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最終回 薬剤師ってオワコン?【噂の狭研ラヂオ】

動画解説最後に狭間先生がチョイスしたのは「薬剤師ってなくなっちゃうの?」という噂です。IoT化が進んで薬の配送も説明もロボットが行う未来がやってくるかもしれません。一方でそれは薬剤師が今よりもっと医療に近づけるチャンスでもあります。共に6年制大学で人助けを目指した医師と薬剤師、がっしりとタッグを組んで新しい医療を作っていきたい!狭間先生から最後のエールです!

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日本人超高齢の心房細動、エドキサバン15mgは有益/NEJM

 標準用量の経口抗凝固薬投与が適切ではない、非弁膜症性心房細動(AF)の日本人超高齢患者において、1日1回15mg量のエドキサバンは、脳卒中または全身性塞栓症の予防効果がプラセボより優れており、大出血の発生頻度はプラセボよりも高率ではあるが有意差はなかったことが示された。済生会熊本病院循環器内科最高技術顧問の奥村 謙氏らが、超高齢AF患者に対する低用量エドキサバンの投与について検討した第III相多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照イベントドリブン試験の結果で、NEJM誌オンライン版2020年8月30日号で発表された。超高齢AF患者の脳卒中予防のための経口抗凝固薬投与は、出血への懸念から困難と判断されることが少なくない。エドキサバン15mgを標準用量が懸念される超高齢AF患者で試験 試験は、非弁膜症性AFを有する日本人超高齢患者(80歳以上)で、いずれも脳卒中予防のために承認用量での経口抗凝固療法について適切ではないと見なされる患者であった。 被験者を1対1の割合で無作為に割り付け、エドキサバン15mgを1日1回またはプラセボを投与し追跡した。 主要有効性エンドポイントは、脳卒中・全身性塞栓症の複合とし、主要安全性エンドポイントは、国際血栓止血学会の定義に基づく大出血とした。エドキサバン15mgが脳卒中・全身性塞栓症を有意に抑制 2016年8月5日~2019年11月5日に984例の患者が無作為化を受け、エドキサバン1日1回15mg(492例)、またはプラセボ(492例)を投与された。被験者の平均年齢は86.6±4.2歳、低体重(平均50.6±11.0kg)、腎機能は低下(平均クレアチニンクリアランス36.3±14.4mL/分)、40.9%の被験者がフレイルに分類された。最終フォローアップは2019年12月27日。試験期間中央値は466.0日(IQR:293.5~708.0)であった。 681例が試験を完了し、303例は試験を中止した(158例が中止、135例が死亡、10例がその他の理由による)。試験を中止した患者数は2群で同等であった。 脳卒中または全身性塞栓症の年間発現頻度は、エドキサバン15mg群2.3%/年、プラセボ群6.7%/年(ハザード比[HR]:0.34、95%信頼区間[CI]:0.19~0.61、p<0.001)であった。また、大出血の年間発現頻度は、エドキサバン15mg群3.3%/年、プラセボ群1.8%/年(1.87、0.90~3.89、p=0.09)であった。 エドキサバン15mg群はプラセボ群に比べて、消化管出血イベントが有意に多かった。あらゆる原因による死亡については、両群間で実質的な違いはみられなかった(エドキサバン15mg群9.9%、プラセボ群10.2%、HR:0.97、95%CI:0.69~1.36)。

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「患者フォロー義務化」のメリット示す調査結果が公表【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第54回

2020年9月1日に「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)」の改正法が施行され、服薬期間中の患者さんの状態を確認する「患者フォローアップ」が義務化されました。個人的には、一連の改正の中で、患者さんに一番影響が大きい項目だと思っています。実際にこの「患者フォローアップ」はどれほど効果があるのでしょうか。成果を収集検証した調査結果が公表されましたので紹介します。日本保険薬局協会は9月10日の定例会見で、改正医薬品医療機器法によって義務化された患者への「服用期間中フォローアップ」について、成果を収集検証した調査結果を公表した。それによると、会員企業20社282薬局から集めた525事例では、51%にあたる268事例で「処方内容に変更」があり、さらに85事例で「薬剤の中止」に結びついたと報告した。首藤正一会長は「これほど、大きな成果が出るとは思わなかった」と指摘し、薬剤中止を含めた「用法用量の減量」や「残薬調整」などの129事例によって、1ヵ月換算の医療費削減効果が109万円になることを強調した。(2020年9月11日付 RISFAX)調査は2020年7月14日~8月31日に行われ、20社282薬局から報告された525事例が検証されています。その結果、フォローアップ後に処方医への情報提供や連携につながった事例は384件(73%)で、処方変更や経過改善などの成果につながった事例は497件(95%)と報告されています。95%が成果につながったというのは驚くべき割合ですね。その成果につながった497事例のうち、処方内容の変更がみられたのが268件(51%)、服薬状況や副作用の確認など処方変更以外の成果につながったのが342件(65%)、服薬状況や体調、副作用で改善がみられたのが434件(83%)でした。処方内容の変更があった268事例のうち、薬剤の中止は85件、他剤への変更は65件、減量が37件で、医療費の削減効果は処方換算で1ヵ月109万円だったとあります。一方、処方追加が40件、増量が11件で、患者さんの症状をよく聞き取って必要な薬剤や投与量を判断して提案していることがわかります。処方変更となった医薬品は「血圧降下薬」がもっとも多く24件で、続いて「下痢・浣腸剤」が22件、神経障害性疼痛の治療薬など「中枢神経系用薬」が20件でした。抗がん剤も11件報告されています。処方変更以外の成果につながった342件の内訳は、「服薬状況の確認」が152件、「副作用の確認」が128件、「体調変化の確認」が76件、「副作用の発見」が46件、「服薬に関する再指導」が31件でした。また、フォローアップをきっかけに、かかりつけ薬剤師の新規契約に至ったケースも19件あったとのことです。これらの成果は、積極的なフォローアップの取り組みを後押しするものになるのではないでしょうか。フォローアップは特別な取り組みではない義務化に先立ち、2020年7月に日本薬剤師会より「薬剤使用期間中の患者フォローアップの手引き」が出されています。フォローアップのやり方については、まだ模索中という方も多いと思いますので、ぜひ一読されることをお勧めします。日々の服薬指導の振り返りやブラッシュアップにも、この手引きは活用できると思います。これらの取り組みを患者さん本人にお伝えし、何かフォローしてほしいことはないか、不安なことはないかと積極的に尋ねてもいいかもしれません。今回の薬機法改正は、「これまで進めてきた医薬分業の成果と課題を踏まえ、患者の多くが医薬分業のメリットを実感できるような取り組みを進める」ということが課題とされています。日本保険薬局協会の調査結果をみると、患者フォローアップによって本来の薬局の役割が果たせていることに加えて、患者さんや医療費にまで貢献できたという結果が出ています。薬局全体で取り組むモチベーションになるのではないでしょうか。「薬局でお薬をもらってよかった」「お薬で不安なことは薬剤師に相談しよう」と、1人でも多くの患者さんが医薬分業のメリットを感じられるようになることを願います。

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第45回 右室肥大と右脚ブロック~似て非なる病態を嗅ぎ分けよ(後編)【Dr.ヒロのドキドキ心電図マスター】

第45回:右室肥大と右脚ブロック~似て非なる病態を嗅ぎ分けよ(後編)「右脚ブロック」と「右室肥大(RVH)」って心電図の波形が“似てるよね”という話を前回しました。基本は“似て非なる”両者ですが、この2つが合併した時に心電図はどうなると思いますか? そもそも「右脚ブロック」かつ「右室肥大」という診断を正しく下せるのでしょうか。ある程度勉強が進んだ人なら一度は気になるこの“難問”につき、Dr.ヒロが解説します。最終結論は“感動”か、はたまた“絶望”かー。では、レクチャーのスタートです!【問題1】53歳、男性。増悪傾向を示す労作時息切れの精査目的にて他院より紹介受診した。心電図所見に関して、最も適切なものを一つ選べ。(図1)53歳、男性の心電図画像を拡大する1)完全右脚ブロック2)右室肥大3)両方とも該当しない4)完全右脚ブロックかつ右室肥大5)その他解答はこちら4)解説はこちらさて、第42回からお送りしてきた右心系の“チラ見”、とくに「右室肥大」に関するレクチャーは今回で完結です。普通の教科書などではここまで詳しく説明されることはないと思うので、『もうお腹一杯~(泣)』という方もいるでしょう。このラスト1回を頑張りましょう。さて、この問題をどう考えますか? なんか選択肢がややこしいでしょ。前回に「右脚ブロック」と「右室肥大」の心電図は似ていてややこしいという話をしましたが、(図1)はどちらに見えますか? パッと見、QRS幅はかなりワイド(wide)ですし、波形的にはただの「完全右脚ブロック」のように見えます。でも、「右脚ブロック」と「右室肥大」は“似たもの同士”なので、注意が必要です。では、この心電図に「右室肥大」 所見があるかどうかを調べましょう。前々回示した「右室肥大」の診断フローチャートの項目をチェックしますか? いいえ、残念ながら、QRS幅が広い時点であのフローチャートを使っちゃダメなんです。フローチャートに「個別に条件を設定」という注意書きを入れたので、気になっていた方もおられるのではと思っています。「右脚ブロックの心電図で、右室肥大の合併をどう見抜くか?」これが今回のメインテーマです。以下のレクチャーを読む前に完璧な解答ができるのならば、既にあなたは心電図に関してセミ・プロレベルです! ただ、多くの方は悩むと予想されるので、話を続けましょう。“「右脚ブロック」はここでもクセモノ”まずは、普段通りに心電図(図1)を読みましょう。“いつも通り”が一番大事なんです(第1回)。心拍数は、最後の“見切れ”たQRS波を0.5個と数えると81/分であり(“新・検脈法”)、P波の様子から「洞調律」であることも間違いありません(“イチニエフの法則”)。ニサンエフのP波がツンッと立ってて、「右房拡大」かなぁ…「異常Q波」はなくって、次は“スパイク・チェック”で、「向き」(電気軸)は、Iが下向き、IIが上向きですね。トントン法Neoを使えば「+100°」と求まるので、「右軸偏位」で良さそうです。QRS幅はかなりワイドで、胸部誘導でV1が「rSR'型」なので、「完全右脚ブロック」と予想することができます(第44回)。残りのST部分を読めば、II、III、aVF、V1~V5誘導で「ST低下」と「陰性T波」を考えますね。そうそう、素晴らしい。皆さん、だいぶ読み“型”(第1回)が板についてきたのではないでしょうか? 拾った所見のうち「右房拡大」「右軸偏位」「完全右脚ブロック」がそろった場合、“右つながり”で「右室肥大」が気になるという方はセンス良しです。とそんな時、ほかに絶対確認すべきマスト所見がありましたよね? そう、V1誘導の「高いR波」です(第43回)。具体的な数値は「7mm」、それを確認しようとしても最初の「r波」か2番目の「R'波」のどちらで“7mm基準”を確認すべきか悩んでしまうのではないでしょうか? ここでエイヤッと割り切って後半成分の「R'波」でチェックするのは間違いです。以前、「R>S(V1)」も「高いR波」の表現の代わりになることをお伝えしましたが、これも2つのうちどちらのR(r)波を使うのかとか、後半のR波なら大概「R>S」になるので、ホントにそれでいいのかって思ってしまうのではないでしょうか。そして、まだまだ参考にすべき補助所見がありました。ただ、ストレイン型の「(2次性)ST-T変化」やR peak timeの遅れも「右脚ブロック」ではほぼ全例で満たされてしまいます。また、「時計回転」ともとれる「R<S(V5)」所見も、軸偏位を合併した場合などで高率に見られます。つまり、「右脚ブロック」なだけで、「右室肥大」の条件をほどよく満たしてしまい、通常の診断条件が“あり”というのが「右室肥大」の肯定所見とは見なせず、結局のところ「wide QRS」な時点、とくにそれが「右脚ブロック」な時点で、例のフローチャートは当てにならないのです。先般示したフローチャートに用いた診断項目は主にMyer1)や“そこのライオン”で有名な、Sokolowら2)が指摘した内容ですが、これらは2つ目の「R'波」のある「右脚ブロック」系統には適応できないのです。この点は知っておくべきです。■ポイント■「右脚ブロック」の場合は通常の「右室肥大」の診断基準は使えない!では逆に、“完全“にしても“不完全”にしても「右脚ブロック」も立派に右心系負荷を示唆するサインの一つですから、ほかの所見と併せて「右室肥大」と言っちゃいましょうか? いいえ、これも誤りです。そうするとエセ右室肥大が世の中に溢れてしまうことになります。「異常Q波」の時にもクセモノぶりを発揮していた「右脚ブロック」ですが(第32回)、ここでもまたやってくれたわけです。“絶望の淵に光はさすのか?”ここまで聞いただけで気分が暗くなりますが、現実はさらに厄介な状況があるんです。心電図の世界では“似たもの同士”な「右脚ブロック」と「右室肥大」ですが、現実問題として意外と両者の病態がバッティングするのです。これはどういうことを意味するのでしょうか? 頻度的には「右脚ブロック」のほうが多いため、普通だと「右脚ブロック」と診断した時点で安心してしまいます。そのため、まさかそこに「右室肥大」所見が“重なっている”かなど考えが及ばず、心電図の発する“RVHサイン”がうまく届かない状況が生まれてしまうんです。「右脚ブロック」が存在する場合、「右室肥大」の診断は不可能なのでしょうか? 結論だけ言うと、不可能だというのが真実に近いかもしれません。実際、主に学童を対象とした日本循環器学会ガイドライン3)には、「WPW症候群」とともに、「右脚ブロック」がある場合には「右室肥大」の診断は困難と銘記されています。ガイドラインにまで記載されてしまうと、さすがに萎えますね。ただ、やはり、人一倍、十、いや百倍、心電図を愛するボクからすると、“モッタイナイ”と感じてしまいます。ただでさえ分の悪い「肥大」の心電図診断に、またひとつ“Impossible”を作ることに抵抗感があるのかもしれません。この苦難を何とか乗り越えたい…非才のボクでは解決できない問題には“先人の知恵”をお借りしましょう。前回示したフローチャートも参考にしつつ、「右脚ブロック」の“霧”を晴らすため、「右脚ブロックに合併した右室肥大」に関して集められた代表的な知見を以下に示します。■ポイント:右脚ブロック“専用”の「右室肥大」基準■【Milnor基準】QRS幅:0.12秒(120ミリ秒[ms])以下でいずれかを満たす場合QRS電気軸:+110~+270°*1R(またはR')/S >1(V1誘導)かつ R(またはR')>5mm(0.5mV)【Barker & Valencia基準】R'V1>10mm(不完全右脚ブロック)R'V1>15mm(完全右脚ブロック)*1:原著の表現(QRS軸:+110~±180°または-90~±180°)がわかりにくいため改変して示した。意味的には「+110°以上の右軸偏位」または「高度の(右)軸偏位」を意味する。皆さんの中には、「えっ? また外人の名前? そんなのもう覚えられないよー」という方も多いと思うので、「誰の」基準かは覚えなくとも、「どんな」条件なのかを優先して覚えてください。“見るな!と言いたくなるMilnor基準”一つ目はMilnorらによる診断基準です。これは、“よりシンプルさ”を追求した研究報告で、基準中に「R'」という文字が含まれており、われわれの期待をふくらませます。…ところが、その期待はもろくも崩れ去ります。なぜなら、前提条件に「QRS duration less than 0.12 second」と表記されているからです。“使えない”とまでは言いませんが、これを適用するとしても「不完全右脚ブロック」のほうだけ。しかも、この基準は「右脚ブロック」例だともっぱら“overdiagnosis”するとされています4)。そんな訳でDr.ヒロ的には、もう“見るな!”の基準です(笑)。もちろん、今回の心電図には適用しちゃダメですよ。バッチリ「QRS幅≧0.12秒」ですから。でも、「右脚ブロック」つながりなので一応は紹介しました。“もう一つも実はイマイチ-Barker-Valencia基準”次に紹介するのは、“バッグにオレンジ”基準。これは勝手にボクが決めたゴロ合わせで、オレンジはバレンシア産(笑)。これはBarkerとValenciaらによる基準で、文献として確認できるのは「不完全右脚ブロック」を扱った1949年のものです5)。そして、実は本題でもある「完全右脚ブロック」のほうは、かなり入念に調べたのですが、原典が書籍でした6)。もし読者の方で原著論文などをご存じであれば、教えてもらえると嬉しいです。この基準は実にシンプルです。「右脚ブロック」のV1-QRS波形には「rsR'(rSR')」や「RR'」などがありますが、通常「r(R)<R'」でなくてはならないという暗黙のルールがあるので、後半の“第2波”(R'波)の高さだけで勝負する方式です。「不完全」でも「完全」でも、右脚ブロックになると、もともと「R'波」は“盛られる”傾向にあるため、通常の「7mm」ではなく、厳しめの基準で判定しましょうという考えなんだと思います。「10mm」も「15mm」も共に切りの良い数字ではありますが、やや記憶力の衰えたボクの場合、「不完全~」なら1.5倍、「完全~」なら2倍しただけの基準だと考えるようにしています。もちろん“7mm基準”をベースとしてね。早速、心電図(図1)で適用してみましょう。V1誘導に着目し、心拍ごとにやや差はありますが、小ぶりな2拍目、ないし5拍目で見ても「R'>15mm」を満たします。つまり、やはり「右室肥大」の合併を疑うべきということになり、問題の正解は4)が該当します。実際、この中年男性は、その後に「肺動脈性肺高血圧症」と診断され、心エコーでも顕著な「右室肥大」が確認されました。ですから、心電図にもやはり“暗号”が隠れていたわけです。しかし、このBarker-Valencia基準が完璧かと言うと、基本的に「右脚ブロック」と「R'波高」だけで判定するので、完璧とは言いがたいようです4)。次の心電図(図2)はどうでしょう?(図2)71歳、女性、肺高血圧症の心電図画像を拡大する71歳、女性で、肺高血圧症の診断で加療されています。「右軸偏位」(+110°)と「時計回転」(RV5<SV5)の所見はあるようですが、ワイドなQRS波で「完全右脚ブロック」に典型的な波形ですが、肝心なV1誘導ではR'波は15mmには足りません。そのためBarker-Valencia基準を適用すると、「右室肥大」ではないと判定されてしまいます。ただ、実際にはバッチリ「右室肥大」が心エコーその他で確認されていることから、この考え方は通じないということです。ちなみに“お隣”のV2誘導だと基準に合致しますが、原著にその記載はありません。さらに心電図(図2)をよく見ると、「148cm、41kg」と表示されていますが、欧米人対象の研究で得られた知見を、人種や体格差の明らかな日本人にそのまま適応していいのかという当然に疑問にぶち当たります。また、逆に“健康的な”「右脚ブロック」の一部に「右室肥大」の“濡れ衣”を着せてしまうことが少なくないというのも“バッグにオレンジ”基準の弱点でもあります。どちらかと言うと、後天性よりは先天性の心疾患の方がよく当てはまるようです。最近では、小児期に修復手術が行われた方を成人患者として迎え入れるケースも増えていると思います。そうした方の多くは今回に似た心電図であり、その場合は「右室肥大」の合併を正確に診断できる確率が高くなるわけです。“Dr.ヒロの所感と全体まとめ”上記2つ以外にも、血まなこになって教科書やガイドライン、そして文献を探し、最終的には「完全右脚ブロック」の心電図の場合、完璧な「右室肥大」診断基準はない、という考えに着地しました…。先述のガイドラインも、こうした流れを汲んでのコメントなのかもしれません。しかし、ボクは普段どうしているのか、それを最後に述べたいと思います。■ポイント:Dr.ヒロ流!右脚ブロックと右室肥大の合併病態に対する考え方■1)「右脚ブロック」を見たら一瞬でも「右室肥大」の合併を考慮2)Barker-Valencia基準:「R'>10 or 15mm」をチェック3)「右軸偏位」(できれば「+110°」以上)と「右房拡大」を確認4)臨床背景を確認する―「右室肥大」を呈する病態か?「右脚ブロック」と「右室肥大」の合併を見落とさないためには、「右脚ブロック」を見た時、ほんの一瞬でも“似たもの”な「右室肥大」に思いをはせること。そして“バッグにオレンジ”基準を割と大事にしつつ、QRS電気軸と右房の情報を取りにいきます。ズルいのかもしれませんが、最後に病歴やその他の検査所見などを総合して考えていくようにします。これがDr.ヒロ流心電図の判読法。一つの心電図だけでは勝負せず、“+α情報”を確認する意識をつけることで心電図の能力は一段と磨かれると信じているからです。ちなみに、「完全左脚ブロック」の場合には「右室肥大」と診断するための“決定打”はなく、よく言われるのは「左脚(ブロック)なのに右軸(偏位)」というものだと思います。ただ、これもかなり“ドンブリ”的な見方ですので、 あまり執着せずに、「完全左脚ブロック」なら細かな波形診断は諦めるスタンスでも良いかもしれません。現実的な話では、心電図は決して「心室肥大」の診断に長けているわけではありません。その上で、「右脚」にせよ「左脚」にせよ、QRS幅が広くなる「心室内伝導障害」では、ただでさえ不得手な「右室肥大」の診断精度をより低下させてしまうという現実を知っておくべきだと思います。今回の内容はまあまあハイレベルな内容ですので、非専門医の先生ですと必ずしも要求されない知識かもしれませんが、知っておくと診断の幅がだいぶ広がると思います。それでは、4回にわたってだいぶ詳しく扱った「右室肥大」の話題はここで終了。次回はこれまでの知識を総動員させたクイズを出しますよ。それではまた!Take-home Message「右脚ブロック」の存在は「右室肥大」の心電図診断の感度・特異度をさらに低下させる!“後半成分”(R’波)がより“強調”された「右脚ブロック」では「右室肥大」の合併を疑え―“不完全”は1.5倍、“完全”なら2倍1)Myers GB, et al. Am Heart J. 1948;35:1-40.2)Sokolow M, Lyon P. Am Heart J. 1949;38:273-294.3)日本循環器学会/日本小児循環器学会編. 2016年版学校心臓検診のガイドライン.4)Booth RW, et al. Circulation. 1958;18:169-176.5)Barker JM, Valencia F. Am Heart J. 1949;38:376-406.6)Barker JM. The Unipolar Electrocardiogram. 1st ed. Appleton-Century-Crofts;1952.【古都のこと~天ヶ瀬ダム】この連載では寺社について扱うことが多いですが、今回はダムに目を向け、天ヶ瀬ダム(宇治市)について話しましょう。平等院から宇治川沿いに車で登って10分ほどで到着します。改めて京都が山に囲まれていることを実感できます。1964年に竣工した多目的ドーム型アーチ式コンクリートダム*1で、規模は堤高73m・堤頂254m・堤体積16万4,000m3。総貯水量2,628万m3は東京ドーム20杯分です。休憩がてら下流域を散策していると、歓声が上がり、振り向くとコンジット(放流管)ゲートから放流です! その迫力の眺めにしばらく圧倒され、その後、なぜかスッキリとした気分になったのでした。当日はかないませんでしたが、次回来るときは必ず「天端(てんば)」(堤頂通路)に上がってアーチの曲線美に酔いしれようと思います。現在は「宇治川の渓谷と調和する放水設備」の再開発工事中*2ですが、皆さんも“大人の社会見学”をぜひ!*1:ダムカードに記載された「目的記号」は“FWP”。洪水調整(F:flood control)、上水道(W:water supply)、発電(P:power generation)。*2:2022年2月末まで。

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患者とどこまでわかり合える?「医療マンガ大賞2020」開催

 医療現場では、同じ出来事でも、患者と医療従事者では受け取り方や感じ方が異なることが少なくない。横浜市は、こうした視点の違いによるコミュニケーションギャップの可視化を目的に、「第2回医療マンガ大賞」の開催を発表した。 これは、医療広報の一環として、患者や医療従事者が体験したエピソードを基に、それぞれの視点の違いを描く漫画を公募する取り組み。昨年開催された第1回では、55作品の漫画が応募され、「人生の最終段階」をテーマに患者・家族の視点を描いた油沼氏(ペンネーム)の作品が大賞を受賞した。 今回、ケアネットほか3社の協力企業から、計4テーマ9部門の原案エピソードで漫画作品を募集する。応募受付期間は9月17日(木)~10月15日(木)で、誰でも応募できる。 これに先立ち、ケアネットでは、「心がふるえた 医療現場のエピソード」をテーマに、会員医師・薬剤師よりアンケートにて公募を行った。採用エピソードは、医療マンガ大賞ウェブサイト(URL:https://iryo-manga.city.yokohama.lg.jp/)に掲載されている。 CareNet.comでは、医療マンガ大賞の結果が発表される11月以降に、採用エピソードと受賞漫画作品を掲載する予定。

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研修医の朝は早い【森野コジカの研修医室からこんにちは!】第6回

第6回 研修医の朝は早いこんにちは! 森野コジカです。研修医の皆さん、朝起きるのは得意ですか? コジカは朝型なので、比較的早く起きれるほうですが、勢い余って休日まで平日と同じ時間に目が覚めてしまいます…。もちろん、休みなので二度寝します。良いですよね、二度寝。二度寝し放題の世の中になってくれることを神様にお願いしながら、グースカ寝たいと思います〜!

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長期に消化性潰瘍の再発を予防するアスピリン+PPI配合薬「キャブピリン配合錠」【下平博士のDIノート】第58回

長期に消化性潰瘍の再発を予防するアスピリン+PPI配合薬「キャブピリン配合錠」今回は、「アスピリン/ボノプラザンフマル酸塩配合錠(商品名:キャブピリン配合錠、製造販売元:武田薬品工業)」を紹介します。本剤は、アスピリンとプロトンポンプ阻害薬(PPI)を配合することで、胃・十二指腸潰瘍の再発低減と服薬負担の軽減によるアドヒアランスの向上が期待されています。<効能・効果>本剤は、狭心症(慢性安定狭心症、不安定狭心症)、心筋梗塞、虚血性脳血管障害(一過性脳虚血発作[TIA]、脳梗塞)、冠動脈バイパス術(CABG)あるいは経皮経管冠動脈形成術(PTCA)施行後における血栓・塞栓形成の抑制の適応で、2020年3月25日に承認され、2020年5月22日より発売されています。なお、本剤の使用は、胃潰瘍または十二指腸潰瘍の既往がある患者に限られます。<用法・用量>通常、成人には1日1回1錠(アスピリン/ボノプラザンとして100mg/10mg)を経口投与します。<安全性>国内で実施された臨床試験において、安全性評価対象431例中73例(16.9%)に臨床検査値異常を含む副作用が認められました。主な副作用は、便秘8例(1.9%)、高血圧、下痢、末梢性浮腫各3例(0.7%)などでした(承認時)。なお、重大な副作用として、汎血球減少、無顆粒球症、白血球減少、血小板減少、再生不良性貧血、中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、多形紅斑、剥脱性皮膚炎、ショック、アナフィラキシー、脳出血などの頭蓋内出血、肺出血、消化管出血、鼻出血、眼底出血など、喘息発作、肝機能障害、黄疸、消化性潰瘍、小腸・大腸潰瘍(いずれも頻度不明)が発現する恐れがあります。<患者さんへの指導例>1.この薬は、血小板の働きを抑えて血液が固まるのを防ぐことで、血栓や塞栓の再形成を予防します。長期服用によって胃潰瘍・十二指腸潰瘍が再発しないよう、胃酸を抑える薬も併せて配合されています。2.解熱鎮痛薬や風邪薬で喘息を起こしたことのある方、出産予定日12週以内の妊婦は使用できません。3.割ったり砕いたりせず、噛まずにそのまま服用してください。4.手術や抜歯など出血が伴う処置を行う場合は、医師に必ず本剤の服用を伝えてください。<Shimo's eyes>本剤は、低用量アスピリンとPPIの配合剤であり、アスピリン/ランソプラゾール配合錠(商品名:タケルダ)に次ぐ2剤目の薬剤です。虚血性心疾患、脳血管疾患による血栓・塞栓形成抑制には、アスピリンなどの抗血小板薬投与が有効であり、国内外の診療ガイドラインで推奨されています。しかし、アスピリンの長期投与によって消化性潰瘍が発症・再発することから、低用量アスピリン療法時には原則としてPPIが併用されます。この際に併用できるPPIとしては、ランソプラゾール(同:タケプロン)、ラベプラゾール(同:パリエット)、エソメプラゾール(同:ネキシウム)、ボノプラザン(同:タケキャブ)があります。PPI併用の低用量アスピリン投与による消化性潰瘍発生に対する予防効果については、国内第III相試験(OCT-302試験)の副次評価項目として調べられています。胃潰瘍または十二指腸潰瘍の既往のある患者にアスピリン100mgを投与した後の胃潰瘍または十二指腸潰瘍の再発率は、投与12、24、52、76、104週後において、ランソプラゾール15mg併用群ではそれぞれ0.9%、2.8%、2.8%、3.3%、3.3%であったのに対し、ボノプラザン10mg併用群ではいずれも0.5%であり、ボノプラザン併用群で有意に低下していました(p=0.039)。本剤は、アスピリンを含む腸溶性の内核錠を、ボノプラザンを含む外層が包み込んだ構造となっているため、噛まずにそのまま服用する必要があります。本剤の適応には、「胃潰瘍または十二指腸潰瘍の既往がある患者に限る」という制限がありますが、現在消化性潰瘍を治療中の患者さんには禁忌となっているので注意が必要です。参考1)PMDA 添付文書 キャブピリン配合錠

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流行性耳下腺炎(ムンプス)【今、知っておきたいワクチンの話】各論 第3回

ワクチンで予防できる疾患(疾患について・疫学)ムンプスもしくは流行性耳下腺炎は、ワクチンで予防できる疾患Vaccine Preventable Diseaseの代表疾患である。1)ムンプスの概要感染経路:飛沫感染潜伏期:12~24日周囲に感染させうる期間:耳下腺腫脹の7日前から発症後9日頃まで感染力(R0:基本再生産数):11~14注)R0(基本再生産数):集団にいるすべての人間が感染症に罹る可能性をもった(感受性を有した)状態で、1人の感染者が何人に感染させうるか、感染力の強さを表す。つまり、数が多い方が感染力は強いということになる。感染症法:5類感染症(小児科指定医療機関による定点観測、直ちに届出が必要)学校保健安全法:第2種感染症(耳下腺、顎下腺または舌下腺の腫脹が発現した後5日を経過し、かつ全身状態が良好になるまで)2)ムンプスの臨床症状(表)ムンプスは、多彩な経過や合併症に特徴がある1)。ムンプスは主に唾液による飛沫によりヒト-ヒト感染を起こす。感染から発症までの潜伏期間は典型例で17~18日と非常に長いうえ、発症する6日前から唾液や尿中にウイルスが排泄され感染性がある。さらに、感染しても平均30%は不顕性感染で終わる。不顕性感染は低年齢者に多く,年齢があがるほど症状が現れやすく腫脹も長期化する傾向にある。ただし,無症状でも唾液中のウイルスには感染性がある。耳下腺の腫脹は最も有名かつ高頻度の症状で,発症者のうち90~95%に出現するとされる。しかし、前述の通り感染者全体では70%前後にすぎず、腫脹も両側とは限らない。ここで重要な点として,耳下腺や顎下腺の腫脹は他のウイルス感染症でも起こるため、発熱と耳下腺腫脹だけでムンプスとは確定診断できない。したがって「熱と耳下腺腫脹があった」だけではムンプス罹患といえず、ワクチン不要と判断すべきでない。耳下腺腫脹に続いて多い症状は、思春期以降の男性に起こる睾丸炎で、感染者の1/3に起こるほど多い。片側性の腫脹が多く、睾丸が萎縮し精子数も減少するが、完全な不妊に至ることはまれとされる。女性では感染者の5%に卵巣炎が起こるが,不妊との関連はいまだ証明されていない。このほか無菌性髄膜炎から脳炎、乳腺炎、膵炎といった症状も知られている。無症候の髄液細胞数増多は感染者の50%に認められるとの報告もある。このようにムンプスは潜伏期間が長く、無症候性感染が多いうえ、発症前からウイルスを排泄する。つまり、発症者や接触者を隔離しても伝搬は防げない。表 自然感染の症状とワクチンの合併症1)画像を拡大する3)ムンプスの疫学4~5年おきに大きな流行があり、年間報告数は4~17万例で推移している。ここ数年では、2016年に比較的大きな流行が確認されており、2020年の再流行が懸念されていた(図1)。合併症として問題になる難聴について日本耳鼻咽喉科学会が実施した調査によると2)、上記2年間の流行中に少なくとも335例がムンプス難聴と診断されていた。調査デザインの限界から考えると、症例はもっと多いことが推定される。図1 ムンプスウイルス診断名別分離・検出報告数の推移(2000年1月~2019年9月)画像を拡大するワクチン概要単味の生ワクチンであり、年齢を問わず0.5mLを皮下注する。正確には、ワクチンキットに付属している溶解液0.7mLをバイアル瓶に注入したうち0.5mLを吸い出して接種する。ワクチンで一般にみられるアレルギー反応、接種部位の腫脹、短時間の発熱、といった副反応のほかに特異的なものはない。弱毒化した病原性ウイルスそのものを接種する生ワクチンであり、妊娠中の女性には接種は禁忌である。また、接種後2ヵ月間は妊娠を避けるべきである。同様にステロイドを含む免疫抑制薬を投与中、もしくは免疫抑制状態にある患者も接種禁忌である。現時点では任意接種に位置付けられており、自治体などの補助がなければ接種費用は自己負担となる。なお、先進国の中で日本だけが定期接種化されていない(図2)。図2 世界のムンプスワクチンの接種状況画像を拡大する(From data reported to WHO by 193 WHO Member States as of February 2015より引用)国内では、鳥居株を用いたタケダと星野株を用いた第一三共の2製品が流通している。両者とも無菌性髄膜炎の発生頻度は同様(鳥居株が1/1,600、星野株が1/2,300)。国際的に広く流通しているJeryl-Lynn株は、国産品に比べて免疫獲得能がやや低い一方で無菌性髄膜炎の発症は少ない。接種スケジュール「1ヵ月以上の間隔で2回以上の接種」が原則となる。添付文書では生後24ヵ月~60ヵ月の間に接種することが望ましいとされているが、妊娠中などの禁忌がなければ成人でも接種可能である(図3)。画像を拡大するその他の注意事項は以下の通りである。他の生ワクチン接種:27日以上空ける(4週目の同じ曜日から接種可能)不活化ワクチン接種:6日以上空ける(翌週の同じ曜日から接種可能)輸血およびガンマグロブリン製剤の投与:投与3ヵ月以降に接種ガンマグロブリンを200mg/kg以上の大量投与:投与6ヵ月以降に接種ワクチン接種後14日以内にガンマグロブリン製剤投与:投与後3ヵ月以降に再接種ステロイドや免疫抑制剤:投与中止後6ヵ月以降に接種罹患歴については前述の通り、医療機関でムンプスウイルス感染を証明された場合のみ意義ありとして、臨床症状のみで罹患歴としないことが望ましい。ムンプス成分を3回以上接種しても医学的には問題はない。Jeryl-Lynn株ワクチンを採用している先進国によってはむしろ、10年程度で抗体価が低下することによる“Secondary vaccine failure”への対策として追加接種を検討している。また、ウイルス曝露の早期にワクチン接種することで発症を予防する曝露後緊急接種について、麻疹や水痘では有効性が確認されているが、ムンプスワクチンでは無効と考えられてきた。しかし、2017年に“The New England Journal of Medicine”で一定の効果が報告されるなど3)、近年ムンプスワクチンの接種戦略は世界的に見直しが検討されつつある。ただし、この研究で用いられたのはJeryl-Lynn株を含むMMRワクチンであり、日本製品とは素性が異なる。また、日本のムンプスワクチンには曝露後接種の適応はない。日常診療で役立つ接種ポイント(例.ワクチンの説明方法や、接種時の工夫)外来などでは、おおむね以下の点について説明することが望ましい。「いわゆる『おたふく風邪』を予防するワクチンです。1回接種の予防効果は75~80%で、確実な予防のために2回接種しましょう」「『おたふく風邪』で死亡することはまれですが、多様な合併症が起きます。特に難聴は、年間300人前後も発症している可能性があるうえ、もし発症すると回復不能です」「感染から発症まで2週間以上と長いことや、感染しても1/3は無症状のままウイルスを広げている、といった特性から発症者の隔離は意味がなく、確実な予防法はワクチンだけです」「接種間隔を伸ばすメリットはないので、幼稚園などの集団生活を始める前に2回接種を済ませましょう」「海外へ移住する方は、お子さんだけでなく大人も接種を検討しましょう。幼少時に耳下腺が腫れた、というだけではムンプスとは限りませんし、追加接種しても問題ありません」今後の課題・展望ワクチンギャップ解消の機運を受け、厚生労働省の厚生科学審議会は2012年に「広く接種を促進することが望ましい」と7つのワクチンを提示した4)。これら7つのうち、2020年現在いまだに定期接種化を果たしていないのはムンプスだけになった。これには、1989年のMMR統一株ワクチンによる無菌性髄膜炎が大きく影響している。それまで積極的だったワクチン行政を決定的に転回させ、日本にワクチンギャップが生まれる遠因ともなった渦中のムンプスワクチンが、その影響を最後まで受けているともいえる。しかし、そもそも自然感染に比べれば現行ワクチンでも無菌性髄膜炎の発症率は1/20以下であるし、さらに1歳前後で早期接種すると無菌性髄膜炎の発生率が減ることが明らかになってきた。そして、現在、無菌性髄膜炎の発生率は、MMR統一株ワクチン当時の1/10にまで減っている。ムンプスワクチン定期接種化のメリットは感覚的にも明らかだが、医療経済学的な試算でも有効性は示されており5)、学術団体からも繰り返し要望が出ている。しかしながら、無菌性髄膜炎が減ったことでワクチン接種の効果を自然感染と比較する調査のハードルは高くなっており、承認申請のために治験を通過する必要がある輸入ワクチンの導入やワクチン株の新規開発を一層難しくなっている。一方、諸外国では、Jeryl-Lynn株ワクチン2回接種後の感染が問題となっており、不活化ワクチンの新規開発や曝露後接種の検討なども始まっており、日本と世界の現状は乖離しつつある。2020年1月の厚生科学審議会の評価小委員会では、ムンプスワクチンについて審議が行われたが、明確な方針決定には至らなかった6)。 参考となるサイトこどもとおとなのワクチンサイト1)おたふくかぜワクチンに関するファクトシート2)2015-2016年にかけて発症したムンプス難聴の大規模全国調査3)Cardemil CV, et al. N Engl J Med. 2017;377:947-956.4)予防接種制度の見直しについて(第二次提言)5)大日康史、他. ムンプスの疾病負担と定期接種化の費用対効果分析.厚生労働科学研究費補助金(新興・再興感染症研究事業)「水痘、流行性耳下腺炎、肺炎球菌による肺炎等の今後の感染症対策に必要な予防接種に関する研究(研究代表者:岡部信彦)」、平成15年度から平成17年度総合研究報告書.p144-154:2006.6)厚生科学審議会(予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会)第37回講師紹介

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COVID-19重症化への分かれ道、カギを握るのは「血管」

 COVID-19を巡っては、さまざまなエビデンスが日々蓄積されつつある。国内外における論文発表も膨大な数に上るが、時の検証を待つ猶予はなく、「現段階では」と前置きしつつ、その時点における最善策をトライアンドエラーで推し進めていくしかない。日本高血圧学会が8月29日に開催したwebシンポジウム「高血圧×COVID-19白熱みらい討論」では、高血圧治療に取り組むパネリストらが最新知見を踏まえた“new normal”の治療の在り方について活発な議論を交わした。高血圧はCOVID-19重症化リスク因子か パネリストの田中 正巳氏(慶應義塾大学医学部腎臓内分泌代謝内科)は、高血圧とCOVID-19 重篤化の関係について、米・中・伊から報告された計9本の研究論文のレビュー結果を紹介した。論文は、いずれも同国におけるCOVID-19患者と年齢を一致させた一般人口の高血圧有病率を比較したもの。それによると、重症例においては軽症例と比べて高血圧の有病率が高く、死亡例でも生存例と比べて有病率が高いとの報告が多かったという。ただし、検討した論文9本(すべて観察研究)のうち7本は単変量解析の結果であり、交絡因子で調整した多変量解析でもリスクと示されたのは2本に留まり、ほか2本では高血圧による重症化リスクは多変量解析で否定されている。田中氏は、「今回のレビューについて見るかぎりでは、高血圧がCOVID-19患者の重症化リスクであることを示す明確な疫学的エビデンスはないと結論される」と述べた。 一方で、米国疾病予防管理センター(CDC)が6月25日、COVID-19感染時の重症化リスクに関するガイドラインを更新し、高血圧が重症化リスクの一因であることが明示された。これについて、パネリストの浅山 敬氏(帝京大学医学部衛生学公衆衛生学講座)は、「ガイドラインを詳細に見ると、“mixed evidence(異なる結論を示す論文が混在)”とある。つまり、改訂の根拠となった文献は、いずれも高血圧の有病率を算出したり、その粗結果を統合(メタアナリシス)したりしているが、多変量解析で明らかに有意との報告はない」と説明。その上で、「現時点では高血圧そのものが重症化リスクを高めるというエビデンスは乏しい。ただし、高血圧患者には高齢者が多く、明らかなリスク因子を有する者も多い。そうした点で、高血圧患者には十分な注意が必要」と述べた。降圧薬は感染リスクを高めるのか 高血圧治療を行う上で、降圧薬(ACE阻害薬、ARB)の使用とCOVID-19との関係が注目されている。山本 浩一氏(大阪大学医学部老年・腎臓内科学)によれば、SARS-CoV-2は気道や腸管等のACE2発現細胞を介して生体内に侵入することが明らかになっている。山本氏は、「これまでの研究では、COVID-19の病態モデルにおいてACE2活性が低下し、RA系阻害薬がそれを回復させることが報告されている。ACE2の多面的作用に注目すべき」と述べた。これに関連し、パネリストの岸 拓弥氏(国際医療福祉大学大学院医学研究科)が国外の研究結果を紹介。それによると、イタリアの臨床研究1)ではRA系阻害薬を含むその他の降圧薬(Ca拮抗薬、β遮断薬、利尿薬全般)について、性別や年齢で調整しても大きな影響は見られないという。一方、ニューヨークからの報告2)でも同様に感染・重症化リスクを増悪させていない。岸氏は、「これらのエビデンスを踏まえると、現状の後ろ向き研究ではあるが、RA系阻害薬や降圧薬の使用は問題ない」との認識を示した。COVID-19重症化の陰に「血栓」の存在 パネリストの茂木 正樹氏(愛媛大学大学院医学系研究科薬理学)は、COVID-19が心血管系に及ぼす影響について解説した。COVID-19の主な合併症として挙げられるのは、静脈血栓症、急性虚血性障害、脳梗塞、心筋障害、川崎病様症候群、サイトカイン放出症候群などである。SARS-CoV-2はサイトカインストームにより炎症細胞の過活性化を起こし、正常な細胞への攻撃、さらには間接的に血管内皮を傷害する。ウイルスが直接内皮細胞に侵入し、内皮の炎症(線溶系低下、トロンビン産生増加)、アポトーシスにより血栓が誘導されると考えられる。また、SARS-CoV-2は血小板活性を増強することも報告されている。こうした要因が重ることで血栓が誘導され、虚血性臓器障害を起こすと考えられる。 さらに、SARS-CoV-2は直接心筋へ感染し、心筋炎を誘導する可能性や、免疫反応のひとつで、初期感染の封じ込めに役立つ血栓形成(immnothoronbosis)の制御不全による血管閉塞を生じさせる可能性があるという。とくに高血圧患者においては、血管内細胞のウイルスによる障害のほかに、ベースとして内皮細胞の障害がある場合があり、さらに血栓が誘導されやすいと考えられるという。茂木氏は、「もともと高血圧があり、血管年齢が高い場合には、ただでさえ血栓が起こりやすい。そこにウイルス感染があればリスクは高まる。もちろん、高血圧だけでなく動脈硬化がどれだけ進行しているかを調べることが肝要」と述べた。 パネリストの星出 聡氏(自治医科大学循環器内科)は、COVID-19によって引き起こされる心血管疾患の間接的要因に言及。自粛による活動度の低下、受診率の低下、治療の延期などにより、持病の悪化、院外死の増加、治療の遅れにつながっていると指摘。とくに高齢者が多い地域では、感染防止に対する意識が強く、自主的に外出を控えるようになっていた。その結果、血圧のコントロールが悪くなり、LVEFの保たれた心不全(HFpEF、LVEF 50%以上と定義)が増えたほか、血圧の薬を1日でも長く延ばそうと服用頻度を1日おきに減らしたことで血圧が上がり、脳卒中になったケースも少なくなかったという。星出氏は、「今後の心血管疾患治療を考えるうえで、日本においてはCOVID-19がもたらす間接的要因にどう対処するかが非常に大きな問題」と指摘した。

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第23回 実は病院経営に詳しい菅氏。総理大臣になったらグイグイ推し進めるだろうこと(前編)

「地方を大切にしたい」と菅官房長官こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。菅 義偉官房長官が自民党の総裁選に出馬することを正式に表明しました。記者会見では自らの叩き上げの人生(秋田の農家に生まれ、農業を継ぎたくなくて集団就職で上京、法政大学の夜間を卒業し、サラリーマンに…)について触れた後、「地方を大切にしたいという気持ちが脈々と流れており、活力ある地方をつくっていきたいとの思いを常に抱きながら政策を実行してきた」と語りました。次いで「私自身、国の基本というのは、自助、共助、公助であると思っております。自分でできることはまず自分でやってみる、そして、地域や自治体が助け合う。その上で、政府が責任をもって対応する」とも述べました。「自助、共助、公助」については菅氏の総裁選のキーワードのようで、9月5日に自身のブログで公表した政策の中でも「自助・共助・公助、そして絆」がスローガンに掲げられています。この記者会見を聞きながら、私は約40年前、仙台の大学に入った時の教養部のクラスオリエンテーションのことを思い出しました(東北新幹線開業前です)。右隣に秋田県の大館鳳鳴高校出身のS君が座っていました。彼が私に何か質問してくるのですが、何を言っているのかまったくわかりません。同じ東北弁でも県によって難易度が大きく異なり、秋田や青森は難しい部類に入ります。S君の話が普通に理解できるようになるのに数ヵ月かかりました(ちなみに私もS君たち東北人から「おめの名古屋弁もわがんね」とからかわれていました)。菅氏は秋田県の内陸、雄勝町(現在の湯沢市)出身とのことです。高校を出て上京(もちろん、東北新幹線も山形新幹線もない時代です)して直後は、おそらくコミュニケーションには相当苦労されたのではないでしょうか。上京後、半世紀を経ての、ほぼ訛りを感じさせない日々の会見は、ある意味、田舎から東京に出てきた東北人の意地を感じさせます。440公立・公的病院リストラリストの大元それはさておき、もし菅政権になったら、医療関係者はまずどんな政策を気にしなければならないでしょうか? 安倍政権の路線を踏襲した、「新型コロナウイルスの感染拡大防止と社会経済活動の両立を図る」方針については、「まあそうだろうなあ」と、とくに意外性はありません。では何か。第1に予想できるのは、「地方、都市部含めて、公立・公的病院の再編・統合が今まで以上に強硬かつ急速に進められるのではないか」ということです。なぜならば、菅氏こそが、今、全国各地で進められようとしている公立・公的病院改革の大元とも言える存在だからです。厚労省は昨年9月、急性期病床を持つ公立・公的病院のがん、心疾患などの診療実績を分析。全国と比較してとくに実績が少ないなどの424病院(2020年1月に約440病院に修正)のリストを公表し、全国の病院経営者や自治体の首長に大きな衝撃を与えました。この時、リスト公表とともに、急性期病床の規模縮小やリハビリ病床などへの転換などを含む地域の病院の再編・統合を各地で議論を行うことを要請し、今年9月までに結論を出すよう定めていました。「公立病院改革ガイドライン」を仕切った菅総務大臣このリストラリスト公表に至るきっかけとなったのが、2015年3月に出た「新公立病院改革ガイドライン」(平成27年3月31日 総財準第59号 総務省自治財政局長通知)です。「新」となっているのは、「旧」があるからです。最初の「公立病院改革ガイドライン」(平成19年12月24日 総財経第134号 総務省自治財政局長通知)が出されたのは2007年12月のことでした。2007年の旧ガイドラインは、2007年5月に開かれた経済財政諮問会議で菅総務大臣(第一次安倍内閣で初入閣)が公立病院改革に取り組むことを表明したことをきっかけに策定されました(12月の公表時は増田寛也総務大臣)。背景には医師不足や経営悪化にあえぐ公立病院がありました。なぜ、総務大臣が?と思われる方がいるかもしれませんが、公立病院は地方公共団体が経営する病院事業という位置づけであり、その管轄は厚生労働省ではなく、総務省の自治財政局準公営企業室だからです。「民間にできることは民間に」2007年の「旧ガイドライン」の大きなポイントは、公立病院の役割を「地域において提供されることが必要な医療のうち、採算性等の面から民間医療機関による提供が困難な医療を提供することにある」と定義、「民間にできることは民間に任せろ」としたことです。そのうえで「経営効率化」「再編・ネットワーク化」「経営形態見直し」の3つの柱を提示、病院を開設する地方公共団体に対して改革プランの策定を要請しました。この時は、「アメとムチ」とも言える政策も取られました。とくに、経営主体の統合や病床削減をするケースには、手厚い交付税措置が行われることになったため、苦境に陥っていた公立病院は、病院統合や病床削減を選択していきました。続く2015年の「新ガイドライン」では「旧ガイドライン」によっても進まなかった公立病院改革を、前述の3つの柱を維持しつつ、厚生労働省が主導する「地域医療構想」と連携させながら進めていくために策定されました。菅氏(この時は官房長官)がよく強調する「省庁の垣根を超えた政策」ということもできます。この「新ガイドライン」では、地方公共団体に新たに新公立病院改革プランの策定を求めるとともに、病院の再編・統合に当たっての都道府県の役割・責任の強化も行われています。なお、公立病院の改革プランと地域医療構想調整会議の合意事項との間に齟齬が生じた場合は改革プランの方を修正すること、となっており、地域医療構想の実現が最優先課題とされています。地域医療構想調整会議が各地で進んでいく中、「公立病院だけでなく公的病院も対象に加えろ」という議論の流れとなり、2018年6月には「経済財政運営と改革の基本方針2018」において「公立・公的病院については、地域の民間病院では担うことのできない高度急性期・急性期医療や不採算部門、過疎地等の医療等に重点化するよう医療機能を見直し、これを達成するために再編・統合の議論を進める」と明記されました。そして、1年3ヵ月後の2019年9月に424病院のリスト公表に至ったわけです。ちなみに公的病院とは、日赤・済生会・厚生連が開設する病院や、独立行政法人国立病院機構、独立行政法人地域医療機能推進機構などの公的法人が開設する病院などのことです。再編・統合についての報告期限は延期にところで、厚生労働省は8月31日、「具体的対応方針の再検証等の期限について」と題する医政局長通知(医政発0831第3号)を各都道府県知事に発出、今年9月末までに結論を出すよう定めていた全国約440の公立・公的病院を対象とする再編・統合について、都道府県から国への報告期限を今年10月以降に延期することを通知しました。新型コロナウイルス感染症の影響で議論が進んでいないことや、7月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2020」に「感染症への対応の視点も含めて、質が高く効率的で持続可能な医療提供体制の整備を進めるため、可能な限り早期に工程の具体化を図る」と、今後の再編・統合を考えるうえで「感染症への対応」を盛り込むことが明記されたことなどが理由と見られます。徹底的に効率化してなんとか生きながらえさせるこうした延期で、ひとまずほっとした病院や自治体も多いと思いますが、新しい総理大臣からどのような指示が飛ぶかが注目されます。菅氏は9月2日、異次元金融緩和に関して聞かれた際に「地方の銀行は将来的に多すぎる。再編も1つの選択肢になる」と語り、9月5日の日本経済新聞のインタビューに対しては、中小企業について「足腰を強くしないと立ちゆかなくなってしまう。中小の再編を必要であればできるような形にしたい」とこちらも統合・再編を促進する考えを述べています。これらは、公立・公的病院改革と全く同じロジックだと言えます。こう見てくると、菅氏が出馬会見で語った「地方を大切にしたいという気持ち」とは、「地方を今までのままで大切にしていく」ことではなく、地方のあらゆるリソースを「徹底的に効率化してなんとか生きながらえさせる」ことだということがわかります。病院経営者や自治体の首長も、そのことはしっかりと頭に入れておいた方がよさそうです。新政権が第2に進めるであろうことですが、今回は長くなり過ぎましたので、来週にもう少し考えてみたいと思います(この項続く)。

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第28回 おいしいお米が地域一体型NSTの落とし穴【噂の狭研ラヂオ】

動画解説ほし薬局の星利佳先生が実現させたいのは地域一体型NST(栄養サポートチーム)。患者さんが退院して自宅に戻ると、どうしても栄養不足になってしまう。星先生曰く、山形のお米が美味しいのでついついどんぶり飯でお腹を満たしてしまいがちなのだとか。せめて卵と納豆を食べさせよう!他職種チームのチャレンジについてお聞きします。

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オンライン服薬指導の実態 初診で麻薬のNG処方も【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第53回

2月末に発出された事務連絡「新型コロナウイルス感染症患者の増加に際しての電話や情報通信機器を用いた診療や処方箋の取扱いについて」により、いわゆるオンライン服薬指導が可能になってから半年が経過しました。4月には特例措置で初診でのオンライン診療が可能になるなど目まぐるしい変化がある日々でしたが、先日、4~6月のオンライン診療および服薬指導に関する運用実績が報告されました。厚生労働省は8月6日、新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえたオンライン診療・服薬指導に関する特例措置について、現在の運用実績を「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」に報告した。5~6月のオンライン服薬指導の件数は6万8,849件で、全体の0.51%となり、最大処方日数は22~30日が3万580件で最多となった。診療では、初診から麻薬、向精神薬を処方したケースが見られたものの、現在の感染状況を考慮し、特例措置を継続することを決めた。(2020年8月17日付 薬事日報)報告を見てみますと、オンライン診療の受診者の年齢は0~10歳が全体の約30%と最も多く、50歳以下が大多数を占めています。一方、61~70歳が約4%、71~80歳が約3%という結果でした。慢性疾患の症状が安定していて、感染リスクが高い高齢者ほど利用してほしいシステムですが、「オンライン」というものはやはり高齢者にはハードルが高いものなのだと実感しました。さらに、電話・情報通信機器による服薬指導の実施割合については、全処方箋枚数のうち、5月は0.61%、6月は0.37%で、その98%が過去にもその薬局を利用している患者さんでした。悩みのタネであった薬剤の配送方法については、配送業者を利用したケースが90%近くを占めていました。薬局の立地にもよりますが、薬剤師や薬局スタッフによる手渡しのリスクや手間を考えると、思い切って配送業者を利用するほうが感染リスクも抑えられて合理的だという判断なのでしょう。特例措置は当面継続特例措置では、初診において「麻薬および向精神薬の処方をしてはならない」と明記されていますが、麻薬および向精神薬が処方されている事例が18件報告されています。安全管理が必要な抗がん薬、免疫抑制薬などのいわゆる「ハイリスク薬」の処方については、診療録などにより当該患者の基礎疾患の情報を把握することが条件となっていましたが、これらの情報の把握ができないにもかかわらず処方されていたケースも確認されています。4月10日付事務連絡において、「原則として3か月ごとに、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の状況や、本事務連絡による医療機関および薬局における対応の実用性と実効性確保の観点、医療安全等の観点から改善のために検証を行うこととする」とあり、上記のような特例措置の要件を順守しない処方については指導を行うよう都道府県に依頼したとあります。オンライン診療・服薬指導の特例措置は当面このまま継続されるようですが、3ヵ月後の11月ごろにまた継続するかどうかの判断が行われるはずですので、医療機関への受診を敬遠する患者さんであっても安心・安全に治療できるように体制を整えたいものです。

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事例009 同一日院内処方 + 院外処方の査定【斬らレセプト シーズン2】

解説事例の患者は、熱発をみとめ、早朝時間外の救急外来を受診し、いったん帰宅。同日の時間内に再受診をしていました。時間外では院内調剤にて1日分の処方があり、時間内では院外処方箋にて時間外と同一薬剤を4日分投与されていました。このうち、院内調剤に係る手技料一式が事由B「医学的に過剰・重複と認められるものをさす」の「重複」として査定になったものです。院外処方箋の発行と院内調剤の同時併用、または同日併用は、2以上の診療科で異なる医師が処方した場合を除き、原則算定は認められません。やむを得ない場合には、その理由と日付をレセプトに補記して併用することができます。この場合は、院外薬局との関連性を明確にするため、院外処方箋を優先させて算定します。なぜならば、処方箋料には調剤料、処方料、調剤技術基本料が含まれており、重複算定はできないとされているからです。したがって、同日の院内調剤分の薬剤料のみを算定します。今回は、救急診療科と内科の両受診であったことで、異なる診療科であれば両方が算定できるものとして保険請求されたものです。しかしながら、病名が同じであり、処方内容に同一薬剤が含まれていたために、一連の診療とみなされて査定されたものと考えられます。レセプトチェックシステムのアラートに見直しをかけて防止策としています。

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高齢の早期乳がん、術後放射線療法は省略可能か?

 高齢の早期乳がん患者において、乳房温存手術後の放射線療法が省略可能かについては議論がある。米国・ヴァンダービルト大学医療センターのFei Wang氏らは、70歳以上の乳がん患者11万例以上のデータを解析し、放射線療法実施の有無による生存への影響を評価した。International Journal of Cancer誌オンライン版2020年8月24日号に掲載の報告より。高齢の早期乳がん患者の放射線療法の省略は死亡率の増加と関連 対象は米国国立がんデータベースに登録され、2004~2014年に乳房温存手術を受けた、70歳以上、T1-2N0-1M0の女性乳がん患者。多変量Cox比例ハザードモデルを使用して、3、5、10年時の死亡率と乳房温存手術後の放射線療法との関連についてハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)を推定した。 70歳以上の高齢女性乳がん患者の死亡率と乳房温存手術後の放射線療法との関連を評価した主な結果は以下のとおり。・11万5,516例のデータが分析された。・乳房温存手術後に放射線療法を受けなかった患者は、放射線療法を受けた患者よりも死亡率が高く(5年生存率:71.2% vs.83.8%)、3年死亡率の多変量補正後ハザード比(HR)は1.65(95%信頼区間[CI]:1.57~1.72)、 5年死亡率のHRは1.53(1.47~1.58)、10年死亡率のHRは1.43(1.39~1.48)であった。・この関連は、内分泌療法または化学療法の有無、期間やその他の臨床的特徴によるすべての層別化分析において、また90歳以上の患者においても観察され、放射線療法を行わない患者の5年死亡率は40~65%増加した。・内分泌療法を受けたT1N0およびエストロゲン受容体陽性の患者に限定した傾向スコア層別化分析においても、この正の関連性が持続した(5年死亡率のHR:1.47 [1.39~1.57])。 著者らは、本研究ではT1N0およびエストロゲン受容体陽性の患者においても、放射線療法の省略は死亡率の増加と関連したとし、乳房温存手術後の放射線療法の省略は普遍的な実践とはなりえないのではないかとまとめている。

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カナグリフロジンの下肢切断リスク、65歳以上CVD患者で増大/BMJ

 SGLT2阻害薬カナグリフロジンの下肢切断リスクについて、心血管疾患のある65歳以上において最も明白な増大が認められること、追加有害アウトカムの発生に関する必要治療数(NNT)は6ヵ月で556例(切断例はカナグリフロジン投与1万例当たり18例超)であることが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院・ハーバード大学医学大学院のMichael Fralick氏らによる検討で明らかにされた。GLP-1受容体作動薬投与群と比較した下肢切断リスクは1.73倍で、発生率の差は1,000人年当たり3.66であったという。先行研究のカナグリフロジンの心血管アウトカムを検討した試験「CANVAS試験」では、カナグリフロジン群がプラセボ群よりも下肢切断リスクが2倍近く高いことが確認されており、同試験対象者が従前試験よりも10歳以上高齢であったこと、またベースラインの心血管リスクが高かったことから、切断リスクの上昇は限定される可能性が示唆されていた。著者は、「今回の結果は、日常的ケアにおけるカナグリフロジン投与の、切断リスクを明らかにするものである」と述べている。BMJ誌2020年8月25日号掲載の報告。カナグリフロジンによる下肢切断リスクをCVDの有無と65歳以上・未満で検証 研究グループは、新たにカナグリフロジンを投与された成人における、年齢および心血管疾患別にみた下肢切断率を推算する住民ベースのコホート試験を行った。 2013~17年の、米国の2つの民間の保険請求データベース(MarketScan、Optum)とメディケア保険請求データベースを基に、新たにカナグリフロジンを処方された患者を抽出し、1対1の割合の傾向スコアマッチングで抽出したGLP-1受容体作動薬を新たに処方された患者と、下肢切断術の発生について比較した。 被験者を以下の4グループに分類し、下肢切断率についてハザード比(HR)と1,000人年当たりの率差を算出。(1)ベースラインで心血管疾患のない65歳未満、(2)ベースラインで心血管疾患のあった65歳未満、(3)ベースラインで心血管疾患のない65歳以上、(4)ベースラインで心血管疾患のあった65歳以上。 メタ解析にて、各グループの統合HRと1,000人年当たりの率差を求め評価した。カナグリフロジン群の下肢切断に関するHRは65歳以上CVD患者で有意差 3つのデータベースから傾向スコアマッチングで、新規のカナグリフロジン処方群または新規のGLP-1受容体作動薬処方群31万840例を抽出し、解析を行った。 カナグリフロジン群のGLP-1受容体作動薬群に対する、下肢切断に関するHRおよび1,000人年当たり率差は、グループ(4)「ベースラインで心血管疾患のあった65歳以上」で、HRが1.73(95%信頼区間[CI]:1.30~2.29)、率差3.66(同:1.74~5.59)と、いずれも有意差が認められた。 一方、その他のグループでは有意差は認められなかった。グループ(1)のHRは1.09(95%CI:0.83~1.43)、率差0.12(同:-0.31~0.55)、グループ(2)はそれぞれ1.18(0.86~1.62)と1.06(-1.77~3.89)、グループ(3)はそれぞれ1.30(0.52~3.26)と0.47(-0.73~1.67)であった。

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フロセミドによるK値低下 カリウム追加ではなく抜本的な解決を提案【うまくいく!処方提案プラクティス】第26回

 今回は、フロセミド服用中に血清カリウム値が低下した症例です。フロセミドなどのループ利尿薬は、作用機序由来の低カリウム血症を来しやすいため、カリウム値の補正のためにカリウム製剤が追加されることがあります。今回は、カリウム製剤の追加ではなく、原因となるループ利尿薬そのものを変更することでカリウム値の改善ができたケースを紹介します。患者情報70歳、男性(施設入居)基礎疾患高血圧症、糖尿病、慢性心不全(HFpEF)、心房細動、認知症既往歴50歳時に心筋梗塞のため左前下行枝(LAD)にステント留置副作用歴スピロノラクトンが女性化乳房による乳房痛で服用中止訪問診療の間隔2週間に1回服薬管理介護士が管理処方内容1.ベニジピン錠4mg 1錠 分1 朝食後2.カンデサルタン錠8mg 1錠 分1 朝食後3.テネリグリプチン錠20mg 1錠 分1 朝食後4.グリメピリド錠0.5mg 1錠 分1 朝食後5.フロセミド錠20mg 1錠 分1 朝食後6.エドキサバン錠30mg 1錠 分1 朝食後7.カルベジロール錠2.5mg 2錠 分2 朝夕食後8.ピタバスタチン錠2mg 1錠 分1 夕食後9.センノシド錠12mg 2錠 分1 夕食後本症例のポイントこの患者さんは、複数の基礎疾患に加え、慢性心不全を患っていました。認知症もあったため自宅での生活が困難となり、施設に入居して3年目です。2週間に1回の訪問診療で体調確認を行い、半年に1回血液検査を行っていました。訪問診療に同行した際に、医師より「筋力低下やふらつきなどの自覚症状の訴えはないが、利尿薬の影響もあってカリウム値が3.8mg/dLから3.3mg/dLに下がってきている。アスパラカリウム錠300mgを3錠 分3 毎食後で補正するのはどうか?」と相談がありました。そこで、いくつか考えるポイントがあったので整理することにしました。フロセミドの治療効果と代替薬の服薬負担を検討患者さんは、慢性心不全によるうっ血症状の浮腫を改善する目的でフロセミド錠を長期服用していました。低カリウム血症をこのままにした場合、不整脈などから心不全悪化の引き金になりかねないので、カリウムの補正は必須です。しかし、カリウム製剤は分3投与になるため患者さんの服薬負担が増すことから避けたいと考えました。また、フロセミド錠は作用時間が短く、バイオアベイラビリティ(生物学的利用能)も約50%と低いことから、利尿薬治療抵抗性などにつながると指摘されていることも気掛かりでした。そこで、同系統のループ利尿薬のトラセミド錠への変更を検討しました。トラセミド錠は、抗アルドステロン作用によるカリウム保持性があり、バイオアベイラビリティも外国人データで79~91%と高いため、長期的に服用しても安定感があると考えました。カリウム製剤を追加するのではなく、フロセミド錠をトラセミド錠に変更することでカリウムの補正にもつながります。なお、別の案としては、カリウム製剤ではなく、選択的アルドステロンブロッカーのエプレレノン錠を追加する方法もありましたが、今回は服用錠数を増やすことなく治療効果を維持することを優先して、トラセミド錠への変更を提案することにしました。処方提案と経過医師へカリウム製剤の追加投与ではなく、フロセミド錠からトラセミド錠への変更をすることでカリウムの補正が可能になることを提案しました。服用錠数や用法を変えずに対応できることが医師に評価され、2週間後に採血でモニタリングしてみようと処方提案が採用されました。フロセミド錠からトラセミド錠への変更後、下腿浮腫の増悪やうっ血症状の増悪はなく経過し、4週間後の採血結果は血清カリウム値が3.6mg/dLと補正されました。その後も電解質異常やうっ血症状の出現はなく経過しています。フロセミド錠10mg/20mg/40mg インタビューフォームトラセミド錠4mg/8mg インタビューフォーム

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「がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン」6年ぶりの改訂

 『がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン2020年版』が7月22日に発刊された。今回の改訂は2014年版が発刊されてから6年ぶりで、ヒドロモルフォン(商品名:ナルサスほか)、トラマドール塩酸塩の徐放性製剤(商品名:ワントラム)などの新規薬物の発売や新たなエビデンスの公表、ガイドライン(GL)の作成方法の変更などがきっかけとなった。本書の冒頭では日本緩和医療学会理事長の木澤 義之氏が、「分子標的薬ならびに免疫チェックポイント阻害薬をはじめとするがん薬物療法が目覚ましい発展を遂げていることなどを踏まえて改訂した」と述べている。 がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン2020年版の主な改訂点については、8月9日~10日にWeb開催された「緩和・支持・心のケア 合同学術大会」での教育講演「『がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン(2020年版)』の概要」でも発表され、馬渡 弘典氏(横浜南共済病院 緩和支持療法科)が解説した。がん疼痛の薬物療法に関するガイドラインとして必要な情報に絞る まず、がん疼痛の薬物療法に関するガイドラインの改訂版は作成方法の変更により計325ページから185ページへと大幅にボリュームダウン。大幅に絞られた臨床疑問は65項目から28項目に絞られ、Appendixには委員会で討論したが根拠が乏しく解説文に記載しなかったこと、現場の臨床疑問・現在までの研究と今後の検討課題が記載された。以前まで取り上げられていた「麻薬に関する法的・制度的知識」「がん疼痛マネジメントを改善するための組織的な取り組み」「薬物療法以外の痛み治療法(放射線療法、神経ブロック、骨セメント)」はがん疼痛の薬物療法に関するガイドラインの枠組みでは扱いづらくなったとのことで2020年版では割愛されたが、「大切な事項なので書籍などで確認を」と述べた。2020年版では突出痛の定義が近年の考えを加味して変更された 馬渡氏はがん疼痛の薬物療法に関するガイドライン2020年版を作成する際に生じたエビデンスと推奨のギャップについて解説した上で、疼痛強度に応じた鎮痛薬の使用方法を説明した。まず、中等~高度のがん疼痛についてはCQ3~7*を示し、「中等~高度の疼痛がある患者に対して、強オピオイド間の優劣については今回のシステマティックレビューでは認められなかったため、本ガイドラインではどの薬剤を選択しても良いと結論付けられている」と説明。CQ6(がん疼痛のある患者に対して、フェンタニルの投与は推奨されるか?)については、今年6月末にフェンタニルの貼付剤(商品名:フェントステープ)がオピオイド鎮痛剤未使用のがん疼痛患者へ適応となったことにも触れた。また、それ以前に決定稿になったことを断ったうえで、フェンタニルによる初回投与は、『投与後に傾眠、呼吸抑制の重篤な有害作用の有無を継続して観察出来るとき』の条件付き推奨となったことを述べた。さらに、「添付文書にも 増量時の注意事項が書かれているので、注意して経過観察してほしい」と述べた。*CQ3~7は、「がん疼痛のある患者に対して、各薬剤(モルヒネ、ヒドロモルフォン、オキシコドン、フェンタニル、タペンタドール)の投与は推奨されるか?」について記載。 次に、2018年のWHOのガイドライン改訂で、3段階ラダーの表現が本文から付録に相当するANNEXに移ったが、がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン2020年版でも中等度のがん疼痛では「強い推奨が弱オピオイドから強オピオイドに変更された」点について説明。CQ8(がん疼痛のある患者に対して、コデインの投与は推奨されるか?)やCQ9(がん疼痛のある患者に対して、トラマドールの投与は推奨されるか?)、CQ23(がん疼痛のある患者に対して、初回投与のオピオイドは、強オピオイドと弱オピオイドのどちらが推奨されるか?)の内容に反映されている。 突出痛については、「突出痛の定義は国際的に決まったものはないが、『持続痛の有無や程度、鎮痛薬治療の有無にかかわらず発生する一過性の痛みの増強』から『定期的に投与されている鎮痛薬で持続痛が良好にコントロールされている場合に生じる、短時間で悪化し自然消失する一過性の痛み』へと、近年の考えを加味して変更された」と解説した。また、がん疼痛の薬物療法に関するガイドラインにおける突出痛に投与するオピオイドの薬剤の用語の統一についても触れ、総称区分を以下のように示した。●速放性製剤:経口モルヒネ、ヒドロモルフォン、オキシコドンなど●経粘膜性フェンタニル:フェンタニル口腔粘膜吸収製剤●レスキュー薬:突出痛に投与するオピオイドの経口薬、注射剤、坐剤すべてがん疼痛の薬物療法に関するガイドライン2020年版の変更点 このほか、がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン2020年版の変更点として、腎機能低下時の投与や便秘時について解説。CQ17(オピオイドが原因で、便秘のあるがん患者に対して、下剤、その他の便秘治療薬の投与は推奨されるか?)やCQ22(がん疼痛のある、高度の腎機能障害患者に対して、特定のオピオイドの投与は推奨されるか?)を示し、「高度の腎機能障害患者にフェンタニルやブプレノルフィンの“注射剤”を推奨していること。コデイン、モルヒネを投与する場合は短期間で少量から投与すること。軽度から中等度の腎障害では減量すればどのオピオイドも投与可能。ただし、ブプレノルフィンは高度の腎機能障害がある時や、ほかの強オピオイドが投与できない時に限定する」と述べた。<今回からがん疼痛の薬物療法に関するガイドラインに追加された主な新規薬剤>・ヒドロモルフォン(商品名:ナルサス、ナルラピド、ナルペイン)・オキシコドン塩酸塩水和物徐放錠(同:オキシコンチンTR錠)[オキシコンチン錠の販売中止に伴う]・トラマドール塩酸塩(同:トラマールOD錠、ワントラム)とアセトアミノフェン配合剤(同:トラムセット)[カプセル剤の販売中止に伴う]・ミロガバリン(同:タリージェ)・ナルデメジン(同:スインプロイク)とその他の便秘治療薬(ポリエチレングリコール製剤、リナクロチド[同:リンゼス]、エロピキシバット[同:グーフィス])<がん疼痛の薬物療法に関するガイドラインから削除された主な薬剤>・モルヒネ製剤の一部(同:カディアン、ピーガード)・エプタゾシン(同:セダペイン)、ジヒドロコデインリン酸塩(同:リン酸ジヒドロコデイン)、ペチジン塩酸塩(同:ペチジン塩酸塩「タケダ」) 今後の予定として、同氏は2020年版のガイドライン作成過程で用いた各種のテンプレートを掲載した詳細資料を作成し、『本ガイドライン作成の経過やより詳細な内容を知りたい読者がインターネット上で閲覧できるようにする』『CQ、ステートメントを英文化し、国際紙に掲載する』などを掲げた。また日本緩和医療学会より一般市民向けに2017年に出版されている「患者さんと家族のためのがんの痛み治療ガイド 増補版」も改訂が必要とされれば速やかに改訂を行うこととすると述べ、「教科書などとうまく使い分けて役立ててもらえれば」と締めくくった。

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1日1回で空腹時血糖と食後血糖の両方を改善する「ソリクア配合注ソロスター」【下平博士のDIノート】第57回

1日1回で空腹時血糖と食後血糖の両方を改善する「ソリクア配合注ソロスター」今回は、持効型溶解インスリンアナログ製剤/GLP-1受容体作動薬「インスリン グラルギン/リキシセナチド配合製剤(商品名:ソリクア配合注ソロスター、製造販売元:サノフィ)」を紹介します。本剤は、1日1回の投与で空腹時血糖と食後血糖を同時に改善することで、より良い血糖コントロールを得ることが期待されています。<効能・効果>本剤は、インスリン療法が適応となる2型糖尿病の適応で、2020年3月25日に承認され、2020年6月8日より発売されています。<用法・用量>通常、成人には、5~20ドーズ(インスリン グラルギン/リキシセナチドとして5~20単位/5~20μg)を1日1回朝食前に皮下注射します。1日1回5~10ドーズから開始し、患者の状態に応じて増減できますが、1日20ドーズを超えることはできません。<安全性>日本人2型糖尿病患者を対象に実施された国内第III相試験では、主な副作用として、悪心(5%以上)、腹部不快感、下痢、嘔吐、消化不良、便秘、胃腸炎、食欲不振、めまい、振戦、注射部位反応(内出血、紅斑、浮腫、そう痒など)、疲労(いずれも1~5%未満)、腹部膨満、腹痛、多汗症、傾眠、倦怠感、空腹感(いずれも1%未満)が認められています(承認時)。なお、重大な副作用として、低血糖、急性膵炎、ショック、アナフィラキシーが発現する恐れがあります。<患者さんへの指導例>1.この薬には、空腹時血糖を調節する成分と、食後血糖を調節する成分の2種類が配合されていて、1日1回の注射で血糖コントロールを改善します。2.めまいやふらつき、動悸、冷や汗などの低血糖症状を起こすことがあるので、高所作業、自動車の運転など危険を伴う作業を行う際は注意してください。これらの症状が認められた場合は、ただちに糖質を含む食品を摂取してください。3.嘔吐を伴う持続的な激しい腹痛が現れた場合は、使用を中止し、速やかに医師の診断を受けてください。4.未使用の薬剤は冷蔵庫内に保管してください。凍結すると使用できなくなるので、直接冷気に触れないように注意してください。なお、旅行などに出掛ける場合、短期間であれば室温に置いても差し支えありません。5.使用開始後は冷蔵庫に入れず、キャップをしっかり閉めて涼しいところに保管してください。直射日光の当たるところや自動車内などの高温になる恐れのあるところには置かないでください。6.使用開始後31日を超えたものは使用しないでください。<Shimo's eyes>本剤は、持効型インスリン製剤とGLP-1受容体作動薬の配合皮下注射製剤で、インスリン デグルデク/リラグルチド(商品名:ゾルトファイ配合注フレックスタッチ)に次ぐ国内2剤目の薬剤です。インスリン グラルギン(同:ランタス)とリキシセナチド(同:リキスミア)が日本独自の配合比である1単位:1μgで配合されていて、デバイスにはプレフィルドペン型注入器「ソロスター」が採用されています。主に空腹時の血糖コントロールを改善する持効型インスリン製剤も、主に食後の血糖コントロールを改善するGLP-1受容体作動薬も国内外で広く使われていますが、持効型インスリン製剤は低血糖および体重増加に注意が必要で、GLP-1受容体作動薬は胃腸障害に注意が必要です。本剤は、国内第III相試験で、空腹時血糖と食後血糖のいずれも改善し、インスリン グラルギン単剤と比較して、低血糖と体重増加のリスクを増やさずに統計学的に有意なHbA1cの低下を示しました。また、安全性に関しても、各配合成分の既知の安全性プロファイルと同等であることが確認され、リキシセナチドと比較して、胃腸障害の副作用リスクを低減しました。持効型インスリン製剤とGLP-1受容体作動薬を組み合わせた治療法は「BPT(Basal supported post Prandial GLP-1 Therapy)」と呼ばれています。本剤を用いることで、経口糖尿病薬が効果不十分で新しく注射薬を導入する場合や、ほかの注射薬から切り替える場合などに、1日1回の投与でBPTが可能となります。なお、DPP-4阻害薬はGLP-1受容体を介した血糖降下作用を有するため、本剤と併用する場合は疑義照会が必要です。参考1)PMDA 添付文書 ソリクア配合注ソロスター

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早期乳がんの放射線療法による長期予後、術中vs.術後外来/BMJ

 早期乳がん患者において、乳房温存手術(乳腺腫瘍摘出術)と併せて行う術中放射線療法(TARGIT-IORT)は、術後全乳房外部放射線療法(EBRT)に代わる有効な放射線療法であることが示された。長期のがん抑制効果はEBRTに引けを取らないものであり、一方で非乳がん死亡率は低かった。英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのJayant S. Vaidya氏らによる無作為化試験「TARGIT-A試験」の結果で、本試験の早期結果においては、TARGIT-IORTの利点として通院頻度が少なく済むこと、QOLの改善、副作用が少ないことなどが示されていた。結果を踏まえて著者は、「乳房温存手術が予定されている場合、適格患者とTARGIT-IORTについて話をすべきであろう」と提言している。BMJ誌2020年8月19日号掲載の報告。早期乳がん2,298例をTARGIT-IORTとEBRTに無作為割り付け 研究グループは、TARGIT-IORTの有効性がEBRTに代わりうるものかを調べる前向き非盲検無作為化試験を行った。英国、欧州、オーストラリア、米国、カナダの10ヵ国32センターで、3.5cm以下、cN0-N1の浸潤性乳管がんである45歳以上の女性患者2,298例を登録し、乳房温存療法の適格性を検討した後、術前に無作為化を行い(中央でブロック層別化)、TARGIT-IORTまたはEBRTに1対1の割合で割り付けた。 EBRT群には全乳房への標準的な分割照射コース(3~6週間)が行われた。TARGIT-IORT群には同一麻酔下で乳腺腫瘍摘出後ただちに照射が行われ、ほとんどの患者(約80%)は1回のみの照射だった。なお、術後の組織病理学的検査で高リスク因子が疑われる所見が認められた場合は、EBRTの追加照射が行われた(約20%)。 主要評価項目は、5年局所再発率(両群間の絶対差の非劣性マージン2.5%以内と定義)と長期生存アウトカムであった。5年局所再発率の差は1.16%、その他要因の死亡率はTARGIT-IORT群が有意に低値 2000年3月24日~2012年6月25日に、1,140例がTARGIT-IORT群に、1,158例がEBRT群に無作為に割り付けられた。5年完遂フォローアップ時の局所再発リスクは、EBRT群0.95%に対し、TARGIT-IORT群2.11%で、TARGIT-IORTのEBRTに対する非劣性が示された(群間差:1.16%、90%信頼区間[CI]:0.32~1.99)。 最初の5年間で、TARGIT-IORTはEBRTよりも局所再発が13例多く報告された(24/1,140例vs.11/1,158例)が、死亡は14例少なかった(42/1,140例vs.56/1,158例)。 長期追跡(中央値8.6年、最長18.90年、四分位範囲:7.0~10.6)では、局所無再発生存について、統計学的に有意差はみられなかった(ハザード比[HR]:1.13、95%CI:0.91~1.41、p=0.28)。また、乳房温存生存(0.96、0.78~1.19、p=0.74)、遠隔無病生存(0.88、0.69~1.12、p=0.30)、全生存(0.82、0.63~1.05、p=0.13)、および乳がん死亡率(1.12、0.78~1.60、p=0.54)でも有意差は認められなかったが、その他の死因による死亡率はTARGIT-IORT群で有意に低かった(0.59、0.40~0.86、p=0.005)。

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がん治療で心疾患リスクを伴う患者の実態と対策法/日本循環器学会

 第84回日本循環器学会学術集会(2020年7月27日~8月2日)で佐瀬 一洋氏(順天堂大学大学院臨床薬理学 教授/早稲田大学医療レギュラトリーサイエンス研究所)が「腫瘍循環器診療の拡がりとCardio-Oncology Rehabilitation(CORE)」について発表。がんを克服した患者の心血管疾患発症リスクやその予防策について講演した。循環器医がおさえておくべき、がん治療の新たなる概念-サバイバーシップ がん医療の進歩により、がんは不治の病ではなくなりつつある。言い換えるとがん治療の進歩により生命予後が伸びる患者、がんサバイバーが増えているのである。とくに米国ではがんサバイバーの急激な増加が大きな社会問題となっており、2015年時点で1,500万人だった患者は、今後10年でさらに1,000万人の増加が見込まれる。 たとえば小児がんサバイバーの長期予後調査1)では、がん化学療法により悪性リンパ腫を克服したものの、その副作用が原因とされる虚血性心疾患(CAD)や慢性心不全(CHF)を発症して死亡に繋がるなどの心血管疾患が問題として浮き彫りとなった。成人がんサバイバーでも同様の件が問題視されており、長期予後と循環器疾患に関する論文2)によると、乳がん患者の長期予後は大幅に改善したものの「心血管疾患による死亡はその他リスク因子の2倍以上である。乳がん診断時の年齢が66歳未満では乳がんによる累計死亡割合が高かった一方で、66歳以上では心血管疾患(CVD)による死亡割合が増加3)し、循環器疾患の既往があると累計死亡割合はがんとCVDが逆転した」と佐瀬氏はコメントした。心疾患に影響するがん治療を理解する この逆転現象はがん治療関連心血管疾患(CTRCD:Cancer Therapeutics-Related Cardiac Dysfunction)が原因とされ、このような患者は治療薬などが原因で心血管疾患リスクが高くなるため、がんサバイバーのなかでも発症予防のリハビリなどを必要とする。同氏は「がん治療により生命予後が良くなるだけではなく、その後のサバイバーシップに対する循環器ケアの重要性が明らかになってきた」と話し、がんサバイバーに影響を及ぼす心毒性を有する薬を以下のように挙げた。●アントラサイクリン系:蓄積毒性があるため、生涯投与量が体表面積あたり400mg/m2を超えるあたりから指数関数的にCHFリスクが上昇する●分子標的薬:HER2阻害薬はアントラサイクリン系と同時投与することで相乗的に心機能へ影響するため、逐次投与が必要。チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)は世代が新しくなるにつれ血栓症リスクが問題となる●免疫チェックポイント阻害薬:PD-1阻害薬とCTLA-4阻害薬併用による劇症心筋炎の死亡報告4)が報告されている これまでのガイドラインでは、薬剤の影響について各診療科での統一感のなさが問題だったが、2017年のASCOで発表された論文5)を機に変革を迎えつつある。心不全の場合、日本循環器学会が発刊する『腫瘍循環器系の指針および診療ガイドライン』において、がん治療の開始前に危険因子(Stage A)を同定する、ハイリスク患者とハイリスク治療ではバイオマーカーや画像診断で無症候性心機能障害(Stage B)を早期発見・治療する、症候性心不全(Stage C/D)はGLに従って対応するなど整備がされつつある。しかしながら、プロテアソーム阻害薬や免疫チェックポイント阻害薬のような新規薬剤は未対応であり、今後の課題として残されている。循環器医からがんサバイバーへのアプローチが鍵 がん治療が心機能へ影響する限り、これからの循環器医は従来型の虚血性心疾患と並行して新しい危険因子CTRCDを確認するため「がん治療の既往について問診しなければならない」とし、「患者に何かが起こってから対処するのではなく腫瘍科医と連携する体制が必要。そこでCardio-Oncologyが重要性を増している」と述べた。 最後に、Cardio-Oncologyを発展させていくため「病院内でのチームとしてなのか、腫瘍-循環器外来としてなのか、資源が足りない地域では医療連携として行っていくのか、状況に応じた連携の進め方が重要。循環器疾患がボトルネックとなり、がん治療を経た患者については、腫瘍科医からプライマリケア医への引き継ぎ、もしくは心血管疾患リスクが高まると予想される症例は循環器医が引き継いでケアを行っていくことが求められる。これからの循環器医にはがんサバイバーやCTRCDに対するCORE6)を含めた対応が期待されている」と締めくくった。■参考1)Armstrong G, et al. N Engl J Med. 2016;374:833-842.2)Ptnaik JL, et al. Breast Cancer Res. 2011 Jun 20;13:R64.3)Abdel-Qadir H, et al. JAMA Cardiol. 2017;2:88-93.4)Johnson DB, et al. N Engl J Med. 2016;375:1749-1755.5)Almenian SH, et al. J Clin Oncol. 2017;35:893-911.6)Sase K, et al. J Cardiol.2020 Jul 28;S0914-5087(20)30255-0.日本循環器学会:心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン(2012年改訂版)

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