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維持期双極性障害に対する薬物療法~ネットワークメタ解析

 藤田医科大学の岸 太郎氏らは、維持期の双極性障害患者に対する薬物療法において、どの抗精神病薬および/または気分安定薬が優れているかを調査した。Molecular Psychiatry誌オンライン版2020年11月11日号の報告。 2020年5月22日までに公表された研究を、Embase、PubMed、CENTRALより検索した。2つのカテゴリーにおけるネットワークメタ解析を実施した。カテゴリー1には、単剤療法の研究および2種類の使用薬剤が特定された研究を含めた。カテゴリー2には、リチウム(LIT)またはバルプロ酸(VAL)と第2世代抗精神病薬(SGA:アリピプラゾール、ルラシドン、オランザピン、クエチアピン、ziprasidone)を併用し、プラセボ+LIT/VALと比較した研究を含めた。主要アウトカムは、いずれかの気分エピソードの再発再燃率とした。その他のアウトカムは、うつ病エピソードおよび躁病/軽躁病/混合エピソードの再発再燃率、中止率、死亡率、各有害事象とした。リスク比と95%信頼区間(CI)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・41件のランダム化比較試験が特定された(9,821例、平均研究期間:70.5±36.6週、女性の割合:54.1%、平均年齢:40.7歳)。・カテゴリー1の内訳は以下のとおりであった。【単剤療法】アリピプラゾール、アリピプラゾール月1回製剤、アセナピン、カルバマゼピン、ラモトリギン、LIT、オランザピン、パリペリドン、クエチアピン、リスペリドン、プラセボ【特定された2剤の併用療法】アリピプラゾール+ラモトリギン、アリピプラゾール+VAL、ラモトリギン+VAL、LIT+オクスカルバゼピン、LIT+VAL・カルバマゼピン、ラモトリギン+VAL(データなし)、パリペリドンを除く治療は、いずれかの気分エピソードの再発再燃率においてプラセボよりも優れていた。・アリピプラゾール+VAL、ラモトリギン、ラモトリギン+VAL、LIT、オランザピン、クエチアピンによる治療は、うつ病エピソードの再発再燃率においてプラセボよりも優れていた。・アリピプラゾール+VAL、カルバマゼピン、ラモトリギン、ラモトリギン+VALを除く治療は、躁病/軽躁病/混合エピソードの再発再燃率においてプラセボよりも優れていた。・アセナピン、LIT、オランザピン、クエチアピン、VALによる治療は、すべての原因による中止率においてプラセボよりも優れていた。・オランザピン+LIT/VALを除くすべてのSGA+LIT/VALによる治療は、いずれかの気分エピソードの再発再燃率においてプラセボ+LIT/VALよりも優れていた。・ルラシドン+LIT/VAL、クエチアピン+LIT/VALによる治療は、うつ病エピソードの再発再燃率においてプラセボ+LIT/VALよりも優れていた。・アリピプラゾール+LIT/VAL、クエチアピン+LIT/VALによる治療は、躁病/軽躁病/混合エピソードの再発再燃率においてプラセボ+LIT/VALよりも優れていた。・ルラシドン+LIT/VAL、クエチアピン+LIT/VALによる治療は、すべての原因による中止率においてプラセボ+LIT/VALよりも優れていた。・治療効果、忍容性、安全性プロファイルは、各治療で異なっていた。

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開業はしてみたものの、スタッフとの距離が縮まらない…【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第8回

第8回 開業はしてみたものの、スタッフとの距離が縮まらない…漫画・イラスト:かたぎりもとこ医業承継において、買い手の方から多い質問が「現在のスタッフを引き継ぐべきでしょうか?」というものです。スタッフの引き継ぎについては、そもそも承継の主体となるものが、「法人」なのか「個人」なのかによって異なります。・(医療)法人の場合法人ごと引き継ぐことになるため、原則として法人に勤務するスタッフは継続雇用になります。・個人の場合法人格がない診療所を引き継ぐ場合は、スタッフとの契約をいったん解消したうえで、新設の診療所が再度雇用契約を結びます。新体制になるとなれば、当然スタッフは不安を感じるものです。新しい院長はどんな人か、勤務条件や診療時間は変わらないのかなど、多くの疑問も抱えているはずです。法人・個人いずれの場合でも、医業承継を行う(新体制になる)よりも前に、売り手側の院長に許可を得てスタッフとの面談を行い、新体制になってから目指すべき姿を伝え、継続雇用する場合にはスタッフへの期待を伝えることが重要です。「現在の雇用条件を継続できない」という場合や「一人ひとり面接して継続雇用するかどうか決めたい」という場合は、当然ながら新体制のスタート前に面接を行うことになります。そうでない場合でも、スタッフの不安払拭とスムーズなスタートのために、事前面談でスタッフ個々人の状態を把握しておくことが重要なのです。今回のように、承継後にスタッフとのコミュニケーションがスムーズにいかず、試行錯誤される例もあります。売り手の院長が病気などの理由でタイトなスケジュールで引き継ぎを行わざるを得ない、といったレアケースを除き、「新体制に入る前」にきちんとスタッフとコミュニケーションをとることが原則です。

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インフルエンザは1,000分の1、COVID-19余波でその他感染症が激減

 日本感染症学会と日本環境感染学会を中心に各医学会や企業・団体が連携し、感染症の予防に向けた啓発活動を行う共同プロジェクト「FUSEGU2020」は、2021年に開催が予定されるオリンピックを鑑み、注意すべき感染症と2020年の感染症流行の状況を解説するメディアセミナーを行った。 セミナーにおいて、防衛医科大学校内科学(感染症・呼吸器)教授の川名 明彦氏が「国際的マスギャザリングに向け、注意すべき感染症」と題した発表を行った。川名氏は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行を受け、その他の感染症の流行状況に大きな変化が生じている状況を紹介した。 オリンピックをはじめとした大規模イベント時にはインバウンド感染症(罹患した外国人の訪日を契機として持ち込まれた感染症)に警戒が必要となる。首都圏にとどまらず全国のホストタウンにおいても流行のリスクを踏まえ、事前の周知・対応が重要な感染症として結核・麻疹・デング熱・侵襲性髄膜炎菌感染症が挙げられた。 しかし、COVID-19拡大につれて海外との往来は制限され、東京オリンピックは延期が決定。緊急事態宣言に伴い外出自粛となり、宣言解除後もリモートワーク推進や会合自粛の流れが続いている。4月以降は訪日外国人数が例年の1,000分の1以下という極めて低い水準で推移しており、日常生活においては手洗い、マスク、換気、ソーシャルディスタンスの確保などが習慣化している。 こうした状況に伴い、今年はCOVID-19以外の主だった感染症の発症数が激減している。たとえば、インフルエンザの12月第1週の報告数は63(昨年同期:4万7,200)、流行の基準とされる定点当たりの新規患者数も0.01(同:9.52、流行開始の目安は1.0)と激減しており、冬の流行シーズンに入った現在も大規模な流行の報告はない。 ほかにも、2013年の流行時には年間1万4,344人、昨年も2,306人の感染者を出した風疹は12月第1週までの累計報告数が99人、昨年744人だった麻疹は同13人といずれも激減。人との接触機会の減少とともに、麻疹の場合は患者に訪日外国人の割合が多く、訪日者の減少が大きな要因として考えられるという。 川名氏は「患者の受診抑制による未診断、といった要因も考えられるため慎重な判断が必要だが、COVID-19感染防止対策が接触・飛沫感染を主な感染経路とするその他感染症の流行に抑制的に作用していることは間違いないだろう」と解説。一方で、淋菌感染症、性器クラミジア感染症、梅毒となった性感染症については例年と比較した発症数に大きな変化はなく、「こうした感染症には異なる予防対策が必要になるだろう」とした。

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COVID-19へのシクレソニド、肺炎増悪抑制せず/国立国際医療研究センター

 COVID-19の治療薬候補として期待されているシクレソニドについて、肺炎のない軽症COVID-19患者90例を対象に肺炎の増悪抑制効果および安全性を検討した、全国21施設における多施設共同非盲検ランダム化第II相試験の結果、有効性が示されなかった。2020年12月23日、国立国際医療研究センターが発表した。米国含む海外にて実施されている検証的な臨床試験の結果も踏まえて判断する必要があるが、今回の研究結果からは無症状・軽症のCOVID-19患者に対するシクレソニド吸入剤の投与は推奨できないとしている。 気管支喘息の治療薬である吸入ステロイド薬シクレソニド(商品名:オルベスコ)は、SARS-CoV-2に対する「抗ウイルス活性」が非臨床試験で報告されており、また国内においてCOVID-19患者3例で症状改善を認めたとの報告があることから、国立国際医療研究センターが中心となって有効性および安全性を検討するための臨床試験を厚生労働科学研究として実施した。 肺炎のない軽症COVID-19患者90例をシクレソニド吸入剤投与群と対症療法群にランダム化。主要評価項目は、胸部CT画像による入院8日目以内の肺炎増悪割合、主な副次評価項目は鼻咽頭ぬぐい液のウイルス量の変化量であった。 その結果、肺炎増悪率は、シクレソニド吸入剤投与群41例中16例(39%)、対症療法群48例中9例(19%)であり、リスク差0.20(90%信頼区間:0.05~0.36)、リスク比2.08(同:1.15~3.75)、p=0.057であった。p値は両側有意水準10%を下回り、対症療法群と比べてシクレソニド吸入剤投与群で有意に肺炎増悪が多かった。 本剤は、厚生労働省が公開している「新型コロナウイルス感染症診療の手引き」の第4版では「日本国内で入手できる薬剤の適応外使用」のその他の薬剤例として記載されており、「現在国内において特別臨床研究が実施されているほか、観察研究に関しても実施中」と紹介されている。

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brigatinib、日本人ALK陽性NSCLCでも有望(J -ALTA)/JTO

 日本人を対象とした、ALK陽性非小細胞肺がん(NSCLC)に対するbrigatinibの有効性と安全性を検討した第II相無作為化試験「J-ALTA試験」の結果が、がん研有明病院の西尾 誠人氏らにより論文発表された。多施設共同、単群非盲検による検討で、アレクチニブ難治性の日本人患者において、臨床的に意義のある有効性が示されたという。brigatinibは臨床的関連があるALK遺伝子変異に対して強力かつ幅広い活性を有するよう設計された次世代ALK-TKIであり、米国では本年承認された。Journal of Thoracic Oncology誌オンライン版2020年11月25日号掲載の報告。 J-ALTA試験は、ALK-TKI難治性または未治療の20歳以上、StageIII B/C/IVのALK陽性NSCLC日本人患者を対象とし、まず(1)安全性を評価する導入試験(Safety Lead-in)、続いて(2)アレクチニブ既治療(単独またはクリゾチニブ既治療も含む)(メインコホート)とその他のALK-TKI既治療(探索コホート)の2コホートを対象とした難治性コホート拡大試験(Refractory Expansion)、および(3)未治療コホート拡大試験(TKI-Naive Expansion)が行われた。(3)の試験は進行中であり、今回は、(1)+(2)のALK-TKI難治性コホート試験の結果が報告された。 安全性導入試験は9例を対象とし、brigatinibを当初7日間は90mg/日、その後は180mg/日で1サイクル(28日間)投与し忍容性を評価した。難治性コホート拡大試験は、アレクチニブ既治療のメインコホート47例、その他ALT-TKI既治療の探索コホート16例を対象とし、brigatinibを180mg/日(導入期の7日間は90mg/日)投与した。 主要評価項目は、独立判定委員会(IRC)の評価による客観的奏効率(ORR)であった。 主な結果は以下のとおり。・2018年1月29日~2019年4月12日に72例が登録された。・2020年1月22日時点の解析において、72例のうち22例(31%)でbrigatinibの投与が継続され、アレクチニブ難治性の47例では14例でbrigatinibが継続投与されていた。・アレクチニブ難治性集団における、IRC評価の確定ORRは34%、奏効期間中央値は11.8ヵ月、病勢コントロール率は79%、IRC評価の無増悪生存期間は7.3ヵ月であった。・ベースラインで測定可能な脳病変を有していた8例のうち2例で、頭蓋内の部分的奏効が確認された。・brigatinibの抗腫瘍効果が、G1202R、I1171N、V1180L、L1196Mの2次的変異(secondary mutations)を有する患者で示された。・日本人患者における安全性プロファイルは既報のものと一致していた。

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ガイドラインでは中止の副作用に、服薬継続を選んだ患者さん【堀美智子のハートに効くラヂオ】第3回

動画解説TS-1治療中の薬剤師の患者さん。副作用による中止提案に対し、「可逆性なら継続できる方法を考えたい」と堀先生に伝えました。このエピソードから、「インフォームド・チョイス」について考えてみましょう。

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小林化工の抗真菌薬に2.5倍量の睡眠薬混入はなぜ?【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第59回

※本原稿は2020年12月11日時点での情報をもとに作成しています。医薬品の自主回収はさまざまな理由によって行われるため、望ましいことではありませんが、回収自体はそれほど珍しくはありません。しかし今回、死亡例を含む多くの健康被害が起こってしまった回収事例が発生しました。福井県は12月4日、同県あわら市の製薬会社「小林化工」が、爪水虫など皮膚病の治療に使う経口抗真菌剤イトラコナゾール錠50「MEEK」約10万錠分を自主回収すると発表した。製造過程で通常の服用量を超える睡眠導入剤成分が混入し、岐阜、大阪、佐賀の3府県で計12人に意識消失や強い倦怠感などの副作用が確認されたという。(2020年12月5日付 日本経済新聞夕刊)この製造過程で混入した睡眠導入薬とは短時間作用型のベンゾジアゼピン系睡眠薬「リルマザホン塩酸塩水和物(以下、リルマザホン)」で、当然ながら通常は含まれることなどありえません。しかも、イトラコナゾール錠50mgの1錠中に、リルマザホンの最大量の約2.5倍という高用量が混入していました。イトラコナゾールの内服薬は、1日1回もしくは1日2回服用しますので、朝食後に服用することも多くあります。短時間作用型の睡眠薬を朝食後に服用し、そのまま車を運転して出勤…などと考えるとゾッとしますが、残念なことに、12月11日時点で重篤を含む健康被害は計133例に上り、死亡例も1例生じています。製薬会社のずさんな製造工程のために、患者さんに健康被害が生じるなどあってはならないことで怒りが込み上げてきます。混入した経緯としては、厚生労働省に事前に承認された手順ではないものの、薬の製造過程で原薬の量が減った際に小林化工の担当者が成分を後で追加していたとのことで、その際にリルマザホンが混入したとされています。これが本当であれば、医薬品医療機器等法の違反です。今回のイトラコナゾール錠の回収については、製造販売元である小林化工株式会社から患者用のFAQが出ていますので抜粋して紹介します(一部改変)。ロット番号が不明の『イトラコナゾール錠50「MEEK」』を持っていますが、服用していいですか?絶対に服用しないでください。このお薬を服用された方は、自動車や自転車などの運転や危険を伴う機械の操作は絶対にやめてください。どのロットが回収対象ロットですか?睡眠薬の成分(リルマザホン塩酸塩水和物)が混入していることが判明したロットは「T0EG08」のみですが、ほかのロットについても、すべて回収いたします(50mg製剤)。服用を中止した残薬はどうしたらよいですか?残薬については、処方元または入手した薬局に返却してください。費用などは補償してもらえるのでしょうか?薬代などの補償については、服用されていた製剤を回収し、代替処方が必要となる際に補償をさせていただきます。イトラコナゾール錠の50mg製剤は、すべてのロットを対象として患者さんの手元にあるものまで回収されます。100mgと200mg製剤は、リルマザホンの混入が認められていないとのことですので、患者さんの手元にあるものは回収しないようですが、承認書に記載のない工程で製造していたことが判明したため、医療機関にあるものは回収となります。なお、リルマザホンが混入している当該ロットが調剤された患者さんは全員が特定されていて、服薬中止の連絡が行われたとのことです。すでに服用してしまった患者さんも多くいると思いますが、これ以上被害が拡大しないことを切に願うとともに、原因がきちんと解明・公表されて二度と同じようなことが起こらないようにしてほしいと思います。

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第39回 より感染しやすい新型コロナウイルス変異株が英国で急増/ 重症COVID-19への幹細胞治療の試験結果が判明

より感染しやすい新型コロナウイルス変異株が英国で急増英国ケント州やロンドンでの新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染症(COVID-19)の増加を受けて同国の保健行政組織Public Health England(PHE)がいっそうの注意を傾けて調べたところ新たなSARS-CoV-2変異体が急速に広まっていることが判明し、VUI - 202012/01と名付けられたその変異体の感染例1,108人が先週13日までに確認されました1)。その1週間後のこの週末19日の記者会見でBoris Johnson(ボリス・ジョンソン)英国首相はロンドンやイングランド南部/東部でのCOVID-19急増は13日発表の新たな変異株のせいらしいとの見解を示しました2)。変異株感染は重病や死に至りやすいという謂われはいまのところないが、他のSARS-CoV-2感染よりも次から次にどうやら感染しやすいらしいと示唆されています。PHEが他と協力しての調査は進行中ですが、いまのところ重症度、抗体反応、ワクチン効果へのVUI - 202012/01の影響は示唆されていません3)。今年2月の遅くに南欧で見つかって今や世界で最も幅を利かせる先着のSARS-CoV-2変異株4)がスパイクタンパク質に614Gという変異を有するのに似て新参のVUI - 202012/01もスパイクタンパク質にN501Yという変異を有します。世界を席巻しているその614G変異ウイルスもVUI - 202012/01と同様に感染を広めやすいらしいことがNatureに最近発表された培養実験やハムスター実験で裏付けられています5)。その実験で614G変異ウイルスは培養気道上皮細胞や気道を模す3次元組織でより増えて居座ることができ、より感染力が高いと示唆されました。続いて614G変異株をハムスターに感染させたところ鼻の拭い液や気管で盛んに増えており、その結果は614G変異ウイルスが上気道により集まるという感染者所見に見合うものであり、どうやらより感染しやすいことを示唆しています。目下のCOVID-19予防ワクチンは614G変異ウイルスに先立つウイルス(614Dウイルス)を起源としており、614Dウイルス感染で生じる抗体が614G変異ウイルスも中和できるならワクチンは614G変異ウイルスにも通用しそうです。そこで研究者は614Dウイルスを感染させたハムスターの血清が614G変異ウイルスの細胞感染を防げるかどうかを調べました5)。その結果、血清は幸いにも614G変異ウイルスの細胞侵入や複製を防ぐ中和活性を発揮し、614G変異は目下のCOVID-19ワクチンの守備範囲にあると示唆されました4,5)。 英国で広まる新たな変異株VUI - 202012/01のCOVID-19ワクチン等の効果への影響はいまのところ示唆されていませんが、確実な答えを得る研究が進行中であると英国の最高医学責任者(CMO)・Chris Whitty氏は14日の声明で述べています6)。COVID-19の幹細胞治療remestemcel-Lの試験は残念な結果になった本連載の第6回で紹介した急性呼吸窮迫症候群(ARDS)合併COVID-19患者へのMesoblast社の間葉系幹細胞(MSC)薬remestemcel-L(レメステムセル-L)の第III相試験が途中解析され、残念ながら主要評価項目・30日間の死亡減少の達成は不可能と判断されました7)。すでに組み入れ済みの233人全員の計画に沿った検討が済むまで試験は続けられ、追跡期間最終の60日時点での人工呼吸器なしでの生存日数・生存率・集中治療日数・入院期間・心臓/神経/肺損傷の結果が後に判明します。先月の終わりにノバルティス社はCOVID-19やその他の病気に伴うARDS へのremestemcel-Lの用途の権利を得る合意を発表しています。同社は残りの試験結果をMesoblast社と共に解析し、有意義な情報を見つけ出してremestemcel-Lの今後の開発方針に役立てることを目指します。参考1)PHE investigating a novel strain of COVID-19/GOV.UK2)Prime Minister's statement on coronavirus (COVID-19): 19 December 2020 /GOV.UK 3)COVID-19 (SARS-CoV-2): information about the new virus variant/GOV.UK4)Baric RS. N Engl J Med. 2020 Dec 16. [Epub ahead of print] 5)Plante JA,et al . Nature. 2020 Oct 26.[Epub ahead of print]6)Statement from Chief Medical Officer, Professor Chris Whitty about new strain of Covid-19/GOV.UK7)Mesoblast Update on COVID-19 ARDS Trial/ Mesoblast

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「俺はデキる男!」――、 たとえそうでも契約時の直接交渉はNG!というお話【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第7回

第7回 「俺はデキる男!」――、 たとえそうでも契約時の直接交渉はNG!というお話漫画・イラスト:かたぎりもとこ医業承継の事業をしていると「業者なんて要らないよ」「契約も自分でやりますから」とおっしゃる医師の方に遭遇することがあります。医師の方は概して優秀で「勉強すれば何でもわかる」という成功体験をされている方が多いこともあるでしょう。でも、皆さんは不動産の売買契約を自分でやろうと思うでしょうか? 医業承継は実際に不動産契約が含まれる場合もあり、高い専門性が求められる分野です。不動産売買のように古い業界でも、今なお仲介事業者が介在する取引が一般的であることを考えると、当事者同士の直接取引がいかにトラブルを招きやすいものであるかが理解できるかと思います。直接取引でありがちなトラブルとしては、以下のようなものがあります。(1)口約束で話を進め、契約直前でどちらかが辞退したり、条件を大きく変更したりする(今回の事例ですね)(2)譲り受ける資産・売上(患者数)などの情報について、口頭の感覚値で話を進め、承継直前で実態が異なることが判明する(3)当事者同士は合意したものの、不動産オーナーなど関係者への根回しができておらず、そこがネックになって破談になる(4)簿外債務(決算書内に記載がないため見落としがちな負債)を引き継いでしまう(5)不十分な内容で契約を締結した結果、想定していた譲渡金が得られない医業承継では、下記のようにフェーズごとに行うべき取り組みが決まっています。医業承継の基本の流れと要する期間画像を拡大するさらに言えば、医業承継における契約書のフォーマットもある程度まで決まっています。これは過去のトラブル例を踏まえ、同じ轍を踏まないため今のかたちになっているのです。確かに仲介事業者に依頼すれば費用は発生しますが、それに見合うだけの「先人の知恵」と「トラブル回避策」があるのです。直接取引は避け、仲介事業者へ依頼することをお勧めします。

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医療マンガ大賞2020 入選エピソード「おんぶ―息子のぬくもり」(原作:そらじろー氏)

医療マンガ大賞2020 入選エピソード「おんぶ―息子のぬくもり」(原作:そらじろー氏)漫画家・chiku氏からのコメント今回のエビソードを拝読した時、童謡の「赤とんぼ」が頭の中に流れてきました。そして、子供のころ、秋の夕暮れ空を飛んでいく赤とんぼを見て、なんだか嬉しくなり追いかけた日々を思い出しました。そんな情景を思い描きながら執筆した作品です。今は亡き叔母が70歳になったとき、「人生は、思い返すと本当に“夢”のように早かった」と言いました。赤とんぼの唄で「山の畑の桑の実を 小篭につんだは 幻か」という歌詞がありますが、叔母の気持ちはそのようなものだったかもしれません。そして何よりも、医師が患者さんの生きた時間の一瞬の輝きを大切に思い、その死に対して号泣するほどの人情に感動しました。エピソードの原作者・そらじろー先生の“仁”の心に敬意を込めて、この漫画を捧げます。また、この作品の中に『銀河鉄道の夜』をオマージュしたシーンも盛り込みました。そらじろー氏(40代・腎臓内科)による原作エピソード『おんぶ―息子のぬくもり』はこちら参考医療マンガ大賞2020 医療マンガ大賞受賞作品 心がふるえたエピソード (横浜市医療局)医療マンガ大賞特設Webサイト(同)バックナンバー

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医療マンガ大賞2020 「心がふるえたエピソード(医師視点)」入選作品

「おんぶ―息子のぬくもり」今から9年程前、腎臓内科医としてやっと中堅に差し掛かった頃、元々は近医に高血圧などで通院していた70代女性の方(Aさん)が、発熱、呼吸困難などで他院に入院し、腎機能障害が生じたため、当時私が勤めていた病院に転院してきました。精査の結果、顕微鏡的多発血管炎があり、その後、呼吸状態の悪化などで、同じ病院のICUに入室しました。この病気で併発する肺出血が生じたようで、気管挿管して人工呼吸器管理となりました。同じくこの血管炎の特徴である急性腎不全があったため、血液透析も行っていて、意識は清明であるものの、かなり重症でした。Aさんの息子さんは熱心に面会に来ていましたが、私はよくない病状ばかり説明せざるを得ませんでした。ある時、一時的に呼吸状態が改善し、抜管できる時期がありました。Aさんは、もう自分は長くないと悟っていたのか、細かな経緯は忘れてしまいましたが、看護師に「息子におんぶしてもらえないか?」と、かわいらしいお願いをしました。後から考えれば、無機質なICUで闘病する中、愛する息子のぬくもりを少しでも多く感じたかったのではないかと思います。最初は、ICUのベッドから降りておんぶなんて、まず血圧が下がるでしょうし、危険すぎる! と思い、逡巡していました。「先生、お願い。たった1度でいいから」、Aさんは訴えます。危ない道を何度も通りながらも闘病を続けてきたAさんにお願いされ、一瞬だけでもそれに応えてあげたいと思っている自分がその時いました。点滴のチューブや酸素マスクなど、いろんなものがAさんにつながっていましたが、看護師の協力の下、面会に来た息子さんになんとかおんぶしてもらい、久々の笑顔を見せてくれました。周りにいた私達はみんな拍手し、温かい気持ちになりました。その後、数日のうちに、Aさんの病状が悪化し、連絡を受けましたが、私は出張先から帰って来るところで、亡くなられる時には間に合わず、死亡確認に立ち会えませんでした。すごく思い入れのあった患者さんだったので、いろいろ手を尽くしても助けることができなかったこと、最期を見ることができなかったこと、様々な想いが溢れてきて、ICUで人目をはばからずに泣いてしまったことを覚えています。息子さんも初めは打ちひしがれていたと思いますが、「また、こんな患者が運ばれてきても、がんばってくださいね!」という激励の言葉まで下さり、看護師さんからも「Aさんが亡くなられた時、先生がそばにいらっしゃった気がしました」と慰めの言葉をいただき、また頑張ろうと気を引き締めた若き日でした。原作:そらじろー氏(40代・腎臓内科)バックナンバー

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TN乳がん1次治療でのipatasertib+ PTX、PIK3CA/AKT1/PTEN変異を持つ患者でPFS改善せず(IPATunity130)/SABCS2020

 PIK3CA/AKT1/PTEN遺伝子変異を持つ、手術不能な局所進行または転移を有するトリプルネガティブ乳がん(TNBC)患者の1次治療において、経口AKT阻害薬ipatasertibとパクリタキセル(PTX)の併用は、PTXのみと比較してPFSの改善がみられなかった。シンガポール・国立がんセンターのRebecca Dent氏が、第III相IPATunity130試験コホートAの結果をサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2020)で発表した。 同治療法については、第II相LOTUS試験において無増悪生存期間(PFS)の改善が報告され、なかでもPIK3CA/AKT1/PTEN遺伝子変異を有する患者でより顕著な効果が得られていた。・対象:PIK3CA/AKT1/PTEN遺伝子変異を持ち、測定可能病変のある、手術不能な局所進行または転移を有する、化学療法未治療([術前]術後化学療法終了から12ヵ月以上)のTNBC患者(ECOG PS:0/1、タキサン単剤療法への適格性あり)・試験群:PTX 80mg/m2(Day1、8、15)+ipatasertib 400mg(Day1~21)を1サイクル28日として投与(ipatasertib群)168例・対照群:PTX 80mg/m2(Day1、8、15)+プラセボ(Day1~21)(プラセボ群)87例・評価項目:[主要評価項目]治験責任医師評価によるPFS[主要副次評価項目]全生存期間(OS)[副次評価項目]奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、クリニカルベネフィット率(CBR)、安全性など・層別化因子:[術前]術後化学療法の有無、地域(アジア vs.欧州 vs.北米 vs.その他)、腫瘍の変異状態(PIK3CA/KT1 活性型変異 vs. PIK3CA/AKT1 活性型変異のないPTEN異常) 主な結果は以下のとおり。・2018年2月~2020年4月に計255例が登録され、ipatasertib群とプラセボ群に2:1の割合で無作為に割り付けられた。・ベースライン時の患者特性は、[術前]術後化学療法歴有がipatasertib群48% vs.プラセボ群55%、手術不能・局所進行がんが21% vs.13%。PD-L1陽性が29% vs.40%、PIK3CA /AKT1活性型変異を有する患者が両群とも51%で、両群間で有意な差がある項目はなかった。・追跡期間中央値8.3ヵ月において、主要評価項目のPFS中央値は、ipatasertib群7.4ヵ月(95%信頼区間[CI]:5.6~8.5) vs.プラセボ群6.1ヵ月(95%CI:5.5~9.0)であった(層別ハザード比[HR]:1.02、95%CI:0.71~1.45、log-rank検定のp=0.9237)。・ORRはipatasertib群39% vs.プラセボ群35%、CBRは47% vs.プラセボ群45%。・ipatasertib/プラセボによる治療期間中央値は5.9ヵ月 vs. 5.6ヵ月と差はみられず、PTX治療期間も両群で差はなかった。・安全性については、以前の報告と一致していた。 同試験ではOSのフォローアップが進行中のほか、ipatasertibによるベネフィットを受けうるバイオマーカーの探索が行われている。

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特発性肺線維症へのST合剤、生存ベネフィット認めず/JAMA

 中等症~重症の特発性肺線維症(IPF)について、コトリモキサゾール(ST合剤:スルファメトキサゾールとトリメトプリムの合剤)はプラセボと比較して、死亡・肺移植または予定外の初回入院までの期間の複合アウトカムの発生を低下しないことが、英国・イースト・アングリア大学のAndrew M. Wilson氏らによる検討で示された。IPFは予後不良で治療法が限られており、肺微生物叢の変化による肺への細菌負荷が死亡率に関連するとされている。先行の小規模無作為化試験においてST合剤投与による臨床アウトカムの改善および優れた費用対効果が示唆され、また探索的解析で健康関連のQOLや酸素必要量の改善、および試験プロトコールを順守した被験者における12ヵ月間の死亡率低下が示されていたが、生存ベネフィットのエビデンスは確定されていなかった。JAMA誌2020年12月8日号掲載の報告。中等症~重症IPFへのST合剤の有効性、二重盲検プラセボ対照無作為化試験で評価 研究グループは、中等症~重症IPF患者におけるST合剤の有効性を確定する、二重盲検プラセボ対照並行群比較無作為化試験を行った。被験者は、IPFで息切れ症状(MRC息切れスケールスコア>1)と肺機能障害(努力肺活量[FVC]予測値≦75%)を有する患者で、英国の間質性肺疾患専門医療センター39ヵ所で、2015年4月(最初の患者が受診)~2019年4月(最後の患者のフォローアップ完了)に342例が試験に参加した。 被験者は、1日2回960mgのST合剤を服用する群(170例)または適合プラセボを服用する群(172例)に無作為に割り付けられ、最短12ヵ月間および最大42ヵ月間のフォローアップを受けた。また、全患者に1日1回5mgの経口葉酸が投与された。 主要アウトカムは、死亡(全死因)・肺移植・予定外の初回入院までの期間であった。副次アウトカムは15項目で、主要エンドポイントの呼吸関連イベントの各項目、肺機能(FVCおよび肺ガス交換能)、患者報告のアウトカム(MRC息切れスケール、5段階EQ-5D質問票、咳重症度、Leicester Cough Questionnaire[LCQ]、King's Brief Interstitial Lung Disease[KBILD]質問票スコア)などであった。死亡・肺移植・予定外入院の複合アウトカムほか副次アウトカムも、有意差なし 無作為化を受けた342例(平均年齢71.3歳、女性46例[13%])において、283例(83%)が試験を完了した。フォローアップ期間中央値(四分位範囲)は1.02年(0.35~1.73)であった。 ST合剤群およびプラセボ群のイベント件数はそれぞれ、0.45(84例/186フォローアップ人年)、0.38(80例/209フォローアップ人年)で、ハザード比は1.2(95%信頼区間[CI]:0.9~1.6、p=0.32)であった。 その他のイベントアウトカム、肺機能、患者報告のアウトカムについても統計的有意差は認められなかった。有害事象は、ST合剤群696例(悪心89例、下痢52例、嘔吐28例、および発疹31例など)、プラセボ群640例(悪心67例、下痢84例、嘔吐20例、および発疹20例など)が報告された。

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第37回 早大が統合に踏み切れない東京女子医大の事情と「三派連合」の存在

慶應義塾大学が2023年4月をめどに東京歯科大学を統合、同大11番目の学部として歯学部が誕生する見通しだ。国内の総合大学では初めて医学部、看護医療学部、薬学部、歯学部の医療系4学部が揃うことになる。一方、慶大のライバルである早稲田大学は、長年に渡って東京女子医科大学との統合話が浮上しては立ち消え、実現に至っていない。その理由として、両大学の経営状況に加え、他大学からの“妨害”があったというきな臭い話も聞こえる。まず、慶大と東京歯科大が統合するメリットとは何か。先述の通り、慶大は医療系4学部を擁する国内初の総合大学として、ブランド力が一層強化される。また、附属校から歯科医を目指す場合、これまでは他大へ出るしかなかったが、晴れて内部進学が可能になる。一方、東京歯科大は経営状態が良好で国家試験の合格率も高いが、学生数の減少や歯科医師供給過剰による競争激化が進む中、「慶應」ブランドで優秀な学生集めることができる。つまり両者の統合は、名実ともに“Win-Win”の関係で成立するのだ。早大と東京女子医大の場合はどうか。東京女子医大にとって創立120年の節目である2020年は、悪いニュースが相次いだ。7月には、約30億円の病院の赤字と職員へのボーナス不支給、それを不満とした看護師400人の大量退職が報じられた。その後、同大は慌ててボーナスを支給した。その直後、2021年度の入学生から、6年間の学費を3,400万円から1,200万円アップの4,600万円にすると突如発表し、受験生に衝撃を与えた。総額が最も高い川崎医科大学(岡山県倉敷市)の4,740万円に次ぐ高さだ。背景には、コロナ禍による大学病院の収益悪化があるとされる。また10月には、6年前の医療事故について医師6人が書類送検される事態も起きた。関係者は「大学病院の財務状況とガバナンスが不全状態にある今の東京女子医大は、早大にとっては“お荷物”だ」と打ち明ける。一方、早大関係者は「17年から基金運用を始めるなど、早大の経営状況も順風満帆ではない。歴代総長のほぼ全員が検討し、『早稲田の悲願』と言われてきた医学部設置だが、うまみのある大学でないと統合は難しい」と打ち明ける。つまり現状を見る限り、早大と東京女子医大では“Win-Win”の統合になり得ないということだ。もう1つ、早大の医学部設置が叶わない背景を知る人物は次のように話す。「約20年前に、早大が医学部を持てるようにいろいろ動いたが、慶大、日本大学、東海大学の三派連合が立ちはだかり、どうにもこうにも行かなかった」と振り返る。ましてや三派連合の一角・慶大が医療系4学部を揃えるとなれば、医療界における慶大勢力はこれまで以上に強まるだろう。「早稲田大学医学部」の実現は、さらに遠のきそうだ。

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Pfizer社の新型コロナワクチンの第III相試験結果/NEJM

 ファイザーとビオンテックによる新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン「BNT162b2」について、16歳以上における30μgの2回投与の有効率は95%で、同有効率は年齢や性別、基礎疾患の有無といったサブグループでも同程度であった。また、中央値2ヵ月間の安全性は、その他のウイルスワクチンと類似していた。アルゼンチン・Fundacion INFANTのFernando P. Polack氏らによる、進行中の第II/III相国際共同プラセボ対照観察者盲検化pivotal有効性試験の結果で、NEJM誌オンライン版2020年12月10日号で発表した。BNT162b2は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のfull-lengthスパイクタンパク質をコードする脂質ナノ粒子製剤・修飾ヌクレオシドmRNAワクチンである。第III相試験はコロナワクチンBNT162b2を3週間隔で2回投与 第III相試験は、16歳以上の健康な男女を無作為に2群に分け、一方には新型コロナウイルスワクチンBNT162b2(30μg)を、もう一方にはプラセボを、それぞれ21日間隔で2回投与した。 主要エンドポイントは、検査によって確認されたCOVID-19に対するワクチンの有効性および安全性だった。第III相試験での新型コロナウイルスワクチンの有効率は95% 第III相試験では合計4万3,548例が無作為化を受け、4万3,448例が注射投与を受けた。新型コロナウイルスワクチンのBNT162b2群が2万1,720例、プラセボ群は2万1,728例だった。 2回目投与後7日以降にCOVID-19の発症が確認されたのは、プラセボ群が162例だったのに対し、BNT162b2群は8例で、BNT162b2の有効率は95%だった(95%信用区間[Crl]:90.3~97.6)。 ワクチン有効率は、65~75歳未満で94.7%であり、年齢や性別、人種、民族、ベースラインのBMI、基礎疾患の有無で分類したサブグループにおいて類似していた(概して90~100%)。 安全性プロファイルは、注射部位の短期的な軽度~中等度の疼痛、倦怠感、頭痛で特徴付けられた。重度有害イベントの発現頻度は低く、両群で類似していた。

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今年はさみしいクリスマスマーケット【空手家心臓外科医、ドイツ武者修行の旅】第23回

冬の長いドイツでは、12月になると日照時間も短くなり、1日の大半が夜のようになります。寒いし暗いし、正直外に出るのがかなり億劫になっちゃいます。ですが、12月は1ヵ月まるまるクリスマスマーケットが行われます(ドイツ語では“Weihnachtsmarkt”「ヴァイナハツマルクト」と呼ばれます)。大都市ニュルンベルクなどのクリスマスマーケットは規模が大きく有名なのですが、クリスマスマーケット自体はどの街でも行われています。毎年この時期の週末は、近隣の街にも足を伸ばして「ご当地クリスマスマーケット巡り」に出かけていました。もちろん、わがグライフスバルトでもクリスマスマーケットは行われます。小さな街なのですが、広場には所狭しと出店が並び、子供用のカートレース場や即席観覧車なんかも作られたりします(画像の真ん中あたりに観覧車の上半分が写っています)。ところが…新型コロナウイルス感染症の強烈な第2波がやってきたドイツでは、現在ロックダウンが行われており、各地でクリスマスマーケットの中止が発表されています。当地ではこれは結構大きな事件のようで、地域のネットの掲示板も悲しみの声で溢れかえっていました。数年前、テロ事件でヨーロッパがお騒ぎになったときでも、セキュリティを厳重にすることでクリスマスマーケットは敢行されていたのですが…流石に今回は難しかったようです。広場にポツンとグライフスバルトでは、「せめてクリスマスツリーだけでも」と広場にポツンとツリーだけが飾られました。(「単にキャンセルができなかっただけ」との意見もちらほら聞かれていますが…)。これはこれで風情があって、悪くないと思いましたが、地元の方々は「クリスマスマーケットをやらないなら、ただ転倒のリスクがあるだけだ」と、ネット掲示板でプチ炎上していました…まあ正直どうでもいいんですが。イベントがないと、冬のドイツの夜は長過ぎですから…。クリスマスマーケット、来年は無事再開されるといいな…。

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認知機能の改善作用を示したビフィズス菌株とは?

 脳と腸が自律神経などを通じて強く関連し、その状態に影響を及ぼしあう脳腸相関がいわれるようになって久しく、腸内細菌が認知症に関連するとの報告も多いが、因果関係の証明にはいたっていない。今回、2本の二重盲検無作為化比較試験を経て、ビフィズス菌MCC1274摂取による認知機能の維持・改善作用が示唆された。2020年11月24日、「ビフィズス菌MCC1274の認知機能改善作用とその可能性」と題したメディアセミナー(主催:森永乳業)が開催され、佐治 直樹氏(国立長寿医療研究センター もの忘れセンター)、清水 金忠氏(森永乳業株式会社研究本部 基礎研究所)、新井 平伊氏(アルツクリニック東京)が登壇し、試験の概要や関連研究、今後の展望について講演した。認知症の有無で腸内細菌叢の構成は異なる 佐治氏は、認知機能と腸内細菌の関連について調べる国内のレジストリ研究(Gimlet study)から得られた知見をいくつか紹介。腸内細菌叢の構成を調べた結果、認知症の人では、認知症でない人よりもバクテロイデス(常在菌)が減り、その他の不明な細菌の割合が増えていることが明らかになった1)。さらに、その変化は認知症の前段階(軽度認知障害[MCI])からみられることも確認された2)。 なぜ腸内細菌が認知症と関連するかについては、神経反射、循環器系、免疫系という大きく3つの経路における機序が考えられている。加えて、同レジストリ研究からは、腸内細菌の代謝産物が認知症に関連することが示唆された。代謝産物の濃度が1SD上昇した場合のオッズ比をみると、アンモニアで1.60(95%信頼区間:1.04~2.52)と認知症との関連性が高かったが、乳酸では0.28(0.02~0.99)と低かった3)。軽度認知障害の疑いのある50歳以上で有意にスコア改善 清水氏は、ビフィズス菌MCC1274の臨床試験の経緯について紹介。まずはじめに、同社が保有するビフィズス菌株の中からアルツハイマー型認知症の発症を抑制する可能性がある菌株としてMCC1274を特定した。アルツハイマーモデルを用いたプレ臨床試験では、MCC1274投与による認知機能改善作用および脳内炎症抑制作用が観察された4)。 続いて実施された二重盲検プラセボ対照群間比較試験では、物忘れが気になる120人の被験者をMCC1274カプセル(200億/日)群またはプラセボ群に無作為に割り付け、12週間摂取後の認知機能(MMSEおよびRBANSによる評価)を比較した。その結果、全被験者対象の解析では群間有意差がみられなかったが、認知機能が低下したサブグループ(RBANS総合スコア41点未満)解析では、MMSEおよびRBANSで有意な改善が認められた5)。 この結果を受け、認知症ではなく(MMSEスコア22点以上)、かつRBANSスコアが低く軽度認知障害の疑いのある50歳以上80歳未満の80人を対象に、プラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験が実施された。その結果、MCC1274カプセル(200億/日)の16週間の摂取により、主要評価項目であるRBANSスコア合計の摂取後の実測値、そして前後の変動値とも有意な改善がみられ、即時記憶、視空間・構成、遅延記憶を司る認知領域の点数も有意に向上した6)。 今後は、作用機序解析や認知症発症者に対する寄与について研究を続ける見通しだという。アルツハイマー病以外への効果や菌の特異性など、今後の展開にも期待感 新井氏は、今回のビフィズス菌MCC1274の研究報告について、何より研究プロセスが治療薬開発に匹敵するアプローチであると高く評価。「サプリメントとして分類されているものの中で、ここまで徹底して検討し、エビデンスを積み重ねてきているものは他にない」と話し、サプリや特保食品としての展開は十分に準備ができた状態だと期待感を示した。 そのうえで、今後解明が期待される点として、1)抗炎症作用、2)特異性(菌の特異性、疾患特異性)、3)アミロイド仮説を挙げた。1)については、血液(末梢血)だけでなく、脳脊髄液や脳内炎症マーカーで検討できないかと指摘。2)については、今回のMCC1274 vs.乳酸菌や、他のビフィズス菌ではどうなのか、臨床家として大変興味があると話した。また、MCI群はアルツハイマー病だけではない点から、脳画像も含めて診断し、均一性を高めて検討してもらえたらと提案。3)については、経口摂取で腸内に投与されたビフィズス菌が、アミロイドβの沈着にどんな効果が実際にあるのかは大変興味深い、と話した。■参考1)Saji N, et al. Hypertens Res. 2019 Jul;42:1090-1091.2)Saji N, et al. Sci Rep. 2019 Dec 18;9:19227.3)Saji N, et al. Sci Rep. 2020 May 18;10(1):8088.4)Kobayashi Y, et al. Sci Rep. 2017 Oct 18;7:13510.5)Kobayashi Y, et al. Benef Microbes. 2019 May 28;10:511-520.6)Xiao J, et al. J Alzheimers Dis. 2020;77:139-147.

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世界初の経口投与可能なGLP-1受容体作動薬「リベルサス錠3mg/7mg/14mg」【下平博士のDIノート】第64回

世界初の経口投与可能なGLP-1受容体作動薬「リベルサス錠3mg/7mg/14mg」今回は、2型糖尿病治療薬「セマグルチド(商品名:リベルサス錠3mg/7mg/14mg、製造販売元:ノボ ノルディスク ファーマ)」を紹介します。本剤は、世界初の経口投与可能なGLP-1受容体作動薬であり、注射剤に抵抗がある患者さんであってもQOLを損ねずに良好な血糖コントロールを得られることが期待できます。<効能・効果>本剤は、2型糖尿病の適応で、2020年6月29日に承認、同年11月18日に薬価収載されています。<用法・用量>通常、成人には、セマグルチド(遺伝子組換え)として1日1回3mgを開始用量として経口投与し、4週間以上投与した後に1日1回7mgの維持用量に増量します。1日1回7mgを4週間以上投与しても効果不十分な場合には、1日1回14mgまで増量することができます。なお、本剤の吸収は胃の内容物により低下することから、1日の最初の飲水・食事前にコップ半分の水(約120mL以下)とともに本剤を服用します。服用時および服用後少なくとも30分は、飲食およびほかの薬剤の経口摂取を避ける必要があります。分割や粉砕、かみ砕いて服用することはできません。<安全性>日本人が参加した第III相臨床試験(併合データ)において、安全性評価対象症例3,290例中1,166例(35.4%)に副作用が認められました。主な副作用は、悪心355例(10.8%)、下痢204例(6.2%)、食欲減退147例(4.5%)、便秘143例(4.3%)、嘔吐142例(4.3%)でした(承認時)。なお、重大な副作用として、急性膵炎(0.1%)、低血糖(頻度不明)が報告されています。<患者さんへの指導例>1.この薬は膵臓に作用して、血糖値が高くなった際にインスリンの分泌を促すことで血糖値を下げます。2.1日の最初の飲食の前に、空腹の状態でコップ約半分の水とともに服用してください。その後の飲食や他剤の服用は、本剤の服用から少なくとも30分経ってからにしてください。3.本剤は吸湿性が強いため、服用直前にシートから取り出してください。また、割ったりかんだりしないでください。4.冷や汗が出る、血の気が引く、手足の震えなど、低血糖が考えられる症状が発現した場合は、速やかに砂糖かブドウ糖が含まれる飲食物を摂取してください。高所作業、自動車の運転などを行う際は十分に注意してください。5.胃の不快感、便秘、下痢などの消化器症状が起こることがあります。症状が長く続く場合や、嘔吐を伴う持続的な激しい腹痛などが現れた場合は、すぐに病院か薬局に連絡してください。<Shimo's eyes>本剤は初の経口GLP-1受容体作動薬であり、同成分の皮下注製剤(商品名:オゼンピック)は一足早く発売されています。GLP-1受容体作動薬は分子量が大きいため、胃からの吸収が難しく、消化酵素により分解されやすいこともあり、これまで注射剤しかありませんでした。本剤は、サルカプロザートナトリウム(SNAC)と呼ばれる吸収促進剤を添加することで、胃からの吸収が促進され、生物学的利用能が高まったことから経口投与が可能となりました。本剤の吸収は錠剤表面の周辺部に限定されることから、SNACの含有量の差異および物理的に2つの錠剤が胃内に存在すると本剤の吸収に影響を及ぼす可能性があるため、本剤14mgを投与する際に7mg錠を2錠で投与することはできません。また、本剤のシートをミシン目以外で切って保管すると、湿気などの影響を受ける恐れがあります。そのため、調剤の際はとくに注意が必要です。臨床効果については、2型糖尿病患者を対象とした2つの国内試験、国際共同試験、海外臨床試験などで、HbA1cの持続的な改善効果が示されました。また、SGLT2阻害薬のエンパグリフロジン、DPP-4阻害薬、さらにGLP-1受容体作動薬リラグルチド皮下注などとの比較試験においても、HbA1cや体重の低下量は同等かより良好な結果を示しています。本剤を含むGLP-1受容体作動薬とDPP-4阻害薬は、いずれもGLP-1受容体を介した血糖降下作用を有しており、併用した場合の有効性および安全性は確認されていないため、両剤が処方されている場合は疑義照会が必要です。本剤の吸収は胃の内容物により低下するため、起床後に空腹の状態で服用し、その後の30分間は何も飲食してはいけないなど、特別な注意が必要です。患者さんの理解度を確かめながら指導とフォローアップをしっかり行いましょう。参考1)PMDA 添付文書 リベルサス錠3mg/リベルサス錠7mg/リベルサス錠14mg

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境界性パーソナリティ障害と自殺企図~10年間のフォローアップ調査

 境界性パーソナリティ障害(BPD)は、自殺企図などの自殺行動の強力なリスクである。自殺行動リスクに影響を及ぼす因子を明らかにすることは、適切な自殺予防介入を考えるうえで重要であろう。米国・ハーバード大学医学大学院のShirley Yen氏らは、BPD患者の自殺企図に関連する因子をプロスペクティブに調査するため、10年にわたるフォローアップによるCollaborative Longitudinal Study of Personality Disorders(CLPS)研究を実施した。JAMA Psychiatry誌オンライン版2020年11月18日号の報告。 CLPS研究は、4つのパーソナリティ障害(PD)の成人患者と比較対照群としてうつ病および最低限のPDの特徴を有する成人を対象としたマルチサイト自然主義的プロスペクティブ研究である。対象患者は、ニューヨーク州ニューヨーク、マサチューセッツ州ボストン、コネティカット州ニューヘブン、ロードアイランド州プロビデンスで治療のため受診し、入院、部分入院、外来で治療された患者733例(募集期間:1996年9月~1998年4月および2001年9月~2002年8月)。そのうち1回以上のフォローアップ評価を完了した患者は701例であった。フォローアップサンプル701例のデータを用いて、2019年3月~2020年8月に分析を行った。対象者には、半構造化診断面接および各種自己報告を実施し、年1回最大10年間の評価を行った。10年間のプロスペクティブフォローアップ期間の自殺企図に対するベースライン時の人口統計学的因子およびBPD、個々のBPD基準を含む臨床的リスク因子を調査するため、多重ロジスティック回帰分析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・701例の背景は以下のとおりであった。 ●女性:447例(64%) ●白人:488例(70%) ●独身:527例(75%) ●仕事がない:433例(62%) ●いくつかの大学教育経験:512例(73%)・人口統計学的因子(性別、雇用、教育)および臨床的因子(児童性的虐待、アルコール使用障害、物質使用障害、心的外傷後ストレス障害)で調整した後、自殺企図と関連する最も強力な因子は、すべての障害の中でBPDであった(オッズ比[OR]:4.18、95%CI:2.68~6.52)。・その他の有意な因子およびBPD基準を共変数とした場合、以下のBPD基準は、自殺企図との独立した有意な関連が認められた。 ●不安定な自己像(OR:2.21、95%CI:1.37~3.56) ●慢性的な空虚感(OR:1.63、95%CI:1.03~2.57) ●見捨てられることを避けるための必死の努力(OR:1.93、95%CI:1.17~3.16) 著者らは「BPD患者の自殺企図と有意な関連が認められた、不安定な自己像、慢性的な空虚感、見捨てられることを避けるための必死の努力は、BPD患者の自殺リスクを評価するうえで、臨床的に見逃されている可能性がある。BPDは比較的寛解率が高いことを踏まえると、これらの基準は独立して評価すべきであり、自殺のリスク因子としてさらに研究が進むことが望まれる」としている。

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第34回 民間企業、新型コロナPCR検査センターに格安で参入の動き

<先週の動き>1.民間企業、新型コロナPCR検査センターに格安で参入の動き2.薬価引き下げ、来春から毎年改定へ3.75歳以上の医療費負担、引き上げの対象を年収200万円以上に4.マイナンバーが主軸のデータヘルス集中改革プラン、医療現場にも影響が?5.コロナ感染拡大で、地域医療構想の工程見直し6.薬価算定ルールやメタボ健診のあり方に見直しを/行政改革推進会議1.民間企業、新型コロナPCR検査センターに格安で参入の動き民間企業グループが東京でPCR検査専門の施設を開設している。これは発熱などの症状がない人を対象とした自費で行われる検査であり、診療や感染拡大防止を目的に行う行政検査とは異なり、公費ではカバーされない。従来から行われていたクリニックや病院での自由診療の検査費用は2〜4万円のところが多く、気軽に受けられなかったニーズを取り込んだのだろう。メディアで報道された施設前には、予約者が行列する姿が見られた。課題としては、直接的な医師の介在がないため、検査結果で陽性となった場合の対応や、精度のばらつきなどが懸念されている。感染拡大の収束が見られない中、帰省や出張前など社会的なニーズなどもあり、この動きは広がる可能性が高い。(参考)格安の民間PCR検査に予約殺到 その「陰性」過信禁物(朝日新聞)民間PCR1980円から 格安で拡大、検査身近に 精度・感染把握に課題も(日経新聞)2.薬価引き下げ、来春から毎年改定へ来年度の薬価引き下げについて、対象品目を全体の半数以上とする案をめぐって、政府は製薬業界と議論の大詰めを迎えている。中央社会保険医療協議会・薬価専門部会では、新型コロナ感染拡大の中で、薬価改定を実施すべきかを検討してきたが、9日の部会では具体的な改定の内容(対象品目の選定基準や、適用ルールなど)や医薬品卸、医療機関・薬局などの経営への影響をめぐって検討が行われた。従来は2年おきの診療報酬と同時に薬価改定が行われていたが、2018年にまとめられた「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)2018」の閣議決定により、来春から毎年改定となる。政府は医療費削減のため、できるだけ多くの品目を引き下げるべきという方針で、公定価格から8%以上差のある約8,700品目の引き下げを行い、3,600億円の抑制案を中心に検討を進めている。今年中に最終決定を行い、来年4月から引き下げられる見通し。(参考)薬価引き下げ 政府・与党 来年度の対象品目で詰めの調整へ(NHK)2021年度薬価改定に向けた議論続く、診療・支払両側の意見の溝は依然広く深い―中医協・薬価専門部会(GemMed)中央社会保険医療協議会 薬価専門部会(第172回)議事次第(厚労省)3.75歳以上の医療費負担、引き上げの対象を年収200万円以上に75歳以上の医療費の窓口負担を2割まで引き上げる政府の方針について、与党自民党と公明党の間で議論を続けてきたが、9日、対象者は単身世帯で年収200万円以上とし、2022年度後半に実施することで菅 義偉首相と公明党の山口 那津男代表が合意した。この決定により、所得上位30%の約370万人が該当となった。2020年度の現役世代の負担が6兆8,000億円に上る中、負担の軽減効果は約880億円に留まる。これは、全世代型社会保障検討会議が近くまとめる最終報告に盛り込まれ、来年の通常国会に関連法案提出となる見込み。今後、後期高齢者の増加に伴い、医療費だけでなく介護費も含め、社会保障費の増大をいかに抑制するかは政府にとって大きな課題となる。(参考)75歳以上医療費 2割に引き上げ 年収200万円以上対象で合意(NHK)高齢者医療費 2割負担、年収200万円 22年10月以降 自公合意(毎日新聞)4.マイナンバーが主軸のデータヘルス集中改革プラン、医療現場にも影響が?厚労省は9日に「第6回健康・医療・介護情報利活用検討会、第5回医療等情報利活用WG及び第3回健診等情報利活用WG」を開催し、オンライン資格確認や電子処方箋等を進めるデータヘルス集中改革プランの取りまとめについて議論した。2022年夏までに「全国で医療情報を確認できる仕組みの拡大」「電子処方箋の仕組みの構築」「個人の保健医療情報を活用できる仕組みの拡大」の3つのアクションを行う方針について了承した。さらに内閣官房も11日に高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部「マイナンバー制度及び国と地方のデジタル基盤抜本改善ワーキンググループ」を開催した。この中で「マイナンバー制度及び国と地方のデジタル基盤抜本改善ワーキンググループ報告」の素案をまとめた。報告書によれば、今後の取り組みとしてマイナンバー関連システムの整備、マイナンバー利活用の促進、マイナンバーカードの機能強化のほか、カード発行促進と地方自治体における業務システム整備などが挙げられている。政府は共通的な基盤・機能を提供する複数のクラウドサービスの利用環境を整備し、早期に運用を開始し、マイナポータルで閲覧できる情報の拡充を進め、健診・検診情報(特定健診、事業主健診、がん検診、学校健診など)、薬剤情報、医療費通知情報、就労関係情報(職業訓練履歴や保有資格など)などについても実現することを求めている。今後、マイナンバーを活用して医師免許などの資格管理システムの開発・構築を行い、2024年度にデジタル化を目指すことになる見込み。(参考)マイナンバーカードと運転免許証一体化 導入前倒しの報告書案(NHK)第6回健康・医療・介護情報利活用検討会、第5回医療等情報利活用WG及び第3回健診等情報利活用WG 資料(厚労省)マイナンバー制度及び国と地方のデジタル基盤抜本改善ワーキンググループ(第6回)議事次第(政策会議)5.コロナ感染拡大で、地域医療構想の工程見直し厚労省は「地域医療構想に関するワーキンググループ」を9日に開催し、新型コロナ感染拡大による医療現場の負担を考慮し、2019年に再編や統合の検討が必要と判断された公立・公的病院について、具体的な対応方針を求める期限の先送りを決定した。感染状況には地域差がある中で、地域医療構想の議論の進捗状況にも地域差が生じ得ることを踏まえると、現時点で全国一律に取り組みを求めることは困難であるとし、現時点で工程を提示することは適切ではないため、この冬の感染状況を見ながら、あらためて具体的な工程の設定について検討するとされた。また、具体的対応方針の再検証に関連して、100万人以上の二次医療圏の「類似かつ近接」の分析、民間医療機関の特性に応じた議論活性化に向けた分析(回復期・慢性期の観点など)など、残された課題についても、今後議論を進めていく必要がある。(参考)新型コロナウイルス感染症対応を踏まえた今後の医療提供体制の構築に向けた考え方(案)(厚労省)6.薬価算定ルールやメタボ健診のあり方に見直しを/行政改革推進会議9日、行政改革推進会議が開催され、秋の年次公開検証などの取りまとめが公開された。医療関係については、薬価算定と特定健診・特定保健指導について指摘がなされた。薬価算定について、現在の薬価算定プロセスで製薬会社から提供される原価情報が十分ではないとし、適正な薬価算定が行えるよう見直しを進めていくべきであると示された。情報開示度の低い医薬品については算定要価をさらに厳しくする仕組みを検討するなどの見直しを行い、薬価の適正性を確保するよう努めるべきである。また、特定健康診・健指導については、2021年度の概算要求額が225.8億円に上り、その費用対効果について指摘もあった。これまでの実施状況を踏まえ、医療費適正化および健康増進双方の観点から、改めて事業効果について検証し、次期医療費適正化計画の策定に向け、特定保健診査および特定保健指導の在り方について検討すべきと厚労省に対して見直しを求めた。(参考)行政改革推進会議(第41回)議事次第(政策会議)

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