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店舗数が増加の一途にあるドラッグストア業界で大型再編のニュースが飛び込んできました。ドラッグストア大手のスギホールディングス(HD、愛知県大府市)とココカラファイン(横浜市)は6月1日、経営統合に向けた協議を始めた、と発表した。実現すれば、売上高は9千億円に迫り、業界トップのイオン系のウエルシアHD(東京都)を抜く。ココカラは4月にも、業界大手マツモトキヨシHDと資本業務提携の検討を始めると公表。6月1日の発表によると、マツモトキヨシとの協議も継続するとしており、巨大な企業連合が誕生することも見込まれる。(2019年6月1日 朝日新聞デジタル)これがどのくらいの規模の話なのか整理したいと思います。まず、業界6位のスギHDの売上は4,884億円(2019年3月期)、業界7位のココカラファインの売上は4,005億円(2019年3月期)です。業界1位のウエルシアHDの売上が7,791億円(2019年2月期)ですから、単純に合計すると業界1位に躍り出ることになります。店舗数に関しても、2社を合計すると約2,500店舗となり、こちらも業界1位となります。なお、ココカラファインはマツモトキヨシHDと資本業務提携の協議・検討を開始することを4月に発表しています。その協議・検討も続けるとのことで、スギHDとマツモトキヨシHDがココカラファインを取り合っている、とも報じられています。成長率鈍化傾向のドラッグストア業界で再編は進むか?なぜこのような大型の統合や提携の協議が立て続けに起こっているのでしょうか。近年では訪日外国人のいわゆる「爆買い」によるインバウンド消費の影響もありますが、食品や化粧品、プライベートブランド(PB)商品の販売を強化することで、何期も連続して最高益を更新する企業が多くありました。業界全体としても好調で、日本チェーンドラッグストア協会が2019年3月に発表した2018年度「ドラッグストア実態調査」によると、業界の全国総売上高は前年比6.2%増の7兆2,744億円であり、2017年度の5.5%増を上回る増収率でした。しかし、成長率という視点で見ると、2017年度の実績では2桁の増収増益が目立ちましたが、2018年度は既存店の売上の鈍化や販管費比率の上昇で営業減益を見込むチェーン店が増加しており、成長に減速感が見られるようになってきています。すでに大規模な再編を経験したコンビニエンスストアなどの他の小売業と同様に、都市部店舗の飽和による競争激化や人件費の上昇といった最重要課題の解決は、単独のチェーンでは難しくなってきているのでしょう。薬局という視点から見ると、調剤報酬や薬価の引き下げの方向性など、今後の調剤での利益縮小が予想されていることも影響しているかもしれません。ココカラファインとスギHDもしくはマツモトキヨシHDの統合・提携によりドラッグストア業界の勢力図が変わり、今後より一層再編が進む可能性があります。日用品や物販の効率化だけでなく、医療サービスの拡充がどのようになるのか注目していきたいと思います。