サイト内検索|page:14

検索結果 合計:5092件 表示位置:261 - 280

261.

吸引前アセスメントの実施率は36% 看護師の知識と実践のギャップ【論文から学ぶ看護の新常識】第12回

吸引前アセスメントの実施率は36% 看護師の知識と実践のギャップ看護師の吸引前アセスメントの実施率や適切な吸引圧の使用率はいずれも50%未満であり、吸引に関する知識と実践との間にギャップがあることが、研究結果から明らかとなった。Halita J Pinto氏らの研究で、Indian Journal of Critical Care Medicine誌2020年1月号に掲載された。看護師の気管内吸引に関する知識と実践:システマティックレビュー研究グループは、看護師の現行の実践におけるギャップを明らかにし、安全な実践に向けた包括的なガイドラインを提案することを目的として、システマティックレビューを実施した。2002年から2016年の期間に、あらかじめ定義されたキーワードを用いて論文データベースから論文を抽出した。レビューはPRISMAに従って実施した。質的データはメタ統合の手法で記述し、気管内吸引に関する知識と実践を明らかにするために、信頼性の高い量的エビデンスを統合する量的分析を実施した。最終的に30件の研究がメタ統合の対象となり、そのうち6件が量的分析に適した情報を提供した。量的分析によって明らかとなった、看護師の実施率に関する主な結果は以下の通り。吸引前の患者状態の評価:36%(2件の研究、対象者70人、実施者25人)必要時のみ吸引を実施:62%(3件の研究、対象者146人、実施者91人)吸引前の患者への説明:65%(5件の研究、対象者175人、実施者113人)吸引前の手洗い:62%(4件の研究、対象者148人、実施者92人)適切な吸引カテーテルサイズの使用:36%(3件の研究、対象者140人、実施者50人)適切な吸引圧(80~150mmHg)の使用:46%(4件の研究、対象者191人、実施者87人)吸引時間(15秒未満):59%(4件の研究、対象者150人、実施者88人)吸引後の再評価:100%(1件の研究、対象者30人、実施者30人)吸引後の手洗:91%(3件の研究、対象者82人、実施者75人)合併症の可能性についての認識があるにもかかわらず、推奨されている診療ガイドラインを順守していないことが報告された。臨床現場で日常的に行われる気管内吸引ですが、私たち看護師の知識と実践の間にはしばしばギャップがあることをご存知でしょうか。本レビューは、少し前のものにはなりますが、このギャップに注目し、気管内吸引の安全性と効果を高めるための重要なポイントを示した面白い研究です。日常的なケアになっている分、意外と答えられる項目が多いのかなと思いました。本文を読むと、吸引後のアセスメントの実施率は100%でしたが、吸引前にアセスメントを実施している看護師はわずか36%とかなり低い結果でした。意外にも見落とされがちなのが、吸引前の患者への説明です。吸引は患者にとって不快で痛みを伴う処置ですが、適切な説明と疼痛管理を行うことで、患者の不安やストレスを軽減できることが指摘されています。忙しい業務の中で作業的になり、つい説明を忘れてしまう気持ちもわかりますが、忘れないようにしたいものです。また、吸引は必要な時にのみ行い、15秒以内に留めるなど、最小限の侵襲で最大の効果を得るよう心がけましょう。と言いながらも、理想的なケアと現実的なケアの中でギャップはかなり生じると思います。日本では、『気管吸引ガイドライン2023〔改訂第3版〕(成人で人工気道を有する患者のための)』1)が出ていますので、今一度、自分自身の知識と実践を確認してみてはいかがでしょうか?論文はこちらPinto HJ, et al. Indian J Crit Care Med. 2020;24(1):23-32.1)日本呼吸療法医学会. 気管吸引ガイドライン2023〔改訂第3版〕(成人で人工気道を有する患者のための). Jpn J Respir Care. 2024;41(1):1-47.

262.

女性の低体重/低栄養症候群のステートメントを公開/日本肥満学会

 日本肥満学会(理事長:横手 幸太郎氏〔千葉大学 学長〕)は、4月17日に「女性の低体重/低栄養症候群(Female Underweight/Undernutrition Syndrome:FUS)ステートメント」を公開した。 わが国の20代女性では、2割前後が低体重(BMI<18.5)であり、先進国の中でもとくに高率である。そして、こうした低体重や低栄養は骨量低下や月経周期異常をはじめとする女性の健康に関わるさまざまな障害と関連していることが知られている。その一方で、わが国では、ソーシャルネットワークサービス(SNS)やファッション誌などを通じ「痩せ=美」という価値観が深く浸透し、これに起因する強い痩身願望があると考えられている。そのため糖尿病や肥満症の治療薬であるGLP-1受容体作動薬の適応外使用が「安易な痩身法」として紹介され、社会問題となっている。 こうした環境の中で、今まで低体重や低栄養に対する系統的アプローチは不十分であったことから日本肥満学会は、日本骨粗鬆症学会、日本産科婦人科学会、日本小児内分泌学会、日本女性医学学会、日本心理学会と協同してワーキンググループ(委員長:小川 渉氏〔神戸大学大学院医学研究科 糖尿病・内分泌内科 教授〕)を立ち上げた。 このワーキンググループでは、骨量の低下や月経周期異常、体調不良を伴う低体重や低栄養の状態を、新たな症候群として位置付け、診断基準や予防指針の整備を目的とすると同時に、本課題の解決方法についても議論を進めている。 今回公開されたステートメントでは、閉経前までの成人女性を中心とした低体重の増加の問題点を整理し、新たな疾患概念の名称・定義・スティグマ対策を示すとともに、その改善策を論じている。若年女性の低体重を診たらFUSを想起してみよう ステートメントは、低体重および低栄養による健康リスクや症状に触れ、具体例としてエストロゲン低下などによる骨量低下および骨粗鬆症、月経周期異常、妊孕性および児の健康リスク、鉄や葉酸など微量元素やビタミン不足による健康障害、糖尿病発症となる代謝異常、筋量低下によるサルコペニア様状態、痩身願望からくる摂食障害、そのほか倦怠感や睡眠障害などの精神・神経・全身症状を挙げ、低体重などの問題点を指摘している。 そして、低体重に対する介入の枠組みが確立されていないこと、教育現場などでも啓発が十分とはいえないこと、糖尿病や肥満症治療薬が不適切使用されていることから作成されたとステートメント作成の背景を述べている。 先述のワーキンググループでは、新たな疾患概念として、女性における低体重・低栄養と健康障害の関連を示す症候群の名称として、FUSを提案し、18歳以上で閉経前までの成人女性を対象にFUSに含まれる主な疾患や状態を次のように示している。・低栄養・体組成の異常 BMI<18.5、低筋肉量・筋力低下、栄養素不足(ビタミンD・葉酸・亜鉛・鉄・カルシウムなど)、貧血(鉄欠乏性貧血など)・性ホルモンの異常 月経周期異常(視床下部性無月経・希発月経)・骨代謝の異常 低骨密度(骨粗鬆症または骨減少症)・その他の代謝異常 耐糖能異常、低T3症候群、脂質異常症・循環・血液の異常 徐脈、低血圧・精神・神経・全身症状 精神症状(抑うつ、不安など)、身体症状(全身倦怠感、睡眠障害など)、身体活動低下 また、ステートメントでは、FUSの提唱でスティグマを生じないように配慮すると記している。今後FUSのガイドラインを策定し、広く啓発 FUSの原因として「体質性痩せ」、「SNSなどメディアの影響によるやせ志向」、「社会経済的要因・貧困などによる低栄養」の3つを掲げ、原因ごとの対処法、たとえば、「体質性痩せ」では健康診断時の栄養指導や必要なエネルギー、ビタミンやミネラルの十分な摂取の推奨などが記されている。 そして、これからの方向性として、「ガイドラインの策定」、「健診制度への組み込み」、「教育・産業界との連携」、「戦略的イノベーション創造プログラム (SIP)との連携」を掲げている。 提言では、「今後は診断基準や予防・介入プログラムの充実を図り、医療・教育・行政・産業界が一体となった総合的アプローチを推進する必要がある。これらの取り組みが、日本の若年女性の健康改善と次世代の健康促進に寄与することが期待される」と結んでいる。

263.

輸液バッグからマイクロプラスチックが血流に流入か

 医師や健康分野の専門家の間で、人体の奥深くにまで侵入するマイクロプラスチックに対する関心が高まりつつある。こうした中、医療行為でさえもこの微小なプラスチックへの曝露を増やす要因となり得ることが、新たな研究で示された。プラスチック製の輸液バッグから投与される液剤の中にもマイクロプラスチックが含まれていることが明らかになったという。復旦大学(中国)環境科学・工学部教授のLiwu Zhang氏らによるこの研究は、「Environment & Health」に2月14日掲載された。Zhang氏らは、「われわれの研究から、マイクロプラスチックが血流に入り込むという、人間に最も直接的に影響するプラスチック汚染の一面が浮き彫りになった」と述べている。 Forbes誌の最近の記事によると、マイクロプラスチックは、認知症や脳の健康問題、心疾患、脳卒中、生殖機能の問題、乳幼児の疾患など、さまざまな健康問題と関連していることが複数の研究で示されているという。2025年2月初旬に「Nature」に発表された研究によると、人間の脳から検出されるマイクロプラスチックの量は、2016年と比べて2024年には約50%増加したという。さらに、研究グループによると、マイクロプラスチックは人間の血中からも検出されている。血中を流れるマイクロプラスチックは、肺、肝臓、腎臓、脾臓などの臓器に蓄積されやすいという。 研究グループは今回、2つの異なるメーカーの点滴用生理食塩水入りの輸液バッグを購入し、その中身を静脈内輸液速度と同じ40~60滴/分でガラス容器に滴下した。次に、収集した液体を、0.2μmのポリカーボネートろ紙を用いた真空ろ過装置でろ過し、ろ紙上に残った物質をイオン水に浸して超音波処理した後に乾燥。最終的にSEM-EDS(走査型電子顕微鏡とエネルギー分散型X線分光分析)とラマン分光分析法を用いて、マイクロプラスチックの分析を行った。 その結果、どちらのメーカーの生理食塩水にも、ポリプロピレン製の輸液バッグと同じポリプロピレン粒子が相当数(約7,500個/L)含まれていることが明らかになった。この結果は、点滴を通して何千個ものマイクロプラスチックが人間の血流に混入する可能性があることを示唆していると研究グループは言う。研究グループはこの結果に基づき、複数の輸液バッグが必要になる脱水症状の治療では血流に入り込むマイクロプラスチックの数が約2万5,000個、腹部手術の場合には約5万2,500個に達する可能性があると試算している。 Zhang氏らは、輸液バッグを紫外線や熱から遠ざけることで、マイクロプラスチックが液剤に混入しにくくなる可能性があるとの見方を示している。また、病院や診療所では、患者が点滴を受けている間にマイクロプラスチックを除去するろ過システムの導入を検討しても良いかもしれないとしている。 研究グループは、「今後の研究では、より直接的な毒性学的研究に重点を置いて、マイクロプラスチックの潜在的な毒性とそれに関連する健康リスクを総合的に評価するべきだ」との見解を示し、「今回の研究結果は、マイクロプラスチックが人間の健康にもたらす潜在的な危険性の軽減に向けた適切な政策や対策を立案するための科学的根拠となるだろう」と述べている。

264.

コンビニと症状検索アプリが連携、何のため?【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第150回

コンビニエンスストアのセブン-イレブンが、症状検索アプリを提供する会社と手を組み、新たなサービスを展開するようです。それはどのようなサービスで、それぞれのメリットはどこにあるのでしょうか?セブン-イレブン・ジャパンは31日、医療スタートアップのUbie(ユビー、東京・中央)と資本業務提携を結んだと発表した。ユビーの症状検索サービスを利用する人向けに、セブンの宅配サービスを提案する。今後コンビニ店舗でユビーが持つ健康関連の情報を発信するなどして、実店舗をヘルスケアの拠点として活用する。(2025年3月31日付 日本経済新聞)セブン-イレブンは、言わずと知れたコンビニエンスストア最大手で、全国で2万1,743店舗(2025年2月末時点)を有し、最近では商品お届けサービス「7NOW(セブンナウ)」を展開しています。一方、Ubieは医師と技術者が2017年に立ち上げたベンチャー企業で、症状検索アプリ「ユビー」やAI問診などの医療機関向けパッケージ「ユビーメディカルナビ」、さらに製薬企業と協業して疾患・治療情報を提供する「ユビー for Pharma」などのサービスを展開しています。「テクノロジーで人々を適切な医療に案内する」をミッションとし、医療業界全体のDXを推進している会社です。今回、リアル店舗を有するセブン-イレブンと、医療テクノロジーを提供するUbieが提携することにより、新たなサービスを展開するようです。第1弾として、「7NOW」と「ユビー」との相互連携に関する実証実験を開始すると発表しました。具体的には、「ユビー」を利用する体調不良で外出が難しい人に、症状検索結果の画面で「7NOW」の利用を案内します。また、体調不良を感じた人が「7NOW」を利用した際、注文完了後にシームレスに「ユビー」で症状を検索できるように連携するとしています。ユビーを利用する人にはセブン-イレブンの商品が提案され、セブン-イレブンを利用する体調不良の人にはユビーが案内される、というイメージでしょうか。セブン-イレブンのプレスリリースでは、「両社は本提携を通じ『生活の中で一番身近なヘルスケアステーション』として食と医療を掛け合わせた新たな価値創造に取り組み、お客様の健康寿命延伸に貢献してまいります」としています。これまでもコンビニエンスストアはさまざまな医療サービスとの提携を実施しています。調剤薬局を併設しているお店もありますし、今では一般用医薬品の販売も当たり前に行われています。一方で、それらがきちんと利益を生み出しているかどうかは疑問です。健康や医療は異業種が参入したがる領域ではありますが、国民皆保険がある日本において、食と医療を掛け合わせたサービスできちんと利益を上げて、それを継続させるということは、実はとても難しいことではないでしょうか。セブン-イレブンが最大手であること、また今回のサービスは両社にデメリットやリスクが少ないことから続けやすいかもしれませんが、今回のサービスを使ったお客さんが「提案されてよかった!」と思えるものになるのか、その反響や今後発表されるであろう第2弾の取り組みを楽しみにしたいと思います。

265.

後方循環系の軽症脳梗塞、発症後4.5~24時間のrt-PA療法が有効/NEJM

 血栓除去術が予定されていない、主として後方循環系の軽症脳梗塞を発症した中国人患者において、発症後4.5~24時間のアルテプラーゼ(rt-PA)療法は標準薬物治療と比べて、90日時点の機能的自立の割合が高かった。中国・the Second Affiliated Hospital of Zhejiang UniversityのShenqiang Yan氏らEXPECTS Groupが中国の30ヵ所の脳卒中センターで行った多施設共同前向き無作為化非盲検アウトカム盲検試験の結果を報告した。後方循環系の虚血性脳卒中の発症後4.5~24時間に静脈内血栓溶解療法を用いることの有効性およびリスクは、十分に検討されていなかった。NEJM誌2025年4月3日号掲載の報告。アルテプラーゼvs.標準薬物治療で、90日時点の機能的自立を評価 研究グループは、後方循環系の脳梗塞を発症し、CT画像診断で早期の広範な低吸収域を認めず血栓除去術が予定されていない患者を、発症後4.5~24時間にアルテプラーゼ療法(0.9mg/kg体重、最大用量90mg)または標準薬物治療(Chinese Guidelines for Diagnosis and Treatment of Acute Ischemic Stroke 2018に基づく抗血小板療法およびその他の治療)を受ける群に1対1の割合で無作為に割り付けた。 主要アウトカムは、90日時点で評価した機能的自立(修正Rankinスケールスコア[範囲:0~6、高スコアほどより障害が重度であることを示す]が0~2と定義)とした。重要な安全性アウトカムは、無作為化後36時間以内の症候性頭蓋内出血および90日以内の死亡とした。90日時点の機能的自立、アルテプラーゼ群89.6%、標準薬物治療群72.6% 2022年8月~2024年5月に、計234例が無作為化された(アルテプラーゼ群117例、標準薬物治療群117例)。 ベースラインの両群特性はほぼバランスが取れており、年齢中央値は64歳(四分位範囲[IQR]:55~74)、女性が34.6%であった。既往歴は高血圧がアルテプラーゼ群70.9%と標準薬物治療群62.4%、糖尿病がそれぞれ34.2%と32.5%であった。発症前の修正Rankinスケールスコアは0の被験者が両群ともに97.4%で、無作為化前のNational Institutes of Health Stroke Scale(NIHSS)スコア(範囲:0~42、高スコアほど神経学的障害の重度が高いことを示す)中央値は、両群ともに3(IQR:2~6)と、大半の被験者が軽症脳梗塞であった。 発症から無作為化までの時間中央値は564分(IQR:390~834)であった。 90日時点で、機能的自立の患者割合はアルテプラーゼ群(89.6%)が標準薬物治療群(72.6%)より有意に高かった(補正後リスク比:1.16、95%信頼区間[CI]:1.03~1.30、p=0.01)。 36時間以内の症候性頭蓋内出血は、アルテプラーゼ群で2/116例(1.7%)、標準薬物治療群で1/115例(0.9%)に発現した(補正後リスク比:1.98、95%CI:0.18~21.56)。90日以内の死亡は、それぞれ6/115例(5.2%)と10/117例(8.5%)であった(0.61、0.23~1.62)。 著者は、「今回の試験の結果は、血管内血栓除去術が選択できない場合、この延長された時間枠内(発症後4.5~24時間)にアルテプラーゼ治療を用いることを支持するものである」と述べている。

266.

若年性認知症患者、過去30年間で2倍超

 若年性のアルツハイマー病やその他の認知症(EOAD)は、患者本人だけでなくその家族にも大きな負担をもたらす。しかし、EOADの世界的な負担は、これまで十分に調査されていなかった。中国・Jinan University First Affiliated HospitalのZenghui Zhang氏らは、1990〜2021年の世界の疾病負担(Global Burden of Diseases, Injuries, and Risk Factors:GBD)2021研究のデータを用いて、EOADの世界、地域、各国の負担を評価するため、本研究を実施した。European Journal of Neurology誌2025年3月号の報告。 GBD2021のデータより、40〜64歳の成人データを抽出した。主要アウトカムは、EOADの年齢調整罹患率、発生率、死亡率、障害調整生存年(DALY)、21地域および204ヵ国における年平均変化率(AAPC)とした。 主な結果は以下のとおり。・2021年のEOAD症例数は775万件(95%不確実性区間[UI]:5.82〜10.08)に達しており、1990年の367万件(95%UI:2.75〜4.76)から2倍超の増加が認められた。・年齢調整罹患率は、1990年は10万人当たり341.2人(95%UI:255.89〜442.79)であったが、2021年には363.5人へ増加しており、AAPCは0.26%であった(p<0.001)。・2021年のEOAD有病率は、女性(428万人、95%UI:3.24〜5.56)のほうが男性(346万人、95%UI:2.57〜4.52)よりも高かった。・2021年におけるEOADの死亡者数は0.07万人(95%UI:0.01〜0.23)、377万人(95%UI:1.69〜8.88)DALYであった。・さらに、106万人DALYは、喫煙、空腹時血糖値の上昇、高BMIに起因していた。 著者らは「40〜64歳におけるEOADの世界における症例数は、1990年から2021年にかけて、2倍超に増加している。この問題に対処するためにも、ターゲットを絞った戦略および介入が早急に求められる」と結論付けている。

267.

セフトリアキソンで腎盂腎炎を伴う腸内細菌目細菌菌血症を治療できるか

 セフトリアキソン(CTRX)は尿路感染症における選択薬の1つであるが、他のβ-ラクタム系抗菌薬と比較して尿中排泄率が低いという欠点がある。わが国では2023年にセフォチアム(CTM)が不足したことから、尿路感染症に対するCTRXの需要が高まっている。今回、愛知医科大学の柴田 祐一氏らが、腎盂腎炎を伴う腸内細菌目細菌菌血症に対するCTRXと他のβ-ラクタム系抗菌薬の有効性を比較したところ、30日全死亡率は同様であった。Journal of Infection and Chemotherapy誌オンライン版2025年4月9日号に掲載。 本研究では、2014年7月~2024年2月に愛知医科大学病院で血液および尿培養で大腸菌、クレブシエラ属、プロテウス属が検出されたβラクタム系抗菌薬投与患者を後ろ向きに登録した。登録した計123例をCTRX群(CTRXを5日間以上投与)とその他のβ-ラクタム系群(アンピシリン、セファゾリン、CTM、またはセフォタキシムを5日間以上投与)に分け、年齢、チャールソン併存疾患指数、静脈内抗菌薬投与期間、経口抗菌薬への切り替え患者数、アルブミン値、白血球数、C反応性蛋白、体温、ICU入室必要について傾向スコアマッチングした。主要評価項目は、副作用、転帰、30日および90日時点の死亡率だった。 主な結果は以下のとおり。・傾向スコアマッチング後、各群26例が選出された。・30日全死亡率は両群とも3.8%であった。・再感染や腎盂腎炎による再入院は認められなかった。 著者らは「CTRX治療は腎盂腎炎を伴う腸内細菌目細菌菌血症患者の予後に影響を与えなかった。尿中排泄率が低いという理由で尿路感染症に対するCTRXの使用を避ける必要はない」と考察している。

268.

TAVI生体弁比較、SAPIEN 3 vs.Myval/Lancet

 経カテーテル心臓弁(THV)を植え込む低侵襲の経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)は、重症大動脈弁狭窄症および劣化した大動脈生体弁に対するガイドラインに基づいた治療法である。次々と新しいTAVI用THVプラットフォームが上市され臨床現場で使用されているが、その性能に関する短期データは少なく、長期データについては存在していない。デンマーク・オーフス大学病院のChristian Juhl Terkelsen氏らは、「最新のTHVは、現状で最良とされるTHVと比較すべき」として、SAPIEN 3 THVシリーズ(SAPIEN 3またはSAPIEN 3 Ultra、米国・Edwards Lifesciences製)とMyval THVシリーズ(MyvalまたはMyval Octacor、インド・Meril Life Sciences製)を直接比較する多施設共同全患者無作為化非劣性試験「COMPARE-TAVI 1試験」を実施。Myval THVはSAPIEN 3 THVに対して1年時の複合エンドポイント(死亡、脳卒中、中等症/重症の大動脈弁逆流症、または中等症/重症のTHVの血行動態悪化)に関して非劣性であったことを報告した。Lancet誌オンライン版2025年4月2日号掲載の報告。デンマークの3つの大学病院で被験者を募り試験 試験はデンマークの3つの大学病院で、18歳以上、TAVIが予定されており、SAPIEN 3 THVまたはMyval THVによる治療の対象であった患者を適格とし行われた。 被験者は、SAPIEN 3(29mm径)またはSAPIEN 3 Ultra(20mm、23mmまたは26mm径)THVを用いた治療を受けるSAPIEN 3 THV群、MyvalまたはMyval Octacor THV(20~32mm径)を用いた治療を受けるMyval THV群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。 TAVI手術は、弁尖切開術を行う場合を除き、試験地の手術手順にて局所麻酔下で行われた。 主要エンドポイントは、Third Valve Academic Research Consortium(VARC-3)基準に基づく1年時点の死亡、脳卒中、中等症/重症の大動脈弁逆流症、または中等症/重症のTHVの血行動態悪化の複合とした。 無作為化された全患者をITT解析に包含し、割り付け治療を受けた全患者をper-protocol解析に包含した。予想イベント発生率は13%で、事前に規定した非劣性マージンは5.3%とした。主要エンドポイントの発生はSAPIEN 3 THV群13%、Myval THV群14% 2020年6月15日~2023年11月3日に1,031例が登録された。なお登録は、特許関連の法的手続きのため2回中断された。 1,031例のうち、517例がSAPIEN 3 THV群に、514例がMyval THV群に無作為化された。被験者の年齢中央値は81.6歳(四分位範囲[IQR]:77.6~85.0)、415例(40%)が女性、616例(60%)が男性であった。STSスコア中央値は2.3%(IQR:1.6~3.7)。1,031例のうち98例(10%)が二尖弁(すべてSievers分類タイプ1)を有し、40例(4%)がvalve-in-valve手術を受け、103例(10%)は急性または亜急性TAVIであった。無作為化から手術までの時間は中央値50分(IQR:31~1,313)。Myval THV群でXLサイズ弁(30.5mm、32mm径)の植え込みを受けたのは、507例のうち10例(2%)。THV径中央値は、SAPIEN 3 THV群(516例)26mm(IQR:23~26)、Myval THV群(514例)26mm(24.5~27.5)であった。 主要エンドポイントの発生は、SAPIEN 3 THV群67/517例(13%)、Myval THV群71/514例(14%)であった(群間リスク差:-0.9%[片側95%信頼区間上限:4.4%]、非劣性のp=0.019)。

269.

lepodisiran、400mg投与で半年後のLp(a)値を93.9%低下/NEJM

 開発中の長期持続型低分子干渉RNA(siRNA)薬lepodisiranについて、投与後60~180日に血清リポ蛋白(a)(Lp(a))値を低下したことが示された。米国・Cleveland Clinic Coordinating Center for Clinical ResearchのSteven E. Nissen氏らALPACA Trial Investigatorsが、第II相試験である国際多施設共同無作為化プラセボ対照試験の結果を報告した。Lp(a)値の上昇は、アテローム性心血管疾患と関連する。lepodisiranは、肝臓でのLp(a)の産生を標的とし、第I相試験では、最高試験用量608mgの単回投与が337日間にわたりLp(a)値を90%以上低下したことが示された。今回報告された第II相試験は、Lp(a)高値の集団でのlepodisiranのさらなる安全性を評価するとともに、Lp(a)値低下の大きさと期間を明らかにし、現在進行中の心血管アウトカムを評価する長期の第III相試験の用量と投与間隔の設定を目的として実施された。NEJM誌オンライン版2025年3月30日号掲載の報告。5つの用量群で60~180日におけるLp(a)値の低下率を評価 第II相試験は2022年11月11日~2023年4月17日に、アルゼンチン、中国、デンマーク、ドイツ、日本、メキシコ、オランダ、ルーマニア、スペインおよび米国の66施設で行われた。対象は、Lp(a)値175nmol/L以上で、スタチン、PCSK9阻害薬、その他のLp(a)値に影響を及ぼすことが知られる脂質異常症治療薬の投与を受けている場合は、スクリーニング前4週間以上にわたり投与量が安定していた40歳以上の成人であった。 研究グループは被験者を、次の5群に1対2対2対2対2の割合で割り付けた。すべてが皮下投与で、(1)ベースラインと180日時にlepodisiran 16mg(16mg群)、(2)同96mg(96mg群)、(3)同400mg(400mg・400mg群)、(4)ベースラインにlepodisiran 400mg、180日時にプラセボ(400mg・プラセボ群)、(5)ベースラインと180日時にプラセボ(プラセボ群)。主要解析では、ベースラインでlepodisiran 400mg投与を受けた(3)と(4)の2つの群のデータをまとめて(400mg統合群)分析した。 主要エンドポイントは、60~180日の血清Lp(a)値のベースラインからの時間平均低下率(lepodisiran群とプラセボ群の差[すなわちプラセボ補正後])であった。400mg投与で60~180日に93.9%ポイント低下、30~360日に88.5~94.8%ポイント低下 計320例が無作為化された。平均年齢は62.7歳、138例(43%)が女性、219例(68%)が心血管イベントの高リスク基準を満たしており、153例(48%)が冠動脈疾患既往、99例(31%)が心筋梗塞既往であった。血清Lp(a)中央値は253.9nmol/L、LDLコレステロール中央値は79.3mg/dL、アポリポ蛋白B値79.0mg/dL、また、併用薬はスタチンが236例(74%)、エゼチミブが105例(33%)、PCSK9阻害薬が19例(6%)であった。 60~180日の血清Lp(a)値のベースラインからの、血清Lp(a)値の時間平均低下率(プラセボ補正後)は、16mg群40.8%ポイント(95%信頼区間[CI]:-55.8~-20.6)、96mg群75.2%ポイント(-80.4~-68.5)、400mg統合群93.9%ポイント(-95.1~-92.5)であった。 30~360日のベースラインからの同低下率は、16mg群41.2%ポイント(95%CI:-55.4~-22.4)、96mg群77.2%ポイント(-81.8~-71.5)、400mg・400mg群94.8%ポイント(-95.9~-93.4)、400mg・プラセボ群88.5%ポイント(-90.8~-85.6)であった。 重篤な有害事象は35例で報告されたが、試験担当医師がlepodisiranまたはプラセボに関連したと判定した事例はなかった。概して軽度の注射部位反応が用量依存性に報告され、lepodisiranの最高投与量群(400mg・400mg群)の発現率12%(8/69例)が最高であった。

270.

CareNetパス利用規約

[アカウント登録]をクリックすることで、CareNetパス利用規約並びに当社の個人情報保護方針および個人情報保護規定(https://www.carenet.com/info/personal.html 参照)が適用されることに同意するものとします。CareNetパス利用規約CareNetパス利用規約(以下「本規約」といいます)は、株式会社ケアネット(以下「当社」 といいます)が提供する「CareNetパス」サービスおよびこれに関連するサービス(以下「本サービス」といいます)のご利用に際し、適用されます。本サービスのご利用前によくお読み頂き、同意のうえ、ご利用ください。第1条(本規約、本サービスの目的等)1.本規約は、本サービスの提供条件について、当社とサービス利用者との間の権利義務を定めることを目的とします。サービス利用者は、当社所定の登録手続において、本規約に同意するものとします。サービス利用者は、本サービスをご利用いただくことを以って、本規約に同意したものとみなされるものとし、本規約が改訂された場合も同様とします。2.本サービスは、当社およびサービス関連事業者(以下に定義します。当社およびサービス関連事業者を総称して「サービス提供者」といいます)が提供する情報提供サービスを利用する際に要求される認証について、CareNet.com会員IDによる認証連携サービス CareNetパスを通じて、サービス利用者の情報提供サービスへのアクセスの容易性・利便性を高めることを主な目的としています。3.サービス提供者が提供する情報提供サービスに対する責任は、これを提供する事業者が負います。また、これを提供する事業者が定める利用規約その他の条件が適用されることがあります。4.サービス利用者は、CareNetパス利用、ならびに情報提供サービスの利用および解析のため、サービス利用者の登録情報、ユーザー情報がサービス提供者により取得され、利用されることに同意します。これらの情報は、情報提供サービスの提供(サービス利用者が利用する情報提供サービス中に特定の医療関係者にしか提供できない情報が含まれるため、その確認のために使用されます)、情報提供サービスの品質向上、サービス提供者による解析・分析、その他サービス利用者から個別に同意を取得している目的のために利用します。なお、これらの情報が個人情報保護法に定める個人情報に該当する場合、サービス提供者は常に同法およびその下位法令に従い、取り扱いを行うものとします。第2条(定義)本規約において使用する以下の用語は、各々以下に定める意味を有するものとします。(1)「サービス利用者」とは、本サービスを利用する自然人をいい、医療関係者(医師・看護師・薬剤師など)及び医薬関係者をいいます。(2)「ユーザー」とは、当社所定のユーザー登録手続を経て、当社がユーザー登録および本サービスの利用を承認した者をいいます。(3)「CareNet.com会員ID」は、当社の提供するサービスへの利用登録時に、また新規登録の場合には本サービスの利用の登録時にサービス利用者が設定したメールアドレスまたは会員識別用の固有の文字列をいいます。(4)「メールサービス」とは、本サービスの一環として当社がサービス利用者に対して、電子メールを用いて、サービスの広告、宣伝をお送りすることです。(5)「登録情報」とは、サービス利用者が当社の提供するサービスへの利用登録(更新登録を含む)時に、また新規登録の場合には本サービスの利用の登録時に、当社に提供を行った氏名、メールアドレス、勤務先、勤務先所在地、診療科、職種等の情報のことです。(6)「ユーザー情報」とは、情報提供サービスの利用状況(ログイン・連携解除日時)、メールサービスの利用履歴、その他ユーザーの本サービスの利用内容、利用履歴のことです。本サービスに関するCookie等の情報を含みます。(7)「MDB」とは、株式会社日本アルトマークの運営する日本全国の医療施設や薬局・薬店およびそこに従事する医療従事者の情報を内容とするメディカルデータベースをいいます(MDBに関するご案内、お問い合わせは下記のWebサイトをご覧ください。https://www.ultmarc.co.jp/mdb/index.html(8)「サービス関連事業者」とは、本サービスの登録・サインインにより提供されるサービスの運営事業者、株式会社日本アルトマーク、MDB会員のことです。第3条(サービス利用者の資格・認証・責任等)1.当社は、ユーザー登録を希望する者が以下の各号のいずれかの事由に該当すると判断した場合に、登録を拒否することがあります。またその理由について一切開示義務を負いません。(1)登録情報につき事実と異なる内容があった場合(2)暴力団、暴力団員、右翼団体、反社会的勢力その他これに準ずる者(以下「反社会的勢力等」といいます)または関与者(3)過去当社との契約に違反した者またはその関係者(4)過去本サービスの登録抹消を受けた者(5)本サービスの提供が適当でない者と当社が判断した場合2.本サービスはサービス利用者の本人認証のため、CareNet.com登録会員情報にて本人確認手続きを行います。サービス提供内容は、本人認証の状況により変わる場合があります。3.サービス利用者は、CareNet.com会員IDを第三者に知られないようにサービス利用者の責任において十分注意して管理するものとします。またパスワードは、生年月日、電話番号など他人に推測されやすいものを避けて設定し、定期的に変更するものとします。サービス利用者のCareNet.com会員IDおよびパスワードの管理不十分、使用上の過誤、第三者の使用等によって生じた損害に関する責任はサービス利用者が負うものとし、当社は一切の責任を負いません。4.サービス利用者は、CareNet.com会員IDおよびパスワードについて、以下の各号に掲げる行為を行ってはならないものとします。(1)CareNet.com会員IDおよびパスワードを第三者に利用させ、または貸与、譲渡、名義変更、売買等行うこと(2)他のサービス利用者のIDまたはパスワードを利用する行為その他第三者に成りすます行為を行うこと。サービス利用者のIDおよびパスワードが入力された上で、本サービスのご利用がなされた場合、当社は、本サービスのご利用がサービス利用者ご本人によりなされたものであるとみなします。5.サービス利用者は、本サービスの利用にあたり、以下の各号のいずれかに該当する行為または該当するおそれがある行為をしてはなりません。(1)本規約に違反する行為(2)法令または公序良俗に違反する行為(3)サービス利用者が所属する業界団体の内部規則等に違反する行為(4)複数のユーザー登録を行うこと(5)本サービスのネットワークまたはシステム等に過度な負荷をかける行為、当社のネットワークまたはシステム等に不正にアクセスする、または不正なアクセスを試みる行為その他本サービスの運営を妨害するおそれのある行為(6)第三者に不利益、不快感を与える行為その他不適切な行為(7)前各号の行為を直接または間接に惹起し、または容易にする行為第4条(通知)1.本サービスの利用に関して、当社はサービス利用者に対し、メール等で通知を送信することができます。2.サービス利用者が通知を受け取れないこと等により、当社からの指示や警告を見落とした場合、当社は責任を一切負わないものとします。第5条(登録情報の変更等) サービス利用者は、当社所定の方法で当社に通知することにより、サービス提供者の情報提供サービスとの連携を解除することができます。第6条(登録抹消) サービス利用者が以下の各事由の一に定める事由に該当する恐れがある場合、当社は、サービス利用者に通知することなく利用停止または登録抹消することができます。(1)本規約に反する場合(2)登録情報が事実と異なる場合(3)その他当社が必要と判断した場合第7条(個人情報の取扱い)1.サービス利用者は以下に同意するものとします。(1)サービス利用者の個人情報について、本規約に特段の定めがある場合を除き、当社の個人情報保護方針および個人情報保護規定の定めにより取り扱うこと。(https://www.carenet.com/info/personal.html 参照)(2)当社が登録情報、ユーザー情報を取得すること。サービス関連事業者もまた登録情報、ユーザー情報を取得する、提供を受ける、または当社と共同利用することがあること。(3)当社がメールサービスを行うこと(4)当社が本サービス上で、サービス利用者に応じた広告、宣伝を行うこと(5)当社が、登録情報、ユーザー情報をサービス関連事業者に対して、提供すること2.サービス利用者がメールサービスの停止を希望する場合、所定の手続きにおいて、配信停止を申込するものとします。サービス利用者の停止申し込みの処理を当社が完了した時点で有効とし、その後のメールサービスを停止します。3.当社は、登録情報、ユーザー情報を、個人を識別できない形での統計情報として、利用することがあります。4.当社は、登録情報、ユーザー情報を、個人情報保護法に従い、同法上の匿名加工情報とした上で、第三者に提供することがあります。第8条(サービスの停止) 当社は、以下のいずれかに該当する場合には、サービス利用者に事前に通知することなく、本サービスの全部または一部の提供を停止することができるものとします。(1)本件システムの点検または保守作業を行う場合(2)本件システムの不調等または不可抗力により、本サービスの全部または一部の提供が困難となった場合(3)その他、当社が停止を必要と判断した場合第9条(本サービスの変更、終了)当社は、当社の都合により、本サービスの全部または一部を変更、または提供を終了することができます。当社が本サービスの提供を終了する場合、当社は事前に告知するものとします。第10条(免責)1.前二条の場合や利用不能、サービス利用者の登録の抹消、本サービスの利用による登録データの消失または機器の故障もしくは損傷その他本サービスに関してサービス利用者が被った損害(以下「サービス利用者損害」といいます)について、当社は賠償する責任を一切負いません。2.サービス利用者はご自身のすべてのコンテンツを維持、バックアップおよび保護する責任を負うものとします。サービス利用者のコンテンツの維持、バックアップおよび復元にかかる費用について、当社は一切責任を負いません。3.サービス利用者と当社の本サービスの利用に関する契約が消費者契約法に定める消費者契約に該当し、当社が責任を負う場合であっても、当社は、サービス利用者の損害につき、過去12ヶ月間にサービス利用者が当社に支払った対価の金額を超えて賠償する責任を負わないものとします。また、付随的損害、間接損害、特別損害、将来の損害および逸失利益にかかる損害については、賠償する責任を負いません。4.当社は、本サービスがサービス利用者の特定の目的に適合すること、期待する機能・商品的価値・正確性・有用性を有すること、サービス利用者による本サービスの利用がサービス利用者に適用される法令または業界団体の内部規則等に適合すること、および不具合が生じないことについて、何ら保証するものではありません。5.本サービスに関連してサービス利用者と他のサービス利用者または第三者との間において生じた取引、連絡、紛争等については、当社は一切責任を負いません。第11条(準拠法および管轄)本規約の準拠法は日本法とし、東京地方裁判所を第一審の専属合意管轄裁判所とします。第12条(本規約の変更等)当社は、本規約を変更できるものとします。当社は、本規約を変更した場合には、サービス利用者に当該変更内容を通知または公表するものとします。当該変更内容の通知または公表後、サービス利用者が本サービスを利用した場合には、サービス利用者は、本規約の変更に同意したものとみなします。2025年(令和7年)1月1日制定・施行

271.

AIによる個別支援が看護師のバーンアウトを軽減【論文から学ぶ看護の新常識】第11回

AIによる個別支援が看護師のバーンアウトを軽減Gumhee Baek氏らの研究により、人工知能(AI)を活用して個別最適化された介入プログラムが、看護師のバーンアウト(燃え尽き症候群)を有意に軽減する効果をもつことが示された。Worldviews on Evidence-Based Nursing誌2025年2月号に掲載された。看護師のバーンアウトに対するAI支援型個別介入:3群ランダム化比較試験研究チームは、看護師のバーンアウト軽減に対するAI支援型個別介入の有効性を検討することを目的に、韓国の病院に勤務する看護師120名を対象に、単盲検・3群ランダム化比較試験(各群40名)を実施した。AI支援型個別介入群では、2週間のプログラムが2回実施され、次の4つのプログラムのうち1つがモバイルアプリケーションを通して提供された。1)マインドフルネス瞑想、2)アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)、3)ストーリーテリングとリフレクティブ・ライティング、4)笑い療法。介入内容は、人口統計情報、仕事関連の特性、仕事のストレス、ストレス反応、コーピング方法と、バーンアウトの3側面(顧客関連、個人的、仕事関連)に基づいて、AIアルゴリズムによって個別最適化されたプログラムが提供された。対象群1では、同じ4つのプログラムの中から参加者自身が希望するものを選択して実施した。対象群2の参加者には、バーンアウト軽減に関するオンライン情報のみが提供された。主要評価項目は、バーンアウトの3側面(顧客関連、個人的、仕事関連)とし、副次評価項目は、仕事のストレス、ストレス反応、コーピング方法が設定された。主な結果は以下の通り。顧客関連バーンアウト(F=7.725、p=0.001)および個人的バーンアウト(F=10.967、p<0.0001)は、AI支援型個別介入群において有意な軽減が認められた。時間効果および、時間×群の相互作用効果も、顧客関連バーンアウト(時間効果:F=16.773、p<0.0001、相互作用効果:F=5.638、p<0.0001)、個人的バーンアウト(時間効果:F=18.743、p<0.0001、相互作用効果:F=6.875、p<0.0001)において統計的に有意であり、AI支援型個別介入群で有意な効果が認められた。仕事関連バーンアウトについては、群間の有意差は認められなかったが、時間効果には統計的な有意差が認められた(F=12.685、p<0.0001)。ストレス反応は、AI支援型個別介入群および対照群1で有意な軽減が認められ、最も大きな減少を示したのは対照群1であり、次いでAI支援型個別介入群、対照群2の順だった(F=3.07、p=0.017)。AIで個別最適化されたプログラムの提供は、看護師の顧客関連および個人的なバーンアウトの軽減に有効であることが示された。看護師のバーンアウト軽減は、ケアの質の向上にも寄与する可能性がある。今回の研究では、AIを活用し個別最適化された介入が、看護師のバーンアウト、とくに顧客(患者)との関わりや個人的な感情に関わる側面において、有効である可能性が示されました。これは、テクノロジーを活用することで、忙しい看護師一人ひとりのニーズに合わせたメンタルヘルスサポートを提供できる可能性を示唆しており、非常に意義深い結果と言えるでしょう。研究で用いられたプログラム(マインドフルネス瞑想、ACT、ストーリーテリング、笑い療法)は、いずれも心理的なウェルビーイングを高める効果が知られていますが、AIによってパーソナライズされることで、その効果がさらに高まる可能性があります。とくに注目すべきは、対照群1(自身でプログラムを選択した群)でストレス反応の減少が最も大きかった点です。これは、自身のニーズに合わせて主体的にプログラムを選択することが、ストレス軽減に重要な要素であることを示唆しています。AIによる提案と、個人の選択の自由をどのように組み合わせるかが、今後の研究や実用化における重要なポイントとなるでしょう。看護師のバーンアウトは、個人の問題だけでなく、医療機関全体のケアの質や離職率にも影響を与える重要な課題です。今回の研究成果が、AI技術を活用した新たなメンタルヘルスサポートの展開につながり、看護師がより長く、質の高いケアを提供できる社会の実現に貢献することを期待しています。論文はこちらBaek G, et al. Worldviews Evid Based Nurs. 2025;22(1):e70003.

272.

高齢者の不眠症に最も効果的な運動は?

 高齢者の不眠症の改善に最も効果的な運動は、レジスタンストレーニング(筋トレ)であるとする論文が発表された。ただし、筋トレだけでなく、有酸素運動などの有効性も確認されたという。マヒドン大学ラマティボディ病院(タイ)のKittiphon Nagaviroj氏らによる研究の結果であり、詳細は「Family Medicine and Community Health」に3月4日掲載された。 加齢とともに睡眠の質が低下する。高齢者の12~20%が不眠症に悩まされているという報告もある。不眠症はうつ病や不安症、その他の精神疾患と関連のあることが明らかになっており、さらにメタボリックシンドロームや高血圧、心臓病などの身体疾患との関連も示されている。 高齢者の不眠症に対する治療としては、安全性の観点から認知行動療法などの非薬物療法が優先されるが、専門スタッフの不足や時間を要することなどのため、実臨床で行われることは少ない。一方、運動が不眠症改善、および不眠症に併存しやすい前記の疾患のリスク抑制に有効であるとするエビデンスが蓄積されてきている。ただし、運動の種類によって不眠症に対する効果が異なるのか否かという点は、これまで明らかにされていない。そこでNagaviroj氏らは、過去の研究報告のデータを統合した解析によりこの点について検討した。 著者らは、Medline、Embase、CINAHLなどの文献データベースに2022年10月までに収載された論文を対象として、60歳以上の成人における運動と睡眠の質との関連を検討したランダム化比較試験の報告を検索。25件の報告を解析対象として抽出した。 これらの研究の参加者数は合計2,170人で平均年齢70.38±4.56歳、女性71.85±21.86%であり、20件(80%)は一般住民対象、5件(20%)は介護施設居住者を対象として実施されていた。アジアでの研究が過半数(56%)を占め、次いで北米と南米が各16%、欧州が12%だった。運動介入期間は平均14週間で、1回に50分強の運動を週に2~3回行っていた。運動の種類は、有酸素運動(速歩、サイクリング、水泳、ダンス、ガーデニングなど)、レジスタンストレーニング(ウェイトや体重を利用した筋トレ)、バランス運動(つま先立ちなど)、柔軟性運動(ヨガ、ピラティスなど)、およびこれらを組み合わせた複合運動として行われており、運動強度は軽度から中等度とした研究が半数以上だった。 複数の異なる介入研究で得られた結果を統計学的手法により比較可能とする、ネットワークメタ解析の結果、ピッツバーグ睡眠品質指数(PSQI)の改善効果が最も高い運動はレジスタンストレーニングであり、PSQIが5.75点低下していた(PSQIは低い方が睡眠の質が高いことを意味する)。有酸素運動は3.76点、複合運動は2.54点の低下(改善)を示した。 この結果に基づき著者らは、「睡眠の質の改善には運動の中でも特に、レジスタンストレーニングと有酸素運動が有益である」と結論付けている。

273.

週2回貼付のアルツハイマー型認知症治療薬「リバルエンLAパッチ25.92mg/51.84mg」【最新!DI情報】第37回

週2回貼付のアルツハイマー型認知症治療薬「リバルエンLAパッチ25.92mg/51.84mg」今回は、持続放出性リバスチグミン経皮吸収型製剤「リバスチグミン(商品名:リバルエンLAパッチ25.92mg/51.84mg、製造販売元:東和薬品)」を紹介します。本剤は、わが国初の持続放出性のアルツハイマー型認知症の貼付薬であり、介護者の負担軽減やアドヒアランスの改善が期待されています。<効能・効果>軽度および中等度のアルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制の適応で、2025年3月27日に製造販売承認を取得しました。<用法・用量>通常、成人にはリバスチグミンとして1回25.92mgから開始し、原則として4週後に維持量である1回51.84mgに増量します。本剤は背部、上腕部、胸部のいずれかの正常で健康な皮膚に貼付します。原則として開始時は4日間貼付し、1枚を3~4日ごとに1回(週2回)貼り替えます。なお、貼付期間は4日間を超えないようにし、週2回行う本剤の貼り替えのタイミング(曜日)は原則固定します。<安全性>重大な副作用として、QT延長(1%未満)、狭心症、心筋梗塞、徐脈、房室ブロック、洞不全症候群、脳卒中、痙攣発作、食道破裂を伴う重度の嘔吐、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃腸出血、肝炎、失神、幻覚、激越、せん妄、錯乱、脱水(いずれも頻度不明)があります。その他の副作用は、接触性皮膚炎、適用部位紅斑、適用部位そう痒感(5%以上)、食欲減退、期外収縮、悪心、嘔吐、適用部位浮腫、適用部位皮膚炎、適用部位発疹、適用部位水疱、適用部位腫脹、体重減少(1~5%未満)、貧血、不眠症、幻視、易怒性、不整脈、心房粗動、高血圧、腹痛、蕁麻疹、適用部位皮膚剥脱、適用部位湿疹、適用部位蕁麻疹、しゃっくり、耳鳴(1%未満)、尿路感染、好酸球増加症、糖尿病、血尿、疲労、肝機能検査異常など(いずれも頻度不明)があります。<患者さんへの指導例>1.この薬は、軽度および中等度のアルツハイマー型認知症における認知症症状の進行を遅らせる薬です。2.この薬は、皮膚から有効成分が吸収される貼り薬(パッチ剤)です。3.初めに貼り替える曜日を決めて、1週間に2回、1回1枚、同じ時間に薬を貼り替えてください。4.背中、上腕、胸のいずれかの健康な皮膚に貼ってください。5.貼る場所は毎回変え、同じ場所に貼らないでください。6.貼り忘れに気付いたときは、気付いた時点で新しい薬を貼り、次からはいつもと同じスケジュールで貼り替えてください。<ここがポイント!>アルツハイマー型認知症は、認知症の原因の約6割を占める緩徐進行性の疾患で、記憶障害や複数の認知機能障害が特徴です。この認知機能の低下は、コリン作動性神経機能の低下と関連するといわれており、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬が現在の治療の中心です。日本では、これらの薬剤は内服薬と貼付薬で販売されており、通常、1日1~2回の投薬が必要です。アセチルコリンエステラーゼおよびブチリルコリンエステラーゼの阻害薬であるリバスチグミンは、2011年4月に1日1回貼付の貼付薬として承認されました。貼付薬は投薬状況が可視化されるため、内服薬に比べて介護者の負担を軽減することができます。服薬管理の負担を一層軽減するために、さらなる投薬頻度の低減が求められていました。リバルエンLAパッチは、日本初の持続放出性リバスチグミン経皮吸収型製剤であり、週2回の貼付が特徴です。従来の毎日1回の貼付薬に比べ、アドヒアランス向上が期待されます。外国人健康成人57例を対象に、本剤の51.84mg製剤を週2回(4日間と3日間の交互)またはリバスチグミン貼付薬(1日1回貼付)の18mg製剤を1日1回、上背部に11日間反復経皮投与したとき、リバスチグミン貼付薬に対する本剤の幾何平均値の比は、Cmax96-264で1.051(90%信頼区間[CI]:0.984~1.124]、Cmin96-264で1.078(0.978~1.189]、Ctau_264で1.086(1.018~1.158)およびAUC96-264で1.136(1.073~1.203)でした。このことから、51.84mg製剤の週2回投与がリバスチグミン貼付薬の18mg製剤の1日1回投与と同程度の曝露量を示すことが確認されました。軽度および中等度アルツハイマー型認知症患者を対象とした無作為化二重盲検並行群間比較試験(国内第III相試験:NDT-2101試験)において、24週時のADAS-Jcogのベースラインからの変化量の最小二乗平均値は、本剤群で-0.54(95%CI:-1.150~0.065)、リバスチグミン貼付薬群で0.30(-0.306~0.900)で、変化量の群間差は-0.84(-1.695~0.016)でした。群間差の95%CIの上限が事前に設定した非劣性限界値1.1を下回ったことから、リバスチグミン貼付薬群に対する本剤群の非劣性が検証されました。

274.

呼吸器病の漢方治療ガイド プライマリ・ケアで役立つ50処方

呼吸器疾患の漢方がわかると診察力が大幅アップ外来医師必携の漢方処方ガイド。総論として、漢方の概念や考え方、診察方法、漢方薬の成り立ちと副作用、西洋薬と漢方薬の違い、呼吸器疾患に頻用する漢方薬の特徴、各論では、かぜ症候群、インフルエンザ、COVID-19などのウイルス感染症の急性期や遷延期治療、喘息、慢性閉塞性肺疾患、副鼻腔気管支症候群、逆流性食道炎、嚥下性肺炎、非定型抗酸菌症、肺癌に関する漢方治療を解説。さらに本書で解説のある50処方の適応イラストを掲載。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。目次を見るPDFで拡大する目次を見るPDFで拡大する呼吸器病の漢方治療ガイド プライマリ・ケアで役立つ50処方定価3,850円(税込)判型A5判(並製)頁数136頁(写真・図・表:119点)発行2025年4月著者加藤 士郎(筑波大学附属病院臨床教授)ご購入(電子版)はこちらご購入(電子版)はこちら紙の書籍の購入はこちら医書.jpでの電子版の購入方法はこちら紙の書籍の購入はこちら

275.

事例021 発熱患者等対応加算の漏れ【斬らレセプト シーズン4】

解説外来感染対策向上加算の届出を行っている診療所において、他病にて治療中の患者がインフルエンザ疑いなどの感染症疑いにて受診されているにもかかわらず、「発熱患者等対応加算」(以下「同加算」と略す)が算定されていない事例を複数見受けました。この事例にはパターンがあり、「外来感染対策向上加算」を算定した日の同月翌日以降に受診されている場合でした。A001 再診料注15「外来感染対策向上加算」は、初診料算定日を含み月1回のみの算定ができます。ただし書きに「(同加算は)発熱その他感染症を疑わせるような症状を呈する患者に対して適切な感染防止対策を講じたうえで再診を行った場合について月1回に限り点数を更に所定点数に加算する」と記載されています。計算担当者に話を聞くと、「外来感染対策向上加算の加算であるので別日には算定できません」と回答がありました。外来感染対策は算定上月1回であっても、すべての診療に継続して対策されています。したがって、同加算は同月内別日の診療であっても単独で算定できると解されています(疑義解釈その1 問4 2024.3.28)。このことを伝えて算定漏れの対策としました。また、別の診療所では、発熱患者を駐車中の自動車内にて診療を行っているのみでは算定できないと解されていましたが、この診療でも適切な感染対策は当然に行われています。駐車中の自動車内にて通常患者と分離している場合も算定要件に含まれることを伝えています。

276.

整形外科の外傷処置 捻挫・打撲・脱臼・骨折

疾患診断の精度を上げ、患者満足度を高める「ニュースタンダード整形外科の臨床」第2巻整形外科の実臨床に真に役立つテキストシリーズの2冊目。本巻では、主に整形外科医が整形外科的救急外傷として扱う疾患として捻挫、靱帯損傷、肉離れ、打撲、骨挫傷、脱臼、骨折、末梢神経損傷、外傷に伴う合併症について取り上げた。治療については保存的治療を中心に、保存的治療か観血的治療かの選択の考え方についても解説。診断や評価法、リハビリテーションの動画を収載し、理解を深めるサイドノートを満載。整形外科医のみならず、プライマリケアをされる他科のジェネラリストの診療にも活用できる。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。目次を見るPDFで拡大する目次を見るPDFで拡大する整形外科の外傷処置 捻挫・打撲・脱臼・骨折定価12,100円(税込)判型B5判頁数468頁発行2025年4月専門編集・編集委員井尻 慎一郎(井尻整形外科)編集委員田中 栄(東京大学)松本 守雄(慶應義塾大学)ご購入(電子版)はこちらご購入(電子版)はこちら紙の書籍の購入はこちら医書.jpでの電子版の購入方法はこちら紙の書籍の購入はこちら

277.

睡眠不足の看護師は感染症に罹患しやすい

 夜間勤務(以下、夜勤)の影響で睡眠不足を感じている看護師は、風邪やその他の感染症への罹患リスクの高いことが新たな研究で明らかになった。研究グループは、「シフト勤務が睡眠の質に与える影響が看護師の免疫系に打撃を与え、感染症にかかりやすくさせている可能性がある」と述べている。Haukeland大学病院(ノルウェー)睡眠障害コンピテンスセンターのSiri Waage氏らによるこの研究結果は、「Chronobiology International」に3月9日掲載された。 この研究は、ノルウェーの看護師1,335人(女性90.4%、平均年齢41.9歳)を対象に、睡眠時間、睡眠負債、およびシフト勤務の特徴と自己報告による感染症の罹患頻度との関連を検討したもの。これらの看護師は、過去3カ月間における睡眠時間、睡眠負債、シフト勤務、および感染症(風邪、肺炎/気管支炎、副鼻腔炎、消化器感染症、泌尿器感染症)の罹患頻度について報告していた。 その結果、睡眠負債(1〜120分、または2時間超)が多いほど感染症の罹患リスクは上昇することが明らかになった。睡眠負債がない人と比べた睡眠負債がある人での感染症罹患の調整オッズ比は、睡眠負債が1〜120分、2時間超の順に、風邪で1.33(95%信頼区間1.00〜1.78)と2.32(同1.30〜4.13)、肺炎/気管支炎で2.29(同1.07~4.90)と3.88(同1.44~10.47)、副鼻腔炎で2.08(同1.22~3.54)と2.58(同1.19~5.59)、消化器感染症で1.45(同1.00~2.11)と2.45(同1.39~4.31)であった。 また、夜勤の有無や頻度(0回の場合と比べて1〜20回の場合)は、風邪のリスク増加と関連していた。風邪の調整オッズ比は、夜勤がない場合と比べてある場合では1.28(95%信頼区間1.00〜1.64)、夜勤が0回の場合と比べて1〜20回の場合では1.49(同1.08〜2.06)であった。一方、睡眠時間やクイックリターン(休息間隔が11時間未満)と感染症罹患との間に関連は認められなかった。 Waage氏は、「睡眠負債や、夜勤を含む不規則なシフトパターンは、看護師の免疫力を弱めるだけでなく、質の高い患者ケアを提供する能力にも影響を及ぼす可能性がある」と「Chronobiology International」の発行元であるTaylor & Francis社のニュースリリースの中で指摘している。 研究グループは、病院や医療システムは看護師が十分な睡眠を取れるようにすることで、患者により良いケアを提供できる可能性があると述べている。論文の共著者であるHaukeland大学病院のStale Pallesen氏は、「夜勤の連続勤務を制限し、シフト間に十分な回復時間を確保するなど、シフトパターンを最適化することで、看護師は恩恵を受けることができる」とニュースリリースで話している。同氏はさらに、「免疫系が正常に機能するには睡眠が重要であることに対する医療従事者の認識を高めるとともに、定期的な健康診断とワクチン接種を奨励することも役立つ可能性がある」と付言している。

278.

乳がんサバイバーは多くの非がん疾患リスクが上昇/筑波大

 日本の乳がんサバイバーと年齢をマッチさせた一般集団における、がん以外の疾患の発症リスクを調査した結果、乳がんサバイバーは心不全、心房細動、骨折、消化管出血、肺炎、尿路感染症、不安・うつの発症リスクが高く、それらの疾患の多くは乳がんの診断から1年以内に発症するリスクが高いことを、筑波大学の河村 千登星氏らが明らかにした。Lancet Regional Health-Western Pacific誌2025年3月号掲載の報告。 近年、乳がんの生存率は向上しており、乳がんサバイバーの数も世界的に増加している。乳がんそのものの治療や経過観察に加え、乳がん以外の全般的な健康状態に対する関心も高まっており、欧米の研究では、乳がんサバイバーは心不全や骨折、不安・うつなどを発症するリスクが高いことが報告されている。しかし、日本を含むアジアからの研究は少なく、消化管出血や感染症などの頻度が比較的高くて生命に関連する疾患については世界的にも研究されていない。そこで研究グループは、日本の乳がんサバイバーと一般集団を比較して、がん以外の12種類の代表的な疾患の発症リスクを調査した。 日本国内の企業の従業員とその家族を対象とするJMDCデータベースを用いて、2005年1月~2019年12月に登録された18~74歳の女性の乳がんサバイバーと、同年齢の乳がんではない対照者を1:4の割合でマッチングさせた。乳がんサバイバーは上記期間に乳がんと診断され、1年以内に手術を受けた患者であった。転移/再発乳がん、肉腫、悪性葉状腫瘍の患者は除外した。2つのグループ間で、6つの心血管系疾患(心筋梗塞、心不全、心房細動、脳梗塞、頭蓋内出血、肺塞栓症)と6つの非心血管系疾患(骨粗鬆症性骨折、その他の骨折[肋骨骨折など]、消化管出血、肺炎、尿路感染症、不安・うつ)の発症リスクを比較した。 主な結果は以下のとおり。・解析対象は、乳がんサバイバー2万4,017例と、乳がんではない同年齢の女性9万6,068例(対照群)であった。平均年齢は両群ともに50.5(SD 8.7)歳であった。・乳がんサバイバー群は、対照群と比較して、心不全(調整ハザード比[aHR]:3.99[95%信頼区間[CI]:2.58~6.16])、消化管出血(3.55[3.10〜4.06])、不安・うつ(3.06[2.86〜3.28])、肺炎(2.69[2.47~2.94])、心房細動(1.83[1.40~2.40])、その他の骨折(1.82[1.65~2.01])、尿路感染症(1.68[1.60~1.77])、骨粗鬆症性骨折(1.63[1.38~1.93])の発症リスクが高かった。・多くの疾患の発症リスクは、乳がんの診断から1年未満のほうが1年以降(1~10年)よりも高かった。とくに不安・うつは顕著で、1年未満のaHRが5.98(95%CI:5.43~6.60)、1年以降のaHRが1.48(1.34~1.63)であった。骨折リスクは診断から1年以降のほうが高かった。・初期治療のレジメン別では、アントラサイクリン系およびタキサン系で治療したグループでは、骨粗鬆症性骨折、その他の骨折、消化管出血、肺炎、不安・うつの発症リスクが高い傾向にあり、アントラサイクリン系および抗HER2薬で治療したグループでは心不全のリスクが高い傾向にあった。アロマターゼ阻害薬で治療したグループでは骨粗鬆症性骨折、消化管出血の発症リスクが高い傾向にあった。 これらの結果より、研究グループは「医療者と患者双方がこれらの疾患のリスクを理解し、検診、予防、早期治療につなげることが重要である」とまとめた。

279.

頭痛専門医試験 問題・解説集 第2版

10年ぶりの改訂版!2015年に発行された頭痛専門医試験問題・解答集の第2版。本書には2019~24年に実際に出題された1,200の試験問題から266問を精選して収載し、詳細な解説を行った。なお、Part1~3の3章構成で問題を振り分けており、Part1では実地臨床からの出題、Part2では臨床問題に加えて頭痛医学の基礎となる解剖や神経生理、生化学、遺伝学などの分野からの出題、Part3では画像や図を扱う問題が中心となっている。また、第2版では索引を設けており、キーワードによる出題検索が可能となった。代表的な2つのガイドライン『国際頭痛分類 第3版』『頭痛の診療ガイドライン2021』に準拠している。読者対象は、神経内科医・脳神経外科医・麻酔科医、その他小児科医、産婦人科医、耳鼻咽喉科医、精神科医、眼科医、リハビリ医・救急医、プライマリ・ケア医、および関連職種の医療従事者と多岐にわたる。2021年承認のCGRP関連抗体薬など頭痛診療は日々発展しており、頭痛による疾病負担や労働生産性の損失が問題視されるなかで、頭痛専門医の果たす役割は大きい。専門医を目指す受験生や知識を整理するための自己学習に役立つ1冊である。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。目次を見るPDFで拡大する目次を見るPDFで拡大する頭痛専門医試験 問題・解説集 第2版定価7,480円(税込)判型B5判(並製)頁数312頁(写真・図・表:70点)発行2025年3月編集日本頭痛学会ご購入(電子版)はこちらご購入(電子版)はこちら紙の書籍の購入はこちら医書.jpでの電子版の購入方法はこちら紙の書籍の購入はこちら

280.

尿臭、尿色は尿路感染に関連するのか?【とことん極める!腎盂腎炎】第14回

尿臭、尿色は尿路感染に関連するのか?Teaching point(1)尿臭は尿路感染に対する診断特性は不十分であるが、一部の微生物・病態での尿路感染では特徴的な臭いのものがある(2)尿色の変化は体内変化を示唆するも、尿路感染での尿色変化はほとんどない。しかし、尿道留置カテーテルでの一部の細菌感染でのpurple urine bag syndrome はたまにみられ、滅多にみることはないが緑膿菌による緑色変化は特異性がある1.尿臭と尿路感染疾患の一部には特異的な尿臭があるものがあるが、尿路感染に関しては、特異的なものはほとんどない。尿中に細菌が存在し、その細菌がアンモニアを生成すると異常な刺激臭となるが、細菌の有無に関係なく尿pHによって尿中に多く含まれるアンモニアイオンがアンモニアとなる。これは感染を示唆するものではないため、その違いを判別することは難しい。また尿の通常の臭いはウリノイドと呼ばれ、濃縮された検体ではこの臭いが強くなることがあり、こちらとの判別も困難である。中国で行われた、高齢者の尿パッドの臭気と顕微鏡・培養検査とを比較した研究では、過剰診断にも見逃しにもなり、尿臭が尿路感染の診断にも除外にも寄与しづらいことが示唆されている1)。尿臭で尿路感染の原因診断に寄与するものは限られるが、知られているのは腐敗臭となる細菌尿関連の2病態である。1つが腸管からの腸内細菌が膀胱へ移行することで尿が便臭となる腸管膀胱瘻2)、もう1つが尿路感染症としては珍しいが、時として重要な病原体になり得るAerococcus urinaeである3)。細菌ではないが、真菌であるCandida尿路感染は、アルコール発酵によりbeer urineといわれるビール様の臭いがすることがある4)。以上から、尿臭で尿路感染を心配する家族や介護職員もいるが、細菌や真菌が尿路に存在する可能性を示唆するのみで、そもそも細菌や真菌が存在することと感染症が成立していることとは別であること、それらが存在すること以外にも尿臭の原因があることなどを説明することで安心を促し、尿路感染かどうかの判断は、尿臭以外の要素で行うことが肝要である。2.尿色と尿路感染正常の尿は透明で淡黄色である。そのため、尿の混濁化や色の変化は、体内の変化を示唆する徴候となり、食物、薬剤、代謝産物、感染症などが色調変化の原因となる。尿路感染そのものによる尿の色調変化は滅多にないが、比較的みられるのは、尿道留置カテーテルを使用している患者の細菌尿で、尿・バッグ・チューブが紫色に変化するpurple urine bag syndrome5)と呼ばれるものである(図1)。図1 purple urine bag syndrome画像を拡大する尿中のアルカリ環境と細菌の酵素によって形成された生化学反応の代謝産物によるもので、腸内細菌により摂取したトリプトファンがインドールに分解され、その後、門脈循環に吸収されてインドキシル硫酸塩に変換され、尿中に排泄される。尿中のアルカリ環境と細菌の酵素(インドキシルスルファターゼ、インドキシルホスファターゼ)が存在する場合、インドキシルに分解される。分解産物である青色のインジゴと赤色のインジルビンが合わさった結果、紫となる(図2)。その酵素を産生できる細菌は報告だけでも、Escherichia coli、Providencia属、Klebsiella pneumoniae、Proteus属など多岐にわたるため、起因菌の特定は困難である。図2 purple urine bag syndromeの原理画像を拡大するその他の色調変化は、まれながら緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)による緑色変化がある。色の変化ごとのアセスメント方法はあるが、感染にかかわらないものも多く、本項では省略し、色調変化の原因の一部を表2,6,7)に挙げる。感染症そのものによる変化とは異なるが、抗微生物薬など薬剤による尿色変化は、患者が驚いて自己中断することもあり、処方前の説明が必要となる。とくにリファンピシンによる赤色変化は有名で、中断による結核治療失敗や耐性化リスクもあるため重要である。表 尿の色調変化の原因画像を拡大する1)Midthun SJ, et al. J Gerontol Nurs. 2004;30:4-9.2)Simerville JA, et al. Am Fam Physician. 2005;71:1153-1162.3)Lenherr N, et al. Eur J Pediatr. 2014;173:1115-1117.4)Mulholland JH, Townsend FJ. Trans Am Clin Climatol Assoc. 1984;95:34-39.5)Plaçais L, Denier C. N Engl J Med. 2019;381:e33.6)Cavanaugh C, Perazella MA. Am J Kidney Dis. 2019;73:258-272.7)Echeverry G, et al. Methods Mol Biol. 2010;641:1-12.

検索結果 合計:5092件 表示位置:261 - 280